(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-30
(45)【発行日】2024-09-09
(54)【発明の名称】対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する情報処理装置、システム、プログラム、および方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/70 20180101AFI20240902BHJP
【FI】
G16H20/70
(21)【出願番号】P 2024522572
(86)(22)【出願日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 JP2023040919
【審査請求日】2024-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2022181738
(32)【優先日】2022-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524233089
【氏名又は名称】FrontAct株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 誠治
(72)【発明者】
【氏名】上岡 直美
(72)【発明者】
【氏名】駒野 隆志
(72)【発明者】
【氏名】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】笠井 一希
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/219702(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0098110(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する情報処理装置であって、
診断部と、
出力部とを備え、
前記診断部は、第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の診断パラメータから前記診断関連情報を推定し、
前記出力部は、前記診断部によって推定された前記診断関連情報を
、前記
対象者の端末装置および前記対象者の関係者の端末装置の少なくとも1つに出力し、
前記診断パラメータは、前記対象者の言動情報を含み、
前記対象者の言動情報は、前記対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含み、
前記第1の場合は、前記精神神経疾患に関する医師の診察のために前記対象者および前記医師が対面する特定施設の外部に前記対象者がおり、かつ、仮想空間に前記対象者が
端末装置を介してアクセスしていない場合であり、
前記第2の場合は、前記対象者が前記特定施設において前記医師と対面している場合であり、
前記第3の場合は、前記対象者が
端末装置を介して前記仮想空間にアクセスしている場合である、情報処理装置。
【請求項2】
前記診断パラメータは、前記第1の場合および前記第2の場合を使用する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記対象者の言動情報は、音声情報および行動履歴である、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記診断パラメータは、前記対象者の生体情報をさらに含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記診断パラメータは、前記第1の場合の前記対象者の言動情報と前記第2の場合の前記対象者の言動情報との乖離度をさらに含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記診断パラメータは、前記第1の場合および前記第2の場合の少なくとも一方の場合、ならびに前記第3の場合を使用する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記対象者の言動情報は、音声情報および行動履歴である、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記診断パラメータは、前記対象者の生体情報をさらに含む、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記診断パラメータは、前記対象者が前記仮想空間にアクセスしているログイン時間情報をさらに含む、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記診断パラメータは、前記対象者の関係者が前記仮想空間にアクセスしている場合の前記関係者の行動履歴および前記関係者の生体情報の少なくとも1つをさらに含む、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記診断パラメータは、前記第1の場合の前記対象者の言動情報と前記第2の場合の前記対象者の言動情報との乖離度、前記第2の場合の前記対象者の言動情報と前記第3の場合の前記対象者の言動情報との乖離度、および前記第1の場合の前記対象者の言動情報と前記第3の場合の前記対象者の言動情報との乖離度のいずれか少なくとも1つをさらに含む、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記対象者が端末装置を介して前記仮想空間において操作するアバターに対して、前記出力部は、前記診断関連情報に応じて前記アバターの外観を変化させるためのインセンティブ情報を前記端末装置に出力する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記診断関連情報は、互いに異なる複数の精神神経疾患に関する情報を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記診断パラメータは、前記対象者の関係者が前記対象者に介入した場合の前記対象者の状態に関する情報および前記関係者に関する情報の少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記出力部は、前記対象者の関係者が前記対象者に介入した場合の前記対象者の状態に関する情報を前記情報処理装置の外部にさらに出力する、請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記診断パラメータは、前記対象者に関係者が介入した履歴、前記関係者に介入された場合の前記対象者の状態、前記対象者の服薬状況に関する情報、前記対象者に訪問ケアサービスが行われたか否かに関する情報、前記訪問ケアサービスが行われた場合の前記対象者の精神神経状態に関する情報、前記対象者の精神神経状態が改善あるいは増悪する場合のトリガ事象に関する情報、および前記対象者の関係者の精神神経疾患に関する情報の少なくとも1つをさらに含む、請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記診断関連情報は、前記対象者に対する警報情報、前記対象者の関係者に対する警報情報、前記対象者に対する服薬指導に関する情報、前記対象者に対する受診勧奨に関する情報、前記対象者に対する前記関係者とのコミュニケーション推奨に関する情報のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記情報処理装置は、認証部をさらに備え、
前記認証部は、前記対象者を識別するために入力される入力本人情報と、予め登録された前記対象者の登録本人情報とが一致するか否かを判定し、
前記診断部は、前記認証部によって前記入力本人情報と前記登録本人情報とが一致すると判定された場合の前記診断パラメータから前記診断関連情報を推定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記情報処理装置は、取得タイミング判定部をさらに備え、
前記取得タイミング判定部は、前記診断パラメータの取得タイミングを判定し、
前記診断部は、前記取得タイミングにおいて取得された前記診断パラメータを用いて前記診断関連情報を推定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項20】
対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定するシステムであって、
