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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】電磁放射線ステアリング機構
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20240902BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20240902BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20240902BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20240902BHJP
【FI】
G02B26/10 Z
G02B26/08 E
G02B7/00 B
B23K26/082
【請求項の数】 53
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023068497
(22)【出願日】2023-04-19
(62)【分割の表示】P 2020545874の分割
【原出願日】2018-11-22
(65)【公開番号】P2023099538
(43)【公開日】2023-07-13
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】62/589,966
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/590,004
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520177884
【氏名又は名称】アルテック アンゲヴァンテ レーザーリヒト テヒノロギー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】キュッケンダール ペーター ヨット
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0168713(US,A1)
【文献】特開2014-030179(JP,A)
【文献】特開2002-066770(JP,A)
【文献】特開2016-034655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10
G02B 26/08
G02B 7/00
B23K 26/082
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザマーキングシステムのためのマーキングヘッドであって、
電磁放射線を2次元視野内の特定場所に向けるようにステアリングするように構成された電磁放射線ステアリング機構であって、
前記2次元視野内で第1のステアリング軸の第1の座標を変化させるために第1の光学要素を第1の回転軸の周りに回転させるように構成された関連の第1のアクチュエータを有する該第1の光学要素と、
前記2次元視野内で第2のステアリング軸の第2の座標を変化させるために第2の光学要素を第2の回転軸の周りに回転させるように構成された関連の第2のアクチュエータを有する該第2の光学要素と、
光学的に前記第1及び第2の光学要素の間に配置された電磁放射線マニピュレータと、
を含み、
第1の角度が、前記第1及び第2の回転軸の間に定められ、
第2の角度が、前記第1及び第2のステアリング軸の間に定められ、
前記電磁放射線マニピュレータは、前記第1の角度と前記第2の角度の間に差を導入するように構成される、電磁放射線ステアリング機構を含む
ことを特徴とするマーキングヘッド。
【請求項2】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、非直角であることを特徴とする請求項1に記載のマーキングヘッド。
【請求項3】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマーキングヘッド。
【請求項4】
前記第1のステアリング軸と前記第2のステアリング軸は、実質的に直角であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマーキングヘッド。
【請求項5】
前記第1の光学要素は、前記電磁放射線を受け入れるように構成された第1の反射面を含み、
前記第2の光学要素は、前記電磁放射線を受け入れるように構成された第2の反射面を含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のマーキングヘッド。
【請求項6】
前記第1の回転軸と前記第1の反射面は、実質的に平行であることを特徴とする請求項5に記載のマーキングヘッド。
【請求項7】
前記第2の回転軸と前記第2の反射面は、実質的に平行であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のマーキングヘッド。
【請求項8】
前記電磁放射線マニピュレータは、第1のミラーと第2のミラーを含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のマーキングヘッド。
【請求項9】
前記第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータのうちの少なくとも一方が、検流計モータを含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のマーキングヘッド。
【請求項10】
円筒形ハウジングを含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のマーキングヘッド。
【請求項11】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であり、
前記電磁放射線ステアリング機構は、前記マーキングヘッドの長さ方向が前記第1及び第2の回転軸に対して実質的に平行であるように前記マーキングヘッドに対して実質的に平行に設置される、
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のマーキングヘッド。
【請求項12】
前記電磁放射線を生成するように構成されたレーザ源を備える、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のマーキングヘッド。
【請求項13】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であり、前記レーザ源は前記電磁放射線を前記第1及び第2の回転軸と平行な方向に向けるように構成されていることを特徴とする請求項12に記載のマーキングヘッド。
【請求項14】
前記レーザ源は、紫外放射線、可視放射線及び近赤外放射線、の少なくとも1つを生成するように構成されていることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のマーキングヘッド。
【請求項15】
前記レーザ源は、ダイオードレーザであることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のマーキングヘッド。
【請求項16】
前記電磁放射線を生成するように構成されたCO2レーザ源を備えることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のマーキングヘッド。
【請求項17】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であり、
前記CO2レーザ源は、前記電磁放射線を前記第1及び第2の回転軸と平行な方向に向けるように構成されていることを特徴とする請求項16に記載のマーキングヘッド。
【請求項18】
入力から出力までの光路を定めるように構成された可変光路長アセンブリを更に含むことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載のマーキングヘッド。
【請求項19】
製品をマーキングするためのレーザマーキングシステムであって、
マーキングヘッドであって、
電磁放射線を2次元視野内の特定場所に向けるようにステアリングするように構成された電磁放射線ステアリング機構であって、
前記2次元視野内で第1のステアリング軸の第1の座標を変化させるために第1の光学要素を第1の回転軸の周りに回転させるように構成された関連の第1のアクチュエータを有する該第1の光学要素と、
前記2次元視野内で第2のステアリング軸の第2の座標を変化させるために第2の光学要素を第2の回転軸の周りに回転させるように構成された関連の第2のアクチュエータを有する該第2の光学要素と、
光学的に前記第1及び第2の光学要素の間に配置された電磁放射線マニピュレータ、
を含み、
第1の角度が、前記第1及び第2の回転軸の間に定められ、
第2の角度が、前記第1及び第2のステアリング軸の間に定められ、
前記電磁放射線マニピュレータは、前記第1の角度と前記第2の角度の間に差を導入するように構成される、電磁放射線ステアリング機構を含む、
マーキングヘッドを備える、ことを特徴とするレーザマーキングシステム。
【請求項20】
前記電磁放射線マニピュレータは、第1のミラーと第2のミラーを含み、前記第1のミラーと前記第2のミラーは、互いに対して固定されることを特徴とする請求項19に記載のレーザマーキングシステム。
【請求項21】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であり、
前記電磁放射線ステアリング機構は、前記マーキングヘッドの長さ方向が前記第1及び第2の回転軸に対して実質的に平行であるようにレーザマーキングシステムの前記マーキングヘッドに対して実質的に平行に設置される、
ことを特徴とする請求項19又は請求項20に記載のレーザマーキングシステム。
【請求項22】
前記マーキングヘッドは、円筒形ハウジングを含むことを特徴とする請求項19から請求項21のいずれか1項に記載のレーザマーキングシステム。
【請求項23】
前記レーザマーキングシステムは、前記電磁放射線を生成するように構成されたレーザ源を備え、前記レーザ源は、前記マーキングヘッド内に位置付けられることを特徴とする請求項19又は請求項20に記載のレーザマーキングシステム。
【請求項24】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であり、前記レーザ源は前記電磁放射線を前記第1及び第2の回転軸と平行な方向に向けるように構成されていることを特徴とする請求項23に記載のレーザマーキングシステム。
【請求項25】
前記レーザ源は、紫外放射線、可視放射線及び近赤外放射線、の少なくとも1つを生成するように構成されていることを特徴とする請求項23又は請求項24に記載のレーザマーキングシステム。
【請求項26】
前記レーザ源は、ダイオードレーザであることを特徴とする請求項23から請求項25のいずれか1項に記載のレーザマーキングシステム。
【請求項27】
前記電磁放射線を生成するように構成されたCO2レーザ源を備えることを特徴とする請求項19から請求項21のいずれか1項に記載のレーザマーキングシステム。
【請求項28】
前記CO2レーザ源は、前記マーキングヘッド内に位置付けられることを特徴とする請求項27に記載のレーザマーキングシステム。
【請求項29】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であり、
前記CO2レーザ源は、前記電磁放射線を前記第1及び第2の回転軸と平行な方向に向けるように構成されていることを特徴とする請求項28に記載のレーザマーキングシステム。
【請求項30】
電磁放射線を生成するように構成されたレーザ源と、
前記電磁放射線を2次元視野内の特定場所に向けるようにステアリングするように構成された電磁放射線ステアリング機構であって、
前記2次元視野内で第1のステアリング軸の第1の座標を変化させるために第1の光学要素を第1の回転軸の周りに回転させるように構成された関連の第1のアクチュエータを有する該第1の光学要素と、
前記2次元視野内で第2のステアリング軸の第2の座標を変化させるために第2の光学要素を第2の回転軸の周りに回転させるように構成された関連の第2のアクチュエータを有する該第2の光学要素と、
光学的に前記第1及び第2の光学要素の間に配置された電磁放射線マニピュレータと、
を含み、
第1の角度が、前記第1及び第2の回転軸の間に定められ、
第2の角度が、前記第1及び第2のステアリング軸の間に定められ、
前記電磁放射線マニピュレータは、前記第1の角度と前記第2の角度の間に差を導入するように構成される、電磁放射線ステアリング機構と、を含む
ことを特徴とする光学スキャナ。
【請求項31】
前記電磁放射線マニピュレータは、第1のミラーと第2のミラーを含み、前記第1のミラーと前記第2のミラーは、互いに対して固定されることを特徴とする請求項30に記載の光学スキャナ。
【請求項32】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であり、
前記電磁放射線ステアリング機構は、前記光学スキャナの長さ方向が前記第1及び第2の回転軸に対して実質的に平行であるように前記光学スキャナに対して実質的に平行に設置される、
ことを特徴とする請求項30又は請求項31に記載の光学スキャナ。
【請求項33】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であり、前記レーザ源は前記電磁放射線を前記第1及び第2の回転軸と平行な方向に向けるように構成されていることを特徴とする請求項30から請求項32のいずれか1項に記載の光学スキャナ。
【請求項34】
前記レーザ源は、紫外放射線、可視放射線及び近赤外放射線、の少なくとも1つを生成するように構成されていることを特徴とする請求項30から請求項33のいずれか1項に記載の光学スキャナ。
【請求項35】
前記レーザ源は、ダイオードレーザであることを特徴とする請求項30から請求項34のいずれか1項に記載の光学スキャナ。
【請求項36】
前記レーザ源は、CO2レーザ源であることを特徴とする請求項30から請求項33のいずれか1項に記載の光学スキャナ。
【請求項37】
レーザ源及び電磁放射線ステアリング機構を用いて製品をマーキングする方法であって、
電磁放射線を生成するために前記レーザ源を使用する段階と、
2次元視野内で第1のステアリング軸の第1の座標を変化させるために第1の回転軸の周りに回転可能である第1の光学要素で前記電磁放射線を受け入れる段階と、
