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特許7547468誘導結合を使用する手動式ナイフ緊急離脱の監視
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】誘導結合を使用する手動式ナイフ緊急離脱の監視
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20240902BHJP
【FI】
A61B34/30
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022510994
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 IB2020057728
(87)【国際公開番号】W WO2021033127
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】16/547,270
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】オーバーマイヤー・マーク・ディー
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0132850(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0059889(US,A1)
【文献】特表2017-532169(JP,A)
【文献】国際公開第2019/123175(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30-34/37
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット外科用ツールであって、
コンピュータシステムと通信するツール駆動部、
前記ツール駆動部に装着可能で、磁気応答性材料から作製されたか、若しくは磁気応答性材料を含む1つ又は2つ以上の構成部品を含む、駆動ハウジング、
前記ツール駆動部上に含められ、磁場を生成するように構成された、第1のインダクタコイル、
前記駆動ハウジング上に含められ、前記磁場の強度及び前記1つ又は2つ以上の構成部品によって引き起こされた場の歪みを測定するように構成された、第2のインダクタコイル、を備え、
前記場の歪みの変化が、前記1つ又は2つ以上の構成部品の移動の指示を提供する、ロボット外科用ツール。
【請求項2】
前記磁気応答性材料は、導電性金属、導電性ポリマー、グラファイト、炭素繊維、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される磁気応答性材料を含む、請求項1に記載のロボット外科用ツール
【請求項3】
前記駆動ハウジングは、前記第2のインダクタコイルと通信し、前記磁場の前記強度及び前記場の歪みの前記変化を処理するようにプログラムされた、内部コンピュータを更に含む、請求項1に記載のロボット外科用ツール
【請求項4】
前記コンピュータシステムは、前記場の歪みの前記変化が検出されたときに通知を提供するようにプログラムされている、請求項1に記載のロボット外科用ツール
【請求項5】
前記通知は、視覚的ディスプレイ上に提供された視覚的通知を含む、請求項4に記載のロボット外科用ツール
【請求項6】
前記通知は、可聴又は触覚的通知を含む、請求項4に記載のロボット外科用ツール
【請求項7】
前記駆動ハウジングの前記1つ又は2つ以上の構成部品は、手動式ナイフ緊急離脱システムの一部を形成し、前記場の歪みの前記変化を前記測定することは、前記手動式ナイフ緊急離脱システムが起動されているという指示を提供する、請求項1に記載のロボット外科用ツール
【請求項8】
ロボット外科用ツールの作動方法であって、
ロボット外科用ツールは、
コンピュータシステムと通信するツール駆動部と、
前記ツール駆動部に装着されており、磁気応答性材料から作製されたか、若しくは磁気応答性材料を含む1つ又は2つ以上の構成部品を含む、駆動ハウジングと、
前記ツール駆動部上に含められている、磁場を生成するように構成された、第1のインダクタコイルと、
前記駆動ハウジング上に含められている、前記磁場の強度及び前記1つ又は2つ以上の構成部品によって引き起こされた場の歪みを測定するように構成された、第2のインダクタコイルと、を備え、
前記第1のインダクタコイル磁場を生成し、前記第2のインダクタコイル前記磁場を感知することによって、前記駆動ハウジングを前記ツール駆動部に誘導結合することと、
前記磁場の強度及び前記1つ又は2つ以上の構成部品引き起こた場の歪みを前記第2のインダクタコイル測定することと、
前記第2のインダクタコイルが、前記場の歪みの変化を検出し、それによって、前記第2のインダクタコイルが、前記1つ又は2つ以上の構成部品の移動の指示を提供することと、を含む、ロボット外科用ツールの作動方法。
【請求項9】
前記駆動ハウジングは、前記第2のインダクタコイルと通信する内部コンピュータを更に含み、前記ロボット外科用ツールの作動方法は、前記磁場の前記強度及び前記場の歪みの前記変化を前記内部コンピュータ処理することを更に含む、請求項8に記載のロボット外科用ツールの作動方法。
【請求項10】
前記場の歪みの前記変化が検出されたときに、前記コンピュータシステム通知を受信することを更に含む、請求項8に記載のロボット外科用ツールの作動方法。
【請求項11】
前記コンピュータシステムと通信する視覚的ディスプレイ視覚的通知を受信することを更に含む、請求項10に記載のロボット外科用ツールの作動方法。
【請求項12】
前記通知は、可聴又は触覚的通知である、請求項10に記載のロボット外科用ツールの作動方法。
【請求項13】
前記第2のインダクタコイルが前記磁場の前記強度及び前記場の歪みを測定することは、前記駆動ハウジングを前記ツール駆動部に誘導結合する際に、前記第2のインダクタコイルが、前記強度及び前記場の歪みを測定することを含む、請求項8に記載のロボット外科用ツールの作動方法。
【請求項14】
前記第2のインダクタコイルが前記磁場の前記強度及び前記場の歪みを測定することは、
前記駆動ハウジングを前記ツール駆動部に誘導結合する前に、前記第2のインダクタコイルが、前記強度及び前記場の歪みを測定することと、
前記駆動ハウジング内に含められた内部コンピュータのメモリが、前記強度及び前記場の歪みを記憶することと、を含む、請求項8に記載のロボット外科用ツールの作動方法。
【請求項15】
前記第2のインダクタコイルが前記場の歪みの前記変化を検出することは、
前記第2のインダクタコイルが、前記場の歪みの前記変化を、既知の磁場及び前記1つ又は2つ以上の構成部品の所定の位置の結果として生じる既知の場の歪みに対応する所定の強度閾値と比較することと、
前記第2のインダクタコイルが、前記場の歪みの前記変化を前記所定の強度閾値と一致させることと、を含む、請求項8に記載のロボット外科用ツールの作動方法。
【請求項16】
ロボット外科用ツールであって、
コンピュータシステムと通信するツール駆動部、
前記ツール駆動部に装着可能で、緊急離脱ツール、緊急離脱パネル、及び発射ロッドからなる群から選択される1つ又は2つ以上の構成部品を含む手動式ナイフ緊急離脱システムを含む駆動ハウジングであって、前記1つ又は2つ以上の構成部品のうちの少なくとも1つは、磁気応答性材料から作製されるか、又は磁気応答性材料を含む、駆動ハウジング、
前記ツール駆動部上に含められ、磁場を生成するように構成された第1のインダクタコイル、
前記駆動ハウジング上に含められ、前記磁場の強度及び前記1つ又は2つ以上の構成部品によって引き起こされた場の歪みを測定するように構成された、第2のインダクタコイル、を備え、
前記場の歪みの変化が、前記緊急離脱ツール、前記緊急離脱パネル、及び前記発射ロッドのうちの少なくとも1つの移動の指示を提供する、ロボット外科用ツール。
【請求項17】
前記磁気応答性材料は、導電性金属、導電性ポリマー、グラファイト、炭素繊維、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される磁気応答性材料を含む、請求項16に記載のロボット外科用ツール
【請求項18】
前記緊急離脱ツールは、前記駆動ハウジング内に格納され、前記緊急離脱パネルを取り外すことによってアクセス可能である、請求項16に記載のロボット外科用ツール
【請求項19】
前記駆動ハウジングは緊急離脱キャップを更に含み、前記緊急離脱ツールは前記緊急離脱キャップと嵌合可能であり、前記緊急離脱ツールを回転させることは、それに応じて前記緊急離脱キャップを回転させ、これによって前記発射ロッドは長手方向に並進される、請求項16に記載のロボット外科用ツール
【請求項20】
前記コンピュータシステムは、前記場の歪みの前記変化が検出されたときに通知を提供するようにプログラムされている、請求項16に記載のロボット外科用ツール
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
低侵襲手術(minimally invasive surgical、MIS)器具は、多くの場合、術後の回復時間の短縮及び最小限の瘢痕のため、従来の開腹手術デバイスよりも好ましい。最も一般的なMIS手技は内視鏡検査であり得、最も一般的な形態の内視鏡検査が腹腔鏡検査であり、腹腔鏡検査において、1つ又は2つ以上の小さな切開部が患者の腹部に形成され、トロカールが切開部を通じて挿入されて、腹腔へのアクセスを提供する経路が形成される。トロカールを使用して、様々な器具及びツールを腹腔内に導入し、並びに腹腔壁を臓器の上に持ち上げるための送気を提供する。器具は、多数の方式で組織と係合し、かつ/又はそれを処置して診断又は治療効果を達成するために使用され得る。
【0002】
