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特許7547709メディアコンテンツにおけるオブジェクトの選択的難読化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】メディアコンテンツにおけるオブジェクトの選択的難読化
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2347 20110101AFI20240903BHJP
   G06F 16/9038 20190101ALI20240903BHJP
【FI】
H04N21/2347
G06F16/9038
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023572762
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 US2022029288
(87)【国際公開番号】W WO2022250986
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】17/328,804
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523443032
【氏名又は名称】ゲタック テクノロジー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】GETAC TECHNOLOGY CORPORATION
【住所又は居所原語表記】5F., Building A, No.209, Sec.1, Nangang Rd., Nangang Dist., Taipei City, 11568 Taiwan
(73)【特許権者】
【識別番号】523443043
【氏名又は名称】ダブリュエイチピー ワークフロー ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WHP WORKFLOW SOLUTIONS, INC.
【住所又は居所原語表記】6543A Fain Street, North Charleston, South Carolina 29406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ガジック,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アディール,ムハマド
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-016134(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0268240(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0373210(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0392194(US,A1)
【文献】国際公開第2019/176236(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108848382(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112887799(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 -21/858
G06F 16/00 -16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データソースから、複数のオブジェクトの描写を含むメディアデータを受信することと、
前記メディアデータ内で、前記メディアデータに関連付けられたオブジェクトのセットを識別することと、
前記メディアデータ内の前記オブジェクトのセット内の前記オブジェクトの時間に関する1つまたは複数の位置の表示を記憶することと、
要求エンティティから前記メディアデータについての要求を受信することと、
難読化規則を介して、前記要求が受信された前記要求エンティティの役割に少なくとも部分的に基づいて、前記メディアデータから自動的に難読化されるべき少なくとも1つの特定のオブジェクトを決定することと、
前記少なくとも1つの特定のオブジェクトに対応する前記メディアデータ内の前記時間に関する前記1つまたは複数の位置のうちの少なくとも1つの位置に難読化効果を適用することによって前記メディアデータを更新することと、
前記要求に応答して前記更新されたメディアデータを提供することと、を含む方法。
【請求項2】
前記メディアデータが、オーディオデータ、ビデオデータ、または画像データのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オブジェクトのセット内の前記オブジェクトの1つまたは複数の位置の前記表示が、画像内のピクセルの表示を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記オブジェクトのセット内の前記オブジェクトの1つまたは複数の位置の前記表示が、水平座標および垂直座標を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記オブジェクトのセット内の前記オブジェクトの1つまたは複数の位置の前記表示がタイムスタンプに関連付けられる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記オブジェクトのセット内の前記オブジェクトの1つまたは複数の位置の前記表示がビデオフレームに関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記データソースは、ストリートカメラ、身体装着型カメラ、または車載カメラのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法。、
【請求項8】
前記オブジェクトのセット内の前記オブジェクトの各々について、追加的な難読化効果を適用するかどうかを決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記難読化効果を前記オブジェクトのセット内のオブジェクトに適用するかどうかを決定することは、前記メディアデータに関する前記オブジェクトの役割に少なくとも部分的に基づく、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
コンピューティングデバイスであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されると、前記コンピューティングデバイスに、少なくとも、
データソースから、複数のオブジェクトの描写を含むメディアデータを受信させ、
前記メディアデータ内で、前記メディアデータに関連付けられたオブジェクトのセットを識別させ、
