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特許7547628低コスト高性能Q500橋梁用鋼板および生産方法
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  • 特許-低コスト高性能Q500橋梁用鋼板および生産方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】低コスト高性能Q500橋梁用鋼板および生産方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20240902BHJP
   C22C 38/58 20060101ALI20240902BHJP
   C21D 8/02 20060101ALN20240902BHJP
【FI】
C22C38/00 301B
C22C38/58
C21D8/02 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023519219
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 CN2020126498
(87)【国際公開番号】W WO2022067961
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】202011046299.6
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519226115
【氏名又は名称】南京鋼鉄股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】黄 一新
(72)【発明者】
【氏名】▲ジャイ▼ 冬雨
(72)【発明者】
【氏名】洪 君
(72)【発明者】
【氏名】丁 叶
(72)【発明者】
【氏名】李 翔
(72)【発明者】
【氏名】高 燕
(72)【発明者】
【氏名】張 媛▲イー▼
【審査官】鈴木 毅
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/082361(WO,A1)
【文献】特開2009-024228(JP,A)
【文献】国際公開第2020/153085(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第1962917(CN,A)
【文献】米国特許第06315946(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第105063509(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00 - 38/60
C21D 8/00 - 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学成分および質量%は以下のとおりであり:C≦0.035%、Si:0.31%~0.40%、Mn:1.71%~1.80%、P≦0.015%、S≦0.0030%、Nb:0.030%~0.050%、V:0.020%~0.050%、Ti:0.010%~0.018%、Cr:0.70%~0.80%、Ni:0.10%~0.20%、残留Mo≦0.05%、Cu:0.10%~0.20%、B≦0.0005%、N≦0.0005%、Al:0.020%~0.050%、残りはFeと不純物である、
ことを特徴とする低コスト高性能Q500橋梁用鋼
【請求項2】
化学成分および質量%は以下のとおりであり:C≦0.030%、Si:0.31%~0.38%、Mn:1.71%~1.77%、P≦0.013%、S≦0.0020%、Nb:0.030%~0.040%、V:0.020%~0.030%、Ti:0.010%~0.016%、Cr:0.70%~0.75%、Ni:0.10%~0.15%、残留Mo≦0.05%、Cu:0.10%~0.15%、B≦0.0005%、N≦0.0005%、Al:0.020%~0.050%、残りはFeと不純物である、