各外科用ツールは、典型的には、その遠位端部に構成配置されたエンドエフェクタを含む。例示的なエンドエフェクタとしては、クランプ、グラスパ、ハサミ、ステープラ、及び針ホルダーが挙げられ、それらは、各ツールのエンドエフェクタが、約12インチの長さのシャフトによってそのハンドルから分離されることを除いて、従来の(開腹)手術で使用されるものと同様である。外科医が手術野及び手術中のエンドエフェクタの動作を観察することを可能にするために、内視鏡などのカメラ又は画像キャプチャデバイスがまた、一般に腹腔内に導入される。外科医は、画像キャプチャデバイスと通信する視覚的ディスプレイによって、手技をリアルタイムで観察することが可能である。
【0003】
外科用ステープラは、横切された組織を切断及び同時にステープル留め(締結)することができるエンドエフェクタの一種である。代替的に「エンドカッター」と称されるが、外科用ステープラは、組織を把持及び開放するために開放及び閉鎖することができる対向するジョーを含む。組織が対向するジョーの間に把持又はクランプされると、エンドエフェクタは、切断要素又はナイフを遠位に前進させてその把持された組織を横切するために、「発射」され得る。切断要素が前進すると、エンドエフェクタ内に収容されたステープルが徐々に展開されて、横切された組織の対向する側面を封止する。
【0004】
いくつかの外科用ステープラは、ユーザが電力の損失などの緊急時にナイフを手動で後退させることを可能にするナイフ緊急離脱機構又はシステムを含む。手動式ナイフ緊急離脱システムのステータスをユーザに通知することが望ましくなり得るが、ナイフが手動で緊急離脱されているか否かを感知するためにエンドエフェクタに様々なセンサを含めることは、実行可能でない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下の図は、本開示の特定の態様を例解するために含まれるが、排他的な実施形態として見られるべきではない。開示される主題は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び機能における考慮すべき修正、変更、組み合わせ、及び等価物が可能である。
図1】本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる例示的なロボット外科用システムのブロック図である。
図2図1の主制御コンソールのうちの1つの例示的実施形態である。
図3】1つ又は2つ以上の実施形態による、図1のロボットマニピュレータの1つの例を示す。
図4】本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる例示的な外科用ツールの等角側面図である。
図5図4のリスト部が関節運動(枢動)することが可能であり得る潜在的自由度を例解する。
図6図4の駆動ハウジングの拡大等角図である。
図7】1つ又は2つ以上の実施形態による、図4の駆動ハウジングの底面図である。
図8A】1つ又は2つ以上の実施形態による、図7のツール駆動部に誘導結合された図4及び図7の駆動ハウジングの側断面図である。
図8B】1つ又は2つ以上の実施形態による、図7のツール駆動部に誘導結合された図4及び図7の駆動ハウジングの側断面図である。
図9図7のコンピュータシステムの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、ロボット外科用器具、より具体的には、ロボット外科用ツールの手動式ナイフ緊急離脱システムが作動されているか、又は起動されようとしているときに感知する、システム及び方法に関する。
【0007】
本明細書で考察される実施形態は、コンピュータシステムと通信するツール駆動部と、ツール駆動部に装着可能で、磁気応答性材料から作製されたか、若しくは磁気応答性材料を含む1つ又は2つ以上の構成部品を含む、駆動ハウジングと、を有するロボット外科用ツールを説明する。第1のインダクタコイルは、ツール駆動部上に含められ、磁場を生成するように構成されてもよく、第2のインダクタコイルは、駆動ハウジング上に含められ、磁場の強度及び1つ又は2つ以上の構成部品によって引き起こされる場の歪みを測定するように構成されてもよい。場の歪みの変化が測定された場合、このことは、1つ又は2つ以上の構成部品の移動の指示となり得る。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の構成部品が、手動式ナイフ緊急離脱システムの一部を形成し、場の歪みの変化を測定することは、手動式ナイフ緊急離脱システムが起動されているか、又は起動されようとしているかの指示を提供し得る。場の歪みの変化が測定されたとき、コンピュータシステムは、ステータス変化の通知をユーザ(例えば、外科医、スクラブ看護師など)に提供し得る。
【0008】
図1図3は、例示的なロボット外科用システム及びその関連する構成要素の構成及び動作を例解する。ロボット外科用システムに適用可能であるが、本開示の原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、非ロボット外科用システムにも代替的に適用され得ることに留意されたい。
【0009】
図1は、本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる例示的なロボット外科用システム100のブロック図である。例解されるように、システム100は、少なくとも1つの主制御コンソール102a、及び少なくとも1つのロボットマニピュレータ104を含むことができる。ロボットマニピュレータ104は、1つ若しくは2つ以上のロボットアーム106に機械的かつ/若しくは電気的に連結され得るか、又はそうでなければそれを含み得る。いくつかの実施形態では、ロボットマニピュレータ104は、ロボットマニピュレータ104及び関連するロボットアーム106の移動を可能にする輸送カート(代替的に「アームカート」とも称される)に装着され得る。各ロボットアーム106は、患者110に対して様々な外科的作業を実施するための1つ又は2つ以上の手術器具又はツール108を装着することができるツール駆動部を含んでよく、そうでなければそれを提供することができる。ロボットアーム106、対応するツール駆動部、及び関連するツール108の動作は、主制御コンソール102aから臨床医112a(例えば、外科医)によって指示され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、第2の臨床医112bによって動作させられる第2の主制御コンソール102b(破線で示される)もまた、第1の臨床医112aと共にロボットアーム106及びツール108の動作を指示することに役立ち得る。そのような実施形態では、例えば、各臨床医112a、bは、異なるロボットアーム106を制御し得、又は場合により、ロボットアーム106の完全な制御を臨床医112a、bの間に渡し得る。いくつかの実施形態では、追加のロボットアームを有する追加のロボットマニピュレータが、患者110の手術中に利用され得、これらの追加のロボットアームは、主制御コンソール102a、bのうちの1つ又は2つ以上によって制御され得る。
【0011】
ロボットマニピュレータ104及び主制御コンソール102a、bは、通信リンク114を介して互いに通信し得、これは、任意の通信プロトコルに従って好適なタイプの信号(例えば、電気的、光学的、赤外線など)を伝送するように構成されている任意のタイプの有線又は無線通信リンクであってもよい。通信リンク114は実際の物理リンクであってもよく、又は、1つ若しくは2つ以上の実際の物理リンクを使用する論理リンクであってもよい。ネットワークの各ノードを接続する通信設備に関するコンピュータネットワーク分野で周知のように、リンクが論理リンクである場合、物理リンクのタイプは、例えば、データリンク、アップリンク、ダウンリンク、光ファイバリンク、2地点間リンクであってもよい。したがって、臨床医112a、bは、通信リンク114を介してロボットアーム106を遠隔制御することが可能となり得、それによって臨床医112a、bは遠隔で患者110に手術することが可能となる。
【0012】
図2は、図1のロボットマニピュレータ104の動作を制御するために使用され得る主制御コンソール102aの1つの例示的実施形態である。例解されるように、主制御コンソール102aは、1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイス(図示せず)を把持している間に、臨床医112a、b(図1)が自分の前腕を休ませることができる支持部202を含むことができる。ユーザ入力デバイスは、例えば、限定するものではないが、ハンドヘルド形アクチュエータモジュール、ジョイスティック、外骨格グローブ、マスタマニピュレータなどを含み得る、外科用ツール108(図1)の位置及び動作を制御するために、複数の自由度で移動可能であり得る。主制御コンソール102aは、外科用システムの構成を変更し、かつ/又は外科用ツール108の動作を制御するための追加の制御信号を生成するために、臨床医112a、bによって係合可能な1つ又は2つ以上の足ペダル204を更に含んでもよい。
【0013】
ユーザ入力デバイス及び/又は足ペダル204は、臨床医112a、b(図1)が視覚的ディスプレイ206を介して手技を見ている間に操作され得る。視覚的ディスプレイ206上に表示された画像は、内視鏡カメラ又は「内視鏡」から得ることができる。いくつかの実施形態では、視覚的ディスプレイ206は、外科用ツール(すなわち、切断器具又は動的クランプ部材)によって想定される力の大きさの視覚的指示を、臨床医112a、bに提供する力フィードバック計若しくは「力インジケータ」を含み得るか、又はそうでなければそれを組み込み得る。理解されるように、ステープルカートリッジがエンドエフェクタに装填されているか否か、又はアンビルが発射に先立って閉位置へ移動されているか否かなど、他の外科用ツール基準値の指示を主制御コントローラ102aに提供するために、他のセンサ配列が用いられ得る。
【0014】