前記メディアデータ内の前記オブジェクトのセット内の前記オブジェクトの時間に関する1つまたは複数の位置の表示を記憶させ、
要求エンティティから前記メディアデータについての要求を受信させ、
難読化規則を介して、前記要求が受信された前記要求エンティティの役割に少なくとも部分的に基づいて、前記メディアデータから自動的に難読化されるべき少なくとも1つの特定のオブジェクトを決定させ、
前記少なくとも1つの特定のオブジェクトに対応する前記メディアデータ内の前記時間に関する前記1つまたは複数の位置のうちの少なくとも1つの位置に難読化効果を適用することによって前記メディアデータを更新させ、
前記要求に応答して前記更新されたメディアデータを提供させる命令を含むメモリと、を備える、コンピューティングデバイス。
【請求項11】
前記要求はイベントを指定し、前記メディアデータは前記イベントに関連付けられると判定される、請求項10に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項12】
前記イベントは、緊急事態管理組織の要求である、請求項11に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記オブジェクトのセットは、個人を特定可能な情報を有する人またはアイテムのセットを含む、請求項10に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記要求に応答して前記更新されたメディアデータを提供することは、ダウンロードのためにデータファイルのセットを提供することを含む、請求項10に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項15】
前記要求に応答して前記更新されたメディアデータを提供することは、メディアのセットのメモリ内の位置へのリンクを提供することを含む、請求項10に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項16】
前記要求は、緊急事態管理組織の要求に関連付けられたイベントに関する、請求項10に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項17】
非一時的コンピュータ可読媒体であって、
実行時に、1つまたは複数のコンピューティングデバイスに、
データソースから、複数のオブジェクトの描写を含むメディアデータを受信することと、
前記メディアデータ内で、前記メディアデータに関連付けられたオブジェクトのセットを識別することと、
前記メディアデータ内の前記オブジェクトのセット内の前記オブジェクトの時間に関する1つまたは複数の位置の表示を記憶することと、
要求エンティティから前記メディアデータについての要求を受信することと、
難読化規則を介して、前記要求が受信された前記要求エンティティの役割に少なくとも部分的に基づいて、前記メディアデータから自動的に難読化されるべき少なくとも1つの特定のオブジェクトを決定することと、
前記少なくとも1つの特定のオブジェクトに対応する前記メディアデータ内の前記時間に関する前記1つまたは複数の位置のうちの少なくとも1つの位置に難読化効果を適用することによってメディアデータを更新することと、
前記要求に応答して前記更新されたメディアデータを提供することと、
を含む行為を集合的に実行させるコンピュータ実行可能命令を集合的に記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記オブジェクトのセット内の前記オブジェクトの1つまたは複数の位置の前記表示が、画像内のピクセルの表示または水平座標および垂直座標のうちの1つを備える、請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記オブジェクトのセット内の前記オブジェクトの1つまたは複数の位置の前記表示が、タイムスタンプまたはビデオフレームのうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディアコンテンツにおけるオブジェクトの選択的難読化に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの事件が、法執行官のための記録保持の増加の必要性を強調している。この必要性は、証拠収集に関係するだけでなく、法執行官による潜在的な悪用から公衆を保護すること、及び悪用の虚偽の告発から法執行官を保護することにも関係する。法執行機関は、責任を減らし証拠を文書化する手段として、パトロール車両カメラ及びボディマウントカメラなどの様々なカメラ装置を以前から使用してきた。
【0003】
情報公開法(FOIA)は、ユーザが政府機関から情報を要求することを可能にする連邦法である。類似の法律がいくつかの州で実施されている。FOIA要求を法執行機関が受け取ると、そのような要求は、特定のイベントに関連するすべての情報を必要とすることがある。しかしながら、このような要求に応えるには、法執行機関および他の組織は、個人のプライバシーを管理する様々な法令に依然として従わなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メディアコンテンツ(たとえば、画像またはビデオ)内で識別された1つまたは複数のオブジェクトの自動難読化を提供するための技法が本明細書で提供される。そのような技法は、いくつかのデータソース(たとえば、公共カメラ、法執行機関によって利用される身体装着型カメラ、車載カメラなど)から受信されたメディアデータ(たとえば、オーディオデータ、ビデオデータ、静止画像など)に対して実行され得て、そのメディアデータ内のオブジェクトを自動的に難読化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、メディア難読化プラットフォームによって実行される方法が開示され、この方法は、データソースから、複数のオブジェクトの描写を含むメディアデータを受信することと、メディアデータ内で、メディアデータに関連付けられたオブジェクトのセットを識別することと、メディアデータ内のオブジェクトのセット内のオブジェクトの時間に対する1つまたは複数の位置の表示を記憶することと、メディアデータの要求を受信することと、難読化効果を時間に対する1つまたは複数の位置に適用することによってメディアデータを更新することと、要求に応答して更新されたメディアデータを提供することとを含む。
【0006】
一実施形態は、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、コンピューティングデバイスに、データソースから、いくつかのオブジェクトの描写を含むメディアデータを受信させ、メディアデータ内で、メディアデータに関連付けられたオブジェクトのセットを識別させ、メディアデータ内のオブジェクトのセット内のオブジェクトの時間に関する1つまたは複数の位置の表示を記憶させ、メディアデータについての要求を受信させ、難読化効果を時間に関する1つまたは複数の位置に適用することによってメディアデータを更新させ、要求に応答して更新されたメディアデータを提供させる命令を含むメモリとを備えるコンピューティングデバイスを対象とする。
