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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】中継装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 49/45 20220101AFI20240903BHJP
【FI】
H04L49/45
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020095559
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021190893
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小谷 安弘
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-204720(JP,A)
【文献】特開平04-105443(JP,A)
【文献】特開平02-218239(JP,A)
【文献】特開2011-249977(JP,A)
【文献】特開平10-065701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信ノードの間で通信される通常フレームを複数の受信ポート(40)のいずれかから受信し、前記通常フレームを複数の送信ポート(50)のいずれかから送信して中継する中継装置(10)であって、
前記受信ポートと前記送信ポートとの間の中継経路が正常であるか否かを検査する検査フレームを生成して出力するように構成されたフレーム生成部(308)と、
前記フレーム生成部から出力された前記検査フレームを、前記複数の受信ポートと前記複数の送信ポートとの間の前記中継経路を通過させるように構成された経路選択部(108、210、212)と、
前記フレーム生成部から出力されて前記中継経路を通過した前記検査フレームを正常に入力するか否かに基づいて、前記中継経路が正常であるか否かを判定するように構成されたフレーム判定部(306)と、
を備え
記経路選択部は、
前記検査フレームを前記送信ポート側から前記受信ポート側に戻し、前記複数の受信ポートに対応する受信バッファのうち、どの前記受信バッファに戻すかを決定する戻し部(108、212)と、
前記中継経路を通過したフレームが、前記通常フレームであるか前記検査フレームであるかを識別し、前記通常フレームであれば前記送信ポートに出力し、前記検査フレームであれば前記戻し部に出力する戻しフレーム識別部(210)と、
を備える、中継装置。
【請求項2】
請求項1に記載の中継装置であって、
通常フレームと前記検査フレームとを識別し、前記検査フレームを前記フレーム判定部に送信し、前通常フレームを前記送信ポートに至る前記中継経路に送信するように構成されたフレーム識別部(302)をさらに備える、
中継装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の中継装置であって、
前記フレーム判定部は、前記検査フレームのデータに基づいて、前記中継経路が正常であるか否かを判定するように構成されている、
中継装置。
【請求項4】
請求項3に記載の中継装置であって、
前記フレーム判定部は、前記フレーム生成部が生成する前記検査フレームと、前記中継経路を通過してから入力する前記検査フレームとを比較することにより、前記中継経路が正常であるか否かを判定するように構成されている、
中継装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の中継装置であって、
前記フレーム判定部は、前記フレーム生成部が前記検査フレームを出力してから前記フレーム判定部が所定時間内に前記検査フレームを入力するか否かに基づいて、前記中継経路が正常であるか否かを判定するように構成されている、
中継装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の中継装置であって、
前記経路選択部は、前通常フレームよりも前記検査フレームを優先して前記中継経路を通過させるように構成されている、
中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の通信ノードの間で通信される通信フレームを中継する中継装置を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の通信ノードの間で通信される通信フレームを中継する中継装置を検査する技術が知られている。
例えば、下記特許文献1には、上りと下りの双方向の通信を行う中継装置において通信の自己診断を行う場合、上り通信の受信経路と下り通信の受信経路との一方から他方に自己診断用の試験フレームを折り返すことにより、上り通信と下り通信との両方の自己診断を同時に行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-74259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、特許文献1に記載の技術では、上りの1個の受信経路と下りの1個の受信経路とを繋いだ1個の中継経路を試験フレームにより検査して中継装置の自己診断を行っているものの、複数の中継経路を有する中継装置の検査は想定されていないという課題が見出された。
