(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】灯具、及び照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20240903BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20240903BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240903BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21V19/00 510
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020059810
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小津 祥平
(72)【発明者】
【氏名】長尾 拓
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-179209(JP,A)
【文献】特開2019-160667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21V 19/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具装着器具に着脱自在に装着される灯具であって、
第1面の側に光源が配置される基台と、
前記基台における前記第1面と反対の面である第2面に保持される巻回部、ならびに、前記巻回部の端部を
前記巻回部の巻回軸と交わる方向に沿って延伸させて形成され、前記灯具装着器具に設けられた連結部に連結される連結アームを有
する連結バネと、
前記基台の第2面の側であり、前記巻回部の巻回軸の方向において前記巻回部よりも
前記基台の端部から離れた領域に、前記巻回部の巻回軸と交わる方向に沿って、前記連結アームに隣接して設けられた
板状の移動規制部と
を備えた灯具。
【請求項2】
前記連結アームは、
前記巻回部に近づくほど前記基台の第2面に近づくように傾斜するアーム主部を有しており、
前記移動規制部は、
前記アーム主部の傾斜角度よりも傾斜角度が大きい傾斜部を有する請求項1に記載の灯具。
【請求項3】
前記移動規制部
と前記巻回部との間には、
前記
巻回部の巻回軸を中心に
して、前記連結アームの先端部が前記基台の第2面から離れる向きに移動するように弾性変形した前記連結アームが、前記
巻回部の巻回軸の方向に沿って、
前記移動規制部よりも前記基台の端部から離れた領域に傾倒可能となる傾倒許容部を有している請求項1
又は請求項
2に記載の灯具。
【請求項4】
前記移動規制部は、
前記巻回部に近い側の端部に、前記連結アームが
前記傾倒許容
部に傾倒している状態を保持する傾倒保持部を有している請求項
3に記載の灯具。
【請求項5】
前記連結バネはバネ固定具を用いて前
記基台に取り付けられており、
前
記移動規制部は、
前記バネ固定具と一体に形成されている請求項1から請求項
4の何れか一項に記載の灯具。
【請求項6】
前
記移動規制部は、
前記基台と一体に形成されている請求項1から請求項
5の何れか一項に記載の灯具。
【請求項7】
請求項1から請求項
6の何れか一項に記載の灯具と、
前記連結部が配置されるとともに、前記灯具が着脱自在に装着される装着部を備えた灯具装着器具と
を備えた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、灯具装着器具に対して着脱自在に装着される灯具、及び灯具を備えた照明装置に関し、灯具装着器具に灯具を装着するための灯具側連結具の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光灯を用いた照明装置に替わって発光ダイオード(以下、LEDと称す。)を光源とした照明装置として、天井などの被取付部に取り付けられる照明器具とLEDを光源とした光源ユニットとを備え、光源ユニットが、弾性力により取付け具に掛けられる取付けばねによって、照明器具に対して着脱自在に装着される照明装置がある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたコイルばねである取付けばねは、光源ユニットを照明器具に着脱する際に、取付け具に掛けられた状態でコイル部の中心軸に沿って傾倒するように取付け部材に取り付けられている。このため、光源ユニットの照明器具に対する着脱の際に取付けばねが取付け具から外れてしまったり、取付けばねが取付け具に掛けられていない状態で取付けばねに外力が加えられてしまったりした場合には、アーム部が、取付け部材に固定されている光源モジュール、及び電源ユニットに接続される電線などに接触し、これらを損傷させてしまうおそれがあった。