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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 9/20 20060101AFI20240903BHJP
   B60C 9/22 20060101ALI20240903BHJP
   B60C 13/00 20060101ALI20240903BHJP
   B60C 15/06 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B60C9/20 D
B60C9/22 C
B60C13/00 E
B60C15/06 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020066927
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021160669
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】吉住 拓真
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-111004(JP,A)
【文献】特開2002-370508(JP,A)
【文献】特開2003-146029(JP,A)
【文献】特開2012-241065(JP,A)
【文献】特開2018-154075(JP,A)
【文献】特開2017-133144(JP,A)
【文献】特開2011-042301(JP,A)
【文献】特開2005-041409(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194386(WO,A1)
【文献】特開2013-071468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0174422(US,A1)
【文献】特開2007-153318(JP,A)
【文献】米国特許第06374888(US,B1)
【文献】特開平11-240981(JP,A)
【文献】特開2007-168554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 9/00-9/22
B60C 13/00
B60C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気入りタイヤであって、
トレッド部と、
一対のサイドウォール部と、
それぞれにビードコアが埋設された一対のビード部と、
前記ビードコアに跨るように前記一対のビード部間を延びるカーカス層と、
前記カーカス層のタイヤ半径方向外側に配されたベルト層と、
前記ベルト層のタイヤ半径方向外側に配されたバンド層とを含み、
前記バンド層は、タイヤ周方向に配列されたバンドコードを含み、
前記バンドコードの2%モジュラスは、4500~9000N/mm2であり、
前記一対のビード部には、各ビードコアのタイヤ半径方向外側にビードエイペックスゴムが配されており、
前記ビードエイペックスゴムの複素弾性率E*2は、20MPa以下である、
空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記バンドコードの前記2%モジュラスは、7000N/mm 2 以上である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記サイドウォール部には、前記カーカス層のタイヤ軸方向外側にサイドウォールゴムが配されており、
前記サイドウォールゴムの複素弾性率E*1は、3.0~4.5MPaである、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記バンドコードは、アラミド繊維を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
ビードベースラインからの前記ビードエイペックスゴムのタイヤ半径方向の外端までのタイヤ半径方向距離は、タイヤ断面高さの25~45%である、請求項1ないし4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレッド補強層として、ベルト層とそのタイヤ半径方向外側に配されたバンド層とを備えた空気入りタイヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-101803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1において、バンド層は、優れた燃費性を発揮しながら操縦安定性能とロードノイズ性能とを向上させることに寄与すると記載されている。
【0005】
しかしながら、近年では、空気入りタイヤの高速耐久性能と乗り心地性能との両立が求められている。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、高速耐久性能と乗り心地性能との両立を容易に達成できる空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、空気入りタイヤであって、トレッド部と、一対のサイドウォール部と、それぞれにビードコアが埋設された一対のビード部と、前記ビードコアに跨るように前記一対のビード部間を延びるカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ半径方向外側に配されたベルト層と、前記ベルト層のタイヤ半径方向外側に配されたバンド層とを含み、前記バンド層は、タイヤ周方向に配列されたバンドコードを含み、前記バンドコードの2%モジュラスは、4500~9000N /mm2である。
