(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】油圧ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 1/324 20200101AFI20240902BHJP
F04B 1/22 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
F04B1/324
F04B1/22
(21)【出願番号】P 2022186667
(22)【出願日】2022-11-22
(62)【分割の表示】P 2018095555の分割
【原出願日】2018-05-17
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】赤見 俊也
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-003609(JP,A)
【文献】特開平05-026151(JP,A)
【文献】特開2014-145268(JP,A)
【文献】実開昭58-113880(JP,U)
【文献】特開2014-194159(JP,A)
【文献】特開2017-078382(JP,A)
【文献】特開2017-036689(JP,A)
【文献】特開2015-190581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/00- 7/06、
49/00-49/24
F03C 1/253
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダ穴を有し、回転可能に配置されたシリンダブロックと、
各シリンダ穴内に移動自在に保持されたピストンと、
各ピストンの端部に取り付けられたシューと、
傾転角の大きさに応じて前記ピストンの移動量を制御する斜板と、
前記斜板の傾転角が小さくなる向きに、スプリングの弾性力
のみにより前記斜板を押す第1押付手段と、
外部から供給される圧力により前記斜板の傾転角が大きくなる向きに前記斜板を押す第2押付手段と、を備え、
前記斜板は、前記シューを受ける主面と、前記第1押付手段と接触する第1部分と、前記第2押付手段と接触する第2部分と、を有し、
前記主面は、前記第1部分及び前記第2部分を接続する直線に対して前記シリンダブロック側に位置する、油圧ポンプ。
【請求項2】
前記第2押付手段は、前記斜板をその傾転角が大きくなる向きに押す押付ロッドを有し、
前記押付ロッドにおける前記斜板と反対側の端面に前記圧力が作用する、請求項1に記載の油圧ポンプ。
【請求項3】
前記斜板の傾転の中心軸線は、前記第1部分及び前記第2部分を接続する前記直線から前記シリンダブロック側にずれて位置する、請求項1又は2に記載の油圧ポンプ。
【請求項4】
前記斜板の傾転の中心軸線は、前記主面から前記シリンダブロック側にずれて位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の油圧ポンプ。
【請求項5】
前記斜板の傾転の中心軸線は、前記シリンダブロックの回転軸線からずれて位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の油圧ポンプ。
【請求項6】
前記斜板の傾転の中心軸線は、前記シリンダブロックの回転軸線から前記第1押付手段側にずれて位置する、請求項1~5のいずれか一項に記載の油圧ポンプ。
【請求項7】
前記シリンダブロック、前記ピストン、前記斜板及び前記第1押付手段を収容するハウジングと、
前記押付ロッドの側面をガイドするガイド部であって、前記ハウジングと一体であるガイド部と、を有する、請求項2に記載の油圧ポンプ。
【請求項8】
前記シリンダブロック、前記ピストン、前記斜板及び前記第1押付手段を収容するハウジングと、
前記ハウジングに設けられたストッパと、を有し、
前記斜板が最小の傾転角を有するとき、前記斜板は、前記第1押付手段と前記ストッパとにより保持される、請求項1~7のいずれか一項に記載の油圧ポンプ。
【請求項9】
前記圧力は、ネガティブ流量制御圧力に対応した圧力、ロードセンシング流量制御圧力に対応した圧力、ポジティブ流量制御圧力に対応した圧力、又は、ロックレバー圧力に対応した圧力である、請求項1~8のいずれか一項に記載の油圧ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設車両等に用いられる油圧ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
建設車両等の幅広い分野において、油圧ポンプが用いられている。油圧ポンプは、一例として、回転軸と、回転軸方向に沿って延びる複数のシリンダ穴が形成されたシリンダブロックと、各シリンダ穴内に移動自在に保持されたピストンと、シリンダブロックが回転することにより、各ピストンを各シリンダ穴内で移動させるための斜板と、シリンダブロックの回転軸に対する斜板の傾斜角(傾転角)を変更するための機構と、を有している。回転軸は駆動源としてのエンジンと連結されている。とりわけ上述の油圧ポンプは、可変容量型の油圧ポンプとしても用いられる。特許文献1には、このような可変容量型の油圧ポンプの一例が開示されている。
【0003】
この油圧ポンプは、シリンダ穴からの油の排出に基づく駆動力を出力する。より具体的には、エンジンからの動力によって回転軸を回転させることにより、回転軸と結合されたシリンダブロックを回転させて、シリンダブロックの回転によりピストンを往復動作させる。このピストンの往復動作に応じて、一部のシリンダ穴からは油が吐き出されるとともに他のシリンダ穴には油が吸い込まれ、これにより油圧ポンプが実現される。このとき、斜板は、ポンプハウジング内に設けられたスプリング等の押付手段によりその傾転角が大きくなるように傾転され、入力された圧力に応じて作動する制御用ピストン等の押付手段によりその傾転角が小さくなるように傾転される。斜板の傾転角が大きくなるにつれて、油圧ポンプからの油の吐出流量は大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された従来の油圧ポンプでは、エンジンの始動時には、制御用ピストンには圧力が入力されていないため、斜板の傾転角が最大となっている。すなわち、油圧ポンプを駆動するために必要なトルクが最大となっている。この場合、エンジンを始動して油圧ポンプの駆動を開始するためには大きな駆動力を必要とする。とりわけ、低温環境下では油の粘度が大きくなるため、エンジンを始動するために必要な駆動トルクは極めて大きくなる。このため、油圧ポンプが低温環境下で用いられる場合には、エンジンを始動するために用いられるバッテリーやスターターモータ等のサイズを大きくする等の対処が必要になることがあった。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、駆動源の始動トルクを低減することが可能な油圧ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による油圧ポンプは、
複数のシリンダ穴を有し、回転可能に配置されたシリンダブロックと、
各シリンダ穴内に移動自在に保持されたピストンと、
傾転角の大きさに応じて前記ピストンの移動量を制御する斜板と、
