(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】化粧品用再充填可能な容器装置のためのケーシングおよび関連する容器装置
(51)【国際特許分類】
A45D 40/00 20060101AFI20240902BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A45D40/00 Z
B65D77/04 C
B65D77/04 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022156194
(22)【出願日】2022-09-29
【審査請求日】2022-11-21
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506273087
【氏名又は名称】シャネル パルファン ボーテ
【氏名又は名称原語表記】CHANEL PARFUMS BEAUTE
【住所又は居所原語表記】135,avenue Charles de Gaulle,F-92200 Neuilly sur Seine,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・コカール
(72)【発明者】
【氏名】フロリアーヌ・ペロンヌ
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-079555(JP,U)
【文献】特開2015-126824(JP,A)
【文献】特開2016-222288(JP,A)
【文献】特開2020-081766(JP,A)
【文献】米国特許第05938016(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00
B65D 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(8)と、化粧品(1)を入れるように構成されたレフィルとを備える前記化粧品のため
の容器装
置であって、
ケーシング(8)
はレフィル(1)を収容するように構成され、
ケーシング(8)は、ケーシングのネック(11)を形成する開口部(9)を備え、開口部(9)は、レフィルをケーシングの内壁(14)によって画定される収容容積内に配置するためにレフィルを収容するように構成され、
前記ケーシングは、
リングをさらに備え、
容器装置は、前記リングがネック(11)に接続さ
れ、前記リング(17)は、前記ネック(11)を形成するケーシングの内壁の少なくとも一部にわたって延在
すること、および、
前記リング(17)は
プラスチック材料で形成され、内面(18)を備え、内面(18)は、リング(17)の内側表面に対して少なくとも部分的に凸凹しているエラストマー材料(19)の部材が接続され
、
エラストマー材料の前記部材は、リング(17)上に成形されるか、リングおよびエラストマー材料(19)の部材は、二材料射出成形によって一緒に形成されており、
レフィル(1)は、レフィル側壁(3)上のエラストマー材料の部材(19)の支持領域が形成されるように、エラストマー材料の部材(19)の全部または一部の位置を除いて、ケーシング(8)の内壁(14)に対してクリアランス(J1)を有する前記側壁(3)を備える、ことを特徴とする、
容器装置。
【請求項2】
エラストマー材料は、熱可塑性エラストマーまたはシリコーンエラストマーである、請求項
1に記載の
容器装置。
【請求項3】
エラストマー材料は、20度ショア~80度ショアの間に含まれる、好ましくは40度ショア~60度ショアの間に含まれる硬度を有する、請求項1
または2に記載の
容器装置。
【請求項4】
エラストマー材料の部材は、リングの内側表面にわたって分布する不連続の突起部(20)を形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の
容器装置。
【請求項5】
エラストマー材料の部材(19)は、ケーシング(8)の開口部(9)に平行な1つ以上のストリップ内に延在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の
容器装置。
【請求項6】
前記収容容積は、一般的な形状の回転円筒、または円錐台もしくは直角柱である、請求項1~3のいずれか一項に記載の
容器装置。
【請求項7】
