(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】液体注出具および紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/48 20060101AFI20240903BHJP
B65D 47/12 20060101ALI20240903BHJP
B65D 5/44 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B65D25/48 Z
B65D47/12 300
B65D5/44 U
(21)【出願番号】P 2020110042
(22)【出願日】2020-06-25
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】岸田 広史
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 崇義
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸伸
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-067403(JP,A)
【文献】実開昭57-169655(JP,U)
【文献】特開2002-255217(JP,A)
【文献】特開2000-025755(JP,A)
【文献】特開2012-030873(JP,A)
【文献】実開昭56-131336(JP,U)
【文献】国際公開第2020/114707(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/48
B65D 47/12
B65D 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の表面に対向して載置される平板状の基板部分を有する載置部と、
前記載置部の長手方向に一体成形にて連接され、前記載置部に対して回動可能な係止部と、
前記載置部と交差する方向に延びる注出部と、
フラットトップ型の紙容器の注出口に挿入する筒状の挿入部と、を備え、
前記挿入部の外周にはパッキンが設けられており、
前記係止部は、前記載置部と連接する平板状の係止部回動部と、
前記係止部回動部の面方向と交差する方向に突出した係止部突出部とを備えている、
フラットトップ型の紙容器用の液体注出具。
【請求項2】
前記載置部と前記係止部は、前記載置部と前記係止部の間に形成された開口を挟む複数個所の連接部により連接されてなる、請求項1に記載の
フラットトップ型の紙容器用の液体注出具。
【請求項3】
前記係止部突出部は、前記載置部と前記係止部の境界に沿う方向に延びる第1部分と、当該第1部分と鈍角をなす方向に前記境界の側に向かって延びる第2部分を有する、請求項1または請求項2に記載の、
フラットトップ型の紙容器用の液体注出具。
【請求項4】
前記係止部回動部は、平面視で少なくとも5辺以上を有する多角形であり、前記係止部突出部の前記第1部分に沿って位置する辺を第1辺、前記係止部突出部の前記第2部分に沿って位置する辺を第2辺、前記載置部と前記係止部の境界となる辺を第3辺としたとき、前記第2辺と異なる頂点において前記第1辺に接続する辺を第4辺、当該第4辺と前記第3辺を結ぶ辺を第5辺としたとき、前記第1辺と前記第4辺がなす角と、前記第3辺と前記第5辺がなす角が、いずれも鈍角である、請求項3に記載の、
フラットトップ型の紙容器用の液体注出具。
【請求項5】
前記注出部を囲む周壁をさらに備えるとともに、前記注出部を覆うキャップを備え、前記周壁の外周側と、前記キャップの内面側に、互いに係合可能な係合構造を有する、
フラットトップ型の紙容器用の請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の、液体注出具。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の
フラットトップ型の紙容器用の液体注出具を備えたことを特徴とする
フラットトップ型の紙容器用の紙容器。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の
フラットトップ型の紙容器用の液体注出具を備えたことを特徴とする
