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特許7547641歯列矯正システムおよびその設計方法、製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】歯列矯正システムおよびその設計方法、製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 7/08 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
A61C7/08
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023540654
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 CN2021118853
(87)【国際公開番号】W WO2022142487
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】202023325100.1
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011638977.8
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521416797
【氏名又は名称】正雅歯科科技(上海)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】王星星
(72)【発明者】
【氏名】呉剛
(72)【発明者】
【氏名】姚峻峰
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0155275(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105266905(CN,A)
【文献】特表2010-527692(JP,A)
【文献】特表2005-527293(JP,A)
【文献】特表2005-527320(JP,A)
【文献】中国実用新案第211094852(CN,U)
【文献】中国実用新案第210931951(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0311645(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0085548(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 1/00-19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矯正計画によって、歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整するとともに、歯が自然に萌出することを許容する複数のシェル状歯列矯正器を備え、
ここで、前記シェル状歯列矯正器は矯正器本体を備え、前記矯正器本体は上顎の複数本の歯または下顎の複数本の歯を収容するための幾何学的構造を備え、前記矯正器本体には、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯を収容する少なくとも1つの萌出部がさらに設けられており、矯正計画の進行に伴い、各前記シェル状歯列矯正器における萌出部がいずれも固定的な柱状体構造を備え、且つ、前記萌出部の内表面と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない歯の外表面とがいずれも隙間を置いて設けられ、前記予め設定された萌出パラメータが1本または複数本の未成長歯または未完全成長歯が完全に萌出した後のパラメータを含む、
ことを特徴とする歯列矯正システム。
【請求項2】
前記予め設定された萌出パラメータは、前記1本または複数本の未成長歯または未完全成長歯が完全に萌出した後の寸法、位置、形状及び向きを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正システム。
【請求項3】
前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の寸法、位置、形状と向きに基づいて設定される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の歯列矯正システム。
【請求項4】
前記柱状構造の寸法として、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の寸法の1.02~1.05倍であり、前記柱状構造の向きとして、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の長軸方向に対して0~5°の角度を成しており、前記柱状構造の位置として、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の位置の空間三次元座標系における各頂点座標値とのオフセット量が0~1mmであり、前記柱状構造の形状として、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の形状の空間三次元座標系における各頂点座標値からのオフセット量が0~1mmである、
ことを特徴とする請求項3に記載の歯列矯正システム。
【請求項5】
前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が対応する寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される、
ことを特徴とする請求項3に記載の歯列矯正システム。
【請求項6】
前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、同時に、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の近心方向隣接歯の第1予定パラメータと、遠心方向隣接歯の第2予定パラメータとに基づいて設定される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の歯列矯正システム。
【請求項7】
前記第1予定パラメータは、前記近心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法及び歯の長軸方向高さの最大寸法を含み、前記第2予定パラメータは、前記遠心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法及び歯の長軸方向高さの最大寸法を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の歯列矯正システム。
【請求項8】
前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、唇/頬側面と、舌側面と、咬合面と、を含み、前記唇/頬側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の唇/頬側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記舌側面が平面またはその前記近遠心方向隣接歯の舌側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記咬合面が平面またはその前記近遠心方向隣接歯の咬合面と滑らかに遷移する曲面である、
ことを特徴とする請求項7に記載の歯列矯正システム。
【請求項9】
前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯に対応する寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される、
ことを特徴とする請求項6に記載の歯列矯正システム。
【請求項10】
前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の遠心方向隣接歯と近心方向隣接歯の第3予定パラメータに基づいて設定される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の歯列矯正システム。
【請求項11】
第3予定パラメータは、前記遠心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法及び前記近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の歯列矯正システム。
【請求項12】
前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、唇/頬側面と、舌側面と、咬合面と、を含み、前記唇/頬側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の唇/頬側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記舌側面が平面またはその前記近遠心方向隣接歯の舌側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記咬合面が平面またはその前記近遠心方向隣接歯の咬合面と滑らかに遷移する曲面である、
ことを特徴とする請求項10に記載の歯列矯正システム。
【請求項13】
前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯に対応する寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される、
ことを特徴とする請求項10に記載の歯列矯正システム。
【請求項14】
前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、円柱状構造、楕円柱状構造または側稜数が4本以上の多角柱状構造である、
ことを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正システム。
【請求項15】