【0005】
本開示の1つの局面は、複数の受信ポートから複数の送信ポートに至る中継装置の中継経路を検査する技術を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの態様による中継装置は、複数の通信ノードの間で通信される通信フレームを複数の受信ポート(40)のいずれかから受信し、通信フレームを複数の送信ポート(50)のいずれかから送信して中継する中継装置(10)であって、フレーム生成部(308)と、経路選択部(108、210、212)と、フレーム判定部(306)と、を備える。
【0007】
フレーム生成部(308)は、受信ポートと送信ポートとの間の中継経路が正常であるか否かを検査する検査フレームを生成して出力する。経路選択部(108、210、212)は、フレーム生成部から出力された検査フレームに、複数の受信ポートから複数の送信ポートに至る中継経路を通過させる。
【0008】
フレーム判定部(306)は、フレーム生成部から出力されて中継経路を通過した検査フレームを正常に受信するか否かに基づいて、中継経路が正常であるか否かを判定する。
このような構成によれば、複数の通信ノードの間で通信される通信フレームを複数の受信ポートのいずれかから受信し、中継処理された前記通信フレームを複数の送信ポートのいずれかから送信して中継する中継装置において、複数の受信ポートから複数の送信ポートに至る中継経路を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の中継装置を示すブロック図。
図2】受信処理部と送信処理部とを示すブロック図。
図3】送信バッファの構成を示すブロック図。
図4】中継処理部を示すブロック図。
図5】通常のイーサネットフレームと検査フレームとを示すフレーム構成図。
図6】検査フレームのフィールド説明図。
図7】通常のイーサネットフレームと検査フレームとを示す他のフレーム構成図。
図8】中継装置の中継検査処理を示すフローチャート。
図9】第2実施形態の中継処理部を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す中継装置10は、マイクロコンピュータ20とスイッチ30とを備える。以下、マイクロコンピュータをマイコンとも言う。中継装置10は、例えば、イーサネット(登録商標)において、複数の通信ノードの間で通信されるイーサネットフレームを中継する。マイコン20は、スイッチ30の監視とスイッチ30の制御とを実行する。
【0011】
スイッチ30は、複数の受信ポート40と、複数の送信ポート50と、受信処理部100と、送信処理部200と、中継処理部300と、を備える。
複数の受信ポート40と複数の送信ポート50とは、それぞれ、通信ノードまたは他の中継装置と接続している。
【0012】
図2に示すように、受信処理部100は、受信バッファ102と、調停部104と、転送処理部106と、フレーム戻し部108と、を備える。
受信バッファ102は、複数の受信ポート40とそれぞれ接続しており、受信ポート40が受信する通常のイーサネットフレームと送信処理部200から出力される後述する検査フレームとを格納する。以下、通常のイーサネットフレームを通常フレームとも言う。
【0013】
調停部104は、受信バッファ102に格納された通常フレームと検査フレームとを、例えばラウンドロビンで選択して転送処理部106に出力する。転送処理部106は、レイヤー2処理とレイヤー3処理とを実行する。レイヤー2はOSI参照モデルのデータリンク層であり、レイヤー3はOSI参照モデルのネットワーク層である。
【0014】
転送処理部106は、レイヤー2処理として、イーサネットフレームのヘッダを解析し、通常フレームをユニキャストまたはブロードキャストまたはマルチキャストするかを判定する。転送処理部106は、レイヤー3処理として、送信先のIPアドレスをインデックスとして中継経路テーブルを検索し、送信先のVLANを決定する。
【0015】
フレーム戻し部108は、後述する検査フレームの受信元情報に基づき、送信処理部200から戻された検査フレームをどの受信バッファ102に戻すかを決定する。
送信処理部200は、送信バッファ202と、フレーム識別部210と、フレーム戻し部212と、を備えている。各送信バッファ202は、送信ポート50のいずれかに対応している。図3に示すように、送信バッファ202は、キュー選択部204と、キュー206と、キュー出力部208と、を備えている。
【0016】
