(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】腎機能を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20240902BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61B5/1455
A61B10/00 E
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023012922
(22)【出願日】2023-01-31
(62)【分割の表示】P 2020539061の分割
【原出願日】2019-01-16
【審査請求日】2023-02-22
(32)【優先日】2018-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501083115
【氏名又は名称】メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ロメロ、マイケル エフ.
(72)【発明者】
【氏名】カシャニ、キアヌーシュ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、ジョーダン ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ロッサノ、アダム ジェイ.
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-510436(JP,A)
【文献】特表2004-517041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0116512(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/03
5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血管系に送達され得る第1のトレーサー剤のボーラスを用いて前記患者の腎機能を決定するための方法であって、
前記第1のトレーサー剤は、健康な腎機能によって少なくとも実質的に除去されて、第1の励起波長における第1の励起光による励起に応答して第1の発光波長で第1の蛍光を放出するものであり、
前記方法は、
前記第1のトレーサー剤が前記第1の蛍光を放出するように、
鼓膜を含む第1の粘膜監視部位
の第1の粘膜励起部位で表在血管系の前記第1のトレーサー剤を励起して、前記第1の粘膜監視部位で前記患者の表在血管系に前記第1の励起光を経粘膜的に当てることと、
前記第1の粘膜監視部位
の第1の粘膜検出部位で前記第1のトレーサー剤から放出された前記第1の蛍光を経粘膜的に受光すること
であって、かつ、前記第1の粘膜検出部位が、前記第1の粘膜監視部位によって取り囲まれた第1の粘膜血管内の血液の流れ方向に従って、前記第1の粘膜励起部位の下流に配置されることと、
前記第1の蛍光の第1の蛍光発光を表す第1の蛍光信号を生成すべく、前記受光した第1の蛍光を変換することと、
前記第1の蛍光の第1の減衰率を決定すべく第1の蛍光信号を処理することと、
前記患者の糸球体濾過率を決定すべく、前記第1の蛍光の前記第1の減衰率を処理することと、を備える方法。
【請求項2】
前記第1の蛍光信号の第1の減衰率を決定するために前記第1の蛍光信号を処理することは、
10分以下の期間にわたって前記第1の蛍光信号を処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の蛍光信号を時間の関数として記録することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
患者の血管系に送達され得る第1のトレーサー剤のボーラスを用いて前記患者の腎機能を決定するための方法であって、
前記第1のトレーサー剤は、健康な腎機能によって少なくとも実質的に除去されて、第1の励起波長における第1の励起光による励起に応答して第1の発光波長で第1の蛍光を放出するものであり、
前記方法は、
前記第1のトレーサー剤が前記第1の蛍光を放出するように、第1の粘膜監視部位で表在血管系の前記第1のトレーサー剤を励起して、前記第1の粘膜監視部位で前記患者の表在血管系に前記第1の励起光を経粘膜的に当てることと、
前記第1の粘膜監視部位で前記第1のトレーサー剤から放出された前記第1の蛍光を経粘膜的に受光することと、
前記第1の蛍光の第1の蛍光発光を表す第1の蛍光信号を生成すべく、前記受光した第1の蛍光を変換することと、
前記第1の蛍光の第1の減衰率を決定すべく第1の蛍光信号を処理することと、
前記患者の糸球体濾過率を決定すべく、前記第1の蛍光の前記第1の減衰率を処理することと、を備え、
前記第1の励起光を経粘膜的に当てることは、前記患者の舌小帯の両側面で前記第1の励起光を経粘膜的に当てることを含み、
前記第1の蛍光を受光することは、前記患者の舌小帯の両側面で前記第1の蛍光を経粘膜的に受光することを含む、方法。
【請求項5】
前記舌小帯の両側面に前記第1の励起光を当てることは、前記舌小帯の各側面の複数の離間した位置に前記第1の励起光を当てることを含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記舌小帯の両側面で前記第1の蛍光を受光することは、前記舌小帯の各側面の複数の離間した位置から前記第1の蛍光を受光することを含む、請求項
5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、患者の腎機能を診断するためのシステムおよび方法に関する。いくつかの例では、本開示は、患者の糸球体濾過率を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
急性腎障害(AKI:Acute Kidney Injury)は、重大な病気の一般的な合併症であり、患者および施設の財政的負担をもたらすことがしばしばある。糸球体濾過率(GFR)は腎臓の健康の重要な指標と考えられているため、GFRを正確かつ迅速に測定できない場合、リアルタイムの腎機能評価が困難となる。推算GFR(eGFR)の現在の標準は、臨床的意思決定を満足に導くために必要な感度と精度に欠けている。患者の体重、性別、年齢、人種などの腎臓以外の要因が、eGFRの不正確さに寄与することが知られている。eGFRが微妙な腎機能の変化を再現性よく検出できないことも認識されている。いくつかの高度な研究では、GFRの測定にイオタラメートクリアランスが使用されるが、この方法は費用がかかり、完了するまでに数時間を要する。
【0003】
精度、速度、一貫性、利便性、および購入し易さを向上させてGFRを測定するための改善されたシステムおよび方法が引き続き求められている。そのようなシステムおよび方法は、腎機能の再生を目的とした治療法を評価するための実行可能なツールとして役立つ。例えば、そのようなシステムおよび方法は、移植された腎臓の健康、疾患の重症度、進行、および患者における薬物反応の信頼できる定量化を可能にし得る。
【0004】
米国ではおよそ66万人のアメリカ人が腎不全に苦しんでおり、その結果、メディケアの支出だけで500億ドルを超える結果となっている。長期的な高血圧または糖尿病は慢性腎機能障害の主な原因であるが、多くのがんの化学療法を受けている患者では、急性腎障害や腎不全さえ誘発されることがしばしばある。現在、外来で腎機能を簡便かつ迅速に評価する方法がない。したがって、医療介入後の腎機能の変化を評価することは非常に困難であり、最終的には、さまざまな患者集団における最適な医療管理に至らない。
【0005】
化学療法は多くの癌の第一選択治療であるが、腎毒性または腎臓のネフロンの損傷は、この薬剤クラスの主な副作用の1つである。したがって、医師は、癌性細胞を殺すことと慢性腎不全を誘発することとの間のバランスについて難しい決断を迫られる。さらに、血圧の低下または腎臓に対する糖尿病管理戦略の最適化の下流への影響はめったに特徴付けられない。これは主に、クレアチニンレベルの測定を含む現在の標準的なケアで利用可能な検査によるものであり、この測定が、化学療法後の早期腎障害または医療管理戦略の変更による改善を検出するにはあまりにも感度が低いためである。
【0006】
現在、臨床医が患者の糸球体濾過率を日常的、迅速、かつ正確に測定するための既存のハードウェアはない(現在の測定、イオサリメートおよびイオヘキソールは2から4時間、複数の血液または尿サンプルを必要とする。多くの場合、これは最適ではない医療管理、慢性腎不全の発症、およびその後の腎移植までの透析への依存をもたらす。
【0007】
腎臓の機能は、流体-電解質の恒常性を維持し、薬物を除去し、最終的には生命を維持するために重要である。移植後の腎毒性は重要な問題である。臨床を容易にするために、血清クレアチニンまたはシスタチンCが使用されるが、問題があり、推算GFRが無効になる可能性がある。したがって、GRFを迅速かつ正確に測定する方法は、腎臓提供者および腎臓移植者など、GFRの正確な知識が重要である患者のケアに非常に有用となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在、当技術分野では、患者の腎機能を迅速に評価するためのシステムおよび方法が必要である。以下で論じるように、本開示は、一般的な医学的評価、集中治療室(ICU)評価、および腎臓移植、ならびに腫瘍学および心臓学の実践の両方において、患者のケアを大きく前進させると考えられる。本開示は、最終的に、多くの患者集団における慢性腎不全の医学的および経済的負担を大幅に軽減すると考えられる。