前記対象者の言動情報を取得する少なくとも1つの言動モニタ装置と、
端末装置と、
診断パラメータから前記診断関連情報を推定し、前記診断関連情
報を前記端末装置に送信する情報処理装置とを備え、
前記診断パラメータは、前記少なくとも1つの言動モニタ装置によって取得された前記対象者の言動情報を含み、
前記対象者の言動情報は、前記対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含み、
前記診断パラメータは、第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の前記対象者の言動情報を含み、
前記第1の場合は、前記精神神経疾患に関する医師の診
察のために前記対象者および前記医師が対面する特定施設の外部に前記対象者がおり、かつ、仮想空間に前記対象者がアクセスしていない場合であり、
前記第2の場合は、前記対象者が前記特定施設において前記医師と対面している場合であり、
前記第3の場合は、前記対象者が前記仮想空間にアクセスしている場合である、システム。
【請求項21】
対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定するためのプログラムであって、
前記プログラムは、プロセッサ
に、
第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の診断パラメータから前記診断関連情報を推定
させ、
前記診断関連情
報を前記対象者の端末装置
および前記対象者の関係者の端末装置の少なくとも1つに送信
させ、
前記診断パラメータは、前記対象者の言動情報を含み、
前記対象者の言動情報は、前記対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含み、
前記第1の場合は、前記精神神経疾患に関する医師の診
察のために前記対象者および前記医師が対面する特定施設の外部に前記対象者がおり、かつ、仮想空間に前記対象者が
端末装置を介してアクセスしていない場合であり、
前記第2の場合は、前記対象者が前記特定施設において前記医師と対面している場合であり、
前記第3の場合は、前記対象者が
端末装置を介して前記仮想空間にアクセスしている場合である、プログラム。
【請求項22】
対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する方法であって、
第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の診断パラメータから前記診断関連情報を推定するステップと、
前記診断関連情
報を前記対象者の端末装置
および前記対象者の関係者の端末装置の少なくとも1つに出力するステップとを含み、
前記診断パラメータは、前記対象者の言動情報を含み、
前記対象者の言動情報は、前記対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含み、
前記第1の場合は、前記精神神経疾患に関する医師の診
察のために前記対象者および前記医師が対面する特定施設の外部に前記対象者がおり、かつ、仮想空間に前記対象者が
端末装置を介してアクセスしていない場合であり、
前記第2の場合は、前記対象者が前記特定施設において前記医師と対面している場合であり、
前記第3の場合は、前記対象者が
端末装置を介して前記仮想空間にアクセスしている場合である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定するシステム、プログラム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する構成が知られている。たとえば、特開2020-149234号公報(特許文献1)には、ユーザの行動が時系列的に記録された行動データと認知症の度合いとの関係を学習してある学習モデルを用いて、ユーザの行動データに基づき、ユーザが認知症であるか否かを推定する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
精神神経疾患を有する対象者が、精神神経疾患に特徴的な行動(特徴行動)を常に行うとは限らない。たとえば、対象者は、自身が精神神経疾患を有することを他人に知られないようにするために、人前では特徴行動を抑制する可能性がある。一方で、対象者は、精神神経疾患を有していないにも関わらず、特定の目的(たとえば、周囲の関心を集める目的、金銭的利得を得る目的、あるいは義務から逃れる目的)のために特徴行動を行うことが可能である。したがって、対象者の行動が単に時系列的に記録された行動データには、精神神経疾患を有する対象者の特徴行動が含まれない可能性がある一方で、精神神経疾患を有さない対象者によって作出あるいは誇張された特徴行動が含まれ得る。このような行動データによると、対象者の精神神経疾患に関する評価と、客観的な対象者の状態との間に乖離が生じ得る。しかし、特許文献1においては、当該乖離について考慮されていない。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、対象者の精神神経疾患に関する客観的な診断および状態の評価を支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る情報処理装置は、対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する。情報処理装置は、診断部と、出力部とを備える。診断部は、第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の診断パラメータから診断関連情報を推定する。出力部は、診断部によって推定された診断関連情報を情報処理装置の外部に出力する。診断パラメータは、対象者の言動情報を含む。対象者の言動情報は、対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含む。第1の場合は、精神神経疾患に関する医師の診察のために対象者および医師が対面する特定施設の外部に対象者がおり、かつ、仮想空間に対象者がアクセスしていない場合である。第2の場合は、対象者が特定施設において医師と対面している場合である。第3の場合は、対象者が仮想空間にアクセスしている場合である。
【0007】
本発明の他の局面に係るシステムは、対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する。少なくとも1つの言動モニタ装置と、端末装置と、情報処理装置とを備える。少なくとも1つの言動モニタ装置は、対象者の言動情報を取得する。情報処理装置は、診断パラメータから診断関連情報を推定し、診断関連情報を端末装置に送信する。診断パラメータは、少なくとも1つの言動モニタ装置によって取得された対象者の言動情報を含む。対象者の言動情報は、対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含む。診断パラメータは、第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の対象者の言動情報を含む。第1の場合は、精神神経疾患に関する医師の診断のために対象者および医師が対面する特定施設の外部に対象者がおり、かつ、仮想空間に対象者がアクセスしていない場合である。第2の場合は、対象者が特定施設において医師と対面している場合である。第3の場合は、対象者が仮想空間にアクセスしている場合である。
【0008】
本発明の他の局面に係るプログラムは、対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定するためのプログラムである。プログラムは、プロセッサによって実行されることによって、第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の診断パラメータから診断関連情報を推定し、診断関連情報を端末装置に送信する。診断パラメータは、対象者の言動情報を含む。対象者の言動情報は、対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含む。第1の場合は、精神神経疾患に関する医師の診断のために対象者および医師が対面する特定施設の外部に対象者がおり、かつ、仮想空間に対象者がアクセスしていない場合である。第2の場合は、対象者が特定施設において医師と対面している場合である。第3の場合は、対象者が仮想空間にアクセスしている場合である。
【0009】
