(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】電動ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04B 53/00 20060101AFI20240903BHJP
F04B 53/08 20060101ALI20240903BHJP
F04B 53/16 20060101ALI20240903BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20240903BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240903BHJP
【FI】
F04B53/00 J
F04B53/08 E
F04B53/16 A
F04C15/00 E
F04C15/00 Z
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2018185801
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-09-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】小林 喜幸
(72)【発明者】
【氏名】坂本 仁
(72)【発明者】
【氏名】坂田 智洋
(72)【発明者】
【氏名】関口 知里
(72)【発明者】
【氏名】金物 弘貴
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】西 秀隆
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-92126(JP,A)
【文献】特開2011-229229(JP,A)
【文献】特開2014-25471(JP,A)
【文献】特開2012-253846(JP,A)
【文献】特開2007-134506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B53/00-53/16
F04C15/00
H02M7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って延びるシャフトを有するロータと、前記ロータと径方向に対向するステータと、前記シャフトを回転自在に支持する複数のベアリングと、を有するモータと、
前記モータと電気的に接続されるインバータ基板と、
前記モータおよび前記インバータ基板を収容するハウジングと、
前記モータの動力により駆動されるポンプ部と、を備え、
前記インバータ基板は、前記インバータ基板に実装され、互いに間隔をあけて配置される複数の発熱素子を有し、
前記ハウジングは、前記インバータ基板を収容するインバータハウジング部と、前記モータを収容するモータハウジング部と、を有し、
前記インバータハウジング部は、
前記インバータ基板の一対の板面のうち、一方の板面と対向する第1部材と、
前記一対の板面のうち、他方の板面と対向し、前記モータハウジング部に
嵌合することにより、前記モータハウジング部に対して径方向に位置決めされる第2部材と、
前記第1部材または前記第2部材と、前記インバータ基板との間に配置され、前記第1部材または前記第2部材と、前記インバータ基板とに接触する複数の熱伝導部材と、を有し、
前記熱伝導部材は、前記発熱素子と熱的に接続され、
前記インバータ基板の平面視において、複数の前記熱伝導部材は、複数の前記発熱素子と重なる位置
に配置され、
前記第2部材は、前記モータハウジング部と前記第1部材との間に配置され、
複数の前記熱伝導部材のうち少なくとも1つは、前記第1部材と前記インバータ基板との間に配置され、前記第1部材と前記インバータ基板とに接触し、
前記第2部材は、
前記インバータ基板の他方の板面と対向し、前記第1部材と前記インバータ基板との間に配置された前記熱伝導部材が前記一方の板面を押したときに前記インバータ基板を支持するボス部と、
前記複数のベアリングのうち、少なくとも1つのベアリングを保持する金属製のベアリングホルダと、を有し、
前記ボス部は、
前記インバータ基板の平面視において、前記インバータ基板の外周部の固定孔よりも中心軸側で前記インバータ基板および前記ベアリングホルダと重なって配置され、前記インバータ基板の他方の板面を支持可能である、電動ポンプ装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の電動ポンプ装置であって、
前記モータは、
中心軸に沿って延びるシャフトを有するロータと、
前記ロータと径方向に対向するステータと、を有し、
前記ステータは、複数のコイルを有し、
前記インバータ基板は、前記複数のコイルの端部が接続されるコイル接続領域を有し、
前記発熱素子は、前記コイル接続領域に複数配置される、電動ポンプ装置。
【請求項3】
請求項1~
2のいずれか一項に記載の電動ポンプ装置であって、
前記ハウジングの外部と内部とにわたって延びる配線部材を備え、
前記配線部材は、前記配線部材の端部に位置するターミナルを有し、
前記インバータ基板は、前記ターミナルが接続されるターミナル接続領域を有し、
前記発熱素子は、前記ターミナル接続領域に少なくとも1つ配置される、電動ポンプ装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の電動ポンプ装置であって、
前記ハウジングに対して前記インバータ基板を固定する複数のネジ部材を備え、
前記複数のネジ部材のうち、少なくとも2つのネジ部材は前記ターミナル接続領域に配置され、
前記インバータ基板の平面視において、前記2つのネジ部材間に前記ターミナルが位置する、電動ポンプ装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電動ポンプ装置であって、
前記ハウジングは、前記モータを収容するモータハウジング部を有し、
前記第2部材は、前記モータハウジング部と前記第1部材との間に配置され、
複数の前記熱伝導部材のうち少なくとも1つは、前記第2部材と前記インバータ基板との間に配置され、前記第2部材と前記インバータ基板とに接触する、電動ポンプ装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の電動ポンプ装置であって、
前記インバータ基板の平面視において、各前記熱伝導部材は、1つまたは2つの前記発熱素子と重なる、電動ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動ポンプ装置は、モータと、基板と、ハウジングと、ポンプと、を備える。特許文献1の電動オイルポンプ装置では、制御基板の前面に、金属ケースとの間に軸線方向に熱伝導性部材の放熱シートが密着して配置される。放熱シートは、電子回路部品が発生する熱を金属ケースに伝達する。電子回路部品の発熱素子は、例えばFETなどである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばFETなどのスイッチング素子は、自己発熱量が大きい電子部品である。このようなスイッチング素子に対して、1枚の熱伝導シートを用いた場合、基板に熱伝導シートの反力が作用して、基板が変形するおそれがある。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、熱伝導シートの反力を低減して、インバータ基板の変形を抑制できる電動ポンプ装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動ポンプ装置の一つの態様は、モータと、前記モータと電気的に接続されるインバータ基板と、前記モータおよび前記インバータ基板を収容するハウジングと、前記モータの動力により駆動されるポンプ部と、を備え、前記インバータ基板は、前記インバータ基板に実装され、互いに間隔をあけて配置される複数の発熱素子を有し、前記ハウジングは、前記インバータ基板を収容するインバータハウジング部を有し、前記インバータハウジング部は、前記インバータ基板の一対の板面のうち、一方の板面と対向する第1部材と、前記一対の板面のうち、他方の板面と対向する第2部材と、前記第1部材または前記第2部材と、前記インバータ基板との間に配置され、前記第1部材または前記第2部材と、前記インバータ基板とに接触する複数の熱伝導シートと、を有し、前記熱伝導シートは、前記発熱素子と熱的に接続され、前記インバータ基板の平面視において、複数の前記熱伝導シートは、複数の前記発熱素子と重なる位置に、個別に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様の電動ポンプ装置によれば、熱伝導シートの反力を低減して、インバータ基板の変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態のモータユニットおよび電動ポンプ装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のモータユニットおよび電動ポンプ装置を示す正面図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III断面を示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のモータユニットおよび電動ポンプ装置を示す背面図(平面図)であり、インバータハウジング部の第1部材等を装置から取り外した状態を表す。
【
図7】
図7は、本実施形態のモータユニットおよび電動ポンプ装置を示す背面図であり、インバータハウジング部およびインバータ基板等を装置から取り外した状態を表す。
【
図8】
図8は、
図7のVIII-VIII断面を示す縦断面図である。
【
図9】
図9は、コイルの第1端部付近を模式的に示す側面図である。
【
図10】
