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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】JAK阻害剤の局所製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20240902BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240902BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20240902BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240902BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240902BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240902BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240902BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240902BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240902BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240902BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240902BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K9/107
A61K47/06
A61K47/10
A61K47/34
A61K47/14
A61K47/36
A61K47/18
A61P17/00
A61P17/06
A61P37/08
A61P17/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022171523
(22)【出願日】2022-10-26
(62)【分割の表示】P 2021157016の分割
【原出願日】2011-05-20
(65)【公開番号】P2023002758
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】61/347,132
(32)【優先日】2010-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515311132
【氏名又は名称】インサイト・ホールディングス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE HOLDINGS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】バブニシュ・パリク
(72)【発明者】
【氏名】バベシュ・シャー
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナスワミー・イェレスワラム
【審査官】清野 千秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/158687(WO,A1)
【文献】特表2009-504619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/519
A61K 9/107
A61K 47/06
A61K 47/10
A61K 47/34
A61K 47/14
A61K 47/36
A61K 47/18
A61P 17/00
A61P 17/06
A61P 37/08
A61P 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の乳化剤成分の存在下で、(i)油相および(ii)水相を混合することを含む、水中油エマルジョンの調製方法であって、
前記水相が(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩および1つ以上の溶媒成分を含
前記水中油エマルジョンが3.6以下のpHを有し、
前記水中油エマルジョンが可溶化クリームを形成し、
(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩が、遊離塩基を基準にして、前記エマルジョンの0.5重量%~1.5重量%の量で存在する、
前記調製方法。
【請求項2】
前記水相の前記1つ以上の溶媒成分が、水、ポリエチレングリコール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記水相が、さらに、キレート剤を含む、請求項1または2に記載の調製方法。
【請求項4】
前記キレート剤がエデト酸二ナトリウムである、請求項に記載の調製方法。
【請求項5】
前記水中油エマルジョンが、1つ以上の抗菌性保存剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項6】
前記抗菌性保存剤が、メチルパラベン、プロピルパラベン、またはそれらの組み合わせである、請求項に記載の調製方法。
【請求項7】
前記水中油エマルジョンが、安定化剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項8】
前記安定化剤がキサンタンガムである、請求項に記載の調製方法。
【請求項9】
前記油相が、さらに、1つ以上の皮膚軟化剤、密封剤、硬化剤および/または皮膚保護剤を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項10】
前記皮膚軟化剤が、軽質鉱油、中鎖トリグリセリド、またはそれらの組み合わせである、請求項に記載の調製方法。
【請求項11】
前記1つ以上の乳化剤成分が、前記油相の成分である、請求項1~8のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項12】
前記1つ以上の乳化剤成分がグリセリルステアレートを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項13】
前記密封剤が白色ワセリンである、請求項9~11のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項14】
前記硬化剤が、セチルアルコール、ステアリルアルコール、またはそれらの組み合わせである、請求項9~13のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項15】
前記皮膚保護剤がジメチコーンである、請求項9~14のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項16】
(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩が、遊離塩基を基準にして、前記エマルジョンの0.5重量%の量で存在する、請求項1~15のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項17】
(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩が、遊離塩基を基準にして、前記エマルジョンの1.0重量%の量で存在する、請求項1~15のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項18】
(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩が、遊離塩基を基準にして、前記エマルジョンの1.5重量%の量で存在する、請求項1~15のいずれか1項に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする、2010年5月21日に出願された米国特許仮出願第61/347,132号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその薬剤的に許容可能な塩を含む局所的皮膚適用のための医薬製剤および皮膚障害の治療における使用に関する。
【背景技術】
【0003】
蛋白質キナーゼ(PK)は、細胞増殖、生存、分化、器官形成、形態形成、血管新生、組織修復、および再生などが挙げられる多くの生物学的プロセスを調節する。蛋白質キナーゼはまた、癌を含む数多くのヒトの疾患において特殊な役割を果たす。低分子量ポリペプチドまたは糖蛋白質であるサイトカインは、敗血症に対する宿主炎症反応に関与する多くの経路を調節する。サイトカインは、細胞分化、増殖および活性化に影響を及ぼし、宿主が病原体に対して適切に応答できるように、炎症誘発性応答および抗炎症応答の双方を調節することができる。広範なサイトカインのシグナル伝達には、蛋白質チロシンキナーゼのJanusキナーゼファミリー(JAK)およびシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)が関与する。4つの既知の哺乳類JAKがあり、これらはJAK1(Janusキナーゼ-1)、JAK2、JAK3(Janusキナーゼ、白血球;JAKL;およびL-JAKとしても知られる)ならびにTYK2(蛋白質-チロシンキナーゼ2)である。
【0004】
サイトカイン刺激免疫応答および炎症応答は、疾患の病理発生機徐、すなわち、免疫系の抑制に起因する重症複合型免疫不全(SCID)のような病理に寄与し、その一方で過活動または不適切な免疫/炎症応答は、自己免疫疾患の病理(例えば、喘息、全身性エリテマトーデス、甲状腺炎、心筋炎)、ならびに皮膚硬化症および骨関節炎のような疾病に寄与する(非特許文献1)。
【0005】
JAKの発現の不全は、多くの疾患状態に関連する。例えば、Jak-/-マウスは、出生時に発育不良であり、授乳に失敗し、更に周産期に死亡する(非特許文献2)。Jak2-/-マウス胚は貧血性であり、最終的赤血球生成の不在のために、交尾後12.5日周辺で死亡する。
【0006】
JAK/STAT経路、および特に4つのJAKの全ては、喘息反応、慢性塞栓性呼吸器系疾患、気管支炎、および下気道の他の関連する炎症性疾患の病理発生機徐において影響を及ぼすと考えられている。JAKを介してシグナルを送る複数のサイトカインが、古典的なアレルギー反応であろうとなかろうと、鼻および副鼻腔に発症する疾患(例えば、鼻炎および副鼻腔炎)のような上気道の炎症性疾患/症状に関連付けられている。JAK/STAT経路はまた、目および慢性アレルギー反応の炎症性疾患/症状に関係があるとされている。
【0007】
癌におけるJAK/STATの活性化は、サイトカイン刺激(例えばIL-6またはGM-CSF)によってまたはSOCS(サイトカインシグナル抑制因子)またはPIAS(活性化STATの蛋白質阻害剤)のようなJAKシグナル伝達の内因性サプレッサーの減少によって生じ得る(非特許文献3)。STATシグナル伝達の活性化、ならびにJAKの下流の他の経路(例えば、Akt)の活性化は、多くの癌の型での予後不良に関連付けられている(非特許文献4)。JAK/STATを介してシグナル伝達する循環性サイトカインの上昇したレベルは、悪液質および/または慢性疲労の原因として影響を及ばす。このように、JAK阻害は、潜在的抗腫瘍活性を超えて作用を及ぼすという理由で、癌患者にとって有益であり得る。
【0008】
JAKキナーゼの阻害はまた、乾癬のような皮膚免疫疾患、および皮膚感作性を発症する患者で治療的有益性を有することが推定される。乾癬の最も一般的形態である尋常性乾癬では、活性化Tリンパ球がこの疾患およびそれに伴う乾癬斑の維持に重要であることが概ね認められいる(非特許文献5)。乾癬斑は、白血球および単球を含む著しい免疫浸潤、ならびに増大したケラチン細胞の増殖を伴う複数の表皮層を含有する。乾癬での免疫細胞の初期活性化は、不明確な機序によって起こるが、その維持は、種々のケモカインおよび成長因子に加えて、いくつかの炎症性サイトカインに依存すると考えられている(非特許文献6)。インターロイキン-2、-4、-6、-7、-12、-15、-18、および-23ならびにGM-CSFおよびIFNgを含むこれらの多くが、Janus(JAK)キナーゼを介してシグナル伝達する(非特許文献7)。したがって、JAKキナーゼのレベルでのシグナル伝達の遮断は、乾癬または皮膚の他の免疫疾患に冒された患者で治療的有益性をもたらし得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Ortmann,R.A.,T.Chengら著(2000年)Arthritis Res 2(1):16~32頁
【文献】Rodig,S.J.,M.A.Merazら著(1998年)Cell 93(3):373~83頁
【文献】Boudny,V.,およびKovarik,J.著,Neoplasm.49:349~355,2002年
【文献】Bowman,T.ら著,Oncogene 19:2474~2488,2000年
【文献】Gottlie,A,B.ら著,Nat Rev Drug Disc.,4:19~34頁
【文献】JCI,113:1664~1675頁
【文献】Adv Pharmacol.2000年;47:113~74頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
皮膚障害の治療におけるJAK阻害剤の有用性を考慮すると、改善されたJAK阻害剤の局所製剤が必要とされる。特に、良好な皮膚浸透特性を有するJAK阻害剤の安定で容易に塗布される製剤が必要とされる。本発明の製剤、ならびに本明細書に記載された方法は、これらの必要および他の目的に向けられるものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