主にプラスチック材料、ガラス、ステンレス鋼、アルミニウム、または木材からなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の
容器装置。
【請求項8】
リング(17)は、スナップ係合および/または接着によってネック(11)に接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の
容器装置。
【請求項9】
エラストマー材料の部材(19)は、エラストマー材料の部材(19)が外部から作用されないときに採用する構成と比較して、レフィル(1)の側壁(3)上の圧縮によって前記支持領域内で変形される、請求項
1に記載の化粧品用の容器装置。
【請求項10】
レフィル(1)の前記側壁(3)は、少なくとも前記側壁(3)とエラストマー材料(19)の部材との相互作用領域において、スナップ締結リング、スタッド、開口部または溝などの凹凸がない、請求項
1に記載の容器装置。
【請求項11】
エラストマー材料の部材の形状、寸法および構成は、レフィル(1)をケーシング(8)から取り出すのに必要な力が、レフィル(1)の重量の2倍以上、好ましくは2.5倍以上であるように構成される、請求項
1に記載の容器装置。
【請求項12】
レフィルは容器を備え、容器は、前記容器の残りの部分にスナップ締結またはねじ止めによって接続された蓋を備える、請求項
1に記載の容器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品用の再充填可能な容器装置の分野に関する。化粧品とは、特に、唇を含む皮膚を、メイクアップするためのすべての製品と、保湿クリームなどのケア製品と呼ばれるものとを含む、身体への適用のために提供されるすべての組成物を意味する。本発明は、特に、化粧品用の再充填可能な容器装置のためのレフィルの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品のための容器装置は、一般的に、保存、輸送、商品化、または使用のために化粧品を収容するために使用される任意の入れ物を示す。例えば、化粧品を収容するために使用されるポット、ボトル、ケースなどがそのように指定される。
【0003】
レフィルとは、化粧品を収容するように適合された容器を備える取り外し可能な部材を意味し、レフィルは、ケーシングおよびレフィルによって構成された再充填可能な化粧品容器装置の外側表面を形成するケーシングに配置され、ケーシングから取り外されることができる。
【0004】
ケーシング内の適所に配置されると、レフィルはケーシング内に適切に保持されなければならない。特に、レフィルが輸送または使用されるときに、レフィルがケーシングから逃げることができることが回避されるべきであり、そのとき、ポットは任意の向きを有することがあり、意図的な行為に起因するか否かにかかわらず、特に容器装置は完全にひっくり返される。さらに、レフィルは、容器装置の使用時にケーシング内で移動してはならない。レフィルは、例えばユーザがレフィルから製品を取り出すときに、製品の分配時に固定されたままでなければならない。
【0005】
それにもかかわらず、レフィルを交換するために、レフィルをケーシングから容易に取り出すことが可能でなければならない。
【0006】
既知の再充填可能な容器装置は、一般に、視認可能であり、不十分な審美性を有し、および/または工業的に複雑または費用のかかる適合を必要とする、ケーシング内にレフィルを保持するためのシステムを備える。
【0007】
したがって、特開2013-119399号公報は、容器の一般的な形状が回転円筒の形状であるレフィルを含む化粧品用のポットを開示しており、容器が回転するのを防止するために、ポットのケーシングに設けられた垂直溝内を一致する形状によって摺動する凸凹を備える。
【0008】
欧州特許第0661012号明細書はまた、ケーシングを形成する外側入れ物内の一致する形状によって係合する内側容器または入れ物を備えるレフィルを有するポット装置を開示しており、特に内側入れ物が、外側入れ物のネックの内側に形成された溝と協働する周囲ビードを備えることが可能である。
【0009】
国際公開第2019/058087号はまた、ケーシングを形成する外側入れ物内の一致する形状によって係合する内側容器または入れ物を備え、ケーシングが、容器の外側表面に形成された溝と協働する周囲ビードを備える、近接した構成のレフィルを有するポット装置を開示している。ケーシングの上側部分は、容器が回転しないように保持されることを可能にするために容器の半径方向ビードが挿入されるスロットを備えるネックを有する。
