(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 201P
H01G4/30 513
(21)【出願番号】P 2018197952
(22)【出願日】2018-10-19
【審査請求日】2021-09-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】10-2018-0028253
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0064146
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シム、ウォン チョル
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヨン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】パク、フン キル
(72)【発明者】
【氏名】ソン、スー ホワン
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】畑中 博幸
【審判官】渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/080852(WO,A1)
【文献】特開平6-314630(JP,A)
【文献】特開2006-012879(JP,A)
【文献】実開平3-59627(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層と前記誘電体層を挟んで配置される複数の内部電極を含むアクティブ領域を含み、互いに対向する第1及び第2の面と前記第1及び第2の面と連結され互いに対向する第3及び第4の面を含み、複数の前記内部電極の一端が前記第3及び第4の面に交互に露出するキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の前記第3及び第4の面に形成され、前記キャパシタ本体の前記第3及び第4の面に露出する前記内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2の外部電極と、
を含み、
前記アクティブ領域は前記キャパシタ本体の前記第2の面に隣接する第1のアクティブ領域と前記キャパシタ本体の実装面である前記第1の面に隣接する第2のアクティブ領域を含み、
前記第2のアクティブ領域における前記内部電極のオーバーラップ面積が前記第1のアクティブ領域における前記内部電極のオーバーラップ面積に比べて小さく、
前記第1のアクティブ領域における前記内部電極のオーバーラップ面積の偏差が5%以下であり、前記第2のアクティブ領域における前記内部電極のオーバーラップ面積の偏差が5%以下であり、
前記第2のアクティブ領域に前記内部電極及び隣接した外部電極と離隔するように配置されるダミー電極をさらに含み、
前記ダミー電極の一端は、前記誘電体層が積層される積層方向からみて前記第1のアクティブ領域における前記内部電極がオーバーラップする部分まで延伸
し、
前記ダミー電極は、前記キャパシタ本体の前記第3及び第4の面の一方に露出する前記複数の内部電極の間に配置される
積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記第2のアクティブ領域の前記内部電極のオーバーラップ面積が前記第1のアクティブ領域の前記内部電極のオーバーラップ面積の25%以上である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記第2のアクティブ領域の前記内部電極のオーバーラップ面積が前記第1のアクティブ領域の前記内部電極のオーバーラップ面積の85%以下である、請求項1または2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記第1のアクティブ領域の厚さが前記アクティブ領域全体の厚さに対して50%以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
複数の誘電体層と前記誘電体層を挟んで配置される複数の内部電極を含むアクティブ領域を含み、互いに対向する第1及び第2の面と前記第1及び第2の面と連結され互いに対向する第3及び第4の面を含み、複数の前記内部電極の一端が前記第3及び第4の面に交互に露出するキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の前記第3及び第4の面に形成され、前記キャパシタ本体の前記第3及び第4の面に露出する前記内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2の外部電極と、
を含み、
前記アクティブ領域は前記キャパシタ本体の前記第2の面に隣接する第1のアクティブ領域と前記キャパシタ本体の実装面である前記第1の面に隣接する第2のアクティブ領域を含み、
前記第2のアクティブ領域の前記内部電極の長さが前記第1のアクティブ領域の前記内部電極の長さより短く、
前記第1のアクティブ領域における前記内部電極の長さの偏差が5%以下であり、前記第2のアクティブ領域における前記内部電極の長さの偏差が5%以下であり、
前記第2のアクティブ領域に前記内部電極及び隣接した外部電極と離隔するように配置されるダミー電極をさらに含み、
