(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ホログラム記録方法および装置
(51)【国際特許分類】
G03H 1/04 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
G03H1/04
(21)【出願番号】P 2023137397
(22)【出願日】2023-08-25
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0165766
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519110076
【氏名又は名称】クァンウン ユニバーシティー インダストリーアカデミック コラボレーション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】KWANGWOON UNIVERSITY INDUSTRY-ACADEMIC COLLABORATION FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】20, Gwangun-ro,Nowon-gu, Seoul (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,スン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,イ ファン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,スン チュル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンホ
(72)【発明者】
【氏名】ガンテ,フィリップ
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0308170(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0008482(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0228040(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03H 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィック印刷技術を用いてホーゲル単位に分割されたホログラフィック記録媒体に分割されたホーゲル別に物体ビームと参照ビームを干渉させて記録し、ホログラフィック記録媒体の全記録面をタイリングする方式でホログラムを記録するホログラム記録方法において、
a)前記ホログラフィック記録媒体にホーゲル別にそれぞれホログラムを記録するとき、
制御コンピュータが、ホーゲル別記録角度に基づいてホーゲル別回折効率の偏差を分析し、
b)前記制御コンピュータが、ホーゲル別回折効率の偏差によってホーゲル別の前記物体ビームの強さを変化させて先補償し、
c)物体ビーム光学部が、前記先補償した物体ビームのホーゲル別の強さに応じて前記物体ビームの強さを変化させ、前記物体ビームをホログラフィック記録媒体に入射させることにより前記物体ビームを記録し、前記物体ビームを記録する際、ホログラフィック記録媒体の位置をX-Yステージにより順次移動させる、
ホログラム記録方法。
【請求項2】
前記b)のステップにおいて、前記物体ビームの強さは、前記ホログラフィック記録媒体の中心部からエッジに向かうにつれて明るさが増大するように増大させるか、または前記ホログラフィック記録媒体のエッジから中心部に向かうにつれて明るさが減少するように減少させる方式で可変する請求項1に記載のホログラム記録方法。
【請求項3】
前記c)のステップにおいて、前記ホログラフィック記録媒体に入射させられて記録されるCGH(Computer Generated Hologram)干渉パターンを生成する請求項1に記載のホログラム記録方法。
【請求項4】
前記c)のステップにおいて、前記CGH干渉パターンは、レイリー-ゾンマーフェルト回折積分(Rayleigh-Sommerfeld Diffraction Integral、RSD)を使用して生成する請求項3に記載のホログラム記録方法。
【請求項5】
前記c)のステップにおいて、前記生成されたCGH干渉パターンをホーゲルの数に対応してn×m(nとmは、自然数)個に分割し、分割されたそれぞれのCGH干渉パターンを使用して物体ビームを変調する請求項4に記載のホログラム記録方法。
【請求項6】
ホログラフィック印刷技術を用いてホーゲル単位に分割されたホログラフィック記録媒体に分割されたホーゲル別に物体ビームと参照ビームを干渉させて記録し、ホログラフィック記録媒体の全記録面をタイリングする方式でホログラムを記録するホログラム記録装置において、
レーザビームを出力するレーザと、
前記レーザビームを物体ビームと参照ビームに分離するビーム分離器と、
CGH干渉パターンを生成する制御コンピュータと、
前記物体ビームを前記ホログラフィック記録媒体に伝達して記録する物体ビーム光学部と、
前記参照ビームを前記ホログラフィック記録媒体に入射させる参照ビーム光学部と、
記録時に、前記ホログラフィック記録媒体の位置を連続的に移動させるように構成されたX-Yステージと、
を含み、
前記ホログラムがホーゲル別に前記ホログラフィック記録媒体に記録される際、制御コンピュータが
ホーゲル別記録角度に基づいてホーゲル別の回折効率偏差を分析し、
前記制御コンピュータは、ホーゲル別回折効率の偏差によってホーゲル別の前記物体ビームの強さを変化させて先補償し、
前記物体ビーム光学部は、
