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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/872 20060101AFI20240902BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20240902BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240902BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20240902BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20240902BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20240902BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240902BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240902BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240902BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240902BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H01L29/86 301F
H01L29/86 301D
H01L29/48 D
H01L29/48 F
H01L29/48 E
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/86 301E
H01L29/48 P
H01L29/91 K
H01L29/91 F
H01L29/78 652T
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652G
H01L29/78 652F
H01L29/78 652N
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/78 652L
H01L29/78 652H
H01L29/78 652K
H01L29/78 655A
H01L29/78 655C
H01L29/86 301P
H01L21/28 A
H01L21/28 301B
H01L29/50 M
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022192348
(22)【出願日】2022-11-30
(62)【分割の表示】P 2020510952の分割
【原出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2023014254
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2018068567
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018068568
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 成哉
(72)【発明者】
【氏名】春山 沙和
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-063145(JP,A)
【文献】特開2006-041248(JP,A)
【文献】国際公開第2015/060441(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/199510(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/872
H01L 29/47
H01L 29/06
H01L 21/329
H01L 29/861
H01L 29/868
H01L 29/12
H01L 29/78
H01L 29/739
H01L 21/28
H01L 29/417
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有するSiC半導体層と、
前記第1主面に形成された半導体素子と、
前記第2主面において第1方向および前記第1方向に交差する第2方向に互いに間隔を空けて形成された複数の隆起部を含む隆起部群と、
前記第2主面において前記隆起部群に直接接続された電極と、
前記第2主面の表層部に形成されたSiC層であって、前記SiC半導体層よりも高いシリコン密度を有するSiC層と、を含み、
前記隆起部群が前記SiC層に形成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記電極は、シリサイド層を介さずに前記隆起部群に接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2主面において前記隆起部群に隣接して、前記隆起部が形成されないスペースが区画されており、
前記SiC層が、前記隆起部群に沿う部分と、前記スペースに沿う部分と、を含む、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電極は、Ti、Ni、AuおよびAgのうちの少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電極は、前記隆起部群に接するTi層を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電極は、前記隆起部群に接するNi層を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記隆起部群は、前記第1方向から見て複数の前記隆起部が前記第1方向に重なるレイアウトを有している、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記隆起部群は、複数の前記隆起部が前記第1方向に連続的に形成されたレイアウトを有している、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
複数の前記隆起部群が、前記第2方向に間隔を空けて形成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
互いに隣り合う複数の前記隆起部群の間の距離は、100μm以下である、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記隆起部群は、前記第2方向に関して10μm以上200μm以下の範囲に形成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2主面に形成された溝をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記溝は、前記隆起部群に交差している、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記隆起部群は、前記溝に沿って形成された複数の前記隆起部を含む、請求項12または13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記SiC半導体層は、4H-SiCを含み、
前記第1方向は、[11-20]方向である、請求項1~14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記SiC半導体層は、4H-SiCを含み、
前記第1方向は、[1-100]方向である、請求項1~14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記SiC半導体層は、(0001)面について[11-20]方向に向けて10°以内の角度で傾斜したオフ角を有している、請求項15または16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記オフ角は、0°以上4°以下である、請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記半導体素子は、ショットキーバリアダイオードを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記半導体素子は、電界効果トランジスタを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、SiC基板と、SiC基板の表面に形成されたショットキーバリアダイオードと、SiC基板の裏面に形成されたオーミック電極層と、を含む、半導体装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-198780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態は、SiCを含む構造において電気的特性を向上できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有するSiC半導体層と、前記第1主面に形成された半導体素子と、前記第2主面において互いに間隔を空けて形成された複数の隆起部を含み、複数の前記隆起部のうちの幾つかの前記隆起部が前記第2主面の面方向の1つである第1方向から見た第1方向視において互いに重なる第1部分を有する隆起部群と、前記第2主面の上に形成され、前記隆起部群に接続された電極と、を含む、半導体装置を提供する。
【0006】
一実施形態は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有するSiC半導体層と、前記第1主面に形成された半導体素子と、前記第2主面において第1方向および前記第1方向に交差する第2方向に沿って互いに間隔を空けて形成された複数の隆起部を含む隆起部群と、前記第2主面において前記隆起部群に直接接続された電極と、を含む、半導体装置を提供する。
【0007】
これらの半導体装置によれば、隆起部群によって第2主面に対する電極の接続面積を増加させることができる。これにより、電気的特性を向上できる。
【0008】
上述の、または、さらに他の目的、特徴および効果は、添付図面を参照して次に述べる実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す半導体装置の上面図である。
図3図3は、図1に示す半導体装置の底面図であって、隆起部群の第1形態例を示す底面図である。
図4A図4Aは、隆起部群の第2形態例を示す図である。
図4B図4Bは、隆起部群の第3形態例を示す図である。
図4C図4Cは、隆起部群の第4形態例を示す図である。
図4D図4Dは、隆起部群の第5形態例を示す図である。
図5図5は、図2に示すV-V線に沿う断面図である。
図6A図6Aは、図1に示す半導体装置の製造に使用される半導体ウエハを示す上面図である。
図6B図6Bは、図6Aに示す半導体ウエハの底面図であって、研削工程およびアニール処理を経た状態を示す図である。
図7図7は、図1に示す半導体装置の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図8A図8Aは、図1に示す半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図8B図8Bは、図8Aの後の工程を示す断面図である。
図8C図8Cは、図8Bの後の工程を示す断面図である。
図8D図8Dは、図8Cの後の工程を示す断面図である。
図8E図8Eは、図8Dの後の工程を示す断面図である。
図8F図8Fは、図8Eの後の工程を示す断面図である。
図8G図8Gは、図8Fの後の工程を示す断面図である。
図8H図8Hは、図8Gの後の工程を示す断面図である。
図8I図8Iは、図8Hの後の工程を示す断面図である。
図8J図8Jは、図8Iの後の工程を示す断面図である。
図8K図8Kは、図8Jの後の工程を示す断面図である。
図8L図8Lは、図8Kの後の工程を示す断面図である。
図8M図8Mは、図8Lの後の工程を示す断面図である。
図8N図8Nは、図8Mの後の工程を示す断面図である。
図8O図8Oは、図8Nの後の工程を示す断面図である。
図8P図8Pは、図8Oの後の工程を示す断面図である。
図8Q図8Qは、図8Pの後の工程を示す断面図である。
図8R図8Rは、図8Qの後の工程を示す断面図である。
図9図9は、抵抗値および金属層の厚さの関係を示すグラフである。
図10図10は、抵抗値およびレーザ照射位置のオーバラップ量の関係を示すグラフである。
図11図11は、図2に対応する底面図であって、本発明の第2実施形態に係る半導体装置を示す底面図である。
図12図12は、図5に対応する断面図であって、本発明の第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図13図13は、図5に対応する断面図であって、本発明の第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図14図14は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置を示す上面図であって、SiC半導体層の第1主面よりも上の構造を取り除いた図である。
図15図15は、図14に示すXV-XV線に沿う断面図である。
図16図16は、本発明の第6実施形態に係る半導体装置を示す上面図であって、SiC半導体層の第1主面よりも上の構造を取り除いた図である。
図17図17は、図16に示すXVII-XVII線に沿う断面図である。
図18図18は、本発明の第7実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図19図19は、図18に示す半導体装置の底面図である。
図20図20は、図18に示す領域XXの拡大図であって、SiC半導体層の第1主面よりも上の構造を取り除いた図である。
図21図21は、図20のXXI-XXI線に沿う断面図である。
図22図22は、図20のXXII-XXII線に沿う断面図である。
図23図23は、図22の領域XXIIIの拡大図である。
図24図24は、シート抵抗を説明するためのグラフである。
図25図25は、図20に対応する領域の拡大図であって、本発明の第8実施形態に係る半導体装置の構造を説明するための拡大図である。
図26図26は、図25に示すXXVI-XXVI線に沿う断面図である。
図27図27は、図21に対応する領域の断面図であって、本発明の第9実施形態に係る半導体装置の構造を説明するための断面図である。
図28図28は、図20に対応する領域の拡大図であって、本発明の第10実施形態に係る半導体装置の構造を説明するための拡大図である。
図29図29は、図21に対応する領域の断面図であって、本発明の第11実施形態に係る半導体装置の構造を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1を示す斜視図である。図2は、図1に示す半導体装置1の上面図である。図3は、図1に示す半導体装置1の底面図であって、隆起部群12の第1形態例を示す底面図である。
【0011】
図1を参照して、半導体装置1は、SiC(炭化シリコン)単結晶を含むSiC半導体層2を有している。SiC半導体層2は、4H-SiC単結晶を含んでいてもよい。
【0012】
SiC半導体層2は、(0001)面から[11-20]方向に対して10°以内の角度で傾斜したオフ角を有している。オフ角は、より具体的には、0°以上4°以下(たとえば2°または4°)である。オフ角は、0°を超えて4°未満であってもよい。オフ角は、典型的には、2°または4°、より具体的には、2°±10%の範囲または4°±10%の範囲に設定される。
【0013】
SiC半導体層2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する側面5A、5B、5C、5Dを有している。第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において、四角形状に形成されている。
【0014】
側面5Aは、側面5Dに対向している。側面5Bは、側面5Cに対向している。4つの側面5A~5Dは、第1主面3および第2主面4の法線方向に沿って平面的にそれぞれ延びている。側面5A~5Dの長さは、それぞれ、1mm以上10mm以下(たとえば2mm以上5mm以下)であってもよい。
【0015】
図1および図2を参照して、第1主面3の上には、絶縁層6、電極7、絶縁層8および樹脂層9が形成されている。第2主面4の上には、電極10が形成されている。絶縁層6、電極7、絶縁層8、樹脂層9および電極10の構造については後述する。
【0016】
図3および図3の拡大図を参照して、第2主面4には、複数の隆起部11を含む隆起部群12が形成されている。複数の隆起部11は、第2主面4において第2主面4の法線方向に沿って隆起した部分である。
【0017】
複数の隆起部11は、任意の第1方向Xおよび第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って互いに間隔を空けて形成されている。第1方向Xは、SiC半導体層2の第1主面3の面方向の1つである。
【0018】
第1方向Xは、この形態では、側面5B、5Dに平行な方向に設定されている。第2方向Yは、より具体的には、第1方向Xに直交する方向である。つまり、第2方向Yは、この形態では、側面5A、5Cに平行な方向に設定されている。
【0019】
隆起部群12は、複数の隆起部11のうちの幾つかの隆起部11が第1方向Xから見た第1方向視において第1方向Xに重なる第1部分17を有している。隆起部群12は、複数の隆起部11のうちの幾つかの隆起部11が第1部分17から離間して形成され、かつ、第1方向視において第1方向Xに重なる第2部分18を有している。
【0020】
複数の隆起部11は、第1方向Xに沿って連続的に形成されている。複数の隆起部11は、より具体的には、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って間隔を空けて点在する点在パターンを有している。
【0021】
複数の隆起部11は、この点在パターンを維持しながら、第1方向Xに沿って連続的に形成されている。複数の隆起部11は、この形態では、平面視において一方の側面5A側の周縁から他方の側面5C側の周縁に亘って形成されている。
【0022】
隆起部群12において第1方向Xに間隔を空けて形成された複数の隆起部11の間の距離は、互いに異なっていてもよい。隆起部群12において第2方向Yに間隔を空けて形成された複数の隆起部11の間の距離は、互いに異なっていてもよい。
【0023】
複数の隆起部11は、不均一な形状、大きさおよび厚さでそれぞれ形成されていてもよい。隆起部11の厚さは、第2主面4の法線方向に関して、隆起部11の基部から頂部(先端部)までの距離である。
【0024】
複数の隆起部11は、平面視において0μmを超えて10μm以下の大きさをそれぞれ有していてもよい。各隆起部11の厚さは、0μmを超えて2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0025】
各隆起部11の厚さは、0nmを超えて500nm以下であってもよい。各隆起部11の厚さは、0nmを超えて1nm以上、1nm以上50nm以下、50nm以上100nm以下、100nm以上200nm以下、200nm以上300nm以下、300nm以上400nm以下、または、400nm以上500nm以下であってもよい。
【0026】
隆起部群12は、第2主面4において側面5A~5D(この形態では側面5A、5C)の幅よりも狭い範囲に形成されている。隆起部群12は、側面5A~5D(この形態では側面5A、5C)の幅に対して1/1000以上1/5以下の範囲に形成されていてもよい。
【0027】
隆起部群12は、側面5A~5Dの幅に対して1/1000以上1/500以下、1/500以上1/100以下、1/100以上1/50以下、1/50以上1/10以下、または、1/10以上1/5以下の範囲に形成されていてもよい。
【0028】
隆起部群12は、側面5A~5D(この形態では側面5A、5C)の幅に対して200分の1以上10分の1以下の範囲に形成されていてもよい。隆起部群12は、第2方向Yに関して10μm以上200μm以下の範囲に形成されていてもよい。
【0029】
隆起部群12は、第2方向Yに関して10μm以上50μm以下、50μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、または、150μm以上200μm以下の範囲に形成されていてもよい。隆起部群12は、第2方向Yに関して50μm以上150μm以下、または、80μm以上120μm以下の範囲に形成されていてもよい。
【0030】
隆起部群12は、第1方向Xから見た第1方向視において複数の隆起部11が第1方向Xに重なるレイアウトを有している。隆起部群12は、第1方向Xに沿って連続的に点在する複数の隆起部11の集合パターンによって、第1方向Xに沿って帯状に延びる隆起部群領域13を形成している。