【0010】
したがって、最新技術で既知のレフィルを有する容器装置は、ケーシングとレフィルとの間の形状の一致に基づいており、例えばクリップ留め(すなわち、スナップ係合または他の相対的な機械的係合)によって補充をケーシング内に保持することを可能にする。これは、例えば、再充填可能な容器装置を形成するために、標準的なガラス入れ物などの従来の形状のケーシングの使用を防止し、同様に、従来の形状の容器、例えば従来の形状のガラスまたはステンレス鋼の容器の形態のレフィルの使用を防止する、ケーシングおよびレフィルの特定の形状を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2013-119399号公報
【文献】欧州特許第0661012号明細書
【文献】国際公開第2019/058087号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、全体的または部分的に前述の欠点を克服することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、化粧品を収容するように構成されたレフィルを収容するように構成された、化粧品用の再充填可能な容器装置用のケーシングに関する。ケーシングは、ネックを形成する開口部を備え、この開口部は、ケーシングの内壁によって画定された収容容積内にレフィルを配置するために、レフィルを収容するように構成される。ケーシングは、ネックに接続されたリングをさらに備え、前記リングは、前記ネックを形成するケーシングの内壁の少なくとも一部にわたって延在する。リングは内面を備え、リングの内面は。該内面に対して少なくとも部分的に凸凹であるエラストマー材料の部材が接続される。
【0014】
そのように形成されたケーシングは、エラストマー材料の部材によって、適切な形状のレフィルを定位置に保持することができる。それにもかかわらずレフィルの取り出しを可能にする得られた保持は、エラストマー材料の弾性特性および摩擦係数を使用する。したがって、レフィルの使用は非常に簡単である。エラストマー材料の部材は、ケーシングに取り付けられて取り付けられたリング上に担持されるので、本発明は、非常に多様な構成および形状のケーシング上で実施することができる。
【0015】
エラストマー材料の部材は、リング上に成形されてもよい。
【0016】
リングは、プラスチック材料から形成されてもよい。リングおよびそれが有するエラストマー材料の部材は、二材料射出成形によって一緒に形成されてもよい。
【0017】
したがって、リングは、リングとそれが担持するエラストマー材料の部材との間の良好な結合を提供する、既知であり習得された工業的プロセスによって製造することができる。
【0018】
使用されるエラストマー材料は、例えば、熱可塑性エラストマーまたはシリコーンエラストマーであってもよい。エラストマー材料は、20度ショア~80度ショアの間に含まれる、好ましくは40度ショア~60度ショアの間に含まれる硬度を有してもよい。
【0019】
使用されるエラストマー材料およびその硬度は、化粧品レフィルへの適用に適合する合理的な力の下でのその変形を可能にする。
【0020】
エラストマー材料の部材は、ケーシングの内壁の表面にわたって分布する不連続の突起部を形成してもよい。
【0021】
エラストマー材料の部材は、ケーシングのネックの内壁の表面上に位置する部分において、リングの内側表面の周囲にわたって分布する少なくとも2つの突起部、好ましくは少なくとも3つの突起部を形成することができる。
【0022】
エラストマー材料の部材は、ケーシングの開口部に平行な1つ以上のストリップ内に延在してもよい。
【0023】
エラストマー材料の部材の異なる構成は、支持領域を用途、レフィルの保持、保持力、審美性、実装の複雑さなどに適合させることを可能にする。
【0024】
そのようなケーシングでは、収容容積は、一般的な形状の回転円筒、または円錐台もしくは直角柱であってもよい。
【0025】
これらは、本発明の実施に特に適した構成である。
【0026】
ケーシングは、プラスチック材料、ガラス、ステンレス鋼、アルミニウム、または木材から主になり得る。
【0027】
主に、体積で50%を超えることを意味する。特に、ケーシングは、リングおよびエラストマー材料の部材を除いて、上述の材料のうちの1つから形成されてもよい。ケーシングには、化粧品の分野において最も重要であり得る審美的側面が実際に備わっている。