光学的に前記第1の光学要素及び第2の光学要素の間に配置された電磁放射線マニピュレータに前記電磁放射線を向ける段階と、
前記2次元視野内で第2のステアリング軸の第2の座標を変化させるために第2の回転軸の周りに回転可能である前記第2の光学要素に前記電磁放射線を向ける段階と、
前記第1及び第2の回転軸の間の第1の角度を定める段階と、
前記第1及び第2のステアリング軸の間の第2の角度を定める段階と、
前記電磁放射線マニピュレータを用いて前記第1の角度と前記第2の角度の間に差を導入する段階と、
前記第1及び第2の光学要素を回転させることによって前記製品の周りで前記電磁放射線をステアリングする段階と、を含み、
前記電磁放射線ステアリング機構は、マーキングヘッド内に配置されることを特徴とする方法。
【請求項38】
前記電磁放射線マニピュレータは、第1のミラーと第2のミラーを含み、前記第1のミラーと前記第2のミラーは、互いに対して固定されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記レーザ源は、前記マーキングヘッド内に位置付けられることを特徴とする請求項37又は請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であり、前記レーザ源は前記電磁放射線を前記第1及び第2の回転軸と平行な方向に向けるように構成されていることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記レーザ源は、紫外放射線、可視放射線及び近赤外放射線、の少なくとも1つを生成するように構成されていることを特徴とする請求項37から請求項40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記レーザ源は、ダイオードレーザであることを特徴とする請求項37から請求項41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記レーザ源は、CO2レーザ源であることを特徴とする請求項37又は請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記CO2レーザ源は、前記マーキングヘッド内に位置付けられることを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であり、
前記CO2レーザ源は、前記電磁放射線を前記第1及び第2の回転軸と平行な方向に向けるように構成されていることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
マーキングヘッドを組み立てる方法であって、
第1の光学要素と、2次元視野内で第1のステアリング軸の第1の座標を変化させるために第1の回転軸の周りに該第1の光学要素を回転させるように構成された関連の第1のアクチュエータとを装着する段階と、
前記2次元視野内で第2のステアリング軸の第2の座標を変化させるために第2の回転軸の周りに第2の光学要素を回転させるように構成された関連の第2のアクチュエータを有する該第2の光学要素を装着する段階と、
電磁放射線マニピュレータを光学的に前記第1及び第2の光学要素の間に配置する段階と、
前記第1及び第2の回転軸の間の第1の角度を定める段階と、
前記第1及び第2のステアリング軸の間の第2の角度を定める段階と、を備え、
前記電磁放射線マニピュレータは前記第1の角度と前記第2の角度の間に差を導入するように構成されている、
ことを特徴とする方法。
【請求項47】
前記電磁放射線マニピュレータは、第1のミラーと第2のミラーを含み、前記第1のミラーと前記第2のミラーは、互いに対して固定されることを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記マーキングヘッド内にレーザ源を配置する段階を含むことを特徴とする請求項46又は請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であり、前記レーザ源は前記電磁放射線を前記第1及び第2の回転軸と平行な方向に向けるように構成されていることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記レーザ源は、紫外放射線、可視放射線及び近赤外放射線、の少なくとも1つを生成するように構成されていることを特徴とする請求項48又は請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記レーザ源は、ダイオードレーザであることを特徴とする請求項48から請求項50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記レーザ源は、CO2レーザ源であることを特徴とする請求項46又は請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、実質的に平行であり、
前記CO2レーザ源は、前記電磁放射線を前記第1及び第2の回転軸と平行な方向に向けるように構成されていることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁放射線ステアリング機構に関する。本発明の開示の態様及び実施は、一般的にレーザ走査及びレーザマーキング機器に関する。
【背景技術】
【0002】
今日のレーザマーカ及びスキャナは、パッケージングでの並びに部品マーキング生産ラインでの自動化生産作動中に限定されている。今日のレーザマーカ及びスキャナは、典型的には、マーキングされる物品に対して生産システムの中に固定されている。
【0003】
公知の電磁放射線ステアリング機構は、2つのミラーを含む。第1のミラーは、第1のステアリング軸に沿って電磁放射線をステアリングするのに第1の回転軸の周りに回転するように構成され、第2のミラーは、第2のステアリング軸に沿って電磁放射線をステアリングするのに第2の回転軸の周りに回転するように構成される。第1のステアリング軸及び第2のステアリング軸は、電磁放射線を2次元視野の周りにステアリングすることができるように垂直である。垂直な第1及び第2のステアリング軸を達成するために、公知の電磁放射線ステアリング機構での第1及び第2のミラーの第1及び第2の回転軸は、互いに対して直角に向けられる。公知の電磁放射線ステアリング機構では、回転軸とステアリング軸は、従って、直接に結合されるものとして説明することができる。すなわち、第1及び第2のステアリング軸が直角であるためには、ミラーの第1及び第2の回転軸も直角でなければならない。これは、電磁放射線ステアリング機構のハウジングが、直角に向けられたステアリングミラー及びそれらの関連のアクチュエータを受け入れるのに十分に大きくなければならないので、多くの場合に大きくて重いかつ面倒な電磁放射線ステアリング機構をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、本明細書に又は他に識別されるか否かに関わらず従来技術での1又は2以上の問題を回避又は軽減する電磁放射線ステアリング機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する態様及び実施形態は、光学走査又はマーキングシステム、例えば、レーザ走査又はマーキングシステムの生産システムの中への容易な統合及びその作動を規定する。本明細書に開示する態様及び実施形態は、レーザ走査又はマーキングシステムのレーザビームと同軸に(すなわち、実質的に平行に)挿入することができる光学走査システムを含む。得られる走査/マーキングヘッドの小型サイズは、生産ラインの中へのレーザ走査又はマーキング機器の統合を容易にする。
【0006】
本発明の第1の態様により、2次元視野内で第1のステアリング軸の第1の座標を変化させるように第1の光学要素を第1の回転軸の周りに回転させるように構成された関連の第1のアクチュエータを有する上記第1の光学要素と、2次元視野内で第2のステアリング軸の第2の座標を変化させるように第2の光学要素を第2の回転軸の周りに回転させるように構成された関連の第2のアクチュエータを有する上記第2の光学要素と、光学的に第1及び第2の光学要素間に配置された電磁放射線マニピュレータとを含み、電磁放射線を2次元視野内の特定場所に向けるようにステアリングするように構成された電磁放射線ステアリング機構を提供し、第1及び第2の回転軸間の第1の角度が定められ、第1及び第2のステアリング軸間の第2の角度が定められ、電磁放射線マニピュレータは、第1の角度と第2の角度の間に差を導入するように構成される。
【0007】
電磁放射線マニピュレータは、電磁放射線空間分布変換器と呼ばれる場合がある。すなわち、電磁放射線マニピュレータは、電磁放射線を第1の伝播方向及び/又は方位から異なる伝播方向及び/又は方位に変換することによって入射電磁放射線を操作するように構成することができる。電磁放射線マニピュレータは、電磁放射線空間分布回転器と呼ばれる場合がある。すなわち、電磁放射線マニピュレータは、電磁放射線の伝播方向及び/又は方位を回転させることによって入射電磁放射線を操作するように構成することができる。電磁放射線マニピュレータは、回転可能な第1及び第2の光学要素と比較して固定アセンブリであるように考えることができる。
【0008】
第1及び第2の光学要素の各々は、偏向器又は可変偏向器と呼ばれる場合がある。すなわち、第1及び第2の光学要素は、第1及び/又は第2の光学要素が回転された時に電磁放射線ステアリング機構を出る電磁放射線が2次元視野の周りにステアリングされるように、可変方式で入射電磁放射線を偏向するように構成することができる。第1又は第2の光学要素の回転は、第1及び/又は第2の光学要素によって引き起こされる電磁放射線の偏向を変化させることができる。
【0009】
第1及び第2のステアリング軸の各々は、偏向軸又は偏向自由度と呼ばれる場合がある。これは、電磁放射線を偏向し、それによって電磁放射線の伝播方向及び/又は方位を変化させるように各光学要素を構成することができるからである。第1及び第2の光学要素に関連付けられた2つの偏向自由度は、電磁放射線をその周りにステアリングすることができる2次元視野内の特定場所に向けるように組み合わせることができる。
【0010】
2次元視野は、電磁放射線がその上に投影される電磁放射線ステアリング機構から固定距離の仮想平面に対応することができる。例えば、2次元視野は、電磁放射線を用いてマーキングされる製品の面の部分と実質的に共面である場合がある。
【0011】
2次元視野は、例えば、約60mm×約80mmの寸法を有することができる。2次元視野は、例えば、約200mm×約300mmの寸法を有する場合がある。2次元視野のサイズは、電磁放射線ステアリング機構の出力と電磁放射線がその上でステアリングされる面との間の距離に少なくとも部分的に依存するとすることができる。電磁放射線ステアリング機構がレーザマーキングシステムのマーキングヘッドの一部として使用される場合に、マーキングヘッドの出力とマーキングされる製品との間の距離は、約100mmと約500mmの間、例えば、約300mmとすることができる。
【0012】
第1及び第2のアクチュエータの各々は、駆動機構と呼ばれる場合がある。すなわち、第1のアクチュエータは、第1の回転軸の周りの第1の光学要素の回転を駆動するように構成され、第2のアクチュエータは、第2の回転軸の周りの第2の光学要素の回転を駆動するように構成される。
【0013】
第1の角度は、ゼロである場合がある。すなわち、第1及び第2の回転軸は、実質的に平行である場合がある。これに代えて、第1の角度は、非ゼロとすることができる。すなわち、第1及び第2の回転軸は、非平行とすることができる。
【0014】
2次元視野内の所与の点に関して、第1の光学要素を回転することは、電磁放射線の位置を第1のステアリング軸に沿って変化させることになり、第2の光学要素を回転することは、電磁放射線の位置を第2のステアリング軸に沿って変化させることになる。第1のステアリング軸と第2のステアリング軸の間にある程度の線形独立性が存在する場合がある。例えば、第2の角度は、90°よりも小さい場合があり(例えば、約80°)、電磁放射線ステアリング機構は、電磁放射線をその周りにステアリングすることができる2次元視野内の複数の場所に依然として実質的に向けることができる。第1のステアリング軸及び/又は第2のステアリング軸は線形でなくてもよい。例えば、第1のステアリング軸及び/又は第2のステアリング軸は、曲線である場合がある。
【0015】
各ステアリング軸は、いずれかの望ましい座標系、例えば、直交座標系、球面極座標系、円筒極座標系などを用いて記述することができる。例えば、直交座標を用いてステアリング軸を記述する時に、「x」座標は、第1のステアリング軸の第1の座標と考えることができ、「y」座標は、第2のステアリング軸の第2の座標と考えることができる。これに代えて、球面極座標を用いて第1及び第2のステアリング軸を記述する時に、動径座標は、第1のステアリング軸の第1の構成要素と考えることができ、方位角座標は、第2のステアリング軸の第2の座標と考えることができる。
【0016】
第1及び第2の光学要素の回転は、第1及び第2のステアリング座標内の関連の変化の1対1写像を与えることができる。光学要素の一方の回転は、電磁放射線を専ら関連のステアリング軸内でステアリングすることができる。
【0017】
公知の電磁放射線ステアリング機構では、第1の角度と第2の角度は等しい。すなわち、2次元視野の周りに電磁放射線をステアリングするための直交ステアリング軸を達成するために、第1及び第2の回転軸も直角である。公知の電磁放射線ステアリング機構では、回転軸とステアリング軸は、従って、直接に結合されるものとして記述することができる。本明細書に開示する電磁放射線ステアリング機構は、第1及び第2の光学要素の第1及び第2の回転軸の方位を第1及び第2のステアリング軸の方位から有利に切り離し、それによってより高い設計自由度及びより広い応用範囲を考慮する。
【0018】
本明細書に開示する電磁放射線ステアリング機構は、第1及び第2の光学要素の第1及び第2の回転軸の方位を第1及び第2のステアリング軸の方位から有利に切り離し、それによってより高い設計自由度を考慮する。この電磁放射線ステアリング機構は、公知の電磁放射線ステアリング機構がそれらのサイズ及び/又は重量に起因して適さない用途を含むより広い範囲の用途に使用することができる。1つのそのような用途は、電磁放射線ステアリング機構をマーキングヘッドに組み込むことによってレーザマーキングシステムを用いて生産ライン上で製品をマーキングすることに関わるものである。本発明による電磁放射線ステアリング機構は、より小さくてより軽いマーキングヘッドが使用あれることを可能にし、それによってレーザマーキングシステムの設置を簡素化し、同じく生産ライン上でマーキングヘッドが使用される方法により高い柔軟性を与える。