前記制御コンピュータで提供されるCGH干渉パターンを使用して入射する物体ビームを変調する空間光変調器
であって、前記空間変調器は、前記先補償した物体ビームのホーゲル別の強さに応じて前記物体ビームの強さを変化させ、前記物体ビームをホログラフィック記録媒体に入射させることにより前記物体ビームを記録する空間光変調器と、
前記空間光変調器で変調された物体ビームを前記ホログラフィック記録媒体に集光する集光レンズと、を含むホログラム記録装置。
【請求項7】
前記制御コンピュータは、前記ホログラフィック記録媒体の中心部からエッジに向かうにつれて明るさが増大するように物体ビームの強さを増大させるか、または前記ホログラフィック記録媒体のエッジから中心部に向かうにつれて明るさが減少するように物体ビームの強さを減少させる請求項6に記載のホログラム記録装置。
【請求項8】
前記制御コンピュータは、前記CGH(Computer Generated Hologram)干渉パターンをレイリー-ゾンマーフェルト回折積分(Rayleigh-Sommerfeld Diffraction Integral、RSD)を使用して生成した後、このように生成されたCGH干渉パターンをホーゲルの数に対応して縦横n×m(nとmは、自然数)個に分割して前記空間光変調器に提供する請求項6に記載のホログラム記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィック印刷技術に基づくホログラム記録方法および装置に関するものであって、より詳細には、ホログラフィック光学素子(Holographic Optical Element、HOE)を使用するホログラフィック光学素子ベースの近眼ディスプレイ(Near to Easy Display、NED)の再生不均衡を解消することができるホログラム記録方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルホログラフィック印刷(Digital Holographic Printing、DHP)は、従来のアナログ方式ではなく、デジタルホログラフィック記録方式で空間光変調器(Spatial Lighting Modulation、SLM)を使用してイメージまたは干渉縞をホログラフィック記録媒体(ホログラフィックフィルム)に記録して停止画像についてのホログラムを再生する技術をいう。デジタルホログラフィック記録は、不連続な干渉縞を記録し、復元時には、記録時に使用した同じ波長を含む光を照射して3次元像を再現する。
【0003】
デジタルホログラフィック記録は、コンテンツと光学的方式に応じてステレオグラム(Stereogram)とフリンジ(Fringe)方式に区分できる。ステレオグラム方式は、垂直方向または垂直/水平方向に対して視差(Parallax)を有する多視点イメージを物体ビーム(Object Beam)で構成した後、参照ビーム(Reference Beam)との光学的な方法を用いて干渉縞を形成してホログラフィック記録媒体に記録する方式である。一方、フリンジ方式は、ステレオグラム方式とは異なり、光学的な干渉作用なしに数値的に予め計算された干渉パターン(Fringe Pattern)のサイズを変化させてホログラフィック記録媒体に記録する方式である。
【0004】
デジタルホログラフィック記録を用いたホログラム技術は、ホログラフィックヘッドマウントディスプレイ(Holographic Head-Mounted Display、HMD)というホログラフィック近眼ディスプレイ(Holographic Near-Eye Display、NED)に活用される。ホログラフィック近眼ディスプレイは、3次元イメージディスプレイ方式を適用したディスプレイ機器であって、ディスプレイパネルがユーザーの目に近い位置にあり、ユーザーが眼鏡のように着用する形態のディスプレイ機器をいう。ホログラフィック近眼ディスプレイは、元の物体から反射された物体ビームと参照ビームを干渉させて得られた干渉縞を記録したホログラムパターンに参照ビームを照射して回折させることによって、元の物体のイメージを再生するホログラフィックディスプレイ方式を用いる。
【0005】
このように記録されたホログラムを再生するときには、記録光源と同じ角度と波長の波面を有する光を照射してホログラム像を再生する。例えば、平行光(Colliminate Beam)を使用して記録したとすれば、同様に平行光をホログラムに入射させると、最適の像を再生することができる。しかし、一般的な環境においては、イメージを再生するLCDやLCOSディスプレイパネルのピクセルから発光する点光源の形の光源を使用する。この場合、記録されたフィルムのサイズが小さい場合には、大きな問題はないが、大きい場合には、最小記録単位であるホーゲル(Hogel:Holographic Element)の位置によって入射角が変わるため、再生される各輝度分布(Angular Intensity Distribution)が変わってイメージに歪みが発生すす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
(特許文献1)KR10-2022-0080830A、2022.06.15。
【0007】
(特許文献2)KR10-2022-0065446A、2022.05.20。
【0008】
(特許文献3)KR10-2014-0115168A、2014.09.30
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
