(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ラミネート電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 39/15 20230101AFI20240902BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20240902BHJP
H10K 30/82 20230101ALI20240902BHJP
【FI】
H10K39/15
H10K30/40
H10K30/82
(21)【出願番号】P 2024106327
(22)【出願日】2024-07-01
【審査請求日】2024-07-01
(31)【優先権主張番号】202311518066.5
(32)【優先日】2023-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】丁 暁兵
(72)【発明者】
【氏名】楊 广涛
(72)【発明者】
【氏名】夏 鋭
(72)【発明者】
【氏名】陳 藝綺
(72)【発明者】
【氏名】張 学玲
(72)【発明者】
【氏名】陳 達明
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/102128(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/048839(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/023182(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/255804(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/127669(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0190479(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第115996617(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第115768145(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 30/00-39/38
H01L 31/04-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶シリコン電池と、
前記結晶シリコン電池の表面に位置する導電接続層と、
前記導電接続層の前記結晶シリコン電池から離れた表面から前記導電接続層を貫通するまで延在する第1隔離層であって、前記第1隔離層は、前記導電接続層の内部に位置し、導電接続層におけるキャリアの第1隔離層の両側の横方向輸送を低減するように構成された第1隔離層と、
前記導電接続層の前記結晶シリコン電池から離れた表面に位置するペロブスカイト電池と、を含み、
前記結晶シリコン電池は、
第1導電型を有する基板と、
前記基板の前記導電接続層から離れた側に位置し、第2導電型を有する第1ドープ層と、
前記第1ドープ層の前記基板から離れた表面に位置する底部透明導電層と、
前記底部透明導電層の前記第1ドープ層から離れた表面から前記底部透明導電層を貫通するまで延在し、かつ前記底部透明導電層の内部に位置する第2隔離層と、を含む、ことを特徴とするラミネート電池。
【請求項2】
前記導電接続層は、主接続層と、周辺接続層とを含み、前記結晶シリコン電池に平行な平面内において、前記周辺接続層は、少なくとも部分的に前記主接続層を取り囲み、前記第1隔離層は、少なくとも前記周辺接続層と前記主接続層との間の一部の領域に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のラミネート電池。
【請求項3】
前記底部透明導電層は、主導電層と、補助導電層とを含み、前記結晶シリコン電池に平行な平面内において、前記補助導電層は、少なくとも部分的に前記主導電層を取り囲み、前記第2隔離層は、少なくとも前記補助導電層と前記主導電層との間の一部の領域に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のラミネート電池。
【請求項4】
前記底部透明導電層への前記第1隔離層の正投影は、前記第2隔離層を被覆する、ことを特徴とする請求項3に記載のラミネート電池。
【請求項5】
前記結晶シリコン電池は、
前記底部透明導電層の前記第1ドープ層から離れた表面に位置する第1電極層と、
前記第1電極層の前記底部透明導電層から離れた表面の一部に位置する反射防止層と、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載のラミネート電池。
【請求項6】
前記結晶シリコン電池は、
前記第1ドープ層と前記基板との間に位置する第1パッシベーション層と、
前記基板の前記第1ドープ層から離れた表面に位置する第2パッシベーション層と、
前記第2パッシベーション層の前記基板から離れた表面に位置し、かつ前記導電接続層に接触し、第1導電型を有する第2ドープ層と、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載のラミネート電池。
【請求項7】
結晶シリコン電池を提供するステップと、
前記結晶シリコン電池の表面に導電接続層を形成するステップと、
前記導電接続層の前記結晶シリコン電池から離れた表面から前記導電接続層を貫通するまで延在する第1隔離層を、前記導電接続層に形成するステップであって、前記第1隔離層は、前記導電接続層の内部に位置し、導電接続層におけるキャリアの第1隔離層の両側の横方向輸送を低減するように構成されるステップと、