前記斜板の傾転角が小さくなる向きに前記斜板を押す第1押付手段と、
外部から供給される圧力により前記斜板の傾転角が大きくなる向きに前記斜板を押す第2押付手段と、を備える。
【0008】
本発明による油圧ポンプにおいて、
前記第2押付手段は、前記斜板をその傾転角が大きくなる向きに押す押付ロッドを有し、
前記押付ロッドにおける前記斜板と反対側の端面に前記圧力が作用してもよい。
【0009】
本発明による油圧ポンプにおいて、
前記圧力は、ネガティブ流量制御圧力に対応した圧力であってもよい。
【0010】
本発明による油圧ポンプにおいて、
前記圧力は、ロードセンシング流量制御圧力に対応した圧力であってもよい。
【0011】
本発明による油圧ポンプにおいて、
前記圧力は、ポジティブ流量制御圧力に対応した圧力であってもよい。
【0012】
本発明による油圧ポンプにおいて、
前記圧力は、ロックレバー圧力に対応した圧力であってもよい。
【0013】
本発明による油圧ポンプにおいて、
前記圧力は、電気信号が電磁比例弁により油圧に変換された圧力であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、駆動源の始動トルクを低減することが可能な油圧ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。とりわけ
図1は、斜板の傾転角が最小であるときの油圧ポンプの断面を示す図である。
【
図2】
図2は、斜板の傾転角が最大であるときの
図1の油圧ポンプの断面を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、油圧ポンプの第2押付手段に入力される圧力について説明するための図である。
【
図3B】
図3Bは、油圧ポンプの第2押付手段に入力される圧力について説明するための図である。
【
図4A】
図4Aは、油圧ポンプの一変形例を示す図であって、油圧ポンプの第2押付手段に入力される圧力について説明するための図である。
【
図4B】
図4Bは、
図4Aとともに、油圧ポンプの第2押付手段に入力される圧力について説明するための図である。
【
図5A】
図5Aは、油圧ポンプの他の変形例を示す図であって、油圧ポンプの第2押付手段に入力される圧力について説明するための図である。
【
図5B】
図5Bは、
図5Aとともに、油圧ポンプの第2押付手段に入力される圧力について説明するための図である。
【
図6A】
図6Aは、油圧ポンプのさらに他の変形例を示す図であって、油圧ポンプの第2押付手段に入力される圧力について説明するための図である。
【
図6B】
図6Bは、
図6Aとともに、油圧ポンプの第2押付手段に入力される圧力について説明するための図である。
【
図7A】
図7Aは、油圧ポンプのさらに他の変形例を示す図であって、油圧ポンプの第2押付手段に入力される圧力について説明するための図である。
【
図7B】
図7Bは、
図7Aとともに、油圧ポンプの第2押付手段に入力される圧力について説明するための図である。
【
図8A】
図8Aは、油圧ポンプのさらに他の変形例を示す図であって、油圧ポンプの第2押付手段に入力される圧力について説明するための図である。
【
図8B】
図8Bは、
図8Aとともに、油圧ポンプの第2押付手段に入力される圧力について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0017】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0018】
図1~
図8Bは、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち
図1及び
図2は、油圧ポンプ10の断面を示す図である。とりわけ
図1は、後述の斜板40の傾転角(傾斜角)が最小であるときの油圧ポンプ10の断面を示す図であり、
図2は、斜板40の傾転角が最大であるときの油圧ポンプ10の断面を示す図である。
【0019】
本実施の形態の油圧ポンプ10は、いわゆる斜板式可変容量型油圧ポンプである。油圧ポンプ10は、後述のシリンダ穴32からの油の排出(及びシリンダ穴32への油の吸入)に基づく駆動力を出力する。より具体的には、エンジン等の動力源からの動力によって回転軸25を回転させることにより、回転軸25とスプライン結合等によって結合されたシリンダブロック30を回転させて、シリンダブロック30の回転によりピストン38を往復動作させる。このピストン38の往復動作に応じて、一部のシリンダ穴32からは油が吐き出されるとともに他のシリンダ穴32には油が吸い込まれ、油圧ポンプが実現される。
【0020】
図1及び
図2に示された油圧ポンプ10は、ハウジング20、回転軸25、シリンダブロック30、斜板40、第1押付手段50及び第2押付手段60を有している。
【0021】
ハウジング20は、第1ハウジングブロック21と、第1ハウジングブロック21に対して図示しない締結手段等により結合された第2ハウジングブロック22と、を有している。ハウジング20は、回転軸25の一部、シリンダブロック30、斜板40及び第1押付手段50を収容している。
図1及び
図2に示された例では、第1ハウジングブロック21の内側に、回転軸25の一方の端部と、吸排プレート35を介して複数のシリンダ穴32に連通する図示しない吸入ポート及び排出ポートと、後述の押付ロッド61をガイドするための第1ガイド部23と、が配置されている。また吸入ポートは、第1ハウジングブロック21を貫通して設けられ、油圧ポンプ10の外部に設けられる油圧源(タンク)に連通する。
【0022】
第1ハウジングブロック21には、回転軸25が挿入される回転軸用凹部24aが形成され、回転軸25は、回転軸用凹部24a内で軸受28aにより軸線(回転軸線)Ax周りに回転自在に支持されている。軸線Axは、回転軸25の長手方向に沿って延びている。
【0023】
第2ハウジングブロック22には、回転軸25が貫通する回転軸用孔24bが形成され、回転軸25は、その一端から他端へ向かって、シリンダブロック30及び斜板40を貫通して延びている。回転軸25は、その他端において回転軸用孔24bに配置された軸受28bにより軸線Ax周りに回転自在に支持されている。図示された例では、回転軸25の他端は、回転軸用孔24bから外側に向けて突出しており、当該他端に形成されたスプライン結合部26bを介してエンジン等の動力源と連結される。なお、これに限られず、回転軸25の他端は、回転軸用孔24bから外側に向けて突出しなくてもよい。すなわち、回転軸25の他端は、ハウジング20の内側に位置してもよい。例えば、動力源から延びる駆動軸がハウジング20内に挿入され、ハウジング20内において当該駆動軸と回転軸25の他端とが連結されるようにしてもよい。
【0024】
図1及び
図2に示された例では、回転軸25は、シリンダブロック30を貫通する部分に設けられたスプライン結合部26cにおいてシリンダブロック30とスプライン結合している。このシリンダブロック30とのスプライン結合により、回転軸25は、軸線Axの方向に関してはシリンダブロック30と無関係に移動可能であるが、軸線Ax周りの回転方向に関してはシリンダブロック30とともに一体的に回転する。また回転軸25は、第1ハウジングブロック21内において軸受28aにより回転自在に支持され、第2ハウジングブロック22内において軸受28bにより軸線Axに沿った方向の移動が規制されながら回転自在に支持され、斜板40とは接触しないようになっている。したがって、回転軸25は、シリンダブロック30以外の部材によっては阻害されずに、シリンダブロック30とともに軸線Ax周りの回転方向へ回転可能に設けられている。
