(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】張力をかけるためのテンショナー器具およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20240902BHJP
A61B 17/82 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/82
(21)【出願番号】P 2022206902
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2021164603の分割
【原出願日】2021-10-06
【審査請求日】2022-12-27
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】パトリック,マレー
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0078055(US,A1)
【文献】特表2016-508845(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0257397(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0261680(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56-17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドに張力をかけるためのテンショナー器具であって、
近位端から遠位先端まで延在するカニューレ状の本体、前記本体に沿って並進するように構成されているカラー、および前記カラーを移動させるように構成されているねじ付きシャフトを含むクリップインサータと、
前記クリップインサータに結合された固定ハンドル、前記固定ハンドルに結合された旋回ハンドル、
第1の回転ラチェット、第2の回転ラチェットおよび
前記第1の回転ラチェットおよび前記第2の回転ラチェットに合わせられ、
前記第1の回転ラチェットおよび前記第2の回転ラチェットの間に配置されたスプールを含むラチェットアセンブリ、ならびに前記第1
の回転ラチェットおよび
前記第2の回転ラチェットに係合するように構成されたアクチュエータを含むアクチュエータアセンブリを含むラチェットテンショナーと、を備え、
前記ラチェットテンショナーは、当該ラチェットテンショナーへ前記クリップインサータを結合するための、前記クリップインサータを受容するよう構成されたスロットを有し、
前記バンドが前記スプールの2つの半分の間に配され、前記旋回ハンドルが前記固定ハンドルに向かって握られるときに、前記アクチュエータは、前記
第1の回転ラチェットおよび前記第2の回転ラチェットに接触し、前記
第1の回転ラチェットおよび前記第2の回転ラチェットと
前記スプールを回転させ
、前記バンドを前記スプールの周りに巻き付け、前記バンドをバンドクランプを通して引っ張る、テンショナー器具。
【請求項2】
前記カラーが、前記本体の前記遠位先端に向かって延在する2つのアームを備えたリングである、請求項1に記載のテンショナー器具。
【請求項3】
前記アームの各々は、前記カラーが遠位に移動するときに脊椎ロッドを固定するように構成されているノッチを規定する、請求項2に記載のテンショナー器具。
【請求項4】
前記ねじ付きシャフトは、ドライバシャフトが前記ねじ付きシャフトを通過可能であるように中空体を規定する、請求項1に記載のテンショナー器具。
【請求項5】
前記クリップインサータの前記本体が、
前記クリップインサータが広がって開くことを可能にするワイヤカットと、前記カラーのピンと係合するように構成されている、前記ワイヤカットの
両側に配置される溝とを含む、請求項1に記載のテンショナー器具。
【請求項6】
前記アクチュエータアセンブリが、前記旋回ハンドル内に配置され、前記アクチュエータを係合および係合解除するためのアクチュエータボタン、前記アクチュエータを固定するためのアクチュエータピン、および前記アクチュエータが前記
第1の回転ラチェットおよび前記第2の回転ラチェットに接触するようにするアクチュエータばねを含む、請求項1に記載のテンショナー器具。
【請求項7】
前記ラチェットテンショナーが、ピンを用いて前記固定ハンドルに旋回可能に結合された解放アームと、前記解放アームを静止状態にある前記
第1の回転ラチェットおよび前記第2の回転ラチェットと接触させる解放ばねとを含む解放アセンブリを備える、請求項1に記載のテンショナー器具。
【請求項8】
前記解放アームが、親指プレスを備えた本体と、前記
第1の回転ラチェットおよび前記第2の回転ラチェットと係合するための一対の離間した舌部とを含む、請求項7に記載のテンショナー器具。
【請求項9】
前記ラチェットテンショナーが、前記クリップインサータを前記ラチェットテンショナーに固定するためのボタンアセンブリを備え、前記ボタンアセンブリが、ボタンと、前記ボタンを固定するためのボタンピンと、前記クリップインサータの前記本体と係合するための停止ピンと、前記停止ピンが突出するようにするボタンばねと、を含む、請求項1に記載のテンショナー器具。
【請求項10】
可撓性バンドに張力をかけるためのシステムであって、前記システムが、
骨の周りをループするように構成されている
前記可撓性バンドと、
2つの椎骨を安定させるために構成されている脊椎ロッドと、
前記脊椎ロッドを保持するための凹部と、前記可撓性バンドを受容するための開口部とを有するバンドクランプインプラントと、
前記可撓性バンドに張力をかけるように構成されているクリップインサータおよびラチェットテンショナーを含むテンショナー器具と、を備え、
前記クリップインサータは、カニューレ状の本体と、前記本体に沿って並進し、前記脊椎ロッドを下向きの位置に係合するように構成されたカラーとを含み、
前記ラチェットテンショナーは、前記クリップインサータに結合された固定ハンドル、前記固定ハンドルに結合された旋回ハンドル、ラチェットおよび前記ラチェットに合わせたスプールを含むラチェットアセンブリ、ならびに前記ラチェットに係合するように構成されているアクチュエータを含み、
前記可撓性バンドが前記スプールの2つの半分の間に配され、前記旋回ハンドルと前記固定ハンドルが一緒に握られるときに、前記アクチュエータは、前記ラチェットおよび前記スプールを回転させ
、前記可撓性バンドを前記スプールの周りに巻き付け、前記可撓性バンドをバンドクランプを通して引っ張る、システム。
【請求項11】