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決するものであり、灯具装着器具に灯具を装着するために灯具に設けられる灯具側連結具が、灯具の両側部の間に配置された灯具を構成する部品を損傷させるおそれがない灯具、及び照明装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る灯具は、灯具装着器具に着脱自在に装着される灯具であって、第1面の側に光源が配置される基台と、基台における第1面と反対の面である第2面に保持される巻回部、ならびに、巻回部の端部を巻回部の巻回軸と交わる方向に沿って延伸させて形成され、灯具装着器具に設けられた連結部に連結される連結アームを有する連結バネと、基台の第2面の側であり、巻回部の巻回軸の方向において巻回部よりも基台の端部から離れた領域に、巻回部の巻回軸と交わる方向に沿って、連結アームに隣接して配置された板状の移動規制部とを備えたものである。
【0007】
本開示に係る照明装置は、上記の灯具と、前記連結部が配置されるとともに、灯具が着脱自在に装着される装着部を備えた灯具装着器具とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る灯具は、第1面の側に光源が配置される基台と、基台における第1面と反対の面である第2面に保持される巻回部、ならびに、巻回部の端部を巻回部の巻回軸と交わる方向に沿って延伸させて形成され、灯具装着器具に設けられた連結部に連結される連結アームを有する連結バネと、基台の第2面の側であり、巻回部の巻回軸の方向において巻回部よりも基台の端部から離れた領域に、巻回部の巻回軸と交わる方向に沿って、連結アームに隣接して配置された板状の移動規制部とを備えたものである。このため、灯具は、連結アームに隣接して配置された移動規制部によって連結アームの移動が規制されるものとなり、連結アームによって灯具を構成する部品が損傷させるおそれがないものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る照明装置の斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る照明装置を器具と灯具とに分割した分割斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る灯具の要部を示す拡大斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る照明装置の要部を示す断面図であり、(a)は灯具の吊具が器具の吊具係合部に係合された状態を示し、(b)は灯具のバネが器具のバネ受具に係合された状態を示し、(c)は灯具のバネが器具のバネ受具に連結され、灯具が器具に装着された状態を示す。
【
図6】実施の形態1に係る照明装置の要部を示す別の断面図であり、
図5(c)におけるA-A断面図である。
【
図7】実施の形態1に係る灯具の要部を示す拡大上面図であり、(a)は灯具が器具に装着されていない状態におけるバネの可動範囲を示し、(b)は灯具が器具に装着された状態におけるバネの配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態に係る灯具、及び照明装置ついて、図面を参照して説明する。同じまたは対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、実施の形態の説明において、向き、或いは位置が示されている場合がある。これらの表記は、説明の便宜上、そのように記載されており、照明装置、器具(灯具装着器具)、灯具、或いは部品などの配置、方向、及び向きを限定するものではない。
【0012】
実施の形態1.
実施の形態1の照明装置の構成を、
図1~
図4を参照して説明する。
図1は、実施の形態1に係る照明装置の一構成例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示した照明装置を器具と灯具とに分割した分割斜視図である。
【0013】
照明装置1は、
図1に示すように、長尺状の照明装置である。照明装置1は、天井、壁といった造営部9に取付けられる器具2と、器具2に対して着脱自在に装着される灯具3とを有する。器具2は灯具3が着脱自在に装着される灯具装着器具であり、器具本体などとも称する。灯具3は光源ユニットなどとも称する。
【0014】
図1、及び
図2を含む各図において、説明の便宜上、器具2の長手方向をX方向とし、器具2の短手方向をY方向とし、X方向、及びY方向に垂直な方向をZ方向とする。各図に示すZ1は灯具3を器具2に取り付ける向きであり、Z2は灯具3を器具2から取り外す向きである。
【0015】
器具2は、長尺状の長手方向に伸びる器具本体部20と、器具本体部20の両端に取り付けられる器具端部21とを有する。器具本体部20の長手方向の側面には、天井などの器具2が取り付けられる面に対して傾斜した器具外面部202が設けられている。器具端部21には、ノックアウト部210が設けられている。ノックアウト部210は、例えば、隣接する照明装置などから電線を引き込む際に取り外される。