前記導電接続層の前記結晶シリコン電池から離れた表面にペロブスカイト電池を形成するステップと、を含み、
結晶シリコン電池を提供するステップは、
第1導電型の基板を提供するステップと、
前記基板の前記導電接続層から離れた側に第2導電型の第1ドープ層を形成するステップと、
前記第1ドープ層の前記基板から離れた表面に底部透明導電層を形成するステップと、
前記底部透明導電層の前記第1ドープ層から離れた表面から前記底部透明導電層を貫通するまで延在し、かつ前記底部透明導電層の内部に位置する第2隔離層を、前記底部透明導電層に形成するステップと、を含む、ことを特徴とするラミネート電池の製造方法。
【請求項8】
前記導電接続層は、主接続層と、周辺接続層とを含み、前記結晶シリコン電池に平行な平面内において、前記周辺接続層は、少なくとも部分的に前記主接続層を取り囲み、第1隔離層を前記導電接続層に形成するステップは、
前記導電接続層には、前記導電接続層を貫通する第1環状溝を形成するステップであって、前記第1環状溝は、少なくとも前記主接続層と前記周辺接続層との間の一部の領域に位置するステップと、
前記第1環状溝に前記第1隔離層を充填して形成するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記底部透明導電層は、主導電層及び補助導電層を含み、前記結晶シリコン電池に平行な平面内において、前記補助導電層は、少なくとも部分的に前記主導電層を取り囲み、第2隔離層を前記底部透明導電層に形成するステップは、
少なくとも前記補助導電層と前記主導電層との間の一部の領域に位置する第2隔離層を前記底部透明導電層に形成するステップを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
結晶シリコン電池を提供するステップは、
前記底部透明導電層の前記第1ドープ層から離れた表面に第1電極層を形成するステップと、
前記第1電極層の前記底部透明導電層から離れた表面の一部に反射防止層を形成するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
前記基板の前記導電接続層から離れた側に第2導電型の第1ドープ層を形成する前に、前記製造方法は、
前記基板の前記導電接続層から離れた表面に第1パッシベーション層を形成するステップと、
前記基板の前記導電接続層に近接する表面に第2パッシベーション層を形成するステップと、
前記第2パッシベーション層の表面に前記導電接続層に接触する第1導電型の第2ドープ層を形成するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項12】
第1導電型の基板を提供した後に、前記製造方法は、
前記基板に対して前処理を行って、所定の基板を得るステップを含み、
前記所定の基板は、両面研磨基板、両面テクスチャリング基板、及び片面研磨片面テクスチャリング基板のうちの1種を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池の技術分野に関し、特にラミネート電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペロブスカイト太陽電池は、光電変換効率が高く、コストが低く、製造が簡単であるなどの優れた利点を有するため、最も有望な太陽電池となり、研究の焦点となっている。ワイドバンドギャップのペロブスカイト吸収層と結晶シリコン(SHJ)太陽電池は、二重接合太陽電池を構成し、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
【0003】
典型的なペロブスカイト/結晶シリコンラミネート電池におけるペロブスカイト電池と結晶シリコン電池との間が導電性の中間層を介して直列に接続されるため、ラミネート電池の性能をどのように向上させるかは、解決すべき問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施例は、ラミネート電池におけるキャリアの縦方向輸送能力を最適化し、ラミネート電池の性能を向上させることができるシリコンラミネート電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ラミネート電池は、
結晶シリコン電池と、
前記結晶シリコン電池の表面に位置する導電接続層と、
前記導電接続層の前記結晶シリコン電池から離れた表面から前記導電接続層を貫通するまで延在する第1隔離層と、
前記導電接続層の前記結晶シリコン電池から離れた表面に位置するペロブスカイト電池と、を含む。
【0006】
一実施例において、導電接続層は、主接続層と、周辺接続層とを含み、前記結晶シリコン電池に平行な平面内において、前記周辺接続層は、少なくとも部分的に前記主接続層を取り囲み、前記第1隔離層は、少なくとも前記周辺接続層と前記主接続層との間の一部の領域に位置する。
【0007】
一実施例において、前記結晶シリコン電池は、
第1導電型を有する基板と、
前記基板の前記導電接続層から離れた側に位置し、第2導電型を有する第1ドープ層と、
前記第1ドープ層の前記基板から離れた表面に位置する底部透明導電層と、
前記底部透明導電層の前記第1ドープ層から離れた表面から、前記底部透明導電層を貫通するまで延在する第2隔離層と、を含む。
【0008】
一実施例において、前記底部透明導電層は、主導電層と、補助導電層とを含み、前記結晶シリコン電池に平行な平面内において、前記補助導電層は、少なくとも部分的に前記主導電層を取り囲み、前記第2隔離層は、少なくとも前記補助導電層と前記主導電層との間の一部の領域に位置する。
【0009】
一実施例において、前記底部透明導電層への前記第1隔離層の正投影は、前記第2隔離層を被覆する。
