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特許7547643走査システム用放射線検出器及び関連する走査システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】走査システム用放射線検出器及び関連する走査システム
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20240902BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240902BHJP
   G01N 23/046 20180101ALN20240902BHJP
【FI】
G01T7/00 A
A61B6/03 521B
G01N23/046
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2023543190
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 US2021013991
(87)【国際公開番号】W WO2022159082
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】592009111
【氏名又は名称】アナロジック コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レイン・マーズデン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0134313(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0221468(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0280410(US,A1)
【文献】特表2006-516742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 7/00
A61B 6/03
G01N 23/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線走査システムであって、
少なくとも一部の放射線を受け取るように配置された放射線検出器を備え、前記放射線検出器が、
円弧部分であって、その側面に複数のファセットを備える、円弧部分と、
各ファセットに結合された検出器モジュールであって、それぞれの前記ファセットと接触している第1の略平面状の表面を備えるベース部分を備える、検出器モジュールと、
前記ベース部分の第2の略平面状の表面に結合された検出器ユニットであって、前記第2の略平面状の表面が前記第1の略平面状の表面と平行である、検出器ユニットと、
前記円弧部分から熱を除去するための熱交換器であって、前記複数のファセットの反対側の、前記円弧部分の側面と熱連通している、熱交換器と、を備える、放射線走査システム。
【請求項2】
前記熱交換器が、フィンを含む、請求項1に記載の放射線走査システム。
【請求項3】
前記熱交換器が、水冷却器を含む、請求項1に記載の放射線走査システム。
【請求項4】
前記ファセットが、放射源に面するように配向されている、請求項1に記載の放射線走査システム。
【請求項5】
隣接するファセット間に遮蔽材料を更に備える、請求項1に記載の放射線走査システム。
【請求項6】
各検出器モジュールの表面が、それぞれの前記検出器モジュールの前記表面と放射源との間の線に対して略垂直に配向されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の放射線走査システム。
【請求項7】
前記検出器ユニットが、間接変換検出器ユニットを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の放射線走査システム。
【請求項8】
前記検出器ユニットが、直接変換検出器ユニットを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の放射線走査システム。
【請求項9】
前記円弧部分と熱連通している1つ以上のヒータ要素を更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の放射線走査システム。
【請求項10】
放射線撮像システム用の放射線検出器であって、前記放射線検出器が、
支持構造体であって、
ベース部分と、
前記ベース部分から離間された円弧部分であって、前記円弧部分によって少なくとも部分的に画定された円形の中心に面する複数のファセットを備える第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面と、を備える、円弧部分と、を備える、支持構造体と、
前記ベース部分と前記円弧部分との間に少なくとも部分的に位置する、冷却構造体と、
前記複数のファセットの各ファセットに結合された検出器モジュールであって、各ファセットが、それぞれの検出器モジュールと直接熱連通しており、各検出器モジュールが、検出器ユニットを備える、検出器モジュールと、を備える、放射線検出器。
【請求項11】
前記冷却構造体を外部環境から取り囲むカバーを更に備える、請求項10に記載の放射線検出器。
【請求項12】
各検出器モジュールの表面が、放射源の方向を向いている、請求項10に記載の放射線検出器。
【請求項13】
各検出器モジュールが、略平面状の表面を備える、請求項10に記載の放射線検出器。
【請求項14】
前記冷却構造体が、複数のフィン、及び1つ以上のファンを含む、請求項10に記載の放射線検出器。
【請求項15】
前記冷却構造体が、水冷器を含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項16】
前記第2の表面に隣接するヒータ要素を更に備える、請求項10~14のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項17】
放射線システムであって、
放射線検出器を備え、前記放射線検出器が、
検出領域の周りを回転するように構成されたクレードルの円弧部分上に配置された、複数の検出器モジュールであって、各検出器モジュールが、主表面を有する検出器ユニットを備え、前記主表面が、前記主表面から、前記円弧部分によって少なくとも部分的に画定された円の中心まで延在する線に略垂直である、複数の検出器モジュールと、
前記複数の検出器モジュールの反対側の、前記円弧部分の側面上にあり、前記円弧部分から熱を伝達するように構成された、冷却構造体と、を備える、放射線システム。
【請求項18】
各検出器ユニットの前記主表面が、放射源に向かう方向に露出されている、請求項17に記載の放射線システム。
【請求項19】
前記複数の検出器モジュールの反対側の、前記円弧部分の側面上に、1つ以上のヒータ要素を更に備える、請求項17に記載の放射線システム。
【請求項20】
前記冷却構造体が、冷却フィンと、空気を前記円弧部分の長さに略垂直に方向付けるように構成された1つ以上のファンと、を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の放射線システム。
【請求項21】
放射線走査システムであって、
ロータと、
前記ロータに結合された放射源と、
前記放射源の反対側で前記ロータに結合された放射線検出器と、を備え、前記放射線検出器が、
円弧部分であって、その第1の側面に複数のファセットを含む、円弧部分と、
前記複数のファセットの各ファセットに結合された検出器モジュールと、
前記円弧部分の第2の側面と熱連通している、冷却構造体と、を備える、放射線走査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、走査システム用放射線検出器に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、入射放射線を検出するための検出器モジュールを担持するように構成された第1の側面と、検出器モジュールの温度を維持するための1つ以上の熱伝達装置と熱連通している第2の側面と、を有する、円弧部分を含む、放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンピュータ断層撮影(computed tomography、CT)システム及び単一光子放出コンピュータ断層撮影(single-photon emission computed tomography、SPECT)システム、及び/又は陽電子放出断層撮影(positron emission tomography、PET)などの放射線撮像モダリティは、検査中の対象物の内部態様の情報又は画像を提供するのに有用である。CTなどの透過撮像モダリティでは、対象物は、光子を含む放射線(例えば、限定ではないが、X線、ガンマ線など)に曝露され、画像は、対象物の内部態様によって吸収及び/若しくは減衰された放射線、又はむしろ対象物を通過できる、いくつかの放射線光子に基づいて形成される。一般に、対象物の高密度の態様は、より低密度の態様よりも多くの放射線を吸収及び/又は減衰させ、したがって、例えば、骨又は金属などのより高い密度を有する態様は、筋肉又は衣類などのより低密度の態様によって囲まれたときに明らかとなるであろう。SPECT及びPETなどの放出撮像モダリティは、対象物の機能情報を提供する放射性トレーサから放出された放射線に基づいて、画像を形成する。
【0003】