図3は、1つ又は2つ以上の実施形態による、複数の外科用ツール108を動作させるために使用され得るロボットマニピュレータ104の一例を示す。例解されるように、ロボットマニピュレータ104は、垂直に延在する列304を支持する基部302を含み得る。複数のロボットアーム106(3つを示す)は、矢印Aで示すように、基部302に対するロボットアーム106の高さを変化させるように選択的に調整可能なキャリッジ306において、列304に動作可能に連結され得る。
【0015】
ロボットアーム106は、手動で関節運動可能なリンケージを備え得、代替的に「セットアップジョイント」と称される。例解される実施形態では、外科用ツール108は、各ロボットアーム106上に提供された対応するツール駆動部308に装着される。各ツール駆動部308は、外科用ツール108の対応する1つ又は2つ以上の駆動入力と相互作用するために使用される1つ又は2つ以上の駆動部又はモータを含み得、駆動入力の作動により、関連する外科用ツール108を動作させる。
【0016】
外科用ツール108のうちの1つは、例えば腹腔鏡、関節鏡、子宮鏡などを含む内視鏡などの画像キャプチャデバイス310を含み得るか、又は、代替的に、超音波、赤外線、蛍光透視法、磁気共鳴画像法などの何らかの他の画像診断法を含み得る。画像キャプチャデバイス310は、細長いシャフトの遠位端部に位置する視野端を有し、これにより、視野端が、入口ポートを通して患者の身体の内部手術部位に挿入されることを可能にする。画像キャプチャデバイス310は、視覚的ディスプレイ206(図2)に通信可能に連結され得、視覚的ディスプレイ206上に表示されるようにリアルタイムで画像を送信することができる。
【0017】
残りの外科用ツールは、主制御コンソール102a(図2)において臨床医112a、b(図1)によって保持されたユーザ入力デバイスに通信可能に連結され得る。ロボットアーム106及び関連する外科用ツール108の動きは、ユーザ入力デバイスを操作する臨床医112a、bによって制御され得る。以下により詳細に記載されるように、外科用ツール108は、関連する細長いシャフトの遠位端部上に枢動可能に装着された対応する関節運動可能なリスト部に装着されたエンドエフェクタを含むか、又はそうでなければそれを組み込み得る。細長いシャフトは、エンドエフェクタが、入口ポートを通って患者の身体の内部手術部位に挿入されることを可能にし、ユーザ入力デバイスはまた、エンドエフェクタの動き(作動)を制御する。
【0018】
使用中、ロボットマニピュレータ104は、手術を必要とする患者に近接して位置決めされ、その後、実行される外科手技が完了するまで、通常は静止した状態にされる。ロボットマニピュレータ104は、典型的には、その移動を可能にするための車輪又はキャスタを有する。ロボットアーム106の横方向及び縦方向の位置決めは、臨床医112a、b(図1)によって設定され、手術部位に対する所望の位置まで外科用ツール108及び画像キャプチャデバイス310の細長いシャフトを入口ポートに通すことを容易にすることができる。外科用ツール108及び画像キャプチャデバイス310がそのように位置決めされると、ロボットアーム106及びキャリッジ306は、適所にロックされ得る。
【0019】
図4は、本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる例示的な外科用ツール400の等角側面図である。外科用ツール400は、図1及び図3の外科用ツール108のうちの少なくとも1つと同一又は同様であり得、したがって、図1のロボット外科用システム100などのロボット外科用システムと併せて使用され得る。図示されるように、外科用ツール400は、細長いシャフト402と、エンドエフェクタ404と、エンドエフェクタ404をシャフト402の遠位端部に連結する関節運動可能なリスト部406(代替的に「リストジョイント」と称される)と、シャフト402の近位端部に連結された駆動ハウジング408と、を含む。外科用ツール400がロボット外科用システムと共に使用される用途では、駆動ハウジング408は、外科用ツール400をロボット外科用システムに解放可能に連結する連結機構を含み得る。しかしながら、非ロボット式であり、そうでなければ手動操作が可能である外科用ツールにも、本開示の原理は等しく適用可能である。
【0020】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用ツール400(例えば、駆動ハウジング408)をロボットマニピュレータに機械的及び電気的に連結するように構成されたインターフェースを有するロボット外科用システムに対して定義される。「近位」という用語は、ロボットマニピュレータにより近い要素の位置を指し、「遠位」という用語は、エンドエフェクタ404により近く、したがってロボットマニピュレータからより離れた要素の位置を指す。更に、上、下、上方、下方、上向き、下向き、左、右等などの方向用語の使用は、それらが図に示されるように例解的な実施形態に関連して使用され、上向き又は上方方向は、対応する図の頂部に向かっており、下向き又は下方方向は、対応する図の底部に向かっている。
【0021】
外科用ツール400は、1つ又は2つ以上の外科的機能を実行することが可能な種々の構成のうちのいずれかを有することができる。図示の実施形態では、エンドエフェクタ404は、組織を切断及びステープル留め(締結)するように構成された、代替的に「エンドカッター」とも称される外科用ステープラを備える。図示のように、エンドエフェクタ404は、開放位置と閉鎖位置との間で移動(関節運動)するように構成された、対向するジョー410、412を含む。しかしながら、対向するジョー410、412は、限定するものではないが、組織グラスパ、外科用ハサミ、アドバンスドエナジーのべセルシーラー、クリップアプライヤ、ニードルドライバ、一対の対向する把持ジョーを含んだバブコック、双極ジョー(例えば、双極メリーランドグラスパ、鉗子、有窓グラスパなど)などのジョーを含んだ他のタイプのエンドエフェクタの一部を代替的に形成してもよい。ジョー410、412の一方又は両方が、枢動してエンドエフェクタ404を開放位置と閉鎖位置との間で関節運動させるように構成されてよい。図示の例では、第2のジョー412は、開放非クランプ位置と閉鎖クランプ位置との間で移動するように第1のジョー410に対して回転可能(枢動可能)である。しかしながら、他の実施形態では、第1のジョー410は、本開示の範囲から逸脱することなく、第2のジョー412に対して移動(回転)し得る。
【0022】
図示の例では、第1のジョー410は、「カートリッジ」ジョーとして特徴付けられるか、又はそうでなければ称され得、第2のジョー412は、「アンビル」ジョーとして特徴付けられ得るか、又はそうでなければ称され得る。第1のジョー410は、ステープルカートリッジを収納又は支持するフレームを含んでもよく、第2のジョー412は、第1のジョー410に対して枢動可能に支持され、動作中にステープルカートリッジから排出されたステープルを変形させるためのアンビルとして動作する表面を画定する。
【0023】
リスト部406は、エンドエフェクタ404がシャフト402に対して関節運動(枢動)することを可能にし、それによって、エンドエフェクタ404を手術部位に対して所望の配向及び場所に位置付ける。図5は、リスト部406が関節運動(枢動)し得る潜在的自由度を示している。リスト部406は、様々な構成のうちのいずれかを有することができる。一般に、リスト部406は、シャフト402に対するエンドエフェクタ404の枢動運動を可能にするように構成されている関節を備える。リスト部406の自由度は、3つの並進変数(すなわち、サージ、ヒーブ、及びスウェイ)により、並びに3つの回転変数(すなわち、オイラー角又はロール、ピッチ、及びヨー)により表される。並進変数及び回転変数は、所与の基準デカルトフレームに対する外科用システム(例えば、エンドエフェクタ404)の構成要素の位置及び向きを説明する。図5に示すように、「サージ」は、前方及び後方への並進運動を指し、「ヒーブ」は、上下への並進運動を指し、「スウェイ」は、左右の並進運動を指す。回転用語については、「ロール」とは、側面を傾斜させることを意味し、「ピッチ」とは、前方及び後方に傾斜させることを意味し、「ヨー」とは、左及び右に回転させることを指す。
【0024】
枢動運動は、リスト部406の第1の軸(例えば、X軸)周りのピッチ運動、リスト部406の第2の軸(例えば、Y軸)周りのヨー運動、及びこれらの組み合わせを含むことができ、リスト部406周りに、エンドエフェクタ404の360°回転運動を可能にする。他の用途では、枢動運動を、単一平面内での運動、例えば、リスト部406の第1の軸周りのピッチ運動のみ、又はリスト部406の第2の軸周りのヨー運動のみに、限定することができ、その結果、エンドエフェクタ404は単一平面内でのみ運動する。
【0025】
再び図4を参照すると、外科用ツール400は、リスト部406の関節運動及びエンドエフェクタ404の作動(動作)(例えば、クランプ、発射、回転、関節運動、エネルギー送達など)を容易にするように設計された作動システムを組み込むか、又は含んでもよい。作動システムは、駆動ハウジング408からリスト部406へと延在する複数の駆動部材又は同様のもの(図4では不明瞭)を含んでもよく、これらの駆動部材の選択的な作動は、リスト部406においてシャフト402に対してエンドエフェクタ404を関節運動(枢動)させることになる。図4において、エンドエフェクタ404の長手方向軸Aが、シャフト402の長手方向軸Aと実質的に位置合わせされ、それにより、シャフト402に対するエンドエフェクタ404の角度が実質的にゼロになるような非関節運動位置に、エンドエフェクタ404を図示している。関節運動位置では、長手方向軸A、Aは、シャフト402に対するエンドエフェクタ404の角度がゼロ以外にあるように、互いから角度的にオフセットされることになる。
【0026】