【0010】
一実施例において、前記結晶シリコン電池は、
前記底部透明導電層の前記第1ドープ層から離れた表面に位置する第1電極層と、
前記第1電極層の前記底部透明導電層から離れた表面の一部に位置する反射防止層と、をさらに含む。
【0011】
一実施例において、前記結晶シリコン電池は、
前記第1ドープ層と前記基板との間に位置する第1パッシベーション層と、
前記基板の前記第1ドープ層から離れた表面に位置する第2パッシベーション層と、
前記第2パッシベーション層の前記基板から離れた表面に位置し、かつ前記導電接続層に接触し、第1導電型を有する第2ドープ層と、をさらに含む。
【0012】
上記ラミネート電池において、結晶シリコン電池とペロブスカイト電池とを接続する導電接続層には、第1隔離層が設けられ、導電接続層の結晶シリコン電池から離れた表面から、導電接続層を貫通するまで延在する第1隔離層は、導電接続層におけるキャリアの第1隔離層の対向する2つの側壁間の輸送を阻止することで、結晶シリコン電池とペロブスカイト電池との接続方向におけるキャリアの輸送能力を向上させ、ペロブスカイト電池の漏電を低減し、シリコンラミネート電池の電圧を増加させ、ラミネート電池の性能を向上させる。
【0013】
本開示は、
結晶シリコン電池を提供するステップと、
前記結晶シリコン電池の表面に導電接続層を形成するステップと、
前記導電接続層の前記結晶シリコン電池から離れた表面から前記導電接続層を貫通するまで延在する第1隔離層を前記導電接続層に形成するステップと、
前記導電接続層の前記結晶シリコン電池から離れた表面にペロブスカイト電池を形成するステップと、を含むラミネート電池の製造方法をさらに提供する。
【0014】
一実施例において、前記導電接続層は、主接続層と、周辺接続層とを含み、前記結晶シリコン電池に平行な平面内において、前記周辺接続層は、少なくとも部分的に前記主接続層を取り囲み、第1隔離層を前記導電接続層に形成するステップは、
前記導電接続層には、前記導電接続層を貫通する第1環状溝を形成するステップであって、前記第1環状溝は、少なくとも前記主接続層と前記周辺接続層との間の一部の領域に位置するステップと、
前記第1環状溝に前記第1隔離層を充填して形成するステップと、を含む。
【0015】
一実施例において、結晶シリコン電池を提供するステップは、
第1導電型の基板を提供するステップと、
前記基板の前記導電接続層から離れた側に第2導電型の第1ドープ層を形成するステップと、
前記第1ドープ層の前記基板から離れた表面に底部透明導電層を形成するステップと、
前記底部透明導電層の前記第1ドープ層から離れた表面から前記底部透明導電層を貫通するまで延在する第2隔離層を前記底部透明導電層に形成するステップと、を含む。
【0016】
一実施例において、前記底部透明導電層は、主導電層及び補助導電層を含み、前記結晶シリコン電池に平行な平面内において、前記補助導電層は、少なくとも部分的に前記主導電層を取り囲み、第2隔離層を前記底部透明導電層に形成するステップは、
少なくとも前記補助導電層と前記主導電層との間の一部の領域に位置する第2隔離層を前記底部透明導電層に形成するステップを含む。
【0017】
一実施例において、結晶シリコン電池を提供するステップは、
前記底部透明導電層の前記第1ドープ層から離れた表面に第1電極層を形成するステップと、
前記第1電極層の前記底部透明導電層から離れた表面の一部に反射防止層を形成するステップと、をさらに含む。
【0018】
一実施例において、前記基板の前記導電接続層から離れた側に第2導電型の第1ドープ層を形成する前に、前記製造方法は、
前記基板の前記導電接続層から離れた表面に第1パッシベーション層を形成するステップと、
前記基板の前記導電接続層に近接する表面に第2パッシベーション層を形成するステップと、
前記第2パッシベーション層の表面に、前記導電接続層に接触する第1導電型の第2ドープ層を形成するステップと、を含む。
【0019】
一実施例において、第1導電型の基板を提供した後に、前記製造方法は、
前記基板に対して前処理を行って、所定の基板を得るステップを含み、
前記所定の基板は、両面研磨基板、両面テクスチャリング基板、及び片面研磨片面テクスチャリング基板のうちの1種を含む。
【発明の効果】
【0020】
上記ラミネート電池の製造方法は、結晶シリコン電池とペロブスカイト電池とを接続する導電接続層に第1隔離層を形成し、導電接続層の結晶シリコン電池から離れた表面から導電接続層を貫通するまで延在する第1隔離層により、導電接続層におけるキャリアの第1隔離層の対向する2つの側壁間の輸送を阻止することで、結晶シリコン電池とペロブスカイト太陽電池との接続方向におけるキャリアの輸送能力を向上させ、ペロブスカイト太陽電池の漏電を低減し、ラミネート電池の電圧を増加させ、ラミネート電池の性能を向上させる。
【0021】
本開示の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は、本開示のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働をしない前提で、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施例に係るラミネート電池の概略断面図である。
【
図2】他の実施例に係るラミネート電池の概略断面図である。
【
図3】また他の実施例に係るラミネート電池の概略断面図である。
【
図4】一実施例に係るラミネート電池の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施例の理解を容易にするために、以下、関連する図面を参照して本開示の実施例をより全面的に説明する。図面には、本開示の実施例の好ましい実施例が示されている。しかし、本開示の実施例は、多くの異なる形式で実現することができ、本明細書に記載の実施例に限定されるものではない。逆に、これらの実施例を提供する目的は、本開示の実施例の開示内容に対する理解をより完全かつ全面的にすることである。