【0009】
腎臓の機能は、流体-電解質の恒常性を維持し、薬物を除去し、最終的には生命を維持するために重要である。移植後の腎毒性は重要な問題である。臨床を容易にするために、血清クレアチニンまたはシスタチンCが使用されるが、問題があり、推算GFRが無効になる可能性がある。したがって、GRFを迅速かつ正確に測定する方法は、腎臓提供者および腎臓移植レシピエントなど、GFRの正確な知識が重要である患者のケアに非常に有用となる。
【0010】
イオサリメートを使用してGFRを測定するなどの現在の方法は、労働集約的で、1から3時間を必要とし、患者にとって非常に不便である。膀胱を空にすることができないことが、正確な収集を確実にするために膀胱カテーテルを必要とする一般的な問題である。移植患者の場合、移植後の生体ドナーまたはレシピエントのGFRを迅速に決定する方法がない。最終的には、GFRを測定する正確かつ便利な方法がないため、急性腎障害(AKI)または拒絶反応の認識が遅れ、腎臓によって除去される薬物の投与が不正確となり、AKI治療戦略の実施が遅れることがある。
【0011】
蛍光トレーサー分子(静脈ラインを介して単純に注入することができる)を使用して腎臓の糸球体濾過率(GFR)を測定するための例示的な舌下装置(例えば
図1Aと同様のもの)を本開示の一態様に従って説明する。舌下装置は、対象の口に適合するように構成されたマウスガードアセンブリを備える。マウスガードアセンブリは、U字形のベース部材と、U字形のベース部材から突出する円形タブとを有し得る。U字形のベース部材は、被験者の上下の歯を受容するように構成され、円形タブは、被験者の上下の唇を受容するように構成される。いくつかの態様では、円形タブは、被験者が自由に呼吸できるように円形タブを通って延びるオリフィスをさらに備えて構成される。一般に、マウスガードアセンブリは、例えば変形可能なプラスチックまたはシリコーンゴムから構成される。舌下装置はさらに、円形タブを通って延在し、対象の舌の下部分(すなわち、患者の舌の下に配置された血管)に接触するように下向きに突出するように構成される舌アセンブリを有する。舌アセンブリはさらに、光ファイバーケーブルと電気通信するセンサとプリズム反射器を有する。いくつかの実施形態では、アセンブリは、4組のセンサおよびプリズム反射器を有し得る。一態様では、センサは、舌下空間における蛍光を励起および測定するように構成されたLEDセンサまたはセンサアレイを有し得る。
【0012】
正面図、上面図、背面図、および側面図を含む舌下装置の別の図は、
図1Bから
図1Fに示すものと同様である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
いくつかの態様では、舌下装置は、(例えば、
図5Aに示されるように)光ファイバーケーブルを介して分光計システムと電気的に通信可能に配置される。分光計システムは、分光計、タッチスクリーンディスプレイ、およびプロセッサを備え得る。適切な分光計は、可視光分光計を備え得る。プロセッサは、市販のオペレーティングシステム上で実行される市販のプログラム可能なマシンを備え得る。分光計システムは、内蔵バッテリーから電力を供給され、USB充電器によって充電される。ディスプレイは、分光計システムへのパラメーターの入力を容易にするオペレーターインターフェースを提供する。舌下装置は、センサを操作するためにプロセッサによって提供される命令に応答して機能する。一態様では、センサは、被験者から(例えば、舌下血管から)蛍光データを収集し、その後、プリズム反射器および光ファイバーケーブルを使用して蛍光データを分光計に転送するように構成される。いくつかの態様では、センサは、低電圧ワイヤーによってプロセッサに接続されている異なる色のLEDを含む。各LEDの色は、蛍光色素の励起波長と一致し、各色素は、腎臓による濾過速度が異なる。分光計システムは、LED制御ラインポートおよび電源スイッチをさらに備え得る。
【0014】
動作中または設定可能な期間中、プロセッサは第1のLEDカラーを点灯し、分光計からデータを取得するようにプログラムされる。次に、プロセッサは信号を送信してLEDをオフにし、分光計を使用してデータを取得する。上記の手順は、他のLEDカラーについても繰り返される。いくつかの態様では、各スペクトルは、平均的な暗いスペクトルを取り込むように平均化される。各光源について、記録されたスペクトルは、平均化された暗いスペクトルを差し引き、光源からの発光量を定量化し、蛍光色素からの励起応答量があればそれを定量化することによって分析される。次に、光源の放出に対する励起応答の比率が生成され、それが応答比率となる。例えば、第1のトレーサー剤(例えば、1つは健康な腎臓によって実質的にフィルタリングされない)の蛍光放射と第2のトレーサー剤(例えば、1つは健康な腎臓によって実質的にフィルタリングされない)の蛍光放射の比が、GFRの正規化された読み取り値として使用され、精度が向上する場合がある。いくつかの実施形態では、トレーサー剤が1つだけ使用されるなどの場合、各励起LEDは、所定の検出、蛍光減衰、および減衰のフィッティング内の相対的な蛍光発光の検出を補助するように構成された発光フィルタまたはウィンドウに関連付けられる。
【0015】
新しい比は、高速濾過色素の色/色素の応答比を、低速濾過色素の応答比に対して決定することによって生成され得る。新しい比率のパラメーターは、指数関数的減衰関数に適合する。次に、糸球体濾過が、当てはめられた指数関数的減衰関数の減衰率として決定される。GFR比の色または染料応答比のグラフを含むレポートがディスプレイ上に生成され得る。画面は、分光計で観測される生のスペクトルを表示するように変更され得る。データは分光計システムのメモリ内に記録および保存される。
【0016】
以下の例は、舌下装置が使用または実施され得る方法を詳細に示し、当業者がその原理をより容易に理解することを可能にする。以下の例は、例として提示されており、決して限定することを意味するものではない。
【0017】
いくつかの形態では、舌下装置は、タッチスクリーンディスプレイを備えた小型コンピュータを備える。分光計システムは、内蔵バッテリーから電力が供給され、USB充電器によって充電される。コンピュータは、低圧電線および光ケーブルを介してマウスピース装置に接続される。光ケーブルは可視光分光計に接続される。
【0018】
いくつかの例によれば、ヒトおよびマウスの被験における単一ボーラス蛍光マーカーの血管測定による生体内の小児腎機能評価の直接測定は、
図12に示すものと同様であり得る。フェニックスリサーチシステムズマイクロンイメージングを使用して、連続的なIV-FITC-イヌリン(緑)とローダミンデキストラン(Rhod-Dex)(500kD、赤)に続く網膜血管系から正規化された蛍光が得られ得る。尾静脈注射に同期したトレース(T=0分)。いくつかの実施形態では、マーカーは、頸静脈注射を介してマウスに注射されることにより、測定の信頼性およびマーカーの分布を改善し得る。正規化された蛍光のトレースと、WTマウスの全血におけるイヌリン/Rhod-Dex比の以前のキャリブレーションとに基づくイヌリンのクリアランス(挿入)。黒い破線=指数関数的かつ線形の(挿入)曲線がイヌリン濃度に適合。患者の蛍光眼底血造影スキャンから抽出されたフルオレセイン減衰は、マウスFITCイヌリン減衰(クリアランス)でプロットされ得る。ヒトの患者のデータを取得するには、眼科写真が散在している写真の補助によって、(例えば、AK-fluor(登録商標)またはフルオレセインの)蛍光減衰を視覚化可能である。静的強度スキャンが収集された後、画像はイメージジェイ(ImageJ)にピクセル登録されるため、強度減衰は特定の血管内の蛍光減衰を反映する。
【0019】
いくつかの例によれば、表面センサー(LEDですでに利用可能な技術)で使用可能な大型の舌下血管は、
図9Aに示すものと類似している。舌下使用のための柔軟なセンサーアレイ(詳細は挿入図を参照)のモックアップ設計は、
図9Bに示すものと同様である。この後者の手法には、特殊な光学機器が必要ないという利点がある。示されているように、電源入力およびデータ出力のラインは設計に簡単に組み込むことができる。
【0020】
記載された(例えば、
図4に示される)舌下装置は、舌下GFR測定装置の非限定的な例である。動作中、デバイスは励起LEDを高速でオンオフに切り替えたり、励起LEDがオフである間に蛍光センサをポーリングすることによって機能する。即ち、LED周波数Aで励起し、Aをオフに切り替えて蛍光を測定し、LED周波数Bを励起し、Bをオフに切り替えて蛍光を測定することができる。
【0021】
