(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】停止装置、エレベーター装置、及び接続方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20240903BHJP
B66B 7/00 20060101ALN20240903BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B7/00 F
(21)【出願番号】P 2020094669
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】針ヶ谷 直俊
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-092186(JP,A)
【文献】特開2013-180856(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0162689(US,A1)
【文献】中国実用新案第205772572(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を移動するかごと、
前記かごの移動を制御する制御盤と、
端子を有し、最下階の乗場から前記昇降路のピットに入る人が第1状態から第2状態に切り替えるために設けられ、電線が前記端子に接続されている時に前記第2状態に切り替えられると前記かごを停止させるための停止信号を前記制御盤に発生させるピットスイッチと、
を備えたエレベーター装置において、前記ピットスイッチに接続される停止装置であって、
前記ピットにいる人が持って操作するための携帯用スイッチと、
前記携帯用スイッチから延びた、前記端子に接続するための第1導体と、
前記携帯用スイッチから延びた、前記電線に接続するための第2導体と、
を備え、
前記携帯用スイッチは、前記第1導体が前記端子に、前記第2導体が前記電線に接続され且つ前記ピットスイッチが前記第1状態の時に特定の停止操作が行われると、前記停止信号を前記制御盤に発生させ
、
前記携帯用スイッチは、
第1ボタン及び第2ボタンと、
前記第1ボタンが押されると閉じる第1接点と、
前記第2ボタンが押されると閉じる第2接点と、
を備え、
前記停止操作は、閉じている前記第1接点及び閉じている前記第2接点の少なくとも一方を開くための操作である停止装置。
【請求項2】
前記携帯用スイッチは、前記第1接点及び前記第2接点の双方が閉じていることを報知する報知手段を更に備えた請求項
1に記載の停止装置。
【請求項3】
昇降路を移動するかごと、
前記かごの移動を制御する制御盤と、
端子を有し、最下階の乗場から前記昇降路のピットに入る人が第1状態から第2状態に切り替えるために設けられ、電線が前記端子に接続されている時に前記第2状態に切り替えられると前記かごを停止させるための停止信号を前記制御盤に発生させるピットスイッチと、
前記ピットスイッチに接続された停止装置と、
を備え、
前記停止装置は、
前記ピットにいる人が持って操作するための携帯用スイッチと、
前記携帯用スイッチ及び前記端子を接続する第1導体と、
前記携帯用スイッチ及び前記電線を接続する第2導体と、
を備え、
前記携帯用スイッチは、前記ピットスイッチが前記第1状態の時に特定の停止操作が行われると、前記停止信号を前記制御盤に発生させ
、
前記停止装置は、前記電線を前記端子に接続する第1モードと前記電線を前記第2導体に接続する第2モードとに切り替える切替装置を備えたエレベーター装置。
【請求項4】
前記ピットスイッチは、前記ピットに立った人が届かない位置に配置された請求項
3に記載のエレベーター装置。
【請求項5】
昇降路を移動するかごと、
前記かごの移動を制御する制御盤と、
電線が接続された端子を有し、最下階の乗場から前記昇降路のピットに入る人が第1状態から第2状態に切り替えるために設けられ、前記第2状態に切り替えられると前記かごを停止させるための停止信号を前記制御盤に発生させるピットスイッチと、
を備えたエレベーター装置において、
前記ピットにいる人が持って操作するための携帯用スイッチと、
前記携帯用スイッチから延びた第1導体と、
前記携帯用スイッチから延びた第2導体と、
を備えた停止装置を前記ピットスイッチに接続するための接続方法であって、
前記ピットスイッチを前記第1状態から前記第2状態に切り替えるステップと、
前記ピットスイッチが前記第2状態に切り替えられた後、前記電線を前記端子から外すステップと、
前記電線が外された前記端子に前記第1導体を接続するステップと、
前記端子から外された前記電線に前記第2導体を接続するステップと、
前記第1導体を前記端子に、前記第2導体を前記電線に接続した後に、前記ピットスイッチを前記第2状態から前記第1状態に切り替えるステップと、
を備え、
前記ピットスイッチが前記第1状態に切り替えられた後に前記携帯用スイッチに対して特定の停止操作が行われると、前記停止信号が前記制御盤に発生する接続方法。
【請求項6】
前記ピットスイッチを前記第2状態に切り替える前に、前記かごに設けられたかごスイッチを第3状態から第4状態に切り替えるステップと、
前記ピットスイッチを前記第1状態に切り替えた後に、前記かごスイッチを前記第4状態から前記第3状態に切り替えるステップと、
を更に備え、
前記かごスイッチは、前記停止信号を前記制御盤に発生させるための回路において前記ピットスイッチと直接に接続された請求項