【0028】
リングは、スナップ係合および/または接着によってケーシングのネックに接続されてもよい。信頼性の高い剛性接続の任意の他の既知の方法を使用されてもよい。
【0029】
リングとネックとの間で接着が行われる場合、接着は、リングとケーシングの外壁との間、および/またはリングとケーシングの内壁との間、および/またはケーシングのネックの周囲で行われてもよい。
【0030】
本発明はまた、上記で定義されたケーシングと、レフィルとえを備え、レフィルは、レフィルの前記側壁上のエラストマー材料の部材の支持領域が形成されるように、エラストマー材料の部材の全部または一部の位置を除いて、ケーシングの内壁に対してクリアランスを有する側壁を具備する、化粧品の容器装置に関する。
【0031】
ケーシング内のレフィルの保持が支持領域に設けられるとき、その保持を可能にする手段は、構成されるポットの美観を損なわないように、(ケーシングが不透明である場合)目に見えないか、または少なくとも非常に離散的であってもよい。
【0032】
エラストマー材料の部材は、エラストマー材料の部材が外部から作用されないときに採用する構成と比較して、レフィルの側壁上の圧縮によって、前記支持領域内で変形され得る。
【0033】
支持領域にわたるエラストマー材料の部材の変形は、それがケーシング内側表面に加える力を増加させ、それによってレフィルの取り出しに対向する摩擦力を増加させる。
【0034】
一実施形態では、レフィルの側壁は、少なくとも前記側壁とエラストマー材料の部材との相互作用領域において、スナップ締結リング、スタッド、開口部または溝などの凹凸がない。特に、レフィルの側壁は、ケーシング(リム、周囲ビードなど)に垂直に係合するように構成された容器の部材の下にいかなる凹凸もない。
【0035】
スナップ締結またはねじ止めの原理、または一致する形状の部材における1つの部材の他の係合に基づかずに、レフィルの保持は、ケーシングの保持手段と協働するように構成されたいかなる特定の形状もその上に形成される必要がない。
【0036】
レフィル容器が化粧品で充填される上記で定義されたような容器装置において、ケーシングおよびレフィルは、レフィルの取り出しに必要な力がレフィルの重量の2倍以上、好ましくは2.5倍以上であるように構成されてもよい。特に、エラストマー材料の部材の形状、寸法および構成は、レフィルの所望の取り出しに必要な力を得るように構成される。
【0037】
この保持力は、その交換のためのレフィルの比較的容易な取り出しを可能にする。これは、化粧品製品用の従来のポットの望ましい仕様に対応する。
【0038】
最後に、上述のような容器装置では、容器は、前記容器の残りの部分にスナップ締結またはねじ止めによって固定された蓋を備えてもよい。これにより、容器が収容する化粧品を輸送するために、ケーシングなしで容器のみを遊動的に使用することが可能になる。
【0039】
容器装置は、特にポット、例えばクリームポットであってもよい。
【0040】
本発明のさらに他の特徴および利点は、以下の説明に現れる。
【0041】
添付の図面では、非限定的な例として与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の一実施形態による化粧品用の容器装置に実装することができるレフィルの第1の例を三次元図で示す。
【
図2】本発明の第1の例示的な実施形態による再充填可能な化粧品容器装置用のケーシングの第1の例を三次元図で示す。
【
図3】
図2のケーシングおよび
図1のレフィルを備える化粧品容器装置、すなわちポットの断面図である。
【
図4】
図3の容器装置におけるケーシングとレフィルとの間の相互作用を部分断面図で示す。
【
図5】
図2~
図4の本発明の実施形態で実施されるリングの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、本発明の一実施形態による再充填可能な化粧品容器装置で使用されるように構成されたレフィル1の、第1の例を三次元図で示す。
【0044】
レフィル1は、中空の容器2を備え、すなわち、その形状は化粧品を受け入れるように構成された容積を形成する。ここに示す例では、容器2は、円筒形の一般的な形状を有し、これは直円筒形またはわずかにフレア状(円錐台)であってもよい。しかしながら、任意の中空形状、特に正方形、長方形、五角形、六角形、八角形などの形状を有する任意の直角柱形状が、容器を形成するために想定されることができる。