【0025】
シリンダブロック30は、回転軸25とともに軸線Axを中心に回転可能に配置されており、軸線Axの周りにおいて穿設された複数のシリンダ穴32を有する。とりわけ
図1及び
図2に示された例では、各シリンダ穴32は、それぞれ軸線Axと平行な方向に沿って延びるように設けられている。なお、これに限られず、シリンダ穴32は、軸線Axに対して傾斜した方向に沿って延びるように設けられてもよい。シリンダブロック30に形成される複数のシリンダ穴32の数は特に限定されないが、これらのシリンダ穴32は、軸線Axに沿った方向から見て、同一円周上に等間隔(等角度間隔)で配置されることが好ましい。
【0026】
シリンダブロック30のうち斜板40が設けられる側とは反対側の端部には、複数のシリンダ穴32のそれぞれに連通する開口32aが形成されている。またシリンダブロック30のうち斜板40が設けられる側とは反対側の端部に対面して、図示しない複数の貫通孔が形成された吸排プレート35が配置されている。複数のシリンダ穴32は、これらの開口32a及び貫通孔を介して、第1ハウジングブロック21内に設けられた図示しない吸入ポート及び排出ポートと連通し、これらの吸入ポート及び排出ポートを介して油の吸入及び排出が行われる。また、
図1及び
図2に示された例では、シリンダブロック30のうち斜板40が設けられる側とは反対側の端部の回転軸25の周囲に、後述のスプリング44及びリテーナ45a,45bを収容する凹部30aが形成されている。
【0027】
図1及び
図2に示された吸排プレート35は、第1ハウジングブロック21に固定されており、シリンダブロック30が回転軸25とともに回転する場合であっても、ハウジング20(第1ハウジングブロック21)に対して静止している。そのため、吸入ポート及び排出ポートの各々と連通するシリンダ穴32は、シリンダブロック30の回転状態に応じて吸排プレート35を介して切り換えられ、吸入ポートから油が吸入される状態と排出ポートに油を排出する状態とが繰り返し訪れる。
【0028】
ピストン38は、それぞれ対応するシリンダ穴32に対して移動自在に配置されている。言い換えると、ピストン38は、それぞれ対応するシリンダ穴32内に移動自在に保持されている。とりわけ、各ピストン38は、対応するシリンダ穴32に対して軸線Axと平行な方向に沿って往復動可能に設けられている。ピストン38の内部は空洞であり、シリンダ穴32内の油で満たされている。したがってピストン38の往復動はシリンダ穴32への油の吸入及び排出と連関し、ピストン38がシリンダ穴32から引き出される際には、シリンダ穴32内に吸入ポートから油が吸入され、ピストン38がシリンダ穴32内に進入する際には、シリンダ穴32内から排出ポートに油が排出される。
【0029】
本実施の形態では、各ピストン38の斜板40側の端部(シリンダ穴32から突出する側の端部)、には、シュー43が取り付けられている。また、回転軸25の周囲には、スプリング44、リテーナ45a,45b、連結部材46、押圧部材47及びシュー保持部材48が設けられている。スプリング44及びリテーナ45a,45bは、シリンダブロック30のうち斜板40が設けられる側とは反対側の端部の回転軸25の周囲に形成された凹部30a内に収容されている。
図1及び
図2に示された例では、スプリング44はコイルスプリングであり、凹部30a内において、リテーナ45aとリテーナ45bとの間に圧縮された状態で配置されている。したがって、スプリング44は、その弾性力によって当該スプリング44が伸長する向きに押付力を生じる。スプリング44の押付力はリテーナ45b及び連結部材46を介して押圧部材47へ伝えられる。シュー保持部材48には、各シュー43が保持されており、押圧部材47はスプリング44の押付力を受けて、シュー保持部材48を介して各シュー43を斜板40へ向けて押圧する。
【0030】
図1及び
図2に示された例では、斜板40は様々な角度に傾転可能であるが、スプリング44の押付力によって、斜板40の傾転角にかかわらず各シュー43が斜板40に対して適切に追従して押し当てられる。これにより、ピストン38がシリンダブロック30とともに回転すると、各シュー43は斜板40上を円軌道を描くようにして移動する。なお、図示された例では、ピストン38の斜板40側の端部が球状の凸部を形成し、シュー43に形成された球状の凹部にピストン38の凸部が嵌め込まれ、シュー43の凹部がかしめられて、ピストン38及びシュー43によって球面軸受構造が形成されている。この球面軸受構造によって、斜板40の傾転角が変化しても、各シュー43は斜板40の傾転に追従して斜板40上を適切に移動回転できる。
【0031】
斜板40は、その傾転角の大きさに応じてピストン38の移動量を制御する。詳細には、斜板40は、シリンダブロック30の軸線Ax周りの回転にともなって各ピストン38を各シリンダ穴32内で移動させる。斜板40は、シリンダブロック30に対面する側において平坦な主面41を有し、主面41には、ピストン38の斜板40側の端部と連結したシュー43が押し当てられている。また、斜板40は傾転可能に設けられており、斜板40(主面41)の傾転角に応じてピストン38の往復動のストロークが変わる。すなわち、斜板40(主面41)の傾転角が大きいほど各ピストン38の往復動に伴うシリンダ穴32に対する油の吸入量及び排出量は大きくなり、斜板40(主面41)の傾転角が小さいほど各ピストン38の往復動に伴うシリンダ穴32に対する油の吸入量及び排出量は小さくなる。ここで、斜板40(主面41)の傾転角とは、斜板40の板面(主面41)が、軸線Axと直交する仮想平面に対してなす角を意味している。傾転角が0度の場合には、シリンダブロック30が軸線Ax周りに回転しても各ピストン38は往復動せず、各シリンダ穴32からの油の排出量もゼロになる。なお、
図1に示されているように、斜板40は、その傾転角を小さくしていくと、第2ハウジングブロック22に設けられたストッパ27に当接するようになっている。ストッパ27は、斜板40に対して進退可能に構成されている。これにより、斜板40の最小傾転角は、ストッパ27を斜板40に対して進退させることにより適宜調整することができる。また、斜板40は、主面41の外側に、後述の押付ロッド61が当接し押付ロッド61による押付力が作用する作用面42を有している。図示された例では、作用面42は、主面41と平行をなすように設けられている。
【0032】
第1押付手段50は、斜板40の傾転角が小さくなる向きに斜板40を押す。
図1及び
図2に示された例では、第1押付手段50は、斜板40と反対側(第1ハウジングブロック21側)に配置された第1リテーナ51と、斜板40側(第2ハウジングブロック22側)に配置された第2リテーナ52と、第1リテーナ51と第2リテーナ52との間に配置されたスプリング54,55を有している。第1スプリング54は、第1リテーナ51と第2リテーナ52との間に、圧縮された状態で配置されている。したがって、第1スプリング54は、その弾性力によって当該第1スプリング54が伸長する向きに押付力を生じる。第2スプリング55は、第1スプリング54の内側に配置されている。このため、第2スプリング55の巻径は、第1スプリング54の巻径よりも小さく形成されている。