図10は、熱伝導シートの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態のモータユニット10およびこれを備える電動ポンプ装置1について、図面を参照して説明する。図面には、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。モータユニット10および電動ポンプ装置1は、モータ20と、インバータ基板40と、を備える。モータ20は中心軸Jを有し、中心軸JはZ軸方向に沿って延びる。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。モータ20の軸方向位置と、インバータ基板40の軸方向位置とは、互いに異なる。つまりモータ20とインバータ基板40とは、軸方向に並ぶ。軸方向のうち、モータ20からインバータ基板40へ向かう方向を軸方向一方側(+Z側)と呼び、インバータ基板40からモータ20へ向かう方向を軸方向他方側(-Z側)と呼ぶ。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Jに近づく方向を径方向内側と呼び、中心軸Jから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。中心軸Jを中心とする周方向、すなわち中心軸Jの軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。なお、本実施形態において、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。
【0010】
本実施形態の電動ポンプ装置1は、例えばオイル等の流体を吸入して、吐出する。電動ポンプ装置1は、例えば、流体を流路に循環させる機能を有する。流体がオイルの場合、電動ポンプ装置1は、電動オイルポンプ装置と言い換えてもよい。特に図示しないが、電動ポンプ装置1は、例えば車両の駆動装置等に設けられる。つまり電動ポンプ装置1は、車両に搭載される。
【0011】
図1~
図9に示すように、モータユニット10は、ハウジング11と、締結ネジ18と、固定ネジ19と、モータ20と、インバータ基板40と、配線部材50と、ネジ部材60と、コイルサポート80と、を備える。電動ポンプ装置1は、モータユニット10と、ポンプ部90と、ポンプカバー95と、を備える。すなわち、電動ポンプ装置1は、ハウジング11と、締結ネジ18と、固定ネジ19と、モータ20と、インバータ基板40と、配線部材50と、ネジ部材60と、コイルサポート80と、ポンプ部90と、ポンプカバー95と、を備える。本実施形態において、インバータ基板40の一対の板面は、軸方向を向く。インバータ基板40の一対の板面のうち、一方の板面は軸方向一方側を向く。インバータ基板40の一対の板面のうち、他方の板面は軸方向他方側を向く。本実施形態において、「軸方向から見て」は、「インバータ基板40の平面視において」と同義である。
【0012】
ハウジング11は、モータ20およびインバータ基板40を収容する。ハウジング11は、モータハウジング部12と、オイルシール32と、軸部33と、インバータハウジング部13と、ブリーザ部14と、を有する。モータハウジング部12は、モータ20を収容する。本実施形態では、モータハウジング部12が、ポンプ部90も収容する。つまりハウジング11は、ポンプ部90も収容する。本実施形態によれば、モータ20およびポンプ部90がモータハウジング部12に収容されるので、電動ポンプ装置1の構造を簡素化できる。電動ポンプ装置1の組み立てが容易となる。
【0013】
モータハウジング部12は、金属製である。モータハウジング部12は、単一の部材により構成される。モータハウジング部12は、収容筒部12aと、鍔部12bと、ポンプ収容壁部12cと、ベアリング保持筒部12dと、支柱部12gと、を有する。
【0014】
収容筒部12aは、軸方向に延びる筒状である。本実施形態では、収容筒部12aが円筒状である。収容筒部12aには、モータ20が収容される。鍔部12bは、収容筒部12aの軸方向一方側の端部から径方向外側に広がる。鍔部12bは、板面が軸方向を向く板状である。本実施形態では、軸方向から見て鍔部12bの外形が、略多角形状である。
【0015】
鍔部12bは、ブリーザ取付孔12iと、ブリーザ収容凹部12jと、爪部支持面12kと、外囲面12lと、軸部取付穴12mと、を有する(
図5および
図6参照)。ブリーザ取付孔12iは、鍔部12bを軸方向に貫通する。ブリーザ取付孔12iは、軸方向他方側に向かうにしたがい内径が大きくなるテーパ孔状の部分を有する。ブリーザ取付孔12iは、軸方向から見て、後述する配線部材配置領域13aと重なる。
【0016】
ブリーザ収容凹部12jは、鍔部12bの軸方向他方側を向く面から軸方向一方側に窪む。軸方向から見て、ブリーザ収容凹部12jは円形リング状である。ブリーザ収容凹部12jの内径は、ブリーザ取付孔12iの内径よりも大きい。ブリーザ収容凹部12jの軸方向他方側を向く底面は、ブリーザ取付孔12iの内周面と繋がる。
【0017】
爪部支持面12kは、鍔部12bの軸方向一方側を向く面に配置される。本実施形態では、爪部支持面12kが、中心軸Jに垂直な平面である。爪部支持面12kは、軸方向から見て、略環状であり、ブリーザ取付孔12iを外側から囲う(
図7参照)。爪部支持面12kの内周部は、ブリーザ取付孔12iの軸方向一方側の端部(開口部)と繋がる。
【0018】
外囲面12lは、鍔部12bの軸方向一方側を向く面に配置される。外囲面12lは、軸方向から見て、略C字状である。外囲面12lは、軸方向から見て、爪部支持面12kをブリーザ径方向の外側から囲う。なお、ブリーザ径方向とは、後述するように、ブリーザ中心軸Cを中心とする径方向である。外囲面12lは、爪部支持面12kよりも軸方向他方側に位置する。すなわち、外囲面12lの軸方向位置は、爪部支持面12kの軸方向位置よりも、軸方向他方側である。
【0019】
軸部取付穴12mは、鍔部12bの軸方向一方側を向く面から軸方向他方側に窪む。軸部取付穴12mは、軸方向に延びる。軸部取付穴12mは、円穴状である。
【0020】
ポンプ収容壁部12cは、収容筒部12aの軸方向他方側の端部に配置される。ポンプ収容壁部12cは、収容筒部12a内に配置される。ポンプ収容壁部12cは、収容筒部12aの軸方向他方側の開口を塞ぐ。ポンプ収容壁部12cは、板面が軸方向を向く板状である。本実施形態では、ポンプ収容壁部12cが、略円板状である。ポンプ収容壁部12cは、ポンプ部90を収容する。ポンプ収容壁部12cは、ポンプ収容穴12fと、複数の肉抜き穴(図示省略)と、を有する。
【0021】
ポンプ収容穴12fは、ポンプ収容壁部12cの軸方向他方側を向く板面から軸方向一方側に窪む。本実施形態では、ポンプ収容穴12fが円穴状である。ポンプ収容穴12fは、軸方向から見て、ポンプ収容壁部12cの中央部に配置される。特に図示しないが、複数の肉抜き穴は、ポンプ収容壁部12cの軸方向一方側を向く板面から軸方向他方側に窪み、周方向に互いに間隔をあけて配置される。複数の肉抜き穴は、ポンプ収容穴12fの径方向外側に配置される。
【0022】
ベアリング保持筒部12dは、ポンプ収容壁部12cから軸方向一方側に延びる筒状である。ベアリング保持筒部12dは、ポンプ収容壁部12cの軸方向一方側を向く板面から軸方向一方側に突出する。ベアリング保持筒部12dは、モータ20の後述する第1のベアリング35を保持する。第1のベアリング35は、モータ20において軸方向に互いに間隔をあけて配置される複数のベアリング35,36のうち、後述するロータコア23の軸方向他方側に位置するベアリングである。第1のベアリング35は、ベアリング保持筒部12d内に嵌合する。
【0023】
支柱部12gは、軸方向に延びる。支柱部12gは、鍔部12bに配置され、鍔部12bから軸方向一方側に延びる。支柱部12gは、鍔部12bの軸方向一方側を向く板面から軸方向一方側に突出する。支柱部12gは、複数設けられる。複数の支柱部12gは、軸方向から見て周方向に互いに間隔をあけて配置される。詳しくは、軸方向から見て、つまりインバータ基板40の平面視において、複数の支柱部12gは、インバータ基板40の外周部と重なる位置に、互いに間隔をあけて配置される。
【0024】
本実施形態では、支柱部12gが略円筒状である。支柱部12gは、軸方向一方側に向かうにしたがい外径が小さくなる。支柱部12gの外周面は、テーパ状である。支柱部12gは、支柱部12gの内周面に雌ネジ部を有する。支柱部12gの軸方向一方側を向く端面は、中心軸Jに垂直な平面状である。支柱部12gの軸方向一方側を向く端面は、インバータ基板40の軸方向他方側を向く板面と接触する。
【0025】
支柱部12gは、インバータハウジング部13内に配置される。支柱部12gは、インバータハウジング部13の内部を延びる。支柱部12gは、インバータ基板40と固定される。本実施形態によれば、インバータ基板40がモータハウジング部12の支柱部12gに固定されるので、ハウジング11に対するインバータ基板40の取り付け剛性を高めることができ、インバータ基板40の制振性を向上できる。モータハウジング部12に焼き嵌め等により固定される後述するステータ26と、インバータ基板40との相対的な振動を抑制できる。このため、ステータ26の後述するコイル29の第1端部29aと、インバータ基板40とを固定する半田30の耐久性を高めることができる。また、配線部材50の後述するターミナル51と、インバータ基板40とを固定する半田31の耐久性も高められる。
【0026】
また本実施形態によれば、支柱部12gが、収容筒部12aよりも径方向外側に位置する鍔部12bから軸方向に延びていて、インバータ基板40を支持する。このため、収容筒部12aよりも外形が大きいインバータ基板40であっても、支柱部12gにより安定してインバータ基板40を支持できる。
【0027】
また本実施形態によれば、複数の支柱部12gによって、インバータ基板40がより安定して支持される。また、支柱部12gがインバータ基板40の外周部に配置されるので、インバータ基板40の配線パターンの自由度に影響することが抑えられる。また、モータハウジング部12が金属製であるので、剛性の高いモータハウジング部12によって、インバータ基板40の制振性をより向上できる。
