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特許7547482ブレーキ制御装置及びブレーキ制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ブレーキ制御装置及びブレーキ制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/20 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B60T17/20
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022535034
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2021024496
(87)【国際公開番号】W WO2022009728
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2020119363
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510063502
【氏名又は名称】ナブテスコオートモーティブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 基大
(72)【発明者】
【氏名】塚田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】北村 毅史
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-004345(JP,A)
【文献】特開2012-228954(JP,A)
【文献】特開平06-107137(JP,A)
【文献】特開2018-060450(JP,A)
【文献】特開2011-057134(JP,A)
【文献】特開2009-248942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を制動するブレーキ機構を制御して前記車両を制動して停止させるブレーキ制御装置であって、
前記車両の外部に設けられた車外操作部が操作された場合に前記車両を制動して停止させるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記ブレーキ機構を制御して前記車両を停止させる制御部とを備え
前記判断部は、前記車両の加速度が所定加速度以下であると前記判断部が判断した場合に、前記車両を制動して停止させると判断す
ブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記車外操作部は、前記車両の前面又は後面に設けられ、
前記判断部は、前記車両の進行方向寄りに位置しない前記車外操作部が操作されたと前記判断部が判断した場合に、前記車両を制動しないと判断する
請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記車外操作部は、前記車両の前面又は後面に設けられ、
前記車両の進行方向寄りに位置しない前記車外操作部の作動を停止させる作動部を備える
請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
車両を制動するブレーキ機構を制御して前記車両を制動して停止させるブレーキ制御装置であって、
前記車両の外部の前面に設けられた車外操作部が操作された場合に前記車両を制動して停止させるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記ブレーキ機構を制御して前記車両を停止させる制御部とを備え
前記判断部は、前記車両の進行方向寄りに位置しない前記車外操作部が操作されたと前記判断部が判断した場合に、前記車両を制動しないと判断す
ブレーキ制御装置。
【請求項5】
車両を制動するブレーキ機構を制御して前記車両を制動して停止させるブレーキ制御装置であって、
前記車両の外部の後面に設けられた車外操作部が操作された場合に前記車両を制動して停止させるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記ブレーキ機構を制御して前記車両を停止させる制御部とを備え
前記判断部は、前記車両の進行方向寄りに位置しない前記車外操作部が操作されたと前記判断部が判断した場合に、前記車両を制動しないと判断す
ブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記車外操作部は、前記車両の左側面又は右側面に設けられ、
前記判断部は、前記車両の操舵方向側に位置する前記車外操作部が操作されたと前記判断部が判断した場合に、前記車両を制動して停止させると判断する
請求項2,4,5のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
前記判断部は、前記車両の速度が所定速度以下であると前記判断部が判断した場合に、前記車両を制動して停止させると判断する
請求項1~6のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項8】
前記判断部は、前記車両の加速度が所定加速度以下であると前記判断部が判断した場合に、前記車両を制動して停止させると判断する
請求項4~7のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項9】
車両を制動するブレーキ機構を制御して前記車両を制動して停止させるブレーキ制御装置であって、
前記車両の外部の前面に設けられた車外操作部が操作された場合に前記車両を制動して停止させるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記ブレーキ機構を制御して前記車両を停止させる制御部と
前記車両の進行方向寄りに位置しない前記車外操作部の作動を停止させる作動部とを備える
ブレーキ制御装置。
【請求項10】
車両を制動するブレーキ機構を制御して前記車両を制動して停止させるブレーキ制御装置であって、
前記車両の外部の後面に設けられた車外操作部が操作された場合に前記車両を制動して停止させるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記ブレーキ機構を制御して前記車両を停止させる制御部と
前記車両の進行方向寄りに位置しない前記車外操作部の作動を停止させる作動部とを備える
ブレーキ制御装置。
【請求項11】
前記車外操作部は、前記車両の左側面又は右側面に設けられ、
前記作動部は、前記車両の操舵方向側に位置する前記車外操作部を作動させる
請求項3,9,10のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項12】
前記車外操作部の存在を示す表示部を前記車外操作部が有効であるときに表示させる作動部を備える
請求項1~11のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項13】
前記ブレーキ機構は、空気圧によって駆動する空気ブレーキであって、
前記制御部は、前記車両が停止するまで所望の減速度を達成するための目標ブレーキ圧力を維持して前記空気ブレーキを制御する
請求項1~12のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項14】
空気圧によって駆動して車両を制動する空気ブレーキを制御して前記車両を制動して停止させるブレーキ制御システムであって、
車両のエアタンクに接続する第1ポート、ブレーキ操作が行われた場合に空気圧信号を出力するブレーキバルブに接続する第2ポート、前記空気圧信号に基づき電磁弁が制御されることで車輪に制動力を加えるブレーキ機構に接続する第3ポートを有し、前記第2ポートから前記第3ポートに空気を供給する第1連通状態と、前記第1ポートから前記第3ポートに空気を供給する第2連通状態とを切り替える空気圧回路を備え、
前記車両の外部に設けられた車外操作部が操作された場合に前記車両を制動して停止させるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記空気圧回路の電磁弁を制御して前記車両を停止させる制御部とを備え
前記判断部は、前記車両の加速度が所定加速度以下であると前記判断部が判断した場合に、前記車両を制動して停止させると判断す
ブレーキ制御システム。
【請求項15】
空気圧によって駆動して車両を制動する空気ブレーキを制御して前記車両を制動して停止させるブレーキ制御システムであって、
車両のエアタンクに接続する第1ポート、ブレーキ操作が行われた場合に空気圧信号を出力するブレーキバルブに接続する第2ポート、前記空気圧信号に基づき電磁弁が制御されることで車輪に制動力を加えるブレーキ機構に接続する第3ポートを有し、前記第2ポートから前記第3ポートに空気を供給する第1連通状態と、前記第1ポートから前記第3ポートに空気を供給する第2連通状態とを切り替える空気圧回路を備え、
前記車両の外部の前面に設けられた車外操作部が操作された場合に前記車両を制動して停止させるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記空気圧回路の電磁弁を制御して前記車両を停止させる制御部とを備え
前記判断部は、前記車両の進行方向寄りに位置しない前記車外操作部が操作されたと前記判断部が判断した場合に、前記車両を制動しないと判断す
ブレーキ制御システム。
【請求項16】
空気圧によって駆動して車両を制動する空気ブレーキを制御して前記車両を制動して停止させるブレーキ制御システムであって、