前記ダミー電極の一端は、前記誘電体層が積層される積層方向からみて前記第1のアクティブ領域における前記内部電極がオーバーラップする部分まで延伸
し、
前記ダミー電極は、前記キャパシタ本体の前記第3及び第4の面の一方に露出する前記複数の内部電極の間に配置される
積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記第2のアクティブ領域の前記内部電極のオーバーラップ面積が前記第1のアクティブ領域の前記内部電極のオーバーラップ面積の25%以上である、請求項5に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記第2のアクティブ領域の前記内部電極のオーバーラップ面積が前記第1のアクティブ領域の前記内部電極のオーバーラップ面積の85%以下である、請求項5または6に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層型キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器においては機構部品の静音化が進んでおり、積層型キャパシタ(MLCC)から発生するアコースティックノイズ(Acoustic Noise)が目立っている。
【0003】
積層型キャパシタの誘電体材料は圧電性を有するため、印加電圧に同期化して変形する。
【0004】
印加電圧の周期が可聴周波数帯域にあるとき、その変位は振動となって半田を介して基板に伝達され、この基板の振動が音として聞こえるようになる。これがアコースティックノイズであり、電子機器において問題となっている。
【0005】
機器の動作環境が静かな場合、ユーザーはアコースティックノイズを異常な音と認識し、機器の故障と感じることがある。また、音声回路を有する機器では、音声出力にアコースティックノイズが重なって、機器の品質を低下させる。
【0006】
また、人間の耳で認知されるアコースティックノイズとは別に、積層型キャパシタの圧電振動が20kHz以上の高周波領域で発生する場合、IT及び産業/電装で用いられる各種センサー類において誤作動を発生させる原因となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第2015-0033302号公報
【文献】韓国公開特許第2015-0019634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、20kHz未満の可聴周波数領域のアコースティックノイズ及び20kHz以上の高周波振動を低減させることができる電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、複数の誘電体層と上記誘電体層を挟んで配置される複数の内部電極を含むアクティブ領域を含み、互いに対向する第1及び第2の面と上記第1及び第2の面と連結され互いに対向する第3及び第4の面を含み、複数の内部電極の一端が第3及び第4の面に交互に露出するキャパシタ本体と、上記キャパシタ本体の第3及び第4の面に形成され、上記キャパシタ本体の第3及び第4の面に露出する内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2の外部電極と、を含み、上記アクティブ領域は上記キャパシタ本体の第2の面に隣接する第1のアクティブ領域と上記キャパシタ本体の実装面である第1の面に隣接する第2のアクティブ領域を含み、上記第2のアクティブ領域における内部電極のオーバーラップ面積が上記第1のアクティブ領域における内部電極のオーバーラップ面積に比べて小さく、上記第1のアクティブ領域における内部電極のオーバーラップ面積の偏差が5%以下であり、上記第2のアクティブ領域における内部電極のオーバーラップ面積の偏差が5%以下である積層型キャパシタが提供される。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、複数の誘電体層と上記誘電体層を挟んで配置される複数の内部電極を含むアクティブ領域を含み、互いに対向する第1及び第2の面と上記第1及び第2の面と連結され互いに対向する第3及び第4の面を含み、複数の内部電極の一端が第3及び第4の面に交互に露出するキャパシタ本体と、上記キャパシタ本体の第3及び第4の面に形成され、上記キャパシタ本体の第3及び第4の面に露出する内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2の外部電極と、を含み、上記アクティブ領域は上記キャパシタ本体の第2の面に隣接する第1のアクティブ領域と上記キャパシタ本体の実装面である第1の面に隣接する第2のアクティブ領域を含み、上記第2のアクティブ領域の内部電極の長さが上記第1のアクティブ領域の内部電極の長さより短く、上記第1のアクティブ領域における内部電極の長さの偏差が5%以下であり、上記第2のアクティブ領域における内部電極の長さの偏差が5%以下であればよい。
【0011】
本発明の一実施例において、上記第1のアクティブ領域の厚さはアクティブ領域全体の厚さに対して50%以上であればよい。
【0012】
本発明の一実施例において、上記第2のアクティブ領域の内部電極のオーバーラップ面積は上記第1のアクティブ領域の内部電極のオーバーラップ面積の25%以上であればよい。