本発明の他の局面に係る方法は、対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する。当該方法は、第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の診断パラメータから診断関連情報を推定するステップと、診断関連情報を端末装置に出力するステップとを含む。診断パラメータは、対象者の言動情報を含む。対象者の言動情報は、対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含む。第1の場合は、精神神経疾患に関する医師の診断のために対象者および医師が対面する特定施設の外部に対象者がおり、かつ、仮想空間に対象者がアクセスしていない場合である。第2の場合は、対象者が特定施設において医師と対面している場合である。第3の場合は、対象者が仮想空間にアクセスしている場合である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るシステム、プログラム、および方法によれば、診断パラメータが第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の対象者の言動情報を含むことにより、対象者の精神神経疾患に関する客観的な診断および状態の評価を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る精神神経疾患診断システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2の情報処理装置によって行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図2の情報処理装置および端末装置の各々のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】実施の形態2に係る精神神経疾患診断システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】
図5の情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図7】
図6の情報処理装置によって行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰り返さない。
【0013】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る精神神経疾患診断システム1の構成を示すブロック図である。精神神経疾患診断システム1は、被験者Sb1(患者あるいは対象者)の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する。診断関連情報は、精神神経疾患の有無および状態、前駆症状、未病状態、ならびに再発予兆を含む。なお、本開示における精神神経疾患には、統合失調症、双極性障害(躁うつ病)、うつ病、不安症、パニック症、強迫症、心的外傷後ストレス障害(PTSD:Post-Traumatic Stress Disorder)、認知症、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、神経発達症、摂食障害、てんかん、または依存症等が含まれる。本開示はいずれの精神神経疾患にもそれぞれ適用可能である。本開示は統合失調症、双極性障害、うつ病、および/または認知症を含む精神神経疾患の診断に適用することが好ましく、特に、統合失調症を含む精神神経疾患の診断に適用することが好適である。
【0014】
図1に示されるように、精神神経疾患診断システム1は、情報処理装置100と、被験者Sb1の端末装置200(言動モニタ装置),端末装置210と、被験者Sb1の配偶者Rt11の端末装置300、被験者Sb1の訪問看護師Rt12の端末装置400と、病院Hsp内の端末装置1000,カメラCm1(言動モニタ装置),マイクMc1(言動モニタ装置)と、データベースサーバDBSとを備える。端末装置200,210,300,400,1000と、カメラCm1と、マイクMc1と、データベースサーバDBSとは、ネットワークNWを介して情報処理装置100に接続されている。ネットワークNWは、たとえばインターネット、LAN(Local Area Network)、あるいはクラウドシステムを含む。
【0015】
被験者Sb1は、精神神経疾患に関する医師Dcの診察のために病院Hsp(特定施設)に通院する。病院Hspにおいて医師Dcと対面している場合の被験者Sb1の言動情報(被験者Sb1の音声情報および行動履歴情報の少なくとも一方の情報)は、カメラCm1およびマイクMc1によって記録され、時刻情報(タイムスタンプ)とともにカメラCm1およびマイクMc1から情報処理装置100に送信される。なお、カメラCm1およびマイクMc1による被験者Sb1の言動情報のサンプリング周期および取得タイミングは任意に設定され得る。
【0016】
カメラCm1によって取得される画像データからは、被験者Sb1の行動履歴に関する情報として、たとえば、異常行動の有無および種類(たとえば貧乏ゆすり、あるいは頭の掻きむしり)が取得される。また、当該画像データからは、被験者Sb1の精神神経状態(たとえば、精神状態あるいは精神疾患の状態)に関する情報として、たとえば、被験者Sb1の表情の種類(たとえば喜びあるいは怒り)および表情の変化の態様(たとえば定常的な奥歯の噛みしめ)が取得される。マイクMc1によって取得される音声データからは、音声情報として、医師Dcとの会話のテキスト情報が取得される。また、当該音声データからは、被験者Sb1の精神神経状態に関する情報として、たとえば、発話量、音声情報内容、会話状態、音声情報のトーン(抑揚)、あるいは音声の周波数が取得される。
【0017】
医師Dcは、診察中の被験者Sb1の生体情報(たとえば体温(℃)、心拍数(bpm)、あるいは心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)(ms))を測定して、端末装置1000に入力する。端末装置1000は、被験者Sb1の生体情報を時刻情報とともに情報処理装置100に送信する。端末装置1000は、たとえば、パーソナルコンピュータ、タブレット、あるいはスマートフォンを含む。
【0018】
被験者Sb1が精神神経疾患を有するとしても、異常行動を常に行うとは限らない。たとえば、被験者Sb1は、自身が精神神経疾患を有することを医師Dcに知られないようにするために、医師Dcの前では異常行動を抑制する可能性がある。一方で、被験者Sb1は、精神神経疾患を有していないにも関わらず、医師Dcの前で特定の目的のために異常行動を行うことが可能である。したがって、医師Dcの前での被験者Sb1の行動履歴には、精神神経疾患を有する被験者Sb1の異常行動が含まれない可能性がある一方で、精神神経疾患を有さない被験者Sb1によって作出あるいは誇張された異常行動が含まれ得る。このような行動履歴によると、対象者の精神神経疾患に関する医師Dcの診断と、客観的な被験者Sb1の状態との間に乖離が生じ得る。また、精神神経疾患の中でも認知症においては問診以外にも、神経心理検査および脳画像検査等によりある程度の診断も可能である。しかし、特に統合失調症においては確定的な検査方法が存在せず、被験者Sb1における客観的なデータ等から診断を支援する方法が求められている。
【0019】
そこで、精神神経疾患診断システム1においては、医師Dcの前での言動情報と、病院Hspの外部の現実世界における被験者Sb1の言動情報とを含む診断パラメータから被験者Sb1の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する。病院Hspの外部の現実世界における被験者Sb1の言動情報には、被験者Sb1の客観的な状態が医師Dcの前よりも無意識的に表出され易い。精神神経疾患診断システム1によれば、被験者Sb1の精神神経疾患に関する客観的な診断および状態の評価を支援することができる。なお、診断パラメータは過去に得られた診断関連情報を含んでも良い。以下では、病院Hspにおいて医師Dcと対面している場合の被験者Sb1の診断パラメータを、被験者Sb1の院内情報とも称する。被験者Sb1の院内情報は、被験者Sb1が医師Dcと対面した現在の情報に限定されず、過去に被験者Sb1が医師Dcと対面したときの診断パラメータおよび診断関連情報を含んでもよい。また、被験者Sb1の院内情報は、現在の医師Dcが所属する病院とは異なる病院で得られた過去の診断パラメータおよび診断関連情報を含んでもよい。