5に記載の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーター装置と、ピットスイッチに接続するための停止装置と、停止装置をピットスイッチに接続するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーター装置では、点検時に、昇降路のピットに保守員がいる状態でかごを通常の速度で移動させなければならない場合がある。この場合、かごを操作する人、ピットで点検を行う人の他に、非常時にピットスイッチを操作してかごを停止させるための人が必要になる。
【0003】
特許文献1に、エレベーター装置が記載されている。このエレベーター装置では、ピットスイッチがレールに沿って上下に移動する。特許文献1に記載されたエレベーター装置であれば、ピットに立っている人が届く位置にピットスイッチを配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたエレベーター装置では、ピットスイッチを上下に移動させるための装置を新たに設置しなければならない。このため、適用のためのコストが高いといった問題があった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされた。この発明の目的は、安価であり、且つピットで点検を行う人が非常時にかごを停止させることができる停止装置を提供することである。この発明の他の目的は、そのような停止装置を備えたエレベーター装置を提供することである。この発明の他の目的は、そのような停止装置をピットスイッチに接続する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る停止装置は、昇降路を移動するかごと、かごの移動を制御する制御盤と、端子を有し、最下階の乗場から昇降路のピットに入る人が第1状態から第2状態に切り替えるために設けられ、電線が端子に接続されている時に第2状態に切り替えられるとかごを停止させるための停止信号を制御盤に発生させるピットスイッチと、を備えたエレベーター装置において、ピットスイッチに接続される停止装置である。停止装置は、ピットにいる人が持って操作するための携帯用スイッチと、携帯用スイッチから延びた、端子に接続するための第1導体と、携帯用スイッチから延びた、電線に接続するための第2導体と、を備える。携帯用スイッチは、第1導体が端子に、第2導体が電線に接続され且つピットスイッチが第1状態の時に特定の停止操作が行われると、停止信号を制御盤に発生させる。携帯用スイッチは、第1ボタン及び第2ボタンと、第1ボタンが押されると閉じる第1接点と、第2ボタンが押されると閉じる第2接点と、を備える。停止操作は、閉じている第1接点及び閉じている第2接点の少なくとも一方を開くための操作である。
【0008】
この発明に係るエレベーター装置は、昇降路を移動するかごと、かごの移動を制御する制御盤と、端子を有し、最下階の乗場から昇降路のピットに入る人が第1状態から第2状態に切り替えるために設けられ、電線が端子に接続されている時に第2状態に切り替えられるとかごを停止させるための停止信号を制御盤に発生させるピットスイッチと、ピットスイッチに接続された停止装置と、を備える。停止装置は、ピットにいる人が持って操作するための携帯用スイッチと、携帯用スイッチ及び端子を接続する第1導体と、携帯用スイッチ及び電線を接続する第2導体と、を備える。携帯用スイッチは、ピットスイッチが第1状態の時に特定の停止操作が行われると、停止信号を制御盤に発生させる。停止装置は、電線を端子に接続する第1モードと電線を第2導体に接続する第2モードとに切り替える切替装置を備える。
【0009】
この発明に係る接続方法は、昇降路を移動するかごと、かごの移動を制御する制御盤と、電線が接続された端子を有し、最下階の乗場から昇降路のピットに入る人が第1状態から第2状態に切り替えるために設けられ、第2状態に切り替えられるとかごを停止させるための停止信号を制御盤に発生させるピットスイッチと、を備えたエレベーター装置において、ピットにいる人が持って操作するための携帯用スイッチと、携帯用スイッチから延びた第1導体と、携帯用スイッチから延びた第2導体と、を備えた停止装置をピットスイッチに接続するための接続方法である。接続方法は、ピットスイッチを第1状態から第2状態に切り替えるステップと、ピットスイッチが第2状態に切り替えられた後、電線を端子から外すステップと、電線が外された端子に第1導体を接続するステップと、端子から外された電線に第2導体を接続するステップと、第1導体を端子に、第2導体を電線に接続した後に、ピットスイッチを第2状態から第1状態に切り替えるステップと、を備える。ピットスイッチが第1状態に切り替えられた後に携帯用スイッチに対して特定の停止操作が行われると、停止信号が制御盤に発生する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ピットで点検を行う人が非常時にかごを停止させることができる。また、そのような機能を安価に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】実施の形態1における停止装置の例を示す図である。
【
図4】停止装置をピットスイッチに接続する手順を示すフローチャートである。
【
図5】停止装置がピットスイッチに接続された状態を示す図である。
【
図7】停止装置をピットスイッチに接続する他の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照し、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0013】
実施の形態1.
