(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】アンダーコート剤、硬化物及び積層物
(51)【国際特許分類】
C09D 133/00 20060101AFI20240903BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20240903BHJP
C09D 4/02 20060101ALI20240903BHJP
C09D 133/04 20060101ALI20240903BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C09D133/00
C09D5/00 D
C09D4/02
C09D133/04
C09D5/00 Z
B32B27/30 A
(21)【出願番号】P 2020011466
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-08-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石嶋 優樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁宣
(72)【発明者】
【氏名】大江 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 浩壽
【審査官】河村 明希乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-189855(JP,A)
【文献】特許第7205100(JP,B2)
【文献】特開2015-217333(JP,A)
【文献】特開2017-113690(JP,A)
【文献】特開2016-019973(JP,A)
【文献】特開2017-113689(JP,A)
【文献】特開2015-226891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
B32B 27/00-27/42
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリロイル基を有さない水酸基含有(メタ)アクリルポリマー(A)並びに
水酸基含有ポリマーポリ(メタ)アクリレート(B)を含み、
前記(A)成分の芳香族重合性不飽和モノマー及び脂環族重合性不飽和モノマーの合計含有量は、10質量%未満であ
り、
前記(B)成分の(メタ)アクリル当量は、300~375g/eqであり、
ポリイソシアネート(D)を含まない、アンダーコート剤。
【請求項2】
前記(A)成分の芳香族重合性不飽和モノマー及び脂環族重合性不飽和モノマーの合計含有量は、0.1質量%以上である、請求項1に記載のアンダーコート剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアンダーコート剤の硬化物。
【請求項4】
基材の少なくとも片面に請求項3に記載のアンダーコート剤の硬化物を含むアンダーコート剤硬化物層が積層している、積層物。
【請求項5】
前記アンダーコート剤硬化物層に活性エネルギー線硬化性樹脂硬化物層が積層している、請求項4に記載の積層物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンダーコート剤、硬化物及び積層物に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムの製造方法として、基材表面にアンダーコート剤を塗布し、アンダーコート層を設ける方法が公知である。そして、基材の種類に応じて、各種のアンダーコート剤が開発されている。
【0003】
特許文献1(特開2011-195835号公報)は、ポリアジリジン化合物を含むアンダーコート剤を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したアンダーコート剤は、無機薄膜と基材との間に設けるアンダーコート層を製造するためのものである。近年、活性エネルギー線硬化性樹脂と基材との間に設けるアンダーコート層を製造するためのアンダーコート剤が求められている。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、アンダーコート剤の硬化物の乾燥性、上記硬化物と活性エネルギー線硬化性樹脂との密着性、及び上記硬化物と基材との密着性が良好であるアンダーコート剤であって、積層物を製造した際に、その積層物の外観が良好となるアンダーコート剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の成分により、上記課題が解決されることを見出した。
【0008】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
水酸基含有(メタ)アクリルポリマー(A)、及び
水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート(B)
を含む、アンダーコート剤。
(項目2)
前記水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート(B)が、水酸基含有ポリマーポリ(メタ)アクリレートである、上記項目に記載のアンダーコート剤。
(項目3)
上記項目のいずれか1項に記載のアンダーコート剤の硬化物。
(項目4)
フィルムの少なくとも片面に上記項目に記載のアンダーコート剤の硬化物を含むアンダーコート剤硬化物層が積層している、積層物。
(項目5)
前記アンダーコート剤硬化物層に活性エネルギー線硬化性樹脂硬化物層が積層している、上記項目に記載の積層物。
【0009】
本開示において、上述した1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【発明の効果】
【0010】
上記アンダーコート剤は、乾燥性に優れ、また、その硬化物は活性エネルギー線硬化性樹脂との密着性及び基材との層間密着性、並びに外観に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの上限及び下限としてA1、A2、A3、A4(A1>A2>A3>A4とする)等が例示される場合、数値αの範囲は、A1以下、A2以下、A3以下、A2以上、A3以上、A4以上、A1~A2、A1~A3、A1~A4、A2~A3、A2~A4、A3~A4等が例示される。
【0012】
[アンダーコート剤]
本開示は、水酸基含有(メタ)アクリルポリマー(A)、及び水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート(B)を含む、アンダーコート剤を提供する。
【0013】
<水酸基含有(メタ)アクリルポリマー(A):(A)成分ともいう>
(A)成分は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0014】
(A)成分は、水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位及び水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含む共重合体等が例示される。
【0015】
本開示において「(メタ)アクリル」は「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。また「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及びメタクリロイルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0016】
(水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート:(a1)成分ともいう)
水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートは、
【化1】
(式中、R
a1は水素原子、又はメチル基であり、R
a2はアルキル基である。)
で表わされる。水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0017】
アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基等が例示される。
【0018】
直鎖アルキル基は、-CnH2n+1(nは1以上の整数)の一般式で表される。直鎖アルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカメチル基等が例示される。
【0019】
分岐アルキル基は、直鎖アルキル基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された基である。分岐アルキル基は、ジエチルペンチル基、トリメチルブチル基、トリメチルペンチル基、トリメチルヘキシル基等が例示される。
【0020】
シクロアルキル基は、単環シクロアルキル基、架橋環シクロアルキル基、縮合環シクロアルキル基等が例示される。
【0021】
本開示において、単環は、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造を意味する。また、縮合環は、2つ以上の単環が2個の原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造を意味する。架橋環は、2つ以上の単環が3個以上の原子を共有している環状構造を意味する。