他の駆動部材が、エンドエフェクタ404まで延在してもよく、それらの駆動部材の選択的作動が、エンドエフェクタ404を作動(動作)させてもよい。エンドエフェクタ404を作動させることは、第1のジョー410に対して第2のジョー412(又はその逆)を閉鎖及び/又は開放し、それによってエンドエフェクタ404が組織上へと把持(クランプ)することを含んでもよい。組織が対向するジョー410、412の間に把持又はクランプされると、エンドエフェクタ404を作動させることは、エンドエフェクタ404を「発射」することを更に含み得るが、これは、第2のジョー410に画定されたスロット414内で切断要素又はナイフ(不可視)を遠位に前進させることを指し得る。遠位に移動すると、切断要素は、対向するジョー410、412の間に把持された任意の組織を横切し得る。更に、切断要素が遠位に前進すると、ステープルカートリッジ内に収容された(例えば、第1のジョー410内に収納された)複数のステープルが、第2のジョー412上に設けられた対応するアンビル表面(例えば、ポケット)との変形接触へと付勢(カム駆動)され得る。展開されたステープルは、横切された組織の対向する側部を封止するステープルの複数の列を形成し得る。
【0027】
いくつかの用途では、外科用ツール400はまた、高周波(radio frequency、RF)エネルギーなどのエネルギーを組織に印加するように構成されてもよい。そのような場合、エンドエフェクタ404を作動させることは、2つの対向するジョーの間に把持又はクランプされた組織にエネルギーを印加して、捕捉された組織を焼灼又は封止することを更に含み得るが、組織はその後に横切され得る。
【0028】
外科用ツール400は、ユーザがジョー410、412を手動で開閉することを可能にする手動式ジョー緊急離脱システムを更に含み得る。図示の実施形態では、手動式ジョー緊急離脱システムは、駆動ハウジング408の外部でユーザからアクセス可能な緊急離脱ツール416を含み得る。緊急離脱ツール416は、臨床医がジョー410、412を手動で開閉することを可能にするように、駆動ハウジング408内に位置する様々な歯車及び/又は駆動部材に動作可能に結合され得る。緊急離脱ツール416をいずれかの角度方向に回転させることにより、臨床医は、ジョー410、412を完全にクランプすること及び完全にクランプ解除することが可能となり得る。ジョー410、412を開閉する能力を有することは、内部の駆動部材又は構成要素に偶発的な応力を加える必要性を排除することになり得るため、緊急離脱ツール416は、外科用ツール400が外科用ロボットから取り外されたときに、臨床医にとって特に有用となり得る。外科用ツール400が外科用ロボットに依然として取り付けられているときに、臨床医がジョー410、412を手動で開放することを望む場合、臨床医は、エンドエフェクタ404を開放する試行において緊急離脱ツール416を回転させることができる。
【0029】
図6は、駆動ハウジング408の拡大等角図である。いくつかの実施形態では、外科用ツール400は、ユーザがエンドエフェクタ404(図4)においてナイフ(切断要素)を手動で後退させることを可能にする手動式ナイフ緊急離脱システムを含み得る。手動式ナイフ緊急離脱システムは、ユーザからアクセス可能であり、かつ緊急離脱キャップ604と嵌合してナイフの後退を引き起こすように構成された緊急離脱ツール602など、様々な構成部品を含む。緊急離脱キャップ604は、緊急離脱ツール602の底部に設けられた対応する係合特徴部(図示せず)と相互作用するように構成された1つ又は2つ以上の表面特徴部606を含み得るか、又はそうでなければそれを提供し得る。各表面特徴部606は、1つの角度方向に傾斜され、隆起した肩部で終端し得る。緊急離脱ツール602の係合特徴部は、緊急離脱ツール602が第1の方向(例えば、反時計回り)に回転されたときに、表面特徴部606の隆起肩部と係合し、それによって緊急離脱ツール602から緊急離脱キャップ604にトルクを伝達するように構成されてもよい。対照的に、緊急離脱ツール602が第2の方向(例えば、時計回り)に回転されたとき、係合特徴部は、表面特徴部606を横断し(乗り上げ)、その上にラチェット係合し(ratchet)得る。したがって、緊急離脱キャップ604は、一方向移送部材として動作することができる。
【0030】
手動式ナイフ緊急離脱システムの例示的な用途では、ユーザが緊急離脱ツール602を第1の方向(例えば、反時計回り)に回転させることは、緊急離脱キャップ604を同じ方向に駆動し、したがって発射システムの歯車を回転させることになり、このことが発射ピニオンを回転させ、それによって発射ラックを後退させることになり、その結果、相互接続された発射ロッド(図示せず)はエンドエフェクタ404(図4)においてナイフを後退させ得る。しかしながら、緊急離脱ツール602が第2の方向(例えば、時計回り)に回転されると、緊急離脱ツール602は、表面特徴部606の上にラチェット係合し、そうでなければ緊急離脱キャップ604に対して回転し、したがって、発射ロッド又はナイフの位置に影響を与えないことになる。
【0031】
図示の実施形態では、緊急離脱ツール602は、駆動ハウジング408内に格納された別個の構成部品を備え、また、最初に駆動ハウジング408の本体から緊急離脱パネル608を取り外すことによってユーザからアクセス可能である。図示されるように、緊急離脱ツール602は、ポケット610内に着座され得、ユーザは、ポケット610から緊急離脱ツール602を取り外し、それを緊急離脱キャップ604と嵌合させて、ナイフを手動で後退させることができる。しかしながら、他の実施形態では、緊急離脱ツール602は、駆動ハウジング408の外部に位置し、緊急離脱キャップ604に動作可能に結合されるように駆動ハウジング408の脱出パネル608を通って延在し得る。更に他の実施形態では、緊急離脱ツール602は、緊急離脱パネル608の底部(下側)に取り付けられるか、又はその一部を形成し得る。そのような実施形態では、臨床医は、緊急離脱パネル608を取り外し、相互接続された緊急離脱ツール602を緊急離脱キャップ604と整列させ、それによって取り外し可能な緊急離脱パネル608をレンチのタイプに変換することができる。
【0032】
図7は、1つ又は2つ以上の実施形態による、駆動ハウジング408の底面図である。図示されるように、駆動ハウジング408は、駆動ハウジング408をツール駆動部704に動作可能に結合するために使用されるツール装着部分702を含み得る。ツール駆動部704は、図3のツール駆動部308と同一又は同様であってよく、したがって、図1及び図3のロボットマニピュレータ104と併せて動作可能となり得る。駆動ハウジング408をツール駆動部704に装着することは、駆動ハウジング408をコンピュータシステム706と通信させることになり、マスターコントローラ102a、b(図1)と通信し得るか、又はそうでなければその一部を形成し得る。コンピュータシステム706は、ツール駆動部704の動作を介して駆動ハウジング408の動作を監視及び指示し、したがってユーザ(例えば、図1の臨床医112a、b)は、マスターコントローラ102a、bを介して作業することによって、駆動ハウジング408の動作を制御することが可能となる。
【0033】
ツール装着部分702は、駆動ハウジング408をツール駆動部704に機械的に、磁気的に、かつ/若しくは電気的に結合するインターフェースを含むか、そうでなければそれを提供する。少なくとも1つの実施形態では、ツール装着部分702は、滅菌バリア(図示せず)を介して駆動ハウジング408をツール駆動部704に結合する。図示のように、インターフェースは、駆動入力部708a、708b、708c、708d、708e及び708fとして示される複数の入力部を含み、これらを支持することができる。各駆動入力708a~fは、ツール駆動部704の対応する駆動部710a、710b、710c、710d、710e、及び710fと整列し(嵌合し)、それらに結合するように構成された回転可能なディスクを備え得る。各駆動入力部708a~f及び対応する駆動部710a~fは、所与の駆動部710a~fの移動(回転)が関連する駆動入力部708a~fをそれに応じて移動(回転)させるように、対向する表面特徴部712、714間の嵌合係合を促進するように構成された、1つ又は2つ以上の嵌合可能な表面特徴部712及び714をそれぞれ提供又は画定する。
【0034】
各駆動部710a~fは、対応する駆動部710a~fを作動させるように構成されたモータ716を含み得るか、又はそうでなければそれを備え得、所与の駆動部710a~fの作動は、それに応じて、嵌合した駆動入力部708a~fの作動を引き起こし、このことが駆動ハウジング408の機構の動作を容易にする。より具体的には、所与のモータ716の作動は、対応する駆動部710a~fの回転運動を引き起こし得、次にこれによって、動作可能にそれに結合された関連する駆動入力部708a~fを回転させる。各モータ716は、コンピュータシステム706と通信してもよく、またユーザ(例えば、外科医)によって提供された入力信号に基づいて、コンピュータシステム706は、モータ716のうちのいずれかを選択的に作動させ、それによって、対応する駆動部710a~fを駆動して、駆動ハウジング408の機械システムを動作させてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1の駆動部710aを介した第1の駆動入力部708aの作動は、その長手方向軸Aを中心としたシャフト402の回転を制御し得る。第1の駆動入力部708aの回転方向に応じて、シャフト402は、時計回り又は反時計回りに回転され、したがって、それに応じてエンドエフェクタ404(図4)を同じ方向に回転させ得る。それぞれ第2及び第3の駆動部710a、bを介した第2及び第3の駆動入力部708b、cの作動は、リスト部406(図4)におけるエンドエフェクタ404の関節運動を制御し得る。それぞれ第4及び第5の駆動部710dを介した第4及び第5の駆動入力部708dの作動は、シャフト402(本明細書では「閉鎖管」と呼ばれる)の外側部分を前進及び後退させることになり得るが、それによってジョー410、412(図4)が閉鎖及び開放される。最後に、第6の駆動部710fを介した第6の駆動入力部708fの作動は、エンドエフェクタ404を発射させることになり得るが、これには、ジョー410、412によって把持された組織を横切するためにナイフ(切断要素)を遠位に展開することと、第1のジョー410内に収納されたステープルカートリッジ内に収容されたステープルを同時に展開することを伴い得る。