【0033】
図1及び
図2に示された例では、第2スプリング55は第2リテーナ52に固定されており、斜板40の傾転角が小さい状態(
図1参照)において第1リテーナ51から離間している。これにより、斜板40の傾転角が小さいうちは、斜板40には第1スプリング54の押付力のみが作用する。斜板40の傾転角が大きくなっていくと、ある傾転角のときに第2スプリング55が第1リテーナ51に接触する。さらに斜板40の傾転角が大きくなる(
図2参照)と、第2スプリング55も第1リテーナ51と第2リテーナ52との間で圧縮され、これにより、斜板40には、第1スプリング54及び第2スプリング55の両方の押付力が作用する。したがって、図示された第1押付手段50によれば、斜板40の傾転角に応じて、その押付力を段階的に変化させることができる。なお、第2スプリング55は、第2リテーナ52に固定されるものに限られず、第1リテーナ51に固定されるようにしてもよいし、第1リテーナ51及び第2リテーナ52のいずれにも固定されず、第1リテーナ51と第2リテーナ52との間で移動可能にされていてもよい。図示された例では、第1リテーナ51の第2リテーナ52に対する離間距離は、アジャスタ57を第1リテーナ51に向けて進退させることにより調整可能にされている。これにより、第1押付手段50の初期押付力、とりわけ第1スプリング54による第1押付手段50の初期押付力を適宜調整することができる。なお、本実施の形態では、第2スプリング55は、第1スプリング54に対して追加の押付力を付与するために設けられているものである。したがって、第1押付手段50が発揮することを期待される押付力特性に応じて、第2スプリング55を省略することも可能である。
【0034】
第2押付手段60は、第1押付手段50による斜板40への押付力と反対向きの押付力を斜板40に作用させる。とりわけ、第2押付手段60は、第1押付手段50による斜板40の傾転角が小さくなる向きへの押付力に抗して、斜板40の傾転角が大きくなる向きに斜板40を押す。
図1及び
図2に示された例では、第2押付手段60は、押付ロッド61と、押付ロッド61の斜板40と反対側に形成された圧力室65と、を有している。圧力室65には、外部から供給される圧力が入力(導入)される。なお、本明細書において、「外部」とは、油圧ポンプ10の外部を意味する。押付ロッド61は、圧力室65に入力された圧力により斜板40に向けて押され、斜板40をその傾転軸周りに、傾転角が大きくなるように傾転させる。すなわち、第2押付手段60は、当該第2押付手段60(圧力室65)に入力された圧力により制御される。
【0035】
図1及び
図2に示された例では、押付ロッド61は、全体として略円柱状の形状を有し、その軸線が軸線Axと平行をなすようにして、斜板40の作用面42と対面して配置されている。なお、押付ロッド61は、その軸線が軸線Axと平行をなすように配置されたものに限られず、その軸線が軸線Axに対して傾斜して配置されたものであってもよい。押付ロッド61は、斜板40(作用面42)に対面する先端面61a、押付ロッド61の軸線に沿って先端面61aと反対側をなす後端面(端面)61b、及び、先端面61aと後端面61bとを接続する側面61cを有している。図示された例では、先端面61aは球面状をなしている。これにより、斜板40の傾転角の変化に起因して斜板40(作用面42)と押付ロッド61とのなす角度が変化しても、斜板40に対する押付力を先端面61aから作用面42へ適切に伝達することができる。また、押付ロッド61の後端面61bは、押付ロッド61の軸線と直交する平坦面を有している。なお、後端面61bは、圧力が作用する作用面として機能できる配置及び形状を有していればよく、その具体的な配置及び形状は特に限られない。ここで、「後端面」とは、「先端面」と概ね反対側を向く面を指している。したがって、後端面61bは、必ずしも押付ロッド61の最後端に位置する面でなくてもよい。例えば、後端面61bが、押付ロッド61の軸線に沿った中間部に設けられていてもよい。また、後端面61bは、押付ロッド61の軸線に対して傾斜した平坦面を有してもよいし、曲面を含んでもよい。例えば、後端面61bは、押付ロッド61から突出する球面状、押付ロッド61へ向けて凹んだ球面状、波状、複数の平坦面を組み合わせた形状、複数の曲面を組み合わせた形状、平坦面と曲面とを組み合わせた形状、段部を含む形状等であってもよい。
【0036】
第1ハウジングブロック21(ハウジング20)には、押付ロッド61の側面61cをガイドするための第1ガイド部23が設けられており、押付ロッド61は、第1ガイド部23に対して移動自在に配置されている。このため、押付ロッド61は、その一部が第1ガイド部23内に移動自在に保持されている。第1ガイド部23は、第1ハウジングブロック21に設けられた貫通孔で構成され、押付ロッド61の断面形状と相補形状をなす断面形状を有している。すなわち、第1ガイド部23は円形断面を有した円筒状の貫通孔で構成されている。
図1及び
図2に示された例では、第1ガイド部23は、第1ハウジングブロック21(ハウジング20)と一体に設けられている。第1ガイド部23を第1ハウジングブロック21と一体に設けるようにすると、第1ガイド部23は、第1ハウジングブロック21に穿孔することにより形成することができ、簡単な加工で第1ガイド部23を形成することが可能になる。また、第1ガイド部23を設けるために追加の部材を必要としないので、油圧ポンプ10の部品点数の削減及びコストの削減に貢献する。なお、第1ガイド部23の構成はこれに限られるものではない。一例として、第1ハウジングブロック21と別の、例えば円筒状の、部材を用いて形成された第1ガイド部23を、ハウジング20に取り付けるようにしてもよい。
【0037】
第1ハウジングブロック21(ハウジング20)には、第1ガイド部23に連通する凹部29が形成されている。凹部29には、図示しない蓋部材が嵌め込まれ、この蓋部材により圧力室65が閉塞される。一例として、蓋部材として特開2018-3609号公報に記載の押付ピンユニットが用いられてもよい。この場合、凹部29には、押付ピンユニットの凸部が嵌め込まれる。
【0038】
押付ロッド61で斜板40を押す際、斜板40からの反力により、押付ロッド61に、押付ロッド61の軸線方向に対して傾斜した向きの力が作用する場合がある。本実施の形態の油圧ポンプ10は、上述の第1ガイド部23を有していることにより、押付ロッド61に、押付ロッド61の軸線方向に対して傾斜した向きの力が作用しても、第1ガイド部23が押付ロッド61を適切に保持することができるので、押付ロッド61を安定して動作させることができる。なお、押付ロッド61の側面61cと第1ガイド部23との間には、ハウジング20内に保持された油の一部が供給され、これにより側面61cと第1ガイド部23との間の潤滑が行われる。
【0039】