有力なJAK1/JAK2阻害剤である(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリル、およびその薬剤的に許容可能な塩は、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,598,257号、米国特許公開第2009/0181959号、および同第2008/0312259号に先に記載されている。本発明は、局所投与および皮膚障害の治療に好適である(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルの水中油製剤を記載する。
【化1】
【0012】
したがって、本発明は、特に局所的皮膚適用のための医薬製剤を提供し、この医薬製剤は、
水中油エマルジョン、および
(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬上許容される塩である治療剤の治療的に有効な量
を含む。
【0013】
本発明はまた、本明細書に記載される医薬製剤を患者の皮膚の領域に適用することを含む、皮膚障害を治療する方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、必要とする患者の皮膚障害の治療での使用のために、本明細書で記載される医薬製剤を提供する。
【0015】
本発明はまた、必要とする患者の皮膚障害の治療で使用のための医薬品の調製の目的での、本明細書で記載される医薬製剤の使用を提供する。
【0016】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面および以下の説明で記載される。
本発明の他の特徴、目的、および利点は、この説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルのリン酸塩の水中油製剤に関する製造プロセスを説明するフローチャートを示す図である。
図2】本発明の0.5%、1.0%、および1.5%w/w(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩(遊離塩基を基準にして)の水中油製剤で処置した慢性尋常性乾癬を有する対象についての病変スコアにおける変化を、12週にわたる期間で、プラセボで処置したものと比較したものを示す図である(点線はベースラインである)。
図3】本発明の1.0%w/w(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩(遊離塩基を基準にして)の水中油製剤での処置前(図3(a))および84日後(図3(b))における慢性尋常性乾癬を有する対象の写真を示す。
図4】本発明の1.0%w/w(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩(遊離塩基を基準にして)の水中油製剤での処置の前(図4(a))および84日後(図4(b))における慢性尋常性乾癬を有する対象の写真を示す。
図5】本発明の1.5%w/w(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩(遊離塩基を基準にして)の水中油製剤での処置の前(図5(a))および84日後(図5(b))における慢性尋常性乾癬を有する対象の写真を示す。
図6】本発明の0.5%w/w(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩(遊離塩基を基準にして)の水中油製剤での処置の前(図6(a))および84日後(図6(b))における慢性尋常性乾癬を有する対象の写真を示す。
図7】本発明の1.0%w/w(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩(遊離塩基を基準にして)の水中油製剤での処置の前(図7(a))および84日後(図7(b))における慢性尋常性乾癬を有する対象の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
したがって、本発明は、特に局所的皮膚適用のための医薬製剤を提供し、この医薬製剤は、(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩の治療的に有効な量を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、
水中油エマルジョン、および
(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩である治療剤の治療的に有効な量
を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、エマルジョンは、水、油成分および乳化剤成分を含む。
【0021】
本明細書で使用するとき、「乳化剤成分」とは、一態様では、元素または粒子を、液体媒体内で懸濁状態に維持する物質または物質の混合物を指す。いくつかの実施形態では、乳化剤成分は、水と混合される場合、油相がエマルジョンを形成することをもたらす。いくつかの実施形態では、乳化剤成分は、1つ以上の非イオン性界面活性剤を指す。
【0022】
水中油製剤は、他の製剤と比較すると、より良好な外観、塗布性および安定性を有する。この製剤は、皮膚への製剤の良好な塗布性をもたらす粘稠性のクリーム状外観を有する。この良好な塗布性は、同様の無水製剤よりも良好な皮膚浸透性をもたらす。例えば、水中油製剤は、無水軟膏と比較した、24時間にわたるヒトの死体の皮膚の透過試験において、より高い累加量を示した。特定の理論に束縛されようとするものではないが、このより高い累加量は、透過のための増大した表面積をもたらす、無水軟膏と比較した場合の水中油製剤のより良好な塗布性によるものと考えられる。水中油製剤に関するより高い粘度もまた、低粘度の水中油ローションと比較すると、高粘度クリーム製剤がヒトの死体の皮膚の良好な透過を有するので、皮膚透過性に関して好ましいと思われる。
【0023】
本明細書に記載される水中油製剤は、アルミニウム管内で、25℃/相対湿度(RH)60%および40℃/RH75%にて保存される場合、3ヶ月の期間にわたって良好な安定性を有し、ならびに経時的に適切な粘度を維持することが確認された。これに比較すると、油中水製剤は、40℃で保存される場合、離液現象を示した(離液現象とは、エマルジョンからの液体の分離を意味する)。
【0024】
油中水製剤はまた、インビトロ試験において、時間経過とともにAPIが塩基中に溶解し、高度に変動する皮膚透過もたらし、ならびに製剤の強度の増加に伴う透過性の増加が欠如するために、本発明の製剤よりもあまり望ましくない。
【0025】
新しく切除されたマウス皮膚による移送試験では、水中油製剤はまた、可溶化クリームの強度が0.5%w/wから1.5%w/wに増加される場合、増大した透過性の一般的傾向を示したが、一方このような傾向は、油中水製剤では見られなかった。したがって、油中水エマルジョンは、強度の増加に伴って増強する透過性の提供に関しては、いかなる利点も有さないと思われる。
【0026】
更に、本明細書に記載される製剤は、調合の反復可能なプロセスにより、製造が比較的簡単である。得られた製品は容易に包装される。この製剤は、良好な安定性と比較的一定の浸透性を有すると思われる。
【0027】
いくつかの実施形態では、油成分は、製剤の約10重量%~約40重量%の量で存在する。
【0028】
いくつかの実施形態では、油成分は、製剤の約17重量%~約27重量%の量で存在する。
【0029】
いくつかの実施形態では、油成分は、製剤の約20重量%~約27%重量の量で存在する。
【0030】
いくつかの実施形態では、油成分は、ワセリン、脂肪アルコール、鉱油、トリグリセリド、およびシリコーン油から独立に選択される1つ以上の物質を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、油成分は、白色ワセリン、セチルアルコール、ステアリルアルコール、軽質鉱油、中鎖トリグリセリド、およびジメチコーンから独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、油成分は、密封剤成分を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、密封剤成分は、製剤の約2重量%~約15重量%の量で存在する。
【0034】
いくつかの実施形態では、密封剤成分は、製剤の約5重量%~約10重量%の量で存在する。
【0035】
本明細書で使用するとき、「密封剤成分」とは、角質層からの水の蒸発を防止することによって、経皮水損失(TEWL)を減少させる密封性膜を皮膚上に形成する疎水性薬剤または疎水性薬剤の混合物を指す。
【0036】
いくつかの実施形態では、密封剤成分は、脂肪酸(例えばラノリン酸)、脂肪アルコール(例えば、ラノリンアルコール)、炭化水素油&ワックス(例えば、ワセリン)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール)、シリコーン(例えば、ジメチコーン)、ステロール(例えば、コレステロール)、植物または動物油脂(例えば、ココナッツバター)、植物ワックス(例えば、カルナウバ蝋)、およびワックスエステル(例えば、蜜蝋)から選択される1つ以上の物質を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、密封剤成分は、ラノリン脂肪アルコール、ラノリンアルコール、ワセリン、プロピレングリコール、ジメチコーン、コレステロール、ココアバター、カルナウバ蝋、および蜜蝋から選択される1つ以上の物質を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、密封剤成分は、ワセリンを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、密封剤成分は、白色ワセリンを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、油成分は、硬化剤成分を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、硬化剤成分は、製剤の約2重量%~約8重量%の量で存在する。
【0042】
いくつかの実施形態では、硬化剤成分は、製剤の約3重量%~約6重量%の量で存在する。
【0043】
いくつかの実施形態では、硬化剤成分は、製剤の約4重量%~約7重量%の量で存在する。
【0044】
本明細書で使用するとき、「硬化剤成分」という用語は、製剤の粘度および/または粘稠度を増加させる、或いは製剤のレオロジーを改善する物質または物質の混合物を指す。
【0045】
いくつかの実施形態では、硬化剤成分は、脂肪アルコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、硬化剤成分は、C12-20脂肪アルコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、硬化剤成分は、C16-18脂肪アルコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、硬化剤成分は、セチルアルコールおよびステアリルアルコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、油成分は、皮膚軟化剤成分を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、皮膚軟化剤成分は、製剤の約5重量%~約15重量%の量で存在する。
【0051】
いくつかの実施形態では、皮膚軟化剤成分は、製剤の約7重量%~約13重量%の量で存在する。
【0052】
本明細書で使用するとき、「皮膚軟化剤」という用語は、皮膚を軟化または緩和するか、もしくは刺激性の内表面を緩和する薬剤を指す。
【0053】
いくつかの実施形態では、皮膚軟化剤は、鉱油およびトリグリセリドから独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、皮膚軟化剤は、軽質鉱油および中鎖トリグリセリドから独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、皮膚軟化剤は、軽質鉱油、中鎖トリグリセリド、およびジメチコーンから独立に選択される1つ以上の物質を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、水は、製剤の約35重量%~約65重量%の量で存在する。
【0057】
いくつかの実施形態では、水は、製剤の約40重量%~約60重量%の量で存在する。
【0058】
いくつかの実施形態では、水は、製剤の約45重量%~約55重量%の量で存在する。
【0059】
いくつかの実施形態では、乳化剤成分は、製剤の約1重量%~9重量%の量で存在する。
【0060】
いくつかの実施形態では、乳化剤成分は、製剤の約2重量%~6重量%の量で存在する。
【0061】
いくつかの実施形態では、乳化剤成分は、製剤の約3重量%~5重量%の量で存在する。
【0062】
いくつかの実施形態では、乳化剤成分は、製剤の約4重量%~7重量%の量で存在する。
【0063】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、乳化剤成分および硬化剤成分を含み、ここにおいて乳化剤成分と硬化剤成分との合計量は、製剤の少なくとも約8重量%である。
【0064】
いくつかの実施形態では、乳化剤成分は、グリセリル脂肪エステルおよびソルビタン脂肪エステルから独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、乳化剤成分は、グリセリルステアレートおよびポリソルベート20から独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、安定化剤成分を更に含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、安定化剤成分は、製剤の約0.05重量%~約5重量%の量で存在する。
【0068】
いくつかの実施形態では、安定化剤成分は、製剤の約0.1重量%~約2重量%の量で存在する。
