(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】太陽電池
(51)【国際特許分類】
H01L 31/044 20140101AFI20240902BHJP
【FI】
H01L31/04 520
(21)【出願番号】P 2022550061
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2020034852
(87)【国際公開番号】W WO2022059058
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 勝也
(72)【発明者】
【氏名】齊田 穣
(72)【発明者】
【氏名】戸張 智博
(72)【発明者】
【氏名】塩川 美雪
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-517145(JP,A)
【文献】特開2011-192890(JP,A)
【文献】特開2018-157176(JP,A)
【文献】特開平11-150286(JP,A)
【文献】特開2002-246628(JP,A)
【文献】特開平07-302923(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0108084(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項7】
前記バイパスダイオードは、前記所定方向から見て前記フレキシブル基板の裏側の面に実装されている、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、太陽電池セルが形成された太陽電池パネルには、電流の迂回路としてバイパスラインが接続される。例えば、バイパスラインは、ジャンクションボックスに配置されたバイパスダイオードと、太陽電池パネルとバイパスダイオードとを接続するバスバーと、を備える。しかしながら、バイパスラインの設置がシステム全体の軽量化を阻害する場合がある。
【0003】
また、太陽電池パネルをパッケージに収容した構成では、システム全体の軽量化を図ってパッケージの薄型化を進めると、太陽電池パネルの周辺構造によってパッケージの表裏面に凹凸が発生し得る。例えば、パッケージの表裏面のうち光の入射を受ける入射面に凹凸が発生すると、太陽電池パネルに入射する光量が減少して発電効率が低下する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、光入射面に凹凸が発生することを抑制しつつ軽量化が図られた太陽電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の太陽電池は、少なくとも1つの第1太陽電池パネルと、フレキシブル基板と、バイパスダイオードと、パッケージと、を持つ。少なくとも1つの第1太陽電池パネルは、受光面を所定方向に向けて配置されている。フレキシブル基板は、所定方向から見て少なくとも1つの第1太陽電池パネルの周囲に配置されている。フレキシブル基板は、少なくとも1つの第1太陽電池パネルのバイパスラインを形成する。バイパスダイオードは、フレキシブル基板に実装されて少なくとも1つの第1太陽電池パネルに並列接続される。パッケージは、少なくとも1つの第1太陽電池パネル、フレキシブル基板およびバイパスダイオードを収容する。少なくとも1つの第1太陽電池パネルは、所定方向でフレキシブル基板およびバイパスダイオードの両端間に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態のタンデム型太陽電池の層構成を示す平面図。
【
図5】実施形態のボトムモジュールおよびトップモジュールの位置関係を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の太陽電池を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態のタンデム型太陽電池の層構成を示す平面図である。なお
図1では、タンデム型太陽電池1の積層構造を示すために、一部の層を破断して示している。