【0022】
単環シクロアルキル基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシル基等が例示される。
【0023】
架橋環シクロアルキル基は、トリシクロデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が例示される。
【0024】
縮合環シクロアルキル基は、ビシクロデシル基等が例示される。
【0025】
水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートは、水酸基非含有直鎖アルキル(メタ)アクリレート、水酸基非含有分岐アルキル(メタ)アクリレート、水酸基非含有シクロアルキル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0026】
水酸基非含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸n-イコシル、(メタ)アクリル酸n-ドコシル等が例示される。
【0027】
水酸基非含有分岐アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が例示される。
【0028】
水酸基非含有シクロアルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が例示される。
【0029】
これらの中でも、アンダーコート剤においてレベリング性、密着性に寄与することから、アルキル基の炭素数が1~20程度の水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。また、アルキル基の炭素数が異なる水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートを併用することによって、(A)成分のガラス転移温度等の物性が調節可能となる。
【0030】
(A)成分の全構成単位100モル%に占める水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、98、95、90、85、80、75、70、65、62モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は62~98モル%が好ましい。
【0031】
(A)成分の全構成単位100質量%に占める水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、98、95、90、85、80、75、70、65質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は65~98質量%が好ましい。
【0032】
(水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート:(a2)成分ともいう)
水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートは、下記構造式
【化2】
(式中、R
a3は水素原子、又はメチル基であり、R
a4は直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、又はシクロアルキレン基である。)
で表わされる。水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0033】
直鎖アルキレン基は一般式:-(CH2)n-(nは1以上の整数)で表される。直鎖アルキレン基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デカメチレン基等が例示される。
【0034】
分岐アルキレン基は、直鎖アルキレン基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された基である。分岐アルキレン基は、ジエチルペンチレン基、トリメチルブチレン基、トリメチルペンチレン基、トリメチルヘキシレン基(トリメチルヘキサメチレン基)等が例示される。
【0035】
シクロアルキレン基は、単環シクロアルキレン基、架橋環シクロアルキレン基、縮合環シクロアルキレン基等が例示される。またシクロアルキレン基は、1個以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0036】
単環シクロアルキレン基は、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロデシレン基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシレン基等が例示される。
【0037】
架橋環シクロアルキレン基は、トリシクロデシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基等が例示される。
【0038】
縮合環シクロアルキレン基は、ビシクロデシレン基等が例示される。
【0039】
水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートは、水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0040】
水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が例示される。
【0041】
水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル等が例示される。
【0042】
水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル等が例示される。
【0043】
(A)成分の全構成単位100モル%に占める水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、38、35、30、25、20、15、10、5、2.5、2、1.5モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は1.5~38モル%が好ましい。
【0044】
(A)成分の全構成単位100質量%に占める水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、35、30、25、20、15、10、5、2.5、2質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は2~35質量%が好ましい。
【0045】
(A)成分中の水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位と水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位とのモル比(水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートmol/水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートmol)の上限及び下限は、57、50、40、30、20、10、5、2、1.6等が例示される。1つの実施形態において、上記モル比は、1.6~57が好ましい。
【0046】
(A)成分中の水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位と水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位との質量比(水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートmass/水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートmass)の上限及び下限は、49、40、30、20、10、5、2、1.8等が例示される。1つの実施形態において、上記質量比は、1.8~49が好ましい。
【0047】
((a1)成分及び(a2)成分以外のモノマー(a3):(a3)成分ともいう)
(A)成分を製造する際には、(a1)成分及び(a2)成分のいずれにも該当しないモノマー(a3)を用いてもよい。(a3)成分は、単独又は2種以上で使用され得る。(A)成分を製造する際に(a3)成分を用いる場合、(A)成分には、(a3)成分由来の構成単位としてポリマー内に組み込まれる。
【0048】
(a3)成分は、α,β-不飽和カルボン酸、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、スチレン類、α-オレフィン、不飽和アルコール、アリール(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド基含有化合物、ジ(メタ)アクリルエステル、ジビニルエステル、三官能性モノマー、四官能性モノマー等が例示される。
【0049】
α,β-不飽和カルボン酸は、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸等が例示される。
【0050】
エポキシ基含有(メタ)アクリレートは、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0051】
スチレン類は、スチレン、α-メチルスチレン及びt-ブチルスチレン等が例示される。