【0069】
いくつかの実施形態では、安定化剤成分は、製剤の約0.3重量%~約0.5重量%の量で存在する。
【0070】
本明細書で使用するとき。「安定化剤成分」とは、医薬製剤の安定性および/または製剤中の成分の適合性を改良する物質または物質の混合物を指す。いくつかの実施形態では、安定化剤成分は、エマルジョンの凝集を防止し、水中油のエマルジョン中の液滴を安定化させる。
【0071】
いくつかの実施形態では、安定化剤成分は、多糖類から独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、安定化剤成分は、キサンタンガムを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、溶媒成分を更に含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、溶媒成分は、製剤の約10重量%~35重量%の量で存在する。
【0075】
いくつかの実施形態では、溶媒成分は、製剤の約15重量%~30重量%の量で存在する。
【0076】
いくつかの実施形態では、溶媒成分は、製剤の約20重量%~25重量%の量で存在する。
【0077】
本明細書で使用するとき、「溶媒成分」という用語は、製剤中で(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルまたは他の物質を溶解させることが可能な液体物質または液体物質の混合物を指す。いくつかの実施形態では、溶媒成分は、その中で(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-シクロペンチルプロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩が適切な溶解度を有する液体物質または液体物質の混合物である。例えば、(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリル(遊離塩基)またはそのリン酸塩の溶解度が、表21に報告されている。いくつかの実施形態では、その中で(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩(どれが使用されても)が、実施例4に記載されているように測定される場合、少なくとも10mg/mLまたはそれ以上、少なくとも15mg/mLまたはそれ以上、もしくは少なくとも約20mg/mLまたはそれ以上の溶解度を有するような物質またはその混合物である。
【0078】
いくつかの実施形態では、溶媒成分は、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールから独立して選択される1つ以上の物質である。
【0079】
いくつかの実施形態では、溶媒成分は、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールから独立して選択される1つ以上の物質である。
【0080】
いくつかの実施形態では、治療剤は、遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の量で存在する。
【0081】
いくつかの実施形態では、治療剤は、遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%の量で存在する。
【0082】
いくつかの実施形態では、治療剤は、遊離塩基を基準にして、製剤で約1重量%の量で存在する。
【0083】
いくつかの実施形態では、治療剤は、遊離塩基を基準にして、製剤の約1.5重量%の量で存在する。
【0084】
いくつかの実施形態では、治療剤は、(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルリン酸塩である。
【0085】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、
製剤の約35重量%~約65重量%の水、
製剤の約10重量%~約40重量%の油成分、
製剤の約1重量%~約9重量%の乳化剤成分、
製剤の約10重量%~約35重量%の溶媒成分、
製剤の約0.05重量%~約5重量%の安定化剤成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩
を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、
製剤の約40重量%~約60重量%の水、
製剤の約15重量%~約30重量%の油成分、
製剤の約2重量%~約6重量%の乳化剤成分、
製剤の約15重量%~約30重量%の溶媒成分、
製剤の約0.1重量%~約2重量%の安定化剤成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩
を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、
製剤の約45重量%~約55重量%の水、
製剤の約17重量%~約27重量%の油成分、
製剤の約3重量%~約5重量%の乳化剤成分、
製剤の約20重量%~約25重量%の溶媒成分、
製剤の約0.3重量%~約0.5重量%の安定化剤成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩
を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、
製剤の約45重量%~約55重量%の水、
製剤の約17重量%~約27重量%の油成分、
製剤の約4重量%~約7重量%の乳化剤成分、
製剤の約20重量%~約25重量%の溶媒成分、
製剤の約0.3重量%~約0.5重量%の安定化剤成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩
を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、
油成分は、ワセリン、脂肪アルコール、鉱油、トリグリセリド、およびジメチコーンから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
乳化剤成分は、グリセリル脂肪酸およびソルビタン脂肪エステルから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
溶媒成分は、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
安定化剤は、多糖類から独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、
油成分は、白色ワセリン、セチルアルコール、ステアリルアルコール、軽質鉱油、中鎖トリグリセリド、およびジメチコーンから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
乳化剤成分は、グリセリルステアレートおよびポリソルベート20から独立して選択される1つ以上の物質を含み、
溶媒成分は、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
安定化剤は、キサンタンガムを含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、
製剤の約35重量%~約65重量%の水、
製剤の約2重量%~約15重量%の密封剤成分、
製剤の約2重量%~8重量%の硬化剤成分、
製剤の約5重量%~約15重量%の皮膚軟化剤成分、
製剤の約1重量%~約9重量%の乳化剤成分、
製剤の約0.05重量%~約5重量%の安定化剤成分、
製剤の約10重量%~約35重量%の溶媒成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩
を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、
製剤の約40重量%~約60重量%の水、
製剤の約5重量%~約10重量%の密封剤成分、
製剤の約2重量%~8重量%の硬化剤成分、
製剤の約7重量%~約12重量%の皮膚軟化剤成分、
製剤の約2重量%~約6重量%の乳化剤成分、
製剤の約0.1重量%~約2重量%の安定化剤成分、
製剤の約15重量%~約30重量%の溶媒成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩
を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、
製剤の約45重量%~約55重量%の水、
製剤の約5重量%~約10重量%の密封剤成分、
製剤の約3重量%~6重量%の硬化剤成分、
製剤の約7重量%~約13重量%の皮膚軟化剤成分、
製剤の約3重量%~約5重量%の乳化剤成分、
製剤の約0.3重量%~約0.5重量%の安定化剤成分、
製剤の約20重量%~約25重量%の溶媒成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩
を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、
製剤の約45重量%~約55重量%の水、
製剤の約5重量%~約10重量%の密封剤成分、
製剤の約4重量%~7重量%の硬化剤成分、
製剤の約7重量%~約13重量%の皮膚軟化剤成分、
製剤の約4重量%~約7重量%の乳化剤成分、
製剤の約0.3重量%~約0.5重量%の安定化剤成分、
製剤の約20重量%~約25重量%の溶媒成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩
を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、
製剤の約45重量%~約55重量%の水、
製剤の約7重量%の密封剤成分、
製剤の約4.5重量%~5重量%の硬化剤成分、
製剤の約10重量%の皮膚軟化剤成分、
製剤の約4重量%~約4.5重量%の乳化剤成分、
製剤の約0.4重量%の安定化剤成分、
製剤の約22重量%の溶媒成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩
を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、硬化剤成分と皮膚軟化剤成分との合計量は、製剤の少なくとも8重量%である。
【0097】
いくつかの実施形態では、
密封剤成分はワセリンを含み、
硬化剤成分は、1つ以上の脂肪アルコールから独立して選択される1つ以上の物質を含み、皮膚軟化剤成分は、鉱油およびトリグリセリドから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
乳化剤成分はグリセリル脂肪エステルおよびソルビタン脂肪エステルから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
安定化剤成分は、多糖類から独立して選択される1つ以上の物質を含み、
溶媒成分は、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、
密封剤成分は白色ワセリンを含み、
硬化剤成分は、1つ以上のセチルアルコールおよびステアリルアルコールから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
皮膚軟化剤成分は、軽質鉱油、中鎖トリグリセリド、およびジメチコーンから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
乳化剤成分はグリセリルステアレートおよびポリソルベート20から独立して選択される1つ以上の物質を含み、
安定化剤成分は、キサンタンガムを含み、
溶媒成分は、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、抗菌性保存剤成分を更に含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、抗菌性保存剤成分は、製剤の約0.05重量%~約3重量%の量で存在する。
【0101】
いくつかの実施形態では、抗菌性保存剤成分は、製剤の約0.1重量%~約1重量%の量で存在する。
【0102】
本明細書で使用するとき、「抗菌性保存剤成分」という表現は、製剤中での微生物成長を阻害する物質または物質の混合物である。
【0103】
いくつかの実施形態では、抗菌性保存剤成分は、アルキルパラベンおよびフェノキシエタノールから独立して選択される1つ以上の物質を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、抗菌性保存剤成分は、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびフェノキシエタノールから独立して選択される1つ以上の物質である。
【0105】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、キレート剤成分を更に含む。
【0106】
本明細書で使用するとき、「キレート剤成分」という表現は、金属イオンと強固に結合する能力を有する化合物または化合物の混合物を指す。
【0107】
いくつかの実施形態では、キレート剤成分は、エデト酸二ナトリウムを含む。
【0108】
(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルは、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,598,257号および米国特許公開第2009/0181959号に記載されているように調製され得る。(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルの1:1リン酸塩は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2008/0312259号に記載されているように調製され得る。
【0109】
