(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】カメラブラケット
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240902BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240902BHJP
G03B 11/04 20210101ALI20240902BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
G03B17/56 A
G03B11/04 C
(21)【出願番号】P 2023109573
(22)【出願日】2023-07-03
【審査請求日】2024-05-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャテラン パスカル 槙人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 真三
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3175374(JP,U)
【文献】特開2020-006827(JP,A)
【文献】特許第6076460(JP,B2)
【文献】特表2012-504518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
G03B 17/56
G03B 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維を含む樹脂を材料とするカメラブラケットであって、
ウインドウパネルの車内側面に沿って配置される板状のベース部と、
前記ベース部から前記ウインドウパネルと相反する方向に凹み、前記ウインドウパネルとの間に視野空間を形成するレンズフード部と、
前記ベース部に形成され、前記視野空間に連通するレンズ孔とを有し、
前記レンズフード部の前記視野空間側を向く内面に、複数の第1凸部が設けられ、
前記レンズフード部の前記内面と相反する外面に、複数の第2凸部が設けられ
、
前記レンズフード部は、前記レンズ孔が向く第1方向に向けて、前記第1方向と直交する第2方向に広がり、
複数の前記第1凸部及び複数の前記第2凸部は、前記第2方向に延び、
前記第2方向から見て、前記第1凸部のそれぞれは、三角形の断面を有し、前記レンズ孔側に設けられた第1傾斜面と、前記レンズ孔と相反する側に設けられた第2傾斜面とを有し、
前記第1方向において、前記第1傾斜面は前記第2傾斜面よりも短いカメラブラケット。
【請求項2】
前記第2方向から見て、前記第2凸部のそれぞれは、三角形の断面を有し、前記レンズ孔側に設けられた第3傾斜面と、前記レンズ孔と相反する側に設けられた第4傾斜面とを有し、
前記第1方向において、前記第4傾斜面は前記第3傾斜面よりも短い
請求項1に記載のカメラブラケット。
【請求項3】
前記第3傾斜面のそれぞれは、最も近い前記第2傾斜面と平行に形成され、
前記第4傾斜面のそれぞれは、最も近い前記第1傾斜面と平行に形成されている
請求項2に記載のカメラブラケット。
【請求項4】
隣り合う2つの前記第1凸部の間のそれぞれに第1凹部がそれぞれ形成され、
隣り合う2つの前記第2凸部の間のそれぞれに第2凹部がそれぞれ形成され、
前記第1凹部のそれぞれの底部を繋ぐ第1仮想線と、前記第2凹部のそれぞれの底部を繋ぐ第2仮想線とは、前記レンズフード部の厚み方向に互いに離れている請求項1に記載のカメラブラケット。
【請求項5】
前記強化繊維は、ガラス繊維である請求項1に記載のカメラブラケット。
【請求項6】
前記ベース部が前記ウインドウパネルに接着される請求項1~
5のいずれか1つの項に記載のカメラブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラをウインドウパネルに固定するためのカメラブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両のフロントガラスの車内側面に設けられるカメラユニットを開示している。カメラユニットは、カメラ本体と、カメラ本体を支持するカメラブラケット(カメラケース)とを有する。カメラブラケットは、カメラ本体の前方に視野空間を形成するレンズフード部を有する。レンズフード部の内面には、迷光を抑制する反射波低減構造が設けられている。反射波低減構造は、複数の凸部によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