【0052】
α-オレフィンは、2,4,4-トリメチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン等が例示される。
【0053】
不飽和アルコールは、(メタ)アリルアルコール、4-ペンテン-1-オール、1-メチル-3-ブテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール等が例示される。
【0054】
アリール(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸4-メチルベンジル等が例示される。
【0055】
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0056】
(メタ)アクリルアミド基含有化合物は、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が例示される。
【0057】
ジ(メタ)アクリルエステルは、エチレングリコールジ(メタ)アクリルエステル及びジエチレングリコールジ(メタ)アクリルエステル等が例示される。
【0058】
ジビニルエステルは、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等が例示される。
【0059】
三官能性モノマーは、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、トリアリルトリメリテート及びN,N-ジアリルアクリルアミド等が例示される。
【0060】
四官能性モノマーは、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラアリルピロメリテート及びN,N,N’,N’-テトラアリル-1,4-ジアミノブタン等が例示される。
【0061】
(A)成分の全構成単位100モル%に占める(a3)成分由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、13、10、9、5、4、1、0モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0~13モル%が好ましい。
【0062】
(A)成分の全構成単位100質量%に占める(a3)成分由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、10、9、5、4、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は0~10質量%が好ましい。
【0063】
(A)成分中の(a1)成分由来の構成単位と(a3)成分由来の構成単位とのモル比((a3)mol/(a1)mol)の上限及び下限は、0.22、0.20、0.15、0.10、0.05、0等が例示される。1つの実施形態において、上記モル比は、0~0.22が好ましい。
【0064】
(A)成分中の(a1)成分由来の構成単位と(a3)成分由来の構成単位との質量比((a3)mass/(a1)mass)の上限及び下限は、0.19、0.15、0.10、0.05、0等が例示される。1つの実施形態において、上記質量比は、0~0.19程度が好ましい。
【0065】
(A)成分中の(a2)成分由来の構成単位と(a3)成分由来の構成単位とのモル比((a3)mol/(a2)mol)の上限及び下限は、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0等が例示される。1つの実施形態において、上記モル比は、0~8が好ましい。
【0066】
(A)成分中の(a2)成分由来の構成単位と(a3)成分由来の構成単位との質量比((a3)mass/(a2)mass)の上限及び下限は、5、4、3、2、1、0.5、0等が例示される。1つの実施形態において、上記質量比は、0~5が好ましい。
【0067】
<(A)成分の物性等>
(A)成分のガラス転移温度の上限及び下限は、100、90、88、85、80、70、60、50、40、35、20℃等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分のガラス転移温度は20~100℃が好ましく、40~90℃がより好ましい。
【0068】
ガラス転移温度は市販の示差走査熱量測定器具(例えば製品名「DSC8230B」、理学電機(株)製)を用いて、適切な条件(昇温速度:10℃/分)の下測定される。
【0069】
(A)成分の水酸基価(固形分換算)の上限及び下限は、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、48、45、40、30、20、15、10mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分の水酸基価(固形分換算)は10~150mgKOH/gが好ましく、30~100mgKOH/gがより好ましい。
【0070】
本開示において、水酸基価は、例えば、JIS K1557-1に準拠する方法により測定される。
【0071】
(A)成分の水酸基当量の上限及び下限は、5611、5500、5000、4500、4000、3500、3000、2500、2000、1500、1000、500、400、370g/eq等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分の水酸基当量は370~5611g/eqが好ましい。
【0072】
本開示において、水酸基当量とは、水酸基1モルあたりの質量の計算値(g/eq)を意味する。
【0073】
(A)成分の酸価の上限及び下限は、0.4、0.3、0.2、0.18、0.1、0.09、0.05、0.04mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分の酸価は、特に硬化性を考慮すると、0.04~0.4mgKOH/g程度が好ましく、0.09~0.18mgKOH/gがより好ましい。
【0074】
本開示において、酸価は、例えば、JIS K0070に準拠する方法により測定される。
【0075】
(A)成分の重量平均分子量(Mw)の上限及び下限は、100000、90000、80000、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、5000、4000、3000等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、3000~100000が好ましく、10000~80000がより好ましい。
【0076】
(A)成分の数平均分子量(Mn)の上限及び下限は、100000、90000、80000、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、5000、4000、3000等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分の数平均分子量(Mn)は、3000~100000が好ましく、10000~80000がより好ましい。
【0077】
重量平均分子量及び数平均分子量は、市販のゲルパーミエーションクロマトグラフィー機器(例えば製品名「HLC-8220GPC」、東ソー(株)製)を用いて測定される。
【0078】
(A)成分の分子量分布(Mw/Mn)の上限及び下限は、10、7.5、5、2.5、2、1.5等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5~10が好ましい。
【0079】
(A)成分は、各種公知の方法で製造され得る。(A)成分の製造方法は、(a1)成分及び(a2)成分、並びに必要に応じて(a3)成分を、無溶媒下又は有機溶媒中で、重合開始剤の存在下、80~180℃程度において、1~10時間程度共重合反応させる方法等が例示される。(A)成分を製造する際に用いられる有機溶媒及び重合開始剤は、後述のもの等が例示される。
【0080】
アンダーコート剤中の(A)成分の含有量の上限及び下限は、88、85、80、70、60、50、40、30、20、10、5、3質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、3~88質量%が好ましい。
【0081】
<水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート(B):(B)成分ともいう>
(B)成分は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0082】
本開示において、「水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート」は、水酸基を1個以上及び(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物を意味する。
【0083】
水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートは、水酸基含有ポリマーポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0084】
(水酸基含有ポリマーポリ(メタ)アクリレート)
本開示において、「水酸基含有ポリマーポリ(メタ)アクリレート」とは、水酸基を1個以上及び(メタ)アクリロイル基を2個以上有するポリマーを意味する。
【0085】
