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  • 特許-シート検査装置 図1
  • 特許-シート検査装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】シート検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
G01N21/892 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019185922
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021060345
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 優人
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-182052(JP,A)
【文献】特開平06-026843(JP,A)
【文献】特開2015-049213(JP,A)
【文献】特表2012-526968(JP,A)
【文献】特開平11-281588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
G01M 11/00
H04N 5/222- H04N 5/257
H04N 7/18
H04N 23/00
H04N 23/40 - H04N 23/76
H04N 23/90 - H04N 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被検査材の第1面を照射する第1光源部と、
前記第1光源部によって照射された光の前記被検査材の前記第1面による反射光を検出するように配置された第1検査部と、
前記被検査材の第2面を照射する第2光源部と、
前記第2光源部によって照射された光の前記被検査材の前記第2面による反射光を検出するように配置された第2検査部と、
前記第1検査部及び/又は前記第2検査部に入力された信号に基づいて、前記被検査材の欠陥の有無を判定する検出判定処理部と、
を備え、前記被検査材の欠陥を検査するシート検査装置であって、
前記被検査材に穴が存在する場合に、前記第2光源部から照射され、前記穴を透過した光を検出し得る位置に前記第1検査部を配置し、
前記検出判定処理部は、前記第2光源部から照射され、前記穴を透過して前記第1検査部に検出された光によって、前記被検査材における前記欠陥としての穴を判定することを特徴とするシート検査装置。
【請求項2】
前記第1検査部は、前記第1光源部によって照射された光の前記第1面による正反射光を検出し、
前記第2検査部は、前記第2光源部によって照射された光の前記第2面による正反射光を検出することを特徴とする請求項1に記載のシート検査装置。
【請求項3】
前記第1光源部によって照射された光の入射角と、前記第1検査部によって検出される正反射光の反射角はいずれも10±5度であり、
前記第2光源部によって照射された光の入射角と、前記第2検査部によって検出される正反射光の反射角はいずれも10±5度であることを特徴とする請求項2に記載のシート検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状の被検査材の表裏の欠陥や穴を検査するシート検査装置として、被検査材の表面側と裏面側の疵欠陥をそれぞれ検査する二つの疵欠陥検査部と、被検査材の穴欠陥を検査する透過光式の穴欠陥検査部とを備える構成が提案されていた(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
しかし、疵欠陥検査装置として光学式の検査装置を採用する場合には、被検査材の表裏面をそれぞれ照射する表面用光源及び裏面用光源、表面用光源及び裏面用光源のそれぞれから射出された光の被検査材からの反射光を検出する表面用検出部及び裏面用検出部を設ける必要がある。このため、シート検査装置としては、被検査材の穴検出用の透過光源及びこの透過光源から射出され穴を透過する光を検出する穴用検出部とを併せて、少なくとも六つの要素を配置する必要がある。
【0004】
しかし、このようなシート検査装置が、他装置の一部に組み込まれる場合等には、シート検査装置のために大きなスペースを確保する必要があり、装置全体の小型化を阻害する。また、シート検査装置の構成要素が多い分だけ、コストが上昇し、メンテナンスの工数も増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-343331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、省スペース化、部材コストの削減及びメンテナンス工数の減少が可能なシート検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明は、
シート状の被検査材の第1面を照射する第1光源部と、
前記第1光源部によって照射された光の前記被検査材の前記第1面による反射光を検出する第1検査部と、
前記被検査材の第2面を照射する第2光源部と、
前記第2光源部によって照射された光の前記被検査材の前記第2面による反射光を検出する第2検査部と、
を備え、前記被検査材の欠陥を検査するシート検査装置であって、
前記被検査材に穴が存在する場合に、前記第2光源部から照射され、前記穴を透過した光を検出し得る位置に前記第1検査部を配置したことを特徴とするシート検査装置である。
【0008】
本発明によれば、シートの第2面の欠陥を検査するために光線をシートの裏面に照射する第2光源部が、シートの穴を検査するための光源としても機能するとともに、シートの第1面の欠陥を検査するための第1検査部が、シートの穴を検査するための穴検査部とし
