(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】利用者の誘導機能を備えるエレベーター
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20240903BHJP
B66B 1/18 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B66B3/00 M
B66B3/00 L
B66B3/00 G
B66B1/18 N
(21)【出願番号】P 2020068977
(22)【出願日】2020-04-07
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 高史
(72)【発明者】
【氏名】石橋 幸夫
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/195354(WO,A1)
【文献】特開2015-218015(JP,A)
【文献】特開2006-341964(JP,A)
【文献】特開2018-135215(JP,A)
【文献】特開平02-075581(JP,A)
【文献】特開平06-080332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00- 3/02
B66B 1/00- 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1かごに乗車する前の第1利用者が前記第1かごに乗車するときに占有する床面の範囲を表す第1範囲の情報を取得する第1情報取得部と、
前記第1かごの床面において占有されている範囲を表す第2範囲の情報を取得する第2情報取得部と、
前記第1範囲の情報および前記第2範囲の情報に基づいて、前記第1かごに乗車している第2利用者を前記第1利用者が前記第1かごに乗車しうるように誘導する誘導部と、
前記第2範囲の情報を前記第1利用者に提示する提示部と、
を備え
、
前記提示部は、前記第1利用者の出発階の乗場に設けられた乗場投影機が前記乗場の床面に投影する映像によって前記第2範囲の情報を提示する
エレベーター。
【請求項2】
前記第2情報取得部は、前記第1かごの内側に設けられたかごカメラが撮影する映像に基づいて
前記第2範囲の情報を取得する
請求項1に記載のエレベーター。
【請求項3】
前記誘導部は、前記第1かごの内側に設けられたかご投影機が前記第1かごの床面に投影する映像によって前記第2利用者を誘導する
請求項1または請求項2に記載のエレベーター。
【請求項4】
前記第1情報取得部は、前記第1利用者と同乗するグループの人数を検出し、取得した前記第1範囲の情報を当該検出の結果に基づいて修正し、
前記誘導部は、前記グループの全員が前記第1かごに乗車しうるように前記第2利用者を誘導する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエレベーター。
【請求項5】
前記第1情報取得部は、前記第1利用者が床面上を移動する運搬器具を伴っている場合に当該運搬器具を検出し、取得した前記第1範囲の情報を当該検出の結果に基づいて修正し、
前記誘導部は、前記第1利用者が当該運搬器具を伴って前記第1かごに乗車しうるように前記第2利用者を誘導する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーター。
【請求項6】
前記第1利用者の出発階への前記第1利用者の呼びの情報を受け付け、前記第1かごを含む複数のかごのいずれかに前記呼びを割り当てる割当部
を備える
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のエレベーター。
【請求項7】
前記割当部は、前記誘導部による前記第2利用者の誘導を必要とせずに前記第1利用者が前記第1かごに乗車可能であると前記第1範囲の情報および前記第2範囲の情報に基づいて判定する場合に、前記第1かごに前記呼びを割り当てる
請求項6に記載のエレベーター。
【請求項8】
前記割当部は、前記誘導部が前記第2利用者を誘導すれば前記第1利用者が前記第1かごに乗車可能になると前記第1範囲の情報および前記第2範囲の情報に基づいて判定する場合に、前記誘導部に前記第2利用者を誘導させる
請求項6または請求項7に記載のエレベーター。
【請求項9】
前記割当部は、前記誘導部が前記第2利用者を誘導しても前記第1利用者が前記第1かごに乗車可能にならないと前記第1範囲の情報および前記第2範囲の情報に基づいて判定する場合に、前記複数のかごのうちの前記第1かごの他のかごに前記呼びを割り当てる
請求項6から請求項8のいずれか一項に記載のエレベーター。
【請求項10】
前記割当部は、前記呼びを前記第1かごに割り当てた後に前記第1利用者の前記第1かごの見送りを表す情報を受け付ける場合に、前記呼びの前記第1かごへの割当てを取り消した後に、前記複数のかごのいずれかに前記呼びを割り当て直す
請求項6から請求項9のいずれか一項に記載のエレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、利用者の誘導機能を備えるエレベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの例を開示する。エレベーターにおいて、画像認識によってかごの内部における利用者の位置が検出される。エレベーターにおいて、画像認識の結果に基づいて、かごに乗車している利用者にかご内において詰めるように促すアナウンスが流される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のエレベーターにおいて、かご内の状況のみに基づいてアナウンスが流される。このため、かご内の利用者は、どのように詰めれば利用者が新しく乗車できるか判断できない。この場合に、乗場から利用者が乗車する十分な範囲がかご内に確保されないことがある。ここで、かご内に十分な範囲が確保されていないことは、かごが乗場に停止してドアが開いたときに判明する。このとき、利用者が新たに乗車できないにも関わらず、かごが無駄に停止する。