【0031】
換言すると、隆起部群領域13は、第2主面4において第1方向Xに沿って延びる帯状の領域に形成された複数の隆起部11(隆起部群12)を含む。第2主面4には、このような形態を有する隆起部群12(隆起部群領域13)が、第2方向Yに沿って間隔を空けて複数形成されている。
【0032】
つまり、複数の隆起部11の点在パターンは、第2方向Yから見た第2方向視において断続的に形成されている。複数の隆起部群12の間の距離は、隆起部群12が形成された範囲の1%以上25%以下の値を有していてもよい。複数の隆起部群12の間の距離は、隆起部群12が形成された範囲の1%以上5%以下、5%以上10%以下、10%以上15%以下、15%以上20%以下、または、20%以上25%以下の値を有していてもよい。
【0033】
第2方向Yに関して、互いに隣り合う複数の隆起部群12の間の距離は、0μmを超えて100μm以下であってもよい。複数の隆起部群12の間の距離は、0μmを超えて20μm以下、20μm以上40μm以下、40μm以上60μm以下、60μm以上80μm以下、または、80μm以上100μm以下であってもよい。複数の隆起部群12の間の距離は、5μm以上50μm以下であってもよい。
【0034】
第1方向Xが[11-20]方向に設定され、第2方向Yが[1-100]方向に設定されていてもよい。つまり、隆起部群12は、[11-20]方向に対してほぼ平行にまたは平行に延びる帯状の隆起部群領域13を形成し、[1-100]方向に沿って間隔を空けて複数形成されていてもよい。
【0035】
第1方向Xが[1-100]方向に設定され、第2方向Yが[11-20]方向に設定されていてもよい。つまり、隆起部群12は、[1-100]方向に対してほぼ平行にまたは平行に延びる帯状の隆起部群領域13を形成し、[11-20]方向に沿って間隔を空けて複数形成されていてもよい。
【0036】
第2主面4において第2方向Yに互いに隣り合う隆起部群12の間の領域には、スペース14が区画されている。スペース14は、複数の隆起部11を含む点在パターンを有していない。
【0037】
スペース14は、互いに隣り合う隆起部群12(隆起部群領域13)によって第1方向Xに平行に延びる帯状に区画されている。これにより、第2主面4には、第2方向Yに沿って交互に形成された隆起部群12およびスペース14を含むストライプパターンが形成されている。
【0038】
第2主面4には、複数の溝16が形成されている。図3および図3の拡大図では、溝16がラインによって示されている。溝16は、隆起部群12およびスペース14に形成されている。
【0039】
複数の溝16は、後述するSiC半導体ウエハ41の第2ウエハ主面43に対する研削に起因して生じた研削痕を含む。したがって、溝16が延びる方向は、SiC半導体ウエハ41からSiC半導体層2が切り出される位置に応じて異なる。
【0040】
溝16は、各隆起部群12に対してほぼ平行にまたは平行に延びていてもよい。溝16は、隆起部群12に交差する部分を含んでいてもよい。溝16は、各隆起部群12に交差または直交する方向に沿って延びていてもよい。溝16は、直線状に延びていてもよいし、円弧状に延びていてもよい。
【0041】
各隆起部群12に含まれる複数の隆起部11の幾つかは、溝16に沿って間隔を空けて形成されている。つまり、各隆起部群12は、平面視において複数の隆起部11のうちの幾つかの隆起部11が溝16に沿って間隔を空けて形成された第3部分19を含む。
【0042】
各隆起部群12は、たとえば、アニール処理法によって形成されている。複数の隆起部11は、レーザアニール処理法によって形成されたレーザ加工痕であってもよい。
【0043】
溝16に沿う複数の隆起部11(隆起部群12の第3部分19)は、第2主面4(SiC半導体ウエハ41の第2ウエハ主面43)において溝16によって区画された凹凸に対するアニール処理法によって形成されていてもよい。
【0044】
各隆起部群12は、図4A図4Dに示されるように、アニール処理条件(ここでは、レーザアニール処理条件)を調整することによって種々の形態を採り得る。
【0045】
図4Aは、各隆起部群12の第2形態例を示す図である。
【0046】
図4Aに示されるように、隆起部群12は、平面視において第1方向Xに沿って延び、第2方向Y(図4Aでは側面5B側)に沿って突出した凸湾曲状の隆起部11を含んでいてもよい。隆起部11は、互いに重なり合う複数の隆起部11によって形成されていてもよい。
【0047】
隆起部11において最も離れた2点間距離は、1μm以上200μm以下(この形態例では50μm程度)であってもよい。第1方向Xに関して、互いに隣り合う複数の隆起部11の間の距離は、隆起部11の大きさの10%以上の値に設定されている。複数の隆起部11は、互いに隣り合うレーザ照射位置を第1方向Xにずらすことによって形成されている。
【0048】
図4Bは、隆起部群12の第3形態例を示す図である。
【0049】
図4Bに示されるように、隆起部群12は、平面視において第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに沿って窪んだ凹湾曲状の隆起部11を含んでいてもよい。隆起部11は、互いに重なり合う複数の隆起部11によって形成されていてもよい。
【0050】
各隆起部11において最も離れた2点間距離は、1μm以上200μm以下(この形態例では50μm程度)であってもよい。複数の隆起部11は、互いに隣り合うレーザ照射位置を50%以上70%以下の範囲でオーバラップさせることによって形成されている。
【0051】
図4Cは、隆起部群12の第4形態例を示す図である。
【0052】
図4Cに示されるように、隆起部群12は、平面視において第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに沿って窪んだライン状の隆起部11を含んでいてもよい。隆起部11は、第1方向Xに沿って突出した突出部を有していてもよい。隆起部11は、互いに重なり合う複数の隆起部11によって形成されていてもよい。
【0053】
隆起部11において最も離れた2点間距離は、1μm以上200μm以下(この形態例では50μm程度)であってもよい。複数の隆起部11は、互いに隣り合うレーザ照射位置を70%以上90%以下の範囲でオーバラップさせることによって形成されている。
【0054】
図4Dは、隆起部群12の第5形態例を示す図である。
【0055】
図4Dに示されるように、隆起部群12は、第2方向Yに沿って間隔を空けて配列された複数の隆起部11を含む隆起部列が、第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されたレイアウトを有していてもよい。
【0056】
隆起部11において最も離れた2点間距離は、1μm以上200μm以下(この形態例では5μm程度)であってもよい。複数の隆起部11は、互いに隣り合うレーザ照射位置を90%以上100%未満の範囲でオーバラップさせることによって形成されている。
【0057】
図5は、図3に示すV-V線に沿う断面図である。
【0058】
図5を参照して、SiC半導体層2は、この形態では、n型のSiC半導体基板21およびn型のSiCエピタキシャル層22を含む積層構造を有している。SiC半導体基板21は、第2主面4を形成している。SiCエピタキシャル層22は、第1主面3を形成している。SiC半導体基板21およびSiCエピタキシャル層22は、側面5A~5Dを形成している。
【0059】
SiC半導体基板21の厚さは、5μm以上400μm以下であってもよい。SiC半導体基板21の厚さは、5μm以上50μm以下、50μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、150μm以上200μm以下、200μm以上250μm以下、250μm以上300μm以下、300μm以上350μm以下、または、350μm以上400μm以下であってもよい。
【0060】
SiC半導体基板21の厚さは、80μm以上200μm以下(たとえば150μm程度)であることが好ましい。SiC半導体基板21の厚さを小さくすることにより、電流経路の短縮によって抵抗値の低減を図ることができる。
【0061】
SiCエピタキシャル層22は、第1主面3および側面5A~5Dの一部を形成している。SiCエピタキシャル層22の厚さは、1μm以上100μm以下であってもよい。
【0062】
SiCエピタキシャル層22の厚さは、1μm以上25μm以下、25μm以上50μm以下、50μm以上75μm以下、または、75μm以上100μm以下であってもよい。SiCエピタキシャル層22の厚さは、5μm以上15μm以下(たとえば10μm程度)であることが好ましい。
【0063】
SiCエピタキシャル層22のn型不純物濃度は、SiC半導体基板21のn型不純物濃度以下である。SiC半導体基板21のn型不純物濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。SiCエピタキシャル層22のn型不純物濃度は、1.0×1015cm-3以上1.0×1018cm-3以下であってもよい。
【0064】
図5および図5の拡大図を参照して、前述の隆起部群12および溝16は、SiC半導体基板21に形成されている。第2主面4の表層部には、SiC半導体層2(SiC半導体基板21)のSiCの一部が他の性質に改質した改質層(SiC層)4aが形成されている。改質層4aは、第2主面4に対するアニール処理法によって形成されている。
【0065】
改質層4aは、Si原子およびC原子を含む。改質層4aは、より具体的には、SiC半導体層2(SiC半導体基板21)において改質層4a外の領域のカーボン密度よりも低いカーボン密度を有している。
【0066】
改質層4aは、カーボン密度を超えるシリコン密度を有している。つまり、改質層4aは、SiC半導体層2(SiC半導体基板21)のSiCがSiに改質したSi改質層を含む。改質層4aは、Siアモルファス層であってもよい。
【0067】
改質層4aは、SiCの改質に起因する格子欠陥を含んでいてもよい。つまり、改質層4aは、SiCの改質に起因して導入された欠陥準位を有する格子欠陥領域を含んでいてもよい。
【0068】
改質層4aは、この形態では、第2主面4の表層部において隆起部群12に沿う領域に形成されている。各隆起部群12において複数の隆起部11は、改質層4aによって形成されている。つまり、複数の隆起部11は、改質層4aを含む。
【0069】
改質層4aは、この形態では、スペース14にも形成されている。改質層4aは、隆起部群12からスペース14に延在している。つまり、第2主面4に対するアニール処理法は、スペース14にも及んでいる。
【0070】
改質層4aにおいて隆起部群12に沿う部分の厚さは、隆起部11の存在によって、改質層4aにおいてスペース14に沿う部分の厚さ以上になっている。改質層4aにおいて隆起部群12に沿う部分の厚さは、より具体的には、改質層4aにおいてスペース14に沿う部分の厚さよりも大きい。
【0071】
改質層4aの厚さは、1nm以上1000nm以下であってもよい。改質層4aのうち隆起部11を形成する領域の厚さTaは、50nm以上1000nm以下であってもよい。改質層4aのうち隆起部11外の領域の厚さTbは、1nm以上300nm以下であってもよい。
【0072】
厚さTaは、50nm以上100nm以下、100nm以上200nm以下、200nm以上300nm以下、300nm以上400nm以下、400nm以上500nm以下、500nm以上600nm以下、600nm以上700nm以下、700nm以上800nm以下、800nm以上900nm以下、900nm以上1000nm以下であってもよい。
【0073】
厚さTbは、1nm以上10nm以下、10nm以上50nm、50nm以上100nm以下、100nm以上150nm以下、150nm以上200nm以下、200nm以上250nm以下、または、250nm以上300nm以下であってもよい。
【0074】
厚さTbは、厚さTaの1/2以下、1/3以下、1/4以下、1/5以下、1/6以下、1/7以下、1/8以下、1/9以下、1/10以下、1/11以下、1/12以下、1/13以下、1/14以下、1/15以下、1/16以下、1/17以下、1/18以下、1/19以下、または、1/20以下であってもよい。
【0075】
第2主面4に隆起部群12が存在しない場合の第2主面4の抵抗値は、第2主面4に隆起部群12が存在する場合の第2主面4の抵抗値よりも大きい。つまり、複数の隆起部群12は、電気的特性として、SiC単結晶単体の抵抗値以下の抵抗値を有している。
【0076】
複数の隆起部群12は、より具体的には、SiC単結晶単体の抵抗値未満の抵抗値を有している。また、複数の隆起部群12は、スペース14の抵抗値以下の抵抗値を有している。複数の隆起部群12は、より具体的には、スペース14の抵抗値未満の抵抗値を有している。
【0077】
隆起部群12の電気的特性としての抵抗値は、改質層4aによって低減されている。つまり、隆起部群12の抵抗値は、改質層4aに起因してSiC単結晶の抵抗値以下になっている。スペース14の電気的特性としての抵抗値も、改質層4aに起因してSiC単結晶の抵抗値以下になっている。
【0078】
前述の電極10は、第2主面4の上に形成されている。電極10は、第2主面4に直接接続されている。電極10は、第2主面4において隆起部群12を被覆している。電極10は、この形態では、複数の隆起部群12を一括して被覆している。
【0079】
電極10は、隆起部群12の外面(複数の隆起部11の外面)および溝16の内面に倣って膜状に形成されている。これにより、電極10の外面において隆起部群12(複数の隆起部11)を被覆する部分には、第2主面4から離れる方向に隆起した隆起部10aが形成されている。また、電極10の外面において溝16を被覆する部分には、第2主面4に向かった窪んだリセス部10bが形成されている。
【0080】
電極10は、第2主面4との間でオーミック接触を形成している。電極10は、より具体的には、隆起部群12との間でオーミック接触を形成している。電極10は、さらに具体的には、複数の隆起部群12との間でオーミック接触を形成している。電極10は、この形態では、スペース14との間においてもオーミック接触を形成している。
【0081】
電極10は、第2主面4の上に積層された複数の電極層を含む積層構造を有している。電極10は、この形態では、第2主面4からこの順に積層されたTi層31、Ni層32、Au層33およびAg層34を含む4層構造を有している。
【0082】
Ti層31、Ni層32、Au層33およびAg層34は、隆起部群12の外面(複数の隆起部11の外面)および溝16の内面に倣って膜状にそれぞれ形成されている。電極10の隆起部10aおよびリセス部10bは、Ag層34の外面に形成されている。
【0083】
Ti層31は、第2主面4に直接接続されている。Ti層31は、複数の隆起部群12を一括して被覆し、第2主面4との間でオーミック接触を形成している。Ti層31は、この形態では、スペース14との間においてもオーミック接触を形成している。
【0084】
Ni層32は、Ti層31のほぼ全域または全域を被覆している。Au層33は、Ni層32のほぼ全域または全域を被覆している。Ag層34は、Au層33のほぼ全域または全域を被覆している。
【0085】
Ti層31の厚さは、0.01μm以上5μm以下(たとえば0.07μm程度)であってもよい。Ni層32の厚さは、0.1μm以上40μm以下(たとえば1.2μm程度)であってもよい。
【0086】
Au層33の厚さは、0.1μm以上40μm以下(たとえば0.07μm程度)であってもよい。Ag層34の厚さは、0.1μm以上40μm以下(たとえば0.3μm程度)であってもよい。電極10は、Ti層31、Ni層32、Au層33またはAg層34からなる単層構造を有していてもよい。
【0087】
電極10は、シリサイドを主たる構成に含むシリサイド層を介さずに第2主面4との間でオーミック接触を形成している。電極10は、シリサイドを主たる構成に含むシリサイド層を介さずに隆起部群12との間でオーミック接触を形成している。
【0088】
電極10は、カーボンを主たる構成に含むカーボン層を介さずに第2主面4との間でオーミック接触を形成している。電極10は、カーボンを主たる構成に含むカーボン層を介さずに隆起部群12との間でオーミック接触を形成している。
【0089】
電極10は、シリサイドを主たる構成に含む材料が層状に形成された領域を含まない。また、電極10は、カーボンを主たる構成に含む材料が層状に形成された領域を含まない。
【0090】
電極10は、隆起部群12(複数の隆起部11)および複数の溝16によって区画された凹凸部に噛合う。第2主面4に対する電極10の接触面積は、隆起部群12(複数の隆起部11)によって増加されている。これにより、第2主面4に対する電極10の密着力が高められている。第2主面4に対する電極10の接触面積は、複数の溝16によっても増加されている。
【0091】
SiCエピタキシャル層22には、n型のダイオード領域23が形成されている。ダイオード領域23の一部は、第1主面3から露出している。ダイオード領域23は、この形態では、SiCエピタキシャル層22の一部の領域を利用して形成されている。
【0092】
ダイオード領域23は、SiCエピタキシャル層22の表層部に対してn型不純物(ドナー)を導入することによって形成されていてもよい。この場合、ダイオード領域23は、SiCエピタキシャル層22のn型不純物濃度よりも高いn型不純物濃度を有していてもよい。
【0093】
ダイオード領域23は、平面視において第1主面3の中央部に形成されている。ダイオード領域23は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されている。ダイオード領域23は、平面視において円形状に形成されていてもよい。
【0094】
SiCエピタキシャル層22の表層部においてダイオード領域23の周囲には、不純物領域24が形成されている。不純物領域24は、ダイオード領域23の周囲に沿ってp型不純物(アクセプタ)が導入された領域である。不純物領域24は、SiCエピタキシャル層22のn型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度を有している。
【0095】
不純物領域24を形成するp型不純物は、この形態では、活性化処理が施されていない。不純物領域24は、p型半導体領域ではない非半導体領域として形成されている。不純物領域24を形成するp型不純物は、活性化されていてもよい。この場合、不純物領域24は、p型半導体領域となる。
【0096】
不純物領域24は、ダイオード領域23の周縁に沿って帯状に延びている。不純物領域24は、この形態では、ダイオード領域23を取り囲む無端状(四角環状)に形成されている。不純物領域24は、ガードリング領域とも称される。不純物領域24の内周縁は、ダイオード領域23を画定している。
【0097】
不純物領域24は、側面5A~5Dから露出していてもよい。不純物領域24は、側面5A~5Dから内方領域に向けて間隔を空けて形成されていてもよい。
【0098】
前述の絶縁層6は、第1主面3の上に形成されている。絶縁層6は、酸化シリコンを含んでいてもよい。絶縁層6は、ダイオード領域23を露出させる開口25を有している。開口25は、この形態では、ダイオード領域23および不純物領域24の境界も露出させている。開口25は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されている。
【0099】
第1主面3においてダイオード領域23の上には、電極7が形成されている。電極7は、ダイオード領域23との間でショットキー接合を形成している。これにより、電極7をアノードとし、ダイオード領域23をカソードとするショットキーバリアダイオードDが形成されている。
【0100】
電極7の周縁部は、側面5A~5Dから内方領域に間隔を空けて形成されている。電極7の周縁部は、平面視において不純物領域24に重なっていてもよい。電極7は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されている。
【0101】
電極7は、被覆部26を有している。被覆部26は、第1主面3の上から絶縁層6の上に引き出されており、絶縁層6の一部を被覆している。被覆部26の幅は、隆起部群12のライン幅以上であってもよい。
【0102】
電極7は、アルミニウム、銅、モリブデン、ニッケル、アルミニウム-銅合金、アルミニウム-シリコン合金およびアルミニウム-シリコン-銅合金のうちの少なくとも1種を含む。電極7は、この形態では、アルミニウム-銅合金を含む。
【0103】
前述の絶縁層8は、絶縁層6の上に形成されている。絶縁層8は、この形態では、窒化シリコンを含む。絶縁層8は、窒化シリコンに代えてまたはこれに加えて酸化シリコンを含んでいてもよい。絶縁層8は、電極7を被覆している。絶縁層8は、電極7を露出させる第1開口27を有している。
【0104】