視野空間に対向するフロントガラスの曇りを除去するために、カメラブラケットにヒータを設ける場合がある。このような場合に、樹脂製のブラケットの耐熱性を向上させるために、繊維強化樹脂によってブラケットを形成したいという要望がある。しかし、繊維強化樹脂の射出成形によって凹凸を有するレンズフード部を成形すると、レンズフード部に反りが生じるという問題が発生する。
【0005】
以上の背景に鑑み、本発明は、強化繊維を含む樹脂を材料とするカメラブラケットにおいて、成形時の変形を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、強化繊維を含む樹脂を材料とするカメラブラケット(4)であって、ウインドウパネル(1)の車内側面に沿って配置される板状のベース部(11)と、前記ベース部から前記ウインドウパネルと相反する方向に凹み、前記ウインドウパネルとの間に視野空間(12)を形成するレンズフード部(13)と、前記ベース部に形成され、前記視野空間に連通するレンズ孔(14)とを有し、前記レンズフード部の前記視野空間側を向く内面に、複数の第1凸部(51)が設けられ、前記レンズフード部の前記内面と相反する外面に、複数の第2凸部(52)が設けられている。
【0007】
この態様によれば、強化繊維を含む樹脂を材料とするカメラブラケットにおいて、成形時の変形を抑制することができる。強化繊維を含む樹脂によって射出成形を行うとき、成形物の表面に凹凸が存在する場合、凹凸において樹脂が蛇行し強化繊維の向きが不規則になる。一方、成形物の表面が平滑である場合、樹脂が一方向に流れ、強化繊維が一方向に並ぶ。このように成形物の表面及び裏面において構造に差異がある場合、強化繊維の配向に差が生じる。その結果、強化繊維の長手方向に樹脂は収縮し難くなるため、成形物の表面及び裏面において収縮量に差が生じて成形物が変形する。上記の態様では、レンズフード部の内面に複数の第1凸部が形成され、外面に複数の第2凸部が形成されているため、内面及び外面において強化繊維の向きに差が生じ難くなる。これにより、カメラブラケットの成形時の変形が抑制される。
【0008】
上記の態様において、前記レンズフード部は、前記レンズ孔が向く第1方向に向けて、前記第1方向と直交する第2方向に広がり、複数の前記第1凸部及び複数の前記第2凸部は、前記第2方向に延びてもよい。
【0009】
この態様によれば、レンズフードの内面及び外面の形状が似た形状になり、内面及び外面において強化繊維の向きに差が生じ難くなる。これにより、カメラブラケットの成形時の変形が抑制される。
【0010】
上記の態様において、前記第2方向から見て、前記第1凸部のそれぞれは、三角形の断面を有し、前記レンズ孔側に設けられた第1傾斜面(51A)と、前記レンズ孔と相反する側に設けられた第2傾斜面(51B)とを有し、前記第1方向において、前記第1傾斜面は前記第2傾斜面よりも短くてもよい。
【0011】
この態様によれば、複数の第1凸部が迷光を外部に反射し、迷光がレンズに到達し難くなる。
【0012】
上記の態様において、前記第2方向から見て、前記第2凸部のそれぞれは、三角形の断面を有し、前記レンズ孔側に設けられた第3傾斜面(52A)と、前記レンズ孔と相反する側に設けられた第4傾斜面(52B)とを有し、前記第1方向において、前記第4傾斜面は前記第3傾斜面よりも短くてもよい。
【0013】
この態様によれば、レンズフードの内面及び外面の形状が似た形状になり、内面及び外面において強化繊維の向きに差が生じ難くなる。これにより、カメラブラケットの成形時の変形が抑制される。
【0014】
上記の態様において、前記第3傾斜面のそれぞれは、最も近い前記第2傾斜面と平行に形成され、前記第4傾斜面のそれぞれは、最も近い前記第1傾斜面と平行に形成されてもよい。
【0015】
この態様によれば、レンズフードの内面及び外面の形状が似た形状になり、内面及び外面において強化繊維の向きに差が生じ難くなる。これにより、カメラブラケットの成形時の変形が抑制される。
【0016】
上記の態様において、隣り合う2つの前記第1凸部の間のそれぞれに第1凹部(55)がそれぞれ形成され、隣り合う2つの前記第2凸部の間のそれぞれに第2凹部(56)がそれぞれ形成され、前記第1凹部のそれぞれの底部を繋ぐ第1仮想線(57)と、前記第2凹部のそれぞれの底部を繋ぐ第2仮想線(58)とは、前記レンズフード部の厚み方向に互いに離れてもよい。
【0017】
この態様によれば、複数の第1凸部と複数の第2凸部との間に、所定の厚みを有する平板状の中間層が形成されるため、レンズフード部の剛性が向上する。これにより、カメラブラケットの成形時の変形が抑制される。
【0018】
上記の態様において、前記強化繊維は、ガラス繊維であってもよい。
【0019】
この態様によれば、カメラブラケットの耐熱性を向上させることができる。
【0020】
上記の態様において、前記ベース部が前記ウインドウパネルに接着されてもよい。
【0021】
