(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】局所用シクロスポリン含有製剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 38/13 20060101AFI20240902BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240902BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240902BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240902BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240902BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240902BHJP
A61K 9/08 20060101ALN20240902BHJP
【FI】
A61K38/13
A61P27/02
A61K47/44
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/04
A61K9/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022077492
(22)【出願日】2022-05-10
(62)【分割の表示】P 2018545269の分割
【原出願日】2017-02-28
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503422000
【氏名又は名称】サン ファーマシューティカル インダストリーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ウェイス,シドニー エル
(72)【発明者】
【氏名】ミトラ,アシム ケイ
(72)【発明者】
【氏名】マクナリー,ユージーン ジェイ.
【審査官】横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-532809(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0057854(US,A1)
【文献】国際公開第2015/179527(WO,A1)
【文献】News Release,Auven Therapeutics,2015年11月13日,http://www.auventx.com/auven/news/2015.php
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において炎症性眼疾患の処置のための眼科用水性局所用製剤であって、
0.087~0.093重量%のシクロスポリン、
約1.0重量%の水素化40ポリオキシルヒマシ油、
約0.05重量%のオクトキシノールー40、
約0.3重量%のポビドン、
約0.05重量%の塩化ナトリウム、
水酸化ナトリウム及び/又は塩酸で約5~約8のpHに調整されたリン酸緩衝剤、及び
水
を含む眼科用水性局所用製剤。
【請求項2】
約6.6~約7のpHを有する、請求項1に記載の眼科用水性局所用製剤。
【請求項3】
前記処置が、対象に前記製剤を1日2回投与することを含む、請求項1に記載の眼科用水性局所用製剤。
【請求項4】
シクロスポリンが、製剤中の1又は複数のナノミセル中に存在する、請求項1に記載の眼科用水性局所用製剤。
【請求項5】
ナノミセルが、約10nm~約40nmの粒子サイズを有する、請求項4に記載の
眼科用水性局所用製剤。
【請求項6】
ナノミセルが、約15nmの粒子サイズを有する、請求項4に記載の
眼科用水性局所用製剤。
【請求項7】
シクロスポリンが、製剤の約0.09重量%である、請求項1に記載の
眼科用水性局所用製剤。
【請求項8】
炎症性眼疾患が、乾性結膜炎である、請求項1に記載の眼科用水性局所用製剤。
【請求項9】
対象において涙液産生を増加させるための
眼科用水性局所用製剤であって、
0.087~0.093重量%のシクロスポリン、
約1.0重量%の水素化40ポリオキシルヒマシ油、
約0.05重量%のオクトキシノールー40、
約0.3重量%のポビドン、
約0.05重量%の塩化ナトリウム、
水酸化ナトリウム及び/又は塩酸で約5~約8のpHに調整されたリン酸緩衝剤、及び
水
を含む眼科用水性局所用製剤。
【請求項10】
涙液産生が、ベースラインからのSchirmer試験スコアによって測定される、請求項9に記載の
眼科用水性局所用製剤。
【請求項11】
対象において、10mm以上のベースラインからのSchirmer試験スコアを供する、請求項10に記載の眼科用水性局所用製剤。
【請求項12】
シクロスポリンが、製剤の約0.09重量%である、請求項9に記載の眼科用水性局所用製剤。
【請求項13】
製剤が、約6.6~約7のpHを有する、請求項9に記載の
眼科用水性局所用製剤。
【請求項14】
シクロスポリンが、製剤中において1又は複数のナノミセル中に存在する、請求項9に記載の眼科用水性局所用製剤。
【請求項15】
ナノミセルが、約10nm~約40nmの粒子サイズを有する、請求項14に記載の
眼科用水性局所用製剤。
【請求項16】
ナノミセルが、約15nmの粒子サイズを有する、請求項14に記載の
眼科用水性局所用製剤。
【請求項17】
対象における乾性角結膜炎の治療のための、眼科用水性局所用製剤であって、
該治療が、該製剤を対象へ1日2回投与することであり、該製剤が、
0.087~0.093重量%のシクロスポリン、
約1.0重量%の水素化40ポリオキシルヒマシ油、
約0.05重量%のオクトキシノールー40、
約0.3重量%のポビドン、
約0.05重量%の塩化ナトリウム、
水酸化ナトリウム及び/又は塩酸で約5~約8のpHに調整されたリン酸緩衝剤、及び
水
を含む、前記眼科用水性局所用製剤。
【請求項18】
前記製剤が、対象においてベースラインからのSchirmer試験スコアの増加が10mm以上の臨床的に有意な涙液産生の改善を供する、請求項17に記載の
眼科用水性局所用製剤。
【請求項19】
製剤中において、シクロスポリンが1又は複数のナノミセル中に存在する、請求項17に記載の眼科用水性局所用製剤。
【請求項20】
ナノミセルが約10nm~約40nmの粒子サイズを有する、請求項19に記載の
眼科用水性局所用製剤。
【請求項21】
ナノミセルが、約15nmの粒子サイズを有する、請求項19に記載の
眼科用水性局所用製剤。
【請求項22】
製剤が、約6.6~約7のpHを有する、請求項17に記載の
眼科用水性局所用製剤。
【請求項23】
シクロスポリンが、製剤の約0.09重量%である、請求項17に記載の眼科用水性局所用製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、その局所投与のためのシクロスポリン含有製剤、例えば、0.087~0.
093%のシクロスポリンを含有する眼科用製剤、ならびにそのような製剤の製造方法お
よび使用方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で提供される情報および引用される参考文献は、単に読者の理解を助けるため
に提供され、参考文献または情報のいずれも本発明に対する従来技術であることの承認に
なるものではない。
【0003】
米国特許出願公開第2010/0310462号および米国特許出願公開第2009/
0092665号には、ビタミンE TPGSを含むナノミセルを有する、眼科使用のた
めの薬物送達系が開示されている。
【0004】
トラボプロストは、緑内障または高眼圧症の患者における眼内圧の上昇の低減のための
眼科用溶液製剤である。それは、0.5%のHCO-40、活性成分として0.004%
のプロスタグラジン類似体トラボプロスト、および有機溶媒としてプロピレングリコール
を含有する。(nlm.nih.gov/dailymed/lookup.cfm?s
etid=338e7ff4-0d91-4208-a45d-bfa2be52334
d on the world-wide web)。しかしながら、この組成物は、ナ
ノミセルの形態ではない。(ema.europa.eu/docs/en_GB/do
cument_library/EPAR_-_Product_Informatio
n/human/000665/WC500038389.pdf on the wo
rld-wide web)。
【0005】
米国特許第8,980,839号には、水性眼科用溶液であって、シクロスポリン、ポ
リオキシル脂質または脂肪酸、ならびにポリアルコキシル化アルコールを含む溶液が開示
されている。その特許は、ポリオキシル脂質としてHCO-40、およびポリアルコキシ
ル化アルコールとしてOctoxynol-40を企図する。
【0006】
RESTATIS(登録商標)(シクロスポリン0.05%眼科用エマルジョン)の使
用後の最も一般的な副作用は、17%の症例で報告されたとおりの患者における目の灼熱
感である。他の副作用には、結膜充血、流涙、眼痛、眼脂、異物感覚、掻滓、穿刺および
視覚障害(1~5%の患者での)が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2010/0310462号
【文献】米国特許出願公開第2009/0092665号
【文献】米国特許第8,980,839号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、0.087~0.093重量%のシクロスポリンを含む眼科用局所製剤に関
する。ある特定の態様および実施形態において、本明細書に記載されるとおりの0.08
7~0.093重量%のシクロスポリンを含む製剤は、他の眼科用製剤、例えば、Xii
dra(登録商標)(リフィテグラスト眼科用溶液)で報告されたとおりの副作用、例えば、視力低下、かすみ目、流涙の増加、眼脂、および味覚異常を引き起こさず、したがっ
て、より良好な安全プロファイルを与える。
【0009】
本開示の製剤は、0.087~0.093重量%のシクロスポリンを含む製剤が、比較
的高い有効性を有し得、かつ例えば、大規模製造で、予想外にも安定であり得るという驚
くべき予想外の所見に少なくとも部分的に基づく。本開示の前には予測することができな
かった、本開示の製剤の特色および利点には、工業規模で調製後のその改善された取扱い
性が含まれ、すなわち、本開示の製剤の様々な態様および実施形態は、したがって、担体
において完全に流体のままであり、その取扱い時に沈殿する傾向に抵抗する。
【0010】
ある特定の実施形態における本開示の製剤は、高温、例えば、約40℃を超える温度で
驚くほどに安定である。
【0011】
ある特定の態様および実施形態において、本開示の製剤は、ポリオキシル脂質もしくは
脂肪酸、および/またはポリアルコキシル化アルコールをさらに含み、ナノミセルを含ん
でもよい。
【0012】
本開示で企図されるナノミセルは、典型的には約1~100nmの範囲の粒子サイズを
有し;一部の実施形態において、粒子サイズは、約5~50nmの範囲に入り;一部の実
施形態において、粒子サイズは、約10~40nmの範囲に入り;一部の実施形態におい
て、粒子サイズは、約15nmである。
【0013】
一態様において、本開示の局所眼科用製剤は、0.087~0.093重量%のシクロ
スポリン、および1種または複数の追加の製剤成分を含む。
【0014】
上記態様の実施形態の1つにおいて、本明細書で企図される製剤は、40℃を超える温
度で安定である。
【0015】
上記態様の別の実施形態において、本開示の製剤は、透明な水溶液である。
【0016】
上記態様の別の実施形態において、本開示の製剤は、有機溶媒を実質的に含まない。
【0017】
上記態様の別の実施形態において、本開示の製剤は、保存剤を含まない。
【0018】
上記態様の別の実施形態において、本開示の製剤は、1種または複数の追加の製剤成分
を含む。
【0019】
上記態様の別の実施形態において、本開示の製剤は、混合ナノミセル製剤である。
【0020】
上記態様の別の実施形態において、本開示の製剤は、混合ナノミセルのコアに封入され
たシクロスポリンを含む。
【0021】
上記態様の別の実施形態において、ナノミセルは、約5~100nmの粒子サイズを有
する。
【0022】
上記態様の別の実施形態において、本開示の製剤は、1種または複数の追加の成分を含
む。
【0023】
上記態様の別の実施形態において、追加の成分は、ポリオキシル脂質または脂肪酸、な
らびにポリアルコキシル化アルコールからなる群から選択される。
【0024】
上記態様の別の実施形態において、ポリオキシル脂質は、ポリオキシルヒマシ油である
。
【0025】
上記態様の別の実施形態において、ポリオキシル脂質は、HCO-40、HCO-60
、HCO-80、およびHCO-100からなる群から選択される。
【0026】
上記態様の別の実施形態において、ポリオキシル脂質または脂肪酸は、製剤の約0.1
~5重量%の量で存在する。
【0027】
上記態様の別の実施形態において、ポリアルコキシル化アルコールは、オクトキシノー
ル40である。
【0028】
上記態様の別の実施形態において、ポリアルコキシル化アルコールは、製剤の約0.0
02~4重量%の量で存在する。
【0029】
上記態様の別の実施形態において、追加の製剤成分を含む本開示の製剤は、添加剤、補
助剤、緩衝剤、等張化剤、生体付着性ポリマー、および保存剤からなる群からさらに選択
される。
【0030】
上記態様の別の実施形態において、緩衝剤は、リン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、クエン酸
塩、炭酸塩、およびホウ酸塩-ポリオール複合体からなる群から選択される。
【0031】
上記態様の別の実施形態において、等張化剤は、マンニトール、塩化ナトリウム、硝酸
ナトリウム、硫酸ナトリウム、デキストロース、キシリトール、またはそれらの組合せか
らなる群から選択される。
【0032】
上記態様の別の実施形態において、生体付着性ポリマーは、カルボポール、カルボフィ
ル、セルロース誘導体、ガム、例えば、キサンタン、カラヤ、グアー、トラガカント、ア
ガロース、および他のポリマー、例えば、ポビドン、ポリエチレングリコール、ポロキサ
マー、ヒアルロン酸、またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0033】
上記態様の別の実施形態において、生体付着性ポリマーは、ポビドンである。
【0034】
ある特定の態様および実施形態において、本開示の製剤は、活性薬剤をさらに含む。
【0035】
上記態様のある実施形態において、さらなる活性成分は、レゾルビン、レゾルビン様化
合物、ステロイド、抗生物質、抗ウイルス剤、ホルモン、サイトカイン、毒素、ビタミン
、またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0036】