ことを特徴とする請求項1に記載の低コスト高性能Q500橋梁用鋼
【請求項3】
化学成分および質量%は以下のとおりであり:C≦0.025%、Si:0.33%~0.40%、Mn:1.73%~1.80%、P≦0.012%、S≦0.0020%、Nb:0.040%~0.050%、V:0.030%~0.040%、Ti:0.012%~0.018%、Cr:0.75%~0.80%、Ni:0.15%~0.20%、残留Mo≦0.05%、Cu:0.15%~0.20%、B≦0.0005%、N≦0.0005%、Al:0.020%~0.050%、残りはFeと不純物である、
ことを特徴とする請求項1に記載の低コスト高性能Q500橋梁用鋼
【請求項4】
化学成分および質量%は以下のとおりであり:C≦0.035%、Si:0.31%~0.40%、Mn:1.71%~1.80%、P≦0.015%、S≦0.0030%、Nb:0.035%~0.045%、V:0.040%~0.050%、Ti:0.010%~0.018%、Cr:0.73%~0.78%、Ni:0.13%~0.18%、残留Mo≦0.05%、Cu:0.13%~0.18%、B≦0.0005%、N≦0.0005%、Al:0.020%~0.050%、残りはFeと不純物である、
ことを特徴とする請求項1に記載の低コスト高性能Q500橋梁用鋼
【請求項5】
鋼板厚さは10~60mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の低コスト高性能Q500橋梁用鋼
【請求項6】
鋼板微細組織はポリコンフェライトおよび20%~30%のベイナイトを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の低コスト高性能Q500橋梁用鋼
【請求項7】
焼戻し処理をしない、請求項1~6のいずれか1項の低コスト高性能Q500橋梁用鋼板の生産方法であって
S1、溶解鉄の前処理を行い、転炉での溶解鉄硫黄含有量S<0.010%とするステップと、
S2、前処理後の溶解鉄のスラグを完全に除去した後転炉に入れ、トップボトムブロー方法で製錬するステップと、
S3、鋼湯出した後RHに送り真空脱炭素、脱気・不純物除去を行い、真空時間20~30minとするステップと、
S4、真空処理後の鋼湯をLFに送り精錬処理および脱酸素合金化操作を行い、合金化終了後カルシウム処理を行って鋼湯を浄化し、静的攪拌により鋼湯清浄度を向上させるステップと、
S5、精錬後の鋼湯を連続鋳造機に送り鋳造を行い、電磁攪拌と動的軽押圧技術を用い、引張速度0.6~1.3m/minとするステップと、
S6、表面検査に合格した鋳造ブランクを加熱炉に送って加熱し、加熱温度1120~1140℃とするステップと、
S7、TMCP圧延プロセスを用いて圧延し、粗圧延初期圧延温度1000~1100℃とし、二次圧延温度を820~990℃に制御し、最終圧延温度を820±20℃とし、超高速冷却を採用して580~690℃まで冷却するステップと、
S8、圧延後の鋼板を緩冷ピットに送って24時間緩冷するステップと、
S9、炉内冷却後の鋼板に対して冷間矯正を行い、鋼板不平坦度を制御し、切断、標識、表面検査、探傷後入庫するステップと、を含む、
ことを特徴とする低コスト高性能Q500橋梁用鋼の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄鋼生産の技術分野に関し、特に低コスト高性能Q500橋梁用鋼および生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能橋梁用鋼板Q500は、道路橋、鉄道橋、道路鉄道両用橋に幅広く使用されており、2010年以降、中国が交通建設を大いに発展させ、橋梁用鋼が増加している背景の下で、大スパンのQ500級橋梁用鋼は主に採用している焼ならし鋼板は、焼ならし熱処理プロセス製錬工程のコストが200元以上であり、輸送コストも含まれておらず、鋼板の焼ならし後性能が不安定となり、溶接継手の衝撃仕事が低く、層状などの