【0008】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、バンドコードの前記2%モジュラスは、7000N/mm2以上である、ことが望ましい。
【0009】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記サイドウォール部には、前記カーカス層のタイヤ軸方向外側にサイドウォールゴムが配されており、前記サイドウォールゴムの複素弾性率E*1は、3.0~4.5MPaである、ことが望ましい。
【0010】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記バンドコードは、アラミド繊維を含む、ことが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記一対のビード部には、各ビードコアのタイヤ半径方向外側にビードエイペックスゴムが配されており、前記ビードエイペックスゴムの複素弾性率E*2は、20~80MPaである、ことが望ましい。
【0012】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、ビードベースラインからの前記ビードエイペックスゴムのタイヤ半径方向の外端までのタイヤ半径方向距離は、タイヤ断面高さの25~45%である、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の前記空気入りタイヤでは、前記バンド層は、タイヤ周方向に配列された前記バンドコードを含み、前記バンドコードの前記2%モジュラスが、4500N/mm2以上であるので、高速走行時の前記トレッド部の膨張が抑制され、高速耐久性能が容易に高められる。一方、前記バンドコードの前記2%モジュラスが、9000N/mm2以下であるので、前記トレッド部の柔軟性が確保され、乗り心地性能が向上する。これにより、高速耐久性能と乗り心地性能との両立を容易に達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の空気入りタイヤの一実施形態を示す子午断面図である。
図2図1の空気入りタイヤのタイヤ赤道に対する一方側の断面図である。
図3図2のバンドプライを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ1の正規状態におけるタイヤ回転軸(図示省略)を含む子午断面図である。図2は、図1の空気入りタイヤのタイヤ赤道CLに対する一方側の断面を示している。
【0016】
「正規状態」とは、空気入りタイヤ1が正規リムに組み込まれ、かつ、正規内圧が充填され、無負荷の状態である。以下、特に言及されない場合、空気入りタイヤ1の各部の寸法等はこの正規状態で測定された値である。
【0017】
「正規リム」とは、空気入りタイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0018】
「正規内圧」とは、空気入りタイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITSAT VARIOUSCOLD INFLATION PRESSURES"に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。空気入りタイヤ1が乗用車用である場合、正規内圧は、例えば、180kPaであってもよい。
【0019】
レース用のタイヤのように、適用される規格がない場合、正規リム、正規内圧には、メーカにより推奨されるリム、空気圧が適用される。
【0020】
空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、一対のサイドウォール部3と、一対のビード部4と、カーカス層6と、ベルト層7と、バンド層9とを含んでいる。
【0021】
一対のビード部4のそれぞれには、ビードコア5が埋設されている。ビードコア5は、例えば、スチール製のビードワイヤ(図示省略)を多列多段に巻回した断面多角形状に形成されている。
【0022】
カーカス層6は、ビードコア5に跨るように一対のビード部4間を延びる。カーカス層6は、少なくとも1枚のカーカスプライ6Aを有する。カーカスプライ6Aは、例えば、カーカスコードの配列体がトッピングゴムで被覆されて形成されている。カーカスコードには、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維等の有機繊維やスチールが適用される。
【0023】
ベルト層7は、トレッド部2において、カーカス層6のタイヤ半径方向外側に配されている。ベルト層7は、少なくとも1枚、本実施形態では、タイヤ半径方向の内外に2枚のベルトプライ7A及び7Bから構成されている。ベルトプライ7A及び7Bは、例えば、ベルトコードの配列体がトッピングゴムで被覆されて形成されている。ベルトプライ7A及び7Bのベルトコードは、スチールコード等の高弾性のものが望ましい。
【0024】
バンド層9は、トレッド部2において、ベルト層7のタイヤ半径方向外側に配されている。バンド層9は、バンドコードをタイヤ周方向に対して、例えば10度以下となるように、小さい角度で配列された少なくとも1枚のバンドプライ9Aで構成される。バンドプライ9Aには、バンドコード又はリボン状の帯状プライを螺旋状に巻き付けることにより形成されたジョイントレスバンドやプライをスプライスしたもののいずれでもよい。
【0025】