腎機能を評価する現在の方法は時間がかかり、手間がかかり、かつ固有の制限がある。GFRを測定するための正確かつタイムリーな方法の開発は、移植の実践に多大な影響を与える。生きている腎臓ドナーと死亡した腎臓ドナーの両方の評価、および腎臓移植レシピエントの移植後モニタリングにとって、このようなデバイスの潜在的な利点があることは明らかである。さらに、本明細書に提示される舌下装置は、非腎臓臓器移植の候補者、特に肝臓と腎臓または心臓と腎臓という複合移植が検討されている候補者の治療を大幅に改善すると考えられる。肝臓、腎臓、および心不全の少なくとも1つの患者のGFRを正確に測定することは、現在の患者の症状が重症である場合には非常に困難となる。GFRがこのような患者で正確に測定される場合、臨床医は、腎移植の必要性に関する彼らの意思決定を、断片的な証拠ではなく実際のデータに基づいて行うことができる。このような決定は、個々の候補者だけでなく、地方、地域、国レベルでの臓器割り当てにも重要な影響を及ぼす。
【0022】
本開示の舌下装置は、従来の方法を超えるいくつかの利点を提供する。たとえば、舌下装置は、臨床的に指示された尿中イオタラム酸クリアランス(1時間)と比較すると、フルオレセイン(F)およびインドシアニングリーン(ICG)検出(F:ICG)を約1から30分でキャプチャ可能である。したがって、本開示は、腎機能の迅速かつ正確な測定に対してまだ満たされていないが必要とされるもの提供する。
【0023】
本発明は、1つまたは複数の好ましい実施形態に関して説明されており、明示的に述べられたもの以外の多くの均等物、代替物、変更、および改変が可能であり、それらが本発明の範囲内であることを理解されたい。
【0024】
被験者の腎臓の糸球体濾過率(GFR)を測定するための舌下装置は、被験者の舌の舌下部分と接触して配置された舌組立体と、舌アセンブリ内に構成されたセンサであって、被験者の舌のトレーサー分子の蛍光を測定するように構成されたセンサと、センサと電気的に通信する分光計システムであって、トレーサー分子の蛍光に基づいて、対象における腎臓の糸球体濾過率を決定するようにプログラムされた分光計システムとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】
図2は、いくつかの例による、舌下装置の舌係合部材を示す。
【
図3】
図3は、いくつかの例による、舌下装置のセンサーアセンブリを示す。
【
図4】
図4は、いくつかの例による、舌下装置の一部を示す。
【
図6】
図6は、いくつかの例による、監視装置の検出器と制御ボードを示す。
【
図7】
図7は、いくつかの例による、監視装置に接続された舌下装置を示す。
【
図8】
図8は、いくつかの例に従って、患者の腎機能を診断するための例示的な方法を示す。
【
図10】
図10は、いくつかの例に従って、AK-Fluor(登録商標)の蛍光強度と対応する濃度を示す。
【
図11】
図11は、いくつかの例に従って、10分間にわたって記録された蛍光信号を示す。
【
図13】
図13は、いくつかの例に従って、単一のフルオロフォアを使用してGFRを評価するための方法を示す。
【
図14】
図14は、いくつかの例に従って、複数のフルオロフォアを使用してGFRを評価する方法を示す。
【
図15】
図15は、単一のフルオロフォアのiGFR誘導注入を介してGFRを評価する方法を示す。
【
図16】
図16は、単一のフルオロフォアの単一のボーラス誘導注入を介してGFRを評価するための方法を示す。
【
図17】
図17は、単一のフルオロフォアの複数のボーラス誘導注入を介してGFRを評価する方法を示す。
【
図18】
図18は、単一のフルオロフォアの複数のボーラス誘導注入を介してGFRを評価する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、様々な修正および代替形態が可能であるが、特定の実施形態が、例として図面に示され、以下で詳細に説明されている。しかしながら、本開示は、記載された特定の実施形態に限定されない。それどころか、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内にあるすべての改変、均等物、および代替物を網羅することを意図している。
【0027】
図1Aは、いくつかの例による、舌下装置100を示す。
図1Bから
図1Fは、いくつかの例による、斜視図、上面図、正面図、背面図、および側面図をそれぞれ示すことによって、舌下装置100の代替的な図を提供する。いくつかの例では、舌下装置100は、監視装置(例えば、
図7に示される)に関連して使用するためのものである。様々な実施形態では、舌下装置100は、口係合部材104および舌係合部材108を有する。例えば、口係合部材104は、舌係合部材108が患者の口開口部を通って延在し、舌(例えば、舌下部分)と係合するように、患者の口によって係合されるように構成される。特定の例では、口係合部材104は、唇係合要素112、第1の歯係合要素116、および第2の歯係合要素120を有する。いくつかの実施形態では、唇係合要素112は、舌係合部材が入口キャビティ(または唇係合要素)の一方の側(例えば、口の外側)から他方の側(例えば、口腔内)に延びるように舌係合部材108を受け入れるように構成された入口キャビティ124を形成または画定する。
【0028】
様々な例において、第1の歯係合要素116は、患者の歯および/または患者の第1の頬内側壁(例えば、左側壁)によって係合されるように構成され、第2の歯係合要素120は、患者の歯および/または患者の第2の頬内側壁(例えば、右側の側壁)によって係合されるように構成される。例えば、歯係合要素は、上顎および下顎の歯によって把持されてもよい。特定の実施形態では、第1の歯係合要素116および第2の歯係合要素120は、実質的に平行および/または鏡像である。様々な例では、第1の歯係合要素116および第2の歯係合要素120は、舌係合部材108が延びる舌腔128を画定する。いくつかの実施形態では、第1の歯係合要素116および第2の歯係合要素120は、舌係合部材108の少なくとも一部(例えば、遠位部分)が下から延びる中央平面を画定する。特定の実施形態では、口係合部材104はシリコーンを含む。
【0029】
図1Aから
図1Fに示されるように、舌係合部材108は、口係合部材104に(例えば、スライド可能および/または解放可能に)接続されるように構成される。より詳細に説明するために、
図2は、いくつかの例による、舌下装置100の舌係合部材108を示す。様々な実施形態では、舌係合部材108は、基部132と、基部によって少なくとも部分的に支持され、かつ/または基部に埋め込まれた監視アセンブリ136とを備える。いくつかの実施形態では、基部132は、近位部分140、近位部分の遠位にある中間部分144、および中間部分の遠位にある遠位部分148を有する。特定の例では、近位部分140は、口係合部材104が患者の口によって適切に係合されたとき(例えば、患者の唇が唇係合要素112と係合したとき)、中間部分144および遠位部分148が患者の口の内部に位置するように、口係合部材104によって画定された入口空洞124を横切って延在する。特定の実施形態では、中間部分144は、遠位部分148が近位部分140の下に延びるように湾曲している。いくつかの例では、遠位部分は、第1の舌支持体152および第2の舌支持体156を有する。例えば、第1の舌支持体152および第2の舌支持体156は、実質的に平行および/または鏡像である。様々な例において、基部132は、患者の舌の舌下部分に隣接して配置されるように構成される(
図9を参照)。
【0030】
いくつかの実施形態では、監視アセンブリ136は、第1のセンサーアセンブリ160および第2のセンサーアセンブリ164を備える。
図3は、いくつかの例による、第1のセンサーアセンブリ160を拡大図で示す。特定の実施形態では、第1のセンサーアセンブリ160および第2のセンサーアセンブリ164は、構造的および/または機能的に実質的に類似している。様々な例では、第1のセンサーアセンブリ160は、第1の舌支持体152が近接する基部132の第1の側の近くに配置され、第2のアセンブリ164は、第2舌支持体156が近接する基部の第2の側の近くに配置される。いくつかの実施形態では、基部132は、第1のセンサーアセンブリ160の少なくとも一部を受容するように構成された第1の舌支持体152に第1の開口部を画定する。同様に、様々な例では、基部132は、第2のセンサーアセンブリ164の少なくとも一部を受容するように構成された第2の舌支持体152に第2の開口部を画定する。
【0031】
様々な例では、第1のセンサーアセンブリ160は、第1の放出部168、受光部176、コネクタ180、およびオプションで第2の放出部172を備える。特定の実施形態では、第1の放出部168、受光部176、および任意選択で第2の放出部172は、遠位部分148に位置する第1の舌支持体152上または内部に配置されるなどして、基部132上に配置、支持および/または位置付けられる。様々な例では、コネクタ180は、基部132の遠位部分148から中間部分144を通って、基部132の近位部分140を越えて延びる。例えば、コネクタ180は、近位端184および遠位端188を有し、近位端は、基部132の近位部分140の近位側にあり、および/または遠位端は、第1の放出部168、受光部176、および任意選択で第2の受光部172に連結または接続される。