現象、または融け込み角溶接層状引裂などの品質問題がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は、低コスト高性能Q500橋梁用鋼を提供し、その化学成分および質量%は以下のとおりであり:C≦0.035%、Si:0.31%~0.40%、Mn:1.71%~1.80%、P≦0.015%、S≦0.0030%、Nb:0.030%~0.050%、V:0.020%~0.050%、Ti:0.010%~0.018%、Cr:0.70%~0.80%、Ni:0.10%~0.20%、残留Mo≦0.05%、Cu:0.10%~0.20%、B≦0.0005%、N≦0.0005%、Al:0.020%~0.050%、残りはFeと不純物である。
【0004】
技術的効果:本発明は、国家橋梁構造鋼GB/T 714標準を深く研究した後、独特な低炭素マイクロニオブチタン合金化橋梁成分設計を通じて、フェライトのより多くの組織構造を得て、製品軟向組織の形成を促進し、二次圧延および最終圧延温度を効果的に高め、組織の結晶粒度を適切に見直し、水冷の条件を通じて、炭化物およびクロム元素の組織転換を促進し、降伏強度を下げる同時に製品の引張強度を高め、製品の降伏比を効果的に低下させる。
【0005】
本発明のさらなる限定された技術的解決策は以下のとおりであり:
前記の低コスト高性能Q500橋梁用鋼は、その化学成分および質量%は以下のとおりであり:C≦0.030%、Si:0.31%~0.38%、Mn:1.71%~1.77%、P≦0.013%、S≦0.0020%、Nb:0.030%~0.040%、V:0.020%~0.030%、Ti:0.010%~0.016%、Cr:0.70%~0.75%、Ni:0.10%~0.15%、残留Mo≦0.05%、Cu:0.10%~0.15%、B≦0.0005%、N≦0.0005%、Al:0.020%~0.050%、残りはFeと不純物である。
【0006】
前記の低コスト高性能Q500橋梁用鋼は、その化学成分および質量%は以下のとおりであり:C≦0.025%、Si:0.33%~0.40%、Mn:1.73%~1.80%、P≦0.012%、S≦0.0020%、Nb:0.040%~0.050%、V:0.030%~0.040%、Ti:0.012%~0.018%、Cr:0.75%~0.80%、Ni:0.15%~0.20%、残留Mo≦0.05%、Cu:0.15%~0.20%、B≦0.0005%、N≦0.0005%、Al:0.020%~0.050%、残りはFeと不純物である。
【0007】
前記の低コスト高性能Q500橋梁用鋼は、その化学成分および質量%は以下のとおりであり:C≦0.035%、Si:0.31%~0.40%、Mn:1.71%~1.80%、P≦0.015%、S≦0.0030%、Nb:0.035%~0.045%、V:0.040%~0.050%、Ti:0.010%~0.018%、Cr:0.73%~0.78%、Ni:0.13%~0.18%、残留Mo≦0.05%、Cu:0.13%~0.18%、B≦0.0005%、N≦0.0005%、Al:0.020%~0.050%、残りはFeと不純物である。
【0008】
前記の低コスト高性能Q500橋梁用鋼は、鋼板厚さは10~60mmである。
【0009】
前記の低コスト高性能Q500橋梁用鋼は、鋼板微細組織はポリコンフェライトおよび20%~30%のベイナイトを含む。
【0010】
本発明の別の目的は、低コスト高性能Q500橋梁用鋼の生産方法を提供することであり、焼戻し処理を必要とせず、
S1、KR法を用いて鉄水前処理を行い、転炉鉄水のS<0.010%とするステップと、
S2、前処理後の鉄水のスラグを完全に除去した後転炉に入れ、トップボトムブロー方法で製錬するステップと、
S3、鋼湯出した後RHに送り真空脱炭素、脱気・不純物除去を行い、真空時間20~30minとするステップと、
S4、真空処理後の鋼湯をLFに送り精錬処理および脱酸素合金化操作を行い,合金化終了後カルシウム処理を行って鋼湯を浄化し、静的攪拌により鋼湯清浄度を向上させるステップと、