【0020】
被験者Sb1の端末装置200は、被験者Sb1の日常の言動情報を取得して、時刻情報とともに情報処理装置100に送信する。日常とは、病院Hspの外部に被験者Sb1がいる場合である。端末装置200は、たとえばスマートフォン、タブレットおよびパーソナルコンピュータを含む。端末装置200によって取得される行動履歴に関する情報は、たとえば、1日あたりの端末装置200の操作時間、1週間あたりのインターネットショッピングの購買履歴(たとえば購入件数および購入総額)、端末装置200の移動範囲、あるいは検索エンジン,SNS(Social Networking Service),電子メールに入力されたテキストを含む。端末装置200によって取得される音声情報は、たとえば、被験者Sb1の音声会話のテキスト情報を含む。以下では、日常の被験者Sb1の診断パラメータを院外情報とも称する。なお、被験者Sb1の端末装置200による言動情報のサンプリング周期および取得タイミングは任意に設定され得る。
【0021】
被験者Sb1の端末装置210は、生体情報センサ(たとえば脈拍センサ)を含む。端末装置210は、生体情報センサを介して被験者Sb1の生体情報を取得して、時刻情報とともに情報処理装置100に送信する。端末装置210は、たとえば、ウェアラブルなスマートウォッチを含む。なお、被験者Sb1の端末装置210による生体情報のサンプリング周期および取得タイミングは任意に設定され得る。
【0022】
データベースサーバDBSは、データベースDB1,DB2とを含む。データベースDB1には、被験者Sb1に関する情報が登録されている。被験者Sb1に関する情報には、たとえば、被験者Sb1の個人情報、病歴、および認証ための本人情報(たとえば、ID、パスワード、あるいは生体認証用の指紋,声紋,静脈パターン,網膜,虹彩等の身体的特徴)が含まれる。データベースDB2には、被験者Sb1の関係者に関する情報が登録されている。被験者Sb1の関係者に関する情報には、たとえば、当該関係者の個人情報、および認証情報が含まれる。被験者Sb1の関係者には、たとえば、被験者Sb1の配偶者Rt11等の家族、同僚、訪問看護師Rt12、あるいは社会福祉士が含まれる。
【0023】
図2は、
図1の情報処理装置100の機能構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、情報処理装置100は、院内情報Hinおよび院外情報Houtを受信する。院内情報Hinは、被験者Sb1の生体情報Hi1と、音声情報Hi2と、行動履歴情報Hi3とを含む。院外情報Houtは、被験者Sb1の生体情報Ho1と、音声情報Ho2と、行動履歴情報Ho3とを含む。
【0024】
情報処理装置100は、認証部110と、取得タイミング判定部120と、診断部130と、本人情報記録部140と、出力部190とを含む。診断部130は、生体情報取得部131と、音声情報取得部132と、行動履歴情報取得部133と、状態取得部161と、介入履歴取得部162と、関係者情報取得部163と、状態推定部170とを含む。出力部190は、第1情報出力部191と、第2情報出力部192とを含む。
【0025】
本人情報記録部140には、データベースサーバDBSから取得された被験者Sb1の本人情報が予め登録されている。認証部110は、本人情報記録部140に登録された本人情報(登録本人情報)と、被験者Sb1の端末装置200から入力された本人情報(入力本人情報)とが一致するか否かを判定し、判定結果を生体情報取得部131、音声情報取得部132、および行動履歴取得部150に出力する。
【0026】
取得タイミング判定部120は、診断パラメータの取得タイミングを判定し、当該取得タイミングを状態推定部170に出力する。診断パラメータの取得タイミングは、たとえば、予め定められたトリガ事象の発生タイミングであってもよい。トリガ事象には、たとえば予め定められた時刻の到来、あるいはトリガワードの捕捉が含まれる。診断パラメータの取得タイミングは、ランダムであってもよい。
【0027】
生体情報取得部131は、入力本人情報が登録本人情報に一致し、かつ診断パラメータの取得タイミングが到来している場合、受信したデータから取得タイミングにおける生体情報を取得して状態推定部170に出力する。生体情報取得部131は、受信したデータから、たとえば被験者Sb1の発話量、トーン、音声、物の描写情報、ならびに医師Dcの質問に対するレスポンス、姿勢、表情、および視線情報を取得して状態推定部170に出力してもよい。
【0028】
音声情報取得部132は、入力本人情報が登録本人情報に一致し、かつ診断パラメータの取得タイミングが到来している場合、被験者Sb1の音声情報として、たとえば、受信したデータから取得タイミングにおける被験者Sb1の会話情報、当該会話情報がテキストデータに変換されたテキスト情報、およびテキスト情報に含まれるアンガーワードを取得して、状態推定部170に出力する。
【0029】
行動履歴情報取得部133は、入力本人情報が登録本人情報に一致し、かつ診断パラメータの取得タイミングが到来している場合、被験者Sb1の行動履歴情報として、たとえば、取得タイミングにおける被験者Sb1の端末装置200の操作時間、購買履歴、検索ワード、SNSへの入力内容、および端末装置200の移動範囲を取得して、状態推定部170に出力する。
【0030】
認証部110による本人認証によって、被験者Sb1と異なる人物のデータが被験者Sb1の精神神経疾患に関する診断に用いられることを防止することができる。また、診断パラメータの取得タイミングを設定することにより、被験者Sb1の客観的な状態が表出され易い状況の診断パラメータを用いること、および被験者Sb1の意識的な異常行動の防止が可能になる。その結果、情報処理装置100による被験者Sb1の精神神経疾患に関する診断の客観性をさらに高めることができる。
【0031】
状態取得部161は、被験者Sb1の介護あるいは自立支援のために被験者Sb1の関係者(たとえばRt11あるいはRt12)によって介入(インターベンション)が行われた場合に、介入した関係者(介入者)が自身の端末装置(たとえば300あるいは400)を介して入力した介入時情報を時刻情報とともに取得して状態推定部170および第1情報出力部191に出力する。介入時情報には、たとえば被験者Sb1の行動に介入された場合の被験者Sb1の精神神経状態、外出頻度の増減、友人関係に関する情報、会話内容、服薬状況(たとえば薬の残量あるいは管理状態)、被験者Sb1に訪問ケアサービス(訪問介護あるいは訪問看護)が行われたか否かに関する情報、訪問ケアサービスが行われた場合の被験者Sb1の精神神経状態に関する情報、および被験者Sb1の精神神経状態が改善あるいは増悪する場合のトリガ事象に関する情報が含まれる。
【0032】
介入履歴取得部162は、被験者Sb1へ介入者が介入した履歴情報(介入履歴情報)を当該介入者の端末装置から時刻情報とともに取得して、状態推定部170および第1情報出力部に出力する。当該履歴情報には、たとえば、介入者の種類(たとえば、配偶者、社会福祉士、介護士、あるいは訪問看護師)が含まれる。
【0033】
関係者情報取得部163は、被験者Sb1の関係者(たとえばRt11,Rt12)の状態に関する情報を当該関係者の端末装置またはデータベースサーバDBSから取得して状態推定部170および第1情報出力部191に出力する。被験者Sb1の関係者の状態に関する情報には、当該関係者の精神神経疾患に関する情報が含まれる。
【0034】
状態推定部170は、音声情報取得部132および行動履歴情報取得部133の少なくとも一方から取得された診断パラメータから、被験者Sb1の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定し、第1情報出力部191および第2情報出力部192に出力する。当該診断パラメータには、病院Hspにおいて医師Dcと対面している場合の被験者Sb1の言動情報と、病院Hspの外部の現実世界における被験者Sb1の言動情報とが含まれる。診断パラメータには、さらに、生体情報取得部131によって取得された被験者Sb1の生体情報、状態取得部161によって取得された介入時情報、介入履歴取得部162によって取得された介入履歴情報、関係者情報取得部163によって取得された被験者Sb1の関係者の状態に関する情報が含まれてもよい。
【0035】
状態推定部170は、たとえば、介入時情報に含まれる、被験者Sb1の発話量、トーン、音声、質問に対するレスポンス、姿勢、表情、および視線情報等の情報を用いて、一般的な健常者との差分、あるいは過去の被験者の履歴データとの差分から、被験者Sb1の精神神経疾患に関する診断関連情報を判定する。