【0028】
また本実施形態によれば、支柱部12gは、単一の部材で構成されるモータハウジング部12の一部であり、つまり支柱部12gがモータハウジング部12に一体に設けられるので、支柱部12g周りのシール性を良好に維持できる。したがって、支柱部12g周りを通して、モータハウジング部12およびインバータハウジング部13の内部に装置外部から水等が浸入することを抑制できる。支柱部12gの上記以外の構成および作用効果については、インバータハウジング部13の説明とともに別途後述する。
【0029】
オイルシール32は、中心軸Jを中心とする環状である。オイルシール32は、ベアリング保持筒部12d内に配置され、第1のベアリング35よりも軸方向他方側に位置する。軸部33は、軸方向に延びるピン部材である。軸部33は、軸部取付穴12m内に嵌合する。軸部33は、鍔部12bから軸方向一方側に突出する。
【0030】
インバータハウジング部13は、インバータ基板40を収容する。本実施形態では、インバータハウジング部13が、コイルサポート80も収容する。つまりハウジング11は、コイルサポート80も収容する。インバータハウジング部13は、鍔部12bの軸方向一方側に配置され、軸方向から見て鍔部12bと重なる。インバータハウジング部13は、第1部材16と、第2部材17と、熱伝導シート13cと、を有する。また、インバータハウジング部13は、配線部材配置領域13aと、コイルサポート収容空間13bと、を有する。
【0031】
第1部材16は、インバータハウジング部13の蓋部材と言い換えてもよい。第1部材16は、金属製である。第1部材16は、インバータ基板40の軸方向一方側に配置されて、インバータ基板40を軸方向一方側から覆う。第1部材16は、インバータ基板40の一対の板面のうち、一方の板面と対向する。第1部材16は、軸方向において、インバータ基板40の軸方向一方側を向く一方の板面と、隙間をあけて対向する。第1部材16は、有頂筒状である。
【0032】
第1部材16は、頂壁16aと、周壁16bと、フランジ16cと、を有する。頂壁16aは、インバータ基板40の一方の板面と対向する。周壁16bは、頂壁16aの外周部から軸方向他方側に延びる筒状である。周壁16bは、径方向から見て、インバータ基板40と重なって配置される。フランジ16cは、周壁16bの軸方向他方側の端部から径方向外側に広がる。
【0033】
第2部材17は、インバータハウジング部13の本体部材と言い換えてもよい。第2部材17は、軸方向において、モータハウジング部12と第1部材16との間に位置する。つまり第2部材17は、モータハウジング部12と第1部材16との間に配置される。第2部材17は、鍔部12bに固定される。第2部材17は、軸方向において鍔部12bとフランジ16cとの間に挟まれて、締結ネジ18により固定される。締結ネジ18は、複数設けられる。複数の締結ネジ18は、周方向に互いに間隔をあけて配置される。本実施形態によれば、第2部材17が鍔部12bに固定されるので、インバータハウジング部13をモータハウジング部12に固定する領域を広く確保でき、インバータハウジング部13をモータハウジング部12に安定して固定できる。また、インバータハウジング部13の内容積を確保しつつ、インバータハウジング部13を軸方向に小型化できる。
【0034】
第2部材17は、インバータ基板40の軸方向他方側に配置されて、インバータ基板40を軸方向他方側から覆う。第2部材17は、インバータ基板40の一対の板面のうち、他方の板面と対向する。第2部材17は、軸方向において、インバータ基板40の軸方向他方側を向く他方の板面と、隙間をあけて対向する。第2部材17は、有底筒状である。
【0035】
第2部材17は、底壁部17aと、周壁部17bと、を有する。つまりインバータハウジング部13は、底壁部17aと、周壁部17bと、を有する。底壁部17aは、インバータ基板40の他方の板面と対向する。つまり底壁部17aは、インバータ基板40の一対の板面のうち、軸方向他方側を向く板面と対向する。底壁部17aは、板面が軸方向を向く板状である。底壁部17aは、固定ネジ19により、鍔部12bと固定される。つまり第2部材17は、モータハウジング部12に固定ネジ19で固定される。固定ネジ19は、複数設けられる。複数の固定ネジ19は、周方向に互いに間隔をあけて配置される。固定ネジ19は、締結ネジ18でインバータハウジング部13とモータハウジング部12とを締結するまでの間、第2部材17をモータハウジング部12に仮固定する目的で用いられる。なお仮固定とは、組み立て上で必要となる仮の固定状態を指す。固定ネジ19の数は、締結ネジ18の数よりも少ない。第2部材17がモータハウジング部12に固定ネジ19で固定されるので、モータハウジング部12の支柱部12gに固定されるインバータ基板40と、第2部材17の後述するコネクタ部17iに保持される配線部材50のターミナル51との相対位置が安定し、インバータ基板40にターミナル51を接続しやすい。
【0036】
底壁部17aは、ベアリングホルダ17cと、ウェーブワッシャ17gと、嵌合筒部17dと、貫通孔17eと、リブ部17fと、ピン部71と、ボス部17jと、挿入穴17kと、ブリーザ収容壁部17lと、筒部配置孔17mと、を有する。つまり第2部材17は、ベアリングホルダ17c、貫通孔17eおよびボス部17jを有する。またピン部71は、インバータハウジング部13に設けられる。
【0037】
ベアリングホルダ17cは、金属製である。第2部材17を射出成形する際、ベアリングホルダ17cは、別の金属部品とともに図示しない金型内に配置される。この金型内に溶融した樹脂を充填し固化することにより、第2部材17は、ベアリングホルダ17cととともにインサート成形される。つまり第2部材17は、樹脂製の部分を有する。本実施形態によれば、第2部材17が樹脂製の部分を有するので、第2部材17の形状の自由度が増す。このため、第2部材17に後述するコネクタ部17i等を容易に設けることができる。
【0038】
ベアリングホルダ17cは、有頂筒状である。ベアリングホルダ17cは、モータ20の後述する複数のベアリング35,36のうち、少なくとも1つのベアリング36を保持する。ベアリングホルダ17cは、第2のベアリング36を保持する。第2のベアリング36は、複数のベアリング35,36のうち、後述するロータコア23の軸方向一方側に位置するベアリングである。第2のベアリング36は、ベアリングホルダ17c内に嵌合する。
【0039】
ウェーブワッシャ17gは、中心軸Jを中心とする環状である。ウェーブワッシャ17gは、ベアリングホルダ17c内に配置され、軸方向において、ベアリングホルダ17cの頂壁部と第2のベアリング36との間に位置する。ウェーブワッシャ17gは、軸方向においてベアリングホルダ17cの頂壁部と第2のベアリング36とに接触する。ウェーブワッシャ17gは、ベアリングホルダ17cと第2のベアリング36との間で、これらを互いに軸方向に離す向きに付勢する。
【0040】
嵌合筒部17dは、底壁部17aから軸方向他方側に延びる筒状である。嵌合筒部17dは、収容筒部12a内に嵌合する。本実施形態では、嵌合筒部17dが円筒状であり、収容筒部12aの軸方向一方側の端部(開口部)の内側に嵌合する。本実施形態によれば、底壁部17aの嵌合筒部17dがモータハウジング部12の収容筒部12a内に嵌合することにより、底壁部17aのベアリングホルダ17cが保持するベアリング36が、シャフト22の中心軸Jと同軸に位置合わせされる。したがって、モータ20の性能が安定する。
【0041】
貫通孔17eは、底壁部17aを軸方向に貫通する。本実施形態では、貫通孔17eが円孔状である。貫通孔17eは、複数設けられる。複数の貫通孔17eは、軸方向から見て周方向に互いに間隔をあけて配置される。詳しくは、軸方向から見て、つまりインバータ基板40の平面視において、複数の貫通孔17eは、インバータ基板40の外周部と重なる位置に、互いに間隔をあけて配置される。各貫通孔17eには、それぞれ支柱部12gが挿入される。つまり貫通孔17eには、支柱部12gが挿入される。本実施形態によれば、第2部材17の貫通孔17eに支柱部12gを通すことにより、インバータハウジング部13とモータハウジング部12との間においてシール性を確保しやすくできる。また、インバータハウジング部13とモータハウジング部12とのおおまかな位置合わせを行うことができ、組み立て性が向上する。
【0042】
ここで、支柱部12gについて説明する。支柱部12gは、第2部材17を貫通する。支柱部12gは、第2部材17の底壁部17aを軸方向に貫通する。本実施形態によれば、簡単な構成により、支柱部12gをインバータハウジング部13の内部に配置できる。そして、支柱部12gによりインバータ基板40を支持できる。支柱部12gは、軸方向から見て、周壁部17bの内部に配置される。支柱部12gは、径方向から見て、周壁部17bよりも軸方向一方側に突出する。本実施形態によれば、支柱部12gの先端に支持されるインバータ基板40が、第2部材17の周壁部17bよりも軸方向一方側に配置される。つまり、インバータ基板40の他方の板面が、周壁部17bよりも軸方向一方側に位置する。このため、インバータ基板40に後述するコイル29の第1端部29aやターミナル51を半田付けしたときに、インバータ基板40の他方の板面にまで半田30,31が適切に回り込んだか否か、つまり半田付けが良好に行われたか否かを、径方向からの目視により容易に確認できる。
【0043】
リブ部17fは、底壁部17aの軸方向一方側を向く板面から軸方向一方側に突出し、中心軸Jに垂直な図示しない仮想の平面に沿って延びる。リブ部17fは、複数設けられる。複数のリブ部17fは、中心軸Jを中心として放射状に延びる。本実施形態では、複数のリブ部17fが、径方向に延びるリブ部17fと、軸方向から見て径方向以外の方向に延びるリブ部17fと、を有する。複数のリブ部17fは、互いに周方向に間隔をあけて配置される。リブ部17fの径方向外側の端部は、周壁部17bと接続する。リブ部17fの軸方向一方側を向く端面は、周壁部17bの軸方向一方側を向く端面よりも、軸方向他方側に位置する。