【0045】
容器2は、特に、側壁3および底部4を有する。
【0046】
容器は、図示の例では、上縁部5を備える。縁部5は、容器2の開口面6の周囲に形成されている。
【0047】
図示されていない実施形態によれば、縁部5は、突出してもよい、すなわち、開口面6の周囲にリムを形成する。そのようなリムは、容器2上の蓋のスナップ係合を可能にし得る。そのようなリムはまた、容器が対応するケーシングに挿入されたときに容器のための支持領域を形成してもよい。
【0048】
ここに示される例示的な実施形態では、容器2は、容器にねじ込まれた蓋の適合を可能にするねじ山15を有する。したがって、容器2は、それが含有する化粧品を輸送するために、
図2について後述するケーシングとは独立して、単独で使用することができる。
【0049】
したがって、化粧品、例えばクリームは、容器内に形成された容積内に収容され得る。
【0050】
容器の開口面6は、取り外し可能なキャップ、例えば製品を保護するためのプレート、例えばリム5および/または容器の上部に形成された肩部上の支持で覆われてもよい。容器はまた、開口面6を覆う、例えばヒートシールされたクロージャを備えてもよく、このクロージャは、レフィルが最初に使用されるときに取り外されなければならない。開口面は、遮るものがなく、レフィルの容器2に収容された製品を直接露出させることができ、あるいはスクリーン、ネット、または製品を分配するように構成された他の装置などの調整装置を装備。したがって、レフィルは単純な形状を有する。
【0051】
ここで、レフィル、特にその側壁3、より具体的にはその側壁3の外側表面7には、凹凸または他のスナップ締結手段がない。
【0052】
凹凸とは、表面上に形成され、前記表面を構成する材料に関連する可能な粗さよりも実質的に大きい寸法の中空または凸凹の部材である体積を意味する。側壁面3は、特にスナップ締結リング、ピン、開口部または溝を具備しない。
【0053】
本明細書に示す例示的な実施形態では、側壁3は、それにもかかわらず、支持面を与える周囲ビード16を含む。したがって、側壁3には、以下に詳述するように、容器2を受け入れるように構成されたケーシングに対するスナップ係合のための手段がない。
【0054】
したがって、レフィルは、容易に製造することができ、または標準的な容器、例えばプラスチック、ガラスまたはステンレス鋼のポットから構成してもよい。
【0055】
レフィルについて、化粧品容器装置用のレフィルとして、既存の容器、例えば従来のガラス製容器を、適合させずに使用することが可能である。
【0056】
したがって、容器をケーシング内に固定するための特定の部材を備えなければならない容器装置と比較して、容器(および最終的には容器装置)の製造コストを低減することができる。
【0057】
図2は、レフィル1、例えば
図1のレフィルを有する化粧品用の容器装置(ここでは、ポット)を形成するために使用することができるケーシング8の一例を表す。
【0058】
ケーシングは、レフィルを収容するように構成され、レフィルが保持される部材を指定する。したがって、
図2のケーシングは、開口部9によってレフィル1を収容するように構成された収容容積を形成する。より詳細には、ケーシング2の内壁14は、レフィル1の容器2の収容容積を画定する。
【0059】
ケーシング8は、本体10を備える。図示の例では、本体10は、正方形の底面を有する略角柱形状であり、その側面はわずかに凸状である。ケーシング8は、ポットが構成されるとポットの可視部分を構成するために、重要な審美的機能を有する。ケーシング8の本体10は、ねじ蓋(
図2には図示せず)を適所に嵌合することを可能にするねじ山12を備えたネック11が上に取り付けられている。
【0060】
ネック11の口部の近傍には、肩部13が形成されている。肩部13は、レフィル1の容器2の部材、すなわち図示の例示的な実施形態では、周囲ビード16を受容し、その上に支持することができるように寸法決めされる。
【0061】
肩部13は任意選択であり、他の実施形態では、レフィルがケーシングの他の表面に垂直に、例えばレフィル1の容器2のリム5がネック11に直接当接することができ、または例えばレフィルの容器2にリムがない場合、容器の底部4は、ケーシングが底部を備える場合、ケーシングの底部に当接することができる。底なしケーシング8は、レフィルの取り出しを容易にするのに有利となり得る。