【0036】
状態推定部170は、たとえば、被験者Sb1の行動履歴情報に含まれる、被験者Sb1の端末装置の操作時間、購買履歴、検索ワード、SNSの内容、および行動範囲履歴情報を、被験者Sb1の精神神経疾患に関連する特徴的な統計データあるいは行動と照合し、被験者Sb1の言動に異常行動が含まれているか否かを判定する。
【0037】
状態推定部170は、たとえば、音声情報に含まれる、被験者Sb1の会話情報および当該会話情報をテキストデータに変換したテキスト情報を、被験者Sb1の精神神経疾患に関連する特徴的な統計データあるいは行動と照合し、被験者Sb1の言動に異常行動が含まれているか否かを判定する。
【0038】
状態推定部170は、統合失調症推論エンジン171、鬱推論エンジン172、および認知症推論エンジン173の少なくとも1つを含む。統合失調症推論エンジン171は、診断パラメータから統合失調症に関する診断関連情報を推論する。統合失調症推論エンジン171は、たとえば、被験者Sb1の言動情報から統合失調症の疑わしさ、重症度、または再燃兆候などをそれぞれ判別するモデルを利用することができる。鬱推論エンジン172は、診断パラメータから鬱病に関する診断関連情報を推論する。鬱推論エンジン172は、たとえば、院内および/または院外にて得られた生体情報および行動履歴を利用して鬱病の疑わしさおよび重症度などを判別するモデルを利用することができる。認知症推論エンジン173は、診断パラメータから認知症に関する診断関連情報を推論する。状態推定部170は、統合失調症推論エンジン171、鬱推論エンジン172、および認知症推論エンジン173により各々の疾患に関する診断関連情報を推論してもよいし、いずれかの診断関連情報を統合して、被験者Sb1の精神神経疾患に関する診断関連情報を推論してもよい。
【0039】
状態推定部170は、たとえば、精神神経疾患に該当すると判定するために予め用意された、精神神経疾患を有することを表す基準特徴量と、被験者Sb1の院外情報Hout、院内情報Hin、介入履歴情報、および関係者情報を含む診断パラメータとを照合し、特徴量空間における基準特徴量と診断パラメータとの間の距離により、被験者Sb1の精神神経疾患の傾向を定量的に判断する。状態推定部170は、病院Hspの外部に被験者Sb1がおり、かつ、仮想空間に被験者Sb1がアクセスしていない場合における被験者Sb1の言動情報と、病院Hspにおいて医師Dcに対面している場合における被験者Sb1の言動情報との差分および乖離度を解析することにより、被験者Sb1の状態の判別、および、被験者Sb1が興味および関心の変化の捕捉を行ってもよい。
【0040】
複数の観点から被験者Sb1の精神神経疾患に関する診断関連情報を推論することにより、被験者Sb1の精神神経疾患に対する多角的な分析が可能になる。その結果、被験者Sb1の精神神経疾患の改善に必要な対策を的確に導出することができる。
【0041】
なお、統合失調症推論エンジン171、鬱推論エンジン172、および認知症推論エンジン173の各々は、人工知能および機械学習等を用いた学習済みの推論モデルを用いる方法によって実現されてもよいし、ルールベースの推論アルゴリズムを用いる方法によって実現されてもよい。また、状態推定部170によって推論される精神神経疾患の数は、1つでもよいし、4以上であってもよい。
【0042】
第1情報出力部191は、診断部130からの診断関連情報、状態取得部161からの介入時情報、介入履歴取得部162からの介入履歴情報、および関係者情報取得部163からの被験者Sb1の関係者の状態に関する情報を、医師Dcの端末装置1000に出力する。医師Dcは、情報処理装置100からの診断関連情報を参照することによって、医師Dcの前の被験者Sb1の言動情報に客観性があるか否かを判断することができる。その結果、医師Dcは、被験者Sb1の精神神経疾患に関する客観的な診断を行うことができる。
【0043】
第2情報出力部192は、診断部130からの診断関連情報に、被験者Sb1に対する服薬指導に関する情報(たとえば、頓服薬のレコメンドに関する情報、あるいは毎日の服薬を処方通りに摂取するように促す注意喚起に関する情報)、受診勧奨に関する情報、関係者とのコミュニケーション推奨に関する情報のうち少なくとも1つを加えて、当該診断関連情報を被験者Sb1の端末装置200、配偶者Rt11の端末装置300、および訪問看護師Rt12の端末装置400に出力する。第2情報出力部192は、診断部130からの診断関連情報に基づいて、被験者Sb1の端末装置200に警報情報を出力してもよいし、被験者Sb1の関係者の端末装置に警報情報、あるいは被験者Sb1への介入を促す情報を出力してもよい。第2情報出力部192は、受信予約ページへの誘導機能、医師Dc等への緊急通知機能、あるいは推奨介入内容通知機能を有していてもよい。第2情報出力部192は、被験者Sb1の精神神経疾患の状態が相対的に悪い場合、他人に支援を求めることを積極的に推奨するメッセージ(たとえば「他人に助けを求めても良い」)を被験者Sb1の端末装置200に出力してもよい。
【0044】
なお、出力部190は、情報処理装置100に直接に接続された不図示のディスプレイ等の表示装置に診断部130からの診断関連情報および当該診断関連情報に基づく推奨情報を出力してもよい。
【0045】
被験者Sb1、または必要な関係者(たとえば配偶者Rt11、あるいは訪問看護師Rt12など)は、第2情報出力部192からの診断関連情報を参照することにより、客観的な精神神経疾患の有無および状態に基づいて、被験者Sb1の精神神経疾患の改善に必要な対策を知ることができる。
【0046】
図3は、
図2の情報処理装置100によって行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下ではステップを単にSと記載する。
【0047】
図3に示されるように、認証部110は、S101において、被験者の端末装置から入力本人情報を受信するまで待機する。認証部110は、入力本人情報の受信に応じて、S102において、入力本人情報と登録本人情報とが一致するか否かを判定する。入力本人情報と登録本人情報とが一致しない場合(S102においてNO)、認証部110は、処理をS101に戻す。入力本人情報と登録本人情報とが一致する場合(S102においてYES)、認証部110は、入力本人情報と登録本人情報との照合結果を診断部130に出力する。
【0048】
診断部130は、認証部110からの照合結果の受信に応じて、S103において、診断パラメータの取得タイミングの到来を待機する。診断部130は、データの取得タイミングの到来に応じて、S104において、認証部110によって認証された被験者の端末装置から院外情報を取得するとともに、被験者が通院する病院の装置(医師Dcの端末装置1000、カメラCm1、およびマイクMc1)から院内情報を取得し、処理をS105に進める。診断部130は、S105において、介入者の端末装置から介入時情報および介入履歴情報を取得して、処理をS106に進める。診断部130は、S106において、データベースサーバDBSから関係者情報を取得して、処理をS107に進める。診断部130は、S107において診断パラメータから被験者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定し、診断関連情報を出力部190に出力する。
【0049】
出力部190は、診断部130から診断関連情報を受信したことに応じて、S108において、被験者、関係者、および医師の各々の端末装置に当該診断関連情報を出力し、処理を終了する。
【0050】
図4は、
図2の情報処理装置100および端末装置200の各々のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示されるように、情報処理装置100は、プロセッサ101と、RAM(Random Access Memory)102と、ストレージ103と、通信部104と、メモリインターフェイス105と、入出力部106とを含む。
【0051】
プロセッサ101は、情報処理装置100の動作を制御する各種の機能を実行するための処理回路である。プロセッサ101は、たとえばコンピュータのような情報機器を動作させるCPU(Central Processing Unit)あるいはGPU(Graphics Processing Unit)を含む。
【0052】
RAM102は、揮発性メモリを含む。RAM102は、プロセッサ101が動作する際のワークエリア、あるいは一時的なデータの格納領域などとして使用される。
