IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

特許7547819静電荷像現像用トナーおよび画像形成方法
<>
  • 特許-静電荷像現像用トナーおよび画像形成方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】静電荷像現像用トナーおよび画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/09 20060101AFI20240903BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20240903BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G03G9/09
G03G9/097 374
G03G9/087 331
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020120016
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016989
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萱森 隆成
(72)【発明者】
【氏名】久保 雄也
(72)【発明者】
【氏名】平野 史朗
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-177846(JP,A)
【文献】特開2014-156501(JP,A)
【文献】特開2019-184793(JP,A)
【文献】特開2011-065076(JP,A)
【文献】特開2005-157314(JP,A)
【文献】特開2014-098846(JP,A)
【文献】特開2015-225123(JP,A)
【文献】特開2019-184794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/09
G03G 9/097
G03G 9/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂と、少なくとも2種類の有機顔料と、を含むトナー母体粒子と、
外添剤としてのチタン酸ストロンチウムと、
を含み、
前記少なくとも2種類の有機顔料は、
メチルエチルケトンに分散させたときの吸収極大波長λmax(nm)が400nmより大きく600nm未満となる顔料P1と、
チルエチルケトンに分散させたときの吸収極大波長λmax(nm)が600nm以上700nm以下となる顔料P2と、を含み、
前記顔料P1は、メチルエチルケトンに分散させたときの吸収極大波長λmax(nm)が460nm以上530nm以下となる顔料P1-2を含む、
ブラックトナーである、
静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記顔料P1-2は、C.I.Pigment Brown 23、C.I.Pigment Brown 25、C.I.Pigment Brown 41、およびC.I.Pigment Red 38からなる群から選択される少なくとも1種類の顔料を含む、請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記顔料P2は、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 15:5、C.I.Pigment Blue 15:6およびC.I.Pigment Blue 16からなる群から選択される少なくとも1種類の顔料を含む、請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
メチルエチルケトンに分散させたときの吸収極大波長λmax(nm)が530nmより大きく600nm未満となる顔料P1-3を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記顔料P1-3は、C.I.Pigment Orange 34、C.I.Pigment Orange 36、C.I.Pigment Orange 38、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Orange 62、C.I.Pigment Orange 68、C.I.Pigment Orange 70、C.I.Pigment Orange 72、C.I.Pigment Orange 74、C.I.Pigment Red 31、C.I.Pigment Red 48:4、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 147、C.I.Pigment Red 150、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 238、C.I.Pigment Red 242、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 269、C.I.Pigment violet 19、C.I.Pigment violet 23およびC.I.Pigment violet 32からなる群から選択される少なくとも1種類の顔料を含む、請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
メチルエチルケトンに分散させたときの吸収極大波長λmax(nm)が400nmより大きく460nm未満となる顔料P1-1を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
前記顔料P1-1は、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Pigment Yellow 181、C.I.Pigment Yellow 185、C.I.Pigment Yellow 213、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Green 254、およびC.I.Pigment Orange 43からなる群から選択される少なくとも1種類の顔料を含む、請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
前記チタン酸ストロンチウムは、ランタン含有チタン酸ストロンチウムを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】