【0062】
より詳細には、本発明によれば、ケーシング8は、ネック11に接続されたリング17を備える。リング17は、図示の例ではネック11を覆い、スナップ係合によってネックに接続されている。接着などの他の種類の接続が、代替的にまたはスナップ係合に加えて使用されてもよい。
【0063】
リング17は、本明細書では、レフィルの容器2の垂直方向の支持を可能にする肩部13を備える。
【0064】
本発明によれば、リング17は、エラストマー材料19の部材が接続される内面18を備える。
【0065】
エラストマー材料19の部材は、リング17に密接に接続されている。
【0066】
典型的には、エラストマー材料19の部材は、リング17上に成形されてもよい。
【0067】
リング17上へのエラストマー材料19の部材の成形は、特に、プラスチック材料、特にポリプロピレンなどの硬質プラスチック材料から作られたリング17上で可能である。
【0068】
あるいは、リング17およびエラストマー材料19の部材は、二材料射出成形によって形成されてもよい。
【0069】
エラストマー材料の部材を形成するために使用可能なエラストマー材料はすべて、熱可塑性エラストマー(TPE)ならびにシリコーンエラストマーを含有する。使用可能な材料は、有利には、19度ショア~80度ショア(好ましくは40~60度ショア)のショア硬度を有する。
【0070】
使用される材料の硬度は、最適化のための重要なパラメータであり、特にレフィルの容器の寸法に応じて、およびリング17を形成するために使用される材料およびその構成に応じて選択される。
【0071】
エラストマー材料19の部材は、リング17の内面18に対して凸凹がある。
【0072】
換言すれば、エラストマー材料19の部材の少なくとも一部にわたって、後者は内面18に対して隆起している。
【0073】
図示の例示的な実施形態では、エラストマー材料19の部材は、リングの内面18に周囲ストリップを形成する。このストリップは、前記ストリップを支持する内面18の周囲に沿って分布する3つの突起部20を備える。
【0074】
これらの突起部20は、以下に詳述するように、レフィル1を収容容積内に保持する機能を有するエラストマー材料19の部材の一部を形成する。
【0075】
突起部20の数、寸法、形状、および向きは、考慮される用途に応じて変化し得る。より一般的には、エラストマー材料の部材に想定されることができる構成は多数である。
【0076】
図示の例示的な実施形態では、突起部20は垂直配置を有する、すなわち、突起部は頂部(ケーシング8のネック11の開口部)から底部(前記ケーシングが底部を有する場合はケーシング8の底部)まで細長い形状の凸凹を形成する。
【0077】
より一般的には、突起部20は、レフィル1の挿入のために設けられたケーシングの開口部9によって具現化される平面に対して垂直に向けられる。したがって、この実施形態では、突起部20はガドルーンとして設計されてもよい。
【0078】
この実施形態では、エラストマー材料の部材によって形成された突起部の数は、製造ツールをほとんど変更することなく、容易に適合させることができる。
【0079】
リング17の内側表面8に対して必然的に凸凹している突起部20を除いて、エラストマー材料19の部材の残りの部分は、リング17の内面18に対して凸凹していても、面一であってもよい。
【0080】
3つの突起部20の分布は、好ましくは規則的である、すなわち、突起部は、エラストマー材料19の部材によって形成されたストリップに沿って等距離にある。したがって、リング17が円形である場合、それらはそれらの間に120°の角度で形成される。より一般的には、リング17が回転面として成形されると、これはリング内の突起部20の規則的な角度分布をもたらす。
【0081】
図示の実施形態では、エラストマー材料19の部材は、リング17の内面18の周囲にわたってストリップの形態で連続的に延在するが、この実施形態の別の変形例によれば、エラストマー材料19の部材は、それらの中のいくつかの突起部20から形成され、エラストマー材料のストリップによって互いに接続されてもよい。
【0082】
エラストマー材料19の部材の他の多数の構成、例えば、リングの内側表面18に対して凸凹している単一のストリップ、ジグザグまたは波状の形状のストリップ、1つ以上のストリップおよび突起部20の組み合わせなどが想定され得る。
【0083】
