(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】加入者識別モジュールおよび通信装置
(51)【国際特許分類】
H04W 8/18 20090101AFI20240902BHJP
H04W 92/08 20090101ALI20240902BHJP
【FI】
H04W8/18
H04W92/08
(21)【出願番号】P 2024053296
(22)【出願日】2024-03-28
【審査請求日】2024-03-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】木野 純武
(72)【発明者】
【氏名】三浦 重好
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-002793(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109219040(CN,A)
【文献】特表2018-503313(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111142885(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112565459(CN,A)
【文献】RSP Technical Specification Version 2.2.1 18 December 2018,GSM Association,2018年12月18日,p.179-181,インターネット<URL:https://www.gsma.com/newsroom/wp-content/uploads/SGP.22-v2.2.1-2.pdf>,[検索日 2024.05.13]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加入者識別モジュールであって、
第1の通信事業者ネットワークを介して通信するための第1の通信プロファイルおよび第2の通信事業者ネットワークを介して通信するための第2の通信プロファイルを格納するプロファイル格納部と、
前記第1の通信プロファイルから前記第2の通信プロファイルへの切り替えを指示する、第1の標準規格に従って記述された第1コマンドを受け取るコマンド入力部
であって、前記第1コマンドは、近距離無線通信もしくは有線接続を介して外部通信端末から送信される、または前記加入者識別モジュールが搭載された通信装置内で作成される、コマンド入力部と、
前記第1コマンドを、第2の標準規格に従って記述された第2コマンドに変換するコマンド変換部と、
前記第2コマンドに従って、前記第1の通信プロファイルが有効化された状態から前記第2の通信プロファイルが有効化された状態への切り替えを実施するプロファイル管理部と、
を備える加入者識別モジュール。
【請求項2】
前記第1および第2の通信プロファイルは、それぞれ、通信を実施するために必要な複数の設定情報が記憶されたファイルシステムと、通信処理を実施する通信アプリと、通信処理以外の処理を実施するアプレットとを含む、請求項1に記載の加入者識別モジュール。
【請求項3】
前記第1および第2の通信プロファイルは、eSIMプロファイルまたはeUICCプロファイルである、請求項1に記載の加入者識別モジュール。
【請求項4】
前記第1の標準規格に従って記述された第1コマンドは、ATコマンドである、請求項1から3のいずれか1項に記載の加入者識別モジュール。
【請求項5】
前記第1コマンドは、切り替え後の通信プロファイルを指定するための、前記第2の通信プロファイルを識別するICCIDを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の加入者識別モジュール。
【請求項6】
前記コマンド変換部は、前記第1コマンドから前記ICCIDを抽出し、前記抽出したICCIDを用いて前記第2コマンドを生成するように構成され、前記第2コマンドは、指定された通信プロファイルを有効化することを指示する前記第2の標準規格に基づくコマンド識別タグと、前記抽出されたICCIDによる前記第2の通信プロファイルの指定とを含む、請求項5に記載の加入者識別モジュール。
【請求項7】
前記第2の標準規格は、GSMA標準規格を含む、請求項6に記載の加入者識別モジュール。
【請求項8】
前記加入者識別モジュールはeSIMである、請求項1から3のいずれか1項に記載の加入者識別モジュール。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載の加入者識別モジュールを備えた通信装置。
【請求項10】