対象物を通過する放射線光子は、検出器アレイ(論理的に、「検出器セル」と呼ばれる)の1つ以上の検出器要素の表面に衝突し、検出器要素は、典型的には、衝突する放射線光子に応答して、電荷を直接的又は間接的に生成する。検出器アレイは、典型的には、検出された放射線を電気信号に変換するようにそれぞれ構成された、複数の検出器セルを備える。検査領域内の対象物による減衰の大きさは、検出器要素によって生成される電荷の量又は速度に反比例する。それぞれの検出器セルによって検出された放射線光子の数、及び/又はサンプリング間にそれぞれの検出器セルによって生成された電荷に基づいて、対象物の密度、z-有効(実効原子番号とも呼ばれる)、形状及び/若しくは他の特性、並びに/又はそれらの態様を示す画像を再構成することができる。
【0004】
検出器アレイ内の検出器セルの数は、用途により固有であってもよい。例えば、いくつかのコンピュータ断層撮影用途では、典型的な検出器セルの数は、コンピュータ断層撮影システムの所望のカバレッジの程度に応じて、約16,000~約320,000の範囲であり得る。
【0005】
使用及び動作において、典型的な検出器セル、及び、本開示の発明者に既知の、そのような検出器セルに関連付けられた電子基板は、熱を生成する。従来の検出器アレイの検出器セル及び検出器セル配列は、典型的には、空気流によって個々に冷却され、放射線スキャナが回転速度を変化させたときに、空気流の変化によって引き起こされる温度変化の影響を受けやすい。検出器セルの不適切な温度制御は、例えば、放射線撮像システムによって生成された画像内のアーチファクト及び他のノイズの一因となり得る。加えて、放射線撮像システムの回転が原因で、従来の検出器セルは、使用中及び動作中に大きな機械的応力を受け、曲げ又は他の撓みを被る。検出器セルの曲げ及び撓みは、放射線撮像システムによって作成された画像の品質及び精度を低下させる場合がある。本開示の発明者に既知の典型的な検出器セルの他の欠点としては、検出器セルの配置及び位置合わせの困難さ、並びに、1つ以上の検出器セルが故障したときの、検出器セル交換のためのアクセスなどが挙げられる。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に開示される実施形態は、入射放射線を検出するための検出器モジュールを担持するように構成された第1の側面と、検出器モジュールの温度を維持するための1つ以上の熱伝達装置と熱連通している第2の側面と、を有する、円弧部分を含む、放射線検出器に関する。例えば、一実施形態によれば、放射線走査システムは、少なくとも一部の放射線を受け取るように構成された放射線検出器を備え、放射線検出器は、円弧部分であって、その側面に複数のファセットを備える、円弧部分と、各ファセットに結合された検出器モジュールであって、それぞれのファセットと接触している第1の略平面状の表面を備えるベース部分を備える、検出器モジュールと、ベース部分の第2の略平面状の表面に結合された検出器ユニットであって、第2の略平面状の表面が第1の略平面状の表面と平行である、検出器ユニットと、円弧部分から熱を除去するための熱交換器であって、複数のファセットの反対側の、円弧部分の側面と熱連通している、熱交換器と、を備える。
【0007】
追加の実施形態によれば、放射線撮像システム用の放射線検出器は、ベース部分と、ベース部分から離間された円弧部分と、を備える、支持構造体を備え、円弧部分は、円弧部分によって少なくとも部分的に画定された円形状の中心に面する複数のファセットを備える第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、を備える。放射線検出器は、ベース部分と円弧部分との間に少なくとも部分的に位置する、冷却構造体と、複数のファセットの各ファセットに結合された検出器モジュールであって、各ファセットが、それぞれの検出器モジュールと直接熱連通しており、各検出器モジュールが、検出器ユニットを備える、検出器モジュールと、を更に備える。
【0008】
更なる実施形態は、放射線システムであって、放射線検出器を備え、放射線検出器が、検出領域の周りを回転するように構成されたクレードルの円弧部分上に配置された、複数の検出器モジュールであって、各検出器モジュールが、主表面を有する検出器ユニットを備え、主表面が、主表面から、円弧部分によって少なくとも部分的に画定された円の中心まで延在する線に略垂直である、複数の検出器モジュールと、複数の検出器モジュールの反対側の、円弧部分の側面にあり、円弧部分から熱を伝達するように構成された、冷却構造体と、を備える、放射線システムを含む。
【0009】
更に追加の実施形態によれば、放射線走査システムは、ロータと、ロータに結合された放射源と、放射源の反対側でロータに結合された放射線検出器と、を備える。放射線検出器は、円弧部分であって、その第1の側面に複数のファセットを含む、円弧部分と、複数のファセットの各ファセットに結合された検出器モジュールと、円弧部分の第2の側面と熱連通している冷却構造体と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態による、透過放射線に基づく走査を実行するための走査システムの概略図である。
図2A】本開示の実施形態による、放射線検出器の簡略斜視図である。
図2B図2Aの放射線検出器の簡略正面図である。
図2C図2Aの放射線検出器の簡略上面図である。
図2D図2Bの切断線D-Dを通る、放射線検出器の簡略断面図である。
図2E】フロントカバーを含む、図2Aの放射線検出器の簡略正面図である。
図2F】トップカバーを含む、図2Aの放射線検出器の簡略斜視図である。
図3】本開示の実施形態による、検出器モジュールの簡略斜視図である。
図4A】本開示の実施形態による、検出器ユニットの簡略斜視図である。
図4B】本開示の実施形態による、検出器ユニットの簡略斜視図である。
図5A】本開示の実施形態による、放射線検出器の簡略断面図である。
図5B】本開示の他の実施形態による、放射線検出器の簡略断面図である。
図5C】本開示の追加の実施形態による、放射線検出器の簡略断面図である。
図6】本開示の実施形態による、放出放射線に基づく走査を実行するための走査システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示で提示される図面は、放射線に基づく(例えば、コンピュータ断層撮影(CT))走査を実行するための任意の特定の走査システム、又はその構成要素若しくはその構成要素の実際の図であることを意味するものではなく、例示的な実施形態を説明するために用いられる理想化された表現にすぎない。したがって、図面は必ずしも縮尺通りではない。
【0012】
以下の説明は、本明細書に記載される実施形態の完全な説明を提供するために、材料タイプ、材料の厚さ、及び処理技術などの特定の詳細を提供する。しかしながら、当業者は、本開示の実施形態が、これらの特定の詳細を用いることなく実施され得ることを理解するであろう。実際、本開示の実施形態は、業界で用いられる従来の製造技術と併せて実施され得る。加えて、以下に提供される説明は、クレードルを備える検出器アレイを含む走査システム用の完全な装置又はシステムを形成しない。本開示の実施形態を理解するために必要なプロセス動作及び構造のみが、以下で詳細に説明される。また、本出願に添付の任意の図面は、例示目的のみのためであり、したがって、原寸に比例して描かれていないことに留意されたい。それに加えて、図面間で共通する要素は同じ数字表記を有することがある。
【0013】
開示された実施形態は、一般に、走査システムを用いて生成された画像内のアーチファクト及び他のノイズを低減し得る、放射線に基づく走査を使用して、平行移動された対象物を検査するように構成された、走査システムに関する。より具体的には、走査システムの放射線検出器の検出器モジュールの温度を制御し、使用中及び動作中に検出器モジュールに構造支持体を提供して、生成された画像内のアーチファクトを低減するように構成された、走査システムの実施形態が開示される。加えて、本明細書に開示される走査システムは、検出器モジュールを正確な場所に配置し、走査システムの他の構成要素に対して位置合わせすることを容易にすることができ、(例えば、検出器モジュールの交換を容易にすることによって)走査システムの保守性を容易にすることができる。
【0014】
本開示及び特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)で使用される用語は、一般に、「オープン」という用語として意図されている(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むが、それに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、それに限定されない」と解釈されるべきであるなど)。本明細書で使用される場合、「各々(each)」は、いくつか又は全体を意味する。本明細書で使用される場合、「各々及び全て(each and every)」は、全体を意味する。
【0015】
それに加えて、導入される請求項記載の特定の数が意図される場合、そのような意図は、請求項において明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しない。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記載を導入するために、導入句「少なくとも1つ(at least one)」及び「1つ以上(one or more)」の使用を含み得る。しかしながら、そのような句の使用は、同じ請求項が導入句「1つ以上(one or more)」又は「少なくとも1つ(at least one)」、及び「a」又は「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」又は「an」による請求項記載の導入が、そのような導入された請求項記載を含む任意の特定の請求項を、1つのみのそのような記載を含む実施形態に限定することを暗示するように解釈されるべきではなく(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つ(at least one)」又は「1つ以上(one or more)」を意味するように解釈されるべきである)、請求項記載を導入するために使用される定冠詞の使用についても同じことが当てはまる。