押付ロッド61の斜板40と反対側には圧力室65が形成されている。本実施の形態では、押付ロッド61の後端面61bと蓋部材との間に位置する空間が圧力室65となる。圧力室65には油による圧力が入力され、この圧力が押付ロッド61の後端面61bに作用する。とりわけ、本実施の形態では押付ロッド61の後端面61bに圧力が直接的に作用する。ここで、「直接的に作用する」とは、圧力が他の部材を介することなく押付ロッド61の後端面61bに作用することを意味する。なお、これに限られず、圧力は、他の部材、例えば特開2018-3609号公報に記載の付勢ピン、を介して押付ロッド61に作用してもよい。
【0040】
なお、
図1及び
図2において、斜板40の傾転の中心をなす軸線Acは、紙面と直交する方向に延びている。したがって、軸線Axと軸線Acとの両方に直交する方向(
図1及び
図2では上方又は下方)から見たときに、軸線Axと軸線Acとは互いに直交して延びている。図示された例では、軸線Acは、軸線Axに対して第1押付手段50側にずれて位置している。これにより、軸線Acが軸線Axと交わって延びる(軸線Acと軸線Axとが1点を共有する)場合と比較して、第2押付手段60を小型化することが可能になる。
【0041】
次に、
図3A及び
図3Bを参照して、第2押付手段60に入力される圧力の一例について説明する。図示された例では、第2押付手段60に入力される圧力(外部から供給される圧力)は、ネガティブ流量制御圧力P
Nに対応した圧力である。なお
図3A~
図8Bおける符号A,Bが付された部分は、それぞれ
図1及び
図2における符号A,Bが付された部分に連通している。
【0042】
油圧アクチュエータが停止(非動作)している、又は、ゆっくりと動作(微動作)している場合、油圧アクチュエータによる油の消費量はわずかであり、油圧ポンプ10から吐出された油の多くはタンクに排出される。このときにも油圧ポンプ10を駆動するエンジン等の駆動源では燃料が消費される。したがって、油圧アクチュエータの非動作時又は微動作時には、油圧ポンプ10から吐出される油の量を減少させ、駆動源で消費される燃料を削減することが有利である。
【0043】
ネガティブ流量制御(ネガティブコントロール)機構では、油圧ポンプからコントロールバルブを経由してタンクへ向かうセンターバイパスラインにおける、コントロールバルブとタンクとの間にオリフィスが設けられる。そしてこのオリフィスを通過する油の漏れ流量がオリフィスの背圧として検出され、検出された背圧がネガティブ流量制御圧力PNとなる。油圧アクチュエータの非動作又は微動作のために、コントロールバルブを操作して当該コントロールバルブを経由し油圧アクチュエータへ向かう油の流量を減少させると、ネガティブ流量制御機構において、油圧ポンプ10からセンターバイパスラインを通ってタンクに戻される油の流量は増加する。これにともなって、センターバイパスラインのオリフィスの手前における油の圧力(背圧)PNが増大する。
【0044】
図3A及び
図3Bに示された例では、ネガティブ流量制御圧力P
Nは、当該圧力P
Nに対応する圧力に変換されて圧力室65へ入力される。とりわけ図示された例では、圧力P
Nにおける圧力の高低を反転した圧力が、圧力P
Nに対応する圧力として圧力室65へ入力される。ここで、圧力P
Nに対応する圧力とは、圧力P
Nを基にして生成された圧力を指す。図示された例では、方向切換弁81を利用して、圧力P
Nを、当該圧力P
Nに対応する圧力に変換する。方向切換弁81は、スプールと、スプールを押すスプリングとを有しており、圧力P
Nが方向切換弁81に入力されることにより、方向切換弁81のスプールの位置が制御され、方向切換弁81内の油路が切り換えられる。
【0045】
方向切換弁81に大きな圧力P
Nが入力されている場合、すなわちネガティブ流量制御機構のセンターバイパスラインを通ってタンクへ排出される油の流量が多い場合、には、方向切換弁81のスプールが圧力P
Nによりスプリングの押付力に抗して移動され、
図3Aに示されているように、パイロットポンプ71から方向切換弁81へ向かう油の流路91は、方向切換弁81から第2押付手段60へ向かう油の流路92と連通しない。図示された例では、このとき流路92は、方向切換弁81からタンク73へ向かう流路93と連通している。この場合には、第2押付手段60(圧力室65)にはパイロットポンプ71から吐出される油による圧力は入力されない。したがって、
図1に示されるように、押付ロッド61は斜板40を押さず、斜板40の傾転角は小さくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は減少する。
【0046】
方向切換弁81に小さな圧力P
Nが入力されている場合、すなわちネガティブ流量制御機構のセンターバイパスラインを通ってタンクへ排出される油の流量が少ない場合、には、方向切換弁81のスプールがスプリングの押付力により移動され、
図3Bに示されているように、流路91が流路92と連通する。図示された例では、このとき流路92は、方向切換弁81からタンク73へ向かう流路93と連通しない。この場合、第2押付手段60(圧力室65)に、パイロットポンプ71から吐出される油による圧力が入力される。したがって、
図2に示されるように、押付ロッド61が斜板40を押し、斜板40の傾転角は大きくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は増大する。
【0047】
なお、方向切換弁81のスプールは、流路91と流路92とが完全に連通される位置(全開位置)と完全に遮断される位置(全閉位置)との間を連続的に移動し、全開位置と全閉位置との間の中間位置をも取り得る。すなわち、これにより、方向切換弁81における流路91と流路92とを接続する流路の開度は、当該方向切換弁81に入力される圧力PNの圧力に応じて連続的に制御される。
【0048】
図3A及び
図3Bに示された例では、パイロットポンプ71から吐出され、圧力P
Nにより制御される方向切換弁81を通ってその圧力が調整されて第2押付手段60へ入力される圧力が、圧力P
Nに対応する圧力となる。とりわけ図示された例では、方向切換弁81に入力される圧力P
Nが大きくなると、第2押付手段60へ入力される圧力は小さくなり、方向切換弁81に入力される圧力P
Nが小さくなると、第2押付手段60へ入力される圧力は大きくなる。すなわち、圧力P
Nの圧力に対してその高低を反転した圧力を有する圧力が、第2押付手段60へ入力される。
【0049】
エンジン等の駆動源が停止しており、油圧ポンプ10から油が吐出されない場合、方向切換弁81にはネガティブ流量制御機構からの圧力P
Nが入力されない。これにより、
図3Bに示されているように、流路91が流路92と連通する。その一方、駆動源が停止している場合には、パイロットポンプ71も停止しており、パイロットポンプ71からは油が吐出されない。したがって、この場合には、第2押付手段60に圧力が入力されない。すなわち、
図1に示されるように、押付ロッド61は斜板40を押さず、斜板40の傾転角は小さくなる。とりわけ斜板40の傾転角は最小となる。
【0050】
従来の油圧ポンプでは、エンジンの始動時に、制御用ピストンには圧力が入力されていないため、斜板の傾転角が最大となる。すなわち、油圧ポンプを駆動するために必要なトルクが最大となっている。この場合、エンジンを始動して油圧ポンプの駆動を開始するためには大きな駆動力を必要とする。とりわけ、低温環境下では油の粘度が大きくなるため、エンジンを始動するために必要な駆動トルクは極めて大きくなる。このため、油圧ポンプが低温環境下で用いられる場合には、エンジンを始動するために用いられるバッテリーのサイズを大きくする等の対処が必要になる。