なお、カーカス層6の内側、すなわちタイヤ内腔面には、インナーライナー層10が形成されている。インナーライナー層10は、空気不透過性のゴムからなり、内圧を保持する。
【0026】
図3は、バンドプライ9Aの構成を示している。バンドプライ9Aは、バンドコード9Cを含んでいる。バンドコード9Cは、タイヤ周方向に配列されている。バンドコード9Cは、トッピングゴム9Dによって被覆されている。
【0027】
バンドコードの素材には、例えば、ナイロン(66ナイロン)繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)繊維、アラミド繊維等の有機繊維が適用される。
【0028】
本実施形態のバンドコード9Cの2%モジュラスは、4500~9000N/mm2である。
【0029】
ここで、「2%モジュラス」とは、JIS L1017の化学繊維タイヤコード試験方法における引張強さ及び伸び率の試験(8.5項)に準拠し、引張速度30±2cm/分にて測定した伸び2%における引張弾性率を意味し、応力-歪曲線の傾きをコード断面積で除したものである。
【0030】
バンドコード9Cの2%モジュラスが4500N/mm2以上であることにより、高速走行時のトレッド部2の膨張が抑制され、高速耐久性能が容易に高められる。一方、バンドコード9Cの2%モジュラスが9000N/mm2以下であることにより、トレッド部2の柔軟性が確保され、路面から入力される衝撃等がトレッド部2にて吸収され、乗り心地性能が向上する。これにより、高速耐久性能と乗り心地性能との両立を容易に達成することが可能となる。
【0031】
高速耐久性能をさらに向上させる観点では、バンドコード9Cの2%モジュラスは、7000N/mm2以上が望ましい。このようなバンドコード9Cは、例えば、アラミド繊維を含むコードにより、容易に実現可能である。また、特に、アラミド繊維とナイロン繊維の組み合わせによるハイブリッド構造のバンドコード9Cは、高速耐久性能と乗り心地性能との両立に寄与する。
【0032】
図1、2に示されるように、サイドウォール部3には、サイドウォールゴム3Gが配されている。サイドウォールゴム3Gは、カーカス層6のタイヤ軸方向外側に配されている。
【0033】
サイドウォールゴム3Gの複素弾性率E*1は、3.0~4.5MPaが望ましい。
【0034】
本願において、ゴムの複素弾性率は、JIS-K6394の規定に準じて、次に示される条件で、例えば、GABO社製動的粘弾性測定装置(イプレクサーシリーズ)を用いて測定した値である。
初期歪み:10%
振幅:±1%
周波数:10Hz
変形モード:引張り
測定温度:70℃
【0035】
サイドウォールゴム3Gの複素弾性率E*1が3.0MPa以上であることにより、サイドウォール部3の剛性が向上し、操縦安定性能が高められる。一方、サイドウォールゴム3Gの複素弾性率E*1が4.5MPa以下であることにより、サイドウォール部3の柔軟性が確保され、路面から入力される衝撃等がサイドウォール部3にて吸収され、乗り心地性能が向上する。
【0036】
ビード部4は、ビードエイペックスゴム8を有している。ビードエイペックスゴム8は、ビードコア5のタイヤ半径方向外側に配されている。ビードエイペックスゴム8は、タイヤ半径方向外側に向って先細となる断面略三角形状に形成されている。
【0037】
ビードエイペックスゴム8の複素弾性率E*2は、20~80MPaが望ましい。ビードエイペックスゴム8の複素弾性率E*2が20MPa以上であることにより、ビード部4の剛性が向上し、操縦安定性能が高められる。一方、ビードエイペックスゴム8の複素弾性率E*2が80MPa以下であることにより、ビード部4の柔軟性が確保され、路面から入力される衝撃等がビード部4にて吸収され、乗り心地性能が向上する。
【0038】
ビードベースラインBLからのビードエイペックスゴム8のタイヤ半径方向の外端8Eまでのタイヤ半径方向距離Dは、タイヤ断面高さHの25~45%が望ましい。上記距離Dがタイヤ断面高さHの25%以上であることにより、ビード部4の剛性が向上し、操縦安定性能が高められる。一方、上記距離Dがタイヤ断面高さHの45%以下であることにより、ビード部4の柔軟性が確保され、乗り心地性能が向上する。
【0039】
以上、本発明の空気入りタイヤ1が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
【実施例
【0040】
図1の基本構造を有するサイズ:195/65R15の空気入りタイヤが表1の仕様に基づき試作され、高速耐久性能及び乗り心地性能が評価された。バンドコードの2%モジュラスは、コード素材(66ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、アラミド)毎に繊度(dtex)及びツイスト数を変更することにより調整された。なお、各コードの5cmあたりの打ち込み本数は、49である。各試供タイヤの仕様のうち、表1に記載されていないものは共通である。テスト方法は、以下の通りである。
【0041】
<高速耐久性能>
各試供タイヤが、リム:15×6.0Jに装着され、ドラム試験機を用いて、内圧:300kPa、荷重:4.4kN、速度:270km/hの条件下で走行され、損傷が発生するまでの走行時間が測定された。結果は、比較例1の走行時間を100とする指数であり、数値が大きいほど、高速耐久性能に優れていることを示す。
【0042】
<乗り心地性能>
上記リムに装着された各試供タイヤが、内圧:240kPaの条件で、排気量が1800ccの車両の全輪に装着された。そして、テストドライバーが、乾燥アスファルト路面のテストコースを上記車両にて走行し、このときの乗り心地性能がテストドライバーの官能により評価された。結果は、比較例1を100とする評点で示され、数値が大きいほど良好である。