【0032】
いくつかの例によれば、第1のセンサーアセンブリ160と同様に、第2のセンサーアセンブリ164は、第1の放出部192、受光部200、コネクタ204、および任意選択で第2の放出部196を備える。特定の実施形態では、第1の放出部192、受光部200、および任意選択で第2の放出部196は、遠位部分148に位置する第2の舌支持体156上または内部に配置されるなどして、基部132上に配置、支持および/または配置される。様々な例では、コネクタ204は、基部132の遠位部分148から中間部分144を通って、基部132の近位部分140を越えて延びる。例えば、コネクタ204は、近位端208および遠位端212を有し、近位端は、基部132の近位部分140の近位側にあり、および/または遠位端は、第1の放出部192、受光部200、および任意選択で第2の受光部196に連結または接続される。
【0033】
特定の例では、基部132は、例えば、基部が患者の舌下部分に隣接して配置される場合、少なくとも第1の放出部と第1の舌下監視部位との間、および/または第1の受光部と第1の舌下監視部位との間で透明である。様々な実施形態では、例えば基部が患者の舌の下部分に隣接して配置される場合、第1のセンサーアセンブリ160は、基部132の第1の側に配置され、かつ患者の舌小帯(
図9を参照)の第1の側面に配置されるように構成される。特定の実施形態では、例えば基部が患者の舌の下部分に隣接して配置される場合、第2のセンサーアセンブリ164は、基部132の第1の側に配置され、かつ患者の舌小帯(
図9を参照)の第1の側面に配置されるように構成される。例えば、センサーアセンブリは、血管を取り囲む粘液膜に隣接して配置され、色素をほとんどまたはまったく有しない。
【0034】
特定の例では、放出部168、172、192、および196のそれぞれは、励起波長で励起光を放出するように構成される。例えば、放出部168,172,192および196は、それぞれ、第1の励起波長の第1の励起光、第2の励起波長の第2の励起光、第3の励起波長の第3の励起光、および第4の励起波長の第3の励起光を放出するように構成される。特定の例では、第1、第2、第3、および第4の励起波長のうち複数は同一である。例えば、第1のセンサーアセンブリ160の第1の放出部168は、第2のセンサーアセンブリ164の第1の放出部192が放出するように構成される励起光の励起波長と同一の励起波長で励起光を放出するように構成される。同様に、いくつかの例では、第1のセンサーアセンブリ160の第2の放出部172は、第2のセンサーアセンブリ164の第2の放出部196が放出するように構成される励起光の励起波長と同一の励起波長で励起光を放出するように構成される。様々な実施形態では、放出部は、(例えば、基部が患者の舌の下部に隣接して配置される場合)患者の舌の舌下部の舌下監視部位など、患者の監視部位に励起光を当てるように構成される。特定の実施形態では、放出部は、舌下監視部位の舌下励起など、監視部位の励起部位に励起光を当てるように構成される。
【0035】
特定の実施形態では、第1の励起波長は、第1のトレーサー剤を励起して第1の蛍光を放出することができ、第2の励起波長は、第2のトレーサー剤を励起して第2の蛍光を放出することができる。様々な実施形態では、第1の励起波長は第2の励起波長とは異なる。様々な実施形態において、第1の蛍光は、第2の蛍光の波長とは異なる波長を有する。トレーサー剤が発する蛍光の波長は、蛍光波長または発光波長と呼ぶことができる。特定の例では、第1の励起波長は第2のトレーサー剤を励起せず、および/または第2の励起波長は第1のトレーサー剤を励起しない。いくつかの例では、放出部(放出部168、172、192、および/または196)は、LEDを含む。様々な例では、放出部(放出部168、172、192、および/または196)は、光ケーブル216(たとえば、光ファイバケーブル)の先端に接続されたレンズを備え、光ケーブルは、励起光の(例えば、監視装置の)光源に接続される基端を有する。いくつかの例では、複数の放出部が同じ波長の励起光を放出するために同じ光源に接続される。いくつかの例では、光ケーブル216は、コネクタ(例えば、コネクタ180および/または204)の一部である。特定の実施形態では、コネクタ(例えば、コネクタ180および/または204)は、LEDを電源(例えば、監視装置の)に接続することなどによって、放出部のLEDに電力を供給するように構成された電気コネクタを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1の放出部(第1の放出部168または192)は、第2の放出部(第2の放出部172または196)が放出するように構成される励起光の励起波長と同一の励起波長で励起光を放出するように構成される。様々な例では、放出部168、172、192、196のうちの1つまたは複数は、それぞれ第1の励起波長で第1の励起光を放出し、かつ第2の励起波長で第2の励起光を放出するように構成される。例えば、放出部(放出部168、172、192、および/または196)は、周期的または断続的なスイッチングパターンなどによって、励起光および第2の励起光を交互に放出するように構成され得る。特定の実施形態では、放出部(放出部168、172、192、および/または196)は、複数のLEDを含み、かつ/または光ケーブル(例えば光ケーブル216)等を介して(例えば監視装置の)複数光源もしくは異なる励起波長の光複数の励起を生成可能な1つの光源に接続されるように構成される。
【0037】
様々な実施形態において、受光部(受光部176および/または200)は、複数の光を受光するように構成され、例えば複数の蛍光を(例えば、複数の場所からおよび/または複数の波長で)受光したり、例えば第1のトレーサー剤が放出する第1の蛍光と第2のトレーサー剤が放出する第2の蛍光とを受光するように構成される。特定の例では、受光部(受光部176および/または200)は、合成光波形(例えば、第1の蛍光および第2の蛍光を含むもの)を受光して、合成波形を電気信号(例えば、第1の蛍光および第2の蛍光に対応するもの)に変換し、かつ/または合成波形を第1のデジタル信号(例えば、第1の蛍光に対応するもの)および第2のデジタル信号(例えば、第2の蛍光に対応するもの)に変換するように構成された検出器に合成波形を向けるように構成される。様々な実施形態では、受光部は、(例えば、基部が患者の舌の下部に隣接して配置される場合)患者の舌の下部の舌下監視部位など、患者の監視部位から蛍光を受光するように構成される。特定の実施形態では、受光部は、舌下監視部位の舌下検出部位など、監視部位の検出部位から蛍光を受光するように構成される。
【0038】
いくつかの例では、受光部(受光部176および/または200)は、光ファイバおよび光を光ファイバに向けるレンズなどの光を集光する構造を備え、該レンズは光ファイバの一端に位置する。様々な例では、受光部(受光部176および/または200)は、光検出器などの検出器を備える。例えば、受光部(受光部176および/または200)は、基部132の遠位部分148に配置され、光(例えば、蛍光)を(例えば監視装置の)プロセッサに送信するために、コネクタ(コネクタ180および/またはコネクタ)用のデジタル信号に変換するように構成される光検出器を備え得る。いくつかの例では、光検出器はアナログ出力を提供する。いくつかの実施形態では、受光部(受光部176および/または200)は、光(例えば、蛍光)を光ケーブル(例えば、コネクタ180および/または204)の先端に向け、かつ光ケーブルの基端から出て検出器(例えば、分光計などの監視装置)へ向けるように構成された誘導レンズ(directing lens)(例えば、プリズム)を備える。特定の例では、誘導レンズは、受光した光を屈折および/または回折するように構成される。いくつかの例では、光ケーブルは光ファイバであり得る。
【0039】
特定の例では、受光部(受光部176および/または200)は、検出器(例えば、光検出器または分光計)によって受光された光(例えば、蛍光を含む)が単一の波長を有するように、受光した光をフィルタリングするように構成された(例えば、分光計の一部として)光学フィルタを備える。特定の例では、受光部(受光部176および/または200)は、フィルタリングされてプロセッサへ送信されるデジタル信号が狭い範囲または単一の波長に対応するように、受光した光(例えば、蛍光を含む)に対応するデジタル信号をフィルタリングするように構成された(例えば、分光計の一部として)デジタルフィルタを備える。いくつかの例では、フィルタリングされた光および/またはフィルタリングされたデジタル信号に対応する単一の波長は、トレーサー剤(例えば、第1のトレーサー剤)によって励起された蛍光の波長に等しい。
【0040】
