(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】貼付機ユニット、タイヤ製造デバイス、およびストリップをドラムに貼り付けるための方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/60 20060101AFI20240902BHJP
B29D 30/08 20060101ALI20240902BHJP
B26D 1/60 20060101ALI20240902BHJP
B26D 3/02 20060101ALI20240902BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20240902BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B29D30/60
B29D30/08
B26D1/60 H
B26D3/02
B26D7/20
B26D3/00 601E
(21)【出願番号】P 2022520231
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 NL2022050051
(87)【国際公開番号】W WO2022177421
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2022-05-09
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519009895
【氏名又は名称】ブイエムアイ・ホラント・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】VMI Holland B.V.
【住所又は居所原語表記】Gelriaweg 16,8161 RK EPE,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ラール、ヘラルドゥス・ヨハンネス・カタリーナ
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-149680(JP,A)
【文献】特開平05-004293(JP,A)
【文献】特開2003-276715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00-30/72
B26D 1/60
B26D 3/02
B26D 7/20
B26D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリップをドラムに貼り付けるための貼付機ユニットであって、前記貼付機ユニットが、貼付機ローラとカッタとを備え、ここにおいて、前記貼付機ローラが、ローラ軸に垂直な貼付方向において前記ストリップを前記ドラムに貼り付けるために前記ローラ軸の周りで回転可能であるローラ体を備え、ここにおいて、前記貼付機ローラおよび前記カッタが、前記ローラ軸の周りの螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断するために協働するように構成され
、
前記貼付機ローラが、前記ローラ体にわたって分散された複数の保持要素を備える、貼付機ユニット。
【請求項2】
前記複数の保持要素が、あるパターンに従って前記ローラ体にわたって分散されている、請求項
1に記載の貼付機ユニット。
【請求項3】
前記パターンが、前記ローラ軸に平行に延在し前記ローラ軸の周りで相互に円周方向に離間された複数の行を備える、請求項
2に記載の貼付機ユニット。
【請求項4】
前記螺旋状切断経路が、前記複数の行のうちの2つ以上の行を通って延在すると同時に前記2つ以上の行内の前記複数の保持要素を避けて延在する、請求項
3に記載の貼付機ユニット。
【請求項5】
前記螺旋状切断経路が、前記ローラ軸に垂直な中立面に対して傾斜経路角度で配置され、ここにおいて、前記傾斜経路角度が、前記ローラ体の少なくとも1つの円周セクションに沿った前記螺旋状切断経路が前記複数の保持要素の全ての保持要素を避けて延在するように選択される、請求項
1から4までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
【請求項6】
前記傾斜経路角度が、10度から80度の間である、請求項
5に記載の貼付機ユニット。
【請求項7】
前記複数の保持要素が、吸引開口部を備える、請求項
1から6までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
【請求項8】
前記ローラ体が、環状であり、ここにおいて、前記貼付機ローラが、前記ローラ体内に同軸に配置される内側部材をさらに備え、ここにおいて、前記ローラ体が、前記内側部材の周りで回転可能であり、ここにおいて、前記内側部材が、前記ローラ体の第1の円周セクションおよび第2の円周セクションとそれぞれ空気連通するように前記ローラ軸の周りで円周方向に連続的に配置された第1のチャンバと第2のチャンバとを備える、請求項
7に記載の貼付機ユニット。
【請求項9】
前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバが、第1の分離壁により前記円周方向において互いに分離され、ここにおいて、前記第1の分離壁が、前記ローラ軸に平行に延在する、請求項
8に記載の貼付機ユニット。
【請求項10】
前記内側部材が、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバと一緒に前記円周方向に連続的に配置された第3のチャンバを備え、ここにおいて、前記第3のチャンバが、前記ローラ体の第3の円周セクションと空気連通するように配置される、請求項
8または9に記載の貼付機ユニット。
【請求項11】
前記第2のチャンバおよび第3のチャンバが、第2の分離壁により前記円周方向において互いに分離され、ここにおいて、前記第2の分離壁が、前記螺旋状切断経路に平行に延在する、請求項
10に記載の貼付機ユニット。
【請求項12】
前記第1のチャンバ、前記第2のチャンバ、および前記第3のチャンバが、圧縮空気または部分真空の供給源に個別に接続可能である、請求項
10または11に記載の貼付機ユニット。
【請求項13】
前記第2のチャンバが、前記ストリップの先端部を前記ドラムに移送するための吹き飛ばし位置に対応する前記ローラ軸の周りの一定の角度位置に配置され、ここにおいて、前記第1のチャンバおよび前記第3のチャンバが、前記貼付方向に対して前記第2のチャンバの上流および下流にそれぞれ配置される、請求項
10から12までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
【請求項14】
前記カッタが、切断刃を備える、請求項1から
13までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
【請求項15】
前記切断刃が、前記ローラ軸に垂直な中立面に対して斜めの刃角度に配置される、請求項
14に記載の貼付機ユニット。
【請求項16】
前記切断刃が、前記ローラ軸に垂直な中立面に対してある刃角度で配置され、ここにおいて、前記刃角度が、前記中立面に平行なまたは前記中立面内の調整軸の周りで調整可能である、請求項
15に記載の貼付機ユニット。
【請求項17】
前記ローラ体を前記ローラ軸の周りで回転させるための回転駆動装置と、前記ローラ軸に平行な横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の相対変位を生じさせるための横方向駆動装置とを備える、請求項
14から16までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
【請求項18】
前記横方向駆動装置が、前記切断刃を前記横方向において前記貼付機ローラを横切って変位させるように構成される、請求項
17に記載の貼付機ユニット。
【請求項19】
前記ローラ軸の周りでの前記ローラ体の前記回転と、前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位とを制御するために、前記回転駆動装置と前記横方向駆動装置とに操作的に接続される制御ユニットをさらに備える、請求項
17または18に記載の貼付機ユニット。
【請求項20】
前記制御ユニットが、前記切断刃が前記螺旋状切断経路に沿って移動するように、前記ローラ軸の周りでの前記ローラ体の前記回転と、前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位とを制御するように構成される、請求項
19に記載の貼付機ユニット。
【請求項21】
前記貼付機ローラが、前記ローラ体にわたって分散された複数の保持要素を備え、ここにおいて、前記制御ユニットが、前記螺旋状切断経路に沿って移動する前記切断刃が前記複数の保持要素に対する所定の交差位置において最初に前記ローラ体と交わるように、前記ローラ軸の周りでの前記ローラ体の角度位置を決定するように、および前記ローラ体の前記角度位置に基づいて前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位のタイミングをとるように構成される、請求項
19または20に記載の貼付機ユニット。
【請求項22】
前記所定の交差位置から始まる前記螺旋状切断経路が、前記複数の保持要素の全ての保持要素を外れて延在する、請求項
21に記載の貼付機ユニット。
【請求項23】