前記シェル状歯列矯正器における萌出部以外の幾何学的構造は、未萌出歯以外の歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正システム。
【請求項16】
デジタル化歯顎モデルの取得であって、デジタル化歯顎モデルを取得し、前記デジタル化歯顎モデルはデジタル化歯モデルと、デジタル化歯茎モデルと、を含むステップS1と、
デジタル化歯顎モデルの分割と識別であって、前記デジタル化歯顎モデルを独立したデジタル化歯茎モデルと単一デジタル化歯冠モデルに分割し、未萌出歯または未完全萌出歯を示すデータを識別かつマーキングするステップS2と、
矯正計画の仮想設計であって、前記単一デジタル化歯冠モデルを仮想設計し、前記単一デジタル化歯冠モデルを初期位置から目標矯正位置に徐々に変化させ、一連の中間デジタル化歯顎モデルを取得するステップS3と、
歯列矯正システムの設計であって、
矯正計画によって、歯を初期位置から前記目標矯正位置に徐々に調整すると同時に、歯の萌出を行うことができる複数のシェル状歯列矯正器を設計し、前記複数のシェル状歯列矯正器はそれぞれ前記一連の中間デジタル化歯顎モデルに対応しており、前記シェル状歯列矯正器は、矯正器本体を含み、前記矯正器本体は、上顎の複数本の歯または下顎の複数本の歯を収容するための幾何学的構造を備え、前記矯正器本体に、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯を収容する少なくとも1つの萌出部がさらに設けられており、
矯正計画の進行に伴い、各前記シェル状歯列矯正器における萌出部は、いずれも固定的な柱状体構造を備え、且つ前記萌出部の内表面と予め設定された萌出パラメータに成長していない歯の外表面とはいずれも隙間を置いて設けられており、前記予め設定された萌出パラメータは、1本または複数本の未成長歯または未完全成長歯が完全に萌出した後のパラメータを含むように設定されているステップS4と、を含む、
ことを特徴とする歯列矯正システムの設計方法。
【請求項17】
前記シェル状歯列矯正器における萌出部以外の幾何学的構造は、未萌出歯以外の歯を初期位置から前記目標矯正位置に徐々に調整するように設計されている、
ことを特徴とする請求項16に記載の歯列矯正システムの設計方法。
【請求項18】
請求項16または17に記載の設計方法で取得された歯列矯正システムにおけるシェル状歯列矯正器を、熱プレスフィルム成形または積層造形工程で作製し、一連の前記シェル状歯列矯正器を取得する、
ことを特徴とする歯列矯正システムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は2020年12月31日に提出された中国特許出願202011638977.8と202023325100.1の優先権の利益を享受することを要求し、その開示全体は援用により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
(発明の分野)
本願は医療機器分野に属し、具体的に透明歯列矯正分野に関し、さらに具体的には、青少年の乳歯の生え変わり時期の歯列矯正に適用される矯正システムおよびその設計方法、製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
透明矯正器はその美観、快適な装着、優れた矯正効果によって、多くの消費者に受け入れられている。この中で、青少年は一部の特殊な症例であり、その一定段階に乳歯が抜け、永久歯が萌出する段階があり、成人の永久歯矯正と異なっている。透明矯正器を利用して矯正する過程において、その口内の実際のモデルと同じ構造で歯列矯正を行う場合、対応する歯の萌出していない透明矯正器における部分が透明矯正器に覆われ、歯の萌出に伴い、透明矯正器に対応する箇所が隣接する歯茎を覆い、萌出歯には十分な萌出スペースがないため、歯の正常な萌出に影響を及ぼしたり、歯が萌出した後、透明歯列矯正器が装着できない状況が現れたりする可能性がある。
【0004】
従来技術では、萌出空間が歯の萌出と動的変化するデザインを採用する方法があるが、上記の方法には一定の問題がある。例えば、患者の口内における歯の萌出過程で総合的な要素が多く、矯正計画の設計過程で、萌出空間の設計が合理的でないと、萌出空間と歯が互いに接触し、作用力が発生し、歯の正常な萌出に影響する可能性がある。また、動的変化するデザイン過程において、歯の萌出速度と萌出パラメータの予測が正確でないと、萌出設計に誤差が生じてしまい、患者が矯正器を正常に装着できなかった結果は発生するおそれがある。
【0005】
上記の影響がいずれも矯正過程で望ましくないため、矯正計画の進行に伴い、萌出空間の設計が簡単で、且つ歯の正常な成長と萌出に影響しない矯正システムおよびその設計方法を設計することは重要な意味を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、青少年の乳歯の生え変わり時期の歯列矯正に適用され、シェル状歯列矯正器が奇形歯を矯正すると同時に歯の萌出を行うことができる歯列矯正システムおよびその設計方法、製造方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の一部の実施例には、矯正計画によって、歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整するとともに、歯が自然に萌出することを許容する少なくとも1つのシェル状歯列矯正器を備える歯列矯正システムが提供され、前記シェル状歯列矯正器は矯正器本体を備え、前記矯正器本体は上顎の複数本の歯または下顎の複数本の歯を収容するための幾何学的構造を備え、前記矯正器本体には、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯を収容する少なくとも1つの萌出部がさらに設けられており、矯正計画の進行に伴い、各前記シェル状歯列矯正器における萌出部がいずれも固定的またはほぼ固定的な柱状構造を備え、且つ、前記萌出部の内表面と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない歯の外表面とがいずれも隙間を置いて設けられ、前記予め設定された萌出パラメータが1本または複数本の未成長歯または未完全成長歯が完全に萌出した後のパラメータを含む。
【0008】
いくつかの実施例では、前記予め設定された萌出パラメータは、前記1本または複数本の未成長歯または未完全成長歯が完全に萌出した後の寸法、位置、形状及び向きを含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の寸法、位置、形状と向きに基づいて設定される。
【0010】
具体的には、矯正計画の進行に伴い、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の隣接歯に対して矯正移動を行うため、萌出部と残りのシェル状本体との接続がスムーズになるように、萌出部の柱状構造に対して滑らかに遷移する調整を適切に行う。いくつかの実施例では、前記柱状構造の寸法として、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の寸法の1.02~1.05倍であり、この寸法下での柱状構造がこの歯が完全に萌出した後の寸法よりもわずかに大きく、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯と萌出歯との間に隙間をおいて設けることができることを確保している。前記柱状構造の向きとして、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の長軸方向に対して0~5°の角度を成しており、前記柱状構造の位置として、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の位置の空間三次元座標系における各頂点座標値とのオフセット量が0~1mmであり、前記柱状構造の形状として、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の形状の空間三次元座標系における各頂点座標値からのオフセット量が0~1mmである。上記の寸法、位置、形状、向きの範囲において、即ち本実施例に記載の固定的またはほぼ固定的な柱状構造である。
【0011】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が対応する寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される。
【0012】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、同時に、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の近心方向隣接歯の第1予定パラメータと、遠心方向隣接歯の第2予定パラメータとに基づいて設定される。
【0013】
いくつかの具体的な実施例では、前記第1予定パラメータは、前記近心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法及び歯の長軸方向高さの最大寸法を含み、前記第2予定パラメータは、前記遠心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法及び歯の長軸方向高さの最大寸法を含む。
【0014】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、唇/頬側面と、舌側面と、咬合面と、を含み、前記唇/頬側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の唇/頬側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記舌側面が平面またはその前記近遠心方向隣接歯の舌側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記咬合面が平面またはその前記近遠心方向隣接歯の咬合面と滑らかに遷移する曲面である。
【0015】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯に対応する寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される。
