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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】衣類
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/00 20060101AFI20240902BHJP
   A41D 3/00 20060101ALI20240902BHJP
   A41D 27/10 20060101ALI20240902BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20240902BHJP
   A41D 31/02 20190101ALI20240902BHJP
   D04B 21/00 20060101ALI20240902BHJP
   D04B 21/18 20060101ALI20240902BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A41D13/00 115
A41D3/00 K
A41D3/00 A
A41D3/00 B
A41D27/10 C
A41D31/00 502D
A41D31/02 A
D04B21/00 A
D04B21/18
B32B27/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023039957
(22)【出願日】2023-03-14
(62)【分割の表示】P 2022167905の分割
【原出願日】2022-10-19
(65)【公開番号】P2023080079
(43)【公開日】2023-06-08
【審査請求日】2024-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2021174883
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022044359
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517170052
【氏名又は名称】デサントジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智香子
(72)【発明者】
【氏名】佐野 茂樹
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-113311(JP,A)
【文献】特開2012-161924(JP,A)
【文献】特開2009-293145(JP,A)
【文献】米国特許第11134724(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338424(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00
A41D 3/00
A41D 27/10
A41D 31/00
A41D 31/02
D04B 21/00
D04B 21/18
B32B 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編み物からなる生地を含んで構成された衣類であって、
前記生地は、低伸度部と、前記低伸度部よりも高い伸度を有する高伸度部と、前記低伸度部よりも伸度が高く前記高伸度部よりも低い伸度を備えた中間伸度部とを備え、
前記低伸度部と前記高伸度部と前記中間伸度部とは、一つの生地において経編による編分けで形成されており、
前記低伸度部は、第1強締付組織と、前記第1強締付組織よりも締め付け強度が弱い第2強締付組織とによって構成され、
前記高伸度部は、前記低伸度部よりも締め付け強度の弱い弱締付組織によって構成され、
前記中間伸度部は、前記低伸度部から連続する前記第強締付組織と前記高伸度部から連続する前記弱締付組織とで構成されており、
前記低伸度部は、前記高伸度部より密度が高い
衣類。
【請求項2】
前記低伸度部は、前記第1強締付組織と前記第2強締付組織とが交互に配置され、
前記中間伸度部は、前記第強締付組織と前記弱締付組織とが交互に配置されている
請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記生地は、前身頃、後ろ身頃、及び、袖部のうち少なくとも一つを有するパターンを構成し、
前記前身頃及び/または後ろ身頃における伸度は、体幅方向の伸度に対応し、
前記袖部における伸度は、腕の長さ方向の伸度に対応し、
前記前身頃と前記後ろ身頃と前記袖部との少なくとも1つに設けられた前記高伸度部の引張弾性率は、前記低伸度部の引張弾性率の0.3倍以上0.9倍以下に設定されている請求項1または請求項2に記載の衣類。
【請求項4】
前記前身頃及び/または前記後ろ身頃における伸度は、体幅方向の伸度に対応し、
前記袖部における伸度は、腕の長さ方向の伸度に対応し、
前記前身頃と前記後ろ身頃と前記袖部との少なくとも1つに設けられた前記高伸度部の30%伸長時の応力は、0.06N/mm以上0.3N/mm以下である請求項3に記載の衣類。
【請求項5】
前記低伸度部は、前記前身頃の前身頃の幅方向中央で首元から裾にかけて連続して設けられている
請求項3に記載の衣類。
【請求項6】
前記生地の裏側には、透湿防水性を有するフィルムが貼り付けられている
請求項1または請求項2に記載の衣類。
【請求項7】
前記衣類は、アウターウェアである
請求項1または2に記載の衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、従来より、スポーツ等を行うときの動作のしやすさのために、部分的に生地に伸度の差を設けた衣類が提案されている。特許文献1に開示されている衣類には、生地本体よりも伸縮度の高い素材から成る姿勢制御用生地をウェアの生地裏面に縫製または接着したり、生地本体の中に切り替えしにより伸度の高い交編部または交織部を加えて姿勢制御用生地部が設けられている。この姿勢制御用生地ないし姿勢制御用生地部によって、競技中の着用者が前傾姿勢を楽にとれるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-16366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
衣類は、一般的に、複数のパターンを縫い付けることで、生地の弛みを抑制しながら、立体的な体に沿った形状の製品が得られる。各パターン間における切り替えしが設けられる部位には、パターン切り換えのための縫い目が設定される。特許文献1に記載の衣類では、パターン切り換え用の縫い目に加えて、生地本体と伸度調整部材ないし伸度調整部と縫い合わせるための伸度調整用縫い目が設定される。
【0005】
このような縫い目が設けられる部位は、伸度を高めにくく、生地本体と伸度調整部材ないし伸度調整部との切り替え部等の意図しない部位の伸度が低下する虞がある。すなわち、縫い目を最小限にしつつ、着用者の各部位に必要とされる伸度を備えた衣類が望まれる。このような課題は、スポーツウェアに限らず山登等に使用されるアウターウェア等の衣類においても同様に課題の解決が望まれる。