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、かごの無駄な停止が発生しにくいエレベーターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターは、第1かごに乗車する前の第1利用者が第1かごに乗車するときに占有する床面の範囲を表す第1範囲の情報を取得する第1情報取得部と、第1かごの床面において占有されている範囲を表す第2範囲の情報を取得する第2情報取得部と、第1範囲の情報および第2範囲の情報に基づいて、第1かごに乗車している第2利用者を第1利用者が第1かごに乗車しうるように誘導する誘導部と、第2範囲の情報を第1利用者に提示する提示部と、を備え、提示部は、第1利用者の出発階の乗場に設けられた乗場投影機が乗場の床面に投影する映像によって第2範囲の情報を提示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るエレベーターであれば、かごの無駄な停止が発生しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るエレベーターの構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るエレベーターのかごの内部および乗場の平面図である。
【
図3】実施の形態1に係るエレベーターによる誘導の例を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係るエレベーターによる誘導の例を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係るエレベーターによる誘導の例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係るエレベーターの動作の例を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態1に係るエレベーターの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の構成図である。
【0011】
エレベーター1は、例えば複数の階床を有する建物に適用される。建物において、昇降路2が設けられる。昇降路2は、複数の階床にわたる鉛直方向に長い空間である。複数の階床の各々において、乗場3が設けられる。各々の階床の乗場3において、1つ以上の乗場ドア4と、1つ以上の乗場カメラ5と、1つ以上の乗場投影機6と、乗場操作盤7と、が設けられる。この例において、複数の乗場ドア4と、複数の乗場カメラ5と、複数の乗場投影機6と、が設けられている。各々の乗場ドア4は、乗場3および昇降路2を区画するドアである。各々の乗場カメラ5は、いずれかの乗場ドア4に対応する。各々の乗場カメラ5は、乗場3において対応する乗場ドア4の前方の床面を撮影しうるように配置される。各々の乗場投影機6は、いずれかの乗場ドア4に対応する。各々の乗場投影機6は、乗場3において対応する乗場ドア4の前方の床面に映像を投影しうるように配置される。乗場操作盤7は、乗場3において利用者からの操作を受け付ける機器である。乗場操作盤7が受け付ける操作は、例えば乗場呼びの操作である。乗場操作盤7は、例えば複数のボタンまたはタッチパネルなどを有する。
【0012】
エレベーター1は、1つ以上のかご8と、1つ以上の巻上機9と、1つ以上の制御盤10と、を備える。この例において、エレベーター1は、複数のかご8と、複数の巻上機9と、複数の制御盤10と、を備えている。また、エレベーター1は、群管理装置11を備えている。
【0013】
各々のかご8は、昇降路2に設けられる。各々のかご8は、昇降路2を鉛直方向に走行することでエレベーター1の利用者などを複数の階床の間で輸送する装置である。各々のかご8は、各々の階床の乗場3において、いずれかの乗場ドア4に対応する。かご8は、かごドア12と、かごカメラ13と、かご投影機14と、かご操作盤15と、を備える。かごドア12は、いずれかの階床にかご8が停止しているときに、利用者がかご8に乗降しうるように当該階床の乗場3において対応する乗場ドア4を連動させて開閉する機器である。かごカメラ13は、かご8の内部の映像を撮影する機器である。かごカメラ13は、かご8の内部の例えば天井に設けられる。かごカメラ13は、例えば上方からかご8の床面を撮影する。かご投影機14は、かご8の床面に映像を投影する機器である。かごカメラ13は、かご8の内部の例えば天井に設けられる。かご操作盤15は、かご8に乗車している利用者からの操作を受け付ける機器である。かご操作盤15は、かご8の内部の例えば壁面に設けられる。かご操作盤15が受け付ける操作は、例えばかご呼びの操作である。かご操作盤15は、例えば複数のボタンまたはタッチパネルなどを有する。
【0014】
各々のかご8は、映像を表示する図示されない表示装置を備えていてもよい。表示装置は、例えばディスプレイなどである。また、各々のかご8は、音声を発する図示されない報知装置を備えていてもよい。報知装置は、例えばスピーカーなどである。
【0015】
各々の巻上機9は、例えば昇降路2の上部または下部などに設けられる。あるいは、建物においてエレベーター1の機械室が設けられる場合に、各々の巻上機9は、機械室に設けられてもよい。各々の巻上機9は、いずれかのかご8に対応する。各々の巻上機9は、対応するかご8を走行させる駆動力を発生させる装置である。
【0016】
各々の制御盤10は、例えば昇降路2の上部または下部などに設けられる。あるいは、建物においてエレベーター1の機械室が設けられる場合に、各々の制御盤10は、機械室に設けられてもよい。各々の制御盤10は、いずれかのかご8に対応する。各々の制御盤10は、対応するかご8の動作などを制御する装置である。かご8の動作は、例えばかご8の走行およびかごドア12の開閉などを含む。制御盤10は、例えばかごカメラ13が撮影する映像、およびかご操作盤15が受け付ける操作の情報などを取得する機能を搭載する。制御盤10は、例えばかご投影機14が投影する映像を出力する機能を搭載する。
【0017】
群管理装置11は、複数のエレベーター1の運行を管理する装置である。群管理装置11は、エレベーター1が適用される建物に設けられる。群管理装置11は、例えば昇降路2の上部または下部などに設けられてもよい。あるいは、建物においてエレベーター1の機械室が設けられる場合に、群管理装置11は、機械室に設けられてもよい。群管理装置11は、通信部16と、第1情報取得部17と、第2情報取得部18と、割当部19と、誘導部20と、提示部21と、を備える。
【0018】
通信部16は、群管理装置11の外部の機器または装置などとの間で通信を行う部分である。通信部16は、各々の階床の乗場3における各々の乗場カメラ5、各々の乗場投影機6、および乗場操作盤7に接続される。通信部16は、各々の制御盤10に接続される。通信部16は、例えば利用者が所持する図示されない携帯端末と通信を行ってもよい。携帯端末は、例えばスマートフォンなどの可搬な情報端末である。