【0016】
図2に示すように、器具2には、灯具3を収容する空間である灯具装着部22が形成されている。灯具装着部22は、器具本体部20の天面部200、側面部201、及び器具端部21に囲まれており、天面部200と反対側が照射空間に向って開口している長尺状の空間である。灯具装着部22には、バネ受具23と、端子台24と、電力供給線、及び制御信号線を含む器具側電線25とが配置されている。また、側面部201には、後述する灯具3に設けられた吊具36が係合する吊具係合部26である貫通孔が形成されている。バネ受具23、及び吊具係合部26は、照明装置1の連結部を構成する器具2の側の連結部である。器具2の側の連結部は、長手方向Xにおける器具2の両端部側に一組ずつ設けられている。バネ受具23、及び吊具係合部26は、後段で詳しく説明する。
【0017】
図3は、
図2に示した灯具を造営部9の側から見たときの斜視図である。灯具3は、光源部30、第1面3300の側に光源部30が配置される基台33、器具2のバネ受具23に連結されるバネ34、器具2の吊具係合部26に連結される吊具36、透光性を有する外郭部39、点灯電力を生成する電源部40、電源部40から光源部30に点灯電力を供給する経路である給電線43、給電線43を保持する電線保持具50と、電力供給線、及び制御信号線を含む灯具側電線70、灯具側電線70などを保持する電線配置具80を有する。光源部30は光源などとも称する。
【0018】
灯具3は、器具2に対して着脱自在に装着される。詳しくは、灯具3に設けられたバネ34と器具2に設けられたバネ受具23とが連結され、灯具3に設けられた吊具36と器具2に設けられた吊具係合部26とが連結されることによって、灯具3が器具2に装着される。バネ34、及び吊具36は、照明装置1の連結部を構成する灯具3の側の連結部である。灯具3の側の連結部は、バネ34、及び吊具36は、後段で詳しく説明する。
【0019】
基台33は、光源基板31の他面311に対向する面であって光源部30が支持される第1面3300と、第1面3300の反対の面であって、バネ34、吊具36、電源部40などが支持される第2面3301とを有する。基台33は、第1面3300、及び第2面3301を備えた基部である配置部330と、短手方向Yにおける配置部330の端部から第2面3301の側に立ち上がる側部339とを有する。
【0020】
光源部30は、基台33の第1面3300に取り付けられる。光源部30は、給電線43を介して受電する点灯電力によって光を出射する発光素子32が設けられた光源基板31と、光源基板31に設けられ点灯電力を発光素子32に供給する経路となる受電部314とを有する。光源基板31は、発光素子32が配置された一面310と、一面310の反対側の面である他面311とを有する。
【0021】
発光素子32は、電源部40から給電線43を介して供給される点灯電力を受けて光を出射する発光部である。発光素子32は、例えば、光源基板31に面実装されるLEDなどの発光素子である。本実施の形態1においては、発光素子32としてLEDを使用する構成例を説明するが、発光素子32はLEDに限らない。各図に示す構成例では、光源基板31の一面310に複数の発光素子32が設けられている。なお、発光素子32は、LEDと他の光源とが組み合わされたものであってもよい。受電部314は、基板32の一面310、及び他面311のうち、少なくともいずれかに設けられている。受電部314は、電源部40から供給される点灯電力を光源部30に中継する。
【0022】
外郭部39は、ガラス、樹脂材料などを用いて形成される透光性のカバーである。外郭部39は、灯具3の長手方向に伸びるカバー主部390と、カバー主部390の両端に設けられたカバー端部391とを有する。カバー主部390は、光源部30から出射される光を透過する透光部391と、基台33に取り付けられる取付部392とを有する。詳しくは、取付部392は、基台33の配置部330に沿って形成され配置部330を支持する第1取付部393と、基台33の側部339に沿って形成され側部339に取り付けられる第2取付部394とから成る。外郭部39は、基台33の第1面3300に取り付けられた状態の光源部30を覆う。
【0023】
電源部40は、基台33に形成された切絞り部である電源支持部333に筐体42の一部を差し込んだ状態で、固定具85を用いて基台33に固定される。
【0024】
基台33の配置部330には、給電線43を挿通させるとともに、給電線43を基台33に保持する電線保持具50を取り付けるために、第1面3300と第2面3301とを貫通する電線保持具取付孔331が形成されている。
【0025】
灯具側電線70は、一端が電源部40に接続されており、他端を器具2に配置される器具側電線25と電気的に接続することによって、照明装置1の外部から外部電力が供給される経路となる。
【0026】
給電線43は、一端が電源部40に接続され、他端が光源部30の受電部314に接続される。給電線43は、電源部40から光源部30に点灯電力が供給される経路となる。給電線43は、基台33に形成された貫通孔である電線保持具取付孔331を経由して配置され、電線保持具50によって基台33に保持される。