【0051】
これに対して、
図1~
図3Bに示された油圧ポンプ10では、エンジン等の駆動源の始動時には、斜板40の傾転角は小さくなる。すなわち、油圧ポンプ10を駆動するために必要なトルクが小さくなる。とりわけ図示された例では、エンジン等の駆動源の始動時には、斜板40の傾転角は最小となる。すなわち、油圧ポンプ10を駆動するために必要なトルクが最小となる。したがって、油の粘度が大きくなる低温環境下であっても、油圧ポンプ10の駆動を開始するために必要な駆動トルクを低減することが可能になる。これにより、駆動源を始動するために用いられるバッテリーのサイズを小さくすることができる。このことは、油圧ポンプ10及び駆動源を含んだ油圧駆動システム全体の小型化にも寄与する。なお、駆動源の始動時の斜板40の傾転角は、必ずしも最小の傾転角度となっている必要はない。駆動源の始動時の斜板40の傾転角が最大の傾転角度よりも小さな角度となっていれば、油圧ポンプ10を駆動するために必要なトルクを小さくすることができる。例えば、駆動源の始動時の斜板40の傾転角は、最小の傾転角度と最大の傾転角度との間の中央の角度よりも小さい角度とすることができる。換言すると、駆動源の始動時の斜板40の傾転角は、最小の傾転角度と最大の傾転角度との和の1/2よりも小さい角度とすることができる。
【0052】
本実施の形態の油圧ポンプ10は、複数のシリンダ穴32を有し、回転可能に配置されたシリンダブロック30と、各シリンダ穴32内に移動自在に保持されたピストン38と、傾転角の大きさに応じてピストン38の移動量を制御する斜板40と、斜板40の傾転角が小さくなる向きに斜板40を押す第1押付手段50と、外部から供給される圧力により斜板40の傾転角が大きくなる向きに斜板40を押す第2押付手段60と、を備える。
【0053】
このような油圧ポンプ10によれば、外部から供給される圧力により制御される第2押付手段60が、斜板40をその傾転角が大きくなる向きに押すので、第2押付手段60に当該圧力が入力されない駆動源の始動時には、斜板40の傾転角を小さくすることができる。これにより、油の粘度が大きくなる低温環境下であっても、油圧ポンプ10の駆動を開始するために必要な駆動トルクを低減することが可能になる。
【0054】
本実施の形態の油圧ポンプ10では、第2押付手段60は、斜板40をその傾転角が大きくなる向きに押す押付ロッド61を有し、押付ロッド61における斜板40と反対側の端面61bに外部から供給される圧力が作用する。
【0055】
このような油圧ポンプ10によれば、比較的簡単な構造で第2押付手段60を実現することができるので、部品点数の削減及び油圧ポンプ10の小型化が可能になる。
【0056】
本実施の形態の油圧ポンプ10では、外部から供給される圧力は、ネガティブ流量制御圧力PNに対応した圧力である。
【0057】
このような油圧ポンプ10によれば、油圧アクチュエータの非動作時及び微動作時に、第2押付手段60の押付力が減少する。したがって、斜板40は、その傾転角が小さくなるように傾転し、油圧ポンプ10から吐出される油の流量が減少するようになる。これにより、駆動源で消費される燃料の無駄を削減し、油圧ポンプ10を備えた油圧機器の省エネルギー性を効果的に向上させることができる。
【0058】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0059】
図4A及び
図4Bは、油圧ポンプ10の一変形例を示す図であって、油圧ポンプ10の第2押付手段60に入力される圧力について説明するための図である。図示された例では、第2押付手段60に入力される圧力(外部から供給される圧力)は、ロードセンシング(LS)流量制御圧力P
LSに対応した圧力である。
【0060】
図示された例では、油圧ポンプ10とコントロールバルブ75とを接続する流路94の途中から分岐した流路95が、方向切換弁82に接続されている。油圧ポンプ10の稼働により油圧ポンプ10のシリンダ穴32から排出された油は、流路94を経由してコントロールバルブ75へ向かい、コントロールバルブ75から各油圧アクチュエータへ向かう。油圧ポンプ10(シリンダ穴32)から吐出(排出)された油の一部は、流路94から分岐した流路95を通って方向切換弁82へ向かう。また、方向切換弁82における、ロードセンシング流量制御圧力P
LSが入力される端部と反対側の端部(
図4A及び
図4Bでは下端部、以下「反対側端部」とも呼ぶ)には、流路94の途中から分岐した流路96が接続されている。これにより、方向切換弁82の反対側端部には、油圧ポンプ10のシリンダ穴32から排出され流路94,96を通って入力される油の圧力が作用する。
【0061】
ロードセンシング流量制御機構では、油圧ポンプ10から吐出される油量よりも油圧アクチュエータで消費される油量が少ない場合、
図4Aに示されているように、方向切換弁82には、相対的に小さなロードセンシング流量制御圧力P
LSが入力される。
図4A及び
図4Bに示された例では、圧力P
LSは、当該圧力P
LSに対応する圧力に変換されて圧力室65へ入力される。とりわけ図示された例では、圧力P
LSにおける圧力の高低に対応した圧力が、圧力P
LSに対応する圧力として圧力室65へ入力される。
【0062】
方向切換弁82に相対的に小さな圧力P
LSが入力されている場合には、方向切換弁82の反対側端部に作用する油の圧力により、方向切換弁82のスプールが圧力P
LS及びスプリングの押付力に抗して移動され、
図4Aに示されているように、シリンダ穴32から方向切換弁82へ向かう油の流路95は、方向切換弁82から第2押付手段60へ向かう油の流路92と連通しない。図示された例では、このとき流路92は、方向切換弁82からタンク73へ向かう流路93と連通している。この場合、第2押付手段60には、油圧ポンプ10のシリンダ穴32から排出されコントロールバルブ75へ向かう油の一部による圧力は入力されない。したがって、
図1に示されるように、押付ロッド61は斜板40を押さず、斜板40の傾転角は小さくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は減少する。
【0063】
方向切換弁82に相対的に大きな圧力P
LSが入力されている場合には、圧力P
LS及びスプリングの押付力により、方向切換弁82のスプールが方向切換弁82の反対側端部に作用する油の圧力に抗して移動され、
図4Bに示されているように、流路95が流路92と連通する。図示された例では、このとき流路92は、方向切換弁82からタンク73へ向かう流路93と連通しない。この場合、第2押付手段60に、油圧ポンプ10のシリンダ穴32から排出されコントロールバルブ75へ向かう油の一部による圧力が入力される。したがって、
図2に示されるように、押付ロッド61が斜板40を押し、斜板40の傾転角は大きくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は増大する。
【0064】