【0019】
第1情報取得部17は、第1範囲の情報を取得する部分である。第1範囲は、かご8に乗車する前の利用者がかご8に乗車するときに占有する床面の範囲である。第1範囲の情報は、例えば第1範囲の面積および形状の情報を含んでもよい。第1情報取得部17は、例えば、各々の乗場カメラ5が撮影する映像に基づいて第1範囲の情報を取得する。第1情報取得部17は、各々の乗場カメラ5が撮影する映像から情報を抽出する画像認識の機能を搭載する。第1情報取得部17は、撮影された画像を例えば通信部16を通じて取得する。
【0020】
第2情報取得部18は、第2範囲の情報を取得する部分である。第2範囲は、かご8の床面において占有されている範囲である。第2範囲の情報は、例えば第2範囲の面積、形状、および位置の情報を含んでもよい。第2範囲は、例えばかご8に乗車している利用者によって占有されている。第2情報取得部18は、例えば、各々のかご8のかごカメラ13が撮影する映像に基づいて第2範囲の情報を取得する。第2情報取得部18は、各々のかご8のかごカメラ13が撮影する映像から情報を抽出する画像認識の機能を搭載する。第2情報取得部18は、撮影された画像を例えば通信部16を通じて取得する。
【0021】
ここで、かご8において占有される範囲は、かご8の内部にいる利用者自身の周りの範囲を含む。当該範囲は、例えば利用者からの距離が予め設定された距離より短い範囲などである。また、かご8において占有される範囲は、かご8の内部にいる利用者に同乗している他の利用者の周りの範囲を含む。また、かご8において占有される範囲は、利用者に伴ってかご8の内部に持ち込まれる運搬器具の周りの範囲を含む。ここで、運搬器具は、人または物を運搬するための床面上を移動する機器である。運搬器具は、例えば床面上を移動するための車輪を有する。運搬器具は、例えばショッピングカート、荷車、台車、トロリーバッグ、ベビーカー、または車椅子などを含む。
【0022】
割当部19は、利用者の呼びを複数のかご8のいずれかに割り当てる部分である。割当部19は、割り当てる利用者の呼びの情報を、通信部16を通じて受け付ける。割当部19は、呼びを割り当てたかご8に対応する制御盤10に当該呼びの情報を、通信部16を通じて通知する。割当部19がかご8に割り当てる呼びは、例えば乗場操作盤7が操作を受け付ける乗場呼びを含む。利用者の出発階は、例えば乗場呼びの操作を受け付けた乗場操作盤7が設けられる階床である。あるいは、割当部19がかご8に割り当てる呼びは、利用者の携帯端末からの携帯端末呼びを含んでもよい。利用者の出発階は、例えば携帯端末呼びにおいて指定された階床などである。
【0023】
誘導部20は、かご8に乗車している利用者を誘導する部分である。誘導部20は、第1範囲の情報および第2範囲の情報に基づいて誘導を行う。誘導部20は、例えばかご8に設けられたかご投影機14などの機器に制御信号を出力することによって誘導を行う。
【0024】
提示部21は、かご8に乗車する前の利用者に第2範囲の情報を提示する部分である。提示部21は、例えば利用者の出発階の乗場3に設けられた乗場投影機6などの機器に制御信号を出力することによって提示を行う。あるいは、提示部21は、携帯端末呼びの通信を行った利用者の携帯端末に情報を送信することによって第2範囲の提示を行ってもよい。
【0025】
続いて、
図2を用いてエレベーター1における第2範囲の情報の取得などについて説明する。
図2は、実施の形態1に係るエレベーター1のかご8の内部および乗場3の平面図である。
図2の左側において、かご8の内部の床面が示される。
図2の右側において、乗場3において当該かご8が対応する乗場ドア4の前方の床面が示される。
【0026】
かご8の床面において、複数のドット22aが付されている。複数のドット22aは、例えば正方格子などの格子状に規則的に配置される。
図2において、説明のため各々のドット22aは大きく表示されている。かご8の床面に対する各々のドット22aの大きさは、
図2に示される大きさより小さくてもよい。かご8の床面に対する複数のドット22aの個数は、
図2に示される個数より多くてもよい。
【0027】
第2情報取得部18は、第2範囲の情報を、かごカメラ13が撮影した床面の映像に基づいて取得する。第2情報取得部18は、例えばかごカメラ13が撮影した映像において、かご8に乗車している利用者または利用者によって持ち込まれた運搬器具などによって隠されたドット22aを検出する。第2情報取得部18は、隠されたドット22aの位置が占有されているとして第2範囲の情報を取得する。
【0028】
提示部21は、例えば乗場投影機6が投影する映像によって第2情報取得部18が取得した第2範囲の情報を乗場3にいる利用者に提示する。乗場3の床面において、乗場投影機6によって複数のドット22bの映像が投影されている。乗場3の床面の複数のドット22bは、かご8の床面の複数のドット22aに対応して投影されている。この例において、乗場3の床面の各々のドット22bの大きさは、かご8の床面の各々のドット22bと同様の大きさである。乗場3の床面の複数のドット22bの配置は、かご8の床面の複数のドット22bと同様の配置である。提示部21は、例えば複数のドット22bの映像によって、第2範囲の情報を提示する。提示部21は、例えば第2範囲の情報に基づいて占有されている範囲に対応するドット22bを投影させないように、乗場投影機6に制御信号を出力する。
【0029】
ここで、提示部21は、乗場投影機6に投影させる映像と同様の映像を、携帯端末呼びの通信を行った利用者の携帯端末に送信することによって第2範囲の提示を行ってもよい。
【0030】
続いて、
図3から
図5を用いてエレベーター1における利用者の誘導の例を説明する。
図3から
図5は、実施の形態1に係るエレベーター1による誘導の例を示す図である。
図3から
図5の左側において、かご8の内部の床面が示される。
図3から
図5の右側において、乗場3において当該かご8が対応する乗場ドア4の前方の床面が示される。
【0031】
図3において、運搬器具としてショッピングカート23aを伴っている利用者Aがエレベーター1を利用する場合の例が示される。
図3において、利用者Aの出発階の乗場3の平面図が示される。
図3において、利用者Bおよび利用者Cが乗車しているかご8の平面図が示される。
【0032】