【0027】
電線保持具50は、基台33の配置部330に設けられた電線保持具取付孔331に対して、スライド装着、及びスナップフィット装着などの方法で取り付けられる。電線保持具50をより強固に基台33に取り付けるために、ネジ、或いはリベットなどの固定具を用いてもよい。電線保持具50は、給電線43と電線保持具取付孔331の端縁とが接触しないように給電線43を保持し、給電線43の損傷、給電線43と基台33との短絡などを防止する。
【0028】
電線配置具80は、例えば、灯具3に追加される機能部品に接続される電力供給線、及び制御信号線などを基台33に配置するために用いられる。電線配置具80は、電力供給線、及び制御信号線が、吊ボルトなどに接触することを防止し、これらを保護する。
電線配置具80は、基台33の配置部330に設けられた電線配置具取付孔332に対して、スライド装着、及びスナップフィット装着などの方法で取り付けられる。
【0029】
図4は、実施の形態1に係る灯具の要部を示す拡大斜視図である。詳しくは、
図4(a)は、
図2に示した灯具の連結部付近を拡大した斜視図であり、
図4(b)は、
図2に示した灯具の連結部付近を拡大した異なる向きの斜視図である。
【0030】
灯具3の側の連結部は、器具2の側の連結部に連結された状態で、灯具3の自重を支える。灯具3の側の連結部は、長手方向Xにおける灯具3の両端部側に一組ずつ設けられている。灯具3の側の一組の連結部は、短手方向Yにおける基台33の端部に設けられるバネ34と吊具36とを有する。
【0031】
バネ34は、バネ固定具35によって、短手方向Yにおける基台33の一方の端部に取り付けられる。バネ34は、線材を巻回軸Oの周りに一巻き以上巻いて形成される巻回部(コイル部)340を有するバネであり、コイルバネなどとも称される。バネ34は、巻回部340の一方の端部を延伸させた連結アーム341と、巻回部340の他方の端部を延伸させた固定アーム345とを有する。実施の形態1のバネ34は、巻回部340、連結アーム341、及び固定アーム345のいずれも弾性変形するように形成されている。
【0032】
連結アーム341は、アーム主部342と、アーム主部342における巻回部340と反対側の端部に繋がるアーム先端部343とを有する。アーム主部342は、器具2に配置されたバネ受具23と係り合い、バネ34の弾性力をバネ受具23に伝える。アーム先端部343は、アーム主部342と先端側屈曲部3441を介して繋がっており、例えば、灯具3を器具2から取り外す際にバネ受具23と係り合うことによって、灯具3が脱落することを防止する。アーム主部342は、施工性を考慮して主部屈曲部3440で屈曲するV字状を成している。アーム主部342は他の屈曲形状であってもよいし、U字状に湾曲したものであってもよいし、屈曲、或いは湾曲を伴わない形状であってもよい。
【0033】
固定アーム345は、バネ固定具35に固定されるアーム固定部346と、巻回部340とアーム固定部346とを繋ぐアーム接続部347とを有する。
【0034】
バネ34は、例えば、ステンレス鋼線、黄銅線、軟鋼線、ピアノ線などの線材を用いて形成されており、線バネなどとも称される。
【0035】
バネ固定具35は、ネジ、或いはリベットなどの固定具85を用いて基台33に固定される。バネ固定具35は、基台33に固定された状態で基台33の配置部330に支持される基部350、バネ固定具にバネを挿入するためのバネ挿入部351、バネ34の巻回部340に挿入された状態でバネ34を保持するバネ保持部352、固定アーム345が固定されるバネ固定部353、連結アーム341の移動を規制する移動規制部354、台座359を有し、実施の形態1では、これらが一体に形成されている。
【0036】
実施の形態1では、バネ固定具35は金属製の板(板金)を折り曲げて形成されているが、これに限らず、バネ固定具35は3次元造形などの他の製造方法で形成されたものであってもよい。
【0037】
バネ34は、巻回部340がバネ挿入部351からバネ保持部352に向って挿入され、バネ保持部352が巻回部34の内部に差し込まれた状態で保持され、固定アーム345がバネ固定部353に固定された状態でバネ固定具35に装着される。バネ固定具35は、バネ34がバネ固定具35から外れないように、バネ挿入部351を基台33の側部339の側に向け、バネ挿入部351が側部339に沿うように基台33に取り付けられる。
【0038】
台座359は、配置部330の第2面3301における、巻回部340よりも連結アーム341の側のバネ配置領域3302に配置されている。連結アーム341は、灯具3が器具2に装着されていない状態で台座359に接触しており、連結アーム341は、アーム先端部343が第2面3301から離間した状態でバネ配置領域3302に配置されている。
【0039】