【0007】
一実施形態は、実行時に、1つまたは複数のコンピューティングデバイスに、データソースから、いくつかのオブジェクトの描写を含むメディアデータを受信することと、メディアデータ内で、メディアデータに関連付けられたオブジェクトのセットを識別することと、メディアデータ内のオブジェクトのセット内のオブジェクトの時間に関する1つまたは複数の位置の表示を記憶することと、メディアデータについての要求を受信することと、難読化効果を時間に関する1つまたは複数の位置に適用することによってメディアデータを更新することと、要求に応答して更新されたメディアデータを提供することとを含む行為を実行させるコンピュータ実行可能命令を集合的に記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を対象とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の実施形態は、従来の技術に対していくつかの利点を提供する。例えば、提案されたシステムの実施形態は、メディアデータ内のオブジェクトの自動難読化を提供する。メディアコンテンツ内のオブジェクトの手動難読化(例えば、管理者による)が実行されるシステムは、リソースの観点から非常に高価であり、難読化される各メディアデータの広範なレビューを必要とする可能性がある。これは、メディアデータが長く、数回レビューする必要がある場合に特に当てはまる。本システムの実施形態は、この要件を取り除き、貴重なリソースを解放する。
【0009】
上記は、他の特徴および実施形態とともに、以下の明細書、特許請求の範囲、および添付の図面を参照することでより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
詳細な説明は、添付の図面を参照して説明され、図面において、参照番号の左端の数字は、その参照番号が最初に現れる図面を識別する。異なる図における同じ参照番号の使用は、類似または同一の項目を示す。
【0011】
図1】少なくともいくつかの実施形態によるメディアコンテンツ内のオブジェクトの自動難読化を提供するように構成されたコンピューティング環境を示す図である。
図2】いくつかの実施形態によるメディアデータ内のオブジェクトの難読化をサポートするコンピューティングシステムアーキテクチャの様々なコンポーネントを示すブロック図である。
図3】実施形態によるメディアデータをイベントと相関させるための例示的なプロセスフローを示すブロック図である。
図4】少なくともいくつかの実施形態によるメディアデータに関して維持され得るオブジェクトのリストの例を示す図である。
図5】少なくともいくつかの実施形態によるメディアデータへのオブジェクトのマッピングの例を示す図である。
図6】少なくともいくつかの実施形態による実装され得るグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の種々の要素の例を示す図である。
図7】実施形態によるメディアデータ内のオブジェクトを自動的に識別し難読化するための例示的なプロセスフローを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、説明の目的で、特定の実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な詳細が記載される。しかしながら、これらの具体的な詳細なしに様々な実施形態が実施され得ることは明らかであろう。図面および説明は、限定することを意図していない。「例示的」という語は本明細書では「例、事例、または例示として機能する」と意味するものとして使用される。「例示的」として本明細書で説明される任意の実施形態または設計は、必ずしも他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。
【0013】
本明細書では、メディアデータ内のオブジェクトを自動的に識別し、難読化するために使用され得る技法について説明する。そのような技法は、いくつかの外部データソースから受信された様々なタイプのメディアデータに適用され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の物体認識技法を使用して、メディアデータ内に示されたオブジェクトを識別し、追跡することができる。識別されたオブジェクトに関する情報(例えば、時間および対応する位置)は、特定のメディアデータに関して記憶されてもよい。
【0014】
(たとえば、FOIA要求を介して)メディアデータについての情報提供依頼書を受信すると、難読化プロセスが実行され得る。これを行うために、どのオブジェクトが難読化されるべきか、およびどのオブジェクトが難読化されないまま、すなわち平文のままであるべきかについての決定が行われ得る。いくつかの実施形態では、そのような決定は、要求エンティティの役割、(メディアデータまたはイベントに関する)オブジェクトの役割、メディアデータに関連付けられた地理的位置、または任意の他の好適な要因に基づいて行われ得る。難読化を必要とすると判定された各オブジェクトについて、そのオブジェクトがメディアデータ内に示される時間および位置に難読化効果が適用されてもよい。
【0015】
難読化効果がメディアデータに適用されると、難読化効果が除去されるのを防ぐために、メディアデータが(たとえば、コーデックを使用して)符号化され得る。難読化されたメディアデータは、受信した要求に応じて要求側エンティティに提供されてもよい。
【0016】
図1は、少なくともいくつかの実施形態に従って、メディアコンテンツ内のオブジェクトの自動化された難読化を提供するように構成されたコンピューティング環境を示す。図1に示されるコンピューティング環境において、メディア難読化プラットフォーム102は、1つ以上の独立したデータソース106、および1つ以上のサードパーティデバイス108などの、いくつかの電子デバイスコンポーネントと通信するように示されている。
【0017】
メディア難読化プラットフォーム102は、本明細書に記載された動作の少なくとも一部を実行するように構成された任意のコンピューティングデバイスを含み得る。メディア難読化プラットフォーム102は、1つ以上の汎用コンピュータ、専用サーバコンピュータ(例として、PC(パーソナルコンピュータ)サーバ、UNIXTMサーバ、ミッドレンジサーバ、メインフレームコンピュータ、ラックマウントサーバ等を含む)、サーバファーム、サーバクラスタ、または任意の他の適切な構成および/もしくは組み合わせから構成され得る。サービスプロバイダコンピュータ108は、仮想オペレーティングシステムを実行する1つ以上の仮想マシン、またはコンピュータのための仮想記憶デバイスを維持するために仮想化され得る論理記憶デバイスの1つ以上のフレキシブルプール等の仮想化を伴う他のコンピューティングアーキテクチャを含むことができる。
【0018】