【0016】
加えて、導入される請求項の記載の特定の数が明示的に記載されている場合であっても、当業者は、そのような記載が、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語句を伴わない「2つの記載(two recitations)」という明白な記載は、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ(at least one of A, B, and C, etc.)」又は「A、B、及びCなどのうちの1つ以上(one or more of A, B, and C, etc.)」に類似する慣習が使用される場合、一般に、そのような構成は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBをともに、A及びCをともに、B及びCをともに、又はA、B、及びCをともになどを含むことを意図している。
【0017】
更に、2つ以上の代替用語を提示する任意の離接語又は離接句は、説明、特許請求の範囲、又は図面のいずれにおいても、用語のうちの1つ、用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図するものと理解されるべきである。例えば、「A又はB」という句は、「A」若しくは「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるべきである。
【0018】
本明細書で使用される場合、所与のパラメータ、特性、又は状態に関して「実質的に」及び「約」という用語は、当業者であれば理解するであろう程度まで、所与のパラメータ、特性、又は状態が、許容可能な製造公差内など、ある程度の差異で満たされていることを意味し、それを含む。例えば、「実質的に」又は「約」特定の値であるパラメータは、特定の値の少なくとも約90%、特定の値の少なくとも約95%、特定の値の少なくとも約99%、又は特定の値の少なくとも約99.9%であってもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「底部(bottom)」、及び「上部(top)」などの空間的に相対的な用語は、図に示されるように、1つの要素の別の要素に対する関係を識別する際の説明を容易にするためのものである。他に特定されない限り、空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、材料の異なる方向を包含することを意図している。したがって、「上側(upper)」という用語は、デバイスの向きに応じて、他の要素の上、下、左、又は右の要素を包含することができる。材料は、別様に配向されてもよく(限定ではないが、90度回転、反転)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈され得る。
【0020】
本明細書では、「結合された(coupled)」という用語及びその派生語は、2つの要素が互いに協働又は相互作用することを示すために使用され得る。ある要素が別の要素に「結合されている(coupled)」と記載されている場合、それらの要素は、直接物理的若しくは電気的に接触していてもよく、又は介在する要素若しくは層が存在していてもよい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接結合されている(directly coupled)」と記載されている場合、介在する要素又は層は存在しない。「上(on)」及び「接続されている(connected)」という用語は、本説明では、「結合されている(coupled)」という用語と互換的に使用され得、別段に明示的に示されない限り、又は文脈が別段に当業者に示さない限り、同じ意味を有する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「弧(arc)」は、円弧、又は円弧の一部分を意味する。
【0022】
本明細書に記載される実施形態によれば、走査システム(例えば、撮像システム、放射線撮像システム、放射線走査システム)は、放射源を含むガントリと、検出器アレイを含む放射線検出器とを備え、検出器アレイは、放射源と放射線検出器との間に画定された検査領域に位置する対象物を通過して衝突した放射線光子を観察する(例えば、限定ではないが、測定する、検出する)ように構成されている。放射線検出器は、ガントリに動作可能に結合されるように構成された支持構造体を備える、検出器アレイを備える。支持構造体は、複数の検出器モジュールを担持するように構成された円弧部分を含み得る。円弧部分は、支持構造体及びそれによって担持される検出器アレイの実質的に全長に及ぶようなサイズ及び形状であってもよい。円弧部分は、複数のファセットを含み得、各ファセットは表面を含み、それぞれの表面が、少なくとも一部の入射放射線の放射経路(例えば、限定ではないが、放射源とファセットの表面との間の仮想線)に対して略垂直な角度で配向されるように配置されている。各ファセットは、各それぞれのファセットの表面に1つ以上の検出器ユニット(例えば、限定ではないが、検出器タイル)を含む検出器モジュールと結合されてもよく、各ファセットの表面は、放射源に向かって内側に向いている。言い換えれば、各ファセットは、放射源からの放射線を約90度の入射角で受け取るために、放射源に向かって配向されている表面を含み得る。各ファセットの表面は、検出器ユニットを受け入れるように構成され得る。検出器モジュールは、1つ以上の検出器ユニットが支持されている、ベース構造体を含み得る。検出器モジュール(例えば、検出器モジュールのベース構造体)は、ファセットによって実質的に完全に支持され得る。別の言い方をすれば、単一の検出器モジュールの表面の実質的に全ては、ファセットと接触している検出器モジュールの表面のどの部分も、ファセットによって支持されていない(例えば、限定ではないが、検出器モジュールは、ファセットの表面に接触することなく、ファセットの異なる部分間に広がる支持されていない部分を含まない)ように、ファセットのうちの単一のファセットの表面に接触してもよい。開示された検出器モジュールの実質的に全てがファセットによって支持されているので、放射線システムの動作(例えば、限定ではないが、ガントリの回転)中、検出器モジュールは、従来の検出器モジュール及び放射線システムにあるような撓み若しくは曲げを受けないか、又は取るに足らない撓み若しくは曲げを受け、走査システムによって生成された画像におけるノイズ及び/又はアーチファクト耐性を改善し(例えば、限定ではないが、撓み又は曲げによって引き起こされ得るノイズ又はアーチファクトを制限し)、生成された画像の品質を改善し得る。加えて、本明細書に開示される検出器モジュールは、例えば、90°などの角度で支持構造体に取り付けられ得る従来の走査システムの検出器モジュールの交換と比較して、円弧部分のファセット上の検出器モジュールの位置により、より容易にアクセス及び交換され得る。
【0023】
本明細書に開示される実施形態によれば、検出器モジュールは、ファセットと直接熱接触していてもよい。ファセットは、円弧部分の一部分を形成してもよく、円弧部分の第1の側面に位置してもよい。円弧部分は、検出器モジュールを担持する支持構造体の実質的に全長に延在する、熱質量を画定することができる。1つ以上のヒータ要素は、円弧部分の第2の側面と熱連通し得、円弧部分の温度を所望の温度に維持するように構成され得る。加えて、円弧部分の第2の側面は、円弧部分から熱を除去するための1つ以上の熱交換器と熱連通し得る。いくつかの実施形態では、熱交換器は、冷却要素、例えば、冷却フィン、水冷器(water cooler)、又は冷却器(chiller)のうちの1つ以上を含む。動作において、検出器モジュールが示す温度は、円弧部分の第2の側面を熱交換器と接触させることなどによって、円弧部分を通して間接的に制御され得る。非限定的な例として、検出器モジュールの温度は、それぞれのヒータ要素又は冷却要素によって直接加熱又は冷却されるのではなく、円弧部分を通して制御され得る。円弧部分を通して検出器モジュールの温度を制御することにより、動作中のロータ及び検出器モジュールの回転中の空気の通過によって冷却される従来の走査システムに対して、検出器モジュール内の温度変動を低減し得、検出器モジュールの温度変化の時定数を増加させ得る。別の言い方をすれば、走査システムの動作中に円弧部分に結合された検出器モジュールの温度変化率は、従来の走査システムの検出器モジュールよりも実質的に小さくすることができる。走査システムの検出器モジュールの温度安定性の増大により、温度変化に起因する測定誤差を低減し得、走査システムから生成された画像の品質を改善し得る。
【0024】
図1は、本開示の実施形態による、透過放射線に基づく(例えば、CT)走査を実行するための走査システム100の概略図である。本開示による技術は、例えば、CTシステム、回折システム、及び/又は、放射線検出器システムを含む他のシステムへの適用性を見つけ得る。走査システム100は、1つ以上の対象物102(例えば、限定ではないが、ヒト被験体、空港における一連のスーツケース、貨物、小包)を検査するように構成され得る。走査システム100は、例えば、ステータ104と、ステータ104に対して回転可能なロータ106と、を含み得る。検査中、対象物102は、検査領域110(例えば、対象物102が放射線112に曝露されているロータ106内の中空部)内に選択的に位置決めされている、例えば、ベッド、ローラコンベヤ、又はコンベヤベルトなどの支持体108上に位置してもよく、ロータ106は、モチベータ115(例えば、限定ではないが、モータ、駆動軸、チェーン)によって対象物102の周りを回転され得る。