第1開口27は、この形態では、電極7の周縁部を被覆し、電極7の内方領域を露出させている。第1開口27は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されている。
【0105】
前述の樹脂層9は、絶縁層8の上に形成されている。樹脂層9は、この形態では、感光性樹脂を含む。樹脂層9は、ネガティブタイプまたはポジティブタイプの感光性樹脂を含んでいてもよい。
【0106】
樹脂層9は、この形態では、ポジティブタイプの感光性樹脂の一例としてのポリベンゾオキサゾールを含む。樹脂層9は、ネガティブタイプの感光性樹脂の一例としてのポリイミドを含んでいてもよい。
【0107】
樹脂層9は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されている。樹脂層9の周縁部は、側面5A~5Dから内方領域に間隔を空けて形成され、第1主面3を露出させている。樹脂層9の周縁部は、より具体的には、絶縁層8を露出させている。
【0108】
樹脂層9の内方部には、第2開口28が形成されている。第2開口28は、第1開口27に連通し、電極7を露出させている。第2開口28の内壁は、第1開口27の外側に位置していてもよい。第2開口28の内壁は、第1開口27の内側に位置していてもよい。
【0109】
図6Aは、図1に示す半導体装置1の製造に使用されるSiC半導体ウエハ41を示す上面図である。図6Bは、図6Aに示すSiC半導体ウエハ41の底面図であって、SiC半導体ウエハ41の第2ウエハ主面43に対する研削工程およびアニール処理を経た状態を示す図である。
【0110】
図6Aおよび図6Bを参照して、SiC半導体ウエハ41は、円盤状に形成された板状のSiC単結晶からなる。SiC半導体ウエハ41は、一方側の第1ウエハ主面42、他方側の第2ウエハ主面43、ならびに、第1ウエハ主面42および第2ウエハ主面43を接続するウエハ側面44を有している。
【0111】
SiC半導体ウエハ41は、4H-SiC単結晶を含んでいてもよい。第1ウエハ主面42は、(0001)面から[11-20]方向に対して10°以内の角度で傾斜したオフ角を有している。オフ角は、0°以上4°以下であってもよい。オフ角は、0°を超えて4°未満であってもよい。オフ角は、典型的には、2°または4°、より具体的には、2°±10%の範囲または4°±10%の範囲に設定される。
【0112】
SiC半導体ウエハ41は、ウエハ側面44に形成された1つまたは複数(この形態では1つ)のオリエンテーションフラット45を含む。オリエンテーションフラット45は、結晶方位を示す目印の一例として形成されている。オリエンテーションフラット45は、SiC半導体ウエハ41の周縁に形成された切欠部を含む。オリエンテーションフラット45は、この形態では、[11-20]方向に沿って直線状に延びている。
【0113】
第1ウエハ主面42は、半導体素子(この形態ではショットキーバリアダイオードD)が形成される素子形成面である。第1ウエハ主面42には、半導体装置1にそれぞれ対応した複数のデバイス形成領域46が設定されている。
【0114】
複数のデバイス形成領域46は、この形態では、[11-20]方向([-1-120]方向)および[1-100]方向([-1100]方向)に沿って行列状に配列されている。
【0115】
複数のデバイス形成領域46は、格子状のダイシングライン47によって区画されている。半導体装置1は、複数のデバイス形成領域46の周縁(ダイシングライン47)に沿ってSiC半導体ウエハ41を切断することによって切り出される。
【0116】
図6Bを参照して、第2ウエハ主面43に対する研削工程およびアニール処理を経た状態において、第2ウエハ主面43には複数の隆起部群12および複数の研削痕48が形成されている。
【0117】
複数の隆起部群12は、オリエンテーションフラット45に対してほぼ平行なまたは平行なストライプ状に形成されている。複数の隆起部群12は、オリエンテーションフラット45に交差または直交するストライプ状に形成されていてもよい。
【0118】
複数の研削痕48は、SiC半導体ウエハ41の中央部から周縁部に向けて円弧状にそれぞれ延びている。複数の研削痕48は、概して、[11-20]方向および[1-100]方向に交差する研削痕48を含む。
【0119】
複数の研削痕48は、円弧の接線が[11-20]方向または[1-100]方向に沿う部分において、[11-20]方向または[1-100]方向に対してほぼ平行にまたは平行に延びる研削痕48を含む。SiC半導体層2の第2主面4に形成された溝16は、研削痕48の一部によって形成されてもよい。
【0120】
図7は、図1に示す半導体装置1の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。図8A図8Rは、図1に示す半導体装置1の製造方法を示す断面図である。図8A図8Rでは、1つのデバイス形成領域46だけを示している。
【0121】
図8Aを参照して、まず、前述のn型のSiC半導体ウエハ41が、用意される(図7のステップS1)。SiC半導体ウエハ41は、SiC半導体基板21のベースとなる。
【0122】
次に、図8Bを参照して、n型のSiCエピタキシャル層22が、第1ウエハ主面42の上に形成される(図7のステップS2)。SiCエピタキシャル層22は、エピタキシャル成長法によって第1ウエハ主面42の上からSiCを成長させることによって形成される。
【0123】
次に、図8Cを参照して、ダイオード領域23が、SiCエピタキシャル層22の主面に設定される。次に、不純物領域24が、ダイオード領域23を区画するようにSiCエピタキシャル層22の表層部に形成される(図7のステップS3)。この工程では、p型不純物が、イオン注入マスク51を介するイオン注入法によってSiCエピタキシャル層22の表層部に導入される。
【0124】
次に、図8Dを参照して、絶縁層6が、SiCエピタキシャル層22の主面の上に形成される(図7のステップS4)。絶縁層6は、酸化シリコンを含んでいてもよい。絶縁層6は、熱酸化処理法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成されてもよい。
【0125】
次に、図8Eを参照して、絶縁層6の不要な部分が、除去される(図7のステップS5)。絶縁層6の不要な部分は、所定パターンを有するマスク52を介するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって除去されてもよい。マスク52は、絶縁層6において開口25を形成すべき領域を露出させる開口53を有している。これにより、開口25が、絶縁層6に形成される。
【0126】
次に、図8Fを参照して、電極7が、SiCエピタキシャル層22の主面の上に形成される(図7のステップS6)。電極7は、アルミニウム-銅合金を含んでいてもよい。電極7は、スパッタ法またはCVD法によって形成されてもよい。
【0127】
次に、図8Gを参照して、電極7の不要な部分が、除去される(図7のステップS7)。電極7の不要な部分は、所定パターンを有するマスク54を介するエッチング法(たとえばドライエッチング法)によって除去されてもよい。これにより、電極7が、所定形状にパターニングされる。
【0128】
次に、図8Hを参照して、絶縁層8が、電極7を被覆するように絶縁層6の上に形成される(図7のステップS8)。絶縁層8は、窒化シリコンを含む。絶縁層8は、CVD法によって形成されてもよい。
【0129】
次に、図8Iを参照して、絶縁層8の不要な部分が、除去される(図7のステップS9)。絶縁層8の不要な部分は、所定パターンを有するマスク55を介するエッチング法(たとえばウエットエッチング法)によって除去されてもよい。マスク55は、絶縁層8において第1開口27を形成すべき領域を露出させる開口56を有している。これにより、第1開口27が、絶縁層8に形成される。
【0130】
次に、図8Jを参照して、樹脂層9が、電極7を被覆するように絶縁層8の上に塗布される(図7のステップS12)。樹脂層9は、この形態では、ポジティブタイプの感光性樹脂の一例としてのポリベンゾオキサゾールを含む。
【0131】
次に、樹脂層9が、選択的に露光された後、現像される(図7のステップS11)。これにより、樹脂層9に、第1開口27に連通する第2開口28、および、ダイシングライン47を露出させるダイシング開口57が形成される。
【0132】
次に、図8Kを参照して、第2ウエハ主面43が研削される(図7のステップS12)。この工程では、500番以上の粒度を有する砥粒を用いて第2ウエハ主面43が研削される。砥粒の粒度は、1000番以上5000番以下であることが好ましい。これにより、第2ウエハ主面43に複数の研削痕48が形成される(図6Bも併せて参照)。また、第2ウエハ主面43が平坦化されると同時に、SiC半導体ウエハ41が薄化される。
【0133】
次に、図8Lを参照して、金属層61が、第2ウエハ主面43の上に形成される(図7のステップS13)。金属層61は、この形態では、Ni層からなる。Ni層は、スパッタ法によって形成されてもよい。Ni層の厚さは、100Å以上1000Å以下であってもよい。
【0134】
次に、図8Mを参照して、第2ウエハ主面43に対して、アニール処理法が実施される(図7のステップS14)。この工程では、アニール処理法の一例としてのレーザアニール処理法が実施される。
【0135】
レーザアニール処理法では、50μm以上200μm以下(たとえば100μm程度)のレーザ径φを有するパルスレーザ光が使用される。パルスレーザ光は、紫外領域の波長を有するUVレーザ光である。パルスレーザ光のエネルギは、1.0J/cm以上4.0J/cm以下(たとえば3.0J/cm程度)であってもよい。
【0136】
パルスレーザ光は、金属層61を介して第2ウエハ主面43に打ち込まれる。第2ウエハ主面43に対するパルスレーザ光の照射と並行して、第2ウエハ主面43に対するパルスレーザ光の照射位置は、オリエンテーションフラット45に沿って移動される。第2ウエハ主面43においてパルスレーザ光が打ち込まれた領域には、1つまたは複数の隆起部11が形成される。
【0137】
また、第2ウエハ主面43においてパルスレーザ光が打ち込まれた領域には、SiC半導体ウエハ41のSiCが他の性質に改質された改質層4aが形成される。SiC半導体ウエハ41のSiCは、より具体的には、加熱によってSiCからC原子が脱離および/または昇華することにより、Siに改質される。
【0138】
これにより、Si改質層を含む改質層4aが形成される。改質層4aは、シリコンアモルファス層を含んでいてもよい。改質層4aは、C原子を含んでいてもよい。第2ウエハ主面43に形成された1つまたは複数の隆起部11は、この改質層4aによって形成されてもよい。これにより、複数の隆起部11を含み、オリエンテーションフラット45([11-20]方向)に沿う1つの隆起部群12が、第2ウエハ主面43に形成される。
【0139】
1つの隆起部群12(隆起部群領域13)が形成された後、パルスレーザ光の照射位置が[1-100]方向に移動される。そして、第2ウエハ主面43に対するパルスレーザ光の照射と並行して、第2ウエハ主面43に対するパルスレーザ光の照射位置がオリエンテーションフラット45に沿って移動される。
【0140】
これにより、1つの隆起部群12に対してほぼ平行にまたは平行に延びる別の隆起部群12が、第2ウエハ主面43に形成される。レーザアニール処理法では、第2ウエハ主面43のほぼ全域または全域に亘って複数の隆起部群12が形成されるまで、このような工程が繰り返される(図6Bも併せて参照)。
【0141】
レーザアニール処理法を経た金属層61は、この形態では、第2ウエハ主面43側からこの順に積層されたカーボン層62、NiSi(ニッケルシリサイド)層63およびNi層64を含む積層構造を有している。つまり、レーザアニール処理法は、金属層61をSiC半導体ウエハ41と反応させてシリサイド化する工程を含む。レーザアニール処理法は、より具体的には、NiSi層63を形成する工程を含む。
【0142】
レーザアニール処理法では、NiSi層63に加えて、C原子を含むカーボン層62が金属層61内に副生成物として形成される。カーボン層62は、SiCを構成していたC原子の析出によって形成される。
【0143】
金属層61においてカーボン層62およびNiSi層63は、剥離起点になり得る。つまり、金属層61をそのまま電極10として使用することもできるが、金属層61は、接続不良および接続不良による抵抗値の増加の問題を抱えている。したがって、金属層61とは異なる金属層が電極10として形成されることが好ましい。
【0144】
NiSi層63の形成に伴って金属層61に加えられる温度は、電極7の融点以上(たとえば1000°以上)である。レーザアニール処理法によれば、第2ウエハ主面43の温度を局所的に高めることができるから、電極7の温度上昇を抑制できる。したがって、電極7の溶融を適切に抑制できる。
【0145】
次に、図8Nを参照して、金属層61の除去工程が行われる。金属層61の除去工程は、第2ウエハ主面43が露出するまで行われる。
【0146】
この工程では、まず、金属層61内のNiSi層63およびNi層64が、除去される(図7のステップS15)。NiSi層63およびNi層64は、ウエットエッチング法によって除去されてもよい。
【0147】
次に、図8Oを参照して、金属層61内のカーボン層62が、除去される(図7のステップS16)。カーボン層62は、ドライエッチング法によって除去されてもよい。
【0148】
次に、図8Pを参照して、第2ウエハ主面43に付着したNiSi層63の残渣およびNi層64の残渣が除去される(図7のステップS17)。NiSi層63およびNi層64は、ウエットエッチング法によって除去されてもよい。
【0149】
次に、図8Qを参照して、第2ウエハ主面43に付着したカーボン層62の残渣が除去される(図7のステップS18)。カーボン層62は、ドライエッチング法によって除去されてもよい。次に、自然酸化膜が、第2ウエハ主面43から除去される(図7のステップS19)。自然酸化膜は、ウエットエッチング法によって除去されてもよい。
【0150】
このように、この形態では、Niを含む層(NiSi層63およびNi層64)の除去工程、およに、カーボンを含む層(カーボン層62)の除去工程が、2回繰り返される。これにより、金属層61を適切に除去できる。金属層61の除去工程後は、レーザアニール処理によって抵抗値の低減が図られた第2ウエハ主面43が露出する。
【0151】
次に、図8Rを参照して、電極10が、第2ウエハ主面43の上に形成される(図7のステップS20)。この工程は、第2ウエハ主面43の上から、Ti層31、Ni層32、Au層33およびAg層34をこの順に形成する工程を含む。Ti層31、Ni層32、Au層33およびAg層34は、スパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。
【0152】
電極10のうち、Ti層31は、第2ウエハ主面43に直接接続される。Ti層31は、複数の隆起部群12を一括して被覆し、複数の隆起部群12との間および複数のスペース14との間においてオーミック接触を形成する。
【0153】
次に、SiC半導体ウエハ41が、複数のデバイス形成領域46の周縁(ダイシングライン47)に沿って切断される(図7のステップS21)。これにより、SiC半導体ウエハ41から複数の半導体装置1が切り出される。以上を含む工程を経て、半導体装置1が製造される。
【0154】
図9は、抵抗値および金属層61の厚さの関係を示すグラフである。図9において縦軸は、抵抗値(オン抵抗)[Ω・cm]を表している。図9において横軸は、金属層61の厚さ[Å]を表している。
【0155】
図9において「X」は、第1方向Xに関して、互いに隣り合うレーザ照射位置のオーバラップ量[μm]を表している。図9において「Y」は、第2方向Yに関して、互いに隣り合うレーザ照射位置の間の距離[μm]を表している。
【0156】
「+Y」は、第2方向Yに関して、互いに隣り合うレーザ照射位置が離れていることを意味している。「-Y」は、第2方向Yに関して、互いに隣り合うレーザ照射位置がオーバラップしていることを意味している。レーザ光のレーザ径φは、100μm程度である。レーザ光のエネルギは、所定の値に固定されて測定されている。
【0157】
図9には、第1折れ線A1、第2折れ線B1、第3折れ線C1および第4折れ線D1が示されている。
【0158】
第1折れ線A1は、(X、Y)=(90μm、50μm)である場合の関係を示している。第2折れ線B1は、(X、Y)=(65μm、50μm)である場合の関係を示している。第3折れ線C1は、(X、Y)=(85μm、-10μm)である場合の関係を示している。第4折れ線D1は、(X、Y)=(80μm、15μm)である場合の関係を示している。
【0159】
第1~第4折れ線A1~D1を参照して、金属層61の厚さが小さい程、抵抗値が増加傾向にあることが分かった。これは、金属層61の厚さが小さい場合、パルスレーザ光の照射によって金属層61の一部が昇華し、アニール処理が適切に実施されないためであると考えられる。
【0160】
一方、金属層61の厚さがある程度大きくなると、抵抗値が低下することが分かった。金属層61の厚さが500Å以上になると、照射位置のオーバラップ量に依らずに、抵抗値が2Ω・cm以下になった。
【0161】
図9の結果から、第2主面4における抵抗値は、製造途中に形成される金属層61の厚さに依存していることが分かった。また、抵抗値は、金属層61の厚さや互いに隣り合うレーザ照射位置のオーバラップ量を調節することによって最適化されることが分かった。
【0162】
図10は、抵抗値およびレーザ照射位置のオーバラップ量の関係を示すグラフである。図10において縦軸は、抵抗値(オン抵抗)[Ω・cm]を表している。図10において横軸は、第1方向Xに関して、互いに隣り合うレーザ照射位置のオーバラップ量[μm]を表している。金属層61の厚さは、所定の値に固定されている。
【0163】
図10には、第1折れ線A2、第2折れ線B2、第3折れ線C2および第4折れ線D2が示されている。
【0164】
第1折れ線A2は、レーザ光のエネルギが1.5J/cmである場合の関係を示している。第2折れ線B2は、レーザ光のエネルギが2.0J/cmである場合の関係を示している。第3折れ線C2は、レーザ光のエネルギが2.5J/cmである場合の関係を示している。第4折れ線D2は、レーザ光のエネルギが3.0J/cmである場合の関係を示している。
【0165】
第1~第4折れ線A2~D2を参照して、レーザ光のエネルギを大きくするほど、抵抗値が低下することが分かった。また、レーザ光のエネルギを固定した場合であっても、互いに隣り合うレーザ照射位置のオーバラップ量を増加させることによって、抵抗値を低減できることが分かった。
【0166】
図10の結果から、第2主面4における抵抗値は、レーザ光のエネルギや互いに隣り合うレーザ照射位置のオーバラップ量に依存していることが分かった。また、抵抗値は、これらを調節することによって最適化されることが分かった。
【0167】
以上、半導体装置1によれば、隆起部群12によって第2主面4に対する電極10の接続面積を増加させることができる。これにより、電気的特性を向上できる。
【0168】
電極10は、より具体的には、隆起部群12との間でオーミック接触を形成する。これにより、SiC半導体層2および電極10の間において良好なオーミック特性を得ることができるから、電気的特性を向上できる。
【0169】
また、半導体装置1によれば、電極10は、第2主面4に直接接続されている。より具体的には、電極10は、カーボン層を介さずに隆起部群12との間でオーミック接触を形成している。また、電極10は、シリサイド層を介さずに隆起部群12との間でオーミック接触を形成している。
【0170】
カーボン層やシリサイド層は、剥離起点になりやすい。したがって、電極10が第2主面4に直接接続された構造によって、接続不良や接続不良に起因する抵抗値の増加を適切に抑制できる。
【0171】
図11は、図2に対応する底面図であって、本発明の第2実施形態に係る半導体装置71を示す底面図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0172】
図11を参照して、半導体装置71は、第1隆起部群12Aおよび第2隆起部群12Bを含む複数の隆起部群12を有している。第1隆起部群12Aは、第2主面4に形成された複数の第1隆起部11Aを含む。複数の第1隆起部11Aは、第2主面4において第2主面4の法線方向に沿って隆起した部分である。
【0173】
複数の第1隆起部11Aは、第1方向Xおよび第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って互いに間隔を空けて形成されている。第1隆起部11Aは、複数の第1隆起部11Aのうちの幾つかの第1隆起部11Aが第1方向Xから見た第1方向視において第1方向Xに重なる第1部分17Aを有している。
【0174】
また、第1隆起部11Aは、複数の第1隆起部11Aのうちの幾つかの第1隆起部11Aが第1部分17Aから離間して形成され、かつ、第1方向視において第1方向Xに重なる第2部分18Aを有している。