利用者Aは、出発階の乗場3の乗場操作盤7によって、乗場呼びの操作を行う。利用者Aは、出発階の乗場3において待機する。かご8に乗車する前の利用者Aは、第1利用者の例である。
【0033】
出発階において乗場操作盤7が操作されるときに、出発階に設けられるいずれかの乗場カメラ5は、利用者Aおよび利用者Aのショッピングカート23aを撮影する。第1情報取得部17は、乗場カメラ5が撮影した映像を画像認識することによって、利用者Aを検出する。第1情報取得部17は、検出した利用者A自身の周りの範囲の情報を第1範囲の情報として取得する。第1情報取得部17は、乗場カメラ5が撮影した映像を画像認識することによって、利用者Aのショッピングカート23aを検出する。第1情報取得部17は、検出したショッピングカート23aの周りの範囲を利用者Aの第1範囲に追加することで、利用者Aの第1範囲の情報を修正する。第1情報取得部17は、第1範囲の情報を割当部19および誘導部20に出力する。
【0034】
割当部19は、利用者Aが乗場呼びの操作を行った乗場操作盤7から当該乗場呼びの情報を取得する。割当部19は、各々のかご8について順次、利用者Aの呼びの割当処理を例えば次のように行う。ここでは、利用者Bおよび利用者Cが乗車しているかご8についての割当処理を例として説明を行う。割当処理が行われるかご8に乗車している利用者Bおよび利用者Cの各々は、第2利用者の例である。
【0035】
割当処理が行われるかご8のかごカメラ13は、利用者Bおよび利用者Cを撮影する。第2情報取得部18は、かごカメラ13が撮影した映像を画像認識することによって、利用者Bおよび利用者Cを検出する。第1情報取得部17は、検出した利用者B自身の周りの範囲と、検出した利用者C自身の周りの範囲とを併せて、第2範囲の情報として取得する。第2情報取得部18は、第2範囲の情報を割当部19、誘導部20、および提示部21に出力する。
【0036】
割当部19は、利用者Aの第1範囲の情報および割当処理を行うかご8の第2範囲の情報に基づいて、当該かご8に乗車している利用者を誘導せずに利用者Aは乗車可能であるかを判定する。割当部19は、例えば割当処理を行うかご8に利用者が乗車していない場合に、当該かご8に乗車している利用者を誘導せずに利用者Aは乗車可能であると判定する。あるいは、割当部19は、例えば割当処理を行うかご8の床面において占有されずに残っている範囲が利用者Aの第1範囲を変形せずに収められる場合に、当該かご8に乗車している利用者を誘導せずに利用者Aは乗車可能であると判定する。
【0037】
割当処理を行うかご8に乗車している利用者を誘導せずに利用者Aが乗車可能であると判定するときに、割当部19は、当該かご8に利用者Aの呼びを割り当てる。割当処理によって呼びが割り当てられたかご8は、制御盤10の制御に基づいて、利用者Aの出発階に応答するように走行する。
【0038】
一方、割当処理を行うかご8に乗車している利用者を誘導せずに利用者Aが乗車可能ではないと判定するときに、割当部19は、当該かご8に乗車している利用者を誘導すれば利用者Aが乗車可能であるかを判定する。割当部19は、例えば割当処理を行うかご8において占有されずに残っている範囲の面積が利用者Aの第1範囲の面積より広い場合に、当該かご8に乗車している利用者を誘導すれば利用者Aは乗車可能であると判定する。
【0039】
割当処理を行うかご8に乗車している利用者を誘導すれば利用者Aが乗車可能であると判定するときに、割当部19は、当該かご8に乗車している利用者を誘導部20に誘導させる。
【0040】
誘導部20は、利用者Aの第1範囲の情報および割当処理を行うかご8の第2範囲の情報に基づいて、当該かご8に乗車している利用者の誘導方法を算出する。例えば
図3において、利用者Bが後方に詰めればかご8の前方に利用者Aがショッピングカート23aを伴って乗車できる面積が確保されるので、誘導部20は、後方に詰めるように利用者Bを促す誘導方法を算出する。誘導部20は、例えば、かご投影機14がかご8の床面に投影する映像によって利用者Bを誘導する。誘導部20は、例えば後方に詰めることを促す矢印の映像などを投影するように、制御信号をかご投影機14に出力する。かご投影機14は、入力される制御信号に基づいて矢印の映像を乗場3の床面に投影する。なお、かご投影機14は、利用者Bが投影された映像に注意を向けるように、例えば利用者Bの前方から後方に掛けて動く矢印の映像を投影してもよい。あるいは、かご投影機14は、利用者Aがショッピングカート23aを伴って乗車するときに占有する範囲をかご8の前方に投影してもよい。
【0041】
かご8に表示装置が設けられている場合に、誘導部20は、例えば後方に詰めることを利用者Bに促す矢印の映像などを表示するように、制御信号を表示装置に出力してもよい。また、かご8に報知装置が設けられている場合に、誘導部20は、例えば後方に詰めることを利用者Bに促す音声アナウンスを発するように、制御信号を報知装置に出力してもよい。
【0042】
利用者Bが誘導に従って移動する場合に、利用者Bが乗車しているかご8の第2範囲は変化する。割当部19は、当該かご8について利用者Aの呼びの割当処理を再び行う。このとき、第2情報取得部18は、利用者Bの移動によって変化した第2範囲の情報を取得する。
【0043】
一方、割当処理を行うかご8に乗車している利用者を誘導しても利用者Aが乗車可能でないと判定するときに、割当部19は、他のかご8について呼びの割当処理を行う。割当部19は、例えば予め設定された時間を経過してもかご8に乗車している利用者が誘導部20の誘導に応じない場合に、利用者Aは当該かご8に乗車可能でないと判定してもよい。全てのかご8について割当処理を既に行っている場合に、割当部19は、予め設定された時間が経過した後に、再び各々のかご8について利用者Aの呼びの割当処理を行ってもよい。全てのかご8について割当処理を既に行っている場合に、割当部19は、いずれかの階床においてかごドア12が開いたかご8について再び利用者Aの呼びの割当処理を行ってもよい。
【0044】
提示部21は、利用者Aの呼びが割り当てられたかご8の第2範囲の情報を、利用者Aの出発階に設けられる乗場投影機6が乗場3の床面に投影する映像によって提示する。提示部21は、当該かご8において占有されていない位置に対応するドット22bのみを投影させるように、制御信号を乗場投影機6に出力する。乗場投影機6は、入力される制御信号に基づいてドット22bの映像を乗場3の床面に投影する。あるいは、提示部21は、当該かご8において占有されている位置に対応するドット22bのみを投影させるように、制御信号を乗場投影機6に出力してもよい。