特定の実施形態では、放出部(放出部168、172、192、および/または196)および/または受光部(受光部176および/または200)は、患者の舌の下部と直接接触するように構成される。いくつかの実施形態では、監視アセンブリ136は、第1のセンサーアセンブリ160のみを備える。特定の例では、各センサーアセンブリ(センサーアセンブリ160および/または164)は、1つの放出部(放出部168または192)および1つの受光部のみを備える。いくつかの実施形態では、センサーアセンブリ(センサーアセンブリ160および/または164)は、1つ以上のトレーサー剤、例えば3つのトレーサー剤、例えば2つのトレーサー剤を励起するように構成される。特定の実施形態では、センサーアセンブリ(センサーアセンブリ160および/または164)は、1つの蛍光を受光するように構成される。いくつかの実施形態では、センサーアセンブリ(センサーアセンブリ160および/または164)は、1つまたは複数の蛍光、例えば3つの蛍光、例えば2つの蛍光を受光するように構成される。
【0041】
図4は、いくつかの例による、舌下装置300の一部を示す。視認し易くするために、舌下装置300の一部は隠れている。図示のように、舌下装置は、基部332と、基部に接続された第1のコネクタ380と、基部に接続された第2のコネクタ404とを備える。いくつかの例では、第1のコネクタ380は、第1の励起コネクタ420、第2の励起コネクタ424、および検出コネクタ428を備える。同様に、第2のコネクタ404は、第1の励起コネクタ432、第2の励起コネクタ436、および検出コネクタ440を備え得る。検出コネクタは、受光コネクタとも呼ばれます。様々な実施形態では、第1のコネクタ380は、第1のセンサーアセンブリ(例えば、第1のセンサーアセンブリ160と同様または同一のもの)に接続されるように構成される。例えば、第1の励起コネクタ420は、第1の放出部(例えば、第1の放出部168と同様または同一のもの)と接続するように構成されてもよく、第2の励起コネクタ424は、第2の放出部(例えば、第2の放出部172と同様または同一のもの)と接続するように構成されてもよく、および/または検出コネクタ428は、受光部176と接続されるように構成されてもよい。
【0042】
第1の励起コネクタ420と同様に、様々な実施形態では、第2のコネクタ404は、第2のセンサーアセンブリ(例えば、第2のセンサーアセンブリ164と同様または同一のもの)に接続されるように構成される。例えば、第1の励起コネクタ432は、第1の放出部(例えば、第1の放出部192と同様または同一のもの)と接続するように構成されてもよく、第2の励起コネクタ436は、第2の放出部(例えば、第2の放出部196と同様または同一のもの)と接続するように構成されてもよく、および/または検出コネクタ440は、受光部200と接続されるように構成されてもよい。特定の実施形態では、励起コネクタおよび検出コネクタのうちの1つ以上は、光(例えば、励起光および/または蛍光)を伝達または方向付けるように構成された光コネクタを含む。特定の例では、励起コネクタおよび検出コネクタのうち1つまたは複数は、電力および/またはデジタルデータを送信するように構成されたデジタルコネクタを含む。
【0043】
図5Aは、いくつかの例による、監視装置500を示す。
図5Bから
図5Fは、いくつかの例による、上面図、正面図、底面図、第1の側面図、および第2の側面図をそれぞれ示すことによって、監視装置500の代替の図を提供する。
図6は、いくつかの例による、収容されていない監視装置500を示す。様々な実施形態では、監視装置100は、ハウジング504、ディスプレイ508、電源スイッチ512、励起ポート516、検出ポート520、構成ポート524、充電ポート528、分光計532、充電部材536、バッテリー540、およびプロセッサ544を備える。
【0044】
いくつかの実施形態では、ハウジング504は、ハウジングを除く監視装置100のすべての構成要素を収容する。いくつかの例では、ディスプレイ508は、GFR、1つまたは複数のトレーサー剤の濃度、1つまたは複数の蛍光(例えば、1つまたは複数のトレーサー剤によって放出される)の強度、および/またはユーザデータを表示するように構成される。特定の例では、ディスプレイ508は、ユーザ入力用に構成されたタッチスクリーンであってもよい。様々な例では、電源スイッチ512(またはモードスイッチ)は、操作モードを切り替えるために(例えば、ユーザが)操作可能に構成される。たとえば、動作モードは、監視装置オン、監視装置オフ、励起オン、励起オフ、検出オン、検出オフ、シングルトレーサー剤モード、デュアルトレーサー剤モード、連続励起モード、断続的励起モード、連続検出モード、断続的な検出モード、および/または列挙されたモードの任意の組み合わせのモードを含む。
【0045】
様々な例において、励起ポート516は、励起光を放出するために、センサーアセンブリ(例えば、センサーアセンブリ160または164)の放出部(例えば、放出部168、172、192、または196)に接続されるように構成される。たとえば、励起ポート516は、(たとえば、コネクタ180または204の)電気コネクタを介するなどして、電力をセンサーアセンブリのLEDに送信するように構成されたLED制御ラインポートであってもよい。特定の例では、励起ポート516は、(例えば、コネクタ180または204の)光コネクタを介するなどして、励起光が励起ポートから放出部(例えば、放出部168、172、192、または196)に送られるように、監視装置500のソースから生成された励起光を放出するように構成される。いくつかの実施形態では、検出ポート520は、蛍光を受光するために、センサーアセンブリ(例えば、センサーアセンブリ160または164)の受光部(例えば、受光部176または200)に接続されるように構成される。例えば、受信ポート520は、波形の検出、処理、および/または変換のために、受光した光を分光計に向けるように構成された光ファイバーポートであってもよい。
【0046】
いくつかの例では、構成ポート524は、監視装置500を外部ユニットに接続するように構成される。例えば、外部ユニットは、監視装置500によって収集または生成されたデータを処理、表示、監視、記録、および/または記憶するように構成され得る。いくつかの例では、データは、GFR、1つまたは複数のトレーサー剤の濃度、1つまたは複数の蛍光(例えば、1つまたは複数のトレーサー剤によって放出される)の強度、および/またはユーザデータを含んでもよい。特定の実施形態では、構成ポート524は、監視装置500のトラブルシューティングおよび/または更新(例えば、ファームウェア)のために構成される。
【0047】
様々な実施形態では、充電ポート528は、電力をバッテリー540に供給できるように、電源コードを受容するように構成される。例えば、充電ポート528は、USBコードを受容するように構成されたUSBポートであってもよい。特定の例では、充電部材536は、充電ポート528から電力を受け、電力をバッテリー540に供給するように構成される。充電部材536は、交流電力を直流電力に変換することができる。充電部材536は、USB充電器であってもよい。特定の実施形態では、電池540は、リチウムイオン電池、ニッケル水素(Ni-MH)電池、またはスーパーコンデンサなどの充電式電池および/またはスーパーキャパシタである。
【0048】
いくつかの例では、分光計532は、1つまたは複数のトレーサー剤が放出した蛍光を受光するように構成される。例えば、分光計532は、1つ以上の蛍光の波長および/または強度を表すデジタルデータを生成するように構成される。特定の実施形態では、分光計532は、複数の蛍光の光信号を含む合成波形を含む光信号を受信して変換するように構成される。特定の例では、分光計532は、可視スペクトルに近いスペクトル領域で動作するように構成されている。いくつかの実施形態では、分光計532は、受光および変換される光が近赤外線、赤外線および/または遠赤外線スペクトルの1つまたは複数にある場合、近赤外線、赤外線および/または遠赤外線スペクトルで動作するように構成される。
【0049】
様々な実施形態では、プロセッサ544は、舌下装置(例えば、舌下装置100)の監視アセンブリ(例えば、監視アセンブリ136)によって検出される蛍光の強度を表す分光計532によって生成されるデジタルデータからGFRを生成するように構成される。例えば、プロセッサ544は、受光した蛍光の強度に対応するデジタルデータを、蛍光が発するトレーサー剤の濃度に変換するように構成される。特定の例では、プロセッサ544は、監視装置500の1つまたは複数の構成要素を制御するように構成されたコントローラでもある。例えば、コントローラとしてのプロセッサ544は、何をディスプレイ508に表示し、いつ励起ポートおよび/または検出ポートを作動させるかを制御するように構成され得る。特定の例では、プロセッサ544はラズベリーパイ(登録商標)である。
【0050】