導波管(Waveguide)をベースに製作された近眼ディスプレイ(NED)は、従来のアナログ方式で製作されたホログラフィック光学素子(HOE)を使用している。アナログ方式で製作されたホログラフィック光学素子(HOE)を使用する場合、記録初期条件とソースイメージで生じる違いがイメージの効率を低下させて均一性を害するという問題があった。特に、凸レンズやミラーを使用する素子は、1つの焦点に集まるホログラムを作るために点光源を物体ビームとして使用する。このように記録されたホログラムは、参照ビームを平行光として使用したと仮定すると、再生時には、平行光とは異なる光が入ってくる場合に凸レンズやミラーのすべての表面で均一な光屈折を作り出すことができない。このような理由から、イメージの拡大と深い深度を具現するために使用されたホログラフィック光学素子(HOE)は、平行光とは異なる形の入力イメージが入るとき、異なる光線から異なる回折効率が起こる。これは、ホログラフィック光学素子(HOE)を使用するホログラフィック光学素子ベースの近眼ディスプレイ(NED)で再生不均衡を誘発する。
【0010】
したがって、本発明の目的は、ホログラム記録時の物体ビームがホログラフィック記録面にホーゲル別に互いに異なる記録角度で入射することによって発生するホーゲル別回折効率の偏差を先補償し、ホログラム再生時にホログラムの全記録面の回折効率を均一にすることによって、ホログラフィック光学素子ベースの近眼ディスプレイの再生不均衡を解消できるホログラフィック印刷技術を用いたホログラム記録方法および装置を提供することである。
【0011】
また、本発明は、前述の目的に限定されず、これ以外にも後述する実施形態および特許請求の範囲を通じて記載された技術を通じて様々な目的をさらに提供し得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的を達成するための実施形態に係る本発明は、ホログラフィック印刷技術を用いてホーゲル単位に分割されたホログラフィック記録媒体に分割されたホーゲル別に物体ビームと参照ビームを干渉させて記録し、ホログラフィック記録媒体の全記録面をタイリングする方式でホログラムを記録するホログラム記録方法において、a)前記ホログラフィック記録媒体にホーゲル別にそれぞれホログラムを記録するとき、制御コンピュータが、ホーゲル別記録角度に基づいてホーゲル別回折効率の偏差を分析し、b)前記制御コンピュータが、ホーゲル別回折効率の偏差によってホーゲル別の前記物体ビームの強さを変化させて先補償し、c)物体ビーム光学部が、前記先補償した物体ビームのホーゲル別の強さに応じて前記物体ビームの強さを変化させ、前記物体ビームをホログラフィック記録媒体に入射させることにより前記物体ビームを記録し、前記物体ビームを記録する際、ホログラフィック記録媒体の位置をX-Yステージにより順次移動させる、ホログラム記録方法を提供する。
【0013】
また、前記物体ビームの強さは、前記ホログラフィック記録媒体の中心部からエッジに向かうにつれて明るさが増大するように増大させるか、または前記ホログラフィック記録媒体のエッジから中心部に向かうにつれて明るさが減少するように減少させる方式で可変できる。
【0014】
また、前記ホログラフィック記録媒体にホーゲル別にホログラムを記録するとき、CGH(Computer Generated Hologram)干渉パターンを使用して変調された物体ビームを前記ホログラフィック記録媒体に入射させて記録することができる。
【0015】
また、前記CGH干渉パターンは、レイリー-ゾンマーフェルト回折積分(Rayleigh-Sommerfeld Diffraction Integral、RSD)を使用して生成することができる。
【0016】
また、前記生成されたCGH干渉パターンをホーゲルの数に対応してn×m(nとmは、自然数)個に分割し、分割されたそれぞれのCGH干渉パターンを使用して物体ビームを変調することができる。
【0017】
前述の目的を達成するための他の実施形態に係る本発明は、ホログラフィック印刷技術を用いてホーゲル単位に分割されたホログラフィック記録媒体に分割されたホーゲル別に物体ビームと参照ビームを干渉させて記録し、ホログラフィック記録媒体の全記録面をタイリングする方式でホログラムを記録するホログラム記録装置において、レーザビームを出力するレーザと、前記レーザビームを物体ビームと参照ビームに分離するビーム分離器と、CGH干渉パターンを生成する制御コンピュータと、前記物体ビームを前記ホログラフィック記録媒体に伝達して記録する物体ビーム光学部と、前記参照ビームを前記ホログラフィック記録媒体に入射させる参照ビーム光学部と、記録時に、前記ホログラフィック記録媒体の位置を連続的に移動させるように構成されたX-Yステージと、を含み、前記ホログラムがホーゲル別に前記ホログラフィック記録媒体に記録される際、制御コンピュータがホーゲル別記録角度に基づいてホーゲル別の回折効率偏差を分析し、前記制御コンピュータは、ホーゲル別回折効率の偏差によってホーゲル別の前記物体ビームの強さを変化させて先補償し、前記物体ビーム光学部は、前記制御コンピュータで提供されるCGH干渉パターンを使用して入射する物体ビームを変調する空間光変調器であって、前記空間変調器は、前記事前に補償されたホーゲル別物体ビームに応じて前記物体ビームの強度を変化させ、前記物体ビームを前記ホログラフィック記録媒体に入射させることにより前記物体ビームを記録する空間光変調器と、前記空間光変調器で変調された物体ビームを前記ホログラフィック記録媒体に集光する集光レンズと、を含むホログラム記録装置を提供する。
【0018】
また、前記制御コンピュータは、前記ホログラフィック記録媒体の中心部からエッジに向かうにつれて明るさが増大するように物体ビームの強さを増大させるか、または前記ホログラフィック記録媒体のエッジから中心部に向かうにつれて明るさが減少するように物体ビームの強さを増大させることができる。
【0019】