メディア難読化プラットフォーム102は、メディアコンテンツ内で識別されたオブジェクトを識別し難読化することができるオブジェクト難読化エンジン110、ならびにメディアデータに対する要求を受信し応答することができる要求処理エンジン112を含む、いくつかのコンポーネントを維持することができる。いくつかの実施形態では、オブジェクト難読化エンジン110は、1つ以上の識別されたオブジェクトおよび対応するメディア(例えば、オブジェクト/メディアデータ114)に関連する情報のデータベースへのアクセスを維持し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、オブジェクト難読化エンジン110は、1つ以上の物体認識技術を使用して、ビデオまたは画像内に描写された複数のオブジェクトを識別するように構成され得る。オブジェクト難読化エンジン110は、次いで、識別されたオブジェクトのうちのどれがメディアデータ内で難読化されるべきか、または難読化されるべきでないかを決定する。いくつかの実施形態では、そのような決定は、要求が受信されたエンティティの識別に基づいて行われてもよい。メディアデータ内に示された特定のオブジェクトを難読化する決定が行われると、オブジェクトは、メディアデータ内で時間に関して追跡され得る。1つまたは複数の難読化技法(たとえば、ぼかし)が、追跡されるオブジェクトを難読化するために使用され得る。
【0020】
データソース106は、人および/または車両の周囲に関する情報を記録するために使用されることが可能な任意の適切な電子デバイスを備え得る。いくつかの場合において、記録装置は、車両内に搭載されたカメラであってもよい。場合によっては、記録装置は、人に装着されるか、又はそうでなければ人に取り付けられるか若しくは固定されることが可能な装置であってもよい。データソース106は、マイクロフォンまたはカメラなどの少なくとも1つの入力デバイスと、記録デバイスが位置する環境に関するデータを取得することが可能ないくつかのセンサとを含み得る。いくつかの例では、そのようなデータソースは、ウェアラブル記録デバイス、車両搭載記録デバイス、プライベートセキュリティネットワークデバイス、パブリックネットワークカメラ、または任意の他の適切なデータ収集デバイスを含み得る。データソース106の各々は、画像、音声、および/またはビデオなどの様々なメディア情報を収集するように構成され得る。いくつかの実施形態では、データソースのうちの1つ以上は、メディア難読化プラットフォーム102と提携していないエンティティによって操作されてもよい。いくつかの実施形態では、データソースは、温度センサ、リアルタイムクロック(RTC)、慣性測定ユニット(IMU)、または任意の他の好適なセンサを含む、いくつかのセンサを有してもよい。IMUは、加速度計、ジャイロスコープ、および磁力計の組み合わせを使用して、身体の特定の力、角速度、および時には身体の向きを測定し、報告する任意の電子デバイスであってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、コンピューティング環境は、1つまたは複数のサードパーティコンピューティングデバイス108と通信していることがある。サードパーティコンピューティングデバイスは、メディア難読化プラットフォームと提携していないエンティティのために動作されるコンピューティングデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、サードパーティコンピューティングデバイスは、イベントに関連するメディアデータを求める要求118をメディア難読化プラットフォームに提出し得る。いくつかの実施形態では、そのような要求は、情報アクセス権を付与する法律または法的要件(例えば、情報の自由法)に準拠する要求であってもよい。そのようなイベントに関連するメディアデータを求める要求をサードパーティコンピューティングデバイスから受信すると、メディア難読化プラットフォームは、任意の関連するメディアデータを識別し、メディアデータ内に示される1つまたは複数のオブジェクトを難読化し、そのようなメディアデータ120を、そのイベントデータへのアクセスを有するサードパーティデバイスに提供し得る。
【0022】
コンピューティング環境のコンポーネントのうちの1つまたは複数の間の対話を示す目的で、ビデオデータ(すなわち、メディアデータ)が、ストリートカメラまたは警察官の身体装着型カメラなどの1つまたは複数のデータソースから受信される例を考える。ビデオデータは、緊急事態管理組織に対して提出された要求に関連して生成されたイベントなどのイベントに関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、メディア難読化プラットフォームは、物体認識技術を使用して、ビデオ内で検出されたオブジェクトを識別し、分類し得る。その後の日付/時刻に、イベントに関連する情報を求める要求を受信することができる。そのような要求は、メディア難読化プラットフォームと提携していない第三者エンティティから受信され得る。要求を受信すると、メディア難読化プラットフォームは、ビデオ内の1つ以上のオブジェクトを不明瞭化し、不明瞭化されたビデオを再エンコードし得る。次いで、不明瞭にされたオブジェクトを有するビデオが、要求が受信されたエンティティに提供される。
【0023】
明確にするために、図1には、いくつかの構成要素が示されている。しかしながら、本開示の実施形態は、各構成要素を2つ以上含んでもよいことが理解される。加えて、本開示のいくつかの実施形態は、図1に示される構成要素の全てよりも少ないまたは多い構成要素を含み得る。加えて、図1の構成要素は、任意の適切な通信プロトコル接続を使用して、任意の適切な通信媒体(インターネットを含む)を介して通信することができる。
【0024】
図2は、いくつかの実施形態に係る、メディアデータ内のオブジェクトの難読化をサポートするコンピューティングシステムアーキテクチャの様々なコンポーネントを示すブロック図である。システムアーキテクチャ200は、1つ以上のコンピューティングデバイスを備えるメディア難読化プラットフォーム102を含み得る。メディア難読化プラットフォーム102は、通信インターフェース202、1つ以上のプロセッサ204、メモリ206、及びハードウェア208を含んでよい。通信インターフェース202は、メディア難読化プラットフォーム102が他のネットワーク化されたデバイスにデータを送信し、他のネットワーク化されたデバイスからデータを受信することを可能にする無線および/または有線通信コンポーネントを含み得る。ハードウェア208は、追加のユーザインターフェース、データ通信、またはデータ記憶ハードウェアを含み得る。例えば、ユーザインターフェースは、データ出力デバイス(例えば、視覚ディスプレイ、オーディオスピーカ)、および1つ以上のデータ入力デバイスを含み得る。データ入力デバイスは、キーパッド、キーボード、マウスデバイス、ジェスチャを受け入れるタッチスクリーン、マイクロフォン、音声またはスピーチ認識デバイス、および任意の他の適切なデバイスのうちの1つまたは複数の組合せを含み得るが、それらに限定されない。
【0025】