【0175】
複数の第1隆起部11Aは、第1方向Xに沿って連続的に形成されている。複数の第1隆起部11Aは、より具体的には、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って間隔を空けて点在する点在パターンを有している。
【0176】
複数の第1隆起部11Aは、この点在パターンを維持しながら、第1方向Xに沿って連続的に形成されている。複数の第1隆起部11Aの点在パターンは、この形態では、平面視において一方の側面5A側の周縁から他方の側面5C側の周縁に亘って形成されている。
【0177】
第1隆起部群12Aは、第1方向Xから見て複数の隆起部11が第1方向Xに重なるレイアウトを有している。これにより、第1隆起部群12Aは、第1方向Xに沿って連続的に点在する複数の隆起部11の集合パターンによって、第1方向Xに沿って帯状に延びる第1隆起部群領域13Aを形成している。
【0178】
第2隆起部群12Bは、第2主面4に形成された複数の第2隆起部11Bを含む。複数の第2隆起部11Bは、第2主面4において第2主面4の法線方向に沿って隆起した部分である。
【0179】
複数の第2隆起部11Bは、第1方向Xおよび第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って互いに間隔を空けて形成されている。第2隆起部群12Bは、複数の第2隆起部11Bのうちの幾つかの第2隆起部11Bが第2方向Yから見た第2方向視において第2方向Yに重なる第1部分17Bを有している。
【0180】
また、第2隆起部群12Bは、複数の第2隆起部11Bのうちの幾つかの第2隆起部11Bが第1部分17Bから離間して形成され、かつ、第2方向視において第2方向Yに重なる第2部分18Bを有している。
【0181】
複数の第2隆起部11Bは、第2方向Yに沿って連続的に形成されている。複数の第2隆起部11Bは、より具体的には、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って間隔を空けて点在する点在パターンを有している。
【0182】
複数の第2隆起部11Bは、この点在パターンを維持しながら、第2方向Yに沿って連続的に形成されている。複数の第2隆起部11Bの点在パターンは、この形態では、平面視において一方の側面5B側の周縁から他方の側面5D側の周縁に亘って形成されている。
【0183】
第2隆起部群12Bは、第2方向Yから見て複数の第2隆起部11Bが第2方向Yに重なるレイアウトを有している。これにより、第2隆起部群12Bは、第2方向Yに沿って連続的に点在する複数の第2隆起部11Bの集合パターンによって、第2方向Yに沿って帯状に延びる第2隆起部群領域13Bを形成している。
【0184】
第2隆起部群12B(第2隆起部群領域13B)は、第1隆起部群12A(第1隆起部群領域13A)を横切っている。これにより、第2主面4には、交差領域72が形成されている。交差領域72は、互いに交差する第1隆起部群12A(第1隆起部群領域13A)および第2隆起部群12B(第2隆起部群領域13B)を含む。
【0185】
この形態では、第1隆起部群12Aが、第2主面4において第2方向Yに沿って間隔を空けて複数形成されている。つまり、複数の第1隆起部11Aの点在パターンは、第2方向Yに対しては断続的に形成されている。
【0186】
また、この形態では、第2隆起部群12Bが、第2主面4において第1方向Xに沿って間隔を空けて複数形成されている。つまり、複数の第2隆起部11Bの点在パターンは、第1方向Xに対しては断続的に形成されている。
【0187】
したがって、交差領域72は、この形態では、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って互いに間隔を空けた行列状の配列で形成されている。また、第1隆起部群12Aおよび第2隆起部群12Bによってスペース14が区画されている。スペース14は、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って互いに間隔を空けた行列状の配列で形成されている。
【0188】
交差領域72では、複数の第1隆起部11Aおよび複数の第2隆起部11Bが互いに重なり合っていてもよい。交差領域72に形成された複数の第1隆起部11Aおよび複数の第2隆起部11Bの厚さは、交差領域72外の領域に形成された第1隆起部11Aおよび第2隆起部11Bの厚さよりも大きくてもよい。
【0189】
また、交差領域72に形成された複数の第1隆起部11Aおよび複数の第2隆起部11Bの数は、交差領域72外の領域に形成された第1隆起部11Aおよび第2隆起部11Bの数よりも多くてもよい。
【0190】
第1方向Xが[11-20]方向に設定され、第2方向Yが[1-100]方向に設定されていてもよい。つまり、第1隆起部群12A(第1隆起部群領域13A)が[11-20]方向に対してほぼ平行にまたは平行に形成され、第2隆起部群12B(第2隆起部群領域13B)が[1-100]方向に対してほぼ平行にまたは平行に形成されていてもよい。
【0191】
第1方向Xが[1-100]方向に設定され、第2方向Yが[11-20]方向に設定されていてもよい。つまり、第1隆起部群12A(第1隆起部群領域13A)が[1-100]方向に対してほぼ平行にまたは平行に形成され、第2隆起部群12B(第2隆起部群領域13B)が[11-20]方向に対してほぼ平行にまたは平行に形成されていてもよい。
【0192】
第1隆起部11Aおよび第1隆起部群12Aは、第1実施形態に係る隆起部11および隆起部群12に対応している。第1実施形態に係る隆起部11および隆起部群12の説明は第1隆起部11Aおよび第1隆起部群12Aの説明に準用されるものとし、第1隆起部11Aおよび第1隆起部群12Aについての他の具体的な説明は省略する。
【0193】
第2隆起部11Bおよび第2隆起部群12Bは、第1実施形態に係る隆起部11および隆起部群12に対応している。第1実施形態に係る隆起部11および隆起部群12の説明は第2隆起部11Bおよび第2隆起部群12Bの他の説明に準用されるものとし、第2隆起部11Bおよび第2隆起部群12Bについての他の具体的な説明は省略する。
【0194】
電極10は、この形態では、第2主面4において第1隆起部群12Aおよび第2隆起部群12Bを被覆している。電極10は、この形態では、複数の第1隆起部群12Aおよび複数の第2隆起部群12Bを一括して被覆している。
【0195】
電極10は、第1隆起部群12Aの外面(第1隆起部11Aの外面)、第2隆起部群12Bの外面(第2隆起部11Bの外面)、および、溝16の内面に倣って膜状に形成されている。
【0196】
これにより、図示はしないが、電極10の外面において第1隆起部群12Aの外面(第1隆起部11Aの外面)および第2隆起部群12Bの外面(第2隆起部11Bの外面)を被覆する部分には、隆起部10aが形成されている。また、電極10の外面において溝16を被覆する部分には、リセス部10bが形成されている。
【0197】
電極10は、第2主面4との間でオーミック接触を形成している。電極10は、より具体的には、第1隆起部群12Aおよび第2隆起部群12Bとの間でオーミック接触を形成している。
【0198】
電極10は、さらに具体的には、複数の第1隆起部群12Aおよび複数の第2隆起部群12Bとの間でオーミック接触を形成している。また、電極10は、この形態では、スペース14との間においてもオーミック接触を形成している。
【0199】
電極10において第1隆起部群12Aおよび第2隆起部群12Bを被覆する部分は、複数の第1隆起部群12A、複数の第2隆起部群12Bおよび複数の溝16によって区画された凹凸部に噛合う。
【0200】
第2主面4に対する電極10の接触面積は、複数の第1隆起部群12Aおよび複数の第2隆起部群12Bによって増加されている。第2主面4に対する電極10の接触面積は、複数の溝16によっても増加されている。これにより、第2主面4に対する電極10の密着力が高められている。
【0201】
このような構造の半導体装置71は、前述の図8Mの工程(図7のステップS14)において以下の工程を実施することによって製造される。
【0202】
まず、レーザアニール処理法によって、オリエンテーションフラット45に対してほぼ平行にまたは平行な方向に沿って複数の第1隆起部群12Aが形成される。次に、レーザアニール処理法によって、オリエンテーションフラット45に交差(直交)する方向に沿って複数の第2隆起部群12Bが形成される。
【0203】
この工程では、オリエンテーションフラット45に交差(直交)する方向に複数の第1隆起部群12Aが形成され、オリエンテーションフラット45に対してほぼ平行にまたは平行に沿って複数の第2隆起部群12Bが形成されてもよい。その後、図8N図8Rの工程を経て、半導体装置71が製造される。
【0204】
第1隆起部群12Aおよび第2隆起部群12Bは、任意の順序で形成されてもよい。したがって、複数の第2隆起部群12Bが形成された後に複数の第1隆起部群12Aが形成されてもよい。また、複数の第1隆起部群12Aおよび複数の第2隆起部群12Bは、交互に形成されてもよい。
【0205】
以上、半導体装置71によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0206】
図12は、図5に対応する断面図であって、本発明の第3実施形態に係る半導体装置81を示す断面図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0207】
半導体装置81では、電極10が、第2主面4からこの順に積層されたNi層32、Au層33およびAg層34を含む3層構造を有している。
【0208】
Ni層32は、第2主面4に直接接続されている。Ni層32は、複数の隆起部群12を一括して被覆している。Ni層32は、隆起部群12との間およびスペース14との間においてオーミック接触を形成している。
【0209】
Au層33は、Ni層32のほぼ全域または全域を被覆している。Ag層34は、Au層33のほぼ全域または全域を被覆している。このような構造の電極10は、図7のステップS20においてTi層31の形成工程を除くことによって形成される。
【0210】
以上、半導体装置81によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。半導体装置81において電極10は、Ni層32からなる単層構造を有していてもよい。
【0211】
図13は、図5に対応する断面図であって、本発明の第4実施形態に係る半導体装置91を示す断面図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0212】
半導体装置91では、電極10が、金属層61、Au層33およびAg層34を含む。金属層61は、この形態では、第2主面4側からこの順に積層されたカーボン層62、NiSi層63およびNi層64を含む積層構造を有している。
【0213】
金属層61は、第2主面4に接続されている。金属層61は、複数の隆起部群12を一括して被覆している。金属層61は、隆起部群12との間およびスペース14との間においてオーミック接触を形成している。Au層33は、金属層61のほぼ全域または全域を被覆している。Ag層34は、Au層33のほぼ全域または全域を被覆している。
【0214】
このような構造の半導体装置91は、前述の図8N図8Qの金属層61の除去工程(図7のステップS15~ステップS19)を省くことによって形成される。この半導体装置91では、前述の図8Rの工程において、Au層33およびAg層34が金属層61の上に形成されている。
【0215】
以上、半導体装置91によれば、電極10がカーボン層62やNiSi層63を含むので、半導体装置1ほど電極10の接続強度を高めることはできないが、半導体装置1に対して述べた効果とほぼ同様の効果を奏することができる。半導体装置91において、電極10は、金属層61からなる積層構造を有していてもよい。
【0216】
図14は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置92を示す上面図であって、第1主面3よりも上の構造を取り除いた図である。図15は、図14に示すXV-XV線に沿う断面図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0217】
図14および図15を参照して、半導体装置92は、第1主面3の表層部に形成されたJBS(Junction Barrier Schottky)構造93を有している。JBS構造93は、より具体的には、n型のダイオード領域23およびp型のダイオード領域94を含む。ダイオード領域94は、ダイオード領域23との間でpn接合部を形成する。
【0218】
複数のダイオード領域94は、この形態では、ダイオード領域23の表層部において互いに間隔を空けて形成されている。複数のダイオード領域94は、任意の第1方向Xに平行に延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数のダイオード領域94は、第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って間隔を空けて形成されている。
【0219】
これにより、複数のダイオード領域94は、平面視においてダイオード領域23を挟み込むストライプ状に配列されている。複数のダイオード領域94は、対応するダイオード領域23との間においてpn接合部をそれぞれ形成している。
【0220】
第1方向Xが[11-20]方向に設定されている場合、複数のダイオード領域94は、[11-20]方向に対してほぼ平行にまたは平行に延びていてもよい。第1方向Xが[1-100]方向に設定されている場合、複数のダイオード領域94は、[1-100]方向に対してほぼ平行にまたは平行に延びていてもよい。
【0221】
複数のダイオード領域94は、この形態では、複数の隆起部群12と同一の方向に沿って延びている。複数のダイオード領域94は、複数の隆起部群12に交差(直交)する方向に沿って延びていてもよい。
【0222】
電極7は、第1主面3においてダイオード領域23との間でショットキー接合を形成している。これにより、電極7をアノードとし、ダイオード領域23をカソードとするショットキーバリアダイオードDが形成されている。
【0223】
電極7は、第1主面3においてダイオード領域94との間でオーミック接触を形成している。これにより、ダイオード領域94をアノードとし、ダイオード領域23をカソードとするpn接合ダイオードDpnが、第1主面3の表層部に形成されている。
【0224】
以上、半導体装置92によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、半導体装置92によれば、第1主面3の表層部においてダイオード領域23およびダイオード領域94を含むJBS構造93を有している。
【0225】
JBS構造93では、ダイオード領域23およびダイオード領域94の間のpn接合部から空乏層が拡がる。これにより、電極7およびダイオード領域23の間に形成されたショットキー接合の電界が緩和される。その結果、リーク電流を低減できる。前述の第1~第4実施形態に係る構造は、半導体装置92に組み合わされてもよい。
【0226】
図16は、本発明の第6実施形態に係る半導体装置95を示す上面図であって、第1主面3よりも上の構造を取り除いた図である。図17は、図16に示すXVII-XVII線に沿う断面図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0227】
図16および図17を参照して、半導体装置95において、不純物領域24は、第1主面3の表層部に形成された複数(たとえば2個以上20個以下)の不純物領域を含む。不純物領域24は、この形態では、3個の不純物領域24A、24B、24Cを含む。
【0228】
不純物領域24A~24Cは、ダイオード領域23から離れる方向に沿ってこの順に間隔を空けて形成されている。不純物領域24A~24Cは、ダイオード領域23の周縁に沿って帯状にそれぞれ延びている。不純物領域24A~24Cは、ダイオード領域23を取り囲む無端状(四角環状)にそれぞれ形成されていてもよい。
【0229】
不純物領域24A~24Cのうち最内側に位置する不純物領域24Aは、ダイオード領域23を画定していてもよい。不純物領域24Bは、不純物領域24Aを取り囲んでいる。不純物領域24Cは、不純物領域24Bを取り囲んでいる。
【0230】
以上、半導体装置95によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。前述の第1~第5実施形態に係る構造は、半導体装置95に組み合わされてもよい。
【0231】
図18は、本発明の第7実施形態に係る半導体装置101を示す上面図である。図19は、図18に示す半導体装置101の底面図である。図20は、図18に示す領域XXの拡大図であって、SiC半導体層102の第1主面103よりも上の構造を取り除いた図である。図21は、図20のXXI-XXI線に沿う断面図である。図22は、図20のXXII-XXII線に沿う断面図である。図23は、図22の領域XXIIIの拡大図である。
【0232】
図18図23を参照して、半導体装置101は、SiC(炭化シリコン)単結晶を含むSiC半導体層102を有している。SiC半導体層102は、4H-SiC単結晶を含んでいてもよい。
【0233】
4H-SiC単結晶は、[0001]面から[11-20]方向に対して10°以内の角度で傾斜したオフ角を有している。オフ角は、0°以上4°以下であってもよい。オフ角は、0°を超えて4°未満であってもよい。オフ角は、典型的には、2°または4°、より具体的には、2°±10%の範囲または4°±10%の範囲に設定される。
【0234】
SiC半導体層102は、一方側の第1主面103、他方側の第2主面104、ならびに、第1主面103および第2主面104を接続する側面105A、105B、105C、105Dを有している。第1主面103および第2主面104は、それらの法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。
【0235】
側面105Aは、側面105Cに対向している。側面105Bは、側面105Dに対向している。4つの側面105A~105Dは、第1主面103および第2主面104の法線方向に沿って平面的にそれぞれ延びている。側面105A~105Dの長さは、それぞれ、1mm以上10mm以下(たとえば2mm以上5mm以下)であってもよい。
【0236】
SiC半導体層102は、アクティブ領域106および外側領域107を含む。アクティブ領域106は、縦型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)が形成された領域である。外側領域107は、アクティブ領域106の外側の領域である。
【0237】
アクティブ領域106は、平面視において側面105A~105Dから内方領域に間隔を空けてSiC半導体層102の中央部に形成されている。アクティブ領域106は、平面視において4つの側面105A~105Dに平行な4辺を有する四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。
【0238】
外側領域107は、側面105A~105Dおよびアクティブ領域106の周縁の間の領域に形成されている。外側領域107は、平面視においてアクティブ領域106を取り囲む無端状(四角環状)に形成されている。
【0239】
第1主面103の上には、ゲートパッド108、ゲートフィンガー109およびソースパッド110が形成されている。ゲートパッド108、ゲートフィンガー109およびソースパッド110は、アルミニウムおよび/または銅を含んでいてもよい。
【0240】
ゲートパッド108は、平面視において側面105Aに沿う領域に形成されている。ゲートパッド108は、平面視において側面105Aの中央部に沿う領域に形成されている。ゲートパッド108は、平面視において4つの側面105A~105Dの内の任意の2つを接続する角部に沿って形成されていてもよい。
【0241】
ゲートパッド108は、平面視において四角形状に形成されている。ゲートパッド108は、平面視において外側領域107からアクティブ領域106内に引き出され、外側領域107およびアクティブ領域106の境界を横切っている。
【0242】
ゲートフィンガー109は、外側ゲートフィンガー109Aおよび内側ゲートフィンガー109Bを含む。外側ゲートフィンガー109Aは、ゲートパッド108から外側領域107に引き出されている。外側ゲートフィンガー109Aは、外側領域107を帯状に延びている。
【0243】
外側ゲートフィンガー109Aは、この形態では、SiC半導体層102の3つの側面105A、105B、105Dに沿って形成され、アクティブ領域106を3方向から区画している。
【0244】
内側ゲートフィンガー109Bは、ゲートパッド108からアクティブ領域106に引き出されている。内側ゲートフィンガー109Bは、アクティブ領域106を帯状に延びている。内側ゲートフィンガー109Bは、側面105B側から側面105D側に向けて延びている。