【0044】
ピン部71は、軸方向に延びる。ピン部71は、底壁部17aから軸方向一方側に延びる。本実施形態では、ピン部71が、複数のリブ部17fのうち、1つのリブ部17fと一体に設けられる。つまり、ピン部71と1つのリブ部17fとは、単一の部材の部分である。ピン部71は、1つのリブ部17fの径方向内端部と径方向外端部との間に位置する。
【0045】
ピン部71は、インバータ基板40の後述する位置決め孔部43に挿入される。ピン部71のうち、軸方向一方側の端部が、位置決め孔部43に挿入される。ピン部71の軸方向一方側の端部は、支柱部12gの軸方向一方側の端面よりも、軸方向一方側に突出する。ピン部71は、軸方向から見て、複数の支柱部12gのうち、少なくとも1つの支柱部12gと隙間をあけて対向する。すなわち、ピン部71は、軸方向から見て、少なくとも1つの支柱部12gと隙間をあけて接近して配置される。ピン部71は、底壁部17aから軸方向一方側へ向かうにしたがい段階的に外径が小さくなる。本実施形態によれば、インバータ基板40の位置決め孔部43にピン部71が挿入されることにより、インバータ基板40とインバータハウジング部13とを位置合わせできる。また、支柱部12gにインバータ基板40をネジ部材60で固定するときに、インバータ基板40がネジ部材60と供回りすることを抑制でき、インバータ基板40がインバータハウジング部13に対して回動することを抑えられる。
【0046】
ボス部17jは、底壁部17aから軸方向一方側に向けて突出する。ボス部17jは、軸方向に延びる。ボス部17jは、筒状または柱状である。本実施形態では、ボス部17jが円筒状である。ボス部17jは、ボス部17jの軸方向一方側を向く先端面が、中心軸Jに垂直な平面状である。ボス部17jの先端面は、インバータ基板40の他方の板面と接触しまたは隙間をあけて対向する。ボス部17jは、インバータ基板40の他方の板面を支持可能である。インバータ基板40の平面視において、ボス部17jは、インバータ基板40の中央部に配置される。インバータ基板40の平面視において、ベアリングホルダ17cとボス部17jとは、重なって配置される。
【0047】
挿入穴17kは、底壁部17aの軸方向他方側を向く面から軸方向一方側に窪む。挿入穴17kは、軸方向に延びる。挿入穴17kは、軸方向から見て、軸部取付穴12mおよび軸部33と重なる。挿入穴17kには、軸部33が挿入される。本実施形態によれば、収容筒部12a内に嵌合筒部17dが嵌合することにより、モータハウジング部12に対して第2部材17が径方向に位置決めされる。また、軸部33が挿入穴17kに挿入されることにより、モータハウジング部12に対して第2部材17が周方向に位置決めされる。これにより、モータハウジング部12とインバータハウジング部13との相対的な位置が安定して決まり、インバータ基板40に後述するコイル29の第1端部29aやターミナル51を接続しやすい。また軸方向から見て、軸部33とピン部71とは、重なって配置される。本実施形態によれば、軸部33とピン部71とが同軸に配置されるので、これらを用いた位置合わせ構造を省スペース化できる。
【0048】
ブリーザ収容壁部17lは、底壁部17aの軸方向他方側を向く面から軸方向一方側に窪む。ブリーザ収容壁部17lは、有頂筒状である。ブリーザ収容壁部17lは、周壁と、頂壁と、を有する。ブリーザ収容壁部17lの周壁は、底壁部17aから軸方向一方側に向けて延びる。ブリーザ収容壁部17lの頂壁は、ブリーザ収容壁部17lの周壁の軸方向一方側の開口を塞ぐ。ブリーザ収容壁部17lは、軸方向から見て、ブリーザ取付孔12iと重なる。筒部配置孔17mは、底壁部17aを軸方向に貫通する。筒部配置孔17mの内部には、コイルサポート80の後述する延出筒部85bが配置される。
【0049】
周壁部17bは、底壁部17aの外周部から軸方向一方側へ延びる筒状である。本実施形態では、周壁部17bが略多角形筒状である。周壁部17bは、スペーサー17hと、コネクタ部17iと、を有する。つまりインバータハウジング部13は、コネクタ部17iを有する。
【0050】
スペーサー17hは、軸方向に延びる筒状である。本実施形態では、スペーサー17hが円筒状である。スペーサー17hは、周壁部17bに設けられて、第2部材17を軸方向に貫通する。スペーサー17hは、複数設けられる。複数のスペーサー17hは、周方向に互いに間隔をあけて配置される。各スペーサー17h内には、それぞれ締結ネジ18が挿入される。スペーサー17hは、金属製である。第2部材17を射出成形する際、スペーサー17hは、別の金属部品とともに図示しない金型内に配置される。この金型内に溶融した樹脂を充填し固化することにより、第2部材17は、スペーサー17hとともにインサート成形される。
【0051】
コネクタ部17iには、図示しない外部電源が接続される。コネクタ部17iは、筒状である。本実施形態では、コネクタ部17iが四角形筒状である。コネクタ部17iは、軸方向から見て、周壁部17bから周壁部17bの外側に向けて延びる。コネクタ部17iは、中心軸Jに垂直な図示しない仮想の平面に沿って、周壁部17bから外側へ突出する。本実施形態においては、コネクタ部17iが周壁部17bから突出する方向を、突出方向と呼ぶ場合がある。コネクタ部17iの突出方向は、+X側である。突出方向と反対側は、-X側である。また、軸方向から見て、突出方向に直交する方向を、幅方向と呼ぶ場合がある。幅方向は、Y軸方向である。コネクタ部17iは、幅方向において、中心軸Jと異なる位置に配置される。幅方向において、中心軸Jからコネクタ部17iに向かう方向を幅方向一方側(+Y側)と呼び、コネクタ部17iから中心軸Jに向かう方向を幅方向他方側(-Y側)と呼ぶ。
【0052】
コネクタ部17iと周壁部17bとは、単一の部材の部分である。コネクタ部17iの内部には、配線部材50の一部が配置される。コネクタ部17iは、配線部材50と固定される。コネクタ部17iは、配線部材50を保持する。
【0053】
配線部材配置領域13aは、インバータハウジング部13において、配線部材50が配置されるスペースである。配線部材配置領域13aは、インバータハウジング部13の内部空間のうち、インバータ基板40の平面視で、突出方向において中心軸Jとコネクタ部17iとの間に位置する。つまり配線部材配置領域13aは、軸方向から見て、中心軸Jとコネクタ部17iとの間に位置する。配線部材配置領域13aは、中心軸Jよりも突出方向(+X側)に位置し、かつ、コネクタ部17iよりも突出方向と反対側(-X側)に位置する。
【0054】
コイルサポート収容空間13bは、インバータハウジング部13の内部に配置される。コイルサポート収容空間13bは、コイルサポート80を収容する。コイルサポート収容空間13bは、インバータハウジング部13の内部空間のうち、コイルサポート80が配置されるスペースである。コイルサポート収容空間13bは、中心軸Jを中心とする環状である。コイルサポート収容空間13bは、軸方向から見て、ステータ26と重なる。コイルサポート収容空間13bは、嵌合筒部17dの径方向内側に位置する。コイルサポート収容空間13bは、底壁部17aの軸方向他方側を向く面から軸方向一方側に窪んで周方向に延びる溝状のスペースである。
【0055】
熱伝導シート13cは、板状であり、一対の板面が軸方向を向く。熱伝導シート13cは、弾性を有するシート部材である。熱伝導シート13cは、例えば四角形板状である。熱伝導シート13cは、第1部材16または第2部材17と、インバータ基板40との間に配置され、第1部材16または第2部材17と、インバータ基板40とに接触する。本実施形態では、熱伝導シート13cが、第1部材16とインバータ基板40との間に配置され、第1部材16とインバータ基板40とに接触する。具体的に、熱伝導シート13cは、頂壁16aと、インバータ基板40の一方の板面との間に配置され、頂壁16aとインバータ基板40の一方の板面とに接触する。特に図示しないが、熱伝導シート13cが第2部材17とインバータ基板40との間に配置され、第2部材17とインバータ基板40とに接触する場合には、熱伝導シート13cは、底壁部17aが有する図示しない金属部分(金属部材)等と、インバータ基板40の他方の板面との間に配置され、底壁部17aの金属部分等と、インバータ基板40の他方の板面とに接触する。熱伝導シート13cは、インバータ基板40の後述する発熱素子46と熱的に接続される。熱伝導シート13cは、熱伝導により発熱素子46の熱を別の部材に移動させて、発熱素子46を冷却する機能を有する。熱伝導シート13cの上記以外の構成および作用効果については、インバータ基板40の説明とともに別途後述する。
【0056】
ブリーザ部14は、ハウジング11の内部と外部とを連通する。ブリーザ部14は、モータハウジング部12の鍔部12bに設けられ、軸方向他方側に向けてハウジング11から装置外部に露出される。つまりブリーザ部14は、鍔部12bに配置される。鍔部12bは、インバータハウジング部13により軸方向一方側から覆われており、軸方向他方側、つまり電動ポンプ装置1が固定される図示しない車両の部材側を向く。このため、鍔部12bは、軸方向においてインバータハウジング部13と車両の部材とにより囲われる。本実施形態によれば、車両の走行等によって飛散する水滴等が、ブリーザ部14に直接かかることを抑制できる。したがって、ハウジング11内の部材が水等に接触しにくく、インバータ基板40やモータ20等の機能が良好に維持される。
【0057】
ブリーザ部14は、軸方向から見て、ポンプカバー95の後述する脚部97と重ならない位置に配置される。本実施形態によれば、ブリーザ部14が軸方向において脚部97と重ならないので、例えば、ハウジング11のシール機能の検査をブリーザ部14の取り付け箇所、つまり鍔部12bのブリーザ取付孔12iから行いやすい。すなわち、ブリーザ取付孔12iに図示しない検査装置の冶具等を取り付けやすく、かつ取り外しやすい。また検査後において、ブリーザ取付孔12iにブリーザ部14を取り付けやすい。