【0013】
本発明の一実施例において、上記第2のアクティブ領域の内部電極のオーバーラップ面積は上記第1のアクティブ領域の内部電極のオーバーラップ面積の85%以下であればよい。
【0014】
本発明の一実施例において、上記第2のアクティブ領域に上記内部電極及び隣接した外部電極と離隔するように配置されるダミー電極をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態によれば、積層型キャパシタの20kHz未満の可聴周波数領域のアコースティックノイズ及び20kHz以上の高周波振動を低減させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施例による積層型キャパシタを概略的に示した斜視図である。
【
図3】(a)から(d)は従来の積層型キャパシタと本発明の3つの実施例による積層型キャパシタのキャパシタ本体をそれぞれ示した断面図である。
【
図4】(a)から(d)は
図3(a)から
図3(d)にそれぞれ適用される内部電極のオーバーラップ面積を示した平面図である。
【
図5】(a)から(h)は
図3(a)から
図3(d)の積層型キャパシタを基板に実装するときの基板の上面に配置されたパッドの変位分布と印刷回路基板の変位分布をそれぞれ示した写真である。
【
図6】従来の積層型キャパシタと本発明の3つの実施例による積層型キャパシタにおいて周波数によって変わる基板の変位をそれぞれ示したグラフである。
【
図7】
図1の積層型キャパシタが基板に実装された状態を示した断面図である。
【
図8】
図1の積層型キャパシタが基板に実装された場合に振動が伝達される様子を示した断面図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施例による積層型キャパシタを概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0018】
以下、本発明の実施形態を明確に説明するためにキャパシタ本体110の方向を定義すると、図面に表示されたX、Y及びZはそれぞれ、キャパシタ本体110の長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。また、本実施形態において、Z方向は誘電体層が積層される積層方向と同一の概念として用いられることができる。
【0019】
図1、
図2、
図3(b)、
図4(b)、
図5(b)及び
図5(f)を参照すると、本発明の一実施例による積層型キャパシタは、キャパシタ本体110、及びキャパシタ本体110の両端部に形成される第1及び第2の外部電極131、132を含む。
【0020】
キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111をZ方向に積層してから焼成したものであり、複数の誘電体層111と、当該誘電体層111を挟んでZ方向に交互に配置される複数の内部電極を含む。
【0021】
このとき、誘電体層111と内部電極は、後述の実装面であるキャパシタ本体110の第1の面に対して水平に積層されることができる。
【0022】
また、キャパシタ本体110はZ方向に積層される複数の内部電極を含むアクティブ領域と、上記アクティブ領域の上下に配置されるカバー領域112、113を含む。
【0023】
カバー領域112、113は内部電極が配置されない領域を示す。
【0024】
このとき、キャパシタ本体110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111同士は、境界が確認できないほど一体化することができる。
【0025】
キャパシタ本体110はほぼ六面体状であることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
本実施形態では、説明の便宜上、キャパシタ本体110においてZ方向に互いに対向する両面を第1及び第2の面1、2、第1及び第2の面1、2と連結されてX方向に互いに対向する両面を第3及び第4の面3、4、第1及び第2の面1、2と連結され、且つ第3及び第4の面3、4と連結されてY方向に互いに対向する両面を第5及び第6の面5、6と定義する。本実施形態では、キャパシタ本体110の第1の面1が実装面となることができる。
【0027】
誘電体層111は高誘電率のセラミック材料を含むことができ、例えば、BaTiO3系セラミック粉末などを含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
また、誘電体層111には上記セラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤などがさらに添加されることができる。
【0029】
上記セラミック添加剤としては、例えば、遷移金属酸化物又は遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)又はアルミニウム(Al)などが用いられることができる。
【0030】
そして、上記アクティブ領域は、Z方向を基準にキャパシタ本体110の上部に位置する第1のアクティブ領域A2と、キャパシタ本体110の下部に位置する第2のアクティブ領域A3を含むことができる。
【0031】
第1のアクティブ領域A2はキャパシタ本体110の実装反対面である第2の面2に隣接し、複数の第1及び第2の内部電極121、122を含む。