前記カラーが、前記本体の遠位先端に向かって延在する2つのアームを備えたリングであり、前記アームの各々は、前記カラーが遠位に移動するときに前記脊椎ロッドに接触および固定するように構成されているノッチを規定する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記クリップインサータの前記本体が、
前記クリップインサータが広がって開くことを可能にするワイヤカットと、前記カラー上のピンと係合するように構成されている、前記ワイヤカットの
両側に配置される溝とを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記アクチュエー
タが、前記旋回ハンドル内に配置され、前記アクチュエータを係合および係合解除するためのアクチュエータボタン、前記アクチュエータを固定するためのアクチュエータピン、および前記アクチュエータがラチェットに接触するようにするアクチュエータばねを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記ラチェットテンショナーが、ピンで前記固定ハンドルに旋回可能に結合された解放アームと、前記解放アームを静止状態にある前記ラチェットと接触させる解放ばねとを含む解放アセンブリを備える、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、外科用器具、より具体的には、例えば、脊椎手術用の張力をかける器具に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの種類の脊椎の異常は、痛みを生じ、動作範囲を限定し、または脊柱内の神経系を損傷する。これらの異常は、外傷、腫瘍、椎間板変性症、および疾患に起因する可能性があるが、これらに限定されない。多くの場合、これらの異常は、脊椎の一部を固定化することによって治療される。この治療は、典型的には、ねじ、フック、および/またはクランプを1つ以上の椎骨に固着することと、ねじ、フック、および/またはクランプを、脊椎の部材を安定化させる細長い脊椎ロッドに接続することと、を伴う。
【0003】
脊椎変形手術中の椎弓根スクリューの代替および/または補足として、可撓性バンドを使用して矯正を達成し、固定を提供することができる。バンドを骨の解剖学的構造に巻き付けてから、力を加えて脊椎を脊椎ロッドに固定することができる。脊椎変形の矯正は、可撓性バンドに張力を加えることによって達成および保持することができる。バンドに張力を加えるように構成されている改良された張力をかける器具の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
このおよび他のニーズを満たすために、インシチュで可撓性バンドに張力をかける器具、システム、および方法が提供される。可撓性バンドが椎弓板または横突起などの骨の解剖学的構造に巻き付けられた後、器具は、可撓性バンドに張力を加えて維持するように構成することができ、それによって脊椎に所望の矯正を提供する。
【0005】
一実施形態によれば、バンドに張力をかけるためのテンショナー器具は、第1および第2の旋回アームならびにベースを含み得る。第1および第2の旋回アームはそれぞれ、近位端から遠位端まで延在することができる。第1および第2の旋回アームはそれぞれ、近位端の近くにハンドルを含み得る。ベースは、第1および第2の旋回アームに結合されたほぼL字形の本体を有し得る。ベースは、バンドを保持し、および/または第1の旋回アームの遠位端を案内するためのスロットを規定し得る。第2の旋回アームは、スロットの下に位置し、バンドを受容するためのサイズおよび寸法の開口部を規定することができる。ハンドルが一緒に圧縮されるときに、バンドは、第1の旋回アームの遠位端とベースとの間のスロット内で挟まれ、アームの遠位端の間の距離が増加し、それによってバンドに張力を加えることができる。ラチェットが、第1および第2の旋回アームの近位端の間に配置されて、それによって、漸増的な張力を可能にし得る。
【0006】
テンショナー器具は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。ベースは、第1の細長い部分と、角部において第1の細長い部分に対して角度が付けられた第2の細長い部分とを含み得る。第1および第2の細長い部分の角部は、第1のヒンジにおいて第1の旋回アームと結合することができる。ベースの第2の細長い部分は、第2のヒンジにおいて第2の旋回アームと結合する自由端で終端することができる。第1のヒンジは、第1の旋回アームをベースに向かって移動させることができ、第2のヒンジは、ベースを第2の旋回アームから離れるように移動させることができる。ラチェットの第1の端部は、旋回ピンを介して第1および第2の旋回アームの一方に結合することができ、ラチェットの反対側の端部は、第1および第2の旋回アームの他方のスロットを介して配置可能であり得る。ラチェットは、ラチェットの内部に沿って複数の歯を有する線形ラチェットであり得る。スロット内の爪は、歯と係合するように構成することができ、それによって第1および第2の旋回アームの位置およびバンドに加えられる張力の量を漸増的に維持する。
【0007】
一実施形態によれば、テンショナー器具は、クリップインサータおよびラチェットテンショナーを含み得る。クリップインサータは、近位端から遠位先端まで延在するカニューレ状の本体、本体に沿って並進するように構成されているカラー、およびカラーを移動させるように構成されているねじ付きシャフトを含む。ラチェットテンショナーは、クリップインサータに結合された固定ハンドル、固定ハンドルに結合された旋回ハンドル、一対の回転ラチェットおよびラチェットに合わせられたラチェット間に配置されたスプールを含むラチェットアセンブリ、ならびに第1および第2の回転ラチェットに係合するように構成されているアクチュエータを含むアクチュエータアセンブリを含む。旋回ハンドルが固定ハンドルに向かって握られるときに、アクチュエータがラチェットに接触し、ラチェットとスプールを回転させることができる。
【0008】