【0045】
利用者Aは、乗場投影機6が投影した映像によって、呼びが割り当てられたかご8の状況を把握できる。
【0046】
図4において、運搬器具としてショッピングカート23aを伴っている利用者Aがエレベーター1を利用する場合の例が示される。
図4において、利用者Aの出発階の乗場3の平面図が示される。
図4において、利用者Dおよび利用者Eが乗車しているかご8の平面図が示される。利用者Dは、運搬器具としてショッピングカート23dを伴ってかご8に乗車している。
【0047】
例えば利用者Aまたは利用者Aのショッピングカート23aが乗場カメラ5の死角にある場合などに、第1情報取得部17は、利用者Aの運搬器具としてショッピングカート23aを検出しない可能性がある。また、例えば利用者Aが利用者Aのショッピングカート23aから離れている場合などに、第1情報取得部17は、利用者Aの運搬器具としてショッピングカート23aを検出しない可能性がある。このような場合に、第1情報取得部17は、ショッピングカート23aの周りの範囲を含まない範囲として利用者Aの第1範囲の情報を取得する。ここで取得された情報が表す第1範囲は、実際の利用者Aの第1範囲より狭い。割当部19は、第1情報取得部17が取得した第1範囲の情報に基づいて割当処理を行う。
【0048】
この例において、割当部19は、
図4に示される利用者Dおよび利用者Eが乗車しているかご8に利用者Aの呼びを割り当てる。当該かご8において、利用者Aがショッピングカート23aを伴っていなければ乗車可能な面積が占有されずに残っている。一方、利用者Aはショッピングカート23aを伴っているので、当該かご8には実際には乗車できない。
【0049】
提示部21は、利用者Aの呼びが割り当てられたかご8の第2範囲の情報を、利用者Aの出発階に設けられる乗場投影機6が乗場3の床面に投影する映像によって提示する。
【0050】
利用者Aは、乗場投影機6が投影した映像によって、呼びが割り当てられたかご8の状況を把握する。利用者Aは、提示された情報に基づいて、当該かご8に実際には乗車できないと判断する。このとき、利用者Aは、出発階の乗場3の乗場操作盤7によって、当該かご8の見送りの操作を行う。見送りの操作は、例えば乗場操作盤7に見送りボタンが設けられている場合に、当該ボタンの押下であってもよい。あるいは、見送りの操作は、例えば乗場操作盤7のタッチパネルに見送りボタンが表示されている場合に、当該ボタンへのタッチであってもよい。
【0051】
なお、利用者Aが他の利用者の呼びの見送りの操作を行わないように、乗場操作盤7は、乗場呼びを受け付けたときに、呼びを特定する識別コードなどの情報を発行してもよい。この場合に、見送りの操作において、識別コードなどの呼びを特定する情報の入力が要求されてもよい。
【0052】
割当部19は、利用者Aがかご8の見送りの操作を行った乗場操作盤7から当該見送りの情報を受け付ける。このとき、割当部19は、当該かご8への利用者Aの呼びの割当てを取り消す。その後、割当部19は、複数のかご8の内の他のかご8の各々について順次、利用者Aの呼びの割当処理を行う。
【0053】
ここで、利用者Aは、所持している携帯端末において携帯端末呼びの操作を行ってもよい。このとき、利用者Aは、携帯端末呼びの操作において、例えば出発階、かご8に持ち込む運搬器具の有無、およびかご8に持ち込む運搬器具の種類などの情報を指定する。
【0054】
第1情報取得部17は、通信部16を通じて携帯端末から取得した携帯端末呼びの情報に基づいて、利用者Aの第1範囲の情報を取得する。第1情報取得部17は、例えば利用者A自身の周りの範囲を、一人の利用者について予め設定された範囲として取得する。第1情報取得部17は、例えばショッピングカート23aの周りの範囲を利用者Aの第1範囲に追加する。ショッピングカート23aの周りの範囲は、例えば第1情報取得部17において予め設定されている。第1情報取得部17は、このように乗場カメラ5が撮影した映像に基づかずに第1範囲の情報を取得してもよい。
【0055】
また、利用者Aは、携帯端末呼びの操作を行った携帯端末において見送りの操作を行ってもよい。割当部19は、利用者Aの携帯端末から見送りの情報を受け付ける。
【0056】
図5において、利用者Aがグループでエレベーター1を利用する場合の例が示される。
図5において、利用者Aのグループは、利用者Fおよび利用者Gを含む3人のグループである。
図5において、利用者Aの出発階の乗場3の平面図が示される。
図5において、利用者Hおよび利用者Iが乗車しているかご8の平面図が示される。
【0057】
利用者Aは、出発階の乗場3の乗場操作盤7によって、乗場呼びの操作を行う。利用者Aは、出発階の乗場3において待機する。
【0058】
出発階において乗場操作盤7が操作されるときに、出発階に設けられるいずれかの乗場カメラ5は、利用者A、利用者F、および利用者Gを撮影する。第1情報取得部17は、乗場カメラ5が撮影した映像を画像認識することによって、利用者A、利用者F、および利用者Gを3人のグループとして検出する。第1情報取得部17は、例えば利用者の間の距離または利用者の動作の相関などに基づいてグループの検出を行ってもよい。第1情報取得部17は、検出した利用者A自身の周りの範囲の情報を第1範囲の情報として取得する。第1情報取得部17は、検出した利用者F自身の周りの範囲と、検出した利用者G自身の周りの範囲とを利用者Aの第1範囲に追加することで、利用者Aの第1範囲の情報を修正する。第1情報取得部17は、第1範囲の情報を割当部19および誘導部20に出力する。
【0059】
ここで、第1情報取得部17は、例えば乗場操作盤7が操作されたときに乗場操作盤7に近い利用者を、乗場呼びの操作を行った利用者Aとして特定する。なお、第1情報取得部17は、乗場3から同時に乗車するグループの人数の情報が取得できればよいので、利用者A、利用者F、および利用者Gのうちのいずれの利用者が乗場操作盤7を操作したかを特定しなくてもよい。
【0060】
割当部19は、利用者Aが乗場呼びの操作を行った乗場操作盤7から当該乗場呼びの情報を取得する。割当部19は、各々のかご8について順次、利用者Aの呼びの割当処理を行う。ここでは、利用者Hおよび利用者Iが乗車しているかご8についての割当処理を例として説明を行う。
【0061】
割当処理が行われるかご8のかごカメラ13は、利用者Hおよび利用者Iを撮影する。第2情報取得部18は、かごカメラ13が撮影した映像を画像認識することによって、第2範囲の情報を取得する。第2情報取得部18は、第2範囲の情報を割当部19、誘導部20、および提示部21に出力する。