【0016】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の遠心方向隣接歯と近心方向隣接歯の第3予定パラメータに基づいて設定される。
【0017】
いくつかの具体的な実施例では、第3予定パラメータは、前記遠心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法及び近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法を含む。
【0018】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、唇/頬側面と、舌側面と、咬合面と、を含み、前記唇/頬側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の唇/頬側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記舌側面が平面またはその前記近遠心方向隣接歯の舌側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記咬合面が平面またはその前記近遠心方向隣接歯の咬合面と滑らかに遷移する曲面である。
【0019】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯に対応する寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される。
【0020】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、円柱状構造、楕円柱状構造または側稜数が4本以上の多角柱状構造である。
【0021】
いくつかの実施例では、前記シェル状歯列矯正器における萌出部以外の幾何学的構造は、未萌出歯以外の歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整するものである。
【0022】
本願の一部の実施例には、歯列矯正システムの設計方法がさらに提供され、以下のステップS1~S4を含み、具体的に、
デジタル化歯顎モデルの取得であって、デジタル化歯顎モデルを取得し、前記デジタル化歯顎モデルはデジタル化歯モデルと、デジタル化歯茎モデルと、を含むS1と、
デジタル化歯顎モデルの分割と識別であって、前記デジタル化歯顎モデルを独立したデジタル化歯茎モデルと単一デジタル化歯冠モデルに分割し、未萌出歯または未完全萌出歯を示すデータを識別かつマーキングするS2と、
矯正計画の仮想設計であって、前記単一デジタル化歯冠モデルを仮想設計し、前記単一デジタル化歯冠モデルを初期位置から目標矯正位置に徐々に変化させ、一連の中間デジタル化歯顎モデルを取得するS3と、
歯列矯正システムの設計であって、
矯正計画によって、歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整すると同時に、歯の萌出を行うことができる少なくとも1つのシェル状歯列矯正器を設計し、前記シェル状歯列矯正器は、矯正器本体を含み、前記矯正器本体は、上顎の複数本の歯または下顎の複数本の歯を収容するための幾何学的構造を備え、前記矯正器本体に、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯を収容する少なくとも1つの萌出部がさらに設けられており、
矯正計画の進行に伴い、各前記シェル状歯列矯正器における萌出部は、いずれも固定的またはほぼ固定的な柱状構造を備え、且つ前記萌出部の内表面と予め設定された萌出パラメータに成長していない歯の外表面とはいずれも隙間を置いて設けられており、前記予め設定された萌出パラメータは、1本または複数本の未成長歯または未完全成長歯が完全に萌出した後のパラメータを含むように設定されているS4と、を含む。
【0023】
上述した設計方法の1つの実施例では、前記シェル状歯列矯正器における萌出部以外の幾何学的構造は、未萌出歯以外の歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整するように設計されている。
【0024】
また、本願の一部の実施例には、歯列矯正システムの製造方法がさらに提供され、上述した設計方法で取得された歯列矯正システムにおけるシェル状歯列矯正器を、熱プレスフィルム成形または積層造形工程で作製し、一連の前記シェル状歯列矯正器を取得する。
【発明の効果】
【0025】
本願は、従来技術と比べて、以下の利点を有する。
【0026】
本願に提供された透明歯列矯正に適用される歯列矯正システムは、シェル状歯列矯正器を備え、前記シェル状歯列矯正器は矯正器本体を備え、矯正器本体には、萌出部が設けられており、矯正計画の進行に伴い、各前記シェル状歯列矯正器における萌出部がいずれも固定的またはほぼ固定的な柱状構造を備え、このシェル状歯列矯正器は、奇形歯矯正効果を持つとともに、矯正器本体に設けられた萌出部は、予め設定された萌出パラメータに成長していない歯を受け入れるためのものであり、萌出部と予め設定された萌出パラメータに成長していない歯との隙間を設置することで、矯正器本体装着後、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の上方に歯が生えるスペースをあらかじめ留保するため、歯列矯正システム全体の各シェル状矯正器はいずれも装着時に歯の自然成長に妨害しない。また、本願では、固定的またはほぼ固定的な柱状構造を備えている萌出部によって、各矯正器及び萌出部の設計と使用がより簡単になり、萌出部が1つの標準付属品とすることができ、使用時に当該標準付属品を選定して歯顎モデルに挿入するだけでよい。
【0027】
本願のいずれの製品を実施して上述した利点の一部または全部を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本願実施例1に係るシェル状歯列矯正器の正面視構成を示す図である。
図2図2は、本願実施例1に係るシェル状歯列矯正器の側面視構成を示す図である。
図3図3は、本願実施例1に係る別のシェル状歯列矯正器の正面視構成を示す図である。
図4図4は、本願実施例1に係る別のシェル状歯列矯正器の側面視構成を示す図である。
図5図5は、本願実施例1に係るシェル状歯列矯正器の装着後の構成模式図である。
図6図6は、本願実施例2に係る歯列矯正システムの設計方法のフローチャートである。
図7図7は、本願実施例2に係るシェル状歯列矯正器の正面視構成を示す図である。
図8図8は、本願実施例2に係るシェル状歯列矯正器の側面視構成を示す図である。
図9図9は、本願実施例2に係る別のシェル状歯列矯正器の正面視構成を示す図である。
図10図10は、本願実施例2に係る別のシェル状歯列矯正器の側面視構成を示す図である。
図11図11は、本願実施例4に係るシェル状歯列矯正器の正面視構成を示す図である。
図12図12は、本願実施例4に係るシェル状歯列矯正器の側面視構成を示す図である。
図13図13は、本願実施例5に係るシェル状歯列矯正器の正面視構成を示す図である。
図14図14は、本願実施例5に係るシェル状歯列矯正器の側面視構成を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
100、200、400、500:シェル状歯列矯正器
120、220:萌出部
110、210、410、510:矯正器本体
420、520:萌出キャビティ
【発明を実施するための形態】
【0030】
本願の説明では、注意すべきこととして、「予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯」、即ち「1本または複数本の未成長歯または未完全成長歯」は「萌出歯」または「生歯」とも呼ばれる。
【0031】
なお、本願の説明では、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などが示す方向または位置関係は、図面に基づいて示される方向または位置関係であり、本願の説明の便利化や簡略化を図るだけであり、関係装置またはデバイスが特定の方位を持ち、特定の方位で構成かつ操作すべきであることを示したり、示唆したりしていないため、本願を限定するものと理解できない。また、用語「第1」、「第2」、「第3」は目的を説明するのみに使われ、相対的な重要性を示したり、示唆したりするものと理解できない。
【0032】
本明細書で使用されている単数形の「1」、「1つ」および「当該」は、特に明示されていない限り、複数の対象をも含む。
【0033】
以下、具体的な実施例を参照して、本発明をさらに説明する。
実施例1
【0034】
本実施例には、矯正計画によって、歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整するとともに、歯が自然に萌出することを許容する少なくとも1つのシェル状歯列矯正器100を備える歯列矯正システムが提供される。図1図5は本実施例におけるシェル状歯列矯正器の構成を示す図であり、前記シェル状歯列矯正器は矯正器本体110を備え、前記矯正器本体110は上顎の複数本の歯または下顎の複数本の歯を収容するための幾何学的構造を備え、前記矯正器本体110には、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯を収容する少なくとも1つの萌出部120がさらに設けられており、矯正計画の進行に伴い、各前記シェル状歯列矯正器100における萌出部120がいずれも固定的またはほぼ固定的な柱状構造を備え、且つ、前記萌出部120の内表面と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない歯の外表面とがいずれも隙間を置いて設けられ、前記予め設定された萌出パラメータが1本または複数本の未成長歯または未完全成長歯が完全に萌出した後のパラメータを含む。
【0035】
本実施例における透明歯列矯正向けの歯列矯正システムは、歯の生え変わり時期の青少年の歯列矯正に適している。歯列矯正計画の周期が長く、半年またはそれ以上の矯正周期が必要であるため、歯の生え変わり時期の患者は、歯列矯正を行う時に萌出歯が矯正計画に与える影響を考慮して萌出歯を収容するための空間を設計する必要があり、歯列矯正システムを設計する時、萌出歯がシェル状矯正器との相互作用による力を受けずに萌出に影響しないことを確保する。そうしないと、矯正用のケースが萌出部の歯茎の上方を覆い、萌出歯の成長を抑制する。