前記チタン酸ストロンチウムは、個数粒度分布におけるピークトップの粒子径が10nm以上100nm以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】
前記結着樹脂は、結晶性ポリエステルを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを記録媒体に付着させる工程と、
前記付着させた静電荷像現像用トナーを前記記録媒体に定着させる工程と、
を有する、画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナーおよび画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
形成される色味の調整、トナーの物性の調整、あるいは顔料の分散性の向上などを目的として、複数種の有機顔料を1つのトナー母体粒子中に内添したトナーが知られている(特許文献1~特許文献3)。
【0003】
また、異なる色調の有機顔料を1つのトナー母体粒子中に内添して、幅広い波長域の光を吸収できるようにしたトナーも知られている。上記トナーは、可視光領域の電磁波は吸収するが、近赤外領域の電磁波の吸収量は少ないという特性を有する。そのため、上記トナーを用いれば、見た目には黒色であるが、近赤外線のみに感度を有する検出器を用いると透明として検出される画像を形成することができる。このような特性により、上記トナーは、一部のみに近赤外線への透過性を付与することにより人の目には認識できない情報を埋め込んだ画像を形成するために用いたりすることができる(たとえば、特許文献4および特許文献5)。
【0004】
なお、カーボンブラックは近赤外領域の電磁波を吸収するため、上記近赤外線への透過性は、顔料としてカーボンブラックを用いたトナーでは達成できない(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-176088号公報
【文献】特開2011-065076号公報
【文献】特開2012-083440号公報
【文献】特開平5-297635号公報
【文献】特開2009-79096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、複数種の有機顔料を1つのトナー母体粒子中に内添したトナーが知られている。しかし、本発明者らの知見によれば、このようなトナーは、帯電性が不十分であったり、あるいは画像形成後のクリーニング性が不十分であったりしていた。
【0007】
上記問題に鑑み、本発明は、複数種の有機顔料を1つのトナー母体粒子中に内添したトナーであって、帯電性およびクリーニング性をより高めたトナー、および当該トナーを用いた画像形成方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、トナー母体粒子と、外添剤と、を含む静電荷像現像用トナーに関する。前記トナー母体粒子は、結着樹脂と、少なくとも2種類の有機顔料と、を含み、前記外添剤は、チタン酸ストロンチウムを含む。
【0009】
また、上記目的を達成するための本発明の別の態様は、上記静電荷像現像用トナーを記録媒体に付着させる工程と、前記付着させた静電荷像現像用トナーを前記記録媒体に定着させる工程と、を有する画像形成方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数種の有機顔料を1つのトナー母体粒子中に内添したトナーであって、帯電性およびクリーニング性をより高めたトナー、および当該トナーを用いた画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に関する画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.静電荷像現像用トナー
本発明の一実施形態は、感光体などの像担持体に形成された静電荷像(静電潜像)を現像するためのトナーに関する。上記トナーは、一成分系の現像剤であってもよいし、キャリア粒子とトナー粒子とを有する二成分系の現像剤であってもよい。
【0013】
上記トナーは、トナー母体粒子と、上記トナー母体粒子の表面に付着した外添剤と、を有する。そして、上記トナー母体粒子は、結着樹脂と少なくとも2種類の有機顔料とを含み、上記外添剤は、チタン酸ストロンチウムを含む。
【0014】
本発明者らの知見によれば、2種類以上の有機顔料を含むトナーは、用いる有機顔料の種類の増加に伴い、トナー母体粒子中に含有する有機顔料の量も多くなりやすい。そして、抵抗が大きい有機顔料の含有量が多くなると、トナーの帯電性が不安定になってしまう。トナーの帯電性が不安定になると、たとえば低温低湿(LL)環境条件ではトナーが過剰帯電してしまうなどの問題がある。この結果として、環境条件の違い(たとえば、LL環境条件と、トナーの過剰帯電が生じにくい高温高湿(HH)環境条件との間の環境条件の違い)などによってトナーの帯電量が大きく変化してしまい、安定した画像形成が困難になることがある。
【0015】
これに対し、上記トナーにおいて外添剤に含まれるチタン酸ストロンチウムは、外添剤として用いられる他の物質(たとえばシリカなど)と比較して抵抗が低い。そのため、チタン酸ストロンチウムは、上記トナーにおいて抵抗調整剤としても作用し、顔料により高抵抗となったトナーの過剰な帯電を抑制することができる。これにより、チタン酸ストロンチウムは、トナーの帯電性を安定化させ、安定した画像形成を可能にできると考えられる。
【0016】
また、チタン酸ストロンチウムは、正帯電性が高い。そのため、現像時にトナー母体粒子同士が摩擦して脱落したチタン酸ストロンチウムは、上記摩擦によりトナーとは逆の極性が付与されるため、トナーと分離して非画像部に集まりやすく、その結果、記録媒体に転写されずに像担持体に残存しやすい。この残存したチタン酸ストロンチウムが、クリーニング部材と像担持体との間に蓄積することにより、クリーニング部材からのトナーの漏れをせき止める。これにより、チタン酸ストロンチウムは、トナーのクリーニング性をより高めることができると考えられる。
【0017】
以下、上記知見に基づく本発明のトナーについて、より詳細に説明する。
【0018】
1-1.トナー母体粒子
トナー母体粒子は、結着樹脂と、2種類以上の有機顔料と、を有する。
【0019】
トナー母体粒子は、体積基準の平均粒子径が5.0μm以上8.0μm以下であることが好ましく、5.5μm以上7.0μm以下であることがより好ましい。トナー母体粒子の体積基準の平均粒子径を5.0μm以上とすることで、2種類以上の顔料を十分にトナー母体粒子に内添させて発色性を良好とすることができ、かつトナーの転写効率を高めることができる。トナー母体粒子の体積基準の平均粒子径を8.0μm以下とすることで、形成される画像の解像度をより高めることができる。