ても機能する。従って、シートの穴を検査するための独自の光源と検査部とを省略することができる。このように、シート検査装置の部材数を減らすことができるので、省スペース化及び低コスト化を実現し、さらにメンテナンス工数を削減することができる。
【0009】
また、本発明においては、
前記第1検査部は、前記第1光源部によって照射された光の前記第1面による正反射光を検出し、
前記第2検査部は、前記第2光源部によって照射された光の前記第2面による正反射光を検出するようにしてもよい。
【0010】
これによれば、シートの第1面及び第2面の欠陥を精度よく検査することができる。
【0011】
また、本発明においては、
前記第1光源部によって照射された光の入射角と、前記第1検査部によって検出される正反射光の反射角はいずれも10±5度であり、
前記第2光源部によって照射された光の入射角と、前記第2検査部によって検出される正反射光の反射角はいずれも10±5度であるようにしてもよい。
【0012】
これによれば、厚さが薄い被検査材の小さな穴の有無を確実に検査することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、省スペース化、部材コストの削減及びメンテナンス工数の減少が可能なシート検査装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係る検査装置の主要構成を示す図である。
図2】本発明の実施例に係るシート検査装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
本発明では、図1に示すように、シートの表面の疵を検査するための第1光源部Ls1及び第1検査部S1と、シートの裏面の疵を検査するための第2光源部Ls2及び第2検査部S2とを、シートに穴がある場合に、第2光源部によって照射され、シートの穴を透過した光を第1検査部S1が検出し得るような位置関係に配置した。
【0016】
これにより、シートの穴を検出するための光源部と検査部とを、シートの疵を検査するための第1光源部、第1検査部、第2光源部及び第2検査部とは別に設ける必要がない。このように、本発明によれば、シート検査装置1の部材数を減らすことができるので、省スペース化及び低コスト化を実現し、さらにメンテナンス工数を削減することができる。
【0017】
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例に係るシート検査装置1について、図面を用いて、より詳細に説明する。
【0018】
<装置構成>
図1は、本実施例に係るシート検査装置1の主要構成を示す。
図1では、シート状の被検査材である鋼板等のシートが搬送されるシート搬送路Tは、水平方向(紙面の左から右)にシートを搬送するように形成されている。また、シート搬送路Tは、搬送方向に直交する方向(紙面の手前側から奥側へ紙面に直交する方向)に、
シートの幅方向に沿った延長を有する。図示を省略しているが、シートはコンベア等の搬送装置に支持されてシート搬送路Tに沿って搬送される。
【0019】
シートの表面側(紙面の上側)の第1光源部Ls1は、第1光源部Ls1からシートに照射される光線が、シート搬送路Tに対して上方にα度の角度で入射するとき、シートの表面側の第1検査部S1は、第1光源部Ls1から入射し、シートによって正反射した光線(正反射光)、すなわち、シート搬送路Tに対して上方にα度の角度で反射する光線が入射するように配置される。このように、第1光源部Ls1からシートに至る光路L11と、シートによって反射された光が第1検査部S1に至る光路L12が、シート搬送路Tに直交する鉛直面V(紙面の手前側から奥側へと紙面に直交する面)に対してなす角度である入射角θ11と反射角θ12はいずれも90-α度の角度をなして互いに面対称となる位置にある。後述するシート検査装置1は、このように第1光源部Ls1によって照射され、シートの表面によって反射された光を第1検査部S1によって検出することにより、シートの表面の欠陥としての疵の有無を検査する。第1検査部S1を、第1光源部Ls1によって照射された光の正反射光を検出するように配置することにより、精度よくシートの欠陥を検出することができる。ここでは、シートの表面が、本発明の「第1面」に対応する。
【0020】
シートの裏面側(紙面の下側)の第2光源部Ls2は、第2光源部Ls2からシートに照射される光線が、シート搬送路Tに対して下方にα度の角度で入射するように配置される。そして、シートの裏面側の第2検査部S2は、第2光源部Ls2から入射し、シートによって正反射した光線(正反射光)、すなわち、シート搬送路Tに対して下方にα度の角度で反射する光線が入射するように配置される。このように、第2光源部Ls2からシートに至る光路L21と、シートによって反射された光が第2検査部S2に至る光路L22が、シート搬送路Tに直交する鉛直面Vに対してなす角度である入射角θ21と反射角θ22はいずれも90-α度の角度をなして互いに面対称となる位置にある。後述するシート検査装置1は、このように第2光源部Ls2によって照射され、シートの裏面によって反射された光を第2検査部S1によって検出することにより、シートの裏面の欠陥としての疵の有無を検査する。第2検査部S2を、第1光源部Ls2によって照射された光の正反射光を検出するように配置することにより、精度よくシートの欠陥を検出することができる。ここでは、シートの裏面が、本発明の「第2面」に対応する。
【0021】