図2のケーシングは、主に(例えば、リング17およびエラストマー材料19の部材を除いて)様々な材料から形成されてもよい。例えば、ケーシングは、ガラスにより形成されていてもよい。任意の色合いのガラス、特に透明、半透明、不透明、着色されている、または着色されていないガラスを使用されてもよい。
【0084】
ケーシングは、求められる外観、体積、形状、および所望のクロージャ方法などに応じて、多数の他の材料から形成されてもよい。特に、ケーシングは、プラスチック材料、木材、金属(ステンレス鋼、ブリキ、アルミニウムなど)であってもよい。
【0085】
図3は、
図2のケーシングおよび
図1のレフィルから形成された容器装置、すなわちポットの断面図である。
【0086】
図3に示す容器装置は、ねじ山12と協働するように構成された蓋21をさらに備えている。
【0087】
断面平面は、
図2に示すように、ケーシング8の直径平面である。
【0088】
したがって、
図3に示すポットは、レフィル1が収容される収容容積を形成する厚い壁を有する容器の形態のケーシング8を備える。
【0089】
したがって、図示の例では、ケーシング8の内側容積の形状は、容器2の外側の形状(例えば、円筒形または、わずかに円錐台形)と一致し、クリアランスのみが異なる。この容積の深さは、レフィル1の全高よりわずかに大きく、それにより、レフィルの周囲ビード16は、ネック11の口に形成された肩部13に当接する。
【0090】
図4は、
図3の断面と同じ断面に基づく、
図3のポット内のケーシング8とレフィル1との間の相互作用の詳細図を示す。
【0091】
図4は、特に、容器2のネック11上のリング17のスナップ係合を示す。したがって、その目的のために、ネック11は、例えばネック11の上部に形成された溝22によって、スナップ係合のために構成された形状を有してもよい。
【0092】
図4はまた、周囲ビード16とリング17の肩部13との間に形成された支持関係を示す。
【0093】
リング17は、容器の内壁14の上部に沿って延在する。
【0094】
レフィル1がケーシング8内の所定位置にあるとき、図示の例では、ケーシングとの相互作用はリング17との相互作用のみである。
【0095】
実際、ケーシング8の内壁14と容器2の側壁3の外側表面7との間には、例えば60mL程度の従来の体積の化粧クリームのポットに対して、例えば1~3mm程度のクリアランスJ1の量がある。
【0096】
リング17の内側表面には、エラストマー材料19の部材が設けられている。図示の例では、エラストマー材料19の部材と容器2の側壁3の外面7との間には、エラストマー材料19の前記要素から突出する領域を除いて、クリアランスJがある。実際には、各突起部20は、突起部が外部の機械的応力を受けないとき、特に突起部20が圧縮によって変形しないとき、クリアランスJよりも大きい厚さの突起部を形成する。
【0097】
例えば、突起部の厚さは、1mm程度、例えば0.9mm程度であってもよい。
【0098】
レフィル1をケーシング8内に挿入して肩部13の支持関係を達成するためには、突起部20を変形させてレフィル1をケーシング8内に挿入できるようにする必要がある。
【0099】
レフィル1がケーシング8内にあるとき、各突起部20は圧縮され、したがってクリアランスJに等しい厚さを有する。したがって、突起部20はクリアランスJを満たし、その弾性により、レフィル1の容器2の側壁3に支持力を加える。
【0100】
好適には、側壁3上に支持を分配し、ケーシング8内の容器2の効果的かつ均一な保持を保証するように、容器2の周りに分配されたいくつかの支持突起部がある。
【0101】
突起部の分布の例は、
図5に見ることができる。
図5は、
図2から
図4の実施形態のリング17を下から見て示しており、すなわち、リング17がケーシングに接続されたときに、シールの面がケーシングの底部に向いた状態を前景にしている。3つの突起部20は、それらの間に120°の角度を有して規則的に離間され、容器2がリング17と相互作用してケーシング8内の所定の位置にあるときに容器2の均一な保持および完全なセンタリングを可能にする。
【0102】
各突起部20の位置に形成された各支持領域は、ケーシング8内の容器2(したがってレフィル1)の保持を保証する領域を形成する。ケーシング8からレフィル1を取り出そうとする力が加えられると、その取り出しに対抗する力が、各突起部20と突起部20が圧縮されるレフィル1の側壁3との間の相互作用のために、突起部の位置において反作用によって生じる。この力は、突起部20が容器2の外壁と摩擦することによって発生する。