【0019】
第1の回転軸及び第2の回転軸は、非直角である場合がある。
【0020】
非直角の第1及び第2の回転軸を有することは、第1及び第2のステアリング軸が直角である時であっても、第1及び第2の光学要素の物理的配置のより高い自由度を有利に提供する。
【0021】
第1の回転軸及び第2の回転軸は、実質的に平行である場合がある。
【0022】
実質的に平行な第1及び第2の回転軸を有することは、第1及び第2の光学要素の小型配置を有利に提供し、それによって電磁放射線ステアリング機構のサイズ及び重量を低減する。このサイズ及び重量の低減は、サイズ及び/又は重量が以前に制限ファクタであったと考えられるより多数の用途、例えば、レーザマーキングシステムのマーキングヘッドに電磁放射線ステアリング機構が使用されることを有利に可能にする。
【0023】
第1の角度は、約45°よりも小さいとすることができる。第1の角度は、約10°よりも小さい場合がある。第1の角度は、約5°よりも小さい場合がある。第1の角度は、約2°よりも小さい場合がある。第1の角度は、約0°とすることができる。
【0024】
第1の角度の広がりを縮小することは、より小型の電磁放射線ステアリング機構を有利にもたらすことができる。
【0025】
第1のステアリング軸及び第2のステアリング軸は、実質的に直角である場合がある。
【0026】
実質的に直角の第1及び第2のステアリング軸を有することは、電磁放射線ステアリング機構によって電磁放射線をその周りにステアリングすることができる全2次元視野を有利に提供することができる。
【0027】
第2の角度は、約70°と約110°の間とすることができる。第2の角度は、約80°と約100°の間である場合がある。第2の角度は、約85°と約95°の間である場合がある。第2の角度は、約90°とすることができる。
【0028】
電磁放射線マニピュレータは、第1の角度と第2の角度の間に約45°よりも大きい差を導入するように構成することができる。電磁放射線マニピュレータは、第1の角度と第2の角度の間に約70°よりも大きい差を導入するように構成される場合がある。電磁放射線マニピュレータは、第1の角度と第2の角度の間に約90°の差を導入するように構成することができる。
【0029】
電磁放射線マニピュレータによって導入される第1の角度と第2の角度の間の差を約90°まで増大させることは、回転軸の方位をステアリング軸の方位から有利に更に切り離すことができる。これは、次に、電磁放射線をその周りにステアリングすることができる2次元視野を縮小及び/又は制限する必要なしに、第1及び第2の光学要素を組み立てる時のより高い設計自由度を有利に提供することができる。
【0030】
第1の光学要素は、第2の光学要素に隣接することができる。第1の光学要素及び第2の光学要素は、第1及び/又は第2の回転軸と平行な方向に沿って互いからオフセットされる場合がある。第1の回転軸及び第2の回転軸の間に極小距離が存在することができる。すなわち、第1の光学要素及び第2の光学要素の間の空間量は、電磁放射線ステアリング機構のサイズを更に縮小するために低減することができる。第1及び第2の光学要素のサイズは、第1の回転軸及び第2の回転軸の間の最小距離を少なくとも部分的に決定することができる。第1及び第2の光学要素の回転範囲(すなわち、第1及び第2の光学要素を第1及び第2の回転軸の周りに回転させることができる最大及び/又は最小角度)は、第1の回転軸及び第2の回転軸の間の最小距離を少なくとも部分的に決定することができる。第1及び第2の光学要素は、第1の回転軸及び第2の回転軸の間の距離が不十分である場合に回転時に互いに接触する場合がある。第1のアクチュエータ及び/又は第2のアクチュエータのサイズは、第1の回転軸及び第2の回転軸の間の最小距離を少なくとも部分的に決定することができる。第1のアクチュエータ及び/又は第2のアクチュエータは、それらのサイズが第1の回転軸及び第2の回転軸の間の最小距離を決定しないように装着することができる。
【0031】
第1の光学要素は、電磁放射線を受け入れて電磁放射線を電磁放射線マニピュレータに向けるように構成することができる。電磁放射線マニピュレータは、電磁放射線を第2の光学要素に向けるように構成することができる。
【0032】
第2の光学要素は、電磁放射線を電磁放射線ステアリング機構の光学出力に向けるように構成することができる。
【0033】
第2の光学要素は、ステアリングされた電磁放射線を受け入れるように構成された光学デバイスの光学入力に電磁放射線を向けるように構成することができる。
【0034】
電磁放射線ステアリング機構は、例えば、電磁放射線を感光検出器の周りでステアリングするように及び/又は電磁放射線を所与の光学デバイスの異なる光学入力間でステアリングするように構成することができる。
【0035】
第1の光学要素及び第2の光学要素のうちの少なくとも一方は、反射性である場合がある。
【0036】
反射光学要素の回転は、反射光学要素から反射する電磁放射線の方向を変えることができる。
【0037】
第1の光学要素は、電磁放射線を受け入れるように構成された第1の反射面を含むことができる。第2の光学要素は、電磁放射線を受け入れるように構成された第2の反射面を含むことができる。
【0038】
第1の光学要素及び/又は第2の光学要素は、例えば金及び/又は銀を含むコーティングのような反射コーティングを含むことができる。
【0039】
第2の反射面は、第1の反射面よりも大きいとすることができる。これは、第1の反射面によって反射された電磁放射線が第1の反射面の回転範囲にわたって第2の反射面によって受け入れられることを保証することができる。すなわち、第2の反射面は、第1の回転軸の周りのいずれの方向の第1の反射面の最大回転の後でも電磁放射線を受け入れるように十分に大きいとすることができる。電磁放射線が第1の反射面と第2の反射面の間でステアリングされるステアリング距離は、第1の反射面と第2の反射面の間の距離によって少なくとも部分的に決定することができる。すなわち、ステアリングされた電磁放射線を依然として受け入れるために、第1の反射面と第2の反射面の間の分離が大きい程、第2の反射面は大きいと考えられる。従って、第1の反射面と第2の反射面の間の電磁放射線ステアリング機構内の第1の反射面と第2の反射面の間の電磁放射線のステアリング距離を短縮及び/又は制限するために、第1の反射面と第2の反射面の間の距離を短縮することは有利であると考えられる。
【0040】
第1の回転軸と第1の反射面は、実質的に平行とすることができる。
【0041】
第2の回転軸と第2の反射面は、実質的に平行とすることができる。
【0042】
第1の光学要素及び第2の光学要素のうちの少なくとも一方は、屈折性である場合がある。
【0043】
屈折光学要素は、プリズムである場合がある。
【0044】
第1及び第2の光学要素のうちの少なくとも一方は、回折性である場合がある。
【0045】
回折光学要素は、格子を含むことができる。格子は、エッチングを通じて形成することができる。
【0046】
第1及び第2の光学要素のうちの少なくとも一方は、偏光性である場合がある。
【0047】
偏光光学要素は、直線偏光電磁放射線を円偏光電磁放射線に変化させるように構成することができる。
【0048】
レーザ(例えば、CO2レーザ)から放出された放射線は、直線偏光される傾向を有する。円偏光放射線は、例えば製品のレーザマーキングのような一部の用途では直線偏光放射線よりも好ましい場合がある。
【0049】
電磁放射線マニピュレータは、第1のミラーと第2のミラーを含むことができる。
【0050】
第1のミラー及び/又は第2のミラーは、例えば金及び/又は銀を含むコーティングのような反射コーティングを含むことができる。
【0051】
第1のミラーは、電磁放射線が第1の光学要素と相互作用した後で電磁放射線を受け入れ、かつ電磁放射線を第2のミラーに向けるように構成することができる。
【0052】
第2のミラーは、電磁放射線が第1のミラーと相互作用した後で電磁放射線を受け入れ、かつ電磁放射線を第2の光学要素に向けるように構成することができる。
【0053】
第1のミラーと第2のミラーは、互いに対して固定することができる。
【0054】
第1のミラーは、電磁放射線の方向に約90°の変化を加えるように配置することができる。
【0055】
第1のミラーは、入射電磁放射線に対して光学的に45°の角度で配置することができる。
【0056】
第2のミラーは、電磁放射線の方向に約90°の変化を加えるように配置することができる。
【0057】
第2のミラーは、入射電磁放射線に対して光学的に45°の角度で配置することができる。
【0058】
第1のミラーによって引き起こされる電磁放射線の90°の方向変化は、第1の反射軸の周りで起こることができる。第2のミラーによって引き起こされる電磁放射線の90°の方向変化は、第2の反射軸の周りで起こることができる。第1の反射軸と第2の反射軸は、非平行とすることができる。
【0059】
第1の反射軸は、電磁放射線がそこから反射する第1のミラーの面と平行である及び/又はそれと同一平面内であるとすることができる。第2の反射軸は、電磁放射線がそこから反射する第2のミラーの面と平行である及び/又はそれと同一平面内であるとすることができる。
【0060】
第1の反射軸と第2の反射軸は、実質的に垂直とすることができる。
【0061】
第1のミラーは、3次元空間内で第1の軸の周りに約90°だけ電磁放射線の伝播方向を変更することができる。第2のミラーは、3次元空間内で第2の軸の周りに約90°だけ電磁放射線の伝播方向を変更することができる。第1の軸と第2の軸は、異なる場合がある。第1の軸と第2の軸は、非平行とすることができる。第1の軸と第2の軸は、垂直とすることができる。
【0062】
第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータのうちの少なくとも一方は、検流計モータを含むことができる。これに代えて、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータのうちの少なくとも一方は、圧電ドライブ、磁気ドライブ、直流ドライブ、ステッパモータ、サーボモータなどを含むことができる。
【0063】
第1の光学要素又は第2の光学要素のx°の角度による回転は、第1の光学要素又は第2の光学要素から反射している電磁放射線に起因して、電磁放射線の伝播方向を2x°の角度だけ変化させることができる。
【0064】
第1の光学要素又は第2の光学要素の回転によって引き起こされる2次元視野内の電磁放射線の変位は、第1の光学要素又は第2の光学要素が回転される角度の知識と電磁放射線ステアリング機構と2次元視野の間の焦点距離の知識とを用いた三角法を用いて決定することができる。各アクチュエータは、例えば、各光学要素を約±20°だけ回転させるように構成することができる。
【0065】
電磁放射線は、レーザビームとすることができる。電磁放射線は、例えば、CO2レーザによって発生させることができる。電磁放射線は、赤外放射線、近赤外放射線、紫外放射線、可視放射線などを含むことができる。電磁放射線は、約5W又はそれよりも高い電力を有することができる。電磁放射線は、約10W又はそれよりも高い電力を有することができる。電磁放射線は、約100W又はそれよりも低い電力を有することができる。電磁放射線は、約100kW又はそれよりも低い電力を有することができる。
【0066】
電磁放射線は、約0.01mmよりも大きいビーム幅を有することができる。電磁放射線は、約10mmよりも小さいビーム幅を有することができる。例えば、電磁放射線は、約5mmのビーム幅を有することができる。
【0067】
本発明の第2の態様により、マーキングヘッドと本発明の第1の態様の電磁放射線ステアリング機構とを含む製品をマーキングするためのレーザマーキングシステムを提供する。
【0068】
レーザマーキングシステムは、レーザのような放射線源を含むことができる。レーザは、より低い電力のレーザ(例えば、消費者製品のマーキング、刻印、フレキソ印刷などに適切な電力)とすることができる。レーザは、より高い電力のレーザ(例えば、3D印刷、融除デバイス、デジタルカッターなどに適切な電力)とすることができる。
【0069】
第1の回転軸及び第2の回転軸は、実質的に平行とすることができる。電磁放射線ステアリング機構は、マーキングヘッドの長さが第1及び第2の回転軸に対して実質的に平行であるように、レーザマーキングシステムのマーキングヘッドに対して実質的に平行に設置することができる。
【0070】
公知のレーザマーキングシステムは、典型的には、直角な第1及び第2の光学要素を有する電磁放射線ステアリング機構を受け入れるようなサイズである嵩高で重いマーキングヘッドを含む。本発明の第1の態様の電磁放射線ステアリング機構は、平行な第1及び第2の光学要素を有利に可能にし、これは、次に、垂直設置ではなくレーザマーキングシステムのマーキングヘッド内の平行設置を可能にする。電磁放射線ステアリング機構をレーザマーキングシステムのマーキングヘッドの長さ(すなわち、3つの寸法のうちで最大)に対して実質的に平行に設置することにより、公知のレーザマーキングシステムと比較してマーキングヘッドのサイズ及び重量を有利に低減し、それによってより広範な使用及び設置環境を可能にする。この長さは、マーキングヘッドの軸又は主軸と呼ばれる場合がある。
【0071】
マーキングヘッドは、円筒形ハウジングを含むことができる。
【0072】
円筒形ハウジングは、約40mmの直径を有することができる。円筒形ハウジングは、約350mmの長さを有する場合がある。円筒形ハウジングは、米国イリノイ州ウッドデール所在のVideojet Technologies Inc.から利用可能なモデル1860連続インクジェットプリンタのマーキングヘッドと実質的に類似の寸法を有することができる。マーキングヘッドは、0.5kg又はそれよりも軽い重量を有することができる。
【0073】
レーザマーキングシステムは、マーキングヘッドに接続された可撓性アンビリカル(umbilical、連結物)を更に含むことができる。可撓性アンビリカルは、電力及び/又は制御信号をマーキングヘッドに伝達するように構成することができる。
【0074】
マーキングヘッドは、レーザマーキングシステムのユーザを迷放射線から保護するための放射線シールドを含むことができる。
【0075】
放射線シールドは、放射線シールドの一部分と製品の間の間隙から出る放射線を検出するように構成されたセンサを含むことができる。
【0076】