前記通信装置は、ユーザとの直接的なインターフェイスを持たない装置である、請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記通信装置はIoT端末である、請求項9に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加入者識別モジュールおよび通信装置に関し、特に、複数の通信プロファイルを備えた加入者識別モジュールおよび通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやIoT端末においてeSIMが広く利用されている(例えば非特許文献1参照)。eSIMは、通信に必要な設定情報等のデータであるプロファイルをダウンロードすることで、使用する通信ネットワーク(通信事業者)を柔軟に変更することが可能である。また、eSIMに複数のプロファイルを保存し、例えば通信ネットワークの状況等に応じて、プロファイルを切り替えて使用することもできる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「IIJ、ウェアラブル機器やIoTデバイスなどでコンシューマ向けeSIMの利用を可能にする新技術「LPA Bridge」を開発」、[online]、株式会社インターネットイニシアティブ、[令和6年2月26日検索]、インターネット<https://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2022/1114-2.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IoT端末は、限定されたユーザインターフェイスしか持たない(例えばキーボードやディスプレイを備えない)ことが多い。そこで、eSIMのプロファイルを簡便な方法で切り替えることができるようにすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、第1の通信事業者ネットワークを介して通信するための第1の通信プロファイルおよび第2の通信事業者ネットワークを介して通信するための第2の通信プロファイルを格納するプロファイル格納部と、前記第1の通信プロファイルから前記第2の通信プロファイルへの切り替えを指示する、第1の標準規格に従って記述された第1コマンドを受け取るコマンド入力部と、前記第1コマンドを、第2の標準規格に従って記述された第2コマンドに変換するコマンド変換部と、前記第2コマンドに従って、前記第1の通信プロファイルが有効化された状態から前記第2の通信プロファイルが有効化された状態への切り替えを実施するプロファイル管理部と、を備える加入者識別モジュールが提供される。
【0006】
また、本発明の一態様によれば、前記第1および第2の通信プロファイルは、それぞれ、通信を実施するために必要な複数の設定情報が記憶されたファイルシステムと、通信処理を実施する通信アプリと、通信処理以外の処理を実施するアプレットとを含むのであってよい。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記第1および第2の通信プロファイルは、eSIMプロファイルまたはeUICCプロファイルであるのであってよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記第1の標準規格に従って記述された第1コマンドは、ATコマンドであるのであってよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記第1コマンドは、切り替え後の通信プロファイルを指定するための、前記第2の通信プロファイルを識別するICCIDを含むのであってよい。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記コマンド変換部は、前記第1コマンドから前記ICCIDを抽出し、前記抽出したICCIDを用いて前記第2コマンドを生成するように構成され、前記第2コマンドは、指定された通信プロファイルを有効化することを指示する前記第2の標準規格に基づくコマンド識別タグと、前記抽出されたICCIDによる前記第2の通信プロファイルの指定とを含むのであってよい。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、前記第2の標準規格は、GSMA標準規格を含むのであってよい。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、前記加入者識別モジュールはeSIMであるのであってよい。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、上記の加入者識別モジュールを備えた通信装置が提供される。
【0014】
また、本発明の一態様によれば、前記通信装置は、ユーザとの直接的なインターフェイスを持たない装置であるのであってよい。
【0015】
また、本発明の一態様によれば、前記通信装置はIoT端末であるのであってよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、通信プロファイルを簡便な方法で切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る加入者識別モジュールを含むシステムの概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る加入者識別モジュールの内部構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る加入者識別モジュールの動作を示すフローチャートである。
【