【0245】
ソースパッド110は、ゲートパッド108およびゲートフィンガー109から間隔を空けてアクティブ領域106に形成されている。ソースパッド110は、平面視においてゲートパッド108およびゲートフィンガー109によって区画された領域を被覆し、逆C字形状に形成されている。
【0246】
ゲートパッド108およびゲートフィンガー109には、ゲート電圧が印加される。ゲート電圧は、10V以上50V以下(たとえば30V程度)であってもよい。ソースパッド110には、ソース電圧が印加される。ソース電圧は、基準電圧(たとえばGND電圧)であってもよい。
【0247】
第1主面103の上には、樹脂層111が形成されている。図18では、明瞭化のため、樹脂層111がハッチングによって示されている。樹脂層111は、ゲートパッド108、ゲートフィンガー109およびソースパッド110を被覆している。
【0248】
樹脂層111は、ネガティブタイプまたはポジティブタイプの感光性樹脂を含んでいてもよい。樹脂層111は、この形態では、ポジティブタイプの感光性樹脂の一例としてのポリベンゾオキサゾールを含む。樹脂層111は、ネガティブタイプの感光性樹脂の一例としてのポリイミドを含んでいてもよい。
【0249】
樹脂層111の周縁部は、側面105A~105Dから内方領域に間隔を空けて形成され、第1主面103を露出させている。樹脂層111の周縁部は、より具体的には、後述する層間絶縁層161を露出させている。
【0250】
樹脂層111の内方部には、ゲートパッド開口112およびソースパッド開口113が形成されている。ゲートパッド開口112は、ゲートパッド108を露出させている。ソースパッド開口113は、ソースパッド110を露出させている。
【0251】
図19および図23を参照して、第2主面104には、複数の隆起部114を含む隆起部群115、スペース116および溝117が形成されている。隆起部群115(複数の隆起部114)、スペース116および溝117は、アクティブ領域106および外側領域107に対向する領域をそれぞれ含む。
【0252】
隆起部群115(複数の隆起部114)、スペース116および溝117は、第1実施形態に係る隆起部群12(複数の隆起部11)、スペース14および溝16に対応した構造を有している(図3図5等も併せて参照)。
【0253】
第1実施形態に係る隆起部群12(複数の隆起部11)、スペース14および溝16の説明は、本実施形態に係る隆起部群115、スペース116および溝117の説明に準用されるものとし、隆起部群115(複数の隆起部114)、スペース116および溝117についての他の具体的な説明は省略する。
【0254】
隆起部群115、スペース116および溝117は、第2実施形態に係る半導体装置71の隆起部群12、スペース14および溝16に対応した構造を有していてもよい(図11も併せて参照)。この場合、第2実施形態に係る隆起部群12、スペース14および溝16の説明が、本実施形態に係る隆起部群115、スペース116および溝117の説明に準用されるものとする。
【0255】
図20図22を参照して、SiC半導体層102は、この形態では、n型のSiC半導体基板121およびn型のSiCエピタキシャル層122を含む積層構造を有している。SiC半導体基板121によって、第2主面104が形成されている。SiCエピタキシャル層122によって、第1主面103が形成されている。
【0256】
SiC半導体基板121の厚さは、5μm以上400μm以下であってもよい。SiC半導体基板121の厚さは、5μm以上50μm以下、50μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、150μm以上200μm以下、200μm以上250μm以下、250μm以上300μm以下、300μm以上350μm以下、または、350μm以上400μm以下であってもよい。
【0257】
SiC半導体基板121の厚さは、80μm以上200μm以下(たとえば150μm程度)であることが好ましい。SiC半導体基板121の厚さを小さくすることにより、電流経路の短縮によって抵抗値の低減を図ることができる。
【0258】
SiCエピタキシャル層122の厚さは、1μm以上100μm以下であってもよい。SiCエピタキシャル層122の厚さは、1μm以上25μm以下、25μm以上50μm以下、50μm以上75μm以下、または、75μm以上100μm以下であってもよい。SiCエピタキシャル層122の厚さは、5μm以上15μm以下(たとえば10μm程度)であることが好ましい。
【0259】
SiCエピタキシャル層122のn型不純物濃度は、SiC半導体基板121のn型不純物濃度以下である。SiCエピタキシャル層122のn型不純物濃度は、SiC半導体基板121のn型不純物濃度未満である。
【0260】
SiC半導体基板121のn型不純物濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。SiCエピタキシャル層122のn型不純物濃度は、1.0×1015cm-3以上1.0×1018cm-3以下であってもよい。
【0261】
SiCエピタキシャル層122は、この形態では、第1主面103の法線方向に沿って異なるn型不純物濃度を有する複数の領域を有している。SiCエピタキシャル層122は、より具体的には、n型不純物濃度が比較的高い高濃度領域122a、および、高濃度領域122aに対してn型不純物濃度が低い低濃度領域122bを含む。
【0262】
高濃度領域122aは、第1主面103側の領域に形成されている。低濃度領域122bは、高濃度領域122aに対して第2主面104側の領域に形成されている。
【0263】
高濃度領域122aのn型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。低濃度領域122bのn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1016cm-3以下であってもよい。
【0264】
高濃度領域122aの厚さは、低濃度領域122bの厚さ以下である。高濃度領域122aの厚さは、より具体的には、低濃度領域122bの厚さ未満である。つまり、高濃度領域122aの厚さは、SiCエピタキシャル層122の総厚さの半分未満である。
【0265】
図23を参照して、隆起部群115(複数の隆起部114)および溝117は、SiC半導体基板121に形成されている。第2主面104の表層部には、SiC半導体層102(SiC半導体基板121)のSiCの一部が他の性質に改質した改質層104aが形成されている。改質層104aは、第2主面104に対するアニール処理法によって形成されている。
【0266】
改質層104aは、Si原子およびC原子を含む。改質層104aは、より具体的には、SiC半導体層102(SiC半導体基板121)において改質層104a外の領域のカーボン密度よりも低いカーボン密度を有している。
【0267】
改質層104aは、カーボン密度を超えるシリコン密度を有している。つまり、改質層104aは、SiC半導体層102(SiC半導体基板121)のSiCがSiに改質したSi改質層を含む。Si改質層は、Siアモルファス層であってもよい。
【0268】
改質層104aは、SiCの改質に起因する格子欠陥を含んでいてもよい。つまり、改質層104aは、SiCの改質に起因して導入された欠陥準位を有する格子欠陥領域を含んでいてもよい。
【0269】
改質層104aは、この形態では、第2主面104において隆起部群115に沿う領域に形成されている。これにより、各隆起部群115において複数の隆起部114は、改質層104aによって形成されている。
【0270】
改質層104aは、この形態では、スペース116にも形成されている。改質層104aは、隆起部群115からスペース116に延在している。つまり、第2主面104に対するアニール処理法は、スペース116にも及んでいる。
【0271】
改質層104aにおいて隆起部群115に沿う部分の厚さは、隆起部114の存在によって、改質層104aにおいてスペース116に沿う部分の厚さ以上になっている。改質層104aにおいて隆起部群115に沿う部分の厚さは、より具体的には、改質層104aにおいてスペース116に沿う部分の厚さよりも大きい。
【0272】
第2主面104に隆起部群115が存在しない場合の第2主面104の抵抗値は、第2主面104に隆起部群115が存在する場合の第2主面104の抵抗値よりも大きい。
【0273】
つまり、複数の隆起部群115は、電気的特性として、SiC単結晶単体の抵抗値以下の抵抗値を有している。複数の隆起部群115は、より具体的には、SiC単結晶単体の抵抗値未満の抵抗値を有している。また、複数の隆起部群115は、スペース116の抵抗値以下の抵抗値を有している。複数の隆起部群115は、より具体的には、スペース116の抵抗値未満の抵抗値を有している。
【0274】
隆起部群115の電気的特性としての抵抗値は、改質層104aによって低減されている。つまり、隆起部群115の抵抗値は、改質層104aに起因してSiC単結晶の抵抗値以下になっている。スペース116の電気的特性としての抵抗値も、改質層104aに起因してSiC単結晶の抵抗値以下になっている。
【0275】
第2主面104の上には、ドレインパッド123が形成されている。オフ時においてソースパッド110およびドレインパッド123の間に印加可能な最大電圧は、1000V以上10000V以下であってもよい。
【0276】
図23を参照して、ドレインパッド123は、第2主面104に直接接続されている。ドレインパッド123は、第2主面104において隆起部群115を被覆している。ドレインパッド123は、この形態では、複数の隆起部群115を一括して被覆している。
【0277】
ドレインパッド123は、隆起部群115の外面(複数の隆起部114の外面)および溝117の内面に倣って膜状に形成されている。これにより、ドレインパッド123の外面において隆起部群115の外面(複数の隆起部114の外面)を被覆する部分には、第2主面104から離れる方向に隆起した隆起部123aが形成されている。また、ドレインパッド123の外面において溝117を被覆する部分には、第2主面104に向かって窪んだリセス部123bが形成されている。
【0278】
ドレインパッド123は、第2主面104との間でオーミック接触を形成している。ドレインパッド123は、より具体的には、隆起部群115との間でオーミック接触を形成している。
【0279】
ドレインパッド123は、さらに具体的には、複数の隆起部群115との間でオーミック接触を形成している。ドレインパッド123は、この形態では、スペース116との間においてもオーミック接触を形成している。
【0280】
ドレインパッド123は、第2主面104の上に積層された複数の電極層を含む積層構造を有している。ドレインパッド123は、この形態では、第2主面104からこの順に積層されたTi層124、Ni層125、Au層126およびAg層127を含む4層構造を有している。
【0281】
Ti層124、Ni層125、Au層126およびAg層127は、隆起部群115の外面(複数の隆起部114の外面)および溝117の内面に倣って膜状にそれぞれ形成されている。ドレインパッド123の隆起部123aおよびリセス部123bは、Ag層127の外面に形成されている。
【0282】
Ti層124は、第2主面104に直接接続されている。Ti層124は、複数の隆起部群115を一括して被覆し、第2主面104との間でオーミック接触を形成している。Ti層124は、この形態では、スペース116との間においてもオーミック接触を形成している。
【0283】
Ni層125は、Ti層124のほぼ全域または全域を被覆している。Au層126は、Ni層125のほぼ全域または全域を被覆している。Ag層127は、Au層126のほぼ全域または全域を被覆している。
【0284】
Ti層124の厚さは、0.01μm以上5μm以下(たとえば0.07μm程度)であってもよい。Ni層125の厚さは、0.1μm以上40μm以下(たとえば1.2μm程度)であってもよい。
【0285】
Au層126の厚さは、0.1μm以上40μm以下(たとえば0.07μm程度)であってもよい。Ag層127の厚さは、0.1μm以上40μm以下(たとえば0.3μm程度)であってもよい。ドレインパッド123は、Ti層124、Ni層125、Au層126またはAg層127からなる単層構造を有していてもよい。
【0286】
ドレインパッド123は、シリサイドを主たる構成に含むシリサイド層を介さずに第2主面104との間でオーミック接触を形成している。ドレインパッド123は、シリサイドを主たる構成に含むシリサイド層を介さずに各隆起部群115との間でオーミック接触を形成している。
【0287】
ドレインパッド123は、カーボンを主たる構成に含むカーボン層を介さずに第2主面104との間でオーミック接触を形成している。ドレインパッド123は、カーボンを主たる構成に含むカーボン層を介さずに各隆起部群115との間でオーミック接触を形成している。
【0288】
ドレインパッド123は、シリサイドを主たる構成に含む材料が層状に形成された領域を含まない。また、ドレインパッド123は、カーボンを主たる構成に含む材料が層状に形成された領域を含まない。
【0289】
ドレインパッド123は、前述の第3実施形態に係る電極10の構造と同様の構造を有していてもよい。ドレインパッド123は、前述の第4実施形態に係る電極10の構造と同様の構造を有していてもよい。
【0290】
SiC半導体基板121は、MISFETのドレイン領域128として形成されている。SiCエピタキシャル層122は、MISFETのドリフト領域129として形成されている。
【0291】
アクティブ領域106において第1主面103の表層部には、p型のボディ領域131が形成されている。ボディ領域131のp型不純物濃度は、1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。このボディ領域131によって、アクティブ領域106が画定される。
【0292】
アクティブ領域106において第1主面103の表層部には、複数のゲートトレンチ135が形成されている。複数のゲートトレンチ135は、第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。
【0293】
複数のゲートトレンチ135は、第2方向Yに対してほぼ平行にまたは平行に延びる帯状に形成されている。複数のゲートトレンチ135は、平面視において第2方向Yに対してほぼ平行にまたは平行に延びるストライプ状に形成されている。つまり、複数のゲートトレンチ135は、この形態では、平面視において複数の隆起部群115に交差している。
【0294】
複数の隆起部群115は、第2方向Yに対してほぼ平行にまたは平行に延びるストライプ状に形成されていてもよい。この場合、複数のゲートトレンチ135は、平面視において複数の隆起部群115に対してほぼ平行にまたは平行に延びていてもよい。
【0295】
複数のゲートトレンチ135は、第1方向Xに平行に延びるストライプ状に形成されていてもよい。この場合、複数のゲートトレンチ135は、平面視において複数の隆起部群115に対してほぼ平行にまたは平行に延びていてもよい。
【0296】
つまり、各ゲートトレンチ135は、[11-20]方向に対してほぼ平行にまたは平行に延びていてもよい。また、各ゲートトレンチ135は、[11-20]方向に直交する[1-100]方向に対してほぼ平行にまたは平行に延びていてもよい。
【0297】
各ゲートトレンチ135は、この形態では、平面視で第1主面103において一方側(側面105B側)の周縁部から他方側(側面105D側)の周縁部に向けて帯状に延びている。
【0298】
各ゲートトレンチ135は、第1主面103において一方側の周縁部および他方側の周縁部の間の中間部を横切っている。各ゲートトレンチ135の一端部は、第1主面103において一方側の周縁部に位置している。各ゲートトレンチ135の他端部は、第1主面103において他方側の周縁部に位置している。
【0299】
各ゲートトレンチ135は、ミリメートルオーダ(1mm以上)の長さを有している。各ゲートトレンチ135の長さは、この形態では、1mm以上10mm以下(たとえば2mm以上5mm以下)である。単位面積当たりの1つまたは複数のゲートトレンチ135の総延長は、0.5μm/μm以上0.75μm/μm以下であってもよい。
【0300】
各ゲートトレンチ135は、アクティブトレンチ部135aおよびコンタクトトレンチ部135bを含む。アクティブトレンチ部135aは、ゲートトレンチ135においてアクティブ領域106に形成された部分である。コンタクトトレンチ部135bは、ゲートトレンチ135においてアクティブトレンチ部135aから外側領域107に引き出された部分である。
【0301】
各ゲートトレンチ135は、ボディ領域131を貫通し、SiCエピタキシャル層122に至っている。各ゲートトレンチ135の底壁は、SiCエピタキシャル層122内に位置している。各ゲートトレンチ135の底壁は、より具体的には、SiCエピタキシャル層122の高濃度領域122aに位置している。
【0302】
第1主面103の法線方向に関して、ゲートトレンチ135の深さは、0.5μm以上3μm以下であってもよい。ゲートトレンチ135の深さは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、または、2.5μm以上4μm以下であってもよい。ゲートトレンチ135の深さは、0.5μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
【0303】
ゲートトレンチ135の第1方向X幅は、0.1μm以上2μm以下であってもよい。ゲートトレンチ135の第1方向X幅は、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。ゲートトレンチ135の第1方向X幅は、0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
【0304】
各ゲートトレンチ135の開口エッジ部136は、ゲートトレンチ135の内方に向かって湾曲した湾曲部137を含む。ゲートトレンチ135の開口エッジ部136は、第1主面103およびゲートトレンチ135の側壁を接続する角部である。ゲートトレンチ135の開口エッジ部136に対する電界は、湾曲部137によって緩和される。
【0305】
ボディ領域131の表層部においてゲートトレンチ135の側壁に沿う領域には、n型のソース領域138が形成されている。ソース領域138のn型不純物濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。ソース領域138は、第1方向Xに関して、ゲートトレンチ135の一方側の側壁および他方側の側壁に沿って複数形成されている。
【0306】
複数のソース領域138は、第2方向Yに対してほぼ平行にまたは平行に延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数のソース領域138は、平面視においてストライプ状に形成されている。複数のソース領域138は、ゲートトレンチ135と同様に、平面視において複数の隆起部群115に交差している。
【0307】
各ゲートトレンチ135内には、ゲート絶縁層139およびゲート電極層140が形成されている。図20においてゲート絶縁層139およびゲート電極層140は、ハッチングによって示されている。
【0308】
ゲート絶縁層139は、酸化シリコンを含む。ゲート絶縁層139は、窒化シリコン等の他の絶縁膜を含んでいてもよい。ゲート絶縁層139は、ゲートトレンチ135の内壁面に沿って膜状に形成されている。ゲート絶縁層139は、ゲートトレンチ135内においてリセス空間を区画している。
【0309】
ゲート絶縁層139は、第1領域139a、第2領域139bおよび第3領域139cを含む。第1領域139aは、ゲートトレンチ135の側壁に沿って形成されている。第2領域139bは、ゲートトレンチ135の底壁に沿って形成されている。第3領域139cは、第1主面103に沿って形成されている。
【0310】
ゲート絶縁層139の第1領域139aの厚さT1は、ゲート絶縁層139の第2領域139bの厚さT2およびゲート絶縁層139の第3領域139cの厚さT3よりも小さい。
【0311】
第1領域139aの厚さT1に対する第2領域139bの厚さT2の比T2/T1は、2以上5以下であってもよい。第1領域139aの厚さT1に対する第3領域139cの厚さT3の比T3/T1は、2以上5以下であってもよい。
【0312】
第1領域139aの厚さT1は、0.01μm以上0.2μm以下であってもよい。第2領域139bの厚さT2は、0.05μm以上0.5μm以下であってもよい。第3領域139cの厚さT3は、0.05μm以上0.5μm以下であってもよい。
【0313】
第1領域139aを薄く形成することによって、ボディ領域131においてゲートトレンチ135の側壁近傍の領域に誘起されるキャリアの増加を抑制できる。これにより、チャネル抵抗の増加を抑制できる。第2領域139bを厚く形成することによって、ゲートトレンチ135の底壁に対する電界集中を緩和できる。