車両のエアタンクに接続する第1ポート、ブレーキ操作が行われた場合に空気圧信号を出力するブレーキバルブに接続する第2ポート、前記空気圧信号に基づき電磁弁が制御されることで車輪に制動力を加えるブレーキ機構に接続する第3ポートを有し、前記第2ポートから前記第3ポートに空気を供給する第1連通状態と、前記第1ポートから前記第3ポートに空気を供給する第2連通状態とを切り替える空気圧回路を備え、
前記車両の外部の後面に設けられた車外操作部が操作された場合に前記車両を制動して停止させるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記空気圧回路の電磁弁を制御して前記車両を停止させる制御部とを備え
前記判断部は、前記車両の進行方向寄りに位置しない前記車外操作部が操作されたと前記判断部が判断した場合に、前記車両を制動しないと判断す
ブレーキ制御システム。
【請求項17】
空気圧によって駆動して車両を制動する空気ブレーキを制御して前記車両を制動して停止させるブレーキ制御システムであって、
車両のエアタンクに接続する第1ポート、ブレーキ操作が行われた場合に空気圧信号を出力するブレーキバルブに接続する第2ポート、前記空気圧信号に基づき電磁弁が制御されることで車輪に制動力を加えるブレーキ機構に接続する第3ポートを有し、前記第2ポートから前記第3ポートに空気を供給する第1連通状態と、前記第1ポートから前記第3ポートに空気を供給する第2連通状態とを切り替える空気圧回路を備え、
前記車両の外部の前面に設けられた車外操作部が操作された場合に前記車両を制動して停止させるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記空気圧回路の電磁弁を制御して前記車両を停止させる制御部と
前記車両の進行方向寄りに位置しない前記車外操作部の作動を停止させる作動部とを備える
ブレーキ制御システム。
【請求項18】
空気圧によって駆動して車両を制動する空気ブレーキを制御して前記車両を制動して停止させるブレーキ制御システムであって、
車両のエアタンクに接続する第1ポート、ブレーキ操作が行われた場合に空気圧信号を出力するブレーキバルブに接続する第2ポート、前記空気圧信号に基づき電磁弁が制御されることで車輪に制動力を加えるブレーキ機構に接続する第3ポートを有し、前記第2ポートから前記第3ポートに空気を供給する第1連通状態と、前記第1ポートから前記第3ポートに空気を供給する第2連通状態とを切り替える空気圧回路を備え、
前記車両の外部の後面に設けられた車外操作部が操作された場合に前記車両を制動して停止させるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記空気圧回路の電磁弁を制御して前記車両を停止させる制御部と
前記車両の進行方向寄りに位置しない前記車外操作部の作動を停止させる作動部とを備える
ブレーキ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置及びブレーキ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバー(運転者)の体調急変等により、運転中に急にドライバーが安全運転を継続できなくなった場合に、緊急措置としてドライバー又はドライバー以外の乗員の操作によりドライバーに代わって車両を停止させるドライバー異常時対応システム(EDSS:Emergency Driving Stop System)のガイドラインが策定されている(例えば、非特許文献1参照)。また、このガイドラインに沿って、各種のブレーキシステム等が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】ドライバー異常時対応システム(減速停止型)基本設計書、平成28年3月、国土交通省自動車局先進安全自動車推進検討会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライバー異常時対応システムにおいては、ドライバーが安全運転を継続できなくなったときに、ドライバー又はドライバー以外の乗員が操作することでしか、システムが車両を停止させることができない。つまり、ドライバーが安全運転を継続できなくなったとき、車両の外にいる人は、車両を避けることしかできず、車両を停止させることができない。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の外にいる人が車両を停止させるブレーキ制御装置及びブレーキ制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するブレーキ制御装置は、車両を制動するブレーキ機構を制御して前記車両を制動して停止させるブレーキ制御装置であって、前記車両の外部に設けられた車外操作部が操作された場合に前記車両を制動して停止させるか否かを判断する判断部と、前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記ブレーキ機構を制御して前記車両を停止させる制御部とを備える。
【0007】
上記構成によれば、車両の外にいる人によって車外操作部が操作された場合に、判断部が車両を制動させるか判断した上でブレーキ機構を制御して車両を停止させる。このため、車両を停止させる必要があるときに、車両の外にいる人が車両を停止させることができる。
【0008】
上記ブレーキ制御装置について、前記判断部は、前記車両の速度が所定速度以下である場合に、前記車両を制動して停止させると判断することが好ましい。
【0009】
上記ブレーキ制御装置について、前記判断部は、前記車両の加速度が所定加速度以下である場合に、前記車両を制動して停止させると判断することが好ましい。
【0010】
上記ブレーキ制御装置について、前記車外操作部は、前記車両の前面及び後面に少なくとも設けられ、前記判断部は、前記車両の進行方向寄りに位置しない前記車外操作部が操作された場合に、前記車両を制動しないと判断することが好ましい。
【0011】
上記ブレーキ制御装置について、前記車外操作部は、前記車両の左側面及び右側面の少なくとも一方に設けられ、前記判断部は、前記車両の操舵方向側に位置する前記車外操作部が操作された場合に、前記車両を制動して停止させると判断することが好ましい。
【0012】
上記ブレーキ制御装置について、前記車外操作部は、前記車両の前面及び後面に少なくとも設けられ、前記車両の進行方向寄りに位置しない前記車外操作部の作動を停止させる作動部を備えることが好ましい。
【0013】
上記ブレーキ制御装置について、前記車外操作部は、前記車両の左側面及び右側面の少なくとも一方にも設けられ、前記作動部は、前記車両の操舵方向側に位置する前記車外操作部を作動させることが好ましい。
【0014】
上記ブレーキ制御装置について、前記車外操作部の存在を示す表示部を前記車外操作部が有効であるときに表示させる作動部を備えることが好ましい。
【0015】
上記ブレーキ制御装置について、前記ブレーキ機構は、空気圧によって駆動する空気ブレーキであって、前記制御部は、前記車両が停止するまで所望の減速度を達成するための目標ブレーキ圧力を維持して前記空気ブレーキを制御することが好ましい。
【0016】
上記課題を解決するブレーキ制御装置は、空気圧によって駆動して車両を制動する空気ブレーキを制御して前記車両を停止させるブレーキ制御装置であって、前記車両の外部に設けられ、前記車両の進行方向寄りに位置する車外操作部が操作されたことと、前記車両の速度が所定速度以下及び加速度が所定加速度以下の少なくとも一方であることとが成立する場合に、前記車両を制動して停止させると判断する判断部と、前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記空気ブレーキを制御して前記車両を停止させる制御部とを備える。
【0017】
上記構成によれば、車両の外にいる人によって車外操作部が操作された場合に、判断部が車両の速度及び加速度の少なくとも一方や車両の進行方向に基づいて車両を制動させるか判断した上で空気ブレーキを制御して車両を停止させる。このため、車両を停止させる必要があるときに、車両の外にいる人が車両を停止させることができる。
【0018】
上記課題を解決するブレーキ制御システムは、空気圧によって駆動して車両を制動する空気ブレーキを制御して前記車両を制動して停止させるブレーキ制御システムであって、車両のエアタンクに接続する第1ポート、ブレーキ操作が行われた場合に空気圧信号を出力するブレーキバルブに接続する第2ポート、前記空気圧信号に基づき電磁弁が制御されることで車輪に制動力を加えるブレーキ機構に接続する第3ポートを有し、前記第2ポートから前記第3ポートに空気を供給する第1連通状態と、前記第1ポートから前記第3ポートに空気を供給する第2連通状態とを切り替える空気圧回路を備え、前記車両の外部に設けられた車外操作部が操作された場合に前記車両を制動して停止させるか否かを判断する判断部と、前記判断部が前記車両を停止させると判断したときに前記空気圧回路の電磁弁を制御して前記車両を停止させる制御部とを備える。
【0019】
上記構成によれば、車両の外にいる人によって車外操作部が操作された場合に、判断部が車両を制動させるか判断した上で空気ブレーキを制御して車両を停止させる。このため、車両を停止させる必要があるときに、車両の外にいる人が車両を停止させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、車両の外にいる人が車両を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ブレーキ制御システムの第1実施形態において、空気圧ブレーキシステムの全体構成を示す概略図。
図2】同実施形態のブレーキ制御システムの概略図。
図3】同実施形態の空気圧回路であって、ブレーキバルブとブレーキ機構とを連通する第1連通状態の回路図。
図4】同実施形態の空気圧回路であって、エアタンクとブレーキ機構とを連通する第2連通状態の回路図。