フラットトップ型の紙容器用の液体入り紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に装着して、内容物をより注出し易くするための液体注出具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙製や樹脂製の様々な容器に、内容物である液体が収容されて流通されている。特に、経済性、環境配慮の点から紙容器が液体用容器として広く利用されている。このような紙容器には、樹脂製の部材を装着する等して、付属物を収容するスペースを設けるなど、液体入りの紙容器をより快適に利用するための工夫がなされている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、紙容器等の容器に収容された液体を効率的に注出する工夫が十分になされているとは言い難いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、容器に収容された液体を注出し易くするとともに、容器に簡単に装着することが可能な液体注出具および紙容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、
容器の表面に対向して載置される平板状の基板部分を有する載置部と、
前記載置部の長手方向に連接され、前記載置部に対して回動可能な係止部と、
前記載置部と交差する方向に延びる注出部と、
紙容器の注出口に挿入する筒状の挿入部と、を備え、
前記係止部は、前記載置部と連接する平板状の係止部回動部と、当該係止部回動部の面方向と交差する方向に突出した係止部突出部とを備えている、液体注出具を提供する。
【0007】
また、本発明の液体注出具は、
前記載置部と前記係止部は、前記載置部と前記係止部の間に形成された開口を挟む複数個所の連接部により連接されていてもよい。
【0008】
また、本発明の液体注出具は、
前記係止部突出部は、前記載置部と前記係止部の境界に沿う方向に延びる第1部分と、当該第1部分と鈍角をなす方向に前記境界の側に向かって延びる第2部分を有していてもよい。
【0009】
また、本発明の液体注出具は、
前記係止部回動部は、平面視で少なくとも5辺以上を有する多角形であり、前記係止部突出部の前記第1部分に沿って位置する辺を第1辺、前記係止部突出部の前記第2部分に沿って位置する辺を第2辺、前記載置部と前記係止部の境界となる辺を第3辺としたとき、前記第2辺と異なる頂点において前記第1辺に接続する辺を第4辺、当該第4辺と前記第3辺を結ぶ辺を第5辺としたとき、前記第1辺と前記第4辺がなす角と、前記第3辺と前記第5辺がなす角が、いずれも鈍角であってもよい
【0010】
また、本発明の液体注出具は、
前記注出部を囲む周壁を更に備えるとともに、前記注出部を覆うキャップを備え、前記周壁の外周側と、前記キャップの内面側に、互いに係合可能な係合構造を有していてもよい。
【0011】
また、本発明では、
前記液体注出具を備えたことを特徴とする紙容器を提供する。
【0012】
また、本発明では、
前記液体注出具を備えたことを特徴とする液体入り紙容器を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容器に収容された液体を注出し易くするとともに、容器に簡単に装着することが可能な液体注出具および紙容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明第1の実施形態に係る液体注出具の斜視図である。
【
図2】本発明第1の実施形態に係る液体注出具の上面図および下面図である。
【
図3】本発明第1の実施形態に係る液体注出具の側面図である。
【
図4】本発明第1の実施形態に係る液体注出具の本体を装着した状態の斜視図である。
【
図5】本発明第1の実施形態に係る液体注出具の容器装着後、キャップを装着した状態の斜視図である。
【
図6】
図2(b)の下面図における一方の係止部2の部分拡大図である。
【
図7】本発明第2の実施形態に係る液体注出具の斜視図である。
【
図8】本発明第2の実施形態に係る液体注出具の上面図および下面図である。
【
図9】本発明第2の実施形態に係る液体注出具の側面図である。
【
図10】本発明第2の実施形態に係る液体注出具の本体を装着した状態の斜視図である。
【
図11】本発明第2の実施形態に係る液体注出具の容器装着後、キャップを装着した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
<第1の実施形態>
本発明第1の実施形態に係る液体注出具について説明する。本実施形態に係る液体注出具は、上面が平坦な1枚の平板状である、いわゆるフラットトップ型の紙容器に特に好適に利用可能なものである。