メディア難読化プラットフォーム102は、本明細書に記載された動作の少なくとも一部を実行するように構成された任意のコンピューティングデバイスまたはコンピューティングデバイスの組み合わせを含み得る。メディア難読化プラットフォーム102は、1つ以上の汎用コンピュータ、専用サーバコンピュータ(例として、PC(パーソナルコンピュータ)サーバ、UNIX(登録商標)サーバ、ミッドレンジサーバ、メインフレームコンピュータ、ラックマウントサーバ等を含む)、サーバファーム、サーバクラスタ、または任意の他の適切な構成および/もしくは組み合わせから構成され得る。メディア難読化プラットフォーム102は、仮想オペレーティングシステムを実行する1つ以上の仮想マシン、またはコンピュータのための仮想記憶デバイスを維持するために仮想化され得る論理記憶デバイスの1つ以上のフレキシブルプールなどの仮想化を伴う他のコンピューティングアーキテクチャを含み得る。例えば、メディア難読化プラットフォーム102は、クラウド内でホストされる仮想マシンまたはソフトウェアコンテナの形態の仮想コンピューティングデバイスを含み得る。
【0026】
メモリ206は、コンピュータ記憶媒体などのコンピュータ可読媒体を使用して実装され得る。コンピュータ可読媒体は、少なくとも2つのタイプのコンピュータ可読媒体、すなわちコンピュータ記憶媒体および通信媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実装された揮発性および不揮発性、取外し可能および取外し不能媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、DRAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、または他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、または他の磁気記憶デバイス、あるいはコンピューティングデバイスによるアクセスのために情報を記憶するために使用され得る任意の他の非伝送媒体を含むが、これらに限定されない。対照的に、通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータを、搬送波などの変調されたデータ信号、または他の送信機構で具現化し得る。
【0027】
メディア難読化プラットフォーム102の1つ以上のプロセッサ204およびメモリ206は、1つ以上のソフトウェアモジュールおよびデータストアからの機能を実装してもよい。そのようなソフトウェアモジュールは、特定のタスクを実行するか、または特定のデータタイプを実装するためにプロセッサ204によって実行されるルーチン、プログラム命令、オブジェクト、および/またはデータ構造を含み得る。メモリ206は、メディアデータ内のオブジェクトを識別し、追跡し、難読化するためのモジュール(例えば、オブジェクト難読化エンジン110)、ならびに要求を受信し、それに応答するためのモジュール(例えば、要求処理エンジン112)を少なくとも含み得る。さらに、メモリ206は、いくつかのデータベーステーブルまたは他のデータ記憶スキーマを含むデータストア210をさらに含み得る。データストア210は、少なくとも、様々なデータソースから受信されたメディアデータ(メディアデータ212)のデータベースと、メディアデータに関して検出されたオブジェクトのデータベースとを含み得る。
【0028】
オブジェクト難読化エンジン110は、プロセッサ204と連携して、メディアファイル(例えば、ビデオファイル)内に示された1つ以上のオブジェクトを識別するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、メディアファイル内のオブジェクトの位置が時間に関して示され得るという点で、識別されたオブジェクトは分類および/または追跡され得る。例えば、複数のオブジェクトが、特定のメディアファイル内に示されているものとして識別されてもよい。この例では、識別子は、各オブジェクト、ならびにそれぞれのオブジェクトが対応する一連の時間に示される一連の位置(たとえば、グラフィカルユーザインターフェースプレゼンテーション内の)の表示について記憶され得る。そのような実施形態では、オブジェクトは、顔認識アルゴリズム、パターン認識アルゴリズム、テンプレートマッチングアルゴリズム、および/またはその他などの1つまたは複数の物体認識アルゴリズムを使用して識別され得る。いくつかの例では、物体認識アルゴリズムは、機械学習モデルの使用を実装してもよい。さらに、識別されたオブジェクトは、ビデオ追跡アルゴリズムを使用してビデオデータの複数のビデオフレームにわたって追跡され得る。例えば、ビデオ追跡アルゴリズムは、ビデオフレームの類似性尺度の最大化に基づいて反復的な位置特定手順を実行するカーネルベースの追跡機能を含むことができる。代替的に、または同時に、ビデオ追跡アルゴリズムは、オブジェクト輪郭境界を検出し、以前のビデオフレームから現在のビデオフレーム中のそれの新しい位置に初期輪郭を反復的に発展させる輪郭追跡機能を含み得る。
【0029】
要求処理エンジン112は、プロセッサ204と連携して、サードパーティコンピューティングデバイスから受信された要求に応答するように構成され得る。いくつかの実施形態では、要求処理エンジンは、メディアに関連付けられた1人または複数の個人のプライバシーを保護するために難読化されたメディアデータを取り出すことができる。いくつかの場合において、要求処理エンジン112は、メディアデータに対して追加の処理を実行するように構成され得る。例えば、特定のイベントに関連するメディアデータの要求に応答する前に、要求処理エンジン112は、ビデオファイル内の無実の(または少なくとも関連しない)パーティの画像を難読化するために、オブジェクト難読化エンジン110を呼び出すように構成され得る。いくつかの実施形態では、要求処理エンジン112は、任意の難読化されたメディアデータの別個のコピーを含むデータファイルを要求エンティティに提供してもよい。他の実施形態では、要求処理エンジン112は、要求エンティティが難読化メディアデータにアクセスするために使用することができるリンク(または他の適切な位置参照)を要求エンティティに提供してもよい。
【0030】
通信インターフェース202は、メディア難読化プラットフォームが、インターネットなどのネットワークを介して、いくつかの他の電子デバイス(例えば、データソース106)にデータを送信または受信することを可能にする無線および/または有線通信コンポーネントを含み得る。そのような通信インターフェース202は、有線通信機構とワイヤレス通信機構の両方へのアクセスを含み得る。いくつかの場合において、メディア難読化プラットフォームは、モバイル通信規格(例えば、ロングタームエボリューション(LTE))を使用するデータ通信チャネルなどの長距離通信チャネルを介して、他の電子デバイスにデータを送信する。
【0031】