【0032】
第1及び第2の内部電極121、122は互いに異なる極性を有する電極であり、誘電体層111を挟んでZ方向に交互に配置され、一端がキャパシタ本体110の第3及び第4の面3、4にそれぞれ露出して第1及び第2の外部電極131、132とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0033】
第2のアクティブ領域A3はキャパシタ本体110の実装面である第1の面1に隣接し、複数の第3及び第4の内部電極123、124を含む。
【0034】
第3及び第4の内部電極123、124は互いに異なる極性を有する電極であり、誘電体層111を挟んでZ方向に交互に配置され、一端がキャパシタ本体110の第3及び第4の面3、4にそれぞれ露出して第1及び第2の外部電極131、132とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0035】
また、第2のアクティブ領域A3における第3及び第4の内部電極123、124のオーバーラップ面積は第1のアクティブ領域A2における第1及び第2の内部電極121、122のオーバーラップ面積に比べて小さい。
【0036】
このとき、第1のアクティブ領域A2と第2のアクティブ領域A3内における内部電極のオーバーラップ面積は位置に関係なくほぼ同一であればよい。
【0037】
本実施例では、第1のアクティブ領域A2における第1及び第2の内部電極121、122のオーバーラップ面積の偏差は5%以下であればよく、第2のアクティブ領域A3における第3及び第4の内部電極123、124のオーバーラップ面積の偏差は5%以下であればよい。
【0038】
また、第2のアクティブ領域A3のオーバーラップ面積を第1のアクティブ領域A2のオーバーラップ面積よりも小さくするために、第2のアクティブ領域A3における第3及び第4の内部電極123、124の長さを第1のアクティブ領域A2における第1及び第2の内部電極121、122の長さより短くすることができる。
【0039】
このとき、第1のアクティブ領域A2における第1及び第2の内部電極121、122の長さの偏差は5%以下であればよく、第2のアクティブ領域A3における第3及び第4の内部電極123、124の長さの偏差は5%以下であればよい。
【0040】
一方、第1及び第2の内部電極121、122と第3及び第4の内部電極123、124は導電性金属で形成され、例えば、ニッケル(Ni)又はニッケル(Ni)合金などの材料を用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
上記のような構成により、第1及び第2の外部電極131、132に所定の電圧を印加すると、互いに対向する第1及び第2の内部電極121、122の間、そして、第3及び第4の内部電極123、124の間に電荷が蓄積される。
【0042】
このとき、積層型キャパシタ100の静電容量は、Z方向に沿って互いに重なる第1及び第2の内部電極121、122の面積及び第3及び第4の内部電極123、124の面積と比例するようになる。
【0043】
一方、第2のアクティブ領域A3における第3及び第4の内部電極123、124のオーバーラップ面積は第1のアクティブ領域A2における第1及び第2の内部電極121、122のオーバーラップ面積に対して25%以上であればよい。
【0044】
この比率が25%未満の場合、第2のアクティブ領域の厚さが厚くなり過ぎて積層型キャパシタの全厚が増加し過ぎるという問題がある。
【0045】
また、より好ましくは、第2のアクティブ領域A3における第3及び第4の内部電極123、124のオーバーラップ面積は第1のアクティブ領域A2における第1及び第2の内部電極121、122のオーバーラップ面積に対して最大で85%以下であればよい。この比率が85%を超える場合は、基板の振動変位減少量が10%未満になり、アコースティックノイズ改善効果が少なくなる可能性がある。
【0046】
また、第1のアクティブ領域A2のZ方向の厚さはアクティブ領域全体の厚さに対して50%以上であればよい。
【0047】
この比率が50%未満の場合は、同一の静電容量を確保するために第2のアクティブ領域A3を増加させなければならないため、これにより、積層型キャパシタの全厚が増加し過ぎるという問題がある。
【0048】
第1及び第2の外部電極131、132はキャパシタ本体110のX方向の第3及び第4の面3、4にそれぞれ形成され、互いに異なる極性の電圧が加えられ、第1及び第2の内部電極121、122の露出する部分、第3及び第4の内部電極123、124の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0049】
このような第1及び第2の外部電極131、132の表面には、必要に応じてめっき層が形成されることができる。
【0050】
例えば、第1及び第2の外部電極131、132は、第1及び第2の導電層と、上記第1及び第2の導電層上に形成される第1及び第2のニッケル(Ni)めっき層と、上記第1及び第2のめっき層上に形成される第1及び第2のスズ(Sn)めっき層をそれぞれ含むことができる。
【0051】
また、第1の外部電極131は第1の接続部131aと第1のバンド部131bを含むことができる。
【0052】