図1は本発明第1の実施形態に係る液体注出具の容器装着前の斜視図である。
図2は、本発明第1の実施形態に係る液体注出具の上面図および下面図である。
図3は、本発明第1の実施形態に係る液体注出具の側面図である。
図3は、
図2(a)の矢印Aの方向から見た側面図となっている。
図4は本発明第1の実施形態に係る液体注出具の容器装着後の斜視図である。
図5は本発明第1の実施形態に係る液体注出具の容器装着後、キャップを装着した状態の斜視図である。本実施形態に係る液体注出具は、
図4、
図5に示したように、フラットトップ型の紙容器KFに装着された状態で使用される。
【0016】
図1~
図5に示すように本実施形態の液体注出具は、フラットトップ型の紙容器KFに装着されて紙容器KFから液体を注出する液体注出具10であり、紙容器KFの表面に対向して載置される平板状の載置部1と、載置部1の長手方向に連接され、載置部1との連接部分を折り曲げて回動(揺動)可能な係止部2と、平板状の載置部1の面方向と交差する方向に延びる注出部5と、を備え、係止部2は、載置部1と連接する平板状の係止部回動部2Aと、平板状の係止部回動部2Aの面方向と交差する方向に突出した係止部突出部2Bとを備えている。
【0017】
本実施形態で用いるフラットトップ型の紙容器KFは、市販されている飲料容器等(
図1(b)参照)に使用されるタイプのものである。通常、フラットトップ型の紙容器KFは、1枚のブランクを折加工することにより箱状に形成される。この際、
図1(b)に示すように、フラットトップ型のトップである上面KFaに連続する突出部KFbは、上面KFaの端部において略90°折り曲げられて側面KFcに接着される。これにより
図1(b)に示すような全体として直方体状の紙容器KFが得られる。フラットトップ型のトップである上面KFaには、プラスチック製の容器注出口(図示省略)が形成されている。紙容器KFの容器注出口は筒状であり、筒状の容器注出口の外面側に螺子山、螺子溝等の螺子構造が形成されており、内面側に螺子溝、螺子山等の対応する螺子構造が形成されたキャップCPと螺合可能になっている。製造時には、容器注出口とキャップCPは各々成型した後、セット加工され、紙容器KFに装着される。紙容器KFにおける容器注出口は、一般的な紙容器に用いられる公知の形状であるので、図示は省略している。
【0018】
そのような状態において、内容物である液体の充填後、
図1(b)に示すような形態で販売が行われる。そして、購入後、消費者は、キャップCPを容器注出口から分離することにより開封する。これにより、容器注出口から紙容器KFの内容物である液体を注出することが可能な状態となる。このような紙容器KFの内容物としては、飲料類、調味料類、油脂類、液体洗剤類等の様々な液体が収容される。
【0019】
図1(a)に示すように、本実施形態の液体注出具は、平板状の基板部分を有する載置部1と係止部2が連接部R、Rを介して連接されている。係止部2は載置部1を挟んで対称に2つ設けられており、載置部1の対向する側にそれぞれ連接されている。
図1(a)の例では、2つの係止部2のうち、一方の係止部2が、図中の矢印で示す下方の方向に折り曲げられた状態となっている。
【0020】
図2(a)の上面図および
図3の側面図に示すように、載置部1の上面側には、載置部1に連接されて支持部3が形成されている。支持部3は側面視で台形状であり、支持壁3Aを外周とする上面は注出部5以外は平板状の支持面3Bであり、下方は空洞になっている。紙容器KFへの装着の際には、この空洞内に紙容器KFの容器注出口が収まるようになっている。支持部3の支持面3Bには、中央付近に注出部5が形成されている。注出部5は内部が空洞の筒状となっている。支持部3の支持面3Bには注出部5の空洞に対応する貫通孔3Cが開いている。注出部5の周囲には、支持部3の支持面3Bから上方に突出するように周壁4が形成されている。周壁4の外周側には、1箇所に外方に向かう僅かな凹部である係合凹部4aが形成されている。この係合凹部4aはキャップ7内側の凸部である係合凸部7a(
図4参照)と係合し、キャップ7を保持する。
【0021】
図2(b)の下面図に示すように、支持部3の支持面3Bより下方は空洞になっており、支持面3Bから下方に向けて挿入部6が形成されている。挿入部6は円筒状であり、内側の空洞は支持部3の支持面3Bを抜けて注出部5の空洞まで連続している。挿入部6の支持面3B付近における外周にはゴム等の弾性を備えた樹脂製のパッキン8が形成されており、紙容器KFの容器注出口の内壁に密着することにより、紙容器KF内の液体が注出部5以外に漏れ出ることを防いでいる。