【0006】
本発明は、縫い目を最小限にしつつ、着用者の各部位に必要とされる伸度を備えた衣類を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、編み物からなる生地と、前記生地の裏側に貼り付けられた透湿防水性を有するフィルムとを含んで構成され、上半身に着用されるアウターウェアである衣類であって、
前身頃、後ろ身頃、及び、袖部のうち少なくとも一つを有するパターンは、低伸度部と、前記低伸度部よりも高い伸度を有する高伸度部と、を備え、
前記低伸度部と前記高伸度部とは、一つの生地において編分けで形成されている
衣類を提供する。
【0008】
アウターウェアとは、着用時に着用者の皮膚ないし下着等に密着せず、少なくとも下着よりも外側に着用する衣服(JIS L0215)である。
【0009】
本発明によれば、低伸度部よりも伸度の高い高伸度部を、例えば、スポーツないしアウトドア活動を行うときの動作のしやすさを向上させるための所定部位に設けることで、スポーツないしアウトドア活動を行うときのパフォーマンスを向上できる。低伸度部と高伸度部との伸度の差が編分けによって形成されているので、低伸度部と高伸度部との切り替え部に縫い目を設ける必要がなく、切り替え部に縫い目を設ける場合に比べて、切り替え部の伸度の低下が抑制される。これにより、縫い目を最小限にしつつ、着用者の所定部位に必要とされる伸度を設定することができ、意図しない部位での伸度の低下が抑制される。
【0010】
前記高伸度部は、着用者の肩甲骨部に設けられてもよい。
【0011】
本構成により、スポーツを行う場合、例えば、スキーのターン時等に腕を振る場合に、衣類における肩甲骨部の伸度不足によって肩甲骨が拘束されることが抑制でき、スポーツを行うときのパフォーマンスを向上できる。また、肩甲骨の拘束が抑制されることによって、アウトドア活動を行うときにはストレスのない状態が得られやすい。
【0012】
前記高伸度部は、着用者が肘を曲げたときの外側に位置する上腕背面に対応する上腕背面部に設けられてもよい。
【0013】
本構成により、スポーツを行う場合、例えば、スキーのターン時等に腕を前方に振る場合に、衣類における上腕背面部の伸度不足によって上腕が拘束されて腕の動作範囲が制限されることが抑制でき、スポーツを行うときのパフォーマンスを向上できる。また、上腕の拘束が抑制されることによって、アウトドア活動を行うときにはストレスのない状態が得られやすい。
【0014】
前記高伸度部は、着用者の脇下に対応する脇下部に設けられてもよい。
【0015】
本構成により、スポーツを行う場合、例えば、スキーのターン時等に腕を振る場合に、衣類における脇下部の伸度不足によって脇が拘束されて腕の動作範囲が制限されることが抑制でき、スポーツを行うときのパフォーマンスを向上できる。また、腕の動作範囲が制限されることが抑制されることによって、アウトドア活動を行うときにはストレスのない状態が得られやすい。
【0016】
また、低伸度部と高伸度部の伸度の差が編分けによって形成されているので、例えば、低伸度部よりも高伸度部の編み組織を粗くすることで、高伸度部の透湿性及び放熱性は低伸度部よりも相対的に高くなるため、一般的な運動中に透湿性及び放熱性が求められる脇下部の透湿性及び放熱性を高めることができる。
【0017】
前記高伸度部は、着用者の肘に対応する肘部に設けられてもよい。
【0018】
本構成により、スポーツを行う場合、例えば、スキーのターン時等に腕を振る場合に、衣類における肘部の伸度不足によって肘が拘束されて肘の曲げ角度が制限されることが抑制でき、スポーツを行うときのパフォーマンスを向上できる。また、肘の曲げ角度が制限されることが抑制されることによって、アウトドア活動を行うときにはストレスのない状態が得られやすい。
【0019】
前記前身頃及び/または前記後ろ身頃における伸度は、体幅方向の伸度に対応し、
前記袖部における伸度は、腕の長さ方向の伸度に対応し、
前記前身頃と前記後ろ身頃と前記袖部との少なくとも1つに設けられた前記高伸度部の引張弾性率は、前記低伸度部の引張弾性率の0.3倍以上0.9倍以下に設定されてもよい。
【0020】
本構成により、スポーツないしアウトドア活動を行うときの動作のしやすさを向上させるための前身頃及び後ろ身頃の所定部位の伸度が適切に設定できる。適切な伸度により、身体の皮膚の動きによって生地が追随することができるため、着用者にストレスがかからず、パフォーマンスを向上できる。高伸度部の引張弾性率が0.3倍未満の場合、伸度差がありすぎて、皺がよるなどの美観を損なわれ、高伸度部の引張弾性率が0.9倍より大きい場合にはスポーツないしアウトドア活動を行うときの動作のしやすさを向上させるための所定部位の伸度不足により動作が阻害される。
【0021】
前記前身頃及び/または前記後ろ身頃における伸度は、体幅方向の伸度に対応し、
前記袖部における伸度は、腕の長さ方向の伸度に対応し、
前記前身頃と前記後ろ身頃と前記袖部との少なくとも1つに設けられた前記高伸度部の30%伸長時の応力は、0.06N/mm以上0.3N/mm以下であってもよい。
【0022】
本構成により、スポーツないしアウトドア活動を行うときの動作のしやすさを向上させるための所定部位の30%伸長時の応力が適切に設定できる。適切な30%伸長時の応力により、身体の皮膚の動きによって生地が追随することができるため、着用者にストレスがかからず、パフォーマンスを向上できる。30%伸長時の応力が0.06N/mm未満の場合、ウェアの形状が保てなくなり、0.3N/mmより大きい場合にはスポーツないしアウトドア活動を行うときの動作のしやすさを向上させるための前身頃及び後ろ身頃における所定部位の伸度不足により、動作が阻害される。
【0023】
前記低伸度部は、着用者の両肩に対応する一対の肩部と、着用者の背中下方に対応する背中下方部と、着用者の肩甲骨に対応する肩甲骨部と着用者の脇下に対応する脇下部との間に設けられて前記肩部と前記背中下方部とを上下方向にそれぞれ連続させる一対の連結部と、を備えてもよい。
【0024】
本構成により、高伸度部よりも低伸度となる低伸度部が各肩部から背中下方にかけて上下方向に連続するので、衣類の骨組みとなってハリ・コシが出るので、高伸度部を幅方向に連続して設ける場合に比べて、衣類のシルエットが幅方向に膨らむことが抑制できる。これにより、衣類のシルエットの美観を損なうことなく、スキーを行うときのパフォーマンスを向上できる。
【0025】
前記高伸度部は、着用者の頭部を覆うフード部に設けられてもよい。
【0026】
本構成により、フード部に高伸度部を設けることで、スポーツを行う場合、例えば、着用者がヘルメット等を装着する際に着脱しやすく、フィットさせることができるため、空気が入りにくく、意図しない状況でフードが脱げることを抑制できる。
【0027】
前記低伸度部と前記高伸度部との間の切り替え部には、前記低伸度部よりも伸度が高く前記高伸度部よりも低い伸度を備えた遷移領域が設けられもよい。