テンショナー器具は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。カラーは、本体の遠位先端に向かって延在する2つのアームを備えたリングであり得る。アームの各々は、カラーが遠位に移動するときに脊椎ロッドを固定するように構成されているノッチを規定することができる。ねじ付きシャフトは、ドライバシャフトがねじ付きシャフトを通過できるように中空体を規定することができる。クリップインサータの本体は、ワイヤカットと、カラー上のピンと係合するように構成されている、ワイヤカットの反対側の1つ以上の溝と、を含み得る。アクチュエータアセンブリは、旋回ハンドル内に配置され、アクチュエータを係合および係合解除するためのアクチュエータボタン、アクチュエータを固定するためのアクチュエータピン、およびアクチュエータをラチェットに接触するようにするアクチュエータばねを含み得る。ラチェットテンショナーは、ピンで固定ハンドルに旋回可能に結合された解放アームと、解放アームを静止状態にあるラチェットと接触させる解放ばねとを含む解放アセンブリを含み得る。解放アームは、親指プレスを備えた本体と、ラチェットと係合するための一対の離間した舌部と、を含み得る。ラチェットテンショナーは、クリップインサータをラチェットテンショナーに固定するためのボタンアセンブリを含むことができ、ボタンアセンブリは、ボタンと、ボタンを固定するためのボタンピンと、クリップインサータの本体と係合するための停止ピンと、停止ピンが突出するようにするボタンばねと、を含み得る。
【0009】
別の実施形態によれば、脊椎システムに張力をかけるためのシステムは、骨の周りをループするように構成されている可撓性バンド、2つの椎骨を安定化するように構成されている脊椎ロッド、脊椎ロッドを保持するための凹部および可撓性バンドを受容するための開口部を有する可撓性クランプインプラントと、可撓性バンドに張力をかけるように構成されているクリップインサータおよびラチェットテンショナーを含むテンショナー器具と、を含み得る。クリップインサータは、カニューレ状の本体と、本体に沿って並進し、脊椎ロッドを下向きの位置に係合するように構成されているカラーと、を含み得る。ラチェットテンショナーは、クリップインサータに結合された固定ハンドル、固定ハンドルに結合された旋回ハンドル、ラチェットおよびラチェットに合わせられたスプールを含むラチェットアセンブリ、ならびにラチェットに係合するように構成されているアクチュエータを含み得る。旋回ハンドルと固定ハンドルを一緒に握られるときに、アクチュエータは、ラチェットとスプールを回転させて、それによって可撓性バンドに張力をかけることができる。
【0010】
さらに別の実施形態によれば、インシチュで脊椎系に張力をかけるための方法は、以下のステップのうちの1つ以上を任意の適切な順序で含むことができる。すなわち、(1)骨の部分の周りをループさせること、(2)バンドをインプラントに通すこと、(3)インプラントをクリップインサータに固着すること、(4)インプラントを脊椎ロッドに対して配置し、クリップインサータを脊椎ロッドに固定すること、(5)バンドをスプールに通すこと、(6)テンショナーをインプラントに対して配置すること、(7)テンショナーのハンドルを一緒に握ると、スプールが回転するように、バンドをスプールの周りに巻き付けて、それによって制御された漸増的な張力をバンドに加えること、(8)所望の張力に達したら、(例えば、セットねじを用いて)バンドをインプラントに固定すること、および(9)患者から器具を取り外すことである。
【0011】
また、様々なタイプとサイズのインプラント、ロッド、様々なタイプと構成のテンショナー器具、挿入ツール、および処置を実行するための他の構成要素を含むキットも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明、ならびにそれに付随する利点および特徴のより完全な理解は、添付図面と併せて考慮されるときに、以下の詳細な説明の参照によって、より容易に理解されるであろう。
【
図1】一実施形態による、可撓性バンドを挟んで引っ張って張力を提供することができる、ハンドル付きテンショナー器具の斜視図を示す。
【
図2】閉位置または弛緩位置にある
図1のテンショナー器具の斜視図を示す。
【
図3】開位置または緊張位置にある
図1のテンショナー器具の斜視図を示す。
【
図4】弛緩位置にあるテンショナー器具の遠位先端の拡大断面図である。
【
図5】緊張位置にあるテンショナー器具の遠位先端の拡大断面図である。
【
図6】テンショナー器具がバンドを保持しており弛緩位置にある状態のインプラントの斜視図を示す。
【
図7】テンショナー器具が緊張位置にあり、それによってバンドに力を加えている状態のインプラントの斜視図を示す。
【
図8】一実施形態による、クリップインサータおよびラチェットテンショナーを通って延在するバンドを備えたラチェットテンショナーを含むテンショナー器具システムの斜視図を示す。
【
図10】バンドクランプインプラントと係合するクリップインサータの斜視図を示す。
【
図11】脊椎ロッドに係合したクリップインサータとバンドクランプの斜視図を示す。
【
図12】クリップインサータ、バンドクランプインプラント、および脊椎ロッドの側面斜視図を示し、駆動シャフトは、バンドクランプの上部のセットスクリューと係合するように構成されている。
【
図13】ワイヤカットと、クリップインサータの本体の解放溝内のカラーピンを示すクリップインサータの部分底面図である。
【
図14】静止状態にあるクリップインサータ内のボタンの拡大断面図であり、ねじ付きシャフトがボタンに係合している。
【
図15】ボタンがクリップインサータで押し下げられ、ねじ付きシャフトが係合解除された拡大断面図である。
【
図16】
図8のラチェットテンショナーの斜視図を示す。
【
図19】クリップインサータと嵌合したラチェットテンショナーの斜視図を示す。
【
図20】ボタンが押し下げられ、停止ピンがクリップインサータから係合解除されていることを示すラチェットテンショナーおよびクリップインサータの断面図である。
【
図21】ボタンが静止状態におり、停止ピンがクリップインサータに係合されていることを示すラチェットテンショナーおよびクリップインサータの断面図である。
【
図22】クリップインサータに取り付けられたバンドクランプインプラントを介して供給され、ラチェットテンショナーのスプールを介して供給される可撓性バンドを示す。
【
図23】ラチェットテンショナーのスプールの周りに巻き付けられた可撓性バンドを示す部分断面図である。
【
図24】一実施形態による、オーバーヘッドラチェットテンショナーの斜視図を示す。
【
図25】
図8のグリップ式のラチェットテンショナーと
図24のオーバーヘッド式のラチェットテンショナーを用いて脊椎構造物に張力をかけるシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の実施形態は、一般に、インシチュで可撓性バンドに張力をかけるための器具、システム、および方法を対象としている。具体的には、実施形態は、脊椎への固定を提供するために可撓性バンドに張力をかけるように構成されている器具およびシステムを対象とする。