ある特定の態様および実施形態において、本開示の製剤は、0.087~0.093重
量%のシクロスポリンを含み、前記製剤は、ビヒクルと比較して臨床的に有意な涙液産生
の改善を示し、ベースラインからのSchimer試験スコアの増加が10mm以上であ
る。
【0037】
上記態様のある実施形態において、本開示の製剤は、シクロスポリンAの他の製剤と比
較して早期の作用発現を示す。
【0038】
ある特定の態様および実施形態において、本開示の製剤は、
0.087~0.093重量%のシクロスポリン、
約0.1~6重量%の水素化40ポリオキシルヒマシ油、および
約0.002~4重量%のオクトキシノール-40
を含む。
【0039】
ある特定の態様および実施形態において、本開示の製剤は、
0.087~0.093重量%のシクロスポリン、
約1.0重量%の水素化40ポリオキシルヒマシ油、および
約0.05重量%のオクトキシノール-40(Igepal)
を含む。ある特定の態様および実施形態において、本開示の製剤は、
約0.20~0.405重量%のリン酸ナトリウム一塩基性(sodium■phosphate■monoba
sic)、
約0.23~0.465重量%のリン酸ナトリウム二塩基性(sodium■phosphate■dibasi
c)、
約0.05重量%の塩化ナトリウム、
約0.3重量%のポビドンK90、
水酸化ナトリウム/塩酸、および
注射用水
をさらに含む。
【0040】
数値と関連して本明細書で使用される場合、用語「およそ(approximatel
y)」および「約(about)」は、示された値を含めて、示された値の±10%を意
味する。
【0041】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.088~0.093重量%の
シクロスポリンを含む。
【0042】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.089~0.093重量%の
シクロスポリンを含む。そのような態様の一部の実施形態において、本開示の製剤は、
0.089~0.093重量%のシクロスポリン、
約1.0重量%の水素化40ポリオキシルヒマシ油、および
約0.05重量%のオクトキシノール-40(Igepal)
を含む。ある特定の態様および実施形態において、本開示の製剤は、
約0.20重量%のリン酸ナトリウム一塩基性、
約0.23重量%のリン酸ナトリウム二塩基性、
約0.05重量%の塩化ナトリウム、
約0.3重量%のポビドンK90、
水酸化ナトリウム/塩酸、および
注射用水
をさらに含む。
【0043】
そのような態様の一部の実施形態において、本開示の製剤は、
0.09~0.093重量%のシクロスポリン、
約1.0重量%の水素化40ポリオキシルヒマシ油、および
約0.05重量%のオクトキシノール-40(Igepal)
を含む。ある特定の態様および実施形態において、本開示の製剤は、
約0.405重量%のリン酸ナトリウム一塩基性、
約0.465重量%のリン酸ナトリウム二塩基性、
約0.05重量%の塩化ナトリウム、
約0.3重量%のポビドンK90、
水酸化ナトリウム/塩酸、および
注射用水
をさらに含む。
【0044】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.091~0.093重量%の
シクロスポリンを含む。
【0045】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.092~0.093重量%の
シクロスポリンを含む。
【0046】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.087~0.092重量%の
シクロスポリンを含む。
【0047】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.087~0.091重量%の
シクロスポリンを含む。
【0048】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.087~0.09重量%のシ
クロスポリンを含む。そのような態様の一部の実施形態において、本開示の製剤は、
0.087~0.09重量%のシクロスポリン、
約1.0重量%の水素化40ポリオキシルヒマシ油、および
約0.05重量%のオクトキシノール-40(Igepal)
を含む。ある特定の態様および実施形態において、本開示の製剤は、
約0.20重量%のリン酸ナトリウム一塩基性、
約0.23重量%のリン酸ナトリウム二塩基性、
約0.05重量%の塩化ナトリウム、
約0.3重量%のポビドンK90、
水酸化ナトリウム/塩酸、および
注射用水
をさらに含む。
【0049】
そのような態様の一部の実施形態において、本開示の製剤は、
0.087~0.089重量%のシクロスポリン、
約1.0重量%の水素化40ポリオキシルヒマシ油、および
約0.05重量%のオクトキシノール-40(Igepal)
を含む。ある特定の態様および実施形態において、本開示の製剤は、
約0.405重量%のリン酸ナトリウム一塩基性、
約0.465重量%のリン酸ナトリウム二塩基性、
約0.05重量%の塩化ナトリウム、
約0.3重量%のポビドンK90、
水酸化ナトリウム/塩酸、および
注射用水
をさらに含む。
【0050】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.087重量%のシクロスポリ
ンを含む。
【0051】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.088重量%のシクロスポリ
ンを含む。
【0052】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.089重量%のシクロスポリ
ンを含む。
【0053】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.09重量%のシクロスポリン
を含む。
【0054】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.091重量%のシクロスポリ
ンを含む。
【0055】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.092重量%のシクロスポリ
ンを含む。
【0056】
一部の態様において、本明細書で企図される製剤は、0.093重量%のシクロスポリ
ンを含む。
【0057】
ある特定の態様および実施形態において、本明細書に記載されるとおりの製剤は、前眼
部への送達、または後眼部への送達、または前眼部および後眼部への送達に特に適する。
【0058】
ある特定の態様および実施形態において、本開示の製剤は、
0.087~0.093重量%のシクロスポリン、
約1.0重量%の水素化40ポリオキシルヒマシ油、および
約0.05重量%のオクトキシノール-40(Igepal)
から本質的になり、ならびに任意選択でさらに、
約0.20~0.405重量%のリン酸ナトリウム一塩基性、
約0.23~0.465重量%のリン酸ナトリウム二塩基性、
約0.05重量%の塩化ナトリウム、
約0.3重量%のポビドンK90、
NaOH/塩酸、および
注射用水
から本質的になる。
【0059】
一部の実施形態において、製剤は、比較的に増加した封入効率を有するナノミセルを有
し;そのような実施形態において、シクロスポリンは、製剤の、少なくとも約0.087
%、もしくは少なくとも約0.088%、もしくは少なくとも約0.089%、もしくは
少なくとも約0.09%、もしくは少なくとも約0.091%;もしくは少なくとも約0
.092%、もしくは少なくとも約0.093%;または0.087%以下;または0.
087~0.093%、もしくは0.088~0.093%、もしくは0.089%~0
.093%、もしくは0.09~0.093%;または約0.087%、もしくは約0.
088%、もしくは約0.089%、もしくは約0.09%、もしくは約0.091%、
もしくは約0.092%、もしくは約0.093%であってもよく、製剤のナノミセル中
に存在する。
【0060】
したがって、一態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、ポリ
オキシル脂質または脂肪酸、ならびにポリアルコキシル化アルコールを含む眼科用製剤が
提供される。一部の実施形態において、製剤は、ナノミセルを含む。一部の実施形態にお
いて、ポリオキシル脂質または脂肪酸は、ポリオキシルヒマシ油である。一部の実施形態
において、ポリオキシル脂質または脂肪酸は、HCO-40、HCO-60、HCO-8
0、またはHCO-100から選択される1種または複数である。一部の実施形態におい
て、ポリオキシル脂質または脂肪酸(例えば、HCO-40、HCO-60、HCO-8
0、またはHCO-100などのポリオキシルヒマシ油)は、製剤の、0.5~5重量%
、もしくは0.6~5重量%、もしくは0.7~5重量%、もしくは0.8~5重量%、
もしくは0.9~5重量%、もしくは1~5重量%、もしくは1重量%~4重量%、もしくは1~3重量%、もしくは1~2重量%、または約1重量%、または0.5重量%超、
もしくは0.6重量%超、もしくは0.7重量%超、もしくは0.8重量%超、もしくは
0.9重量%超、もしくは1重量%超で存在する。一部の実施形態において、ポリオキシ
ル脂質は、HCO-60である。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質は、HCO
-80である。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質は、HCO-100である。
一部の実施形態において、製剤は、オクトキシノール-40であるポリアルコキシル化ア
ルコールを含む。一部の実施形態において、製剤は、製剤の、0.01~1重量%、もし
くは0.02~1重量%、もしくは0.03~1重量%、もしくは0.04~1重量%、
もしくは0.05~1重量%、もしくは0.06~1重量%、もしくは0.07~1重量
%、もしくは0.08~1重量%、または約1重量%で存在するポリアルコキシル化アル
コール(例えば、オクトキシノール-40)を含む。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「ポリオキシル脂質または脂肪酸」は、脂質または脂
肪酸と、ポリオキシエチレンジオールとのモノ-およびジエステルを指す。ポリオキシル
脂質または脂肪酸は、当技術分野でよく理解されているとおりに、オキシエチレン単位の
平均ポリマー長によって番号付け(「n」)(例えば、40、60、80、100)され
てもよい。用語「n≧40ポリオキシル脂質」は、ポリオキシル脂質または脂肪酸が、4
0単位に等しいかまたはそれを超える平均オキシエチレンポリマー長を有することを意味
する。ステアリン酸水素化ヒマシ油、およびヒマシ油は、ポリオキシル脂質または脂肪酸
として市販されている一般的な脂質/脂肪酸であるが、しかしながら、いずれの脂質また
は脂肪酸もポリオキシル化されて、本明細書で企図されるとおりのポリオキシル脂質また
は脂肪酸になることができることが理解される。ポリオキシル脂質または脂肪酸の例には
、限定することなく、HCO-40、HCO-60、HCO-80、HCO-100、ス
テアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシル35ヒマシ油が含まれる。
【0062】
本明細書に記載される組成物および方法のいずれかの一部の実施形態において、ポリオ
キシル脂質または脂肪酸のオキシエチレン単位の平均ポリマー長は、比較的より大きい活
性成分に対してより長く、比較的より小さい活性成分に対してより短く;例えば、活性成
分がレゾルビンまたはレゾルビン様化合物である一部の実施形態において、ポリオキシル
脂質は、HCO-60であり、活性成分がシクロスポリンA(これは、レゾルビンより大
きい)である一部の実施形態において、ポリオキシル脂質は、HCO-80またはHCO
-100である。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「ミセル」または「ナノミセル」は、界面活性剤分子
の凝集体(またはクラスター)を指す。ミセルは、界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度(
CMC)より大きい場合に形成するだけである。界面活性剤は、両親媒性である化学物質
であり、これは、それらが疎水性基および親水性基の両方を含むことを意味する。ミセル
は、球形、円筒形、および円盤状を含めて、種々の形状で存在し得る。少なくとも2種の
異なる分子種を含むミセルは、混合ミセルである。その一部の実施形態において、本開示
の眼科用組成物は、水性の透明な混合ミセル溶液を含む。
【0064】
別の態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、およびn≧40
のポリオキシル脂質または脂肪酸を含む眼科用製剤が提供される。一部の実施形態におい
て、製剤は、ナノミセルを含む。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質または脂肪
酸は、ポリオキシルヒマシ油である。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質または
脂肪酸は、HCO-40、HCO-60、HCO-80、またはHCO-100から選択
される1種または複数である。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質または脂肪酸
(例えば、HCO-40、HCO-60、HCO-80、またはHCO-100などのポ
リオキシルヒマシ油)は、製剤の、0.1~2重量%、もしくは0.2~2重量%、もし
くは0.3~2重量%、もしくは0.4~2重量%、もしくは0.5~2重量%、もしくは0.6~2重量%、もしくは0.7~2重量%、もしくは0.8~2重量%、もしくは
0.9~2重量%、もしくは1~2重量%、もしくは0.1~6重量%、または約4重量
%、または0.4重量%超、もしくは1重量%超、もしくは1.5重量%超、もしくは2
重量%超、もしくは3重量%超、もしくは4重量%超で存在する。一部の実施形態におい
て、ポリオキシル脂質は、HCO-60である。一部の実施形態において、ポリオキシル
脂質は、HCO-80である。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質は、HCO-
100である。一部の実施形態において、製剤は、ポリアルコキシル化アルコールをさら
に含む。一部の実施形態において、製剤は、オクトキシノール-40であるポリアルコキ
シル化アルコールをさらに含む。一部の実施形態において、製剤は、製剤の、0.002
~4重量%、もしくは0.005~3重量%、もしくは0.005~2重量%、もしくは
0.005~1重量%、もしくは0.005~0.5重量%、もしくは0.005~0.