図3は、実施形態に従ってメディアデータをイベントと相関させるための例示的なプロセスフローを示すブロック図を示す。プロセス300は、図1に関して説明されたアーキテクチャ100の様々なコンポーネント間の対話を含む。より具体的には、プロセス300は、少なくともメディア難読化プラットフォーム102、少なくとも1つのデータソース106、および1つ以上のサードパーティデバイス108の間の対話を含む。
【0032】
プロセス300の302において、メディアデータが1つまたは複数のデータソースから受信される。そのようなデータソースは、ストリートカメラ、身体装着型記録デバイス、車両装着型カメラ、またはメディア難読化プラットフォームと通信する任意の他の適切な記録デバイスを含み得る。受信されたメディアデータは、ビデオ、画像、および/または音声データを含み得る。
【0033】
プロセス300の304において、1つまたは複数のオブジェクトが、メディアデータ内に示されているものとして識別され得る。いくつかの実施形態では、これは、メディアデータ内に描写されるオブジェクトを識別および分類するための1つ以上の物体認識技法の使用を伴ってもよい。いくつかの場合において、オブジェクトは、オブジェクトの広いカテゴリに属するものとして分類され得る。場合によっては、オブジェクトは、特定のオブジェクトであるとして分類され得る。例示として、いくつかの場合には、オブジェクトは、人物であると識別され得るが、他の場合には、オブジェクトは、(たとえば、顔認識を使用して)特定の人物であると識別され得る。いくつかの実施形態では、訓練された機械学習モデルを使用して、物体認識を実行することができる。これらの実施形態の少なくともいくつかにおいて、第1の訓練された機械学習モデルは、オブジェクトが属する広いカテゴリを決定するために使用されてもよく、第2の訓練された機械学習モデルは、広いカテゴリ内のオブジェクトの特定のタイプ/アイデンティティを決定するために使用されてもよい。
【0034】
プロセス300の306において、1つまたは複数の識別されたオブジェクトは、メディアデータ全体にわたって追跡され得る。例えば、メディアデータ内で識別された各オブジェクトについて、そのオブジェクトに関連付けられた一連の位置および時間が記憶され得る。この例では、一連の位置および時間の各々は、ビデオ内のフレームに対応し得る(メディアデータがビデオである場合)。メディアデータが静止画像である場合などのいくつかの実施形態では、オブジェクトは、メディアデータ内の単一の位置に関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、識別されたオブジェクトのそれぞれは、メディアデータに関連して記憶された情報に基づいて役割を割り当てられる。例えば、犯された犯罪に関連するビデオには、多数の人々が描写され得る。この例における犯罪に関して、人々のうちの何人かは、傍観者としての役割を割り当てられ得、人々のうちの何人かは、被害者としての役割を割り当てられ得、人々のうちの何人かは、容疑者としての役割を割り当てられ得る。
【0035】
プロセス300の308において、302においてメディアデータを受信した後のある時点で、特定のオブジェクト(たとえば、特定の人物)に関係するか、または特定のイベントもしくはインシデントに関係する情報についての要求が受信され得る。要求を受信すると、要求は、受信された要求のタイプおよび/または要求が受信されたエンティティのロール(例えば、レポータ、検察官、防衛代理人等)に基づいて分類され得る。そのような要求を受信すると、その要求に関連付けられた1つまたは複数のメディアデータがデータストアから取り出され得る。
【0036】
プロセス300の310において、1つ以上の難読化規則が決定され得る。いくつかの実施形態では、そのような難読化規則は、(例えば、308でのメディアの要求を介して)ユーザから受信され得る。例えば、ユーザには、メディアデータ内で識別されたオブジェクトの各々の表示が提示されてもよく、要求に応答して提供されるメディアデータ内でそれらのオブジェクトの少なくとも一部が難読化されているかどうかを選択する能力が提供されてもよい。いくつかの実施形態では、メディアデータに関する要求エンティティの役割および/またはオブジェクトの役割に基づいて、1つ以上のオブジェクトの自動難読化を提供する、いくつかの規則が、メディア難読化プラットフォームによって維持され得る。例えば、1つの規則は、要求側エンティティが法執行機関にない公衆の一員である場合、容疑者(例えば、被害者または傍観者)でない任意の人物(すなわち、オブジェクト)が自動的に難読化されるべきであることを指示し得る。
【0037】
次いで、メディアデータに関して識別されたオブジェクトの各々について難読化プロセスが実行され得る。いくつかの実施形態では、メディア内の各オブジェクトの役割またはカテゴリも識別され得る。312において、識別されたオブジェクトの各々に関して、それぞれのオブジェクトが難読化されるべきかどうかについての決定が行われ得る。いくつかの実施形態では、そのような決定は、媒体に対するオブジェクトの識別された役割に基づいて行われてもよい。例えば、人々として識別される全てのオブジェクトは、被害者、傍観者、または容疑者として分類されてもよい。この例では、被害者または傍観者として識別されたオブジェクトは難読化されてもよく、容疑者として識別されたすべてのオブジェクトは難読化されないままであってもよい。さらに、複数の非人物オブジェクト(例えば、運転免許証、車両ナンバープレート、住所など)を難読化すべき状況を規定する1つまたは複数の規則を維持することができる。いくつかの実施形態では、特定のオブジェクトを難読化すべきかどうかに関する判定は、ユーザ(例えば、管理者または要求側エンティティ)から受信した選択に基づいて行われてもよい。
【0038】
識別されたオブジェクトを難読化する決定がなされると(例えば、決定ブロック312からの「はい」)、それぞれのオブジェクトは、314において難読化され得る。いくつかの場合において、これは、識別されたオブジェクトに関連付けられた位置において難読化効果を作成することを含む。このような難読化効果は、オブジェクトを難読化することができる任意の適切な効果であってもよい。適切な難読化効果の例は、スタックブラー、ガウシアンブラー、モーションブラー、ボックスブラー、ラジアルブラー、またはヘビーラジアルブラー効果などのブラー効果を含み得る。難読化効果の他の例は、オブジェクトのピクシレーション、オブジェクトを別の画像(黒いバー、ドットなど)で置き換えること、またはそうでなければ、その位置でオブジェクトを歪ませることを含み得る。識別されたオブジェクトを難読化しないと判定されると(例えば、判定ブロック312からの「いいえ」)、316において、そのオブジェクトに関してさらなるアクションは行われなくてもよい。
【0039】
プロセス300の318において、難読化されるオブジェクトの各々について難読化効果がメディアデータに追加されると、318においてメディアデータが符号化され得る。いくつかの実施形態では、これは、難読化効果を含むメディアデータを圧縮するように構成されたコーデック(例えば、ビデオコーデック)を使用して行われる。例えば、ビデオコーデックは、変更されたビデオデータを、標準ビデオコーディングフォーマットに準拠するフォーマットに圧縮するために使用され得る。このようにメディアデータを圧縮することにより、下流のユーザが、適用された難読化効果を難読化オブジェクトから除去することを防止することができる。メディアデータが符号化されると、320において、そのメディアデータが要求側エンティティに提供される。