【0022】
図2(a)(b)に示すように、平板状の載置部1の面方向には、両側に一対の係止部2が連接されている。載置部1と係止部2の境界部分には、屈曲用開口HAが形成されている。載置部1と係止部2は、屈曲用開口HAの両側に位置する連接部R、Rにおいて連接されている。実際には、載置部1と1対の係止部2は、一体成形され、屈曲用開口HAを形成した際に、残った部分が連接部Rとなる。連接部Rは、折り曲げられる部分となるため、載置部1、係止部2より厚みが薄くなるように、加工がなされていてもよい。係止部2は、載置部1を挟んで対称な構成であるため、2つの係止部2、2および、その構成要素については、同一符号を付して説明する。
【0023】
図6は、
図2(b)の下面図における一方の係止部2の部分拡大図である。本実施形態では、係止部2は、平面視において、載置部1と係止部2の境界となる辺2aと、辺2aに対向して辺2aに沿う方向に延びる辺2dと、を含み、辺2a~辺2f、頂点PA~PFを有する六角形状となっている。辺2aは頂点PEと頂点PFを結んでおり、辺2a上には、屈曲用開口HAと連接部R、Rが形成されている。辺2dは、辺2aと平行であることが好ましい。辺2dは頂点PDと頂点PEを結び、辺2eは頂点PEと頂点PFを結んでいる。頂点PEを共有する辺2dと辺2eがなす角度は鈍角となっている。
【0024】
係止部突出部2Bは、
図2(b)に示すように、辺2dに沿って形成された第1部分2Baと、辺2eに沿って形成された第2部分2Bbを有する。本実施形態では、第1部分2Baと第2部分2Bbはそれぞれ辺2d、辺2eに接して形成されている。このため、係止部突出部2Bの第1部分2Baと第2部分2Bbは頂点PEにおいて連接されており、両者のなす角度は鈍角である。したがって、第2部分2Bbは、第1部分2Baと鈍角をなす方向に載置部1と係止部2の境界となる辺2aの側に向かって延びている。
【0025】
係止部突出部2Bは、紙容器KFの突出部KFbに引っ掛けることにより係止を行う部分であるので、紙容器KFの突出部KFbに対応した形状であることが好ましい。ただし、紙容器KFの突出部KFbの形状、具体的には、突出部KFbの平面形状における辺の長さや頂点における角度、が異なるため、係止部突出部2Bの形状は、全ての紙容器KFの突出部KFbの形状と一致するわけではない。そこで、本実施形態では、係止部突出部2Bが第1部分2Baと第2部分2Bbを備え、第1部分2Baと第2部分2Bbが鈍角をなすように形成しておく。これにより、紙容器KFの突出部KFbの形状が多少異なっていても、その一部を、係止部突出部2Bの第1部分2Baと第2部分2Bbの少なくともどちらか一方が引っ掛けることができるようになる。
【0026】
第1部分2Baと第2部分2Bbがなす角度D(頂点PEにおける角度)は、110°以上160°以下であることが好ましく、120°以上150°以下であることがより好ましい。角度Dが小さ過ぎると、係止部突出部2Bの先端が紙容器KFの突出部KFbの表面に当たってしまい、突出部KFbを抑えられなくなる可能性が高まり、角度Dが大き過ぎると、第1部分2Baと第2部分2Bbの連接部分が突出部KFbに引っ掛からない可能性が高まるためである。第1部分2Baと第2部分2Bbがなす角度Dが適切な範囲に設定されている場合は、多くに紙容器KFに対して、突出部KFbを係止できる可能性が高まる。
【0027】
本実施形態では、さらに、係止部突出部2Bの第1部分2Baに沿って位置する辺2dを第1辺、係止部突出部2Bの第2部分2Bbに沿って位置する辺2eを第2辺、載置部1と係止部2の境界となる辺2aを第3辺としたとき、第2辺2eと異なる頂点PDにおいて第1辺2dに接続する辺2cを第4辺、第4辺2cと第3辺2aを結ぶ辺2bを第5辺としたとき、第1辺2dと第4辺2cがなす角と、第3辺2aと第5辺2bがなす角が、いずれも鈍角である。本実施形態では、液体注出具10をコンパクトにまとめるため、載置部1は、紙容器KFの上面KFaの全体を覆わず、紙容器KFの容器注出口が存在する部分を覆うようにし、載置部1の面積を縮減している。このような場合であっても、係止部回動部2Aが第1辺2dと第4辺2cがなす角と、第3辺2aと第5辺2bがなす角が、いずれも鈍角であるような形状であることにより、紙容器KFの突出部KFbを両側で抑えることができ、液体注出具10の紙容器KFへの装着性が高まる。なお、本実施形態では、係止部回動部2Aの平面形状を六角形状としたが、これに限定されず、5辺以上を有する多角形とすることができる。例えば、