【0036】
具体的には、本実施例におけるシェル状歯列矯正器100(矯正器とも呼ばれる)は、奇形歯矯正効果を持つとともに、矯正器本体110に設けられた萌出部120は、予め設定された萌出パラメータに成長していない歯を受け入れるためのものであり、萌出部120の内表面と予め設定された萌出パラメータに成長していない歯との隙間を設置することで、矯正器本体110装着後、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の上方に歯が生えるスペースをあらかじめ留保するため、当該シェル状矯正器100は装着時に歯の自然成長に妨害しない。ここで、本実施例における歯列矯正システムは複数の矯正段階を有する矯正計画に適用され、矯正計画の進行に伴い、各矯正器本体110の萌出部120は、歯列矯正システム全体で各矯正器本体110がこの予め設定された萌出パラメータに成長していない歯に常に触れないように、いずれも固定的またはほぼ固定的な柱状構造を備えている。また、萌出部120の構造によって、各矯正器及び萌出部120の設計と使用がより簡単になり、萌出部120が1つの標準付属品とすることができ、使用時に当該標準付属品を選定して歯顎モデルに挿入するだけでよい。
【0037】
いくつかの実施例では、前記予め設定された萌出パラメータは、前記1本または複数本の未成長歯または未完全成長歯が完全に萌出した後の寸法、位置、形状及び向きを含む。ここで、当該寸法、位置、形状と向きは、患者のCBCTに基づいて取得された未完全成長の歯の寸法、位置、形状と向きであってもよいし、1本または複数本の義歯データライブラリに基づいて取得された未成長歯または未完全成長歯の寸法、位置、形状、向きであってもよいし、ビッグデータによって集計された未成長歯または未完全成長歯の寸法、位置、形状と向きであってもよい。
【0038】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の寸法、位置、形状と向きに基づいて設定される。
【0039】
具体的には、矯正計画の進行に伴い、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の隣接歯に対して矯正移動を行うため、萌出部120と残りのシェル状本体との接続がスムーズになるように、萌出部120の柱状構造に対して滑らかに遷移する調整を適切に行う。
【0040】
いくつかの実施例では、前記柱状構造の寸法として、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の寸法の1.02~1.05倍であり、さらに具体的には、上記の歯が完全に萌出した後の寸法に基づいて、当該寸法は固定寸法で変化しないため、上記の固定寸法に基づいてさらに1.02~1.05倍に拡大して設計された柱状構造は、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の寸法より大きく、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が萌出中に萌出部120(萌出キャビティ)の内表面と常に接触しないことを確保している。
【0041】
前記柱状構造の向きとして、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の長軸方向に対して0~5°の角度を成しており、さらに具体的には、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の向きに基づいて、当該向きが特定した向きであるため、当該特定した向きに基づいて設計された柱状構造の向きは、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の向きの角度範囲より大きく、即ち、未萌出歯または未完全萌出歯の長軸を基準として0~5°角度で向きの拡大を行い、未萌出歯または未完全萌出歯が萌出過程において形成された萌出部120(萌出キャビティ)と常に接触しないことを確保している。
【0042】
前記柱状構造の位置として、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の位置の空間三次元座標系における各頂点座標値とのオフセット量が0~1mmであり、さらに具体的には、上記の萌出歯が完全に萌出した後の位置に基づいて、当該位置が特定した位置であり、柱状構造の各頂点位置は、それぞれ上記特定位置に基づいて萌出部120の内部から外側へずれる。なお、歯列矯正システムの設計を行う時に、デジタル化歯顎モデルに基づいて行われ、デジタル化歯顎モデルは統一された三次元座標系の下で、複数の三角パッチで構成され、各三角パッチの各頂点が三次元座標系において、いずれも対応する空間座標値を備え、この予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の位置は、それを構成する各頂点の空間座標値に基づいて構成されるものであり、即ち、萌出歯の各頂点を基準として0~1mmのオフセット量で拡大を行い、萌出歯が萌出過程において形成された萌出部120(萌出キャビティ)と常に接触しないことを確保している。
【0043】
前記柱状構造の形状として、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の形状の空間三次元座標系における各頂点座標値からのオフセット量が0~1mmである。さらに具体的には、予め設定された萌出パラメータに成長していない上記の歯が完全に萌出した後の形状に基づいて、当該形状が特定した形状であるため、上記の特定した形状に基づいて柱状構造の形状を特定する。なお、歯列矯正システムの設計を行う時に、デジタル化歯顎モデルに基づいて行われ、デジタル化歯顎モデルは統一された三次元座標系の下で、複数の三角パッチから構成されており、各三角パッチの各頂点は三次元座標系においていずれもその対応する空間座標値を備えている。予め設定された萌出パラメータに成長していない歯が完全に萌出した後の形状は、それを構成する各頂点の空間座標値に基づいているが、柱状構造の形状は、予め設定された萌出パラメータに成長していない歯が完全に萌出した後の形状と比べて、オフセット量の範囲がより大きく、即ち、未萌出歯または未完全萌出歯から構成された各頂点を基準として、0~1mmのオフセット量で拡大を行い、萌出部120(萌出キャビティ)はその隣接する幾何学的構造との間で滑らかに遷移することができ、且つ萌出過程において常に萌出歯と接触しない。上記の寸法、位置、形状、向きの範囲において、即ち本実施例に記載の固定的またはほぼ固定的な柱状構造である。
【0044】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が対応する寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される。ここで、対顎の対応する歯とは、対顎が前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯と咬み合う歯を指し、当該対顎の対応する歯によって固定的またはほぼ固定的な柱状構造の咬合面を設計することができる。固定的またはほぼ固定的な柱状構造の咬合面は、平面、曲面または対顎歯に対して凹凸マッチングを行う構造に設計することができ、対顎歯に基づいて萌出部120の咬合面を設計することにより、萌出部120を対顎歯の歯尖と歯窩とマッチングさせたり、当該萌出部120の咬合面を対顎歯の咬合面と凹凸マッチングさせたりすることができる。
【0045】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、同時に、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の近心方向隣接歯の第1予定パラメータと、遠心方向隣接歯の第2予定パラメータとに基づいて設定される。
【0046】
いくつかの具体的な実施例では、前記第1予定パラメータは、近心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法L、近遠心方向の最大寸法D及び歯の長軸方向高さの最大寸法Hを含む。前記第2予定パラメータは、前記遠心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法L、近遠心方向の最大寸法D及び歯の長軸方向高さの最大寸法Hを含む。一実施例では、図1図2に示すように、シェル状歯列矯正器100に設けられた萌出部120は、第2小臼歯を包むことでの萌出されたものであり、この場合、第1予定パラメータは、第1小臼歯の頬舌径方向の最大寸法L、近遠心方向の最大寸法Dと歯の長軸方向高さの最大寸法Hであり、第2予定パラメータは、第1大臼歯の頬舌径方向の最大寸法L、近遠心方向の最大寸法Dと歯の長軸方向高さの最大寸法Hである。また、第1予定パラメータと第2予定パラメータに基づいて固定的またはほぼ固定的な柱状構造を決定する時、LとLの算術平均、重み付き平均などによって固定的またはほぼ固定的な柱状構造の頬舌径方向の寸法を決定し、DとDの算術平均、重み付き平均などによって固定的またはほぼ固定的な柱状構造の近遠心方向の寸法を決定し、HとHの算術平均、重み付き平均などによって固定的またはほぼ固定的な柱状構造における歯の長軸方向の寸法を決定することができる。これによって、矯正計画全体において、萌出部120が前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の寸法と形状に最大限にマッチングすることができるようにする。