水酸基含有ポリマーポリ(メタ)アクリレートは、公知の手法を用いて製造され得る。ポリマーポリ(メタ)アクリレートの製造方法は、エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーとα,β-不飽和カルボン酸とを反応させる方法等が例示される。
【0086】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーの全構成単位100モル%に占めるエポキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、7モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、7~100モル%が好ましい。
【0087】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーの全構成単位100質量%に占めるエポキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、100、95、90、85、80、75、70、65、62、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、10~100質量%が好ましい。
【0088】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーの全構成単位100モル%に占める水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、93、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、0モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~93モル%が好ましい。
【0089】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーの全構成単位100質量%に占める水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限及び下限は、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、38、35、30、25、20、15、10、5、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~90質量%が好ましい。
【0090】
エポキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位100モル%に対し反応させるα,β-不飽和カルボン酸の量の上限及び下限は、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10モル%等が例示される。1つの実施形態において、上記量は、10~100モル%が好ましい。
【0091】
エポキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位100質量%に対し反応させるα,β-不飽和カルボン酸の量の上限及び下限は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記量は、5~50質量%が好ましい。
【0092】
エポキシ基含有(メタ)アクリルポリマーは、公知のラジカル重合法を用いて製造され得る。
【0093】
(水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレート)
水酸基含有オリゴマーポリ(メタ)アクリレートは、水酸基含有(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有グリセリンジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0094】
(水酸基含有(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート)
水酸基含有(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、構造式(1)
【化3】
(式中、mは0以上の整数であり、R
b1~R
b6は、それぞれ独立に水素原子、又は(メタ)アクリロイル基であり、かつR
b1~R
b6の少なくとも2つが(メタ)アクリロイル基であり、R
b1~R
b6の少なくとも1つが水素原子である。なお、R
b3及びR
b5は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
により示される化合物である。
【0095】
本開示において「(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート」は、「ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、及びポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0096】
また、「各構成単位ごとに基が異なっていてもよい」とは、例えば構造式(1)において、mが2であるとき、
【化4】
R
b3AとR
b3Bとは異なる基であってよく、R
b5AとR
b5Bとは異なる基であってよいことを意味する(以下同様)。
【0097】
水酸基含有ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が例示される
【0098】
水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0099】
(水酸基含有(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート)
(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、構造式(2)
【化5】
(式中、pは0以上の整数であり、R
b7~R
b10は水素原子、又は(メタ)アクリロイル基であり、かつR
b7~R
b10の少なくとも2つが(メタ)アクリロイル基であり、R
b7~R
b10の少なくとも1つが水素原子である。なお、R
b9は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
により示される化合物である。
【0100】
本開示において「(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート」は、「トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、及びポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0101】
水酸基含有トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0102】
水酸基含有ポリトリメチロールポリ(メタ)アクリレートは、ジトリメチロールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールトリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0103】
(水酸基含有グリセリンジ(メタ)アクリレート)
水酸基含有グリセリン(メタ)アクリレートは、構造式(3)
【化6】
(式中、R
b11~R
b13の2つが、(メタ)アクリロイル基であり、R
b11~R
b13の1つが水素原子である。)
により示される化合物である。
【0104】
水酸基含有グリセリン(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、1-ヒドロキシ-2-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0105】
(水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート(B)の物性等)
水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートのアクリル当量の上限及び下限は、400、375、360、350、325、310、305、300、275、250、225、220、216、214g/eq等が例示される。1つの実施形態において、上記(メタ)アクリル当量は、214~400g/eqが好ましく、加熱伸度を向上させる観点から214~375g/eqがより好ましい。
【0106】
本開示において、(メタ)アクリル当量とは、(メタ)アクリロイル基1モルあたりの質量の計算値(g/eq)を意味する。
【0107】
水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートの水酸基価の上限及び下限は、300、290、270、250、225、200、175、150、130、110、100mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートの水酸基価は、100~300mgKOH/gが好ましく、130~270mgKOH/gがより好ましい。
【0108】
水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートの水酸基当量の上限及び下限は、562、550、500、450、400、350、300、250、200、185g/eq等が例示される。1つの実施形態において、上記水酸基当量は185~562g/eqが好ましい。