移動規制部354は、バネ保持部352を間にして、バネ固定部353の反対側に、バネ配置領域3302に沿って配置されている。移動規制部354は、短手方向Yにおける基台33の一方の端部に近い位置に配置される第1移動規制部355と、第1移動規制部355よりも短手方向Yにおける基台33の一方の端部から離れた位置に配置される第2移動規制部356とから成る。
【0040】
第1移動規制部355は、バネ挿入部351を間にしてバネ固定353部と反対側に、基台33の側部339に沿うように配置され、第2移動規制部は、バネ保持部352を間にしてバネ固定部353と反対側に設けられる。第1移動規制部355と第2移動規制部356との間に台座359が配置される。
【0041】
移動規制部354は、配置部330の第2面3301を基準とした移動規制部354の最大高さ寸法が、配置部330の第2面3301を基準とした台座359の最大高さ寸法よりも大きくなるように形成されている。このため、巻回部340の弾性力によって倒れた状態でバネ配置領域3302に配置されている連結アーム341は、移動規制部354によって第2面3301に沿った方向への移動が規制される。つまり、連結アーム341は、バネ配置領域3302の内側に留まり、バネ配置領域3302の外側への移動が規制される。
【0042】
実施の形態1では、移動規制部354は、配置部330の第2面3301を基準とした移動規制部354の最大高さ寸法が、配置部330の第2面3301を基準とした側部339の最大高さ寸法より大きくなるように形成されている。このため、連結アーム341は、短手方向Yにおける側部339より外側への移動が規制される。
【0043】
実施の形態1では、移動規制部354は、配置部330の第2面3301を基準とした移動規制部354の最大高さ寸法が、配置部330の第2面3301を基準とした巻回部340の最大高さ寸法より大きくなるように形成されている。このため、連結アーム341は、弾性変形させた状態であっても、Y方向に沿って移動規制部354と重なる状態であれば、短手方向Yにおける側部339より外側への移動が規制される。ここで、連結アーム341の弾性変形とは、照明装置1に係る通常の施工作業における弾性変形を想定したものである。
【0044】
連結アーム34は、第1移動規制部355を超えてバネ配置領域3302の外側に移動することがないので、灯具の外観意匠部分であり光学部品である外郭部39に接触したり、外郭部39を損傷させたりするおそれがない。また、連結アーム34は、第2移動規制部356を超えてバネ配置領域3302の外側に移動することがないので、配置部330の第2面3301の側に配置される灯具側電線70、或いは給電線43に接触したり、灯具側電線70、或いは給電線43を損傷させたりするおそれがなく、配置部330に形成された光源保持部337などの貫通孔を介して光源部30に接触したり光源部30を損傷させたりするおそれもない。
【0045】
吊具36は、短手方向Yにおける基台33の他方の端部に取り付けられる。つまり、吊具36は、短手方向Yにおける基台33の端部のうち、バネ34が設けられた側と反対側の端部に設けられる。
【0046】
吊具36は、第2面3301に沿って330を滑動する吊具滑動部360、吊具滑動部360の端部から吊具滑動部360と交差する方向に(Z方向)立ち上がる吊具接続部361、吊具接続部361の吊具滑動部360と反対側の端部と繋がり吊具滑動部360から離れるように張り出す吊具張出部362、及び吊具張出部362の吊具接続部361と反対側の先端部を屈曲させた吊具先端部363を有する。
【0047】
吊具滑動部360は、配置部330の一部が第2面3301の側に切り起こされた吊具取付部338によって保持されており、Y方向に沿って第2面3301の側を滑動する。
【0048】
吊具接続部361は、吊具滑動部360と吊具張出部362とを接続するとともに、Y方向における吊具36の滑動範囲を規定する。吊具接続部361は、吊具取付部338と基台33における他方の側の側部339との間を移動し、吊具36は吊具接続部361の移動範囲に対応した範囲で移動する。
【0049】
吊具張出部362は、灯具3が器具2に装着された状態で器具2の吊具係合部26と係り合い、短手方向Yにおける基台33の他方の端部において灯具3を支持する。
【0050】
吊具先端部363は、例えば、施工時などに灯具3を器具2に着脱する際に器具2の吊具係合部26と係り合い、灯具3が脱落することを防止する。
【0051】
次に、実施の形態1の移動規制部の特徴について、
図5~
図7を参照して説明する。
図5は、実施の形態1に係る照明装置の要部を示す断面図である。詳しくは、
図5(a)は灯具の吊具が器具の吊具係合部に係合された状態を示し、
図5(b)は灯具のバネが器具のバネ受具に係合された状態を示し、
図5(c)は灯具のバネが器具のバネ受具に連結され、灯具が器具に装着された状態を示す。
図6は、実施の形態1に係る照明装置の要部を示す別の断面図であり、
図5(c)におけるA-A断面図である。
図7は、実施の形態1に係る灯具の要部を示す拡大上面図であり、詳しくは、