【0062】
割当部19は、グループの人数に基づいて修正された利用者Aの第1範囲の情報および割当処理を行うかご8の第2範囲の情報に基づいて、当該かご8に乗車している利用者を誘導すれば利用者Aがグループとともに乗車可能であると判定する。このときに、割当部19は、当該かご8に乗車している利用者を誘導部20に誘導させる。
【0063】
誘導部20は、グループの人数に基づいて修正された利用者Aの第1範囲の情報および割当処理を行うかご8の第2範囲の情報に基づいて、当該かご8に乗車している利用者の誘導方法を算出する。例えば
図5において、利用者Iが右側に詰めればかご8の左側に利用者Aがグループとともに乗車できる面積が確保されるので、誘導部20は、右側に詰めるように利用者Iを促す誘導方法を算出する。誘導部20は、例えば、かご投影機14がかご8の床面に投影する映像などによって利用者Iを誘導する。誘導部20は、例えば右側に詰めることを促す矢印の映像などを投影するように、制御信号をかご投影機14に出力する。かご投影機14は、入力される制御信号に基づいて矢印の映像を乗場3の床面に投影する。あるいは、かご投影機14は、利用者Aがグループとともに乗車するときに占有する範囲をかご8の左側に投影してもよい。
【0064】
割当部19は、割当処理を行うかご8における誘導部20の誘導によって利用者Aがグループとともに当該かご8に乗車可能となったときに、当該かご8に利用者Aの呼びを割り当てる。
【0065】
提示部21は、利用者Aの呼びが割り当てられたかご8の第2範囲の情報を、利用者Aの出発階に設けられる乗場投影機6が乗場3の床面に投影する映像によって提示する。
【0066】
利用者Aは、乗場投影機6が投影した映像によって、呼びが割り当てられたかご8の状況を把握する。ここで、利用者Aのグループは、提示された情報に基づいて、当該かご8にグループ全員は乗車できないと判断することがある。このとき、例えば利用者Aは、出発階の乗場3の乗場操作盤7によって、当該かご8の見送りの操作を行ってもよい。
【0067】
ここで、利用者Aは、所持している携帯端末において携帯端末呼びの操作を行ってもよい。このとき、利用者Aは、携帯端末呼びの操作において、例えば出発階、およびグループの人数などの情報を指定する。
【0068】
第1情報取得部17は、通信部16を通じて携帯端末から取得した携帯端末呼びの情報に基づいて、利用者Aの第1範囲の情報を取得する。第1情報取得部17は、例えば利用者A自身の周りの範囲を、一人の利用者について予め設定された範囲として取得する。第1情報取得部17は、例えば利用者Aのグループの人数に基づいて、利用者Aのグループに含まれる利用者の周りの範囲を第1範囲に追加する。ここで、グループに含まれる利用者の配置は変化しうるので、第1範囲は、グループ全体としての範囲の形状の情報を含まなくてもよい。第1情報取得部17は、このように乗場カメラ5が撮影した映像に基づかずに第1範囲の情報を取得してもよい。
【0069】
また、利用者Aは、携帯端末呼びの操作を行った携帯端末において見送りの操作を行ってもよい。割当部19は、利用者Aの携帯端末から見送りの情報を受け付ける。
【0070】
続いて、
図6を用いて、エレベーター1の動作の例を説明する。
図6は、実施の形態1に係るエレベーター1の動作の例を示すフローチャートである。
図6において、かごαについての利用者Aの呼びの割当処理の例が示される。かごαは、複数のかご8のいずれかである。かごβは、かごαを除くかご8のいずれかである。
【0071】
ステップS01において、第2情報取得部18は、割当処理が行われるかごαの第2範囲の情報を取得する。その後、エレベーター1の動作は、ステップS02に進む。
【0072】
ステップS02において、割当部19は、かごαに乗車している利用者を誘導せずに利用者Aは乗車可能であるかを判定する。判定結果がNoの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS03に進む。判定結果がYesの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS05に進む。
【0073】
ステップS03において、割当部19は、かごαに乗車している利用者を誘導すれば利用者Aは乗車可能であるかを判定する。判定結果がYesの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS04に進む。判定結果がNoの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS09に進む。
【0074】
ステップS04において、誘導部20は、かごαに乗車している利用者を、当該かごαに利用者Aが乗車しうるように誘導する。その後、エレベーター1の動作は、ステップS01に進む。
【0075】
ステップS05において、割当部19は、かごαに利用者Aの呼びを割り当てる。その後、エレベーター1の動作は、ステップS06に進む。
【0076】
ステップS06において、提示部21は、かごαの第2範囲の情報を乗場3にいる利用者Aに提示する。その後、エレベーター1の動作は、ステップS07に進む。
【0077】
ステップS07において、誘導部20は、利用者Aによって見送りの操作が行われたかを判定する。判定結果がYesの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS08に進む。判定結果がNoの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS10に進む。
【0078】
ステップS08において、誘導部20は、利用者Aの呼びのかごαへの割当てを取り消す。その後、エレベーター1の動作は、ステップS09に進む。
【0079】
ステップS09において、割当部19は、かごαの他のかごであるかごβについて利用者Aの呼びの割当処理を開始する。その後、かごαについての割当処理に係るエレベーター1の動作は、終了する。
【0080】
ステップS10において、割当部19は、かごαが利用者Aの出発階に到着したかを判定する。判定結果がNoの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS06に進む。判定結果がYesの場合に、かごαについての割当処理に係るエレベーター1の動作は、終了する。
【0081】