【0053】
ストレージ103は、たとえばフラッシュROM(Read Only Memory)あるいはSSD(Solid State Drive)のような不揮発性メモリを含む。ストレージ103には、コンピュータプログラムおよびそれの実行時に参照されるデータが保存されている。たとえば、ストレージ103には、当該コンピュータプログラムとして、OS(Operating System)プログラム(不図示)と、精神神経疾患診断メインプログラム103aと、統合失調症推論プログラム103bと、鬱推論プログラム103cと、認知症推論プログラム103dとが保存されている。統合失調症推論プログラム103b、鬱推論プログラム103c、認知症推論プログラム103dは、精神神経疾患診断メインプログラム103aから呼び出される。なお、精神神経疾患診断メインプログラム103a、統合失調症推論プログラム103b、鬱推論プログラム103c、および認知症推論プログラム103dは、1つのプログラムとして構成されてもよい。
【0054】
精神神経疾患診断メインプログラム103aを実行するプロセッサ101によって、
図3に示される情報処理装置100の各機能が実現される。統合失調症推論プログラム103bを実行するプロセッサ101は、
図2の統合失調症推論エンジン171に対応する。鬱推論プログラム103cを実行するプロセッサ101は、
図2の鬱推論エンジン172に対応する。認知症推論プログラム103dを実行するプロセッサ101は、
図2の認知症推論エンジン173に対応する。
【0055】
通信部104は、ネットワークNWを介して、端末装置200と通信する。通信部104とネットワークNWとは、有線通信(たとえばイーサネット(登録商標))によって接続されてもよいし、無線通信(たとえばWi-Fi(登録商標))によって接続されてもよい。
【0056】
メモリインターフェイス105は、情報処理装置100の外部の記憶媒体へのアクセスを可能にする。メモリインターフェイス105は、SD(Secure Digital)カードおよびUSB(Universal Serial Bus)に対応する。
【0057】
入出力部106は、ユーザからの入力を受けるとともに、プロセッサ101の処理結果をユーザに表示する。入出力部106は、たとえば、ディスプレイ、タッチパネル、キーボード、スピーカ、ランプ、およびマウスを含む。
【0058】
端末装置200は、プロセッサ201と、RAM202と、ストレージ203と、通信部204と、メモリインターフェイス205と、入出力部206と、位置測定センサ207と、カメラ208と、マイク209とを含む。プロセッサ201、RAM202、通信部204、メモリインターフェイス205、および入出力部206は、情報処理装置100のプロセッサ101、RAM102、通信部104、メモリインターフェイス105、および入出力部106とそれぞれほぼ同様の機能を有するため、端末装置200のこれらの構成についての説明を繰り返さない。なお、関係者Rt11,Rt12の端末装置300,400の各々も、端末装置200と同様のハードウェア構成を有する。
【0059】
カメラ208は、端末装置200の周囲の画像データを取得し、ストレージ203に保存する。マイク209は、端末装置200の周囲の音声データを取得して、ストレージ203に保存する。位置測定センサ207は、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して端末装置200の位置データを取得して、ストレージ203に保存する。ストレージ203に保存された画像データ、音声データ、および位置データは、通信部204によって情報処理装置100に送信される。
【0060】
ストレージ203には、OSプログラム(不図示)と、精神神経疾患診断クライアントプログラム203aが保存されている。精神神経疾患診断クライアントプログラム203aを実行するプロセッサ201は、精神神経疾患診断メインプログラム103aを実行する情報処理装置と協調するように、端末装置200を制御する。
【0061】
以上、実施の形態1に係る情報処理装置、システム、プログラム、および方法によれば、対象者の精神神経疾患に関する客観的な診断および状態の評価を支援することができる。
【0062】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、被験者の院外情報および院内情報を用いて当該被験者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する構成について説明した。実施の形態2においては、被験者の仮想空間における言動情報(仮想空間情報)および現実空間における言動情報(現実空間情報)を用いて当該被験者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する構成について説明する。
【0063】
図5は、実施の形態2に係る精神神経疾患診断システム2の構成を示すブロック図である。
図5においては、精神神経疾患診断システム2の被験者がSb2として示され、被験者Sb2の関係者がRt21として示されている。また、
図1の情報処理装置100,端末装置200,210,300が情報処理装置100A,端末装置200A,210A,300Aにそれぞれ置き換えられている。また、
図5の病院Hsp,データベースサーバDBS,ネットワークNWは、
図1の病院Hsp,データベースサーバDBS,ネットワークNWとそれぞれ同様であるため、これらの説明を繰り返さない。
【0064】
図5に示されるように、被験者Sb2の端末装置200Aは、被験者Sb2の言動情報を取得して、時刻情報とともに情報処理装置100Aに送信する。端末装置200Aは、たとえばスマートフォン、タブレットおよびパーソナルコンピュータを含む。端末装置200Aによって取得される行動履歴に関する情報は、たとえば、1日あたりの端末装置200Aの操作時間、1週間あたりのインターネットショッピングの購買履歴(たとえば購入件数および購入総額)、端末装置200Aの移動範囲、あるいは検索エンジン,SNS(Social Networking Service),電子メールに入力されたテキストを含む。端末装置200Aによって取得される音声情報は、たとえば、被験者Sb2の音声会話のテキスト情報を含む。なお、被験者Sb2の端末装置200Aによる言動情報のサンプリング周期および取得タイミングは任意に設定され得る。
【0065】
被験者Sb2の端末装置210Aは、生体情報センサ(たとえば脈拍センサ)を含む。端末装置210Aは、生体情報センサを介して被験者Sb2の生体情報を取得して、時刻情報とともに情報処理装置100Aに送信する。端末装置210Aは、たとえば、ウェアラブルなスマートウォッチを含む。なお、被験者Sb2の端末装置210Aによる生体情報のサンプリング周期および取得タイミングは任意に設定され得る。
【0066】
被験者Sb2の端末装置200Aには、仮想空間Vsにアクセスするためのアプリケーション(たとえばゲーム)がインストールされている。仮想空間Vsは、端末装置200Aにおいて形成されるゲームの空間であってもよいし、クラウド上に形成される仮想空間(たとえばメタバース)であってもよい。被験者Sb2は、端末装置200Aを介して、仮想空間Vsにおいて活動可能なアバターAvt2を操作する。被験者Sb2は、アバターAvt2のチャットCh2を端末装置200Aから入力し、他のプレーヤと交流することができる。被験者Sb2は、仮想現実として形成された仮想空間Vsにアクセスしてもよい。被験者Sb2は、たとえば、自宅の部屋Rmにおいてヘッドマウントディスプレイ220を装着して仮想空間Vsに没入し、コントローラ221を介してアバターAvt2を操作する。
【0067】
仮想空間Vsにおいては、氏名および顔等の個人の識別情報を秘匿することができるため、匿名性が現実空間よりも高い。そのため、仮想空間Vsにおける被験者Sb2の言動情報には、被験者Sb2の客観的な状態が現実空間よりも無意識的に表出され易い。そこで、精神神経疾患診断システム2は、被験者Sb2の現実空間情報および仮想空間情報を用いて、精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する。精神神経疾患診断システム2によれば、被験者Sb2の精神神経疾患に関する客観的な診断および状態の評価を支援することができる。
【0068】