図6に示した頂点PEと頂点PAを1つの辺で結んだ五角形状とすることもできる。
【0028】
図4、5に示すように、本実施形態の液体注出具は、
図1~
図3に示した本体部以外に、さらに注出部5の注出口を覆って装着可能なキャップ7を備えている。本実施形態の液体注出具10における本体部、キャップ7としては、樹脂成形加工により加工された合成樹脂を用いることができるが、本実施形態では、いずれもポリプロピレン製である。キャップ7は透明であることが好ましい。キャップ7が透明であることにより、キャップ7を貯留具として用いた場合に、貯留された液体が側面から視認可能となるためである。また、本実施形態では、キャップ7の側面に目盛が形成されており、キャップ内に貯留した液体の計量を行うことが可能となっている。すなわち、キャップ7は、液体の貯留具および計量器としても機能する。本明細書において、液体とは、粘性の程度に関わらず、気体、固体以外の状態の物質を意味する。
【0029】
上記のような液体注出具10を紙容器KFに装着する際には、まず、キャップCPを紙容器KFから外す。そして、紙容器KFを下方に位置させた状態で、上方から、液体注出具10の挿入部6を下方に向けて移動させる。この際、挿入部6の外面が紙容器KFの容器注出口の内面より内側に収まるようにして、挿入部6を容器注出口内に挿入する。さらに、パッキン8の外面も容器注出口の内面より内側に収まるようにして、挿入部6を容器注出口内に挿入する。挿入部6が容器注出口内に挿入されると、載置部1が紙容器KFの上面KFaに載置された状態となる。載置部1が紙容器KFの上面KFaに載置されたら、係止部2を連接部R、Rから折り曲げる。そして、係止部突出部2Bの内側を容器突出部KFbの外側に引っ掛けることで係止部突出部2Bを容器突出部KFbに固定する。これにより、
図4に示すように、液体注出具10が紙容器KFに装着される。
【0030】
さらに、液体注出具10本体が装着された紙容器KFを下方に位置させて、上方からキャップ7の開口を下方に向けた状態で移動させ、キャップ7を注出部5に被せる。そして、周壁4の係合凹部4aとキャップ7の係合凸部7aを係合させることにより、キャップ7を液体注出具10本体に装着する。これにより、
図5に示すように、キャップ7を含めて液体注出具10全体が紙容器KFに装着される。なお、先にキャップ7を液体注出具10本体に装着しておき、液体注出具10の挿入部6を容器注出口内に挿入して、液体注出具10を紙容器KFに装着して、
図5に示すような状態としてもよい。液体注出具10を事前に液体入り紙容器に装着しておき、液体注出具10が装着された状態の液体入り紙容器を、販売等することも可能である。また、液体が入っていない空の紙容器に液体注出具10が装着された状態の紙容器を、販売等することも可能である。
【0031】
紙容器KF内部の液体を注出する際には、キャップ7を外して
図4に示すような状態とし、注出部5を下方に傾けて、液体を注出する。この際、液体をキャップ7に注出することもできる。本実施形態では、キャップ7の側面に目盛が形成されており、計量器としても機能するので、計量を行い、所望の量だけ注出することもできる。
【0032】
本実施形態に係る液体注出具10では、連接部R、Rにより、係止部2が載置部1から屈曲され、係止部突出部2Bの内側が紙容器突出部KFbの外側と接する状態で固定されているため、注出部5を下方に傾けた場合でも、液体注出具10が紙容器KFから外れる可能性を抑えることができる。
【0033】
<第2の実施形態>
本発明第2の実施形態に係る液体注出具について説明する。第2の実施形態に係る液体注出具も、上面が平坦な1枚の平板状である、いわゆるフラットトップ型の紙容器に特に好適に利用可能なものである。
図7は本発明第2の実施形態に係る液体注出具の容器装着前の斜視図である。
図8は、本発明第2の実施形態に係る液体注出具の上面図および下面図である。
図9は、本発明第2の実施形態に係る液体注出具の側面図である。
図9は、
図8(a)の矢印Bの方向から見た側面図となっている。
図10は本発明第2の実施形態に係る液体注出具の容器装着後の斜視図である。
図11は本発明第2の実施形態に係る液体注出具の容器装着後、キャップを装着した状態の斜視図である。本実施形態に係る液体注出具も第1の実施形態と同様、
図10、
図11に示したように、フラットトップ型の紙容器KFに装着された状態で使用される。
【0034】
図7~