S5、精錬後の鋼湯を連続鋳造機に送り鋳造を行い、電磁攪拌と動的軽押圧技術を用い、引張速度0.6~1.3m/minとするステップと、
S6、表面検査に合格した鋳造ブランクを加熱炉に送って加熱し、加熱温度1120~1140℃とするステップと、
S7、TMCP圧延プロセスを用いて圧延し、粗圧延初期圧延温度1000~1100℃とし、二次圧延温度を820~990℃に制御し、最終圧延温度を820±20℃とし、超高速冷却を採用して580~690℃まで冷却するステップと、
S8、圧延後の鋼板を緩冷ピットに送って24時間緩冷するステップと、
S9、炉内冷却後の鋼板に対して冷間矯正を行い、鋼板不平坦度を制御し、切断、標識、表面検査、探傷後入庫するステップと、を含む。
【0011】
本発明の有益効果は以下のとおりであり:
(1)本発明は、中国国家標準GB/T 714構造用橋梁用鋼に基づいて、低炭素マイクロニオブチタン合金化を用いて製品柔軟性を高め、高マンガン元素を用いて製品の引張強度を高め、製品の良好な降伏比を保証し、Cu元素を用いて製品の溶接性能を高め、Ni元素を用いて高等級製品の衝撃性能を高め、成分設計を基礎として、従来のTMCP+焼戻しプロセスの代わりにTMCP圧延技術を用い、製品の製造コストを効果的に下げ、企業競争力を大幅に高める。
(2)本発明が採用した低温オーステライト化技術は、元のオーステライト結晶粒度を下げ、製品の低温衝撃靭性の安定を保証する。
(3)本発明は、二次圧延温度および最終圧延温度を制御し、水冷プロセスと相まって、製品の降伏強度を効果的に低下させて引張強度の安定および製品降伏比の安定を保証する。
(4)本発明は、冷却制御プロセスを制御することにより組織結晶粒度を効果的に細分化し、二次圧延温度、入水温度を制御して組織転換を保証し、ポリコンフェライト、20~30%のベイナイトを補助組織タイプとし、鋼板の炉内冷却および冷間矯正プロセスを通じて、鋼板内部応力を効果的に除去し、製品の二次加工性能の安定性を高める。
(5)本発明は、成分およびプロセス設計により、製造コストを効果的に下げ、コストは原始鋼の製造コストより300~500元/トンに下げ、市場競争力を効果的に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1で得られた鋼板の金相顕微鏡下での典型的な組織形態図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施例は低コスト高性能Q500橋梁用鋼を提供し、その化学成分および質量%は表1に示される。
【0014】
【表1】
【0015】
実施例1
鋼板厚さは20mmであり、生産方法は焼戻し処理を必要とせず、
S1、KR法を用いて鉄水前処理を行い、転炉鉄水のS<0.010%とするステップと、
S2、前処理後の鉄水のスラグを完全に除去した後転炉に入れ、トップボトムブロー方法で製錬するステップと、
S3、鋼湯出した後RHに送り真空脱炭素、脱気・不純物除去を行い、真空時間22minとするステップと、
S4、真空処理後の鋼湯をLFに送り精錬処理および脱酸素合金化操作を行い,合金化終了後カルシウム処理を行って鋼湯を浄化し、静的攪拌により鋼湯清浄度を向上させるステップと、
S5、精錬後の鋼湯を連続鋳造機に送り鋳造を行い、電磁攪拌と動的軽押圧技術を用い、引張速度1.1m/minとするステップと、
S6、表面検査に合格した鋳造ブランクを加熱炉に送って加熱し、加熱温度1126℃とするステップと、
S7、TMCP圧延プロセスを用いて圧延し、粗圧延初期圧延温度1098℃とし、二次圧延温度を960℃に制御し、最終圧延温度を838℃とし、超高速冷却を採用して680℃まで冷却するステップと、
S8、圧延後の鋼板を緩冷ピットに送って24時間緩冷し、炉内冷却により鋼板内の有害ガスを効果的に除去し、鋼板内部応力を低下させ、鋼板の二次加工性能を高めるステップと、
S9、炉内冷却後の鋼板に対して冷間矯正を行い、鋼板不平坦度を制御し、切断、標識、表面検査、探傷後入庫するステップと、を含む。
【0016】
実施例2