図7(a)は灯具のバネが器具のバネ受具に連結されていない状態におけるバネの可動範囲を示し、
図7(b)は灯具のバネが器具のバネ受具に連結された状態におけるバネの配置を示す。
【0052】
実施の形態1の照明装置1は、器具2に灯具3を取り付けたり、器具2に装着されている状態の灯具3を取り外したりする際に、バネ34の連結アーム341が巻回軸Oを中心に弾性変形した状態で、巻回軸Oの方向に沿って傾倒する。
【0053】
このため、移動規制部354には、連結アーム341が巻回軸Oを中心に弾性変形した状態で、巻回軸Oの方向に沿って傾倒可能となる傾倒許容部が設けられる。実施の形態1では、第2移動規制部356とバネ保持部352との間の領域が傾倒許容部であり、この領域には第2移動規制部356が設けられていない。
【0054】
傾倒許容部が設けられたことによって、連結アーム341は巻回軸Oを中心に弾性変形した状態で、巻回軸Oの方向に沿って傾倒可能となり、第2移動規制部356が連結アーム341の傾倒を妨げることがない。このため、器具2に灯具3を取り付けたり、器具2に装着されている状態の灯具3を取り外したりする作業を妨げることがない。
【0055】
第2移動規制部356は、バネ保持部352の側の端辺が傾斜した傾斜部357となっている。傾斜部357は、バネ保持部352に近づくほど配置部330の第2面3301に近づくように傾斜している。つまり、第2移動規制部356の傾斜部357は、バネ保持部352に近くなるほど高さ寸法が小さく、バネ保持部352から遠くなるほど高さ寸法が大きい。
【0056】
配置部330の第2面3301を基準とした傾斜部357の傾斜角度θ1は、第2移動規制部356の少なくとも一部が、バネ配置領域3302に配置された連結アーム341とY方向に沿って重なるように決定される。実施の形態1では、傾斜部357の傾斜角度θ1は、アーム主部342の巻回部340よりの傾斜角度θ2より大きく、第2移動規制部356とアーム主部342とがY方向に沿って重なっている。このため、バネ配置領域3302に配置された連結アーム341は、第2移動規制部356を超えてバネ配置領域3302の外側に移動することがない。
【0057】
連結アーム341が巻回軸Oを中心に弾性変形した状態で、巻回軸Oの方向に沿って傾倒する際に、連結アーム341は傾斜部357に接触した状態で傾斜部357を滑動する。そして、連結アーム341は、傾斜部357によってバネ配置領域3302の外側にスムーズに傾倒(移動)するように案内される。
【0058】
また、連結アーム341が巻回軸Oを中心に弾性変形した状態でバネ配置領域3302の外側に傾倒(移動)している連結アーム341が、バネ34の弾性力によってバネ配置領域3302に戻る際に、連結アーム341は傾斜部357に接触した状態で傾斜部357を滑動する。そして、連結アーム341は、傾斜部357によってバネ配置領域3302に移動する(戻る)ように案内される。
【0059】
このように、第2移動規制部356は、バネ配置領域3302に配置された連結アーム341が、バネ配置領域3302の外側に移動しないように移動を規制するとともに、巻回軸Oを中心に弾性変形した状態の連結アーム341が、巻回軸Oの方向に沿って、バネ配置領域3302の外側に傾倒(移動)することを妨げない。このため、器具2に灯具3を取り付けたり、器具2に装着されている状態の灯具3を取り外したりする作業を妨げることがない。
【0060】
第2移動規制部356の傾斜部357には連結アーム341が弾性変形を伴って傾倒した状態を保持する傾倒保持部が設けられている。実施の形態1では、傾斜部357におけるバネ保持部352の側の端部に設けられた段差部358が傾倒保持部であり、連結アーム341のアーム主部342が段差部358と係り合った状態で、連結アーム341は傾倒した状態が保持される。
【0061】
次に、器具2の側の連結部について説明する。バネ受具23、及び吊具係合部26は、照明装置1の連結部を構成する器具2の側の連結部は、バネ受具23、及び吊具係合部26から成る。器具2の側の連結部は、長手方向Xにおける器具2の両端部側に一組ずつ設けられている。
【0062】
バネ受具23は、灯具3が器具2に装着された状態、或いは灯具3を器具2に対して着脱する際において、灯具3の側の連結部であるバネ34と係り合う。
【0063】
バネ受具23は、灯具3が器具2に装着された状態、或いは灯具3を器具2に対して着脱する際において、灯具3のバネ固定具35と接触しないように形成され、或いは配置される。バネ受具23は、器具本体部20の天面部220にネジ、リベットといった固定具85を用いて固定されている。バネ受具23は、器具本体部20の側面部201に固定されるものであってもよい。
【0064】
バネ受具23は、器具2の天面部200に支持される固定部230、灯具3のバネ34と係り合う係合部231、固定部230と係合部231とを繋ぐ接続部232、及び、係合部231における接続部232と反対側の端部に設けられ、係合部231と係り合うバネ34の移動を規制する規制部233から成る。
【0065】