センサは、漏出放射線を検出して放射線シールドがレーザ安全要件を満たすために適度な量の迷光を遮蔽しているか否かを決定するように構成することができる。センサは、製品から出る放射線を検出するように構成することができる。例えば、センサは、製品から散乱した放射線を検出するように構成することができる。
【0077】
放射線シールドは、抽出デバイスに流体結合された統合抽出入口を含むことができる。抽出デバイスは、レーザビームと製品の間の相互作用によって発生した物質を抽出するための抽出流体の流れを発生させるように構成することができる。
【0078】
統合抽出入口と抽出流体の流れは、電磁放射線がマーキングされる製品の上に入射する時に発生する物質(例えば、デブリ、ガスなど)の除去を有利に考慮する。
【0079】
統合抽出入口は、製品に実質的に隣接して位置付けられるように構成可能とすることができる。
【0080】
放射線シールドは、迷放射線からのレーザマーキングシステムのユーザの更に別の保護を提供するためのフランジを含むことができる。
【0081】
フランジは、放射線シールドの下側部分から突出する迷路状又は円錐形の突起の形態を取ることができる。
【0082】
放射線シールドは、レーザマーキングシステムのユーザに迷放射線からの更に別の保護を提供するために放射線シールドと製品の間隙を低減するように配置された可撓性部材を含むことができる。可撓性部材は、ブラシとすることができる。
【0083】
レーザマーキングシステムは、入力から出力までの光路を定めるように構成された可変光路長アセンブリを更に含むことができる。
【0084】
マーキングヘッドは、入力から出力までの光路を定めるように構成された可変光路長アセンブリを更に含むことができる。可変光路長アセンブリは、回転可能経路長調節器を含む。回転可能経路長調節器は、軸の周りに回転し、入力経路に沿って放射線ビームを受け入れ、放射線ビームを第1の中間経路に沿って誘導し、放射線ビームを第2の中間経路に沿って受け入れ、かつ放射線ビームを出力経路に沿って誘導するように構成される。可変光路長アセンブリは、固定光学要素を更に含む。固定光学要素は、回転可能経路長調節器によって誘導された放射線ビームを第1の中間経路に沿って受け入れ、放射線ビームを第2の中間経路に沿って回転可能経路長調節器に向けて誘導して戻すように構成される。入力と出力の間の幾何学経路長は、回転可能経路長調節器の角度位置に依存して変化する。出力経路は、回転可能経路長調節器の角度位置に依存しない。
【0085】
可変幾何学経路長を回転可能経路長調節器の角度位置の関数として与える経路長調節器を設けることにより、従来の線形経路長調節デバイスに関連付けられた制約を回避しながら経路長を精度よくかつ正確に変化させることが可能である。入力と出力の間の光路は、各々が2つの光学構成要素の間に設けられた複数の部分経路(sub-path)を含むことができる。
【0086】
更に、出力経路が回転可能経路長調節器の角度位置に依存しない(従って、経路長に依存しない)ように回転可能経路長調節器を配置することにより、固定幾何学形状を有するマーキングヘッドの中に可変光路長アセンブリを組み込むことができるような入力及び出力経路間の固定関係を与えることが可能である。
【0087】
経路長調節器がその周りを回転するように構成された軸は、入力及び出力との固定空間関係を有することができる。従って、経路長調節器がこの軸の周りに回転する時に、経路長調節器は、入力及び出力との角度関係を有するか又は固定座標形に対する角度位置を有すると考えることができる。
【0088】
第1の中間経路に沿って放射線を受け入れ、この放射線ビームを光路長調節器に向けて第2の中間経路に沿って誘導して戻すように構成された固定光学要素を設けることにより、第1の中間経路とこの放射線を第1の中間経路に沿って誘導する回転可能経路長調節器の部分との間に第1の中間経路角度が定められる。第2の中間経路角度は、第2の中間経路とこの放射線を第2の中間経路に沿って受け入れる回転可能経路長調節器の部分との間に定められる。第1及び第2の中間経路角度は、回転可能経路長調節器の角度位置に依存する関連する方法で変化することができる。
【0089】
入力と出力の間の幾何学経路長は、回転可能経路長調節器の角度位置に依存して連続的に変えることができる。連続可変幾何学経路長を回転可能経路長調節器の角度位置の関数として与える経路長調節器を設けることにより、個別経路長オプション(そのうちのいずれも特定の要件に適合することができない)に頼ることを必要とせずに、経路長を精度よくかつ正確に変化させることが可能である。
【0090】
回転可能経路長調節器は、放射線ビームを入力経路に沿って受け入れ、かつ放射線ビームを第3の中間経路に沿って誘導するように構成された第1の光学構成要素を含むことができる。回転可能経路長調節器は、放射線ビームを第3の中間経路に沿って受け入れ、かつ放射線ビームを第1の中間経路に沿って誘導するように構成された第2の光学構成要素を含むことができる。
【0091】
入力経路に沿って与えられる入射放射線ビームは、最初に第1の光学構成要素によって(第3の中間経路に沿って)誘導(例えば、反射)され、次に、第2の光学構成要素によって(第1の中間経路に沿って)更に誘導(例えば、反射)することができる。第1及び第2の光学構成要素の各々を回転可能経路長調節器として設けることにより、回転可能経路長調節器を回転させることでこれらの要素の各々の傾斜及び位置を変化させ、それによって経路長を変更することが可能である。
【0092】
可変光路長アセンブリは、回転可能経路長調節器の軸周りの回転が、入力経路とこの放射線ビームが相互作用する第1の光学構成要素の部分との間に定められる第1の角度の第1の変化と、入力経路とこの放射線ビームが相互作用する第2の光学構成要素の部分との間に定められる第2の角度の第2の変化とを引き起こすように構成することができる。第1の変化と第2の変化は、大きさが等しく方向が反対とすることができる。
【0093】
例えば、第1及び第2の光学構成要素の各々は、同じ軸の周りに同じ角度だけ回転させることができるのに対して、この放射線ビームと相互作用する光学構成要素の部分は、反対方向に向くことができ、それによって回転可能経路長調節器の同じ回転は、入力経路と一方の要素の間の角度を増大させ、入力経路と他方の要素の間の角度を低減する。このようにして、可変光路長アセンブリは、出力ビームの方向を変化させることなく経路長を変化させるように構成することができる。
【0094】
第2の光学構成要素の角度を入力経路に関して上記で定めたが、第2の光学構成要素は、入力経路と直接的には相互作用することができないことは理解されるであろう。しかし、入力経路は、他の方向又は傾斜(特に方向又は傾斜の変化)を比較することを可能にする便利な方向基準を与えるために使用される。
【0095】
第1の光学構成要素と第2の光学構成要素は、回転軸周りの回転可能経路長調節器の回転が第1の光学構成要素及び第2の光学構成要素を回転軸の周りに回転させるような固定空間関係を有することができる。第1の光学構成要素と第2の光学構成要素の間に固定空間関係を与えることにより、回転可能経路長調節器の角度位置に関係なく入力経路と第1の中間経路の間の関係を固定状態に保つことができる。すなわち、第1の光学構成要素の移動によって生成される放射線ビームと第1の光学構成要素の間の可変角度変化は、第2の光学構成要素の移動アクションによって生成される対応する角度変化によって補償され、それによって入力経路と第1の中間経路の間に固定角度関係をもたらすことができる。
【0096】
第1及び第2の光学構成要素によって第1の中間経路に沿って誘導された状態で、入射放射線ビームは、固定光学要素によって第2の中間経路に沿って回転可能経路長調節器に向けて反射して戻すことができる。
【0097】
次に、第2の中間経路に沿って与えられた放射線ビームは、第4の中間経路に沿って進行するように第2の光学構成要素によって方向を変える(例えば、反射させる)ことができる。次に、この放射線ビームは、出力経路に沿って進行するように第1の光学構成要素によって更に誘導(例えば、反射)することができる。
【0098】
すなわち、第1及び第2の光学構成要素の各々を回転可能経路長調節器の一部として設けることにより、回転可能経路長調節器を回転させることによってこれらの要素の各々の傾斜及び位置を変化させ、それによって経路長を変更し、入射放射線ビームを入力から出力に必要に応じて誘導することができる。
【0099】
第1の光学構成要素は、入力経路に沿って放射線ビームを受け入れ、放射線ビームを第3の中間経路に沿って誘導するように構成された第1の反射面を含むことができる。第2の光学構成要素は、第3の中間経路に沿って放射線ビームを受け入れ、放射線ビームを第1の中間経路に沿って誘導するように構成された第2の反射面を含むことができる。第1の光学構成要素は、第1の反射器を含むことができる。第2の光学構成要素は、第2の反射器を含むことができる。
【0100】
第2の光学構成要素は、第2の中間経路に沿って放射線ビームを受け入れ、かつ放射線ビームを第4の中間経路に沿って誘導するように構成することができる。第1の光学構成要素は、第4の中間経路に沿って放射線ビームを受け入れ、かつ放射線ビームを出力経路に沿って誘導するように構成することができる。
【0101】
第1の反射面は、平坦面とすることができる。第2の反射面も、平坦面とすることができる。第1及び第2の反射面は、互いに対して実質的に平行とすることができる。
【0102】
入力経路に沿って与えられた入射放射線ビームは、最初に第1の反射面によって反射され(第3の中間経路に沿って)、次に、第2の反射面によって反射する(第1の中間経路に沿って)ことができる。平行な第1及び第2の反射面を設けることにより、回転可能経路長調節器の角度位置に関係なく入力経路と第1の中間経路の間の関係を平行に保つことができる。すなわち、第1の反射面による反射によって生成される可変角度変化は、第2の反射面による反射によって生成される対応する角度変化によって補償され、それによって入力経路と第1の中間経路の間に固定角度関係がもたらされることになる。
【0103】
固定光学要素からの戻り光路に関して、回転可能経路長調節器の角度位置に関係なく第2の中間経路を出力経路と平行に保つような類似の関係を与えることができる。
【0104】
第1及び第2の反射面の各々と回転軸の間に定められる角度は、実質的に同じとすることができる。
【0105】
各々が回転軸に対して実質的に等しい角度を有するような第1及び第2の反射面を設けることにより、ビーム伝播方向に対して垂直な方向に入力経路に対する出力経路のいずれの位置変化も引き起こすことなく、1つの方向に(すなわち、伝播方向に沿って)経路長を変化させる回転可能経路長調節器の回転を引き起こすことができる。反射面の一方によって引き起こされるビーム伝播方向に対して垂直な方向のビーム位置のいずれのオフセットも、反射面の他方のものによって相殺することができる。それによって出力経路は、回転位置(及びそれに関連付けられた幾何学経路長)に依存しないままに留まる。
【0106】
第1及び第2の反射面は、回転軸に対して実質的に平行とすることができる。入力経路は、回転軸に対して実質的に垂直とすることができる。出力経路も、回転軸に対して実質的に垂直とすることができる。入力経路は、出力経路に対して実質的に平行とすることができる。
【0107】
回転軸に対して実質的に平行であるような第1及び第2の反射面を設けることにより、回転軸に対して実質的に垂直な入力経路に対するこれらの反射面の角度は、回転可能経路長調節器がこの軸の周りに回転する時に変化しないことになる。このようにして、ビーム伝播方向に対して垂直な方向に入力経路に対する出力経路のいずれの位置変化も引き起こすことなく、1つの方向に(すなわち、伝播方向に沿って)経路長を変化させる回転可能経路長調節器の回転をもたらし、これは、出力及び入力に配置された光学要素が、経路長の変化にも関わらず定められた位置に固定された状態に留まることを可能とすることができる。
【0108】
回転可能経路長調節器は、回転可能ベースを含むことができる。第1及び第2の光学構成要素は、回転可能ベース上に装着することができる。回転可能ベース上に装着される様々な構成要素は、軸周りの回転可能ベースのいずれの回転によってもこの軸の周りのこれらの様々な装着構成要素の各々の対応する回転が引き起こされるように固定的に装着することができる。
【0109】
可変光路長アセンブリは、回転可能ベース上に装着されてベースから延びる第1の反射器と、回転可能ベース上に装着されてベースから延びる第2の反射器とを含むことができる。第1及び/又は第2の反射器の各々は、ベースの回転軸に対して実質的に平行な方向に延びることができる。
【0110】
特定の光学構成要素(より具体的には、放射線ビームと相互作用する特定の光学構成要素の部分)と軸の間の距離に依存して、軸の周りの回転は、この光学構成要素に関連付けられた部分経路の長さ変化を引き起こすことになる。
【0111】
幾何学経路長は、予め決められた角度範囲内の回転可能経路長調節器の角度位置に依存して変化するように構成することができる。予め決められた角度範囲は、例えば、20度とすることができ、これは、例えば、中立又はデフォルト位置からプラス又はマイナス10度の変動を含むことができる。
【0112】
回転可能経路長調節器の角度位置が予め決められた範囲を超えて変えられる場合に、様々な光学構成要素は、様々な中間光路と干渉し始める場合がある。従って、運動範囲を予め決められた範囲に制限することにより、あらゆる性能損失を回避することが可能である。
【0113】
本発明の第3の態様により、本発明の第1の態様の電磁放射線ステアリング機構を含む電磁放射線検出器を提供する。
【0114】
電磁放射線検出器は、カメラの一部を形成することができる。電磁放射線検出器は、飛行時間センサの一部を形成することができる。
【0115】
第1の回転軸及び第2の回転軸は、実質的に平行とすることができる。電磁放射線ステアリング機構は、電磁放射線検出器の長さが第1及び第2の回転軸に対して実質的に平行であるように電磁放射線検出器に対して実質的に平行に設置することができる。
【0116】
公知の電磁放射線検出器は、典型的には、直角な第1及び第2の光学要素を有する電磁放射線ステアリング機構を受け入れるようなサイズである嵩高で重いハウジングを含む。本発明の第1の態様の電磁放射線ステアリング機構は、平行な第1及び第2の光学要素を有利に可能にし、これは、次に、電磁放射線検出器のハウジング内の平行設置(垂直設置ではなく)を可能にする。電磁放射線ステアリング機構を電磁放射線検出器の長さ(すなわち、3つの寸法のうちで最大)に対して実質的に平行に設置することにより、公知の電磁放射線検出器と比較してハウジングのサイズ及び重量が有利に低減し、それによってより広範な使用及び設置環境が可能になる。この長さは、電磁放射線検出器の軸又は主軸と呼ばれる場合がある。