【0025】
ロータ106は、検査領域110の一部分を囲み得、例えば、少なくとも1つの放射源114(例えば、限定ではないが、電離X線源、ガンマ線源)を支持するガントリとして構成され得、少なくとも1つの放射源114は、検査領域110に向かって放射線を放出するように配向され、少なくとも1つの放射線検出器116は、放射源114に対して検査領域110の実質的に正反対の側(ロータ106の実質的に正反対の側であってもよい)で支持される。走査システム100による対象物102の企図された検査中に、放射源114は、検査領域110に向かって扇形及び/又は円錐形の放射線112構成を放出する。放射線112は、例えば、少なくとも実質的に連続的又は断続的(例えば、放射線112のパルスの後に、放射源114が作動されていない休止期間が続く)に放出されてもよい。
【0026】
放出された放射線112が検査領域110及び対象物102を通過すると、放射線112は、対象物102の異なる態様によって異なるように減衰され得る。異なる態様は異なる量(例えば、限定ではないが、パーセンテージ)の放射線112を減衰させるので、画像は、放射線検出器116によって検出される放射線光子の数の減衰又は変動に基づいて生成され得る。非限定的な例として、無機材料などの対象物102のより高密度の態様は、有機材料などのより低密度の態様よりも、放射線112のより多くを減衰させ得る(例えば、放射線検出器116によって検出される光子をより少なくする)。
【0027】
放射線検出器116は、例えば、互いに動作可能に接続されて放射線検出器116を形成する、1つ以上の検出アセンブリ(検出モジュール、検出器モジュールなどとも呼ばれる)上にパターン状(例えば、行又はアレイ)に配置された、多くの個々の検出器要素を含み得る。いくつかの実施形態では、検出器要素は、検出された放射線をアナログ信号に(例えば、シンチレータアレイ及び光検出器を使用して)間接的に変換するように構成され得る。他の実施形態では、検出器要素は、検出された放射線をアナログ信号に直接的に変換するように構成される。更に、放射線検出器116又はその検出アセンブリは、アナログ信号をフィルタリングし、アナログ信号をデジタル化し、並びに/又は、それによって生成されたアナログ信号及び/若しくはデジタル信号を別様に処理するように構成された、例えば、アナログデジタル(analog-to-digital、A/D)変換器などの電子回路を含み得る。電子回路から出力されたデジタル信号は、放射線検出器116から、デジタル信号に関連付けられたデータを記憶すること、及び/又は、デジタル信号を更に処理することを行うように構成された、デジタル処理構成要素に伝達され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、デジタル信号は、好適な解析的、反復的、及び/又は他の再構成技術(例えば、限定ではないが、逆投影再構成、トモシンセシス再構成、反復的再構成)を使用して、デジタル信号から、画像空間データ(画像とも呼ばれる)を生成するように構成された、画像生成器118に送信され得る。このようにして、データは、投影空間から、例えば、画像を視聴するユーザ120によってより理解可能であり得る領域である、画像空間に変換され得る。そのような画像空間データは、対象物102の二次元的表現及び/又は対象物102の三次元的表現を示し得る。他の実施形態では、デジタル信号は、脅威解析構成要素121などの、処理用の、他のデジタル処理構成要素に送信され得る。
【0029】
図示された走査システム100はまた、画像を受信するように構成された端末122(例えば、ワークステーション又は他のコンピューティングデバイス)も含み得、画像は、モニタ124上でユーザ120(例えば、限定ではないが、保安要員、医療要員)に表示され得る。このようにして、ユーザ120は、対象物102内の関心領域を特定するために、画像を検査することができる。端末122はまた、走査システム100の動作(例えば、限定ではないが、支持体108が移動する速度、放射源114の作動)を指示し得るユーザ入力を受信するようにも構成され得、ネットワーク(例えば、限定ではないが、ローカルエリアネットワーク又はインターネット)を通して追加の端末122にも接続され得る。
【0030】
制御システム126は、端末122に結合(例えば、動作可能に結合)されてもよい。制御システム126は、走査システム100の少なくとも一部の動作を自動的に制御するように構成され得る。例えば、制御システム126は、支持体108が検査領域110を通って移動する速度、ロータ106がステータ104に対して回転する速度、放射源114の作動、停止、及び出力レベル(例えば、放射源114によって放出された放射線の強度)、又は、これら及び/若しくは他の動作パラメータの任意の組み合わせ又は部分的組み合わせを、直接的及び/又は間接的に、自動的に、かつ動的に制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御システム126はまた、端末122から手動オーバーライド命令を受け入れることもでき、手動オーバーライド命令に基づいて走査システム100の動作パラメータを修正するための命令を、走査システム100に発行することもできる。制御システム126は、走査システム100の残りの部分に近位に位置してもよく(例えば、残りの構成要素と同じ筐体内又は同じ室内に組み込まれ得る)、又は、走査システム100から遠位に位置してもよい(例えば、オンサイト制御室、オフサイトサーバの場所、クラウドストレージシステムなどの別の部屋に位置し得る)。制御システム126は、単一の走査システム100を制御するための専用のものであってもよいし、動作グループ又はサブグループ内の複数の走査システム100を制御してもよい。
【0031】
図2Aは、本開示の実施形態による、放射線検出器200の簡略斜視図である。非限定的な例として、放射線検出器200は、図1の放射線検出器116の全体又は一部分を形成することができる。図2Bは、放射線検出器200の簡略正面図であり、図2Cは、放射線検出器200の簡略上面図であり、図2Dは、図2Bの切断線D-Dを通る、放射線検出器200の簡略断面図である。図2Eは、本開示の実施形態による、フロントカバーが支持構造体に取り付けられた放射線検出器200の簡略正面図であり、図2Fは、トップカバーが検出器アレイの上にある放射線検出器200の簡略斜視図である。放射線検出器200はまた、本明細書では「検出器測定システム」(detector measurement system、DMS)と呼ばれることもある。
【0032】
図2A図2Dを参照すると、放射線検出器200は、ベース部分204と、ベース部分204の垂直上方にあり、側壁208によってベース部分204に接続された円弧部分206と、を含む、支持構造体202(本明細書では「サドル」、「クレードル」、又は「フレーム」と呼ばれることもある)を含み得る。
【0033】
ベース部分204、円弧部分206、及び側壁208の各々は、単一の本体又は要素を含み得る。別の言い方をすれば、ベース部分204、円弧部分206及び側壁208は、一体部材を形成することができる。言い換えれば、いくつかのそのような実施形態では、ベース部分204、円弧部分206及び側壁208は、連続構造体を形成する。いくつかの実施形態では、ベース部分204、円弧部分206及び側壁208は、同じ材料組成から形成され、同じ材料組成を含む。いくつかの実施形態では、支持構造体202は、例えば、アルミニウムなどの(他の金属と比較して)比較的低密度を呈する金属を含む。しかしながら、本開示はそのように限定されず、支持構造体202は、上述したものとは異なる材料組成を含み得る。加えて、非限定的な例として、任意の好適な技術を使用して結合されている部分など、支持構造体202の構造を形成する非単一性の本体又は要素は、本開示の範囲を超えない。いくつかの実施形態では、支持構造体202(例えば、ベース部分204、円弧部分206及び側壁208)は、入射放射線250に対して遮蔽特性を呈する材料を含む。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、支持構造体202は、タングステンを含む。
【0034】
支持構造体202は、円形状などの略円弧形状を呈し得る。いくつかの実施形態では、円弧部分206は、切頭円形状などの実質的な円形状を呈する。言い換えれば、円弧部分206は、実質的な円形状を呈し得るが、完全な円を画定しない可能性もある。いくつかの実施形態では、支持構造体202(及び円弧部分206)の円形状の中心は、放射線の焦点(例えば、放射源114(図1))に相当し得る。別の言い方をすれば、放射源114は、一部分が、円弧部分206を含む支持構造体202によって画定されている円形状の中心に位置してもよい。本明細書で説明するように、他の実施形態では、支持構造体202は、六角形若しくは部分的な六角形、切頭円形状を呈する部分及び直線形状を含む他の部分、又はU字型構造などの、異なる形状を呈する。
【0035】
円弧部分206は、支持構造体202の実質的な全長に沿って(例えば、X方向に)延在し得る。例えば、円弧部分206は、支持構造体202の長さに沿って、1つの側壁208から別の側壁208まで延在し得る。本明細書で説明するように、円弧部分206は、放射線検出器200の検出器モジュール240を担持するように構成され得る。
【0036】