この態様によれば、カメラブラケットの成形時の変形が小さいため、カメラブラケットとウインドウパネルとの接着性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上の構成によれば、強化繊維を含む樹脂を材料とするカメラブラケットにおいて、成形時の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係る車載カメラユニットを車外側から見た斜視図
【
図2】実施形態に係る車載カメラユニットを車内側から見た斜視図
【
図3】カバーを省略して車載カメラユニットを車内側から見た斜視図
【
図4】リッドを省略してカメラブラケットを車内側から見た斜視図
【
図6】カメラブラケットの断面図(
図1のVI-VI断面図)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明のカメラブラケットの実施形態について説明する。カメラブラケットは、車両のウインドウパネルの車室側に設けられる車載カメラユニットの一部をなす。ウインドウパネルは、車室の前部を画定するフロントウインドウパネル、車室の後部を画定するリヤウインドウパネル、車室の左右の側部を画定する一対のサイドウインドウパネルを含む。
【0025】
本実施形態では、ウインドウパネル1はフロントウインドシールドである。ウインドウパネル1は、上方に向けて後方に傾斜している(
図6参照)。車載カメラユニット2は、ウインドウパネル1の車内側面の上端部に設けられている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、車載カメラユニット2は、カメラ本体3と、ウインドウパネル1の車内側面に取り付けられ、カメラ本体3を支持するカメラブラケット4と、カメラ本体3及びカメラブラケット4の下方に配置されるカバー5とを有する。
【0027】
カメラブラケット4は、強化繊維を含む樹脂を材料とする。強化繊維は、カメラブラケット4の耐熱性及び剛性を向上させる。強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等であるとよい。母材としての樹脂は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)、又はこれらの混合物等であるとよい。細かく切断された強化繊維が均一に混ぜ込まれた樹脂を使用した射出成形によって、カメラブラケット4は成形されている。
【0028】
図3及び
図4に示すように、カメラブラケット4は、ウインドウパネル1の車内側面に沿って配置される板状のベース部11と、ベース部11からウインドウパネル1と相反する方向に凹み、ウインドウパネル1との間に視野空間12を形成するレンズフード部13と、ベース部11に形成され、視野空間12に連通するレンズ孔14とを有する。ベース部11は、平面状に形成され、ウインドウパネル1の車内側面に沿う前面16と、前面16に相反する後面17とを有する。ベース部11の後部には、厚み方向に貫通する第1ミラー取付孔18が形成されている。
【0029】
レンズフード部13は、ベース部11の前部に設けられている。レンズフード部13は、前面16に対して凹むと共に、後面17に対して突出している。すなわち、レンズフード部13は、ベース部11から車室側に膨出している。レンズフード部13は、底壁部21と、左右の側壁部22とを有する。底壁部21及び左右の側壁部22は板状に形成されている。上方から見て、底壁部21は、左右方向に延びる前縁と、後方に向けて左右内方に傾斜した左右の側縁とを有し、二等辺三角形状に形成されている。底壁部21は、前縁においてベース部11に接続し、ベース部11に対して下方に傾斜している。すなわち、底壁部21の後端部は、ベース部11に対して下方に配置されている。左右の側壁部22は、上下方向に延び、底壁部21の左右の側縁とベース部11とを接続している。
【0030】
レンズ孔14は、底壁部21の後端と、左右の側壁部22の後端と、ベース部11とによって画定されている。レンズ孔14は、カメラブラケット4を厚み方向に貫通している。レンズ孔14は、第1方向に向けて開口している。本実施形態では、第1方向は前方である。レンズフード部13は、レンズ孔14が向く第1方向に向けて、第1方向と直交する第2方向に広がっている。本実施形態では、レンズフード部13は、前方に向けて左右方向に広がっている。
【0031】
図1に示すように、底壁部21の後部は、着脱可能なリッド25によって形成されている。
図1及び
図4に示すように、底壁部21の後部には、貫通孔である作業孔26が形成されている。
図1及び
図5に示すように、リッド25は作業孔26を閉じる板状の本体部25Aを有する。リッド25は、ベース部11に回動可能に支持されている。