【0103】
容器2がケーシング8内で不動である限り、これはいわゆる乾式摩擦力であり、その強度は、各突起部20について、突起部20間の静摩擦係数に、ケーシング8の内壁14と突起部20との間に加えられたその圧縮に起因する力を乗じたものに最大で等しい。容器をケーシング8から取り出す傾向がある力が、突起部20の位置で加えられる静摩擦の最大力の合計を超えると、レフィル1は、その取り出しのためにケーシング8に対して移動し始める。
【0104】
したがって、突起部の数、それらの寸法、使用されるエラストマー材料、ならびに容器2を構成する材料および容器の側壁3の外面7の状態は、所定位置への配置およびレフィル1の取り出しに必要な力を調整することを可能にするパラメータであると思われる。
【0105】
エラストマー材料19の部材、それが構成する材料、エラストマー材料の前記部材と容器の側壁3の外面7との間の総支持表面積(支持表面積の合計)、およびエラストマー材料の前記部材の圧縮のために加えられる力の合計は、エラストマー材料の部材の構成を決定するときに重要なパラメータである。
【0106】
考慮される実施形態が何であれ、化粧品のポットについて、レフィルの取り出しに必要な力は、完全なレフィルの重量の少なくとも2倍、例えば完全なレフィルの重量の2.5倍程度であることが推奨される。
【0107】
図5に示す例のように、少なくとも3つの規則的に分布した突起部の存在は、上述したように、ケーシング8内のレフィルのセンタリングをさらに可能にする。
【0108】
ケーシング8内へのレフィル1の代わりの配置を容易にするために、突起部20は、図示の例では、いわゆる垂直方向にドーム状の形状を有し、これはさらに、レフィル1のケーシング8内への挿入時に突起部の漸進的な圧縮を可能にするレフィルの挿入方向(および取り出し方向)に対応する。突起部20は、代替的に、同じ効果を得るために面取り形状を有することができる。
【0109】
もちろん、本発明は、上記に詳述した実施形態に限定されるものではない。特に、エラストマー材料の部材、レフィルおよび/またはケーシングのそれぞれの構成は、上述の構成とは非常に異なっていてもよい。例えば、エラストマー材料の部材上の突起部の存在は任意選択であり、ただし、エラストマー材料の前記部材の少なくとも一部は、ケーシングの内側表面に対して凸凹がある。エラストマー材料の部材の非常に多様な形態が想定され得る。
【0110】
エラストマー材料のいくつかの別個の部材は、同じケーシング上に存在してもよい。
【0111】
容器は、考慮される用途に応じて様々な形状および構成を有することができる。同様に、ケーシングは、様々な形状および構成を有することができる。
【0112】
例えば、容器は、立方体、円筒形、立方体または平行六面体、球形であってもよく、底部を有していても有していなくてもよく、またはレフィルの取り出しを容易にするためにその底部に開口部が設けられていてもよい。
【0113】
このようにして開発された本発明は、レフィルを交換することによって美的で再充填可能な化粧品容器装置を形成するために、ケーシング内に化粧品のレフィルを取り外し可能に保持することを可能にする。保持は、レフィルの壁の外側表面上のエラストマー材料の部材の摩擦によって得られる。保持手段、特にエラストマー材料の部材は、ポットが構成されると完全に見えなくなり、ケーシング内で目立たなくなり得る。
【0114】
さらに、レフィルは、レフィルを保持するためにケーシングのエラストマー材料の部材と相互作用するように設けられたレフィルの容器の外側表面がスナップ係合のための特定の機械的装置の形成を必要としないため、製造が簡単な形状を有することができる。したがって、化粧品容器装置のレフィルのための容器として適合させることなく、既存の入れ物、例えば従来のガラス製容器、プラスチックの単純な容器、金属などを使用することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 レフィル
2 容器、ケーシング
3 側壁、側壁面
4 底部
5 縁部、リム
6 開口面
7 外面
8 ケーシング
9 開口部
10 本体
11 ネック
12 ねじ山
13 肩部
14 内壁
15 ねじ山
16 周囲ビード
17 リング
18 内面
19 エラストマー材料
20 突起部
21 蓋
22 溝