図1は、エレベーター装置の例を示す図である。エレベーター装置は、かご1及びつり合いおもり2を備える。かご1は、昇降路3を上下に移動する。つり合いおもり2は、昇降路3を上下に移動する。かご1及びつり合いおもり2は、主ロープ4によって昇降路3に吊り下げられる。主ロープ4は、かご1及びつり合いおもり2を昇降路3に吊り下げる手段の一例である。かご1及びつり合いおもり2を吊り下げるためのローピングの方式は、
図1に示す例に限定されない。
【0014】
主ロープ4は、巻上機5に巻き掛けられる。かご1は、巻上機5によって駆動される。制御盤6は、巻上機5を制御する。即ち、制御盤6は、かご1の移動を制御する。昇降路3に、ガイドレール7が設置される。かご1の移動は、ガイドレール7に案内される。かご1と制御盤6とは制御ケーブル8によって接続される。かご1と制御盤6との通信は、制御ケーブル8を介して行われる。
【0015】
図1は、巻上機5及び制御盤6が、昇降路3の上方の機械室9に設置される例を示す。巻上機5及び制御盤6は、昇降路3に設置されても良い。巻上機5及び制御盤6が昇降路3に設置される場合、巻上機5及び制御盤6は、昇降路3の頂部に設置されても良いし、ピット3aに設置されても良い。
【0016】
このようなエレベーター装置で点検を行う場合、保守員は、必要に応じて最下階の乗場10から昇降路3のピット3aに進入する。保守員は、乗場10のドア11を手動で開ける。昇降路3には、ドア11を開けた保守員が操作することができる位置に、ピットスイッチ12が設けられている。ピットスイッチ12は、乗場10からピット3aに入る人がオン状態からオフ状態に切り替えるためのスイッチである。
【0017】
図2は、ピットスイッチ12の例を示す図である。
図2に示す例では、ピットスイッチ12は、レバー13、端子14、及び端子15を備える。端子14に電線16が接続される。端子15に電線17が接続される。
図2は、レバー13が上げられたオン状態を示す。レバー13が
図2に示す矢印Aのように下げられると、ピットスイッチ12はオフ状態になる。ピットスイッチ12がオン状態からオフ状態に切り替えられると、かご1を停止させるための停止信号が制御盤6に発生する。即ち、保守員は、ピットスイッチ12をオフ状態に切り替えることにより、かご1が移動しない状態でピット3aに進入することができる。例えば、保守員は、ピットスイッチ12をオフ状態に切り替えると、梯子18を使ってピット3aに降りる。
【0018】
一方、エレベーター装置では、点検時に、ピット3aに保守員がいる状態でかご1を通常の速度で移動させなければならない場合がある。通常の速度とは、利用者を目的階に運ぶための通常サービスが行われる時のかご1の速度である。例えば、保守員が異音の調査を行う場合、かご1が停止していたりかご1が低速で移動していたりすると、異音が発生しないことがある。かかる場合は、ピット3aに保守員がいる状態でかご1を通常の速度で移動させなければならない。
【0019】
図3は、実施の形態1における停止装置20の例を示す図である。保守員は、ピット3aにいる時にかご1を通常の速度で移動させなければならない場合に、停止装置20をピットスイッチ12に接続して使用する。停止装置20は、例えば携帯用スイッチ21、電線22、電線23、端子24、及びクリップ25を備える。
【0020】
携帯用スイッチ21は、ピット3aにいる人が持って操作するためのスイッチである。
図3に示す例では、携帯用スイッチ21は、ボタン26、ボタン27、接点28、及び接点29を備える。接点28は常開接点である。ボタン26が押されると接点28は閉じる。ボタン26を押している指がボタン26から離れると、接点28は開く。接点29は常開接点である。ボタン27が押されると接点29は閉じる。ボタン27を押している指がボタン27から離れると、接点29は開く。
【0021】
電線22は、携帯用スイッチ21から延びる。電線22の先端に端子24が設けられる。電線23は、携帯用スイッチ21から延びる、電線23の先端にクリップ25が設けられる。例えば、接点28及び接点29は、端子24とクリップ25との間に電気的に直列に接続される。
【0022】
次に、停止装置20をピットスイッチ12に接続する方法について説明する。
図4は、停止装置20をピットスイッチ12に接続する手順を示すフローチャートである。先ず、保守員は、乗場10のドア11を手動で開け、ピットスイッチ12をオン状態からオフ状態に切り替える(S101)。
【0023】
次に、保守員は、ピットスイッチ12の端子14から電線16を外す(S102)。そして、電線16が外された端子14に、停止装置20の端子24を接続する(S103)。これにより、電線22と端子24とによって携帯用スイッチ21と端子14とが接続される。電線22及び端子24は、携帯用スイッチ21と端子14とを接続する導体の一例である。電線16が端子14にコネクタ接続されていれば、電線22は、端子14にコネクタ接続されても良い。
【0024】
次に、保守員は、端子14から外した電線16に、停止装置20のクリップ25を接続する(S104)。これにより、電線23とクリップ25とによって携帯用スイッチ21と電線16とが接続される。電線23及びクリップ25は、携帯用スイッチ21と電線16とを接続する導体の一例である。電線16が端子14にコネクタ接続されていれば、電線23は、電線16にコネクタ接続されても良い。電線23と電線16とを接続するために端子台が用いられても良い。
【0025】
図5は、停止装置20がピットスイッチ12に接続された状態を示す図である。即ち、
図5は、S101からS104の手順が完了した状態を示す。保守員は、
図5に示すように停止装置20をピットスイッチ12に接続すると、矢印Bに示すようにレバー13を上げて、ピットスイッチ12をオフ状態からオン状態に切り替える(S105)。そして、保守員は、S105でピットスイッチ12をオン状態に切り替えると、携帯用スイッチ21を持ってピット3aに降りる。保守員は、ピット3aにおいて、携帯用スイッチ21を持ったまま異音調査を行う。
【0026】
上述したように、携帯用スイッチ21は、ピット3aにいる保守員が持ったまま作業を行うためのスイッチである。このため、電線22及び電線23には、携帯用スイッチ21を持った保守員がピット3aで動き回るための長さが必要になる。一例として、ピットスイッチ12は、ピット3aに立った人が届かない位置に配置される。かかる場合、電線22及び電線23には数mの長さが必要になる。また、携帯用スイッチ21は、保守員が片手で持つことができる大きさであることが好ましい。更に、保守員がボタン26及びボタン27を片手で操作できることが好ましい。
【0027】
異音調査においてかご1を通常の速度で移動させる場合は、他の保守員がかご1に乗り、かご1を操作する。以下においては、ピット3aにおいて異音調査を行う保守員に符号αを付す。また、かご1で操作を行う保守員に符号βを付す。即ち、異音調査時、保守員αは、携帯用スイッチ21を持ってピット3aにいる。
【0028】
保守員αがボタン26及びボタン27の双方を押している、即ち、接点28及び接点29の双方が閉じていれば、かご1の移動が可能である。かご1は、保守員βの操作に応じて移動する。保守員αは、保守員βと連絡を取り合い、かご1の移動のための操作を保守員βに行ってもらう。
【0029】
異音調査では、何らかの理由により、保守員αと保守員βとの連絡がうまくいかないこともある。このような時に保守員αがかご1を停止させたければ、保守員αは、ボタン26を押さえている指をボタン26から離せば良い。保守員αは、ボタン27を押さえている指をボタン27から離しても良い。これにより、接点28或いは接点29が開き、かご1を停止させるための停止信号が制御盤6に発生する。即ち、保守員αは、携帯用スイッチ21に対して特定の停止操作を行うことにより、制御盤6に停止信号を発生させてかご1を停止させることができる。
【0030】
図5は、上記停止操作が、閉じている接点28及び閉じている接点29の少なくとも一方を開くための操作である例を示す。他の例として、携帯用スイッチ21は、ボタン27と接点29とを備えていなくても良い。かかる場合、上記停止操作は、閉じている接点28を開くための操作である。他の例として、携帯用スイッチ21は、ボタン以外の操作手段を備えても良い。