接続部232は天面部200の側から係合部231に向うほど、短手方向Yにおける器具2の中央側に徐々に変位するように傾斜している。つまり、接続部232は、天面部200の側で側面部201に近づき、係合部231の側で側面部201から遠ざかるように傾斜している。実施の形態1では、傾斜部232は、全体が傾斜した傾斜面を成しているがこれに限らない。
【0066】
規制部233は、係合部231と係り合うバネ34が外れないように係合状態を維持する。
【0067】
灯具3が器具2に装着された状態では、灯具3に設けられた移動規制部354が、バネ受具23の係合部231よりも器具本体部20の天面部200の側に及んで配置される。このため、少なくとも係合部231、規制部233、及び接続部232は、灯具3のバネ固定具35(移動規制部354)と接触しないように、灯具装着部22設けられる。
【0068】
実施の形態1では、バネ固定具35は金属製の板(板金)を折り曲げて形成されているが、これに限らず、バネ固定具35は3次元造形などの他の製造方法で形成されたものであってもよい。
バネ受具23は、長手方向Xが法線方向となるように板金を配置したものであってもよく、長手方向Xに沿って貫通する貫通孔を設け、バネ34が貫通孔と係り合うようにしてもよい。この場合、貫通孔の端縁の一部を、接続部231に相当する傾斜端縁とすることが好ましい。
【0069】
吊具係合部26は、器具本体部20の側面部201に設けられた貫通孔であり、灯具3が器具2に装着された状態、或いは灯具3を器具2に対して着脱する際において、灯具3の側の連結部である吊具36と係り合う。吊具係合部26は、貫通孔が設けられた部品を灯具装着部22に配置したものであってもよい。
【0070】
器具2に対する灯具3の着脱手順の概要を説明する。
【0071】
まず、
図5(a)に示すように、天井などの造営部9に取り付けられた灯具装着器具である器具2の灯具装着部22に設けられた吊具係合部26に灯具3の吊具36を挿入して、吊具36の吊具先端部363を吊具係合部26に引っ掛ける。このとき、灯具3のバネ34の連結アーム341は、
図7(a)のS1の位置にあり、バネ配置領域3302に配置されている。
【0072】
吊具36の吊具先端部363は器具2の吊具係合部26と係り合い、灯具3が器具2から脱落することを防止できるため、この状態で、例えば、器具側電線25と灯具側電線70との接続などの配線作業を安全に実施することができる。
【0073】
次に、
図5(b)に示すように、連結アーム341のアーム先端部343をバネ受具23係合部231に引っ掛ける。このとき、灯具3のバネ34の連結アーム341は、
図7(a)のS3の位置にあり、連結アーム341は傾斜部357に接触した状態で傾斜部357を滑動する。そして、灯具3のバネ34の連結アーム341は、
図7(a)のS2の位置に移り、弾性変形を伴って傾倒した状態で傾倒保持部である段差部358と係り合っている。連結アーム341の弾性変形を伴って傾倒した状態が保持される。
【0074】
図5(b)状態から、灯具3を器具2の側に押し上げると、連結アーム341の弾性変形を伴って傾倒した状態が解除され、灯具3は、バネ34の弾性力が復元する復元力によって、吊具36を支点として回動し、器具側に徐々に引き寄せられる。このとき、灯具3のバネ34の連結アーム341は、
図7(a)のS3の位置にあり、連結アーム341は傾斜部357に接触した状態で傾斜部357を滑動する。
【0075】
最後に、
図5(b)に示すように、器具2に対する灯具3の装着(取り付け)が完了する。このとき、灯具3のバネ34の連結アーム341は、
図7(b)のS4の位置にあり、連結アーム341はバネ受具23の係合部に係り合い連結される。
【0076】
なお、上記の器具2に対する灯具3の装着(取り付け)の手順と逆の手順によって、器具2から灯具3を取り外すことができる。
【0077】
以上の説明のとおり、実施の形態1の灯具3は、第1面3300の側に光源部30が配置される基台33と、巻回部340、ならびに、巻回部340の端部を延伸させて形成され、灯具装着器具である器具2に設けられた器具2の側の連結部に連結される連結アーム341を有し、基台33の第1面3300と反対の面である第2面3301の側に配置される連結バネ34と、巻回部340よりも器具2の側の領域に、巻回部340の巻回軸Oと交わる方向に沿って、連結アーム341に隣接して配置された移動規制部354とを備えている。このため、灯具3は、連結アーム341に隣接して配置された移動規制部354によって連結アーム341の移動が規制され、連結アーム341によって灯具3を構成する部品が損傷させるおそれがないものとなる。
【0078】
なお、実施の形態1において、移動規制部354はバネ固定具35の一部として一体に形成されるものとして説明したが、これに限らない。移動規制部354は独立した部品を基台33に設置するようにしてもよいし、或いは、基台33の一部を加工することによって移動規制部354を形成するようにしてもよい。
【0079】
実施の形態2.