図7は、いくつかの例による、監視装置900に接続された舌下装置700を示す。舌下装置700は、舌下装置100および/または舌下装置300と同様または同一に機能し、および/または舌下装置100および/または舌下装置300と同様または同一の構成要素を含むことができる。いくつかの例では、舌下装置700は、口係合部材704、舌係合部材708、基部732、第1の舌支持体752、第2の舌支持体、第1のセンサーアセンブリ760、第2のセンサーアセンブリ764、第1のコネクタ780、および第2のコネクタ804を備える。いくつかの例では、口係合部材704は、患者の歯と係合するように構成された歯係合部材を備える。舌下装置900は、監視装置500と同様または同一に機能し、および/または舌下装置500と同様または同一の構成要素を含むことができる。様々な実施形態では、監視装置900は、ディスプレイ908、励起ポート916、および検出ポート920を備える。図示されるように、舌下装置700は、励起コネクタ844および検出コネクタ848を介して監視装置900に接続されてもよい。例えば、励起コネクタ844は、センサーアセンブリの放出部が励起光を放出できるように、第1のセンサーアセンブリ760および第2のセンサーアセンブリ764を励起ポート916に(例えば、光学的および/または電気的に)接続し得る。いくつかの例では、検出コネクタは、センサーアセンブリの受光部が蛍光を監視装置に向けることができるように、第1のセンサーアセンブリ760および第2のセンサーアセンブリ764を検出ポート920に(例えば、光学的および/または電気的に)接続し得る。
【0051】
図8は、いくつかの例による、患者の腎機能を診断するための例示的な方法1000を示す。様々な実施形態では、方法1000は、生体内の診断方法であり得、低侵襲で実行され、および/または20分、10分、または5分未満で完了するものである。いくつかの例では、方法1000は、第1のトレーサー剤を送達すること1004、第1の励起光を当てること1008、第1の蛍光を受光すること1012、受光した第1の蛍光を第1の蛍光信号へ変換すること1016、第1の減衰率を決定すべく第1の蛍光信号を処理すること1020、およびGFRを決定するために第1の減衰率を処理すること1024を含む。特定の例では、方法1000は、第1のトレーサー剤を送達すること1006、第2の励起光を当てること1010、第2の蛍光を受光すること1014、受光した第2の蛍光を第2の蛍光信号へ変換すること1018、第2の減衰率を決定すべく第2の蛍光信号を処理すること1022、およびGFRを決定するために第2の減衰率を処理すること1026を含む(例えば、更に含む)。いくつかの例では、方法1000を通じて決定されたGFRは、即時GFRまたはiGFRと呼ばれる。いくつかの実施形態では、患者の腎機能の糸球体濾過率を表すデータは、決定された減衰率に基づいて提供され得る。特定の実施形態では、方法1000は、決定された減衰率に基づいて、患者の腎機能の糸球体濾過率を表すデータを提供することを含み得る。
【0052】
いくつかの例では、第1のトレーサー剤を送達すること1004は、第1のトレーサー剤のボーラスを患者の血管系に送達することを含む。様々な実施形態において、第1のトレーサー剤は、健康な腎機能によって少なくとも実質的に除去され(例えば、30分以下で90%を超えて除去される)ものであって、第1の励起波長における第1の励起光による励起に応答して第1の発光波長で第1の蛍光を放出するものである。特定の例において、第1のトレーサー剤は、(例えば、iGFR測定手順中に)患者の血管区画内に実質的に(例えば、30%、20%、10%、または5%未満の漏れで)含まれる。
【0053】
第1の励起光を当てること1008は、第1のトレーサー剤が第1の蛍光を放出するように、第1の監視部位で表在血管系の第1のトレーサー剤を励起して、第1の監視部位で患者の表在血管系(および/または血管系の可視化された媒体)(または非色素性粘膜の血管床、例えば細胞外を除くなど)に(例えば、経粘膜的または経皮的に)第1の励起光を当てることを含む。様々な実施形態では、第1の監視部位は、舌下膜、鼓膜、口腔膜、鼻膜、(例えば、下眼瞼、網膜脈管構造、結膜、または眼の血管における)眼膜、頬側の膜、尿道カテーテルの膜、直腸の膜、膣の膜、または小児の表在血管を含み得る第1の粘膜監視部位を含む。様々な例において、監視部位は、色素がほとんどないか全くない(例えば、経粘膜的または経皮的に)識別可能な血管を取り囲む膜の領域を含む。
【0054】
いくつかの例では、第1の蛍光を受け取ること1012は、第1の監視部位で第1のトレーサー剤から放出された第1の蛍光を(例えば、経粘膜的または経皮的に)受光することを含む。様々な実施形態において、受光した第1の蛍光を第1の蛍光信号に変換すること1016は、(例えば、第1のトレーサー剤が放出した)第1の蛍光の第1の蛍光発光(例えば、蛍光の強度)を表す第1の蛍光信号を生成すべく、受光した第1の蛍光を変換することを含む。いくつかの例では、第1の蛍光信号の処理1020によって決定された(例えば、第1の蛍光の)第1の減衰率は、(例えば、患者の脈管構造内の)第1のトレーサー剤の濃度減衰率を表す。特定の例では、第1の減衰率は、第1のトレーサー剤の濃度減衰率および/または第1のトレーサー剤の蛍光強度減衰率である。様々な実施形態において、第1の減衰率の処理によって決定されたGFRは、患者の腎機能についての健康のレベルを示す。いくつかの例では、第1の減衰率はGFRを表す。
【0055】
様々な実施形態では、第1の監視部位は、第1の舌下監視部位であってもよい。特定の例では、第1の監視部位(例えば、第1の粘膜監視部位)は、光学センサー(例えば、センサーアセンブリ160または164)などによって表在血管系(例えば、主要血管)が識別可能な非色素性組織を含む。
図9Aは舌下血管を示し、
図9Bは、いくつかの例による、
図9Aの舌下血管を取り囲む監視部位(例えば、第1の監視部位)を示す。特定の例では、第1の監視部位(例えば、第1の粘膜監視部位)は、第1の粘膜励起部位および第1の粘膜検出部位を含む。例えば、第1の粘膜検出部位は、第1の粘膜監視部位によって取り囲まれた第1の粘膜血管内の血液の流れ方向に従って、第1の粘膜励起部位の下流に配置される。
【0056】
特定の例では、第1の粘膜監視部位は第1の舌下監視部位を含み、第1の粘膜励起部位は第1の舌下励起部位を含み、第1の粘膜検出部位は第1の舌下検出部位を含む。第1の舌下検出部位は、第1の舌下監視部位によって取り囲まれた第1の舌下血管内の血液の流れ方向に従って、第1の舌下励起部位の下流に配置され得る。様々な実施形態では、第1の励起光を第1の監視部位で患者の表在血管系に(例えば、経粘膜的または舌下に)当てることは、第1の励起光を第1の粘膜励起部位に経粘膜的に当てることを含み、および/または第1の監視部位で第1のトレーサー剤から放出された第1の蛍光を(例えば、経粘膜的または舌下で)受光することは、第1の粘膜検出部位で第1のトレーサー剤から放出された第1の蛍光を経粘膜的に受光することを含む。1つ以上の追加の監視部位は、粘膜監視部位、舌下監視部位、粘膜励起部位、粘膜検出部位、舌下励起部位、および/または舌下検出部位など、第1の監視部位と同様であってもよい。
【0057】
いくつかの例では、第2のトレーサー剤の送達1006は、第1の励起光を当てる1008前のように、第1のトレーサー剤の送達1004の近くで実行される。様々な実施形態では、第2のトレーサー剤を送達すること1006は、第2のトレーサー剤が第1のトレーサー剤と同時に患者の血管系に存在するように、第2のトレーサー剤のボーラスを患者の血管系に送達すること1006を含む。特定の例において、第2のトレーサー剤は、健康な腎機能によって実質的に排除されないものであって(例えば、30分にわたって30%、20%、10%、または5%未満で排除される)、第2の励起波長における第2の励起光による励起に応答して第2の発光波長で第2の蛍光を放出するものである。いくつかの例では、第2の発光波長は、第1の発光波長とは異なる。いくつかの実施形態では、第2の励起光の第2の励起波長は、第1の励起光の第1の励起波長とは異なる。他の例では、第2の励起光の第2の励起波長は、第1の励起光の第1の励起波長に等しい。
【0058】
いくつかの例では、第2の励起光を当てること1010は、第2のトレーサー剤が第2の蛍光を放出するように、第2の監視部位で表在血管系の第2のトレーサー剤を励起すべく、第2の監視部位で第2の励起光を患者の表在血管系に(例えば、経粘膜的または経皮的に)当てることを含む。第1の監視部位と同様に、第2の監視部位は、舌下膜、鼓膜、口腔膜、鼻腔膜、(例えば、下眼瞼、網膜脈管構造、または眼の血管における)眼膜、尿道カテーテルの膜、直腸の膜、膣の膜、または小児の表在血管を含み得る第2の粘膜監視部位であり得る。たとえば、
図9Bに示すように、第1の監視部位は患者の舌小帯の第1の側面に位置し、第2の監視部位は第1の監視部位の反対側の患者の舌小帯の第2の側面に位置する。
【0059】
いくつかの例では、第2の蛍光を受け取ること1014は、第2の監視部位で第2のトレーサー剤から放出された第2の蛍光を(例えば、経粘膜的または経皮的に)受光することを含む。様々な実施形態において、受光した第2の蛍光を第2の蛍光信号に変換すること1018は、(例えば、第2のトレーサー剤が放出した)第2の蛍光の第1の蛍光発光(例えば、蛍光の強度)を表す第2の蛍光信号を生成すべく、受光した第2の蛍光を変換することを含む。いくつかの例では、第2の蛍光信号の処理1022によって決定された(例えば、第2の蛍光の)第2の減衰率は、(例えば、患者の脈管構造内の)第2のトレーサー剤の濃度減衰率を表す。特定の例では、第2の減衰率は、第2のトレーサー剤の濃度減衰率である。特定の実施形態において、第1の減衰率および第2の減衰率の処理1026によって決定される較正されたGFRは、患者の腎臓の健康を示す。いくつかの例では、較正されたGFRは、最初の減衰率を処理することによって決定されたGFRよりも正確に患者の腎臓の健康を表す。例えば、較正されたGFRは、血管系区画からのトレーサー剤の漏出、不完全な光学的測定からの光学的アーチファクト、および/または異常な生理学的活動に関連するデータエラーを実質的に排除し得る。