【0117】
電磁放射線検出器は、電磁放射線を放出する及び受け入れるように構成することができる(例えば、飛行時間センサとして)。
【0118】
本発明の第4の態様により、本発明の第1の態様の電磁放射線ステアリング機構を含む光学スキャナを提供する。
【0119】
光学スキャナは、例えば、皮膚サーフェシングデバイスのような医療デバイスの一部を形成することができる。
【0120】
第1の回転軸及び第2の回転軸は、実質的に平行とすることができる。電磁放射線ステアリング機構は、光学スキャナの長さが第1及び第2の回転軸に対して実質的に平行であるように光学スキャナに対して実質的に平行に設置することができる。
【0121】
公知の光学スキャナは、典型的には、直角な第1及び第2の光学要素を有する電磁放射線ステアリング機構を受け入れるようなサイズである嵩高で重いハウジングを含む。本発明の第1の態様の電磁放射線ステアリング機構は、平行な第1及び第2の光学要素を有利に可能にし、これは、次に、光学スキャナのハウジング内の平行設置(垂直設置ではなく)を可能にする。電磁放射線ステアリング機構を光学スキャナのハウジングの長さ(すなわち、3つの寸法のうちで最大)に対して実質的に平行に設置することにより、公知の光学スキャナと比較してハウジングのサイズ及び重量が有利に低減し、それによってより広範な使用及び設置環境が可能になる。この長さは、光学スキャナの軸又は主軸と呼ばれる場合がある。
【0122】
光学スキャナは、電磁放射線を発生させて第1及び第2の回転軸と平行な方向に向けるように構成されたレーザ源を含むことができる。
【0123】
本発明の第5の態様により、2次元視野内で第1のステアリング軸の第1の座標を変化させるために第1の回転軸の周りに回転可能である第1の光学要素で電磁放射線を受け入れる段階と、光学的に第1及び第2の光学要素間に配置された電磁放射線マニピュレータに電磁放射線を向ける段階と、2次元視野内で第2のステアリング軸の第2の座標を変化させるために第2の回転軸の周りに回転可能である第2の光学要素に電磁放射線を向ける段階と、第1及び第2の回転軸間に第1の角度を定める段階と、第1及び第2のステアリング軸間に第2の角度を定める段階と、電磁放射線マニピュレータを用いて第1の角度と第2の角度の間に差を導入する段階とを含む、電磁放射線を2次元視野内の特定場所に向けるようにステアリングする方法を提供する。
【0124】
本発明の第6の態様により、2次元視野内で第1のステアリング軸の第1の座標を変化させるために第1の回転軸の周りに回転可能である第1の光学要素で電磁放射線を受け入れる段階と、光学的に第1及び第2の光学要素間に配置された電磁放射線マニピュレータに電磁放射線を向ける段階と、2次元視野内で第2のステアリング軸の第2の座標を変化させるために第2の回転軸の周りに回転可能である第2の光学要素に電磁放射線を向ける段階と、第1及び第2の回転軸間に第1の角度を定める段階と、第1及び第2のステアリング軸間に第2の角度を定める段階と、電磁放射線マニピュレータを用いて第1の角度と第2の角度の間に差を導入する段階と、第1及び第2の光学要素を回転させることによって製品の周りに電磁放射線をステアリングする段階とを含む電磁放射線ステアリング機構を用いて製品をマーキングする方法を提供する。
【0125】
電磁放射線ステアリング機構は、レーザマーキングシステムのマーキングヘッド内に設置することができる。本方法は、マーキング中にマーキングヘッドを移動する段階を更に含むことができる。
【0126】
本明細書に開示する小型で軽量な電磁放射線ステアリング機構は、製品のマーキング中にマーキングヘッドの移動を可能にする。これは、マーキングヘッドを使用することができる柔軟性を有利に高める。例えば、マーキングヘッドは、マーキングヘッドを移動し、それによってマーキングヘッドを用いてマーキングされる湾曲製品からの望ましい距離を維持するように構成されたロボットアセンブリに取り付けることができる。
【0127】
本発明の第7の態様により、2次元視野内で第1のステアリング軸の第1の座標を変化させるために第1の回転軸の周りに回転可能である第1の光学要素で電磁放射線を受け入れる段階と、光学的に第1及び第2の光学要素間に配置された電磁放射線マニピュレータに電磁放射線を向ける段階と、2次元視野内で第2のステアリング軸の第2の座標を変化させるために第2の回転軸の周りに回転可能である第2の光学要素に電磁放射線を向ける段階と、第1及び第2の回転軸間に第1の角度を定める段階と、第1及び第2のステアリング軸間に第2の角度を定める段階と、電磁放射線マニピュレータを用いて第1の角度と第2の角度の間に差を導入する段階とを含む電磁放射線を検出する方法を提供する。
【0128】
本方法は、電磁放射線を用いて物体を撮像する段階を更に含むことができる。
【0129】
本発明の第8の態様により、第1の光学要素と2次元視野内で第1のステアリング軸の第1の座標を変化させるように第1の光学要素を第1の回転軸の周りに回転させるように構成された関連の第1のアクチュエータとを装着する段階と、2次元視野内で第2のステアリング軸の第2の座標を変化させるように第2の光学要素を第2の回転軸の周りに回転させるように構成された関連の第2のアクチュエータを有する上記第2の光学要素を装着する段階と、電磁放射線マニピュレータを光学的に第1及び第2の光学要素間に配置する段階とを含む電磁放射線ステアリング機構を組み立てる方法を提供する。
【0130】
本発明の第9の態様により、連続インクジェットマーキングシステムを本発明の第2の態様のレーザマーキングシステムで置換する段階を含む連続インクジェットマーキングシステムを含む生産システムを換装する方法を提供する。
【0131】
本明細書に開示するレーザマーキングシステムの小型のサイズ及び高い可動性は、連続インクジェットマーキングシステムをレーザマーキングシステムで置換する段階を公知のレーザマーキングシステムと比較して遥かに容易にする。
【0132】
本発明の別の態様により、第1の反射面に結合された第1の回転アクチュエータと、第2の反射面に結合された第2の回転アクチュエータと、光学的にこの第1の反射面とこの第2の反射面の間に配置された電磁放射線空間分布回転器とを含む電磁放射線ステアリング機構を提供する。
【0133】
本発明の別の態様により、第1の偏向器に結合された第1の回転アクチュエータと、第2の偏向器に結合された第2の回転アクチュエータと、光学的にこの第1の偏向器とこの第2の偏向器の間に配置された電磁放射線空間分布回転器とを含む電磁放射線ステアリング機構を提供する。
【0134】
本発明の別の態様により、第1の可変偏向器と、第2の可変偏向器と、この第1の偏向器とこの第2の偏向器の間で光学的に作動可能な電磁放射線空間分布回転器とを含む電磁放射線ステアリング機構を提供する。
【0135】
本発明の別の態様により、第1の可変偏向器と、第2の可変偏向器と、この第1の偏向器とこの第2の偏向器の間に配置された電磁放射線空間分布変換器とを含む電磁放射線ステアリング機構を提供する。
【0136】
本発明の別の態様により、第1の可変偏向器と第2の可変偏向器とを含み、第1の偏向器の有効偏向軸が実質的に直交変換される電磁放射線ステアリング機構を提供する。
【0137】
本発明の別の態様により、第1の可変偏向器と第2の可変偏向器とを含み、第1の可変偏向器が放射線を第2の可変偏向器上に直線方式で誘導し、第2の可変偏向器が放射線を角運動で更に誘導する電磁放射線ステアリング機構を提供する。
【0138】
第1の可変偏向器は、空間分布回転器とすることができる。
【0139】
第1の可変偏向器は、エッチングされる場合がある。
【0140】
第1の可変偏向器は、ミラーとすることができる。
【0141】
電磁放射線は、レーザビームとすることができる。
【0142】
電磁放射線ステアリング機構は、ハウジングの電磁放射線出力側から延びるスカートを有する上記ハウジングに配置することができ、スカートは、電磁放射線がこの機構によって向けられる物体から散乱した電磁放射線を吸収するように構成かつ配置される。
【0143】
電磁放射線ステアリング機構は、空気源と排気とを含む洗浄サブシステムを更に含むことができ、洗浄サブシステムは、電磁放射線がこの機構によって向けられる物体の面の周りから粒状物質を除去するように構成かつ配置される。
【0144】
本発明の別の態様により、第1の偏向器と、第2の偏向器と、この第1の偏向器とこの第2の偏向器の間に配置された電磁放射線空間分布回転器とを含む電磁放射線ステアリング機構を提供する。
【0145】
第1の偏向器及び第2の偏向器のうちの少なくとも一方は、可変偏向器とすることができる。
【0146】
第1の偏向器及び第2の偏向器のうちの少なくとも一方は、反射器とすることができる。
【0147】
第1の偏向器及び第2の偏向器のうちの少なくとも一方は、ミラーとすることができる。
【0148】
第1の偏向器及び第2の偏向器のうちの少なくとも一方は、屈折性である場合がある。
【0149】
第1の偏向器及び第2の偏向器のうちの少なくとも一方は、プリズムとすることができる。
【0150】
電磁放射線は、レーザビームとすることができる。
【0151】
第1の偏向器は、第1の反射面を含むことができ、第1の偏向器は、第1の反射面と平行な回転軸を有する第1のアクチュエータに結合することができる。
【0152】
第2の偏向器は、第2の反射面を含むことができ、第2の偏向器は、第2の反射面及び第1の反射面と平行な回転軸を有する第2のアクチュエータに結合することができる。
【0153】
第1の回転軸は、第2の回転軸に対して実質的に平行とすることができる。
【0154】
回転器は、上記第1の反射面と上記第2の反射面の間に位置決めされた少なくとも2つの回転器偏向器を含むことができ、これらの回転器偏向器の組合せは、電磁放射線の空間分布の実質的に直交変換を引き起こすように構成かつ配置される。
【0155】
回転器は、2つの直角な回転器偏向器を含むことができる。
【0156】
機構は、二軸光学スキャナを含むことができる。
【0157】
本発明の別の態様により、上記で議論した電磁放射線ステアリング機構を含むカメラを提供する。
【0158】
本発明の別の態様により、上記で議論した電磁放射線ステアリング機構を含む製品マーカを提供する。
【0159】
電磁放射線ステアリング機構は、製品マーカを含むことができる。
【0160】
本発明の別の態様により、電磁放射線をステアリングする方法を提供し、本方法は、電磁放射線を第1の可変偏向器に向ける段階と、電磁放射線を第1の可変偏向器から第2の可変偏向器にかつこの第1の可変偏向器とこの第2の可変偏向器の間に配置された電磁放射線空間分布回転器を通して偏向させる段階とを含む。
【0161】
本発明の別の態様により、電磁放射線ステアリング機構を組み立てる方法を提供し、本方法は、第1の可変偏向器をハウジング内に装着する段階と、第2の可変偏向器をハウジング内に装着する段階と、電磁放射線空間分布回転器をハウジング内でこの第1の可変偏向器とこの第2の可変偏向器の間に装着する段階とを含む。
【0162】
本発明の別の態様により、製品をマーキングする方法を提供し、本方法は、電磁放射線を電磁放射線ステアリング機構のハウジング内の第1の可変偏向器に向ける段階と、電磁放射線を第1の可変偏向器から第2の可変偏向器にかつこの第1の可変偏向器とこの第2の可変偏向器の間に配置された電磁放射線空間分布回転器を通して偏向させる段階と、電磁放射線を第2の可変偏向器から製品の面に偏向させる段階とを含む。
【0163】
本方法は、製品の面からの電磁放射線を電磁放射線ステアリング機構のハウジング内の開口を通して第2の可変偏向器上に受け入れる段階と、電磁放射線を第2の可変偏向器から第1の可変偏向器にかつこの第1の可変偏向器とこの第2の可変偏向器の間に配置された電磁放射線空間分布回転器を通して偏向させる段階と、電磁放射線を第1の可変偏向器から電磁放射線検出器に向ける段階とを更に含むことができる。
【0164】
本発明の別の態様により、物体を撮像する方法を提供し、本方法は、物体からの電磁放射線を電磁放射線ステアリング機構のハウジング内の開口を通してハウジング内に配置された第1の可変偏向器上に受け入れる段階と、電磁放射線を第1の可変偏向器から第2の可変偏向器にかつこの第1の可変偏向器とこの第2の可変偏向器の間に配置された電磁放射線空間分布回転器を通して偏向させる段階と、電磁放射線を第2の可変偏向器から電磁放射線検出器に向ける段階とを含む。
【0165】
本発明の別の態様により、第1の駆動機構反射器を有する第1の駆動機構と、第2の駆動機構反射器を有し、第1の駆動機構の回転軸と平行な回転軸を有し、かつ第1の駆動機構に隣接して位置決めされた第2の駆動機構とを含む光学スキャナを提供する。
【0166】
光学スキャナは、第1の駆動機構及び第2の駆動機構の回転軸に対して平行な方向にレーザビームを光学スキャナの中に誘導するように構成されたレーザ源を更に含むことができる。
【0167】
光学スキャナは、第1の駆動機構反射器によって反射された後のレーザビームを受け入れて第1の駆動機構反射器によって反射されたレーザビームの光路を90度だけ変更するように位置決めされて配置された第1の反射器を更に含むことができる。
【0168】
光学スキャナは、第1の反射器によって反射された後のレーザビームを受け入れ、第1の反射器によって反射されたレーザビームの光路を追加の90度だけ変更し、かつこのレーザビームを第2の駆動機構反射器に向けて誘導するように位置決めされて配置された第2の反射器を更に含むことができる。
【0169】
光学スキャナは、レーザビームの光路を90度だけ変更してこのレーザビームをレーザ源から第1の駆動機構反射器の上に反射するように位置決めされて配置された第3の反射器を更に含むことができる。
【0170】
光学スキャナは、第2の駆動機構反射器によって反射された後のレーザビームを受け入れ、レーザビームの光路を追加の90度だけ変更し、かつこのレーザビームを光学スキャナの出力開口を通して誘導するように位置決めされて配置された第4の反射器を更に含むことができる。
【0171】
光学スキャナは、光学スキャナの外部の物体からのかつ第1の駆動機構ミラー及び第2の駆動機構ミラーから反射された電磁エネルギを受け入れるように位置決めされて配置された電磁エネルギセンサを更に含むことができる。
【0172】
一態様により、光学スキャナを提供する。光学スキャナは、第1の駆動機構ミラーを有する第1の駆動機構と、第2の駆動機構ミラーを有する第2駆動機構とを含む。第2の駆動機構は、第1の駆動機構の回転軸と平行な回転軸を有する。第2の駆動機構は、第1の駆動機構に隣接して位置決めされる。