【0024】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本開示の実施例が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本開示の実施例の説明において本明細書で用いられる用語は、具体的な実施例を説明することのみを目的としており、本開示の実施例を限定することを意図したものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する項目の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0025】
本開示の実施例の説明において、「上」、「下」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」なの用語で示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係であり、本開示の実施例を説明しやすい、又は説明を簡単にするだけに用いられ、示している装置又は部品が必ず特定の方位を有し、特定の方位構造と操作を有することを表す又は暗示することではないことを理解されるべきであり、そのため本開示の実施例を限定するものと解釈されるべきではない。
【0026】
なお、本開示で使用される用語「第1」、「第2」などは、本明細書において様々な要素を説明するものであるが、これらの要素は、これらの用語に限定されない。これらの用語は、第1要素を他の要素と区別するために使用するものである。例えば、本開示の範囲を逸脱することなく、第1隔離層を第2隔離層と呼ぶことができ、同様に、第2隔離層を第1隔離層と呼ぶことができる。第1隔離層及び第2隔離層は、いずれも隔離層であるが、同一の隔離層ではない。
【0027】
また、用語「第1」、「第2」は、説明するためだけに用いられるものであり、比較的な重要性を指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはいけない。これにより、「第1」、「第2」に限定されている特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本開示の説明において、明確かつ具体的な限定がない限り、「複数」は、少なくとも2つ、例えば、2つ、3つなどを意味する。本開示の説明において、明確かつ具体的な限定がない限り、「いくつか」は、少なくとも1つ、例えば、1つ、2つなどを意味する。
【0028】
図1は、一実施例に係るラミネート電池の概略断面図であり、X方向は、
図1におけるラミネート電池の底面からラミネート電池の頂面への方向であり、Y方向は、
図1に示す結晶シリコン電池100に平行な平面内の行方向であり、Z方向は、
図1に示す結晶シリコン電池100に平行な平面内の列方向であってもよい。
【0029】
図1に示すように、本実施例において、第1方向Xに順に積層された結晶シリコン電池100、導電接続層200、第1隔離層202及びペロブスカイト電池300を含むラミネート電池を提供し、導電接続層200は、結晶シリコン電池100の表面に位置し、第1隔離層202は、導電接続層200の結晶シリコン電池100から離れた表面から、導電接続層200を貫通するまで延在し、ペロブスカイト電池300は、導電接続層200の結晶シリコン電池100から離れた表面に位置し、導電接続層200は、結晶シリコン電池100とペロブスカイト電池300との接続を実現する。
【0030】
第1隔離層202は、絶縁材料からなり、第1隔離層202により、導電接続層200におけるキャリアの第1隔離層202の両側の横方向(Y方向及びZ方向の平面内)の輸送を低減し、キャリアの縦方向(X方向が位置する平面内)の輸送を増加させ、ラミネート電池の性能を向上させることができる。
【0031】
導電接続層200の構成材料は、ITO、ICO、IWO、VTTO、IZO又はAZOのうちの1種を含むが、これらに限定されず、例示的には、導電接続層200は、透明材料からなり、ペロブスカイト層304の太陽光に対する吸収への影響を避ける。導電接続層200の厚さは、15nm~25nmであり、例えば、15nm、20nm、25nmなどである。或いは、導電接続層200の厚さは、80~150nm、例えば、80nm、100nm、150nmなどに制御される。
【0032】
第1方向Xにおいて、導電接続層200は、結晶シリコン電池100に接触する底面と、ペロブスカイト電池300に接触する頂面とを含む。本開示において、導電接続層200をベースにして、結晶シリコン電池100及びペロブスカイト電池300における各層の導電接続層200から離れた表面を頂面とし、導電接続層200に面する表面を底面として例示的に説明する。
【0033】
図2は、他の実施例に係るラミネート電池の概略断面図であり、
図2に示すように、第1方向Xにおいて、ペロブスカイト電池300は、導電接続層200の頂面から順に積層された第1キャリア輸送層302、ペロブスカイト層304、第2キャリア輸送層306、頂部透明導電層308及び第2電極層310を含み、第1キャリア及び第2キャリアは、それぞれ正孔及び電子であり、ペロブスカイト層304は、太陽光を吸収した後に正孔及び電子を発生し、第1キャリア輸送層302は、ペロブスカイト層304における第1キャリアを取り出し、第1キャリアを導電接続層200及び結晶シリコン電池に輸送して、ラミネート電池における電流の輸送を実現し、第2キャリア輸送層306は、ペロブスカイト層304における第2キャリアを取り出し、第2キャリアを頂部透明導電層308及び第2電極層310に輸送して、ラミネート電池における電流の輸送を実現し、第2電極層310は、ラミネート電池の1つの引き出し電極として、ラミネート電池を負荷の一端に接続して、負荷に電気エネルギーを提供する。