【0028】
本構成により、低伸度部と高伸度部との伸度の切り替えをスムーズにできる。低伸度部と高伸度部との伸度の差が大きい場合に比べて、高伸度部の弛みが抑制されて、衣類の美観が損なわれることが抑制できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、縫い目を最小限にしつつ、着用者の各部位に必要とされる伸度を備えた衣類を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施形態に係る衣類の正面図。
図2】本発明の第1実施形態に係る衣類の背面図。
図3】滑走時の衣類の正面の伸びを示す3D計測結果。
図4】滑走時の衣類の背面の伸びを示す3D計測結果。
図5】本発明の第1実施形態に係る衣類のフード部周辺の拡大側面図。
図6図1の遷移領域周辺における要部拡大図。
図7】本発明の第2実施形態に係る衣類の正面図。
図8】本発明の第2実施形態に係る衣類の背面図。
図9図7の遷移領域周辺における要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態にかかる衣類について図を参照しながら説明する。
【0032】
[第1実施形態]
図1を参照すると、衣類1として、スキーウェアを例に挙げて説明する。衣類1は、上半身に着用されるアウターウェアである。アウターウェアとは、着用時に着用者の皮膚ないし下着等に密着せず、少なくとも下着よりも外側に着用する衣服(JIS L0215)である。本実施形態において衣類1は、編み物、例えば経編で構成された伸縮性を有する生地から形成されている。経編組織を有する編み物は、コース方向に供給される糸でループを形成し、これを順次ウェル方向に連結させることによって得られる。より詳しくは、衣類1は、ダブル(ピエゾ)ジャカード機構付きシングルラッセル機の編み機を用いて出来上がったシングルラッセル生地によって形成されている。
【0033】
衣類1の生地を構成する繊維としては、ベース繊維である非弾性糸とベース繊維よりも弾性率の高い繊維である弾性糸、例えばポリエステル繊維と、ポリウレタン繊維などを用いることができる。衣類1の生地は、これらの繊維の混率、具体的には、ポリエステル繊維に対してポリウレタン繊維の混率が15%以上20%以下で構成された糸を編み立てることで形成されている。糸の径は、非弾性糸が20デニール以上75デニール以下に設定され、弾性糸が20デニール以上280デニール以下に設定されている。
【0034】
衣類1を構成する生地は、編み機ゲージ24E(針の本数/inch)以上32E(針の本数/inch)以下の編み機により、機上の打ち込みが50.8コース/inch以上76.2コース/inch以下で編成され、弾性糸の縮みないし熱セット(熱可塑性の性質をもった合成繊維を熱処理(熱を当てたり、高温の蒸気を当てる等)し、製品の形態を変化させ冷却して安定させる加工により、生地の形態や寸法安定性を保つようにする)等による縮みにより、仕上がり密度が100コース/inch以上170コース/inch以下、35ウェル/inch以上55ウェル/inch以下で編成することが好ましい。本実施形態において、仕上がり密度とは、コース方向の1インチ当たりの編み目の数、および、ウェル方向の1インチ当たりの編み目の数である。本実施形態の生地は、非弾性糸が20デニール以上75デニール以下に設定され、弾性糸が20デニール以上280デニール以下に設定され、かつ、80コース/inch以上、35ウェル/inch以上の密度で編み立てられており、一般的に高密度である。生地が高密度で編まれることで、なめらかな表面感を備えた衣類1が得られる。滑らかな表面組織によって、毛羽立ちやピリングなどが抑制されて、衣類1の耐久性を向上できる。衣類1の生地は、特に限定されないが、例えば、平均目付け(単位面積当たりの重さ)を400g/m以上450g/m以下にすることで、動きやすく耐久性も備える生地とされている。
【0035】
生地を構成する経編の編み組織は、ジャガード組織であって、1枚の生地中において、編み目の詰まり具合が変化するようにジャガード組織を変化させて編まれている。この編み目の詰まり具合によって1枚の生地の中の伸度に差、より詳しくは、低伸度部2と低伸度部2よりも伸度の高い高伸度部3が形成されるようになっている。異なる伸度はジャガード組織の変化で実現される。
【0036】
低伸度部2には、高伸度部3よりもウェル方向への締め付けの強いジャガード変化組織が配置されている。高伸度部3には、ウェル方向への締め付けの弱いジャガード変化組織が配置される。したがって、低伸度部2のウェル方向の仕上がり密度(ウェル方向の編み目の数)は、高伸度部3のウェル方向の仕上がり密度よりも大きくなる。一方、コース方向の仕上がり密度は、低伸度部2と高伸度部3とで同じになるように設定されているので、高伸度部は低伸度部よりウェル方向の生地密度が低い、すなわち目付が小さいこととなる。
【0037】
高伸度部3には、ウェル方向への締め付けの弱いジャガード変化組織が配置されている。高伸度部3の編み目は、低伸度部2の編み目に比べて緩んで大きくなるが、弾性糸の張力によって畳み込まれている。したがって、高伸度部は、伸び代が低伸度部よりも大きくなって、伸度が高められている。
【0038】
図1に示すように、衣類1の生地の裏面(着用者の体表面側)には、例えば、親水性ポリウレタン膜の無孔膜タイプの透湿防水性のフィルム7が、ホットメルト等のラミネート加工により張り合わされている。これにより、一般的な編み生地に比べて、透湿防水膜のラミネート加工による防水性が得られ、アウトドア活動用やスキー用の生地として適切である。
【0039】
図1及び図2に示すように、衣類1は、前身頃11と、肩部12b及び袖元部12cを備えた後ろ身頃12と、袖先部13と、脇マチ部14と、フード部15とを含む複数のパターン10から構成されている。図1及び図2において、太線はパターンの切り替え部分を示す。
【0040】
図1に示すように、前身頃11は、着用状態において、着用者の左右の正面、より詳しくは胸部から腹部を覆う右側前身頃11a及び左側前身頃11bを有する。前身頃11の幅方向中央部には、ファスナ11cが設けられている。右側前身頃11aの幅方向左側端部と左側前身頃11bの幅方向右側端部にそれぞれは、ファスナ11cが縫い付けられている。ファスナ11cによって、右側前身頃11aと左側前身頃11bとが接合離脱可能とされている。前身頃11は、着用状態において着用者の口元を覆う口元部11dを有する。
【0041】
図2に示すように、後ろ身頃12は、着用状態において、着用者の背面、より詳しくは背部から腰部を覆う後ろ身頃本体部12aと、背面側から正面側に掛けて連続する肩部12bと、肩部12bの下端から肘までの上腕を覆う袖元部12cとを有する。
【0042】
図1及び図2に示すように、袖先部13は、後ろ身頃12の袖元部12cの下端に縫い合わされている。袖先部13は、着用状態において、前腕、より詳しくは肘から手首を覆う。脇マチ部14は、前身頃11と後ろ身頃12と袖先部13に縫い付けられている。脇マチ部14は、着用状態において、着用者の脇下を覆う。フード部15は、前身頃11及び後ろ身頃12に縫い付けられている。フード部15は、着用状態において、着用者の頭部を覆う。