放射線検出器200は、支持構造体202に取り外し可能に取り付けられるように構成されたバックプレート210を含み得る。図2Aに示す特定の非限定的な例では、バックプレート210は、放射線検出器200のバックプレート210をロータ106(図1)に結合するための1つ以上の締結具を受け入れるように構成された開口部212を含み得る。締結具は、非限定的な例として、バックプレート210をロータ106に取り付ける(例えば、固定する)ように構成されたボルト、ねじ、又は他の構造体を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、バックプレート210は取り付け要素であり、放射線検出器200の支持構造体202をロータ106に接合するように構成されている。言い換えれば、バックプレート210は、ロータ106への放射線検出器200の好適な取り付けを容易にするための、位置合わせ要素などの物理的特徴を含み得る。位置合わせ要素は、非限定的な例として、バックプレート210、支持構造体202及びロータ106をユーザが適切に配向及び位置合わせするのを支援する視覚的位置合わせ要素と、適切な配向及び位置合わせを容易にするための、嵌合的に適合する位置合わせ要素と、を含み得る。いくつかの実施形態では、バックプレート210は、ロータ106に対するバックプレート210の位置合わせを容易にするように構成された、追加の開口部214を更に備える。
【0037】
いくつかの実施形態では、放射線検出器200は、ベース部分204などの支持構造体202に取り外し可能に取り付けられるように構成されたベース構造体を含み得る。ベース構造体は、1つ以上の電子基板を受け入れるための表面を含み得る。本明細書で使用される場合、「電子基板」という用語は、電子機器を意味し、集積回路(integrated circuit、IC)、特定用途向け集積回路、デジタル論理回路、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。電子基板の電子機器は、プリント回路基板、フレキシブル回路、ワイヤリングハーネス、及びそれらの組み合わせなどの、任意の好適な相互接続によって結合される、開示された実施形態又はその一部を実行するためのいくつかの機能ブロックを含み得るが、これらに限定されない。
【0038】
円弧部分206は、本明細書で説明するように、検出器モジュール240のうちの1つを受け入れるように構成されたファセット230を含み得る。各ファセット230は、検出器モジュール240に結合されるように構成され得る。理解を明確かつ容易にするために、図2Aは、4つの検出器モジュール240それぞれに結合された4つのファセット230のみを示す。しかしながら、検出器モジュール240がファセット230の各々に結合され得ることが理解されるであろう。
【0039】
ファセット230は、円弧部分206の上面(例えば、第1の表面)上に位置してもよく、空間232(図2C)によって互いに離間されてもよい。ファセット230を含む円弧部分206の上面は、ファセット230が、円弧部分206を含む支持構造体202によって少なくとも部分的に画定された円の中心に面するように配向され得る。
【0040】
図2A図2Dは、特定の数(図示された特定の非限定的な例では36個)のファセット230を示しているが、追加の又はより少ないファセット230は、本開示の範囲を超えない。いくつかの実施形態では、円弧部分206は、より少ないファセット230(例えば、30個未満のファセット230、26個未満のファセット230、22個未満のファセット230、18個未満のファセット230、又は16個未満のファセット230)を備える。他の実施形態では、支持構造体202は、より多数のファセット230(例えば、40個を超えるファセット230、50個を超えるファセット230、又は更に60個を超えるファセット230)を備える。
【0041】
各ファセット230は、検出器モジュール240をそれぞれのファセット230に取り付けるように構成された、開口部234(図2C)を個々に含み得る。ファセット230は各々、対応する検出器モジュール240の相補的な(例えば、限定ではないが、対応する)表面に結合される(例えば、受け入れる)ように構成された、表面236を含み得る。1つ以上の実施形態では、表面236は略平面状であってもよいが、非平面表面236は本開示の範囲を超えない。いくつかの実施形態では、各ファセット230の表面236は、その中心が、放射源114(図1)からの意図された放射線250に対して略直角に方向付けられるように、配向される。いくつかの実施形態では、表面236は、放射源114から放出された放射線250の経路に対して、表面236が略垂直であるように配向され得る。言い換えれば、表面236は、それぞれの表面236から、支持構造体202の円弧部分206によって少なくとも部分的に画定された円の中心まで延在する線に対して、略垂直であるように配向され得る。いくつかの実施形態では、表面236は、表面236に衝突する少なくとも一部の放射線光子の入射角が略90度であるように、放射源に対して配向され得る。場合によっては、ファセット230に取り付けられた検出器モジュール240の表面は、放射源から関心ファセットに投影された仮想線に対して直角に配向されている(場合によっては、限定ではないが、検査中に放射源から放出された放射線が伝播する経路に沿った特定の場所を使用する)。
【0042】
表面236は、走査システム100(図1)の使用中及び動作中(例えば、ロータ106(図1)の回転中)に検出器モジュール240に構造支持体を提供するために、対応する検出器モジュール240の表面の実質的に全て又は一部分を受け入れて接触するような、サイズ及び形状であってもよい。表面236に結合されると、検出器モジュール240は、放射源114(図1)からの放射線250の方向に面するように配向され得る。ファセット230の表面236は、ファセット230又は円弧部分206を含まない従来の検出器アレイと比較して、検出器モジュール230の所望の配置の精度の改善を促進することができる。非限定的な例として、本開示の発明者に既知の従来の検出器アレイは、検出器モジュールを受け入れるように構成された取付ブラケットの表面に対してある角度(例えば、直角)で配向された検出器アレイ支持構造体に取り付けられる主表面を含む取付ブラケット又はブロックを用いて検出器アレイ支持構造体(例えば、クレードル)に取り付けられている、検出器モジュールを含み得る。そのような構成は、典型的には、互いに直角に配向されている正確な表面の製造を必要とし、それは、検出器アレイ支持構造体に対する検出器モジュールのずれの可能性、及び製造/アセンブリのコストを増大させる。加えて、本明細書で説明するように、ファセット230の開口部234は、従来の走査システムの検出器モジュールの設置及び交換と比較して、ファセット230の表面236からの検出器モジュール240の設置及び取り外しなど、放射線検出器200の保守性を容易にする。
【0043】
検出器モジュール240は、検出器モジュール240に入射する放射線250の減衰を示す撮像信号を生成するように構成され得る。より具体的には、検出器モジュール240は、検出された放射線250をアナログ撮像信号又はデジタル撮像信号に間接的に変換する(又は直接的に変換するように構成され得る。例えば、放射線(例えば、限定ではないが、放射線250)を撮像信号に間接的に変換するように構成された検出器モジュール240は、本明細書で説明するように、シンチレータサブアセンブリ及び検出器サブアセンブリを含み得る。非限定的な例として、放射線(例えば、限定ではないが、放射線250)を直接的に変換するように構成された検出器モジュール240は、放射線、及び放射線を示すアナログ信号又はデジタル信号に応答して、電荷又はその表現を生成するように適合された材料及び/又は回路を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、検出器モジュール240は、例えば、限定ではないが、テルル化カドミウム亜鉛(cadmium zinc telluride、CZT)又は別の直接変換材料を含む、検出器サブアセンブリを含み得る。
【0044】
支持構造体202の側壁208及び円弧部分206は、円弧部分206を通して検出器モジュール240の冷却を提供するために、円弧部分206に熱的に結合するように構成された1つ以上の熱交換器245(例えば、冷却構造体)を少なくとも部分的に受け入れるように構成された、空洞255を画定することができる。いくつかの実施形態では、熱交換器は、フィン252(例えば、冷却フィン)であって、流体(例えば、空気)をフィン252を横切って(例えば、フィン252に隣接して)通過させることによって、周囲環境と熱エネルギーを交換するように構成された、フィン252を含む。別の言い方をすれば、本明細書で説明するように、空洞255は、フィン252と熱交換するための流体に流体結合されるように構成され得る。空洞255は、円弧部分206の下面(例えば、第2の表面)によって、少なくとも部分的に画定され得る。いくつかの実施形態では、空洞255は、円弧部分206からフィン252を通して熱を伝達するために、空洞255及びフィン252を通る空気の流れを促進するような、サイズ及び形状である。空洞255は、フィン252からの熱伝達を促進するために、空洞255に空気を供給するように構成されたファン290(図2D図2E図2F)と動作可能に連通していてもよい。
【0045】
フィン252は、例えば、銅、アルミニウム又は別の材料などの金属を含み得る。いくつかの実施形態では、フィン252は、支持構造体202と同じ材料組成を含む。いくつかの実施形態では、フィン252は、アルミニウム(例えば、アルミニウム含有材料)を含む。いくつかの実施形態では、フィン252は、支持構造体202とは異なる材料組成を含む。いくつかの実施形態では、フィン252は、支持構造体202と一体であり、例えば、ベース部分204の表面から円弧部分206の下面まで延在する。他の実施形態では、フィン252は、支持構造体202に取り外し可能に結合されるように構成されている。例えば、フィン252は、空洞255内から取り外し可能であり得、支持構造体202から取り外され得る。