図11に示すように本実施形態の液体注出具は、フラットトップ型の紙容器KFに装着されて紙容器KFから液体を注出する液体注出具20であり、紙容器KFの表面に対向して載置される平板状の載置部21と、載置部21の長手方向に連接され、載置部21との連接部分を折り曲げて回動(揺動)可能な係止部22と、載置部21の面方向と交差する方向に延びる注出部25と、を備え、係止部22は、載置部21と連接する平板状の係止部回動部22Aと、平板状の係止部回動部22Aの面方向と交差する方向に突出した係止部突出部22Bとを備えている。
【0035】
本実施形態で用いるフラットトップ型の紙容器KFは、第1の実施形態と同様、
図7(b)に示すように、市販されている飲料容器等(
図7(b)参照)に使用されるタイプのものである。なお、
図7(b)は、
図1(a)と異なる方向から見た斜視図であり、両図に示された紙容器KFは同じものである。
【0036】
図7(a)、
図8、
図9に示すように、本実施形態の液体注出具は、平板状の載置部21と係止部22が連接部RB、RBを介して連接されている。係止部22は載置部21を挟んで対称に2つ設けられており、載置部21の対向する側にそれぞれ連接されている。
図7(a)の例では、2つの係止部22が、連接部RB、RBで屈曲されておらず、載置部21と係止部22が1つの平板状の状態となっている。
【0037】
図8(a)の上面図および
図9の側面図に示すように、載置部21の上面側には、支持部23が形成されている。支持部23は全体として円筒状の支持壁23Aの内部に周壁24、注出部25を支持するための支持面23Bを備えている。支持面23Bは注出部25以外は平板状であり、下方は空洞になっている。紙容器KFへの装着の際には、この空洞内に紙容器の容器注出口が収まるようになっている。支持部3の支持面23Bには、2つの係止部22を結ぶ方向に延びる中心線より一方側に寄った位置に注出部25が形成されている。紙容器KFの容器注出口は上面KFaの一方側に寄っている。第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり、載置部21が紙容器KFの上面KFaの全体を覆っているため、2つの係止部22を結ぶ方向に延びる中心線より一方側に寄った位置に形成されていることにより、装着した際に、注出部25が紙容器KFの容器注出口に対応した位置となる。
【0038】
注出部25は中が空洞の筒状となっている。支持部23の支持面23Bには注出部25の空洞に対応する貫通孔23Cが開いている。注出部25の周囲には、支持部23の支持面23Bから上方に突出するように周壁24が形成されている。支持部23の支持壁23Aの外周側には、螺子山または螺子溝となる螺子構造23Dが形成されている。この螺子構造23Dはキャップ27の内面側に形成された螺子構造(図示省略)と螺合し、キャップ27を保持する。なお、周壁24とキャップ27は互いに係合可能な係合構造を有していればよく、螺子構造以外の係合構造であってもよい。
【0039】
図8(b)の下面図に示すように、支持部23の支持面23Bより下方は空洞になっており、支持面23Bから下方に向けて挿入部26が形成されている。挿入部26は円筒状であり、内側の空洞は支持部23の支持面23Bに形成された貫通孔23Cを抜けて注出部25の空洞まで連続している。挿入部26の支持面23B付近における外周にはパッキン28が形成されており、紙容器KFの容器注出口の内壁に密着することにより、紙容器KF内の液体が注出部25以外に漏れ出ることを防いでいる。
【0040】
図8(a)(b)に示すように、平板状の載置部21の面方向には、両側に一対の係止部22が連接されている。載置部21と係止部22の境界部分には、屈曲用開口HCが形成されている。載置部21と係止部22は、屈曲用開口HCの両側に位置する連接部RB、RBにおいて連接されている。実際には、載置部21と1対の係止部22は、一体成形され、屈曲用開口HCを形成した際に、残った部分が連接部RB、RBとなる。連接部RBは、折り曲げられる部分となるため、載置部21、係止部22より厚みが薄くなるように、加工がなされていてもよい。
【0041】
図8(b)に示すように、本実施形態では、係止部突出部22Bは、載置部21と係止部22の境界となる辺22a、辺22aに沿う方向に延びる辺22cを含み、辺22a~辺22d、頂点PH~PKを有する四角形状となっている。辺22cは、辺22aと平行であることが好ましい。辺22cは頂点PJと頂点PKを結んでいる。第2の実施形態では、係止部突出部22Bは、辺22cに沿った1方向にのみ延伸する形態であるが、第1の実施形態に示したように、係止部突出部22Bが第1部分22Baと第2部分22Bbを有し、第1部分22Baと第2部分22Bbが頂点PJまたは頂点PKにおいて連接されており、そのなす角度は鈍角であるように構成されていてもよい。