【0036】
駆動ハウジング408は、メモリ724及び/若しくはマイクロプロセッサ726を含み得る内部コンピュータ722を収納し得るか、又はそうでなければそれを含み得る。メモリ724は、駆動ハウジング408に関連するデータ、より具体的には、外科用ツール400(図4)に関連するデータを記憶する1つ又は2つ以上のデータベース又はライブラリを含み得る。いくつかの実施形態では、メモリ724は、PROM、EPROM、EEPROMなどであり得る読取り専用メモリ(read-only memory、ROM)などの非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。
【0037】
ツール装着部分702をツール駆動部704に装着する(連結する)ことは、ツール駆動部704と駆動ハウジング408との間の通信及び電力伝達を容易にする。より具体的には、駆動ハウジング408をツール駆動部704に嵌合させることは、内部コンピュータ722をコンピュータシステム706と通信させることになり、これにより、コンピュータシステム706は、外科用ツール400(図4)を識別及び認証するか、又はそうでなければ、外科用ツール400を、ロボット外科用システム内の他の場所に記憶されたデータと関連付けることが可能となる。いくつかの実施形態では、ツール装着部分702とツール駆動部704との間の通信及び電力伝達を容易にするために、ツール装着部分702は、ツール駆動部704によって提供された対応する電気接続部720(2つが図示)と嵌合するように構成された1つ又は2つ以上の電気コネクタ718(2つが図示)を含み得る。
【0038】
代替的に、又は追加的に、駆動ハウジング408は、2つの構造間の無線通信及び電力伝達を容易にするために、ツール駆動部704に誘導的に(又は「磁気的に」)結合され得る。少なくとも1つの実施形態では、例えば、駆動ハウジング408は、近距離通信(near field communication、NFC)接続又はプロトコルを使用して、ツール駆動部704に誘導結合され得る。しかしながら、他の実施形態では、駆動ハウジング408は、他の無線通信プロトコルを介してツール駆動部704に誘導結合され得る。
【0039】
図示の実施形態では、第1の、又は「伝送」インダクタコイル728a(破線で示される)がツール駆動部704上に含まれてもよく、対応する第2の、又は「受信」インダクタコイル728b(破線で示される)が、ツール装着部分702上に構成配置されるなど、駆動ハウジング408に含まれてもよい。第1のインダクタコイル728aは、コンピュータシステム706に通信可能に結合されてもよく、第2のインダクタコイル728bは、駆動ハウジング408の内部コンピュータ722に通信可能に結合されてもよい。第1及び第2のインダクタコイル728a、bが誘導的に結合されると、コンピュータシステム706と内部コンピュータ722との間でデータが転送され得る。
【0040】
第1のインダクタコイル728aは、コンピュータシステム706によって動作及び電力供給されてもよく、また、隣接する第2のインダクタコイル728b内に起電力(すなわち、電圧又は電流)を誘導する磁場を生成(放出)するように構成されてもよい。2つの構造間でデータを伝送するために、生成された起電力は、磁場の強度の変化に基づいて、内部コンピュータ722によって解釈され得る。更に、生成された起電力は、内部コンピュータ722の回路に電力を供給するために使用され得る電力の形態で収集され得る。]
【0041】
本開示の実施形態によれば、駆動ハウジング408とツール駆動部704との間の誘導結合はまた、外科用ツール400の手動式ナイフ緊急離脱システム(図4)がいつ起動されるか、又は起動されるかを判定するために用いられてもよい。より具体的には、本開示の実施形態は、磁気応答性材料(例えば、導電性又は鉄系材料)が誘導結合によって生成された磁場に及ぼし得る効果に依存している。手動式ナイフ緊急離脱システムを起動するために使用される駆動ハウジング408の1つ又は2つ以上の構成部品は、磁気応答性材料を含み得るか、又はそうでなければそれから作製され得る。そのような構成部品が物理的に移動されると、磁場内の乱れが検出され得るが、このことは、手動式ナイフ緊急離脱システムが起動されているという確かな指示を提供し得る。いくつかの実施形態では、乱れが検出されると、ユーザ(すなわち、外科医、スクラブ看護師など)は、ステータス変化を通知され、続いて、ナイフ緊急離脱手順を完了する方法に関する指示、又はそうでなければ、ナイフ緊急離脱手順の開始を逆転させる方法に関する指示を提供され得る。
【0042】
図8A及び図8Bは、1つ又は2つ以上の実施形態による、ツール駆動部704に誘導結合された駆動ハウジング408の側断面図である。図8A図8Bはまた、緊急離脱ツール602及び緊急離脱キャップ604を含む、手動式ナイフ緊急離脱システムの様々な構成部品を示す。図示の実施形態では、緊急離脱ツール602は、駆動ハウジング408内に格納され、ポケット610内に着座(受容)されている。ユーザは、最初に緊急離脱パネル608を除去することによって、緊急離脱ツール602にアクセスすることができる。次いで、緊急離脱キャップ604を回転させ、それによってナイフ(図示せず)を手動で後退させるために、緊急離脱ツール602はポケット610から取り出され、緊急離脱キャップ604に嵌合され得る。上述のように、緊急離脱キャップ604を第1の方向(例えば、反時計回り)に回転させる(駆動する)と、図8Bに矢印Aによって示されるように、相互接続された発射ロッド802(破線で示される)が近位に後退することになる。ナイフは、エンドエフェクタ404(図4)において発射ロッド802の遠位端部に動作可能に結合されてもよく、発射ロッド802の近位移動は、それに応じて、ナイフを近位方向Aに後退させる。
【0043】
駆動ハウジング408をツール駆動部704に装着することにより、駆動ハウジング408の第2のインダクタコイル728bは、ツール駆動部704の第1のインダクタコイル728aに近接して配置されることになる。コンピュータシステム706(図7)によって制御されるように、第1のインダクタコイル728aは、半径方向外向きに伝播する磁場804を生成(放出)するように構成され得る。簡潔に上述したように、磁場804は、内部コンピュータ722(図7)の回路へのデータ伝送及び電力伝達(すなわち、電圧又は電流)を容易にするために、第2のインダクタコイル728bによって受信され得るか、又はそうでなければ感知され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、図示のように、手動式ナイフ緊急離脱システムの1つ又は2つ以上の構成部品は、磁場804に場の歪み808を引き起こす磁気応答性材料806から作製され得るか、又はそうでない場合はそれを含み得る。磁気応答性材料806は、磁場804を歪ませるか、又は乱すことが可能な任意の磁気応答性材料を含み得る。磁気応答性材料806は、例えば、限定するものではないが、銀、銅、金、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、真鍮、青銅、鉄系金属(例えば、鉄、炭素鋼、ステンレス鋼など)、白金、鉛、それらの任意の合金、又はそれらの任意の組み合わせなどの導電性金属を含み得る。磁気応答性材料806は、代替的に、導電性ポリマー、グラファイト、炭素繊維、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、緊急離脱ツール602、緊急離脱パネル608、及び発射ロッド802のうちの1つ又は2つ以上の全部又は一部が、磁気応答性材料806から作製され得る。他の実施形態では、磁気応答性材料806は、緊急離脱ツール602、緊急離脱パネル608、及び発射ロッド802のうちの1つ又は2つ以上に含まれ得るか、又はそうでなければそれらに取り付けられ得る。磁気応答性材料806は、磁場804を歪ませ、第2のインダクタコイル728bによって測定されるか、又はそうでなければ感知され得る場の歪み808を生成することになる。
【0046】
より具体的には、第2のインダクタコイル728bは、第2のインダクタコイル728b内で生成された起電力(すなわち、電圧又は電流)、すなわち、どれだけの電位が磁場804に起因して第2のインダクタコイル728b内に生じているかを測定するように構成されてもよい。電位は、どれだけの磁束が第2のインダクタコイル728bを通じて駆動されるかによって供されるため、測定される電位はまた、第2のインダクタコイル728b内の磁束の測定値として機能し得る。磁気応答性材料806は、磁場804内の磁気応答性材料806の位置に応じて磁場804の磁束を歪ませることになる。磁気応答性材料806の物理的位置が変化する場合、磁場804の磁束はそれに応じて変化することになり、第2のインダクタコイル728bは、その変移及び位置変化を検出することが可能となる。
【0047】