【0058】
ブリーザ部14は、軸方向から見て、鍔部12bのうち配線部材配置領域13aと重なる位置に配置される。本実施形態では、ブリーザ部14が、配線部材配置領域13aのうち、中心軸Jよりも幅方向他方側(-Y側)に配置される。なお、ブリーザ部14は、配線部材配置領域13aのうち、中心軸Jよりも幅方向一方側(+Y側)に配置されてもよい。配線部材配置領域13aは、配線部材50を収容するため、スペースが広く確保されやすい。本実施形態によれば、ブリーザ部14が、軸方向から見て、鍔部12bのうち配線部材配置領域13aと重なる位置に配置されるので、ハウジング11の空きスペースを有効利用でき、装置の構成部材の配置を最適化して、電動ポンプ装置1を小型化できる。
【0059】
特に図示しないが、電動ポンプ装置1が車両の部材に取り付けられた状態で、ブリーザ部14は、電動ポンプ装置1の中心に対して鉛直方向の上側に配置される。このため、ブリーザ部14の水没を抑制できる。また、ハウジング11内の高温の空気を、ブリーザ部14を通して装置外部に逃がしやすくできる。ブリーザ部14が電動ポンプ装置1の中心よりも鉛直方向の上側に配置されることは、ポンプカバー95の後述する流入口96aと流出口96bとの相対的な位置関係を用いても説明できる。この説明については、ポンプカバー95の説明とともに後述する。
【0060】
ブリーザ部14は、ブリーザ本体14aと、ブリーザ筒部14bと、爪部14cと、ブリーザシール部材14eと、を有する。ブリーザ本体14aは、内部空間を有する円板状である。以下の説明では、ブリーザ本体14aの中心軸を、ブリーザ中心軸Cと呼ぶ。ブリーザ中心軸Cは、中心軸Jと平行に延びており、つまり軸方向に延びる。ブリーザ中心軸Cを中心とする径方向を、ブリーザ径方向と呼ぶ。ブリーザ径方向のうち、ブリーザ中心軸Cに近づく方向をブリーザ径方向の内側と呼び、ブリーザ中心軸Cから離れる方向をブリーザ径方向の外側と呼ぶ。ブリーザ中心軸Cを中心とする周方向、すなわちブリーザ中心軸Cの軸回りをブリーザ周方向と呼ぶ。
【0061】
ブリーザ本体14aの軸方向一方側を向く面は、ブリーザ収容凹部12jの軸方向他方側を向く底面と、軸方向に隙間をあけて対向する。ブリーザ本体14aの外周面は、ブリーザ収容凹部12jの内周面と、ブリーザ径方向に隙間をあけて対向する。ブリーザ本体14aは、ブリーザ収容凹部12j内に収容される部分を有する。
【0062】
ブリーザ本体14aは、呼吸孔14dを有する。呼吸孔14dは、ハウジング11の外部と連通する。呼吸孔14dは、ブリーザ本体14aの内部空間と連通する。呼吸孔14dは、ブリーザ周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。複数の呼吸孔14dは、ブリーザ径方向に延びる呼吸孔14dと、軸方向に延びる呼吸孔14dと、を有する。複数の呼吸孔14dは、ブリーザ本体14aの外周面に開口する呼吸孔14dと、ブリーザ本体14aの軸方向一方側を向く面に開口する呼吸孔14dと、を有する。
【0063】
ブリーザ筒部14bは、軸方向に延びる筒状である。ブリーザ筒部14bは、ブリーザ本体14aに接続される。ブリーザ筒部14bは、ブリーザ本体14aの軸方向一方側を向く面と接続され、ブリーザ本体14aから軸方向一方側へ向けて延びる。ブリーザ筒部14bは、ブリーザ取付孔12iに挿入される。ブリーザ筒部14bは、ブリーザ本体14aの内部空間を通して、呼吸孔14dと連通する。つまりブリーザ筒部14bは、呼吸孔14dと連通する。ブリーザ筒部14bは、底壁部17aの貫通孔17e等を通して、インバータハウジング部13の内部と連通する。つまりブリーザ筒部14bは、ハウジング11の内部と連通する。
【0064】
爪部14cは、ブリーザ筒部14bの軸方向一方側の端部から、ブリーザ径方向の外側に突出する。爪部14cは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。爪部14cは、鍔部12bに軸方向一方側から接触する。爪部14cは、鍔部12bの爪部支持面12kに、軸方向一方側から接触する。つまり爪部支持面12kには、爪部14cが接触する。爪部14cは、スナップフィット構造等により、爪部支持面12kに引っ掛けられる。本実施形態によれば、爪部支持面12kが、外囲面12lよりも軸方向一方側に配置されるので、爪部支持面12kを切削工具等で容易に加工できる。これにより、爪部支持面12kの軸方向位置や加工面の精度が確保される。そして、爪部14cを爪部支持面12kに安定して引っ掛けることができる。また、鍔部12bに対するブリーザ部14の固定状態がより安定する。
【0065】
ここで、ブリーザ収容壁部17lは、ブリーザ筒部14bの軸方向一方側の端部および爪部14cを収容し、ブリーザ筒部14bを軸方向一方側から覆う。ブリーザ収容壁部17lの頂壁は、ブリーザ筒部14bの軸方向一方側の端部および爪部14cに、軸方向一方側から隙間をあけて対向する。ブリーザ収容壁部17lの周壁は、ブリーザ筒部14bの軸方向一方側の端部および爪部14cに、ブリーザ径方向の外側から隙間をあけて対向する。本実施形態によれば、装置外部からブリーザ部14を通してハウジング11内に水等が浸入した場合でも、ブリーザ収容壁部17lによって、ハウジング11内の電子部品等に水等が直接かかることを抑制できる。
【0066】
ブリーザシール部材14eは、例えばOリング等である。ブリーザシール部材14eは、ブリーザ筒部14bの外周面と、ブリーザ本体14aの軸方向一方側を向く面と、ブリーザ取付孔12iの内周面と、に接触する。本実施形態によれば、ブリーザシール部材14eにより、ブリーザ筒部14bとブリーザ取付孔12iとの間を通してハウジング11内に水等が浸入することが抑制される。また、鍔部12bに対するブリーザ部14の取り付け状態がより安定する。
【0067】
モータ20は、ロータ21と、ステータ26と、複数のベアリング35,36と、を有する。ロータ21は、シャフト22と、ロータコア23と、マグネット24と、マグネットホルダ25と、を有する。
【0068】
シャフト22は、中心軸Jに沿って延びる。シャフト22は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる。シャフト22は、中心軸Jを中心として回転する。シャフト22は、複数のベアリング35,36により中心軸J回りに回転自在に支持される。つまり複数のベアリング35,36は、シャフト22を回転自在に支持する。複数のベアリング35,36は、例えばボールベアリング等である。複数のベアリング35,36のうち、第1のベアリング35は、シャフト22のロータコア23よりも軸方向他方側に位置する部分を支持する。複数のベアリング35,36のうち、第2のベアリング36は、シャフト22のロータコア23よりも軸方向一方側に位置する部分を支持する。
【0069】
ロータコア23は、シャフト22の外周面に固定される。ロータコア23は、中心軸Jを中心として周方向に延びる環状である。ロータコア23は、軸方向に延びる筒状である。ロータコア23は、例えば、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されて構成される鋼板積層体である。
【0070】
マグネット24は、ロータコア23の径方向外側面に配置される。マグネット24は、複数設けられる。複数のマグネット24は、ロータコア23の径方向外側面に、互いに周方向に間隔をあけて配置される。なお、マグネット24は、例えば1つの円筒状のリングマグネットでもよい。
【0071】
マグネットホルダ25は、ロータコア23に設けられ、マグネット24を保持する。マグネットホルダ25は、ロータコア23に対してマグネット24を固定する。マグネットホルダ25は、ロータコア23の径方向外側面および軸方向他方側を向く面に配置される。マグネットホルダ25は、マグネット24を径方向外側および軸方向他方側から押さえる。マグネットホルダ25は、周方向に隣り合う一対のマグネット24同士の間に位置して軸方向に延びる部分と、中心軸Jを中心とする環状でありマグネット24の軸方向他方側に位置する部分と、を有する。
【0072】
ステータ26は、ロータ21の径方向外側に配置され、ロータ21と径方向に隙間をあけて対向する。つまりステータ26は、ロータ21と径方向に対向する。ステータ26は、周方向の全周にわたって、ロータ21を径方向外側から囲う。ステータ26は、ステータコア27と、インシュレータ28と、複数のコイル29と、を有する。
【0073】
ステータコア27は、中心軸Jを中心とする環状である。ステータコア27は、ロータ21の径方向外側においてロータ21を囲む。ステータコア27は、ロータ21の径方向外側に配置されて、ロータ21と径方向に隙間をあけて対向する。ステータコア27は、例えば、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されて構成される鋼板積層体である。
【0074】
ステータコア27は、コアバック27aと、複数のティース27bと、を有する。コアバック27aは、中心軸を中心とする環状である。コアバック27aは、軸方向に延びる筒状である。コアバック27aの径方向外側面は、収容筒部12aの内周面と固定される。ティース27bは、コアバック27aの径方向内側面から径方向内側に延びる。複数のティース27bは、コアバック27aの径方向内側面に、周方向に互いに間隔をあけて配置される。ティース27bの径方向内側面は、マグネット24の径方向外側面に、径方向外側から隙間をあけて対向する。
【0075】