【0314】
第3領域139cを厚く形成することによって、ゲートトレンチ135の開口エッジ部136近傍におけるゲート絶縁層139の耐圧を向上できる。第3領域139cを厚く形成することによって、第3領域139cがエッチングによって消失することを抑制できる。
【0315】
これにより、第3領域139cの消失に起因して、第1領域139aがエッチングによって除去されることを抑制できる。その結果、ゲート電極層140を、ゲート絶縁層139を挟んでSiC半導体層102に適切に対向させることができる。
【0316】
ゲート電極層140は、ゲート絶縁層139を挟んでゲートトレンチ135に埋め込まれている。ゲート電極層140は、より具体的には、ゲートトレンチ135内においてゲート絶縁層139によって区画されたリセス空間に埋め込まれている。ゲート電極層140は、ゲート電圧によって制御される。
【0317】
ゲート電極層140は、断面視において第1主面103の法線方向に沿って延びる壁状に形成されている。ゲート電極層140は、ゲートトレンチ135の開口側に位置する上端部を有している。ゲート電極層140の上端部は、ゲートトレンチ135の底壁に向かって窪んだ湾曲状に形成されている。
【0318】
ゲート電極層140の断面積は、0.05μm以上0.5μm以下であってもよい。ゲート電極層140の断面積は、ゲートトレンチ135が延びる方向に直交する方向にゲート電極層140を切断したときの断面積である。
【0319】
ゲート電極層140の断面積は、0.05μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.3μm以下、0.3μm以上0.4μm以下、または、0.4μm以上0.5μm以下であってもよい。ゲート電極層140の断面積は、ゲート電極層140の深さおよびゲート電極層140の幅の積で定義される。
【0320】
ゲート電極層140の深さは、ゲート電極層140の上端部から下端部までの距離である。ゲート電極層140の幅は、ゲート電極層140の上端部および下端部の間の中間位置におけるゲート電極層140の幅である。
【0321】
上端部が曲面(この形態では下側に向かって窪んだ湾曲状)である場合、ゲート電極層140の上端部の位置は、ゲート電極層140の上面における中間位置とする。
【0322】
ゲート電極層140は、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含む。p型不純物は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)およびガリウム(Ga)のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0323】
ゲート電極層140のp型不純物濃度は、ボディ領域131のp型不純物濃度以上である。ゲート電極層140のp型不純物濃度は、より具体的には、ボディ領域131のp型不純物濃度よりも大きい。
【0324】
ゲート電極層140のp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1022cm-3以下であってもよい。ゲート電極層140のシート抵抗は、10Ω/□以上500Ω/□以下(この形態では200Ω/□程度)であってもよい。
【0325】
図20および図22を参照して、外側領域107には、ゲート配線層141が形成されている。ゲート配線層141は、ゲートパッド108およびゲートフィンガー109に電気的に接続される。
【0326】
ゲート配線層141は、第1主面103の上に形成されている。ゲート配線層141は、より具体的には、ゲート絶縁層139の第3領域139cの上に形成されている。
【0327】
ゲート配線層141は、この形態では、ゲートフィンガー109に沿って形成されている。ゲート配線層141は、SiC半導体層102の3つの側面105A、105B、105Dに沿って形成され、アクティブ領域106を3方向から区画している。
【0328】
ゲート配線層141は、各ゲートトレンチ135のコンタクトトレンチ部135bから露出するゲート電極層140に接続されている。ゲート配線層141は、この形態では、ゲート電極層140から第1主面103の上に引き出された引き出し部によって形成されている。ゲート配線層141の上端部は、ゲート電極層140の上端部に接続されている。
【0329】
図21を参照して、ゲート電極層140の上には、低抵抗電極層142が形成されている。低抵抗電極層142は、ゲートトレンチ135内においてゲート電極層140の上端部を被覆している。
【0330】
低抵抗電極層142は、ゲート電極層140のシート抵抗未満のシート抵抗を有する導電材料を含む。低抵抗電極層142のシート抵抗は、0.01Ω/□以上10Ω/□以下であってもよい。低抵抗電極層142のシート抵抗は、0.01Ω/□以上0.1Ω/□以下、0.1Ω/□以上1Ω/□以下、1Ω/□以上2Ω/□以下、2Ω/□以上4Ω/□以下、4Ω/□以上6Ω/□以下、6Ω/□以上8Ω/□以下、または、8Ω/□以上10Ω/□以下であってもよい。
【0331】
ゲートトレンチ135内に供給された電流は、比較的低いシート抵抗を有する低抵抗電極層142を流れ、ゲート電極層140に伝達される。これにより、ゲート電極層140の全体を速やかにオフ状態からオン状態に移行させることができる。よって、スイッチング応答の遅延を抑制できる。
【0332】
特に、ミリメートルオーダ(1mm以上)の長さを有するゲートトレンチ135の場合には、電流の伝達に時間を要するが、低抵抗電極層142によれば、スイッチング応答の遅延を適切に抑制できる。つまり、低抵抗電極層142は、ゲートトレンチ135内に電流を拡散する電流拡散電極層として形成されている。
【0333】
低抵抗電極層142は、膜状に形成されている。低抵抗電極層142は、ゲート電極層140の上端部に接する接続部142aおよびその反対の非接続部142bを有している。
【0334】
低抵抗電極層142の接続部142aおよび非接続部142bは、ゲート電極層140の上端部に倣って湾曲状に形成されていてもよい。接続部142aおよび非接続部142bは、種々の形態を採り得る。
【0335】
接続部142aの全体が第1主面103よりも上方に位置していてもよい。接続部142aの全体が第1主面103よりも下方に位置していてもよい。接続部142aは、第1主面103よりも上方に位置する部分を含んでいてもよい。接続部142aは、第1主面103よりも下方に位置する部分を含んでいてもよい。接続部142aの中央部が第1主面103よりも下方に位置し、接続部142aの周縁部が第1主面103よりも上方に位置していてもよい。
【0336】
非接続部142bの全体が第1主面103よりも上方に位置していてもよい。非接続部142bの全体が第1主面103よりも下方に位置していてもよい。非接続部142bは、第1主面103よりも上方に位置する部分を含んでいてもよい。非接続部142bは、第1主面103よりも下方に位置する部分を含んでいてもよい。非接続部142bの中央部が第1主面103よりも下方に位置し、非接続部142bの周縁部が第1主面103よりも上方に位置していてもよい。
【0337】
低抵抗電極層142は、ゲート絶縁層139に接する縁部142cを有している。縁部142cは、ゲート絶縁層139において第1領域139aおよび第2領域139bを接続する角部に接している。
【0338】
縁部142cは、ソース領域138の底部に対して第1主面103側に形成されている。縁部142cは、ボディ領域131およびソース領域138の間の境界よりも第1主面103側に形成されている。縁部142cは、ゲート絶縁層139を挟んでソース領域138に対向している。縁部142cは、ゲート絶縁層139を挟んでボディ領域131とは対向していない。
【0339】
これにより、ゲート絶縁層139における低抵抗電極層142およびボディ領域131の間の領域において電流パスが形成されることを抑制できる。電流パスは、ゲート絶縁層139に対する低抵抗電極層142の電極材料の不所望な拡散によって形成され得る。
【0340】
特に、低抵抗電極層142の縁部142cを、比較的厚いゲート絶縁層139の第3領域139c(ゲート絶縁層139の角部)に接続させる構造は、電流パスのリスクを低減する上で有効である。
【0341】
第1主面103の法線方向に関して、低抵抗電極層142の厚さTRは、ゲート電極層140の厚さTG以下(TR≦TG)である。低抵抗電極層142の厚さTRは、より具体的には、ゲート電極層140の厚さTGの半分以下(TR≦TG/2)である。
【0342】
ゲート電極層140の厚さTGに対する低抵抗電極層142の厚さTRの比TR/TGは、0.01以上1以下である。比TR/TGは、0.01以上0.1以下、0.1以上0.25以下、0.25以上0.5以下、0.5以上0.75以下、または、0.75以上1以下であってもよい。
【0343】
ゲート電極層140の厚さTGは、0.5μm以上3μm以下であってもよい。厚さTGは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、または、2.5μm以上3μm以下であってもよい。
【0344】
低抵抗電極層142の厚さTRは、0.01μm以上3μm以下であってもよい。厚さTRは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、または、2.5μm以上3μm以下であってもよい。
【0345】
図22を参照して、低抵抗電極層142は、この形態では、ゲート配線層141の上端部も被覆している。低抵抗電極層142においてゲート配線層141の上端部を被覆する部分は、低抵抗電極層142においてゲート電極層140の上端部を被覆する部分と一体的に形成されている。
【0346】
低抵抗電極層142は、ゲート電極層140の全域およびゲート配線層141の全域を被覆している。ゲートパッド108およびゲートフィンガー109からゲート配線層141に供給される電流は、比較的低いシート抵抗を有する低抵抗電極層142を流れ、ゲート電極層140およびゲート配線層141に伝達される。
【0347】
これにより、ゲート配線層141を介してゲート電極層140の全体を速やかにオフ状態からオン状態に移行させることができる。よって、スイッチング応答の遅延を抑制できる。特に、ミリメートルオーダ(1mm以上)の長さを有するゲートトレンチ135の場合には、ゲート配線層141の上端部を被覆する低抵抗電極層142によってスイッチング応答の遅延を適切に抑制できる。
【0348】
低抵抗電極層142は、ポリサイド層を含む。ポリサイド層は、ゲート電極層140の表層部を形成する部分が金属材料によってシリサイド化されることによって形成されている。ポリサイド層は、より具体的には、p型ポリシリコン(ゲート電極層140)に添加されたp型不純物を含むp型ポリサイド層からなる。
【0349】
低抵抗電極層142は、この形態では、10μΩ・cm以上110μΩ・cm以下の比抵抗を有している。低抵抗電極層142の比抵抗は、10μΩ・cm以上25μΩ・cm以下、25μΩ・cm以上50μΩ・cm以下、50μΩ・cm以上75μΩ・cm以下、75μΩ・cm以上100μΩ・cm以下、または、100μΩ・cm以上110μΩ・cm以下であってもよい。低抵抗電極層142は、TiSi、TiSi、NiSi、CoSi、CoSi、MoSiおよびWSiのうちの少なくとも1種を含む。
【0350】
とりわけ、これらの種のうちのNiSi、CoSiおよびTiSiは、比抵抗の値および温度依存性が比較的小さいことから、低抵抗電極層142を形成するポリサイド層として適している。
【0351】
さらに、発明者らの検証の結果、TiSiを低抵抗電極層142の材料として採用した場合、低電界印加時においてゲートソース間のリーク電流の増加が観られた。これに対して、CoSiが採用された場合は、低電界印加時においてゲートソース間のリーク電流の増加は見受けられなかった。NiSiはCoSiと比較して耐熱性に課題を有している点を考慮すると、CoSiが低抵抗電極層142を形成するポリサイド層として最も好ましい。
【0352】
低抵抗電極層142を形成した場合のゲートトレンチ135内のシート抵抗は、ゲート電極層140単体のシート抵抗以下である。ゲートトレンチ135内のシート抵抗は、n型不純物が添加されたn型ポリシリコンのシート抵抗以下であることが好ましい。
【0353】
ゲートトレンチ135内のシート抵抗は、低抵抗電極層142のシート抵抗に近似される。つまり、ゲートトレンチ135内のシート抵抗は、0.01Ω/□以上10Ω/□以下であってもよい。ゲートトレンチ135内のシート抵抗は、0.01Ω/□以上0.1Ω/□以下、0.1Ω/□以上1Ω/□以下、1Ω/□以上2Ω/□以下、2Ω/□以上4Ω/□以下、4Ω/□以上6Ω/□以下、6Ω/□以上8Ω/□以下、または、8Ω/□以上10Ω/□以下であってもよい。ゲートトレンチ135内のシート抵抗は、10Ω/□未満であることが好ましい。
【0354】
図20および図21を再度参照して、アクティブ領域106において第1主面103には、複数のソーストレンチ145が形成されている。各ソーストレンチ145は、互いに隣り合う2つのゲートトレンチ135の間の領域に形成されている。
【0355】
各ソーストレンチ145は、第2方向Yに対してほぼ平行にまたは平行に延びる帯状に形成されている。複数のソーストレンチ145は、平面視においてストライプ状に形成されている。複数のソーストレンチ145は、ゲートトレンチ135と同様に、平面視において複数の隆起部群115に交差している。
【0356】
各ソーストレンチ145は、ボディ領域131を貫通し、SiCエピタキシャル層122に至っている。各ソーストレンチ145の底壁は、SiCエピタキシャル層122内に位置している。各ソーストレンチ145の底壁は、より具体的には、SiCエピタキシャル層122の高濃度領域122aに位置している。
【0357】
ソーストレンチ145の深さは、ゲートトレンチ135の深さとほぼ等しくてもよい。ソーストレンチ145の深さは、ゲートトレンチ135の深さ以上であってもよい。
【0358】
第1方向Xに関して、互いに隣り合うソーストレンチ145の中央部間のピッチは、1.5μm以上3μm以下であってもよい。ソーストレンチ145の中央部間のピッチは、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、または、2.5μm以上3μm以下であってもよい。
【0359】
第1主面103の法線方向に関して、ソーストレンチ145の深さは、0.5μm以上10μm以下であってもよい。ソーストレンチ145の深さは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上2.5μm以下、2.5μm以上5μm以下、5μm以上7.5μm以下、または、7.5μm以上10μm以下であってもよい。
【0360】
ソーストレンチ145の第1方向X幅は、0.1μm以上2μm以下であってもよい。ソーストレンチ145の第1方向X幅は、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0361】
ソーストレンチ145の第1方向X幅は、ゲートトレンチ135の第1方向X幅とほぼ等しくてもよい。ソーストレンチ145の第1方向X幅は、ゲートトレンチ135の第1方向X幅以上であってもよい。
【0362】
各ソーストレンチ145の開口エッジ部146は、ソーストレンチ145の内方に向かって湾曲した湾曲部147を含む。ソーストレンチ145の開口エッジ部146は、第1主面103およびソーストレンチ145の側壁を接続する角部である。
【0363】
ソーストレンチ145の開口エッジ部146に対する電界は、湾曲部147に沿って分散する。これにより、ソーストレンチ145の開口エッジ部146に対する電界集中を緩和できる。
【0364】
SiC半導体層102においてソーストレンチ145の側壁に沿う領域には、p型のコンタクト領域148が形成されている。コンタクト領域148は、1つのソーストレンチ145の一方側の側面および他方側の側面に対して複数形成されている。
【0365】
複数のコンタクト領域148は、第2方向Yに沿って間隔を空けて形成されている。複数のコンタクト領域148は、ゲートトレンチ135から第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。
【0366】
SiC半導体層102においてソーストレンチ145の内壁に沿う領域には、p型のディープウェル領域149が形成されている。ディープウェル領域149は、ソーストレンチ145に沿って延びる帯状に形成されている。ディープウェル領域149は、ソーストレンチ145の内壁に沿って延びている。
【0367】
ディープウェル領域149は、より具体的には、ソーストレンチ145の側壁に沿って延び、エッジ部を通ってソーストレンチ145の底壁を被覆している。ディープウェル領域149は、ソーストレンチ145の側壁においてボディ領域131に連なっている。
【0368】
ディープウェル領域149は、ゲートトレンチ135の底壁に対して第2主面104側に位置する底部を有している。ディープウェル領域149は、SiCエピタキシャル層122の高濃度領域122aに形成されている。
【0369】
ディープウェル領域149のp型不純物濃度は、ボディ領域131のp型不純物濃度とほぼ等しくてもよい。ディープウェル領域149のp型不純物濃度は、ボディ領域131のp型不純物濃度を超えていてもよい。ディープウェル領域149のp型不純物濃度は、ボディ領域131のp型不純物濃度未満であってもよい。
【0370】
ディープウェル領域149のp型不純物濃度は、コンタクト領域148のp型不純物濃度以下であってもよい。ディープウェル領域149のp型不純物濃度は、コンタクト領域148のp型不純物濃度未満であってもよい。ディープウェル領域149のp型不純物濃度は、1.0×1017cm-3以上1.0×1019cm-3以下であってもよい。
【0371】
各ソーストレンチ145内には、ソース絶縁層150およびソース電極層151が形成されている。図2においてソース絶縁層150およびソース電極層151は、明瞭化のため、ハッチングによって示されている。
【0372】
ソース絶縁層150は、酸化シリコンを含んでいてもよい。ソース絶縁層150は、ソーストレンチ145の内壁面に沿って膜状に形成され、ソーストレンチ145内においてリセス空間を区画している。
【0373】
ソース絶縁層150は、第1領域150aおよび第2領域150bを含む。第1領域150aは、ソーストレンチ145の側壁に沿って形成されている。第2領域150bは、ソーストレンチ145の底壁に沿って形成されている。
【0374】
ソース絶縁層150の第1領域150aの厚さT11は、ソース絶縁層150の第2領域150bの厚さT12よりも小さい。第1領域150aの厚さT11に対する第2領域150bの厚さT12の比T12/T11は、2以上5以下であってもよい。
【0375】
第1領域150aの厚さT11は、0.01μm以上0.2μm以下であってもよい。第2領域150bの厚さT12は、0.05μm以上0.5μm以下であってもよい。
【0376】
第1領域150aの厚さT11は、ゲート絶縁層139の第1領域139aの厚さT1とほぼ等しくてもよい。第2領域150bの厚さT12は、ゲート絶縁層139の第2領域139bの厚さT2とほぼ等しくてもよい。
【0377】
ソース絶縁層150は、ソーストレンチ145の開口エッジ部146を露出させている。ソース絶縁層150は、より具体的には、ソーストレンチ145の開口エッジ部146からソース領域138およびコンタクト領域148を露出させている。
【0378】
ソース絶縁層150の第1領域150aは、さらに具体的には、ソーストレンチ145の開口側に位置する上端部を有している。第1領域150aの上端部は、第1主面103よりも下方に形成されている。
【0379】
第1領域150aの上端部は、ソーストレンチ145の開口側においてソーストレンチ145の側壁を露出させている。このようにして、第1領域150aは、ソーストレンチ145の開口エッジ部146からソース領域138およびコンタクト領域148を露出させている。
【0380】
ソース電極層151は、ソース絶縁層150を挟んでソーストレンチ145に埋め込まれている。ソース電極層151は、より具体的には、ソーストレンチ145内においてソース絶縁層150によって区画されたリセス空間に埋め込まれている。ソース電極層151は、ソース電圧によって制御される。
【0381】
ソース電極層151は、ソーストレンチ145の開口側に位置する上端部を有している。ソース電極層151の上端部は、第1主面103よりも下方に形成されている。
【0382】
ソース電極層151の上端部は、ソース絶縁層150の上端部に対して面一に形成されていてもよい。ソース電極層151の上端部は、ソース絶縁層150の上端部よりも上方に突出していてもよい。
【0383】