【0047】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、唇/頬側面と、舌側面と、咬合面と、を含み、前記唇/頬側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の唇/頬側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記舌側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の舌側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記咬合面が平面またはその近遠心方向隣接歯の咬合面と滑らかに遷移する曲面である。このような構造によって、患者が装着したシェル状歯列矯正器100は比較的滑らかな歯被覆シェル状構造を備え、患者装着時の口内異物感が小さい。なお、固定的またはほぼ一定の柱状構造とは、萌出部120の形状、寸法、位置と向きが一致していることを指し、一連のシェル状矯正器の装着矯正中に歯が矯正の進行に伴って移動するため、萌出部120は隣接歯の幾何学的構造と滑らかに遷移して接続することによって、一部の空間の適応性調整が行われる。もちろん、いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、咬合面を含まず、唇/頬側面と舌側面を含んでも良い。
【0048】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯に対応する寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される。本実施例の萌出部120では、咬合面は、平面、曲面または対顎歯と凹凸マッチングする構造に設計することができ、対顎歯に応じて萌出部120の咬合面を設計することにより、萌出部120を対顎歯の歯尖と歯窩とマッチングさせたり、当該萌出部120の咬合面を対顎歯の咬合面と凹凸マッチングさせたりすることができる。
【0049】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の遠心方向隣接歯と近心方向隣接歯の第3予定パラメータに基づいて設定される。
【0050】
いくつかの具体的な実施例では、第3予定パラメータは、前記遠心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法及び近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法を含む。いくつかの具体的な実施例では、図3図4に示すように、シェル状歯列矯正器に設けられた萌出部120が第2小臼歯を包むことで萌出されたものである場合、第3予定パラメータは、第1大臼歯の頬舌径方向の最大寸法L、近遠心方向の最大寸法Dおよび近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法Hであり、これにより、第2小臼歯萌出部120の頬舌径方向の最大寸法L’、近遠心方向の頬舌径方向の最大寸法D’および近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法H’を決定する。遠心方向隣接歯の頬舌径方向における最大寸法、近遠心方向の最大寸法および近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法に基づいて設計された柱状構造は、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯を十分に収容することができ、且つ、設計された柱状構造の寸法が前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯よりもわずかに大きく、柱状構造と萌出歯との間に隙間をおいて設けることができることを確保している。
【0051】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、唇/頬側面と、舌側面と、咬合面と、を含み、前記唇/頬側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の唇/頬側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記舌側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の舌側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記咬合面が平面またはその近遠心方向隣接歯の咬合面と滑らかに遷移する曲面である。このような構造を設置することによって、患者が装着したシェル状歯列矯正器100は比較的滑らかな歯被覆シェル状構造を備え、患者装着時の口内異物感が小さい。
【0052】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯に対応する寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される。本実施例の萌出部120では、咬合面は、平面、曲面または対顎歯と凹凸マッチングする構造に設計することができ、対顎歯に応じて萌出部120の咬合面を設計することにより、萌出部120を対顎歯の歯尖と歯窩とマッチングさせたり、当該萌出部120の咬合面を対顎歯の咬合面と凹凸マッチングさせたりすることができる。
【0053】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、円柱状構造、楕円柱状構造または側稜数が4本以上の多角柱状構造であり、萌出歯の数量、タイプに応じて設定してもよいし、隣接歯間に存在する萌出隙間に応じて適応的に選択してもよい。
【0054】
いくつかの実施例では、前記シェル状歯列矯正器100における萌出部120以外の幾何学的構造は、未萌出歯以外の歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整するものである。即ち、本実施例の萌出部120は、シェル状歯列矯正器100全体が萌出歯の自然成長に干渉しないように、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯のみに成長空間を予め留保しているが、本実施例における萌出部120は奇形成長の萌出歯に対して矯正作用を果たさない。即ち、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が奇形成長の歯である場合、本実施例の萌出部120も、当該萌出歯に応じて設けられ、それを矯正しない。一方、シェル状歯列矯正器100における萌出部120以外の幾何学的構造は、未萌出歯以外の歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整するものである。即ち、萌出部120以外の幾何学的構造は、萌出歯以外の歯に対して矯正作用を果たし、歯を揃えながら萌出歯の萌出に影響しない。
実施例2
【0055】
本実施例には、歯列矯正システムの設計方法が提供され、図6は、本実施例における設計方法のフローチャートであり、前記歯列矯正システムは、実施例1に記載のいずれかの歯列矯正システムであり、前記設計方法は、以下のステップS1~S4を含む。
【0056】
S1:デジタル化歯顎モデルの取得であって、デジタル化歯顎モデルを取得し、前記デジタル化歯顎モデルはデジタル化歯モデルと、デジタル化歯茎モデルと、を含む。
【0057】
S2:デジタル化歯顎モデルの分割と識別であって、前記デジタル化歯顎モデルを独立したデジタル化歯茎モデルと単一デジタル化歯冠モデルに分割し、未萌出歯または未完全萌出歯を示すデータを識別かつマーキングする。
【0058】
S3:矯正計画の仮想設計であって、前記単一デジタル化歯冠モデルを仮想設計し、前記単一デジタル化歯冠モデルを初期位置から目標矯正位置に徐々に変化させ、一連の中間デジタル化歯顎モデルを取得する。
【0059】
S4:歯列矯正システムの設計であって、
矯正計画によって、歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整すると同時に、歯の萌出を行うことができる少なくとも1つのシェル状歯列矯正器200を設計し、前記シェル状歯列矯正器200は、矯正器本体210を含み、前記矯正器本体210は、上顎の複数本の歯または下顎の複数本の歯を収容するための幾何学的構造を備え、前記矯正器本体210に、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯を収容する少なくとも1つの萌出部220が設けられている。
矯正計画の進行に伴い、各前記シェル状歯列矯正器200における萌出部220は、いずれも固定的またはほぼ固定的な柱状構造を備え、且つ前記萌出部220の内表面と予め設定された萌出パラメータに成長していない歯の外表面とはいずれも隙間を置いて設けられている。
【0060】
具体的には、本実施例における前記設計方法において、ステップS1におけるデジタル化上顎歯顎モデルと下顎歯顎モデルの取得は、コンピュータX線体軸断層撮影(CATスキャン)、デジタル化断層X線撮影(CT)、コーンビームCTスキャン(CBCT)、核磁気共鳴画像法(MRI)、口内光学撮影などの手段によりオリジナル歯並びを示すデジタルモデルを取得するか、または、通常の手段で患者の歯の石膏鋳物を作製してから、レーザースキャン設備、CTスキャン設備などのスキャン設備で当該石膏鋳物をスキャンして、オリジナル歯並びを示すデジタルモデルを取得するという方法のいずれか一方を用いることができる。
【0061】
具体的には、本実施例における前記設計方法において、ステップS2におけるデジタル化歯顎モデルの分割は以下のような非制限的な実施例を採用することができる。
【0062】
S200:分割待ちのデジタル化歯顎モデルの第1種特徴点を選択し、前記デジタル化歯顎モデルは三角パッチモデルである。
【0063】
S201:第1種特徴点に基づいて、前記デジタル化歯顎モデルの第2種特徴点を分類し、各第2種特徴点に該当する歯を特定する。
【0064】
S202:各歯に属する前記第2種特徴点をそれぞれ統合し、デジタル化歯顎モデル分割後の各単一歯のデジタル化歯領域を取得する。
【0065】
前記第1種特徴点はデジタル顎モデルに基づいて選択され、且つ歯顎中の各単一歯の分割をガイドするための三角パッチの頂点であり、第2種特徴点はデジタル化歯顎モデルに基づいて選択され、且つデジタル化歯顎モデル全体形状を示すための三角パッチの頂点である。即ち、第1種特徴点は歯顎の分割をガイドするためのものであり、第2種特徴点は具体的に歯顎を分割する時の特徴点であり、第1種特徴点の分割ガイドにより、第2種特徴点を各歯に精確に分類することができ、ひいては歯顎の分割精度を高めることができる。