前記制御ユニットが、前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位の前に前記ローラ体を回転させるように、および前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位中に前記ローラ体を回転させ続けるように構成される、請求項
19から22までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
【請求項24】
前記制御ユニットが、前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位の前および前記相対変位中に前記ローラ体を一定の角速度において回転させるように構成される、請求項
23に記載の貼付機ユニット。
【請求項25】
前記刃角度が、0度から10度の範囲内のオフセット角度にわたって前記螺旋状切断経路に対してオフセットされる、請求項
15に記載の貼付機ユニット。
【請求項26】
請求項1から
25までのいずれか一項に記載の貼付機ユニットを備えるタイヤ製造デバイスであって、前記ストリップの巻きを受け取るためのドラムをさらに備える、タイヤ製造デバイス。
【請求項27】
ローラ軸の周りで回転可能なローラ体を有する貼付機ローラを使用してストリップをドラムに貼り付けるための方法であって、
前記ローラ軸の周りの螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断するステップ
を備え
、
前記貼付機ローラが、前記ローラ体にわたって分散された複数の保持要素を備え、ここにおいて、前記螺旋状切断経路が、前記ローラ軸に垂直な中立面に対して傾斜経路角度で配置され、ここにおいて、前記傾斜経路角度が、前記ローラ体の少なくとも1つの円周セクションに沿った前記螺旋状切断経路が前記複数の保持要素の全ての保持要素を避けて延在するように選択される、方法。
【請求項28】
前記螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断する前記ステップの前に前記ローラ体を回転させるステップと、
前記螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断する前記ステップ中に前記ローラ体を回転させ続けるステップと、
をさらに備える、請求項
27に記載の方法。
【請求項29】
前記螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断する前記ステップの前および前記ステップ中に一定の角速度において前記ローラ体を回転させるステップをさらに備える、請求項
28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1から
25までのいずれか一項に記載の貼付機ユニットを使用してストリップをドラムに貼り付けるための方法であって、
前記螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断するステップを備える、方法。
【請求項31】
前記カッタが、切断刃を備え、ここにおいて、前記方法が、前記切断刃が前記螺旋状切断経路に沿って移動するように、前記ローラ軸に平行な横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の相対変位を生じさせると同時に前記ローラ体が前記ローラ軸の周りで回転されるステップを備える、請求項
30に記載の方法。
【請求項32】
前記切断刃を前記横方向において前記貼付機ローラを横切って変位させるステップを備える、請求項
31に記載の方法。
【請求項33】
前記貼付機ローラが、前記ローラ体にわたって分散された複数の保持要素を備え、ここにおいて、前記方法が、
前記ローラ軸の周りでの前記ローラ体の角度位置を決定するステップと、
前記螺旋状切断経路に沿って移動する前記切断刃が前記複数の保持要素に対する所定の交差位置において最初に前記ローラ体と交わるように、前記ローラ体の前記角度位置に基づいて前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位のタイミングをとるステップと、
をさらに備える、請求項
31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記所定の交差位置から始まる前記螺旋状切断経路が、前記複数の保持要素の全ての保持要素を外れて延在する、請求項
33に記載の方法。
【請求項35】
前記ローラ体が、環状であり、ここにおいて、前記貼付機ローラが、前記ローラ体内に同軸に配置される内側部材をさらに備え、ここにおいて、前記内側部材が、前記ローラ体の第1の円周セクションおよび第2の円周セクションとそれぞれ空気連通するように前記ローラ軸の周りで円周方向に連続的に配置された第1のチャンバと第2のチャンバとを備え、ここにおいて、前記方法が、
前記ローラ体を前記内側部材の周りで回転させるステップ
を備える、請求項
30から34までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記内側部材が、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバと一緒に前記円周方向に連続的に配置される第3のチャンバを備え、ここにおいて、前記第3のチャンバが、前記ローラ体の第3の円周セクションと空気連通するように配置され、ここにおいて、前記方法が、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとを圧縮空気または部分真空の供給源に個別に接続するステップ
をさらに備える、請求項
35に記載の方法。
【請求項37】
前記第2のチャンバが、前記ストリップの先端部を前記ドラムに移送するための吹き飛ばし位置に対応する前記ローラ軸の周りの一定の角度位置に配置され、ここにおいて、前記第1のチャンバおよび前記第3のチャンバが、前記貼付方向に対して前記第2のチャンバの上流および下流にそれぞれ配置され、ここにおいて、前記方法が、
前記螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断する前記ステップ中に前記ストリップを保持するために、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバのうちの少なくとも一方を部分真空の供給源に接続するステップと、
切断後に前記ストリップの前記先端部を保持するために、前記第3のチャンバを部分真空の供給源に接続するステップと、
前記先端部を吹き飛ばすために、前記第3のチャンバを前記部分真空の供給源から分離し、前記第2のチャンバを圧縮空気の供給源に接続するステップと、
をさらに備える、請求項
36に記載の方法。
【請求項38】
前記先端部を吹き飛ばすために前記第3のチャンバを前記部分真空の供給源から分離し前記第2のチャンバを前記圧縮空気の供給源に接続する前記ステップの前に、前記ローラ体の前記回転を逆転させるステップをさらに備える、請求項
37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付機ユニットと、タイヤ製造デバイスと、ストリップをドラムに、具体的にはストリップ巻取りドラムに貼り付けるための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
WO81/00691A1は、タイヤおよび同種のものなどの環状体をドラム上に巻き付けるために使用されるテープを自動的に仮付けし、貼り付け、ステッチングし、引きちぎるためのテープ貼付装置を開示している。装置は、貼付機ローラと、貼付機ローラのさらなる回転を防止する制動部材とを備える。ドラムは、ドラムへの次の貼付けに備えてテープの一方の自由端が貼付機ローラ上に絡みつけられ、テープのもう一方の自由端がステッチングローラによりドラムにステッチングされている状態でテープが引きちぎれるまで、ステッチングローラと貼付機ローラとの間でテープを延伸させるために、少しだけ回転するように制御される。
【発明の概要】
【0003】
知られたテープ貼付装置の欠点は、引きちぎり中のテープの挙動が予測不可能であり、不均一な先端部と後端部とをもたらし得ることである。延伸はまた、テープの材料を局所的に弱める可能性があり、それが、絡みつける自由端を次の貼付サイクル中にドラムに正確に貼り付けることを難しくする。
【0004】
本発明の目的は、貼付機ユニットと、タイヤ製造デバイスと、タイヤ構成要素をドラムに、具体的にはストリップ巻取りドラムに貼り付けるための方法とを提供し、ここにおいて、上述の欠点のうちの少なくとも1つが対処され得ることである。
【0005】
第1の態様によれば、本発明は、ストリップをドラムに貼り付けるための貼付機ユニットを提供し、ここにおいて、貼付機ユニットは、貼付機ローラとカッタとを備え、ここにおいて、貼付機ローラは、ローラ軸に垂直な貼付方向においてストリップをドラムに貼り付けるために前述のローラ軸の周りで回転可能なローラ体を備え、ここにおいて、貼付機ローラおよびカッタは、ローラ軸の周りの螺旋状切断経路に沿って貼付機ローラ上のストリップを切断するために協働するように構成される。
【0006】
延伸によりストリップを引きちぎる代わりに貼付機ローラ上で直接ストリップを切断することにより、先端部および後端部の特性、具体的にはそれらの形状が、より正確に制御され得る。例えば、貼付機ローラは、切断中に実質的に一定の角速度で回転し続け、それにより前述の先端部および後端部の延伸または他の過度の変形を防ぐことができる。言い換えれば、ストリップは、動作中にまたは「オンザフライで」切断され得る。あるいは、角速度は、工程によりそのように求められるのであれば、変動しおよび/または変更され得る。