ソース電極層151の上端部は、ソース絶縁層150の上端部よりも下方に位置していてもよい。ソース電極層151の厚さは、0.5μm以上10μm以下(たとえば1μm程度)であってもよい。ソース電極層151の厚さは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0384】
ソース電極層151は、材質的にSiCに近い性質を有するポリシリコンを含むことが好ましい。これにより、SiC半導体層102内において生じる応力を低減できる。ソース電極層151は、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含むことが好ましい。
【0385】
この場合、ゲート電極層140と同時にソース電極層151を形成できる。p型不純物は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)およびガリウム(Ga)のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0386】
ソース電極層151のp型不純物濃度は、ボディ領域131のp型不純物濃度以上である。ソース電極層151のp型不純物濃度は、より具体的には、ボディ領域131のp型不純物濃度よりも大きい。
【0387】
ソース電極層151のp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1022cm-3下であってもよい。ソース電極層151のシート抵抗は、10Ω/□以上500Ω/□以下であってもよい。ソース電極層151のシート抵抗は、10Ω/□以上50Ω/□以下、50Ω/□以上100Ω/□以下、100Ω/□以上200Ω/□以下、200Ω/□以上300Ω/□以下、300Ω/□以上400Ω/□以下、または、400Ω/□以上500Ω/□以下であってもよい。
【0388】
ソース電極層151のp型不純物濃度は、ゲート電極層140のp型不純物濃度とほぼ等しくてもよい。ソース電極層151のシート抵抗は、ゲート電極層140のシート抵抗とほぼ等しくてもよい。
【0389】
ソース電極層151は、p型ポリシリコンに代えて、n型ポリシリコンを含んでいてもよい。ソース電極層151は、p型ポリシリコンに代えて、タングステン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金および銅合金のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0390】
このように、半導体装置101は、トレンチゲート電極構造152およびトレンチソース電極構造153を有している。トレンチゲート電極構造152は、ゲートトレンチ135、ゲート絶縁層139、ゲート電極層140および低抵抗電極層142を含む。トレンチソース電極構造153は、ソーストレンチ145、ソース絶縁層150およびソース電極層151を含む。
【0391】
図21および図22を参照して、第1主面103の上には、層間絶縁層161が形成されている。層間絶縁層161は、アクティブ領域106および外側領域107を選択的に被覆している。層間絶縁層161は、アクティブ領域106においてトレンチゲート電極構造152を被覆し、外側領域107においてゲート配線層141を被覆している。
【0392】
層間絶縁層161は、酸化シリコンまたは窒化シリコンを含んでいてもよい。層間絶縁層161には、ゲートコンタクト孔162およびソースコンタクト孔163が形成されている。
【0393】
ゲートコンタクト孔162は、外側領域107においてゲート配線層141(低抵抗電極層142)を露出させている。ソースコンタクト孔163は、アクティブ領域106においてソース領域138、コンタクト領域148およびトレンチソース電極構造153を露出させている。層間絶縁層161の上には、ゲートパッド108、ゲートフィンガー109およびソースパッド110が形成されている。
【0394】
ゲートフィンガー109は、層間絶縁層161の上からゲートコンタクト孔162に入り込んでいる。ゲートフィンガー109は、ゲートコンタクト孔162内において低抵抗電極層142に電気的に接続されている。これにより、ゲートパッド108からの電気信号は、比較的低い抵抗値を有する低抵抗電極層142を介してゲート電極層140に伝達される。
【0395】
ソースパッド110は、層間絶縁層161の上からソースコンタクト孔163に入り込んでいる。ソースパッド110は、ソースコンタクト孔163内においてソース領域138、コンタクト領域148およびソース電極層151に電気的に接続されている。ソース電極層151は、ソースパッド110の一部の領域を利用して形成されていてもよい。
【0396】
図24は、シート抵抗を説明するためのグラフである。図24において縦軸はシート抵抗[Ω/□]を表しており、横軸は項目を表している。図24では、第1棒グラフL1、第2棒グラフL2および第3棒グラフL3が示されている。
【0397】
第1棒グラフL1は、n型ポリシリコンのシート抵抗を表している。第2棒グラフL2は、p型ポリシリコンのシート抵抗を表している。第3棒グラフL3は、p型ポリシリコンの上に低抵抗電極層142を形成した場合のゲートトレンチ135内のシート抵抗を表している。低抵抗電極層142は、ここではTiSi(p型チタンシリサイド)を含む。
【0398】
第1棒グラフL1を参照して、n型ポリシリコンのシート抵抗は、10Ω/□であった。第2棒グラフL2を参照して、p型ポリシリコンのシート抵抗は、200Ω/□であった。第3棒グラフL3を参照して、p型ポリシリコンの上に低抵抗電極層142を形成した場合のシート抵抗は、2Ω/□であった。
【0399】
p型ポリシリコンは、n型ポリシリコンとは相異なる仕事関数を有しており、p型ポリシリコンをゲートトレンチ135に埋め込むことにより、ゲート閾値電圧Vthを1V程度増加させることができる。
【0400】
しかし、p型ポリシリコンは、n型ポリシリコンのシート抵抗よりも数十倍(20倍程度)高いシート抵抗を有している。そのため、ゲート電極層140の材料としてp型ポリシリコンを採用した場合、ゲートトレンチ135内の寄生抵抗(以下、単に「ゲート抵抗」という。)の増加に伴ってエネルギ損失が著しく増大する。
【0401】
これに対して、p型ポリシリコンの上に低抵抗電極層142を有する構造では、低抵抗電極層142を形成しない場合と比較して、シート抵抗を100分の1以下に低下させることができる。また、低抵抗電極層142を有する構造では、n型ポリシリコンを含むゲート電極層140と比較して、シート抵抗を5分の1以下に低下させることができる。
【0402】
以上、半導体装置101によれば、隆起部群115によって第2主面104に対するドレインパッド123の接続面積を増加させることができる。これにより、電気的特性を向上できる。
【0403】
ドレインパッド123は、より具体的には、隆起部群115との間でオーミック接触を形成する。これにより、SiC半導体層102およびドレインパッド123の間において良好なオーミック特性を得ることができるから、電気的特性を向上できる。
【0404】
また、半導体装置101によれば、ゲートトレンチ135にゲート絶縁層139を挟んでゲート電極層140が埋め込まれたトレンチゲート電極構造152が形成されている。このトレンチゲート電極構造152では、ゲート電極層140が、ゲートトレンチ135という限られたスペースにおいて低抵抗電極層142によって被覆されている。
【0405】
ゲート電極層140は、p型ポリシリコンを含む。これにより、ゲート閾値電圧Vthを増加させることができる。また、低抵抗電極層142は、p型ポリシリコンのシート抵抗未満のシート抵抗を有する導電材料を含む。
【0406】
これにより、ゲート抵抗の低減を図ることができる。その結果、トレンチゲート電極構造152に沿って電流を効率的に拡散させることができるから、スイッチング遅延の短縮を図ることができる。
【0407】
特に、ゲート電極層140を低抵抗電極層142によって被覆した構造によれば、ボディ領域131のp型不純物濃度を増加させなくて済む。よって、チャネル抵抗の増加を防止しながら、ゲート閾値電圧Vthを増加させることができる。
【0408】
また、半導体装置101によれば、外側領域107においてゲート配線層141が低抵抗電極層142によって被覆されている。これにより、ゲート配線層141におけるゲート抵抗の低減も図ることができる。
【0409】
特に、ゲート電極層140およびゲート配線層141が低抵抗電極層142によって被覆されている構造では、トレンチゲート電極構造152に沿って電流を効率的に拡散させることができる。よって、スイッチング遅延の短縮を適切に図ることができる。
【0410】
図25は、図20に対応する領域の拡大図であって、本発明の第8実施形態に係る半導体装置171の構造を説明するための拡大図である。図26は、図25に示すXXVI-XXVI線に沿う断面図である。以下では、半導体装置101の構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0411】
図25および図26を参照して、半導体装置171では、外側領域107において第1主面103に外側ゲートトレンチ172が形成されている。外側ゲートトレンチ172は、外側領域107を帯状に延びている。
【0412】
外側ゲートトレンチ172は、ゲートフィンガー109の下方の領域においてゲートフィンガー109に沿って延びている。外側ゲートトレンチ172は、より具体的には、SiC半導体層102の3つの側面105A、105B、105Dに沿って形成され、アクティブ領域106を3方向から区画している。外側ゲートトレンチ172は、アクティブ領域106を取り囲む無端状(たとえば四角環状)に形成されていてもよい。
【0413】
外側ゲートトレンチ172は、各ゲートトレンチ135のコンタクトトレンチ部135bに連通している。これにより、外側ゲートトレンチ172およびゲートトレンチ135は、1つのトレンチによって形成されている。
【0414】
外側ゲートトレンチ172には、ゲート配線層141が埋め込まれている。ゲート配線層141は、外側ゲートトレンチ172およびコンタクトトレンチ部135bの連通部においてゲート電極層140に接続されている。
【0415】
低抵抗電極層142は、この形態では外側ゲートトレンチ172内においてゲート配線層141の上面を被覆している。したがって、ゲート電極層140を被覆する低抵抗電極層142およびゲート配線層141を被覆する低抵抗電極層142は、いずれも1つのトレンチ内に位置している。
【0416】
以上、半導体装置171によっても、半導体装置101に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、半導体装置171によれば、ゲート配線層141を第1主面103の上に引き出す必要がない。
【0417】
これにより、ゲートトレンチ135や外側ゲートトレンチ172の開口エッジ部において、ゲート配線層141がゲート絶縁層139を挟んでSiC半導体層102に対向することを抑制できる。その結果、ゲートトレンチ135の開口エッジ部における電界の集中を抑制できる。
【0418】
図27は、図21に対応する領域の断面図であって、本発明の第9実施形態に係る半導体装置181の構造を説明するための断面図である。以下では、半導体装置101の構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0419】
図27を参照して、半導体装置181では、各ソーストレンチ145がゲートトレンチ135よりも深く形成されている。各ソーストレンチ145の底壁は、ゲートトレンチ135の底壁に対して、第2主面104側に位置している。各ソーストレンチ145の底壁は、より具体的には、SiCエピタキシャル層122の高濃度領域122aに位置している。
【0420】
ゲートトレンチ135の深さに対するソーストレンチ145の深さの比は、ソーストレンチ145の底壁が高濃度領域122a内に位置するという条件の下で、1.5以上であってもよい。ゲートトレンチ135の深さに対するソーストレンチ145の深さの比は、2以上であることが好ましい。
【0421】
ゲートトレンチ135の深さは、0.5μm以上3μm以下(たとえば1μm程度)であってもよい。ソーストレンチ145の深さは、0.75μm以上10μm以下(たとえば2μm程度)であってもよい。
【0422】
コンタクト領域148は、半導体装置101の場合と同様に、ソーストレンチ145の内壁に沿って延び、かつ、ゲートトレンチ135の底壁に対して第2主面104側に位置する底部を有している。コンタクト領域148は、SiCエピタキシャル層122の高濃度領域122aに形成されている。
【0423】
以上、半導体装置181によっても、半導体装置101に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0424】
図28は、図20に対応する領域の平面図であって、本発明の第10実施形態に係る半導体装置191の構造を説明するための平面図である。以下では、半導体装置101の構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0425】
図28を参照して、ゲートトレンチ135は、この形態では、平面視において格子形状に形成されている。ゲートトレンチ135は、第1方向Xに平行に延びる複数のゲートトレンチ135、および、第2方向Yに対してほぼ平行にまたは平行に延びる複数のゲートトレンチ135を一体的に含む。
【0426】
第1主面103には、ゲートトレンチ135によって複数のセル領域192が行列状に区画されている。各セル領域192は、平面視において四角形状に形成されている。ソーストレンチ145は、複数のセル領域192にそれぞれ形成されている。ソーストレンチ145は、平面視において四角形状に形成されていてもよい。
【0427】
図28のXXI-XXI線に沿う断面図は、図21に示す断面図とほぼ等しい。図28のXXII-XXII線に沿う断面図は、図22に示す断面図とほぼ等しい。
【0428】
以上、半導体装置191によっても、半導体装置101に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。ストライプ状に代えて格子形状に形成された構造を有するゲートトレンチ135は、他の形態にも適用可能である。
【0429】
図29は、図21に対応する領域の断面図であって、本発明の第11実施形態に係る半導体装置201の構造を説明するための平面図である。以下では、半導体装置101の構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0430】
図29を参照して、半導体装置201において、SiC半導体層102は、n型のSiC半導体基板121に代えてp型のSiC半導体基板202を含む。p型のSiC半導体基板202は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のコレクタ領域として形成されている。
【0431】
半導体装置101の説明は、MISFETの「ソース」をIGBTの「エミッタ」と読み替え、MISFETの「ドレイン」をIGBTの「コレクタ」と読み替えて、半導体装置201の説明に準用される。
【0432】
つまり、ソースパッド110およびソース領域138は、エミッタパッド(110)およびエミッタ領域(138)とそれぞれ読み替えられる。また、ドレインパッド123およびドレイン領域128は、コレクタ電極層(123)およびコレクタ領域(128)とそれぞれ読み替えられる。
【0433】
以上、半導体装置201によっても、半導体装置101に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0434】
本発明の実施形態について説明したが、本発明は他の形態で実施できる。
【0435】
前述の各実施形態において、各半導体部分の導電型が反転された構造が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされてもよい。
【0436】
前述の各実施形態では、SiC半導体層2、102が、SiC半導体基板21、121およびSiCエピタキシャル層22、122を含む積層構造を有している例について説明した。しかし、SiC半導体層2、102は、SiC半導体基板21、121からなる単層構造を有していてもよい。また、SiC半導体層2、102は、SiCエピタキシャル層22、122からなる単層構造を有していてもよい。
【0437】
前述の第1~第6実施形態では、電極10が、Ti層31、Ni層32、Au層33および/またはAg層34を含む例について説明した。しかし、電極10は、Ti層31、Ni層32、Au層33および/またはAg層34に代えてまたはこれに加えて、Al層を含んでいてもよい。
【0438】
電極10は、Ti層31、Ni層32、Au層33、Ag層34およびAl層のうちの少なくとも2つを任意の態様で積層させた積層構造を有していてもよい。また、電極10は、Al層を含む単層構造を有していてもよい。
【0439】
前述の第7~第11実施形態では、エピタキシャル成長法によって、高濃度領域122aおよび低濃度領域122bを有するSiCエピタキシャル層122が形成される例について説明した。しかし、SiCエピタキシャル層122は、以下のような工程によっても形成され得る。
【0440】
まず、エピタキシャル成長法によって比較的低いn型不純物濃度を有するSiCエピタキシャル層122を形成する。次に、イオン注入法によって、SiCエピタキシャル層122の表層部にn型不純物を導入する。これにより、高濃度領域122aおよび低濃度領域122bを有するSiCエピタキシャル層122が形成される。
【0441】
前述の第7~第11実施形態では、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含むゲート電極層140およびゲート配線層141が形成された例について説明した。しかし、ゲート閾値電圧Vthの増加を重視しない場合には、ゲート電極層140およびゲート配線層141は、p型ポリシリコンに代えて、n型不純物が添加されたn型ポリシリコンを含んでいてもよい。
【0442】
つまり、低抵抗電極層142は、n型ポリサイドを含んでいてもよい。この場合、低抵抗電極層142は、n型ポリシリコンにおいて表層部を形成する部分を金属材料によってシリサイド化することによって形成されていてもよい。このような構造の場合、ゲート抵抗の低減を図ることができる。
【0443】
前述の第7~第11実施形態では、ドレインパッド123が、Ti層124、Ni層125、Au層126および/またはAg層127を含む例について説明した。ドレインパッド123は、Ti層124、Ni層125、Au層126および/またはAg層127に代えてまたはこれに加えて、Al層を含んでいてもよい。
【0444】
前述の第7~第11実施形態において、ドレインパッド123は、Ti層124、Ni層125、Au層126、Ag層127およびAl層のうちの少なくとも2つを任意の態様で積層させた積層構造を有していてもよい。ドレインパッド123は、Al層を含む単層構造を有していてもよい。
【0445】
前述の第7~第10実施形態において、第11実施形態に係る半導体装置201の構造が採用されてもよい。つまり、前述の第7~第10実施形態において、n型のSiC半導体基板21、121に代えてp型のSiC半導体基板202が採用されてもよい。この場合、前述の各実施形態の説明は、「ソース」を「エミッタ」と読み替え、「ドレイン」を「コレクタ」と読み替えるものとする。
【0446】
この明細書および図面から抽出される特徴の例を以下に示す。
【0447】
[A1]一方側の第1主面および他方側の第2主面を有するSiC半導体層と、前記第1主面に形成された半導体素子と、前記第2主面において互いに間隔を空けて形成された複数の隆起部を含む隆起部群と、前記第2主面において前記隆起部群に直接接続された電極と、を含む、半導体装置。
【0448】
この半導体装置によれば、隆起部群によって第2主面に対する電極の接続面積を増加させることができる。これにより、電気的特性を向上できる。また、この半導体装置によれば、電極が隆起部群に直接接続されているので、接続不良に起因する抵抗値の増加を抑制できる。
【0449】
[A2]前記電極は、シリサイド層を介さずに前記隆起部群に接続されている、A1に記載の半導体装置。
【0450】
[A3]前記電極は、カーボン層を介さずに前記隆起部群に接続されている、A1またはA2に記載の半導体装置。
【0451】
[A4]前記電極は、Ti、Ni、AuおよびAgのうちの少なくとも1種を含む、A1~A3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0452】
[A5]前記電極は、前記隆起部群に接するTi層を含む、A1~A4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0453】
[A6]前記電極は、前記隆起部群に接するNi層を含む、A1~A4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0454】