本発明の化合物はまた、本明細書に開示される化合物の医薬上許容される塩を含む。本明細書で使用するとき、「医薬上許容される塩」という用語は、本明細書に記載される化合物への医薬上許容される酸または塩基の付加によって形成される塩を指す。本明細書で使用するとき、「薬学的に許容可能」という表現は、毒物学的観点から薬学的適用での使用に対して許容可能であり、ならびに活性成分と不適切に相互作用しない物質を指す。医薬上許容される塩としては、限定されるものではないが酢酸、乳酸、クエン酸、ケイ皮酸、酒石酸、コハク酸、フマール酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、シュウ酸、プロピオン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、グリコール酸、ピリビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリエンスルホン酸、サリチル酸、安息香酸、および同様に既知の許容可能な酸のような有機および無機酸から誘導された塩を含む単塩およびニ塩が挙げられるが、これらに限定されない。好適な塩のリストは、それぞれを参照によりその全体を本明細書に援用する、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985年,1418頁およびJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977年)で見ることができる。
【0110】
本明細書で記載される化合物は、例えば水和された状態のような溶媒和形態で存在してもよく、ならびに溶媒和されていない形態で存在してもよいこともまた理解されるであろう。本発明は、化合物のこのような溶媒和形態の全てを包含することも更に理解されるであろう。
【0111】
本明細書で使用するとき、「製剤の重量%」とは、製剤中の成分のパーセント濃度が、重量/重量を基準にしていることを意味する。例えば、1%w/wの成分A=[(成分Aの質量)/(製剤の総質量)]×100である。
【0112】
本明細書で使用するとき、(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリル、またはその医薬上許容される塩の「遊離塩基を基準とした製剤の重量%」とは、%w/wが、製剤総重量における(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルの重量に基づいて計算されることを意味する。例えば、「遊離塩基を基準とした0.5%w/w」の(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩とは、100gの製剤総重量に対して、0.66gの(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩が製剤中に存在することを意味する(これは、遊離塩基、すなわち(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルの0.5グラムと同等である)。
【0113】
いくつかの実施形態では、成分は、特定化された範囲で厳密に存在する(例えば用語「約」は存在しない)。いくつかの実施形態では、「約」は、数値のプラスまたはマイナス10%を意味する。
【0114】
理解されるように、本明細書で記載される医薬製剤のいくつかの成分は、複数の機能を有することができる。例えば、所与の物質が、乳化剤成分および安定化剤の双方として作用し得る。このような場合のいくつかでは、所与の成分の機能は、その特性が複数の機能をもたらすにしても、単一であると考えられ得る。いくつかの実施形態では、製剤の各成分は、異なる物質または物質の混合物を含む。
【0115】
本明細書で使用するとき、「成分」という用語は、物質または物質の混合物を意味し得る。
【0116】
本明細書で使用するとき、「脂肪酸」という用語は、飽和されているまたは不飽和の脂肪族酸を指す。いくつかの実施形態では、脂肪酸は異なる脂肪酸の混合物中にある。いくつかの実施形態では、脂肪酸は、平均で約8~約30個の炭素を有する。いくつかの実施形態では、脂肪酸は、平均で約12~20個、14~20個、または16~18個の炭素を有する。好適な脂肪酸としては、限定されるものではないが、セチル酸、ステアリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、エルカ酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、カプリン酸、カプリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、セトステアリン酸、イソステアリン酸、セスキオレイン酸、セスキ-9-オクタデカン酸、セスキイソオクタデカン酸、ベヘン酸、イソベヘン酸、およびアラキドン酸、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0117】
本明細書で使用するとき、「脂肪アルコール」という用語は、飽和されているまたは不飽和の脂肪族アルコールを指す。いくつかの実施形態では、脂肪アルコールは、異なる脂肪アルコールの混合物中にある。いくつかの実施形態では、脂肪アルコールは、平均で約12~約20個、約14~約20個、または約16~約18個の炭素を有する。好適な脂肪アルコールとしては、限定されるものではないが、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、セチルアルコール、カプリルアルコール、カプリリルアルコール、オレイルアルコール、リノレニルアルコール、アラキドンアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、およびリノレイルアルコール、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0118】
本明細書で使用するとき、単独または他の用語と組み合わせで使用されている「ポリアルキレングリコール」という用語は、オキシアルキレンモノマー単位を含有するポリマー、または異なるオキシアルキレンモノマー単位のコポリマーを指し、ここにおいて、アルキレン基は、2~6個、2~4個、または2~3個の炭素原子を有する。本明細書で使用するとき、単独または他の用語と組み合わせで使用されている「オキシアルキレン」という用語は、式-O-アルキレン-の基を指す。いくつかの実施形態では、ポリアルキレングリコールはポリエチレングリコールである。
【0119】
本明細書で使用するとき、「ソルビタン脂肪エステル」という用語は、ソルビタンまたはソルビトールおよび脂肪酸、および必要に応じて、ポリ(エチレングリコール)単位から誘導された生成物を包含し、ソルビタンエステルおよびポリエトキシル化ソルビタンエステルを包含する。いくつかの実施形態では、ソルビタン脂肪エステルは、ポリエトキシル化ソルビタンエステルである。
【0120】
本明細書で使用するとき、「ソルビタンエステル」という用語は、ソルビトールと少なくとも1つの脂肪酸とのエステル化から誘導された化合物、または化合物の混合物を指す。ソルビタンエステルを誘導するために有用な脂肪酸としては、限定されるものではないが、本明細書に記載されるような脂肪酸が挙げられる。好適なソルビタンエステルとしては、限定されるものではないが、Span(商標)シリーズ(Uniqemaから入手可能)が挙げられ、これはSpan20(ソルビタンモノラウレート)、40(ソルビタンモノパルミテート)、60(ソルビタンモノステアレート)、65(ソルビタントリステアレート)、80(ソルビタンモノオレエート)、および85(ソルビタントリオレエート)を含む。他の好適なソルビタンエステルとしては、参照によりその全体を本明細書に援用する、R.C.RoweおよびP.J.Shesky,Handbook of pharmaceutical excipients,(2006年),第5版に列挙されているものを含む。
【0121】
本明細書で使用するとき、「ポリエトキシル化ソルビタンエステル」という用語は、ソルビタンエステルのエトキシル化から誘導された化合物、または化合物の混合物を指す。この化合物のポリオキシエチレン部分は、脂肪エステルとソルビタン部分との間にあり得る。本明細書で使用するとき、「ソルビタンエステル」という用語は、ソルビトールと少なくとも1つの脂肪酸のエステル化から誘導された化合物、または化合物の混合物を指す。ポリエトキシル化ソルビタンエステルを誘導するために有用な脂肪酸としては、限定されるものではないが、本明細書で記載されるようなものが挙げられる。いくつかの実施形態では、化合物またはその混合物のポリオキシエチレン部分は、約2~約200個のオキシエチレン単位を有する。いくつかの実施形態では、この化合物または混合物のポリオキシエチレン部分は、約2~100個のオキシエチレン単位を有する。いくつかの実施形態では、この化合物または混合物のポリオキシエチレン部分は、約4~80個のオキシエチレン単位を有する。いくつかの実施形態では、この化合物または混合物のポリオキシエチレン部分は、約4~40個のオキシエチレン単位を有する。いくつかの実施形態では、この化合物または混合物のポリオキシエチレン部分は、約4~20個のオキシエチレン単位を有する。好適なポリエトキシル化ソルビタンエステルとしては、限定されるものではないが、Tween(商標)シリーズ(Uniqemaから入手可能)が挙げられ、これは、Tween20(POE(20)ソルビタンモノラウレート)、21(POE(4)ソルビタンモノラウレート)、40(POE(20)ソルビタンモノパルミテート)、60(POE(20)ソルビタンモノステアレート)、60K(POE(20)ソルビタンモノステアレート)、61(POE(4)ソルビタンモノステアレート)、65(POE(20)ソルビタントリステアレート)、80(POE(20)ソルビタンモノオレエート)、80K(POE(20)ソルビタンモノオレエート)、81(POE(5)ソルビタンモノオレエート)、および85(POE(20)ソルビタントリオレエート)を含む。本明細書で使用するとき、略記「POE」とは、ポリオキシエチレンを指す。POE略記に続く数は、化合物中のオキシエチレン反復単位の数を指す。他の好適なポリエトキシル化ソルビタンエステルとしては、参照によりその全体を本明細書に組み込んだ、R.C.RoweおよびP.J.Shesky著,Handbook of pharmaceutical excipients,(2006年),第5版に記載されているポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。いくつかの実施形態において、このポリエトキシル化ソルビタンエステルはポリソルベートである。いくつかの実施形態において、このポリエトキシル化ソルビタンエステルはポリソルベート20である。
【0122】
本明細書で使用するとき、「グリセリル脂肪エステル」という用語は、脂肪酸のモノ-、ジ-、またはトリグリセリドを指す。グリセリル脂肪エステルは、必要に応じて、スルホン酸基、またはその医薬上許容される塩で置換されてよい。脂肪酸のグリセリドを誘導するための好適な脂肪酸としては、限定されるものではないが、本明細書に記載されるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、グリセリル脂肪エステルは、12~18個の炭素原子を有する脂肪酸のモノ-グリセリドである。いくつかの実施形態では、このグリセリル脂肪エステルはグリセリルステアレートである。
【0123】
本明細書で使用するとき、「トリグリセリド」という用語は、脂肪酸のトリグリセリドを指す。いくつかの実施形態では、このトリグリセリドは中鎖トリグリセリドである。
【0124】
本明細書で使用するとき、「アルキレングリコール」という用語は、式-O-アルキレン-の基を指し、式中、アルキレン基は、2~6個、2~4個、または2~3個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、このアルキレングリコールは、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)である。
【0125】
本明細書で使用するとき、「ポリエチレングリコール」という用語は、式-O-CH2-CH2-のエチレングリコールモノマー単位を含有するポリマーを指す。好適なポリエチレングリコールは、ポリマー分子の各末端で遊離ヒドロキシル基を有し得るか、または例えばメチル基のような低級アルキルでエーテル化された1つ以上のヒドロキシル基を有し得る。更に好適なものは、エステル化可能なカルボキシ基を有するポリエチレングリコールの誘導体である。本発明で有用なポリエチレングリコールは、任意の鎖長さまたは分子量のポリマーであり得、ならびに分岐を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約200~約9000である。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約200~約5000である。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約200~約900である。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は、約400である。好適なポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール-200、ポリエチレングリコール-300、ポリエチレングリコール-400、ポリエチレングリコール-600、およびポリエチレングリコール-900が挙げられるが、限定されるものではない。名称のダッシュに続く数字は、ポリマーの平均分子量を指す。
【0126】
本発明のある特徴は、明確さのために別個の実施形態の説明の中で記載されているが、それは、1つの実施形態の説明の中で組合せで適用され得ることを更に理解されたい。逆に、本発明の様々な特徴が、簡潔さのため、1つの実施例の説明の中で記載されているが、それらは分けて、または適切な副組合せとして適用され得る。
方法
【0127】