【0014】
本発明の実施形態例の追加の態様、利点、および/または他の特徴は、以下の詳細な説明を考慮して明らかになるであろう。本明細書で提供される説明された実施形態は、単に例示的かつ説明的なものであり、限定的なものではないことは当業者には明らかであろう。その修正された多くの実施形態が、本開示およびその同等物の範囲内に入ると考えられる。
【0015】
ここで
図1~7を参照すると、一実施形態による、ハンドル付きテンショナー器具10が示されている。テンショナー10は、細長い部材、ケーブル、テザー、コード、またはバンド12に張力を加えるように構成されている。バンド12は、例えば、椎弓板または横突起などの骨の解剖学的構造または脊椎の部分の周りに巻き付けられるように構成されている可撓性部材であり得る。脊椎を参照して説明されているが、本明細書に記載されている器具およびシステムは、外傷などの他の整形外科の位置および用途に適用され得ると理解されるであろう。
【0016】
可撓性バンド12は、重度の脊椎変形などの複雑な解剖学的構造に適応することができる可能性がある。バンド12は、単独で、またはスクリュー(例えば、椎弓根スクリュー)、クランプ、フック、または他の適切なインプラントなどのインプラント14と組み合わせて使用することができる。インプラント14は、椎骨間の固定を提供するために、脊椎ロッドなどの細長い部材と係合することができる。この実施形態では、インプラント14は、脊椎ロッドを受容するためのチューリップおよびバンド12を保持するためのクランプを備えた椎弓根スクリューとして示されている。他のインプラントおよびロッド構造の例は、例えば、米国特許第9,433,441号、同第10,034,692号、同第10,548,644号、および同第10,575,879号により詳細に記載されており、これらは、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。インプラント14が骨に固着され、および/または骨の解剖学的構造の周りにバンド12をループさせることによって骨に固定された後、脊椎変形の矯正は、可撓性バンド12に張力を加えることによって達成および保持され得る。
【0017】
バンド12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(例えば、超高分子量ポリエチレンまたはUHMWPE)、ポリプロピレン、シルク、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、シルク綿、それらの組み合わせ、または他の適切な生体適合性材料から構成され得る。バンド12は、一般に、円形、楕円形、または平坦/テープ形状であり得る。バンド12は、ある形状から別の形状に移行することができる(例えば、円形から平坦形状、またはその逆)。必要に応じて、バンド12は、完全に放射線透過性であってもよく、または蛍光透視法で見えるように設計された1つ以上のマーカーストランドを有してもよい。
【0018】
図1に重点を置くと、張力装置10は、張力を提供するために可撓性バンド12を挟んで引っ張る。テンショナー10は、上部ハンドルアームまたは第1の旋回アーム20、下部ハンドルアームまたは第2の旋回アーム22、およびベース24を含む。第1の旋回アーム20は、第1の端部または遠位端26から第2の端部または近位端28まで延在する。同様に、第2の旋回アーム22は、遠位端30から近位端32まで延在する。ベース24および遠位端26、30は、インシチュで患者にアクセスするように構成されている、器具10の先端を形成する。近位端28、32は、外科医などのユーザによって操作可能である。第1および第2の旋回アーム20、22はそれぞれ、例えば、近位端28、32の近くにハンドル60、62を規定することができ、これらは、ユーザによって把持および握られるように構成されている。ハンドル60、62の内側に面する部分は、圧迫されたときにハンドル60、62に反対の力を加えるように構成されている湾曲した板ばね64、66を含み得る。
【0019】
図6および
図7に最もよく見られるように、ベース24は、概してL字型の本体を有し得る。例えば、ベース24は、第1の細長い部分34に対して角度が付けられた第1の細長い部分34および第2の細長い部分36を有し得る。ベース24の第1の細長い部分34の遠位部分または第1の端部38は、バンド12を保持し、および/または第1のアーム20の遠位端26を案内するように構成されているチャネルまたはスロット40を規定し得る。ベース24の第1の細長い部分34の第2の端部42は、第2の細長い部分36に一体的に接続する。ベース24の第1の細長い部分34の角部または第2の端部42は、第1のアーム20と嵌合することができる。ベース24の第2の細長い部分36は、近位端または自由端44で終端し、これは、第2のアーム22と嵌合するように構成され得る。
【0020】
図2および
図3に示されるように、器具10は、可撓性バンド12に加えられた張力を保持するために、上部および下部旋回アーム20、22の近位端28、32の間に配置可能なラチェット52を含み得る。ラチェット52は、ラチェット52の内部に沿って既定された複数の歯54を備えた線形本体またはレールを含み得る。ラチェット52の第1の端部は、旋回ピン56を介して旋回アーム20、22の一方に結合することができ、ラチェット52の反対側の端部は、他の旋回アーム20、22の本体のスロットまたは開口部58を通して配置可能であり得る。
図2では、テンショナー10は、張力がバンド12に加えられない第1の弛緩位置に示されている。
図3では、テンショナー10は、張力がバンド12に加えられる第2の緊張位置に示されている。ラチェット52が開口部58を通って移動すると、開口部58内の爪が歯54と係合し、それによってアーム20、22の位置およびバンド12に加えられる張力の量を漸増的に維持する。
【0021】
図4および
図5に重点を置くと、ベース24は各旋回アーム20、22に固定されて、2つのヒンジ46、48を作成することができる。第1のヒンジ46は、例えば、ベース24の第1および第2の細長い部分34、36を接続する角部42において、ベース24を第1のアーム20に接続する。第2のヒンジ48は、例えば、ベース24の第2の細長い部分36の自由端44において、ベース24を第2のアーム22に接続する。ヒンジ46、48はそれぞれ、旋回ピンを含み得る。この実施形態では、旋回ピンが例示されているが、他の好適なジョイントを選択できることが理解されるだろう。
【0022】