【0007】
貼付機ローラは、前述のローラ体にわたって分散された複数の保持要素を備えることが好ましい。保持要素は、切断および/またはドラムへのストリップの貼付け中に、ローラ体に対してストリップを保持することができる。
【0008】
複数の保持要素は、あるパターンに従って前述のローラ体にわたって分散されることが、より好ましい。パターンは、例えば、先端部におけるストリップの形状の輪郭を最も良く保持するように適合され得る。
【0009】
パターンは、ローラ軸に平行に延在し前述のローラ軸の周りで相互に円周方向に離間された複数の行を備えることが、より好ましい。保持要素の各行は、ストリップを保持することができるが、ストリップは、前述の行間に直接保持されない。
【0010】
螺旋状切断経路は、複数の行のうちの2つ以上の行を通って延在すると同時に前述の2つ以上の行内の複数の保持要素を避けて延在することが、最も好ましい。保持要素は、ストリップの切断を妨げ得る。具体的には、保持要素がローラ体内へ凹められるかまたは前述のローラ体から突出するときに、すなわち、切断刃が到達し得ない保持要素の内側または保持要素を取り囲む領域にストリップの一部が押し込まれるので、切断刃は、ストリップを完全に切り開くことができない場合がある。したがって、切断刃は、螺旋状切断経路を辿るように作られ、切断刃は、この螺旋状切断経路に沿って、前述のローラ体保持要素による干渉を伴わずにおよび/または保持要素を避けて前述のローラ体によりストリップが確実に支持される箇所のみを切断する。
【0011】
さらなる実施形態では、螺旋状切断経路は、中立面に対して傾斜経路角度で配置され、ここにおいて、傾斜経路角度は、ローラ体の少なくとも1つの円周セクションに沿った螺旋状切断経路が複数の保持要素の全ての保持要素を避けて延在するように選択される。言い換えれば、上記で説明されたのと同じ利点を伴って、切断刃が全螺旋状切断経路に沿って保持要素のいずれかと交わることが防止され得る。
【0012】
傾斜経路角度は、10度から80度の間であることが好ましい。そのような傾斜経路角度で延在する螺旋状切断経路に沿った切断は、タイヤ構成要素を形成するためにドラムに便利よく貼り付けられ得る比較的鋭い先端部と後端部の作成を可能にする。
【0013】
別の実施形態では、複数の保持要素は、吸引開口部を備える。吸引開口部は、吸引を通じてストリップをローラ体に対して保持するために使用され得る。ローラ体は、これらの吸引開口部において、切断刃と協働する対向面を提供することができない。そのような吸引開口部を横切って切断するときに、ストリップの一部は、吸引開口部に押し込まれ、確実に切断されない。したがって、これらの吸引開口部を避けることにより、ストリップは確実に切断され得るが、ストリップはまた、切断中にローラ体に対して確実に保持され得る。
【0014】
好ましい実施形態では、ローラ体は、環状であり、ここにおいて、貼付機ローラは、ローラ体内に同軸に配置される内側部材をさらに備え、ここにおいて、ローラ体は、内側部材の周りで回転可能であり、ここにおいて、内側部材は、ローラ体の第1の円周セクションおよび第2の円周セクションとそれぞれ空気連通するようにローラ軸の周りで円周方向に連続的に配置された第1のチャンバと第2のチャンバとを備える。第1のチャンバおよび第2のチャンバは、部分真空の供給源に操作的に接続され得る。各チャンバは、前述の内側部材の周りで外側体が回転されるときに、ローラ体のそれぞれの円周セクション内の保持要素と連通する。
【0015】
第1のチャンバおよび第2のチャンバは、第1の分離壁により円周方向において互いに分離されることがより好ましく、ここにおいて、第1の分離壁は、螺旋状切断経路に平行にまたは実質的に平行に延在する。ストリップが螺旋状切断経路に沿って切断されたときに、螺旋状切断経路と同じ傾斜経路角度で延在する先端部が作り出される。したがって、少なくとも第1の分離壁においてチャンバの形状を先端部の斜角に一致させることにより、第1のチャンバおよび第2のチャンバは、先端部が前述の分離壁の近くでローラ体上に位置決めされるときに、ストリップの先端部においてストリップを効率的に保持することができる。
【0016】
さらに、またはその代わりに、内側部材は、第1のチャンバおよび第2のチャンバと一緒に円周方向に連続的に配置される第3のチャンバを備え、ここにおいて、第3のチャンバは、ローラ体の第3の円周セクションと空気連通するように配置される。第3のチャンバはまた、第1のチャンバおよび第2のチャンバと同様に、部分真空の供給源に操作的に接続され、それぞれの円周セクション内の保持要素と連通し得る。第3のチャンバを有することは、ストリップを保持する際のより高い適応性を可能にする。
【0017】
第2のチャンバおよび第3のチャンバは、第2の分離壁により円周方向において互いに分離されることが好ましく、ここにおいて、第2の分離壁は、螺旋状切断経路に平行にまたは実質的に平行に延在する。この場合もやはり、少なくとも第2の分離壁においてチャンバの形状を先端部の斜角に一致させることにより、第2のチャンバまたは第3のチャンバは、先端部が前述の第2の分離壁の近くでローラ体上に位置決めされるときに、ストリップの先端部においてストリップを効率的に保持することができる。
【0018】
さらなる実施形態では、第1のチャンバ、第2のチャンバ、および第3のチャンバは、圧縮空気または部分真空の供給源に個別に接続可能である。したがって、チャンバのうちの1つまたは複数は、ローラ体のそれぞれの円周セクション内の吸引開口部を通じて選択的に、個別に、および/または同時に吸引力を生成することができる。同様に、チャンバのうちの1つまたは複数は、ローラ体のそれぞれの円周セクション内の吸引開口部からストリップを吹き飛ばすために、圧縮空気の供給源に選択的に、個別に、および/または同時に接続され得る。
【0019】
1つの特定の実施形態では、第2のチャンバは、ストリップの先端部をドラムに移送するための吹き飛ばし位置に対応するローラ軸の周りの一定の角度位置に配置され、ここにおいて、第1のチャンバおよび第3のチャンバは、貼付方向に対して第2のチャンバの上流および下流にそれぞれ配置される。したがって、少なくとも第2のチャンバは、前述の吹き飛ばし位置におけるローラ体からのストリップの先端部の吹き飛ばしを実現するために、圧縮空気の供給源に接続され得る。一方では、第1のチャンバは、先端部の吹き飛ばしの前および/または吹き飛ばし中、またはそれに続くストリップの本体のドラムへの移送中に、前述の先端部の上流のストリップの本体を維持するために使用され得る。第3のチャンバは、ストリップが切断され、ローラ体が切り離された長さのストリップの後端部をドラムに貼り付けるためになおもさらに回転しているときに、ストリップの先端部をローラ体に対して保持するために使用され得る。後端部がドラム上に首尾良く貼り付けられおよび/または移送されると、ローラ体の回転は、次の貼付サイクル中のローラ体からの吹き飛ばしに備えて先端部を第3の円周セクションから第2の円周セクションに向かって後退させるために、逆転され得る。
【0020】
さらなる実施形態では、カッタは、切断刃を備える。具体的には切断ディスクである切断刃は、ストリップを切断するための螺旋状切断経路に沿って移動され得る。
【0021】
切断刃は、ローラ軸に垂直な中立面に対して斜めの刃角度で配置されることが好ましい。したがって、切断刃は、螺旋状切断経路に向かって配向されおよび/または螺旋状切断経路と揃えられ得る。
【0022】
あるいは、切断刃は、ローラ軸に垂直な中立面に対してある刃角度で配置され、ここにおいて、刃角度は、中立面に平行なまたは中立面内の調整軸の周りで調整可能である。刃角度を調整するためにホルダが別のホルダに置き換えられなければならない固定されたホルダにおける固定された位置とは対照的に、この実施形態では、刃角度は、カッタのどの部品も置き換えることなしに、容易に調整され得る。刃角度は、切断の前および/または切断中に調整され得る。
【0023】
別の実施形態では、貼付機ユニットは、ローラ体をローラ軸の周りで回転させるための回転駆動装置と、ローラ軸に平行な横方向における切断刃と貼付機ローラとの間の相対変位を生じさせるための横方向駆動装置とを備える。ローラ体の回転と相対変位との組み合わせは、螺旋状切断経路に沿った切断刃の移動をもたらし得る。
【0024】
横方向駆動装置は、切断刃を横方向において貼付機ローラを横切って変位させるように構成されることが好ましい。したがって、貼付機ローラは、横方向において静止し続けることができる。
【0025】
さらなる実施形態では、貼付機ユニットは、ローラ軸の周りでのローラ体の回転と横方向における切断刃と貼付機ローラとの間の相対変位とを制御するために回転駆動装置と横方向駆動装置とに操作的に接続される制御ユニットを備える。制御ユニットは、回転と相対変位とを正確に制御しおよび/または少なくとも部分的に自動化することができる。
【0026】
より具体的には、制御ユニットは、切断刃が螺旋状切断経路に沿って移動するように、ローラ軸の周りでのローラ体の回転と横方向における切断刃と貼付機ローラとの間の相対変位とを制御するように構成される。したがって、切断刃の移動は、正確に制御されおよび/または少なくとも部分的に自動化され得る。
【0027】