図5】同実施形態のブレーキ制御システムを備える車両に設置された車外操作部の位置を示す図であって、(a)は車両の前面を示す図、(b)は車両の左側面を示す図。
図6】同実施形態のブレーキ制御システムの異常時対応処理を示すフローチャート。
図7】同実施形態のブレーキ制御システムの異常時対応処理を示すフローチャート。
図8】同実施形態のブレーキ制御システムの解除処理を示すフローチャート。
図9】(a)~(f)は第2実施形態のブレーキ制御システムを備える車両に設置された車外検出部を示す平面図であって、走行方向及び操舵方向と車外操作部の作動との関係を示す図。
図10】同実施形態のブレーキ制御システムの異常時対応処理を示すフローチャート。
図11】第3実施形態のブレーキ制御システムの異常時対応処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、図1図8を参照して、ブレーキ制御装置及びブレーキ制御システムの第1実施形態について説明する。なお、ブレーキ制御システムは、ドライバー異常時対応システムであって、バスに搭載された空気圧ブレーキシステムに後付けされている。ブレーキ制御装置は、既存の制御装置にドライバー異常時対応システムに係る制御プログラムが追加されることで後付けされる。
【0023】
図1に示すように、車両10に搭載された空気圧ブレーキシステム11は、ブレーキ機構の命令系統を空気圧で制御するとともに空気圧駆動式のブレーキ機構を備えるフルエアブレーキのシステムである。空気圧ブレーキシステム11は、コンプレッサ(図示略)が生成した圧縮空気を貯留するエアタンク12を備えている。エアタンク12は、第1タンク12Aと、第2タンク12Bと、第3タンク12Cとを有している。例えば、第1タンク12Aは、車両10の前輪に制動力を加えるための圧縮空気を貯留するタンクである。第2タンク12Bは、後輪に制動力を加えるための圧縮空気を貯留するタンクである。また、第3タンク12Cは、その他の用途で用いられる圧縮空気を貯留するタンクである。第1タンク12A及び第2タンク12Bは、ブレーキバルブ13の前方圧力室13A及び後方圧力室13Bに接続されている。また、第1タンク12A及び第2タンク12Bは、プロテクションバルブ14Aを介してエアホーン装置14Bに接続されている。
【0024】
また、ブレーキバルブ13は、空気配管18を介して、リレーバルブ15に接続されている。ブレーキバルブ13のブレーキペダル13Cが運転者によって操作されると、ブレーキバルブ13からリレーバルブ15に空気圧信号が出力される。また、リレーバルブ15は図示しない空気配管によってエアタンク12に接続されている。リレーバルブ15がブレーキバルブ13から空気圧信号を受信すると、エアタンク12に貯留された多量の圧縮空気が、その空気配管を介してリレーバルブ15に供給される。リレーバルブ15に供給された多量の圧縮空気は、ABS(Anti-lock Brake System)コントロールバルブ16を介してブレーキチャンバー17に供給される。ブレーキチャンバー17は、空気が供給されることによって車輪に制動力を発生させる。ABSコントロールバルブ16及びブレーキチャンバー17は、空気圧駆動式のブレーキ機構を構成する。
【0025】
使用過程車両(既存車両)10の空気圧ブレーキシステム11に、運転者に異常が発生して運転者以外の乗員の操作により車両10を停止させるドライバー異常時対応システム(EDSS:Emergency Driving Stop System)を搭載する。ドライバー異常時対応システムでは、ブレーキバルブ13とリレーバルブ15とを接続する命令系統の空気配管18の途中に、圧力制御モジュール(PCM:Pressure Control Module)20を設ける。圧力制御モジュール20は、エアタンク12(第3タンク12C)に接続する第1ポートP1、ブレーキバルブ13に接続する第2ポートP2、リレーバルブ15を含むブレーキ機構に接続する第3ポートP3を有している。なお、圧力制御モジュール20は、ブレーキバルブ13とリレーバルブ15との間に設けられるので、空気圧駆動式以外のブレーキ機構を有する空気圧ブレーキシステム11にも取り付けが可能である。
【0026】
図2を参照して、圧力制御モジュール20の空気圧回路について詳細に説明する。圧力制御モジュール20は、空気圧回路22及びサブECU(電子制御装置:Electronic Control Unit)32を備えている。圧力制御モジュール20は、メインECU31とともに、ドライバー異常時対応システム50を構成する。
【0027】
メインECU31及びサブECU32は、演算部、通信インターフェース部、揮発性記憶部、不揮発性記憶部をそれぞれ備えている。演算部は、コンピュータプロセッサであって、不揮発性記憶部(記憶媒体)に記憶された制御プログラムにしたがって、空気圧ブレーキシステム11を制御する。演算部は、自身が実行する処理の少なくとも一部を、ASIC等の回路(circuitry)により実現してもよい。制御プログラムは、一つのコンピュータプロセッサによって実行されてもよいし、複数のコンピュータプロセッサによって実行されてもよい。また、メインECU31及びサブECU32は、CAN(Controller Area Network)33等の車載ネットワークに接続され、互いに各種情報を送受信する。
【0028】
メインECU31は、操作スイッチ51がオン操作された場合に、操作スイッチ51から送信され、車両10を緊急停止させる停止信号を受信する。メインECU31は、解除スイッチ52がオン操作された場合に、解除スイッチ52から送信される解除信号を受信する。操作スイッチ51及び解除スイッチ52は、ドライバーの操作が想定されたスイッチであって、運転席近傍に設けられている。操作スイッチ51及び解除スイッチ52は、押しボタンスイッチである。操作スイッチ51がオン操作された場合には、ドライバー異常時対応システム50が作動する。解除スイッチ52は、ドライバー異常時対応システム50が誤って作動された場合に、その動作を停止するためのスイッチである。メインECU31は、操作スイッチ51がオン操作された場合に、空気圧ブレーキシステム11を制御して本制動を行う。本制動とは、車両10を緩制動よりも絶対値が大きい減速度で減速させ、最終的に停止させるための制動である。緩制動とは、減速度の絶対値が比較的小さい制動、又はブレーキのかかる時間が短い制動であって、操作スイッチ51がオン操作された直後に解除スイッチ52の操作が行われた場合に通常の走行に戻ることを可能とする制動である。
【0029】
メインECU31は、客席操作スイッチ53がオン操作された場合に、客席操作スイッチ53から送信される停止信号を受信する。客席操作スイッチ53は、ドライバー以外の乗員の操作が想定されたスイッチである。客席操作スイッチ53は、運転席以外の位置であって、ドライバー以外の乗員であっても操作可能な位置に複数設けられている。客席操作スイッチ53は、押しボタンスイッチである。メインECU31は、客席操作スイッチ53がオン操作された場合に、空気圧ブレーキシステム11を制御して緩制動を行う。なお、操作スイッチ51及び客席操作スイッチ53によるドライバー異常時対応は、高速道路等の高速での走行から一般道を含む低速での走行までを想定している。
【0030】
また、メインECU31は、車両10の外部に設けられた前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の少なくとも一つがオン操作された場合に、それらのスイッチから送信される操作信号を受信する。前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74は、車外の人の操作が想定された車外操作部であって、車外の人が操作可能な位置に設けられている。前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74は、押しボタンスイッチである。
【0031】
図5(a)及び図5(b)に示すように、前側車外操作スイッチ71は、車両10の前面中央下部に設けられている。後側車外操作スイッチ72は、車両10の後面中央下部に設けられている。左側車外操作スイッチ73及び右側車外操作スイッチ74は、車両10の各側面中央下部に設けられている。
【0032】
図2に示すように、メインECU31は、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の検出に基づいて車両10を制動して停止させるか否かを判断する判断部31Aを備える。メインECU31は、判断部31Aが車両10を停止させると判断したときに空気圧ブレーキシステム11を制御して車両10を停止させる制御部31Bを備える。判断部31Aは、CAN33を介して速度センサ55から速度情報を取得し、速度情報から加速度を取得する。判断部31Aは、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の検出に加え、車両10の速度が所定速度(例えば、30km/h)以下であること及び車両10の加速度が所定加速度以下であることを条件に車両10を制動して停止させる。なお、記憶部31Cには、所定速度及び所定加速度が記憶されている。前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74によるドライバー異常時対応は、低速での走行中や走り出したときを想定している。
【0033】
前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、右側車外操作スイッチ74には、車外操作スイッチを案内する前側表示部71A、後側表示部72A、左側表示部73A、右側表示部74Aがそれぞれ設けられている。前側表示部71A、後側表示部72A、左側表示部73A、及び右側表示部74Aは、車外表示部であって操作が有効であるときに点灯することで車外操作スイッチの存在を示す。前側表示部71A、後側表示部72A、左側表示部73A、及び右側表示部74Aは、LEDである。メインECU31は、前側表示部71A、後側表示部72A、左側表示部73A、及び右側表示部74Aを作動させる作動部31Dを備える。作動部31Dは、車両10の速度が所定速度以下及び車両10の加速度が所定加速度以下であるときに、前側表示部71A、後側表示部72A、左側表示部73A、右側表示部74Aを点灯させる。