【0034】
例示的には、第1キャリアは、正孔であり、第2キャリアは、電子であり、第1キャリア輸送層302の構成材料は、酸化ニッケル(NiOx)を含み、第1キャリア輸送層302の厚さは、15nm~50nm、例えば、15nm、20nm、45nm、50nmなどに制御されてもよい。酸化ニッケルの厚さを制御することにより、成膜品質を保証するとともに、第1キャリア輸送層302の原材料の消費量を低減し、生産コストを低減し、ラミネート電池における直列抵抗の抵抗値を低減し、ラミネート電池の性能を向上させることができる。第2キャリア輸送層306の構成材料は、酸化スズ、酸化層又は酸化亜鉛を含み、第2キャリア輸送層306の厚さは、10nm~200nmに制御されてもよい。第2キャリア輸送層306の厚さを制御することにより、マグネトロンスパッタリングによる頂部透明導電層308の形成時のペロブスカイト層304への衝撃を低減することを保証するとともに、第2キャリア輸送層306の原材料の消費量を低減し、生産コストを低減し、電子の取り出し効率を保証することができる。
【0035】
ペロブスカイト層304の構成材料は、Cs0.25FA0.75Pb(I0.8Br0.2)3を含み、ペロブスカイト層304は、バンドギャップが1.68evであり、厚さが200nm~1μmである。ペロブスカイト層304の厚さを制御することにより、太陽光の短波を十分に吸収するとともに、光により発生したキャリアが第1キャリア輸送層302及び第2キャリア輸送層306に吸収されることを保証することができる。
【0036】
頂部透明導電層308の構成材料は、ITO、ICO、IWO、VTTO、IZO又はAZOのうちの1種を含み、頂部透明導電層308の厚さは、80~150nm、例えば、80nm、100nm、150nmなどに制御されてもよい。このように、コストを節約し、良好な導電性を保証するとともに、良好な反射防止効果を保証することができる。第2電極層310の構成材料は、金属銀を含む。
【0037】
上記ラミネート電池において、結晶シリコン電池100とペロブスカイト電池300とを接続する導電接続層200には、第1隔離層202が設けられ、導電接続層200の結晶シリコン電池100から離れた表面から、導電接続層200を貫通するまで延在する第1隔離層202は、導電接続層200におけるキャリアの第1隔離層202の対向する2つの側壁間の輸送を阻止することで、結晶シリコン電池100とペロブスカイト電池300との接続方向におけるキャリアの輸送能力を向上させ、ペロブスカイト電池300の漏電を低減し、ラミネート電池の電圧を増加させ、ラミネート電池の性能を向上させる。
【0038】
図2に示すように、一実施例において、導電接続層200は、主接続層204及び周辺接続層206を含み、主接続層204は、導電接続層200における、縦方向に輸送されるキャリアがラミネート電池における電流に影響を与える領域であり、周辺接続層206は、導電接続層200における、縦方向に輸送されるキャリアがラミネート電池における電流に影響を与えない領域であり、結晶シリコン電池100に平行な平面(Y方向及びZ方向が位置する平面)内において、周辺接続層206は、少なくとも部分的に主接続層204を取り囲み、第1隔離層202は、少なくとも周辺接続層206と主接続層204との間の一部の領域に位置し、第1隔離層202によって取り囲まれた主接続層204の領域の大きさを変更することにより、主接続層204におけるキャリアの周辺接続層206への横方向輸送を変更し、さらに、主接続層204におけるキャリアの縦方向輸送能力を変更し、ラミネート電池の性能を調整することができる。
【0039】
さらに、周辺接続層206と主接続層204との間は、第1隔離層202によって隔離され、第1隔離層202は、主接続層204におけるキャリアの横方向輸送を主接続層204内に制限して、主接続層204におけるキャリアが周辺接続層206に横方向に輸送されることを避け、キャリアの総量が変化しない場合、主接続層204におけるキャリアの縦方向輸送を増加させ、ラミネート電池の性能を最大限に向上させる。例示的には、周辺接続層206は、主接続層204を完全に取り囲んでおり、この場合、第1隔離層202は、主接続層204を完全に取り囲んでいる。
【0040】
例示的には、結晶シリコン電池100に平行な平面(Y方向及びZ方向が位置する平面)内において、第1隔離層202の形状は、多角形(例えば、長方形、正方形)、円形、楕円形、半円形などを含むが、これらに限定されず、実際の応用において、ラミネート電池の有用な領域に応じて第1隔離層202の形状を設定することができる。
【0041】
図2に示すように、一実施例において、第1方向Xにおいて、前記結晶シリコン電池100は、基板102と、第1ドープ層104と、底部透明導電層106と、第2隔離層108とを含み、基板102は、第1導電型を有し、第1ドープ層104は、基板102の前記導電接続層200から離れた側に位置し、即ち、第1ドープ層104は、基板102の頂面に位置し、第2導電型を有し、底部透明導電層106は、前記第1ドープ層104の前記基板102から離れた表面に位置し、即ち、底部透明導電層106は、第1ドープ層104の頂面に位置し、第1導電型の基板102と第2導電型の第1ドープ層104との間にPN接合が形成され、第2隔離層108は、前記底部透明導電層106の前記第1ドープ層104から離れた表面から、前記底部透明導電層106を貫通するまで延在する。
【0042】