【0109】
アンダーコート剤中の(B)成分の含有量の上限及び下限は、85、80、70、60、50、40、30、20、10、5、2質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、2~85質量%が好ましい。
【0110】
水酸基含有ポリ(メタ)アクリルポリマー(A)と水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート(B)との固形分質量比((A)/(B))の上限及び下限は、44、40、35、30、25、20、15、10、9、7、5、4、3、2、1、0.9、0.5、0.3、0.2、0.1、0.09、0.05、0.04等が例示される。1つの実施形態において、上記固形分質量比は、0.04~44が好ましい。
【0111】
<光重合開始剤(C):(C)成分ともいう>
1つの実施形態において、上記アンダーコート剤は、光重合開始剤を含み得る。(C)成分は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0112】
光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤等が例示される。
【0113】
光ラジカル重合開始剤は、α-ヒドロキシアルキルフェノン、無置換又は置換アルキルフェノン、無置換又は置換ベンジル、無置換又は置換ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキシド、置換チオキサントン等が例示される。
【0114】
α-ヒドロキシアルキルフェノンは、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン(1-[4-(2-ヒドロキシエトキシル)-フェニル]-2-ヒドロキシ-メチルプロパノン))、2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)-2-メチルプロパン-1-オン)等が例示される。
【0115】
無置換又は置換アルキルフェノンは、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-フェニル-2-(p-トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン、ベンゾイン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、2-イソニトロソプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等が例示される。
【0116】
無置換又は置換ベンジルは、ベンジル、p-アニシル等の無置換又は置換ベンジル等が例示される。
【0117】
無置換又は置換ベンゾフェノンは、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、1,4-ジベンゾイルベンゼン、2-ベンゾイル安息香酸、4-ベンゾイル安息香酸、2-ベンゾイル安息香酸メチル等が例示される。
【0118】
アシルホスフィンオキシドは、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等が例示される。
【0119】
置換チオキサントンは、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等が例示される。
【0120】
上記以外の光ラジカル重合開始剤は、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム、2-エチルアントラキノン、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等が例示される。
【0121】
光カチオン重合開始剤は、ヨードニウム塩重合開始剤、スルホニウム塩重合開始剤、ジアゾニウム塩重合開始剤等が例示される。
【0122】
ヨードニウム塩重合開始剤は、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ビス(4-フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、(2-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、(3-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、(4-メチルフェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、(4-ニトロフェニル)(フェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、フェニル[4-(トリメチルシリル)チオフェン-3-イル]ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、[3-(トリフルオロメチル)フェニル](2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、[4-(トリフルオロメチル)フェニル](2,4,6-トリメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート等が例示される。
【0123】
スルホニウム塩重合開始剤は、シクロプロピルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、テトラフルオロほう酸ジメチルフェナシルスルホニウム、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ-p-トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等が例示される。
【0124】
ジアゾニウム塩重合開始剤は、4-ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボラート等が例示される。
【0125】
上記以外の光カチオン重合開始剤は、2-(3,4-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)ビニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)ビニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等の置換4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等が例示される。
【0126】
光アニオン重合開始剤は、シクロヘキシルカルバミン酸エステル、2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸塩等が例示される。
【0127】
シクロヘキシルカルバミン酸エステルは、シクロヘキシルカルバミン酸1,2-ビス(4-メトキシフェニル)-2-オキソエチル、シクロヘキシルカルバミン酸2-ニトロベンジル等が例示される。
【0128】
2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸塩は、2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン等が例示される。
【0129】
上記以外の光アニオン重合開始剤は、アセトフェノン O-ベンゾイルオキシム、ニフェジピン等が例示される。
【0130】
アンダーコート剤中の光重合開始剤の含有量の上限及び下限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2,1,0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~10質量%が好ましい。
【0131】
<ポリイソシアネート(D):(D)成分ともいう>
1つの実施形態において、上記アンダーコート剤は、ポリイソシアネートを含み得る。(D)成分は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0132】
本開示において、「ポリイソシアネート」とは、2個以上のイソシアネート基(-N=C=O)を有する化合物である。
【0133】
ポリイソシアネートは、直鎖脂肪族ポリイソシアネート、分岐脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート並びにこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体等が例示される。
【0134】
直鎖脂肪族ポリイソシアネートは、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が例示される。
【0135】
分岐脂肪族ポリイソシアネートは、ジエチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルブチレンジイソシアネート、トリメチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
【0136】