第1のヒンジ46は、上部旋回アーム20をベース24に向かって移動させ、第2のヒンジ48は、ベース24を下部旋回アーム22から離れるように移動させる。上部旋回アーム20の遠位端26は、ベース26のスロット40内を移動するように構成されている形状を含み得る。
図4に示す静止/弛緩位置では、上部旋回アーム20の遠位端26とベース26(スロット40)との間にクリアランスがある。
図5に示すようにハンドル60、62が握られて、緊張位置にされると、上部旋回アーム20はベース24に向かって移動し、上部旋回アーム20がベース24に接触し、スロット40に沿って進むまで上部旋回アーム20とベース26との間のクリアランスを減少させる。このようにして、スロット40に存在するバンド12は、アーム20の遠位端26とベース24との間で挟まれる。
【0023】
図3に最もよく見られるように、下部旋回アーム22は、可撓性バンド12を受け入れるように構成されている貫通穴50を有する。貫通穴50は、ベース26のスロット40の真下に位置するため、可撓性バンド12が、下部旋回アーム22の穴50を通過して、ベース26のスロット40に入ることができる。ハンドル60、62が握られると、上部旋回アーム20は、可撓性バンド12をベース26に対して挟み、下部旋回アーム22は、接触面をベース26から離れる方向に押すため、可撓性バンド12に張力を提供する。
【0024】
図6および7に見られるように、インプラント14を通して可撓性バンド12に張力をかけるために、下部旋回アーム22をインプラント14に対して位置付けることができる。ハンドル60、62が圧迫されると、アーム20、22の遠位端26、30の間の距離が増加し、張力がバンド12に加えられる。上部および下部旋回アーム20、22の間のラチェット52は、バンド12に加えられた張力を保持および維持する。
【0025】
処置の間、インプラント14は骨に固定され得る。この実施形態では、インプラント14は、脊椎ロッドを受容するためのチューリップおよびバンド12を受容するための取り付けられたクランプを備えた椎弓根スクリューを含む。他の適切なインプラントを選択できることが理解されよう。バンド12は、テンショナー12およびインプラント14に通すことができる。バンド12は、椎弓板などの骨の部分の周りにループさせることができる。テンショナー12のハンドル60、62を互いに向かって握ることにより、バンド12に張力を加えることができる。ラチェット52は、バンド12の制御された漸増的な張力を可能にする。所望の張力に達したら、バンド14をインプラント12によって固定することができ(例えば、クランプにセットねじを使用して)、器具10を患者から取り外すことができる。
【0026】
ここで
図8~23を参照すると、テンショナー器具システム100の実施形態が示されている。テンショナーシステム100は、クリップインサータ102およびラチェットテンショナー104を含み、これらは、互いに嵌合し、バンド12に張力を加えるように構成されている。テンショナーシステム100は、2つの別個の構成要素に関して記載されているが、器具100は、単一の一体型本体を備え得ることが理解されよう。テンショナーシステム100は、インプラント106を脊椎ロッド108に挿入し、インプラント106を通して可撓性バンド12に張力をかけるように構成されている。
【0027】
図10に最もよく見られるように、インプラント106は、ロッド108を保持するための凹部110、バンド12を受け入れるための1つ以上の開口部112、およびインプラント106内にバンド12を保持し、バンド12に加えられた張力を維持するためのロック部材またはセットねじ114を備えた、概してC形状本体を有するバンドクランプインプラントであり得る。この実施形態では、バンドクランプインプラント106が例示されているが、テンショナーシステム100は、他のインプラントとインターフェース接続し、バンド12に張力を加えるように構成されていることが理解されよう。追加のインプラントおよびロッド構造の例は、例えば、米国特許第9,433,441号、同第10,034,692号、同第10,548,644号、および同第10,575,879号により詳細に記載されており、これらは、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
ここで
図9~15を参照すると、クリップインサータ102は、本体120、カラー122、および本体120を通って延びるねじ付きシャフト124を含む。
図9に重点を置くと、クリップインサータ102は、先端または遠位端126から近位端128まで延在する本体120を有する。本体120は、その遠位端および近位端126、128の間に中央チャネル118を規定する中空の外管またはカニューレの形態とすることができる。本体120は、バンドクランプインプラント106を受け入れるように構成されている遠位先端126に凹部130を規定する。凹部130は、バンドクランプインプラント106の対応する嵌合溝と係合するように構成されている1つ以上の突起132を規定することができる。
【0029】
図10に示されるように、インプラント106は、凹部130内で受容可能であり、インプラント106がクリップインサータ102の本体120の遠位端126で保持されるように、突起132と嵌合する。インプラント106は、任意の好適な方法でクリップインサータ102の先端126に結合され得ると理解されるであろう。
図13に示すように、本体120の遠位端126に向かう底面は、ワイヤカット132を含むことができる。ワイヤカット132は、本体120の長手方向軸に沿って、遠位端126から、クリップインサータ102のカラー122を越えて内側にある距離まで延在することができる。ワイヤカット132は、クリップインサータ102が、インプラント106を受け入れ、解放するように広がって開くことを可能にする。
【0030】
クリップインサータ器具102は、脊椎ロッド108と係合および係合解除するために、器具102を上下に並進することができるカラー122を有する。上向きの位置では、カラー122はロッド108を係合解除する。下向きの位置では、カラー122はロッド108と係合する。カラー122は、本体120がカラー122を通して受容されるように、中空の中心を有するリングとすることができる。本体120の遠位端126に向かって、カラー122は、(
図12に示されるように)カラー122が下向きの位置にあるときに脊椎ロッド108と係合するように構成されている1つ以上のノッチ134を含み得る。カラー122は、アーム136の自由端にノッチ134を規定する一対の離間したアーム136を含み得る。カラー122が遠位に移動するときに、ノッチ134はロッド108の外面と係合し、それによってロッド108をクリップインサータ102に固定する。