端末装置200Aは、被験者Sb2が仮想空間Vsにアクセスしている場合の被験者Sb2の言動情報を時刻情報とともに情報処理装置100Aに送信する。被験者Sb2が仮想空間Vsにアクセスしている場合の行動履歴に関する情報には、仮想空間Vsにアクセスしているログイン時間、仮想空間Vsにおける行動範囲、および仮想空間Vsにおける活動内容が含まれる。被験者Sb2が仮想空間Vsにアクセスしている場合の音声情報には、仮想空間Vsにおけるチャットの内容が含まれる。部屋Rmに設置されたカメラCm2およびマイクMc2は、被験者Sb2が仮想空間Vsにアクセスしている場合の被験者Sb2の画像データおよび音声データをそれぞれ取得して、時刻情報とともに情報処理装置100Aに送信する。
【0069】
図6は、
図5の情報処理装置100Aの機能構成を示すブロック図である。情報処理装置100Aの構成は、
図2の状態推定部170,出力部190が状態推定部170A,出力部190Aにそれぞれ置き換えられた構成である。出力部190Aの構成は、
図2の出力部190にインセンティブ設計部193が追加された構成である。これら以外の情報処理装置100Aの構成は情報処理装置100と同様であるため、同様の構成についての説明を繰り返さない。
【0070】
図6に示されるように、情報処理装置100Aは、現実空間情報Riおよび仮想空間情報Viを受信する。仮想空間情報Viは、被験者Sb2の生体情報Vi1と、音声情報Vi2と、行動履歴情報Vi3とを含む。現実空間情報Riは、被験者Sb2の生体情報Ri1と、音声情報Ri2と、行動履歴情報Ri3とを含む。なお、現実空間情報Riは、院外情報および院内情報の少なくとも1つを含んでいればよい。
【0071】
状態推定部170Aは、被験者Sb2の現実空間における言動情報と仮想空間における言動情報との差分および乖離度を解析することにより、被験者Sb2の状態の判別、および、被験者Sb2が興味および関心を有する空間上での変化の捕捉を行う。なお、被験者Sb2の現実空間における言動情報には、病院Hspにおいて医師に対面している場合における被験者Sb2の言動情報が含まれていてもよい。
【0072】
インセンティブ設計部193は、診断部130からの診断関連情報に応じて、被験者Sb2の精神神経疾患の治療を動機付けるインセンティブ情報を設計し、端末装置200Aに出力する。当該インセンティブは、たとえば、精神神経疾患の治療の継続をゲーム化(ゲーミフィケーション)するために、アバターAvt2を成長させて外観を変化させる等の仮想空間Vsにおけるゲーム要素として設計されてもよい。
【0073】
端末装置200Aは、インセンティブ実行部293を含む。インセンティブ実行部293は、情報処理装置100Aからのインセンティブ情報を仮想空間Vsにおける被験者Sb2の活動(たとえばアバターAvt2の外観)に反映させる。
【0074】
図7は、
図6の情報処理装置100Aによって行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7に示されるフローチャートは、
図3のS104がS204に置き換えられているとともに、S209が追加されたフローチャートである。
図3と同様の処理についての説明を繰り返さない。
【0075】
図7に示されるように、実施の形態1と同様にS101~S103が実行された後、診断部130は、データの取得タイミングの到来に応じて、S204において、認証部110によって認証された被験者の端末装置から仮想空間情報および現実空間情報を取得し、処理をS105に進める。診断部130は、被験者が仮想空間にアクセスする部屋に設置されたカメラ,マイクからの画像データおよび音声データを仮想空間情報として取得してもよい。診断部130は、被験者が通院する病院の装置から院内情報を現実空間情報として取得してもよい。実施の形態1と同様にS105~S108が実行された後、出力部190Aは、S209において、被験者の端末装置にインセンティブ情報を出力し、処理を終了する。
【0076】
以上、実施の形態2に係る情報処理装置、システム、プログラム、および方法によれば、対象者の精神神経疾患に関する客観的な診断および状態の評価を支援することができる。
【0077】
[付記]
上記に説明した本発明に係る実施の形態は、以下のような構成を含む。
【0078】
<構成1>
対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する情報処理装置であって、
診断部と、
出力部とを備え、
前記診断部は、第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の診断パラメータから前記診断関連情報を推定し、
前記出力部は、前記診断部によって推定された前記診断関連情報を前記情報処理装置の外部に出力し、
前記診断パラメータは、前記対象者の言動情報を含み、
前記対象者の言動情報は、前記対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含み、
前記第1の場合は、前記精神神経疾患に関する医師の診察のために前記対象者および前記医師が対面する特定施設の外部に前記対象者がおり、かつ、仮想空間に前記対象者がアクセスしていない場合であり、
前記第2の場合は、前記対象者が前記特定施設において前記医師と対面している場合であり、
前記第3の場合は、前記対象者が前記仮想空間にアクセスしている場合である、情報処理装置。
【0079】
<構成2>
前記診断パラメータは、前記第1の場合および前記第2の場合を使用する、構成1に記載の情報処理装置。
【0080】
<構成3>
前記対象者の言動情報は、音声情報および行動履歴である、構成1または2に記載の情報処理装置。
【0081】
<構成4>
前記診断パラメータは、前記対象者の生体情報をさらに含む、構成1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0082】
<構成5>
前記診断パラメータは、前記第1の場合の前記対象者の言動情報と前記第2の場合の前記対象者の言動情報との乖離度をさらに含む、構成1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0083】
<構成6>
前記診断パラメータは、前記第1の場合および前記第2の場合の少なくとも一方の場合、ならびに前記第3の場合を使用する、構成1に記載の情報処理装置。
【0084】
<構成7>
前記対象者の言動情報は、音声情報および行動履歴である、構成6に記載の情報処理装置。
<構成8>
前記診断パラメータは、前記対象者の生体情報をさらに含む、構成6または7に記載の情報処理装置。
【0085】
<構成9>
前記診断パラメータは、前記対象者が前記仮想空間にアクセスしているログイン時間情報をさらに含む、構成6~8のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0086】
<構成10>
前記診断パラメータは、前記対象者の関係者が前記仮想空間にアクセスしている場合の前記関係者の行動履歴および前記関係者の生体情報の少なくとも1つをさらに含む、構成6~9のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0087】
<構成11>
前記診断パラメータは、前記第1の場合の前記対象者の言動情報と前記第2の場合の前記対象者の言動情報との乖離度、前記第2の場合の前記対象者の言動情報と前記第3の場合の前記対象者の言動情報との乖離度、および前記第1の場合の前記対象者の言動情報と前記第3の場合の前記対象者の言動情報との乖離度のいずれか少なくとも1つをさらに含む、構成6~10のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0088】
<構成12>
前記対象者が端末装置を介して前記仮想空間において操作するアバターに対して、前記出力部は、前記診断関連情報に応じて前記アバターの外観を変化させるためのインセンティブ情報を前記端末装置に出力する、構成6~11のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0089】
<構成13>
前記診断関連情報は、互いに異なる複数の精神神経疾患に関する情報を含む、構成1~12のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0090】
<構成14>
前記診断パラメータは、前記対象者の関係者が前記対象者に介入した場合の前記対象者の状態に関する情報および前記関係者に関する情報の少なくとも1つをさらに含む、構成1~13のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0091】