【0043】
テストの結果が表1に示される。なお、例えば、各性能を示す数値を各例ごとに総和することにより、各例の総合性能が判断されうる(以下、表2以降において同様)。
【表1】
【0044】
表1から明らかなように、実施例の空気入りタイヤは、比較例に比べて高速耐久性能及び乗り心地性能がバランスよく両立していることが確認できた。
【0045】
図1の基本構造を有するサイズ:195/65R15の空気入りタイヤが表2の仕様に基づき試作され、高速耐久性能、乗り心地性能及び操縦安定性能が評価された。各試供タイヤの仕様のうち、表2に記載されていないものは共通である。テスト方法は、以下の通りである。
【0046】
<高速耐久性能>
上記と同様に、各試供タイヤの走行時間が測定された。結果は、実施例6の走行時間を100とする指数であり、数値が大きいほど、高速耐久性能に優れていることを示す。
【0047】
<乗り心地性能>
テストドライバーが、乾燥アスファルト路面のテストコースを上記車両にて走行し、このときの乗り心地性能がテストドライバーの官能により評価された。結果は、実施例6を100とする評点で示され、数値が大きいほど良好である。
【0048】
<操縦安定性能>
テストドライバーが、乾燥アスファルト路面のテストコースを上記車両にて走行し、このときの操縦安定性能がテストドライバーの官能により評価された。結果は、実施例6を100とする評点で示され、数値が大きいほど良好である。
【0049】
テストの結果が表2に示される。
【表2】
【0050】
なお、本テストに用いられたサイドウォールゴムの配合(PHR)と、その複素弾性率E*は、表3の通りである。
【表3】
【0051】
各配合の詳細は以下の通りである。
天然ゴム(NR):RSS#1
ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のBR150B
カーボン:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN550
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
老化防止剤6C:住友化学工業(株)製のアンチゲン6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤RD:大内新興化学工業(株)製のノクラック224
プロセスオイル:出光興産(株)製のミネラルオイルPW-380
ステアリン酸:日本油脂(株)製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
5%硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
【0052】
図1の基本構造を有するサイズ:195/65R15の空気入りタイヤが表4の仕様に基づき試作され、高速耐久性能、乗り心地性能及び操縦安定性能が評価された。各試供タイヤの仕様のうち、表4に記載されていないものは共通である。テスト方法は、以下の通りである。
【0053】
<高速耐久性能>
上記と同様に、各試供タイヤの走行時間が測定された。結果は、実施例11の走行時間を100とする指数であり、数値が大きいほど、高速耐久性能に優れていることを示す。
【0054】
<乗り心地性能>
テストドライバーが、乾燥アスファルト路面のテストコースを上記車両にて走行し、このときの乗り心地性能がテストドライバーの官能により評価された。結果は、実施例11を100とする評点で示され、数値が大きいほど良好である。
【0055】
<操縦安定性能>
テストドライバーが、乾燥アスファルト路面のテストコースを上記車両にて走行し、このときの操縦安定性能がテストドライバーの官能により評価された。結果は、実施例11を100とする評点で示され、数値が大きいほど良好である。
【0056】
テストの結果が表4に示される。
【表4】
【0057】
図1の基本構造を有するサイズ:195/65R15の空気入りタイヤが表5の仕様に基づき試作され、高速耐久性能、乗り心地性能及び操縦安定性能が評価された。各試供タイヤの仕様のうち、表5に記載されていないものは共通である。テスト方法は、以下の通りである。
【0058】
<高速耐久性能>
上記と同様に、各試供タイヤの走行時間が測定された。結果は、実施例16の走行時間を100とする指数であり、数値が大きいほど、高速耐久性能に優れていることを示す。
【0059】
<乗り心地性能>
テストドライバーが、乾燥アスファルト路面のテストコースを上記車両にて走行し、このときの乗り心地性能がテストドライバーの官能により評価された。結果は、実施例16を100とする評点で示され、数値が大きいほど良好である。
【0060】
<操縦安定性能>
テストドライバーが、乾燥アスファルト路面のテストコースを上記車両にて走行し、このときの操縦安定性能がテストドライバーの官能により評価された。結果は、実施例16を100とする評点で示され、数値が大きいほど良好である。
【0061】
テストの結果が表5に示される。
【表5】
【符号の説明】
【0062】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
3G サイドウォールゴム
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス層
7 ベルト層
8 ビードエイペックスゴム
9 バンド層
9C バンドコード
BL ビードベースライン
D タイヤ半径方向距離
H タイヤ断面高さ
図1
図2
図3