【0034】
メインECU31は、ドライバー異常時対応システム50が作動を開始する場合に、車両10の現在の走行速度から得られる減速度を目標値である目標減速度に近づけるように空気圧ブレーキシステム11の目標ブレーキ圧力をサブECU32に指示する。この目標減速度は、メインECU31の記憶部31Cに記憶されたデータを更新することによって変更することができる。例えば、車両10が乗合バスである場合には、車内で立つ乗客が存在することが想定されるため、目標減速度の絶対値を小さくする。また、車両10が、乗客全員が着座する高速バスである場合には、乗合バスに比べ、目標減速度の絶対値を大きくしてもよい。また、車両10の重量や車長に応じて、目標減速度を変更することも可能である。
【0035】
さらに、メインECU31は、ドライバー異常時対応システム50が作動した場合に、車室内装置56及び車室外装置57に指示信号を出力する。車室内装置56は、例えば、アクセルペダルの操作を不能にするアクセルインターロック機構である。メインECU31は、異常が発生した場合にはアクセルインターロック機構を作動させる。他にも、車室内装置56として、車室内に設けられた報知ブザー、車室内に設けられた報知ランプ等を設けてもよい。例えば、メインECU31は、異常が発生した場合には、報知ブザーから音を出力させ、報知ランプを点灯又は点滅させる。車室外装置57は、例えば、エアホーン装置14B、ハザードランプ、ブレーキランプ等である。例えば、メインECU31は、異常が発生した場合には、図1に示すプロテクションバルブ14A等を駆動して、エアホーン装置14Bに空気を供給して警告音を発生させるとともに、ハザードランプ及びブレーキランプを点灯又は点滅させる。
【0036】
サブECU32は、圧力制御モジュール20内に収容され、圧力制御モジュール20の各種バルブを制御する。圧力制御モジュール20は、エアタンク12に接続する第1供給路23を有している。第1供給路23は、前方の車輪に設けられたブレーキチャンバー17にリレーバルブ15を介して接続する前方空気供給路37と、後方の車輪に設けられたブレーキチャンバー17に接続する後方空気供給路38とに接続されている。
【0037】
第1供給路23の途中には、リレーバルブ25が接続されている。リレーバルブ25は、排出口25Aを有し、排出口25Aは、サイレンサを有する排出部58に接続されている。また、リレーバルブ25は、パイロットポート25Bを有する。パイロットポート25Bは、第1供給路23から分岐する分岐路26に接続されている。分岐路26からパイロットポート25Bに印加される空気圧が大気圧等の所定圧の場合には、付勢ばね等の付勢力により、第1供給路23が遮断された排気状態となる。リレーバルブ25が排気状態となると、エアタンク12から前方空気供給路37及び後方空気供給路38への空気の流れが遮断される。また、リレーバルブ25が排気状態となると、第1供給路23のうちリレーバルブ25の下流側と排出部58とが連通されて、第1供給路23のうちリレーバルブ25の下流側の圧縮空気が排出され、大気圧等の所定圧になる。
【0038】
一方、分岐路26からパイロットポート25Bに印加される空気圧が大気圧等の所定圧よりも大きい駆動圧力に達している場合には、リレーバルブ25は、付勢ばね等の付勢力に抗して、第1供給路23を連通する供給状態となる。リレーバルブ25が供給状態となると、エアタンク12から前方空気供給路37及び後方空気供給路38への空気が供給される。リレーバルブ25が供給状態となると、第1供給路23と前方空気供給路37及び後方空気供給路38とが連通される。また、リレーバルブ25は、出口側(二次側)の圧力が過度に高くなると、第1供給路23の連通状態を遮断して排気状態となる。
【0039】
分岐路26は、一方の端部が第1供給路23に接続され、他方の端部が排出部58に接続されている。この分岐路26の途中には、吸気用バルブ27及び排気用バルブ28が設けられている。吸気用バルブ27及び排気用バルブ28は電磁弁であり、サブECU32によって駆動される。吸気用バルブ27は、分岐路26のうち排気用バルブ28よりも上流寄り(エアタンク12寄り)に設けられている。吸気用バルブ27は、サブECU32から配線27Aを介しての電源の入り切り(駆動/非駆動)で動作が切り換わる。吸気用バルブ27は、電源が切られた非駆動の状態で分岐路26を閉じる閉位置となる。また、吸気用バルブ27は、電源が入れられた駆動の状態で分岐路26を開く開位置となる。
【0040】
排気用バルブ28は、サブECU32から配線28Aを介しての電源の入り切り(駆動/非駆動)で動作が切り換わる電磁弁である。排気用バルブ28は、電源が切られた非駆動の状態で分岐路26を連通する開位置となる。また、排気用バルブ28は、電源が入れられた駆動の状態で分岐路26を閉塞する閉位置となる。つまり、排気用バルブ28は、吸気用バルブ27が非駆動の状態で閉位置になると吸気用バルブ27よりも下流及び信号供給路29を大気開放する。また、排気用バルブ28は、駆動状態で分岐路26のうち吸気用バルブ27の上流側及び第1供給路23のうちリレーバルブ25の上流側を大気圧とする。
【0041】
また、分岐路26のうち、吸気用バルブ27及び排気用バルブ28の途中には、リレーバルブ25に空気圧信号を供給する信号供給路29と、第1圧力センサ35とが接続されている。第1圧力センサ35は、分岐路26のうち吸気用バルブ27及び排気用バルブ28の間の圧力を検知して、サブECU32に出力する。
【0042】
また、第1供給路23は、第3供給路30に接続されている。第3供給路30は、1対のダブルチェックバルブ36に接続されている。一方のダブルチェックバルブ36Aは、第3供給路30と、ブレーキバルブ13の前方圧力室13Aに接続する前方信号供給路24Aと、前方の車輪に制動力を発生させるための前方空気供給路37とに接続されている。このダブルチェックバルブ36Aは、第3供給路30及び前方信号供給路24Aのうち圧力が高い方からの圧縮空気の供給を許容し、低い方からの圧縮空気の供給を遮断する。前方空気供給路37には、第2圧力センサ39が接続されている。第2圧力センサ39は、検知した圧力をサブECU32に出力する。
【0043】
他方のダブルチェックバルブ36Bは、第3供給路30と、ブレーキバルブ13の後方圧力室13Bに接続する後方信号供給路24Bと、後方の車輪に制動力を加える後方空気供給路38とに接続されている。このダブルチェックバルブ36Bは、第3供給路30及び後方信号供給路24Bのうち圧力が高い方からの圧縮空気の供給を許容し、低い方からの圧縮空気の供給を遮断する。
【0044】
次に図3及び図4を参照して、圧力制御モジュール20の動作について説明する。図3は、操作スイッチ51、客席操作スイッチ53、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74がオン操作されていない場合の空気圧回路22を示す。
【0045】
図3に示すように、操作スイッチ51、客席操作スイッチ53、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74がオン操作されていない場合、サブECU32は、吸気用バルブ27及び排気用バルブ28を非駆動とする。この場合、吸気用バルブ27は閉位置となり、排気用バルブ28は開位置となる。これにより、分岐路26のうち、吸気用バルブ27よりも下流は、排気用バルブ28が開位置となることにより大気圧等の所定圧となる。このため、パイロットポート25Bに加わる空気圧も所定圧となることから、リレーバルブ25が排気状態になる。リレーバルブ25が排気状態となると、第3供給路30及び第1供給路23のうちリレーバルブ25よりも下流の圧縮空気が排出部58から排出され、第3供給路30が所定圧となる。さらにブレーキペダル13Cに対し踏み込み操作等がなされると、前方信号供給路24A及び後方信号供給路24Bに空気圧信号が供給される。これにより、第3供給路30よりも前方信号供給路24A及び後方信号供給路24Bの圧力が高くなるため、ダブルチェックバルブ36A,36Bは、第3供給路30から前方空気供給路37及び後方空気供給路38への空気の流れをそれぞれ遮断する。そして、前方信号供給路24A及び後方信号供給路24Bから前方空気供給路37及び後方空気供給路38に空気圧信号を供給する。その結果、リレーバルブ15に空気圧信号が供給されることによって、エアタンク12からリレーバルブ15に多量の圧縮空気が供給される。リレーバルブ15がブレーキチャンバー17に圧縮空気を供給すると、車輪に制動力が加わる。なお、前方信号供給路24A及び後方信号供給路24Bを含む空気圧回路がブレーキ制御回路に対応する。
【0046】
図4は、操作スイッチ51、客席操作スイッチ53、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の少なくとも一つがオン操作された場合の空気圧回路22を示す。操作スイッチ51、客席操作スイッチ53、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の少なくとも一つがオン操作された場合、サブECU32は、メインECU31から送信された圧力指示を受信する。サブECU32は、圧力指示に基づいて、吸気用バルブ27及び排気用バルブ28を駆動する。これにより、吸気用バルブ27は開位置、排気用バルブ28は閉位置となる。エアタンク12の圧縮空気は、第1供給路23を介して、吸気用バルブ27と排気用バルブ28との間の分岐路26に供給される。吸気用バルブ27と排気用バルブ28との間の分岐路26の圧力が駆動圧力に到達すると、この圧力がパイロットポート25Bを介してリレーバルブ25に加わることにより、リレーバルブ25は供給状態になる。これにより、第1供給路23、リレーバルブ25を介して第3供給路30に圧縮空気が供給される。