<構成15>
前記出力部は、前記対象者の関係者が前記対象者に介入した場合の前記対象者の状態に関する情報を前記情報処理装置の外部にさらに出力する、構成14に記載の情報処理装置。
【0092】
<構成16>
前記診断パラメータは、前記対象者に関係者が介入した履歴、前記関係者に介入された場合の前記対象者の状態、前記対象者の服薬状況に関する情報、前記対象者に訪問ケアサービスが行われたか否かに関する情報、前記訪問ケアサービスが行われた場合の前記対象者の精神神経状態に関する情報、前記対象者の精神神経状態が改善あるいは増悪する場合のトリガ事象に関する情報、および前記対象者の関係者の精神神経疾患に関する情報の少なくとも1つをさらに含む、構成14または15に記載の情報処理装置。
【0093】
<構成17>
前記診断関連情報は、前記対象者に対する警報情報、前記対象者の関係者に対する警報情報、前記対象者に対する服薬指導に関する情報、前記対象者に対する受診勧奨に関する情報、前記対象者に対する前記関係者とのコミュニケーション推奨に関する情報のうち少なくとも1つを含む、構成1~16のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0094】
<構成18>
前記情報処理装置は、認証部をさらに備え、
前記認証部は、前記対象者を識別するために入力される入力本人情報と、予め登録された前記対象者の登録本人情報とが一致するか否かを判定し、
前記診断部は、前記認証部によって前記入力本人情報と前記登録本人情報とが一致すると判定された場合の前記診断パラメータから前記診断関連情報を推定する、構成1~17のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0095】
<構成19>
前記情報処理装置は、取得タイミング判定部をさらに備え、
前記取得タイミング判定部は、前記診断パラメータの取得タイミングを判定し、
前記診断部は、前記取得タイミングにおいて取得された前記診断パラメータを用いて前記診断関連情報を推定する、構成1~18のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0096】
<構成20>
対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定するシステムであって、
前記対象者の言動情報を取得する少なくとも1つの言動モニタ装置と、
端末装置と、診断パラメータから前記診断関連情報を推定し、前記診断関連情報に関する情報を前記端末装置に送信する情報処理装置とを備え、
前記診断パラメータは、前記少なくとも1つの言動モニタ装置によって取得された前記対象者の言動情報を含み、
前記対象者の言動情報は、前記対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含み、
前記診断パラメータは、第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の前記対象者の言動情報を含み、
前記第1の場合は、前記精神神経疾患に関する医師の診断のために前記対象者および前記医師が対面する特定施設の外部に前記対象者がおり、かつ、仮想空間に前記対象者がアクセスしていない場合であり、
前記第2の場合は、前記対象者が前記特定施設において前記医師と対面している場合であり、
前記第3の場合は、前記対象者が前記仮想空間にアクセスしている場合である、システム。
【0097】
<構成21>
対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定するためのプログラムであって、
前記プログラムは、プロセッサによって実行されることによって、
第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の診断パラメータから前記診断関連情報を推定し、
前記診断関連情報に関する情報を端末装置に送信し、
前記診断パラメータは、前記対象者の言動情報を含み、
前記対象者の言動情報は、前記対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含み、
前記第1の場合は、前記精神神経疾患に関する医師の診断のために前記対象者および前記医師が対面する特定施設の外部に前記対象者がおり、かつ、仮想空間に前記対象者がアクセスしていない場合であり、
前記第2の場合は、前記対象者が前記特定施設において前記医師と対面している場合であり、
前記第3の場合は、前記対象者が前記仮想空間にアクセスしている場合である、プログラム。
【0098】
<構成22>
対象者の精神神経疾患に関する診断関連情報を推定する方法であって、
第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の診断パラメータから前記診断関連情報を推定するステップと、
前記診断関連情報に関する情報を端末装置に出力するステップとを含み、
前記診断パラメータは、前記対象者の言動情報を含み、
前記対象者の言動情報は、前記対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含み、
前記第1の場合は、前記精神神経疾患に関する医師の診断のために前記対象者および前記医師が対面する特定施設の外部に前記対象者がおり、かつ、仮想空間に前記対象者がアクセスしていない場合であり、
前記第2の場合は、前記対象者が前記特定施設において前記医師と対面している場合であり、
前記第3の場合は、前記対象者が前記仮想空間にアクセスしている場合である、方法。
【0099】
今回開示された各実施の形態は、矛盾しない範囲で適宜組み合わされて実施されることも予定されている。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0100】
1,2 精神神経疾患診断システム、100,100A 情報処理装置、101,201 プロセッサ、102,202 RAM、103,203 ストレージ、103a 精神神経疾患診断メインプログラム、103b 統合失調症推論プログラム、103c 鬱推論プログラム、103d 認知症推論プログラム、104,204 通信部、105,205 メモリインターフェイス、106,206 入出力部、110 認証部、120 取得タイミング判定部、130 診断部、131 生体情報取得部、132 音声情報取得部、133 行動履歴情報取得部、140 本人情報記録部、150 行動履歴取得部、161 状態取得部、162 介入履歴取得部、163 関係者情報取得部、170,170A 状態推定部、171 統合失調症推論エンジン、172 鬱推論エンジン、173 認知症推論エンジン、190,190A 出力部、191 第1情報出力部、192 第2情報出力部、193 インセンティブ設計部、200,200A,210,210A,300,300A,400,1000 端末装置、203a 精神神経疾患診断クライアントプログラム、207 位置測定センサ、208,Cm1,Cm2 カメラ、209,Mc1,Mc2 マイク、220 ヘッドマウントディスプレイ、221 コントローラ、293 インセンティブ実行部、Avt2 アバター、Ch2 チャット、DB1,DB2 データベース、DBS データベースサーバ、Dc 医師、Hi1,Ho1,Ri1,Vi1 生体情報、Hi2,Ho2,Ri2,Vi2 音声情報、Hi3,Ho3,Ri3,Vi3 行動履歴情報、Hin 院内情報、Hout 院外情報、Hsp 病院、NW ネットワーク、Ri 現実空間情報、Rm 部屋、Rt11,Rt12,Rt21 関係者、Sb1,Sb2 被験者、Vi 仮想空間情報、Vs 仮想空間。
【要約】
対象者の精神神経疾患に関する客観的な診断および状態の評価を支援する。情報処理装置(100)は、診断部(130)と、出力部(190)とを備える。診断部(130)は、第1の場合、第2の場合、および第3の場合の少なくとも2つの場合の診断パラメータから診断関連情報を推定する。出力部(190)は、診断部(130)によって推定された診断関連情報を情報処理装置(100)の外部に出力する。診断パラメータは、対象者の言動情報を含む。対象者の言動情報は、対象者の音声情報および行動履歴の少なくとも1つを含む。第1の場合は、精神神経疾患に関する医師の診察のために対象者および医師が対面する特定施設の外部に対象者がおり、かつ、仮想空間に対象者がアクセスしていない場合である。第2の場合は、対象者が特定施設において医師と対面している場合である。第3の場合は、対象者が仮想空間にアクセスしている場合である。