【0031】
カラー122は、ねじ付きシャフト124との係合を介して器具102を上下に並進することができる。ねじ付きシャフト124は、本体120のチャネル118を介して受容可能である。ねじ付きシャフト124は、ドライバシャフト138がねじ付きシャフト124の中心を通過できるように中空体を規定することができる。ねじ付きシャフト124は、シャフト124の長さに沿ってねじ部分140を含む。ねじ付き部分140は、好適な直径、利き手、ねじ形状、ねじ角度、リード、ピッチなどの1つ以上のねじを有し得る。ねじ付きシャフト124およびカラー122は、ボールねじ、親ねじ、または他の好適な並進機構として協調し得る。シャフト124の近位端は、ハンドル(図示せず)と嵌合するように構成されているハンドルインターフェース142(例えば、リブ付き部分)を含み得る。ねじ付きシャフト124が回転するときに、カラー122は、上向きに係合解除位置に、または下向きにロッド108との係合位置に並進する。
【0032】
ねじ付きシャフト124は、カラー122を下向きに並進させるために第1の方向に回転させることができる。ねじ付きシャフト124の作動により、カラー122を押して脊椎ロッド108と接触させ、脊椎ロッド108は、バンドクランプインプラント106によって下側で接触される。これらの接触力により、バンドクランプインプラント106を脊椎ロッド108上の所定の位置にしっかりと保持することができる。ねじ付きシャフト124は、バンドクランプ106上のセットねじ114を締め付けるように構成されたドライバシャフト138を受け入れるようにカニューレ状になっている。駆動シャフト138はまた、ハンドル(図示せず)と嵌合するように構成されているハンドルインターフェースを含み得る。
【0033】
図13に見られるように、クリップインサータ102の本体120は、カラー122上のピン146と係合するように構成されている1つ以上の溝144を含み得る。特に、一対の角度の付いた溝144は、中央のワイヤカット132の両側に配置され得る。本体120の溝144は、近位端128に向かって内側に、遠位端126に向かって外側に角度を付けることができる。角度の付いた溝144により、カラー122のピン146が、カラー122が上向きの位置に引っ張られたときに本体120の遠位端126を押し広げて開き、それによってインプラント106をクリップインサータ102から解放することができる。
【0034】
図14および
図15に重点を置くと、クリップインサータ102は、本体120内のスロット152内に配置されたボタン150を含み得る。ボタン150の内側部分は、ねじ付きシャフト124と係合するように構成されたクリアランス穴156およびねじ154を規定することができる。ボタン150は、ピンによって所定の位置に保持されてもよく、1つ以上のばね158に接触する。
図14に示される静止位置では、ボタン150内のねじ154は、ねじ付きシャフト124のねじ部分140と係合する。
図15に示すようにボタン150が押し下げられると、クリアランス穴156により、ねじ付きシャフト124がボタン150を通して自由に並進することができる。
【0035】
ここで
図16~23を参照すると、テンショナーシステム100は、ラチェットテンショナー104を含む。ラチェットテンショナー104は、バンド12を巻き上げるためにラチェットアセンブリ220を使用してスプール222を回転させ、それによってバンド12に張力を提供するハンドル付き器具である。ラチェットテンショナー104の分解図が
図18に示されている。ラチェットテンショナー104は、固定ハンドル170、旋回ハンドル172、およびアクチュエータアセンブリ240および解放アセンブリ254を備えたラチェットアセンブリ220を含み得る。
【0036】
図16に重点を置くと、ラチェットテンショナー104は、固定ハンドル170および旋回ハンドル172を有する。固定ハンドル170は、クリップインサータ102に結合するように構成された遠位端174から近位端176まで延在する。近位端176は、ユーザによって操作されるように構成されているハンドル部分178を含む。ネック180は、遠位部分174をハンドル部分178に接続する。ネック180は、クリップインサータ102に組み立てられ、バンド12に張力をかけるために使用されるときに、ラチェットテンショナー104にピストルグリップの向きを提供するために、上向きに曲げられるかまたは角度を付けられ得る。例えば、ネック180は、固定ハンドル170に向かって後方に湾曲させることができる。固定ハンドル170の遠位部分174は、クリップインサータ102の本体120を受容するように構成されている開口部または貫通スロット182を規定することができる。遠位部分174は、クリップインサータ102を保持するためのスロット182を規定するリングまたはループ184を含み得る。例えば、クリップインサータ102の本体120は、クリップインサータ102の近位端128の近くの固定ハンドル170のスロット182を通して挿入されてもよい。
【0037】
図17および18に示されるように、ラチェットテンショナー104は、ボタンアセンブリ190を用いてクリップインサータ102に結合され得る。ボタンアセンブリ190は、ボタン192、ボタン192を固定するためのボタンピン194、クリップインサータ102の本体120と係合するための停止ピン196、および停止ピン196がスロット182内に突出するようにボタンばね198を含み得る。スロット182と交差するのは、ボタンばね198および停止ピン196を受け入れるようなサイズおよび寸法のボア202である。静止状態では、ボタンばね198により、停止ピン196が、クリップインサータ102を受け入れるスロット182内に突出するようにする。固定ハンドル170は、ボタン192を受け入れるようなサイズおよび寸法の第1の貫通穴204と、ボタンピン194を受け入れるように構成されている第2の横方向貫通穴206とを有する。ボタン192は、ボタン192が押し下げられたときに停止ピン196が並進して固定ハンドル170に戻るように、ボタンピン194で停止ピン196に結合されている。
図20に示すようにボタン192が押し下げられるときに、停止ピン196が後退し、固定ハンドル170がクリップインサータ102に係合することができる。
図21に示すようにボタン192が解放されると、停止ピン196は、並進して、クリップインサータ102の嵌合穴208に外向きに延在し、ラチェットテンショナー104をクリップインサータ102にしっかりと結合する。
【0038】