本発明の医薬製剤は、皮膚障害の治療で有用である。いくつかの実施形態では、この皮膚障害は、尋常性天疱瘡(PV)または水疱性類天疱瘡(BP)のような自己免疫水疱性皮膚疾患である。いくつかの実施形態では、この皮膚障害は、乾癬(例えば、尋常性乾癬)、アトピー性皮膚炎、皮疹、皮膚刺激性、皮膚感作(例えば、接触性皮膚炎またはアレルギー性接触性皮膚炎)である。例えば、いくつかの薬剤を含むある物質が、局所的に適用される場合、皮膚感作を生じる場合がある。いくつかの実施形態では、望ましくない感作を生じる薬剤と一緒に本発明の局所製剤の共投与または逐次的投与することは、このような望ましくない感作または皮膚炎を治療する上で有用であり得る。
【0128】
本発明は、本発明の化合物の投与による他の医薬品の皮膚医学的副作用を治療する方法を更に提供する。例えば、多くの医薬品が、ざ瘡様発疹または関連する皮膚炎として顕症し得る望ましくないアレルギー反応をもたらすことがある。このような望ましくない副作用を有する医薬品の例としては、ゲフィチニブ、セツキマブ、エルロチニブ等の抗癌剤が挙げられる。本発明の製剤は、望ましくない皮膚医学的副作用を有する医薬品と組み合わせて(同時にまたは逐次的に)全身または局所的に投与することができる。いくつかの実施形態では、本発明の製剤の不在下で局所的に適用される場合、接触性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、または同様な皮膚障害を発症するような他の医薬品の1つ以上と一緒に本発明の製剤を投与することができる。したがって、本発明の製剤は、皮膚炎、皮膚障害、または関連する副作用を起こし得る追加的な医薬品を更に含んでいる局所的製剤を包含する。
【0129】
本明細書で使用するとき、「個体」または「患者」という用語は互換的に用いられ、哺乳類、好ましくはマウス、ラット、他の囓歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、ならびに最も好ましくはヒトを含む任意の動物を指す。
【0130】
本明細書で使用するとき、「治療的に有効な量」という表現は、研究者、獣医師、医師または他の臨床医が求める、組織、系、動物、個体またはヒトにおける生物学的応答または医学的応答を誘発する活性化合物または医薬品の量を指す。
【0131】
本明細書で使用するとき、「治療する、treating」または「治療、treatment」という用語は、(1)疾患を予防すること;例えば疾患、病状または異常の素因を呈し得るが、その疾患の病態または症状を未だ経験或いは発症してはいない個体において、疾患、病状または異常を防止すること、(2)疾患を阻害すること;例えば、疾患、病状または異常の病態もしくは症状を経験或いは発症している個体において、疾患、病状または異常を阻害すること(すなわち、病態および/または症状の更なる進行を阻止すること)、ならびに(3)疾患を軽減すること;例えば、例えば、疾患の重篤度を低減させるように、疾患、病状または異常の病態もしくは症状を経験或いは発症している固体において、疾患、病状または異常を軽減すること(すなわち、病態および/または症状を逆転させること)のうちの1つ以上を指す。
【0132】
併用療法
例えば化学療法剤、抗炎症剤、ステロイド、免疫抑制剤、ならびに国際特許公開第WO2006/056399号に記載されているもののようなBcr-Abl、Flt-3、RAFおよびFAKキナーゼ阻害剤、または他の薬剤のような1つ以上の追加的医薬品が、JAK関連疾患、障害または病状の治療のために、本発明の製剤と併用して使用され得る。これらの追加的医薬品の1つ以上は、同時にまたは逐次的に患者に投与することができる。
【0133】
化学療法剤の例としては、プロテオソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、サリドマイド、レブリミド、およびメルファラン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、エトポシド、カルムスチン等のようなDNA損傷剤が挙げられる。
【0134】
ステロイドの例としては、デキサメタゾンまたはプレドニゾンのようなコルチコステロイドが挙げられる。
【0135】
Bcr-Ab1阻害剤の例としては、米国特許第5,521,184号、国際特許公開第WO04/005281号、および米国特許出願第60/578,491号に開示されている属および種の化合物、およびそれらの薬学的に供用可能な塩が挙げられる。
【0136】
好適なFlt-3阻害剤の例としては、国際特許公開第WO03/037347号、同第03/099771号、および同第04/046120号に開示されているような化合物、およびそれらの医薬上許容される塩が挙げられる。
【0137】
好適なRAF阻害剤の例としては、国際特許公開第WO00/09495号および同第WO05/028444号に開示されているような化合物、およびそれらの医薬上許容される塩が挙げられる。
【0138】
好適なFAK阻害剤の例としては、国際特許公開第WO04/080980号、同第WO04/056786号、同第WO03/024967号、同第WO01/064655号、同第WO00/053595号、および同第WO01/014402号に開示されているような化合物、およびそれらの医薬上許容される塩が挙げられる。
【0139】
いくつかの実施形態では、本発明の製剤は、特にイマチニブまたは他のキナーゼ阻害剤に耐性を有する患者を治療するために、イマチニブを含む1つ以上のキナーゼ阻害剤と併用されて使用され得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンのようなコルチコステロイドが、本発明の化合物と併用されて患者に投与され、ここでは、デキサメタゾンが連続的ではなく断続的に投与される。
【0141】
標識化合物およびアッセイ法
本発明の別の態様は、ヒトを含める組織試料中でのJAKを局在化させかつ定量するために、ならびに標識化合物の結合を阻害することによって、JAKリガンドを同定するために、画像撮影技術だけではなく、インビトロおよびインビボの双方におけるアッセイでも有用であると考えられる標識活性化合物(放射標識、蛍光標識など)を含む製剤に関する。したがって、本発明は、このような標識化合物を含有するJAKアッセイを包含する。
【0142】
本発明は、同位元素により標識付けされた化合物の製剤を更に含む。「同位元素により標識付けされた」または「放射標識付けされた」化合物とは、自然界で典型的に見出される(すなわち自然発生の)原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって、1つ以上の原子が交換または置換されているような化合物である。本発明の化合物に組み込まれる好適な放射核種としては、限定されるものではないが、H(重水素(deuterium)を指すDとも表記される)、H(三重水素(tritium)を指すTとも表記される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125Iおよび131Iが挙げられる。この放射標識化合物中に組み込まれる放射核種は、放射標識化合物の特定の用途に依存するだろう。例えば、インビトロでのJAK標識付けおよび競合アッセイのためには、H、14C、82Br、125I、131I、または35Sを組み込む化合物が概ね最も有用でであろう。放射画像撮影用途については、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Brまたは77Brが概ね最も有用であろう。
【0143】
「放射標識化合物」または「標識化合物」は、少なくとも1つの放射核種を組み込んだ化合物である。いくつかの実施形態では、放射核種は、H、14C、125I、35Sおよび82Brからなる群から選択される。
【0144】
キット
本発明はまた、例えば、癌のようなJAK関連疾患または異常の治療または予防で有用な薬剤学的キットを含み、これは本発明の医薬製剤を含有する1つ以上の容器を収容する。当業者には明らかなように、このようなキットは、所望の場合、例えば、1つ以上の薬剤的に許容可能な担体を有する容器、追加の容器などのような1つ以上の様々な従来の薬剤学キット要素を更に収容する。投与される成分の量、投与のガイドライン、および/または成分を混合するためのガイドラインを示す添付文書またはラベルのいずれかのような取扱説明書を、キット内に含めることもできる。
【0145】
本発明は、特定の実施例によってより一層詳細に説明される。以下の実施例は、説明の目的で提供され、本発明の範囲をどのような形でも限定することを意図するものではない。変更または修正されて本質的に同一の結果を得ることができる、重要ではない種々のパラメータを当業者は容易に認識するであろう。いくつかの実施形態において、本発明は、例示的製剤(例えば実施例3)で特定される成分を含む医薬製剤を提供し、それらの成分は、おおよそ表2~5で示された量で存在する。
【実施例
【0146】
実施例1:(3R)-および(3S)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル
【化2】
【0147】
ステップ1.(2E)-および(2Z)-3-シクロペンチルアクリロニトリル
THF(235mL)中の1.0Mのカリウムtert-ブトキシドの溶液に、THF(300mL)中のジエチルシアノメチルホスフェート(39.9mL、0.246モル)の溶液を0℃で滴下で添加した。冷浴を除去し、反応物を室温まで温め、次いで0℃に再冷却し、この時点で、THF(60mL)中のシクロペンタンカルバルデヒド(22.0g、0.224モル)の溶液を滴下で添加した。水浴を除去し、反応物を周辺温度まで温め、64時間攪拌した。混合物をジエチルエーテルと水とに分配し、水相をエーテルで三回抽出し、続いて酢酸エチルで二回抽出した。合わせた抽出液をブラインで洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、オレフィン異性体24.4gを含有する混合物を得、これを更に精製することなく使用した(89%)。
H NMR(400MHz、CDCl):δ6.69(dd,1H、トランスオレフィン)、6.37(t,1H、シスオレフィン)、5.29(dd,1H、トランスオレフィン)、5.20(d,1H、シスオレフィン)、3.07-2.95(m,1H、シス生成物)、2.64-2.52(m,1H、トランス生成物)、1.98-1.26(m、16H)。
【0148】
ステップ2:(3R)-および(3S)-3-シクロペンチル-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル
ACN(300mL)中の4-(1H-ピラゾール-4-イル)-7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(15.0g、0.0476モル)の溶液に、3-シクロペンチルアクリロニトリル(15g、0.12モル)(シスおよびトランス異性体の混合物として)を添加し、続いてDBU(15mL、0.10モル)を添加した。得られた混合物を室温で一夜攪拌した。ACNを蒸発させた。混合物を、酢酸エチルで希釈し、溶液を1.0NのHClで洗浄した。水相を酢酸エチルで三回、逆抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサンの濃度勾配)で精製し、粘性透明シロップを得て、これをエタノール中に溶解し、数回蒸発させて酢酸エチルを除去し、19.4gのラセミ体付加物を得た(93%)。エナンチオマーを分取HPLCによって分離し(OD-H、15%エタノール/ヘキサン)、これらの対応する最終生成物を生成するために、これらを次のステップで別個に使用した。それぞれの分離されたエナンチオマーから生じている最終生成物(工程3参照)は、活性JAK阻害剤として認められたが、分取HPLCから溶出した第2ピークから生じる最終生成物は、そのエナンチオマーよりも一層活性であった。
H NMR(300MHz、CDCl):δ8.85(s、1H)、8.32(s,2H)、7.39(d、1H)、6.80(d,1H)、5.68(s,2H)、4.26(dt,1H)、3.54(t,2H)、3.14(dd,1H)、2.95(dd,1H)、2.67-2.50(m,1H)、2.03-1.88(m,1H)、1.80-1.15(m,7H)、0.92(t,2H)、-0.06(s,9H);MS(ES):437(M+1)。
ステップ3:(3R)-および(3S)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル
【0149】
DCM(40mL)中の3-シクロペンチル-3-[4-(7-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル(6.5g、0.015モル、上記のように単離されたRまたはSエナンチオマー)の溶液に、TFA(16mL)を添加し、これを6時間攪拌した。溶媒およびTFAを真空中で除去した。残渣をDCM中に溶解し、ロータリーエバポレーターを使用して濃縮し、これを更に二回繰り返し、TFAを可能な限り除去した。これに続いて、残渣をメタノール(30mL)中のエチレンジアミン(4mL、0.06モル)中で一夜攪拌した。真空中で溶媒を除去し、水を添加し、生成物を酢酸エチルで三回抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、デカントし、濃縮して粗生成物を得て、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(メタノール/DCMの濃度勾配で溶出)によって精製した。得られた混合物を、分取-HPLC/MS(0.15%NHOHを含有するACN/HOの濃度勾配で溶出するC18)で更に精製し、生成物(2.68g、58%)を得た。
H NMR(400MHz、D-dmso):δ12.11(brs、1H)、8.80(s、1H)、8.67(s,1H)、8.37(s、1H)、7.60(d、1H)、6.98(d,1H)、4.53(dt,1H)、3.27(dd,1H)、3.19(dd,1H)、2.48-2.36(m,1H)、1.86-1.76(m,1H)、1.68-1.13(m,7H);MS(ES):307(M+1)。