第1導電型の基板102における多数キャリアは、第2キャリアであり、第2導電型の第1ドープ層104における多数キャリアは、第1キャリアであり、即ち、基板がN型基板である場合、第1キャリア輸送層302は、正孔輸送層であり、第2キャリア輸送層306は、電子輸送層であり、その逆も同様である。第2導電型は、第1導電型と逆であり、第1導電型がP型である場合、第2導電型は、N型であり、第1導電型がN型である場合、第2導電型は、P型である。本実施例において、第1導電型は、P型であり、第2導電型は、N型である。
【0043】
第2隔離層108は、絶縁材料からなり、第2隔離層108により底部透明導電層106における多数キャリア(第1キャリア)を効果的に収集することができ、ラミネート電池の性能を向上させる。
【0044】
例示的には、基板102の構成材料は、第1導電型の単結晶シリコンを含み、その厚さは、50μm~500μmであり、例えば、50μm、100μm、150μm、300μm、500μmなどである。基板102の厚さを調整することにより、十分な太陽光が電池に吸収されるとともに、原材料の利用率を向上させることができる。
【0045】
例示的には、第1ドープ層104の構成材料は、第2導電型のドープアモルファスシリコンを含み、基板102の厚さを調整することにより、十分な第1キャリアの取り出し効率を有するとともに、過剰な寄生吸収を避けることができる。
【0046】
例示的には、底部透明導電層106の厚さは、110nmであり、底部透明導電層106の構成材料は、ITO、ICO、IWO、VTTO、IZO又はAZOのうちの1種を含むが、これらに限定されず、導電接続層200は、透明材料からなり、太陽光に対する吸収への影響を避ける。
【0047】
引き続き
図2に示すように、一実施例において、前記底部透明導電層106は、主導電層208と、補助導電層210とを含み、主導電層208は、主接続層204の底部透明導電層106への正投影と重なり、底部透明導電層106における主導電層208以外の領域は、補助導電層210であり、前記結晶シリコン電池100に平行な平面内において、前記補助導電層210は、少なくとも部分的に前記主導電層208を取り囲み、前記第2隔離層108は、少なくとも前記補助導電層210と前記主導電層208との間の一部の領域に位置する。第2隔離層108によって取り囲まれた主導電層208の領域の大きさを変更することにより、主導電層208における多数キャリア(第1キャリア)の補助導電層210への横方向移動を変更し、さらに底部透明導電層106における多数キャリア(第1キャリア)の効果的な収集を変更し、ラミネート電池の性能を調整する目的を達成することができる。
【0048】
一実施例において、前記第1隔離層202の前記底部透明導電層106への正投影は、前記第2隔離層108を被覆し、この場合、導電接続層200におけるキャリアの横方向輸送の境界と、底部透明導電層106における多数キャリア(第1キャリア)の効果的な収集の境界とは、重なり領域を有し、導電接続層200におけるキャリアの縦方向輸送、及び底部透明導電層106における多数キャリア(第1キャリア)の効果的な収集を同時に向上させ、ラミネート電池の性能をさらに改善することができる。さらに、前記底部透明導電層106への前記第1隔離層202の正投影は、前記第2隔離層108と重なり、ラミネート電池の性能を最大限に改善する。
【0049】
図2に示すように、一実施例において、結晶シリコン電池100は、第1パッシベーション層110と、第2パッシベーション層112と、第1導電型の第2ドープ層114とをさらに含み、第1パッシベーション層110は、第1ドープ層104と前記基板102との間に位置し、第2パッシベーション層112は、前記基板102の前記第1ドープ層104から離れた表面に位置し、第1パッシベーション層110及び第2パッシベーション層112により、基板102の表面の欠陥を減少させることができ、第2ドープ層114は、前記第2パッシベーション層112の前記基板102から離れた表面に位置し、かつ前記導電接続層200に接触して、第1導電型の第2キャリアを輸送する。
【0050】
さらに、第1パッシベーション層110及び/又は第2パッシベーション層112の構成材料は、真性アモルファスシリコン層又は二酸化ケイ素であり、第1パッシベーション層110及び第2パッシベーション層112の厚さは、1nm~20nmであり、例えば、1nm、20nmなどであり、十分なパッシベーション効果を保証し、原材料の利用率を向上させるとともに、ラミネート電池の抵抗が大きすぎるという問題を避けることができる。例示的には、第1パッシベーション層110及び第2パッシベーション層112の構成材料は、いずれも真性アモルファスシリコンである。
【0051】
さらに、前記第2ドープ層114の構成材料は、第1導電型のドープアモルファスシリコンを含み、前記第2ドープ層114の厚さは、1nm~100nmであり、第1導電型の第2キャリアの十分な取り出し効率を保証するとともに、過剰な寄生吸収を避けることができる。
【0052】
図3は、また他の実施例に係るラミネート電池の概略断面図であり、
図3に示すように、一実施例において、前記結晶シリコン電池100は、第1電極層116と、反射防止層118とをさらに含み、第1電極層116は、前記底部透明導電層106の前記第1ドープ層104から離れた表面に位置し、即ち、第1電極層116は、底部透明導電層106の頂面に位置する。反射防止層118は、前記第1電極層116の前記底部透明導電層106から離れた表面の一部に位置し、即ち、反射防止層118は、第1電極層116の頂面の一部に位置し、反射防止層118に被覆されていない第1電極層116は、ラミネート電池のもう1つの引き出し電極として、ラミネート電池を負荷の他端に接続して、負荷に電気エネルギーを提供する。ここで、第1電極層116は、ラミネート電池の第2導電型の電極とされ、第2電極層310は、ラミネート電池の第1導電型の電極とされる。反射防止層118により結晶シリコン電池100の表面の光反射を低減し、光の利用率を向上させ、さらにラミネート電池の電流及び曲線因子を向上させることができる。