旋回可能なハンドル172は、固定ハンドル170に結合する遠位端210から近位端212まで延在する。近位端212は、ユーザによって操作されるように構成されているハンドル部分214を含む。遠位端210は、ラチェットアセンブリ220を用いて固定ハンドル170に枢動可能に結合されている。旋回可能なハンドル172および固定ハンドル170は、ラチェットアセンブリ220を保持するようなサイズおよび寸法である。
【0039】
ラチェットアセンブリ220は、スプール222および少なくとも1つの回転ラチェット224を含む。例えば、アセンブリ220は、スプール222の反対側に配置可能な第1および第2の回転ラチェット224を含み得る。スプール222は、スペースまたはギャップ230が2つの半分232を分離している状態で、2つの半円形または半分232を含む。半分232の外面は、湾曲または丸みを帯びていてもよい。各回転ラチェット224は、ラチェット224の周囲に複数の歯234を有する丸歯車を含み得る。歯234は、ラチェット224の本体の周囲に均一に分布され得る。アクチュエータ242は、ラチェット224が回転する際に歯234と係合するように構成されている。歯234は、ラチェット224が第1の方向に回転するときに、アクチュエータ242が歯234上を上にスライドし、歯234の間のくぼみに入ることができるように、傾斜または角度を付けることができる。ラチェット224が反対方向に移動しようとするときに、アクチュエータ242は第1の歯234に引っ掛かり、それによってアクチュエータ242を歯234に対してロックし、その方向へのそれ以上の動きを防ぐ。ラチェットアセンブリ220は、第1および第2のキャププレート236がラチェット224の外側に配置された状態で、ハンドル170、172に固定される。セットねじなどの複数の留め具238を使用して、キャッププレート236およびアセンブリ全体を固定することができる。
【0040】
各ハンドル170、172は、スプール222を受け入れるためのサイズおよび寸法の貫通穴226を有する。2つのラチェット224は、固定ハンドル170のいずれかの側で、旋回ハンドル172と固定ハンドル170との間に位置する。各ラチェット224は、スプール222の2つの半分を受け入れるように構成されている2つの切り欠き228を規定する。スプール222は、ハンドル170、172とは独立して回転することができるが、スプール222は、ラチェット224が回転するときにスプール222が回転するように、ラチェット224にキーが付けられている。スプール222の2つの半分の間のスペースまたはギャップ230は、可撓性バンド12を受け入れるのに十分な大きさである。
【0041】
アクチュエータアセンブリ240は、ラチェット224と係合するためのアクチュエータ242、アクチュエータ242に係合および係合解除するためのアクチュエータボタン244、アクチュエータ242を固定するためのアクチュエータピン246、およびアクチュエータ242がラチェット224に接触するようにするアクチュエータばね248を含む。アクチュエータ242は、2つの離間した爪250を有する本体を含む。各爪250は、それぞれのラチェット224の歯234と係合するように構成されている。旋回ハンドル172は、アクチュエータ242およびアクチュエータばね248を受け入れるためのボアを有する。アクチュエータばね248は、アクチュエータ242を静止位置でラチェット224に接触させるようにする。旋回ハンドル172は、アクチュエータボタン244およびアクチュエータボタンピン246を受け入れるための2つの横方向貫通穴を有する。アクチュエータボタン244は、ボタン244が押し下げられるときに、アクチュエータ242がラチェット224から離れるように並進し、それによってアクチュエータ242をラチェット224から係合解除するように、アクチュエータピン246でアクチュエータ242に結合される。
【0042】
解放アセンブリ254は、解放アーム256、解放ばね258、および解放アーム256を枢動可能に固定するための解放ピン260を含む。解放アーム256は、親指プレス262を備えた本体と、ラチェット224と係合するための一対の離間した舌部264とを含む。解放アーム256は、固定ハンドル170に枢動可能に結合されている。解放アーム256はスロット内に配置され、旋回ピン260によって固定されている。解放アーム256は、解放スプリング258を受け入れるための座ぐりを規定する。解放ばね258は、解放アーム256の舌部264を静止状態のラチェット224と接触させる。解放アーム256の舌部264は、解放アーム256を押し下げることによってラチェット224から係合解除することができ、それによって解放ばね258を圧縮し、舌部264を旋回させてラチェット224との接触から外す。
【0043】
ラチェットテンショナー104は、複数のセットねじなどの1つ以上の締結具268を用いてハンドル170、172に結合された一対の板ばね266を含み得る。湾曲した板ばね266は、ハンドル170、172が静止状態で開いたままにするようにする。ハンドル170、172が一緒に握られるときに、旋回ハンドル172上のアクチュエータ242はラチェット224に接触し、ラチェット224およびスプール222を回転させる。ラチェット224が回転している間、固定ハンドル170上の解放アーム256は、連続するラチェット位置に持ち上げられる。ハンドル170、172が解放されるときに、板ばね266は、ハンドル170、172が開くようにし、旋回ハンドル172上のアクチュエータ242が持ち上げられて連続するラチェット位置に戻る。固定ハンドル170上の解放アーム256がラチェット224と係合しているため、スプール222は、新しい向きで保持され、開いている旋回ハンドル172と共に戻るように回転しない。このプロセスが繰り返され、スプール222がラチェットテンショナー104内で回転し、それによってバンド12に張力が加えられる。
【0044】
図22~23に示されるように、ラチェットテンショナー104は、ボタンアセンブリ190を備えたクリップインサータ102と係合している。可撓性バンド12は、バンドクランプインプラント106を通して供給され、バンドクランプ106は、クリップインサータ102のカラー122と共にロッド108上に位置付ける。可撓性バンド12は、ラチェットアセンブリ220のスプール222の2つの半分232の間に供給される。次に、ラチェットテンショナー104のハンドル170、172が作動して、可撓性バンド12をスプール222の周りに巻き付け、それによって、可撓性バンド12をバンドクランプ106を通して引っ張り、張力を加える。十分な量の張力が達成されると、ドライバシャフト138は、クリップインサータ102を介してバンドクランプ106のセットねじ114に通されて、バンド12の張力をロックすることができる。スプール222を巻き戻すことにより、張力を可撓性バンド12から取り除くことができる。これを行うために、解放アーム256およびアクチュエータボタン244を押し下げてラチェット224を係合解除し、スプール222を手動で回転させてスプール222を巻き戻す。