1重量%、もしくは0.005~0.05重量%、もしくは0.008~0.02重量%
、もしくは0.01~0.1重量%、もしくは0.02~0.08重量%、もしくは0.
005~0.08重量%、または約0.05重量%、もしくは約0.01重量%で存在す
るポリアルコキシル化アルコール(例えば、オクトキシノール-40)を含む。
【0065】
別の態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、およびポリオキ
シル脂質または脂肪酸を含む眼科用製剤であって、前記ポリオキシル脂質または脂肪酸は
、前記製剤の1%に等しいかまたはそれを超える量で存在する、眼科用製剤が提供される
。同様の態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、およびポリオ
キシル脂質または脂肪酸を含む眼科用製剤であって、前記ポリオキシル脂質または脂肪酸
は、前記製剤の0.05%に等しいかまたはそれを超える量で存在する、眼科用製剤が提
供される。一部の実施形態において、製剤は、ナノミセルを含む。一部の実施形態におい
て、ポリオキシル脂質または脂肪酸は、ポリオキシルヒマシ油である。一部の実施形態に
おいて、ポリオキシル脂質または脂肪酸は、HCO-40、HCO-60、HCO-80
、またはHCO-100から選択される1種または複数である。一部の実施形態において
、ポリオキシル脂質または脂肪酸(例えば、HCO-60、HCO-80、またはHCO
-100などのポリオキシルヒマシ油)は、製剤の、0.5~2重量%、もしくは0.7
~2重量%、または1~6重量%、もしくは2~6重量%、もしくは2~6重量%、もし
くは3~6重量%、もしくは4~6重量%、もしくは2~5重量%、もしくは3~5重量
%、もしくは3~5重量%、もしくは2~6重量%、または約4重量%、または1.5重
量%超、もしくは2重量%超、もしくは3重量%超、もしくは4重量%超で存在する。一
部の実施形態において、ポリオキシル脂質は、HCO-40である。一部の実施形態にお
いて、ポリオキシル脂質は、HCO-60である。一部の実施形態において、ポリオキシ
ル脂質は、HCO-80である。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質は、HCO
-100である。一部の実施形態において、製剤は、ポリアルコキシル化アルコールをさ
らに含む。一部の実施形態において、製剤は、オクトキシノール-40であるポリアルコ
キシル化アルコールをさらに含む。一部の実施形態において、製剤は、製剤の、0.00
2~4重量%、もしくは0.005~3重量%、もしくは0.005~2重量%、もしく
は0.005~1重量%、もしくは0.005~0.5重量%、もしくは0.005~0
.1重量%、もしくは0.005~0.05重量%、もしくは0.008~0.02重量
%、もしくは0.01~0.1重量%、もしくは0.02~0.08重量%、もしくは0
.005~0.08重量%、または約0.05重量%、もしくは約0.01重量%で存在
するポリアルコキシル化アルコール(例えば、オクトキシノール-40)を含む。
【0066】
別の態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、およびポリオキ
シル脂質または脂肪酸を含む眼科用製剤であって、前記製剤は、ナノミセルを含む、製剤
が提供される。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質または脂肪酸は、ポリオキシ
ルヒマシ油である。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質または脂肪酸は、HCO
-40、HCO-60、HCO-80、またはHCO-100から選択される1種または複数である。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質または脂肪酸(例えば、HCO
-40、HCO-60、HCO-80、またはHCO-100などのポリオキシルヒマシ
油)は、製剤の、0.5~2重量%、もしくは0.7~2重量%、または1~6重量%、
もしくは2~6重量%、もしくは2~6重量%、もしくは3~6重量%、もしくは4~6
重量%、もしくは2~5重量%、もしくは3~5重量%、もしくは3~5重量%、もしく
は2~6重量%、または約4重量%、または0.7重量%超、もしくは1重量%超、もし
くは1.5重量%超、もしくは2重量%超、もしくは3重量%超、もしくは4重量%超で
存在する。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質は、HCO-40である。一部の
実施形態において、ポリオキシル脂質は、HCO-60である。一部の実施形態において
、ポリオキシル脂質は、HCO-80である。一部の実施形態において、ポリオキシル脂
質は、HCO-100である。一部の実施形態において、製剤は、ポリアルコキシル化ア
ルコールをさらに含む。一部の実施形態において、製剤は、オクトキシノール-40であ
るポリアルコキシル化アルコールをさらに含む。一部の実施形態において、製剤は、製剤
の、0.002~4重量%、もしくは0.005~3重量%、もしくは0.005~2重
量%、もしくは0.005~1重量%、もしくは0.005~0.5重量%、もしくは0
.005~0.1重量%、もしくは0.005~0.05重量%、もしくは0.008~
0.02重量%、もしくは0.01~0.1重量%、もしくは0.02~0.08重量%
、もしくは0.005~0.08重量%、または約0.05重量%、もしくは約0.01
重量%で存在するポリアルコキシル化アルコール(例えば、オクトキシノール-40)を
含む。
【0067】
さらなる態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、1~5%の
、HCO-40、HCO-60、HCO-80およびHCO-100からなる群から選択
される1種または複数、ならびに約0.01~0.05%のオクトキシノール-40を含
む、眼科用製剤が提供される。
【0068】
別の態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、1~5%の、H
CO-40、HCO-60、HCO-80およびHCO-100からなる群から選択され
る1種または複数、ならびに約0.01~0.05%のオクトキシノール-40を含む、
眼科用製剤が提供される。
【0069】
さらに別の態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、1~5%
の、HCO-40、HCO-60、HCO-80およびHCO-100からなる群から選
択される1種または複数、ならびに約0.01~0.05%のオクトキシノール-40を
含む、眼科用製剤が提供される。
【0070】
別の態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、1~5%の、H
CO-40、HCO-60、HCO-80およびHCO-100からなる群から選択され
る1種または複数、ならびに約0.01~0.05%のオクトキシノール-40を含む、
眼科用製剤が提供される。
【0071】
さらなる態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、約4%のH
CO-60、および約0.01~0.05%のオクトキシノール-40を含む、
眼科用製剤が提供される。
【0072】
別の態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.7~1.5
%の、HCO-40、HCO-60、HCO-80およびHCO-100からなる群から
選択される1種または複数、ならびに約0.05~0.1重量%のオクトキシノール-4
0を含む、眼科用製剤が提供される。
【0073】
別の態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.7~1.5
%の、HCO-40、HCO-60、HCO-80およびHCO-100からなる群から
選択される1種または複数、ならびに約0.05~0.1%のオクトキシノール-40を
含む、眼科用製剤が提供される。
【0074】
さらに別の態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.7~
1.5%の、HCO-40、HCO-60、HCO-80およびHCO-100からなる
群から選択される1種または複数、ならびに約0.05~0.1%のオクトキシノール-
40を含む、眼科用製剤が提供される。
【0075】
別の態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.7~1.5
%の、HCO-40、HCO-60、HCO-80およびHCO-100からなる群から
選択される1種または複数、ならびに約0.05~0.1%のオクトキシノール-40を
含む、眼科用製剤が提供される。
【0076】
さらなる態様において、0.087~0.093重量%のシクロスポリン、約1%のH
CO-60、および約0.05~0.1%のオクトキシノール-40を含む、
眼科用製剤が提供される。
【0077】
本明細書に記載される態様および実施形態のいずれかの様々な実施形態において、製剤
は、ナノミセルを含む。
【0078】
本明細書に記載される態様および実施形態の一部の実施形態において、製剤は、ポリオ
キシル脂質または脂肪酸を含む。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質または脂肪
酸は、ポリオキシルヒマシ油である。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質または
脂肪酸は、HCO-40、HCO-60、HCO-80、またはHCO-100から選択
される1種または複数である。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質または脂肪酸
(例えば、HCO-60、HCO-80、またはHCO-100などのポリオキシルヒマ
シ油)は、製剤の、0.5~2重量%、もしくは0.7~2重量%、もしくは1~6重量
%、もしくは2~6重量%、もしくは2~6重量%、もしくは3~6重量%、もしくは4
~6重量%、もしくは2~5重量%、もしくは3~5重量%、もしくは3~5重量%、も
しくは2~6重量%、または約4重量%、または0.7重量%超、もしくは1重量%超、
もしくは1.5重量%超、もしくは2重量%超、もしくは3重量%超、もしくは4重量%
超で存在する。一部の実施形態において、ポリオキシル脂質は、HCO-40である。一
部の実施形態において、ポリオキシル脂質は、HCO-60である。一部の実施形態にお
いて、ポリオキシル脂質は、HCO-80である。一部の実施形態において、ポリオキシ
ル脂質は、HCO-100である。
【0079】
本明細書に開示される態様および実施形態の一部の実施形態において、ポリアルコキシ
ル化アルコールを含む。一部の実施形態において、製剤は、オクトキシノール-40であ
るポリアルコキシル化アルコールを含む。一部の実施形態において、製剤は、製剤の、0
.002~4重量%、もしくは0.005~3重量%、もしくは0.005~2重量%、
もしくは0.005~1重量%、もしくは0.005~0.5重量%、もしくは0.00
5~0.1重量%、もしくは0.005~0.05重量%、もしくは0.008~0.0
2重量%、もしくは0.01~0.1重量%、もしくは0.02~0.08重量%、もし
くは0.005~0.08重量%、または約0.05重量%、もしくは約0.01重量%
で存在するポリアルコキシル化アルコール(例えば、オクトキシノール-40)を含む。
【0080】
ある特定の態様および実施形態において、本開示は、
0.087~0.093重量%のシクロスポリン、
約1.0重量%の水素化40ポリオキシルヒマシ油、および
約0.05重量%のオクトキシノール-40(Igepal)
を含み、ならびに
任意選択でさらに、
0.20~0.405重量%のリン酸ナトリウム一塩基性、
0.23~0.465重量%のリン酸ナトリウム二塩基性、
約0.05重量%の塩化ナトリウム、
約0.3重量%のポビドンK90、
水酸化ナトリウム/塩酸、および
注射用水
を含む、安定なエマルジョンを企図する。
【0081】
一部の態様において、本開示は、シクロスポリンの眼科用局所製剤を調製する方法であ
って、
(1)必要量のポリオキシル脂質を溶融させる工程と、