【0042】
図10、
図11に示すように、本実施形態の液体注出具は、
図7~
図9に示した本体部以外に、さらに注出部25の注出口を覆って装着可能なキャップ27を備えている。本実施形態の液体注出具における本体部、キャップ27としては、樹脂成形加工により加工された合成樹脂を用いることができるが、本実施形態では、いずれもポリプロピレン製である。キャップ27は透明であることが好ましい。キャップ27が透明であることにより、キャップ27を液体の貯留具として用いた場合に、貯留された液体が側面から視認可能となるためである。また、本実施形態では、キャップ27の側面に目盛が形成されており、キャップ27内に貯留した液体の計量を行うことが可能となっている。すなわち、キャップ27は、液体の貯留具および計量器としても機能する。
【0043】
上記のような液体注出具20を紙容器KFに装着する際には、まず、キャップCPを紙容器KFから外す。そして、紙容器KFを下方に位置させた状態で、上方から、液体注出具20の挿入部26を下方に向けて移動させる。この際、挿入部26の外面が紙容器KFの容器注出口の内面より内側に収まるようにして、挿入部26を容器注出口内に挿入する。さらに、パッキン28の外面も容器注出口の内面より内側に収まるようにして、挿入部26を容器注出口内に挿入する。挿入部26が容器注出口内に挿入されると、載置部21が紙容器KFの上面KFaに載置された状態となる。載置部21が紙容器KFの上面KFaに載置されたら、係止部22を連接部RB、RBから折り曲げる。そして、係止部突出部22Bの内側を紙容器突出部KFbの外側に引っ掛けることで係止部突出部22Bを紙容器突出部KFbに固定する。これにより、
図10に示すように、液体注出具20が紙容器KFに装着される。
【0044】
さらに、液体注出具20本体が装着された紙容器KFを下方に位置させて、上方からキャップ27の凹部を下方に向けた状態で移動させ、キャップ27を注出部25に被せる。そして、支持部23の支持壁23Aの外周側に形成され螺子構造23Dとキャップ27の内面側に形成された螺子構造27Dとを螺合させることにより、キャップ27を液体注出具20本体に装着する。これにより、
図11に示すように、キャップ27を含めて液体注出具20全体が紙容器KFに装着される。なお、先にキャップ27を液体注出具20本体に装着しておき、液体注出具20の挿入部26を容器注出口内に挿入して、液体注出具20を紙容器KFに装着して、
図11に示すような状態としてもよい。
【0045】
紙容器KF内部の液体を注出する際には、キャップ27を外して
図10に示すような状態とし、注出部25を下方に傾けて、液体を注出する。この際、液体をキャップ27に注出することもできる。本実施形態では、キャップ27の側面に目盛が形成されており、計量器としても機能するので、計量を行い、所望の量だけ注出することもできる。
【0046】
第2の実施形態に係る液体注出具20では、連接部RB、RBにより、係止部22が載置部21から屈曲され、係止部突出部22Bの内側が紙容器突出部KFbの外側と接する状態で固定されているため、注出部25を下方に傾けた場合でも、液体注出具20が紙容器KFから外れる可能性を抑えることができる。
【0047】
上記第1、第2の実施形態に係るキャップ7、27の側面には、液体の量を示すための目盛が形成されている(図示省略)。この目盛を参照することにより、例えば、注出部5、25から注出されて貯留された液体が何ml(ミリリットル)であるかを計量することができる。この場合、キャップ7、27は、いわゆる計量カップとして用いられる計量具としても機能する。単に注出部5、25を保護するキャップとして用いる場合や、単に貯留することを目的とする場合には、目盛を形成しておかなくてもよい。
【0048】
上記実施形態に係る液体注出具の材料としては、各構成要素のいずれも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂などが使用でき、その成型法としては、真空成形や圧空成形などのシートフォーミング法、射出成形法などが使用できる。上記実施形態では、キャップを含め、液体注出具の各構成要素を、ポリプロピレンを材料として射出成形法により形成している。
【0049】