図1に示すように、タンデム型太陽電池1は、矩形の平板状に形成されている。以下、タンデム型太陽電池1の厚さ方向を、単に「厚さ方向」と称する。ここで、説明の便宜上、厚さ方向に直交する+X方向、-X方向、+Y方向、および-Y方向について定義する。-X方向は、+X方向とは反対方向である。+X方向と-X方向とを区別しない場合は、単に「X方向」と称する。+Y方向および-Y方向は、X方向とは直交する方向である。-Y方向は、+Y方向とは反対方向である。+Y方向と-Y方向とを区別しない場合は、単に「Y方向」と称する。また、厚さ方向の一方向を「表側」と定義し、表側とは反対方向を「裏側」と定義する。
【0010】
タンデム型太陽電池1は、バックセルを構成する太陽電池セル12を備えたボトムモジュール10と、ボトムモジュール10の表側に配置されてフロントセルを構成する太陽電池セル52を備えたトップモジュール50と、ボトムモジュール10およびトップモジュール50を収容するパッケージ80と、を備える。ボトムモジュール10およびトップモジュール50は、互いに直列接続されている。
【0011】
図2は、実施形態のボトムモジュールを示す平面図である。なお
図2では仮想線でパッケージ80の外形を示している。
図2に示すように、ボトムモジュール10は、直列接続された複数のボトム太陽電池パネル11(第1太陽電池パネル、他の太陽電池パネル)を備える。全てのボトム太陽電池パネル11は、共通するXY平面に沿って配置されている。ボトム太陽電池パネル11には、少なくとも1つの太陽電池セル12が形成されている。ボトム太陽電池パネル11には、単一の太陽電池セル12が形成されていてもよいし、直並列接続された複数の太陽電池セル12が形成されていてもよい。例えば、太陽電池セル12は、光吸収層にSiを用いたシリコン系の太陽電池セル12である。太陽電池セル12は、光吸収層の裏側にn型電極およびp型電極を有するバックコンタクト型の太陽電池セル12である。ボトム太陽電池パネル11は、受光面を表側に向けて配置されている。すなわち、ボトム太陽電池パネル11の受光面の法線方向は、厚さ方向に沿う。各ボトム太陽電池パネル11は、平面視で一対の辺がX方向に延び、かつ残りの一対の辺がY方向に延びる矩形状に形成されている。本実施形態では、各ボトム太陽電池パネル11は、平面視でX方向を長手方向とする矩形状に形成されている。
【0012】
ボトムモジュール10は、直列接続された複数個のボトム太陽電池パネル11により形成されたボトムパネル列11R(少なくとも1つの第1太陽電池パネル)を複数列備えている。各ボトムパネル列11Rにおいてボトム太陽電池パネル11は、間隔をあけてX方向に並んでいる。各ボトムパネル列11Rの全体の外形は、平面視でX方向を長手方向とする矩形状に形成されている。ボトムパネル列11Rは、間隔をあけてY方向に並んでいる。これにより、複数のボトム太陽電池パネル11は、X方向およびY方向に整列している。整列した複数のボトム太陽電池パネル11の全体の外形は、X方向を長手方向とする矩形状に形成されている。図示の例では、ボトムモジュール10は、4個のボトム太陽電池パネル11により形成されたボトムパネル列11Rを5列備えている。ただし、ボトム太陽電池パネル11の個数は特に限定されない。以下、複数のボトムパネル列11Rのうち最も+Y方向に位置するボトムパネル列11Rを基準として、-Y方向に数えてN個目に位置するボトムパネル列11Rを「N番目のボトムパネル列11R」と称する。後述するトップパネル列51Rについても同様である。
【0013】
ボトム太陽電池パネル11は、n型電極に電気的に接続された負極端子13と、p型電極に電気的に接続された正極端子14と、を備える。負極端子13および正極端子14は、ボトム太陽電池パネル11の裏面に設けられている。負極端子13は、奇数番目のボトムパネル列11Rにおいてボトム太陽電池パネル11の+X方向の端部に設けられ、偶数番目のボトムパネル列11Rにおいてボトム太陽電池パネル11の-X方向の端部に設けられている。正極端子14は、各ボトム太陽電池パネル11における負極端子13とは反対側の端部に設けられている。
【0014】
ボトムモジュール10は、インターコネクタ16と、パネル列端コネクタ17と、ボトムバスバー20と、を備える。