第1の接続部131aは、キャパシタ本体110の第3の面3に配置されて第1及び第3の内部電極121、123と接続されて電気的に連結される部分であり、第1のバンド部131bは、第1の接続部131aからキャパシタ本体110の第1の面1の一部まで延びる部分である。
【0053】
このとき、第1のバンド部131bは、固着強度向上などを目的に、必要に応じてキャパシタ本体110の第2の面2の一部と第5及び第6の面5、6の一部までさらに延びることができる。
【0054】
第2の外部電極132は、第2の接続部132aと、第2のバンド部132bを含むことができる。
【0055】
第2の接続部132aは、キャパシタ本体110の第4の面4に配置されて第2及び第4の内部電極122、124と接続されて電気的に連結される部分であり、第2のバンド部132bは、第2の接続部132aからキャパシタ本体110の第1の面1の一部まで延びる部分である。
【0056】
このとき、第2のバンド部132bは、固着強度向上などを目的に、必要に応じてキャパシタ本体110の第2の面2の一部と第5及び第6の面5、6の一部までさらに延びることができる。
【0057】
以下、
図3(a)から
図5(h)を参照して、比較例と実施例1から実施例3における内部電極の構造とそれによる変位分布の差異について説明する。
【0058】
このとき、可聴周波数は2から9kHzに設定する。なお、図面において比較例、実施例1、実施例2及び実施例3は便宜上、内部電極の積層数を減らして図示する。
【0059】
ここで、
図3(a)、
図4(a)、
図5(a)及び
図5(e)はアクティブ領域A1が2つに区分されず全200層の第1及び第2の内部電極121、122からなる比較例に関するものであり、
図3(b)、
図4(b)、
図5(b)及び
図5(f)は実施例1に関するものであり、
図3(c)、
図4(c)、
図5(c)及び
図5(g)は実施例2に関するものであり、
図3(d)、
図4(d)、
図5(d)及び
図5(h)は実施例3に関するものである。
【0060】
実施例1はキャパシタ本体110が全210個の内部電極を含み、且つ第1のアクティブ領域A2の第1及び第2の内部電極121、122は140層であり、第2のアクティブ領域A3の第3及び第4の内部電極123、124は70層である。
【0061】
このとき、第2のアクティブ領域A3における第3及び第4の内部電極123、124のオーバーラップ面積は第1のアクティブ領域A1における第1及び第2の内部電極121、122のオーバーラップ面積の85%であればよい。
【0062】
実施例2はキャパシタ本体110が全260個の内部電極を含み、且つ第1のアクティブ領域A4の第1及び第2の内部電極121、122は180層であり、第2のアクティブ領域A5の第3及び第4の内部電極123'、124'は80層である。
【0063】
このとき、第2のアクティブ領域A5における第3及び第4の内部電極123'、124'のオーバーラップ面積は第1のアクティブ領域A4における第1及び第2の内部電極121、122のオーバーラップ面積の25%であればよい。
【0064】
実施例3はキャパシタ本体110が全290個の内部電極を含み、且つ第1のアクティブ領域A6の第1及び第2の内部電極121、122は190層であり、第2のアクティブ領域A7の第3及び第4の内部電極123''、124''は100層である。
【0065】
このとき、第2のアクティブ領域A7における第3及び第4の内部電極123''、124''のオーバーラップ面積は第1のアクティブ領域A6における第1及び第2の内部電極121、122のオーバーラップ面積の10%であればよい。
【0066】
図7及び
図8のように、本実施形態の積層型キャパシタ100は水平積層型であり、電圧が印加されると、キャパシタ本体110はZ方向に膨張変形する挙動をし、X方向及びY方向に収縮変形する挙動をする。
【0067】
より具体的には、積層型キャパシタ100を基板210に実装すると、キャパシタ本体110のZ方向の膨張変形によって第1及び第2の外部電極131、132と接合される第1及び第2のパッド221、222が下に押される変位が発生する。
【0068】
また、キャパシタ本体110のX方向及びY方向の収縮変形は半田231、232を介して第1及び第2のパッド221、222に伝達されて基板210を上に持ち上げる変位が第1及び第2のパッド221、222の端部に発生する。
【0069】
図5(a)から
図5(h)と
図6を参照すると、実施例1から実施例3は積層型キャパシタの下部のうち第1及び第2のパッド221、222の上部とキャパシタ本体110の第3及び第4の面3、4側で内部電極のオーバーラップが行われないようにしたものであり、第2のアクティブ領域の第3及び第4の内部電極のオーバーラップ面積を減少させてキャパシタ本体110の実装面と下部側面の圧電変形を減らすことができる。
【0070】
よって、比較例と比較してキャパシタ本体110から基板210に伝達される振動を低減させてアコースティックノイズ(Acoustic Noise)を低減することができる。
【0071】
一方、第1のアクティブ領域はキャパシタ本体110の上部側に位置するため、ここで発生した振動は基板210に伝達されにくくなる。
【0072】
よって、