キュー選択部204は、後述する通常フレームの構成では説明していないが、イーサネットフレームが通常フレームの場合、通常フィールドの所定のフィールド位置の優先度情報に基づいて、どのキュー206に通常フレームを出力するかを選択する。通常フレームの優先度は番号が小さいほど高いことを表している。図3では、0番のキュー206が最も優先度が高く、m番のキューが最も優先度が低い。キュー206は、それぞれFIFOのバッファである。
【0017】
また、キュー選択部204は、後述する検査フレームの構成において、イーサネットフレームが検査フレームの場合、検査フレームの優先度情報の値に基づいて、どのキュー206に検査フレームを出力するかを選択する。
【0018】
キュー出力部208は、優先度の高いキュー206からイーサネットフレームを取り出して、対応するフレーム識別部210に出力する。
フレーム識別部210は、送信バッファ202から出力されるイーサネットフレームが通常フレームか検査フレームかを識別する。フレーム識別部210は、後述するように、イーサネットフレームの先頭の有効/無効ビットが1またはタイプフィールドが0xFFFFであれば、検査フレームであると判断する。
【0019】
フレーム識別部210は、通常フレームは送信ポート50に出力し、検査フレームはフレーム戻し部212に出力する。フレーム戻し部212は、フレーム識別部210から出力される検査フレームを、受信処理部100のフレーム戻し部108に出力する。
【0020】
図4に示すように、中継処理部300は、フレーム識別部302と、フレームバッファ304と、フレーム判定部306と、フレーム生成部308と、フレーム出力部310と、を備える。フレーム識別部302は、受信処理部100から入力するイーサネットフレームが通常フレームか検査フレームであるかを識別する。
【0021】
フレームバッファ304は、フレーム識別部302により識別された通常フレームを格納する。フレーム判定部306は、フレーム識別部302により識別された検査フレームと、フレーム生成部308により生成された検査フレームとを、例えば両フレームのデータの排他的論理和を求めることにより比較する。
【0022】
フレーム判定部306は、両フレームのデータの排他的論理和が0であれば、後述するように、検査フレームがフレーム生成部308から出力され、送信処理部200から受信処理部100に戻され、フレーム判定部306に到達するまでのスイッチ30の中継経路は正常であると判定する。
【0023】
フレーム判定部306は、両フレームのデータの排他的論理和が0でなければ、検査フレームがフレーム生成部308から出力され、送信処理部200から受信処理部100に戻され、フレーム判定部306に到達するまでのスイッチ30の中継経路は、いずれかの箇所で異常であると判定する。
【0024】
また、フレーム判定部306は、フレーム生成部308が検査フレームを出力してからフレーム判定部306が所定時間内に検査フレームを入力するか否かに基づいて、検査フレームが通過する中継経路が正常であるか否かを判定する。
【0025】
フレーム生成部308は、所定時間間隔毎に実行される中継検査処理において、検査フレームを生成する。
フレーム出力部310は、絶対優先アルゴリズムまたは重み付けラウンドロビン等により、通常フレームよりも検査フレームを優先させて送信処理部200に出力する。
【0026】
また、フレーム出力部310は、通常フレームの場合は、中継経路テーブルに基づき、送信処理部200のどの送信バッファ202に通常フレームを出力するかを決定する。フレーム出力部310は、検査フレームの場合は、後述する検査フレームの送信先情報に基づき、送信処理部200のどの送信バッファ202に通常フレームを出力するかを決定する。
【0027】
次に、図5図6とに基づいて、検査フレームの構成を説明する。検査フレームは、通常フレームの先頭に8バイトの検査フレームヘッダが付加された構成である。本実施形態では、イーサネットフレームの先頭は有効/無効ビットとして機能する。有効/無効ビットが0であれば通常フレームであることを示し、有効/無効ビットが1であれば検査フレームであることを示している。
【0028】
検査フレームは68バイトの固定長である。イーサネットフレームの先頭の有効/無効ビットが1またはタイプフィールドが0xFFであれば、検査フレームであることを示している。
【0029】
検査フレームが誤って送信ポート50から他のECUまたは他の中継装置に送信されても、他のECUまたは他の中継装置が自装置宛のイーサネットフレームとして処理しないように、6バイトの送信先フィールドと6バイトの受信元フィールドとには0が設定されている。
【0030】
検査フレームヘッダの8ビットの受信元情報と8ビットの送信先情報とは、フレーム生成部308において、受信ポートと送信ポートとの対応するビットが1に設定される。したがって、図5に示す検査フレームの構成では、8ビットの受信元情報と8ビットの送信先情報、つまり8個の受信ポートと8個の送信ポートとにより64通りの組み合わせを設定できる。
【0031】
検査フレームの1バイトの優先度情報には、前出した送信バッファ202のキュー206の優先度に応じて0~mのいずれかの値が設定される。例えば、キュー206が8段階の優先度に設定されているのであれば、検査フレームの優先度情報には0x00~0x07の値が設定される。