鋼板厚さは33mmであり、生産方法は焼戻し処理を必要とせず、
S1、KR法を用いて鉄水前処理を行い、転炉鉄水のS<0.010%とするステップと、
S2、前処理後の鉄水のスラグを完全に除去した後転炉に入れ、トップボトムブロー方法で製錬するステップと、
S3、鋼湯出した後RHに送り真空脱炭素、脱気・不純物除去を行い、真空時間26minとするステップと、
S4、真空処理後の鋼湯をLFに送り精錬処理および脱酸素合金化操作を行い,合金化終了後カルシウム処理を行って鋼湯を浄化し、静的攪拌により鋼湯清浄度を向上させるステップと、
S5、精錬後の鋼湯を連続鋳造機に送り鋳造を行い、電磁攪拌と動的軽押圧技術を用い、引張速度0.9m/minとするステップと、
S6、表面検査に合格した鋳造ブランクを加熱炉に送って加熱し、加熱温度1133℃とするステップと、
S7、TMCP圧延プロセスを用いて圧延し、粗圧延初期圧延温度1055℃とし、二次圧延温度を855℃に制御し、最終圧延温度を820℃とし、超高速冷却を採用して630℃まで冷却するステップと、
S8、圧延後の鋼板を緩冷ピットに送って24時間緩冷し、炉内冷却により鋼板内の有害ガスを効果的に除去し、鋼板内部応力を低下させ、鋼板の二次加工性能を高めるステップと、
S9、炉内冷却後の鋼板に対して冷間矯正を行い、鋼板不平坦度を制御し、切断、標識、表面検査、探傷後入庫するステップと、を含む。
【0017】
実施例3
鋼板厚さは50mmであり、生産方法は焼戻し処理を必要とせず、
S1、KR法を用いて鉄水前処理を行い、転炉鉄水のS<0.010%とするステップと、
S2、前処理後の鉄水のスラグを完全に除去した後転炉に入れ、トップボトムブロー方法で製錬するステップと、
S3、鋼湯出した後RHに送り真空脱炭素、脱気・不純物除去を行い、真空時間28minとするステップと、
S4、真空処理後の鋼湯をLFに送り精錬処理および脱酸素合金化操作を行い,合金化終了後カルシウム処理を行って鋼湯を浄化し、静的攪拌により鋼湯清浄度を向上させるステップと、
S5、精錬後の鋼湯を連続鋳造機に送り鋳造を行い、電磁攪拌と動的軽押圧技術を用い、引張速度0.7m/minとするステップと、
S6、表面検査に合格した鋳造ブランクを加熱炉に送って加熱し、加熱温度1139℃とするステップと、
S7、TMCP圧延プロセスを用いて圧延し、粗圧延初期圧延温度1020℃とし、二次圧延温度を828℃に制御し、最終圧延温度を819℃とし、超高速冷却を採用して596℃まで冷却するステップと、
S8、圧延後の鋼板を緩冷ピットに送って24時間緩冷し、炉内冷却により鋼板内の有害ガスを効果的に除去し、鋼板内部応力を低下させ、鋼板の二次加工性能を高めるステップと、
S9、炉内冷却後の鋼板に対して冷間矯正を行い、鋼板不平坦度を制御し、切断、標識、表面検査、探傷後入庫するステップと、を含む。
【0018】
各実施例の機械的性能は表2に示される。
【0019】
【表2】
【0020】
図1から分かるように、鋼板組織は主に塊状フェライトであり、少量のベイナイトを含み、組織が均一で微細で緻密であり、製品の高強度、低降伏比、高靭性、溶接容易性、疲労抵抗などの性能に有利である。
【0021】
以上、本発明はTMCP圧延技術を採用し、短プロセス、低コストの製造方法を応用して、鋼板の内部応力を効果的に除去する。橋梁工場の溶接容易性、高靭性、安定した品質の高性能橋梁用鋼板の要件を満たす。コストを最適化することにより、製品の製造コストを効果的に下げ、企業の競争力を高め、企業の製造経済性を向上させることができる。
【0022】
上記の実施例に加えて、本発明は他の実施形態を有し得る。等価置換または等価変更によって形成される技術的解決策は、すべて本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【0023】
(付記)
(付記1)