エンジン等の駆動源が停止しており、油圧ポンプ10(シリンダ穴32)から油が吐出(排出)されない場合、方向切換弁82のスプールの位置に関わらず、流路95から流路92へ圧力が入力されることはない。すなわち、第2押付手段60には圧力が入力されない。この場合、
図1に示されるように、押付ロッド61は斜板40を押さず、斜板40の傾転角は小さくなる。とりわけ斜板40の傾転角は最小となる。
【0065】
図5A及び
図5Bは、油圧ポンプ10の他の変形例を示す図であって、油圧ポンプ10の第2押付手段60に入力される圧力について説明するための図である。
【0066】
作業機械等の油圧機器には、複数の油圧アクチュエータの動作を一括してロックするためのロックレバーが設置されている場合がある。図示された例では、第2押付手段60に入力される圧力(外部から供給される圧力)は、このロックレバーの操作により生成されたロックレバー圧力PLLに対応した圧力である。
【0067】
図5A及び
図5Bに示された例では、ロックレバー圧力P
LLは、当該圧力P
LLに対応する圧力に変換されて圧力室65へ入力される。とりわけ図示された例では、圧力P
LLにおける圧力の高低を反転した圧力が、圧力P
LLに対応する圧力として圧力室65へ入力される。図示された例では、方向切換弁83を利用して、圧力P
LLを、当該圧力P
LLに対応する圧力に変換する。方向切換弁83は、スプールと、スプールを押すスプリングとを有しており、圧力P
LLが方向切換弁83に入力されることにより、方向切換弁83のスプールの位置が制御され、方向切換弁83内の油路が切り換えられる。
【0068】
ロックレバーにより油圧アクチュエータの動作がロックされ、方向切換弁83に小さな圧力P
LLが入力される場合には、方向切換弁83のスプールがスプリングにより押されて位置決めされ、
図5Aに示されているように、パイロットポンプ71から方向切換弁83へ向かう油の流路91は、方向切換弁83から第2押付手段60へ向かう油の流路92と連通しない。図示された例では、このとき流路92は、方向切換弁83からタンク73へ向かう流路93と連通している。この場合には、第2押付手段60(圧力室65)にはパイロットポンプ71から吐出される油による圧力は入力されない。したがって、
図1に示されるように、押付ロッド61は斜板40を押さず、斜板40の傾転角は小さくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は減少する。
【0069】
ロックレバーにより油圧アクチュエータの動作のロックが解除され、方向切換弁83に大きな圧力P
LLが入力される場合には、方向切換弁83のスプールが圧力P
LLによりスプリングの押付力に抗して移動され、
図5Bに示されているように、流路91が流路92と連通する。図示された例では、このとき流路92は、方向切換弁83からタンク73へ向かう流路93と連通しない。この場合、第2押付手段60(圧力室65)に、パイロットポンプ71から吐出される油による圧力が入力される。したがって、
図2に示されるように、押付ロッド61が斜板40を押し、斜板40の傾転角は大きくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は増大する。
【0070】
図6A~
図6Cは、油圧ポンプ10のさらに他の変形例を示す図であって、油圧ポンプ10の第2押付手段60に入力される圧力について説明するための図である。図示された例では、第2押付手段60に入力される圧力は、ネガティブ流量制御圧力P
N及びロックレバー圧力P
LLに対応した圧力である。
【0071】
ネガティブ流量制御機構のセンターバイパスラインを通ってタンクへ排出される油の流量が少なく、ロックレバーにより油圧アクチュエータの動作がロックされている場合、すなわち方向切換弁81に小さな圧力P
Nが入力されており、方向切換弁83にも小さな圧力P
LLが入力されている場合には、方向切換弁81,83のスプールがスプリングにより押されて位置決めされ、
図6Aに示されているように、パイロットポンプ71から方向切換弁83へ向かう油の流路91は、方向切換弁83から方向切換弁81へ向かう油の流路97と連通しない。なお、方向切換弁83から第2押付手段60へ向かう油の流路92と流路97とは、方向切換弁81を介して連通している。図示された例では、このとき流路97は、方向切換弁83からタンク73へ向かう流路93と連通している。また、流路92は、方向切換弁81からタンク73へ向かう流路98と連通しない。この場合には、第2押付手段60にはパイロットポンプ71から吐出される油による圧力は入力されない。したがって、
図1に示されるように、押付ロッド61は斜板40を押さず、斜板40の傾転角は小さくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は減少する。
【0072】
ロックレバーにより油圧アクチュエータの動作のロックが解除され、方向切換弁83に大きな圧力P
LLが入力されると、方向切換弁83のスプールが圧力P
LLによりスプリングの押付力に抗して移動され、
図6Bに示されているように、流路91が流路97と連通する。図示された例では、このとき流路97は流路93と連通しない。この場合、第2押付手段60に、パイロットポンプ71から吐出される油による圧力が、流路91,97,92を介して入力される。したがって、
図2に示されるように、押付ロッド61が斜板40を押し、斜板40の傾転角は大きくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は増大する。
【0073】
ネガティブ流量制御機構のセンターバイパスラインを通ってタンクへ排出される油の流量が増大し、方向切換弁81に大きな圧力P
Nが入力されると、方向切換弁81のスプールが圧力P
Nによりスプリングの押付力に抗して移動され、
図6Cに示されているように、流路97は流路92と連通しない。図示された例では、このとき流路92は流路98と連通している。この場合には、第2押付手段60にはパイロットポンプ71から吐出される油による圧力は入力されない。したがって、
図1に示されるように、押付ロッド61は斜板40を押さず、斜板40の傾転角は小さくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は減少する。
【0074】
図7A及び
図7Bは、油圧ポンプ10のさらに他の変形例を示す図であって、油圧ポンプ10の第2押付手段60に入力される圧力について説明するための図である。図示された例では、第2押付手段60に入力される圧力(外部から供給される圧力)は、ロードセンシング流量制御圧力P
LS及びロックレバー圧力P
LLに対応した圧力である。本変形例では、
図4A及び
図4Bを参照して説明した変形例における流路95の途中に、ロックレバー圧力P
LLにより動作する方向切換弁83が配置される。本変形例における方向切換弁83以外の各部の構成、動作及び効果については、
図4A及び
図4Bを参照して説明した変形例と同様であるので、具体的な説明は省略する。
【0075】
図7A及び
図7Bに示された例では、方向切換弁83は流路95の途中に配置されており、これにより流路95は、流路94と方向切換弁83とを接続する流路95aと、方向切換弁83と方向切換弁82とを接続する流路95bとに区分される。
【0076】