【0043】
これらの各パターン11,12,13,14,15には、低伸度部2と低伸度部2よりも高い伸度を有する高伸度部3が設けられている。前述のように、低伸度部2及び高伸度部3は、ウェル方向への締め付け強度によってジャガード組織の編み目の詰まり具合を変化させて編まれることで、編み目の詰まり具合によって1枚の生地の中の伸度に差が形成されるようになっている。言い換えると、高伸度部3と低伸度部2とは、編分けによる柄配置によって伸度の差が設定される。
【0044】
図6に示すように、低伸度部2は、高伸度部3よりも衣類1の上下方向(ウェル方向)への締め付けの強い強締付組織a1、a2が配置されている。低伸度部2は、第1強締付組織a1と第2強締付組織a2とによって構成されている。第2強締付組織a2の締付強度は、第1強締付組織a1よりも小さく設定されている。高伸度部3は、低伸度部2よりも衣類1の幅方向への締め付が弱い弱締付組織a3によって構成されている。
【0045】
図3及び図4を参照しながら、着用者がスキーを行うときに伸度が必要となる部位について説明する。図3及び図4は、被験者が着用した3D計測用ボディスーツの伸びを3D着装シミュレーションシステム(CLO社製のソフトウェアCLO)を用いて計測することにより、スキー滑走時の上半身の伸びを表示したものである。図3及び図4では、ボディスーツの伸びの度合を示す。図3及び図4では、被験者が着用したボディスーツの伸びが低い部位から高い部位に向かって淡色から濃色に変化するように示されている。
【0046】
図3及び図4を参照すると、スキー滑走時には、上腕P1、前腕P2、肘P3、脇下P4、脇下P4に連続する胸側部P5及び背面側部P6の伸びが大きく、肩P7の伸びが小さくなっている。さらに、後方に向かって振っている着用者の左腕に着目すると、上腕P1では、特に、肘P3によって引っ張られる上腕背面P11の肘P3近傍の方が上腕正面P12よりも伸びが大きくなっている。前腕P2でも同様に、肘P3によって引っ張られる前腕外側P21の方が前腕内側P22よりも伸びが大きくなっている。このように伸びが大きくなった部分は、スキー滑走時、より詳しくは腕振り時に衣類1に伸度が必要とされる部位である。
【0047】
図3を参照すると、腹部P8においては大きな伸びは見られなかったが、図3に示すようなスキー滑走時における前かがみの姿勢では、一般的に、腹部周辺の衣類が撓んだ状態となる。衣類の弛み量によっては、衣類の重なりによって前かがみの姿勢がとりにくくなって、パフォーマンスが低下する虞がある。したがって、腹部周辺の衣類の弛みを抑制することを目的として、腹部周辺の衣類の伸度を高めることが好ましい。
【0048】
図4を参照すると、背部P9においても大きな伸びは見られなかったが、スキー滑走時、衣類1の肩甲骨B周辺の伸度が低い場合、衣類1によって肩甲骨Bの動きが阻害され、パフォーマンスが低下する。したがって、肩甲骨Bに対応する部位においても伸度が高められることが好ましい。
【0049】
以上の結果に基づいて、本実施形態における衣類1は、伸度が要求される上述のような各部位が、高伸度部3で形成されている。高伸度部3の引張弾性率は、低伸度部2の引張弾性率の0.3倍以上0.9倍以下に設定されている。本実施形態における引張弾性率は、前身頃11及び後ろ身頃12においては体幅方向の引張弾性率を意味し、腕を覆う袖元部12cおよび袖先部13においては着用者の腕の延びる方向の引張弾性率を意味する。請求項における袖部は、袖部12cおよび袖先部13に対応する。
【0050】
本実施形態において、引張弾性率は、JIS_1096 A法(定速伸長法)に基づいて、具体的には、生地片が幅50mm、長さ200mmを用意し、つかみ幅を上下50mmずつ設け、中央部分の長さが100mmになるように引張試験機に固定し、一定速度で試験片を引張、30%伸長時の応力の傾きから引張弾性率(N/mm)を計測する。本実施形態において、引張弾性率は、応力-歪曲線の接線の勾配より得られる。なお、引張弾性率は引張荷重とその断面積との比で与えられるが、生地では断面積の想定が困難であるため、断面積に代えて伸長前の試料幅を用いる。引張弾性率は、編み物で形成される生地の裏面に透湿防水性を備えたフィルム7をホットメルトによって貼り付けた状態で計測される。
【0051】
低伸度部2の30%伸長時の応力は、0.3N/mm以上0.6N/mm以下に設定され、高伸度部3の30%伸長時の応力は0.06N/mm以上0.3N/mm以下に設定されている。言い換えると、低伸度部2の引張弾性率は1.0N/mm以上2.0N/mm以下に設定され、高伸度部3の引張弾性率は0.2N/mm以上1.0N/mm以下に設定されている。低伸度部2の30%伸長時の応力が0.3N/mm未満である場合、例えば、アウターウェア(衣類)1の美観のための剛性が得られにくく、0.6N/mmを超過する場合、高伸度部3との伸度差が大きくなりすぎて、皺がよるなどの美観が損なわれる場合がある。また、低伸度部2の30%伸長時の応力が0.6N/mmを超過する場合、着用者の動作を阻害する場合がある。高伸度部3の30%伸長時の応力が0.06N/mm未満である場合、低伸度部2との伸度の差が大きくなりすぎて、高伸度部3が弛んで皺が生じやすく、美観が損なわれる場合がある。一方、高伸度部3の30%伸長時の応力が0.3N/mmよりも大きい場合、伸度不足によってスキー滑走中の動作を阻害することになってパフォーマンスが低下する。30%伸長時の応力は、引張弾性率と同様に、JIS_1096 A法(定速伸長法)に基づいて、生地片が幅50mm、長さ200mmを用意し、つかみ幅を上下50mmずつ設け、中央部分の長さが100mmになるように引張試験機に固定し、一定速度で試験片を引張り、30%伸長時の荷重を計測し、30%伸長時の荷重を伸長前の試料幅で除した値である。
【0052】
上記の試験条件(JIS_1096 A法(定速伸長法))下において、本実施形態における低伸度部ないし高伸度部で形成された試験片に10Nの荷重をかけたときの低伸度部で形成された試験片の伸びは13mmで、高伸度部で形成された試験片の伸びは27mmであった。すなわち、高伸度部の試験片の伸びは、低伸度部の試験片の約2.1倍であった。
【0053】
図1及び図2を参照しながら各パターンにおける低伸度部2及び高伸度部3の設定について説明する。
【0054】
図1を参照すると、前身頃11は、図3の脇下P4に連続して胸側部P5に対応する胸側部31と、腹部P8に対応する腹周辺部32に高伸度部3が設けられ、その他の部分に前身頃11の低伸度部2である前身頃低伸度部21が設けられている。
【0055】
図1に示すように、前身頃低伸度部21は、縫製後の状態で、全体として下向き矢印状となるように配置されている。前身頃低伸度部21は、胸部側に位置する直線部21aと、腹部側に位置する傾斜部21bとを有する。直線部21aは、胸部からファスナ11cに沿って口元部11d(上方)に向かって所定幅W1で延びている。直線部21aは、前身頃11の右側前身頃11a及び左側前身頃11bに跨って形成されている。本実施形態において、直線部21aの幅W1は、脇下P4における前身頃11の幅Wの略1/3になるように設定されている。