インシュレータ28は、ステータコア27に装着される。インシュレータ28は、複数のティース27bを覆う部分を有する。インシュレータ28の材料は、例えば樹脂などの絶縁材料である。コイル29は、ステータコア27に取り付けられる。コイル29は、インシュレータ28を介してステータコア27に装着される。複数のコイル29は、各ティース27bに、インシュレータ28を介して導線が巻き回されることによりそれぞれ構成される。
【0076】
特に図示しないが、複数のコイル29は、第1のコイルと、第2のコイルと、を有する。第1のコイルは、第1の導線を有する。第2のコイルは、第1の導線とは異なる第2の導線を有する。つまり、第1のコイルと第2のコイルとは、互いに相が異なる。本実施形態では、モータ20が3相モータである。3相とは、U相、V相およびW相である。3相モータの場合、U相、V相およびW相の各コイル29を構成する導線同士は、互いに異なる。すなわち、U相のコイル29の導線と、V相のコイル29の導線と、W相のコイル29の導線とは、互いに異なる。例えば、第1のコイルがU相である場合には、第2のコイルは、V相およびW相のいずれかである。第2のコイルがU相である場合には、第1のコイルは、V相およびW相のいずれかである。
【0077】
コイル29は、コイル29の導線の両端部に、コイル29から引き出される一対の端部を有する。一対の端部は、第1端部29aおよび第2端部29bである。コイル29の導線の端部29a,29bは、コイル29の引出部と言い換えてもよい。第1端部29aは、インバータ基板40に直接接続される。第2端部29bは、コイルサポート80の後述する中性点バスバー81に接続される。
【0078】
第1端部29aは、第1延伸部29cと、第2延伸部29dと、第3延伸部29eと、を有する(
図9参照)。第1延伸部29cは、コイル29から軸方向一方側に延びる。第2延伸部29dは、インバータ基板40に接続され、軸方向に延びる。第2延伸部29dは、半田30を用いてインバータ基板40と接合される。第3延伸部29eは、第1延伸部29cの軸方向一方端と第2延伸部29dの軸方向他方端とを繋ぎ、中心軸Jに交差する方向に延びる。すなわち、本実施形態では、コイル29の第1端部29aが複数の屈曲部29f,29gを有する。具体的に、第1端部29aは、第1延伸部29cと第3延伸部29eとの接続部分に位置する屈曲部29fと、第2延伸部29dと第3延伸部29eとの接続部分に位置する屈曲部29gと、を有する。このため、装置外部や内部からの振動が第1延伸部29cに伝わったときに、第1延伸部29cから第3延伸部29eを介して第2延伸部29dに至る経緯において、振動が減衰される。具体的には、振動のうち少なくとも軸方向成分の振幅が低減されてインバータ基板40に伝えられる。これにより、第2延伸部29dとインバータ基板40とを接合する半田30への負荷が低減し、半田30の耐久性が向上する。
【0079】
第1端部29aは、インバータ基板40と第3延伸部29eとの間の第2延伸部29dの導線の長さLaよりも、第3延伸部29eの導線の長さLbが長い。本実施形態によれば、コイル29の第1端部29aにおいて、振動を減衰する効果がより高められる。第1端部29aとインバータ基板40とを接合する半田30の耐久性がより向上する。
【0080】
図9に示す2つの第1端部29aは、第1のコイルの第1端部29aと、第2のコイルの第1端部29aである。つまり
図9に示す2つの第1端部29aは、互いに相が異なる。軸方向から見て、第1のコイルの第3延伸部29eと第2のコイルの第3延伸部29eとは、互いに重なり、かつ、第1のコイルの第3延伸部29eと第2のコイルの第3延伸部29eとは、軸方向に互いに離れて配置される。本実施形態によれば、軸方向から見て、2つの第3延伸部29e同士が重なるので、各第1端部29aを中心軸Jに交差する方向に引き回す長さを短く抑えることができ、かつ、互いに相が異なる第1端部29a同士が、軸方向に互いに接触することを抑制できる。これにより、モータ20の性能が良好に維持される。
【0081】
インバータ基板40は、モータ20の軸方向一方側に配置される。インバータ基板40は、配線部材50を介して図示しない外部電源と電気的に接続される。インバータ基板40は、モータ20と電気的に接続される。インバータ基板40は、外部電源から供給される電力を、モータ20のステータ26に供給する。インバータ基板40は、モータ20に供給する電流を制御する。
【0082】
インバータ基板40は、インバータ基板40の平面視で、多角形状であり、複数の角部45a,45b,・・・を有する。本実施形態では、インバータ基板40が、インバータ基板40の平面視で略5角形状であり、インバータ基板40は5つの角部45a,45b,・・・を有する。本実施形態では、複数の角部45a,45b,・・・のうち、インバータ基板40の平面視において、インバータ基板40の幅方向一方側(+Y側)かつ突出方向(+X側)に位置する角部を、第1の角部45aと呼ぶ。第1の角部45aは、中心軸Jよりも幅方向一方側かつ突出方向に位置する。また、第2の角部45bは、インバータ基板40の平面視において、インバータ基板40の幅方向他方側(-Y側)かつ突出方向と反対側(-X側)に位置する角部である。第2の角部45bは、中心軸Jよりも幅方向他方側かつ突出方向と反対側に位置する。第3の角部は、インバータ基板40の平面視において、中心軸Jよりも幅方向他方側かつ突出方向に位置する。第4の角部および第5の角部は、インバータ基板40の平面視において、中心軸Jよりも幅方向一方側かつ突出方向と反対側に位置する。
【0083】
インバータ基板40は、複数の発熱素子46と、コンデンサ47と、引出部挿入孔48と、ターミナル挿入孔41と、ネジ挿入孔42と、位置決め孔部43と、を有する。また、インバータ基板40は、コイル接続領域40aと、ターミナル接続領域40bと、を有する。複数の発熱素子46は、インバータ基板40に実装され、互いに間隔をあけて配置される。発熱素子46は、例えば、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor,FET)、プリドライバおよび低損失型リニアレギュレータ(Low Drop-Out regulator,LDO)等である。本実施形態では、発熱素子46が、インバータ基板40の他方の板面に配置される。
【0084】
ここで、熱伝導シート13cについて説明する。本実施形態では、熱伝導シート13cが複数設けられる。つまりインバータハウジング部13は、複数の熱伝導シート13cを有する。インバータ基板40の平面視において、複数の熱伝導シート13cは、複数の発熱素子46と重なる位置に、個別に配置される。本実施形態では、インバータ基板40の平面視において、各熱伝導シート13cが、1つの発熱素子46と重なる。つまり1つの熱伝導シート13cが、1つの発熱素子46と重なって配置される。軸方向から見て、熱伝導シート13cと発熱素子46とが、一対一で重なる。
【0085】
例えば本実施形態と異なり、面積の大きい一枚の熱伝導シートがすべての発熱素子46と接触させられる構成と比べて、本実施形態によれば、熱伝導シート13cとインバータ基板40との接触箇所が分散され、かつ接触面積が低減する。これにより、熱伝導シート13cの反力が低減されて、インバータ基板40の変形が抑制される。そして、インバータ基板40に実装される例えばセラミックコンデンサ等の電子部品の性能などが良好に維持される。また、コイル29の第1端部29aとインバータ基板40とを接合する半田30の耐久性がより向上する。インバータ基板40と配線部材50の後述するターミナル51とを固定する半田31の耐久性がより高められる。
【0086】
ここで、
図10は、本実施形態の熱伝導シート13cの変形例を示す。この変形例では、インバータ基板40の平面視において、各熱伝導シート13cが、2つの発熱素子46と重なる。つまり1つの熱伝導シート13cが、2つの発熱素子46と重なって配置される。この場合においても、熱伝導シート13cとインバータ基板40との接触箇所が分散され、かつ接触面積が低減するので、インバータ基板40の変形が抑制される。
【0087】
複数の熱伝導シート13cのうち少なくとも1つは、第1部材16とインバータ基板40との間に配置され、第1部材16とインバータ基板40とに接触する。本実施形態では、複数の熱伝導シート13cのすべてが、第1部材16とインバータ基板40との間に配置され、第1部材16とインバータ基板40とに接触する。本実施形態によれば、モータハウジング部12に第2部材17を取り付け、第2部材17に第1部材16を取り付けたとき、つまりインバータハウジング部13の組み立てが終わるときに、熱伝導シート13cがインバータ基板40と接触する。熱伝導シート13cがインバータ基板40と接触する際に、インバータ基板40を第1部材16と第2部材17との間で軸方向の両側から支持することができるので、インバータ基板40の変形をより抑制しやすい。
【0088】
本実施形態によれば、第1部材16を第2部材17に取り付けて、熱伝導シート13cがインバータ基板40の一方の板面を押したときに、ボス部17jがインバータ基板40の他方の板面を支持する。このため、インバータ基板40の変形がより抑制される。また、本実施形態では、金属製のベアリングホルダ17cによってボス部17jが軸方向から支持される。このため、インバータ基板40がボス部17jによって安定的に支持され、インバータ基板40の変形がより抑制される。
【0089】
なお、特に図示しないが、複数の熱伝導シート13cのうち少なくとも1つは、第2部材17とインバータ基板40との間に配置され、第2部材17とインバータ基板40とに接触することとしてもよい。
【0090】
コンデンサ47は、インバータ基板40の他方の板面に配置される。コンデンサ47は、インバータ基板40の他方の板面から軸方向他方側に向けて延びる。本実施形態では、コンデンサ47が複数設けられる。軸方向から見て、コンデンサ47は、コイルサポート80と重なって配置される。
【0091】