【0173】
一部の実施形態では、光学スキャナは、レーザビームを第1の駆動機構及び第2の駆動機構の回転軸と平行な方向に光学スキャナの中に誘導するように構成されたレーザ源を更に含む。
【0174】
一部の実施形態では、光学スキャナは、レーザ源からのレーザビームを第1の駆動機構ミラーの上に反射するように位置決めされて配置された第1のミラーを更に含む。
【0175】
一部の実施形態では、光学スキャナは、第1の駆動機構ミラーによって反射された後のレーザビームを受け入れ、かつ第1の駆動機構ミラーによって反射されたレーザビームの光路を90度だけ変更するように位置決めされて配置された第2のミラーを更に含む。
【0176】
一部の実施形態では、光学スキャナは、第2のミラーによって反射された後のレーザビームを受け入れ、第2のミラーによって反射されたレーザビームの光路を追加の90度だけ変更し、かつこのレーザビームを第2の駆動機構ミラーに向けて誘導するように位置決めされて配置された第3のミラーを更に含む。
【0177】
一部の実施形態では、光学スキャナは、第2の駆動機構ミラーによって反射された後のレーザビームを受け入れ、かつレーザビームの光路を追加の90度だけ変更し、かつこのレーザビームを光学スキャナの出力開口を通して誘導するように位置決めされて配置された第4のミラーを更に含む。
【0178】
勿論、本発明の一態様の関連で説明した特徴は、本発明の別の態様の関連で説明した特徴と組み合わせることができることは認められるであろう。例えば、本発明の第1の態様の又は/及び本発明の第2から第9の態様のアセンブリの関連で説明した特徴は、互いにかつ本発明の上述の更に別の態様の特徴とも組み合わせることができ、その逆も同様である。
【0179】
添付図面は正確な縮尺で描かれるように意図していない。図面では、様々な図に示す各同一又はほぼ同一な構成要素を類似の数字で表している。明瞭化の目的で、全ての図面において全ての構成要素がラベル付けされるわけではない。ここで添付の概略図を参照して本発明の実施形態を単なる例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0180】
図1】1対の検流計及び関連のミラー、並びにレーザスキャナに入射するレーザビームの立面図である。
図2図1の検流計モータ及び関連のミラーの対、並びにレーザビームの側面図である。
図3図1の検流計モータ及び関連のミラーの対、並びに図1のレーザビームを検流計モータのうちの第1のものの上に反射するように配置された第1のミラーの立面図である。
図4図3の検流計モータ及び関連のミラーの対、並びに第1のミラーの等角投影図である。
図5図1の検流計モータ及び関連のミラーの対、並びに第1の検流計ミラーによって反射されたレーザビームを検流計モータミラーのうちの第2のものの上に反射するように配置された第2及び第3のミラーの等角投影図である。
図6図5の検流計モータ及びミラーの対、並びにレーザビームの側面図である。
図7図5の検流計モータ及びミラーの対、並びにレーザビームの別の側面図である。
図8図1の検流計モータ及び関連のミラーの対、並びに第2の検流計ミラーによって反射されたレーザビームを加工物の上に反射するように配置された第4のミラーの立面図である。
図9図8の検流計モータ及びミラーの対の側面図である。
図10】レーザスキャナを用いて達成可能なレーザビーム偏向の範囲を示す図である。
図11】レーザ20スキャナを用いて達成可能なレーザビーム偏向の範囲を示す図である。
図12図1の検流計モータ及び関連のミラーの対、並びに第1から第4のミラーの等角投影図である。
図13図1の検流計モータ及び関連のミラーの対、並びに第1から第4のミラーの側面図である。
図14】レーザスキャナのためのケーシング(すなわち、電磁放射線ステアリング機構のためのケーシング)を示す図である。
図15】本発明の実施形態による電磁放射線マニピュレータを含む電磁放射線ステアリング機構の側面図である。
図16】本発明の実施形態による第3の反射器を更に含む図15の電磁放射線ステアリング機構の側面図である。
図17】本発明の実施形態による第4の反射器を更に含む図15の電磁放射線ステアリング機構の側面図である。
図18】本発明の実施形態によるコリメータとフォーカス光学系とを更に含む図16の電磁放射線ステアリング機構の側面図である。
図19】本発明の実施形態による電磁放射線ステアリング機構を含むレーザマーキングシステムのマーキングヘッドの側面図である。
図20】本発明の実施形態によるアンビリカル(umbilical、連結物)を更に含む図19のマーキングヘッドの側面図である。
図21A】可変光路長デバイスの実施形態を示す平面図である。
図21B】可変光路長デバイスの実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0181】
本明細書に開示する態様及び実施形態は、以下の説明に示す又は図面に例示する構成要素の構成及び配置の詳細に限定されない。本明細書に開示する態様及び実施形態は、様々な方法を用いて実施又は実行することができる。
【0182】
本明細書に開示する態様及び実施形態は、レーザ走査又はマーキングシステムのレーザビームを走査又はステアリングするためのシステム、及びそのようなシステムを含むレーザ走査又はマーキングシステムを含む。レーザマーキングシステムは、様々なタイプの物品のための生産ラインに利用することができる。レーザマーキングシステムは、生産ラインを通過する品目の上にバーコード、独特な識別マーク、有効期限、又は他の情報を刻印するのに利用することができる。一部の実施では、レーザマーキングシステムにおいて二酸化炭素(CO2)ガスレーザを使用することができる。二酸化炭素レーザは、9.3、9.6、10.2、及び10.6マイクロメートル(μm)に中心を置く4つの主波長帯域の赤外光のビームを生成する。レーザマーキングシステムに対して利用されるレーザは、典型的に数十ワットのレーザ電力レベルで作動される。
【0183】
しかし、レーザ走査又はマーキングシステムは、CO2レーザを使用することに限定されない。一部の態様及び実施形態では、光学スキャナ又は光学マーカは、紫外線、可視光、又は近赤外線波長で作動するレーザ、又はいずれかの他のタイプのレーザ又は光学照明源を利用することができる。レーザスキャナシステムでの可視光レーザビームの使用は、走査されている物体を照明する場合のレーザビームをユーザが確認することができ、従って、レーザが物体の望ましい部分を照明するようにユーザがレーザスキャナ又は走査ターゲット物の位置を調節することができる点で有利とすることができる。
【0184】
本明細書に開示するレーザスキャナの実施形態は、圧電ドライブ、直流ドライブ、ステッパモータ、サーボモータ、又はミラーが取り付けられた検流計のような少なくとも2つのミラー旋回デバイスを含むことができる。以下では、異なるミラー旋回デバイスに対する総称として「駆動機構」という用語を使用する。本明細書に開示するレーザスキャナ/マーカの実施形態で使用されるミラーは、銀被覆ミラー又は金被覆ミラー又はいずれかの他の適切に被覆された材料とすることができる。本明細書に開示するレーザスキャナ/マーカの実施形態で使用される窓及びレンズは、例えば、ゲルマニウム、セレン化亜鉛、石英、BK7ホウケイ酸ガラス、又はいずれかの他の適切な材料とすることができる。
【0185】
一部の実施形態により、レーザ走査システムの両方の駆動機構は、回転軸が互いに平行であり、同時に入射レーザビームと平行であるように配置される。図1及び図2は、1対の駆動機構A、Bと入射レーザビーム105に対して位置決めされたレーザスキャナ/マーカシステムの走査ヘッドの関連のミラー100A、100Bとの正面図及び側面図をそれぞれ例示している。駆動機構A、Bは、第1及び第2のアクチュエータと呼ばれる場合がある。ミラー100A、100Bは、電磁放射線ステアリング機構の第1及び第2の光学要素の例と考えることができる。
【0186】
2つの駆動機構A、Bは、可能な限り互いの近くに(駆動機構の2つの回転軸の間の最小距離)配置することができる。2つの駆動機構A、Bを近くに配置することができる程、第2の駆動機構Bのミラー100Bを小さくすることができる。2つの駆動機構A、Bは、回転軸上で互いに対して変位させることができる。
【0187】
入射ビームは、第1の駆動機構Aのミラー100Aに当たるようにミラー110(図3及び図4)によって90°だけ旋回される。図3及び図4の例では、ミラー110は、入射ビーム105が電磁放射線ステアリング機構に2つの駆動機構A、Bの回転軸と平行に入射する時にミラー110によって約90°だけ旋回されるように配置される。これに代えて、入射ビーム105は、電磁放射線ステアリング機構に駆動機構A、Bの回転軸と垂直に入射することができ、この場合、ミラー110は存在しなくてもよい。
【0188】
標準のレーザスキャナでは、偏向ビームは、第1の駆動機構に対して典型的に90°に向けられた第2の駆動機構に誘導されるであろう。しかし、本明細書に開示する一部の態様及び実施形態では、駆動機構A、Bは平行である。
【0189】
図5図6、及び図7に示すように、駆動機構Aからの偏向ビームは、ビーム走査方向を90°だけ偏向させる固定ミラー「a」に向けられる。すなわち、図5図6、及び図7の例では、電磁放射線マニピュレータの第1のミラー「a」は、電磁放射線ステアリング機構内で電磁放射線の伝播方向を90°だけ変化させるように構成される。ミラー「a」からの偏向ビームは、ビーム走査方向を90°だけ偏向させる第2の固定ミラー「b」に向けられる。そこから偏向ビームは、駆動機構Bの移動ミラー100Bに当たる。すなわち、図5図6、及び図7の例では、電磁放射線マニピュレータの第2のミラー「b」は、電磁放射線ステアリング機構内で電磁放射線の伝播方向をもう一度90°変化させるように構成される。全体的に、電磁放射線マニピュレータ「a」、「b」は、電磁放射線ステアリング機構内で電磁放射線105に伝播方向を約90°だけ2回変化させる。伝播方向の最初の90°の変化は、電磁放射線105に対する第1のミラー「a」の反射面の方位によって定められた第1の平面で発生する。第1の平面は、第1のミラー「a」の第1の反射軸と実質的に位置合わせすることができる。伝播方向の2回目の90°の変化は、電磁放射線105に対する第2のミラー「b」の反射面の方位によって定められた垂直平面で発生する。垂直平面は、第2のミラー「b」の第2の反射軸と実質的に位置合わせすることができる。電磁マニピュレータ「a」、「b」によって引き起こされる伝播方向の2回の90°の変化は、3次元空間内の2つの異なる(例えば、垂直な)軸の周りで起こることができる。電磁放射線マニピュレータ「a」、「b」は、電磁放射線105を2次元視野(例えば、直交ステアリング軸を有する2次元視野)の周りにステアリングするために平行光学要素100A、100Bを使用することを有利に可能にする。電磁放射線105に対する電磁放射線マニピュレータ「a」、「b」の効果に関しては、図15を参照して更に示して議論する。
【0190】
2つの固定旋回ミラー「a」、「b」のこの配置は、ビームが第2の検流計モータBに当たる前に第1の検流計モータAの偏向自由度の90°の旋回を達成する。すなわち、第1の回転軸の周りの第1の光学要素100Aの回転は、電磁放射線ステアリング機構を出る電磁放射線の第1の回転軸の方位に対して実質的に垂直なステアリング移動をもたらす。言い換えれば、本明細書に開示する電磁放射線マニピュレータ「a」、「b」は、第1及び第2の光学要素100A、100Bの第1及び第2の回転軸の方位を電磁放射線ステアリング機構の第1及び第2のステアリング軸から有利に切り離し、それによってより高い設計自由度とより広い応用範囲とを与える。
【0191】
最終的に、駆動機構Bによって第2の偏向自由度が追加された後に、偏向ビーム105は、製品に対面するように(図8図9図12、及び図13の矢印120の方向に)ミラー115によって再度90°だけ旋回される。
【0192】
ビーム偏向に対する2つの直交自由度は、最後の90°旋回の後の図10及び図11でのサンプル光線105A、105B、105C、及び105Dによって示している。すなわち、電磁放射線105は、図10及び図11のサンプル光線105A~105Dに示す位置の間でステアリングすることができる。サンプル光線105A~105Dは、電磁放射線ステアリング機構によって電磁放射線をその周りでステアリングすることができる2次元視野の最大の広がりを明らかにしている。
【0193】
駆動機構A、B及び全ての関連のミラーを含むアセンブリ全体は、図14に示すような円筒形ハウジング125内に配置することができる。円筒形ハウジング125は、約40mmの直径と約350mmの長さを有することができる。円筒形ハウジング125は、例えば、300mm長のアイソレータと50mm長のビーム発生器とを含むことができ、それによって円筒形ハウジング125の全長は約700mmになると考えられる。円筒形ハウジング125は、米国イリノイ州ウッドデール所在のVideojet Technologies Inc.から利用可能なモデル1860連続インクジェットプリンタのマーキングヘッドと実質的に類似の寸法を有することができる。ハウジング125に可撓性アンビリカルコード(umbilical cord、連結物コード)130を結合することができ、アンビリカルコード130は、駆動機構A、Bに電力を供給し、これらの機構を制御するための電力線と信号線を含むことができる。アンビリカルコード130は、レーザビームを外部レーザビーム発生器からハウジング125の中に伝達するための光導波管、例えば、光ファイバケーブルを含むことができる。これに代えて、レーザビーム発生器は、他の構成要素と共にハウジング125内に配置することができる。円筒形ハウジング125と封入される構成要素とは、レーザマーキングシステム又は光学走査システムに対するマーキングヘッド又は走査ヘッドを形成することができる。デブリがハウジング125に侵入することを避けるために、ハウジング125の下端は、光透過性窓によって密封することができる。
【0194】