【0066】
デジタル化歯顎モデル全体から第1種特徴点を選択し、それから第1種特徴点に基づいてデジタル化歯顎モデルにおける第2種特徴点を分類してから統合することで、単一歯の分割を実現する。上記の2種類の特徴点はデジタル化歯顎モデル全体に基づいて選択され、特徴点の分類情報はデジタル化歯顎モデル全体の分類特徴をカバーしているため、モデルにノイズデータが存在してもノイズデータを全体的なデータに均等に割り当て、分割方法全体のフォールトトレランスが高く、単一の歯をより精確に分割することができ、各歯の完全性を保つことができる。
【0067】
さらに、ステップS2で分割後の歯モデルに対して歯の識別とマーキングを行い、予め設定された萌出パラメータに成長していない歯を示すデータを識別かつマーキングする具体的な実施形態は、先に歯の位置を識別し、識別後の歯と標準歯の体積を比較し、識別後の歯の体積が対応する標準歯の体積と比べて一定の閾値以内に小さい場合、予め設定された萌出パラメータに成長していない歯としてマーキングし、上記閾値は、例えば、標準歯の体積の半分であってもよい。
【0068】
さらに具体的には、歯の位置認識方法は、以下のような方法、即ちステップ1、ステップ2、ステップ3を用いることができる。ステップ1:第1アプリオリモデル、第2アプリオリモデルと第3アプリオリモデルを確立し、ここで、前記第1アプリオリモデルは、既存の歯モデルにおける各隣接する2本の歯間のピッチと当該ピッチに対応する欠如歯数を採集し、異なる数の欠如歯のピッチについて確率分布関数値を算出することを含み、前記第2アプリオリモデルは、既存の歯モデルにおける各歯の特徴付け位置の特徴量を採集し、同じ番号の歯の少なくとも特徴付け位置の特徴量に対して確率分布関数値を算出することを含み、前記第3アプリオリモデルは、既存の歯モデルにおける歯が欠如していないか、異なる数の歯が欠如した後、各隣接する2本の歯の位置配列状況を採集し、歯の位置配列状況の確率分布関数値を算出することを含む。ステップ2:検査対象の歯モデルにおける各歯の特徴付け位置の特徴量および隣接する2本の歯間のピッチを取得する。ステップ3:隠れマルコフモデルに基づいて、検査対象の歯モデルの歯の位置を決定する。上記の方法によって歯の位置を識別し、そして、歯の位置マークと標準歯モデルに基づいて歯の体積を比較し、例えば、特徴点座標値の変化を利用して一定の閾値範囲内で比較し、予め設定された萌出パラメータに成長していない歯としてマーキングするか否かを判断する。
【0069】
具体的には、本実施例における前記設計方法では、ステップS3において、前記単一デジタル化歯冠モデルを仮想設計し、前記単一デジタル化歯冠モデルを初期位置から目標矯正位置に徐々に調整し、一連の中間デジタル化歯顎モデルを取得し、ここで、前記初期位置は、奇形矯正開始前のオリジナル歯並びであってもよいし、矯正過程におけるいずれかの段階であってもよく、前記目標矯正位置は歯列矯正後のいずれかの段階であり、オリジナル歯並びの次の段階であってもよいし、次のいくつかの段階であってもよく、目標矯正位置は、医師及び医学設計者が患者の訴え及び口内状況に基づいて最終的な矯正を行う位置であってもよいし、口内デジタル化設計ソフトウェアに基づいて、類似した症例に基づいて目標矯正位置の推薦を行ってもよいし、推薦結果に基づいて患者の治療に対して的を射た調整を行ってもよい。
【0070】
具体的には、本実施例における前記設計方法では、ステップS4において、歯列矯正システムの設計は、矯正計画によって、歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整すると同時に、歯の萌出を行うことができる少なくとも1つのシェル状歯列矯正器200を設計し、前記シェル状歯列矯正器200は矯正計画のいずれかの矯正段階、例えば矯正の初期段階または矯正の最終段階に用いられることができる。固定的またはほぼ固定的な柱状構造を持つ前記萌出部220を標準付属品として設置することで、臨床医や他の使用者がシェル状歯列矯正器200を設計する時、直接当該標準付属品を選択して歯顎モデルに挿入するだけでよく、使用に便利である。
【0071】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の寸法、位置、形状と向きに基づいて設定される。
【0072】
具体的には、矯正計画の進行に伴い、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の隣接歯が矯正移動するため、萌出部220と残りのシェル状本体がスムーズに接続するように、萌出部220の柱状構造に対して滑らかに遷移する調整を適切に行う。いくつかの実施例では、前記柱状構造の寸法は、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の寸法の1.02~1.05倍であり、さらに具体的には、上記の予め設定された萌出パラメータに成長していない歯が完全に萌出した後の寸法について、当該寸法は固定寸法であり、且つ変化しないため、前記固定寸法に基づいて設計された柱状構造は、予め設定された萌出パラメータに成長していない歯が完全に萌出した後の寸法より大きく、未萌出歯や未完全萌出歯が萌出過程で形成された萌出キャビティと常に接触しないことを確保している。
【0073】
前記柱状構造の向きとして、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の長軸方向に対して0~5°の角度を成しており、さらに具体的には、予め設定された萌出パラメータに成長していない上記の1本または複数本の歯が完全に萌出した後の向きに基づいて、当該向きが特定された向きであるため、特定された当該向きに基づいて設計された柱状構造の向きは、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の向きの角度範囲より大きく、即ち、予め設定された萌出パラメータに成長していない歯の長軸を基準として0~5°角度の向きの拡大を行い、未萌出歯または未完全萌出歯が萌出過程において形成された萌出部220(萌出キャビティ)と常に接触しないことを確保している。
【0074】
前記柱状構造の位置として、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の位置の空間三次元座標系における各頂点座標値とのオフセット量が0~1mmであり、さらに具体的には、上記の予め設定された萌出パラメータに成長していない萌出歯が完全に萌出した後の位置に基づいて、当該位置が特定位置であり、柱状構造の各頂点位置は、それぞれ上記特定位置に基づいて萌出部120の内部から外側へずれる。なお、歯列矯正システムの設計を行う時に、デジタル化された歯顎モデルに基づいて行われ、デジタル化された歯顎モデルは統一された三次元座標系の下で、複数の三角パッチで構成され、各三角パッチの各頂点が三次元座標系において、いずれも対応する空間座標値を備え、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の位置は、それを構成する各頂点の空間座標値に基づいて構成されるものであり、即ち、萌出歯の各頂点を基準として0~1mmのオフセット量を拡大し、萌出歯が萌出過程において形成された萌出部120(萌出キャビティ)と常に接触しないことを確保している。
【0075】
前記柱状構造の形状として、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が完全に萌出した後の形状の空間三次元座標系における各頂点座標値からのオフセット量が0~1mmである。さらに具体的には、予め設定された萌出パラメータに成長していない上記の歯が完全に萌出した後の形状に基づいて、当該形状が特定形状であるため、上記の特定形状に基づいて柱状構造の形状を特定する。なお、歯列矯正システムの設計を行う時に、デジタル化された歯顎モデルに基づいて行われ、デジタル化された歯顎モデルは統一された三次元座標系の下で、複数の三角パッチから構成されており、各三角パッチの各頂点は三次元座標系においていずれもその対応する空間座標値を備えている。予め設定された萌出パラメータに成長していない歯が完全に萌出した後の形状は、それを構成する各頂点の空間座標値に基づいているが、柱状構造の形状は、予め設定された萌出パラメータに成長していない歯が完全に萌出した後の形状と比べて、オフセット量の範囲がより大きく、即ち、未萌出または未完全萌出歯から構成された各頂点を基準として、0~1mmのオフセット量の拡大を行い、萌出部120(萌出キャビティ)はその隣接する幾何学的構造との間で滑らかに遷移することができ、且つ萌出過程において常に萌出歯と接触しない。上記の寸法、位置、形状、向きの範囲であると、即ち本実施例に記載の固定的またはほぼ固定的な柱状構造である。
【0076】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯に対応する歯の寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される。ここで、対顎の対応する歯とは、対顎が前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯と咬み合う歯を指し、当該対顎の対応する歯によって固定的またはほぼ固定的な柱状構造の咬合面を設計することができる。固定的またはほぼ固定的な柱状構造の咬合面は、平面、曲面または対顎歯に凹凸マッチングする構造に設計することができ、対顎歯に基づいて萌出部220の咬合面を設計することにより、萌出部220を対顎歯の歯尖と歯窩とマッチングさせたり、当該萌出部220の咬合面を対顎歯の咬合面と凹凸マッチングさせたりすることができる。
【0077】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、同時に、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の近心方向隣接歯の第1予定パラメータと遠心方向隣接歯の第2予定パラメータとに基づいて設定される。
【0078】