引出部挿入孔48は、インバータ基板40をその板厚方向に(軸方向に)貫通する。つまり引出部挿入孔48は、インバータ基板40を貫通する。引出部挿入孔48は、複数設けられる。本実施形態では、複数の引出部挿入孔48が、インバータ基板40の平面視において、直線状に配列する。複数の引出部挿入孔48は、インバータ基板40の幅方向他方側の端部に配置されて、突出方向に並ぶ。各引出部挿入孔48には、コイル29の第1端部29aがそれぞれ挿入される。コイル29の第1端部29aは、インバータ基板40に半田30で接合される。
【0092】
ターミナル挿入孔41は、インバータ基板40をその板厚方向に貫通する。つまりターミナル挿入孔41は、インバータ基板40を貫通する。ターミナル挿入孔41は、複数設けられる。本実施形態では、複数のターミナル挿入孔41が、インバータ基板40の平面視において、直線状に配列する。複数のターミナル挿入孔41は、インバータ基板40の突出方向(+X側)の端部に配置されて、幅方向(Y軸方向)に並ぶ。ターミナル挿入孔41は、第1の角部45aに配置される。言い換えると、インバータ基板40の複数の角部45a,45b,・・・のうち、ターミナル挿入孔41が位置する角部が、第1の角部45aである。各ターミナル挿入孔41には、配線部材50の後述するターミナル51がそれぞれ挿入される。ターミナル51は、インバータ基板40に半田31で接合される。
【0093】
ネジ挿入孔42は、インバータ基板40をその板厚方向に貫通する。つまりネジ挿入孔42は、インバータ基板40を貫通する。ネジ挿入孔42は、インバータ基板40の平面視において、つまり軸方向から見て、支柱部12gの雌ネジ部と重なって配置される。ネジ挿入孔42は、インバータ基板40に複数設けられる。軸方向から見て、各ネジ挿入孔42は、各支柱部12gの雌ネジ部と重なって配置される。
【0094】
ネジ挿入孔42は、インバータ基板40の複数の角部45a,45b,・・・に配置される。複数のネジ挿入孔42のうち、少なくとも1つは、第1の角部45aに配置される。本実施形態では、第1の角部45aに2つのネジ挿入孔42が配置される。インバータ基板40の平面視において、第1の角部45aの2つのネジ挿入孔42同士の間には、ターミナル挿入孔41が配置される。ターミナル挿入孔41は、幅方向において、2つのネジ挿入孔42間に位置する。
【0095】
位置決め孔部43は、インバータ基板40をその板厚方向に貫通する。つまり位置決め孔部43は、インバータ基板40を軸方向に貫通する。本実施形態では、位置決め孔部43が、インバータ基板40に1つ設けられる。位置決め孔部43は、インバータ基板40の平面視において、インバータ基板40の角部に配置される。位置決め孔部43は、第1の角部45aに配置される。位置決め孔部43は、インバータ基板40の平面視において、ターミナル挿入孔41とインバータ基板40の外周端面との間に配置される。本実施形態では、位置決め孔部43が、幅方向において、ターミナル挿入孔41と、インバータ基板40の幅方向一方側を向く外周端面との間に配置される。
【0096】
位置決め孔部43は、インバータ基板40の平面視で、第1の角部45aの2つのネジ挿入孔42のうち、ターミナル挿入孔41よりも幅方向一方側に位置する1つのネジ挿入孔42と、突出方向に隙間をあけて対向する。つまりインバータ基板40の平面視で、第1の角部45aのネジ挿入孔42と、位置決め孔部43とは、隙間をあけて対向する。
【0097】
コイル接続領域40aは、複数のコイル29の端部29aがインバータ基板40に接続される領域である。本実施形態では、インバータ基板40の平面視において、コイル接続領域40aが、中心軸Jよりも幅方向他方側(-Y側)に配置される。発熱素子46は、コイル接続領域40aに複数配置される。具体的に、コイル接続領域40aには、例えばFET等の発熱素子が複数配置される。本実施形態によれば、インバータ基板40に接続される複数のコイル29の端部29aと、複数の発熱素子46とが接近して配置されるので、インバータ基板40の配線パターンを短くできる。そして、各発熱素子46を各熱伝導シート13cで個別に効率よく冷却することができる。
【0098】
ターミナル接続領域40bは、配線部材50の後述するターミナル51がインバータ基板40に接続される領域である。本実施形態では、インバータ基板40の平面視において、ターミナル接続領域40bが、中心軸Jよりも幅方向一方側(+Y側)かつ突出方向(+X側)に配置される。ターミナル接続領域40bは、第1の角部45aに位置する。発熱素子46は、ターミナル接続領域40bに少なくとも1つ配置される。本実施形態では、発熱素子46が、ターミナル接続領域40bに複数配置される。具体的に、ターミナル接続領域40bには、例えば逆接続保護用FETやLDO等の発熱素子が配置される。本実施形態によれば、インバータ基板40に接続されるターミナル51と、発熱素子46とが接近して配置されるので、インバータ基板40の配線パターンを短くできる。そして、発熱素子46を熱伝導シート13cで個別に効率よく冷却することができる。
【0099】
配線部材50は、コネクタ部17iを通して、第2部材17の外部と内部とにわたって延びる。つまり配線部材50は、ハウジング11の外部と内部とにわたって延びる。配線部材50は、図示しない外部電源と電気的に接続される。配線部材50は、インバータ基板40と電気的に接続される。本実施形態では、配線部材50が、金属製の細長い板状である。配線部材50は、バスバーと言い換えてもよい。配線部材50は、複数設けられる。
【0100】
配線部材50は、配線部材50の端部に位置するターミナル51を有する。ターミナル51は、各配線部材50にそれぞれ設けられる。つまりターミナル51は、複数設けられる。ターミナル51は、配線部材50の両端部のうち、ハウジング11の内部に配置される一方の端部に位置する。本実施形態では、配線部材50が単一の部材であり、ターミナル51は、配線部材50の一部を構成する。ターミナル51は、インバータハウジング部13の内部において、軸方向に延びる。ターミナル51は、インバータ基板40の平面視において、インバータ基板40の第1の角部45aに配置される。ターミナル51は、ターミナル挿入孔41に挿入される。ターミナル51は、半田31を用いてインバータ基板40と接続される。
【0101】
ネジ部材60は、複数設けられる。ネジ部材60は、ネジ挿入孔42に挿入される。ネジ部材60は、雄ネジ部を有する。ネジ挿入孔42に挿入されるネジ部材60の雄ネジ部は、支柱部12gの雌ネジ部にネジ止めされる。つまり、ネジ部材60は、ネジ挿入孔42に挿入されて、支柱部12gに固定される。ネジ部材60は、ハウジング11に対してインバータ基板40を固定する。
【0102】
複数のネジ部材60のうち、少なくとも2つのネジ部材60は、ターミナル接続領域40bに配置される。インバータ基板40の平面視において、2つのネジ部材60間に、ターミナル51が位置する。具体的には、幅方向において、2つのネジ部材60同士の間にターミナル51が配置される。本実施形態によれば、インバータ基板40とターミナル51との熱変形や振動等による相対移動を抑制でき、インバータ基板40とターミナル51とを固定する半田31の耐久性が高められる。
【0103】
コイルサポート80は、軸方向において、モータ20とインバータ基板40との間に位置する。つまりコイルサポート80は、モータ20とインバータ基板40との間に配置される。コイルサポート80は、モータ20とインバータ基板40との間において、コイル29の第1端部29aを支持する。コイルサポート80は、コイル29の第1端部29aをインバータ基板40に向けて軸方向に案内する。またコイルサポート80は、コイル29の第2端部29bを支持する。コイルサポート80は、後述する中性点バスバー81により、第2端部29bを支持する。コイルサポート80は、中性点バスバー81により、複数のコイル29の第2端部29b同士を電気的に接続させる。つまり中性点バスバー81は、複数のコイル29同士を電気的に接続する。
【0104】
コイルサポート80は、コイルサポート収容空間13bに収容される。コイルサポート収容空間13b、コイルサポート80およびベアリング36は、径方向から見て重なって配置される。本実施形態によれば、電動ポンプ装置1を軸方向により小型化できる。コイルサポート80は、有頂の2重筒状である。コイルサポート80は、内筒と、外筒と、天壁と、を有する。内筒は、軸方向に延びる円筒状である。外筒は、軸方向に延びる円筒状であり、内筒を径方向外側から囲う。天壁は、板面が軸方向を向く板状である。天壁は、略円環板状である。天壁の内周部は、内筒と接続される。天壁の外周部は、外筒と接続される。コイルサポート80は、軸方向から見て、ステータ26と重なって配置される。コイルサポート80は、軸方向から見て、複数のコイル29と重なって配置される。
【0105】
中性点バスバー81は、金属製である。コイルサポート80を射出成形する際、中性点バスバー81は、図示しない金型内に配置される。この金型内に溶融した樹脂を充填し固化することにより、コイルサポート80は、中性点バスバー81とともにインサート成形される。つまり、コイルサポート80は、樹脂製の部分を有する。
【0106】
中性点バスバー81は、コイル端保持部81aと、保持部連結バー81bと、を有する。コイル端保持部81aは、コイル29の第2端部29bを保持する。コイル端保持部81aは、軸方向から見て、V字状である。コイル端保持部81aは、複数設けられる。複数のコイル端保持部81aは、周方向に互いに間隔をあけて配置される。コイル端保持部81aは、径方向において、コイルサポート80の内筒と外筒との間に配置される。保持部連結バー81bは、コイルサポート80の内筒に埋め込まれる。保持部連結バー81bは、板面が軸方向を向く板状であり、周方向に延びる。保持部連結バー81bは、複数のコイル端保持部81aと接続される。保持部連結バー81bは、複数のコイル端保持部81a同士を電気的に接続する。
【0107】
コイルサポート80は、第1領域80aと、第2領域80bと、を有する。軸方向から見て、第1領域80aおよび第2領域80bは、それぞれ半円状の領域である(