図4に示すように、ベース部11の下面には左右方向に延びる、左右一対の支持軸28が設けられている。
図5に示すように、リッド25の本体部25Aの後部には、各支持軸28を受容する軸受部25Cが設けられている。リッド25は作業孔26を閉じる閉位置と、作業孔26を開く開位置との間で回動する。リッド25が閉位置にあるときに、リッド25は底壁部21の一部をなす。
図4に示すように、ベース部11の下面には、左右一対の係止爪31が設けられている。
図5に示すように、リッド25の本体部25Aの前部には、左右一対の弾性爪25Dが設けられている。各弾性爪25Dが対応する係止爪31に係止されることによって、リッド25は閉位置に維持される。
【0032】
リッド25の車内側を向く外面には、板状のヒータ29が設けられている。ヒータ29は、電力の供給を受けて発熱するヒータである。ヒータ29は、例えばPTCヒータや電熱線であるとよい。
【0033】
図4に示すように、カメラブラケット4の後面17には、カメラ本体3を支持するための左右一対の前係止部33と、後係止部34とが設けられている。各前係止部33は、底壁部21の下面から下方に突出している。各前係止部33は、作業孔26の左右に配置されている。各前係止部33には、弾性を有する係止爪が装着され、係止爪を介してカメラ本体3の前端を係止する。後係止部34は、ベース部11の下面から下方に突出している。後係止部34は、作業孔26の後方に配置されている。後係止部34には、係止爪が装着され、係止爪を介してカメラ本体3の後端を係止する。カメラ本体3が左右の前係止部33及び後係止部34に係止されることによって、カメラ本体3がカメラブラケット4に支持される。カメラ本体3がカメラブラケット4に支持された状態において、カメラ本体3のレンズ35はレンズ孔14に配置され、レンズ孔14を通して前方を向く。
【0034】
カメラブラケット4の下面には、複数のカバー係止部36が設けられている。カバー5は複数のカバー係止部36に係止され、カメラブラケット4の下方に配置される。カバー5は、カメラブラケット4及びカメラ本体3の下方を覆う。
図2に示すように、カバー5には、複数の通気孔38と、第2ミラー取付孔39とが形成されている。
【0035】
図1及び
図2に示すように、ルームミラーを取り付けるための、ミラーステー41は、ウインドウパネル1に接着され、第1ミラー取付孔18及び第2ミラー取付孔39を通過して下方に延び、カバー5の下方に突出している。ミラーステー41の下端にルームミラーが結合される。
【0036】
以下、カメラブラケット4の詳細構造について説明する。
図1及び
図6に示すように、レンズフード部13の視野空間12側を向く内面に、複数の第1凸部51が設けられている。また、
図4及び
図6に示すように、レンズフード部13の内面と相反する外面に、複数の第2凸部52が設けられている。複数の第1凸部51は、迷光を抑制する反射波低減構造として機能する。すなわち、複数の第1凸部51は、迷光を車外側に反射し、迷光がレンズ35に到達することを抑制する。複数の第2凸部52は、カメラブラケット4の成形時の変形を抑制する機能を奏する。
【0037】
図1に示すように、複数の第1凸部51は底壁部21の視野空間12側を向く内面に設けられ、複数の第2凸部52は底壁部21の車室側を向く外面に設けられている。複数の第1凸部51は、リッド25の本体部25Aの内面にも設けられている。複数の第2凸部52は、リッド25の外面には設けられていない。なお、他の実施形態では、複数の第2凸部52が、リッド25の外面にも設けられてもよい。
【0038】
図1及び
図4に示すように、複数の第1凸部51及び複数の第2凸部52は、左右方向(第2方向)に延びている。
図6に示すように、左右方向から見て、第1凸部51のそれぞれは、三角形の断面を有し、レンズ孔14側に設けられた第1傾斜面51Aと、レンズ孔14と相反する側に設けられた第2傾斜面51Bとを有する。前後方向において、第1傾斜面51Aは前記第2傾斜面51Bよりも短い。左右方向ら見て、第2凸部52のそれぞれは、三角形の断面を有し、レンズ孔14側に設けられた第3傾斜面52Aと、レンズ孔14と相反する側に設けられた第4傾斜面52Bとを有する。第1方向において、第4傾斜面52Bは第3傾斜面52Aよりも短い。
【0039】
各第1凸部51は、互いに同一の断面形状を有するとよい。各第2凸部52は、互いに同一の断面形状を有するとよい。また、各第1凸部51と、各第2凸部52とは、互いに同一の断面形状を有するとよい。
【0040】
第3傾斜面52Aのそれぞれは、最も近い前記第2傾斜面51Bと平行に形成されているとよい。また、第4傾斜面52Bのそれぞれは、最も近い第1傾斜面51Aと平行に形成されているとよい。
【0041】