【0047】
第3供給路30に圧縮空気が供給されると、第3供給路30の圧力が、前方信号供給路24A及び後方信号供給路24Bよりも高くなる。このため、ダブルチェックバルブ36は、第3供給路30から、前方空気供給路37及び後方空気供給路38への空気の流れを許容し、前方信号供給路24A及び後方信号供給路24Bから前方空気供給路37及び後方空気供給路38への空気の流れを遮断する。なお、吸気用バルブ27、排気用バルブ28、及びリレーバルブ25を接続する流路(第1供給路23、分岐路26等)、第3供給路30を含む空気圧回路が、異常時ブレーキ制御回路に対応する。
【0048】
このように、ブレーキバルブ13とリレーバルブ15との間に圧力制御モジュール20を設けることにより、操作スイッチ51、客席操作スイッチ53、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の少なくとも一つがオン操作された場合には、空気圧駆動式の命令系統が、ブレーキバルブ13を介する系統から、エアタンク12から直接的に空気が供給される系統に切り替わる。このため、ブレーキバルブ13からの空気圧信号を受信しなくても、ブレーキチャンバー17を動作させてブレーキ力を発生させることができる。
【0049】
また、サブECU32は、第1圧力センサ35及び第2圧力センサ39から所定のタイミングで検知圧力を取得する。例えば、サブECU32は、リレーバルブ25を供給状態に維持する場合には、第1圧力センサ35が検知した圧力が所定範囲となるように、吸気用バルブ27及び排気用バルブ28を駆動又は非駆動にする。また、メインECU31が、車両10を緩やかに停止させるため段階的に圧力を上昇させるようにサブECU32に対して圧力指示を送信する場合には、サブECU32は、第2圧力センサ39が検知した圧力が第1圧力閾値に到達したか否かを判断する。サブECU32が、検知圧力が第1圧力閾値に到達していないと判断した場合には、吸気用バルブ27及び排気用バルブ28を駆動してリレーバルブ25を供給状態に維持する。一方、サブECU32は、第2圧力センサ39が検知した圧力が第1圧力閾値に到達した場合には、吸気用バルブ27及び排気用バルブ28を非駆動にしてリレーバルブ25を遮断状態とする。そして、メインECU31からの次の圧力指示を待機する。
【0050】
次に、図6~8を参照して、メインECU31が行う異常時対応の処理の手順について説明する。図6に示す処理は、空気系統を制御する処理であって、操作スイッチ51又は客席操作スイッチ53が操作され、メインECU31がそれらのスイッチから送信された停止信号を受信することを契機に開始されるものとする。また、メインECU31は、所定のタイミングで速度センサ55から速度情報を取得していることを前提とする。
【0051】
図6に示すように、メインECU31は、停止信号を受信すると、客席操作スイッチ53が操作されたか否かを判定する(ステップS11)。すなわち、メインECU31は、受信した停止信号が、操作スイッチ51からの信号であるか又は客席操作スイッチ53からの信号であるかを判定する。そして、メインECU31は、操作スイッチ51が操作されたと判定すると(ステップS11:NO)、ステップS14に移行する。
【0052】
一方、メインECU31は、客席操作スイッチ53が操作されたと判定すると(ステップS11:YES)、緩制動に必要な目標ブレーキ圧力をサブECU32に指示する(ステップS12)。メインECU31は、自身の記憶部31Cに記憶された緩制動のための目標減速度を達成するための目標ブレーキ圧力をサブECU32に送信する。サブECU32は、目標ブレーキ圧力の指示に基づき、上述したように吸気用バルブ27及び排気用バルブ28を駆動する(図4参照)。
【0053】
メインECU31は、サブECU32に目標ブレーキ圧力を送信した時点、車両10が減速を開始した時点又はサブECU32から所定の応答信号を受信した時点から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS13)。この所定時間は、ドライバーが正常な状態であるにもかかわらず、客席操作スイッチ53が誤操作された場合に、ドライバーが解除スイッチ52を操作するために要する時間である。メインECU31は、所定時間が経過していない場合(ステップS13:NO)、目標ブレーキ圧力をサブECU32に指示しながら緩制動を継続する(ステップS12)。
【0054】
一方、メインECU31は、所定時間が経過したと判定すると(ステップS13:YES)、本制動に必要な圧力をサブECU32に指示する(ステップS14)。メインECU31は、自身の記憶部31Cに記憶された本制動のための目標減速度を達成するための目標ブレーキ圧力をサブECU32に送信する。制御部31Bは、車両10が停止するまで目標ブレーキ圧力を維持する。サブECU32は、メインECU31からの目標ブレーキ圧力の指示に基づき、吸気用バルブ27及び排気用バルブ28を駆動する(図4参照)。
【0055】
メインECU31は、本制動を実行すると、異常時対応が終了したか否かを判定する(ステップS15)。異常時対応は、車両10が停止しパーキングブレーキが作動した場合等に終了したと判定してもよいし、イグニッションスイッチがオフされた場合に終了したと判定してもよいし、その他のタイミングで終了したと判定してもよい。メインECU31は、異常時対応が終了していないと判定すると(ステップS15:NO)、目標ブレーキ圧力をサブECU32に指示しながら本制動を継続する(ステップS14)。メインECU31は、異常時対応が終了したと判定すると(ステップS15:YES)、異常時対応の処理を終了する。
【0056】
また、メインECU31は、空気系統の異常時対応とは別に、本制動を実行開始するタイミング等の所定のタイミングで、車室内装置56及び車室外装置57を作動させる。これにより、車両10の乗員に異常が発生したことを報知するとともに、車両10の周辺を走行する他車両にも注意喚起を促すことができる。
【0057】
次に、図7を参照して、メインECU31が行う異常時対応の処理の手順について説明する。図7に示す処理は、空気系統を制御する処理であって、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の少なくとも一つが操作され、メインECU31がそれらのスイッチから送信された停止信号を受信することを契機に開始されるものとする。また、メインECU31は、所定のタイミングで速度センサ55から速度情報を取得していることを前提とする。なお、前側表示部71A、後側表示部72A、左側表示部73A、右側表示部74Aは、車両10の速度が所定速度以下及び車両10の加速度が所定加速度以下であるときに点灯して、車外操作スイッチの存在を表示している。例えば、赤信号の交差点で停止しているときにまだ赤信号にもかかわらず車両10が動き出したときや、横断歩道で停止しているときに横断歩道をまだ人が歩いているにもかかわらず車両10が動き出したときに、車両10の外にいる人が前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74のいずれかを操作する。この場合、車両10が停止状態からの動き出しなので、車両10の速度が所定速度以下及び車両10の加速度が所定加速度以下であるため、前側表示部71A、後側表示部72A、左側表示部73A、右側表示部74Aは点灯している。
【0058】
図7に示すように、メインECU31は、停止信号を受信すると、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72停止信号が、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74からの信号であるか否かを判定する。そして、メインECU31は、操作スイッチ51又は客席操作スイッチ53が操作されたと判定すると(ステップS21:NO)、ステップS21に移行して、車外操作スイッチの操作があるまで待機する。なお、メインECU31は、図6のステップS11以降によって処理を行う。
【0059】
一方、メインECU31は、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の少なくとも一つが操作されたと判定すると(ステップS21:YES)、車両10の速度が所定速度以下であるか否かを判定する(ステップS22)。すなわち、判断部31Aは、車両10が所定速度以下の低速域で走行しているか否かを判定する。そして、判断部31Aは、車両10の速度が所定速度よりも高いと判定した場合には(ステップS22:NO)、ステップS21に移行して、車外操作スイッチの操作があるまで待機する。
【0060】
一方、判断部31Aは、車両10の速度が所定速度以下であると判定した場合には(ステップS22:YES)、車両10の加速度が所定加速度以下であるか否かを判定する(ステップS23)。すなわち、判断部31Aは、車両10を制動したときの衝撃がある程度に抑えられる所定加速度以下の走行状態であるか否かを判定する。そして、判断部31Aは、車両10の加速度が所定加速度よりも高いと判定した場合には(ステップS23:NO)、ステップS21に移行して、車外操作スイッチの操作があるまで待機する。
【0061】
一方、判断部31Aは、車両10の加速度が所定加速度以下であると判定した場合には(ステップS23:YES)、制動に必要な目標ブレーキ圧力をサブECU32に指示する(ステップS24)。メインECU31は、車両10の現在の走行速度から得られる減速度を目標減速度に近づけるように、自身の記憶部31Cに記憶された制動のための目標減速度を達成するための目標ブレーキ圧力をサブECU32に送信する。制御部31Bは、車両10が停止するまで目標ブレーキ圧力を維持する。サブECU32は、目標ブレーキ圧力の指示に基づき、上述したように吸気用バルブ27及び排気用バルブ28を駆動する(図4参照)。