図7参照)。第1領域80aは、コイル29の第1端部29aが配置される。第2領域80bは、コイル29の第2端部29bおよび中性点バスバー81が配置される。本実施形態によれば、コイルサポート80の第1領域80aに配置される第1端部29aが、インバータ基板40と直接接続される。すなわち、従来のように、コイルの端部とインバータ基板とを繋ぐバスバー部材が用いられないため、本実施形態によれば、モータ20とインバータ基板40とを軸方向により近づけて配置できる。したがって、電動ポンプ装置1を軸方向に小型化できる。また部品点数を減らすことができ、製造コストが削減される。
【0108】
コイルサポート80は、第1壁部85と、第2壁部86と、を有する。第1壁部85および第2壁部86は、それぞれ、コイルサポート80の天壁の一部を構成する。第1壁部85は、第1領域80aに配置される。第1壁部85は、板面が軸方向を向く。第1壁部85は、コイル端挿入孔85aと、延出筒部85bと、窓部85cと、を有する。
【0109】
コイル端挿入孔85aは、第1壁部85を軸方向に貫通する。コイル端挿入孔85aは、円孔状である。コイル端挿入孔85aには、第1端部29aが挿入される。コイル端挿入孔85aは、複数設けられる。複数のコイル端挿入孔85aは、第1壁部85において突出方向(X軸方向)に配列する。延出筒部85bは、第1壁部85の軸方向一方側を向く板面から軸方向一方側へ延びる筒状である。延出筒部85bは、内部がコイル端挿入孔85aの一部とされる。延出筒部85bは、複数設けられる。複数の延出筒部85bは、第1壁部85において突出方向に配列する。本実施形態では、互いに隣り合う一対の延出筒部85bは、各延出筒部85bの外周面の一部同士が互いに接続される。
【0110】
本実施形態によれば、延出筒部85bによってコイル端挿入孔85aを軸方向一方側に長くすることができる。このため、コイル端挿入孔85aが、インバータ基板40に対してコイル29の第1端部29aを、より近くまでガイドできる。したがって、第1端部29aがインバータ基板40に接続しやすい。また、コイル端挿入孔85aが第1端部29aを案内する軸方向の距離が長くなる分、第1端部29aの絶縁性を確保しやすい。また、延出筒部85bは、底壁部17aの筒部配置孔17mの内部に配置される。本実施形態によれば、電動ポンプ装置1を軸方向により小型化できる。
【0111】
窓部85cは、第1壁部85を軸方向に貫通する。窓部85cは、軸方向から見て、第1端部29aのうち第1壁部85の軸方向他方側に位置する引き回し部と重なる。引き回し部は、例えば第3延伸部29eである。窓部85cは、複数設けられる。複数の窓部85cのうち、少なくとも1つは、複数のコイル29の各引き回し部同士が、軸方向から見て、窓部85c内において互いに重なる。本実施形態によれば、第1壁部85の軸方向他方側に引き回される第1端部29aの引き回し部を、窓部85cを通して視認できる。このため、第1端部29aを安定して引き回せる。
【0112】
第2壁部86は、第2領域80bに配置される。第2壁部86は、板面が軸方向を向く。第2壁部86は、コイル端引き出し孔86aを有する。コイル端引き出し孔86aは、第2壁部86を軸方向に貫通する。コイル端引き出し孔86aには、第2端部29bが通される。つまり第2端部29bは、コイル端引き出し孔86aを通して、軸方向一方側に引き出される。コイル端引き出し孔86aは、複数設けられる。複数のコイル端引き出し孔86aは、周方向に互いに間隔をあけて配置される。軸方向から見て、コイル端引き出し孔86aとコイル端保持部81aとは、互いに重なる。第2壁部86は、コイル端保持部81aよりも軸方向他方側に位置する。
【0113】
第1壁部85の軸方向位置は、第2壁部86の軸方向位置よりも、軸方向一方側である。本実施形態では、第1壁部85がコイル端挿入孔85aおよび延出筒部85bによって第1端部29aを支持する。第1壁部85が第2壁部86よりも軸方向においてインバータ基板40に接近して配置されるので、第1壁部85が支持する第1端部29aを、インバータ基板40に安定して接続できる。
【0114】
中性点バスバー81と第2端部29bとの接続部分、つまりコイル端保持部81aが、第1壁部85の軸方向一方側を向く板面よりも軸方向他方側に配置され、かつ、第2壁部86の軸方向一方側を向く板面よりも軸方向一方側に配置される。本実施形態によれば、コイルサポート80を軸方向に小型化でき、電動ポンプ装置1を軸方向に小型化できる。
【0115】
ポンプ部90は、モータ20の動力により駆動される。ポンプ部90は、オイル等の流体を吸入し、吐出する。ポンプ部90は、モータ20の軸方向他方側に配置される。ポンプ部90は、電動ポンプ装置1の軸方向他方側の部分に位置する。特に図示しないが、ポンプ部90は、車両の駆動装置等に設けられるオイル等の流体の流路と繋がる。このため、電動ポンプ装置1においてポンプ部90が位置する軸方向他方側の部分は、車両の部材に固定される。
【0116】
本実施形態では、ポンプ部90が、トロコイドポンプ構造を有する。ポンプ部90は、インナーロータ91と、アウターロータ92と、を有する。インナーロータ91およびアウターロータ92は、それぞれトロコイド歯形を有する。インナーロータ91は、シャフト22の軸方向他方側の端部に固定される。なお、インナーロータ91とシャフト22とは、中心軸J回りの相対的な回動が、所定範囲において許容されてもよい。アウターロータ92は、インナーロータ91の径方向外側に配置される。アウターロータ92は、インナーロータ91を径方向外側から、周方向の全周にわたって囲う。
【0117】
ポンプカバー95は、モータハウジング部12の軸方向他方側の端部に固定されて、ポンプ部90を軸方向他方側から覆う。つまりポンプカバー95は、ハウジング11に固定されてポンプ部90を覆う。ポンプカバー95は、図示しない車両の部材と固定される。ポンプカバー95の軸方向他方側を向く面が、車両の部材と接触する。ポンプカバー95は、カバー部96と、脚部97と、を有する。
【0118】
カバー部96は、軸方向から見てポンプ部90と重なって配置され、ポンプ部90を軸方向他方側から覆う。つまりカバー部96は、ポンプ部90を覆う。カバー部96は、流入口96aと、流出口96bと、を有する。流入口96aおよび流出口96bは、それぞれポンプ部90と繋がる。流入口96aは、カバー部96を軸方向に貫通する貫通孔により構成される。流入口96aは、ポンプ部90に流体を流入させる。すなわち、ポンプ部90は、流入口96aを通して装置外部から流体を吸入する。流出口96bは、カバー部96を軸方向に貫通する貫通孔により構成される。流出口96bは、ポンプ部90から流体を流出させる。すなわち、ポンプ部90は、流出口96bを通して装置外部に流体を吐出する。本実施形態では、軸方向から見て、流入口96aと流出口96bとが、突出方向に並ぶ。
【0119】
軸方向から見て、流入口96aから流出口96bに向かう方向を流体送り方向とする。ブリーザ部14は、軸方向から見て、中心軸Jよりも流体送り方向に配置される(
図2参照)。本実施形態では、流体送り方向が+X側であり、突出方向と同一の方向である。したがって、突出方向(+X側)を、流体送り方向と言い換えてもよく、突出方向と反対側(-X側)を、流体送り方向と反対側と言い換えてもよい。電動ポンプ装置1が車両に搭載される際、流入口96aは、例えば流体のエア噛み等が生じないように、流体の液面よりも鉛直方向の下側に配置される。流出口96bは、流入口96aよりも鉛直方向の上側に配置される。つまり、流体送り方向は、鉛直方向の上側を含む方向となる。本実施形態によれば、ブリーザ部14が、電動ポンプ装置1の中心よりも鉛直方向の上側に配置されるので、ブリーザ部14の水没を抑制できる。また、ハウジング11内の熱い空気を、ブリーザ部14を通して装置外部に逃がしやすくできる。
【0120】
脚部97は、カバー部96に接続され、カバー部96の径方向外側に配置される。脚部97は、収容筒部12aよりも径方向外側に突出する。脚部97は、周方向に並んで複数設けられる。ブリーザ部14は、軸方向から見て、周方向に隣り合う一対の脚部97同士の間に配置される。各脚部97の径方向外端部には、それぞれボルト挿入孔97aが設けられる。ボルト挿入孔97aは、脚部97を軸方向に貫通する。ボルト挿入孔97aに挿入される不図示のボルト部材を用いて、電動ポンプ装置1が車両の部材に固定される。
【0121】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0122】
前述の実施形態では、中心軸Jに垂直な図示しない仮想の平面に沿う方向において、突出方向および幅方向を規定したが、これに限らない。例えば、コネクタ部17iが周壁部17bから突出する方向とは関係なく、突出方向と平行な方向を「第1方向」と言い換えてもよい。つまり第1方向は、中心軸Jに垂直な仮想の平面に沿う方向のうち、所定の方向である。この場合、第1方向の一方側(+X側)が突出方向に相当し、第1方向の他方側(-X側)が突出方向と反対側に相当する。また、幅方向を「第2方向」と言い換えてもよい。つまり第2方向は、中心軸Jに垂直な仮想の平面に沿う方向のうち、第1方向と直交する方向である。この場合、第2方向の一方側(+Y側)が幅方向一方側に相当し、第2方向の他方側(-Y側)が幅方向他方側に相当する。流体送り方向についても同様に、「第1方向」と言い換えてもよい。
【0123】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0124】
1…電動ポンプ装置、11…ハウジング、12…モータハウジング部、13…インバータハウジング部、13c…熱伝導シート、16…第1部材、17…第2部材、17c…ベアリングホルダ、17j…ボス部、20…モータ、21…ロータ、22…シャフト、26…ステータ、29…コイル、29a…端部、35,36…ベアリング、40…インバータ基板、40a…コイル接続領域、40b…ターミナル接続領域、46…発熱素子、50…配線部材、51…ターミナル、60…ネジ部材、90…ポンプ部、J…中心軸