【0040】
図4は、少なくともいくつかの実施形態に従ってメディアデータに関して維持され得るオブジェクトのリストの例示的な例を示す。データソースからメディアデータを受信すると、1つ以上の物体認識技術を使用して、そのメディア全体にわたって示される複数のオブジェクト402を識別することができる。
【0041】
複数のオブジェクト402の各々には、そのオブジェクトを識別するために使用され得る識別子404が割り当てられ得る。いくつかの実施形態では、そのような識別子は、メディア難読化プラットフォームによって受信された他のメディアデータ内のオブジェクトを相関させる識別子を含み得る。例えば、メディア難読化プラットフォームは、受信する様々なメディアデータ内で識別される各オブジェクトについての情報のセットを維持し得る。いくつかの実施形態では、識別されたオブジェクトに関連付けられた特性が、別のメディアデータに関して以前に識別されたオブジェクトに関連付けられた特性と一致するという決定が、物体認識プロセス中に行われ得る。識別されたオブジェクトは、次いで、他のメディアデータに関連して以前に識別されたオブジェクトの識別子を割り当てられ得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、メディアデータは、1つ以上のイベントまたはインシデント406と関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、そのようなイベントは、法執行機関または医療提供者によって維持されるケースファイルに対応し得る。そのような場合、情報についてメディア難読化プラットフォームに提出される要求は、指定されたイベントに関連して提出され得る。メディア難読化プラットフォームは、次いで、指定されたイベントに関連するメディアデータの各々に関して難読化技術を識別し、実行する。
【0043】
いくつかの実施形態では、識別されたオブジェクトの各々には、役割408が割り当てられ得る。いくつかの実施形態では、オブジェクトの役割は、特定のメディアデータおよび/または特定のインシデントに固有であってもよい。例えば、第1のメディアデータと第2のメディアデータの両方の中で識別されたオブジェクトは、第1のメディアデータに関する第1の役割と、第2のメディアデータに関する第2の役割とに関連付けられ得る。例示として、第1のビデオおよび第2のビデオの両方の中で識別された人物は、第1のビデオにおける容疑者としての役割、および第2のビデオにおける傍観者としての役割を割り当てられ得る。オブジェクトがメディアデータに関して特定の役割を割り当てられる実施形態では、オブジェクトがそのメディアデータにおいて難読化されるべきかどうかを判定するために使用される規則は、そのメディアデータに関するオブジェクトの役割に基づいてそのような判定を行うことができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、メディア難読化プラットフォームは、メディアデータに関連して難読化されるべきではないオブジェクトのセットを識別し得る。難読化プロセス中に、物体認識を実行して、特定のタイプのメディアデータ内に示されたいくつかの異なるオブジェクト(例えば、人々)を識別することができる。これらの実施形態では、識別されたオブジェクトの各々の特性は、オブジェクトのセット内のオブジェクトの対応する特性と比較され得る。識別されたオブジェクトの特性とオブジェクトのセット内の少なくとも1つのオブジェクトの特性との間で一致が識別された場合、そのオブジェクトに難読化は適用されない。そうではなく、識別されたオブジェクトの特性とオブジェクトのセット内の少なくとも1つのオブジェクトの特性との間で一致が識別されない場合、難読化効果(例えば、ぼかし効果)がそのオブジェクトに自動的に適用され得る。
【0045】
図5は、少なくともいくつかの実施形態による、メディアデータへのオブジェクトのマッピングの例示的な例を示す。いくつかの実施形態では、タイムライン502は、メディアデータに関して維持され得る。いくつかのオブジェクト(例えば、オブジェクト_1およびオブジェクト_2)が、そのタイムラインにマッピングされ得る。例えば、各オブジェクトは、少なくとも開始時点および終了時点に関連付けられてもよい。この例では、開始時点は、それぞれのオブジェクトがメディアデータ内に示されると最初に決定されるタイムライン上の点に対応し得、終了時点は、それぞれのオブジェクトがメディアデータ内に示されると最後に決定されるタイムライン上の点に対応し得る。各オブジェクトは、異なる開始時点および終了時点に関連付けられてもよい。例えば、オブジェクトiは、開始時点504および終了時点506に関連付けられてもよく、一方、オブジェクト_2は、開始時点508および終了時点510に関連付けられてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、メディアデータ内で識別された1つまたは複数のオブジェクトに関する情報を記憶するマッピング512が、メディアデータに関して維持され得る。いくつかの実施形態では、マッピングは、一連の時間514と、それぞれの時間におけるオブジェクトの対応する位置516とを含み得る。
【0047】
一連の時間514は、メディアデータに関連付けられたタイムライン内の位置の任意の適切な表示を含み得る。いくつかの実施形態では、一連の時間514内の時間は、メディアデータに関連付けられたタイムライン502に対応する特定の時点(たとえば、タイムスタンプ)を表し得る。いくつかの実施形態では、一連の時間514内の時間は、ビデオ内の特定のフレームを表し得る。
【0048】
位置516は、メディアのコンテンツ内の位置の任意の適切な表示を含むことができる。ビデオ(すなわち、一連の画像)または静止画像の場合、位置は、画像内で識別されるオブジェクトの水平(たとえば、X軸)および垂直(たとえば、Y軸)座標を表し得る。いくつかの実施形態では、位置は、画像内の特定のピクセルまたはピクセルのセットを表し得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、マッピング512は、難読化プロセス中にオブジェクト難読化エンジン(例えば、図1のオブジェクト難読化エンジン110)によって使用され得る。このために、オブジェクト難読化エンジンは、難読化対象オブジェクトのサイズにほぼ対応するサイズの難読化効果を生成することができる。難読化効果は、一連の時間514のそれぞれの時間のそれぞれの間にメディアデータ内の位置516のそれぞれに配置され、それぞれの位置におけるメディアデータの部分を難読化させる。
【0050】