さらに、またはその代わりに、貼付機ローラは、前述のローラ体にわたって分散された複数の保持要素を備え、ここにおいて、制御ユニットは、螺旋状切断経路に沿って移動する切断刃が前述の複数の保持要素に対する所定の交差位置において最初にローラ体と交わるように、ローラ軸の周りでのローラ体の角度位置を決定するようにおよびローラ体の角度位置に基づいて横方向における切断刃と貼付機ローラとの間の相対変位のタイミングをとるように構成される。交差位置を前もって決定することを知ることにより、前述の交差位置は、前述の所定の交差位置から始まる螺旋状切断経路が複数の保持要素の全ての保持要素を外れて延在するように選択され得る。これは、保持要素に関して先に説明されたのと同じ技術上の利点を有する。
【0028】
さらなる実施形態では、制御ユニットは、横方向における切断刃と貼付機ローラとの間の相対変位の前にローラ体を回転させるように、および、横方向における切断刃と貼付機ローラとの間の相対変位中にローラ体を回転させ続けるように、構成される。従来技術とは対照的に、本発明による貼付機ローラは、切断中に回転し続け、したがって切断中のストリップの過度の延伸を防ぐことができる。
【0029】
制御ユニットは、横方向における切断刃と貼付機ローラとの間の相対変位の前および相対変位中にローラ体を一定の角速度において回転させるように構成されることが好ましい。一定の角速度は、前述の先端部および後端部の延伸または他の過度の変形を防ぐことができる。言い換えれば、ストリップは、動作中にまたは「オンザフライで」切断され得る。
【0030】
別の実施形態では、刃角度は、0度から10度の範囲内のオフセット角度にわたって螺旋状切断経路に対してオフセットされる。ストリップは、切断中に切断刃に付着する場合があり、故意でなく切断刃と一緒に引っ張られて、先端部および/または後端部の予想外の変形をもたらし得る。これは、ストリップの材料が比較的柔軟であるか粘着性があるかまたは薄い場合に起こり得る。螺旋状経路に対してオフセットされた刃角度で切断刃を配置することにより、オフセットは、ストリップの材料がより容易に切断刃から離れることを可能にする。
【0031】
貼付機ローラと、貼付機ローラとカッタの協働とに無関係に同様に適用され得る別の実施形態では、貼付機ユニットは、ストリップを前述の切断刃からかき落とすために切断刃に並んで位置決めされたスクレーパをさらに備える。スクレーパは、依然として粘着性を有し得るストリップが切断刃の側面に粘着し、前述の切断刃の回転中に切断刃と一緒に引っ張られることを防ぐことができる。
【0032】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による貼付機ユニットを備えるタイヤ製造デバイスを提供し、ここにおいて、タイヤ製造デバイスは、ストリップの巻きを受け取るためのドラム、具体的にはストリップ巻取りドラムをさらに備える。
【0033】
貼付機ローラは、ストリップの先端部をドラムに貼り付けるように、および引き続いてストリップの残りの部分がいくつかの巻きで前述のドラム上に巻き付けられたときにドラムから離れるように移動されるように、配置される。タイヤ製造デバイスは、上述の貼付機ユニットをさらに備え、したがって、同じ技術上の利点を有するが、その利点について以下では繰り返さない。
【0034】
好ましい実施形態では、タイヤ製造デバイスは、貼付方向において貼付機ユニットの下流に配置された1つまたは複数のステッチングローラをさらに備える。1つまたは複数のステッチングローラは、貼付機ローラがストリップの先端部をドラムに貼り付けた後で、前述のストリップの巻きを前述のドラムにステッチングすることができる。
【0035】
第3の態様によれば、本発明は、ローラ軸の周りで回転可能なローラ体を有する貼付機ローラを使用してストリップをドラムに貼り付けるための方法を提供し、ここにおいて、方法は、
- 前述のローラ軸の周りの螺旋状切断経路に沿って貼付機ローラ上のストリップを切断するステップ
を備える。
【0036】
本発明の第3の態様による方法は、必ずしも貼付機ユニットの特徴に限定されるものではない。方法は、単に、貼付機ローラと、上述の態様で前述の貼付機ローラ上のストリップを切断するステップとを必要とする。さらに、方法は、本発明の第1の態様による貼付機ユニットと同じ技術上の利点を提供するが、その利点について以下では繰り返さない。
【0037】
貼付機ローラは、前述のローラ体にわたって分散された複数の保持要素を備えることが好ましく、ここにおいて、螺旋状切断経路は、ローラ軸に垂直な中立面に対して傾斜経路角度で配置され、ここにおいて、傾斜経路角度は、ローラ体の少なくとも1つの円周セクションに沿った螺旋状切断経路が複数の保持要素の全ての保持要素を避けて延在するように選択される。
【0038】
さらに、またはその代わりに、方法は、
- 螺旋状切断経路に沿って貼付機ローラ上のストリップを切断するステップの前にローラ体を回転させるステップと、
- 螺旋状切断経路に沿って貼付機ローラ上のストリップを切断するステップ中にローラ体を回転させ続けるステップと、
をさらに備える。
【0039】
より具体的には、方法は、螺旋状切断経路に沿って貼付機ローラ上のストリップを切断するステップの前およびそのステップ中に一定の角速度においてローラ体を回転させるステップをさらに備える。
【0040】
第4の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による貼付機ユニットを使用してストリップをドラムに貼り付けるための方法を提供し、ここにおいて、方法は、
- 螺旋状切断経路に沿って貼付機ローラ上のストリップを切断するステップ
を備える。
【0041】
本発明の第4の態様による方法は、本発明の第1の態様による貼付機ユニットの全ての特徴を組み込み、同じ技術上の利点を有するが、その利点について以下では繰り返さない。
【0042】
方法は、切断刃が螺旋状切断経路に沿って移動するように、ローラ軸に平行な横方向における切断刃と貼付機ローラとの間の相対変位を生じさせると同時にローラ体がローラ軸の周りで回転されるステップを備えることが好ましい。
【0043】
方法は、切断刃を横方向において貼付機ローラを横切って変位させるステップを備えることが、より好ましい。
【0044】
さらに、またはその代わりに、貼付機ローラは、前述のローラ体にわたって分散された複数の保持要素を備え、ここにおいて、方法は、
- ローラ軸の周りでのローラ体の角度位置を決定するステップと、
- 螺旋状切断経路に沿って移動する切断経路が前述の複数の保持要素に対する所定の交差位置において最初にローラ体と交わるように、ローラ体の角度位置に基づいて横方向における切断刃と貼付機ローラとの間の相対変位のタイミングをとるステップと、
をさらに備える。
【0045】
前述の所定の交差位置から始まる螺旋状切断経路は、複数の保持要素の全ての保持要素を外れて延在することが好ましい。
【0046】
別の実施形態では、ローラ体は、環状であり、ここにおいて、貼付機ローラは、ローラ体内に同軸に配置される内側部材をさらに備え、ここにおいて、内側部材は、ローラ体の第1の円周セクションおよび第2の円周セクションとそれぞれ空気連通するようにローラ軸の周りで円周方向に連続的に配置された第1のチャンバと第2のチャンバとを備え、ここにおいて、方法は、
- ローラ体を内側部材の周りで回転させるステップ
をさらに備える。
【0047】
内側部材は、第1のチャンバおよび第2のチャンバと一緒に円周方向に連続的に配置される第3のチャンバを備えることが好ましく、ここにおいて、第3のチャンバは、ローラ体の第3の円周セクションと空気連通するように配置され、ここにおいて、方法は、
- 第1のチャンバと第2のチャンバと第3のチャンバとを圧縮空気または部分真空の供給源に個別に接続するステップ
をさらに備える。
【0048】
第2のチャンバは、ストリップの先端部をドラムに移送するための吹き飛ばし位置に対応するローラ軸の周りの一定の角度位置に配置されることがより好ましく、ここにおいて、第1のチャンバおよび第3のチャンバは、貼付方向に対して第2のチャンバの上流および下流にそれぞれ配置され、ここにおいて、方法は、
- 螺旋状切断経路に沿って貼付機ローラ上のストリップを切断するステップ中にストリップを保持するために、第1のチャンバおよび第2のチャンバのうちの少なくとも一方を部分真空の供給源に接続するステップと、
- 切断後にストリップの先端部を保持するために、第3のチャンバを部分真空の供給源に接続するステップと、
- 先端部を吹き飛ばすために、第3のチャンバを部分真空の供給源から分離し、第2のチャンバを圧縮空気の供給源に接続するステップと、
をさらに備える。
【0049】
方法は、先端部を吹き飛ばすために第3のチャンバを部分真空の供給源から分離し第2のチャンバを圧縮空気の供給源に接続するステップの前に、ローラ体の回転を逆転させるステップをさらに備えることが、最も好ましい。
【0050】
本明細書において説明され示される様々な態様および特徴は、可能な限り個別に適用され得る。これらの個々の態様、具体的には添付の従属請求項において説明される態様および特徴は、分割特許出願の対象となされ得る。
【0051】
例えば、圧縮空気または部分真空の供給源に個別に接続可能である2つまたは3つのチャンバを含む内側部材を有する貼付機ローラ、あるいは、先端部および/またはストリップ体を保持するためおよび前述の先端部を移送中に吹き飛ばすための貼付機ローラの動作に関連する方法は、貼付機ユニットおよび/または螺旋状切断経路に沿って移動するカッタの制限を伴わずに、分割特許出願の対象となされ得る。
【0052】
本発明は、添付の概略的な図面に示された例示的な実施形態に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明の第1の例示的な実施形態による貼付機ローラとカッタとを含む貼付機ユニットの等角図。