【0045】
処置の間、バンド12は、インプラント106、およびラチェットテンショナー104のスプール222内のギャップ230を通され得る。バンド12は、椎弓板または横突起などの骨の一部の周りにループさせることができる。ラチェットテンショナー104のハンドル170、172を握ることによって、バンド12に張力を加えることができる。スプール222が回転すると、バンド12はスプール222の周りに巻き付き、制御された漸増的な張力をバンド12に加える。所望の張力に達したら、(例えば、クランプ106内のセットねじ114で)バンド14をインプラント106によって固定することができ、器具100を患者から取り外すことができる。
【0046】
ここで
図24および
図25を参照すると、異なるオーバーヘッドスタイルのグリップ構成を除いて、テンショナー100と同じであるテンショナー器具システム300の代替バージョンが示されている。ピストルグリップスタイルのテンショナーシステム100と同様に、オーバーヘッドスタイルのテンショナーシステム300は、クリップインサータ102およびラチェットテンショナー104を含む。しかしながら、テンショナーシステム300では、ラチェットテンショナー104は、クリップインサータ102に対してオーバーヘッドの向きに位置付けられるように構成されている。オーバーヘッドシステム300の場合、固定ハンドル170のネック302がネック180と反対の角度になっているため、ラチェットテンショナー104は、オーバーヘッドの向きに位置付けられるように構成されている。例えば、テンショナーシステム300のネック302は、旋回ハンドル172に向かって角度が付けられているか、または後方に湾曲している。
【0047】
図25に示されるように、オーバーヘッドスタイルのテンショナーシステム300は、可撓性バンド12に張力をかけている間の手の位置の好みに応じて、外科医に別の選択肢を提供する。必要に応じて、オーバーヘッドスタイルのテンショナーシステム300を、ピストルグリップスタイルのテンショナー100と併せて使用することができる。バンドクランプ106は、変形を低減するために連続する脊椎レベルで使用することができ、解剖学的構造は、バンドクランプ106が互いに近接して配置されることを指示することができる。したがって、外科医の手のためのスペースを与えるために、両方のスタイルのラチェットテンショナー100、300を提供することが有利であることがある。
【0048】
本明細書に記載のシステムは、外科医が脊椎の変形を矯正し、固定を達成するために可撓性バンドに張力をかけることを可能にする。器具は、バンドクランプおよび可撓性バンドとの容易な係合を提供し、例えば、バンドクランプまたは可撓性バンドに二次ロックステップを使用する機器と比較して、時間を節約することができる。張力をかける器具は、本質的に無制限の張力をかける能力を可能にし、これは、例えば、ねじ式機構の移動範囲によって制限される器具よりも改善され得る。テンショナーは、矯正中にテンショナーをリセットする必要がないため、手術中の外科医の時間を節約することができる。さらに、ハンドル機構は、追加の作動器具を必要とせずに使いやすさを可能にし得る。様々な構成により、外科医が、手術部位の視覚化を最適化するために、患者への器具の実装をカスタマイズすることもできる。
【0049】
本発明を特定の実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更および修正をすることができると当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に入るという条件で、本発明の修正および変形を包含することが意図される。上記で開示された様々なデバイスのすべての構成要素は、任意の好適な構成で組み合わせられ得るか、または修正され得ることが、明白に意図されている。
【0050】
〔まとめ〕
本開示の態様1は、バンドに張力をかけるためのテンショナー器具であって、近位端から遠位端まで延在する第1および第2の旋回アームを備え、前記第1および第2の旋回アームが、前記近位端の近くにハンドルを有し、ベースが、前記第1および第2の旋回アームに結合されたほぼL字形の本体を有し、ラチェットが、前記第1および第2の旋回アームの前記近位端の間に配置され、前記ベースが、前記バンドを保持し、第1の旋回アームの前記遠位端を案内するためのスロットを規定し、前記第2の旋回アームが、前記スロットの下に位置し、前記バンドを受容するためのサイズおよび寸法の開口部を規定し、前記ハンドルが一緒に圧迫されるときに、前記バンドは、前記第1の旋回アームの前記遠位端と前記ベースとの間の前記スロット内で挟まれ、前記アームの前記遠位端の間の距離が増加し、それによって前記バンドに張力を加える、テンショナー器具。
【0051】
本開示の態様2は、前記ベースは、前記第1の細長い部分と、角部において前記第1の細長い部分に対して角度が付けられた第2の細長い部分とを含み、前記第1および第2の細長い部分の前記角部が、第1のヒンジにおいて前記第1の旋回アームと結合する、態様1に記載のテンショナー器具。
【0052】
本開示の態様3は、前記ベースの前記第2の細長い部分が、第2のヒンジにおいて前記第2の旋回アームと結合する自由端で終端する、態様2に記載のテンショナー器具。
【0053】
本開示の態様4は、前記第1のヒンジが、前記第1の旋回アームを前記ベースに向かって移動させ、前記第2のヒンジが、前記ベースを前記第2の旋回アームから離れるように移動させる、態様3に記載のテンショナー器具。
【0054】
本開示の態様5は、前記ラチェットの第1の端部が、旋回ピンを介して第1および第2の旋回アームの一方に結合され、前記ラチェットの反対側の端部が、前記第1および第2の旋回アームの他方のスロットを介して配置可能である、態様1に記載のテンショナー器具。
【0055】
本開示の態様6は、前記ラチェットが線形ラチェットであり、前記ラチェットの内部に沿って複数の歯を含み、前記スロット内の爪が前記歯と係合して、それによって前記第1および第2の旋回アームの位置および前記バンドに加えられた張力の量を漸増的に維持する、態様5に記載のテンショナー器具。