図示は省略するが、バネ34の連結アーム341が傾倒することなく、器具2に対する灯具3の着脱を行うことができる場合は、傾倒許容部を設けなくてもよい。つまり、連結アーム341の両側に、傾斜部357、及び段差部358を備えない移動規制部354が配置されてもよい。
【0080】
基台33が器具2の天面部200と向かい合う姿勢を維持した状態で、器具2に対する灯具3を着脱可能な場合に好適である。
【0081】
実施の形態3.
図示は省略するが、器具2に対する灯具3の着脱の際に、バネ34の連結アーム341が巻回軸Oに沿って何れの向きにも傾倒させる必要がある場合は、連結アーム341の両側に傾倒許容部を設けてもよい。つまり、連結アーム341の両側に、傾斜部357、及び段差部358を備えた移動規制部354が配置されてもよい。
【0082】
以上、実施の形態に基づいて灯具、及び照明装置を説明したが、灯具、及び照明装置は上記した実施の形態の構成に限定されるものではない。上記した照明装置の構成は、一例であって、他の構成要素を含んでもよい。灯具、及び照明装置は、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含むものである。
【0083】
照明装置は、長手方向Xにおける端部側に一対(二組)の連結部を有するものとして説明したがこれに限らない。例えば、照明装置は一つの連結部を有するものであってもよいし、三つ以上の連結部を有するものであってもよい。
【0084】
また、バネは、本開示のバネである線バネ以外のものであってもよいし、バネ受具は、線バネ以外のバネと係合するものであってもよい。線バネ以外のバネとして、例えば板バネを採用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 照明装置、2 器具、20 器具本体部、200 天面部、201 側面部、202 器具外面部、21 器具端部、210 ノックアウト部、22 灯具装着部、23 バネ受具、230 固定部、231 係合部、232 接続部、233 規制部、24 端子台、25 装着具側電線、26 吊具係合部(側面部貫通孔)、3 灯具、30 光源部、31 光源基板、310 一面、311 他面、312 基板貫通孔、314 受電部、32 発光素子、33 基台、330 配置部、3300 第1面、3301 第2面、3302 バネ配置領域、331 電線保持具取付孔、332 電線配置具取付孔、333 電源支持部、334 電源固定部、335 ネジ挿通孔、337 光源保持部、338 吊具取付部、339 側部、34 バネ、340 巻回部、341 連結アーム、342 アーム主部、343 アーム先端部、344 アーム屈曲部、3440 主部屈曲部、3441 先端側屈曲部、345 固定アーム、346 アーム固定部、347 アーム接続部、35 バネ固定具、350 基部、351 バネ挿入部、352 バネ保持部、353 バネ固定部、354 移動規制部、355 第1移動規制部、356 第2移動規制部、357 傾斜部、358 段差部、359 支持部、36 吊具、360 吊具滑動部、361 吊具接続部、362 吊具張出部、363 吊具先端部、39 カバー、390 カバー主部、391 透光部、392 取付部、393 第1取付部、394 第2取付部、395 カバー端部、40 電源部、42 筐体、43 給電線、50 電線保持具、70 灯具側電線、80 電線配置具、85 固定具、9 造営部。