【
図2】貼付機ローラの丸められていない円周セクションの上面図。
【
図3】ローラ体と内側部材とを有する貼付機ローラの分解組立図。
【
図4A】ストリップをドラムに貼り付けるための方法のステップ中の、
図1による貼付機ユニットを備えるタイヤ製造デバイスの側面図。
【
図4B】ストリップをドラムに貼り付けるための方法のステップ中の、
図1による貼付機ユニットを備えるタイヤ製造デバイスの側面図。
【
図4C】ストリップをドラムに貼り付けるための方法のステップ中の、
図1による貼付機ユニットを備えるタイヤ製造デバイスの側面図。
【
図4D】ストリップをドラムに貼り付けるための方法のステップ中の、
図1による貼付機ユニットを備えるタイヤ製造デバイスの側面図。
【
図4E】ストリップをドラムに貼り付けるための方法のステップ中の、
図1による貼付機ユニットを備えるタイヤ製造デバイスの側面図。
【
図4F】ストリップをドラムに貼り付けるための方法のステップ中の、
図1による貼付機ユニットを備えるタイヤ製造デバイスの側面図。
【
図4G】ストリップをドラムに貼り付けるための方法のステップ中の、
図1による貼付機ユニットを備えるタイヤ製造デバイスの側面図。
【
図4H】ストリップをドラムに貼り付けるための方法のステップ中の、
図1による貼付機ユニットを備えるタイヤ製造デバイスの側面図。
【
図5】本発明の第2の例示的な実施形態による貼付機ローラとカッタとを含む代替的な貼付機ユニットの等角図。
【
図6A】本発明の第3の例示的な実施形態による貼付機ローラとカッタとスクレーパとを含むさらなる代替的な貼付機ユニットの等角図。
【
図6B】本発明の第3の例示的な実施形態による貼付機ローラとカッタとスクレーパとを含むさらなる代替的な貼付機ユニットの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図4A~4Hは、具体的にはストリップ巻取りドラムであるドラム8上にタイヤ構成要素(図示せず)を形成するためのタイヤ製造デバイス1を示す。ストリップ巻取り中、タイヤ構成要素、すなわちトレッドを形成するために、連続した長さのストリップ9が、ドラム8の周りに複数回の巻きにわたって巻き付けられる。典型的には、ドラム8は、複数の巻きを並置の関係で受け取るために、ドラム軸Dの周りで回転可能であり、同時にそのドラム軸Dに対して平行に横移動する。
【0055】
本発明によるタイヤ製造デバイス1は、ストリップ9をドラム8に向かって供給するための供給機(servicer)10、すなわちコンベヤと、ストリップ9をドラム8に貼り付けるための貼付機ユニット2と、ストリップ9をステッチングするための1つまたは複数のステッチングローラ7とを備える。
【0056】
図1は、本発明の第1の例示的な実施形態による貼付機ユニット2をより詳細に示す。貼付機ユニット2は、ストリップ9をドラム8に貼り付けるための貼付機ローラ3と、ストリップ9を所定の長さに切断するためのカッタ5とを備える。貼付機ローラ3およびカッタ5は、共通の構造体、フレーム、またはベース20上に配置されるかそれに取り付けられることが好ましい。したがって、貼付機ユニット2は、全体として移動され得るが、貼付機ローラ3とカッタ5との間の相対位置は、維持され得る。貼付機ローラ3は、ローラ軸Rに垂直な貼付方向Aにおいてストリップ9をドラム8に貼り付けるために前述のローラ軸Rの周りで回転可能であるローラ体40を備える。ローラ体40は、環状、すなわちリング形状とされる。ローラ体40は、外方に面する円周表面41を有する。貼付機ローラ3は、前述のローラ体40にわたってローラ軸Rの周りで円周方向Cに分散された複数の保持要素42をさらに備える。この例示的な実施形態では、複数の保持要素42は、真空または吸引開口部によって形成される。吸引開口部は、ローラ体40を貫通して径方向に延在する通り穴として形成される。
【0057】
図2に示されるように、複数の保持要素42は、パターンE、Fに従ってローラ体40にわたって分散される。この例では、パターンは、ローラ軸Rに平行に延在する複数の行Eを備える。複数の行Eは、前述のローラ軸Rの周りで円周方向Cにおいて互いに離間されている。この特定の例では、パターンの行Eのそれぞれにおける保持要素42はまた、マトリクス様のパターンに達するために、円周方向Cにおける複数の列Fに配置されている。各行Eは、複数の保持要素42のうちの少なくとも3つの保持要素42を備えることが好ましい。
【0058】
図3で最も良く分かるように、貼付機ローラ3は、ローラ体40内に同軸に配置される内側部材30をさらに備える。ローラ体40は、内側部材30の周りで回転可能である。ローラ体40は、両方向に、すなわち貼付方向Aおよび前述の貼付方向Aとは反対の方向に回転可能である。内側部材30は、ローラ体40の回転中に静止し続けることが好ましい。言い換えれば、内側部材30は、ローラ軸Rに対して一定の角度位置にある。場合により、ローラ軸Rの周りでの内側部材30の角度位置を調整または微調整するために、いくつかの手段、すなわち、いくつかのスロットと適切な締結具とが設けられ得る。内側部材30は、ロータ体40の第1の円周セクションS1および第2の円周セクションS2とそれぞれ空気連通するように構成または配置される、円周方向Cに連続的に配置された第1のチャンバ31と、第2のチャンバ32と、第3のチャンバ33とを形成、画定、および/または備える。第2のチャンバ32は、ストリップ9の先端部LEをドラム8に移送するための吹き飛ばし位置Zに対応するローラ軸Rの周りの一定の角度位置に配置される。第1のチャンバ31および第3のチャンバ33は、貼付方向Aに対して第2のチャンバ32の上流および下流にそれぞれ配置される。
【0059】
第1のチャンバ31および第2のチャンバ32は、第1の分離壁34により円周方向Cにおいて互いに分離される。同様に、第2のチャンバ32および第3のチャンバ33は、第2の分離壁35により円周方向Cにおいて互いに分離される。
【0060】
第1のチャンバ31、第2のチャンバ32、および第3のチャンバ33は、圧縮空気または部分真空の供給源に個別に接続可能である。したがって、チャンバ31~33のうちの1つまたは複数は、ローラ体40のそれぞれの円周セクションS1~S3における吸引開口部42を通じて選択的に、個別に、および/または同時に吸引力を生成することができる。同様に、チャンバ31~33のうちの1つまたは複数は、ローラ体40のそれぞれの円周セクションS1~S3における吸引開口部42からストリップ9を吹き飛ばすために、圧縮空気の供給源に選択的に、個別に、および/または同時に接続され得る。
【0061】
図1に示されるように、カッタ5は、切断刃50を備える。この例示的な実施形態では、切断刃50は、円形または円板形状とされる。円板刃50は、切断刃軸Tの周りで回転可能である。カッタ5は、オペレータがカッタに近接近して作業しているときの負傷を防ぐために、切断刃50を覆うハウジング51をさらに備える。切断刃50の下部のみが、ハウジング51の外に突出する。切断刃50および/またはそのハウジング51は、ホルダ52上に取り付けられる。ホルダ52は、ローラ軸Rに平行な横方向Lにおいてガイドレール53に沿って移動可能であり、それにより、切断刃50が前述の横方向Lにおいて貼付機ローラ3に対しておよび/または貼付機ローラ3を横切って移動することを可能にする。
【0062】
ホルダ52は、ローラ軸Rに対して径方向にまたは垂直に延在する中立面Nに対して好ましくは直角でないまたは斜めの刃角度Bに切断刃50を保持するように設計される。本発明の文脈において、「刃角度」Bは、主表面または切断刃50が延在する主平面と中立面Nとの間の角度である。別の言い方をすれば、刃角度Bは、切断刃軸Tとローラ軸Rとの間の角度に相当し得る。
【0063】
刃角度Bは、切断刃50が、
図1に示されるような中立面Nの側においてあるいは中立面Nの反対側において延在するように、すなわち先端部LEおよび後端部TEの配向を変化させるように、選択され得る。
【0064】
この例示的な実施形態では、ホルダ52は、ホルダ52を別のホルダと置き換えること以外には刃角度Bを適合させる手段を持たない剛体ブロックとして形成される。しかし、ホルダ52は刃角度Bを調整するように、すなわち手動で調整可能な機械的手段によりまたは遠隔制御されるアクチュエータ(図示せず)を介して調整するように代替的に構成され得ることが、想定されている。例えば、
図5は、切断刃50の刃角度Bが調整軸Gの周りでホルダ152に対して調整可能であるという点で前述の貼付機ユニット2とは異なる、本発明の第2の例示的な実施形態による代替的な貼付機ユニット102を示す。具体的には、カッタ105は、実線で示された位置と破線で示された反対側の位置との間に切断刃50の刃角度Bを設定するために調整軸Gの周りで前述のホルダ152にヒンジ式に接続されたハウジング151を備える。
【0065】
カッタ5は、貼付機ローラ3に対する切断刃50の高さを調整するための切断高さ調整部材54をさらに備える。切断高さ調整部材54はまた、切断刃50が前述の円周表面41の高さの変化に従うこと、すなわちローラ体40の円周表面41がわずかに冠状であるときに、前述の円周表面41の高さの変化に従うことを可能にし得る。切断高さ調整部材54は、例えば、切断刃50が横方向Lにおいて円周表面41を横切って移動するときわずかに圧縮され得る空気式シリンダであってよい。
【0066】