【0053】
例示的には、主導電層208の反射防止層118への正投影は、反射防止層118と重なり、結晶シリコン電池100の表面の光の反射を防止するとともに、原材料の利用率を向上させる。
【0054】
例示的には、反射防止層118の構成材料は、MgF2を含み、第1電極層116の構成材料は、金属銀を含む。
【0055】
本開示は、ラミネート電池の製造方法を提供し、上記ラミネート電池の実施例と同様又は対応する部分は、以下では説明を省略する。
図4は、一実施例に係るラミネート電池の製造方法のフローチャートであり、
図3、
図4に示すように、本実施例において、以下のステップS102~ステップS108を含むラミネート電池の製造方法を提供する。
【0056】
ステップS102では、結晶シリコン電池を提供する。
【0057】
ステップS104では、前記結晶シリコン電池の表面に導電接続層を形成する。
【0058】
ステップS106では、前記導電接続層に第1隔離層を形成し、第1隔離層は、前記導電接続層の前記結晶シリコン電池から離れた表面から、前記導電接続層を貫通するまで延在する。
【0059】
ステップS108では、前記導電接続層の前記結晶シリコン電池から離れた表面にペロブスカイト電池を形成する。
【0060】
上記ラミネート電池の製造方法は、結晶シリコン電池100とペロブスカイト電池300とを接続する導電接続層200に第1隔離層202を形成し、導電接続層200の結晶シリコン電池100から離れた表面から、導電接続層200を貫通するまで延在する第1隔離層202により、導電接続層200におけるキャリアの第1隔離層202の対向する2つの側壁間の輸送を阻止することで、結晶シリコン電池100とペロブスカイト電池300との接続方向におけるキャリアの輸送能力を向上させ、ペロブスカイト電池300の漏電を低減し、シリコンラミネート電池の電圧を増加させ、ラミネート電池の性能を向上させる。
【0061】
一実施例において、結晶シリコン電池100を提供するステップは、ステップS202~ステップS208を含む。
【0062】
ステップS202では、第1導電型の基板102を提供する。
【0063】
一実施例において、前記第1導電型の基板102を提供するステップは、前記基板102を処理して、所定の基板を得るステップを含み、前記所定の基板は、両面研磨基板、両面テクスチャリング基板、及び片面研磨片面テクスチャリング基板のうちの1種を含む。具体的には、第1導電型のシリコン基板102を提供した後、基板102の少なくとも1つの表面に対して研磨及び/又はテクスチャリングプロセスを行って基板102の表面の損傷層を除去し、RCA洗浄を行って表面の不純物を除去して基板を得る。所定の基板は研磨面又は小さいテクスチャを有する表面を有する場合、その後、スピンコート法を用いてペロブスカイト層304を製造することができ、所定の基板は大きいテクスチャを有する表面を有する場合、その後、2段階法を用いてペロブスカイト層304を製造することができる。例示的には、テクスチャリング基板102の表面のテクスチャサイズは、0.1μm~10μmである。
【0064】
ステップS204では、前記基板102の前記導電接続層200から離れた側に第2導電型の第1ドープ層104を形成する。
【0065】
一実施例において、前記基板102の前記導電接続層200から離れた側(第1方向Xにおいて、基板102のペロブスカイト電池300から離れた側)に第2導電型の第1ドープ層104を形成するステップは、ステップS302~ステップS306をさらに含む。
【0066】
ステップS302では、前記基板102の前記導電接続層200から離れた表面に第1パッシベーション層110を形成する。
【0067】
ステップS304では、前記基板102の前記導電接続層200に近接する表面に第2パッシベーション層112を形成する。
【0068】
ステップS306では、前記第2パッシベーション層112の表面に第1導電型の第2ドープ層114を形成し、前記第2ドープ層114は、前記導電接続層200に接触する。
【0069】
具体的には、プラズマ強化化学気相成長プロセス(PECVD)を用いて、それぞれ、基板102の導電接続層200から離れた表面に第1パッシベーション層110を堆積し、基板102の導電接続層200に近接する表面に第2パッシベーション層112を堆積し、即ち、基板102の底面及び頂面に第1パッシベーション層110及び第2パッシベーション層112をそれぞれ形成する。プラズマ強化化学気相成長プロセス(PECVD)を用いて、それぞれ、第1パッシベーション層110の頂面に第2導電型の第1ドープ層104を堆積し、第2パッシベーション層112の頂面に第1導電型の第2ドープ層114を堆積する。次に、物理気相成長プロセス(PVD)又はRPDプロセスを用いて、第2ドープ層114の頂面に導電接続層200を堆積する。
【0070】
ステップS206では、前記第1ドープ層104の前記基板102から離れた表面に底部透明導電層106を形成する。
【0071】
物理気相成長プロセス(PVD)又はRPDプロセスを用いて、第1ドープ層104の表面に底部透明導電層106を堆積する。
【0072】
ステップS208では、前記底部透明導電層106に第2隔離層108を形成し、前記第2隔離層108は、前記底部透明導電層106の前記第1ドープ層104から離れた表面から、前記底部透明導電層106を貫通するまで延在する。
【0073】