【0046】
フィン252は、円弧部分206の少なくとも一部分と直接熱接触及び物理的に接触していてもよい。いくつかの実施形態では、フィン252は、円弧部分206の下面に直接接触する。上述したように、円弧部分206は、検出器モジュール240と外部環境(例えば、フィン252を通って循環する空気)との間の熱移動(例えば、熱伝達)を促進するように構成され得る。フィン252は、円弧部分206から外部環境への所望の量の熱移動(例えば、熱伝達)を促進するような、サイズ、形状、及び間隔であってもよい。
【0047】
図2A及び図2Dを参照すると、放射線検出器200は、円弧部分206に熱を提供するように構成された1つ以上のヒータ要素を更に含み得る。例えば、放射線検出器200の前面は、ヒータ要素260a(図2A図2D)を含み得、放射線検出器200の背面は、ヒータ要素260b(図2D)を含み得、本明細書では、これらはまとめてヒータ要素260と呼ばれる。図2Aのヒータ要素260aは、ヒータ要素が円弧部分206の下(例えば、円弧部分206とフィン252との間)に位置することを示すために、破線で示されている。いくつかの実施形態では、ヒータ要素260からの熱は、それぞれのファセット230を通して、円弧部分206を通って検出器モジュール240に伝達される。いくつかの実施形態では、ヒータ要素260は、円弧部分206の温度を実質的に均一な温度に維持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ヒータ要素260は、ファセット230及び検出器モジュール240の温度を、室温より高い(例えば、約20℃より高い、約25℃より高い)温度に維持するように構成されている。
【0048】
ヒータ要素260は、例えば、ファセット230の前後(例えば、Z方向)に位置してもよい。例えば、ヒータ要素260aは、ファセット230の前に位置してもよく、ヒータ要素260bは、ファセット230の後に位置してもよい。いくつかの実施形態では、ヒータ要素260は、円弧部分206の実質的な全長(例えば、X方向)に沿って延在し得る。
【0049】
ヒータ要素260は各々、例えば、抵抗ヒータを含み得る。例えば、ヒータ要素260は各々、ストリップヒータ、リボンヒータ、カートリッジヒータ、管状ヒータ、バンドヒータ、ワイヤ要素ヒータ、オープンコイルヒータ、フレキシブルヒータ又は別のタイプの加熱要素を含み得る。ヒータ要素260は、例えば、限定ではないが、ニッケル合金(例えば、NiCr、FeCrAl、CuNi)、モリブデン合金、ステンレス鋼合金、タングステン合金、セラミック材料(例えば、MoSi、SiC、グラファイト)、又は別の材料を含み得る。
【0050】
放射線検出器200は、放射線検出器200の1つ以上の部分の温度の表示を提供するための、1つ以上の温度センサ262を含み得る。温度センサ262は、ファセット230の温度又はその近位の温度など、放射線検出器200の1つ以上の部分の温度を測定するように配置され得る。いくつかの実施形態では、温度センサ262は、ファセット230内又は円弧部分206内に形成された空洞内に位置する。
【0051】
ファセット230と直接物理的及び熱接触している検出器モジュール240は、加熱要素260及び熱交換器245(例えば、フィン252)と熱的に接触しているファセット230によって、加熱及び冷却され得る。したがって、円弧部分206の温度は、ヒータ要素260及びフィン252によって制御され得る。いくつかの実施形態では、検出器モジュール240の温度は、検出器モジュール240とファセット230との間の熱移動によって間接的に制御される。したがって、検出器モジュール240が直接結合されているファセット230を含む円弧部分206は、検出器モジュール240及び放射線検出器200の温度制御の改善を促進する。
【0052】
放射線検出器200(例えば、検出器モジュール240、支持構造体202、ファセット230及び円弧部分206のうちの1つ以上)の温度は、温度制御システムを用いて制御され得る。例えば、温度センサ262のうちの1つ以上は、コントローラに電気的に結合され得る。コントローラは、容積を通してフィン252にわたって空気を方向付けるための1つ以上のファン290に動作可能に結合され得、ヒータ要素260のうちの1つ以上に動作可能に結合され得る。ファン290及びヒータ要素260は、1つ以上の電子基板を通して、コントローラと電気通信し得る。コントローラは、1つ以上の制御信号(図示せず)を介して、フィン252を通る空気の流れ、及び抵抗ヒータ260への電力の一方又は両方を調整することによって、検出器モジュール240の温度を制御するように構成され得る。1つ以上の実施形態では、温度は、当業者に既知の制御アルゴリズム又は制御法則を実行するコントローラの制御ループに応答して、制御され得る。
【0053】
図2A及び図2Eを参照すると、使用及び動作において、放射線検出器200は、支持構造体202に結合されるように構成されたカバー292を含み得る。カバー292は、使用中及び動作中に、空洞255を通りフィン252を横切る空気の流れが、放射線検出器200の回転速度から独立しているように、空洞255を取り囲むように構成され得る。いくつかの実施形態では、ファン290はカバー292に結合されている。いくつかの実施形態では、支持構造体202は、カバー292を支持構造体202に結合するための締結具を受け入れるための開口部294を含む。
【0054】
図2Fを参照すると、いくつかの実施形態では、放射線検出器200は、支持構造体202に動作可能に結合されるように構成されたトップカバー295を含む。トップカバー295は、放射線250に対して透過的であってもよい。図2Aを参照すると、いくつかの実施形態では、放射線検出器200は、放射線検出器200の望ましくない部分から放射線250を遮蔽するように構成された、遮蔽材料296を含む。いくつかの実施形態では、遮蔽材料296は、タングステンを含む。いくつかの実施形態では、遮蔽材料270は、隣接するファセット230間の空間232内に位置してもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽材料270は、タングステンを含む。
【0055】
上述したように、放射線検出器200は、検出器モジュール240及び走査システム100(図1)の動作を容易にするために、より具体的には、検出器モジュール240と放射線検出器200との間の電気通信を容易にするために、1つ以上の電子基板を含み得る。電子基板の電子機器は、放射線検出器200及びロータ106(図1)を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電子基板は、走査システム100(図1)全体にわたって電力を分配し、例えば、ロータ106と、システム100及び放射線検出器200を走査する他の構成要素との間で信号をやりとりするように構成され得る。
【0056】
放射線検出器200は、ファン290及びフィン252を含む熱交換器245を含むものとして説明及び図示されているが、本開示はこれに限定されない。他の実施形態では、円弧部分206及び検出器モジュール240の温度を冷却するように構成された熱交換器245は、他の構造を含み得る。例えば、熱交換器245は、冷却器又は水冷器を含む冷却構造体を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、空洞255は、フィン252を含まない場合があり、例えば、水冷によって円弧部分206の温度を制御するために冷却水が流れるパイプを含む、冷却器を含む場合がある。いくつかの実施形態では、円弧部分206は、その温度を制御するために水を流すことができるパイプ又はチャネルを含む構造体と熱連通している。非限定的な例として、空洞255は、フィン252を含まない場合があるが、円弧部分206の下部と接合し、水を流すように構成されたチャネルを含む、構造体を含む場合がある。構造体の温度及び円弧部分206の温度は、チャネルを通って流れる流体(例えば、水)の温度、流体の流量、チャネルの表面積、及びチャネルの容積のうちの1つ又は両方に基づいて制御され得る。いくつかの実施形態では、空洞255は、中に1つ以上のチャネルを含む固体材料で置き換えられる。他の実施形態では、円弧部分206の少なくとも一部分は、円弧部分206の温度を制御するために水を流すことができるパイプを含み得る。
【0057】
図3は、本開示の実施形態による、検出器モジュール300の簡略斜視図である。検出器モジュール300は、図2Aの検出器モジュール240を含み得る。検出器モジュール300は、第1の表面312、及び第1の表面312の反対側の第2の表面314を含むベース構造体310と、ベース構造体310の上に重なる1つ以上の検出器ユニット320と、検出器ユニット320の上に重なる散乱防止モジュール(anti-scatter module、ASM)330と、を含み得る。検出器モジュール300は、ベース構造体310に動作可能に結合されたハンドル340を更に含み得る。各検出器ユニット320は、本明細書では「検出器タイル」又は単に「タイル」と呼ばれることがある。散乱防止モジュールは、走査されている対象物(例えば、対象物102(図1))によって散乱された、望ましくない放射線を吸収することができる。
【0058】
検出器モジュール300は、検出器モジュール300を放射線検出器200に(例えば、放射線検出器200の電子基板などに)電気的に接続するための1つ以上のコネクタを含み得る。
【0059】
検出器モジュール300は、ファセット230(図2C)の開口部234(図2C)の間隔及び場所に対応する、開口部360又は切欠き部分を含み得る。いくつかの実施形態では、検出器モジュール300は、開口部360を、対応するファセット230の開口部234と位置合わせし、締結手段(例えば、ボルト、ねじ、他の構造体)を用いて、検出器モジュール300を対応するファセット230に固定することによって、ファセット230の表面236に取り付けられ得る。