【0062】
続いて、メインECU31は、異常時対応が終了したか否かを判定する(ステップS25)。判断部31Aは、車両10が停止しパーキングブレーキが作動した場合等に異常時対応が終了したと判定してもよいし、イグニッションスイッチがオフされた場合に異常時対応が終了したと判定してもよいし、その他のタイミングで異常時対応が終了したと判定してもよい。メインECU31は、異常時対応が終了していないと判定すると(ステップS25:NO)、目標ブレーキ圧力をサブECU32に指示しながら制動を継続する(ステップS24)。メインECU31は、異常時対応が終了したと判定すると(ステップS25:YES)、異常時対応の処理を終了する。
【0063】
また、メインECU31は、空気系統の異常時対応とは別に、制動を実行開始するタイミング等の所定のタイミングで、車室内装置56及び車室外装置57を作動させる。これにより、車両10の乗員に異常が発生したことを報知するとともに、車両10の周辺を走行する他車両にも注意喚起を促すことができる。
【0064】
次に、図8にしたがって、解除スイッチ52が操作された場合の解除処理の手順について説明する。図8に示す処理は、操作スイッチ51、客席操作スイッチ53、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の少なくとも一つが操作され、メインECU31がその停止信号を受信することを契機に開始されるものとする。
【0065】
図8に示すように、メインECU31は、解除スイッチ52が操作されたか否かを判定する(ステップS31)。すなわち、メインECU31は、解除スイッチ52から解除信号を受信したか否かを判定する。そして、メインECU31は、解除スイッチ52から解除信号を受信していないと判定すると(ステップS31:NO)、ステップS33に移行する。
【0066】
一方、メインECU31は、解除スイッチ52から解除信号を受信したと判定すると(ステップS31:YES)、サブECU32に制動の解除指示を送信する(ステップS32)。解除指示を受信したサブECU32は、吸気用バルブ27及び排気用バルブ28を非駆動として、エアタンク12からブレーキチャンバー17側への空気の供給を遮断する。
【0067】
続いて、メインECU31は、異常時対応が終了したか否かを判定する(ステップS33)。メインECU31は、異常時対応が終了していないと判定すると(ステップS33:YES)、ステップS31に移行する。一方、メインECU31は、異常時対応が終了したと判定すると(ステップS33:YES)、解除処理を終了する。
【0068】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
【0069】
(1)車両10の外にいる人によって前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74が操作された場合に、判断部31Aが車両10を制動させるか判断した上で空気圧ブレーキシステム11を制御して車両10を停止させる。このため、例えば、赤信号の交差点で停止しているときにまだ赤信号にもかかわらず車両10が動き出したときや、横断歩道で停止しているときに横断歩道をまだ人が歩いているにもかかわらず車両10が動き出したときに、車両10の外にいる人が前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74のいずれかを操作することで車両10を停止させることができる。
【0070】
(2)車両10の速度が所定速度以下であるときに車両10を制動することで、車両10が所定速度よりも高い速度で走行中に車両10の外にいる人によって制動が行われることを抑制することができる。このため、いたずら等で前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74が操作されたときに除外することができる。
【0071】
(3)車両10の加速度が所定加速度以下で車両10の外にいる人によって制動が行われることを抑制することができる。このため、急な制動で乗員が転倒することを抑制することができる。
【0072】
(4)有効である前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の存在が前側表示部71A、後側表示部72A、左側表示部73A、右側表示部74Aによって示される。このため、有効な車外操作スイッチを車外の人が認識して操作することができる。
【0073】
(5)車両10が停止するまで空気圧ブレーキシステム11を目標ブレーキ圧力に維持することで前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74が操作されたときに車両10を確実に停止させることができる。
【0074】
(第2実施形態)
以下、図2図9(a)~図10を参照して、ブレーキ制御装置及びブレーキ制御システムの第2実施形態について説明する。この実施形態のブレーキ制御システムは、車両の進行方向に応じて判断部が判断する点が、上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0075】
図2に示すように、メインECU31は、CAN33を介して変速機のシフト装置61からシフト情報を取得するとともに、操舵装置62から操舵情報として舵角を取得する。判断部31Aは、シフト情報から、車両10が前進であるか後退であるかの走行方向を判断する。また、判断部31Aは、舵角から、車両10の操舵方向を判断する。判断部31Aは、所定右側舵角以上に右側に操舵されているときに右に操舵と判断し、所定左側舵角以上に左側に操舵されているときに左に操舵と判断する。そして、判断部31Aは、車両10の走行方向と操舵方向とに基づいて、車両10の進行方向を判断する。
【0076】
判断部31Aは、車両10の進行方向寄りに位置する前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74が操作された場合に、車両10を制動して停止させると判断する。すなわち、車両10の進行方向寄りの車外にいる人、言い換えれば、車両10が向かってくる危険に遭遇している人が操作した車外操作スイッチの検出結果のみを採用することができる。言い換えれば、判断部31Aは、車両10の進行方向寄りに位置しない前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74が操作された場合に、車両10を制動しないと判断する。このようにすれば、車両10の進行方向寄りに位置しない車外操作スイッチの操作を除くことができ、いたずらや誤操作による制動を防止することができる。
【0077】
図9(a)に示すように、判断部31Aは、車両10の走行方向が前進であって操舵がないときには、車両10の前方に位置する前側車外操作スイッチ71の前側表示部71Aを点灯させる。このとき、判断部31Aは、前側車外操作スイッチ71の検出結果のみに基づいて判断する。
【0078】
図9(b)に示すように、判断部31Aは、車両10の走行方向が後退であって操舵がないときには、車両10の後方に位置する後側車外操作スイッチ72の後側表示部72Aを点灯させる。このとき、判断部31Aは、後側車外操作スイッチ72の検出結果のみに基づいて判断する。
【0079】
図9(c)に示すように、判断部31Aは、車両10の走行方向が前進であって操舵方向が左であるときには、車両10の前方及び左側に位置する前側車外操作スイッチ71の前側表示部71A及び左側車外操作スイッチ73の左側表示部73Aを点灯させる。このとき、判断部31Aは、前側車外操作スイッチ71及び左側車外操作スイッチ73の検出結果のみに基づいて判断する。
【0080】
図9(d)に示すように、判断部31Aは、車両10の走行方向が後退であって操舵方向が左であるときには、車両10の後方及び左側に位置する後側車外操作スイッチ72の後側表示部72A及び左側車外操作スイッチ73の左側表示部73Aを点灯させる。このとき、判断部31Aは、後側車外操作スイッチ72及び左側車外操作スイッチ73の検出結果のみに基づいて判断する。
【0081】
図9(e)に示すように、判断部31Aは、車両10の走行方向が前進であって操舵方向が右であるときには、車両10の前方及び右側に位置する前側車外操作スイッチ71の前側表示部71A及び右側車外操作スイッチ74の右側表示部74Aを点灯させる。このとき、判断部31Aは、前側車外操作スイッチ71及び右側車外操作スイッチ74の検出結果のみに基づいて判断する。
【0082】
図9(f)に示すように、判断部31Aは、車両10の走行方向が後退であって操舵方向が右であるときには、車両10の後方及び右側に位置する後側車外操作スイッチ72の後側表示部72A及び右側車外操作スイッチ74の右側表示部74Aを点灯させる。このとき、判断部31Aは、後側車外操作スイッチ72及び右側車外操作スイッチ74の検出結果のみに基づいて判断する。
【0083】
次に、図10を参照して、メインECU31が行う異常時対応の処理の手順について説明する。図10に示す処理は、空気系統を制御する処理であって、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の少なくとも一つが操作され、メインECU31がそれらのスイッチから送信された停止信号を受信することを契機に開始されるものとする。また、メインECU31は、所定のタイミングで速度センサ55から速度情報、シフト装置61からシフト情報、及び操舵装置62から操舵情報を取得していることを前提とする。なお、前側表示部71A、後側表示部72A、左側表示部73A、右側表示部74Aは、車両10の速度が所定速度以下及び車両10の加速度が所定加速度以下であるとともに、車両10の進行方向にあるもののみ点灯して、車外操作スイッチの存在を示している。