図4】通信プロファイルの切り替えを指示する、変換の前後における例示のコマンドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る加入者識別モジュールを含むシステムの概略構成図である。システム10は、加入者識別モジュール100が搭載された通信装置200と、プロファイル管理サーバ300を備える。加入者識別モジュール100は、通信装置200が通信を行う際の認証等の処理を担う、例えばeSIM(embedded Subscriber Identity Module)として知られるモジュールであってよい。加入者識別モジュール100は、プロセッサおよびメモリを備えている。加入者識別モジュール100は、通信事業者ネットワーク500/600を介してモバイル通信を行うのに必要な各種の設定情報を含んだ通信プロファイルを、プロファイル管理サーバ300から取得してメモリに格納する。通信プロファイルは、eSIMプロファイルまたはeUICC(embedded Universal Integrated Circuit Card)プロファイルと呼ばれるものであってよい。加入者識別モジュール100は、通信プロファイルを用いて、通信事業者ネットワーク500/600に対する認証等の処理を行うことで、通信装置200にモバイル通信機能を提供する。通信装置200は、例えば、各種センサ機器や監視カメラ等のIoT(Internet of Things)端末であってよい。ただしこれは限定ではなく、通信装置200はスマートフォンなどであってもよい。通信装置200は、基地局BSおよび通信事業者ネットワーク500/600を介して、インターネット等のネットワーク700との間でモバイル通信を行うことができる。
【0020】
加入者識別モジュール100は、プロファイル管理サーバ300から、複数の通信プロファイルを取得してメモリに格納することができる。例えば、第1の通信事業者ネットワーク500を介して通信するための第1の通信プロファイルPF1と、第2の通信事業者ネットワーク600を介して通信するための第2の通信プロファイルPF2が、加入者識別モジュール100のメモリに格納されるのであってよい。加入者識別モジュール100は、第1の通信プロファイルPF1を用いることで、通信装置200に第1の通信事業者ネットワーク500を介したモバイル通信を行わせ、また第2の通信プロファイルPF2を用いることで、通信装置200に第2の通信事業者ネットワーク600を介したモバイル通信を行わせることができる。加入者識別モジュール100は、例えば、第1の通信事業者ネットワーク500に障害が発生した場合に、第1の通信プロファイルPF1から第2の通信プロファイルPF2への切り替えを行うことで、第2の通信事業者ネットワーク600を介して通信装置200に通信を継続して行わせることができる。
【0021】
システム10は、通信プロファイルの切り替え操作を行うための通信端末400をさらに備える。通信端末400は、一般的なPC(Personal Computer)やタブレット端末であってよい。ユーザは、通信端末400を用いて、加入者識別モジュール100に対して通信プロファイルの切り替えを指示することができる。通信装置200がIoT端末である場合において、IoT端末はユーザとの直接的なインターフェイス(例えばキーボード等の情報入力手段やディスプレイ等の情報表示手段)を持たないことがあるが、通信端末400を使用することで、そのような通信装置200(IoT端末)に通信事業者ネットワークの変更を行わせることが可能である。通信端末400は、例えば、Wi-FiやBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を介して通信装置200に接続可能であってよい。あるいは、通信端末400は、USB(Universal Serial Bus)等の有線接続を介して、または現在使用中の通信事業者ネットワーク(500/600)を介して、通信装置200に接続可能であってもよい。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係る加入者識別モジュールの内部構成を示す図である。本発明の一実施形態に係る加入者識別モジュール100は、基本機能部110と、プロファイル管理部120と、プロファイル格納部130と、コマンド変換部140とを備える。プロファイル格納部130は、加入者識別モジュール100の内蔵メモリにより実現される機能である。基本機能部110、プロファイル管理部120、およびコマンド変換部140は、加入者識別モジュール100の内蔵プロセッサがそれぞれに対応する一連のコンピュータ実行可能命令(すなわちコンピュータプログラム)を実行することによって実現される機能である。基本機能部110は、加入者識別モジュール100のOS(Operating System)の機能に対応するのであってよい。
【0023】
プロファイル管理部120は、通信プロファイルの管理を実施する。具体的に、プロファイル管理部120は、プロファイル管理サーバ300から通信プロファイルをダウンロードしてプロファイル格納部130にインストールする処理や、通信端末400からの指示に応じて通信プロファイルの切り替えを実行する処理を行うように構成される。プロファイル管理部120は、LPA(Local Profile Assistant)と呼ばれるソフトウェアおよび/またはISD-R(Issuer Security Domain Root)と呼ばれるソフトウェアによって実現されるのであってよい。