【0060】
検出器ユニット320の表面は、ベース構造体310の第2の表面314に直接接触することができる。検出器ユニット320は、ベース構造体310の第2の表面314と直接熱接触していてもよい。いくつかの実施形態では、第1の表面312は、略平面状であってよく、対応するファセット230の表面236に接触してよく、第2の表面314は、略平面状であってよく、第1の表面312に平行であってよく、1つ以上の検出器ユニット320を受け入れるように構成されてよい。
【0061】
図4Aは、本開示の実施形態による、検出器ユニット400(例えば、間接変換検出器ユニット、直接変換検出器ユニット)の簡略斜視図である。検出器ユニット400は、例えば、検出器モジュール300(図3)の検出器ユニット320(図3)のうちの1つを含み得る。図4Bは、本開示の実施形態による、例えば、検出器ユニット320(図3)のうちの1つに対応し得る、検出器ユニット400’の簡略斜視図である。
【0062】
検出器ユニット400、400’は、検出器モジュール300(図3)に結合されるように構成された検出器タイルを含み得る。図4Bを参照すると、いくつかの実施形態では、検出器ユニット400’は、検出器ユニット400’を放射線検出器200(図2)(放射線検出器200の電子基板など)に電気的に結合するためのコネクタ402を含む。
【0063】
検出器ユニット400、400’は、間接変換検出器ユニット又は直接変換検出器ユニットを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、検出器ユニット400、400’は、当技術分野で知られているように、シンチレータアレイに結合された光検出器アレイを含む。別の実施形態では、検出器ユニット400、400’は、当技術分野で知られているように、CzZnTeなどの直接変換検出器を含む。加えて、いくつかの実施形態では、検出器ユニット400、400’は、そこに衝突した放射線光子(例えば、X線光子及び/又はガンマ線光子)のうちの少なくとも一部を抑制又は減衰させるように配合及び構成された、放射線遮蔽材料を含み得る。非限定的な例として、放射線遮蔽材料は、タングステン、鉛、タンタル、鉛入りガラス及び重金属粉末複合材料(例えば、ポリマー結合剤中のタングステン粉末)のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、放射線遮蔽材料は、タングステンを含む。
【0064】
走査システム100の使用及び動作において、検出器モジュール300の検出器ユニット320(例えば、検出器ユニット400、400’)は熱を生成する。走査システム100のサイズ(及び対応する放射線検出器116のサイズ)が増大するにつれて、検出器モジュール240、300のサイズ及び/又は検出器ユニット320の数は、対応する増大を呈し得る。検出器ユニット320によって生成された熱は、円弧部分206を含む支持構造体202によって、放射線検出器116から除去され得る。例えば、検出器ユニット320からの熱は、検出器ユニット320から、ベース構造体310の第1の表面312に伝達され得、ベース構造体310から、円弧部分206のファセット230に直接伝達され得る。熱は、円弧部分206を通して伝達され得、上述したように、フィン252を通して、又は冷却媒体(例えば、冷却水)を通して空気を流すことなどによって、フィン252を通してシステムから除去され得る。
【0065】
本開示の実施形態による放射線検出器200は、走査システム100(図1)を用いて生成された画像の精度の改善を促進することができる。例えば、ファセット230は、検出器モジュール240、300を実質的に完全に支持し、検出器モジュール240及び関連付けられた検出器ユニット(例えば、検出器ユニット320)の撓みを低減又は実質的に防止することができる。別の言い方をすれば、検出器モジュール240、300のベース構造体310は、ファセット230の表面236上に完全に支持され得、検出器ユニット320は、ベース構造体310の第2の表面314上に完全に支持され得る。したがって、ロータ106(図1)の回転中、及び放射線検出器116(図1)に付随して、検出器モジュール240、300に及ぼされるG力は、ベース構造体310がファセット230によって支持されているので、検出器ユニット320を含む検出器モジュール240、300を実質的に撓ませない場合がある。比較として、従来の走査システムの検出器ユニットは、ファセット又は他の支持構造体によって完全には支持されていない。例えば、いわゆる「スパイン」タイプのクレードルの検出器ユニットは、回転されるクレードルに取り付けられている第1の表面と、検出器ユニットが取り付けられている第2の表面と、を備える、取付ブラケットを含む。第2の表面は、第1の表面に対して直角に配向されている。したがって、ロータが回転すると、検出器モジュール上のG力が検出器ユニットを曲げさせ、検出器ユニットを用いて行われる測定の精度を低下させる。他のタイプの従来の走査システムは、検出器ユニット用の支持構造体が、クレードルの異なる部分に架け渡されている、いわゆる「多角形」タイプのクレードルを含む。しかしながら、ロータが回転すると、支持構造体が曲がり、検出器ユニットに対応する曲がりを引き起こし、検出器ユニットを用いて行われる測定の精度を低下させる。
【0066】
加えて、本開示の実施形態による、円弧部分206を含む放射線検出器200は、従来の走査システムと比較して、検出器モジュール240、300及び検出器ユニット320(例えば、検出器ユニット400、500)の温度制御の改善を促進することができる。例えば、円弧部分206は、円弧部分206を通した、検出器モジュール240と周囲環境との間の間接的な熱移動を容易にする。円弧部分206の温度は、フィン252及び空気の通過によって円弧部分206から熱を除去することによって、及び、ヒータ要素260の電力を制御することによって、制御され得る。比較として、従来の走査システムの検出器モジュールの温度は、ロータが回転し、空気が検出器モジュールを横切って通過するときの空気の通過によって、直接制御され得る。しかしながら、そのような方法は、検出器モジュールの不十分な温度制御をもたらす場合がある。例えば、検出器モジュールからの熱伝達速度は、ロータの回転速度に依存し得る。本明細書に記載のように、円弧部分206を通して放射線検出器200から熱を除去することにより、従来の走査システムと比較して、放射線検出器200のより均一な温度制御を促進することができる。例えば、円弧部分206の比較的大きな熱質量により、円弧部分206及び結合された検出器アレイ200の温度変化の速度は、従来の走査システムと比較して実質的に遅い(例えば、温度変化の時定数がより大きい)。したがって、本明細書に記載の実施形態による検出器アレイを含む走査システムは、従来の走査システムと比較して、空気流又はロータの回転速度の変化の影響を受けにくい場合がある。
【0067】
加えて、ファセット230の対応する略平面状の表面236に接触する検出器モジュール300の第2の表面314は、放射線検出器200のファセット230への検出器モジュール300の直接結合及び位置合わせを容易にする。加えて、検出器モジュール300の開口部360は、ファセット230の平坦で略平面状の表面236に対する検出器モジュール300の位置合わせを容易にする。検出器モジュール300の開口部360及びハンドル340は、従来の走査システムと比較して、放射線検出器200の整備の改善を可能にする。
【0068】
図2A図2Eは、特定の形状を有する円弧部分206を含む支持構造体202を含む放射線検出器200を含むものとして説明及び図示されているが、本開示はこれに限定されない。図5Aは、本開示の実施形態による、放射線検出器500の簡略断面図である。放射線検出器500は、放射線検出器200の支持構造体202とは異なる形状を呈する支持構造体502を放射線検出器500が含み得ることを除いて、図2A図2Fの放射線検出器200と略同様であり得る。支持構造体502は、切頭六角形形状を呈してもよい。支持構造体502は、支持構造体502のファセット530に向かって放射線550を放出するように構成された放射源514の反対側に位置することができる。
【0069】
支持構造体502は、支持構造体202の空洞255を参照して上述したように、熱交換器545を受け入れるように構成された空洞555を画定することができる。いくつかの実施形態では、熱交換器545は、熱交換器245を参照して上述したように、フィン552を含み得る。ファンは、ファン290を参照して上述したように、支持構造体502に結合され得、フィン552を通して空気を提供するように構成され得る。したがって、支持構造体502は、切頭六角形形状を呈してもよい。
【0070】
図5Bは、本開示の実施形態による、放射線検出器500’の簡略断面図である。放射線検出器500’は、放射線検出器500’が異なる断面形状を呈し得ることを除いて、放射線検出器500と略同様であり得る。例えば、放射線検出器500’は、円形状を呈する第1の部分590と、第1の部分590に結合され、略直線状を呈する第2の部分592と、を含む、支持構造体502’を含み得る。支持構造体502’は、放射線検出器500及び放射線検出器200を参照して上述したような、ファセット(図示せず)を含み得る。
【0071】