(2)工程(1)にシクロスポリンをゆっくりと添加し、混合物を実質的に均一にする
工程と、
(3)工程(2)にポリアルコキシル化アルコールを添加し、一様な均一溶液が得られ
るまで撹拌を続ける工程と、
(4)工程(3)で得られた溶液に緩衝剤系および等張化剤を添加し、撹拌を続けて、
良好な溶解を達成する工程と、
(5)必要量の生体付着性ポリマーを上記工程の溶液に添加する工程と、
(6)必要ならば、溶液のpHを調整し、最終体積を注射用水で補う工程と、
(7)溶液を無菌的にろ過し、単位用量バイアルに充填する工程と
を含む方法を企図する。
【0082】
一部の態様において、本開示は、上記製剤を含めて、シクロスポリン含有製剤を製造す
る溶融ベースの方法であって、
水素化40ポリオキシルヒマシ油を溶融させる工程と、
それにシクロスポリンをゆっくりと添加し、その後、成分を実質的に混合する工程と、
得られた均一混合物にオクトキシノール40(Igepal)を添加し、実質的に均一
になるまで撹拌する工程と、その後
この混合物を注射用水に添加し、次いで、それぞれの良好な溶解を達成するのに十分な
撹拌とともに賦形剤(例えば、リン酸ナトリウム一塩基性、リン酸ナトリウム二塩基性、
および塩化ナトリウム)を個別に添加する工程と
を含む方法を企図する。
【0083】
本明細書での使用のために企図された例示的な溶融ベースの製造方法は、以下の工程を
含む:
工程1:必要量のHCO-40を、撹拌しながら約60℃に加熱されたフラスコ中で溶
融させる。液化されたとき、必要量のシクロスポリンを添加し、溶解されるまで混合する
。次いで、オクトキシノール-40を添加し、溶液全体を一様になるまで混合する。
工程2:必要量の注射用水をステンレス鋼製容器に投入し、温度が25℃になるまで撹
拌する。
工程3:工程1からの内容物をステンレス鋼製容器に移し、溶解されるまで撹拌する。
工程4:必要量の塩化ナトリウムおよびリン酸緩衝剤をステンレス鋼製容器に添加し、
内容物を溶解されるまで混合する。
工程5:その容器に必要量のポビドンを添加し、溶解されるまで撹拌する。
工程6:工程5における溶液のpHを測定し、調整し(必要ならば)、注射用水で最終
体積にする。
工程7:工程6からの溶液を無菌的にろ過し、成形同時充填(BFS)単位用量バイア
ル中に0.3mLの名目充填体積で、無菌的に充填する。
工程8:バイアルを、ヒートシールホイルパウチで4BFS単位の条片に包装する。
【0084】
一部の態様において、本開示は、シクロスポリンの眼科用局所製剤を調製する方法であ
って、
(1)必要量のシクロスポリン、ポリアルコキシル化アルコールおよびポリオキシル脂
質を適当な溶媒に溶解させる工程と、
(2)工程(1)から得られた溶液を適当なサイズの丸底フラスコに投入する工程と、
(3)薄膜が得られるまで、回転蒸発によって溶媒を除去する工程と、
(4)必要量の注射用水を、工程(3)の膜が入っているフラスコに添加し、混合する
工程と、
(5)緩衝剤系および等張化剤を工程(4)の溶液に添加する工程と、
(6)必要量の生体付着性ポリマーを上記工程の溶液に添加する工程と、
(7)必要ならば溶液のpHを調整し、最終体積を注射用水で補う工程と、
(8)溶液を無菌的にろ過し、単位用量バイアル中に充填する工程と
を含む方法を企図する。
【0085】
本明細書での使用のために企図された例示的な溶媒ベースの製造方法は、以下の工程;
(1)必要量のシクロスポリン、オクトキシノール-40および水素化40ポリオキシ
ルヒマシ油を適当な溶媒に溶解させる工程と、
(2)工程(1)から得られた溶液を適当なサイズの丸底フラスコに投入する工程と、
(3)薄膜が得られるまで、回転蒸発によって溶媒を除去する工程と、
(4)必要量の注射用水を、工程(3)の膜が入っているフラスコに添加し、混合する
工程と、
(5)リン酸緩衝剤および塩化ナトリウムを工程(4)の溶液に添加する工程と、
(6)必要量のポビドンを上記工程の溶液に添加する工程と、
(7)必要ならば溶液のpHを調整し、最終体積を注射用水で補う工程と、
(8)溶液を無菌的にろ過し、単位用量バイアル中に充填する工程と
を含む。
【0086】
本開示は、例えば、本明細書に記載されるとおりの製剤の局所投与による、眼疾患また
は障害の処置または予防に関する。
【0087】
本開示の組成物または方法のいずれかによって処置される患者または対象は、ヒトまた
は非ヒト動物のいずれかを意味し得る。ある実施形態において、本開示は、それを必要と
しているヒト患者における眼疾患の処置のための方法を提供する。ある実施形態において
、本開示は、それを必要としているヒト患者における炎症性眼疾患の処置のための方法を
提供する。別の実施形態において、本開示は、限定されないが、イヌ、ウマ、ネコ、ウサ
ギ、アレチネズミ、ハムスター、齧歯動物、鳥類、水生哺乳動物、ウシ、ブタ、ラクダ科
動物、および他の動物学的動物を含めて、それを必要としている獣医学的患者における眼
疾患の処置のための方法を提供する。
【0088】
本明細書に開示される組成物および方法の一部の実施形態において、シクロスポリンは
、1種または複数の追加の活性成分、例えば、レゾルビンまたはレゾルビン様化合物、ス
テロイド(例えば、コルチコステロイド)などからなる群から選択される活性薬剤をさら
に含む。一部の実施形態において、追加の活性薬剤には、レゾルビンが含まれる。一部の
実施形態において、追加の活性薬剤には、コルチコステロイドが含まれる。一部の実施形
態において、追加の活性薬剤には、レゾルビンおよびコルチコステロイドが含まれる。一
部の実施形態において、追加の活性薬剤には、抗生物質、例えば、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロ
キサシン、ベシフロキサシン、およびレボフロキサシンからなる群から選択される1種ま
たは複数が含まれる。一部の実施形態において、追加の活性薬剤には、抗生物質、例えば
、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフ
ロキサシン、モキシフロキサシン、ベシフロキサシン、およびレボフロキサシンからなる
群から選択される1種または複数が含まれ、そのような薬剤の2番目は、本明細書に記載
されるようなレゾルビン(限定することなく、化合物1001を含む)である。一部の実
施形態において、活性薬剤には、2種以上の活性薬剤が含まれ、前記活性薬剤の1種は、
抗ウイルス剤、例えば、ガンシクロビル、トリフルリジン、アシクロビル、ファムシクロ
ビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、およびシドフォビルからなる群から選択される
1種または複数の抗ウイルス剤である。一部の実施形態において、活性薬剤には、2種以
上の活性薬剤が含まれ、活性薬剤の1種は、抗生物質、例えば、ガンシクロビル、トリフ
ルリジン、アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、および
シドフォビルからなる群から選択される1種または複数の抗ウイルス剤であり、活性薬剤
の2番目は、本明細書に記載されるようなレゾルビン(限定することなく、化合物100
1を含む)である。
【0089】
用語「処置する(treating)」は、疾患、障害および/もしくは状態に罹りや
すいことがあり得るが、それを有するとまだ診断されていない細胞、組織、系、動物もし
くはヒトで、疾患、障害または状態が起こることを予防し;疾患、障害もしくは状態を安
定化し、すなわち、その進展を停止させ;ならびに/または疾患、障害もしくは状態の1
つもしくは複数の症状を緩和し、すなわち、疾患、障害および/もしくは状態の回帰を引
き起こすことを指す。
【0090】
本明細書で使用される場合、障害または状態を「予防する」治療用物質は、統計的試料
において、未処置対照試料と比較して処置試料における障害または状態の出現を減少させ
、あるいは未処置対照試料と比較して障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の開始
を遅延させ、または未処置対照試料と比較して障害もしくは状態の1つもしくは複数の症
状の重症度を低下させる化合物を指す。
【0091】
本明細書で使用される場合、用語「眼疾患(ocular disease)」、「眼
状態(ocular condition)」、「目の疾患(eye disease)
」および「目の状態(eye condition)」は、視力を脅かすことがあり、眼
の不快をもたらし得、および全身の健康問題をシグナル伝達し得る、眼の疾患/状態を指
す。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「前部疾患(anterior segment d
isease)」は、眼表面、眼の前房、虹彩ならびに毛様体およびレンズに影響を与え
るすべての障害を指す。眼表面は、角膜、結膜、眼瞼、涙腺およびマイボーム腺、ならび
に相互接続神経から構成される。
【0093】
本明細書で使用される場合、「後部眼疾患(posterior segment e
ye disease)」および「目の後部疾患(back-of-the-eye d
isease)」は、眼の後部に影響を与えるすべての障害を指す。後部眼疾患は、後部
眼部位、例えば、脈絡膜または強膜、硝子体、硝子体腔、網膜、視神経、ならびに後部眼
部位を血管新生させ、または神経支配する血管および神経に主として影響を与える疾患で
ある。
【0094】
したがって、別の態様において、本明細書に開示されるとおりの態様または実施形態の
いずれかの製剤を局所投与することを含む、眼疾患または状態を処置または予防する方法が提供される。一部の実施形態において、眼疾患は、前部疾患である。一部の実施形態に
おいて、眼疾患は、後部疾患である。一部の実施形態において、眼疾患は、ドライアイ症
候群、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、前部ブドウ膜炎(虹彩炎)、網脈絡膜炎、後部
ブドウ膜炎、結膜炎、アレルギー性結膜炎、角膜炎、角結膜炎、春季カタル(VKC)、
アトピー性角結膜炎、全身性免疫介在疾患、例えば、瘢痕性結膜炎、および眼表面の他の
自己免疫障害、眼瞼炎、強膜炎、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、糖
尿病性黄斑浮腫(DME)、眼血管新生、加齢黄斑変性(ARMD)、増殖性硝子体網膜
症(PVR)、サイトメガロウイルス(CMV)網膜症、視神経炎、球後神経炎、ならび
に黄斑パッカーからなる群から選択される1種または複数である。一実施形態において、
眼疾患は、ドライアイである。一実施形態において、眼疾患は、アレルギー性結膜炎であ
る。一実施形態において、眼疾患は、加齢黄斑変性(AMD)である。一実施形態におい
て、眼疾患は、糖尿病性網膜症である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1】ビヒクル、0.05重量%のシクロスポリンを含有する製剤および0.09 重量%のシクロスポリンを含有する製剤によるSchirmer試験の結果を要約す るグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0096】
活性薬剤
本明細書で提供される方法および組成物の様々な態様および実施形態によれば、活性薬
剤は、シクロスポリンに加えて存在する場合、生物学的過程に影響を与えることができる
任意の薬剤であり得る。シクロスポリンに加えての活性薬剤(用語活性成分は、用語活性
薬剤と互換可能に使用される)には、薬物、ホルモン、サイトカイン、毒素、治療剤、ビ
タミンなどが含まれる。一部の実施形態において、本明細書に開示される態様および実施
形態による活性薬剤は、疾患もしくは状態を処置もしくは予防することができるか、また
はそのことについて承認された薬剤であり、例えば、一部の実施形態において、活性薬剤
は、眼疾患もしくは状態を処置するか、もしくは予防することができるか、またはそのこ
とについて承認されている。
【0097】
一部の実施形態において、シクロスポリンに加えての活性薬剤は、抗生物質、例えば、
アジスロマイシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロ
キサシン、モキシフロキサシン、ベシフロキサシン、およびレボフロキサシンからなる群
から選択される1種または複数の抗生物質である。一部の実施形態において、活性薬剤は
、抗ウイルス剤、例えば、ガンシクロビル、トリフルリジン、アシクロビル、ファムシク
ロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、およびシドフォビルからなる群から選択され
る1種または複数の抗ウイルス剤である。
【0098】
本明細書に開示される態様および実施形態のいずれかの一部の実施形態において、活性
薬剤は、シクロスポリンA、その類似体、またはその薬学的に許容される塩である。
【0099】
最初は土壌真菌類Potypacaidium infilatumから抽出された、
シクロスポリンは、環状の11-アミノ酸構造を有し、例えば、シクロスポリンAからI
、例えば、シクロスポリンA、B、C、DおよびGを包含する。シクロスポリンは、免疫
応答性リンパ球、特にT-リンパ球の細胞質タンパク質シクロフィリンに結合し、複合体
を形成する。複合体は、通常の状況下でインターロイキン-2(IL-2)の転写を誘導
するカルシニューリンを阻害する。シクロスポリンは、リンホカイン産生およびインター
ロイキン放出も阻害し、エフェクターT細胞の機能の低下をもたらす。
【0100】
眼疾患
様々な態様および実施形態において、本明細書に開示される製剤は、眼疾患または障害
を処置または予防するために使用されてもよい。本明細書で企図される眼疾患および障害
には、前部疾患および後部疾患が含まれる。ある特定の実施形態において、本明細書に開
示されるとおりの製剤で処置されてもよい例示的な眼疾患には、以下が含まれる。
【0101】
ドライアイ症候群(DES、慢性ドライアイ、乾性角膜炎;眼球乾燥症;乾性角結膜炎
)は、眼の表面を維持する天然涙液層の消失、またはその組成の変更をもたらす様々な障
害を含む状態と定義され得る。涙液層がないと、視力が損なわれ、患者は重度の眼不快を
患い得る。DESは、過剰の涙液蒸発、または涙液産生の部位である涙腺における涙液産
生の減少によって引き起こされ得る。この状態の正確な原因は知られておらず、涙液産生
の減少と、涙器の1つまたは複数の構成要素の炎症との間の関連を支持する証拠がある。
DESのために現在利用可能な薬物治療は、より有効でより良い、耐容性を示す産物の実
質的な余地を残している。
【0102】
DESはまた、涙液および唾液を産生する腺が破壊される自己免疫障害であるシェーグ
レン症候群の顕現であってもよい。これは、口渇、涙の分泌の低下、および他の乾燥粘膜
をもたらす。
【0103】
非感染性ブドウ膜炎は、実質的な視覚の病的状態を伴う、慢性炎症性の、推定Th1/
Th17介在自己免疫疾患であり、潜在的に失明性である。ブドウ膜炎からの失明は、単
一の炎症エピソードからは通常起こらず;むしろ、累積損傷が、炎症の再発性エピソード
から起こる。失明をもたらす炎症性後遺症には、嚢腔様黄斑浮腫、白内障、硝子体破片、
緑内障、黄斑病変(瘢痕および委縮)、視神経症、および網膜剥離の1つまたは複数が含
まれてもよい。
【0104】
前部ブドウ膜炎(虹彩炎)は、眼の前部で起こり、ブドウ膜炎の最も一般的な形態であ
る。毛様体扁平部炎は、虹彩と脈絡膜との間の狭い領域である毛様体扁平部の炎症である
。この状態は、若い男性でより頻繁に起こるが、通常は別の疾患を伴わない。後部ブドウ
膜炎(コンドロイチス(chondroitis))は、主として脈絡膜;ブドウ膜路の
後部部分に影響を与える。網膜も関与する場合、それは、脈絡網膜炎と呼ばれる。後部ブ
ドウ膜炎は、自己免疫疾患に関連して起こるか、または全身感染に続いて起こり得る。後
部ブドウ膜炎では、炎症は、数カ月から数年続き得、処置によってさえも、永久的視力損
傷を引き起こし得る。
【0105】
ブドウ膜炎は、視力障害、眼痛、および視力喪失を引き起こし得る。米国における失明
の新しい症例の約10%は、ブドウ膜炎によって引き起こされる。およそ300,000
人が米国だけでブドウ膜炎を患い、それらの大部分は、前部ブドウ膜炎によって影響され
ている。ブドウ膜炎の処置のためのFDAにより承認された唯一の治療剤クラスは、コル
チコステロイドであり、これは、複数の副作用、例えば、高血圧、高血糖、および高コレ
ステロール血症、ならびに眼における、緑内障および白内障形成で注目されている。
【0106】
結膜炎(pink eye)は、眼瞼を裏打ちし、強膜の露出領域、または白眼を覆う
保護膜である結膜の腫れ、かゆみ、灼熱感、および発赤を引き起こす疾患の群を表す。
【0107】
角膜炎は、角膜(眼の前部にある透明部分)の炎症である。角膜炎は、感染(細菌、真
菌、ウイルス、寄生虫など)または非感染性作用物質によって引き起こされ得る(例えば
、自己免疫疾患のある特定のタイプは、様々な非感染性角膜炎と関連している)。
【0108】
角結膜炎は、角膜および結膜の炎症を指す。
【0109】
春季カタル(VKC)は、上眼瞼での硬く、隆起している敷石様瘤を特徴とする再発性
眼炎症疾患である。結膜の腫れおよび肥厚もあり得る。結膜は、角膜を除いて、眼瞼のみ
ならず、眼の露出部分も裏打ちする最外膜である。
【0110】
アトピー性角結膜炎は、アトピーと呼ばれる状態の結果である。アトピーは、免疫系が
所与のアレルゲンに応答して、正常より高いレベルの抗体を産生する遺伝的状態である。
【0111】
全身性免疫介在疾患、例えば、瘢痕性結膜炎、および眼表面の他の自己免疫障害は、急
性および慢性自己反応性機構が眼に相当の損傷を引き起こし得る状態の臨床的に異質の群
を表す。重度で、結膜の上皮および固有質に影響を与える場合、瘢痕形成が後に続いて起
こり、線維症の結果として相当の機械的変化をもたらす。これらの状態は、一般にまれで
あるが、重大な病理および視覚障害の原因となり得る。
【0112】
眼瞼炎は、眼瞼の炎症を引き起こす一般的状態である。
【0113】
強膜炎は、強膜と知られる、眼の白色外膜に影響を与える深刻な炎症疾患である。
【0114】
加齢黄斑変性(AMD)は、鋭い中心視力を徐々に破壊する、老化に関連する疾患であ
る。AMDは、網膜の中心に位置する黄斑に影響を与える。AMDは、湿潤型と乾燥型の
2つの形態で生じる。湿潤型AMDは、網膜の後ろの異常血管が、黄斑下で成長し始める
ときに起こる。これらの新しい血管は、非常に脆い傾向があり、血液および流体をしばし
ば漏出させる。血液および流体は、眼底におけるその正常位置から黄斑を高くする。黄斑
に対する損傷は急速に起こる。乾燥型AMDは、黄斑における感光性細胞がゆっくりと壊
れる際に起こり、影響を与えられた眼における中心視力を徐々にぼやけさせる。
【0115】
糖尿病は、いくつかの仕方で眼に影響を与え得る。糖尿病性網膜症(DR)は、眼底(
網膜)における感光性組織の血管に対する損傷に起因する、糖尿病の合併症である。最初
、糖尿病性網膜症は、症状をまったく引き起こさないか、または単に穏やかな視覚障害を
引き起こし得る。しかしながら、最終的に、糖尿病性網膜症は、失明をもたらし得る。糖
尿病性黄斑浮腫(DME)は、黄斑内の血管からの流体の漏出のための、糖尿病における
網膜の腫れである。
【0116】
眼血管新生は、眼における血管の異常な、または過剰な形成である。眼血管新生は、糖
尿病性網膜症および加齢黄斑変性(AMD)で示されてきた。
【0117】
増殖性硝子体網膜症(PVR)は、眼の内部での瘢痕組織形成である。細胞が増殖する
から「増殖性」、および問題が硝子体および網膜に関わるから「硝子体網膜症」である。
PVRでは、瘢痕組織は、収縮する網膜上にてシートで形成する。この顕著な収縮は、眼
の中心に向けて網膜を引っ張り、網膜を重度に剥離し、ゆがませる。PVRは、前方およ
び円周方向の両方への網膜の折り畳みとともに後方および前方の両方に起こり得る。
【0118】
サイトメガロウイルス(CMV)は、ヘルペスウイルスに関係し、ほとんどの人に存在
している。人の免疫系が、疾患(HIV)、臓器もしくは骨髄移植、または化学療法のた
めに抑制されているときに、CMVウイルスは、眼、および身体のその他の部分に損傷お
よび疾患を引き起こし得る。CMVは、網膜に損傷を引き起こすことによって症例の約3
0%で眼に影響を与える。これは、CMV網膜症と呼ばれる。
【0119】
視神経炎は、視神経が炎症を引き起こし、ミエリン鞘が損傷を受け、または破壊される
際に起こる。眼の後ろに位置する視神経の部分で起こる神経損傷は、球後神経炎と呼ばれ
、これは、視神経炎について時に使用される別の用語である。
【0120】
黄斑パッカーとしても知られる、網膜上膜は、黄斑の上で形成する瘢痕組織様膜である
。それは、典型的にはゆっくりと進行し、ぼやけおよびゆがみを引き起こすことによって
中心視力に影響を与える。それが進行するにつれて、黄斑上の膜の引っ張りは、腫れを引
き起こし得る。
【0121】
ある実施形態において、組成物は、例えば、移植後の角膜同種移植片の移植片拒絶反応
を予防するために使用され得る。炎症において、Tリンパ球が、外来組織の拒絶反応に介
在する際に決定的で重要な役割を果たすことは周知である。拒絶反応の予防は、移植され
た角膜の健康を維持する際に最も重要である。拒絶反応は、角膜、例えば、角膜上皮、角
膜基質または角膜内皮を構成する層のいずれかで起こり得る。角膜の機能は、内皮拒絶反
応後に損なわれる可能性がある。内皮層は、角膜をコンパクトな状態で維持するのに役立
ち、角膜基質から水を除去することによってポンプとして作用する。内皮層の機能が損な
われると、コラーゲン線維の配向性の乱れが後に続いて起こり、角膜の透明性が失われ得
る。ヒト内皮細胞は、非複製可能性であり、結果として、拒絶反応の設定におけるドナー
細胞損失は不可逆的であり、移植片機能および生存率の低下をもたらし得る。したがって
、角膜移植レシピエントにおける拒絶反応の予防または処置のいずれかの目標は、内皮細
胞損失を最小限にすることである。本開示の組成物は、角膜同種移植に続く拒絶反応の予
防に使用することができる。
【0122】
追加の製剤成分
本開示の組成物はまた、他の成分、例えば、限定されないが、添加剤、補助剤、緩衝剤
、等張化剤、生体付着性ポリマー、および保存剤を含んでもよい。眼に対して局所のため
の本開示の組成物のいずれかにおいて、混合物は、好ましくは約pH5~約pH8で製剤
化される。このpH範囲は、実施例に記載されるとおりに、組成物への緩衝剤の添加によ
って達成されてもよい。ある実施形態において、製剤中の組成物のpH範囲は、約pH6
.6~約pH7.0である。本開示の組成物は、任意の一般的な緩衝剤系、例えば、リン
酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、およびホウ酸塩-ポリオール複合体によ
って緩衝されてもよく、pHおよび浸透圧は、周知の技術によって適切な生理学的値に調
整されることが理解されよう。本開示の混合ミセル組成物は、緩衝水溶液中で安定である
。すなわち、組成物が非安定であるようにさせる、緩衝剤と任意の他の成分との間の有害
な相互作用はまったく存在しない。
【0123】
等張化剤には、例えば、マンニトール、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリ
ウム、デキストロース、キシリトール、またはそれらの組合せが含まれる。これらの等張
化剤は、組成物の浸透圧を調整するために使用されてもよい。ある態様において、製剤の
浸透圧は、約250~約350mOsmol/kgの範囲であるように調整される。ある
好ましい態様において、製剤の浸透圧は、約280~約300mOsmol/kgに調整
される。
【0124】
添加剤、例えば、糖、グリセロール、および他の糖アルコールは、本開示の組成物中に
含めることができる。医薬添加剤は、組成物中の他の成分の効力または潜在力を高めるた
めに添加され得る。例えば、医薬添加剤は、カルシニューリン阻害剤の安定性を改善する
ために、組成物の浸透圧を調整するために、組成物の粘度を調整するために、または別の
理由で、例えば、薬物送達の有効化のために、本開示の組成物に添加され得る。本開示の
医薬添加剤の非限定的な例には、糖、例えば、トレハロース、マンノース、D-ガラクト
ース、およびラクトースが含まれる。ある実施形態において、糖は、薄膜を水和させる前
に組成物中に(すなわち、内部的に)組み込むことができる。別の実施形態において、糖
は、水和工程中に組成物中に(すなわち、外部的に)組み込むことができる。ある実施形
態において、本開示の水性で透明な混合ミセル溶液は、添加剤、例えば、糖を含む。
【0125】
ある実施形態において、本開示の組成物は、1種または複数の生体付着性ポリマーをさ
らに含む。生体付着とは、ある特定の合成および生物学的巨大分子およびヒドロコロイド
が生物学的組織に付着する能力を指す。生体付着は、複雑な現象であり、ポリマーの特性
、生物学的組織、および周囲環境に部分的に依存する。いくつかの要因、すなわち、水素