脂環族ポリイソシアネートは、単環脂環族ポリイソシアネート、架橋環脂環族ポリイソシアネート、縮合環脂環族ポリイソシアネート等が例示される。
【0137】
単環脂環族ポリイソシアネートは、水添キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘプチレンジイソシアネート、シクロデシレンジイソシアネート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が例示される。
【0138】
架橋環脂環族ポリイソシアネートは、トリシクロデシレンジイソシアネート、アダマンタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が例示される。
【0139】
縮合環脂環族ポリイソシアネートは、ビシクロデシレンジイソシアネート等が例示される。
【0140】
芳香族基は、単環芳香族基、縮合環芳香族基等が例示される。また芳香族基は、1個以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0141】
単環芳香族基は、フェニル基(フェニレン基)、トリル基(トリレン基)、メシチル基(メシチレン基)等が例示される。また縮合環芳香族基は、ナフチル基(ナフチレン基)等が例示される。
【0142】
芳香族ポリイソシアネートは、単環芳香族ポリイソシアネート、縮合環芳香族ポリイソシアネート等が例示される。
【0143】
単環芳香族ポリイソシアネートは、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート等のジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネート等のテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が例示される。
【0144】
縮合環芳香族ポリイソシアネートは、1,5-ナフチレンジイソシアネート等が例示される。
【0145】
ポリイソシアネートのビウレット体は、
下記構造式:
【化7】
[式中、n
bは、0以上の整数であり、R
bA~R
bEはそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、R
bα~R
bβはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化8】
(n
b1は、0以上の整数であり、R
b1~R
b5はそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、R
b’~R
b''はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はR
bα~R
bβ自身の基である。R
b4~R
b5、R
b''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。R
bD~R
bE、R
bβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が例示される。
【0146】
ポリイソシアネートのビウレット体は、デュラネート24A-100、デュラネート22A-75P、デュラネート21S-75E(以上旭化成(株)製)、デスモジュールN3200A(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体)(以上、住化コベストロウレタン製)等が例示される。
【0147】
ポリイソシアネートのイソシアヌレート体は、
下記構造式:
【化9】
[式中、n
iは、0以上の整数であり、R
iA~R
iEはそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、R
iα~R
iβはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化10】
(n
i1は、0以上の整数であり、R
i1~R
i5はそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、R
i’~R
i'' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はR
iα~R
iβ自身の基である。R
i5、R
i''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。R
iD~R
iE、R
iβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が例示される。
【0148】
ポリイソシアネートのイソシアヌレート体の市販品は、デュラネートTPA-100、デュラネートTKA-100、デュラネートMFA-75B、デュラネートMHG-80B(以上旭化成(株)製)、コロネートHXR、コロネートHX、コロネートHK(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上東ソー(株)製)、タケネートD-127N(水添キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上三井化学(株)製)、VESTANAT T1890/100(イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体(以上、エボニック社製)、タケネートD-204EA-1(トリレンジイソイアネートのイソシアヌレート体)(以上三井化学(株)製)、コロネート2037(以上東ソー(株)製)等が例示される。
【0149】
ポリイソシアネートのアロファネート体は、
下記構造式:
【化11】
[式中、nは、0以上の整数であり、R
Aは、アルキル基又はアリール基であり、R
B~R
Gはそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、R
α~R
γはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化12】
(n1は、0以上の整数であり、R
1~R
6はそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、R’~R’’’はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はR
α~R
γ自身の基である。R
1~R
4、R’~R’’は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。R
B~R
E、R
α~R
βは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が例示される。
【0150】
ポリイソシアネートのアロファネート体の市販品は、コロネート2793(東ソー(株)製)、タケネートD-178N(三井化学(株)製)等が例示される。
【0151】
ポリイソシアネートのアダクト体は、
下記構造式:
【化13】
[式中、n
adは0以上の整数であり、R
adA~R
adEは、それぞれ独立にアルキレン基又はアリーレン基であり、R
ad1~R
ad2は、それぞれ独立に
【化14】
(式中、n
ad’は0以上の整数であり、
R
ad’~R
ad’’は、それぞれ独立にアルキレン基又はアリーレン基であり、
R
ad’’’は、R
ad1~R
ad2自身の基であり、
R
ad’~R
ad’’’は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
であり、R
adD~R
adE、R
ad2は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]
で示されるトリメチロールプロパンとポリイソシアネートのアダクト体、
下記構造式
【化15】
[式中、n
ad1は0以上の整数であり、
R
adα~R
adεは、それぞれ独立にアルキレン基又はアリーレン基であり、
R
adA~R
adBは、それぞれ独立に
【化16】
(式中、n
ad1’は0以上の整数であり、
R
adδ’~R
adε’は、それぞれ独立にアルキレン基又はアリーレン基であり、
R
adB’は、R
adA~R
adB自身の基であり、
R
adδ’~R
adε’、R
adB’は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
R
adδ~R
adεは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]
で示されるグリセリンとポリイソシアネートのアダクト体等が例示される。
【0152】
ポリイソシアネートのアダクト体は、デュラネートP301-75E(以上旭化成(株)製)、タケネートD110N、タケネートD160N(以上三井化学(株)製)、コロネートL、コロネートHL(以上東ソー(株)製)等が例示される。
【0153】
ポリイソシアネートのNCO含有率(NCO%)の上限及び下限は、30、25、20、15、10%等が例示される。1つの実施形態において、上記NCO含有率(NCO%)は、10~30%が好ましい。
【0154】
ポリイソシアネートのイソシアネート基当量の上限及び下限は、420、400、350、300、250、200、150、140g/eq等が例示される。1つの実施形態において、上記イソシアネート基当量は140~420g/eqが好ましい。
【0155】
本開示において、イソシアネート基当量とは、イソシアネート基1モルあたりの質量の計算値(g/eq)を意味する。