一実施例において、前記底部透明導電層106は、主導電層208と、補助導電層210とを含み、前記結晶シリコン電池100に平行な平面内において、前記補助導電層210は、少なくとも部分的に前記主導電層208を取り囲み、前記底部透明導電層106に第2隔離層108を形成するステップは、少なくとも前記補助導電層210と前記主導電層208との間の一部の領域に位置する第2隔離層108を前記底部透明導電層106に形成するステップを含む。
【0074】
一実施例において、前記導電接続層200は、主接続層204と、周辺接続層206とを含み、前記結晶シリコン電池100に平行な平面内において、前記周辺接続層206は、少なくとも部分的に前記主接続層204を取り囲み、前記導電接続層200に第1隔離層202を形成するステップは、ステップS402~ステップS404を含む。
【0075】
ステップS402では、前記導電接続層200には、前記導電接続層200を貫通する第1環状溝を形成し、前記第1環状溝は、少なくとも前記主接続層204と前記周辺接続層206との間の一部の領域に位置する。
【0076】
ステップS404では、前記第1環状溝に前記第1隔離層202を充填して形成する。
【0077】
具体的には、レーザーにより導電接続層200に前記導電接続層200を貫通する第1環状溝を形成することで、主接続層204と周辺接続層206との間のキャリアの横方向輸送を限定し、主接続層204におけるキャリアの縦方向輸送を向上させ、その後、第1環状溝に第1隔離層202を充填して形成する。
【0078】
一実施例において、結晶シリコン電池100を提供するステップは、前記底部透明導電層106の前記第1ドープ層104から離れた表面に第1電極層116を形成するステップと、前記第1電極層116の前記底部透明導電層106から離れた表面の一部に反射防止層118を形成するステップと、をさらに含む。
【0079】
具体的には、スクリーン印刷プロセスを用いて、底部透明導電層106の前記第1ドープ層104から離れた表面に第1電極層116を形成し、電子ビーム蒸着を用いて第1電極層116の前記底部透明導電層106から離れた表面に反射防止層118を堆積し、第1電極層116の表面の一部の領域における反射防止層118を除去して、第1電極層116を露出させる。
【0080】
例示的には、ラミネート電池の製造方法は、マグネトロンスパッタリングプロセスを用いて、導電接続層200の頂面に第1キャリア輸送層302を堆積するステップと、スピンコートプロセスを用いて、第1キャリア輸送層302の表面にペロブスカイト層304を堆積するステップと、スピンコートプロセスを用いて、ペロブスカイト層304の表面に第2キャリア輸送層306を堆積するステップと、マグネトロンスパッタリングプロセスを用いて、第2キャリア輸送層306の頂面に頂部透明導電層308を堆積するステップと、加熱蒸着装置を用いて、頂部透明導電層308の表面に第2電極層310を堆積するステップと、をさらに含む。
【0081】
図4のフローチャートにおける各ステップは、矢印の指示に従って順に表示されているが、これらのステップは必ずしも矢印で指示した順に実行されるわけではないことを理解されたい。本明細書で明示的に説明されていない限り、これらのステップの実行には厳密な順序制限はなく、別の順序で実行することができる。また、
図4における少なくとも一部のステップは、複数のサブステップ又は複数の段階を含んでもよく、これらのサブステップ又は段階は、必ずしも同じタイミングで実行されて完了するわけではなく、異なるタイミングで実行されてもよく、これらのサブステップ又は段階の実行順序も必ず順に行われるわけではなく、他のステップ又は他のステップにおけるサブステップ又は段階の少なくとも一部に対して、順番にまたは交替に実行されてもよい。
【0082】
上述した実施例の各技術的特徴を任意に組み合わせることができる。簡潔に説明するために、上述した実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを説明していないが、これらの組み合わせは全て本明細書に記載された範囲に属すると考えられるべきである。
【0083】
上述した実施例は、本開示の実施例のいくつかの実施形態のみを説明しており、それらの説明は、具体的で詳細であるが、本発明の特許の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。なお、当業者にとって、本開示の実施例の趣旨を離脱しない限り、本発明に対して各種の変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び修正も本開示の実施例の範囲に属する。
【符号の説明】
【0084】
100 結晶シリコン電池、102 基板、104 第1ドープ層、106 底部透明導電層、108 第2隔離層、110 第1パッシベーション層、112 第2パッシベーション層、114 第2ドープ層、116 第1電極層、118 反射防止層、200 導電接続層、202 第1隔離層、204 主接続層、206 周辺接続層、208 主導電層、210 補助導電層、300 ペロブスカイト電池、302 第1キャリア輸送層、304 ペロブスカイト層、306 第2キャリア輸送層、308 頂部透明導電層、310 第2電極層
【要約】
本開示は、ラミネート電池及びその製造方法に関する。該ラミネート電池は、結晶シリコン電池と、結晶シリコン電池の表面に位置する導電接続層と、導電接続層の結晶シリコン電池から離れた表面から導電接続層を貫通するまで延在する第1隔離層と、導電接続層の結晶シリコン電池から離れた表面に位置するペロブスカイト電池と、を含む。第1隔離層は、導電接続層におけるキャリアの第1隔離層の対向する2つの側壁間の輸送を阻止することで、結晶シリコン電池とペロブスカイト電池との接続方向におけるキャリアの輸送能力を向上させ、ペロブスカイト電池の漏電を低減し、ラミネート電池の電圧を増加させ、ラミネート電池の性能を向上させる。
【選択図】
図1