【0056】
前身頃低伸度部21は、上下方向に所定幅W1を有して形成されているので、前身頃11全体を高伸度部3に設定する場合に比べて、前身頃11の上下方向の剛性が高められ、衣類1の上下方向のハリ・コシが得られやすくなっている。
【0057】
傾斜部21bは、前身頃11の幅方向中央よりも幅方向外側が上方に位置するように傾斜している。傾斜部21bの傾斜角度θ1は、幅方向に対して45度に設定されている。傾斜部21bは、前身頃11の幅方向中央から前身頃11の幅方向両端部にかけて延びている。傾斜部21bは、高伸度部3で形成された胸側部31と腹周辺部32を上下方向に分断している。これにより、前身頃11の幅方向両側部に上下方向に連続する高伸度部3を設定する場合に比べて、前身頃の幅方向の剛性を高められ、衣類1の幅方向のハリ・コシが得られやすくなっている。
【0058】
図1に示すように、胸側部31は、前身頃低伸度部21の直線部21aを挟んで幅方向両側に配置されている。胸側部31の幅方向内側(中央側)で直線部21aとの間には、第1遷移領域R1が設けられている。第1遷移領域R1は、低伸度部2よりも伸度が高く高伸度部3よりも伸度の低い中間の伸度に設定されている。
【0059】
第1遷移領域R1は、直線部21aの幅方向外側に隣接配置された第1中間伸度部51と、第1中間伸度部51の幅方向外側に隣接配置された第2中間伸度部52とを有する。第1中間伸度部51は、第2中間伸度部52よりも小さな伸度となるように設定されている。第1中間伸度部51の伸度としての30%伸長時の応力は、例えば0.18N/mm以上0.45N/mm以下に設定され、第2中間伸度部52の30%伸長時の応力は、例えば0.12N/mm以上0.38N/mm以下に設定されている。第1中間伸度部51及び第2中間伸度部52の30%伸長時の応力も低伸度部2及び高伸度部同様に、JIS_1096 A法(定速伸長法)に基づいて、30%伸長時の応力から計測する。本実施形態における中間伸度部で形成された試験片に、10Nの荷重をかけたときの試験片の伸びは17mmであった。
【0060】
第1遷移領域R1を構成する第1中間伸度部51及び第2中間伸度部52は、低伸度部2と高伸度部3同様に編分けによって形成されている。より詳しくは、図6の拡大図に示されるように、第1中間伸度部51は、低伸度部2を構成する第1強締付組織a1と、高伸度部3を構成する弱締付組織a3とが交互に設けられている。これにより、第1中間伸度部51の伸度は、低伸度部2よりも高い伸度となっている。
【0061】
図6に示すように、第2中間伸度部52は、第1中間伸度部51同様に第1強締付組織a1と弱締付組織a3とが交互に設けられているが、第1強締付組織a1が弱締付組織a3よりも小さくなるように、第1強締付組織a1に対する弱締付組織a3の割合が2倍に設定されている。これにより、第2中間伸度部52の伸度は、第1中間伸度部51よりも高い伸度となる。
【0062】
本実施形態において、低伸度部2は第1強締付組織a1と第2強締付組織a2で構成され、第1中間伸度部51は第1強締付組織a1と弱締付組織a3とが1:1の割合で構成され、第2中間伸度部52は第1強締付組織a1よりも弱締付組織a3の割合が大きくなるように構成され、高伸度部3は全体が弱締付組織a3で構成されている。このように、低伸度部2と高伸度部3との間に遷移領域を設けることで、急激な伸度の差が生じることが抑制されて、低伸度部2と高伸度部3とをなじませることができる。
【0063】
図1に示すように、第1中間伸度部51および第2中間伸度部52は、所定幅W2,W3を有し、直線部21aに沿って上下方向に延びている。第1中間伸度部51の幅W2は、第2中間伸度部52の幅W3よりも小さく設定されている。
【0064】
胸側部31は、第2中間伸度部52に隣接配置されて、前身頃11の幅方向端部まで延びている。これにより、後述の脇下部33で形成される脇マチ部14と、前身頃11の胸側部31とが縫い合わされて、右から左の脇下P4に連続する前身頃11に高伸度部3が連続して形成される。
【0065】
腹周辺部32は、傾斜部21bの下端から裾まで延びている。腹周辺部32は、傾斜部21bの傾斜に沿って幅方向中央部から幅方向外側に向かって延び、幅方向中央部よりも幅方向外側の領域が上下方向に広くなるように形成されている。スキー滑走時における前かがみの姿勢では、一般的に、腹部周辺の衣類が撓んだ状態となる。衣類の弛み量によっては、衣類の重なりによって前かがみの姿勢がとりにくくなって、パフォーマンスが低下する虞がある。したがって、腹部周辺の衣類の弛みを抑制することを目的として、腹部周辺の衣類の伸度を高めることが好ましい。腹周辺部32は、前身頃11に設けられて、図2に示すように、縫製後の状態で背面に回り込んで後ろ身頃12と縫い合わされる脇腹部11eに連続している。
【0066】
傾斜部21bと腹周辺部32との間には、第2遷移領域R2が設けられている。第2遷移領域R2は、縫製後の状態で、前身頃11の幅方向中央部から幅方向外側に向かって上方に傾斜するV字状を有する。本実施形態において第2遷移領域R2は、第2中間伸度部52と同様の編み組織を有し、低伸度部2よりも高く高伸度部3より低い伸度となるように、第1強締付組織a1と弱締付組織a3とが交互に設けられている。
【0067】
図1図2を参照すると、脇マチ部14は、図3の脇下P4に対応する脇下部33である。脇下部33は、全体が高伸度部3よりも高い伸度を有する最高伸度部5で形成されている。脇下部33は、高伸度部3を構成する弱締付組織a3よりも締め付け力が低く設定された極弱締付組織で構成されている。脇下部33の30%伸長時の応力は、例えば0.04N/mm以上0.28N/mm以下に設定されている。着用者の脇下P4に対応する位置に配置されている脇下部33(脇マチ部14)が極弱締付組織で構成されているので、一般的な運動中に透湿性及び放熱性が求められる脇下P4の透湿性及び放熱性を高めることができる。
【0068】
図1図2及び図5を参照すると、フード部15には、着用者の頭部の幅方向中央に対応する第1頭中央部34と、着用者の左右両側の耳に対応する耳部36(図5参照)とに高伸度部3が設けられ、その他の部分にフード部15の低伸度部2であるフード低伸度部22が設けられている。第1頭中央部34とオーバラップする領域で第1頭中央部34の幅方向中央に位置する第2頭中央部35には、最高伸度部5がさらに設けられている。最高伸度部5は、脇下部同様に極弱締付組織で構成されている。
【0069】
図2に示すように、第1頭中央部34は、高伸度部3によって構成され、第2頭中央部35は最高伸度によって構成されている。フード部15の中央部の伸度をフード低伸度部22に対して相対的に高めることで、着用者がヘルメット等を装着する際の着脱しやすく、フィットさせることができるため、空気が入りにくく、意図しない状況でフードが脱げることを抑制できる。