また、前記制御コンピュータは、前記CGH(Computer Generated Hologram)干渉パターンをレイリー-ゾンマーフェルト回折積分(Rayleigh-Sommerfeld Diffraction Integral、RSD)を使用して生成した後、このように生成されたCGH干渉パターンをホーゲルの数に対応して縦横n×m(nとmは、自然数)個に分割して前記空間光変調器に提供し得る。
【発明の効果】
【0020】
前述の説明のように、本発明の実施形態に係るホログラム記録方法および装置によると、ホログラム再生時に発生するホログラフィック記録面の各ホーゲル別回折効率(復元効率)の偏差に対応し、ホログラム記録時の各ホーゲル別に物体ビームの強さ(輝度)を可変させ、ホーゲル別回折効率の偏差を事前に補償してホログラムを記録する。
【0021】
したがって、本発明は、ホログラム記録時の各ホーゲル別回折効率の偏差を事前に補償して記録することによって、ホログラム再生時のホログラフィック全記録面で回折効率を均一にし、ホログラフィック光学素子ベースの近眼ディスプレイの再生不均衡を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係るホログラム記録方法を示すフローチャートである。
【
図2】各ホーゲル別記録角度の違いを説明するために示す図である。
【
図3】導波管タイプの近眼ディスプレイシステムで再構成されたAR仮想イメージを示す図である。
【
図4】画角(FOV)の角度分布に応じた再構成イメージのサイズと均一性を比較した図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るホログラム記録装置を示す構成図である。
【
図6】レイリー-ゾンマーフェルト回折積分(RSD)を使用して生成されたCGH干渉パターンを用いてホログラフィック記録媒体にホーゲル単位でそれぞれホログラムを記録する過程を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るホログラム記録方法の作用効果を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るホログラム記録方法を使用した結果としてホログラムが記録されたホログラフィック記録媒体を用いてイメージを再生した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の利点および特徴、これらを達成する方法は、添付の図面とともに詳細に後述される実施形態を参照することによって明らかになるであろう。本明細書全体にわたって同じ参照符号は、同じ構成要素を指すものである。また、「Aおよび/またはB」と記載された場合、AとBの両方を意味するか、またはAまたはBのいずれかを意味し得る。また、各図に示されている各構成要素は、サイズおよび形状が過度に示されることもあるが、これは説明の便宜のためのものであり、限定を意図するものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るホログラム記録方法を概略的に示すフローチャートである。
【0025】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係るホログラム記録方法は、ホログラフィック印刷技術を用いてホログラフィック記録媒体の記録面に物体ビームと参照ビームを干渉させて各ホーゲル別に順次記録してホログラフィック記録媒体の全記録面をタイリング(Tiling)する方式でホログラフィック記録媒体の全記録面にホログラムを記録する。
【0026】
従来のホログラム記録方法によって記録されたホログラムイメージをホログラフィック光学素子(HOE)を使用する近眼ディスプレイ(NED)で再生する場合、各ホーゲル別に回折効率(復元効率)の偏差が発生する。これは、各ホーゲル別に互いに異なる記録角度でホログラムが記録されるためである。このような各ホーゲル別回折効率の偏差は、ホログラフィック光学素子ベースの近眼ディスプレイ(NED)でホログラムを再生するときに再生不均衡を誘発する。
【0027】
図2は、各ホーゲル別記録角度の違いを説明するために概略的に示す図である。
【0028】
図2を参照すると、ホログラフィック印刷方式を使用したホログラム記録方法は、ホログラフィック記録媒体に各ホーゲル別に記録してホログラフィック記録媒体の全記録面をタイリングする方式(ホーゲル単位でそれぞれ記録した後、最終的に合わせる方式)でホログラムを記録する。
【0029】
図2において、DDHOE(Digitally Designed HOE)は、デジタル方式でデザインされたホログラフィック光学素子(HOE)であって、一定の焦点距離(Focal Length)(DDHOEから焦点(F)までの距離)を有する凸レンズとして機能する。すべてのホーゲルh1~h8に対して右から左に平行に入射する光は、一定の焦点Fに集まらなければならない。これは、凸レンズが右から平行に入る光を焦点Fに集める役割と同一に作用する。
【0030】
図2に示すように、ホーゲル1h1が焦点Fに集まる方向への角度がホーゲル4h4とホーゲル5h5が焦点Fに集まる方向の角度よりも大きい。同様に、ホーゲル1h1とホーゲル8h8、ホーゲル2h2とホーゲル7h7、ホーゲル3h3とホーゲル6h6、ホーゲル4h4とホーゲル6h6は、それぞれ異なる角度を有する。これは、1軸ではなく2軸(x、y軸)を考慮してみると、各ホーゲルによって異なる様々な角度が出ることになる。
【0031】
ホログラム記録時に記録されるホログラムは、焦点Fに集まる角度に大きな影響を受ける。すなわち、ホログラム記録時の記録角度に応じてホログラムを再生するとき、ホログラム回折効率が変わる。したがって、記録角度によって回折効率が相対的に高くなるホーゲルを下げ、全領域が不均衡でなく均一な光再生を行うことが好ましい。