【0150】
実施例2:(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルのリン酸塩
【化3】
試験管に(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリル(153.5mg)とリン酸(56.6mg)を添加し、続いてイソプロピルアルコール(IPA)(5.75mL)を添加した。得られた混合物を透明になるまで加熱し、室温まで冷却し、次いで更に2時間攪拌した。沈殿物を濾過によって回収し、ケーキを冷IPAの0.6mLで洗浄した。このケークを真空下で一定重量になるまで乾燥して、最終塩生成物(171.7mg)を得た。
【0151】
このリン酸塩は、H NMRによって、1:1塩であることが示され、結晶化度がX線粉末回折(XRPD)によって確認された。示差走査熱量測定(DSC)は、約198.66℃で鋭い溶融ピークをもたらした。この生成物は、TGAにより、200℃まで重量損失がほとんどないことを示した。
【0152】
実施例3:(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩の水中油クリーム製剤の調製
水中油クリーム製剤を、(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩(実施例2)について、製剤(遊離塩基等価物)の0.5重量%、1.0重量%および1.5重量%で調製した。15gのチューブのための組成が、以下の表2に提供される。3種の強度の製剤は、活性成分の量に基づいた精製水量に対する調整を除けば、同一であった。製剤で使用された全ての賦形剤は、公定グレード(すなわち、USP/NFまたはBP)もしくは局所的製品での使用が承認されたものである。
【0153】
0.5、1.0および1.5%での実施例2に関するクリーム製剤の典型的400kgバッチについての製剤処方がまた、それぞれ表3、4、および5に提供される。
【0154】
【表1】
*実施例2の1.32%は、(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジ
ン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリル
遊離塩基の1.0%と等価である。
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
【表4】
【0158】
水中油クリーム製剤は、3.5kgまたは400kg規模のいずれかで、以下の手順に従って合成された(3.5kgバッチサイズで製造される場合、表3~5の量は適切に規模が下げられた)。若干のバッチが、混合容器およびミキサーのサイズのような、規模拡大に関連する小さな変更を受けた。一般的に、高せん断および低せん断ブレードを備えるオーバーヘッドミキサーが、このプロセスには好適である。図1は、水中油製剤を製造するためのプロセスのフローチャート表示である。(R)-3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルは、この適用の全体を通して「API」と称される。
【0159】
手順
1.メチルパラベンとプロピルパラベンをプロピレングリコールの一部と混合することによって、パラベン相を調製した(表2~5の%を参照)。
2.次に、キサンタンガムをプロピレングリコールと混合することによって、キサンタンガム相を調製した(表2~5の%を参照)。
3.次いで、軽質鉱油、グリセリルステアレート、ポリソルベート20、白色ワセリン、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ジメチコーンおよび中鎖トリグリセリドを混合することによって、油相を調製した。この相を70~80℃に加熱して溶融させ、均一な混合物を形成させる。
4.次に、精製水、ポリエチレングリコール、および二ナトリウムEDTAを混合することによって、水相を調製した。この相を70~80℃に加熱する。
5.ステップ4の水相、ステップ1のパラベン相、および実施例2(APIのリン酸塩)を合わせて、混合物を形成した。
6.次いで、ステップ2からのキサンタンガム相を、ステップ5からの混合物に添加した。
7.次いで、ステップ3からの油相を、高せん断混合下で、ステップ6からの混合物と合わせて、エマルジョンを形成した。
8.次いで、フェノキシエタノールをステップ7からのエマルジョンに添加した。混合を継続し、次いで低せん断下で、生成物を冷却した。
【0160】
より大きな規模(例えば140kg)でのより均一なバッチは、実施例2を水相に徐々に添加し、次いで他の相と合わせることによって達成され得る。同様に、よりゆっくりとした冷却によって、より均一なバッチが達成され得る(例えば、低温の水よりはむしろ、反応器の外側ジャケット内の室温の水を使用することによって)。
【0161】
クリーム製剤に関する分析結果および安定性試験
A.方法
クリームの外観を、視覚的に評価した。Brookfield粘度計を使用して、25℃にて粘度を測定した。最終クリーム製剤で、pHを測定した。微生物限度試験をUSPに従って実行した。チューブへのクリームの装填中に、充填重量を工程中試験として分析した。
【0162】
294nmでのUP検出を有する濃度勾配逆相HPLCによって、アッセイ、関連物質、素性および含量均一性が、製剤中で決定された。Waters社HPLCを、4Lの水への2mLのTFA(0.05%TFA)の移動相A、または4Lのメタノールへの2mLのTFA(0.05%TFA)の移動相Bを用いて、40℃の温度にて、1.0mL/分の流速で、Zorbax SB-C18カラム(3.5μm、4.6×150nm)と共に使用した。
【0163】
B.結果
実施例2(遊離塩基を基準にした(API))の0.5%、1%および1.5%強度での3.5kgバッチについて、結果を以下に示す(表6)。
【0164】
【表5】
【0165】
15gのアルミニウムチューブ内に貯蔵された、0.5、1.0および1.5%w/w強度でのクリーム製剤のバッチからの安定性データを、表7~10および19~20に提供する。更に琥珀色ガラス瓶(2オンス、テフロンキャップを有する)に封入された、0.5、1.0および1.5%w/w強度でのクリーム製剤のバッチからの安定性データを、表13~17に提供し、一方、16オンスの琥珀色ガラス瓶に封入された、1.0%w/w製剤についてのより長期間の安定性データを、表11~12に示す。医薬製剤に関する予備安定性データは、いずれの封入形態においても25℃/60%RHおよび40℃/75%RHで3ヶ月貯蔵後に、いかなる化学的不安定性も示さなかった。粘度の変化が、琥珀色のガラス瓶に貯蔵された製剤について、40℃/75%RHでの3ヶ月間の貯蔵後に認められた。しかしながら、医薬製剤の物理的評価は、いかなる相分離も示さなかった。許容基準が以下に示されている。
【0166】
【表6】
【0167】
【表7】
【0168】
【表8】
【0169】
【表9】
【0170】
【表10】
【0171】
【表11】
【0172】
【表12】
【0173】
【表13】
【0174】
【表14】
【0175】
【表15】
【0176】
【表16】
【0177】
【表17】
【0178】
【表18】
【0179】
【表19】
【0180】
【表20】
【0181】
実施例4:溶解度試験
(R)-3-(4-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリル(遊離塩基)またはそのリン酸塩の溶解度を決定するために、可能性のある溶媒の約5mLを、APIまたはその塩の約50mgに室温で添加した。混合物を懸濁させて、ホイール上で回転させた。混合物が透明な溶液になった場合、より多くの固体物質を添加した。懸濁液を24時間にわたって懸濁させた。試料を0.2マイクロメートルのフィルターを通して濾過した。液体部分を回収し、50/50水メタノール/水で希釈した。希釈した試料の濃度を、HPLCによって分析した。遊離塩基または塩がかなり不溶性である場合、結果はおおよその値のみである。
【0182】
【表21】
【0183】
実施例5:他の局所製剤
(R)-3-(4-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルのリン酸塩を組み込む3種の異なる局所製剤を更に調製した。1%w/w分散クリーム(油中水製剤)、1%w/w無水軟膏、および1%w/wローションの組成が、表22に概要が示される(パーセンテージは遊離塩基を基準にしている)。APIのリン酸塩の1%w/wを有する各製剤は、プラセボと比較して粘度が低かった(プラセボでは、バランスは水である)。いかなる特定の理論に束縛されることを望まないが、より低い粘度は、リン酸塩の電解性質によるものであると考えられる。製剤およびプラセボの経時的な粘度は、表23に示される。1%分散クリーム(油中水製剤)は、40℃にての時効処理の2週間および4週間後に、離液現象を示したが、一方1%ローションおよび1%可溶化クリーム製剤(水中油製剤)は、離液現象を示さなかった。1%可溶化クリーム製剤は、1%ローションよりも概ねより高い粘度であった。
【0184】
【表22】
【0185】
【表23】
【0186】
実施例6:皮膚透過性試験
実施例5(表20)の3種の異なる局所製剤および実施例3(表4)のクリーム製剤を、ヒトの死体皮膚の横断輸送について評価した。皮膚透過性データが表24に概要が示される。それぞれの製剤に関して、3つの反復試験中の輸送で、著しい変動が観察された。輸送における変動は、皮膚試料の差に一部は起因する可能性がある(ドナー、身体の領域、厚さ等)。概して、2種のクリーム製剤は、ローションまたは軟膏に比べてより高いフラックスを示した。軟膏製剤に関する輸送されたAPIの累加量は、他の3種の製剤と比較すると特に低く、これは、少なくとも部分的には、もたらす軟膏の不良な塗布性で、減少した輸送のための表面積がもたらされたことに起因する可能性がある。結果的として、2種のクリーム製剤が更なる開発のために選択され、1つは水中油系(上記実施例3を参照)として、他方は油中水エマルジョン系として選択された。薬剤物質の溶解度に基づいて、(R)-3-(4-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩の1.0、1.5、および2.0%w/wを含有する強度が、水中油系クリーム(可溶化クリーム)のために開発され、ならびに1.0、2.0、および3.0%w/wの強度が、油中水系クリーム(分散クリーム)のために開発された。皮膚透過性試験の手順は、以下に記載される。
【0187】
ヒトの死体皮膚輸送試験
局所製剤中のAPIの透過性を、ヒトの死体皮膚試料およびFranz拡散セルを用いて試験した。皮膚分節化ヒト死体皮膚は、組織バンクから入手され、一方Franz拡散セルは特注された。ドナーコンパートメントと受容コンパートメントとの間に適合するようサイズ合わせされたヒト死体皮膚試料を、Franz拡散セル上に配置させた。局所製剤を重量計測し(20mg)グラシン紙上に置き、製剤側を皮膚に向かって配置させて、しっかりと固定した。投与チャンバーをパラフィンで覆った。4%アルブミンを含有する生理食塩水で液だめ側を充填した。液だめを攪拌し、ドライブロック型ヒーターを使用して、37℃に維持した(Aungst B.著,Fatty Acid Skin Penetration Enhancers.Pharm.Res.1989年;6(3):244~247頁)。4時間後に、1mLの試料を取り出し、生理食塩水+4%アルブミンの1mLで置き換えた。24時間後に、液だめ全体を回収した。孔および裂孔がないか目視によって検査した。液だめ側試料を、LC/MSアッセイによって、APIの濃度について分析した。
【0188】
マウス皮膚輸送試験
局所製剤中のAPIの透過性を、Franz拡散セル内に据付けられた新しく切除したマウス皮膚試料を用いて試験した。実験の4日前に、Balb/cマウスを、ワックス技術を用いて除毛した。実験当日の朝に、マウスを安楽死させて、できるだけ多くの徐毛した皮膚を切除し、洗浄し、使用まで37℃生理食塩水で湿潤状態に維持した。ドナーコンパートメントと受容コンパートメントとの間に適合するようにサイズ合わせされたマウス皮膚試料を、Franz拡散セルのドナーコンパートメントと受容コンパートメントとの間に配置させた。Franzセルの開口部は1cmであった。局所製剤を秤量し(20mg)、グラシン紙上に置き、製剤側を皮膚に向けて配置させて、しっかりと固定した。投与チャンバーをパラフィンで覆った。4%アルブミンを含有する生理食塩水で液だめ側を充填した。液だめを攪拌し、ドライブロック型ヒーターを使用して、37℃に維持した(Aungst 1989年(上記文献))。4時間後に、1mLの試料を取り出し、生理食塩水+4%アルブミンの1mLで置き換えた。24時間後に、液だめ全体を回収した。孔および裂孔がないか目視によって検査した。液だめ側試料を、LC/MSアッセイによって、APIの濃度について分析した。
【0189】
【表24】
【0190】
(R)-3-(4-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルのヒト死体皮膚を横断する輸送に及ぼす可溶化または分散されたクリーム製剤の強度の影響をまた検討し、そのデータを、表25に概要を示す。分散クリーム製剤(油中水系)の1%w/wから3%w/wへの強度の増加および可溶化クリーム製剤(水中水系)の1%w/wから2%w/wへの強度の増加は、(R)-3-(4-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルの輸送において著しい変化はもたらさず、このことは、(R)-3-(4-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルのフラックスは、これら製剤のそれぞれからの放出によって限定されないことを示唆している。
【0191】
【表25】
【0192】