隣り合う2つの第1凸部51の間のそれぞれに第1凹部55がそれぞれ形成されている。隣り合う2つの第2凸部52の間のそれぞれに第2凹部56がそれぞれ形成されている。第1凹部55のそれぞれの底部を繋ぐ第1仮想線57と、第2凹部56のそれぞれの底部を繋ぐ第2仮想線58とが、レンズフード部13の厚み方向に互いに離れている。すなわち、底壁部21は、第1仮想線57と第2仮想線58とによって画定される平板状の中間層59を有する。複数の第1凸部51及び複数の第2凸部52は、中間層59の表面から外方に突出している。
【0042】
実施形態に係るカメラブラケット4の効果について説明する。強化繊維を含む樹脂を材料とするカメラブラケット4において、底壁部21の外面に複数の第2凸部52が設けられているため、成形時の変形を抑制することができる。強化繊維を含む樹脂によって射出成形を行うとき、成形物の表面に凹凸が存在する場合、凹凸において樹脂が蛇行し強化繊維の向きが不規則になる。一方、成形物の表面が平滑である場合、樹脂が一方向に流れ、強化繊維が一方向に並ぶ。このように成形物の表面及び裏面において構造に差異がある場合、強化繊維の配向に差が生じる。その結果、強化繊維の長手方向に樹脂は収縮し難くなるため、成形物の表面及び裏面において収縮量に差が生じて成形物が変形する。上記の態様では、レンズフード部13の底壁部21の内面に複数の第1凸部51が形成され、外面に複数の第2凸部52が形成されているため、射出成形時に内面及び外面において強化繊維の向きに差が生じ難くなる。これにより、カメラブラケット4の成形時の変形が抑制される。
【0043】
複数の第1凸部51と、複数の第2凸部52とが、互いに同一の形状を有するため、底壁部21の内面及び外面の形状が似た形状になり、内面及び外面において強化繊維の向きに差が生じ難くなる。これにより、カメラブラケット4の成形時の変形が抑制される。
【0044】
複数の第1凸部51と複数の第2凸部52との間に、第1仮想線57と第2仮想線58によって画定される平板状の中間層59が形成されるため、レンズフード部13の剛性が向上する。これにより、カメラブラケット4の成形時の変形が抑制される。また、射出成形時に樹脂は中間層59を通過して円滑に流れることができる。
【0045】
射出成形時の樹脂の注入口は、カメラブラケット4の前端又は後端に設けられる。樹脂は、注入口から前後方向に流れるとよい。複数の第1凸部51及び複数の第2凸部52は、樹脂が流れる方向と直交する方向に延びているため、樹脂の流れは複数の第1凸部51及び複数の第2凸部52において乱れ、強化繊維の向きは分散される。
【0046】
リッド25は、比較的小さいため、第2凸部52が省略されても、射出成形時の変形が小さい。なお、リッド25の本体部25Aの後面に複数の第2凸部52が形成されてもよい。
【0047】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、カメラブラケット4から作業孔26及びリッド25は省略されてもよい。この場合、底壁部21は1つの連続した部材によって形成されるとよい。また、複数の第1凸部51に対応して、底壁部21の後面の全範囲に第2凸部52が配置されるとよい。
【0048】
複数の第1凸部51は、様々な形状を適用することができる。例えば、各第1凸部51は、半球、円柱、四角柱、円錐、三角錐、四角錐等の形状であってよく、底壁部21に分散して、或いは密集して配置されてもよい。複数の第2凸部52は、複数の第1凸部51と同一又は近似した形状に形成されるとよい。
【符号の説明】
【0049】
1 :ウインドウパネル
2 :車載カメラユニット
3 :カメラ本体
4 :カメラブラケット
5 :カバー
11 :ベース部
12 :視野空間
13 :レンズフード部
14 :レンズ孔
35 :レンズ
51 :第1凸部
51A :第1傾斜面
51B :第2傾斜面
52 :第2凸部
52A :第3傾斜面
52B :第4傾斜面
55 :第1凹部
56 :第2凹部
57 :第1仮想線
58 :第2仮想線
59 :中間層
【要約】
【課題】 強化繊維を含む樹脂を材料とするカメラブラケットにおいて、成形時の変形を抑制する。
【解決手段】 強化繊維を含む樹脂を材料とするカメラブラケット4は、ウインドウパネル1の車内側面に沿って配置される板状のベース部11と、ベース部からウインドウパネルと相反する方向に凹み、ウインドウパネルとの間に視野空間12を形成するレンズフード部13と、ベース部に形成され、視野空間に連通するレンズ孔14とを有する。レンズフード部の視野空間側を向く内面に、複数の第1凸部51が設けられている。レンズフード部の内面と相反する外面に、複数の第2凸部52が設けられている。レンズフード部は、レンズ孔が向く第1方向に向けて、第1方向と直交する第2方向に広がり、複数の第1凸部及び複数の第2凸部は、第2方向に延びてもよい。
【選択図】
図4