【0031】
本実施の形態に示す例であれば、ピット3aにおいて異音調査等を行う保守員αは、非常時に自分の意志でかご1を停止させることができる。このため、従来のように、保守員α及び保守員βの他に、ピットスイッチ12を操作してかご1を停止させるための人はいなくても良い。更に、本実施の形態に示す例であれば、上記機能を安価に実現できる。上記機能を実現するために、既設のエレベーター装置に対して大掛かりな改修工事を行う必要はない。
【0032】
本実施の形態では、かご1を通常の速度で移動させる際に保守員が停止装置20を使用する例について説明した。保守員は、かご1を通常の速度より遅い速度で移動させる際に停止装置20を使用しても良い。
【0033】
他の例として、携帯用スイッチ21は、ランプ(図示せず)を更に備えても良い。ランプは、接点28及び接点29の双方が閉じている時に点灯する。ランプは、接点28及び接点29の双方が閉じていることを報知する手段の一例である。携帯用スイッチ21は、上記報知手段として、接点28及び接点29の双方が閉じている時に振動する機能を備えても良い。
【0034】
図6は、停止装置20の他の例を示す図である。
図6に示す例では、停止装置20は、携帯用スイッチ21、電線22、及び電線23の他に、切替装置30を更に備える。切替装置30は、第1モードと第2モードとの切り替えを行うための装置である。第1モードは、電線16を端子14に接続するモードである。
図6に示す例であれば、第1モードでは、端子30aと端子30bとが接続される。第2モードは、電線16を電線23に接続し、電線22を端子14に接続するモードである。
図6に示す例であれば、第2モードでは、端子30aと端子30cが接続され、且つ端子30bと端子30dとが接続される。端子間の接続を切り替える方法は、どのような方法であっても良い。
図6に示す例であれば、異音調査を行っている際に、必要に応じて第1モードと第2モードとの切り替えを簡単に行うことができる。
【0035】
図7は、停止装置20をピットスイッチ12に接続する他の手順を示すフローチャートである。
図7に示す手順は、
図4に示す手順に、S100に示す手順とS106に示す手順とが追加されたものに相当する。
【0036】
図7に示す例では、S101でピットスイッチ12がオフ状態に切り替えられる前に、かごスイッチ19がオン状態からオフ状態に切り替えられる(S100)。かごスイッチ19は、かご1に設けられる。かごスイッチ19は、制御盤6に停止信号を発生させる回路において、ピットスイッチ12と直列に接続される。即ち、かごスイッチ19がオン状態からオフ状態に切り替えられると、かご1を停止させるための停止信号が制御盤6に発生する。また、かごスイッチ19がオフ状態に切り替えられると、ピットスイッチ12への電力供給が遮断される。このため、S100でかごスイッチ19がオフ状態に切り替えられると、S101からS105の手順が行われる間は、ピットスイッチ12に電力は供給されない。
【0037】
S105でピットスイッチ12がオフ状態からオン状態に切り替えられた後、連絡を受けた保守員βは、かごスイッチ19をオフ状態からオン状態に切り替える(S106)。これにより、ピットスイッチ12及び停止装置20に電力が供給される。かごスイッチ19がオン状態に切り替えられると、保守員αは、ピット3aにおいて、携帯用スイッチ21を持ったまま異音調査等を行う。
【符号の説明】
【0038】
1 かご、 2 つり合いおもり、 3 昇降路、 3a ピット、 4 主ロープ、 5 巻上機、 6 制御盤、 7 ガイドレール、 8 制御ケーブル、 9 機械室、 10 乗場、 11 ドア、 12 ピットスイッチ、 13 レバー、 14~15 端子、 16~17 電線、 18 梯子、 19 かごスイッチ、 20 停止装置、 21 携帯用スイッチ、 22~23 電線、 24 端子、 25 クリップ、 26~27 ボタン、 28~29 接点、 30 切替装置、 30a~30d 端子