ロックレバーにより油圧アクチュエータの動作がロックされている場合、方向切換弁83には小さな圧力P
LLが入力される。方向切換弁83のスプールはスプリングにより押されて位置決めされ、
図7Aに示されているように、流路94の途中から分岐して方向切換弁83に接続される流路95aは、方向切換弁83と方向切換弁82とを接続する流路95bと連通しない。図示された例では、このとき流路95bは、方向切換弁83からタンク73へ向かう流路99と連通している。
【0077】
図7Aに示された例では、方向切換弁82のスプールの位置に関わらず、流路94は、方向切換弁82から第2押付手段60へ向かう油の流路92と連通しない。図示された例では、このとき流路92は、方向切換弁82からタンク73へ向かう流路93と連通している。この場合には、第2押付手段60には、油圧ポンプ10のシリンダ穴32から排出されコントロールバルブ75へ向かう油の一部による圧力は入力されない。したがって、
図1に示されるように、押付ロッド61は斜板40を押さず、斜板40の傾転角は小さくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は減少する。
【0078】
ロックレバーにより油圧アクチュエータの動作のロックが解除され、方向切換弁83に大きな圧力P
LLが入力されると、方向切換弁83のスプールが圧力P
LLによりスプリングの押付力に抗して移動され、
図7Bに示されているように、方向切換弁83を介して流路95aと流路95bとが連通する。これにより、油圧ポンプ10のシリンダ穴32から排出されコントロールバルブ75へ向かう油の一部による圧力が、流路95(95a,95b)を通って方向切換弁82に到達する。
【0079】
図7Bに示した状態から、圧力P
LSにより方向切換弁82のスプールが移動すると、流路95(95b)が流路92と連通する。図示された例では、このとき流路92は、方向切換弁82からタンク73へ向かう流路93と連通しない。この場合、第2押付手段60に、油圧ポンプ10のシリンダ穴32から排出されコントロールバルブ75へ向かう油の一部による圧力が入力される。したがって、
図2に示されるように、押付ロッド61が斜板40を押し、斜板40の傾転角は大きくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は増大する。
【0080】
さらに他の変形例として、第2押付手段60に入力される圧力は、ポジティブ流量制御(ポジティブコントロール)圧力PPに対応した圧力であってもよい。圧力PPは、そのまま第2押付手段60の圧力室65に入力されてもよいし、方向切換弁等を用いて、圧力PPに対応する他の圧力に変換されて圧力室65に入力されてもよい。
【0081】
ここでは、圧力P
Pが、他の圧力に変換されることなくそのまま第2押付手段60の圧力室65に入力される例について説明する。ポジティブ流量制御機構では、バルブを操作するパイロット操作弁のパイロット圧力が、油圧ポンプ10にフィードバックされる。本変形例では、このパイロット圧力が圧力P
Pとして第2押付手段60(圧力室65)に入力される。第2押付手段60に小さな圧力P
Pが入力される場合、
図1に示されるように、押付ロッド61は斜板40を押さず、斜板40の傾転角は小さくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は減少する。第2押付手段60に大きな圧力P
Pが入力される場合、
図2に示されるように、押付ロッド61が斜板40を押し、斜板40の傾転角は大きくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は増大する。
【0082】
図8A及び
図8Bは、油圧ポンプ10のさらに他の変形例を示す図であって、油圧ポンプ10の第2押付手段60に入力される圧力について説明するための図である。図示された例では、第2押付手段60に入力される圧力(外部から供給される圧力)は、電気信号(電圧信号)Vが電磁比例弁により油圧に変換された圧力である。
【0083】
図示された例において、方向切換弁85は電磁比例弁であり、入力された電気信号Vを対応する油圧による圧力に変換する機能を有する。電気信号Vとしては、例えば、ネガティブ流量制御圧力PN、ポジティブ流量制御圧力PP、ロードセンシング流量制御圧力PLS、ロックレバー圧力PLLのいずれかに対応する電気信号、又は、これらの2つ以上を組み合わせた電気信号を用いることができる。
【0084】
方向切換弁85に小さな電気信号Vが入力されている場合には、方向切換弁85のスプールが、スプリングの押付力により位置決めされ、
図8Aに示されているように、パイロットポンプ71から方向切換弁85へ向かう油の流路91は、方向切換弁85から第2押付手段60へ向かう油の流路92と連通しない。図示された例では、このとき流路92は、方向切換弁85からタンク73へ向かう流路93と連通している。この場合には、第2押付手段60にはパイロットポンプ71から吐出される油による圧力は入力されない。したがって、
図1に示されるように、押付ロッド61は斜板40を押さず、斜板40の傾転角は小さくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は減少する。
【0085】
方向切換弁85に大きな電気信号Vが入力されている場合には、方向切換弁85のスプールが、電気信号Vに応じて駆動されるソレノイドによる押付力によりスプリングの押付力に抗して移動され、
図8Bに示されているように、流路91が流路92と連通する。図示された例では、このとき流路92は、方向切換弁85からタンク73へ向かう流路93と連通しない。この場合、第2押付手段60に、パイロットポンプ71から吐出される油による圧力が入力される。したがって、
図2に示されるように、押付ロッド61が斜板40を押し、斜板40の傾転角は大きくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される油の流量は増大する。
【0086】
以上に説明した各変形例の油圧ポンプ10においても、
図1~
図3Bを参照して説明した実施の形態の油圧ポンプ10と同様に、エンジン等の駆動源の始動時には、斜板40の傾転角は最小となる。すなわち、油圧ポンプ10を駆動するために必要なトルクが最小となる。したがって、油の粘度が大きくなる低温環境下であっても、油圧ポンプ10の駆動を開始するために必要な駆動トルクを低減することが可能になる。
【0087】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 油圧ポンプ
20 ハウジング
21 第1ハウジングブロック
23 第1ガイド部
29 凹部
22 第2ハウジングブロック
25 回転軸
30 シリンダブロック
32 シリンダ穴
35 吸排プレート
38 ピストン
40 斜板
41 主面
42 作用面
43 シュー
50 第1押付手段
51 第1リテーナ
52 第2リテーナ
54 第1スプリング
55 第2スプリング
60 第2押付手段
61 押付ロッド
61a 先端面
61b 後端面(端面)
61c 側面
65 圧力室
71 パイロットポンプ
73 タンク
75 コントロールバルブ
81 方向切換弁
82 方向切換弁
83 方向切換弁
85 方向切換弁