ここでは、第2光源部Ls2からシートに照射された光線が、シートに穴があることにより表面側に透過する場合には、第2光源部Ls2から出射した光線が第1検査部S1に入射するように配置されている。このように、後述するシート検査装置1では、第2光源部Ls2によって照射され、シートの穴を透過した光を、第1検査部S1で検出することにより、シートの欠陥としての穴の有無を検査する。本実施例のシート検査装置1では、θ11=θ12=θ21=θ22=10度(α=80度)とした場合に、0.25mm厚のシートの径0.1mm以上の穴を良好に検出することができた。θ11(=θ12=θ21=θ22)は、10±5度とすることが好ましく、これにより0.20~0.30mm厚のシートの穴を良好に検出することができる。また、θ11(=θ12=θ21=θ22)10±1度とすることがより好ましい。なお、上述の構成では、シートに穴がある場合には、第1光源部Ls1からシートに照射された光線がシートを透過し、第2検査部S2に入射する。
【0022】
このように、本実施例では、シートの裏面の疵を検査するために光線をシートの裏面に照射する第2光源部Ls2が、シートの穴を検査するための光源としても機能するともに、シートの表面の疵を検査するための第1検査部S1が、シートの穴を検査するための穴検査部としても機能する。従って、シートの穴を検査するための独自の光源と検査部とを省略することができる。このように、本実施例によれば、シート検査装置1の部材数を減
らすことができるので、省スペース化及び低コスト化を実現し、さらにメンテナンス工数を削減することができる。
【0023】
ここで、第1光源部Ls1及び第2光源部Ls2は、搬送方向に直交する方向に幅を有するシートを照射するために、搬送方向に直交する方向(紙面の手前側から奥側に、紙面に直交する方向)に延長を有する線状の光源である。線状の光源は、例えば、複数のLED素子を搬送方向に直交する方向に配置しさらに拡散板を設けたものでもよいし、蛍光灯でもよく、これらに限られない。
【0024】
第1検査部S1及び第2検査部S2は、搬送方向に直交する方向に幅を有するシートから反射または透過された光を検知できるように、搬送方向に直交する方向に視野を有するラインセンサカメラを用いることができる。
【0025】
図2は、本実施例に係るシート検査装置1の機能ブロック図である。
シート検査装置1は、検査部11、入力信号処理部12、検出判定処理部13及び出力部14を含む。検査部11は、第1光源部Ls1、第1検査部S1、第2光源部Ls2及び第2検査部S2を含む。
【0026】
入力信号処理部12は、第1検査部S1及び第2検査部S2から入力される信号を処理する。例えば、第1検査部S1及び第2検査部S2から入力される電気信号を増幅する増幅器、電気的ノイズをカットするフィルタ、ADコンバータや、画像処理を行う処理部等を含んで構成される。入力信号処理部としては、検査部の構成に応じて、公知の技術を適宜採用することができる。
【0027】
検出判定処理部13は、入力信号処理部12から出力される情報に基づいて、疵の有無や種別、穴の有無を検出判定する。検出判定処理部13としては、検査部11及び入力信号処理部12の構成に応じて、公知の技術を適宜採用することができる。
【0028】
入力信号処理部12及び検出判定処理部13は、例えば、CPU(Central Processing
Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装
置とを含むコンピュータによって構成することができる。ROM等に記憶されたプログラムをRAM等の作業領域に展開してCPUにおいて実行することにより、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。また、入力信号処理部12及び検出判定処理部13は、FPGAやASICなどの専用回路で実現してもよい。
【0029】
出力部14は、検出判定処理部13の処理結果を、ディスプレイ、プリンタ、ランプ、ブザー等の報知手段や、疵又は穴の発生位置をシートにマーキングするマーキング装置に出力する。
【0030】
<変形例>
上述のシート検査装置では、シートに穴がある場合に、第2光源部Ls2によって照射され、シートの穴を透過した光を第1検査部S1で検出することにより、シートの穴の有無を検査しているが、第1光源部Ls1によって照射され、シートの穴を透過した光を第2検査部S2で検出することにより、シートの穴の有無を検査するようにしてもよい。また、第2光源部Ls2によって照射され、シートの穴を透過した光を第1検査部S1で検出した結果と、第1光源部Ls1によって照射され、シートの穴を透過した光を第2検査部S2で検出した結果とを用いて、シートの穴の有無を検査するようにしてもよい。
【0031】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
シート状の被検査材の第1面を照射する第1光源部(Ls1)と、
前記第1光源部(Ls1)によって照射された光の前記被検査材の前記第1面による反射光を検出する第1検査部(S1)と、
前記被検査材の第2面を照射する第2光源部(Ls2)と、
前記第2光源部(Ls2)によって照射された光の前記被検査材の前記第2面による反射光を検出する第2検査部(S2)と、
を備え、前記被検査材の欠陥を検査するシート検査装置(1)であって、
前記被検査材に穴が存在する場合に、前記第2光源部(Ls2)から照射され、前記穴を透過した光を検出し得る位置に前記第1検査部(S1)を配置したことを特徴とするシート検査装置(1)。
【符号の説明】
【0032】
1:シート検査装置
11:検査部
12:入力信号処理部
13:検出判定処理部
14:出力部
Ls1:第1光源部
Ls2:第2光源部
S1:第1検査部
S2:第2検査部
図1
図2