化学成分および質量%は以下のとおりであり:C≦0.035%、Si:0.31%~0.40%、Mn:1.71%~1.80%、P≦0.015%、S≦0.0030%、Nb:0.030%~0.050%、V:0.020%~0.050%、Ti:0.010%~0.018%、Cr:0.70%~0.80%、Ni:0.10%~0.20%、残留Mo≦0.05%、Cu:0.10%~0.20%、B≦0.0005%、N≦0.0005%、Al:0.020%~0.050%、残りはFeと不純物である、
ことを特徴とする低コスト高性能Q500橋梁用鋼。
【0024】
(付記2)
化学成分および質量%は以下のとおりであり:C≦0.030%、Si:0.31%~0.38%、Mn:1.71%~1.77%、P≦0.013%、S≦0.0020%、Nb:0.030%~0.040%、V:0.020%~0.030%、Ti:0.010%~0.016%、Cr:0.70%~0.75%、Ni:0.10%~0.15%、残留Mo≦0.05%、Cu:0.10%~0.15%、B≦0.0005%、N≦0.0005%、Al:0.020%~0.050%、残りはFeと不純物である、
ことを特徴とする付記1に記載の低コスト高性能Q500橋梁用鋼。
【0025】
(付記3)
化学成分および質量%は以下のとおりであり:C≦0.025%、Si:0.33%~0.40%、Mn:1.73%~1.80%、P≦0.012%、S≦0.0020%、Nb:0.040%~0.050%、V:0.030%~0.040%、Ti:0.012%~0.018%、Cr:0.75%~0.80%、Ni:0.15%~0.20%、残留Mo≦0.05%、Cu:0.15%~0.20%、B≦0.0005%、N≦0.0005%、Al:0.020%~0.050%、残りはFeと不純物である、
ことを特徴とする付記1に記載の低コスト高性能Q500橋梁用鋼。
【0026】
(付記4)
化学成分および質量%は以下のとおりであり:C≦0.035%、Si:0.31%~0.40%、Mn:1.71%~1.80%、P≦0.015%、S≦0.0030%、Nb:0.035%~0.045%、V:0.040%~0.050%、Ti:0.010%~0.018%、Cr:0.73%~0.78%、Ni:0.13%~0.18%、残留Mo≦0.05%、Cu:0.13%~0.18%、B≦0.0005%、N≦0.0005%、Al:0.020%~0.050%、残りはFeと不純物である、
ことを特徴とする付記1に記載の低コスト高性能Q500橋梁用鋼。
【0027】
(付記5)
鋼板厚さは10~60mmである、
ことを特徴とする付記1に記載の低コスト高性能Q500橋梁用鋼。
【0028】
(付記6)
鋼板微細組織はポリコンフェライトおよび20%~30%のベイナイトを含む、
ことを特徴とする付記1に記載の低コスト高性能Q500橋梁用鋼。
【0029】
(付記7)
付記1~6のいずれか1つの橋梁用鋼に応用され、焼戻し処理を必要とせず、
S1、KR法を用いて鉄水前処理を行い、転炉鉄水のS<0.010%とするステップと、
S2、前処理後の鉄水のスラグを完全に除去した後転炉に入れ、トップボトムブロー方法で製錬するステップと、
S3、鋼湯出した後RHに送り真空脱炭素、脱気・不純物除去を行い、真空時間20~30minとするステップと、
S4、真空処理後の鋼湯をLFに送り精錬処理および脱酸素合金化操作を行い、合金化終了後カルシウム処理を行って鋼湯を浄化し、静的攪拌により鋼湯清浄度を向上させるステップと、
S5、精錬後の鋼湯を連続鋳造機に送り鋳造を行い、電磁攪拌と動的軽押圧技術を用い、引張速度0.6~1.3m/minとするステップと、
S6、表面検査に合格した鋳造ブランクを加熱炉に送って加熱し、加熱温度1120~1140℃とするステップと、
S7、TMCP圧延プロセスを用いて圧延し、粗圧延初期圧延温度1000~1100℃とし、二次圧延温度を820~990℃に制御し、最終圧延温度を820±20℃とし、超高速冷却を採用して580~690℃まで冷却するステップと、
S8、圧延後の鋼板を緩冷ピットに送って24時間緩冷するステップと、
S9、炉内冷却後の鋼板に対して冷間矯正を行い、鋼板不平坦度を制御し、切断、標識、表面検査、探傷後入庫するステップと、を含む、
ことを特徴とする低コスト高性能Q500橋梁用鋼の生産方法。
図1