【0024】
プロファイル格納部130は、第1の通信事業者ネットワーク500を介して通信するための第1の通信プロファイルPF1と、第2の通信事業者ネットワーク600を介して通信するための第2の通信プロファイルPF2を格納する。3以上の通信プロファイルがプロファイル格納部130に格納されてもよい。各通信プロファイルは、通信を実施するために必要な複数の設定情報が記憶されたファイルシステムFSと、通信処理を実施する通信アプリCAと、通信処理以外の処理を実施するアプレットAPとを少なくとも含む。ファイルシステムFSに記憶される設定情報には、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、ICCID(IC Card IDentifier)、MSISDN(Mobile Station International Subscriber Directory Number)、および認証用の鍵情報等の、一群の各種パラメータが含まれる。
【0025】
第1の通信プロファイルPF1におけるファイルシステムFS、通信アプリCA、およびアプレットAPは、第1の通信事業者ネットワーク500との通信向けに専用化されたものであり、第2の通信プロファイルPF2におけるファイルシステムFS、通信アプリCA、およびアプレットAPは、第2の通信事業者ネットワーク600との通信向けに専用化されたものである。通信プロファイル(すなわちファイルシステムFS、通信アプリCA、およびアプレットAPを含むデータ群)は、1つのパッケージとしてプロファイル管理サーバ300からダウンロードされ、また通信プロファイルを切り替える際には、これらファイルシステムFS、通信アプリCA、およびアプレットAPをひとまとまりとして、切り替えが行われる。
【0026】
コマンド変換部140は、通信プロファイルを切り替えるために通信端末400から送信されたコマンドを、プロファイル管理部120が理解可能なフォーマットで記述されたコマンドに変換する機能を提供する。通信端末400から送信されるコマンドは、第1の標準規格に従って記述されたコマンド(例えばATコマンド)であってよい。コマンド変換部140は、通信端末400からのコマンドを、プロファイル管理部120が理解可能な第2の標準規格(例えばGSMA(GSM (Global System for Mobile Communications) Association)標準規格)に準拠したコマンドに変換する。コマンド変換部140がコマンドの変換を担当することで、通信装置200(例えばIoT端末)のユーザまたは管理者は、プロファイル管理部120(具体的には、例えばLPAやISD-R)の仕様に精通していなくても、通信プロファイルを切り替える指示を、より汎用的なコマンドの形で加入者識別モジュール100に与えることができる。これにより、通信装置200(例えばIoT端末)を運用するユーザおよび管理者の負担を軽減することができる。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態に係る加入者識別モジュールの動作を示すフローチャートである。
図4は、通信プロファイルの切り替えを指示する、変換の前後における例示のコマンドを示す図である。以下、
図3および4を参照して加入者識別モジュール100の具体的な動作を説明する。なお
図3のフローチャートは、加入者識別モジュール100が第1の通信プロファイルPF1で動作している状態からスタートするものとする。
【0028】
ステップ1において、第1の通信プロファイルPF1から第2の通信プロファイルPF2への切り替えを指示する第1コマンドCMD1が、通信端末400によって作成され、通信装置200へ送信される。例えば、通信端末400のユーザは、通信端末400のGUI(Graphical User Interface)を介して、第1の通信プロファイルPF1から第2の通信プロファイルPF2への切り替え操作を行い、通信端末400は、その切り替え操作を受けて、第1コマンドCMD1を生成するのであってよい。あるいは、通信端末400のユーザは、キーボード等の入力装置を使って、第1コマンドCMD1の文字列を通信端末400に直接入力するのであってもよい。一例では、第1コマンドCMD1は、ATコマンドとして記述される。なお、第1コマンドCMD1は、通信端末400から送信されてくるのではなく、通信装置200に内蔵されている所定のプログラム(例えば通信プログラム)によって作成されるのであってもよい。
【0029】