図8Aを参照すると、手動式ナイフ緊急離脱システムの構成部品は、適切に収納されており、そうでなければ、外科用ツール400(図4)の通常使用のための位置にある。駆動ハウジング408がツール駆動部704上に最初に導入されるとき、磁場804の強度と、手動式ナイフ緊急離脱システムの構成部品に含められた磁気応答性材料806によって生成される結果的な場の歪み808とが、測定及び記録され得る。このデータは、外科用ツール400の通常動作状態を提供するために、コンピュータシステム706(図7)又は内部コンピュータ722(図7)によって記憶(ログ記録)されてもよく、この通常動作状態からの任意の変動は、手動式ナイフ緊急離脱システムが起動されているか、又は起動されようとしているという指示を提供し得る。代替的に、駆動ハウジング408がツール駆動部704に結合され、通常動作状態にあるときに、内部コンピュータ722のメモリ224はその中に、磁場804内に生成された既知の場の歪み808を既に格納していてもよい。そのような実施形態では、コンピュータシステム706(図6)は、測定された磁場804及び関連する場の歪み808を解釈し、測定された磁場804及び関連する場の歪み808に基づいて外科用ツール400を認識してもよい。
【0048】
次いで、磁場804の強度は、コンピュータシステム706(図7)及び内部コンピュータ722(図7)の一方又は両方によって、連続的に監視及び測定され得る。いくつかの実施形態では、次いで、磁場804のリアルタイム強度が、通常動作状態に対応する強度及び1つ又は2つ以上の所定の強度閾値と比較され得る。所定の強度閾値は、既知の磁場804と、1つ又は2つ以上の構成部品の所定の位置(ステータス)の結果としての関連する場の歪み808と、に対応し得るが、このことは、外科用ツール400(図4)の手動式ナイフ緊急離脱システムが起動されているか、又は起動されようとしていることを示し得る。所定の強度閾値は、コンピュータシステム706のメモリ又は内部コンピュータ722の内部メモリ724(図7)に記憶され得る。1つ又は2つ以上の構成部品の所定の位置は、1)緊急離脱ツール602及び緊急離脱パネル608が存在する位置、2)緊急離脱ツール602は存在するが、緊急離脱パネル608は取り外される位置、3)緊急離脱パネル608は存在するが、緊急離脱ツール602は取り外される位置、4)緊急離脱ツール602及び緊急離脱パネル608の両方が取り外される位置、5)発射ロッド802が伸長位置に配される位置、並びに、6)発射ロッド802が後退位置に配される位置を含み得るが、それらに限定はされない。
【0049】
図8Bでは、緊急離脱ツール602、緊急離脱パネル608、及び発射ロッド802は各々、駆動ハウジング408及び磁場804に対して物理的に移動されており、各構成部品に対応する磁気応答性材料806によって引き起こされる場の歪み808は、それに応じて変更されている。図示のシナリオでは、緊急離脱ツール602及び緊急離脱パネル608は各々、磁場804の範囲外に移動されており、したがって、緊急離脱ツール602及び緊急離脱パネル608の存在に起因し得る場の歪み808が排除されている。そのような場合、磁場804の測定された強度は、それに応じて変化することになり、これによって、緊急離脱ツール602及び緊急離脱パネル608がそれぞれ駆動ハウジング408から取り外されているという確かな指示が提供され得る。更に、図示のシナリオでは、発射ロッド802は近位Aに移動しており、これもまた、結果として生じる場の歪み808及び磁場804の測定された強度を変更することになるが、これによって、発射ロッド802が後退位置(状態)に移動しているという確かな指示が提供され得る。
【0050】
手動式ナイフ緊急離脱システムが起動されているとコンピュータシステム706(図7)が判定した場合、コンピュータシステム706(図7)は、ステータス変化をユーザ(すなわち、外科医、スクラブ看護師など)に通知するようにプログラムされ得、そうでなければ、通知するように構成され得る。いくつかの実施形態では、通知は、視覚的ディスプレイ206(図2)上に提供された視覚的通知を含み得るが、他の実施形態では、通知は、可聴又は触覚的(すなわち、外科医によって保持されたユーザ入力デバイスを通して感じられる)であり得る。少なくとも1つの実施形態では、通知は、ユーザに、手動式ナイフ緊急離脱手順を正常に完了する方法に関する指示、又はそうでなければ、緊急離脱手順の開始を逆転させる方法に関する指示(例えば、緊急離脱ツール604及び/若しくは緊急離脱パネル608を取り替える方法に関する指示)を提供し得る。
【0051】
手動式ナイフ緊急離脱システムの構成部品のうちの1つ又は2つ以上が欠落しており、またそうでなくても磁場804の範囲外にあると判定された場合、コンピュータシステム706(図7)は更に、欠落した対象物が正確に考慮されることを確実にするために、アラート若しくは通知を送信するようにプログラムされ得、アラート又は通知を送信するように構成され得る。これは、患者におけるツール対象物又は部品の潜在的な損失を回避するのに有利であると示され得る。
【0052】
前述の考察では、磁場804に影響を及ぼし得る手動式ナイフ緊急離脱システムの構成部品として、緊急離脱ツール602、緊急離脱パネル608、及び発射ロッド802が記載されているが、手動式ナイフ緊急離脱システムは、限定するものではないが、駆動ハウジング408内に含められる様々な歯車、ラック、レバーなどを含んだ付加的な構成部品を含み得る。したがって、本開示は、歯車、ラック、レバーなどのうちのいずれかが、磁気応答性材料806から作製され得るか、又は代替的に、磁気応答性材料806が、それらに取り付けられ、磁場804に同等に影響を及ぼして、手動式ナイフ緊急離脱システムの起動を示し得ることを企図する。更に、本開示の原理は、手動式ナイフ緊急離脱システムを監視することに限定されるものではないが、代替的に、駆動ハウジング408に含められた他の機構又はデバイスに適用されてもよい。そのような実施形態では、各機構又はデバイスは、磁場804が歪められたときにツール依存応答をトリガすることになる独自の所定の強度閾値を有し得る。
【0053】
手動式ナイフ緊急離脱システムの構成部品が存在するか、又は取り外されていることを判定するために、第2のインダクタコイル728b上の磁場804の強度を測定する代わりに、本明細書では、第2のインダクタコイル728b内で生成された起電力(すなわち、電圧又は電流)を測定することも企図される。代替的に、手動式ナイフ緊急離脱システムの構成部品が存在するか、又は取り外されていることを判定するために、磁場804の位相遅延が測定されてもよい。
【0054】
図9は、図7のコンピュータシステム706の例示的な実施形態を示す。図示されるように、コンピュータシステム706は、コンピュータシステム706の動作を制御し得る1つ又は2つ以上のプロセッサ902を含む。「プロセッサ」はまた、本明細書では「コントローラ」とも称される。プロセッサ902は、プログラム可能な汎用若しくは専用マイクロプロセッサ、及び/又は様々な専用若しくは市販の単一若しくはマルチプロセッサシステムのうちのいずれか1つを含む、任意の種類のマイクロプロセッサ若しくは中央処理装置(central processing unit、CPU)を含み得る。コンピュータシステム706はまた、1つ又は2つ以上のメモリ904も含むことができ、それらは、プロセッサ902によって実行されるコードのための、あるいは1つ又は2つ以上のユーザ、記憶デバイス、及び/又はデータベースから得られたデータのための一時記憶装置を提供することができる。メモリ904は、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、1つ又は2つ以上の様々なランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)(例えば、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、若しくはシンクロナスDRAM(SDRAM)、及び/又はメモリ技術の組み合わせを含むことができる。
【0055】
コンピュータシステム706の様々な要素は、バスシステム906に連結され得る。図示されたバスシステム906は、適切なブリッジ、アダプタ、及び/又はコントローラによって接続された、任意の1つ又は2つ以上の別個の物理的バス、通信ライン/インターフェース、及び/又はマルチドロップ若しくはポイントツーポイント接続を表す抽象化したものである。コンピュータシステム706はまた、1つ又は2つ以上のネットワークインターフェース908、1つ又は2つ以上の入力/出力(IO)インターフェース910、及び1つ又は2つ以上の記憶デバイス912を含み得る。
【0056】
ネットワークインターフェース908は、コンピュータシステム706が遠隔デバイス、例えば、他のコンピュータシステムとネットワークを介して通信することを可能にすることができ、非限定的な例として、遠隔デスクトップ接続インターフェース、イーサネットアダプタ、及び/又は他のローカルエリアネットワーク(LAN)アダプタであり得る。IOインターフェース910は、コンピュータシステム706を他の電子機器と接続するための1つ又は2つ以上のインターフェース構成要素を含み得る。非限定的な例として、IOインターフェース910は、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus、USB)ポート、1394ポート、Wi-Fi、Bluetoothなどの高速データポートを含むことができる。加えて、コンピュータシステム706は、人間のユーザにアクセス可能であり得、ひいてはIOインターフェース910は、ディスプレイ、スピーカ、キーボード、ポインティングデバイス、及び/又は様々な他のビデオ、オーディオ、若しくは英数字インターフェースを含み得る。記憶デバイス912は、不揮発性及び/又は非過渡的な方法でデータを記憶するための任意の従来式媒体を含み得る。したがって、記憶デバイス912は、永続的状態でデータ及び/又は命令を保つことができ、すなわち、その値は、コンピュータシステム706への電力の中断にもかかわらず保持される。記憶デバイス912は、1つ又は2つ以上のハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、USBドライブ、光学ドライブ、様々なメディアカード、ディスケット、コンパクトディスク、及び/又はこれらの任意の組み合わせを含むことができ、コンピュータシステム706に直接接続され得るか、又はネットワークなどを介してなど遠隔接続されることも可能である。例示的な一実施形態では、記憶デバイス912は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、USBドライブ、光学ドライブ、メディアカード、ディスケット、コンパクトディスクなどの、データを記憶するように構成された有形又は非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0057】