【0156】
ポリイソシアネートのイソシアネート基当量と(A)成分及び(B)成分の水酸基当量の合計との比(NCO/OH)の上限及び下限は、1、0.9、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、0等が例示される。1つの実施形態において、上記比(NCO/OH)は、0~1が好ましい。
【0157】
消費OH基量の上限及び下限は、150、125、100、75、50、25、10mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、上記消費OH基量は10~150mgKOH/gが好ましい。
【0158】
本開示において、消費OH基量は、(A)成分及び(B)成分中のOH基をどれだけ消費するNCOを加えたかを示す指標である。消費OH基量は下記式
消費OH基量=添加したポリイソシアネート量/イソシアネート基当量×56.1
により算出される。
【0159】
アンダーコート剤中のポリイソシアネートの含有量の上限及び下限は、40、30、20、15、10、5、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、0~40質量%が好ましい。
【0160】
<有機溶媒(E):(E)成分ともいう>
1つの実施形態において、上記アンダーコート剤は、有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0161】
有機溶媒は、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン溶媒;トルエン及びキシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール及びブタノール等のアルコール溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート及びセロソルブアセテート等のエステル溶媒;ソルベッソ#100及びソルベッソ#150(いずれも商品名。エクソン社製。)等の石油系溶媒;クロロホルム等のハロアルカン溶媒;ジメチルホルムアミド等のアミド溶媒等が例示される。これらの中でも本発明のアンダーコート剤のポットライフの観点よりケトン溶媒が好ましく、ケトン溶媒の中でもアセチルアセトンが好ましい。
【0162】
アンダーコート剤中の有機溶剤の含有量の上限及び下限は、95、90、80、70、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記含有量は、50~95質量%程度が好ましい。なおアンダーコート剤に含まれる有機溶媒には、(A)~(D)成分を製造する際に使用される有機溶媒が含まれていてもよい。
【0163】
<硬化触媒(F):(F)成分ともいう>
1つの実施形態において、上記アンダーコート剤は、硬化触媒を含み得る。硬化触媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0164】
(F)成分は、無機触媒、有機触媒等が例示される。
【0165】
無機触媒は、典型金属触媒、遷移金属触媒等が例示される。
【0166】
典型金属触媒は、錫触媒、ビスマス触媒等が例示される。
【0167】
錫触媒は、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等が例示される。
【0168】
ビスマス触媒は、オクチル酸ビスマス等が例示される。
【0169】
遷移金属触媒は、チタン触媒、ジルコニウム触媒、鉄触媒等が例示される。
【0170】
チタン触媒は、チタンエチルアセトアセテート等が例示される。
【0171】
ジルコニウム触媒は、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等が例示される。
【0172】
鉄触媒は、鉄アセチルアセトネート等が例示される。
【0173】
有機触媒は、アミン触媒等が例示される。
【0174】
アミン触媒は、ジアザビシクロオクタン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン及びトリエチレンジアミン等が例示される。
【0175】
アンダーコート剤中の硬化触媒の含有量の上限及び下限は、1、0.9、0.75、0.5、0.25、0.1、0.09、0.05、0.02、0.01、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、アンダーコート剤中の硬化触媒の含有量は、0~1質量%程度が好ましい。
【0176】
<添加剤>
上記アンダーコート剤は、上記(A)~(F)成分以外の剤を添加剤として含み得る。添加剤は、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、消泡剤、表面調整剤、顔料、帯電防止剤、金属酸化物微粒子分散体、有機微粒子分散体等が例示される。1つの実施形態において、添加剤の含有量は、アンダーコート剤の0.1~10質量%、10質量%未満、5質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が例示される。また、(A)~(F)成分のいずれかの0.1~10質量%、10質量%未満、5質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が例示される。
【0177】
上記アンダーコート剤は、(A)~(B)成分、並びに必要に応じて、(C)~(F)成分及び/又は添加剤等を各種公知の手段で混合することにより得られる。なお、各成分の添加順序は特に限定されない。また、分散・混合手段としては、各種公知の装置(乳化分散機、超音波分散装置等)を用いることができる。
【0178】
1つの実施形態において、上記アンダーコート剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂用アンダーコート剤等として使用される。
【0179】
[硬化物]
本開示は、上記アンダーコート剤の硬化物を提供する。
【0180】
1つの実施形態において、上記硬化物は上記アンダーコート剤に活性エネルギー線を照射し得られる硬化物であるか、又は上記アンダーコート剤を熱硬化し、次いで活性エネルギー線を照射し得られる硬化物である。硬化条件は後述のもの等が例示される。
【0181】
[積層物]
本開示は、基材の少なくとも片面に上記アンダーコート剤の硬化物を含むアンダーコート剤硬化物層が積層している、積層物を提供する。1つの実施形態において、上記アンダーコート剤硬化物層に活性エネルギー線硬化性樹脂硬化物層が積層している。
【0182】
基材は各種公知のものが採用される。基材はポリカーボネート基材、アクリル基材(ポリメチルメタクリレート基材等)、ポリスチレン基材、ポリエステル基材、ポリオレフィン基材、エポキシ樹脂基材、メラミン樹脂基材、トリアセチルセルロース基材、ABS基材、AS基材、ノルボルネン系樹脂基材、環状オレフィン基材、ポリビニルアルコール基材等が例示される。更にその表面に金属酸化物等の蒸着層や易接着層、ハードコート層などが設けられていてもよい。基材の厚みも特に限定されないが、50~2000μm程度が好ましい。また、アンダーコート層の厚みは特に限定されないが、0.1~5μm程度が好ましい。
【0183】
上記積層物は各種公知の方法で製造される。1つの実施形態において、積層物の製造方法は、アンダーコート剤を基材の少なくとも片面に塗工する工程(塗工工程)、及び必要に応じて熱硬化してアンダーコート剤硬化物層を形成する工程(熱硬化工程)を含む。1つの実施形態において、上記フィルムには、アンダーコート剤硬化物層に活性エネルギー線硬化性樹脂硬化物層が積層している。その場合、アンダーコート剤硬化物層に活性エネルギー線硬化性樹脂を塗工する工程(塗工工程)、必要に応じて乾燥を行う工程(乾燥工程)、活性エネルギー線を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂硬化物層を形成する工程(活性エネルギー線硬化工程)をさらに含む。
【0184】
(塗工工程)
塗工方法は、バーコーター塗工、ワイヤーバー塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、フローコート塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が例示される。
【0185】
塗工量は特に限定されない。塗工量は、乾燥後の質量が0.1~30g/m2程度が好ましく、1~20g/m2程度がより好ましい。
【0186】
(熱硬化工程)
乾燥方法は、循風乾燥機等による乾燥等が例示される。乾燥条件は80~120℃で30秒~10分静置等が例示される。
【0187】
フィルムを製造する際、必要に応じて乾燥の後にエージング処理が行われる。一例として、40℃で72時間のエージング処理等が例示される。
【0188】
(活性エネルギー線硬化工程)
活性エネルギー線硬化反応に用いる活性エネルギー線は、紫外線や電子線等が例示される。紫外線の光源は、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置等が例示される。なお、光量や光源配置、搬送速度等は必要に応じて調整できる。高圧水銀灯を使用する場合には、80~160W/cm程度の光量を有するランプ1灯に対して搬送速度2~50m/分程度で硬化させるのが好ましい。一方、電子線の場合には、10~300kV程度の加速電圧を有する電子線加速装置により、搬送速度5~50m/分程度の条件で硬化させるのが好ましい。