【0070】
図5に示すように、耳部36は、高伸度部3構成されている。これにより、耳部36を低伸度部2で構成される場合に比べて、フードを被った状態における聞こえづらさを抑制できる。
【0071】
フード部15の高伸度部3を除く部分をフード低伸度部22で構成することで、フード部15全体を高伸度部3で構成する場合に比べて、フード部15全体の剛性が高められて、フード部15のハリ・コシが得られやすい。フード部15においても、低伸度部2と高伸度部3との間に遷移領域Rが部分的に設けられている。
【0072】
図1及び図2を参照すると、袖先部13には、図3の前腕P2の正面側で前腕外側P21に対応する前腕正面外側部37aに高伸度部3が設けられ、前腕P2の正面側で前腕内側P22に対応する前腕正面内側部23に低伸度部2が設けられている。図3及び図4の計測結果から、前腕背面内側部37bは、前腕内側P22に対応するため、腕振り時における大きな伸びは見られなかったが、手首周辺には内側外側共に伸度が求められるため、手首の内側に連続する前腕背面内側部37bにおいても高伸度部3とされている。前腕正面外側部37aと、前腕背面内側部37bとの間には、第3遷移領域R3が設けられている。
【0073】
前腕正面内側部23と前腕正面外側部37aとは幅方向に隣接して配置されている。第3遷移領域R3は、前腕正面外側部37aから前腕背面内側部37bに向かって、伸度が高くなるように、第1中間伸度部51と第2中間伸度部52が設けられている。
【0074】
前腕低伸度部23の幅方向外側の端部には舌辺部23aが設けられており、縫製後の状態において、第3遷移領域R3の第1中間伸度部51、すなわち伸度が高伸度部3よりも低い位置に設けられた係合部に面ファスナ等の係合部材によって係合されるようになっている。
【0075】
図1及び図2を参照すると、後ろ身頃12は、全体として後ろ身頃低伸度部24で構成されており、背中心及び肩甲骨Bに対応する背中心部39と、脇下P4に連続する背面側部P6に対応する背面側部40と、上腕P1の上腕背面P11および肘P3に対応する上腕背面部41とに高伸度部3が設けられている。上腕背面部41は、肘P3に対応する肘部42を含む。
【0076】
図1及び図2に示すように、図3の肩P7に対応する肩部24aと、上腕P1の上腕正面P12に対応する上腕正面部24bと、背面側部40よりも下方の背面下方部24cは、後ろ身頃低伸度部24の一部を構成している。
【0077】
図2に示すように、背中心部39は、後ろ身頃12の幅方向中央部で上下方向に所定幅で延びる中心部39aと、着用者の肩甲骨Bに対応する高さ位置において幅方向外側に膨出する膨出部39bとを有する。背中心部39の中心部39aの上部39dには、極弱締付組織で構成される最高伸度部5が設けられている。一般に、運動中に蒸れによる不快感が生じやすい背中心部39に高伸度部3ないし最高伸度部5が設けられている。
【0078】
膨出部39bは、各肩甲骨の幅方向中央部に頂点39cを有する三角形状である。膨出部39bは、着用者の肩甲骨Bがニュートラルな位置にある状態(肩甲骨Bを動かしていない非運動状態)における肩甲骨Bの少なくとも幅方向内側の部分とオーバラップするように設定されている。
【0079】
膨出部39bは、縫製後の状態で、頂点39cの上下方向位置が脇マチ部14の上端よりも上方で、肩部24aの稜線と上腕部の稜線とが交差する肩先部よりも下方に位置している。膨出部39bは、頂点39cから下方に向かって幅方向領域が狭くなるように形成されている。
【0080】
図2に二点鎖線で示すように、本実施形態において、肩甲骨Bに対応する肩甲骨部43は、一対の膨出部39bの一部43aと、一対の膨出部39bの一部43bを接続する接続部43bとを有する。一対の膨出部39bの一部43aは、膨出部39bにおける肩甲骨Bと上下方向位置がオーバラップしている部分である。接続部43bは、膨出部39bの一部43aと上下方向位置がオーバラップしている中心部39aの一部43bによって構成されている。
【0081】
図2の背面側部40の上下方向位置は、膨出部39bとオーバラップするように設けられている。背面側部40と膨出部39bとの間には、所定の幅を有して膨出部39bに沿って延びて、左右の肩部24aと背中下方に位置する背中下方部24cとを上下方向に連続させる左右一対の連結部24dが設けられている。連結部24dは、低伸度部2によって構成されている。言い換えると、低伸度部2が、各肩部24a、連結部24d、及び背中下方部24cとによって上下方向に連続している。
【0082】
図2に示すように、肩部24aと上腕背面部41との間に第4遷移領域R4が設けられ、背面側部40と背中下方部24cとの間に第5遷移領域R5が設けられ、背中心部39の中心部39aの下方で背中下方部24cの幅方向中心に第6遷移領域R6が設けられている。第4~第6遷移領域R4,R5,R6は、第2中間伸度部52で構成されている。
【0083】
以上の構成により、低伸度部2よりも伸度の高い高伸度部3を、スポーツないしアウトドア活動を行うときの動作のしやすさを向上させるための各部位に設けられているので、スポーツないしアウトドア活動を行うときのパフォーマンスを向上できる。低伸度部2と高伸度部4との伸度の差が編分けによって形成されているので、低伸度部2と高伸度部4との切り替え部に縫い目を設ける必要がなく、切り替え部に縫い目を設ける場合に比べて、切り替え部の伸度の低下が抑制される。これにより、縫い目を最小限にしつつ、着用者の所定部位に必要とされる伸度を設定することができ、意図しない部位での伸度の低下が抑制される。
【0084】
より詳しくは、高伸度部3が、後ろ身頃12の幅方向中央から着用者の両側の肩甲骨Bに対応する位置まで延びる肩甲骨部(背中心部39)に設けられているので、スポーツを行う場合、例えば、スキーのターン時等に腕を振る場合に、衣類1における肩甲骨部の伸度不足によって肩甲骨Bが拘束されることが抑制でき、スポーツを行うときのパフォーマンスを向上できる。また、肩甲骨の拘束が抑制されることによって、アウトドア活動を行うときにはストレスのない状態が得られやすい。
【0085】
高伸度部3が、着用者の上腕背面P11に対応する上腕背面部41に設けられているので、スキーのターン時等に腕を前方に振る場合に、衣類1における上腕背面部41の伸度不足によって上腕P1が拘束されて腕の動作範囲が制限されることが抑制でき、スポーツないしアウトドア活動を行うときのパフォーマンスを向上できる。また、腕の動作範囲が制限されることが抑制されることによって、アウトドア活動を行うときにはストレスのない状態が得られやすい。
【0086】
高伸度部3は、着用者の脇下P4に対応する脇下部33に設けられているので、スポーツを行う場合、例えば、スキーのターン時等に腕を振る場合に、衣類1における脇下部33の伸度不足によって脇下P4が拘束されて腕の動作範囲が制限されることが抑制でき、スポーツを行うときのパフォーマンスを向上できる。また、腕の動作範囲が制限されることが抑制されることによって、アウトドア活動を行うときにはストレスのない状態が得られやすい。