図1に示されるように、貼付機ユニット2は、ローラ体40をローラ軸Rの周りで回転させるための回転駆動装置21と、横方向Lにおける切断刃50と貼付機ローラ3との間の相対変位を生じさせるための線形または横方向駆動装置22とをさらに備える。この例示的な実施形態では、横方向駆動装置22は、切断刃50を横方向Lにおいて貼付機ローラ3を横切って変位させるように構成される。具体的には、横方向駆動装置22は、ホルダ52上に直接係合し、および/またはホルダ52を駆動する。横方向駆動装置22は、回転を横方向Lにおけるまたは横方向Lに平行な切断刃50の線形運動に変換することができるスピンドル23を備え得る。
【0067】
あるいは、横方向駆動装置は、貼付機ローラ3を切断刃50に対して横方向Lに変位させるように配置され得る。
【0068】
図1に概略的に示されるように、貼付機ユニット2は、回転駆動装置21と横方向駆動装置22とに電子的におよび/または操作的に接続される制御ユニット6をさらに備える。制御ユニット6は、ローラ軸Rの周りでのローラ体40の回転と横方向Lにおける切断刃50と貼付機ローラ3との間の相対変位とを制御するように適合され、構成され、プログラムされ、および/または配置される。ローラ体40の回転と、切断刃50と貼付機ローラ3との間の相対変位の両方を同時に制御する場合、制御ユニット6は、切断刃50を
図2および3に示されるようなローラ軸Rの周りの螺旋状切断経路Pに沿ってローラ体40の円周表面41を横切って移動させることができる。
【0069】
図2で最も良く分かるように、螺旋状切断経路Pは、中立面Nに対して傾斜経路角度Hで配置される。傾斜経路角度Hは、10度から80度の間の範囲内で選択されることが好ましい。
【0070】
螺旋状切断経路Pに沿ってストリップ9を切り開くときに、ストリップ9は、切断中に切断刃50に付着する場合があり、故意でなく切断刃50と一緒に引っ張られる可能性がある。これは、ストリップ9の材料が比較的柔軟であるか粘着性があるかまたは薄い場合に起こり得る。この現象を防ぐために、刃角度Bは、相対的に小さなオフセット角度Kにわたって螺旋状切断経路Pに対して意図的にオフセットされ得る。オフセット角度Kは、0度から10度の範囲内であることが好ましい。オフセット角度Kは、切断中にストリップ9の材料がより容易に切断刃50から離れることを可能にする。
【0071】
傾斜経路角度Hが非常に小さいかまたは非常に大きい場合、すなわち10度に近いかまたは80度に近い場合、オフセットは、中立面Nに対して0度または90度の刃角度Bで延在する切断刃50をもたらし得ることが、考えられる。したがって、切断刃50は、依然として螺旋状切断経路Pに沿って移動しながら、中立面Nに平行にまたは前述の中立面Nに垂直になり得る。
【0072】
あるいは、刃角度Bおよび傾斜経路角度Hは、同じであってもよく、すなわち、切断刃50は、螺旋状切断経路Pと揃えられてもよい。
【0073】
図2に示されるように、螺旋状切断経路Pは、切断刃50が最初に貼付機ローラ3のローラ体40と交わる交差位置Xから始まる。制御ユニット6は、ローラ軸Rの周りでのローラ体40の角度位置を決定するように、すなわち回転駆動装置21からの較正および/または位置データを使用することにより、またはエンコーダ(図示せず)を使用することにより角度位置を決定するように構成される。制御ユニット6は、横方向Lにおける切断刃50と貼付機ローラ3との間の相対変位の特定の開始タイミングに対して交差位置Xがローラ体40の周囲上のどこになるのかを予測および/または予め決定するために、この情報を使用することができる。言い換えれば、制御ユニット6は、交差位置Xがローラ体40の周囲上の所定の場所になるように制御するために、横方向Lにおける相対変位のタイミングをとることができる。さらに、刃角度Bが調整可能である場合、前述の刃角度Bは、切断の前に設定され、および/または切断中に変更され得る。
【0074】
具体的には、制御ユニット6は、前述の所定の交差位置Xから始まる螺旋状切断経路Pが、螺旋状切断経路Pに近接近している複数の保持要素42のうちの全ての保持要素42を、またはそれを通って螺旋状切断経路Pが延在するローラ体40の円周セクション内に配置された複数の保持要素42の全ての保持要素42を、外れて延在するように、複数の保持要素42に対する横方向Lにおける相対変位のタイミングをとることができる。
【0075】
図2に示されるように、螺旋状切断経路Pは、複数の行Eのうちの4つの行Eを通って延在すると同時に前述の4つの行E内の複数の保持要素42を避けて延在する。やはりそれぞれの行E内の保持要素42を避けて延在する代替的な螺旋状切断経路P’、P”をもたらす、タイミングのわずかな許容差が存在し得ることが、当業者によって理解されるであろう。また、傾斜経路角度Hは、螺旋状切断経路Pが保持要素42のいずれとも交差しなければ、上述の許容差内でわずかに異なってもよい。
【0076】
図3に示されるように、第1の分離壁34は、ローラ軸Rに平行にまたは実質的に平行に延在し、第2の分離壁35は、螺旋状切断経路Pに平行にまたは実質的に平行に延在する。
【0077】
上述のタイヤ製造デバイス1、および特にその貼付機ユニット2を使用してストリップ9をドラム8に貼り付けるための方法が、
図4A~4Hを参照しながら以下に説明される。
【0078】
図4Aは、ストリップ9が供給機10により貼付機ユニット2に供給される状況を示す。切断刃50は、貼付機ローラ3の脇および/または上側の待機位置に後退されている。先端部LEは、方法の前のサイクル中にストリップ9の前の長さ(図示せず)を切り取ることによって作り出されている。あるいは、先端部LEは、方法の第1のサイクルの開始時に完全に新しいストリップ9の余分な長さを切り取ることによって作り出されてもよい。先端部LEは、第1のチャンバ31と第2のチャンバ32とに関連付けられた円周セクション上にわたされてまたは横たわって貼付機ローラ3上に位置決めされる。第1のチャンバ31および第2のチャンバ32は、吸引を通じて先端部LEと前述の先端部LEの上流のストリップ9の本体とを保持するために、すなわち前述の第1のチャンバ31および前述の第2のチャンバ32の位置に保持するために、部分真空の供給源に接続される。第3のチャンバ33は、ストリップ9によって覆われていない吸引開口部からの空気漏れを防ぐために、加圧されず、または「遊んで」いる。ドラム8は、空いており、ストリップ9の巻きを受け取れる状態にある。
【0079】
図4Bは、先端部LEをドラム8の円周表面上に貼り付けるために貼付機ユニット2がドラム8に向かって移動されている状況を示す。第1のチャンバ31および第2のチャンバ32は、部分真空下のままである。この例では、ステッチングローラ7は、同時にドラム8に向かって移動される。あるいは、ステッチングローラ7は、先端部LEが貼り付けられた後でドラム8に向かって移動され得る。
【0080】
図4Cは、第2のチャンバ32が部分真空の供給源から切り替えられるかまたは分離され、その代わりに圧縮空気の供給源に接続されている状況を示す。言い換えれば、第2のチャンバ32は、周囲圧力を上回る圧力で加圧される。第2のチャンバ32と連通している貼付機ローラ3のローラ体における吸引開口部は、今や先端部LEを効果的に吹き飛ばすことができ、それにより、前述の先端部LEが貼付機ローラ3からドラム8上に移送される。
【0081】
図4Dは、貼付機ローラ3のローラ体がストリップ9の先端部LEをドラム8に向かって貼付方向Aに前進および/または移送させるためにローラ軸Rの周りで角速度Vにおいて回転されている状況を示す。ドラム8は、ストリップ9が貼付機ローラ3によってドラム8上に移動されるにつれてストリップ9を受け取るために、回転される。先端部LEが貼付機ローラ3から離れるように移動されると、第2のチャンバ32は、第1のチャンバ31と一緒にストリップ体を前述のチャンバ31、32に関連付けられた円周セクションに沿って貼付機ローラ3に対して保持するために、部分真空の供給源に再度接続され得る。先端部LEは貼り付けられ移送されているので、貼付機ユニット2は、ステッチングローラ7の動作を妨げないように、今やドラム8から離れる方向に後退され得る。
【0082】
図4Dでは、切断刃50は、切断に備えて、貼付機ローラ3の円周表面に並んだおよび/または円周表面の高さにおける能動位置に移行され得ることに、留意されたい。
【0083】
図4Eは、ドラム8がストリップ9のいくつかのまたは複数の巻きを搭載するために、すなわちタイヤ構成要素(図示せず)の1つまたは複数の層を形成するために、さらに回転された状況を示す。貼付機ローラ3は、好ましくは同じまたは一定の角速度Vにより、同じ方向に回転し続ける。タイヤ構成要素がほとんど完成し、最後の巻きがドラム8に貼り付けられるべきときに、貼付機ローラ3およびカッタ5は、
図2に示されるような螺旋状切断経路に沿って上述の態様で移動するように、同時に制御される。切断の前に、方法は、ローラ軸Rの周りでのローラ体の角度位置を決定するステップと、螺旋状切断経路Pの交差位置Xを制御するために前述の相対変位のタイミングをとるステップと、をさらに備え得る。第1のチャンバ31および第2のチャンバ32は、切断中にストリップ9を貼付機ローラ3の円周表面に対して確実に保持するために、部分真空の供給源に接続されたままである。
【0084】
図4Fは、カッタ5が切断を完了し、切断刃50が貼付機ローラ3の円周表面から離れる方向に移動された状況を示す。この例では、切断刃50は、貼付機ローラ3から持ち上げられ、貼付機ローラ3の上方でその待機位置へ戻される。切断は、ストリップ9における新たな先端部LEと後端部TEとを生じさせた。後端部TEは、タイヤ構成要素を完成させるための最終的な巻きの一部としてドラム8上にまだ移送されていないストリップ9の切断長さの一部である。新たな先端部LEは、貼付機ローラ3において方法の次のサイクルへの準備ができている。第1のチャンバ31および第2のチャンバ32は、新たな先端部LEを保持するために、部分真空の供給源に接続されたままである。