【0084】
図10に示すように、メインECU31は、停止信号を受信すると、停止信号が、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74からの信号であるか否かを判定する(ステップS21)。そして、メインECU31は、操作スイッチ51又は客席操作スイッチ53が操作されたと判定すると(ステップS21:NO)、ステップS21に移行して、車外操作スイッチの操作があるまで待機する。なお、メインECU31は、図6のステップS11以降によって処理を行う。
【0085】
一方、メインECU31は、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の少なくとも一つが操作されたと判定すると(ステップS21:YES)、車両10の走行方向及び操舵方向を検出する(ステップS41)。すなわち、判断部31Aは、シフト情報から車両10が前進であるか後退であるかの走行方向を判断し、操舵情報から車両10の操舵方向を判断する。
【0086】
続いて、メインECU31は、操作された車外操作スイッチが車両10の走行方向及び操舵方向に位置するスイッチであるか否かを判断する(ステップS42)。すなわち、図9(a)~図9(f)に示したように、判断部31Aは、操作された車外操作スイッチが点灯している車外表示部に位置するか否かを判断する。そして、判断部31Aは、操作された車外操作スイッチが点灯している車外表示部に位置しないと判断すると(ステップS42:NO)、ステップS21に移行して、車外操作スイッチの操作があるまで待機する。
【0087】
一方、判断部31Aは、操作された車外操作スイッチが点灯している車外表示部に位置する車外操作スイッチであると判断すると(ステップS42:YES)、車両10の速度が所定速度以下であるか否かを判定する(ステップS22)。なお、ステップS21以降は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0088】
次に、第2実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1)~(5)の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0089】
(6)操舵方向も含めて車両10の進行方向を判断することで車両10の左側面及び右側面に設けられた車外操作スイッチの操作によって車両10を制動して停止させることができる。
【0090】
(7)車両10の進行方向寄りに位置しない車外操作スイッチがされた場合に、車両10を制動しないと判断する。このため、車両10の進行方向寄りに位置しない車外操作スイッチの操作を除くことができ、いたずらや誤操作による制動を防止することができる。
【0091】
(第3実施形態)
以下、図2図9(a)~図9(f)及び図11を参照して、ブレーキ制御装置及びブレーキ制御システムの第3実施形態について説明する。この実施形態のブレーキ制御システムは、車両の進行方向に応じて車外操作部が作動する点が、上記第2実施形態と異なっている。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0092】
図2に示すように、作動部31Dは、車両10の進行方向寄りに位置しない前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の作動を停止させる。作動部31Dは、車両10の操舵方向側に位置する前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74を作動させる。すなわち、車両10の進行方向寄りの車外にいる人、言い換えれば、車両10が向かってくる危険に遭遇している人が操作した車外操作スイッチの検出結果のみを採用することができる。
【0093】
図9(a)に示すように、作動部31Dは、車両10の走行方向が前進であって操舵がないときには、車両10の前方に位置する前側車外操作スイッチ71の前側表示部71Aを点灯させるとともに、前側車外操作スイッチ71のみ作動させる。
【0094】
図9(b)に示すように、作動部31Dは、車両10の走行方向が後退であって操舵がないときには、車両10の後方に位置する後側車外操作スイッチ72の後側表示部72Aを点灯させるとともに、後側車外操作スイッチ72のみ作動させる。
【0095】
図9(c)に示すように、作動部31Dは、車両10の走行方向が前進であって操舵方向が左であるときには、車両10の前方及び左側に位置する前側車外操作スイッチ71の前側表示部71A及び左側車外操作スイッチ73の左側表示部73Aを点灯させる。このとき、作動部31Dは、前側車外操作スイッチ71及び左側車外操作スイッチ73のみ作動させる。
【0096】
図9(d)に示すように、作動部31Dは、車両10の走行方向が後退であって操舵方向が左であるときには、車両10の後方及び左側に位置する後側車外操作スイッチ72の後側表示部72A及び左側車外操作スイッチ73の左側表示部73Aを点灯させる。このとき、作動部31Dは、後側車外操作スイッチ72及び左側車外操作スイッチ73のみ作動させる。
【0097】
図9(e)に示すように、作動部31Dは、車両10の走行方向が前進であって操舵方向が右であるときには、車両10の前方及び右側に位置する前側車外操作スイッチ71の前側表示部71A及び右側車外操作スイッチ74の右側表示部74Aを点灯させる。このとき、作動部31Dは、前側車外操作スイッチ71及び右側車外操作スイッチ74のみ作動させる。
【0098】
図9(f)に示すように、作動部31Dは、車両10の走行方向が後退であって操舵方向が右であるときには、車両10の後方及び右側に位置する後側車外操作スイッチ72の後側表示部72A及び右側車外操作スイッチ74の右側表示部74Aを点灯させる。このとき、作動部31Dは、後側車外操作スイッチ72及び右側車外操作スイッチ74のみ作動させる。
【0099】
次に、図11を参照して、メインECU31が行う異常時対応の処理の手順について説明する。図11に示す処理は、空気系統を制御する処理であって、メインECU31が所定のタイミングで速度センサ55から速度情報、シフト装置61からシフト情報、及び操舵装置62から操舵情報を取得していることを前提とする。
【0100】
図11に示すように、メインECU31は、車両10の走行方向及び操舵方向を検出する(ステップS51)。すなわち、判断部31Aは、シフト情報から車両10が前進であるか後退であるかの走行方向を判断し、操舵情報から車両10の操舵方向を判断する。
【0101】
続いて、メインECU31は、車両10の走行方向及び操舵方向の車外操作スイッチを作動させる(ステップS52)。すなわち、図9(a)~図9(f)に示したように、作動部31Dは、車両10の進行方向寄りに位置する車外操作スイッチのみ作動させる。このため、車両10の進行方向寄りに位置しない車外操作スイッチが操作されても、車外操作スイッチは作動しない。このため、車両10の進行方向寄りに位置しない車外操作スイッチの操作を検出しない。なお、作動部31Dは、車両10の速度が所定速度以下及び車両10の加速度が所定加速度以下であるときには、車両10の進行方向にある前側表示部71A、後側表示部72A、左側表示部73A、右側表示部74Aのみ点灯させる。
【0102】
メインECU31は、停止信号を受信すると、停止信号が、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74からの信号であるか否かを判定する(ステップS21)。なお、ステップS21以降は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0103】
次に、第3実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1)~(5)及び第2実施形態の(6)の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0104】
(8)車両10の進行方向寄りに位置しない車外操作スイッチの作動を停止させることで、車両10の進行方向寄りに位置する車外操作スイッチの操作のみによって車両10を制動して停止させるか否かを判断することができる。また、必要な車外操作スイッチのみ作動させて電力消費を抑制することができる。
【0105】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0106】
・上記実施形態では、ステップS23において、車両10の加速度が所定加速度以下であることを条件に異常時対応を行った。しかしながら、車両10の加速度が所定加速度以下であるときに限らず異常時対応を行ってもよい。
【0107】
・上記実施形態では、ステップS22において、車両10の速度が所定速度以下であることを条件に異常時対応を行った。しかしながら、車両10の速度が所定速度以下であるときに限らず異常時対応を行ってもよい。
【0108】
・上記実施形態では、エアタンク12を3つのタンクに分けたが、1つのタンクでもよく、2つ又は4つ以上のタンクであってもよい。また、エアタンク12と空気圧機器との接続関係は適宜変更可能である。例えば、圧力制御モジュール20の第1ポートP1は、第3タンク12C以外のタンクに接続されてもよい。
【0109】
・上記各実施形態において、メインECU31は、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74からCAN33を介さず信号を直接受信してもよい。
【0110】