【0189】
活性エネルギー線硬化性樹脂は、(メタ)アクリルエステル、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート等のラジカルで硬化させる樹脂(例えば、荒川化学工業(株)製「ビームセットシリーズ」))、エポキシド、オキセタン、ビニルエーテル等をカチオン又はアニオンで硬化させる樹脂、アルケンとチオールとのエン-チオール反応により硬化させる樹脂等が例示される。これらは、併用されてもよい。
【実施例】
【0190】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の好ましい実施形態における説明及び以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供するものではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。また、各実施例及び比較例において、特に説明がない限り、部、%等の数値は質量基準である。
【0191】
<(A)成分>
製造例1-1:水酸基含有(メタ)アクリルポリマーの製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル275.6部(モノマー成分中79.9質量%)、アクリル酸n-ブチル10.3部(モノマー成分中3質量%)、アクリル酸2-ヒドロキシエチル58.6部(モノマー成分中17質量%)、及びスチレン0.4部(モノマー成分中0.1質量%)並びにメチルエチルケトン125部及び酢酸エチル525部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、2,2’-アゾビス(2,メチルバレロニトリル)2.1部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルブチロニトリル)5.2部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後、反応系を室温まで冷却することにより、水酸基含有(メタ)アクリルポリマー1の溶液(不揮発分35%)を得た。
【0192】
製造例1-1以外の水酸基含有(メタ)アクリルポリマーは、モノマーの使用量を下記表のように変更したことを除き、製造例1-1と同様にして製造した。
【0193】
【表1】
MMA:メタクリル酸メチル
BA:アクリル酸n-ブチル
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
St:スチレン
EA:アクリル酸エチル
【0194】
<(B)成分>
製造例2-1
撹拌機、温度計、還流冷却機、窒素流入口を取り付けた四つ口フラスコに、酢酸ブチル125部、グリシジルメタクリレート(以下、GMA)50部、 MMA 50部、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)1部を仕込んで攪拌し、窒素気流化で100℃まで昇温したのち10時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却して、アクリル酸25部、トリフェニルホスフィン 0.1部、メトキノン 0.05部を仕込み、窒素流入口をエアーバブリング装置に取り換えて空気を反応液中にバブリングしながら攪拌して、110℃まで昇温させ9時間保温反応させることで、樹脂固形分50%の樹脂1を得た。なお、重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算値)は9,000であった。重量平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC-8220」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSKgel SuperHM-L」を3本直列に連結して測定した値を示す。撹拌機、温度計、還流冷却機、窒素流入口を取り付けた四つ口フラスコに、酢酸ブチル48.6部、グリシジルメタクリレート(以下、GMA)32.6部、アゾビスイソブチロ
ニトリル(以下、AIBN)1.6部を仕込んで攪拌し、窒素気流化で100℃まで昇温したのち10時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却して、アクリル酸16.6部、トリフェニルフォスフィン 0.1部、メトキノン 0.5部を仕込み、窒素流入口をエアーバブリング装置に取り換えて空気を反応液中にバブリングしながら攪拌して、110℃まで昇温させ9時間保温反応させることで、樹脂固形分50%の樹脂1を得た(表1)。なお、重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算値)は12,000であり、アクリル基一つあたりの分子量は214と算出された。重量平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC-8220」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSKgel superHZ2000」を3本直列に連結して測定した値を示す。
【0195】
製造例2-1以外の水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートは、モノマーの使用量を下記表のように変更したことを除き、製造例2-1と同様にして製造した。なお、表中、GMAとMMAの値はアクリル酸(AA)付加前のポリマー中における含有量を示し、アクリル酸の値は、GMA100質量%に対する値を示している。
【0196】
【表2】
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メタクリル酸メチル
AA:アクリル酸
アクリル当量の単位は、g/eqである。
【0197】
(実施例1)
(A)成分として製造例1-1の水酸基含有(メタ)アクリルポリマー1を70部、(B)成分として製造例2-1の水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートAを30部、(C)成分としてOmnirad184(IGM社製)を5部仕込み、15分攪拌することにより、アンダーコート剤を製造した。
【0198】
実施例1以外のアンダーコート剤は、成分組成を下記表のように変更した以外は、実施例1と同様にして製造した。
【0199】
【表3】
【表4】
コロネートHX:東ソー(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体、固形分濃度100質量%、NCO%=20.5~22.0%
【0200】
(積層物の製造)
(1)アンダーコート剤硬化物層の形成
PC/PMMA二層シート(テクノロイC001:住友化学(株)製)に実施例1~13、比較例1~5に係るアンダーコート剤を乾燥後の膜厚が2μmとなるように塗工し、実施例1~12及び比較例1~5については100℃×60秒乾燥の後、300mJ/cm2にてUV硬化を実施した。実施例13、14については100℃×5分乾燥の後、UV硬化を実施した。
(2)活性エネルギー線硬化性樹脂硬化物層の形成
アンダーコート剤硬化物層上に、活性エネルギー線硬化性樹脂を乾燥後の膜厚が5~6μmとなるように塗工し、80℃×60秒乾燥の後、300mJ/cm2にてUV硬化を実施した。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、多官能アクリルエステル系(ジペンタエリスリトールポリアクリレート)のビームセット700(荒川化学(株)製)を用いて評価を実施した。光重合開始剤として、Omnirad184を活性エネルギー線硬化性樹脂の固形分に対し5%添加した。
【0201】
(乾燥性)
上記アンダーコート剤硬化物層の状態を下記基準により評価した。
○…べたつきがない
×…べたつきがある
【0202】
(基材との密着性)
アンダーコート剤硬化物層の形成後に密着性について、JIS K 5400に規定されるセロハンテープ碁盤目剥離試験にて評価を実施した。評価基準は以下に示すとおりである。
○…100マス碁盤目試験で100/100
△…100マス碁盤目試験で50~70/100
×…100マス碁盤目試験で20以下/100
【0203】
(外観)
上記積層物(アンダーコート剤硬化物層及び活性エネルギー線硬化性樹脂硬化物層)の外観を下記基準により評価した。
○…無色透明である
×…白化している
【0204】
(活性エネルギー線硬化性樹脂硬化物層との密着性)
活性エネルギー線硬化性樹脂硬化物層の形成後に密着性について、上記基材との密着性と同様の手法、評価基準により評価を実施した。
【0205】
評価例
評価例のアンダーコート剤は、成分組成を下記表のように変更した以外は、実施例1と同様にして製造した。
【0206】
【0207】
(加熱伸度)
PETフィルム(コスモシャインA4100:東洋紡(株)製)に上記と同様にしてアンダーコート剤硬化物を作製し、1.5cm×13cmに切り出したフィルムを150℃の順風乾燥機中でテンシロン万能材料試験機(エー・アンド・デイ社製)を用いて塗膜にクラックが生じるまで引張、加熱伸度を下式より算出した。
加熱伸度(%)=
[(引張後のフィルム長さ)-(引張前のフィルム長さ)]/(引張前のフィルム長さ)×100