【0032】
一方、
図2において、ILは、入射光を表し、RLは屈折光を表す。
【0033】
本発明の実施形態に係るホログラム記録方法においては、各ホーゲル別に互いに異なる記録角度に対応してホログラム再生時に発生する回折効率の偏差を事前に補償する。すなわち、ホログラム記録装置(
図5参照)を用いてホログラムを記録するとき、ホログラム再生時に発生し得る回折効率の偏差を事前に補償してホログラムを記録する。
【0034】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るホログラム記録方法は、まず、ホログラフィック記録媒体の記録面に記録された各ホーゲル別記録角度による回折効率偏差を分析する(S1)。
【0035】
各ホーゲル別回折効率偏差分析は、回折効率の偏差補償なしにホログラフィック記録媒体に記録されたホログラム再生時に発生する各ホーゲル別回折効率の偏差を測定する方法で分析することができる。または、ホログラフィック記録媒体の特性(材質/サイズ/厚さ)と、各ホーゲルのサイズと、各ホーゲル別記録角度と、ホログラム再生時に使用される光源(参照ビーム)の特性と、近眼ディスプレイ(NED)に使用されるホログラフィック光学素子(HOE)の特性などを総合的に考慮してホーゲル別回折効率の偏差を算出する方式で分析することもできる。
【0036】
各ホーゲル別に分析された回折効率偏差は、中央コンピュータ(図示せず)を介して予め測定(または算出)できる。このように分析された各ホーゲル別回折効率の偏差は、
図5に示すホログラム記録装置を制御する制御コンピュータ5に提供され得る。制御コンピュータ5は、提供された各ホーゲル別回折効率偏差に基づいて物体ビーム光学部3の空間光変調器(SLM)32で物体ビームの強さを各ホーゲル別に可変させて集光レンズ33に出力する。ここで、空間光変調器(SLM)32は、制御コンピュータ5の代わりに各ホーゲル別に回折効率偏差をそれぞれ分析する中央コンピュータまたはホログラム記録装置の全体動作を制御する別のコンピュータが構成されている場合、これらのコンピュータを介して制御されることもできる。
【0037】
図1に示すように、各ホーゲル別に分析された記録角度による回折効率の偏差情報に基づいて、ホログラム記録時の各ホーゲル別物体ビームの強さ(輝度)を各ホーゲル別回折効率の偏差によって可変させて先補償する(S2)。各ホーゲル別回折効率の偏差によって各ホーゲル別物体ビームの強さを可変させて先補償する方法は、
図5に示す制御コンピュータ5を介して具現でき、具体的なホログラム記録過程は、
図6を参照して後述する。
【0038】
本発明の実施形態に係るホログラム記録方法においては、
図1に示すように、各ホーゲル別記録角度による各ホーゲル別回折効率の偏差を分析する過程を含んでいるが、これは必須の構成要素ではない。前述のように予め測定または算出された後に、データベースに登録され得、ホログラム記録時に前記データベースに既に登録された各ホーゲル別回折効率の偏差情報を取り、回折効率の偏差を先補償するときに用い得る。
【0039】
図3は、導波管タイプの近眼ディスプレイ(NED)システムで再構成されたAR仮想イメージを説明するために概略的に示した図であって、(a)は、イン-カップルされたHOE(In-Coupled HOE)についての記録光線を示し、(b)は、アウト-カップルされたHOE(Out-Coupled HOE)についての記録光線を示し、(c)は、近眼ディスプレイ(NED)システムで再構成されたAR仮想イメージを示す図である。
【0040】
図3において、イン-カップルされたHOEは、近眼ディスプレイ(NED)システムでイメージを入力して全反射(Total Internal Reflection、TIR)角度に偏向させる素子を示し、アウト-カップルされたHOEは、全反射で伝達されたイメージを目に入力させる素子を示す。
【0041】
図3を参照すると、イン-カップルされたHOEにおいては、例えば、Covestro社のフォトポリマー(Photopolymer)をホログラフィック物質(Holographic Material)として使用している。空気(Air)と、フォトポリマーと、導波管ガラス(Waveguide Glass)は、互いに異なる屈折率を有する。したがって、最終段の全反射(TIR)角度は、条件を満たすことができるしきい値(Critical Angle)以上の値でなければならない。スネルの法則方程式(Snell’s Law Equation)によって全反射(TIR)角度θ
inが90°になる点、すなわち、sinθ
in=1になる点がしきい値となる。このような入射角θ
inは、しきい値θ
cとなる。このとき、しきい値θ
cについてまとめると、sin
-1(n
2/n
1)となる。ここで、n
2は、導波管ガラスの屈折率であり、532nmの波長帯域では、1.520の屈折率を有する。また、n
1は、フォトポリマーの屈折率であり、532nm波長帯域では、1.505の屈折率を有する。したがって、しきい値θ
cは、41.13°となる。
【0042】
図3(a)に示すように、物体ビームは、フォトポリマーを通過した後に導波管ガラスに入射するため、フォトポリマーの屈折率も考慮すべきである。ここで、導波管ガラスの屈折率とフォトポリマーの屈折率との差は、約0.015であって、0.56°の偏差が発生する。したがって、本発明の実施形態においては、フォトポリマーの屈折率は、考慮されず、記録の便宜上、イン-カップルされたHOEのθ
inは、41.13°のしきい値θ
cよりも大きい45°を使用している。
【0043】
図3(b)に示すように、アウト-カップルされたHOEは、45°の角度で伝達(Relay)されたイメージを観察者の目に伝達する役割をするとともに、透明な凹面鏡として機能する。アウト-カップルされたHOEは、