【0032】
尚、図5に示す検査フレームの構成に代えて、図7に示す構成の検査フレームを使用してもよい。図7の検査フレームは、通常フレームと同じ構成を採用している。図7の検査フレームのペイロードが、図5の検査フレームの検査フレームヘッダに対応している。そして、図7の検査フレームの優先度情報には、前述したキュー206の優先度が設定される。
【0033】
[1-2.処理]
次に、中継装置10が実行する中継処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。図8のフローチャートは、所定時間間隔で実行される。
【0034】
S400において、フレーム生成部308は、図5または図7に示す検査フレームの各フィールドに所定の値を設定して検査フレームを出力する。フレーム生成部308から出力された検査フレームは、検査フレームの送信先情報と優先度情報とに基づいて、送信処理部200の該当する送信ポート50に対応する送信バッファ202の該当する優先度のキュー206に出力される。
【0035】
S402において送信処理部200のフレーム識別部210は、送信バッファ202から入力したイーサネットフレームが検査フレームであるか通常フレームであるかを識別する。S404の判定がNoである、つまり入力したイーサネットフレームが検査フレームではなく通常フームの場合、S406においてフレーム識別部210は、該当する送信ポート50に通常フレームを出力し、処理をS402に移行する。
【0036】
S404の判定がYesである、つまり入力したイーサネットフレームが検査フレームの場合、S408において検査フレームは、送信処理部200のフレーム戻し部212から受信処理部100のフレーム戻し部108に出力される。
【0037】
受信処理部100のフレーム戻し部108は、検査フレームの受信元情報に基づいて、該当する受信バッファ102に検査フレームを出力する。受信バッファ102に出力された検査フレームは、中継処理部300に出力される。
【0038】
S410において中継処理部300のフレーム識別部302は、受信処理部100から入力したイーサネットフレームが検査フレームであるか通常フレームであるかを識別する。S412の判定がNoである、つまり入力したイーサネットフレームが検査フレームではなく通常フームの場合、S414においてフレーム識別部302は、入力した通常フレームをフレームバッファ304に出力する。
【0039】
S412の判定がYesである、つまり入力したイーサネットフレームが検査フレームの場合、S416においてフレーム識別部302は、検査フレームをフレーム判定部306に出力する。
【0040】
S418においてフレーム判定部306は、以下の(1)、(2)の判定処理に基づいて、フレーム生成部308から出力された検査フレームが通過した中継経路が正常であるか否かを判定する。
【0041】
(1)フレーム判定部306は、フレーム識別部302から入力した検査フレームと、フレーム生成部308から入力した検査フレームとの排他的論理和を算出し、フレーム識別部302から入力した検査フレームとフレーム生成部308から入力した検査フレームとが一致するか否かを判定する。フレーム判定部306は、算出した排他的論理和が0であれば正常と判定し、算出した排他的論理和が0でなければ異常と判定する。
【0042】
(2)フレーム判定部306は、フレーム生成部308から検査フレームが出力されてから所定時間以内に検査フレームを入力するか否かを判定する。フレーム判定部306は、所定時間以内に検査フレームを入力すれば正常と判定し、所定時間内に検査フレームを入力しないと異常と判定する。
【0043】
S418の判定がYesである、つまり検査フレームが通過した中継経路が正常の場合、フレーム判定部306は処理をS422に移行する。
S418の判定がNoである、つまり検査フレームが通過した中継経路が異常の場合、フレーム判定部306は、ハートビート信号または割り込み信号により、マイコン20に異常が発生したことを通知し、処理をS422に移行するする。
【0044】
スイッチ30から異常を通知されたマイコン20は、例えば、スイッチ30をリセットすることにより、スイッチ30を再起動させる。
S422においてフレーム判定部306は、フレーム識別部302から入力した検査フレームを破棄する。S424においてフレーム生成部308は、今回の検査対象の送信バッファ202において全ての優先度のキュー206を検査したか否かを判定する。
【0045】
S424の判定がNoである、つまり今回の検査対象の送信バッファ202において検査されていない優先度のキュー206が残っている場合、S426においてフレーム生成部308は、次に優先度の低いキュー206を検査するために、検査フレームの優先度情報をインクリメントし、処理をS400に移行する。
【0046】