図6は、少なくともいくつかの実施形態に従って実装され得るグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の様々な要素の例示的な例を示す。そのようなGUIは、メディア難読化プラットフォームと通信するソフトウェアアプリケーションの実行時にインスタンス化され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、GUIは、メディアデータの消費(例えば、視聴)を可能にするメディアプレーヤ要素602を含むことができる。場合によっては、メディアプレーヤ要素は、ユーザ(例えば、管理者)がメディアデータの難読化バージョンまたはメディアデータの非難読化バージョンのいずれかを閲覧する能力を提供してもよい。例えば、ユーザには、メディアデータに適用され得る難読化効果606の例示的な例が提供され得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、オブジェクトをより効果的に難読化するために、難読化効果の位置またはサイズを変更する能力を与えられてもよい。場合によっては、ユーザは、指定された1つまたは複数の位置に難読化効果を手動で追加する能力を提供されてもよい。ユーザは、メディアデータ内の難読化効果を時間に関して移動させる機能をさらに提供されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、GUIは、オブジェクト選択要素604をさらに含み得る。オブジェクト選択要素は、メディアデータ内で識別されたオブジェクトの各々の表示をユーザに提供することができる。いくつかの実施形態では、各オブジェクトは、そのオブジェクトに関連付けられた識別子を介して識別され得る。いくつかの実施形態では、各オブジェクトは、サムネイル画像などのオブジェクトのグラフィカル表現を介して識別され得る。いくつかの実施形態では、メディアデータ内で識別されたオブジェクトの各々の表示は、ユーザによって選択されて、そのセレクタに関連付けられたオブジェクトが難読化されるべきであることをメディア難読化プラットフォームに示すことができる1つまたは複数のセレクタ608(1~3)を含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、どのオブジェクトを難読化すべきかについて選択を行うことができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、どのオブジェクトを難読化すべきでないかについて選択を行うことができ、選択されなかったすべてのオブジェクトを難読化する決定を行うことができる。
【0053】
図7は、実施形態に従ってメディアデータ内のオブジェクトを自動的に識別し難読化するための例示的なプロセスフローを示すブロック図を示す。プロセス700は、上記の図1に関して説明したように、システム100内の構成要素によって実行され得る。例えば、プロセス700は、いくつかのデータソース106、および1つ以上の第三者デバイス108と通信するメディア難読化プラットフォーム102によって実行され得る。
【0054】
702において、プロセス700は、データソースからメディアデータを受信することを含む。いくつかの実施形態では、メディアデータは、オーディオデータ、ビデオデータ、または画像データのうちの1つまたは複数を備える。データソースは、データソースが位置する環境に関連してメディアデータを捕捉することができる任意の適切な電子デバイスを備えることができる。いくつかの非限定的な例では、データソースは、ストリートカメラ、ボディマウントカメラ、または車両マウントカメラのうちの少なくとも1つを備える。
【0055】
704において、プロセス700は、メディアデータに関連付けられたオブジェクトのセットを識別することを含む。いくつかの実施形態では、これは、メディアデータに対して1つまたは複数の物体認識(例えば、パターン認識)技法を実行することを含む。いくつかの実施形態では、オブジェクトのセットは、個人識別可能情報を有する人またはアイテムのセットを備え得る。例えば、オブジェクトのセットは、運転免許証、車両ナンバープレート、住所、または任意の他の識別アイテムの描写を含み得る。
【0056】
706において、プロセス700は、識別されたオブジェクトに関する情報を記憶することを含む。そのような情報は、メディアデータ内でオブジェクトが検出された時間および対応する位置の表示を含み得る。いくつかの実施形態では、メディアデータ内でオブジェクトが検出された時間の表示は、タイムスタンプを含む。いくつかの実施形態では、メディアデータ内でオブジェクトが検出された時間の表示は、ビデオフレームの表示を含む。いくつかの実施形態では、メディアデータ内でオブジェクトが検出された位置の表示は、画像内のピクセルの表示を含む。いくつかの実施形態では、メディアデータ内でオブジェクトが検出された位置の表示は、水平座標および垂直座標を含む。
【0057】
708において、プロセス700は、メディアデータについての要求を受信することを含む。いくつかの実施形態では、そのような要求は、特定の1つまたは複数のイベントについての情報に関係するFOIA要求であり得る。いくつかの実施形態では、要求はイベントを指定し、メディアデータはイベントに関連付けられていると判定される。例えば、イベントは、電話を介して行われる緊急事態管理組織の要求に対応し得る。
【0058】
710において、プロセス700は、1つまたは複数の時間における難読化効果と、メディアデータ内に示されたオブジェクトに関連付けられた対応する位置とを含むようにメディアデータを更新することを含む。これを行うために、プロセスは、オブジェクトのセット内のオブジェクトの各々について、難読化効果を適用するかどうかを決定することをさらに含み得る。いくつかの場合において、難読化効果をオブジェクトのセット内のオブジェクトに適用するかどうかに関する判定は、要求が受信されたエンティティの役割に少なくとも部分的に基づいて行われる。いくつかの場合において、難読化効果をオブジェクトのセット内のオブジェクトに適用するかどうかに関する決定は、メディアデータに関するオブジェクトの役割に少なくとも部分的に基づいて行われる。
【0059】
712において、プロセス700は、要求に応答して、更新されたメディアデータを要求エンティティに提供することを含む。いくつかの実施形態では、要求に応答して更新されたメディアデータを提供することは、ダウンロードのためのデータファイルのセットを提供することを含む。いくつかの実施形態では、要求に応答して更新されたメディアデータを提供することは、更新されたメディアデータがアクセスされ得るメモリ内の位置へのリンク(例えば、ユニフォームリソースロケータ(URL)リンク)を提供することを含む。
【0060】
結論
主題は、特徴および方法論的行為に特有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲において定義される主題は、本明細書に記載される特定の特徴または行為に必ずしも限定されない。むしろ、特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7