以上に説明したように、実施の形態1に係るエレベーター1は、第1情報取得部17と、第2情報取得部18と、誘導部20と、を備える。第1情報取得部17は、第1範囲の情報を取得する。第1範囲の情報は、第1利用者が第1かごに乗車するときに占有する床面の範囲を表す。第1かごは、1つ以上のかご8のいずれかである。第1利用者は、第1かごに乗車する前の利用者である。第2情報取得部18は、第2範囲の情報を取得する。第2範囲の情報は、第1かごの床面において占有されている範囲を表す。誘導部20は、第1範囲の情報および第2範囲の情報に基づいて、第1利用者が第1かごに乗車しうるように第2利用者を誘導する。第2利用者は、第1かごに乗車している利用者である。
【0082】
エレベーター1において、第1かごに乗車する前の第1利用者の情報および第1かごに乗車している第2利用者の情報が、第1範囲の情報および第2範囲の情報として取得される。誘導部20は、第1範囲の情報および第2範囲の情報に基づいて、第2利用者を誘導する。誘導部20の誘導によって、第1かごに乗車している第2利用者は、どのように移動すれば第1利用者が新しく乗車できるかを判断できる。これにより、乗場3から第1利用者が乗車する十分な範囲がかご8内に確保されやすくなる。このため、かご8の無駄な停止が発生しにくくなる。
【0083】
また、第2情報取得部18は、第1かごの内側に設けられたかごカメラ13が撮影する映像に基づいて第2範囲の情報を取得する。
【0084】
かごカメラ13は、かご8の床面全体の映像を撮影しうる。これにより、第2情報取得部18は、画像認識によって第2範囲の情報を容易に取得できる。
【0085】
また、第2情報取得部18は、第2利用者が運搬器具を伴っている場合に、当該運搬器具を検出する。運搬器具は、床面上を移動する器具である。第2情報取得部18は、取得した第2範囲の情報を当該運搬器具の検出の結果に基づいて修正する。
【0086】
かご8の床面上に置かれている運搬器具は、かご8の床面の範囲を占有する。運搬器具を伴ってかご8に乗車している利用者の第2範囲の情報は、当該運搬器具の検出結果によって修正されるので、エレベーター1において、かご8の床面の占有されている範囲がより正確に把握される。このため、誘導部20による誘導がより正確になる。
【0087】
また、誘導部20は、かご投影機14が第1かごの床面に投影する映像によって第2利用者を誘導する。かご投影機14は、第1かごの内側に設けられる。
【0088】
実際に占有されているかご8の床面に投影される映像によって誘導されるので、第1かごに乗車している第2利用者は、どのように移動すれば第1利用者が新しく乗車できるかをより容易に判断できる。これにより、乗場3から第1利用者が乗車する十分な範囲がかご8内により確保されやすくなる。
【0089】
また、第1情報取得部17は、第1利用者と同乗するグループの人数を検出する。第1情報取得部17は、取得した第1範囲の情報を当該グループの人数の検出の結果に基づいて修正する。誘導部20は、人数が検出されたグループの全員が第1かごに乗車しうるように第2利用者を誘導する。
【0090】
第1利用者に同乗するグループのメンバーは、第1利用者とともにかご8の床面の範囲を占有する。グループで同乗する利用者の第1範囲の情報は、当該グループの人数の検出結果によって修正されるので、エレベーター1において、かご8の床面の占有される範囲がより正確に把握される。このため、誘導部20による誘導がより正確になる。
【0091】
また、第1情報取得部17は、第1利用者が運搬器具を伴っている場合に、当該運搬器具を検出する。第1情報取得部17は、取得した第1範囲の情報を当該運搬器具の検出の結果に基づいて修正する。誘導部20は、第1利用者が当該運搬器具を伴って第1かごに乗車しうるように第2利用者を誘導する。
【0092】
かご8に持ち込まれる運搬器具は、かご8の床面の範囲を占有する。運搬器具を伴ってかご8に乗車する利用者の第1範囲の情報は、当該運搬器具の検出結果によって修正されるので、エレベーター1において、かご8の床面の占有される範囲がより正確に把握される。このため、誘導部20による誘導がより正確になる。
【0093】
また、エレベーター1は、割当部19を備える。割当部19は、第1利用者の出発階への第1利用者の呼びの情報を受け付ける。割当部19は、第1かごを含む複数のかご8のいずれかに第1利用者の呼びを割り当てる。割当部19は、誘導部20による第2利用者の誘導を必要とせずに第1利用者が第1かごに乗車可能であるかを、第1範囲の情報および第2範囲の情報に基づいて判定する。誘導を必要とせずに乗車可能であると判定する場合に、割当部19は、第1かごに第1利用者の呼びを割り当てる。
【0094】
第1利用者の呼びは、第2利用者の誘導を必要とせずに乗車可能なかご8に割り当てられるので、第2利用者が誘導に応じうるか否かに関わらず第1利用者は第1かごを利用できる。このため、かご8の無駄な停止が発生しにくくなる。
【0095】
また、割当部19は、誘導部20が第2利用者を誘導すれば第1利用者が第1かごに乗車可能になるかを、第1範囲の情報および第2範囲の情報に基づいて判定する。誘導すれば乗車可能になると判定する場合に、割当部19は、誘導部20に第2利用者を誘導させる。
【0096】
誘導部20による第2利用者の誘導は、誘導によって第1利用者が乗車可能になると判定された後に行われる。このため、第2利用者は、かご8内において無駄な誘導を受けにくくなる。
【0097】
また、割当部19は、誘導部20が第2利用者を誘導すれば第1利用者が第1かごに乗車可能になるかを、第1範囲の情報および第2範囲の情報に基づいて判定する。誘導しても乗車可能にならないと判定する場合に、割当部19は、複数のかご8のうちの第1かごの他のかご8に第1利用者の呼びを割り当てる。
【0098】
誘導によっても第1利用者が乗車可能にならないと判定された場合に、誘導部20による第2利用者の誘導は行われない。このため、第2利用者は、かご8内において無駄な誘導を受けにくくなる。また、割当部19は、第1利用者の呼びを他のかご8に割り当てる。乗車不可能なかご8に呼びが割り当てられにくくなるので、かご8の無駄な停止が発生しにくくなる。
【0099】
また、割当部19は、第1利用者の呼びを第1かごに割り当てた後に第1利用者の第1かごの見送りを表す情報を受け付ける場合に、当該呼びの第1かごへの割当てを取り消す。その後、割当部19は、複数のかご8のいずれかに第1利用者の呼びを割り当て直す。
【0100】