【0015】
インターコネクタ16は、ボトムパネル列11R内で隣り合うボトム太陽電池パネル11を直列接続している。インターコネクタ16は、金属板により形成されている。例えば、インターコネクタ16は、両主面にはんだめっき層を有する銅板により形成されている。インターコネクタ16は、平面視でX方向に隣り合う一対のボトム太陽電池パネル11の間隔を跨ぐように延びている。インターコネクタ16は、一方のボトム太陽電池パネル11の負極端子13および他方のボトム太陽電池パネル11の正極端子14に接続している。
【0016】
パネル列端コネクタ17は、各ボトムパネル列11Rのボトム太陽電池パネル11における負極端子13および正極端子14のうちインターコネクタ16が接続されていない端子に接続されている。つまり、パネル列端コネクタ17は、ボトムパネル列11Rの電気的な端部となる負極端子13および正極端子14に接続されている。パネル列端コネクタ17は、金属板により形成されている。例えば、パネル列端コネクタ17は、インターコネクタ16と同じ材料により形成されている。パネル列端コネクタ17は、平面視でボトムパネル列11RからX方向に突出している。
【0017】
ボトムバスバー20は、平面視で複数のボトム太陽電池パネル11の全体の周囲に配置されている。本実施形態において、複数のボトム太陽電池パネル11の全体の周囲とは、複数のボトム太陽電池パネル11を単一の矩形状のパネルと見なした場合の当該パネルの周囲を意味する。ボトムバスバー20は、金属板により形成されている。例えば、ボトムバスバー20は、両主面にはんだめっき層を有する銅板により形成されている。ボトムバスバー20は、Y方向に沿って延びている。ボトムバスバー20は、互いに接触しないように配置されている。ボトムバスバー20は、パネル間バスバー21と、端子用バスバー22と、を備える。
【0018】
パネル間バスバー21は、隣り合うボトムパネル列11R同士をパネル列端コネクタ17を介して直列接続している。パネル間バスバー21は、平面視でボトムパネル列11Rの+X方向、および-X方向の両側に配置されている。+X方向のパネル間バスバー21は、nを偶数とした場合、n番目のボトムパネル列11Rと(n+1)番目のボトムパネル列11Rとを直列接続している。具体的には、+X方向のパネル間バスバー21は、n番目のボトムパネル列11Rに接続された+X方向のパネル列端コネクタ17と、(n+1)番目のボトムパネル列11Rに接続された+X方向のパネル列端コネクタ17と、に接続されている。-X方向のパネル間バスバー21は、mを奇数とした場合、m番目のボトムパネル列11Rと(m+1)番目のボトムパネル列11Rとを直列接続している。具体的には、-X方向のパネル間バスバー21は、m番目のボトムパネル列11Rに接続された-X方向のパネル列端コネクタ17と、(m+1)番目のボトムパネル列11Rに接続された-X方向のパネル列端コネクタ17と、に接続されている。
【0019】
端子用バスバー22は、パネル列端コネクタ17のうちパネル間バスバー21に接続されていないパネル列端コネクタ17に接続されている。つまり、端子用バスバー22は、直列接続された複数のボトム太陽電池パネル11を1つの太陽電池と見なした場合、1つの太陽電池の電気的な端部となる負極端子13および正極端子14にパネル列端コネクタ17を介して接続されている。端子用バスバー22は、平面視でボトムパネル列11Rの+X方向、および-X方向の両側に配置されている。+X方向の端子用バスバー22は、1番目のボトムパネル列11Rに接続された+X方向のパネル列端コネクタ17に接続されている。+X方向の端子用バスバー22は、パネル列端コネクタ17との接続部から+Y方向に延びて、パッケージ80の外側に引き出されている。-X方向の端子用バスバー22は、ボトムパネル列11Rの数をNとした場合、N番目のボトムパネル列11Rに接続された-X方向のパネル列端コネクタ17に接続されている。-X方向の端子用バスバー22は、パネル列端コネクタ17との接続部から-Y方向に延びて、パッケージ80の外側に引き出されている。
【0020】
ボトムバスバー20は、当該ボトムバスバー20に接続された各ボトムパネル列11Rよりも+Y方向に延びている。例えば、+X方向のパネル間バスバー21は、mを奇数とした場合、m番目のボトムパネル列11Rとの接続部からm番目のボトムパネル列11Rよりも+Y方向に延びて(m-1)番目のボトムパネル列11Rに接続している。さらに、+X方向のパネル間バスバー21は、(m-1)番目のボトムパネル列11Rとの接続部から(m-1)番目のボトムパネル列11Rよりも+Y方向に延びている。ボトムバスバー20は、当該ボトムバスバー20に接続された各ボトムパネル列11Rよりも+Y方向に位置する箇所で、フレキシブル基板30に接続している。
【0021】
ボトムモジュール10は、フレキシブル基板30と、バイパスダイオード40と、を備える。フレキシブル基板30は、ボトムパネル列11R毎に設けられている。フレキシブル基板30は、ボトムパネル列11Rに並列接続されてボトムパネル列11Rのバイパスラインを形成する。フレキシブル基板30は、ボトムパネル列11Rの電気的な端部となる負極端子13および正極端子14にボトムバスバー20およびパネル列端コネクタ17を介して接続されている。フレキシブル基板30は、平面視でボトム太陽電池パネル11に重ならないようにボトムパネル列11Rの周囲に配置されている。フレキシブル基板30は、平面視で一定の幅でボトムパネル列11Rの長手方向(すなわちX方向)に沿って延びている。フレキシブル基板30は、当該フレキシブル基板30に並列接続されたボトムパネル列11Rの+Y方向の位置でボトムパネル列11Rに沿って配置されている。1番目のフレキシブル基板30を除くフレキシブル基板30は、平面視で隣り合うボトムパネル列11Rの間隔に配置されている。
【0022】
フレキシブル基板30は、両主面を厚さ方向に向けた状態で配置されている。フレキシブル基板30は、配線31と、配線31を支持する基材32と、を備える。例えば、配線31は、銅箔等により形成されている。配線31は、フレキシブル基板30の略全長にわたって延びている。基材32は、ポリイミド等の絶縁材料によりシート状に形成されている。基材32は、フレキシブル基板30の両端部、および後述する実装部33を除いて配線31の両面を覆うように形成されている。基材32は、フレキシブル基板30の両端部で、配線31を表側に露出させている。配線31は、フレキシブル基板30の両端部で基材32から表側に露出している。配線31は、フレキシブル基板30の両端部でボトムバスバー20の裏面に接続されている。
【0023】
図3は、
図2のIII-III線における断面図である。
図3に示すように、フレキシブル基板30は、実装部33を備える。実装部33は、バイパスダイオード40が実装される部分である。実装部33は、配線31に形成された分断部34と、基材32に形成されて配線31を露出させる窓部35と、を備える。分断部34は、配線31における分断部34を挟んだ両部を互いに絶縁している。分断部34は、例えばエッチングにより形成されている。窓部35は、配線31における分断部34を挟んだ両部を表側に露出させている。窓部35は、配線31における分断部34を挟んだ両部をまとめて露出させている。ただし、窓部は、配線31における分断部34を挟んだ両部を各別に露出させてもよい。
【0024】
バイパスダイオード40は、窓部35の内側に配置されている。バイパスダイオード40は、配線31における分断部34を挟んだ両部に接続されている。バイパスダイオード40は、配線31を整流している。バイパスダイオード40は、フレキシブル基板30から表側に突出している。
【0025】
図4は、実施形態のトップモジュールを示す平面図である。なお
図4では仮想線でパッケージ80の外形を示している。
図4に示すように、トップモジュール50は、複数のトップ太陽電池パネル51(第2太陽電池パネル)を有する。全てのトップ太陽電池パネル51は、共通するXY平面に沿って配置されている。トップ太陽電池パネル51は、ボトム太陽電池パネル11と同数設けられている。トップ太陽電池パネル51には、1つの太陽電池セル52が形成されている。ただし、トップ太陽電池パネル51には、直並列接続された複数の太陽電池セルが形成されていてもよい。太陽電池セル52は、透過型の太陽電池セルである。太陽電池セル52は、ボトムモジュール10の太陽電池セル12の光吸収層よりもバンドギャップの広い光吸収層を有する。例えば、太陽電池セル52の光吸収層は、Cu
2Oを含む。例えば、太陽電池セル52は、ガラス基板の表側に、p電極、p-Cu
2O層、n-化合物層、n電極が順に積層された構成となっている。p電極は、トップ太陽電池パネル51の+Y方向の端部で表側に露出している。n電極は、トップ太陽電池パネル51の-Y方向の端部で表側に露出している。p電極およびn電極は、トップ太陽電池パネル51の表側の面で電流取り出し用の端子として機能する。トップ太陽電池パネル51は、受光面を表側に向けて配置されている。すなわち、トップ太陽電池パネル51の受光面の法線方向は、厚さ方向に沿う。
【0026】
トップモジュール50は、並列接続された複数個のトップ太陽電池パネル51によって形成されたトップパネル列51Rを複数列備えている。各トップパネル列51Rにおいてトップ太陽電池パネル51は、間隔をあけてX方向に並んでいる。各トップパネル列51Rの全体の外形は、平面視でX方向を長手方向とする矩形状に形成されている。トップパネル列51Rは、互いに直列接続されている。トップパネル列51Rは、間隔をあけてY方向に並んでいる。これにより、複数のボトム太陽電池パネル11は、X方向およびY方向に整列している。整列した複数のボトム太陽電池パネル11の全体の外形は、X方向を長手方向とする矩形状に形成されている。トップ太陽電池パネル51は、各ボトム太陽電池パネル11に1つずつ重なるように配置されている。これにより、図示の例では、トップモジュール50は、4個のトップ太陽電池パネル51により形成されたトップパネル列51Rを5列備えている。
【0027】
図5は、実施形態のボトムモジュールおよびトップモジュールの位置関係を示す平面図である。
図5に示すように、各トップ太陽電池パネル51は、ボトムモジュール10のボトム太陽電池パネル11の受光面(表側の面)に対向する位置に積層されている。トップ太陽電池パネル51は、ボトム太陽電池パネル11と同等以上の大きさに形成されている。トップ太陽電池パネル51は、平面視でボトム太陽電池パネル11の全体に重なっている。トップ太陽電池パネル51の太陽電池セル52は、平面視でボトム太陽電池パネル11の太陽電池セル12の全体に重なっている。換言すると、ボトム太陽電池パネル11の各太陽電池セル12の全体は、平面視でトップ太陽電池パネル51の太陽電池セル52の外形線の内側に配置されている。
【0028】
図4に示すように、トップモジュール50は、導電テープ60と、トップバスバー70と、を備える。導電テープ60は、トップパネル列51R毎に一対設けられている。導電テープ60は、トップ太陽電池パネル51のp電極と導通する第1導電テープ61と、トップ太陽電池パネル51のn電極と導通する第2導電テープ62と、をトップパネル列51R毎に備える。各導電テープ60は、平面視で一定の幅で、トップパネル列51R内におけるトップ太陽電池パネル51の整列方向(すなわちX方向)に沿って延びている。第1導電テープ61は、各トップパネル列51Rのトップ太陽電池パネル51の+Y方向の端部の表面に貼付されている。第1導電テープ61は、各トップパネル列51Rのトップ太陽電池パネル51のp電極を共通して接続する。第2導電テープ62は、各トップパネル列51Rのトップ太陽電池パネル51の-Y方向の端部の表面に貼付されている。第2導電テープ62は、各トップパネル列51Rのトップ太陽電池パネル51のn電極を共通して接続する。導電テープ60は、平面視でボトム太陽電池パネル11の太陽電池セル12に重ならないように配置されることが望ましい。
【0029】
導電テープ60は、トップパネル列51Rよりもそれぞれ+X方向または-X方向に延びている。奇数番目のトップパネル列51Rに貼付された第1導電テープ61は、当該トップパネル列51Rよりも-X方向に延びている。偶数番目のトップパネル列51Rに貼付された第1導電テープ61は、当該トップパネル列51Rよりも+X方向に延びている。奇数番目のトップパネル列51Rに貼付された第2導電テープ62は、当該トップパネル列51Rよりも+X方向に延びている。偶数番目のトップパネル列51Rに貼付された第2導電テープ62は、当該トップパネル列51Rよりも-X方向に延びている。導電テープ60は、トップパネル列51RよりもX方向に突出した箇所で、トップバスバー70に接続している。
【0030】
トップバスバー70は、平面視でトップパネル列51Rの+X方向、および-X方向の両側に配置されている。トップバスバー70は、平面視で複数のトップ太陽電池パネル51の全体の周囲に配置されている。本実施形態において、複数のトップ太陽電池パネル51の全体の周囲とは、複数のトップ太陽電池パネル51を単一の矩形状のパネルと見なした場合の当該パネルの周囲を意味する。トップバスバー70は、ボトムバスバー20よりもX方向の外側に配置されている。トップバスバー70は、金属板により形成されている。例えば、トップバスバー70は、ボトムバスバー20と同じ材料により形成されている。トップバスバー70は、Y方向に沿って延びている。トップバスバー70は、互いに接触しないように配置されている。トップバスバー70は、パネル間バスバー71と、端子用バスバー72と、を備える。
【0031】
パネル間バスバー71は、隣り合うトップパネル列51R同士を導電テープ60を介して直列接続している。パネル間バスバー71は、平面視でトップパネル列51Rの+X方向、および-X方向の両側に配置されている。+X方向のパネル間バスバー71は、mを奇数とした場合、m番目のトップパネル列51Rに接続された第2導電テープ62の+X方向の端部と、(m+1)番目のトップパネル列51Rに接続された第1導電テープ61の+X方向の端部と、に接続されている。-X方向のパネル間バスバー71は、nを偶数とした場合、n番目のトップパネル列51Rに接続された第2導電テープ62の-X方向の端部と、(n+1)番目のトップパネル列51Rに接続された第1導電テープ61の-X方向の端部と、に接続されている。
【0032】
端子用バスバー72は、直並列接続された複数のトップ太陽電池パネル51を1つの太陽電池と見なした場合、1つの太陽電池の電気的な端部となるp電極およびn電極に導電テープ60を介して接続されている。端子用バスバー72は、平面視でトップパネル列51Rの+X方向、および-X方向の両側に配置されている。-X方向の端子用バスバー72は、1番目のトップパネル列51Rに接続された第1導電テープ61の-X方向の端部に接続されている。-X方向の端子用バスバー72は、第1導電テープ61との接続部から+Y方向に延びて、パッケージ80の外側に引き出されている。+X方向の端子用バスバー72は、トップパネル列51Rの数をNとした場合、N番目のトップパネル列51Rに接続された第2導電テープ62の+X方向の端部に接続されている。+X方向の端子用バスバー72は、第2導電テープ62との接続部から-Y方向に延びて、パッケージ80の外側に引き出されている。
【0033】
図6は、
図1のVI-VI線における断面図である。
図6に示すように、ボトムバスバー20およびトップバスバー70は、絶縁テープ75によって互いに固定されている。絶縁テープ75は、例えばY方向においてボトムバスバー20およびトップバスバー70の存在が重複する領域で、ボトムバスバー20およびトップバスバー70に貼り付けられている。
【0034】
図1に示すように、パッケージ80は、ボトムバスバー20の端子用バスバー22を引き出した状態でボトムモジュール10を収容しているとともに、トップバスバー70の端子用バスバー72を引き出した状態でトップモジュール50を収容している。パッケージ80は、フロントカバー81と、バックカバー82と、を備える。フロントカバー81は、ボトムモジュール10およびトップモジュール50の表側に配置されている。バックカバー82は、ボトムモジュール10およびトップモジュール50の裏側に配置されている。
【0035】
フロントカバー81は、透明な樹脂材料やガラス等により形成された板材である。フロントカバー81は、平面視で一対の辺がX方向に延び、かつ残りの一対の辺がY方向に延びる矩形状に形成されている。フロントカバー81は、ボトムモジュール10のうち端子用バスバー22の先端を除く部分、およびトップモジュール50のうち端子用バスバー72の先端を除く部分の全体に平面視で重なるように配置されている。フロントカバー81の表側の面は、タンデム型太陽電池1の光入射面を形成している。
【0036】
バックカバー82は、樹脂材料やガラス等により形成された板材である。バックカバー82は、平面視でフロントカバー81と同形同大に形成されている。バックカバー82は、平面視でフロントカバー81に完全に重なるように配置されている。
【0037】
図7は、
図1のVII-VII線における断面図である。
図7に示すように、パッケージ80は、封止材83を備える。封止材83は、フロントカバー81とバックカバー82との間に配置されている。封止材83は、透明な樹脂材料により形成されている。封止材83は、フロントカバー81とバックカバー82との間で絶縁フィルムを積層することにより形成されている。絶縁フィルムの層間には、ボトムモジュール10およびトップモジュール50が配置されている。少なくともボトム太陽電池パネル11およびトップ太陽電池パネル51は、絶縁フィルムの異なる層間に配置されている。
【0038】
厚さ方向におけるボトムモジュール10およびトップモジュール50の位置関係について詳述する。
全てのボトム太陽電池パネル11、および全てのトップ太陽電池パネル51は、厚さ方向において、バイパスダイオード40およびフレキシブル基板30の両端間に配置されている。ただし、厚さ方向において、ボトム太陽電池パネル11およびトップ太陽電池パネル51の端部の位置がバイパスダイオード40およびフレキシブル基板30の端部の位置に一致している場合も含む。図示の例では、ボトム太陽電池パネル11の裏側の端部(裏面)は、フレキシブル基板30の裏側の端部(裏面)よりも表側に位置している。トップ太陽電池パネル51の表側の端部(表側の面)は、バイパスダイオード40の表側の端部よりも裏側に位置している。
【0039】
以上に説明したように、本実施形態のタンデム型太陽電池1は、バイパスダイオード40が実装されてボトム太陽電池パネル11のボトムパネル列11Rのバイパスラインを形成するフレキシブル基板30を備える。この構成によれば、ジャンクションボックスへのバイパスダイオードの配置、および太陽電池パネルとジャンクションボックスとを接続するバスバーの設置を省略できる。したがって、タンデム型太陽電池1の軽量化を図ることができる。
【0040】
また、フレキシブル基板30の配線31の幅および厚みを太陽電池セル12の性能に合わせて設定できる。よって、フレキシブル基板30を適切な大きさに形成してタンデム型太陽電池1の大型化を抑制できる。
【0041】
さらに、本実施形態では、ボトムモジュール10のボトムパネル列11R、およびトップモジュール50のトップ太陽電池パネル51のトップパネル列51Rは、厚さ方向でフレキシブル基板30およびバイパスダイオード40の両端間に配置されている。これにより、バイパスダイオード40がフレキシブル基板30から大きく突出していても、フレキシブル基板30およびバイパスダイオード40からなる部材がボトムパネル列11Rおよびトップパネル列51Rから表側または裏側に大きく突出することを抑制できる。したがって、タンデム型太陽電池1の光入射面に凹凸が発生することを抑制しつつ、タンデム型太陽電池1を薄型化して軽量化を図ることができる。
【0042】
また、バイパスダイオード40は、厚さ方向から見てY方向で隣り合うボトムパネル列11Rの間に配置されている。これにより、ボトムモジュール10の外周よりも中心寄りの位置にバイパスダイオード40が配置される。このため、バイパスダイオードが複数のボトムパネル列11R全体の周囲に配置されている場合と比較して、バイパスダイオード40が分散してボトムモジュール10に配置される。よって、タンデム型太陽電池1の厚みをより均一化することができる。
【0043】
ボトムパネル列11Rは、フレキシブル基板30に沿って配置されている。この構成によれば、パッケージ80内にボトムパネル列11Rおよびフレキシブル基板30を配置する際に、ボトムパネル列11Rおよびフレキシブル基板30の一方を他方よりも先に配置することで、他方の位置決めを行うことができる。したがって、タンデム型太陽電池1の生産性を向上させることができる。
【0044】
フレキシブル基板30は、ボトムパネル列11Rの長手方向(X方向)に沿って延びている。このため、ボトムパネル列11Rのバイパスラインの大部分がフレキシブル基板30によって形成される。したがって、タンデム型太陽電池1の軽量化を図ることができる。
【0045】
なお、上記実施形態では、全てのボトム太陽電池パネル11が直列接続されているが、これに限定されない。複数のボトム太陽電池パネルは、並列、または直列および並列の組み合わせによって互いに接続されていてもよい。また、ボトムモジュールに単一のボトム太陽電池パネルが設けられていてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、トップ太陽電池パネル51が4並列5直列で接続されているが、これに限定されない。全てのトップ太陽電池パネル51が並列接続または直列接続されていてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、特許請求の範囲における太陽電池の一例として、ボトム太陽電池パネル11およびトップ太陽電池パネル51が積層されたタンデム型太陽電池を採用している。しかし、太陽電池は、太陽電池パネルが積層されていないものであってもよい。例えば、実施形態のボトムモジュール10と同等のモジュールのみがパッケージに収容された太陽電池であってもよい。この場合であっても、太陽電池パネルが厚さ方向でフレキシブル基板およびバイパスダイオードの両端間に配置されていれば、上述した作用効果を奏する。
【0048】
また、上記実施形態では、パネル列端コネクタ17に接続されたパネル間バスバー21を介してフレキシブル基板30がボトムパネル列11Rに接続されている。しかし、フレキシブル基板はパネル列端コネクタ17に直接接続されていてもよいし、ボトムパネル列11Rに直接接続されていてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、トップ太陽電池パネル51にバイパスラインが形成されていないが、ボトムモジュール10と同様に、フレキシブル基板およびバイパスダイオードによってトップ太陽電池パネル51にバイパスラインを形成してもよい。例えば、各トップパネル列51Rのトップ太陽電池パネル51を共通してバイパスするバイパスラインをトップパネル列51R毎に形成してもよい。例えば、全てのトップ太陽電池パネル51をバイパスするバイパスラインを形成してもよい。いずれの場合であっても、ボトムモジュール10のボトム太陽電池パネル11、およびトップモジュール50のトップ太陽電池パネル51は、厚さ方向でトップモジュール50のフレキシブル基板およびバイパスダイオードの両端間に配置されていることが望ましい。
【0050】
また、上記実施形態では、バイパスダイオード40は、フレキシブル基板30の表側の面に実装されている。しかし、バイパスダイオードは、フレキシブル基板の裏面に実装されていてもよい。この場合であっても、太陽電池パネルが厚さ方向でフレキシブル基板およびバイパスダイオードの両端間に配置されていれば、上述した作用効果を奏する。光入射面の凹凸を抑制するには、バイパスダイオード40をフレキシブル基板30の裏面に実装することがより好ましい。
【0051】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、タンデム型太陽電池は、バイパスダイオードが実装されてボトム太陽電池パネルのバイパスラインを形成するフレキシブル基板を備える。この構成によれば、ジャンクションボックスへのバイパスダイオードの配置、および太陽電池パネルとジャンクションボックスとを接続するバスバーの設置を省略できる。したがって、タンデム型太陽電池の軽量化を図ることができる。さらに、ボトム太陽電池パネルは、厚さ方向でフレキシブル基板およびバイパスダイオードの両端間に配置されている。これにより、バイパスダイオードがフレキシブル基板から大きく突出していても、フレキシブル基板およびバイパスダイオードからなる部材がボトム太陽電池パネルから表側または裏側に大きく突出することを抑制できる。したがって、タンデム型太陽電池の光入射面に凹凸が発生することを抑制しつつ、タンデム型太陽電池を薄型化して軽量化を図ることができる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。