図9に例示されている要素は、単一の物理的機械の要素の一部又は全てであり得る。更に、図示された要素の全てが同じ物理的機械上又は同じ物理的機械内に配置される必要はない。例示的なコンピュータシステムとしては、従来のデスクトップコンピュータ、ワークステーション、ミニコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話などが挙げられる。
【0058】
コンピュータシステム706は、ウェブページ又は他のマークアップ言語ストリームを検索すること、それらのページ及び/又はストリームを(視覚的に、聴覚的に、又は他の方法で)呈示すること、これらのページ/ストリーム上でスクリプト、コントロール、及び他のコードを実行すること、それらのページ/ストリームに対するユーザ入力を受諾すること(例えば、入力フィールドの完了のため)、それらのページ/ストリームに対するHyperText転送プロトコル(HyperText Transfer Protocol、HTTP)リクエストを発行する又は他の方法を行うこと(例えば、完了した入力フィールドからサーバ情報を提出するために)などを行うためのウェブブラウザを含むことができる。ウェブページ又は他のマークアップ言語は、HyperText Markup Language(HyperText Markup Language、HTML)、又は埋め込みExtensible Markup Language(Extensible Markup Language、XML)、スクリプト、コントロールなどを含む他の従来の形態であり得る。コンピュータシステム706はまた、ウェブページを生成する及び/又はウェブページをクライアントコンピュータシステムに配信するためのウェブサーバを含むこともできる。
【0059】
例示的な一実施形態では、コンピュータシステム706は、単一のユニットとして、例えば、単一のサーバとして、単一のハウジング内に収容された単一のタワーなどとして提供され得る。単一のユニットは、その様々な態様が、システムの任意の他の態様の機能を中断することなく、例えば、アップグレード、交換、メンテナンスなどのために、必要に応じてスワップイン及びスワップアウトされ得るようにモジュール化することができる。したがって、単一のユニットはまた、追加のモジュールとして追加される能力を使用して拡張可能とすることができ、かつ/又は既存のモジュールの追加の機能性が所望され、かつ/若しくは改善される。
【0060】
コンピュータシステム706はまた、非限定的な例として、オペレーティングシステム及びデータベース管理システムを含む、様々な他のソフトウェア並びに/又はハードウェア構成要素のうちのいずれかを含むこともできる。本明細書には例示的なコンピュータシステムが図示及び説明されているが、これは一般概念及び便宜のためであることが理解されるであろう。他の実施形態では、コンピュータシステムは、本明細書に示され説明されるものとは、アーキテクチャ及び動作が異なる場合がある。
【0061】
本明細書に開示される実施形態は、以下を包含する。
A.ロボット外科用ツールが、コンピュータシステムと通信するツール駆動部、ツール駆動部に装着可能で、磁気応答性材料から作製されたか、若しくは磁気応答性材料を含む1つ又は2つ以上の構成部品を含む、駆動ハウジング、ツール駆動部上に含められ、磁場を生成するように構成された、第1のインダクタコイル、駆動ハウジング上に含められ、磁場の強度及び1つ又は2つ以上の構成部品によって引き起こされた場の歪みを測定するように構成された、第2のインダクタコイルを含み、場の歪みの変化が、1つ又は2つ以上の構成部品の移動の指示を提供する。
B.ロボット外科用ツールを動作させる方法が、コンピュータシステムと通信するツール駆動部に駆動ハウジングを装着することであって、駆動ハウジングは、磁気応答性材料から作製されたか、若しくは磁気応答性材料を含む1つ又は2つ以上の構成部品を含む、装着することと、ツール駆動部上に含められた第1のインダクタコイルによって磁場を生成し、駆動ハウジング上に含められた第2のインダクタコイルによって磁場を感知することによって、駆動ハウジングをツール駆動部に誘導結合することと、磁場の強度及び1つ又は2つ以上の構成部品によって引き起こされた場の歪みを第2のインダクタコイルによって測定することと、第2のインダクタコイルによって場の歪みの変化を検出し、それによって、1つ又は2つ以上の構成部品の移動の指示を提供することと、を含む。
C.ロボット外科用ツールが、コンピュータシステムと通信するツール駆動部、ツール駆動部に装着可能で、緊急離脱ツール、緊急離脱パネル、及び発射ロッドからなる群から選択される1つ又は2つ以上の構成部品を含む、手動式ナイフ緊急離脱システムを含む駆動ハウジングであって、1つ又は2つ以上の構成部品のうちの少なくとも1つは、磁器応答性材料から作製されるか、又は磁気応答性材料を含む、駆動ハウジング、ツール駆動部上に含められ、磁場を生成するように構成された第1のインダクタコイル、駆動ハウジング上に含められ、磁場の強度及び1つ又は2つ以上の構成部品によって引き起こされた場の歪みを測定するように構成された第2のインダクタコイルを含み、場の歪みの変化が、緊急離脱ツール、緊急離脱パネル、及び発射ロッドのうちの少なくとも1つの移動の指示を提供する。
【0062】
実施形態A、B、及びCの各々が、以下の付加的な要素のうちの1つ又は2つ以上を任意の組み合わせで有してよい。要素1:磁気応答性材料は、導電性金属、導電性ポリマー、グラファイト、炭素繊維、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される磁気応答性材料を含む。要素2:駆動ハウジングは、第2のインダクタコイルと通信し、磁場の強度及び場の歪みの変化を処理するようにプログラムされた内部コンピュータを更に含む。要素3:コンピュータシステムは、場の歪みの変化が検出されたときに通知を提供するようにプログラムされている。要素4:通知は、視覚的ディスプレイ上に提供された視覚的通知を含む。要素5:通知は、可聴又は触覚的通知を含む。要素6:駆動ハウジングの1つ又は2つ以上の構成部品は、手動式ナイフ緊急離脱システムの一部を形成し、場の歪みの変化を測定することは、手動式ナイフ緊急離脱システムが起動されたという指示を提供する。
【0063】
要素7:駆動ハウジングは、第2のインダクタコイルと通信する内部コンピュータを更に含み、方法は、磁場の強度及び場の歪みの変化を内部コンピュータによって処理することを更に含む。要素8:場の歪みの変化が検出されたときに、コンピュータシステムに通知を提供することを更に含む。要素9:コンピュータシステムと通信する視覚的ディスプレイに視覚的通知を提供することを更に含む。要素10:通知を提供することは、可聴又は触覚的通知を提供することを含む。要素11:磁場の強度及び場の歪みを測定することは、駆動ハウジングをツール駆動部に誘導結合した際に、強度及び場の歪みを測定することを含む。要素12:磁場の強度及び場の歪みを測定することは、駆動ハウジングをツール駆動部に誘導結合する前に、強度及び場の歪みを測定することと、駆動ハウジング内に含められた内部コンピュータのメモリ内に強度及び場の歪みを記憶することと、を含む。要素13:場の歪みの変化を検出することは、場の歪みの変化を、1つ又は2つ以上の構成部品の所定の位置の結果として生じる既知の磁場及び既知の場の歪みに対応する所定の強度閾値と比較することと、場の歪みの変化を所定の強度閾値と一致させることと、を含む。
【0064】
要素14:磁気応答性材料は、導電性金属、導電性ポリマー、グラファイト、炭素繊維、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される磁気応答性材料を含む。要素15:緊急離脱ツールは、駆動ハウジング内に格納され、緊急離脱パネルを取り外すことによってアクセス可能である。要素16:駆動ハウジングは緊急離脱キャップを更に含み、緊急離脱ツールは緊急離脱キャップと嵌合可能であり、緊急離脱ツールを回転させることは、それに応じて緊急離脱キャップを回転させ、これによって発射ロッドは長手方向に並進される。要素17:コンピュータシステムは、場の歪みの変化が検出されたときに通知を提供するようにプログラムされている。
【0065】
非限定的な例として、A、B、及びCに適用可能な例示的な組み合わせとしては、要素4を伴う要素3、要素5を伴う要素3、要素9を伴う要素8、及び要素10を伴う要素8が挙げられる。
【0066】