割当部19は、現在呼びが割り当てられているかご8に乗車する意思が第1利用者にないことを見送りの操作によって検知できる。このため、かご8の無駄な停止が発生しにくくなる。なお、第1利用者は、例えば提示部21などによって提示された情報に基づいて見送りの操作を行うか否かを判断する。例えば提示部21が第2範囲の情報を提示する場合に、第1利用者は、呼びが割り当てられたかご8に実際に乗車できるか否かを当該かご8が出発階に停止する前に判断する機会を得ることができる。あるいは、第1利用者は、例えば予定の変更などの第1利用者自身の事情によって見送りの操作を行うか否かを判断してもよい。このとき、群管理装置11は、提示部を備えていなくてもよい。
【0101】
また、エレベーター1は、提示部21を備える。提示部21は、第2範囲の情報を第1利用者に提示する。
【0102】
第1利用者は、提示部21によって提示された情報に基づいて、呼びが割り当てられたかご8に実際に乗車できるか否かを当該かご8が出発階に停止する前に判断する機会を得ることができる。第1利用者は、例えば折り畳み式の運搬器具を折り畳むなどの当該かご8に乗車するための動作を事前に行うことができる。これにより、かご8への乗車がスムーズに行われる。
【0103】
また、提示部21は、乗場投影機6が乗場3の床面に投影する映像によって第2範囲の情報を提示する。乗場投影機6は、第1利用者の出発階の乗場3に設けられる。
【0104】
第2範囲の情報は出発階の乗場3の床面に投影される映像によって提示されるので、乗場3にいる第1利用者は、呼びが割り当てられたかご8に実際に乗車できるか否かをより容易に判断できる。
【0105】
なお、エレベーター1は、かご8を1つのみ備えていてもよい。このとき、エレベーター1は、群管理装置11を備えていなくてもよい。通信部16、第1情報取得部17、第2情報取得部18、割当部19、誘導部20、および提示部21の一部または全部は、例えばかご8に対応する制御盤10に設けられてもよい。このとき、通信部16は、制御盤10の外部の機器または装置などとの間で通信を行う。割当部19は、利用者の呼びをかご8に割り当てて登録する。
【0106】
また、第1情報取得部17は、乗場カメラ5が撮影する映像の画像認識において、例えば第1利用者の顔認識などによって第1範囲の情報を取得してもよい。あるいは、第1情報取得部17は、乗場カメラ5が撮影する映像の画像認識によらずに第1範囲の情報を取得してもよい。例えば、乗場3の床面に複数の近接センサーが正方格子などの格子状に規則的に配置されている場合に、第1情報取得部17は、各々の近接センサーが利用者などの近接を検出する検出信号に基づいて第1範囲の情報を取得してもよい。
【0107】
また、第2情報取得部18は、かごカメラ13が撮影する映像の画像認識において、例えば第2利用者の顔認識などによって第2範囲の情報を取得してもよい。あるいは、第2情報取得部18は、かごカメラ13が撮影する映像の画像認識によらずに第2範囲の情報を取得してもよい。例えば、かご8の床面に複数の近接センサーが正方格子などの格子状に規則的に配置されている場合に、第2情報取得部18は、各々の近接センサーが利用者などの近接を検出する検出信号に基づいて第2範囲の情報を取得してもよい。
【0108】
また、運搬器具において、マーカー、または1次元バーコードもしくは2次元コードなどの符号化画像などの検出用画像が付されていてもよい。このとき、第1情報取得部17または第2情報取得部18は、検出用画像によって運搬器具を検出してもよい。検出用画像は、例えば運搬器具の種別の情報を含んでもよい。このとき、第1情報取得部17または第2情報取得部18は、例えば運搬器具の種別に対応づけて予め記憶している面積または形状などの情報を参照することで、検出した運搬器具が占有する範囲の情報を取得してもよい。
【0109】
また、運搬器具において、無線信号を発信する無線タグなどが取り付けられていてもよい。このとき、無線タグが発信する無線信号の受信器は、乗場3またはかご8などに設けられる。受信器は、第1情報取得部17および第2情報取得部18などに受信した無線信号の情報を出力する。このとき、第1情報取得部17または第2情報取得部18は、無線タグが発信する無線信号によって運搬器具を検出する。無線信号は、例えば運搬器具の種別の情報を含んでもよい。このとき、第1情報取得部17または第2情報取得部18は、例えば運搬器具の種別に対応づけて予め記憶している面積または形状などの情報を参照することで、検出した運搬器具が占有する範囲の情報を取得してもよい。
【0110】
続いて、
図7を用いて、エレベーター1のハードウェア構成の例について説明する。
図7は、実施の形態1に係るエレベーター1の主要部のハードウェア構成図である。
【0111】
エレベーター1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0112】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、エレベーター1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、エレベーター1の各機能を実現する。
【0113】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0114】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0115】
エレベーター1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、エレベーター1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。エレベーター1の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせでエレベーター1の各機能を実現する。
【符号の説明】
【0116】
1 エレベーター、 2 昇降路、 3 乗場、 4 乗場ドア、 5 乗場カメラ、 6 乗場投影機、 7 乗場操作盤、 8 かご、 9 巻上機、 10 制御盤、 11 群管理装置、 12 かごドア、 13 かごカメラ、 14 かご投影機、 15 かご操作盤、 16 通信部、 17 第1情報取得部、 18 第2情報取得部、 19 割当部、 20 誘導部、 21 提示部、 22a、22b ドット、 23a、23d ショッピングカート、 A、B、C、D、E、F、G、H、I 利用者、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア