(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】腫瘍切除用のマルチプローブ統合電熱モジュール(ETM)装置を使用するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/08 20060101AFI20240902BHJP
A61B 18/02 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61B18/08
A61B18/02
(21)【出願番号】P 2022561459
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 US2020027369
(87)【国際公開番号】W WO2021206714
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】シン,アシーム
(72)【発明者】
【氏名】アケレレ-アレ,オラディポ・ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ラミレス,ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】モール,エリック
(72)【発明者】
【氏名】エルドレッド,ダニエル
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07238184(US,B2)
【文献】特開平07-110175(JP,A)
【文献】特表2007-527728(JP,A)
【文献】特開2005-278715(JP,A)
【文献】特開2006-130055(JP,A)
【文献】特表2019-501679(JP,A)
【文献】国際公開第2019/197996(WO,A1)
【文献】特表2013-509966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/08
A61B 18/02
A61B 18/00
A61F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍切除プローブ装置を利用して温度プロファイルの精度を制御しながら腫瘍を切除するためのシステムであって、
腫瘍切除プローブ装置であって、
複数の電熱モジュール(ETM)が配設される装置面を備え、前記腫瘍切除プローブ装置の遠位端
に、
腫瘍に突き入るように構成された先端が設けられると共に、前記装置面上で
前記先端に対して近位に配設された
前記複数の電熱モジュール(ETM)
が設けられ、各ETMが、第1の表面要素と、前記第1の表面要素の反対側にあって前記第1の表面要素に対して
pn結合を介して電気的に接続されている第2の表面要素と、を含む、腫瘍切除プローブ装置と、
前記腫瘍切除プローブ装置と非一時的コンピュータ記憶媒体とに対して通信可能に結合された回路コントローラと、
を備えるシステムにおいて、前記非一時的コンピュータ記憶媒体は命令を記憶しており、命令が前記回路コントローラによって実行されると、前記システムが、
前記回路コントローラによって、前記複数のETMのうち少なくとも1つのETMに、第1の極性の第1の電圧および前記第1の極性とは逆の第2の極性の第2の電圧のうち1つを供給し、ここにおいて、前記少なくとも1つのETMが、前記第1の極性を与えられると、前記第1の表面要素を加熱すると共に前記第2の表面要素を冷却し、前記第2の極性を与えられると、前記第1の表面要素を冷却すると共に前記第2の表面要素を加熱し、
前記システムが、前記回路コントローラによって、時間シーケンスサイクルを基に、前記第1の極性と前記第2の極性とを繰り返し交番させ、各ETMが、前記回路コントローラによって個別に制御されるように構成されている、システム。
【請求項2】
腫瘍を切除するためのシステムであって、前記回路コントローラに、前記非一時的コンピュータ記憶媒体に記憶されたさらなる命令を実行させることにより、前記複数のETMのうち前記少なくとも1つのETMに、前記第1の極性の前記第1の電圧および前記第2の極性の前記第2の電圧のうち1つを供給し、前記複数のETMのうち少なくとも1つの他のETMには供給しない、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記遠位端
に、前記複数のETMのうち前記少なくとも1つのETM
が配設される第1のプローブアームと、前記複数のETMのうち少なくとも1つの他ETM
が配設される第2のプローブアームと、が設けられ、前記第1のプローブアームおよび前記第2のプローブアームの各々が、前記回路コントローラによって個別に制御されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の極性が正であって前記第2の極性が負である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の極性が負であって前記第2の極性が正である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の電圧が前記第2の電圧と等しい、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の電圧が前記第2の電圧とは異なる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記時間シーケンスサイクルが約2秒~約5秒である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのETMが、前記第1の極性を与えられると、前記第1の表面要素を約45℃~約50℃に加熱し、前記第2の極性を与えられると、前記第1の表面要素を約-10℃に冷却する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
各ETMの前記第1の表面要素が、pn結合を介して、各ETMの前記第2の表面要素に対して電気的に接続されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書は、概して、癌を治療するための医療機器に関し、より詳細には、腫瘍壊死を達成するために患者の体内の治療エリアにおける腫瘍を切除するように構成されて動作可能な医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]腫瘍成長に対処するための一般的な治療は、侵襲性の外科的切除技法および侵襲性が最小限の切除技法を含む。無線周波数(RF)治療は容認された切除技法である。一般に、RF治療は、腫瘍を完全に崩壊させようとすると困難に直面することがある。さらに、RF治療は、疾病領域の内部のプローブ設定に関する他の潜在的な併発症とともに、周囲の健康な組織の領域への熱伝達など、腫瘍縁の画定が不正確になる可能性があるため、切除の対象とされた領域を超えた組織の領域に影響を及ぼす。直接的な(熱)切除または間接的な熱(マイクロ波)切除を引き起こす他の治療方法にも、類似の併発症が起こる可能性がある。
【0003】
[0003]したがって、影響が及ぶ位置に関して、外部領域を避けながら不健康な組織を切除するために、優れた腫瘍縁を維持する一方で腫瘍壊死を強化するように、影響が及ぶ位置において温度プロファイルを正確に制御する腫瘍切除システムおよび方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]一実施形態では、腫瘍切除プローブ装置を利用して温度プロファイルの精度を制御しながら腫瘍を切除するためのシステムは、腫瘍切除プローブ装置と、腫瘍切除プローブ装置と非一時的コンピュータ記憶媒体とに対して通信可能に結合された回路コントローラと、を含み得る。遠位端は、装置面上で近位に配設された複数の電熱モジュール(ETM)を含み得る。各ETMが、第1の表面要素と、第1の表面要素の反対側にあって第1の表面要素に対して電気的に接続されている第2の表面要素と、を含み得る。非一時的コンピュータ記憶媒体は命令を記憶しており、命令が回路コントローラによって実行されると、システムは、回路コントローラによって、複数のETMのうち少なくとも1つのETMに、第1の極性の第1の電圧および第1の極性とは逆の第2の極性の第2の電圧のうち1つを供給し、回路コントローラによって時間シーケンスサイクルを基に、第1の極性と第2の極性とを繰り返し交番させる。少なくとも1つのETMが、第1の極性を与えられると、第1の表面要素を加熱すると共に第2の表面要素を冷却する。この、少なくとも1つのETMは、第2の極性を与えられると、第1の表面要素を冷却すると共に第2の表面要素を加熱する。各ETMは、回路コントローラによって個別に制御されるように構成され得る。
【0005】
[0005]他の1つの実施形態では、腫瘍切除プローブ装置を利用して温度プロファイルの精度を制御しながら腫瘍を切除するための方法は、腫瘍切除プローブ装置の遠位端を組織に配設するステップを含み得、遠位端は、装置面上で近位に配設された複数の電熱モジュール(ETM)を備える。各ETMが、第1の表面要素と、第1の表面要素の反対側にあって第1の表面要素に対して電気的に接続されている第2の表面要素と、を含み得る。この方法は、腫瘍切除プローブ装置に対して通信可能に結合された回路コントローラによって、複数のETMのうち少なくとも1つのETMに、第1の極性の第1の電圧および第1の極性とは逆の第2の極性の第2の電圧のうち1つを供給するステップをさらに含み得る。少なくとも1つのETMは、第1の極性を与えられると、第1の表面要素を加熱すると共に第2の表面要素を冷却し、第2の極性を与えられると、第1の表面要素を冷却すると共に第2の表面要素を加熱する。この方法は、回路コントローラによって、時間シーケンスサイクルを使用して第1の極性と第2の極性とを繰り返し交番させるステップをさらに含み得る。各ETMは、回路コントローラによって個別に制御されるように構成され得る。
【0006】
[0006]別の実施形態では、腫瘍切除プローブ装置を利用して温度プロファイルの精度を制御しながら腫瘍を切除するための方法は、腫瘍切除プローブ装置の遠位端を組織に配設するステップであって、遠位端が第1のプローブアーム上の少なくとも1つの電熱モジュール(ETM)および第2のプローブアーム上の少なくとも1つのETMを備える、ステップと、腫瘍切除プローブ装置に対して通信可能に結合された回路コントローラによって、第1のプローブアーム上の少なくとも1つのETM、第2のプローブアーム上の少なくとも1つのETM、またはその両方に、1つまたは複数の電圧を供給されるETMとして、第1の極性の第1の電圧および第1の極性とは逆の第2の極性の第2の電圧のうち1つを供給するステップと、を含み得る。各ETMが、第1の表面要素と、第1の表面要素の反対側にあって第1の表面要素に対して電気的に接続されている第2の表面要素と、を含み得る。第1の極性が与えられると、電圧を供給された1つまたは複数のETMが、それぞれ第1の表面要素を加熱すると共に第2の表面要素を冷却する。第2の極性が与えられると、電圧を供給された1つまたは複数のETMが、それぞれ第1の表面要素を冷却すると共に第2の表面要素を加熱する。この方法は、回路コントローラによって、時間シーケンスサイクルを使用して第1の極性と第2の極性とを繰り返し交番させるステップをさらに含み得る。第1のプローブアームおよび第2のプローブアームの各々が、回路コントローラによって個別に制御されるように構成され得る。
【0007】
[0007]本明細書で説明された実施形態によって提供されるこれらの機能およびさらなる機能は、以下の詳細な説明を図面に関連して考慮すれば、より十分に理解されよう。
[0008]図面に明記される実施形態は、本質的に、例証となる具体例であり、特許請求の範囲によって定義される主題を制限するように意図されたものではない。例証となる実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面とともに読み取られたとき理解され得、類似の構造体は類似の参照数字で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0009]本明細書に示されて説明された1つまたは複数の実施形態による、統合電熱モジュール(ETM)を含む複数のプローブを有する腫瘍切除プローブ装置の側面斜視図である。
【
図2】[0010]本明細書に示されて説明された1つまたは複数の実施形態による、腫瘍を治療するために使用される
図1の腫瘍切除プローブ装置の側面図である。
【
図3】[0011]本明細書に示されて説明された1つまたは複数の実施形態による、
図1の腫瘍切除プローブ装置の一実施形態の側立面図である。
【
図4】[0012]本明細書に示されて説明された1つまたは複数の実施形態による、バルーン開口部を含む別の腫瘍切除プローブ装置のカテーテルの別の実施形態の側面図である。
【
図5】[0013]本明細書に示されて説明された1つまたは複数の実施形態による、
図4のカテーテルとともに使用するETMを含むバルーンを有するニードルの側面図である。
【
図6】[0014]本明細書に示されて説明された1つまたは複数の実施形態による、統合ETMが装着されているニードルを含む別の腫瘍切除プローブ装置の側面図である。
【
図7】[0015]本明細書に示されて説明された1つまたは複数の実施形態による、統合ETMを有するリブ付きコーンを含む別の腫瘍切除プローブ装置の側面図である。
【
図8】[0016]本明細書に示されて説明された1つまたは複数の実施形態による、
図7のリブ付きコーンが広がったり引っ込んだりするように構成された開口部を含むカテーテルの側面図である。
【
図9】[0017]本明細書に示されて説明された1つまたは複数の実施形態による、統合電熱モジュール(ETM)の斜視図である。
【
図10】[0018]本明細書に示されて説明された1つまたは複数の実施形態による、
図1~
図9の腫瘍切除プローブ装置システムを使用するための処理のフローチャートである。
【
図11】[0019]本明細書に示されて説明された1つまたは複数の実施形態による、
図1~
図9の腫瘍切除プローブ装置システムを使用するための別の処理のフローチャートである。
【
図12】[0020]本明細書に示されて説明された1つまたは複数の実施形態による、
図1~
図9の腫瘍切除プローブ装置システムを利用するために、コンピュータおよびソフトウェアベースの方法を実施するためのシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0021]図を全般的に参照して、本開示の実施形態は、本明細書で説明される腫瘍切除プローブ装置を利用して腫瘍を切除するためのシステムおよび方法を対象とするものである。そのようなシステムおよび方法の様々な実施形態が、本明細書で詳細に説明される。
【0010】
[0022]腫瘍切除は、肝臓、肺、腎臓、および骨などの腫瘍を治療するために使用され得る、侵襲性が最小限の処置である。腫瘍の切除中に、周囲の組織を、-40℃未満の細胞傷害性レベルに冷却するかまたは60℃超の細胞傷害性レベルに加熱するように、熱エネルギーが使用される。腫瘍切除は、無線周波数(RF)、熱、マイクロ波、化学処理、画像下治療、レーザ、高強度合焦超音波、限局照射、腫瘍に関連した組織を破壊する(たとえば組織を壊死させる)ために超低温を使用する凍結切除、および不可逆性の電気穿孔法などの理学療法を使用し得る。そのような治療は、特に腫瘍縁がうまく画定されないとき、腫瘍を十分に破壊できない可能性がある。その上、周囲の健康な組織を切除することから、併発症が生じる可能性がある。
【0011】
[0023]本明細書で説明される腫瘍切除プローブ装置については、プローブまたはカテーテルの遠位端に電熱モジュール(ETM)が組み込まれており、熱変調(たとえば同一の装置による加熱/冷却の切換え)によって、変調された腫瘍切除縁の内部で腫瘍壊死が達成される。ETMは、全体的なニードル/プローブ設計の内部に収容された複数のプローブ上に組み込まれ得る。そのような、個々の、別々に移動可能な、別々に制御されるプローブが、腫瘍の中に進出して活性化されると、加熱と冷凍のサイクリングを引き起こして、正確な腫瘍縁の内部の腫瘍壊死をもたらす。
【0012】
[0024]ETMは、ゼーベック発電器などの熱電発電器であり得る。ゼーベック発電器は、温度差を(たとえば2つの電気的に接続された接合間の温度差が接合間の電磁力を生成するゼーベック効果現象によって)電気エネルギーに直接変換するものである。ゼーベック発電器は、電圧を印加されると、電圧の大きさおよび極性に依拠して(たとえば、2つの電気的に接続された接合にわたって電圧を印加すると接合間の温度差をもたらすペルチエ効果現象によって)、逆に加熱器または冷却器として作動し得る。
【0013】
[0025]本明細書で説明される、装置、システム、および方法に含まれる、ETMを組み込んだ装置は、生成される熱量を正確に制御し、腫瘍に、直接、急速な加熱/冷却のサイクリングをもたらして腫瘍壊死を促進し、一方、周囲の健康な組織に対するリスクの最小限に抑えながら、合焦される領域に対する温度制御の正確さによって腫瘍縁を維持する。本明細書で説明される腫瘍切除プローブ装置は、複数の別個に移動可能かつ制御可能なプローブアームを含み得、各プローブアームが、pn結合で作製された1つまたは複数のETMと、(たとえば
図12に関して以下でより詳細に説明されるプロセッサ704によって)正確に温度制御される縁の内部の腫瘍壊死をもたらすように加熱と冷却とを繰り返し交番させるように構成された関連した回路とを含む。たとえば、ETMは、プローブ装置のプローブアームのまわりに配置されてよく、プローブアームは腫瘍領域へと個々に延在してよい。実施形態において、ETMは、プローブ装置のプローブアームのまわりに間隔をおいて配置されてよく、プローブ装置のプローブアームに組み込まれてよく、またはこれらの組合せでもよい。ハンドルは、プローブが腫瘍に挿入される深さを追跡し得る。
【0014】
[0026]
図1を参照して、腫瘍切除プローブ装置100は、中間の面104、遠位端106、および近位端108を有するプローブ102を含む。遠位端106は、腫瘍に突き入るように構成された先端110を含む。中間の面104には複数の開口部114が画定されている。複数の開口部114は、中間の面104のまわりで、同心かつ等間隔に示されているが、中間の面104のまわりで、不均等間隔に、かつ/または位置をずらして配設されてもよい。あるいは、腫瘍切除プローブ装置100は1つの開口部114を含み得る。近位端108は、複数のプローブアーム116をそれぞれ受け入れて収容するように構成された複数の開口112を含む。それぞれのプローブアーム116が、個々に、かつ/または独立して、中間の面104のそれぞれの開口114から伸びたり、それぞれの開口114の中に引っ込んだりするように構成されている。
【0015】
[0027]各プローブアーム116には、1つまたは複数の電熱モジュール(ETM)118が組み込まれている。各プローブアーム116が、腫瘍の一部に突き入るように構成された遠位の突入部分を含み得る。実施形態では、腫瘍切除プローブ装置100は、統合ETM 118に供給する入力電力の極性を切り換えるように構成されたコントローラ回路を含むハンドヘルドデバイスによって(たとえば
図12に関して以下でより詳細に説明されるプロセッサ704によって)制御される、準剛体、剛体、カテーテルベース、または類似のタイプでよい。所定の時間シーケンスサイクル上の、そのような繰り返し交番される極性切換えは、組織壊死をもたらすように侵襲性が最小限のやり方で腫瘍部位に導入されるETM 118の加熱サイクルと冷却サイクルとの所定のサイクリングに対応し、影響を及ぼす。腫瘍切除プローブ装置100は、バッテリー駆動でよく、かつ/または入力電力を供給するための電源を利用してもよい。
【0016】
[0028]
図2を参照すると、腫瘍部位125において腫瘍124の中に進出した腫瘍切除プローブ装置100が示されている。腫瘍切除プローブ装置100は、先端110が腫瘍124の内部に配設されるとき、腫瘍124の中への、ETM 118を含むプローブアーム116の進出または引っ込みを追跡するためのメトリック表示器構成要素122を含むハンドル120をさらに含む。メトリック表示器構成要素122は、そのような進出を、センチメートル、ミリメートル、インチ、または長さの他の慣用単位で測定し得る。したがって、メトリック表示器構成要素122は、プローブアーム116の延在された長さまたは収縮された長さを判定するために個々のプローブアーム116に関連付けられ得る測定システムをもたらす。実施形態では、腫瘍切除プローブ装置100に1つまたは複数のメトリック表示器構成要素122が含まれ得る。限定ではなく例として、各プローブアーム116がそれぞれのメトリック表示器構成要素122を含み得る。
【0017】
[0029]
図3を参照して、以下で説明される差異を除いて腫瘍切除プローブ装置100と同様の腫瘍切除プローブ装置100’の一実施形態が示されている。腫瘍切除プローブ装置は、ずらして配置された開口部114Aおよび114Bを含めて、複数の開口部114を含み得る。一実施形態では、腫瘍切除プローブ装置100’は、近位端108に、6.0mmの直径130および1.0mmの壁厚さ132を有する開口部を含む。プローブ装置100’の直径130の開口部は、これも6.0mmの直径を含む内部ルーメンとしてプローブ装置100’の中に延在する。腫瘍切除プローブ装置100’は、縦軸に沿って分離された、中間の面104の第1の半部134および第2の半部144をさらに含む。ずらして配置された開口部114Aおよび114Bは、それぞれ4.5mmの開口部長さ136、140を含み得、最も近い端の間が、2.0mmの距離138だけずらして配置され得る。それぞれのプローブアーム116(
図2)は、それぞれのずらされた開口部114A、114Bを通って延在するように構成され得る。ずらされた開口部114A、114Bは、縦方向にずらされてよく、角度的にずらされてよく、軸方向にずらされてよく、半径方向にずらされてよく、またはこれらの組合せでよい。ずらされた開口部114A、114Bは、180度のオフセットなど、角度的に互いからオフセットされてよい。ずらされた開口部114A、114Bは、プローブ装置100’の周囲の半分未満のサイズに構成されてよい。一実施形態では、遠位端106に最も近い、ずらされた開口部114Bは、遠位端106の先端110の始まりから、10mmの距離142だけ間隔をおいて配置される。腫瘍切除プローブ装置100’は、近位端108と遠位端106の先端110との間に200mmの長さ146を含み得る。
【0018】
[0030]
図4および
図5を参照すると、ETM 118は、腫瘍切除プローブ装置200のそれぞれのバルーン開口部214を通って外に拡大するように構成されたバルーン230に取り付けられている。
図4に示された腫瘍切除プローブ装置200は、
図5の(たとえばプローブアームの一実施形態としての)ニードル216を包むためのプローブ202を含む。ニードルはプローブアームの一実施形態であるので、本開示の範囲内のニードルへの参照は、本明細書で説明されたようなプローブアームへの参照であることを理解されたい。ニードル216は複数のバルーン230を含み、これらに1つまたは複数のETM 118が配設される。
図5の実施形態では、向かい合った6つのバルーン230が均一に配設されているが、本開示の範囲内で、種々の数のバルーンおよび/または種々の間隔のバルーンが利用され得ることが理解される。実施形態において、各バルーン230の様々な位置に、約2つ~5つのETM 118が配置され得る。ニードル216はステンレス鋼製であり得る。プローブ202は、あるいはカテーテルであり得る。プローブ202はステンレス鋼製であり得る。
【0019】
[0031]プローブ202は、プローブ202の遠位端206と近位端208との間に配設された中間の面204を含む。中間の面204は、ニードル216のそれぞれのバルーン230の進出および/または引っ込みを可能にするように寸法設定して成形された複数のバルーン開口部214を含む。遠位端206は、中間の面204から延在する先端210を含む。ニードルハウジング開口部211は、中間の面204の縁と先端210の少なくとも一部とによって画定され、遠位端206と近位端208との間の内部ルーメンとして延在する。ニードルハウジング開口部は、複数のバルーン230がそれぞれの複数のバルーン開口部214と位置合わせされるような位置にニードル216を収容するように構成されている。実施形態では、ニードル216の先端は、先端210の端を超えて延びてもよいし、ニードルハウジング開口部211の中で移動可能であってもよいし、ニードルハウジング開口部211の中のままであってもよいし、またはこれらの組合せでもよい。
【0020】
[0032]使用中に、腫瘍切除プローブ装置200は腫瘍部位において腫瘍の中に進出する。バルーン230は、圧力で膨張するとそれぞれのバルーン開口部214を通って進出し、したがって、各バルーン230上のETM118がバルーン230とともに複数のバルーン開口部214を通って突出し、腫瘍部位において腫瘍と同じ高さに位置する。以下でより詳細に説明されるように、加熱/冷却サイクルによるETM 118の処置が、手動で、自動的に、または一部分は自動的に制御されるように、ETM 118に対して電気エネルギーが供給される。そのような局部加熱/冷却は、ETM 118が所望の腫瘍縁の内部で正確に制御されるやり方で、直接接触する腫瘍または組織の壊死をもたらす。このように、本明細書で説明した腫瘍切除プローブ装置200などの腫瘍切除プローブ装置により、影響が及ぶ腫瘍部位において、温度プロファイルにわたる正確な制御が達成され得る。本明細書で説明された腫瘍切除プローブ装置は、正確に制御された腫瘍壊死をより効果的にもたらす、侵襲性が最小限の用途に適するものである。圧力を解除すると、複数のバルーン230がしぼんで、ETM 118とともに複数のバルーン開口部214に引っ込む。
【0021】
[0033]
図6を参照して、別の実施形態では、ETM 118は、ニードル316に対して、腫瘍切除プローブ装置300の遠位端306の近くの近位に装着されている。腫瘍切除プローブ装置300が腫瘍に進出して、ETMが腫瘍と同じ高さに位置するとき、以下でさらに説明されるように、ETM 118にエネルギーが供給され、加熱/冷却サイクルを与えて腫瘍を壊死させる。
【0022】
[0034]
図7および
図8を参照して、腫瘍切除プローブ装置400の遠位端406における(たとえばプローブの一実施形態としての)カテーテル402の開口部460から広がって出たり、引っ込んだりするように構成されたリブ付きコーン440上に、ETM 118が装着されている。実施形態では、ETM 118は、リブ付きコーン440の外表面に装着されてよく、リブ付きコーン440の内表面に装着されて、リブ付きコーン440の対向した面を通って延在してよく、またはこれらの組合せでもよい。
図7に示されるように、リブ付きコーン440は、
図8のカテーテル402の内部でスライド可能に構成されたニードル416の遠位端に配設されている。
【0023】
[0035]
図9を参照して、例示的なETM 118が示されている。ETM 118は、第1の表面要素150と、第1の表面要素150の反対側の第2の表面要素152とを含む。第1の表面要素150および第2の表面要素152は、セラミックまたは他の適切な導体材料で作製され得る。表面要素150、152に電流を送る回路によって表面要素150、152にエネルギーを与えるために、第1の表面要素150と第2の表面要素152との間にpn結合のような電気的接合が配設されている。実施形態では、ETM 118は、電気的接合としてのpn結合154を含む半導体モジュールである。pn結合は、たとえば、与えられた第1の極性が、第1の表面要素150などの1つの面/表面領域を加熱して第2の表面要素152などの反対面を冷却し、与えられた、第1の極性とは逆の第2の極性が、たとえば第1の表面要素150を冷却してたとえば第2の表面要素152を加熱するように構成されている。そのようなpn結合154は、p型半導体材料およびn型半導体材料を含む接続器によって表面要素150と152とを電気的に接続し、この接続器は、本開示では、関連する極性によって制御された方向に電流が通ることを可能にするものである。実施形態では、サイクリングおよび加熱と冷却との温度範囲を制御するための回路が採用され得る。限定ではなく例として、第1の表面要素150が約45℃~約50℃の温度に加熱されてよく、第2の表面要素152は冷却される。一実施形態では、第2の表面要素は約-10℃に冷却されてよい。次いで、極性が反転されて、第1の表面要素が約-10℃に冷却され、第2の表面要素152が加熱され得る。一実施形態では、第2の表面要素152は約45℃~約50℃の温度に加熱され得る。次いで、極性が再び反転されて、第1の表面要素150が約45℃~約50℃の温度に加熱され、第2の表面要素152は冷却される。極性は、所望の臨床成績をもたらすのに十分な回数まで反転されてよい。極性反転は、所望の臨床成績をもたらすために作業者によって決定されたような時間シーケンスサイクルの周波数で生じ得る。例示の実施形態では、極性反転は、各極性反転の間の約2秒の切換え周期によって規定される時間シーケンスサイクルの周波数で生じ得る。
【0024】
[0036]本明細書で説明された腫瘍切除プローブ装置は、加熱サイクルと冷却サイクルとの交番を繰り返し制御することによって温度プロファイルを制御するために、ETM 118に向けられる入力電力の極性をリレーまたはスイッチ基板などによって切り換えるように構成されたコントローラ回路を含む。コントローラ回路は、たとえば、腫瘍部位に導入されるETM 118における所定の加熱と冷却とのサイクリングを制御して、加熱/冷却サイクルを切り換えることにより、ETM 118が接触する領域の組織/腫瘍の壊死などの所望の臨床成績をもたらすように構成されている。コントローラ回路は、ETM 118に供給される入力電圧の極性を切り換えて、ETM 118の対向する表面要素150と152とに、対応する加熱と冷却との所定のサイクリングをもたらすように、あらかじめプログラムされてよく、手動で制御されてもよい。ETM 118は、コントローラ回路から受けた入力電圧の極性を基に個々に制御されて、各ETM 118に種々の温度を出力するように設定され得る。したがって、特定の腫瘍位置に関して所定の閾値範囲内の腫瘍縁において腫瘍を切除するために、ETM 118の温度プロフィルにわたって、腫瘍の所望の領域の所定の閾値範囲内の腫瘍切除が達成され得、制御された腫瘍縁における制御された局所的腫瘍切除をもたらす。
【0025】
[0037]一実施形態では、スイッチが、供給された電圧の極性を変化させるように構成される。一実施形態では、たとえば+5Vの入力が、制御された時間シーケンスサイクルの後に、たとえば-5Vの入力に切り換えられ得る。本開示の範囲内で、電圧の他の大きさが可能であることが企図される。本開示の範囲内で、電圧を、同じ大きさで反対の極性に切り換えるよりも、むしろ、大きさも異なる反対の極性に切り換え得ることがさらに企図される。ETM 118の第1の表面要素150または第2の表面要素152に結果として生じる温度は、電圧の大きさに少なくとも部分的に基づき得る。制御された時間シーケンスサイクルは、約2秒ごと~約5秒ごとでよい。そのようなシナリオでは、ETM 118は、+5Vでは、第1の表面要素150を加熱して腫瘍を加熱し、第2の表面要素152を加熱して腫瘍を冷却するが、-5Vでは、第1の表面要素150を冷却して腫瘍を冷却し、第2の表面要素152を加熱して腫瘍を加熱する。
【0026】
[0038]本明細書で説明された腫瘍切除プローブ装置100、200、300、400は、ニードル、カテーテル、またはハイポチューブなどのプローブアームを含み得る。本明細書で説明されたプローブ102、202、402およびプローブアーム116、216、316、416などの、腫瘍切除プローブ装置の様々な構成要素は、金属、合金、ポリマー、3D印刷物、またはこれらの組合せで作製され得る。腫瘍切除プローブ装置のベースプローブは、
図1のプローブアーム116に関して示されたものなど、全長に沿って、かつ/または周囲のまわりに分岐する、ETM 118の複数の段(tier)を含み得る。腫瘍切除プローブ装置は、使い捨て式でも非使い捨て式でもよい。腫瘍切除プローブ装置は、内蔵バッテリーによって電力を供給されるバッテリー駆動式でよく、かつ/または腫瘍切除プローブ装置に電圧を供給するように電子的に結合された外部電装品によって電力を供給されてもよい。
【0027】
[0039]本明細書で説明された腫瘍切除プローブ装置は、生成される熱量を正確に制御するとともに、急速な加熱/冷却サイクリングを与えるように構成されている。そのような構成は、優れた腫瘍縁を維持しながら腫瘍壊死を強化する。たとえば、それぞれのETM 118によって、本明細書で説明されたようにそのような急速な加熱/冷却を与えられる腫瘍の組織の領域は影響を受けるものであり、その影響は、当該影響を受ける組織の範囲内にぴったりくっついて配設されて上記加熱/冷却を与えるETM 118の第1の表面要素150または第2の表面要素152の表面積に基づいている。それぞれのETM 118の第1の表面要素150または第2の表面要素150に供給される電圧の大きさおよび極性、ならびに、本明細書で説明されたようにそれぞれのETM 118の第1の表面要素150と第2の表面要素150との間に配設された1つまたは複数のpn結合の構成は、所望の腫瘍縁の内部の腫瘍壊死をもたらすための急速な加熱/冷却サイクリングに寄与するパラメータである。したがって、本明細書で説明された装置は、装置のETM 118に印加される電圧の少なくとも大きさおよび方向を制御し、そのような正確な温度制御の結果として腫瘍壊死領域の精度を向上することによって、温度を正確に制御するものである。腫瘍壊死領域の結果として生じる領域は、正確な温度制御によって確立された温度プロファイルによって少なくとも部分的に決定されるものであり、温度は、時間シーケンスサイクル中にETM 118に印加される電圧の大きさおよび極性によって制御され、電圧の極性は繰り返し交番される。本明細書で説明されたように、1つまたは複数のETM 118によって、腫瘍に対して、制御された温度プロファイルが与えられ、正確な腫瘍縁の内部領域における腫瘍壊死を正確にもたらす。そのような精度の向上により、所望の領域の近くの望ましくない領域を切除することなく、所望の領域の内部ではより効果的に腫瘍を切除する。精度の向上により、そのような結果を、厳しい許容誤差の範囲内で再現することが可能になる。
【0028】
[0040]
図10は、本明細書で
図1~
図9を参照しながら説明された腫瘍切除プローブ装置100、100’、200、300、400とともに用いる処置500を示す。処置500は、腫瘍切除プローブ装置100、100’、200、300、400を利用して温度プロファイルの精度を制御しながら腫瘍を切除するための方法を含む。ブロック502において、腫瘍切除プローブ装置100、100’、200、300、400の遠位端106、206、306、406が、組織124に配設される。限定ではなく例として、遠位端106、206、306、406は、装置面上の複数のETMのうち少なくとも2つの電熱モジュール(ETM)118を含み、または近位に含み、それぞれのETM 118Aおよび118B(
図1)が、第1の表面要素150と、第1の表面要素150の反対側にあって第1の表面要素150と電気的に接続されている第2の表面要素152(
図9)とを含む。
【0029】
[0041]ブロック504において、第1の極性の第1の電圧および第1の極性とは逆の第2の極性の第2の電圧のうち一方が、腫瘍切除プローブ装置100、100’、200、300、400に対して通信可能に結合された回路コントローラによって、複数のETM 118のうち少なくとも1つのETM 118Aまたは118Bに供給される。実施形態において、少なくとも1つのETMが、第1の極性を与えられると、第1の表面要素150を加熱すると共に第2の表面要素152を冷却し、第2の極性を与えられると、第1の表面要素150を冷却すると共に第2の表面要素152を加熱する。各ETM118は、回路コントローラによって個別に制御されるように構成され得る。
【0030】
[0042]ブロック506、506’において、時間シーケンスサイクルに基づく極性の繰り返し交番のために極性を切り換えるように、回路コントローラによって、第1の極性の第1の電圧および第2の極性の第2の電圧のうち他方が、複数のETM 118のうち少なくとも1つのETM 118Aまたは118Bに供給される。ブロック508、508’において、時間シーケンスサイクルを基に、それぞれの第1のETM 118Aまたは第2のETM 118Bに対して、第1の極性の第1の電圧および第2の極性の第2の電圧のうち他方を用いて電圧が切り換えられる。一実施形態では、時間シーケンスサイクルは、ETM 118の加熱段階に関連した第1の時間シーケンスサイクルと、ETM 118の冷却段階に関連した、第1の時間シーケンスサイクルとは異なる第2の時間シーケンスサイクルとを含み得る。いずれの実施形態でも、第1の時間シーケンスサイクルと第2の時間シーケンスサイクルとが同一でも異なっても、処置500は、時間シーケンスサイクルを基に、回路コントローラによって第1の極性と第2の極性とを切り換えるステップを含む。非限定的な例として、時間シーケンスサイクルは約2秒~約5秒であり、少なくとも1つのETM 118Aが、第1の極性を与えられると、第1の表面要素150を約45℃~約50℃に加熱すると共に第2の表面要素152を冷却する。第2の表面要素152は約-10℃に冷却されてよい。少なくとも1つのETM 11Aは、第2の極性を与えられると、第1の表面要素150を約-10℃に冷却すると共に第2の表面要素152を加熱する。第2の表面要素152は約45℃~約50℃に加熱されてよい。
【0031】
[0043]遠位端106、206、306、406は、第1のプローブアーム116A上の少なくとも1つのETM 118Aおよび第2のプローブアーム116B(
図1)上の少なくとも1つのETM 118Bを含み得、または近位に含み得、第1のプローブアーム116Aおよび第2のプローブアーム116Bの各々が、回路コントローラによって個別に制御されるように構成され得る。実施形態において、同一のプローブアーム116上の各ETM 118が別個に制御されてよく、かつ/または、第1のプローブアーム116Aと第2のプローブアーム116Bなどの別々のプローブアーム116上の各ETM 118が別個に制御されてもよい。第2の極性が負になるように、第1の極性は正でよい。あるいは、第2の極性が正になるように、第1の極性は負でよい。第1の電圧は、第2の電圧と等しくても異なってもよい。
【0032】
[0044]実施形態において、第1の極性の第1の電圧および第2の極性の第2の電圧のうち1つが、電圧を供給されるETMとして、複数のETM 118のうちETM 118A、118Bの一方に供給され、他方には供給されない。したがって、電圧を供給されるETMは、本明細書で説明されたように、第1表面要素150または第2の表面要素152を、供給される電圧の極性に基づいて加熱または冷却し、電圧を供給されないETMは、それぞれの第1の表面要素150または第2の表面要素152を加熱することも冷却することもない。
【0033】
[0045]第1の表面要素150は、pn結合154を介して、第2の表面要素152と電気的に接続され得る。pn結合154は、材料の電荷キャリアが正の「正孔」であるp型半導体と、材料の電荷キャリアが負の電子であるn型半導体材料とを含む。電流の流れ方向は、印加される電圧の極性に基づいて制御され得る。限定ではなく例として、pn結合154はp型半導体材料に接合されたn型半導体材料を含み、正電圧を供給されたETM 118は、第1の表面要素150および第2の表面要素152のうち一方を加熱し、負電圧を供給されたETM 118は、第1の表面要素150および第2の表面要素152のうち他方を加熱する。
【0034】
[0046]
図11は、本明細書で説明された腫瘍切除プローブ装置100、100’、200、300、400とともに用いる処置600を示す。処置500は、腫瘍切除プローブ装置100、100’、200、300、400を利用して温度プロファイルの精度を制御しながら腫瘍を切除するための別の方法を含む。ブロック602において、腫瘍切除プローブ装置100、100’、200、300、400の遠位端106、206、306、406が、組織124に配設される。限定ではなく例として、遠位端106、206、306、406は、第1のプローブアーム116A上の少なくとも1つのETM 118A、および第2のプローブアーム116B上の少なくとも1つのETM 118Bを含み、それぞれのETM 118Aおよび118B(
図1)が、第1の表面要素150と、第1の表面要素150の反対側にあって第1の表面要素150と電気的に接続されている第2の表面要素152(
図9)とを含む。
【0035】
[0047]ブロック604において、第1の極性の第1の電圧および第1の極性とは逆の第2の極性の第2の電圧のうち一方が、腫瘍切除プローブ装置100、100’、200、300、400に対して通信可能に結合された回路コントローラによって、第1のプローブアーム116A上の少なくとも1つのETM 118A、第2のプローブアーム116B上の少なくとも1つのETM 118B、または両方に供給される。実施形態において、第1の極性は、第1の表面要素150を加熱して第2の表面要素152を冷却するように構成され、第2の極性は、第1の表面要素150を冷却して第2の表面要素152を加熱するように構成される。第1のプローブアーム116Aおよび第2のプローブアーム116Bなどの各プローブアーム116が、回路コントローラによって個別に制御されるように構成され得る。
【0036】
[0048]時間シーケンスサイクルに基づいて極性を繰り返し変化させて切り換えるために、ブロック606、606’において、回路コントローラによって、電圧を供給される1つまたは複数のETMとして、第1のプローブアーム116A上の少なくとも1つのETM 118A、第2のプローブアーム116B上の少なくとも1つのETM 118B、または両方に、第1の極性の第1の電圧および第2の極性の第2の電圧のうち他方が供給される。ブロック608、608’において、時間シーケンスサイクルを使用して、それぞれの第1のETM 118Aまたは第2のETM 118Bに対して、第1の極性の第1の電圧および第2の極性の第2の電圧のうち他方を用いて電圧が再び切り換えられる。処置600は、時間シーケンスサイクルを使用して、回路コントローラによって、第1の極性と第2の極性との間で繰り返し変化させることを含む。
【0037】
[0049]実施形態において、各ETM 118が回路コントローラによって個別に制御されるように構成され得、第1の極性は正または負のうち一方であり、第2の極性は他方であり、および/または第1の電圧と第2の電圧とは等しくても異なってもよい。
【0038】
[0050]
図12を参照して、
図1~
図9の腫瘍切除プローブ装置を利用するためのコンピュータおよびソフトウェアベースの方法ならびに
図10~
図11の処置を実施するためのシステム700が示されており、システム700は、たとえばユーザワークステーション(たとえばコンピュータ724)においてアクセス可能なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の使用と併せて実施され得る。システム700は、通信経路702、1つまたは複数のプロセッサ704、記憶構成要素706、本明細書で説明された腫瘍切除プローブ装置100、100’、200、300、400のいずれかであり得る腫瘍切除プローブ装置712、記憶機構またはデータベース714、切換え構成要素716、ネットワークインターフェースハードウェア718、サーバ720、ネットワーク722、および少なくとも1つのコンピュータ724を含む。システム700の様々な構成要素およびその相互作用が、以下で詳細に説明される。
【0039】
[0051]いくつかの実施形態では、システム700は、イントラネットもしくはインターネットなどの広域ネットワーク(WAN)またはネットワーク722、あるいはクラウドコンピューティングベースのネットワーク構成を含み得る他の有線または無線の通信ネットワークを使用して実施される。ワークステーションコンピュータ724は、ネットワークへの接続およびネットワークのナビゲーションを可能にするデジタルシステムおよび他の装置を含み得る。
図7に表されたラインは、様々な構成要素間の物理的接続ではなく通信を指示するものである。
【0040】
[0052]前述のように、システム700は通信経路702を含む。通信経路702は、たとえば、導電性ワイヤ、導電性パターン、光導波路、信号を伝送することができる他の媒体などの、信号を伝送することができる何らかの媒体または信号を伝送することができる媒体の組合せから形成され得る。通信経路702は、システム700の様々な構成要素を通信可能に結合する。本明細書で使用される「通信可能に結合された」という用語は、結合された構成要素同士が、たとえば導電性媒体を通る電気信号、空中の電磁気信号、光導波路を通る光信号、または対応するデータ信号交換媒体を通る他のデータ信号などを用いて、互いにデータ信号をやりとりし得ることを意味する。
【0041】
[0053]前述のように、システム700はプロセッサ704を含む。プロセッサ704は、機械可読命令を実行することができる任意の装置であり得る。したがって、プロセッサ704は、本明細書で説明された回路コントローラ、集積回路、マイクロチップ、コンピュータ、または任意の他のコンピューティングデバイスなどのコントローラであり得る。プロセッサ704は、通信経路702によって、システム700の他の構成要素に対して通信可能に結合される。したがって、通信経路702は、任意数のプロセッサを互いに通信可能に結合し得、通信経路302に結合されたモジュールが分散コンピューティング環境で動作することを可能にするものである。具体的には、モジュールの各々が、データを送受信し得るノードとして動作することができる。プロセッサ704は、システムモジュールから受け取った入力信号を処理し得、かつ/またはそのような信号から情報を抽出し得る。
【0042】
[0054]前述のように、システム700は、通信経路702に結合され、プロセッサ704に対して通信可能に結合された記憶構成要素706を含む。記憶構成要素706は、非一時的コンピュータ可読媒体または非一時的コンピュータ可読メモリでよく、不揮発性のコンピュータ可読媒体として構成され得る。記憶構成要素706は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、またはプロセッサ704によるアクセスおよび実行が可能な機械可読命令を記憶することができる任意の装置を備え得る。機械可読命令は、たとえば、プロセッサによって直接実行され得る機械語、あるいは、機械可読命令にコンパイルまたはアセンブルされ、記憶構成要素706に記憶され得る、アセンブリ言語、オブジェクト指向プログラミング(OOP)、スクリプト言語、マイクロコードなどの任意のプログラム言語で書かれた論理またはアルゴリズム(複数可)を含み得る。あるいは、機械可読命令は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)構成もしくは特定用途向け集積回路(ASIC)のいずれか、またはそれらの等価物によって実施される論理など、ハードウェア記述言語(HDL)で書かれてもよい。したがって、本明細書で説明された方法は、あらかじめプログラムされたハードウェア要素として、またはハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との組合せとして、任意の従来型コンピュータプログラミング言語で実施され得る。実施形態において、システム700が含み得るプロセッサ704は、命令を記憶している記憶構成要素706に対して通信可能に結合されており、命令を実行することにより、本明細書で説明された1つまたは複数の機能を実行する。
【0043】
[0055]引き続き
図12を参照して、前述のように、システム700は、たとえば情報、グラフ式レポート、メッセージ、またはそれらの組合せなどの視覚的出力を提供するために、コンピュータ724の画面上のGUIなどの表示器を含む。コンピュータ724は、プラットフォームにわたって1つまたは複数のコンピューティング装置を含み得、あるいは、プラットフォームにわたって、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、および/または他の高性能装置を含む可動性高性能装置などの装置に対して通信可能に結合され得る。表示器は、たとえばブラウン管、発光ダイオード、液晶表示器、プラズマ表示器、または他の光学的出力の伝送媒体など、光学的出力を伝送することができるあらゆる媒体を含み得る。加えて、表示器またはコンピュータ724は、プロセッサ704および記憶構成要素706のうち少なくとも1つを含み得ることが明記される。システム700は、
図12では1つの統合システムとして示されているが、他の実施形態では個別のシステムであり得る。
【0044】
[0056]システム700は、本明細書で説明されたように1つまたは複数のETM 118によって腫瘍壊死をもたらすための腫瘍切除プローブ装置712と、時間シーケンスサイクルによって電圧極性を繰り返し変化させ、熱プロファイルに影響を与えることによって腫瘍壊死を促進するために、組織に熱エネルギーを作用させるようにETM 118に給電して加熱と冷却とのサイクリングをもたらす切換え構成要素716と、を備える。腫瘍切除プローブ装置712および切換え構成要素716は、通信経路702に結合され、プロセッサ704に対して通信可能に結合されている。以下でより詳細に説明されるように、プロセッサ704は、システムモジュールから受け取った入力信号を処理してよく、かつ/またはそのような信号から情報を抽出してもよい。
【0045】
[0057]システム700は、ネットワーク722などのコンピュータネットワークと通信可能に結合するためのネットワークインターフェースハードウェア718を含む。通信経路702が、システム700の他のモジュールに対してネットワークインターフェースハードウェア718を通信可能に結合するように、通信経路702にはネットワークインターフェースハードウェア718が結合されている。ネットワークインターフェースハードウェア718は、無線ネットワークを通じてデータを送受信することができる任意の装置であり得る。したがって、ネットワークインターフェースハードウェア718は、何らかの無線通信規格に従ってデータを送受信するための通信トランシーバを含み得る。たとえば、ネットワークインターフェースハードウェア718は、たとえばワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)、WIMAX、BLUETOOTH(登録商標)、IRDA、無線USB、Z-WAVE、ZIGBEE(登録商標)、または他のチップセットなどの有線および/または無線のコンピュータネットワークにわたって通信するためのチップセット(たとえばアンテナ、プロセッサ、機械可読命令など)、を含み得る。
【0046】
[0058]引き続き
図12を参照して、コンピュータ724上で実行中の様々なアプリケーションからのデータが、コンピュータ724からネットワークインターフェースハードウェア318を介してシステム700に供給され得る。コンピュータ724は、ネットワークインターフェースハードウェア718およびネットワーク722と通信可能に結合するためのハードウェア(たとえばチップセット、プロセッサ、記憶装置等)を有する任意の装置であり得る。具体的には、コンピュータ724は、上記で説明された無線コンピュータネットワークのうちの1つまたは複数を通じて通信するためのアンテナを有する入力装置を含み得る。
【0047】
[0059]ネットワーク722は、たとえば、広域ネットワーク、都市域ネットワーク、インターネット、イントラネット、クラウド、衛星ネットワーク、または他のネットワークなどの任意の有線および/または無線のネットワークを含み得る。したがって、ネットワーク722は、コンピュータ724によって、1つまたは複数のサーバ(たとえばサーバ720)にアクセスするための無線アクセスポイントとして利用され得る。サーバ720およびあらゆる追加サーバが、一般に、ネットワーク722を通じてリソースを配送するためのプロセッサ、記憶装置、およびチップセットを含む。リソースは、サーバ720から、ネットワーク722を通じて、システム700に、たとえば処理、記憶、ソフトウェア、および情報を提供することを含み得る。加えて、サーバ720およびあらゆる追加サーバが、たとえばネットワークの有線部分、ネットワークの無線部分、またはこれらの組合せなどのネットワーク722を通じて互いにリソースを共有し得ることが注目される。
【0048】
[0060]項目のリスト
[0061]項目1。腫瘍切除プローブ装置を利用して温度プロファイルの精度を制御しながら腫瘍を切除するためのシステムは、遠位端を含む腫瘍切除プローブ装置を含み得、遠位端は、装置面上で近位に配設された複数の電熱モジュール(ETM)を備え、各ETMは、第1の表面要素と、第1の表面要素の反対側にあって第1の表面要素に対して電気的に接続されている第2の表面要素と、を含む。このシステムは、腫瘍切除プローブ装置と非一時的コンピュータ記録媒体とに対して通信可能に結合された回路コントローラをさらに含み得る。回路コントローラが、非一時的コンピュータ記憶媒体に記憶された命令を実行すると、このシステムは、回路コントローラによって、複数のETMのうち少なくとも1つのETMに、第1の極性の第1の電圧および第1の極性とは逆の第2の極性の第2の電圧のうち1つを供給し、時間シーケンスサイクルを使用して第1の極性と第2の極性とを繰り返し交番させ得る。少なくとも1つのETMが、第1の極性を与えられると、第1の表面要素を加熱すると共に第2の表面要素を冷却する。この、少なくとも1つのETMは、第2の極性を与えられると、第1の表面要素を冷却すると共に第2の表面要素を加熱し、各ETMは回路コントローラによって個別に制御されるように構成され得る。
【0049】
[0062]項目2。腫瘍を切除するためのシステムであって、回路コントローラに、非一時的コンピュータ記憶媒体に記憶されたさらなる命令を実行させることにより、複数のETMのうち少なくとも1つのETMに、第1の極性の第1の電圧および第2の極性の第2の電圧のうち1つを供給し、複数のETMのうち少なくとも1つの他のETMには供給しない、項目1に記載のシステム。
【0050】
[0063]項目3。遠位端が、第1のプローブアーム上の複数のETMのうち少なくとも1つのETMおよび第2のプローブアーム上の複数のETMのうち少なくとも1つのETMを含み、第1のプローブアームおよび第2のプローブアームの各々が、回路コントローラによって個別に制御されるように構成されている、項目2または3に記載のシステム。
【0051】
[0064]項目4。第1の極性が正であって第2の極性が負である、項目1から3のいずれか一項に記載のシステム。
[0065]項目5。第1の極性が負であって第2の極性が正である、項目1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【0052】
[0066]項目6。第1の電圧が第2の電圧と等しい、項目1から5のいずれか一項に記載のシステム。
[0067]項目7。第1の電圧が第2の電圧とは異なる、項目1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【0053】
[0068]項目8。時間シーケンスサイクルが約2秒~約5秒である、項目1から7のいずれか一項に記載のシステム。
[0069]項目9。少なくとも1つのETMが、第1の極性を与えられると、第1の表面要素を約45℃~約50℃に加熱し、第2の極性を与えられると、第1の表面要素を約-10℃に冷却する、項目1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【0054】
[0070]項目10。各ETMの第1の表面要素が、pn結合を介して、各ETMの第2の表面要素に対して電気的に接続されている、項目1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【0055】
[0071]項目11。腫瘍切除プローブ装置を利用して温度プロファイルの精度を制御しながら腫瘍を切除するための方法は、腫瘍切除プローブ装置の遠位端を組織に配設するステップを含み得、遠位端は、装置面上で近位に配設された複数の電熱モジュール(ETM)を備え、各ETMは、第1の表面要素と、第1の表面要素の反対側にあって第1の表面要素に対して電気的に接続されている第2の表面要素と、を含む。この方法は、腫瘍切除プローブ装置に対して通信可能に結合された回路コントローラによって、複数のETMのうち少なくとも1つのETMに、第1の極性の第1の電圧および第1の極性とは逆の第2の極性の第2の電圧のうち1つを供給するステップと、時間シーケンスサイクルを基に、回路コントローラによって第1の極性と第2の極性とを繰り返し交番させるステップと、をさらに含み得る。少なくとも1つのETMが、第1の極性を与えられると、第1の表面要素を加熱すると共に第2の表面要素を冷却する。この、少なくとも1つのETMは、第2の極性を与えられると、第1の表面要素を冷却すると共に第2の表面要素を加熱し、各ETMは回路コントローラによって個別に制御されるように構成され得る。
【0056】
[0072]項目12。第1の極性の第1の電圧および第2の極性の第2の電圧のうち1つが、複数のETMのうち少なくとも1つのETMに供給され、複数のETMのうち少なくとも1つの他のETMには供給されない、項目11に記載の方法。
【0057】
[0073]項目13。遠位端が、第1のプローブアーム上の複数のETMのうち少なくとも1つのETMおよび第2のプローブアーム上の複数のETMのうち少なくとも1つの他のETMを含み、第1のプローブアームおよび第2のプローブアームの各々が、回路コントローラによって個別に制御されるように構成されている、項目11または12に記載の方法。
【0058】
[0074]項目14。腫瘍切除プローブ装置を利用して温度プロファイルの精度を制御しながら腫瘍を切除するための方法は、腫瘍切除プローブ装置の遠位端を組織に配設するステップであって、遠位端が、第1のプローブアーム上の少なくとも1つの電熱モジュール(ETM)および第2のプローブアーム上の少なくとも1つのETMを備える、ステップと、腫瘍切除プローブ装置に対して通信可能に結合された回路コントローラによって、第1のプローブアーム上の少なくとも1つのETM、第2のプローブアーム上の少なくとも1つのETM、またはその両方に、1つまたは複数の電圧を供給されるETMとして、第1の極性の第1の電圧および第1の極性とは逆の第2の極性の第2の電圧のうち1つを供給するステップと、時間シーケンスサイクルを使用して、回路コントローラによって第1の極性と第2の極性とを繰り返し交番させるステップと、を含み得る。各ETMが、第1の表面要素と、第1の表面要素の反対側にあって第1の表面要素に対して電気的に接続されている第2の表面要素と、を含み得る。第1の極性が与えられると、電圧を供給された1つまたは複数のETMが、それぞれ第1の表面要素を加熱すると共に第2の表面要素を冷却する。第2の極性が与えられると、この、電圧を供給された1つまたは複数のETMが、それぞれ第1の表面要素を冷却すると共に第2の表面要素を加熱し、第1のプローブアームおよび第2のプローブアームの各々が、回路コントローラによって個別に制御されるように構成され得る。
【0059】
[0075]項目15。第1の極性の第1の電圧および第2の極性の第2の電圧のうち1つが供給されるとき、第1のプローブアーム上の少なくとも1つのETMおよび第2のプローブアーム上の少なくとも1つのETMのうち一方には供給され、第1のプローブアーム上の少なくとも1つのETMおよび第2のプローブアーム上の少なくとも1つのETMのうち他方には供給されない、項目14に記載の方法。
【0060】
[0076]項目16。各ETMが回路コントローラによって個別に制御されるように構成されている、項目14または15に記載の方法。
[0077]項目17。第1の極性が正であって第2の極性が負である、項目14から16のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
[0078]項目18。第1の極性が負であって第2の極性が正である、項目14から16のいずれか一項に記載の方法。
[0079]項目19。第1の電圧が第2の電圧と等しい、項目14から18のいずれか一項に記載の方法。
【0062】
[0080]項目20。第1の電圧が第2の電圧とは異なる、項目11から15のいずれか一項に記載の方法。
[0081]なお、「実質的に」、「約」、および「近似的に」という用語は、本明細書では、何らかの量的比較、値、測定、または他の表現に起因する不確実性の固有の程度を表すために利用され得ることに留意されたい。これらの用語は、本明細書では、量的表現が、当の主題の基本機能を変化させることなく、明示された基準から変化し得る程度を表すためにも利用される。
【0063】
[0082]特定の実施形態が本明細書で示され、説明されてきたが、様々な他の変更形態および修正形態が、特許請求される主題の趣旨および範囲から逸脱することなく作製され得ることを理解されたい。なおまた、本明細書では、特許請求される主題の様々な態様が説明されているが、そのような態様を一緒に利用する必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求される主題の範囲内のそのような変更形態および修正形態のすべてを対象として含むことが意図されている。