【0060】
様々な実施形態では、第2の監視部位は、第2の舌下監視部位であってもよい。特定の例では、第2の監視部位(例えば、第2の粘膜監視部位)は、光学センサ(例えば、センサーアセンブリ160または164)などによって表在血管系(例えば、主要血管)が識別可能な非色素性組織を含む。特定の例では、第2の監視部位(例えば、第2の粘膜監視部位)は、第2の粘膜励起部位および第2の粘膜検出部位を含む。例えば、第2の粘膜検出部位は、第2の粘膜監視部位によって取り囲まれた第2の粘膜血管(例えば、第2の舌下血管、
図9A参照)内の血液の流れ方向に従って、第2の粘膜励起部位の下流に配置される。様々な実施形態では、第2の励起光を第2の監視部位で患者の表在血管系に(例えば、経粘膜的または舌下に)当てることは、第2の励起光を第2の粘膜励起部位に経粘膜的に当てることを含み、および/または第2の監視部位で第2のトレーサー剤から放出された第2の蛍光を(例えば、経粘膜的または舌下で)受光することは、第2の粘膜検出部位で第2のトレーサー剤から放出された第2の蛍光を経粘膜的に受光することを含む。いくつかの例では、第1の監視部位および第2の監視部位の両方が、第1の励起光および第2の励起光が照射されかつ第1の蛍光および第2の蛍光が放出される血管(例えば、舌下血管)を包含するように、第1の監視部位は、第2の監視部位と少なくとも部分的に重なる。
【0061】
特定の例では、励起光が複数の監視部位に当てられ、蛍光が複数の監視部位から受光される。例えば、第1の励起光を当てること1008は、患者の舌小帯の両側面(例えば、第1および第2の監視部位の両方)で第1の励起光を経粘膜的に当てることを含み、および/または第1の蛍光を受光すること1012は、患者の舌小帯の両側面で(例えば、第1および第2の監視部位の両方で)第1の蛍光を経粘膜的に受光することを含む。いくつかの実施形態では、舌小帯の両側面に第1の励起光を当てることは、舌小帯の各側面の複数の離間した位置に第1の励起光を当てることを含む。特定の例では、舌小帯の両側面で第1の蛍光を受光することは、舌小帯の各側面の複数の離間した位置から第1の蛍光を受光することを含む。
【0062】
いくつかの例では、第1の励起光を当てること1008は、第1の励起光を断続的に(例えば、定期的に)当てることを含む。いくつかの例では、第1の蛍光を受光すること1012は、第1の蛍光を断続的に(例えば、定期的に)受光することを含む。いくつかの例では、第2の励起光を当てること1010は、第2の励起光を断続的に(例えば、定期的に)当てることを含む。いくつかの例では、第2の蛍光を受光すること1014は、第2の蛍光を断続的に(例えば、定期的に)受光することを含む。特定の実施形態では、励起光(例えば、第1または第2の励起光)を断続的に当てることは、0.0167Hz(すなわち、1パルス/分)から0.0100Hz(すなわち、10パルス/分)までの範囲から選択された周波数で励起光(例えば、第1または第2の励起光)を当てることを含む。特定の実施形態では、蛍光(例えば、第1または第2の蛍光)を断続的に受光することは、0.0167Hz(すなわち、1パルス/分)から0.0100Hz(すなわち、10パルス/分)までの範囲から選択された周波数で蛍光(例えば、第1または第2の蛍光)を受光することを含む。様々な実施形態では、第1の励起光を当てること1008は、第1の励起光を連続的に当てることを含む。いくつかの例では、第1の蛍光を受光すること1012は、第1の蛍光を連続的に受光することを含む。いくつかの例では、第2の励起光を当てること1010は、第2の励起光を連続的に当てることを含む。いくつかの例では、第2の蛍光を受光すること1014は、第2の蛍光を連続的に受光することを含む。
【0063】
いくつかの例では、第1の減衰率を決定するための第1の蛍光信号の処理1020および/または第2の減衰率を決定するための第2の蛍光信号の処理1022は、(例えば、トレーサー剤のボロスを送達した後)10分以下の期間にわたって行われる。様々な実施形態では、方法1000は、患者のGFRを表すデータを提供することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法1000は、GFRおよび/またはGFRを表すデータを記憶すること、表示することお、および送信することのうち少なくとも1つを含む。特定の例では、方法1000は、第1の蛍光信号および/または第2の蛍光信号を時間の関数として記録(例えば、登録)することを含む。
【0064】
一例として、フルオレセインベースの物質であるAK-Fluor(登録商標)は、健康な腎機能によって実質的に除去され、第1の励起光によって励起されると第1の蛍光を放出する第1のトレーサー剤として使用され得る。
図10は、いくつかの例に従って、AK-Fluor(登録商標)の蛍光強度と対応する濃度を示す。示されるように、AK-Fluor(登録商標)を使用して、本開示によるGFRを測定する方法は、10
-5g/mlから10
-10g/mlの5桁の濃度にわたるダイナミックレンジを提供することができる。
図10に示すように、対応する蛍光強度に反映されているように、トレーサー剤としてのAK-Fluor(登録商標)の濃度変化の相対感度は高い。特定の例において、記載されたiGFRを決定する方法は、0.1秒もの速さの応答時間を有する。いくつかの例では、10
-7g/mlのAK-Fluor(登録商標)がiiGFR処置中に患者に注入される。
図11は、いくつかの例に従って、10分間にわたって記録された蛍光信号を示す。図示するように、第1のトレーサー剤および第2のトレーサー剤の蛍光強度を表す蛍光信号を記録することに加えて、第1のトレーサー剤の減衰率はまた、第1の指数次数に適合され得る。いくつかの実施形態では、GFRはまた、例えば、蛍光強度の記録によってリアルタイムで推定され得る。別の例として、FITC-イヌリンは、健康な腎機能によって実質的に除去され、第1の励起光によって励起されると第1の蛍光を放出する第1のトレーサー剤として使用され得る。
図12は、GFRを測定するための関連実験の結果を示す。
図12Aに示すように、第1のトレーサー試薬としてのFITCイヌリンの蛍光は、注入後15分の期間にわたって減少することが示され、健康な腎機能によって実質的に除去されるFITCイヌリンを示す。対照的に、2番目のトレーサーエージェントとしてのローダミンデキストラン(Rhod-Dex)の蛍光は、同じ期間にわたって実質的に除去されない。
図12Bは、
図12Aに示される測定に基づくイヌリンクリアランス、および事前に較正されたイヌリン/Rhod-Dex比を示す。
図12Cは、
図12AのFITC-イヌリン減衰でプロットされた、患者のフルオレセイン血管造影スキャンから抽出されたフルオレセイン(例えば、AK-Fluor(登録商標))の減衰を示す。Rhod-Dex以外の多くの代替物質を第2のトレーサー剤として使用できることを理解されたい。例えば、第2のトレーサー剤は、少なくとも20kDaの分子量を有し得る。いくつかの例では、上述したiGFRシステム(たとえば、上記の舌下装置)のセンサーアセンブリが、スペクトルの異なる「色」の連続注入を記録および処理するように、複数の「第1のトレーサー剤」(たとえば、異なる蛍光分子と結合したイヌリン)が注入され得る。いくつかの例では、複数の色素が利用(例えば、注入および監視)されてもよく、各色素がトレーサー剤として腎臓でろ過されてもよいし(例えば、10kDa未満の場合)、またはiGFR測定プロセス中に基準色素(例えば、20kDaを超える場合)として血管容量内に残ってもよい。特定の実施形態では、複数の色素の少なくともいくつかの(例えば、健康な腎臓を介する)濾過率は、実質的に類似している(例えば、50%、40%、30%、20%、または10%未満だけ異なる)。様々な例において、濾過される色素複合体は、8kDaよりも小さい。特定の例では、色素複合体は腎上皮によって有意に吸収または分泌されない。いくつかの実施形態では、色素複合体は、任意の器官系(例えば、肝臓、腸)によって有意に代謝されない。
【0065】
図13から
図18は、1つ以上のトレーサー剤の濃度が時間に対してプロットされたタイミング図であってGFRを評価する方法を示す。トレーサー剤は、物質に結合されたプローブおよび/またはフルオロフォアと呼ばれる場合がある。
図13は、いくつかの例に従って、単一のフルオロフォアを使用してGFRを評価するための方法を示す。図示するように、糸球体によって迅速かつ選択的に濾過される物質に結合された単一のフルオロフォアは、GFRの評価を補助する。このようなトレーサー剤は、GFRの測定をゆっくりと断続的に行った後、最初に注入される。異なる発光スペクトルを有する複数の単一プローブを注入して、迅速な連続測定を行うこともでき、これにより、GFRの精度が向上する場合がある。いくつかの例では、標準精度GFRを測定するために、健康な腎機能によって実質的に除去される単一のトレーサー薬剤を注射した後、高精度GFRを測定するために、健康な腎機能によって実質的に除去される(例えば、異なる蛍光波長を有する)複数のトレーサー薬剤を注射してもよい。