図4に示される例において、第1コマンドCMD1は、ATコマンドヘッダ部c11、コマンド長指定部c12、およびコマンド本体部c13を含み、コマンド本体部c13は、コマンド送信先c131、プロファイル有効化フラグc132、およびプロファイル識別子c133を含む。ATコマンドヘッダ部c11は、この第1コマンドCMD1がSIM(ここでは加入者識別モジュール100)に対する制御を行うコマンドであることを表す。コマンド長指定部c12は、コマンド本体部c13のデータの長さを指定する。コマンド本体部c13のコマンド送信先c131は、加入者識別モジュール100のコマンド変換部140を命令の宛先として指定するための識別子の文字列である。プロファイル有効化フラグc132は、プロファイル識別子c133に指定された通信プロファイルを有効化することを示す。プロファイル識別子c133には、有効化したい通信プロファイル(すなわち切り替え先の通信プロファイルである第2の通信プロファイルPF2)の識別子が指定される。プロファイル識別子c133は、例えば、第2の通信プロファイルPF2のICCIDで指定されるのであってよい。
【0030】
次に、ステップ2において、通信装置200に搭載されている加入者識別モジュール100の基本機能部110は、通信端末400から送信された(もしくは通信装置200内で作成された)第1コマンドCMD1、または第1コマンドCMD1のコマンド本体部c13を、コマンド変換部140へ転送する。
【0031】
次に、ステップ3において、コマンド変換部140は、基本機能部110から転送された第1コマンドCMD1または第1コマンドCMD1のコマンド本体部c13から、プロファイル有効化フラグc132およびプロファイル識別子c133を抽出する。例えば、
図4の例において、抽出されたプロファイル識別子「898112……89」およびプロファイル有効化フラグ「01」から、コマンド変換部140は、当該抽出された識別子と同じICCIDを持つ通信プロファイル(第2の通信プロファイルPF2)を有効化することを特定することができる。
【0032】
次に、ステップ4において、コマンド変換部140は、ステップ3で抽出されたプロファイル識別子c133を用いて、プロファイル管理部120向けの第2コマンドCMD2を生成する。すなわち、コマンド変換部140は、通信端末400から送信された(もしくは通信装置200内で作成された)通信プロファイルの切り替えを指示する第1コマンドCMD1を、プロファイル管理部120向けの第2コマンドCMD2に変換する。前述したように、第2コマンドCMD2は、例えば、GSMA標準規格に準拠するのであってよい。
【0033】
図4に示される例において、第2コマンドCMD2は、コマンド送信先c21、コマンド識別タグc22、およびプロファイル識別子c23を含む。コマンド送信先c21は、第2コマンドCMD2がコマンド変換部140からプロファイル管理部120(具体的には、例えばLPA)へ送信されることを示す。コマンド識別タグc22は、プロファイル識別子c23に指定された通信プロファイルを有効化することを指示する、第2の標準規格で定義されたタグを表す文字列である。例えば、コマンド識別タグc22は、GSMA標準規格で定義された「EnableProfileRequestタグ」であってよい。プロファイル識別子c23は、第1コマンドCMD1におけるプロファイル識別子c133と同じものである。すなわち、プロファイル識別子c23は、第2の通信プロファイルPF2を有効化することを指定する。
【0034】
次に、ステップ5において、コマンド変換部140は、生成した第2コマンドCMD2をプロファイル管理部120へ送信し、プロファイル管理部120は、第2コマンドCMD2に従って、第1の通信プロファイルPF1が有効化された状態から第2の通信プロファイルPF2が有効化された状態への切り替えを実施する。例えば、プロファイル管理部120において、LPAは、第1の通信プロファイルPF1から第2の通信プロファイルPF2への切り替えをISD-Rに対して指示し、この指示を受けてISD-Rは、第1の通信プロファイルPF1を無効化するとともに、第2の通信プロファイルPF2を有効化する。これにより、以降は、通信装置200(例えばIoT端末)は第2の通信プロファイルPF2を用いて、第2の通信事業者ネットワーク600を介した通信を行うことができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 システム
100 加入者識別モジュール
110 基本機能部
120 プロファイル管理部
130 プロファイル格納部
140 コマンド変換部
200 通信装置
300 プロファイル管理サーバ
400 通信端末
500 第1の通信事業者ネットワーク
600 第2の通信事業者ネットワーク
700 インターネット
【要約】
【課題】通信プロファイルを簡便な方法で切り替える。
【解決手段】加入者識別モジュールは、第1の通信事業者ネットワークを介して通信するための第1の通信プロファイルおよび第2の通信事業者ネットワークを介して通信するための第2の通信プロファイルを格納するプロファイル格納部と、前記第1の通信プロファイルから前記第2の通信プロファイルへの切り替えを指示する、第1の標準規格に従って記述された第1コマンドを受け取るコマンド入力部と、前記第1コマンドを、第2の標準規格に従って記述された第2コマンドに変換するコマンド変換部と、前記第2コマンドに従って、前記第1の通信プロファイルが有効化された状態から前記第2の通信プロファイルが有効化された状態への切り替えを実施するプロファイル管理部と、を備える。
【選択図】
図2