[A7]前記隆起部群は、複数の前記隆起部のうちの幾つかの前記隆起部が前記第2主面の面方向の1つである第1方向から見た第1方向視において互いに重なる第1部分を有している、A1~A6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0455】
[A8]前記隆起部群は、複数の前記隆起部のうちの幾つかの前記隆起部が前記第1方向視において前記第1部分から離間して形成され、かつ、前記第1方向視において互いに重なる第2部分を有している、A7に記載の半導体装置。
【0456】
[A9]前記隆起部群は、前記第1主面の面方向の1つであり、前記第1方向に交差する第2方向に沿って間隔を空けて複数形成されている、A7またはA8に記載の半導体装置。
【0457】
[A10]互いに隣り合う複数の前記隆起部群の間の距離は、100μm以下である、A9に記載の半導体装置。
【0458】
[A11]前記距離は、50μm以下である、A10に記載の半導体装置。
【0459】
[A12]前記距離は、20μm以下である、A10またはA11に記載の半導体装置。
【0460】
[A13]前記SiC半導体層は、4H-SiCを含み、前記第1方向は、4H-SiCの[11-20]方向である、A7~A12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0461】
[A14]前記SiC半導体層は、4H-SiCを含み、前記第1方向は、4H-SiCの[1-100]方向である、A7~A12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0462】
[A15]前記SiC半導体層は、4H-SiCの(0001)面から[11-20]方向に対して10°以内の角度で傾斜したオフ角を有している、A13またはA14に記載の半導体装置。
【0463】
[A16]前記オフ角は、0°以上4°以下である、A15に記載の半導体装置。
【0464】
[A17]前記オフ角は、0°を超えて4°未満である、A15またはA16に記載の半導体装置。
【0465】
[A18]前記隆起部群は、前記第2主面において前記第1方向に直交する方向に関して、10μm以上200μm以下の範囲に形成されている、A7~A17のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0466】
[A19]前記範囲は、50μm以上150μm以下である、A18に記載の半導体装置。
【0467】
[A20]前記範囲は、80μm以上120μm以下である、A18またはA14に記載の半導体装置。
【0468】
[A21]前記第2主面に形成された溝をさらに含む、A1~A20のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0469】
[A22]前記溝は、前記隆起部群に交差する部分を含む、A21に記載の半導体装置。
【0470】
[A23]前記隆起部群は、前記第2主面の法線方向から見た平面視において複数の前記隆起部のうちの幾つかの前記隆起部が前記溝に沿って間隔を空けて形成された部分を含む、A21またはA22に記載の半導体装置。
【0471】
[A24]前記半導体素子は、ショットキーバリアダイオードを含む、A1~A23のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0472】
[A25]前記半導体素子は、電界効果トランジスタを含む、A1~A23のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0473】
[B1]一方側の第1主面および他方側の第2主面を有するSiC半導体層と、前記第1主面に形成された半導体素子と、前記第2主面において互いに間隔を空けて形成された複数の隆起部を含み、複数の前記隆起部のうちの幾つかの前記隆起部が前記第2主面の面方向の1つである第1方向から見た第1方向視において互いに重なる第1部分を有する隆起部群と、前記第2主面の上に形成され、前記隆起部群に接続された電極と、を含む、半導体装置。
【0474】
この半導体装置によれば、隆起部群によって第2主面に対する電極の接続面積を増加させることができる。これにより、電気的特性を向上できる。
【0475】
[B2]前記隆起部群は、複数の前記隆起部のうちの幾つかの前記隆起部が前記第1方向視において前記第1部分から離間して形成され、かつ、前記第1方向視において互いに重なる第2部分を有している、B1に記載の半導体装置。
【0476】
[B3]前記隆起部群は、前記第1主面の面方向の1つであり、前記第1方向に交差する第2方向に沿って間隔を空けて複数形成されている、B1またはB2に記載の半導体装置。
【0477】
[B4]互いに隣り合う複数の前記隆起部群の間の距離は、100μm以下である、B3に記載の半導体装置。
【0478】
[B5]前記距離は、50μm以下である、B4に記載の半導体装置。
【0479】
[B6]前記距離は、20μm以下である、B4またはB5に記載の半導体装置。
【0480】
[B7]前記隆起部群は、前記第2主面において前記第1方向に直交する方向に関して10μm以上200μm以下の範囲に形成されている、B1~B6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0481】
[B8]前記範囲は、50μm以上150μm以下である、B7に記載の半導体装置。
【0482】
[B9]前記範囲は、80μm以上120μm以下である、B7またはB8に記載の半導体装置。
【0483】
[B10]前記SiC半導体層は、4H-SiCを含み、前記第1方向は、前記4H-SiCの[11-20]方向である、B1~B9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0484】
[B11]前記SiC半導体層は、4H-SiCを含み、前記第1方向は、前記4H-SiCの[1-100]方向である、B1~B9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0485】
[B12]前記SiC半導体層は、前記4H-SiCの(0001)面から[11-20]方向に対して10°以内の角度で傾斜したオフ角を有している、B10またはB11に記載の半導体装置。
【0486】
[B13]前記オフ角は、0°以上4°以下である、B12に記載の半導体装置。
【0487】
[B14]前記オフ角は、0°を超えて4°未満である、B12またはB13に記載の半導体装置。
【0488】
[B15]前記電極は、Ti、Ni、AuおよびAgのうちの少なくとも1種を含む、B1~B14のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0489】
[B16]前記電極は、前記隆起部群に接するTi層を含む、B1~B15のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0490】
[B17]前記電極は、前記隆起部群に接するNi層を含む、B1~B15のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0491】
[B18]前記SiC半導体層の前記第2主面に形成された溝をさらに含む、B1~B17のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0492】
[B19]前記溝は、前記隆起部群に交差する部分を含む、B18に記載の半導体装置。
【0493】
[B20]前記隆起部群は、前記第2主面の法線方向から見た平面視において複数の前記隆起部のうちの幾つかの前記隆起部が前記溝に沿って間隔を空けて形成された部分を含む、B18またはB19に記載の半導体装置。
【0494】
[B21]前記半導体素子は、ショットキーバリアダイオードを含む、B1~B20のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0495】
[B22]前記半導体素子は、電界効果トランジスタを含む、B1~B20のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0496】
[C1]ゲートトレンチが形成された主面を有する半導体層と、前記ゲートトレンチの内壁に沿って形成されたゲート絶縁層と、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含み、前記ゲート絶縁層を挟んで前記ゲートトレンチに埋め込まれたゲート電極層と、前記ゲート電極層のシート抵抗未満のシート抵抗を有する導電材料を含み、前記ゲート電極層を被覆する低抵抗電極層と、を含む、半導体装置。
【0497】
この半導体装置によれば、ゲートトレンチにゲート絶縁層を挟んでゲート電極層が埋め込まれたトレンチゲート電極構造が形成されている。このトレンチゲート電極構造では、ゲート電極層が低抵抗電極層によって被覆されている。
【0498】
ゲート電極層は、p型ポリシリコンを含む。これにより、ゲート閾値電圧を増加させることができる。また、低抵抗電極層は、p型ポリシリコンのシート抵抗未満のシート抵抗を有する導電材料を含む。これにより、ゲート抵抗の低減を図ることができる。
【0499】
[C2]前記低抵抗電極層は、前記p型ポリシリコンが金属材料によってシリサイド化されたポリサイド層を含む、C1に記載の半導体装置。
【0500】
[C3]前記ポリサイド層は、TiSi、TiSi、NiSi、CoSi、CoSi、MoSiおよびWSiのうちの少なくとも1種を含む、C2に記載の半導体装置。
【0501】
[C4]前記低抵抗電極層は、膜状に形成されている、C1~C3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0502】
[C5]前記低抵抗電極層の厚さは、前記ゲート電極層の厚さ以下である、C1~C4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0503】
[C6]前記ゲート絶縁層は、前記ゲートトレンチの側壁に沿って形成された第1領域、および、前記ゲートトレンチの底壁に沿って形成された第2領域を含み、前記ゲート絶縁層の前記第2領域の厚さは、前記ゲート絶縁層の前記第1領域の厚さ以上である、C1~C5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0504】
[C7]前記ゲート絶縁層は、前記半導体層の主面を被覆する第3領域を有しており、前記ゲート絶縁層の前記第3領域の厚さは、前記ゲート絶縁層の前記第1領域の厚さ以上である、C6に記載の半導体装置。
【0505】
[C8]前記ゲートトレンチは、前記半導体層の主面および前記ゲートトレンチの側壁を接続する開口エッジ部において、前記ゲートトレンチの内方に向けて湾曲した湾曲部を有している、C1~C7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0506】
[C9]前記ゲートトレンチは、前記半導体層の主面および前記ゲートトレンチの側壁を接続する開口エッジ部において、前記半導体層の主面から前記ゲートトレンチの側壁に向けて下り傾斜した傾斜部を有している、C1~C7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0507】
[C10]前記ゲート絶縁層は、前記ゲートトレンチの開口エッジ部において前記ゲートトレンチ内に向けて膨出した膨出部を含み、前記低抵抗電極層は、前記ゲート絶縁層の前記膨出部に接している、C1~C9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0508】
[C11]前記ゲート絶縁層の前記膨出部は、前記ゲートトレンチの内方に向かって湾曲状に張り出している、C10に記載の半導体装置。
【0509】
[C12]前記ゲートトレンチの側壁に沿うように前記半導体層の主面から厚さ方向に向けてこの順に形成されたソース領域、ボディ領域およびドレイン領域をさらに含み、前記低抵抗電極層は、前記ゲート絶縁層を挟んで前記ソース領域に対向している、C1~C11のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0510】
[C13]前記ゲートトレンチの側壁に沿うように前記半導体層の主面から厚さ方向に向けてこの順に形成されたエミッタ領域、ボディ領域およびコレクタ領域をさらに含み、前記低抵抗電極層は、前記ゲート絶縁層を挟んで前記エミッタ領域に対向している、C1~C12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0511】
[C14]前記半導体層は、SiCを含む、C1~C13のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0512】
[C15]半導体層の主面にゲートトレンチを形成する工程と、前記ゲートトレンチの内壁に沿ってゲート絶縁層を形成する工程と、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを、前記ゲート絶縁層を挟んで前記ゲートトレンチに埋め込むことにより、ゲート電極層を形成する工程と、前記ゲート電極層のシート抵抗よりも低いシート抵抗を有する導電材料によって前記ゲート電極層を被覆することにより、低抵抗電極層を形成する工程と、を含む、半導体装置の製造方法。
【0513】
[C16]前記低抵抗電極層を形成する工程は、前記ゲート電極層の表層部を金属材料によってシリサイド化することにより、前記ゲート電極層を被覆するポリサイド層を形成する工程を含む、C15に記載の半導体装置の製造方法。
【0514】
[C17]前記金属材料は、Ti、Ni、Co、MoおよびWのうちの少なくとも1種を含む、C16に記載の半導体装置の製造方法。
【0515】
[C18]前記低抵抗電極層を形成する工程は、前記ゲート電極層の厚さ以下の厚さを有する前記低抵抗電極層を形成する工程を含む、C15~C17のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【0516】
[D1]一方側の第1主面および他方側の第2主面を有するSiC半導体層と、前記第1主面に形成された半導体素子と、前記第2主面において互いに間隔を空けて形成された複数の隆起部を含み、複数の前記隆起部のうちの幾つかの前記隆起部が前記第2主面の面方向の1つである第1方向から見た第1方向視において互いに重なる第1部分を有する隆起部群と、前記SiC半導体層の前記第2主面に形成された溝と、前記第2主面の上に形成され、前記隆起部群に接続された電極と、を含む、半導体装置。
【0517】
[D2]前記溝は、前記隆起部群に交差する部分を含む、D1に記載の半導体装置。
【0518】
[D3]前記隆起部群は、前記第2主面の法線方向から見た平面視において複数の前記隆起部のうちの幾つかの前記隆起部が前記溝に沿って間隔を空けて形成された部分を含む、D1またはD2に記載の半導体装置。
【0519】
[D4]一方側の第1主面および他方側の第2主面を有するSiC半導体層と、前記第1主面に形成された半導体素子と、前記第2主面において互いに間隔を空けて形成された複数の隆起部を含み、複数の前記隆起部のうちの幾つかの前記隆起部が前記第2主面の面方向の1つである第1方向から見た第1方向視において互いに重なる第1部分を有する隆起部群と、前記第2主面の上に形成され、前記隆起部群に接続された電極と、を含み、前記隆起部群は、前記第1主面の面方向の1つであり、前記第1方向に交差する第2方向に沿って間隔を空けて複数形成されている、半導体装置。
【0520】
[D5]互いに隣り合う複数の前記隆起部群の間の距離は、100μm以下である、D4に記載の半導体装置。
【0521】
[D6]前記距離は、50μm以下である、D5に記載の半導体装置。
【0522】
[D7]前記距離は、20μm以下である、D5またはD6に記載の半導体装置。
【0523】
[D8]一方側の第1主面および他方側の第2主面を有するSiC半導体層と、前記第1主面に形成された半導体素子と、前記第2主面において互いに間隔を空けて形成された複数の隆起部を含み、複数の前記隆起部のうちの幾つかの前記隆起部が前記第2主面の面方向の1つである第1方向から見た第1方向視において互いに重なる第1部分を有する隆起部群と、前記第2主面の上に形成され、前記隆起部群に接続された電極と、を含み、前記隆起部群は、前記第2主面において前記第1方向に直交する方向に関して10μm以上200μm以下の範囲に形成されている、半導体装置。
【0524】
[D9]前記範囲は、50μm以上150μm以下である、D8に記載の半導体装置。
【0525】
[D10]前記範囲は、80μm以上120μm以下である、D8またはD9に記載の半導体装置。
【0526】
[D11]前記隆起部群は、複数の前記隆起部のうちの幾つかの前記隆起部が前記第1方向視において前記第1部分から離間して形成され、かつ、前記第1方向視において互いに重なる第2部分を有している、D1~D10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0527】
[D12]前記SiC半導体層は、4H-SiCを含み、前記第1方向は、前記4H-SiCの[11-20]方向である、D1~D11のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0528】
[D13]前記SiC半導体層は、4H-SiCを含み、前記第1方向は、前記4H-SiCの[1-100]方向である、D1~D11のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0529】
[D14]前記SiC半導体層は、前記4H-SiCの(0001)面から[11-20]方向に対して10°以内の角度で傾斜したオフ角を有している、D12またはD13に記載の半導体装置。
【0530】
[D15]前記オフ角は、0°以上4°以下である、D14に記載の半導体装置。
【0531】
[D16]前記オフ角は、0°を超えて4°未満である、D14またはD15に記載の半導体装置。
【0532】
[D17]前記電極は、Ti、Ni、AuおよびAgのうちの少なくとも1種を含む、D1~D16のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0533】
[D18]前記電極は、前記隆起部群に接するTi層を含む、D1~D17のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0534】
[D19]前記電極は、前記隆起部群に接するNi層を含む、D1~D17のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0535】
[D20]前記半導体素子は、ショットキーバリアダイオードを含む、D1~D19のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0536】
[D21]前記半導体素子は、電界効果トランジスタを含む、D1~D19のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0537】
[A1]~[A25]、[B1]~[B22]、[C1]~[C18]および[D1]~[D21]は、それらの間で任意の態様で組み合わせられることができる。
【0538】
この明細書は、第1~第11実施形態に示された特徴の如何なる組み合わせ形態をも制限しない。第1~第11実施形態は、それらの間で任意の態様および任意の形態において組み合わせられることができる。つまり、第1~第11実施形態に示された特徴が任意の態様および任意の形態で組み合わされた形態が採用されてもよい。
【0539】
この出願は、2018年3月30日に日本国特許庁に提出された特願2018-068567号および2018年3月30日に日本国特許庁に提出された特願2018-068568号に対応しており、これらの出願の全開示はここに引用により組み込まれる。
【0540】
本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0541】
1 半導体装置
2 SiC半導体層
3 第1主面
4 第2主面
10 電極
11 隆起部群
11A 第1隆起部群
11B 第2隆起部群
15 隆起部
16 溝
21 SiC半導体基板
31 Ti層
32 Ni層
62 カーボン層
63 NiSi層
71 半導体装置
81 半導体装置
91 半導体装置
101 半導体装置
102 SiC半導体層
103 第1主面
104 第2主面
114 隆起部群
116 溝
121 SiC半導体基板
124 Ti層
125 Ni層
171 半導体装置
181 半導体装置
191 半導体装置
201 半導体装置
202 SiC半導体基板
D ショットキーバリアダイオード
X 第1方向
Y 第2方向
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図8K
図8L
図8M
図8N
図8O
図8P
図8Q
図8R
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29