【0087】
また、低伸度部2と高伸度部3の伸度の差が編分けによって形成されているので、例えば、低伸度部よりも高伸度部の編み組織を荒くすることで、高伸度部3の透湿性及び放熱性は低伸度部2よりも相対的に高くなるため、一般的な運動中に透湿性及び放熱性が求められる脇下部33の透湿性及び放熱性を高めることができる。
【0088】
高伸度部3が、着用者の肘P3に対応する肘部42に設けられているので、スポーツを行う場合、例えば、スキーのターン時等に腕を振る場合に、衣類における肘部42の伸度不足によって肘が拘束されて肘の曲げ角度が制限されることが抑制でき、スポーツを行うときのパフォーマンスを向上できる。また、肘の曲げ角度が制限されることが抑制されることによって、アウトドア活動を行うときにはストレスのない状態が得られやすい。
【0089】
高伸度部3の引張弾性率は、低伸度部2の引張弾性率の0.3倍以上0.9倍以下に設定されているので、スポーツないしアウトドア活動を行うときの動作のしやすさを向上させるための所定部位の伸度が適切に設定できる。低伸度部の引張弾性率に対する高伸度部3の引張弾性率が0.3倍未満の場合、伸度差がありすぎて、皺がよるなどの美観を損なわれ、0.3倍より大きい場合にはスポーツないしアウトドア活動を行うときの動作のしやすさを向上させるための所定部位の伸度不足により、動作が阻害される。
【0090】
高伸度部3は、30%伸長時の応力が0.06N/mm以上0.3N/mm以下に設定されているので、スポーツを行うときの動作のしやすさを向上させるための所定部位の伸度が適切に設定できる。30%伸長時の応力が0.06N/mm未満の場合にはウェアの形状が保てなくなり、30%伸長時の応力が0.3N/mmより大きい場合にはスポーツないしアウトドア活動を行うときの動作のしやすさを向上させるための所定部位の伸度不足により、動作が阻害される。
【0091】
低伸度部2が、着用者の両肩P7に対応する一対の肩部24aと、着用者の背中下方に対応する背中下方部24cと、肩甲骨部43と脇下部33との間に設けられて肩部24aと背中下方部24cとを上下方向にそれぞれ連続させる一対の連結部24dとに設けられているので、高伸度部3よりも低伸度となる低伸度部2が各肩部24aから背中下方にかけて上下方向に連続している。これにより、衣類1の骨組みとなってハリ・コシが出るので、高伸度部3を幅方向に連続して設ける場合に比べて、衣類1のシルエットが幅方向に膨らむことが抑制できる。これにより、衣類1のシルエットの美観を損なうことなく、スキーを行うときのパフォーマンスを向上できる。
【0092】
低伸度部2と高伸度部3との間の切り替え部には、低伸度部2よりも伸度が高く高伸度部3よりも低い伸度を備えた遷移領域Rが設けられているので、低伸度部2と高伸度部3との伸度の切り替えをスムーズにできる。低伸度部2と高伸度部3との伸度の差が大きい場合に比べて、高伸度部3の弛みが抑制されて、衣類の美観が損なわれることが抑制できる。
【0093】
[第2実施形態]
図7図9を参照しながら本発明の第2実施形態に係る衣類について説明する。図7は第2実施形態に係る衣類101の正面図を示し、図8は第2実施形態に係る衣類101の背面図を示し、図9図7の遷移領域周辺における要部を示している。
【0094】
衣類101は、第1実施形態に係る衣類1に対して高伸度部、低伸度部および遷移領域の設定領域および各伸度部の伸度設定が異なっている。以下、衣類1と共通する構成については同じ参照符号を使用してその説明を省略する。
【0095】
第2実施形態では、低伸度部が第1実施形態における低伸度部2で構成され、高伸度部が第1実施形態における第2中間伸度部52で構成され、中間伸度部が第1実施形態における第1中間伸度部51で構成されている。したがって、第2実施形態において第2中間伸度部52を高伸度部52と記載し、第1中間伸度部51を中間伸度部51と記載する。なお、高伸度部52の30%伸長時の応力は第1実施形態における第2中間伸度部52に対応し、中間伸度部51の30%伸長時の応力は第1実施形態における第1中間伸度部51に対応している。
【0096】
図7に示すように、前身頃11は、全体が前身頃11の低伸度部2である前身頃低伸度部21で形成されている。
【0097】
図8に示すように、後ろ身頃本体部12aは、全体として後ろ身頃低伸度部24(2)で構成されている。背中中心及び肩甲骨に対応する背中心部39に高伸度部52が設けられている。背中心部39は、後ろ身頃本体部12aの幅方向中央で背骨に沿った部位である。背中心部39は、後ろ身頃12の幅方向中央部で上下方向に所定幅W11で延びている。言い換えると、後ろ身頃本体部12aの幅方向中央部は、後ろ身頃12の裾から襟元に掛けて上下方向に連続して延びる高伸度部52で形成されている。
【0098】
後ろ身頃本体部12aには、背中心部39の幅方向両外側に後ろ身頃遷移領域R11が設けられている。後ろ身頃遷移領域R11は、低伸度部2よりも伸度が高く高伸度部52よりも伸度の低い中間の伸度に設定されている。言い換えると、後ろ身頃本体部12aの低伸度部2と高伸度部52との間には、中間伸度部51が設けられている。
【0099】
低伸度部2、中間伸度部51および高伸度部52は、第1実施形態と同様に、編分けによって形成されている。より詳しくは、図9の拡大図に示されるように、低伸度部2は、第1および第2強締付組織a1、a2で構成されている。中間伸度部51は、低伸度部2を構成する第1強締付組織a1と、第1実施形態における高伸度部3を構成する弱締付組織a3とが交互に設けられている。これにより、中間伸度部51の伸度は、低伸度部2よりも高い伸度となっている。
【0100】
図9に示すように、高伸度部52は、中間伸度部51同様に第1強締付組織a1と弱締付組織a3とが交互に設けられているが、第1強締付組織a1が弱締付組織a3よりも小さくなるように、第1強締付組織a1に対する弱締付組織a3の割合が2倍に設定されている。これにより、高伸度部52の伸度は、中間伸度部51よりも高い伸度となっている。
【0101】
本実施形態において、低伸度部2は第1強締付組織a1と第2強締付組織a2で構成され、中間伸度部51は第1強締付組織a1と弱締付組織a3とが1:1の割合で構成され、高伸度部52は第1強締付組織a1よりも弱締付組織a3の割合が大きくなるように構成されている。このように、低伸度部2と高伸度部52との間に遷移領域を設けることで、急激な伸度の差が生じることが抑制されて、低伸度部2と高伸度部52とをなじませることができる。
【0102】
図8に示すように、中間伸度部51は、所定幅W12を有し、高伸度部52に沿って上下方向に延びている。中間伸度部51の幅W12は、高伸度部52の幅W11よりも小さく設定されている。
【0103】
図7および図8を参照すると、フード部15は、全体としてフード低伸度部22(2)で構成されている。フード部15には、着用者の頭部の幅方向中央に対応する第1頭中央部34に高伸度部52が設けられている。第1頭中央部34は、背中心部39に対応するように、フード部15の幅方向中央部で上下方向に所定幅W11で延びている。言い換えると、フード部15の幅方向中央部は、フード部15の襟元から前側にかけて上下方向に連続して延びる高伸度部52で形成されている。