図8のように、第1のアクティブ領域の第1及び第2の内部電極121、122の積層数をB1分だけ増加させることにより、第2のアクティブ領域における第3及び第4の内部電極123、124の減少したオーバーラップ面積B2、B3によって減った静電容量を補償することができる。
【0073】
一方、
図7及び
図8では本発明の実施例1を例に挙げて図示して説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、実施例2及び3の場合にも数値の差異があるだけであり、実施例1と同じ効果が発生する。
【0074】
即ち、本発明の実施例の場合、第2のアクティブ領域における第3及び第4の内部電極123、124のオーバーラップ面積が第1のアクティブ領域における第1及び第2の内部電極121、122のオーバーラップ面積に比べて小さいが、第1のアクティブ領域における第1及び第2の内部電極121、122の積層数を増加させることにより、比較例と同じ水準の静電容量を確保することができる。
【0075】
また、実施例1の場合、実施例2に比べて内部電極の総積層数が少なくて積層型キャパシタの高さは相対的により低くすることができるが、変位分布の面で実施例1がより有利であることが分かる。
【0076】
下記表1は
図6において比較例と3つの実施例の該当共振周波数での基板の変位を示したものである。ここで、比(Ratio)は各共振周波数において比較例の基板の変位に対して実施例1から3の基板の変位が減少する比率を示したものである。
【0077】
【0078】
表1を参照すると、実施例1のように第3及び第4の内部電極のオーバーラップ面積が85%の場合は、上記比が比較例に比べて10%未満と変位低減効果が大きくない。
【0079】
実施例2のように第3及び第4の内部電極のオーバーラップ面積が25%の場合は、上記比が比較例に比べて50%を少し超える程度と変位減少効果が実施例1よりも大きく増加することが分かる。
【0080】
そして、実施例3のように第3及び第4の内部電極のオーバーラップ面積を10%に大きく減らしても変位減少効果は62.0%と実施例2に比べてあまり改善されないことが分かる。
【0081】
下記表2は比較例に対する実施例1から3の内部電極の総積層数を比較して示したものである。
【0082】
【0083】
表2を参照すると、実施例3のように第3及び第4の内部電極のオーバーラップ面積が10%の場合は、実施例2の第3及び第4の内部電極のオーバーラップ面積が25%の場合と比較して層数増加率が15%増加すると共に積層型キャパシタの全厚が増加することが分かる。
【0084】
よって、基板の変位減少効果を考慮しながら積層型キャパシタの全厚が増加することをできるだけ低くすることができる第3及び第4の内部電極のオーバーラップ面積は25%以上であることが好ましい。
【0085】
したがって、上記表1及び表2を参照すると、好ましい第2のアクティブ領域の第3及び第4の内部電極のオーバーラップ面積は第1のアクティブ領域の第1及び第2の内部電極のオーバーラップ面積の25から85%であればよい。
【0086】
一方、
図9は本発明のさらに他の実施例による積層型キャパシタを概略的に示した断面図である。
【0087】
図9を参照すると、積層型キャパシタは、第2のアクティブ領域に第3及び第4の内部電極123、124と離隔するように配置される複数の第1及び第2のダミー電極125、126を含むことができる。
【0088】
このとき、第1のダミー電極125は第1の外部電極131と離隔するように配置され、一端が第2の内部電極122の端部とZ方向の線上でほぼ一致する位置になるように配置されることができる。
【0089】
また、第2のダミー電極126は第2の外部電極132と離隔するように配置され、一端が第1の内部電極121の端部とZ方向の線上でほぼ一致する位置になるように配置されることができる。
【0090】
本実施形態の積層型キャパシタは、第1のアクティブ領域と第2のアクティブ領域の密度が互いに異なるため、積層型キャパシタを製造する工程のうち圧縮焼成工程でキャパシタ本体110の下部がつぼ状に変形する不良が発生する可能性がある。
【0091】
本実施形態によれば、第1及び第2のダミー電極125、126は、第2のアクティブ領域の密度を第1のアクティブ領域の密度と類似した水準に補正して上記圧縮焼成工程でキャパシタ本体110が変形することをできるだけ抑制する役割をすることができる。
【0092】
以上のような本実施例の積層型キャパシタの構造によれば、積層型キャパシタの20kHz以内の可聴周波数で積層型キャパシタの圧電振動が基板に伝達される振動量を効果的に抑制することができる。
【0093】
したがって、積層型キャパシタの高周波振動を低減することにより、IT又は産業/電装分野で積層型キャパシタの20kHz以上の高周波振動によって問題となり得るセンサー類の誤作動を防止し、センサー類の長時間振動による内部疲労蓄積を抑制することができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0095】
100 積層型キャパシタ
110 キャパシタ本体
111 誘電体層
112、113 カバー領域
121、122 第1及び第2の内部電極
123、124 第3及び第4の内部電極
131、132 第1及び第2の外部電極
131a、132a 第1及び第2の接続部
131b、132b 第1及び第2のバンド部
210 基板
221、222 第1及び第2のパッド
231、232 半田