架橋を形成することができる官能基(--OH、COOH)の存在、アニオン性電荷の存
在および強度、粘液層に互いに貫通させ合うためのポリマー鎖の十分な弾性、ならびに高
分子量がポリマーの生体付着能に寄与することが見出された。生体付着系は、歯科、整形
外科、眼科、および外科用途で使用されてきた。しかしながら最近では、他の領域におけ
る生体付着性材料の使用、例えば、軟部組織ベース人工代替品、および生物活性薬剤の局
所放出のための制御放出系等に相当な関心が持たれている。そのような用途には、頬また
は鼻腔中の薬物の放出のための、および腸または直腸投与のための系が含まれる。
【0126】
ある実施形態において、本開示の組成物は、少なくとも1種の生体付着性ポリマーを含
む。生体付着性ポリマーは、組成物の粘度を高め、それにより、眼における滞留時間を増
加させることができる。本開示の生体付着性ポリマーには、例えば、Carbopol(
登録商標)(カルボマー)、Noveon(登録商標)(ポリカルボフィル)のようなカ
ルボン酸ポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロースのようなアルキルおよびヒドロキシアルキルセルロースを含むセルロース誘
導体、ローカストビーン、キサンタン、アガロース、カラヤ、グアーのようなガム、なら
びに、限定されないが、ポリビニルアルコール、ポビドン、ポリエチレングリコール、P
luronic(登録商標)(ポロキサマー)、トラガカント、およびヒアルロン酸;眼
への封入薬剤の持続および制御された送達を与えるための相転移ポリマー(例えば、アル
ギン酸、カラギーナン(例えば、キリンサイ属(Eucheuma)、キサンタンおよび
ローカストビーンガム混合物、ペクチン、酢酸フタル酸セルロース、アルキルヒドロキシ
アルキルセルロースおよびその誘導体、ヒドロキシアルキル化ポリアクリル酸およびその
誘導体、ポロキサマーおよびそれらの誘導体などを含む他のポリマーが含まれる。これら
のポリマーの物理的特徴は、環境要因、例えば、単独または他の要因との組合せでのイオ
ン強度、pH、または温度における変化によって介在され得る。ある実施形態において、
任意選択の1種または複数の生体付着性ポリマーは、約0.01重量%~約10重量%/
体積、好ましくは約0.1~約5重量%/体積で組成物中に存在する。ある実施形態にお
いて、本開示の組成物は、例えば、PVP-K-30、PVP-K-90、HPMC、H
EC、およびポリカルボフィルから選択される少なくとも1種の親水性ポリマー賦形剤を
さらに含む。ある実施形態において、ポリマー賦形剤は、PVP-K-90、PVP-K
-30、またはHPMCから選択される。ある実施形態において、ポリマー賦形剤は、P
VP-K-90またはPVP-K-30から選択される。
【0127】
ある実施形態において、保存剤が望まれる場合、組成物は、EDTA有/無のベンジル
アルコール、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、Cosmocil(登録商標)
、CQ、またはDowicil(登録商標)200を含めて、多くの周知の保存剤のいず
れかで任意選択で保存されてもよい。ある特定の実施形態において、本明細書に記載され
るとおりの製剤がいずれの保存剤も含まないことが望ましくあり得る。この点で、保存剤
は、一部の実施形態において、単回使用容器に含まれる製剤中では必要なくても、望まし
くなくてもよい。他の実施形態において、例えば、製剤が複数回使用容器に含まれるある
特定の実施形態において、保存剤を含むことが有利であり得る。
【0128】
眼科用組成物は、生体適合性で、水性の、透明な混合ミセル溶液として眼に局所的に投
与され得る。組成物は、水性媒体に分散されているミセル中に組み込まれた、および/ま
たは封入された薬物を有する。
【0129】
例示的実施形態の非限定的リスト
本開示の他の場所で記載され、および提供される態様および実施形態に加えて、以下の
特定の実施形態の非限定的リストが、具体的に企図される。
1. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、ポリオキシル脂質または脂肪酸
、ならびにポリアルコキシル化アルコールを含む、眼科用製剤。
2. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、およびn≧40のポリオキシル
脂質または脂肪酸を含む、眼科用製剤。
3. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、およびポリオキシル脂質または
脂肪酸を含む眼科用製剤であって、前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0
.5%に等しいか、またはそれを超える量で存在する、製剤。
4. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、およびポリオキシル脂質または
脂肪酸を含む眼科用製剤であって、ナノミセルを含む、製剤。
5. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.5~5%の、HCO-40
、HCO-60、HCO-80、およびHCO-100からなる群から選択される1種ま
たは複数、ならびに約0.01~0.1%のオクトキシノール-40を含む、眼科用製剤
。
6. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.6~2%の、HCO-40
、HCO-60、HCO-80、およびHCO-100からなる群から選択される1種ま
たは複数、ならびに約0.02~0.1%のオクトキシノール-40を含む、眼科用製剤
。
7. 約0.09%のシクロスポリン、0.5~5%の、HCO-40、HCO-60、
HCO-80、およびHCO-100からなる群から選択される1種または複数、ならび
に約0.02~0.1%のオクトキシノール-40を含む、眼科用製剤。
8. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.6~4%の、HCO-40
、HCO-60、HCO-80、およびHCO-100からなる群から選択される1種ま
たは複数のポリオキシル脂質、ならびに約0.02~0.1%のオクトキシノール-40
を含む、眼科用製剤。
9. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.7~4%のポリオキシル脂
質または脂肪酸;および約0.02~0.1%のオクトキシノール-40を含む、眼科用
製剤。
10. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.8~4%のポリオキシル
脂質または脂肪酸;および約0.02~0.1%のオクトキシノール-40を含む眼科用
製剤であって、ナノミセルを含む、製剤。
11. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.9~4%のポリオキシル
脂質または脂肪酸;および約0.02~0.1%のオクトキシノール-40を含む眼科用
製剤であって、ナノミセルを含む、製剤。
12. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、約1%の、HCO-40、H
CO-60、HCO-80、およびHCO-100からなる群から選択される1種または
複数、ならびに約0.02~0.1%のオクトキシノール-40を含む、眼科用製剤。
13. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、約1%のHCO-60、およ
び約0.02~0.1%のオクトキシノール40を含む、眼科用製剤。
14. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.5~4%の、HCO-4
0、HCO-60、HCO-80、およびHCO-100からなる群から選択される1種
または複数、ならびに約0.05%のオクトキシノール-40を含む、眼科用製剤。
15. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.5~4%の、HCO-4
0、HCO-60、HCO-80、およびHCO-100からなる群から選択される1種
または複数、ならびに約0.01%のオクトキシノール-40を含む、眼科用製剤。
16. 約0.09%のシクロスポリン、0.5~4%の、HCO-40、HCO-60
、HCO-80、およびHCO-100からなる群から選択される1種または複数、なら
びに約0.05%のオクトキシノール-40を含む、眼科用製剤。
17. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.6~2%の、HCO-4
0、HCO-60、HCO-80、およびHCO-100からなる群から選択される1種
または複数のポリオキシル脂質、ならびに約0.05%のオクトキシノール-40を含む
、眼科用製剤。
18. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.6~2%のポリオキシル
脂質または脂肪酸;および約0.05%のオクトキシノール-40を含む、眼科用製剤。
19. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.6~2%のポリオキシル
脂質または脂肪酸;および約0.05%のオクトキシノール-40を含む眼科用製剤であ
って、ナノミセルを含む、製剤。
20. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、0.6~2%のポリオキシル
脂質または脂肪酸;および約0.05%のオクトキシノール-40を含む眼科用製剤であ
って、ナノミセルを含む、製剤。
21. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、約1%の、HCO-40、H
CO-60、HCO-80、およびHCO-100からなる群から選択される1種または
複数、ならびに約0.05%のオクトキシノール-40を含む、眼科用製剤。
22. 0.087~0.093重量%のシクロスポリン、約1%のHCO-60、およ
び約0.05%のオクトキシノール40を含む、眼科用製剤。
23. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.6~2重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
24. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.8~2重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
25. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.9~1.5重量%である
、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
26. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の1~1.5重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
27. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.5~5重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
28. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.6~5重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
29. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.6~4重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
30. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.6~3重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
31. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.6~2重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
32. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.6~1重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
33. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.8~5重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
34. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.8~4重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
35. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.8~3重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
36. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.8~2重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
37. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.9~2重量%である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
38. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の0.9~1.5重量%である
、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
39. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の約1重量%である、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
40. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の約0.6重量%超である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
41. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の約0.7重量%超である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
42. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の約0.8重量%超である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
43. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の約0.9重量%超である、先
行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
44. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、前記製剤の約1重量%超である、先行す
る実施形態のいずれかに記載の製剤。
45. 存在する場合に前記ポリアルコキシル化アルコールが、前記製剤の0.005~
4重量%である、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
46. 存在する場合に前記ポリアルコキシル化アルコールが、前記製剤の0.005~
3重量%である、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
47. 存在する場合に前記ポリアルコキシル化アルコールが、前記製剤の0.005~
2重量%である、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
48. 存在する場合に前記ポリアルコキシル化アルコールが、前記製剤の0.005~
1重量%である、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
49. 存在する場合に前記ポリアルコキシル化アルコールが、前記製剤の0.005~
0.5重量%である、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
50. 存在する場合に前記ポリアルコキシル化アルコールが、前記製剤の0.005~
0.1重量%である、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
51. 存在する場合に前記ポリアルコキシル化アルコールが、前記製剤の0.005~
0.05重量%である、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
52. 存在する場合に前記ポリアルコキシル化アルコールが、前記製剤の0.008~
0.02重量%である、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
53. 存在する場合に前記ポリアルコキシル化アルコールが、前記製剤の約0.05重
量%である、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
54. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、ポリオキシルヒマシ油である、先行する
実施形態のいずれかに記載の製剤。
55. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、HCO-60、HCO-80、またはH
CO-100から選択される1種または複数である、先行する実施形態のいずれかに記載
の製剤。
56. 前記ポリオキシル脂質または脂肪酸が、HCO-60である、先行する実施形態
のいずれかに記載の製剤。
57. 前記活性薬剤が、2種の異なる薬剤の組合せを含む、先行する実施形態のいずれ
かに記載の製剤。
58. 前記活性薬剤が、レゾルビンまたはレゾルビン様化合物、ステロイド(例えば、
コルチコステロイド)、シクロスポリンA、およびボクロスポリンからなる群から選択さ
れる2種以上の活性薬剤を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
59. 前記活性薬剤が、レゾルビンおよびコルチコステロイドをさらに含む、先行する
実施形態のいずれかに記載の製剤。
60. 前記活性薬剤が、シクロスポリンAおよびコルチコステロイドを含む、先行する
実施形態のいずれかに記載の製剤。
61. 前記活性薬剤が、レゾルビン、シクロスポリンA、およびコルチコステロイドを
含む、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
62. 保存剤を含まない、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
63. EDTA有/無のベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジ
ン、Cosmocil(登録商標)、CQ、またはDowicil(登録商標)200を含まない、先行する実施形態のいずれかに記載の製剤。
64. 眼疾患または状態を処置または予防する方法であって、先行する実施形態のいず
れかに記載の製剤を局所投与する工程を含む、方法。
65. 眼疾患または状態を処置または予防する方法であって、前記方法が、先行する実
施形態のいずれかに記載の製剤を局所投与する工程を含み、前記疾患が、前部疾患である
、方法。
66. 眼疾患または状態を処置または予防する方法であって、前記方法が、先行する実
施形態のいずれかに記載の製剤を局所投与する工程を含み、前記疾患が、後部疾患である
、方法。
67. 眼疾患または状態を処置または予防する方法であって、前記方法が、先行する実
施形態のいずれかに記載の製剤を局所投与する工程を含み、前記疾患が、ドライアイ症候
群、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、前部ブドウ膜炎(虹彩炎)、網脈絡膜炎、後部ブ
ドウ膜炎、結膜炎、アレルギー性結膜炎、角膜炎、角結膜炎、春季カタル(VKC)、ア
トピー性角結膜炎、全身性免疫介在疾患、例えば、瘢痕性結膜炎、および眼表面の他の自
己免疫障害、眼瞼炎、強膜炎、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、糖尿
病性黄斑浮腫(DME)、眼血管新生、加齢黄斑変性(ARMD)、増殖性硝子体網膜症
(PVR)、サイトメガロウイルス(CMV)網膜症、視神経炎、球後神経炎、ならびに
黄斑パッカーからなる群から選択される1種または複数である、方法。
68. 眼疾患または状態を処置または予防する方法であって、前記方法が、先行する実
施形態のいずれかに記載の製剤を局所投与する工程を含み、前記疾患が、ドライアイ症候
群である、方法。
69. 眼疾患または状態を処置または予防する方法であって、前記方法が、先行する実
施形態のいずれかに記載の製剤を局所投与する工程を含み、前記疾患が、アレルギー性結
膜炎である、方法。
70. 眼疾患または状態を処置または予防する方法であって、前記方法が、先行する実
施形態のいずれかに記載の製剤を局所投与する工程を含み、前記疾患が、加齢黄斑変性(
AMD)である、方法。
【0130】
以下の実施例は、本発明の態様をさらに例証するために提供される。これらの実施例は
、非限定的であり、本発明のいずれかの態様を限定すると解釈されるべきでない。
【実施例1】
【0131】
混合ナノミセルシクロスポリン含有製剤の調製
混合ナノミセル製剤シクロスポリンは、以下のとおりに調製する:
水素化40ポリオキシルヒマシ油を溶融させ、
それにシクロスポリンをゆっくりと添加し、その後、成分を実質的に均一化し、
得られた均一混合物にオクトキシノール40を添加し、実質的に均一になるまで撹拌し
、その後、
それぞれの良好な溶解を達するのに十分な撹拌とともに、賦形剤(例えば、リン酸ナト
リウム一塩基性、リン酸ナトリウム二塩基性、および塩化ナトリウム)を個別に添加する
。
【0132】
調製された製剤は、様々な試験、例えば、封入効率、負荷効率、混合ナノミセルサイズ
、および多分散性指数に供する。
【0133】
混合ナノミセルサイズおよび多分散性指数:製剤サイズおよび多分散性指数は、Zet
asizer、Malvern Instrument、NJによって決定する。簡潔に
は、およそ1mlのそれぞれの製剤をキュベットに移し、装置内に置いた。レーザビーム
光を使用して、混合ナノミセルサイズを決定した。本開示で企図されるナノミセルは、約
1~100nmの範囲の粒子サイズを有し;一部の実施形態において、粒子サイズは、約5~50nmの範囲に入り;一部の実施形態において、粒子サイズは、約10~40nm
の範囲に入り;一部の実施形態において、粒子サイズは、約15nmである。
【0134】
封入効率:製剤の封入効率を決定するために、調製された製剤はすべて、封入効率試験
に供する。簡潔には、製剤は、均一性のためにボルテックス混合し、1mLを新たな(1
.5mL)のエッペンドルフチューブに移す。それぞれの製剤を凍結乾燥して、エッペン
ドルフチューブの底部に固体を得る。得られた固体を1mLの有機溶媒(ジエチルエーテ
ル)に懸濁させて、逆ミセルを生成させ、その薬物を外部の有機溶媒中に放出する。有機
溶媒をスピード真空で一晩蒸発させる。得られた逆ミセルを1mLの2-プロパノールに
再懸濁させ(希釈係数を考慮した)、さらに希釈して、HPLCによってそれぞれのミセ
ル調製物に封入されたシクロスポリンの濃度を決定する。製剤の封入効率は、以下の式で
計算する(式中、MNF=混合ナノミセル製剤):
封入効率=(MNF中で定量化された薬物の量)/MNFに添加された薬物の量×10
0
【0135】
HPLC法による薬物定量化:シクロスポリンのインビトロ分析は、Shimadzu
HPLCポンプ(Shimadzu、Shimadzu Scientific in
strument、Columbia、MD)、Alcottオートサンプラ(モデル7
18AL)、Shimadzu UV/可視検出器(Shimadzu、SPD-20A