・上記各実施形態において、メインECU31は、操作スイッチ51、解除スイッチ52、客席操作スイッチ53から、CAN33等の車載ネットワークを介してオン信号などを受信してもよい。
【0111】
・上記各実施形態において、車載ネットワークは、CAN33以外に、FlexRay(登録商標)、Ethernet(登録商標)等のネットワークを用いてもよい。
【0112】
・上記各実施形態では、メインECU31は、速度センサ55から速度情報を取得したが、これに代えて若しくは加えて、加速度センサから加速度情報を取得してもよい。
【0113】
・上記各実施形態では、ドライバー異常時対応システム50は、メインECU31及びサブECU32を備えるようにした。これに代えて若しくは加えて、メインECU31及びサブECU32を、第1制御部の機能と第2制御部の機能とを有する1つのECU又はその他の制御回路から構成してもよい。又は、これらの機能を3つ以上のECU又はその他の制御回路に分散させて構成してもよい。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【0114】
・上記各実施形態において、ドライバー異常時対応システム50は、当該システムの機能をオン/オフできる主スイッチ(図示略)を備えていてもよい。主スイッチに対して所定の操作を行うこと、又は主スイッチを所定の制御装置等により制御することで、例えば、操作スイッチ51、解除スイッチ52及び客席操作スイッチ53の操作を無効にすることができる。
【0115】
・上記各実施形態では、空気圧回路22は、吸気用バルブ27及び排気用バルブ28によって空気圧駆動式のリレーバルブ25を駆動した。これに代えて、第1供給路23に電磁弁を設け、この電磁弁により、第1供給路23を開閉してもよい。
【0116】
・上記各実施形態では、空気圧回路22は、空気圧によって空気の供給方向を切り替えるダブルチェックバルブ36を備えた。ダブルチェックバルブ36に代えて、サブECU32によって駆動及び非駆動とされる電磁弁を設けてもよい。操作スイッチ51、客席操作スイッチ53、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74の少なくとも一つがオン操作されると、サブECU32は、その電磁弁を駆動(又は非駆動)して、空気の供給方向を切り替える。
【0117】
・上記各実施形態では、操作スイッチ51、客席操作スイッチ53、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74のオン操作により異常時対応を実行した。これに代えて若しくは加えて、ドライバーの疲労状態又は健康状態を検知する生体検知装置を用いてもよい。生体検知装置は、ドライバーの顔や頭部の位置、姿勢、瞼、視線等の目の状態、脈拍数、心拍数、体温等、1又は複数のパラメータを用いてドライバーの運転状態を検知する。この態様においては、生体検知装置がドライバーの異常を検知した場合に停止信号を送信する。或いは、車両に搭載されたECUが、車速、アクセルペダルやブレーキペダルの操作の有無等の車両状態と道路情報とを比較して、運転の異常を検知した場合には停止信号を送信してもよい。
【0118】
・上記各実施形態において、バス停において停止の表示を設け、停止の表示があるときは車両10が出発しないよう規定しておく。車両10は、この停止の表示を検知するカメラを備える。メインECU31は、カメラが停止の表示を検知しているにもかかわらず車両10が出発した場合には、車両10を制動して停止させる異常時対応を行う。
【0119】
・上記各実施形態において、急加速や急舵角を検出したときに、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74を作動させて、車外の停止意思を検出できるようにしてもよい。
【0120】
・上記各実施形態では、車外操作スイッチを車両10の各面に1つずつ設けたが、車外操作スイッチを車両10の各面に複数ずつ設けてもよい。また、車外操作スイッチを車両10の各面に任意の数を設けてもよい。また、車外操作スイッチを車両10の底面に設けてもよい。また、車外操作スイッチを車両10の前面と後面のみに設けてもよい。
【0121】
・上記各実施形態では、前側車外操作スイッチ71、後側車外操作スイッチ72、左側車外操作スイッチ73、及び右側車外操作スイッチ74を押しボタンスイッチとした。しかしながら、車外操作スイッチを押しボタンスイッチに限らず、近接スイッチやロータリースイッチ等の他のスイッチにしてもよい。また、車外操作スイッチを、光電センサや超音波センサ等の非接触センサで操作を検出してもよい。また、バンパーにひずみゲージ等の衝撃を検知するものを設けてバンパーを蹴ったり叩いたりすることで車外からの操作を検出してもよい。
【0122】
・上記各実施形態では、前側表示部71A、後側表示部72A、左側表示部73A、右側表示部74AをLEDとした。しかしながら、車外表示部をLEDに代えて若しくは加えて、車外表示部をランプ、ステッカーやペイントとしてもよい。また、車外表示部を音声出力するスピーカーとしてもよい。また、車外表示部を反転フラップ式表示機としてもよい。更に、車外表示部をディプレイとしてもよい。
【0123】
・上記各実施形態では、速度センサ55から車両10の速度情報を取得したが、速度センサに限らず、車軸回転センサ、GPS、Gセンサ、画像センサ等から車両10の速度情報を取得してもよい。
【0124】
・上記各実施形態では、シフト装置61から走行方向を取得したが、GセンサやGPSから車両10の走行方向を取得してもよい。
【0125】
・上記各実施形態では、操舵装置62から操舵方向を取得したが、GセンサやGPSから車両10の操舵方向を取得してもよい。
【0126】
・上記各実施形態では、ドライバー異常時対応システムは、ブレーキの命令系統を空気圧回路とする使用過程車両10に後付けされるものとして説明したが、EBSを搭載した車両に後付けされてもよい。また、後付けではなく、ドライバー異常時対応システムが予め搭載された車両でもよい。
【0127】
・上記各実施形態では、ドライバー異常時対応システムは、バスに搭載されるものとして説明した。車両は、バスの他、トラック、建機等でもよい。また、これ以外の態様として、ドライバー異常時対応システムは、乗用車、鉄道車両等、他の車両に搭載されてもよい。
【0128】
・上記各実施形態では、フルエアブレーキの車両10に、ドライバー異常時対応システムを適用した。これに限らず、ドライバー異常時対応システムは、その他の形式のブレーキシステムを有する車両にも適用可能である。圧力制御モジュールをエアオーバーハイドロリック式のブレーキ機構を有する車両に適用することができる。このブレーキ機構は、圧力制御モジュールを、ABSコントロールバルブを介して複数のブレーキブースターに接続する。ブレーキブースターは、前輪用、後方左側の車輪用、後方右側の車輪用のブースターであり、空気圧を利用して液圧回路の液圧を高めることによって車輪に制動力を発生させる。また、圧力制御モジュールを前輪用のブレーキブースターと、後輪用のブレーキブースターと、液圧回路に設けられたABSコントロールバルブとを備えたブレーキ機構に適用してもよい。
【0129】
・上記各実施形態では、空気圧回路でブレーキ機構を制御する車両に適用した。しかしながら、油圧回路でブレーキ機構を制御する新車又は使用過程車両においてもドライバーの異常は発生し得るため、同様な課題が存在する。このため、上記各実施形態の圧力制御モジュール20を、ブレーキ機構への命令系統を油圧で行う車両に適用してもよい。油圧回路においても圧力制御モジュール20は上記実施形態と同様に作動する。この態様において、制御対象となるブレーキ機構は、ブレーキチャンバー以外の機構でもよい。なお、油圧回路及び空気圧回路は、流体の圧力によって駆動する回路としての一例である。
【0130】
・上記各実施形態では、空気圧回路でブレーキ機構を制御する車両に適用した。しかしながら、電動のブレーキ機構を制御する車両に適用してもよい。すなわち、電動のブレーキ機構のブレーキトルクと車両の減速度との相関関係を取得して、相関関係に基づいて所望の減速度を実現するための目標ブレーキトルクを予め推定してもよい。
【符号の説明】
【0131】
10 車両
11 空気圧ブレーキシステム
12 エアタンク
13 ブレーキバルブ
13A 前方圧力室
13B 後方圧力室
13C ブレーキペダル
14A プロテクションバルブ
14B エアホーン装置
15 リレーバルブ
16 ABSコントロールバルブ
17 ブレーキチャンバー
18 空気配管
20 圧力制御モジュール
21 ケース
21A ポート接続部
21D 突出部
22 空気圧回路
23 第1供給路
24A 前方信号供給路
24B 後方信号供給路
25 リレーバルブ
25A 排出口
25B パイロットポート
26 分岐路
27 吸気用バルブ
27A 配線
28 排気用バルブ
28A 配線
29 信号供給路
30 第3供給路
31 メインECU
31A 判断部
31B 制御部
31C 記憶部
31D 作動部
32 サブECU
33 CAN
35 第1圧力センサ
36,36A,36B ダブルチェックバルブ
37 前方空気供給路
38 前方空気供給路
39 第2圧力センサ
50 ドライバー異常時対応システム
51 操作スイッチ
52 解除スイッチ
53 客席操作スイッチ
55 速度センサ
56 車室内装置
57 車室外装置
58 排出部
61 加速度センサ
62 温度センサ
63 ワイパー駆動装置
71 前側車外操作スイッチ(車外操作部)
71A 前側車外表示部
72 後側車外操作スイッチ(車外操作部)
72A 後側車外表示部
73 左側車外操作スイッチ(車外操作部)
73A 左側車外表示部
74 右側車外操作スイッチ(車外操作部)
74A 右側車外表示部
P1 第1ポート
P2 第2ポート
P3 第3ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11