図5Cは、本開示の実施形態による、放射線検出器500’’の簡略断面図である。放射線検出器500’’は、放出システム(例えば、SPECTシステム、PETシステム)において使用されてもよい。放射線検出器500’’は、放射線検出器500’’が異なる断面形状を呈し得ることを除いて、放射線検出器500’と略同様であり得る。例えば、放射線検出器500’’は、U字形を呈する支持構造体502’’を含み得る。支持構造体は、円形状を呈する第1の部分590’と、第1の部分590’に結合され、略直線状を呈する第2の部分592’と、を含み得る。第1の部分590’と第2の部分592’との間の角度は、図5Bの支持構造体502’の第1の部分590と第2の部分592との間の角度と異なってもよい。いくつかの実施形態では、第2の部分592’は、互いに略平行に配向されている。支持構造体502’’は、放射線検出器500及び放射線検出器200を参照して上述したような、ファセット(図示せず)を含み得る。
【0072】
図1及び図2A図2Eは、特定のタイプの放射線検出器116、200を含む走査システム100を備えるものとして説明及び図示されているが、本開示はこれに限定されない。他の実施形態では、放射線検出器200は、いわゆる陽電子放出断層撮影(PET)システムを含み得、放射線検出器はリングの形態である。図6は、例えば、陽電子放出断層撮影(PET)走査システム600を含む走査システムの簡略図である。PET走査システム600は、PET走査システム600が異なる放射線検出器を含み得ることを除いて、図1の走査システム100と略同様であり得る。PET走査システム600は、リング形状に配置された検出器アレイ616を含み得る。検出器アレイ616は、放射線検出器616が実質的に全ての円の周囲に配置された検出器を含み得ることを除いて、放射線検出器116、200(図1図2A図2F)と略同様であり得る。いくつかの実施形態では、放射線検出器616は、円形状を形成するように配置された1つ以上の放射線検出器200、500、500’、500’’などのセグメントから形成され得る。したがって、放射線検出器616は、実質的に全ての円の周りに配置された円弧部分(例えば、円弧部分206)を含む支持構造体(例えば、支持構造体202)を含み得る。代替的に、PET走査システム600は、図5Bを参照して示され説明されたものなどの、円形部分と線形部分との組み合わせで配置された検出器アレイ616を含み得る。加えて、PET走査システム600は、放射源(例えば、放射源114(図1))を含まない場合がある。いくつかのそのような実施形態では、患者602は、放射性トレーサ材料を含む(例えば、注入される)ことができる。
【0073】
したがって、本明細書に記載の実施形態による放射線検出器は、円弧部分のファセット上に配置された検出器モジュールと物理的及び熱的に接触するように構成された円弧部分を含む、支持構造体を含み得る。ファセット及び検出器モジュールは、支持構造体内に取り囲まれる場合があり、外部環境と直接流体連通しない場合がある。円弧部分は、個々の検出器モジュールの熱質量よりも比較的大きい熱質量を呈し得る。円弧部分は、1つ以上のヒータ要素及び1つ以上の冷却要素(例えば、フィン252(図2A図2B))と熱連通し得る。検出器モジュールの温度は、ヒータ要素及び冷却要素の動作によって制御され得る、支持構造体の円弧部分の温度を制御することを通して、間接的に制御され得る。円弧部分の比較的大きな熱質量、及び外部環境からの検出器モジュールの分離により、従来の走査システムと比較して、検出器モジュールの温度制御の改善を促進することができる。加えて、ファセットは、使用中及び動作中の検出器モジュールの物理的支持の改善を促進し、従来の走査システムと比較して、検出器モジュールの物理的撓み及び曲がりを低減することができる。
【0074】
本開示の追加の非限定的な例示的な実施形態を以下に述べる。
【0075】
実施形態1:放射線走査システムであって、少なくとも一部の放射線を受け取るように配置された放射線検出器を備え、放射線検出器が、円弧部分であって、その側面に複数のファセットを備える、円弧部分と、各ファセットに結合された検出器モジュールであって、それぞれのファセットと接触している第1の略平面状の表面を備えるベース部分を備える、検出器モジュールと、ベース部分の第2の略平面状の表面に結合された検出器ユニットであって、第2の略平面状の表面が第1の略平面状の表面と平行である、検出器ユニットと、円弧部分から熱を除去するための熱交換器であって、複数のファセットの反対側の、円弧部分の側面と熱連通している、熱交換器と、を備える、放射線走査システム。
【0076】
実施形態2:熱交換器が、フィンを含む、実施形態1に記載の放射線走査システム。
【0077】
実施形態3:熱交換器が、水冷却器(water chiller)を含む、実施形態1又は2に記載の放射線走査システム。
【0078】
実施形態4:ファセットが、放射源に面するように配向されている、実施形態1~3のいずれか1つに記載の放射線走査システム。
【0079】
実施形態5:隣接するファセット間に遮蔽材料を更に備える、実施形態1~4のいずれか1つに記載の放射線走査システム。
【0080】
実施形態6:各検出器モジュールの表面が、それぞれの検出器モジュールの表面と放射源との間の線に対して略垂直に配向されている、実施形態1~5のいずれか1つに記載の放射線走査システム。
【0081】
実施形態7:検出器ユニットが、間接変換検出器ユニットを含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の放射線走査システム。
【0082】
実施形態8:検出器ユニットが、直接変換検出器ユニットを含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の放射線走査システム。
【0083】
実施形態9:円弧部分と熱連通している、1つ以上のヒータ要素を更に備える、実施形態1~8のいずれか1つに記載の放射線走査システム。
【0084】
実施形態10:放射線撮像システム用の放射線検出器であって、放射線検出器が、支持構造体であって、ベース部分と、ベース部分から離間された円弧部分であって、円弧部分によって少なくとも部分的に画定された円形の中心に面する複数のファセットを備える第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面と、を備える、円弧部分と、を備える、支持構造体と、ベース部分と円弧部分との間に少なくとも部分的に位置する、冷却構造体と、複数のファセットの各ファセットに結合された検出器モジュールであって、各ファセットが、それぞれの検出器モジュールと直接熱連通しており、各検出器モジュールが、検出器ユニットを備える、検出器モジュールと、を備える、放射線検出器。
【0085】
実施形態11:冷却構造体を外部環境から取り囲むカバーを更に備える、実施形態10に記載の放射線検出器。
【0086】
実施形態12:各検出器モジュールの表面が、放射源の方向を向いている、実施形態10又は11に記載の放射線検出器。
【0087】
実施形態13:各検出器モジュールが、略平面状の表面を備える、実施形態10~12のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0088】
実施形態14:冷却構造体が、複数のフィン、及び1つ以上のファンを含む、実施形態10~13のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0089】
実施形態15:冷却構造体が、水冷器を含む、実施形態10~13のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0090】
実施形態16:第2の表面に隣接するヒータ要素を更に備える、実施形態10~15のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0091】
実施形態17:放射線システムであって、放射線検出器を備え、放射線検出器が、検出領域の周りを回転するように構成されたクレードルの円弧部分上に配置された、複数の検出器モジュールであって、各検出器モジュールが、主表面を有する検出器ユニットを備え、主表面が、主表面から、円弧部分によって少なくとも部分的に画定された円の中心まで延在する線に略垂直である、複数の検出器モジュールと、複数の検出器モジュールの反対側の、円弧部分の側面上にあり、円弧部分から熱を伝達するように構成された、冷却構造体と、を備える、放射線システム。
【0092】
実施形態18:各検出器ユニットの主表面が、放射源に向かう方向に露出されている、実施形態17に記載の放射線システム。
【0093】
実施形態19:複数の検出器モジュールの反対側の、円弧部分の側面上に、1つ以上のヒータ要素を更に備える、実施形態17又は18に記載の放射線システム。
【0094】
実施形態20:冷却構造体が、冷却フィンと、空気を円弧部分の長さに略垂直に方向付けるように構成された1つ以上のファンと、を含む、実施形態17~20のいずれか1つに記載の放射線システム。
【0095】
実施形態21:放射線走査システムであって、ロータと、ロータに結合された放射源と、放射源の反対側でロータに結合された放射線検出器と、を備え、放射線検出器が、円弧部分であって、その第1の側面に複数のファセットを備える、円弧部分と、複数のファセットの各ファセットに結合された検出器モジュールと、円弧部分の第2の側面と熱連通している、冷却構造体と、を備える、放射線走査システム。
【0096】
本開示の実施形態は、様々な修正及び代替的な形態の余地があり得る、特定の実施形態は、例として図面に示されており、本明細書で詳細に記載されている。しかしながら、本開示は、開示された特定の形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、本開示は、以下の添付の特許請求の範囲及びそれらの法的な均等物によって定義される、本開示の範囲内にある全ての修正、変形、組み合わせ及び代替物を包含する。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6