【0104】
フード部15には、第1頭中央部34の幅方向両側に、後ろ身頃遷移領域R11に対応するフード遷移領域R21が設けられている。フード遷移領域R21は、低伸度部2よりも伸度が高く高伸度部52よりも伸度の低い中間の伸度に設定されている。言い換えると、フード部15の低伸度部2と高伸度部52との間には、中間伸度部51が設けられている。
【0105】
これにより、フード部15の中央部の伸度をフード低伸度部22に対して相対的に高めることで、着用者がヘルメット等を装着する際の着脱しやすく、フィットさせることができるため、空気が入りにくく、意図しない状況でフードが脱げることを抑制できる。
【0106】
フード部15にフード低伸度部22を設けることで、フード部15全体を高伸度部52で構成する場合に比べて、フード部15全体の剛性が高められて、フード部15のハリ・コシが得られやすい。
【0107】
図8に示すように、高伸度部52は、上下方向に連続する背中心部39と、上下方向に連続する第1頭中央部34とに設けられ、背中心部39と第1頭中央部34が上下方向に連続している。これにより、例えば、スキーのクラウチング時等に背中を湾曲させた状態(前かがみの姿勢)を維持する場合に、衣類における後ろ身頃12からフード部15にかけての伸度不足によって背面から頭部にかけて拘束されることが抑制でき、スポーツを行うときのパフォーマンスを向上できる。また、背面から頭部にかけて拘束が抑制されることによって、アウトドア活動を行うときにはストレスのない状態が得られやすい。
【0108】
上記実施形態においては、衣類1の各パターンが低伸度部と高伸度部とを有し、この伸度差を一つの生地において編分けで形成する構成について説明したが、これに限られるものではない。例えば、衣類1は複数のパターンのうち、少なくとも一つが上述の編分けによる伸度差を有する編み生地で構成されていればよい。具体的には、後ろ身頃12のみが前記編み生地で構成され、前身頃12ないし袖先部13等が従来の編み生地あるいは布帛(織物)を組み合わせることで構成されていてもよい。
【0109】
従来の編み生地は、布帛(織物)に比べ、伸縮性があり動きやすさに優れるものの、雨や風を通しやすく、毛羽立ちやピリングなど耐久性にも課題があったところ、
本発明の独自の技術による高密度の編み生地を用いているため、しっかりと糸が入って耐久性がある生地を用いることで、これらの課題を解決し、なめらかな表面感と透湿防水膜のラミネート加工による防水性を実現したものである。
本発明の裏面に透湿防水膜付の編み生地を設いることで、透湿性があり、かつ、1つのパーツのうち、切り替えること無く部分ごとに生地の風合いや機能に変化をもたせることができる新規な衣類を提供できる。
さらに、動作による体形変化を分析し、動きやすさが必要とされる部位の解析から、各部位の伸度を一枚の生地の中で編み分けることにより、生地の切り替えによる縫い目もないため伸び止まりもないため、パフォーマンスを上げることが可能となる。
寒さや雨風を防ぐアウターの役目を果たしつつ、今までにないデザイン性のある表面感をもち、着用者の着心地の良さを実現できる。
【0110】
第1の態様に係る衣類は、編み物からなる生地と、前記生地の裏側に貼り付けられた透湿防水性を有するフィルムとを含んで構成され、上半身に着用されるアウターウェアであるあって、前身頃、後ろ身頃、及び、袖部のうち少なくとも一つを有するパターンは、前記低伸度部よりも高い伸度を有する高伸度部と、を備え、前記低伸度部と前記高伸度部とは、一つの生地において編分けで形成されている。
【0111】
第2の態様に係る衣類は、前記第1の態様に係る衣類において、前記高伸度部は、着用者の肩甲骨部に設けられている。
【0112】
第3の態様に係る衣類は、前記第1の態様または第2の態様に係る衣類において、前記高伸度部は、着用者が肘を曲げたときの外側に位置する上腕背面に対応する上腕背面部に設けられている。
【0113】
第4の態様に係る衣類は、前記第1から前記第3のいずれか1つの態様に係る衣類において、前記高伸度部は、着用者の脇下に対応する脇下部に設けられている。
【0114】
第5の態様に係る衣類は、前記第1から前記第3のいずれか1つの態様に係る衣類において、前記高伸度部は、着用者の肘に対応する肘部に設けられている。
【0115】
第6の態様に係る衣類は、前記第1から前記第5のいずれか1つの態様に係る衣類において、前記前身頃及び/または後ろ身頃における伸度は、体幅方向の伸度に対応し、前記袖部における伸度は、腕の長さ方向の伸度に対応し、前記前身頃と前記後ろ身頃と前記袖部との少なくとも1つに設けられた前記高伸度部の引張弾性率は、前記低伸度部の引張弾性率の0.3倍以上0.9倍以下に設定されている。
【0116】
第7の態様に係る衣類は、前記第1から前記第6のいずれか1つの態様に係る衣類において、前記前身頃及び/または前記後ろ身頃における伸度は、体幅方向の伸度に対応し、前記袖部における伸度は、腕の長さ方向の伸度に対応し、前記前身頃と前記後ろ身頃と前記袖部との少なくとも1つに設けられた前記高伸度部の30%伸長時の応力は、0.06N/mm以上0.3N/mm以下である。
【0117】
第8の態様に係る衣類は、前記第1から前記第7のいずれか1つの態様に係る衣類において、前記低伸度部は、着用者の両肩に対応する一対の肩部と、着用者の背中下方に対応する背中下方部と、着用者の肩甲骨に対応する肩甲骨部と着用者の脇下に対応する脇下部との間に設けられて前記肩部と前記背中下方部とを上下方向にそれぞれ連続させる一対の連結部と、を備える。
【0118】
第9の態様に係る衣類は、前記第1から前記第8のいずれか1つの態様に係る衣類において、前記高伸度部は、着用者の頭部を覆うフード部に設けられている。
【0119】
第10の態様に係る衣類は、前記第1から前記第9のいずれか1つの態様に係る衣類において、前記低伸度部と前記高伸度部との間の切り替え部には、前記低伸度部よりも伸度が高く前記高伸度部よりも低い伸度を備えた遷移領域が設けられている。
【0120】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0121】
以上のように、本発明によれば、縫い目を最小限にしつつ、着用者の各部位に必要とされる伸度を備えた衣類を提供できるから、衣類関連産業の分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0122】
1 衣類
2 低伸度部
3 高伸度部
7 フィルム
11 前身頃
12 後ろ身頃
12c 袖元部(袖部)
13 袖先部(袖部)
15 フード部
24a 肩部
24c 背中下方部
24d 連結部
33 脇下部
41 上腕背面部
42 肘部
43 肩甲骨部
B 肩甲骨
P7 肩
P3 肘
P4 脇下
P11 上腕背面
R 遷移領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9