/20AV、USA)、40±1℃にサーモスタットで調節されたODSカラム(5μm
、150×4.6mm)、およびHewlett Packard HPLC積分器(H
ewlett Packard、Palo Alto、CA)を用いて逆相高性能液体ク
ロマトグラフィー(RP-HPLC)法によって行う。移動相は、メタノール(MeOH
)、水およびトリフルオロ酢酸(TFA)(70:30:0.05%v/v)からなり、
これは、0.5mL/分の流量に設定する。検出波長は、272nmに設定する。試料ト
レイ温度は、4℃に維持する。シクロスポリンのための検量線(0.5~5μg/mL)
は、2-プロパノール中原液から適切な希釈液を作製することによって調製する。10μ
lの注入体積を分析のためにHPLCカラムに注入する。調製された標準および試料をす
べて、分析の前および間に4℃で保存する。
【実施例2】
【0136】
溶媒ベース法または溶融ベース法を使用しての混合ナノミセルシクロスポリン含有製剤の
調製
シクロスポリンを封入する混合ナノミセル製剤は、2工程で溶媒蒸発法によって調製す
る:
バルク眼科用溶液をコンパウンディングする工程;および
成形同時充填(BFS)単位用量中へバルク眼科用溶液を充填し、その後、個別ホイル
パウチ中に4BFS単位の条片を包装する工程。
【0137】
本明細書での使用のために企図される例示的な溶媒ベース製造方法を以下のとおりによ
り詳細に記載する:
工程1:必要量のシクロスポリン、オクトキシノール-40、およびHCO-40をエ
タノールに溶解させ、適当なサイズの丸底フラスコに投入する。フラスコを回転エバポレ
ータに取り付け、回転を開始して、フラスコの内容物を混合する。
工程2:薄膜が得られるまで、回転蒸発によってエタノールを除去する。
工程3:必要量の注射用水を、工程2の膜が入っているフラスコに投入し、内容物を回
転(層流)混合によって溶解させる。
工程4:必要量の塩化ナトリウムおよび前もって調製したリン酸緩衝剤をステンレス鋼
製容器に添加し、内容物を混合する。
工程5:工程3からの内容物を、緩衝剤が入っている槽に移し、溶解されるまで撹拌する。
工程6:必要量のポビドンを槽に添加し、溶解されるまで撹拌する。
工程7:工程6における溶液のpHを測定し、調整し(必要ならば)、注射用水で最終
体積にする。
工程8:工程7からの溶液を無菌的にろ過し、成形同時充填(BFS)単位用量バイア
ル中に0.25mLの名目充填体積で、無菌的に充填する。
工程9:バイアルをヒートシールホイルパウチに4BFS単位の条片に包装する。
【0138】
本明細書での使用のために企図される例示的な溶融ベース製造方法を以下のとおりによ
り詳細に記載する:
工程1:必要量のHCO-40を、撹拌しながら約60℃に加熱されたフラスコ中で溶
融させる。液化されたとき、必要量のシクロスポリンを添加し、溶解されるまで混合する
。次いで、オクトキシノール-40を添加し、溶液全体を一様になるまで混合する。
工程2:必要量の注射用水をステンレス鋼製容器に投入し、温度が25℃になるまで撹
拌する。
工程3:工程1からの内容物をステンレス鋼製容器に移し、溶解されるまで撹拌する。
工程4:必要量の塩化ナトリウムおよびリン酸緩衝剤をステンレス鋼製容器に添加し、
内容物を溶解されるまで混合する。
工程5:その容器に必要量のポビドンを添加し、溶解されるまで撹拌する。
工程6:工程5における溶液のpHを測定し、調整し(必要ならば)、注射用水で最終
体積にする。
工程7:工程6からの溶液を無菌的にろ過し、成形同時充填(BFS)単位用量バイア
ル中に0.3mLの名目充填体積で、無菌的に充填する。
工程8:バイアルを、熱密封ホイルパウチで4BFS単位の条片に包装する。
【実施例3】
【0139】
エタノール溶媒蒸発法を使用しての混合ナノミセルシクロスポリン含有製剤の調製
シクロスポリンを封入する混合ナノミセル製剤は、2工程で溶媒蒸発法によって調製す
る:
バルク眼科用溶液をコンパウンディングする工程;および
成形同時充填(BFS)単位用量中へバルク眼科用溶液を充填し、その後、個別ホイル
パウチ中に4BFS単位の条片を包装する工程。
【0140】
本明細書で用いられる製造方法を以下のとおりにより詳細に記載する:
工程1:必要量のシクロスポリン、オクトキシノール-40、およびビタミンEコハク
酸ポリエチレングリコールをエタノールに溶解させ、適当なサイズの丸底フラスコに投入
する。フラスコを回転エバポレータに取り付け、回転を開始して、フラスコの内容物を混
合する。
工程2:ワックス状固体が得られるまで、回転蒸発によってエタノールを除去する。
工程3:必要量の注射用水を、工程2でのワックス状残渣が入っているフラスコに投入
し、内容物を回転(層流)混合によって溶解させる。
工程4:工程3からの内容物を、必要量のポビドン溶液が入っているステンレス鋼製容
器に移し、内容物を一様になるまで混合する。
工程5:必要量の塩化ナトリウムおよび前もって調製したリン酸緩衝剤を、工程4にお
ける溶液に添加し、内容物を混合する。
工程6:工程5における溶液のpHを測定し、調整し(必要ならば)、注射用水で最終
体積にする。
工程7:工程6からの溶液を無菌的にろ過し、成形同時充填(BFS)単位用量バイア
ル中に0.25mLの名目充填体積で、無菌的に充填する。
工程8:バイアルをヒートシールホイルパウチに4BFS単位の条片に包装する。
【実施例4】
【0141】
追加溶融ベース法の二者択一順を使用しての混合ナノミセルシクロスポリン含有製剤の調
製
工程1:必要量のHCO-40を、撹拌しながら約60℃に加熱されたフラスコ中で溶
融させる。液化されると、必要量のシクロスポリンを添加し、溶解され、一様になるまで
混合する。
工程2:必要量のオクトキシノール-40を約60℃に加熱し、液化されると、シクロ
スポリンHCO-40混合物に添加する。
工程3:約25℃での必要量の注射用水を、溶解シクロスポリンが入っているフラスコ
に投入し、溶解されるまで撹拌する。
工程4:そのフラスコに必要量の塩化ナトリウムおよびリン酸緩衝剤を添加し、内容物
を混合する。
工程5:PVP-K90を秤量し、溶液に添加し、溶解されるまで混合する。
工程6:工程5における溶液のpHを測定し、調整し(必要ならば)、注射用水で最終
体積にする。
【実施例5】
【0142】
本明細書に記載されるプロトコルのいずれも、以下の試薬で行うことができる:
0.09重量%のシクロスポリン、
1.0重量%の水素化40ポリオキシルヒマシ油、および
0.05重量%のオクトキシノール-40(Igepal)、
0.405重量%のリン酸ナトリウム一塩基性、ならびに任意選択で、
0.465重量%のリン酸ナトリウム二塩基性、
0.05重量%の塩化ナトリウム、
0.3重量%のポビドンK90、および
注射用水。
【0143】
無作為化された、多施設、二重盲の、ビヒクル制御された、用量範囲研究を設計して、
乾性角結膜炎(KCS)のおよそ420の対象でビヒクルに対して、OTX-101眼科
用溶液の2つの濃度、0.09%および0.05%を評価した。スクリーニングでの適格
基準(6カ月間以上にわたるKCSの患者報告病歴、両側KCSの臨床診断、3以上~9
以下のリサミングリーン染色スコア、および修正「ドライアイにおける症状評価」(SA
NDE)アンケートに基づく40以上の全般的症状スコア)を満たした対象が、両眼に1
日2回(BID)14日間局所的に投与されたビヒクルによるランオン期間に参加した。
ランイン後、少なくとも1つの眼でリサミングリーン染色スコアおよび全般的症状スコア
選択基準を継続して満たした対象は、3処置群の1つに無作為化され、12週(84日)
間の処置を受けた:
OTX-101 0.05% 両眼に1滴、BID、
OTX-101 0.09% 両眼に1滴、BID、および
ビヒクル 両眼に1滴、BID。
【0144】
対象の症状は、SANDEアンケートで評価し、対象の徴候は、リサミングリーン結膜
染色、角膜フルオレセイン染色、Schirmer試験(無麻酔)、および涙液中断時間
で評価し、対象の処置満足度は、5点順序尺度を使用して評価した。安全性は、Snel
len視力(VA)、スリットランプ検査、眼内圧(IOP)眼圧測定、拡張型検眼鏡検
査/眼底検査、有害事象(AE)収集、および併用薬再検討によって評価した。安全性お
よび効力評価は、14、28、42、56、および84日目の治験来院時に行った。両眼
を各来院で評価した。
【0145】
結果を
図1に示し、ここで、本開示による製剤(0.09重量%のシクロスポリンを含
有)が、プラセボまたはわずか0.05重量%のシクロスポリンを含有する製剤と比べて
実質的により有効であることがわかる。
【0146】
0.09重量%のシクロスポリンを含有する本開示による製剤は、Schrmer試験
(p=0.007)に関してビヒクルよりも優れているだけでなく、そのような製剤は、
結膜染色(集団感染の複数事例(co-primary)、p=0.008)および角膜
染色(p<0.001)に関してもビヒクルよりも優れていた。本開示の製剤(0.09
重量%のシクロスポリンを含有)は、対象において臨床的に意味のある涙液産生の改善を
示し、両眼についてのデータに基づいてベースラインからのSchirmer試験スコア
の増加が10mm以上であった。
【0147】
本明細書に例証的に記載された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない、いず
れかの要素(単数)または要素(複数)、限定(単数)または限定(複数)の非存在下で
も実施されてよい。用いられてきた用語および表現は、説明の用語であって、限定の用語
としてではなく使用され、そのような用語および表現の使用において、示されおよび記載
された特色のいずれの等価物またはその部分も排除する意図はないが、様々な変更が特許
請求された本発明の範囲内で可能であることが理解される。したがって、本発明は好まし
い実施形態および最適な特色によって具体的に開示されてきたが、開示された本明細書で
の概念の変更および変化は、当業者によって頼りにされてもよいこと、ならびにそのよう
な変更および変化は、添付の特許請求の範囲により定義されるとおりの本発明の範囲内で
あるとみなされることが理解されるべきである。
【0148】
本明細書で言及または引用された論文、特許、および特許出願、ならびに他の文書およ
び電子的に利用可能な情報のすべての内容は、あたかもそれぞれの個別の刊行物が参照に
より組み込まれるように具体的かつ個別に示されるのと同じ程度に、それらの全体が参照
により本明細書によって組み込まれる。本出願人は、本出願に、任意のそのような論文、
特許、特許出願、または他の文書からの資料および情報のいずれかおよびすべてを物理的
に組み込む権利を留保する。
【0149】
本明細書に例証的に記載された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない、いず
れかの要素(単数)または要素(複数)、限定(単数)または限定(複数)の非存在下で
適切に実施されてもよい。したがって、例えば、用語「含む(comprising)」
、「含む(including)」、「含有する(containing)」などは、拡
張的にかつ限定なしに読まれるものとする。さらに、本明細書で用いられた用語および表
現は、説明のためであって、限定のためでない用語として使用されており、そのような用
語および表現の使用において、示されおよび記載された特色のいずれの等価物、またはそ
の部分も排除する意図はないが、様々な変更が特許請求された本発明の範囲内で可能であ
ることが理解される。したがって、本発明は好ましい実施形態および最適な特色によって
具体的に開示されてきたが、開示された本明細書でそこに具体化された本発明の変更およ
び変化は、当業者によって頼りにされてもよいこと、ならびにそのような変更および変化
は、本発明の範囲内であるとみなされることが理解されるべきである。
【0150】
本発明は、本明細書で広くかつ包括的に記載されてきたが、包括的な開示内に入るその
より狭い種および下位包括的な群のそれぞれも、本発明の部分を形成する。これは、削除
された材料が本明細書で具体的に具陳されているかどうかにかかわらず、類概念からいず
れかの主題を除く条件つきでまたは否定的限定で、本発明の包括的記載も含む。
【0151】
さらに、本発明の特色または態様がマーカッシュ群に関して記載されている場合、当業
者は、マーカッシュ群のいずれかの個別のメンバーまたはメンバーの下位群に関してもそれによって記載されていることを理解する。
【0152】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内で示される。