したがって、開示されるシステム及び方法は、言及された結果及び利点、並びにその中で固有の結果及び利点を達成するように、十分に適合されている。本開示の教示は、異なってはいるが本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな同等の方法で修正及び実施され得るため、上記に開示された特定の実施形態は例解的であるに過ぎない。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細を、限定することを意図するものではない。したがって、上で開示された特定の例解的実施形態は、変更、組み合わせ、又は修正され得、またそのような全ての変形形態は、本開示の範囲内であると考えられる。本明細書に例解的に開示されたシステム及び方法は、本明細書に具体的に開示されていないいかなる要素、及び/又は本明細書に開示されたいかなる任意選択的な要素の不在下においても好適に実施され得る。組成物及び方法は、種々の構成要素及び工程を「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、又は「含む(including)」という用語で記載されているが、組成物及び方法はまた、種々の構成要素及び工程「から本質的になる(consist essentially of)」又は「からなる(consist of)」こともできる。上で開示された全ての数及び範囲は、ある程度異なり得る。下限及び上限を伴う数値範囲が開示される場合はいつでも、その範囲内に収まる任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。特に、本明細書に開示される(形態の)値の全ての範囲(「約a~約b」、又は同等に「およそa~b(from approximately a to b)」、又は同等に「およそa~b(from approximately a-b)」)は、広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を述べる、と理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権者によりそれでないことが明示的かつ明確に定義されない限り、平易かつ通常の意味を有する。更に、請求項で使用する際に、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書では、それが導入する要素のうちの1つ又は2つ以上を意味するように定義される。本明細書及び参照により本明細書に組み込まれ得る1つ又は2つ以上の特許又は他の文書において単語又は用語の使用に矛盾がある場合、本明細書と一致する定義を採用すべきである。
【0067】
本明細書で使用する場合、一連の項目に先行する「のうちの少なくとも1つ」という句は、項目のうちのいずれかを分離するための「及び(and)」又は「又は(or)」という用語を伴うものであるが、一覧の各構成要素(すなわち、各項目)ではなく、一覧を全体として修飾する。「のうちの少なくとも1つ」という句は、項目のうちのいずれかのうちの少なくとも1つ、及び/又は項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、及び/又は項目のそれぞれのうちの少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という句はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、A、B、及びCの任意の組み合わせ、並びに/又はA、B、及びCのそれぞれのうちの少なくとも1つを意味する。
【0068】
〔実施の態様〕
(1) ロボット外科用ツールであって、
コンピュータシステムと通信するツール駆動部、
前記ツール駆動部に装着可能で、磁気応答性材料から作製されたか、若しくは磁気応答性材料を含む1つ又は2つ以上の構成部品を含む、駆動ハウジング、
前記ツール駆動部上に含められ、磁場を生成するように構成された、第1のインダクタコイル、
前記駆動ハウジング上に含められ、前記磁場の強度及び前記1つ又は2つ以上の構成部品によって引き起こされた場の歪みを測定するように構成された、第2のインダクタコイル、を備え、
前記場の歪みの変化が、前記1つ又は2つ以上の構成部品の移動の指示を提供する、ロボット外科用ツール。
(2) 前記磁気応答性材料は、導電性金属、導電性ポリマー、グラファイト、炭素繊維、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される磁気応答性材料を含む、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(3) 前記駆動ハウジングは、前記第2のインダクタコイルと通信し、前記磁場の前記強度及び前記場の歪みの前記変化を処理するようにプログラムされた、内部コンピュータを更に含む、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(4) 前記コンピュータシステムは、前記場の歪みの前記変化が検出されたときに通知を提供するようにプログラムされている、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(5) 前記通知は、視覚的ディスプレイ上に提供された視覚的通知を含む、実施態様4に記載のロボット外科用システム。
【0069】
(6) 前記通知は、可聴又は触覚的通知を含む、実施態様4に記載のロボット外科用システム。
(7) 前記駆動ハウジングの前記1つ又は2つ以上の構成部品は、手動式ナイフ緊急離脱システムの一部を形成し、前記場の歪みの前記変化を前記測定することは、前記手動式ナイフ緊急離脱システムが起動されているという指示を提供する、実施態様1に記載のロボット外科用システム。
(8) ロボット外科用ツールを動作させる方法であって、
コンピュータシステムと通信するツール駆動部に駆動ハウジングを装着することであって、前記駆動ハウジングは、磁気応答性材料から作製されたか、若しくは磁気応答性材料を含む1つ又は2つ以上の構成部品を含む、装着することと、
前記ツール駆動部上に含められた第1のインダクタコイルによって磁場を生成し、前記駆動ハウジング上に含められた第2のインダクタコイルによって前記磁場を感知することによって、前記駆動ハウジングを前記ツール駆動部に誘導結合することと、
前記磁場の強度及び前記1つ又は2つ以上の構成部品によって引き起こされた場の歪みを前記第2のインダクタコイルによって測定することと、
前記第2のインダクタコイルによって前記場の歪みの変化を検出し、それによって、前記1つ又は2つ以上の構成部品の移動の指示を提供することと、を含む、方法。
(9) 前記駆動ハウジングは、前記第2のインダクタコイルと通信する内部コンピュータを更に含み、前記方法は、前記磁場の前記強度及び前記場の歪みの前記変化を前記内部コンピュータによって処理することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記場の歪みの前記変化が検出されたときに、前記コンピュータシステムに通知を提供することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
【0070】
(11) 前記コンピュータシステムと通信する視覚的ディスプレイに視覚的通知を提供することを更に含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記通知を提供することは、可聴又は触覚的通知を提供することを含む、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記磁場の前記強度及び前記場の歪みを測定することは、前記駆動ハウジングを前記ツール駆動部に誘導結合する際に、前記強度及び前記場の歪みを測定することを含む、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記磁場の前記強度及び前記場の歪みを測定することは、
前記駆動ハウジングを前記ツール駆動部に誘導結合する前に、前記強度及び前記場の歪みを測定することと、
前記駆動ハウジング内に含められた内部コンピュータのメモリ内に前記強度及び前記場の歪みを記憶することと、を含む、実施態様8に記載の方法。
(15) 前記場の歪みの前記変化を検出することは、
前記場の歪みの前記変化を、既知の磁場及び前記1つ又は2つ以上の構成部品の所定の位置の結果として生じる既知の場の歪みに対応する所定の強度閾値と比較することと、
前記場の歪みの前記変化を前記所定の強度閾値と一致させることと、を含む、実施態様8に記載の方法。
【0071】
(16) ロボット外科用ツールであって、
コンピュータシステムと通信するツール駆動部、
前記ツール駆動部に装着可能で、緊急離脱ツール、緊急離脱パネル、及び発射ロッドからなる群から選択される1つ又は2つ以上の構成部品を含む手動式ナイフ緊急離脱システムを含む駆動ハウジングであって、前記1つ又は2つ以上の構成部品のうちの少なくとも1つは、磁気応答性材料から作製されるか、又は磁気応答性材料を含む、駆動ハウジング、
前記ツール駆動部上に含められ、磁場を生成するように構成された第1のインダクタコイル、
前記駆動ハウジング上に含められ、前記磁場の強度及び前記1つ又は2つ以上の構成部品によって引き起こされた場の歪みを測定するように構成された、第2のインダクタコイル、を備え、
前記場の歪みの変化が、前記緊急離脱ツール、前記緊急離脱パネル、及び前記発射ロッドのうちの少なくとも1つの移動の指示を提供する、ロボット外科用ツール。
(17) 前記磁気応答性材料は、導電性金属、導電性ポリマー、グラファイト、炭素繊維、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される磁気応答性材料を含む、実施態様16に記載のロボット外科用システム。
(18) 前記緊急離脱ツールは、前記駆動ハウジング内に格納され、前記緊急離脱パネルを取り外すことによってアクセス可能である、実施態様16に記載のロボット外科用システム。
(19) 前記駆動ハウジングは緊急離脱キャップを更に含み、前記緊急離脱ツールは前記緊急離脱キャップと嵌合可能であり、前記緊急離脱ツールを回転させることは、それに応じて前記緊急離脱キャップを回転させ、これによって前記発射ロッドは長手方向に並進される、実施態様16に記載のロボット外科用システム。
(20) 前記コンピュータシステムは、前記場の歪みの前記変化が検出されたときに通知を提供するようにプログラムされている、実施態様16に記載のロボット外科用システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9