【0085】
図4Gは、貼付機ローラ3が、ストリップ9の切断長さの後端部TEをドラム8に向かって供給するために、好ましくは同じまたは一定の角速度Vにおいて同じ方向にさらに回転された状況を示す。前述のさらなる回転の結果として、ストリップ9の新たな先端部LEは、第3のチャンバ33に関連付けられた貼付機ローラ3のローラ体の円周セクションの上にまたは円周セクションに沿って位置することになる。今や、第3のチャンバ33もまた、第3のチャンバ33の位置においてストリップ9の先端部LEを貼付機ローラ3に対して効率的に保持するために、部分真空の供給源に接続される。
【0086】
図4Hは、新たな先端部LEを吹き飛ばし位置Zに向かって、すなわち第2のチャンバ32に関連付けられた円周セクションの上にまたは円周セクションに沿って新たな先端部LEが配置される位置まで後退させるために、貼付機ローラ3のローラ体の回転が逆転された状況を示す。今や、第3のチャンバ33は、部分真空の供給源から再度分離され得る。ドラム8上での巻きは、完了している。したがって、ステッチングローラ7は、後退され得る。
【0087】
図4Hの状況は
図4Aの状況に一致することに、留意されたい。タイヤ構成要素がドラム8から取り外されると、方法の新たなサイクルが始まり得る。
【0088】
図4D、4E、および4Fに示されたステップ中、貼付機ローラ3のローラ体は、同じ方向におよび/または一定のもしくは実質的に一定の角速度Vで連続的に回転されてよく、それにより、貼付機ユニット2は、動作中にまたは「オンザフライで」ストリップ9を切断することが可能になる。これは、切断前、切断中、または切断後の前述の先端部LEおよび後端部TEの延伸または他の過度の変形を防ぐことができる。
【0089】
図6Aおよび6Bは、貼付機ユニット202が、切断刃軸Tに沿った軸方向における切断刃250の一方の側面にスクレーパ255をさらに備えるという点で、上述の貼付機ユニット2、102とは異なる、さらなる代替的な貼付機ユニット202を示す。スクレーパ255は、依然として粘着性を有し得るストリップ9が切断刃250の側面に粘着し、前述の切断刃250の回転中に切断刃250と一緒に引っ張られることを防ぐために、切断刃250に沿って位置決めされる。具体的には、スクレーパ255は、最初に形成される先端部LEの先端が切断刃250からかき落とされて貼付機ローラ3上に残るように、切断刃250が最初にストリップ9に食い込む切断刃250の側に位置決めされる。
図6Bで最も良く分かるように、スクレーパ255には、貼付機ローラ3に面する少なくとも部分的に円形のかき取りエッジ257を形成する、少なくとも部分的に円形のかき取り体256が設けられている。この例では、少なくとも部分的に円形のかき取りエッジ257は、先端部LEの先端が切断刃250に沿って上方に引っ張られる傾向がある位置を優先して、切断刃軸Tに対して偏心して延在する。
【0090】
図6Aに示されるように、スクレーパ255を可能な限り切断刃250の近くに位置決めするために、切断刃250は、
図2の両ベベルのまたはV形状の切断刃50とは対照的に、スクレーパ255と反対の側を向いた側面にベベルを有する、単ベベルタイプのものである。したがって、スクレーパ255は、可能な限り切断刃250の平坦な側面の近くに位置決めされ得る。
【0091】
上記の説明は、好ましい実施形態の作用を示すために挙げられたものであり、本発明の範囲を限定するようには意図されていないことが、理解されるべきである。上記の論述から、本発明の範囲にやがて含まれるであろう多くの変形が、当業者には明らかとなるであろう。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] ストリップをドラムに貼り付けるための貼付機ユニットであって、前記貼付機ユニットが、貼付機ローラとカッタとを備え、ここにおいて、前記貼付機ローラが、ローラ軸に垂直な貼付方向において前記ストリップを前記ドラムに貼り付けるために前記ローラ軸の周りで回転可能であるローラ体を備え、ここにおいて、前記貼付機ローラおよび前記カッタが、前記ローラ軸の周りの螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断するために協働するように構成される、貼付機ユニット。
[2] 前記貼付機ローラが、前記ローラ体にわたって分散された複数の保持要素を備える、[1]に記載の貼付機ユニット。
[3] 前記複数の保持要素が、あるパターンに従って前記ローラ体にわたって分散されている、[2]に記載の貼付機ユニット。
[4] 前記パターンが、前記ローラ軸に平行に延在し前記ローラ軸の周りで相互に円周方向に離間された複数の行を備える、[3]に記載の貼付機ユニット。
[5] 前記螺旋状切断経路が、前記複数の行のうちの2つ以上の行を通って延在すると同時に前記2つ以上の行内の前記複数の保持要素を避けて延在する、[4]に記載の貼付機ユニット。
[6] 前記螺旋状切断経路が、前記ローラ軸に垂直な中立面に対して傾斜経路角度で配置され、ここにおいて、前記傾斜経路角度が、前記ローラ体の少なくとも1つの円周セクションに沿った前記螺旋状切断経路が前記複数の保持要素の全ての保持要素を避けて延在するように選択される、[2]から[5]までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
[7] 前記傾斜経路角度が、10度から80度の間である、[6]に記載の貼付機ユニット。
[8] 前記複数の保持要素が、吸引開口部を備える、[2]から[7]までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
[9] 前記ローラ体が、環状であり、ここにおいて、前記貼付機ローラが、前記ローラ体内に同軸に配置される内側部材をさらに備え、ここにおいて、前記ローラ体が、前記内側部材の周りで回転可能であり、ここにおいて、前記内側部材が、前記ローラ体の第1の円周セクションおよび第2の円周セクションとそれぞれ空気連通するように前記ローラ軸の周りで円周方向に連続的に配置された第1のチャンバと第2のチャンバとを備える、[8]に記載の貼付機ユニット。
[10] 前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバが、第1の分離壁により前記円周方向において互いに分離され、ここにおいて、前記第1の分離壁が、前記ローラ軸に平行にまたは実質的に平行に延在する、[9]に記載の貼付機ユニット。
[11] 前記内側部材が、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバと一緒に前記円周方向に連続的に配置された第3のチャンバを備え、ここにおいて、前記第3のチャンバが、前記ローラ体の第3の円周セクションと空気連通するように配置される、[9]または[10]に記載の貼付機ユニット。
[12] 前記第2のチャンバおよび第3のチャンバが、第2の分離壁により前記円周方向において互いに分離され、ここにおいて、前記第2の分離壁が、前記螺旋状切断経路に平行にまたは実質的に平行に延在する、[11]に記載の貼付機ユニット。
[13] 前記第1のチャンバ、前記第2のチャンバ、および前記第3のチャンバが、圧縮空気または部分真空の供給源に個別に接続可能である、[11]または[12]に記載の貼付機ユニット。
[14] 前記第2のチャンバが、前記ストリップの先端部を前記ドラムに移送するための吹き飛ばし位置に対応する前記ローラ軸の周りの一定の角度位置に配置され、ここにおいて、前記第1のチャンバおよび前記第3のチャンバが、前記貼付方向に対して前記第2のチャンバの上流および下流にそれぞれ配置される、[11]から[13]までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
[15] 前記カッタが、切断刃を備える、[1]から[14]までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
[16] 前記切断刃が、前記ローラ軸に垂直な中立面に対して斜めの刃角度に配置される、[15]に記載の貼付機ユニット。
[17] 前記切断刃が、前記ローラ軸に垂直な中立面に対してある刃角度で配置され、ここにおいて、前記刃角度が、前記中立面に平行なまたは前記中立面内の調整軸の周りで調整可能である、[16]に記載の貼付機ユニット。
[18] 前記ローラ体を前記ローラ軸の周りで回転させるための回転駆動装置と、前記ローラ軸に平行な横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の相対変位を生じさせるための横方向駆動装置とを備える、[15]から[17]までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
[19] 前記横方向駆動装置が、前記切断刃を前記横方向において前記貼付機ローラを横切って変位させるように構成される、[18]に記載の貼付機ユニット。
[20] 前記ローラ軸の周りでの前記ローラ体の前記回転と、前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位とを制御するために、前記回転駆動装置と前記横方向駆動装置とに操作的に接続される制御ユニットをさらに備える、[18]または[19]に記載の貼付機ユニット。