一部の実施形態では、円筒形ハウジング125は、円筒形ハウジング125の下端から延びるスカート(図示せず)を更に含むことができる。このスカートは、放射線シールドと呼ばれる場合がある。レーザマーカ又は光学スキャナとしての使用時に、円筒形ハウジング125は、走査又はマーキングされる物体の面の近くにもたらすことができる。スカートは、円筒形ハウジング125の下端から延びることができ、物体の面に隣接するように又はその近くに配置することができる。スカートは、物体の面から反射された光を遮蔽することにより、物体が走査又はマーキングされている間に光(例えば、レーザ光)が物体の面からユーザ又は第三者の目に向けて反射することを防止することができる。光がスカートの内側から散乱することを更に防止するために、スカートの下端から半径方向外向きに延びるフランジ、迷路状突起、又はカラーを使用することができる。光がスカートによって不十分に遮蔽されているかを決定するために、スカート上又はその近くに1又は2以上の光センサを設けることができる。本明細書に開示するレーザマーキングヘッドの実施形態の小さい形状因子は、レーザマーキングヘッドをマーキングされている物体の非常に近くに、例えば、マーキングされている物体から約10mm未満の場所に配置することを可能とすることができる。従って、スカートは、ハウジング125の端部から約10mm未満しか延びない場合がある。レーザマーキングヘッドのハウジング125上にスカートを設けることにより、レーザ光がオペレータ又は第三者に到達することを防止するために既存レーザマーキングシステムの周りに典型的に配置される大きく嵩高なシールドに対する必要性を低減又は排除することができる。
【0195】
物体がレーザマーキングされる間に物体の面から放出されるいずれの粒状物質も除去するために、スカート内に空気循環システムを含めることができる。空気循環システムは、統合抽出入口を通して放射線シールドに流体結合された抽出デバイスを含むことができる。一部の実施形態では、ファンからの空気をスカートの1つの部分からマーキングされている物体に向けることができ、物体がマーキングされる結果としての微粒子を除去するための「空気ナイフ」及び統合排気を形成するためにスカートの別の部分に真空を印加することができる。スカートの下端は、物体の面からデブリを除去することを支援するためのブラシを含むことができる。一部の実施形態では、スカートは、スカートの内部容積に対して空気又は別の流体を追加又は除去することによって拡大可能又は収縮可能とすることができる可撓性材料で形成することができる。
【0196】
スカートは、レーザマーキングシステムヘッドのハウジング125に取外し可能に取り付けられた消耗品とすることができる。従って、スカートは、定期的に、損傷状態になった時、又はスカート内に含まれるフィルタ、例えば、静電フィルタ内に望ましいものよりも多いデブリが累積した後に交換することができる。一部の実施形態では、スカートは、スカートがハウジング125に取り付けられているか否かを決定するのに及びスカートが存在しないシステムの使用を防止するのにレーザマーキングシステムが使用するRFIDチップ又は他の安全インターロックを含むことができる。
【0197】
本明細書に開示するレーザスキャナ/マーカシステムの態様及び実施形態は、既存システムでは実現されない利点を提供することができる。既存システムでは、典型的に、第1及び第2の駆動機構の方位は、互いに対して90°に定められる。これは、既存レーザスキャナ/マーカシステムを生産システムにおいて本明細書に開示する態様及び実施形態よりも嵩高にし、従って、位置決め機能を限定する。一部の例では、既存レーザマーキングヘッドは、5キログラムよりも大きい重量を有する。それとは対照的に、本明細書に開示するレーザマーキングヘッドは、多くの既存システムの重量の十分の一である0.5kgの重量のみを有する。本明細書に開示するレーザスキャナ/マーカシステムの態様及び実施形態の形状因子、サイズ、及び重量は、本発明の開示のレーザスキャナ/マーカシステムをより容易に操作することを可能にする。例えば、ハウジング125を含むレーザスキャナ/マーカシステムのマーキングヘッドは、ロボットアームのような可動アセンブリの上に装着することができ、瓶のような3次元物体の輪郭を同じ焦点距離、例えば、この物体の面から約5mmを保持しながら辿るように移動することができる。マーキングされている物体に対してレーザスキャナ/マーカシステムのマーキングヘッドを移動する機能は、物体が通過するためのシステムの台が移動可能である必要性を排除し、それによって一部の既存システムと比較してシステムの機械的複雑さを軽減することができる。
【0198】
本明細書に開示するレーザスキャナ/マーカシステムの態様及び実施形態は、生産システム内で既存レーザスキャナ/マーカシステムを装着することができなかった場所に装着することができる。ハウジング125の円筒形の形状は、四角形断面を有するハウジングよりも容易に一台の製造機器の上の定められた場所に締結することを可能とすることができる。可撓性アンビリカルコードは、駆動機構と関連のミラーとを含むハウジングを嵩高なレーザ発生機器から分離可能にし、本発明の開示のレーザスキャナ/マーカシステムの装着の柔軟性を更に高める。一部の事例では、例えば、ハウジング125を含むレーザマーキングヘッドは、類似の寸法の連続インクジェットマーキングヘッドをそれまで利用していたシステムの中に換装することができる。連続インクジェットマーキングヘッドの代わりにレーザマーキングヘッドを含むようにシステムを改造することにより、例えば、システムの寿命にわたってインク消耗品を購入する必要性を排除することでシステムの所有コストを低減することができる。更に、レーザマーキングシステムは、物体の上に数字又は2次元コードをマーキングするのに連続インクジェットシステムよりも高速に作動させることができ、従って、連続インクジェットマーキングヘッドを本明細書に開示するレーザマーキングヘッドを有するレーザマーキングシステムで置換することにより、マーキングシステムの作動速度及びスループットを改善することができる。
【0199】
追加の実施形態では、レーザビームを出力する代わりに、ミラー100A及び100Bの位置によって定められる方向から光学信号を受信するために本明細書に開示するシステムを利用することができる。例えば、駆動機構A、B及び関連のミラーを閉じ込めるハウジング125から出る光を誘導するのに使用する代わりに、ミラー115は、ハウジング125の外側からハウジング125内の開口を通して光学信号を受信するのに利用することができる。光は、ミラー115からミラー100Aに、次にミラー「b」に、更にミラー「a」、ミラー100A、ミラー110に向けられ、ハウジング125の内部を上に及び/又は光導波管を通して例えばカメラ内に含まれる光センサの上へと誘導することができる。これに代えて、ミラー100Aは、当該の光周波数に対して透過性又は半透過性を有する材料で形成することができ、ミラー「a」からの光学信号を受信するためのカメラチップをミラー100Aの後部上に配置することができる。
【0200】
実施例。
【0201】
レーザマーキングヘッドは、直径が約40mmの円筒形マーキングヘッドを形成するCTIとCitizen検流計と630nm赤色レーザビーム源とを用いて機能プロトタイプとして構築された。
【0202】
図15は、本発明の実施形態による電磁放射線マニピュレータ「a」、「b」を含む電磁放射線ステアリング機構の側面図を示している。電磁放射線ステアリング機構は、2次元視野(例えば、図10及び図11に示すサンプル光線105A~105Dのステアリング移動の限界)内で第1のステアリング軸の第1の座標を変化させるために第1の光学要素100Aを第1の回転軸160の周りに回転させるように構成された関連の第1のアクチュエータAを有する上記第1の光学要素100Aを含む。電磁放射線ステアリング機構は、2次元視野105A~105D(例えば、図10及び図11に示すサンプル光線105A~105Dのステアリング移動の限界)内で第2のステアリング軸の第2の座標を変化させるために第2の光学要素100Bを第2の回転軸170の周りに回転させるように構成された関連の第2のアクチュエータBを有する上記第2の光学要素100Bを含む。図15の例では、第1の光学要素100Aは、第2の光学要素100Bに隣接する。図15の例では、第1の光学要素100Aは、第1及び第2の回転軸160、170に対して実質的に平行な軸に沿って第2の光学要素100Bからオフセットされる。図15の例では、第1の光学要素100Aは、電磁放射線105を受け入れて反射するように構成された第1の反射面を含み、第2の光学要素100Bは、電磁放射線105を受け入れて反射するように構成された第2の反射面を含む。図15の例では、第1の回転軸160と第1の反射面は実質的に平行であり、第2の回転軸170と第2の反射面も実質的に平行である。
【0203】
電磁放射線ステアリング機構は、光学的に第1の光学要素100Aと第2の100Bの間に配置された第1及び第2の電磁放射線マニピュレータ「a」、「b」を更に含む。第1の光学要素100Aは、電磁放射線105を受け入れてそれを電磁放射線マニピュレータ「a」、「b」に向けるように構成される。電磁放射線マニピュレータ「a」、「b」は、電磁放射線105を第2の光学要素100Bに向けるように構成される。第2の光学要素100Bは、電磁放射線105を電磁放射線ステアリング機構の光学出力に向けるように構成することができる。第2の光学要素100Bは、例えば、ステアリング電磁放射線を受け入れるように構成されたカメラのような光学デバイス(図示せず)の光学入力に電磁放射線105を向けるように構成することができる。
【0204】
図15の例では、電磁放射線マニピュレータは、第1のミラー「a」と第2のミラー「b」とを含む。第1のミラー「a」は、第1の光学要素100Aと相互作用した後の電磁放射線105を受け入れ、電磁放射線105を第2のミラー「b」に向けるように構成される。第2のミラー「b」は、第1のミラー「a」と相互作用した後の電磁放射線105を受け入れ、電磁放射線105を第2の光学要素100Bに向けるように構成される。第1のミラー「a」と第2のミラー「b」は、互いに対して固定される。
【0205】
第1のミラー「a」は、電磁放射線105の伝播方向に約90°の変化を加えるように配置される。この配置をもたらすために、第1のミラー「a」は、入射電磁放射線105に対して光学的に45°の角度で配置することができる。第2のミラー「b」は、電磁放射線105の伝播方向に約90°の変化を加えるように配置される。この配置をもたらすために、第2のミラー「b」は、入射電磁放射線105に対して光学的に45°の角度で配置することができる。電磁放射線105の伝播方向でのこれらの変化は、図10及び図11のサンプル光線105A、105B、105C、及び105Dに示すビーム偏向に対する2つの直交自由度を可能にする。
【0206】
第1の回転軸160と第2の回転軸170の間に第1の角度が定められ、第1及び第2のステアリング軸の間に第2の角度が定められる。電磁放射線マニピュレータ「a」、「b」は、第1の角度と第2の角度の間に差を導入するように構成される。図15の例では、第1の回転軸160と第2の回転軸170は非直角である。図15の例では、第1の回転軸160と第2の回転軸170は実質的に平行である。図15の例では、第1及び第2のステアリング軸は実質的に直角である。すなわち、図15の例では、電磁放射線マニピュレータ「a」、「b」は、第1の角度と第2の角度の間に約90°の差を導入するように構成される。
【0207】
図16は、本発明の実施形態による第3の反射器110を更に含む図15の電磁放射線ステアリング機構の側面図を示している。電磁放射線105は、第1のアクチュエータAの第1の光学要素100Aに当たるように第3の反射器110によって90°だけ旋回される。これは、電磁放射線105が第1及び第2の光学要素100A、100Bの第1及び第2の回転軸と平行な方向に典型的に伝播する(例えば、電磁放射線が電磁放射線ステアリング機構に入射する時及びそこを射出する時)同軸デバイスの形成に対して有利である。電磁放射線ステアリング機構内の様々な位置では、電磁放射線が第1及び第2の回転軸と平行な軸に沿わない方向に伝播することは理解されるであろう。しかし、電磁放射線マニピュレータは、第1及び第2の回転軸が互いに平行であることを有利に可能にし、下記で図16及び図17を参照してより詳細に議論するように、電磁放射線が第1及び第2の回転軸と平行な軸に沿って電磁放射線ステアリング機構に入射してそこを出ることを可能にするために反射器のような更に別の光学要素を導入することができる。
【0208】
図17は、本発明の実施形態による第4の反射器115を更に含む図15の電磁放射線ステアリング機構の側面図を示している。電磁放射線105は、第2の光学要素100Bから反射した後に第4の反射器115によって90°だけ旋回される。次に、電磁放射線105は、電磁放射線ステアリング機構を射出して電磁放射線105によってマーキングされる製品のような物体上に入射することができる。
【0209】
図18は、本発明の実施形態によるコリメータ200とフォーカス光学系210、220とを更に含む図16の電磁放射線ステアリング機構の側面図を示している。コリメータ200は、放射線源又は光ファイバ(図示せず)から電磁放射線105を受け入れ、実質的に平行な複数の光線を有する電磁放射線105のビームを供給するように構成することができる。フォーカス光学系210、220は、コリメータ200によって供給された電磁放射線105を受け入れ、例えば、電磁放射線105が第1及び第2の光学要素100A、100Bの上に適合することを保証するように電磁放射線105を望ましい方式で調整するように構成することができる。
【0210】
図19は、本発明の実施形態による電磁放射線ステアリング機構を含むレーザマーキングシステムのマーキングヘッド500の側面図を示している。マーキングヘッド500は円筒形ハウジング300を含む。円筒形ハウジング300は、例えば、約40mmの直径と約350mmの長さを有することができる。円筒形ハウジング300は、米国イリノイ州ウッドデール所在のVideojet Technologies Inc.から利用可能なモデル1860連続インクジェットプリンタのマーキングヘッドと実質的に類似の寸法を有することができる。マーキングヘッド500は、例えば、約0.5kg又はそれよりも軽い重量を有することができる。
【0211】
第1及び第2の回転軸は実質的に平行であり、マーキングヘッド500の長さ(すなわち、3つの寸法のうちで最長)と平行なマーキングヘッド500の軸180が第1及び第2の光学要素100A、100Bの第1及び第2の回転軸に対して実質的に平行であるように、電磁放射線ステアリング機構は、レーザマーキングシステムのマーキングヘッド500の長さに対して実質的に平行に設置される。
【0212】
図20は、本発明の実施形態による可撓性アンビリカル(umbilical、連結物)400を更に含む図19のマーキングヘッド500の側面図である。可撓性アンビリカル400が、マーキングヘッド500に接続され、コントローラのような別の物体からマーキングヘッド500に電力及び/又は制御信号を伝達するように構成される。可撓性アンビリカル400は、マーキングヘッド500の容易な移動を有利に可能にし、それによってマーキングヘッド500を使用することができる用途及び設置環境の範囲を更に拡大することができる。