図3(c)に示すように、マイクロディスプレイ(Micro Display)から出力されたリアルイメージ(Real Image)を拡大させるだけでなく、深さが深い(Deep Depth)位置から復元させる。このように、アウト-カップルされたHOEの焦点距離であるF
ohは、イメージのサイズおよび深さだけでなく、近眼ディスプレイ(NED)システムの画角(Field of View、FOV)を決定する重要な要素となる。しかし、没入感の高いスクリーンのために無限大のイメージのサイズを製作することができないため、実用的な側面を考慮した範囲内で最大限のスペックを生み出す分析が必要である。
【0044】
図4は、画角FOVの角度分布による再構成イメージのサイズと均一性を比較した図である。(a)は、画角(FOV)による再構成イメージの強さを比較した図であり、(b)は、28.09°画角(FOV)における角度分布を示す図であり、(c)は、41.11°画角(FOV)における角度分布を示す図であり、(d)は、53.13°画角(FOV)における角度分布を示す図である。
【0045】
図4(a)においては、所定の深さでアウト-カップルされたHOEの焦点距離F
ohによって再構成されたイメージのサイズと均一性を示している。画角(FOV)は、スクリーンのサイズを絞り(Aperture)として値を異ならせる。アウト-カップルされたHOEの焦点距離F
ohは、20mmを維持し、それぞれ立方20mm、15mm、10mmのスクリーンサイズを使用している。このスクリーンにフル(Fully)イメージを入力すると、それぞれ28.07°、41.11°、53.13°の画角(FOV)を得ることができる。
【0046】
各ホーゲル(Hogel)によって互いに異なる記録角度別回折効率を確認するために、従来のアナログ方式で製作されたホログラフィック光学素子(HOE)を近眼ディスプレイ(NED)システムに使用している。全有効面積を6つの領域に分割し、各領域で回折する復元ビーム(Reconstructed Beam)を測定して各ホーゲル別に回折効率を測定した。全反射(TIR)角度である45°角度でアウト-カップルされたHOEに入射する直線と各ホーゲルが焦点距離に集まる直線空間における角度をθrとすれば、下記の[式1]のように、各ホーゲル別回折効率が決定される。
【0047】
【0048】
ここで、nは、フォトポリマーの屈折率として、532nmの波長帯域では、1.505の屈折率を有する。Tは、フォトポリマーの厚さとして16μmを適用している。これらの条件は、アウト-カップルされたHOEとして使用されるフォトポリマーのデータシート(Datasheet)に基づいて適用された。
【0049】
図4(a)は、画角FOVによる各ホーゲルにおける復元ビームを示す。28.09°、41.11°、53.13°の画角(FOV)を有するHOEは、それぞれ10μW、17.5μW 、27.5μWの回折効率偏差を示している。
【0050】
図4(b)から
図4(d)は、再生イメージをグレースケール(Grayscale)に変換して強さを255レベルに正規化(Normalization)した値を示す。画角(FOV)が28.09°から53.13°になるほどイメージの偏差が大きくなることが確認できる。これは、イメージの左側部分と右側部分の再生偏差が画角(FOV)が大きくなるほど増加することを示す。
【0051】
したがって、本発明の実施形態に係るホログラム記録方法においては、画角(FOV)を大きくするために、各ホーゲル別回折効率偏差をホログラフィック記録媒体の記録面の中心部とその他の領域でホログラムイメージの角度による復元力を異ならせる。このとき、ホログラフィック記録媒体の中心部は、ホログラム再生時に参照ビームが平行に入射する領域をいう。例えば、ホログラフィック記録媒体の中心部からエッジ(Edge)に向かうにつれて明るさが増大するように物体ビームの強さを増大させるか、またはエッジから中心部に向かうにつれて明るさが減少するように物体ビームの強さを減少させる方式でホログラムを記録することによって、ホログラム再生時にホログラフィック記録媒体の全記録面で回折する量を均一にする。
【0052】
図5は、本発明の実施形態に係るホログラム記録装置を概略的に示す構成図である。
【0053】
図5を参照すると、本発明の実施形態に係るホログラム記録装置は、例えば、レーザ1、ビーム分離器2(Beam Splitter)、物体ビーム光学部3、参照ビーム光学部4、制御コンピュータ5、ホログラフィック記録媒体6、およびX-Yステージ7を含む。
【0054】
レーザ1は、光源(レーザビーム)を発生する装置であって、例えば、532nm波長域の光源を出力する。レーザ1から出力された光源は、ビーム分離器2を介して信号ビームである物体ビームと参照ビームに分けられる。物体ビームは、物体ビーム光学部3を介してホログラフィック記録媒体6に伝達され、参照ビームは、参照ビーム光学部4を介してホログラフィック記録媒体6に伝達される。
【0055】
物体ビーム光学部3は、空間フィルタ(Spatial Filter)31を含む。空間フィルタ31は、対物レンズ(Objective Lens)とピンホール(Pinhole)を介してビーム分離器2によって分離された物体ビームのノイズを除去する一方、物体ビームの光量を調整する。空間フィルタ31を通過した物体ビームは、凸レンズ(Convex Lens)と複数のミラー(Mirror)を介して空間光変調器(SLM)32にミラーリングされた後、集光レンズ33を介してホログラフィック記録媒体6に記録される。
【0056】