[21] 前記制御ユニットが、前記切断刃が前記螺旋状切断経路に沿って移動するように、前記ローラ軸の周りでの前記ローラ体の前記回転と、前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位とを制御するように構成される、[20]に記載の貼付機ユニット。
[22] 前記貼付機ローラが、前記ローラ体にわたって分散された複数の保持要素を備え、ここにおいて、前記制御ユニットが、前記螺旋状切断経路に沿って移動する前記切断刃が前記複数の保持要素に対する所定の交差位置において最初に前記ローラ体と交わるように、前記ローラ軸の周りでの前記ローラ体の角度位置を決定するように、および前記ローラ体の前記角度位置に基づいて前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位のタイミングをとるように構成される、[20]または[21]に記載の貼付機ユニット。
[23] 前記所定の交差位置から始まる前記螺旋状切断経路が、前記複数の保持要素の全ての保持要素を外れて延在する、[22]に記載の貼付機ユニット。
[24] 前記制御ユニットが、前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位の前に前記ローラ体を回転させるように、および前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位中に前記ローラ体を回転させ続けるように構成される、[20]から[23]までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
[25] 前記制御ユニットが、前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位の前および前記相対変位中に前記ローラ体を一定の角速度において回転させるように構成される、[24]に記載の貼付機ユニット。
[26] 前記刃角度が、0度から10度の範囲内のオフセット角度にわたって前記螺旋状切断経路に対してオフセットされる、[15]から[25]までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
[27] 前記ストリップを前記切断刃からかき落とすために前記切断刃に並んで位置決めされたスクレーパをさらに備える、[15]から[26]までのいずれか一項に記載の貼付機ユニット。
[28] [1]から[27]までのいずれか一項に記載の貼付機ユニットを備えるタイヤ製造デバイスであって、前記ストリップの巻きを受け取るためのドラムをさらに備える、タイヤ製造デバイス。
[29] 前記ドラムが、ストリップ巻取りドラムである、[28]に記載のタイヤ製造デバイス。
[30] 前記貼付方向において前記貼付機ユニットの下流に配置された1つまたは複数のステッチングローラをさらに備える、[28]または[29]に記載のタイヤ製造デバイス。
[31] ローラ軸の周りで回転可能なローラ体を有する貼付機ローラを使用してストリップをドラムに貼り付けるための方法であって、
前記ローラ軸の周りの螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断するステップ
を備える、方法。
[32] 前記貼付機ローラが、前記ローラ体にわたって分散された複数の保持要素を備え、ここにおいて、前記螺旋状切断経路が、前記ローラ軸に垂直な中立面に対して傾斜経路角度で配置され、ここにおいて、前記傾斜経路角度が、前記ローラ体の少なくとも1つの円周セクションに沿った前記螺旋状切断経路が前記複数の保持要素の全ての保持要素を避けて延在するように選択される、[31]に記載の方法。
[33] 前記螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断する前記ステップの前に前記ローラ体を回転させるステップと、
前記螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断する前記ステップ中に前記ローラ体を回転させ続けるステップと、
をさらに備える、[31]または[32]に記載の方法。
[34] 前記螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断する前記ステップの前および前記ステップ中に一定の角速度において前記ローラ体を回転させるステップをさらに備える、[33]に記載の方法。
[35] [1]から[27]までのいずれか一項に記載の貼付機ユニットを使用してストリップをドラムに貼り付けるための方法であって、
前記螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断するステップ
を備える、方法。
[36] 前記カッタが、切断刃を備え、ここにおいて、前記方法が、前記切断刃が前記螺旋状切断経路に沿って移動するように、前記ローラ軸に平行な横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の相対変位を生じさせると同時に前記ローラ体が前記ローラ軸の周りで回転されるステップを備える、[35]に記載の方法。
[37] 前記切断刃を前記横方向において前記貼付機ローラを横切って変位させるステップを備える、[36]に記載の方法。
[38] 前記貼付機ローラが、前記ローラ体にわたって分散された複数の保持要素を備え、ここにおいて、前記方法が、
前記ローラ軸の周りでの前記ローラ体の角度位置を決定するステップと、
前記螺旋状切断経路に沿って移動する前記切断刃が前記複数の保持要素に対する所定の交差位置において最初に前記ローラ体と交わるように、前記ローラ体の前記角度位置に基づいて前記横方向における前記切断刃と前記貼付機ローラとの間の前記相対変位のタイミングをとるステップと、
をさらに備える、[36]または[37]に記載の方法。
[39] 前記所定の交差位置から始まる前記螺旋状切断経路が、前記複数の保持要素の全ての保持要素を外れて延在する、[38]に記載の方法。
[40] 前記ローラ体が、環状であり、ここにおいて、前記貼付機ローラが、前記ローラ体内に同軸に配置される内側部材をさらに備え、ここにおいて、前記内側部材が、前記ローラ体の第1の円周セクションおよび第2の円周セクションとそれぞれ空気連通するように前記ローラ軸の周りで円周方向に連続的に配置された第1のチャンバと第2のチャンバとを備え、ここにおいて、前記方法が、
前記ローラ体を前記内側部材の周りで回転させるステップ
を備える、[35]から[39]までのいずれか一項に記載の方法。
[41] 前記内側部材が、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバと一緒に前記円周方向に連続的に配置される第3のチャンバを備え、ここにおいて、前記第3のチャンバが、前記ローラ体の第3の円周セクションと空気連通するように配置され、ここにおいて、前記方法が、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとを圧縮空気または部分真空の供給源に個別に接続するステップ
をさらに備える、[40]に記載の方法。
[42] 前記第2のチャンバが、前記ストリップの先端部を前記ドラムに移送するための吹き飛ばし位置に対応する前記ローラ軸の周りの一定の角度位置に配置され、ここにおいて、前記第1のチャンバおよび前記第3のチャンバが、前記貼付方向に対して前記第2のチャンバの上流および下流にそれぞれ配置され、ここにおいて、前記方法が、
前記螺旋状切断経路に沿って前記貼付機ローラ上の前記ストリップを切断する前記ステップ中に前記ストリップを保持するために、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバのうちの少なくとも一方を部分真空の供給源に接続するステップと、
切断後に前記ストリップの前記先端部を保持するために、前記第3のチャンバを部分真空の供給源に接続するステップと、
前記先端部を吹き飛ばすために、前記第3のチャンバを前記部分真空の供給源から分離し、前記第2のチャンバを圧縮空気の供給源に接続するステップと、
をさらに備える、[41]に記載の方法。
[43] 前記先端部を吹き飛ばすために前記第3のチャンバを前記部分真空の供給源から分離し前記第2のチャンバを前記圧縮空気の供給源に接続する前記ステップの前に、前記ローラ体の前記回転を逆転させるステップをさらに備える、[42]に記載の方法。
【符号の説明】
【0092】
1 タイヤ製造デバイス
10 供給機
2 貼付機ユニット
20 ベース
21 回転駆動装置
22 横方向駆動装置
23 スピンドル
3 貼付機ローラ
30 内側部材
31 第1のチャンバ
32 第2のチャンバ
33 第3のチャンバ
34 第1の分離壁
35 第2の分離壁
40 ローラ体
41 円周表面
42 保持要素
5 カッタ
50 切断刃
51 ハウジング
52 ホルダ
53 レール
54 切断高さ調整部材
6 制御ユニット
7 ステッチングローラ
8 ドラム
9 ストリップ
102 代替的な貼付機ユニット
105 カッタ
151 ハウジング
152 ホルダ
202 さらなる代替的な貼付機ユニット
205 カッタ
250 切断刃
255 スクレーパ
256 かき取り体
257 かき取りエッジ
A 貼付方向
B 刃角度
C 円周方向
D ドラム軸
E 行
F 列
G 調整軸
H 傾斜経路角度
K オフセット
L 横方向
N 中立面
LE 先端部
TE 後端部
P 螺旋状切断経路
R ローラ軸
S1 第1の円周セクション
S2 第2の円周セクション
S3 第3の円周セクション
T 切断刃軸
X 交差位置
V 角速度
Z 吹き飛ばし位置