【0213】
例えば、電磁放射線105は、可撓性アンビリカル400を射出し、電磁放射線ステアリング機構に入射する時に約2.5mmのビーム直径を有することができる。マーキングヘッド500は、例えば、毎秒約1700文字で製品をマーキングする機能を有することができる。文字は、約2mmの高さを有することができる。製品をマーキングするのに使用される時に、マーキングヘッド500を出る電磁放射線105は、約200μmと約300μmの間のビーム直径を有することができる。製品を刻印するのに使用される時に、マーキングヘッド500を出る電磁放射線105は、約10μmと約15μmの間のビーム直径を有することができる。
【0214】
電磁放射線105は、例えば、CO2レーザ又はダイオードレーザのような放射線源によってアンビリカルアセンブリ(umbilical assembly、連結物アセンブリ)400に供給することができる。アンビリカルアセンブリ400は、マーキングヘッド500のハウジング300に接続することができる。アンビリカルアセンブリ400の光ファイバは、放射線105をマーキングヘッド500内のコリメータ200に向けることができる。コリメータ200は、放射線105を望ましい方式で調整し、その後に必要に応じて更に別の調整に向けて放射線105をフォーカス光学系210に向けることができる。次に、放射線105は、放射線105を反射し、それによってその伝播方向を第1の光学要素100Aに向けて90°だけ変化させるように構成された第3の反射器110上に入射することができる。第1の光学要素100Aは、放射線を電磁放射線マニピュレータの第1のミラー「a」に向けて反射することができる。第1のミラー「a」は、放射線105を反射し、それによってその伝播方向を電磁放射線マニピュレータの第2のミラー「b」に向けて90°だけ変化させることができる。第2のミラー「b」は、放射線105を反射し、それによってその伝播方向を第2の光学要素100Bに向けて90°だけ変化させることができる。第2の光学要素100Bは、放射線を第4の反射器115に向けて反射することができる。第4の反射器115は、放射線105を反射し、それによってその伝播方向をマーキングヘッド500の出力に向けて90°だけ変化させることができる。
【0215】
電磁放射線マニピュレータ「a」、「b」は、平行な光学要素100A、100Bが放射線を非平行(例えば、垂直)な軸内でステアリングすることを可能にする。平行な光学要素100A、100B(及び関連のアクチュエータA、B)を有することにより、第1及び第2の光学要素の両方の回転軸がマーキングヘッド500の長さ又は主軸180と平行であるように電磁放射線ステアリング機構をマーキングヘッド500内に設置することが可能になる。これは、マーキングヘッド500のサイズ及び重量を公知のマーキングヘッドに対して大きく低減する。従って、本明細書に説明するマーキングヘッド500は、より容易に設置することができ、公知のマーキングヘッドと比較して高い使用柔軟性(例えば、マーキング中及び/又はマーキングヘッドを小さい空間内に設置する最中の移動)を与えることができる。
【0216】
図21A及び図21Bは、可変光路長デバイス301の実施形態を平面図及び斜視図にそれぞれ示している。可変光路長デバイスは、電磁放射線ステアリング機構と共にマーキングヘッドに収容することができる。第1のレンズ310を通ってデバイスに入射する光ビーム305が例示されている。光ビーム305は、レーザ源から光ファイバに沿って受け入れることができ、又はマーキングヘッド自体内で発生させることができる。第1のレンズ310は、例えば、約10mmの直径を有することができる。第1のレンズ310を通った後に、光ビーム305は、第1の光学要素315、例えば、可動ミラー315、320の対のうちの第1のものの上に入射する。光ビーム305は、第1の可動ミラー315の反射面315aから可動ミラー315、320の対のうちの第2のミラー320の反射面320aの上に反射される。可動ミラー315、320の対は、回転ベース325に装着され、回転ベース325は、回転ベース325の面に対して直角な軸の周りに回転することができる。回転ベースの軸は、可動ミラー315、320の対の間にある中心点302を通過する。
【0217】
回転ベース325及び可動ミラー315、320の対を必要に応じて回転させるために、回転アクチュエータ(例えば、検流計モータ)を利用することができる。
【0218】
光ビーム305は、第2の可動ミラー320の反射面320aから垂直ミラー330a、330bの対を含むことができるコーナ反射器330(又はこれに代えて、垂直反射ファセットを有する反射プリズム)の中に反射される。光ビーム305は、コーナ反射器330に入射した方向と反対方向にコーナ反射器330から反射して戻され、第2の可動ミラー320の反射面320a上に入射して戻る。光ビーム305は、コーナ反射器330から反射して戻された後に、第1の可動ミラー315によって第2の可動ミラー320に向けて誘導された後に第2の可動ミラー320上に入射した位置とは異なる垂直位置で第2の可動ミラー320上に入射する。垂直位置の差は、光ビーム305が反射したコーナ反射器330のミラー330a、330bの部分の間の垂直距離に関連する。光ビーム305は、第2の可動ミラー320の反射面320aから第1の可動ミラー315の反射面315aの上に反射して戻される。光ビーム305は、第2の可動ミラー320から反射して戻された後に、第1のレンズ310から第1の可動ミラー315上に入射した位置とは異なる垂直位置で第1の可動ミラー315の上に入射する。次に、光ビーム305は、第1の可動ミラー315の反射面315aから出力ミラー335の反射面335aの上に反射される。出力ミラー335は、第1のレンズ310から垂直に変位した状態にある。光ビーム305は、出力ミラー335から出力レンズと呼ばれる場合もある第2のレンズ340を通して反射される。第2のレンズ340は、第1のレンズ310に対して垂直に変位した状態にある。光ビームは、第2のレンズ340を通って可変光路長デバイス100から出る。第2のレンズ340は、例えば、約20mmの直径を有することができる。
【0219】
勿論、ビームをコリメータから入力レンズ310に誘導し、後に出力レンズ340から電磁放射線ステアリング機構の構成要素(例えば、第3の反射器110又は第1の光学構成要素100A)に向けて誘導するのに適切な光学構成要素(例えば、ミラー、レンズのような)を必要に応じて設けることができる。
【0220】
可変光路長デバイス100内のミラーの各々の反射面及びコーナ反射器330の反射面は、平面とすることができる。レンズ310、340のうちの一方又は両方は、凹面、凸面、又は平面(平坦)のいずれかである1又は2個の面を有することができ、又はレンズの一方310、340は、他方のレンズ310、340とは異なる曲率を有する一方又は両方の面を有することができる。
【0221】
第1及び第2のレンズ310、340は、光ビーム305を光ビームの作動周波数で屈折する機能を有する材料(例えば、BK7ホウケイ酸ガラス、石英、ZnSe、又はGe)で製造することができ、光ビーム305の波長に特定の反射防止コーティングを有することができる。ミラーは、電磁放射線ステアリング機構のものと同様とすることができる。
【0222】
ミラー315、320は、ベース325と共に集合的に回転可能経路長調節器360と呼ばれる場合がある。焦点距離と回転可能経路長調節器360の方位の間の関係は、入力レンズ及び出力レンズの屈折力、並びに回転可能経路長調節器360の幾何学形状及び可変光路長アセンブリ100の他の構成要素の幾何学形状に依存することになることは認められるであろう。例えば、回転軸からのミラーの距離を増大させることにより、所与の回転変化に対する幾何学経路長の変化も増大することになる。
【0223】
コーナ反射器330は、より一般的な用語で固定光学要素と呼ばれる場合がある。ミラー315、320とは異なり、コーナ反射器330は、回転可能経路長調節器360の回転軸に対する位置に固定されることは理解されるであろう。
【0224】
回転可能経路長調節器360は、一般的な意味では、入力経路(すなわち、入力レンズ310からの)に沿って放射線ビームを受け入れると考えることができることは理解されるであろう。回転可能経路長調節器360は、放射線ビームをミラー320とコーナミラー330の間の第1の中間経路に沿って誘導することを理解することができる(例えば、最初にミラー315によってミラー320に既に向けられている)。
【0225】
コーナ反射器330は、すなわち、回転可能経路長調節器によって第1の中間経路に沿って誘導された放射線ビームを受け入れ、放射線ビームを第2の中間経路に沿って回転可能経路長調節器に向けて誘導して戻すと考えることができる。
【0226】
回転可能経路長調節器360は、次に、放射線ビームを第2の中間経路(すなわち、コーナミラー330からミラー320への)に沿って受け入れると考えることができる。最後に、放射線ビームがミラー320によってミラー315に誘導し戻された状態で、回転可能経路長調節器は、出力経路(すなわち、ミラー315からミラー335に向う)に沿って放射線ビームを誘導すると最終的に理解することができる。第1のミラー315から第2のミラー320への経路は、第3の中間経路と呼ばれる場合がある。第2のミラー320から第1のミラー315への経路は、第4の中間経路と呼ばれる場合がある。ミラー315、320は、それぞれ第1及び第2の光学構成要素と呼ばれる場合がある。他の実施形態では、第1及び第2の光学構成要素の機能は、他の光学構成要素によって提供することができる。
【0227】
回転可能経路長調節器360が軸302の周りに時計周り方向に回転されると、入力レンズ310と第1のミラー315の間の物理的距離が低減することになることは理解されるであろう。同様に、回転可能経路長調節器360が軸302の周りに時計周り方向に回転されると、第2のミラー320とコーナ反射器330の間の物理的距離は低減することになる。それに対してミラー315、320間の経路は、回転可能経路長調節器が時計周り方向に回転されると、より傾斜することになり、従って、長くなる。しかし、増大する経路長の変化は、短縮する経路長によって過剰にオフセットされることになり、入力レンズと出力レンズの間の全幾何学経路長(及び光路長)が短縮する。回転可能経路長調節器360の角度位置と入力及び出力間の幾何学経路長との間には、予想可能かつ連続的に可変の(必ずしも線形とは限らないが)関係が存在することになることは理解されるであろう。しかし、出力経路の方向は、回転可能経路長調節器360の角度位置が変化しても変化することにはならない(開始位置は変化することになるが)。従って、入力及び出力の場所は、軸302とコーナ反射器330の位置とに対して固定される。従って、ビームは、固定光学系によって経路長調節器の内外に向けることができ、出力ビームの焦点距離を変化させるために経路長が変えられる。
【0228】
少なくとも1つの実施のいくつかの態様をこのように説明したところで、当業者は様々な変更、修正、及び改善を直ちに想起することになることは認められるものとする。そのような変更、修正、及び改善は、本発明の開示の一部であるように意図しており、かつ本発明の開示の精神及び範囲内であるように意図している。本明細書に開示する方法の行為は、図示とは別の順序で実施することができ、1又は2以上の行為は、省略、置換、又は追加することができる。本明細書に開示するいずれか1つの例の1又は2以上の特徴は、開示するいずれかの他の例の1又は2以上の特徴と組み合わせるか又はそれを置換することができる。従って、以上の説明及び図面は、単なる例としてのものである。
【0229】
本明細書に使用する表現及び用語は、説明目的のものであり、限定と見なすべきではない。本明細書に使用する場合に「複数」という用語は、2又は3以上の品目又は構成要素を指す。本明細書に使用する場合に「実質的に」同様であると記述する寸法は、互いの約25%の範囲にあると考えることができる。「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含有する」、及び「伴う」という用語は、書面による明細であるか又は特許請求などであるかに関わらず非限定的用語であり、すなわち、「含むが限定されない」を意味する。従って、そのような用語の使用は、その後に列記する品目、その均等物、並びに追加品目を網羅するように意図したものである。「から構成される」及び「から実質的に構成される」という移行句のみが、特許請求の範囲に関してそれぞれ限定的又は半限定的な移行句である。特許請求の範囲において請求要素を修飾するための「第1」、「第2」、及び「第3」などのような順序を示す用語の使用は、それ自体では1つの請求要素の別の請求要素に対するいずれの優先性、先行性、又は順序も方法の行為が実施される時間順序も含意せず、むしろ複数の請求要素を区別するためにある一定の名称を有する1つの請求要素を同じ名称を有する(しかし、順序用語の使用に向けた)別の要素から区別するための単なるラベルとして使用される。
【0230】
電磁放射線ステアリング機構は、電磁放射線を誘導、成形、及び/又は制御するために屈折性、反射性、磁性、電磁性、静電性、及び/又は他のタイプの光学構成要素のような様々なタイプの光学構成要素を含むことができる。
【0231】
本明細書では、製品のマーキングでの電磁放射線ステアリング機構の使用への特定の言及を行った場合があるが、本明細書に説明する電磁放射線ステアリング機構は、他の用途を有することができることを理解しなければならない。可能な他の用途は、例えば、製品に刻印するためのレーザシステム、光学スキャナ、放射線検出システム、医療デバイス、カメラのような電磁放射線検出器、又は放射線がセンサを射出してそこに再入射することができる飛行時間センサなどを含む。
【0232】
本発明の特定の実施形態を上述したが、本発明は、説明したもの以外に実施することができることは認められるであろう。以上の説明は、限定ではなく例示であるように意図したものである。従って、当業者は、以下に示す特許請求の範囲から逸脱することなく、説明した本発明に修正を加えることができることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0233】
100A 第1の光学要素
105 電磁放射線
160 第1の回転軸
a 第1のミラー
A、B 駆動機構
図1
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図21A
図21B