新しく切除されたマウス皮膚を横断する(R)-3-(4-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルの輸送を、齧歯類薬理試験(表26)で用いられた製剤を使用して更に評価した。可溶化クリームの強度が0.5~1.5%に増加された場合、透過性が増大する一般的傾向があったが、これら傾向は、分散製剤では認められなかった。可溶化クリームについて、24時間にわたってマウス皮膚を横断輸送された(R)-3-(4-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルの平均累加量は、ヒト死体皮膚試験でみられたものよりも約20倍高かった(全ての実験の累加平均)。
【0193】
(R)-3-(4-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-シクロペンチルプロパンニトリルリン酸塩の溶解度に基づいて、1.5%の最大薬剤負荷が、水中油(可溶化クリーム)製剤で可能であった。2種のクリーム製剤の中で、水中油(可溶化クリーム)生成物がより良好な物理的安定性を示した(上記の表21参照)。分散製剤において3%より高い強度および可溶化クリーム製剤において2%より高い強度は、薬剤物質が溶液から結晶化したために、制御された室温での数日間の貯蔵後を超えては、物理的に安定ではなかったことに留意されたい。皮膚透過性試験、製造能力データ、ならびに製剤の初期段階で得られた物理的および化学的特性データとともに、これらの結果に基づいて、水中油エマルジョン系(1.5%w/wの最大強度を有する)を備える可溶化クリームが更なる開発のために選択された。
【0194】
【表26】
【0195】
実施例7:製剤での乾癬の臨床治療
慢性尋常性乾癬の約200人の被験者が、二重盲検、プラセボ対照試験に登録された。4つの用量群があり、これらは3つの実薬投与群およびビヒクル群であった。実薬投与群は、0.5%、1.0%、および1.5%w/w水中油製剤(前記実施例3を参照)で処置された。約50人の被験者を、それぞれの処置群に無作為割付した。クリームの薄層を一日一回、尋常性乾癬の20%の体表面積まで塗布した。処置は84日間適用され、効果を病斑スコアの変化によって測定した(図2)。病斑スコアは、紅斑の量、斑の落屑および厚さを評価する測定尺度である。APIの1%w/wまたは1.5%w/wに無作為割付された患者の25%が、12週で消失されたまたはほとんど消失された病巣を有したのに対して、ビヒクル群では6%であった。
【0196】
病巣部位のサブセットで、写真についてインフォームドコンセントに署名した被験者から写真が取得された。画像はベースライン(試験治療の最初の適用前)および84日目(試験治療の最終適用日)で得られた(図3~7を参照)。これら写真は、水中油製剤で処置された被験者のサブセットの代表的なものである。
【0197】
実施例8:ネズミ皮膚接触遅延型過敏応答試験
本明細書で記載される製剤はまた、T細胞誘導ネズミ遅延型過敏応答試験モデルにおいてもそれらの有効性について試験することができる。ネズミ皮膚接触遅延型過敏(DTH)応答は、臨床的接触性皮膚炎、および乾癬のような皮膚の他のTリンパ球介在免疫疾患の有効な動物モデルであるとされている(Immunol Today.1998 Jan;19(1):37~44頁)。ネズミDTHは、免疫性浸潤物、付随的な炎症性サイトカインでの増加、および角質細胞過剰増殖を含む乾癬での複数の特徴を共有する。更には、医療機関における乾癬の治療で有効性を有する多くの部類の薬剤がまた、マウスでのDTH応答の効果的な阻害剤である(Agents Action.1993 Jan;38(1-2)116~21頁)。
【0198】
0日目および1日目に、Balb/cマウスに、その剃った腹部に抗原2,4,ジニトロ-フルオロベンゼン(DNFB)を使用して、局所塗布によって感作を起こさせる。5日目に、エンジニアのマイクロメーターを使用してマウスの耳の厚さを測定する。この測定値を記録し、ベースラインとして用いる。次いで動物の両耳に、濃度0.2%で、合計で20μL(内耳介上に10μLおよび外耳介上に10μL)のDNFBの局所塗布によって抗原投与する。抗原投与から24時間~72時間後に、耳の厚さを再び測定する。試験製剤による処置を、感作および抗原投与段階の全体にわたって行う(1日目~7日目)か、若しく抗原投与の前および抗原投与段階の全体を通して(通常、4日目の午後~7日目)に行う。試験化合物(異なる濃度での)の処置は、局所的に投与される(耳への治療剤の局所塗布)。試験製剤の有効性は、処置されていない状態と比較しての耳の浮腫での減少によって示される。20%またはそれ以上の減少を起こす化合物が有効であるとみなされる。いくつかの実験では、マウスに抗原投与されるが、感作されないものがある(陰性対照)。
【0199】
試験製剤の阻害効果(JAK-STAT経路の阻害活性)は、免疫組織学的分析によって確認され得る。JAK-STAT経路(複数可)の活性化は、機能的転写因子の形成および転座をもたらす。更に、免疫細胞の流入および増大した角質細胞の増殖はまた、評価かつ定量され得る耳での特徴的な発現プロファイルの変化ももたらすはずである。ホルマリン固定され、パラフィン埋包された耳断片(DTHモデルで抗原投与段階後に採取)を、リン酸化STAT3と特異的に相互作用する抗体(クローン58E12、Cell Signaling Technologies)を用いて、免疫組織学的分析に供する。比較のために、DTHモデルにおいて、マウスの耳は、試験製剤、ビヒクル、またはデキサメタゾン(乾癬のために臨床的に有効な治療)で処置されるか、もしくはいかなる処置も行わない。試験製剤およびデキサメタゾンは、定性的および定量的の双方で同様な転写性変化を生み出し得、試験製剤およびデキサメタゾンの両者が浸潤細胞の数を減らし得る。試験化合物の局所投与は、阻害効果、すなわち、浸潤細胞の数の減少および転写変化の阻害を引き起こし得る。
【0200】
本発明は、以下のものを包含する。
[発明1]
局所的皮膚適用のための医薬製剤であり、
水中油エマルジョン、および
(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬上許容される塩である治療剤の治療的に有効な量
を含む医薬製剤。
[発明2]
エマルジョンが、水、油成分および乳化剤成分を含む、上記の発明1に記載の医薬製剤。
[発明3]
油成分が、製剤の約10重量%~約40重量%の量で存在する、上記の発明2に記載の医薬製剤。
[発明4]
油成分が、製剤の約17重量%~約27重量%の量で存在する、上記の発明2に記載の医薬製剤。
[発明5]
油成分が、製剤の約20重量%~約27重量%の量で存在する、上記の発明2に記載の医薬製剤。
[発明6]
油成分が、ワセリン、脂肪アルコール、鉱油、トリグリセリドおよびシリコーン油から独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明2~5のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明7]
油成分が、白色ワセリン、セチルアルコール、ステアリルアルコール、軽質鉱油、中鎖トリグリセリドおよびジメチコーンから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明2~5のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明8]
油成分が密封剤成分を含む、上記の発明2に記載の医薬製剤。
[発明9]
密封剤成分が、製剤の約2重量%~約15重量%の量で存在する、上記の発明8に記載の医薬製剤。
[発明10]
密封剤成分が、前記製剤の約5重量%~約10重量%の量で存在する、上記の発明8に記載の医薬製剤。
[発明11]
密封剤成分がワセリンを含む、上記の発明8~10のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明12]
密封剤成分が白色ワセリンを含む、上記の発明8~10のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明13]
油成分が、硬化剤成分を含む、上記の発明2に記載の医薬製剤。
[発明14]
硬化剤成分が、製剤の約2重量%~約8重量%の量で存在する、上記の発明13に記載の医薬製剤。
[発明15]
硬化剤成分が、製剤の約3重量%~約6重量%の量で存在する、上記の発明13に記載の医薬製剤。
[発明16]
硬化剤成分が、製剤の約4重量%~約7重量%の量で存在する、上記の発明13に記載の医薬製剤。
[発明17]
硬化剤成分が、脂肪アルコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明13~16のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明18]
硬化剤成分が、C12-20脂肪アルコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明13~16のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明19]
硬化剤成分が、C16-18脂肪アルコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明13~16のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明20]
硬化剤成分が、セチルアルコールおよびステアリルアルコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明13~16のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明21]
油成分が、皮膚軟化剤成分含む、上記の発明2に記載の医薬製剤。
[発明22]
皮膚軟化剤成分が、製剤の約5重量%~約15重量%の量で存在する、上記の発明21に記載の医薬製剤。
[発明23]
皮膚軟化剤成分が、製剤の約7重量%~約13重量%の量で存在する、上記の発明21に記載の医薬製剤。
[発明24]
皮膚軟化剤成分が、鉱油およびトリグリセリドから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明21~23のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明25]
皮膚軟化剤成分が、軽質鉱油および中鎖トリグリセリドから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明21~23のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明26]
皮膚軟化剤成分が、軽質鉱油、中鎖トリグリセリドおよびジメチコーンから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明21~23のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明27]
水が、製剤の約35重量%~約65重量%の量で存在する、上記の発明2~26のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明28]
水が、製剤の約40重量%~約60重量%の量で存在する、上記の発明2~26のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明29]
水が、製剤の約45重量%~約55重量%の量で存在する、上記の発明2~26のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明30]
乳化剤成分が、製剤の約1重量%~約9重量%の量で存在する、上記の発明2~29のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明31]
乳化剤成分が、前記製剤の約2重量%~約6重量%の量で存在する、上記の発明2~29のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明32]
乳化剤成分が、前記製剤の約3重量%~約5重量%の量で存在する、上記の発明2~29のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明33]
乳化剤成分が、前記製剤の約4重量%~約7重量%の量で存在する、上記の発明2~29のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明34]
医薬製剤が、乳化剤成分および硬化剤成分を含み、乳化剤成分と硬化剤成分との合計量が、製剤の少なくとも約8重量%である、上記の発明2~29のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明35]
乳化剤成分が、グリセリル脂肪エステルおよびソルビタン脂肪エステルから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明2~34のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明36]
乳化剤成分が、グリセリルステアレートおよびポリソルベート20から独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明2~34のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明37]
医薬製剤が、さらに安定化剤成分を含む、上記の発明1~36のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明38]
安定化剤成分が、製剤の約0.05重量%~約5重量%の量で存在する、上記の発明37に記載の医薬製剤。
[発明39]
安定化剤成分が、製剤の約0.1重量%~約2重量%の量で存在する、上記の発明37に記載の医薬製剤。
[発明40]
安定化剤成分が、製剤の約0.3重量%~約0.5重量%の量で存在する、上記の発明37に記載の医薬製剤。