また、フラットトップ型の紙容器KFに使用する材料は、紙を主体とする積層体からなり、その紙の一方の面に最内層が熱接着性樹脂層である内層を、他方の面に最外層が熱接着性樹脂層である外層を備えていることを基本としている。そして、紙と熱接着樹脂層との間にバリアー層を積層することもできる。
【0050】
また、積層体の最内層および最外層に使用する熱可塑性樹脂は、内容物の保護、特に液状の物質を入れても洩れない機能、また、熱シールにより貼り合わせて液体用紙容器の組み立てを可能にする機能を持っている必要がある。具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α ・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂などの樹脂を使用することができる。なかでも、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体は、伸縮性があり、ひび割れ、ピンホールが発生しにくく、好適に使用することができる。
【0051】
上記の熱接着性樹脂を用いて、例えば、押し出し機を使用し、紙とバリアー層との層間に、上記のような樹脂の1種又は2種以上を単層又は多層に押し出して溶融押し出し樹脂層を形成し、その溶融押し出し樹脂層を介して、上記の紙とバリアー層とを積層することができるものである。
【0052】
なお、フラットトップ型の紙容器KFにおいて、熱接着性樹脂層の膜厚としては、20~200μmの範囲が好ましく、25~100μmの範囲がより好ましい。膜厚が、25μm未満であると、炙りピンホールが発生し易い傾向にあることから好ましくなく、200μmを越えると、紙容器の底面や上面の成形性が非常に悪くなることから好ましくないものである。
【0053】
また、フラットトップ型の紙容器KFを構成するバリアー層として、機械的、物理的、化学的、その他において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルム又はシートを使用することができる。具体的には、例えば、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂) 、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルム又はシートを使用することができる。さらに、これらのフィルムに金属蒸着膜あるいは無機酸化膜を設けたフィルム、金属箔などを使用することもできる。
【0054】
具体的な材料の構成としては、表面側からポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、発泡ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層/紙層/ポリプロピレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエステル樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/エチレン-アクリル酸共重合体層/アルミニウム箔/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/アルミニウム箔/二軸延伸ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/蒸着アルミ層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/シリカ蒸着層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)などがあげられる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、注出口を囲むように周壁を形成するようにしたが、必ずしも周壁を形成する必要はない。
【0056】
また、上記実施形態では、キャップを備え、注出口を覆うようにして、液体注出具に装着するようにしたが、必ずしもキャップを備える必要はなく、キャップがない構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1、21・・・載置部
2、22・・・係止部
2A、22A・・・係止部回動部
2B、22B・・・係止部突出部
3、23・・・支持部
4、24・・・周壁
5、25・・・注出部
6、26・・・挿入部
7、27・・・キャップ
8、28・・・パッキン
10、20・・・液体注出具
CP・・・キャップ
KF・・・紙容器
KFa・・・(紙容器の)上面
KFb・・・(紙容器の)突出部
KFc・・・(紙容器の)側面