いくつかの具体的な実施例では、前記第1予定パラメータは、近心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法L、近遠心方向の最大寸法D、及び歯の長軸方向高さの最大寸法Hを含む。前記第2の所定のパラメータは、前記遠心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法L、近遠心方向の最大寸法D、及び歯の長軸方向高さの最大寸法Hを含む。一実施例では、図7図8に示すように、シェル状歯列矯正器200に設けられた萌出部220は、第2小臼歯を包むことで萌出されたものであり、この場合、第1予定パラメータは、第1小臼歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法と歯の長軸方向高さの最大寸法であり、第2予定パラメータは、第1大臼歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法と歯の長軸方向高さの最大寸法である。また、第1予定パラメータと第2予定パラメータに基づいて固定的またはほぼ固定的な柱状構造を決定する時、LとLの算術平均、重み付き平均などによって固定的またはほぼ固定的な柱状構造の頬舌径方向の寸法を決定し、DとDの算術平均、重み付き平均などによって固定的またはほぼ固定的な柱状構造の近遠心方向の寸法を決定し、HとHの算術平均、重み付き平均などによって固定的またはほぼ固定的な柱状構造における歯の長軸方向の寸法を決定することができる。これによって、矯正計画全体において、萌出部220が前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の寸法と形状に最大限にマッチングすることができる。
【0079】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、唇/頬側面と、舌側面と、咬合面と、を含み、前記唇/頬側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の唇/頬側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記舌側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の舌側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記咬合面が平面またはその近遠心方向隣接歯の咬合面と滑らかに遷移する曲面である。このように設置された構造によって、患者が装着したシェル状歯列矯正器200は比較的滑らかな歯被覆シェル状構造を備え、患者装着時の口内異物感が小さい。なお、固定的またはほぼ一定の柱体構造とは、萌出部220の本体形状、寸法、位置と向きが一致していることを指し、一連のシェル状矯正器の装着矯正過程に歯が矯正の進行に伴って移動するため、萌出部220は隣接歯キャビティとの滑らかな遷移によって、一部の空間の適応性調整が行われる。いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、咬合面を含まず、唇/頬側面と舌側面を含んでも良い。
【0080】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、上下顎咬合関係に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯に対応する歯の寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される。本実施例における萌出部220の咬合面は、平面、曲面または対顎歯に凹凸マッチングする構造に設計することができ、対顎歯に基づいて萌出部220の咬合面を設計することにより、萌出部220を対顎歯の歯尖と歯窩とマッチングさせたり、当該萌出部220の咬合面を対顎歯の咬合面と凹凸マッチングさせたりすることができる。
【0081】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の遠心方向隣接歯と近心方向隣接歯の第3予定パラメータに基づいて設定される。
【0082】
いくつかの具体的な実施例では、第3予定パラメータは、前記遠心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法、及び近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法を含む。いくつかの具体的な実施例では、図9図10に示すように、シェル状歯列矯正器に設けられた萌出部220が第2小臼歯を包むことで萌出されたものである場合、第3予定パラメータは、第1大臼歯の頬舌径方向の最大寸法L、近遠心方向の最大寸法Dおよび近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法Hであり、これにより、第2小臼歯萌出部220の頬舌径方向の最大寸法L’、近遠心方向の最大寸法D’および近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法H’を決定する。したがって、遠心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法および近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法に基づいて設計された柱状構造は、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯を十分に収容することができ、且つ、設計された柱状構造の寸法が前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯よりもわずかに大きく、柱状構造と萌出歯との間に隙間をおいて設けることを確保している。
【0083】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、唇/頬側面と、舌側面と、咬合面と、を含み、前記唇/頬側面が平面または前記近遠心方向隣接歯の唇/頬側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記舌側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の舌側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記咬合面が平面またはその近遠心方向隣接歯の咬合面と滑らかに遷移する曲面である。このように設置された構造によって、患者が装着したシェル状歯列矯正器200は比較的滑らかな歯被覆シェル状構造を備え、患者装着時の口内異物感が小さい。
【0084】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯に対応する歯の寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される。本実施例の萌出部220の咬合面は、平面、曲面または対顎歯と凹凸マッチングする構造に設計することができ、対顎歯に応じて萌出部220の咬合面を設計することにより、萌出部220を対顎歯の歯尖と歯窩とマッチングさせたり、当該萌出部220の咬合面を対顎歯の咬合面と凹凸マッチングさせたりすることができる。
【0085】
いくつかの実施例では、前記固定的またはほぼ固定的な柱状構造は、円柱状構造、楕円柱状構造または側稜数が4本以上の多角柱状構造であり、萌出歯の数量、タイプに応じて設定してもよいし、隣接歯間に存在する萌出隙間に応じて適応的に選択してもよい。
【0086】
いくつかの実施例では、前記シェル状歯列矯正器200における萌出部220以外の幾何学的構造は、未萌出歯以外の歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整するものである。即ち、本実施例の萌出部220は、シェル状歯列矯正器200全体が萌出歯の自然成長に干渉しないように、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯のみに成長空間を予め留保しているが、本実施例における萌出部220は奇形成長の萌出歯に対して矯正作用を果たさない。即ち、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯が奇形成長の歯である場合、本実施例の萌出部220も、当該萌出歯に応じて設けられ、それを矯正しない。一方、シェル状歯列矯正器100における萌出部120以外の幾何学的構造は、未萌出歯以外の歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整するものである。即ち、萌出部120以外の幾何学的構造は、萌出歯以外の他の歯に対して矯正作用を果たし、歯を揃えながら萌出歯の萌出に影響しない。
実施例3
【0087】
本実施例では、歯列矯正システムの製造方法がさらに提供され、実施例2のいずれかの前記設計方法で取得された歯列矯正システムにおけるシェル状歯列矯正器を、熱プレスフィルム成形または積層造形工程で作製し、一連の前記シェル状歯列矯正器を取得する。
【0088】
例えば、前記熱プレスフィルム成形工程で作製する場合、具体的な製造方法は、前記デジタル化歯顎モデルと一連の中間デジタル化歯顎モデルに基づいて3Dプリントを行い、実体歯顎モデルを作製した後、前記実体歯顎モデルに対して熱プレス成形を行い、歯形状を含んだシェル状歯列器具を取得し、そして、前記歯形状を含んだシェル状歯列器具において歯茎線または歯茎線の近くに沿って切断して、歯を収容できるシェル状歯列矯正器を得ることができる。
【0089】
例えば、積層成形工程を利用して作製する場合、具体的な作製工程は、3Dプリント方法で設計されたシェル状歯列矯正器のデジタルモデルを印刷し、作製することである。
実施例4
【0090】
シェル状歯列矯正器萌出キャビティの予測方法であって、矯正計画によって、
歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整し且つ歯の萌出を行うことができる少なくとも1つのシェル状歯列矯正器400を設計する。ここで、1つのシェル状歯列矯正器400は、複数本の上顎歯または複数本の下顎歯を収容する幾何学的構造の矯正器本体410と、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯を収容する少なくとも1つの萌出キャビティ420と、を含む。萌出キャビティ420は、前記萌出キャビティ420の内表面と予め設定された萌出パラメータに成長していない歯の外表面が隙間を置いて設けられるように、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の近心方向隣接歯の第1予定パラメータと遠心方向隣接歯の第2予定パラメータとに基づいて、前記萌出キャビティ420を予測する。前記予め設定された萌出パラメータは、前記1本または複数本の未成長歯または未完全成長歯が完全に萌出した後のパラメータを含むように設定されている。
【0091】
いくつかの実施例では、前記予め設定された萌出パラメータは、前記1本または複数本の未成長歯または未完全成長歯が完全に萌出した後の寸法、位置、形状、及び向きを含む。ここで、当該寸法、位置、形状と向きは、患者のCBCTに基づいて取得された未完全成長歯の寸法、位置、形状と向きであってもよいし、1本または複数本の義歯データライブラリに基づいて取得されたこの未成長歯または未完全成長歯の寸法、位置、形状、向きであってもよいし、ビッグデータによって集計された未成長歯または未完全成長歯の寸法、位置、形状と向きであってもよい。
【0092】
いくつかの具体的な実施例では、前記第1予定パラメータは、前記近心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法と歯の長軸方向高さの最大寸法を含む。前記第2予定パラメータは、前記遠心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法と歯の長軸方向高さの最大寸法を含む。
【0093】
いくつかの具体的な実施例では、前記第1予定パラメータは、近心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法L、近遠心方向の最大寸法D、及び歯の長軸方向高さの最大寸法Hを含む。前記第2予定パラメータは、前記遠心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法L、近遠心方向の最大寸法D、及び歯の長軸方向高さの最大寸法Hを含む。一実施例では、図11図12に示すように、シェル状歯列矯正器400に設けられた萌出キャビティ420は、第2小臼歯を包むことで萌出されたものであり、この場合、第1予定パラメータは、第1小臼歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法と歯の長軸方向高さの最大寸法であり、第2予定パラメータは、第1大臼歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法と歯の長軸方向高さの最大寸法である。また、第1予定パラメータと第2予定パラメータに基づいて萌出キャビティ420を決定する場合、L1とL2の算術平均、重み付き平均などによって萌出キャビティ420の頬舌径方向の寸法を決定し、DとDの算術平均、重み付き平均などによって萌出キャビティ420の近遠心方向の寸法を決定し、HとHの算術平均、重み付き平均などによって萌出キャビティ420における歯の長軸方向の寸法を決定することができる。これによって、矯正計画全体において、萌出キャビティ420が前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の寸法と形状に最大限にマッチングすることができるようにする。
【0094】
いくつかの実施例では、前記萌出キャビティ420は、唇/頬側面と、舌側面と、咬合面と、を含み、前記唇/頬側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の唇/頬側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記舌側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の舌側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記咬合面が平面またはその近遠心方向隣接歯の咬合面と滑らかに遷移する曲面である。このように設置された構造によって、患者がシェル状歯列矯正器400を装着した後に比較的滑らかな歯被覆シェル状構造を備え、患者装着時の口内異物感が小さい。
【0095】
いくつかの実施例では、萌出キャビティ420は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯に対応する寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される。本実施例の萌出キャビティ420の咬合面は、平面、曲面または対顎歯と凹凸マッチングする構造に設計することができ、対顎歯に応じて萌出キャビティ420の咬合面を設計することにより、萌出キャビティ420を対顎歯の歯尖と歯窩とマッチングさせたり、当該萌出キャビティ420の咬合面を対顎歯の咬合面と凹凸マッチングさせたりすることができる。
実施例5
【0096】
シェル状歯列矯正器萌出キャビティの予測方法であって、矯正計画によって、歯を初期位置から目標矯正位置に徐々に調整し且つ歯の萌出を行うことができる少なくとも1つのシェル状歯列矯正器500を設計する。ここで、1つのシェル状歯列矯正器500は、複数本の上顎歯または複数本の下顎歯を収容する幾何学的構造の矯正器本体510と、予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯を収容する少なくとも1つの萌出キャビティ520と、を含む。萌出キャビティ520は、前記萌出キャビティ520の内表面と予め設定された萌出パラメータに成長していない歯の外表面が隙間を置いて設けられるように、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯の遠心方向隣接歯と近心方向隣接歯の第3予定パラメータに基づいて予測する。前記予め設定された萌出パラメータは、前記1本または複数本の未成長歯または未完全成長歯が完全に萌出した後の歯のパラメータを含むように設定されている。
【0097】
いくつかの実施例では、第3予定パラメータは、前記遠心方向隣接歯の頬舌径方向の最大寸法、近遠心方向の最大寸法、及び前記近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法を含む。いくつかの具体的な実施例では、図13図14に示すように、シェル状歯列矯正器520に設けられた萌出キャビティ520が第2小臼歯を包むことで萌出されたものである場合、第3予定パラメータは、第1大臼歯の頬舌径方向の最大寸法L、近遠心方向の最大寸法Dおよび近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法Hであり、これにより、第2小臼歯萌出キャビティ520の頬舌径方向の最大寸法L’、近遠心方向の最大寸法D’および近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法H’を決定する。遠心方向隣接歯の頬舌径方向における最大寸法、近遠心方向の最大寸法および近心方向隣接歯の長軸方向高さの最大寸法に基づいて設計された萌出キャビティ520は、前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯を十分に収容することができ、且つ、設計された萌出キャビティ520の寸法が前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯よりもわずかに大きく、萌出キャビティ520と萌出歯との間に隙間をおいて設けることができることを確保している。
【0098】
いくつかの実施例では、前記萌出キャビティ520は、唇/頬側面と、舌側面と、咬合面と、を含み、前記唇/頬側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の唇/頬側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記舌側面が平面またはその近遠心方向隣接歯の舌側面と滑らかに遷移する曲面であり、前記咬合面が平面またはその近遠心方向隣接歯の咬合面と滑らかに遷移する曲面である。このように設置された構造によって、患者が装着したシェル状歯列矯正器500は比較的滑らかな歯被覆シェル状構造を備え、患者装着時の口内異物感が小さい。
【0099】
いくつかの実施例では、前記萌出キャビティ520は、上下顎咬合関係の設定に影響を与えないように、対顎と前記予め設定された萌出パラメータに成長していない1本または複数本の歯に対応する寸法、位置、形状、向きに基づいて設定される。本実施例の萌出キャビティ520の咬合面は、平面、曲面または対顎歯と凹凸マッチングする構造に設計することができ、対顎歯に応じて萌出キャビティ520の咬合面を設計することにより、萌出キャビティ520を対顎歯の歯尖と歯窩とマッチングさせたり、当該萌出キャビティ520の咬合面を対顎歯の咬合面と凹凸マッチングさせたりすることができる。
【0100】
いくつかの実施例では、前記萌出キャビティ520は、円柱状構造、楕円柱状構造または側稜数が4本以上の多角柱状構造であり、欠如歯の数量、タイプに応じて設定してもよいし、隣接歯間に存在する萌出隙間に応じて適応的に選択してもよい。
【0101】
以上、本願の好ましい実施例のみを開示しているが、これらの好ましい実施例は全てのディテールを詳しく記載していない。理解できるように、これらの実施例は本願を説明するためのものであり、本願の請求の範囲を限定するものではなく、本願は特許請求の範囲およびその等価物のみによって制限される。
【0102】
本明細書でこれらの実施例を選んで具体的に説明するのは、本願の原理と実際の応用をよりよく説明し、当業者が本願をうまく利用できるようにするためである。上記の異なる実施例における技術的特徴は、互いに矛盾しない前提で、任意に組み合わせることができ、実際の応用において当業者が本願に基づいて行った改良や調整は、いずれも本願の請求の範囲に属される。

図1
図2
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