[発明41]
安定化剤成分が、多糖類から独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明37~40のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明42]
安定化剤成分が、キサンタンガムを含む、上記の発明37~40のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明43]
医薬製剤が、さらに溶媒成分を含む、上記の発明1~42のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明44]
溶媒成分が、製剤の約10重量%~約35重量%の量で存在する、上記の発明43に記載の医薬製剤。
[発明45]
溶媒成分が、製剤の約15重量%~約30重量%の量で存在する、上記の発明43に記載の医薬製剤。
[発明46]
溶媒成分が、製剤の約20重量%~約25重量%の量で存在する、上記の発明43に記載の医薬製剤。
[発明47]
溶媒成分が、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明43~46のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明48]
溶媒成分が、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明43~46のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明49]
治療剤が、遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の量で存在する、上記の発明1~48のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明50]
治療剤が、遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%の量で存在する、上記の発明1~48のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明51]
治療剤が、遊離塩基を基準にして、製剤の約1重量%の量で存在する、上記の発明1~48のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明52]
治療剤が、遊離塩基を基準にして、製剤の約1.5重量%の量で存在する、上記の発明1~48のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明53]
治療剤が、(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルリン酸塩である、上記の発明1~52のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明54]
製剤の約35重量%~約65重量%の水、
製剤の約10重量%~約40重量%の油成分、
製剤の約1重量%~約9重量%の乳化剤成分、
製剤の約10重量%~約35重量%の溶媒成分、
製剤の約0.05重量%~約5重量%の安定化剤成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬上許容される塩
を含む、上記の発明1に記載の医薬製剤。
[発明55]
製剤の約40重量%~約60重量%の水、
製剤の約15重量%~約30重量%の油成分、
製剤の約2重量%~約6重量%の乳化剤成分、
製剤の約15重量%~約30重量%の溶媒成分、
製剤の約0.1重量%~約2重量%の安定化剤成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬上許容される塩
を含む、上記の発明1に記載の医薬製剤。
[発明56]
製剤の約45重量%~約55重量%の水、
製剤の約17重量%~約27重量%の油成分、
製剤の約3重量%~約5重量%の乳化剤成分、
製剤の約20重量%~約25重量%の溶媒成分、
製剤の約0.3重量%~約0.5重量%の安定化剤成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬上許容される塩
を含む、上記の発明1に記載の医薬製剤。
[発明57]
製剤の約45重量%~約55重量%の水、
製剤の約17重量%~約27重量%の油成分、
製剤の約4重量%~約7重量%の乳化剤成分、
製剤の約20重量%~約25重量%の溶媒成分、
製剤の約0.3重量%~約0.5重量%の安定化剤成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬上許容される塩
を含む、上記の発明1に記載の医薬製剤。
[発明58]
油成分が、ワセリン、脂肪アルコール、鉱油、トリグリセリドおよびジメチコーンから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
乳化剤成分が、グリセリル脂肪エステルおよびソルビタン脂肪エステルから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
溶媒成分が、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
安定化剤成分が、多糖類から独立して選択される1つ以上の物質を含む、
上記の発明54~57のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明59]
油成分が、白色ワセリン、セチルアルコール、ステアリルアルコール、軽質鉱油、中鎖トリグリセリドおよびジメチコーンから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
乳化剤成分が、グリセリルステアレートおよびポリソルベート20から独立して選択される1つ以上の物質を含み、
溶媒成分が、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
安定化剤成分が、キサンタンガムを含む、
上記の発明54~57のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明60]
製剤の約35重量%~約60重量%の水、
製剤の約2重量%~約15重量%の密封剤成分、
製剤の約2重量%~約8重量%の硬化剤成分、
製剤の約5重量%~約15重量%の皮膚軟化剤成分、
製剤の約1重量%~約9重量%の乳化剤成分、
製剤の約0.05重量%~約5重量%の安定化剤成分、
製剤の約10重量%~約35重量%の溶媒成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬上許容される塩
を含む、上記の発明1に記載の医薬製剤。
[発明61]
製剤の約40重量%~約60重量%の水、
製剤の約5重量%~約10重量%の密封剤成分、
製剤の約2重量%~約8重量%の硬化剤成分、
製剤の約7重量%~約12重量%の皮膚軟化剤成分、
製剤の約2重量%~約6重量%の乳化剤成分、
製剤の約0.1重量%~約2重量%の安定化剤成分、
製剤の約15重量%~約30重量%の溶媒成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬上許容される塩
を含む、上記の発明1に記載の医薬製剤。
[発明62]
製剤の約45重量%~約55重量%の水、
製剤の約5重量%~約10重量%の密封剤成分、
製剤の約3重量%~約6重量%の硬化剤成分、
製剤の約7重量%~約13重量%の皮膚軟化剤成分、
製剤の約3重量%~約5重量%の乳化剤成分、
製剤の約0.3重量%~約0.5重量%の安定化剤成分、
製剤の約20重量%~約25重量%の溶媒成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬上許容される塩
を含む、上記の発明1に記載の医薬製剤。
[発明63]
製剤の約45重量%~約55重量%の水、
製剤の約5重量%~約10重量%の密封剤成分、
製剤の約4重量%~約7重量%の硬化剤成分、
製剤の約7重量%~約13重量%の皮膚軟化剤成分、
製剤の約4重量%~約7重量%の乳化剤成分、
製剤の約0.3重量%~約0.5重量%の安定化剤成分、
製剤の約20重量%~約25重量%の溶媒成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬上許容される塩
を含む、上記の発明1に記載の医薬製剤。
[発明64]
製剤の約45重量%~約55重量%の水、
製剤の約7重量%の密封剤成分、
製剤の約4.5重量%~約5重量%の硬化剤成分、
製剤の約10重量%の皮膚軟化剤成分、
製剤の約4重量%~約4.5重量%の乳化剤成分、
製剤の約0.4重量%の安定化剤成分、
製剤の約22重量%の溶媒成分、および
遊離塩基を基準にして、製剤の約0.5重量%~約1.5重量%の(R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルまたはその医薬上許容される塩
を含む、上記の発明1に記載の医薬製剤。
[発明65]
硬化剤成分と乳化剤成分の合計量が、製剤の少なくとも約8重量%である、上記の発明60~64のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明66]
密封剤成分が、ワセリンを含み、
硬化剤成分が、1つ以上の脂肪アルコールから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
皮膚軟化剤成分が、鉱油およびトリグリセリドから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
乳化剤成分が、グリセリル脂肪エステルおよびソルビタン脂肪エステルから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
安定化剤成分が、多糖類から独立して選択される1つ以上の物質を含み、
溶媒成分が、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む、
上記の発明60~65のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明67]
密封剤成分が、白色ワセリンを含み、
硬化剤成分が、セチルアルコールおよびステアリルアルコールから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
皮膚軟化剤成分が、軽質鉱油、中鎖トリグリセリドおよびジメチコーンから独立して選択される1つ以上の物質を含み、
乳化剤成分が、グリセリルステアレートおよびポリソルベート20から独立して選択される1つ以上の物質を含み、
安定化剤成分が、キサンタンガムを含み、
溶媒成分が、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールから独立して選択される1つ以上の物質を含む、
上記の発明60~65のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明68]
さらに抗菌性保存剤成分を含む、上記の発明1~67のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明69]
抗菌性保存剤成分が、製剤の約0.05重量%~約3重量%の存在する、上記の発明68に記載の医薬製剤。
[発明70]
抗菌性保存剤成分が、製剤の約0.1重量%~約1重量%の存在する、上記の発明68に記載の医薬製剤。
[発明71]
抗菌性保存剤成分が、アルキルパラベンおよびフェノキシエタノールから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明68~70のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明72]
抗菌性保存剤成分が、メチルパラベン、プロピルパラベンおよびフェノキシエタノールから独立して選択される1つ以上の物質を含む、上記の発明68~70のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明73]
さらにキレート剤成分を含む、上記の発明1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明74]
キレート剤成分が、エデト酸二ナトリウムを含む、上記の発明73に記載の医薬製剤。
[発明75]
皮膚障害の治療を必要とする患者における皮膚障害の治療方法であり、該患者の皮膚の領域に上記の発明1~74のいずれか1つに記載の医薬製剤を投与することを含む、方法。
[発明76]
皮膚障害が、アトピー性皮膚炎または乾癬である、上記の発明75に記載の方法。
[発明77]
皮膚障害が乾癬である、上記の発明75に記載の方法。
[発明78]
皮膚障害が、皮膚感作、皮膚刺激、皮疹、接触性皮膚炎またはアレルギー性接触感作である、上記の発明75に記載の方法。
[発明79]
皮膚障害が、水疱性皮膚障害である、上記の発明75に記載の方法。
[発明80]
水疱性皮膚障害が、尋常性天疱瘡(PV)または水疱性類天疱瘡(BP)である、上記の発明79に記載の方法。
[発明81]
皮膚障害の治療を必要とする患者の皮膚障害治療用の上記の発明1~74のいずれか1つに記載の医薬製剤。
[発明82]
皮膚障害の治療を必要とする患者の皮膚障害治療用の薬剤の調製のための上記の発明1~74のいずれか1つに記載の医薬製剤の使用。
本明細書に記載されるものに加えて、本発明の種々の変形が、前述の説明から当業者には明らかであろう。このような変形も特許請求の範囲内に包含されることが意図されている。本出願で引用される各参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
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図5
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図7