S424の判定がYesである、つまり今回の検査対象の送信バッファ202において全ての優先度のキュー206を検査した場合、S428においてフレーム生成部308は、検査フレームの受信元情報と送信先情報との組み合わせ、つまり受信ポート40と送信ポート50との組み合わせにより設定される全ての中継経路に対する検査が終了したか否かを判定する。S428の判定がYesである、つまり全ての中継経路の検査が終了した場合、本処理は終了する。
【0047】
S428の判定がNoである、つまり検査が終了していない中継経路が存在する場合、S430においてフレーム生成部308は、検査フレームの受信元情報または送信先情報とのいずれかにおいて1を設定するビットをシフトして受信ポート40と送信ポート50との次の組み合わせを設定し、処理をS400に移行する。
【0048】
[1-3.効果]
以上説明した第1記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)複数の受信ポート40から複数の送信ポート50に至る中継経路を検査することができる。
【0049】
(2)通常フレームよりも検査フレームを優先して中継経路を巡回させるので、中継経路の異常を速やかに検出できる。
上記第1実施形態では、イーサネットフレームが通信フレームに対応し、フレーム戻し部108、212が戻し部に対応し、フレーム戻し部108、212、フレーム識別部210が経路選択部に対応する。
【0050】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0051】
前述した第1実施形態では、検査フレームはフレームバッファ304を通過しない。これに対し、図9に示す第2実施形態では、フレームバッファ304が満杯ではないと調停部402が判断すると、通常フレームか検査フレームかに拘わらず、受信処理部100から入力するイーサネットフレームをフレームバッファ304に出力する点で、第1実施形態と相違する。
【0052】
フレームバッファ304から出力されたイーサネットフレームは、フレーム識別部302により通常フレームか検査フレームかを識別される。フレーム識別部302は、フレームバッファ304から入力したイーサネットフレームが通常フレームであればフレーム出力部310に出力し、検査フレームであればフレーム判定部306に出力する。
【0053】
フレームバッファ304が満杯の場合、調停部402は、受信処理部100から入力するイーサネットフレームが検査フレームであれば、フレーム判定部306に検査フレームを出力する。調停部402は、受信処理部100から入力するイーサネットフレームが通常フレームであれば破棄する。
【0054】
[2-2.効果]
以上説明した第2記実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
【0055】
(1)フレームバッファ304が満杯ではない場合、検査フレームはフレームバッファ304に出力されるので、フレームバッファ304の異常を検出できる。
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0056】
(1)上記実施形態では、中継装置としてイーサネットのスイッチ30の中継経路を検査したが、これに限定されるものではない。例えば、イーサネット以外のネットワークの中継装置が、自装置の中継経路を検査してもよい。
【0057】
(2)上記実施形態では、中継処理部がフレーム生成部とフレーム判定部とを備えたが、これに限定されるものではない。例えば、受信処理部または送信処理部がフレーム生成部とフレーム判定部とを備えてもよい。
【0058】
(3)本開示に記載の中継装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の中継装置及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の中継装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。中継装置に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0059】
(4)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0060】
(5)上述した中継装置の他、当該中継装置を構成要素とするシステム、当該中継装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、中継検査方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0061】
10:中継装置、30:スイッチ、40:受信ポート、50:送信ポート、100:受信処理部、108、212:フレーム戻し部(経路選択部、戻し部)、200:送信処理部、210:フレーム識別部(経路選択部)、300:中継処理部、302:フレーム識別部、306:フレーム判定部、308:フレーム生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9