【0066】
図14は、いくつかの例に従って、複数のフルオロフォアを使用してGFRを評価する方法を示す。糸球体によって迅速かつ選択的に濾過されてGFRを決定する物質に結合された第1のフルオロフォアに加えて、糸球体によって濾過されない物質に結合された第2のフルオロフォアが、血漿量および間質性リークまたは不要な透過性の評価に使用される。いくつかの例では、第2のフルオロフォアは、GFRの過大評価および治療介入または治療の遅延を防ぐのに役立つ。いくつかの例では、健康な腎機能によって実質的に除去される第1のトレーサー剤は、較正されたGFRを決定することができるように、健康な腎機能によって実質的に除去されない(「濾過されないプローブトレース」によって表される)第2のトレーサー剤と同時に注入されてもよい。特定の実施形態において、第2のトレーサー剤を表すトレースは、敗血症および/または血管透過性の上昇(例えば、血管区画を超える)を示すために、時間とともにわずかに下向きに傾斜するなど、通常の状態(例えば、実質的に平坦)からずれることがある。
【0067】
図15は、単一のフルオロフォアのiGFR誘導注入を介してGFRを評価する方法を示す。図示するように、糸球体によって迅速かつ選択的に濾過される物質に結合されたフルオロフォアは、GFRの評価に使用される特に、iGFRは糸球体濾過率の概算を提供するために測定される。いくつかの例では、急速注入またはローディング段階の後に、クリアランスの低下が検出されたときに終了する定常状態注入段階が続いて行われる。急速注入段階の間、健康な腎機能によって実質的に除去される十分な量の第1のトレーサー剤を注入して、十分な濃度および/または蛍光強度を監視部位で検出することができる。定常状態の注入中、薬剤の濃度および/または蛍光強度が時間とともに実質的に一定に留まるように、クリアランスレートと実質的に同じレートで(たとえば、腎臓による)より多くの第1トレーサー剤が注入または注射される。クリアランス率のフィードバック感知メカニズムは、注入速度の調整を補助するように適合され得る。特定の実施形態では、そのような定常状態段階を達成することによって、クリアランス率の低下が検出され(例えば、ほぼ瞬時に)、トレーサー剤の濃度またはその蛍光強度の突然の増加によって表され得る。例えば、急性腎障害は、定常状態の注入平衡からのこのような突然の逸脱によって検出され得る。
【0068】
図16は、単一のフルオロフォアの単一のボーラス誘導注入を介してGFRを評価するための方法を示す。図示するように、eGFRは、(たとえば、体重、性別、年齢、および/または人種の祖先に基づいて患者を推定する代えて)負荷量および定常注入速度はiGFRの結果に基づくように、iGFR測定に続いて測定される。特定の例では、
図15で説明されている方法は、最初にiGFR測定を実行することで改善され、より正確なGFRを使用して、急速注入段階および定常状態のためのより適切な負荷速度および注入速度を選択できるようになります。このような改善は、定常状態の平衡からの逸脱の感度を改善するのに役立ち、患者の腎機能の小さな異常を検出するのに役立ち得る。
【0069】
図17から
図18は、単一のフルオロフォアの複数のボーラス誘導注入を介してGFRを評価する方法を示す。図示するように、糸球体によって迅速かつ選択的に濾過される物質に結合された第1のフルオロフォアは、GFRの評価に使用される。糸球体によって濾過されない物質に結合された第2のフルオロフォアは、血漿量と間質性リーク/透過性の評価に使用される。第2のフルオロフォアは、治療介入/治療を遅らせるGFRの過大評価を防ぎ得る。特定の例において、GFRは、単一ボーラス法を使用して測定され、その後、速度および精度を改善するために、上記の濾過されたフルオロフォアが注入される。いくつかの例では、精度、感度、および/または速度をさらに向上させるために、
図16に記載の方法は、健康な腎機能によって実質的に除去されない第2のトレーサー剤を注入することによって変更され得る。
図17から
図18に示すように、第1のトレーサーエージェントの濃度または蛍光強度が定常状態の平衡から逸脱し、第2のトレーサー剤の濃度または蛍光強度が比較的一定のままである場合、このような「イベント」は腎機能の変化を示す。たとえば、
図17に示すように、第1のトレーサー剤のクリアランスの突然の減少は、急性腎障害を示している可能性がある。さらに、定常状態の平衡を終了させる第1および第2のトレーサー剤の両方の濃度および/または強度の突然の低下は、血管透過性または出血を増大させる敗血症を示し得る。
【0070】
いくつかの例では、蛍光ベースのトレーサー剤、励起手段、および受光部の代わりに、またはそれに加えて、代替の感知方法を使用することができる。例えば、近赤外センサおよび分光光度計(例えば、800nmを超える)を近赤外色素と共に使用して、深さ1cmから2cmなどのより深い浸透(例えば、経粘膜または経皮)を可能にすることができる。特定の例では、皮膚センサを使用して、頸動脈、頸静脈、腋窩、鎖骨下、大腿骨、および/または橈骨などの主要な動脈または静脈からのIR蛍光を検出できます。いくつかの例において、徐放性送達のための化合物(例えば、蛍光化合物)は、最初に脈管構造に吸収され、次に脈管区画に固定され、腎濾過によってのみ除去され得る。例えば、具体的に選択された徐放性コーティングを有する化合物を使用して、iGR法の精度を高めることができる。このような化合物は、患者の血液量全体に分布する可能性がある。いくつかの実施形態では、ワイヤレス技術は、データのワイヤレス送信、表示、記憶、および/または処理を可能にするように適合され得る。たとえば、モバイルデバイスアプリケーションでは、iGFR実験をワイヤレスで監視可能である。
【0071】
本開示に記載されるiGFR測定装置(例えば、デバイス100)および/または方法(例えば、方法1000)の多数の用途がある。いくつかの例では、iGFRシステムおよび/または方法は、宇宙で、恵まれない地域で、および/または農村地域で使用され得る。特定の例では、iGFRシステムおよび/または方法は、外来クリニックで使用可能であり、例えば、外科的処置の準備における腎機予備能の評価、または腎毒性薬の使用、腎臓ドナーのためのベースライン腎機能の評価、または腎機能を変化させる可能性がある(ACE阻害剤、NSAID、造影剤など)薬物の開始時、および/またはGFR降状の現在のバイオマーカーが最適以下と見なされる場合(たとえば、サブコペニア、肥満、肝疾患、腎臓病、および/または筋肉消耗)に使用可能である。様々な実施形態において、iGFRシステムおよび/または方法は、病院で使用され得、例えば、適切な薬物投与が症状の改善および有害事象(例えば、集中治療室がしばしば遭遇するもの)の予防に関連する薬物投与用途として、GFRを将来のバイタルサインとして(たとえば、平均動脈圧、呼吸数、心拍数、体温とともに)監視し、変更可能な治療介入を適用して患者の症状を改善するのに役立つ可能性のある追加の重要な情報を提供するために手術室内で使用されてもよく、および/またはICU内で日常的に行われる治療介入がGFRに直接的または間接的に影響を与える可能性がある集中治療室(ICU)内で使用されてもよい。特定の例において、そのような変化の早期かつ正確な検出は、臨床医がAKIを含む合併症の進行のさらなる変化を回避するための追加の情報層を提供し得る。たとえば、ショック状態の患者の血管内容積蘇生法では、容積減少患者は容積補充後にGFRを上昇させるが、容積過負荷の追加の血管内容積拡張がある患者はGFRを低下させる可能性が最も高くなる。GFRを将来のバイタルサインとして監視することで、臨床医が重病患者の管理に役立つ可能性のある有用な情報が得られる場合がある。様々な例において、iGFRシステムおよび/または方法は、腎不全(すなわち、末期腎疾患)の用途に使用され得る。例えば、より新しい連続的な腎代替療法は、ICU薬物投与のための腎クリアランスの測定を含み得、断続的な血液透析および/または腹膜透析は、(例えば、Kt/Vの代わりに)有効性のためのクリアランスの測定を含み得る。iGFRシステムおよび/または方法は、腎機能に対する介入の影響に関する不確実性を伴う研究などの研究にも使用可能である。たとえば、iGFR監視ツールを使用して、さまざまな治療介入や投薬に応じて腎臓の生理学および病態生理学に関する知識と理解を生み出すことができる。
【0072】
各種変更および改変は、本開示の範囲および精神から逸脱することなく行われ得る。例えば、上記の実施形態は特定の特徴に言及しているが、本開示の範囲は、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、および記載された特徴のすべてを含まない実施形態も含む。したがって、本開示の範囲は、そのすべての均等物とともに、特許請求の範囲内に含まれるそのようなすべての代替物、改変、および変更を包含することが意図されている。