空間フィルタ31を通過した物体ビームは、平行ビーム(Colliminate Beam)に視準され、凸レンズ、複数のミラー、波長板(Wave Plate)および偏光ビームスプリッタ(Polarized Beam Splitter、PBS)34を介して空間光変調器(SLM)32に入射する。空間光変調器(SLM)32は、一例として4μmのピクセルサイズであり、4096×2160の解像度を有し、制御コンピュータ5から伝送されるCGH干渉パターンを用いて入射する物体ビームを変調して回折ビーム(Diffractive Beam)を生成する。このようにして生成された回折ビームは、偏光ビームスプリッタ(PBS)34によって集光レンズ33を介してホログラフィック記録媒体6に入射して記録される。
【0057】
集光レンズ33は、空間光変調器(SLM)32から入射する物体ビームを例えば、×0.06倍率に縮小(De-Magnified)し、ホログラフィック記録媒体6の第1位置座標であるh(x1,y1)に記録する。これにより、ホログラフィック媒体6の第1位置座標であるh(x1,y1)には、集光レンズ33を介して所定の割合で縮小変調された1つのCGHイメージが記録される。このとき、集光レンズ33としては、テレセントリックレンズ(Telecentric Lens)を使用し得、縮小される物体ビームの割合は、参照ビームのビーム幅(Beam Width)を考慮して決定する。このような記録方式を用いてホログラフィック記録媒体6にホーゲルを順次記録する。ホログラフィック媒体7をX-Yステージ7を使用して次の位置座標に移動した後、順次に最終位置座標h(xn,ym)(ここで、nとmは、自然数)まで順次記録する。
【0058】
参照ビーム光学部4は、
図5に示すように、複数のミラーと波長板を介して参照ビームを近眼ディスプレイ(NED)から全反射(TIR)角度と同一に45°の角度でホログラフィック媒体6に入射させる。
【0059】
一方、空間光変調器(SLM)32は、記録のためのソースイメージを表示し、このとき、ソースイメージは、例えば、縦横0.5μmのサイズを有し得る。空間光変調器(SLM)で表示されるソースイメージであるCGH干渉パターンは、レイリー-ゾンマーフェルト回折積分(Rayleigh-Sommerfeld Diffraction Integral、RSD)を使用して生成し得る。
【0060】
図6は、レイリー-ゾンマーフェルト回折積分(RSD)を使用して生成されたCGH干渉パターンを用いてホログラフィック記録媒体にホーゲル単位でそれぞれホログラムを記録する過程を示す図である。
【0061】
【0062】
前記ポイントソースについて補足説明すると、平行な光が凸レンズに入って一定の距離に焦点を形成させる役割を行うHOEにホログラムを記録する光学セットアップは、2つに分類される。第一に、所望の焦点を有するレンズを使用してホログラムを記録する方法があり、第二に、一点から始めて光が広がる光源(この光源は、レンズの焦点距離と同じ)を使用して左から右に光を進め、凸レンズを通過して平行に出る光を作る方式で記録する方法がある。これらの方法は、光が左から右に進むのか、または右から左に進むのかだけが異なり、全体的な形状は同じである。したがって、前記ポイントソースとは、凸レンズを製作するために一点から始めて光が広がる光源を意味する。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
続いて、前記式4を使用して製作されたCGH干渉パターンは、コンピュータ5のプロセッシングを通じて横にn個、縦にm個ずつ分割される(ここで、nとmは、自然数)。すなわち、ホーゲルの個数に対応してn×mに分割される。各ホーゲル単位に対応してn×mに分割されたそれぞれのCGH干渉パターン(各ホーゲル単位の干渉パターン)は、長方形の空間光変調器(SLM)32のパネル、例えば、8.34mmサイズのパネルに正方形のイメージのみ表示される。
【0071】
空間光変調器(SLM)32は、各ホーゲルに対応するそれぞれのCGH干渉パターンを用いて入射する物体ビームを変調して集光レンズ33に伝達し、このように伝達された各ホーゲル別物体ビームは、集光レンズ33で所定の倍率に縮小され、縮小されたホーゲルは、0.5mmのサイズを有する。このとき、空間光変調器(SLM)32は、各ホーゲル別にそれぞれのCGH干渉パターンを用いて物体ビームを変調するとき、制御コンピュータ5によって制御され、各ホーゲル別に物体ビームの強さ(輝度)を選択的に可変させて変調する。すなわち、空間光変調器(SLM)32における各ホーゲル別物体ビームの強さは、各ホーゲル別回折効率偏差に対応してホログラム再生時のホログラフィック記録媒体の全記録面で回折効率の偏差が均一になるように可変される。
【0072】
一方、イン-カップルされたHOEの場合、平面波に入射して45°の角度でチルティング(Tilting)のみ行えばよいため、別途のCGH干渉パターンの生成過程が不要で、8.34mmの正方形ホワイトバックグラウンドイメージ(White Background Image)のみ使用して表示する。
【0073】
CGH干渉パターンを横にn個、縦にm個ずつ分割する理由について説明すると、ホログラム印刷システムにおいては、焦点距離に光が集まる凸レンズを製作しなければならない。ここで、ホログラフィック記録媒体の各分割されたホーゲルは、光を一方向に集める役割をするように記録し、最終的には、記録条件(印刷は、参照ビームを平面波で水平に入る光を使用する)で光を入力すると、凸レンズのように光が集まるHOEになる。そして、ホログラムを印刷技術で記録するためには、ホログラムを記録するとき、ホーゲルをx軸方向とy軸方向に分けて記録し、各ホーゲルの1つのサイズに合わせて整列して1つの大きなホログラムを作らなければならない。このためのCGH干渉パターンの生成方法は、各ホーゲルを1つずつ製作するのではなく、最終的に作るホログラムに対するCGH干渉パターンを一枚大きく製作した後に、ホーゲル単位で小さく切る作業を行う。例えば、全体のパズルを大きく一枚で描いた後に小さく切るような方式である。これをホログラムのサイズに合わせて分けると、n×m個のホーゲル(パズル片)が出てくる。
【0074】
図7は、本発明の実施形態に係るホログラム記録方法の作用効果を示す図であって、(a)は、回折効率偏差(復元)の補償なしに印刷した後に参照ビームを照射した結果を示す図であり、(b)は、各ホーゲルを記録するとき、(a)のような回折効率の偏差を考慮して、異なる光量を使用してホログラムを記録した結果を示す図である。
【0075】
図7(a)に示すように、復元補償なしに印刷した後に参照ビームを照射した結果、画角FOVが最も狭い28.07°より53.15°で中心領域とエッジ領域の偏差が激しく発生したことが確認できる。中心部を中心として最終エッジの端部での偏差を見ると、画角(FOV)の28.07°、41.11°、53.13°の順で平均的にそれぞれ52.70%、81.67%、92.34%の効率が減少したことが確認できる。
図7(b)に示すように、各ホーゲルを記録するとき、前記のような回折効率の偏差を考慮して異なる光量を使用して記録する場合には、全体的に、
図7(a)とは異なり、
図7(b)では、均一な結果が見られる。
【0076】
図7のように、復元補償なしに印刷した後に参照ビームを照射した結果、FOVが最も狭い28.07°より53.15°で中心領域とエッジ領域との間に偏差が激しく発生する。すなわち、画角FOVが大きくなるほど、中心領域とエッジ領域における偏差が激しく発生する。これは、ホログラム記録時のホログラフィック記録媒体に入射する物体ビームが互いに異なる角度で入射することにより、互いに異なる記録角度で記録されるためである。このように互いに異なる角度で記録されたホログラム(ホーゲル)は、再生時に互いに異なる記録角度によって互いに異なる回折効率を誘発する。例えば、中央領域は、エッジ領域に比べて相対的に明るい。これは、ホログラフィック光学素子ベースの近眼ディスプレイ(NED)の再生不均衡を誘発する。
【0077】
回折効率の偏差を補償するためのホーゲル別回折効率の偏差補償は、空間光変調器(SLM)32で変調され、ホログラフィック記録媒体6に記録される光パワー、すなわち、物体ビームの強さ(明るさ)を可変することによって具現できる。
図5に示すように、制御コンピュータ5は、予め分析されたホーゲル別回折効率の偏差に対応するようにホーゲル別にそれぞれ物体ビームの強さを計算し、これに対応する制御信号を空間光変調器(SLM)32に出力する。空間光変調器(SLM)32は、制御コンピュータ5から入力される制御信号、すなわち、光パワー信号に応じてCGH干渉パターンを用いて物体ビームを変調するとき、物体ビームの強さを可変する。
【0078】
本発明の実施形態に係るホログラム記録方法においては、各ホーゲル別回折効率の偏差に対応して各ホーゲル別にホログラフィック記録媒体6に記録される物体ビームの強さを可変する。
図2のような理由により、ホログラフィック記録媒体6の中央領域とエッジ領域における記録角度の差が大きい。これにより、ホログラフィック記録媒体6における回折効率の偏差は、中央領域とエッジ領域で大きく発生する。したがって、中央領域での明るさが減少するように、中央領域に記録される物体ビームの強さを減少させるか、またはホログラフィック記録媒体6のエッジ領域の明るさが増加するように、エッジ領域に記録される物体ビームの強さを増加させることができる。もちろん、物体ビームの強さの可変は、各ホーゲル別に行われ得る。
【0079】
図8は、本発明の一実施形態に係るホログラム記録方法を使用した結果としてホログラムが記録されたホログラフィック記録媒体を用いてイメージを再生した結果を示す図である。(a)は、画角(FOV)28.01°および10mm
2サイズのアウト-カップルされたHOEで再構成されたイメージ、(b)は、画角(FOV)41.11°および15mm
2サイズのアウト-カップルされたHOEで再構成されたイメージ、(c)は、画角(FOV)53.13°および20mm
2サイズのアウト-カップルされたHOEで再構成されたイメージをそれぞれ示す。
【0080】
図8を参照すると、互いに異なる画角(FOV)を有するアウト-カップルされたHOEを製作するために10mm
2、15mm
2、20mm
2のHOEスクリーンサイズを有し、53.30mm、36.23mm、21.65mmのフロート(Floating)されたAR復元イメージ(AR Reconstruction Image)を表示している。HOEは、20mmの焦点距離を有するように計算されたCGH干渉パターンを使用しており、3Dオブジェクトである点とホログラム平面から離れた距離に調整が可能である。それぞれのFOVは、スクリーンのサイズに調整し、イメージは、それぞれのスクリーンの横幅いっぱいになるように表示している。
【0081】
前述のように、本発明の好ましい実施形態は、特定の用語を使用して説明および示されているが、これらの用語は、本発明を明確に説明するためのものにすぎない。そして、本発明の実施形態および記述された用語は、次の特許請求の範囲の技術的思想および範囲から逸脱することなく様々な変更および変化が加えられることは自明である。このように変更された実施形態は、本発明の思想および範囲から個別に理解されるべきではなく、本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0082】
1:レーザ
2:ビーム分離器
3:物体ビーム光学部
4:参照ビーム光学部
5:制御コンピュータ
6:ホログラフィック記録媒体
7:X-Yステージ
31:空間フィルタ
32:空間光変調器(SLM)
33:集光レンズ