【0020】
トナー母体粒子の体積基準の平均粒子径は、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、コールターマルチサイザー3)に、データ処理用ソフトSoftware V3.51を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定することができる。具体的には、0.02gの試料(トナー母体粒子)を、20mLの界面活性剤溶液(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、1分間の超音波分散処理を行い、トナー母体粒子の分散液を調製する。この分散液を、サンプルスタンド内の電解液(ベックマン・コールター社製、ISOTONII)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。この濃度にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を100μmにし、測定範囲である2~60μmの範囲を256分割して頻度値を算出し、これをもとに体積基準の平均粒子径を算出する。
【0021】
1-1-1.結着樹脂
結着樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0022】
上記熱可塑性樹脂の例には、スチレン樹脂、ビニル樹脂(アクリル樹脂およびスチレン-アクリル樹脂など)、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、およびエポキシ樹脂などが含まれる。
【0023】
結着樹脂は、非晶性樹脂であってもよいし、結晶性樹脂であってもよい。
【0024】
(非晶性樹脂)
本明細書において、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)による測定において、融点が観測されない樹脂を意味する。また、本明細書において、樹脂に融点が観測されるとは、DSCにおいて、昇温速度10℃/minで測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークが観測されることを意味する。
【0025】
また、DSC測定における1度目の昇温過程において観測されたガラス転移温度をTgとし、2度目の昇温過程において観測されたガラス転移温度をTgとしたとき、上記非晶性樹脂は、Tgが35℃以上80℃以下であることが好ましく、45℃以上65℃以下であることがより好ましい。また、上記非晶性樹脂は、Tgが20℃以上70℃以下であることが好ましく、30℃以上55℃以下であることがより好ましい。上記非晶性樹脂のTgが35℃以上またはTgが20℃以上であると、トナーの耐熱性(耐熱保管性など)をより高めることができる。上記非晶性樹脂のTgが80℃以下またはTgが70℃以下であると、トナーの低温定着性をより高めることができる。
【0026】
本明細書において、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、公知のDSC測定機(たとえば、パーキンエルマー社製、ダイヤモンドDSC)を用いて測定した値とすることができる。具体的には、測定試料(樹脂)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、DSC測定機のサンプルホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。そして、昇温速度10℃/分で0℃から200℃まで昇温する第1昇温過程、冷却速度10℃/分で200℃から0℃まで冷却する冷却過程、および昇温速度10℃/分で0℃から200℃まで昇温する第2昇温過程をこの順に経る測定条件(昇温・冷却条件)によってDSC曲線を得る。この測定によって得られたDSC曲線に基づいて、それぞれの昇温過程における第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度(TgおよびTg)とする。
【0027】
上記非晶性樹脂の含有量は、トナー母体粒子の全質量に対して20質量%以上99質量%以下であることが好ましく、30質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましい。上記非晶性樹脂の含有量が20質量%以上であると、形成される画像の強度をより高めることができる。
【0028】
上記非晶性樹脂の例には、スチレン樹脂、ビニル樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、およびポリエーテル樹脂などが含まれる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、非晶性ポリエステル樹脂およびスチレン-アクリル樹脂などのビニル樹脂が好ましい。
【0029】
上記非晶性ポリエステル樹脂は、トナーの低温定着性を高めることができる。上記非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる非晶性の樹脂であればよい。上記多価カルボン酸の例に、不飽和脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸、およびこれらの誘導体などが含まれるが、得られるポリエステル樹脂が非晶性となる限りにおいて、飽和脂肪族多価カルボン酸を併用してもよい。上記多価アルコールの例には、不飽和脂肪族多価アルコール、芳香族多価アルコール、およびこれらの誘導体などが含まれるが、得られるポリエステル樹脂が非晶性となる限りにおいて、飽和脂肪族多価アルコールを併用してもよい。上記多価脂肪酸および多価アルコールは、単独でもまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
上記ビニル樹脂は、トナー母体粒子を硬くして、トナー母体粒子への外添剤の埋没を抑制し、チタン酸ストロンチウムによる帯電性の向上およびクリーニング性の向上効果をより高めることができる。上記ビニル樹脂の例には、炭素原子数6以上30以下の直鎖炭素鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体、スチレンの(共)重合体、その他の(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体、ビニルエステル類の(共)重合体、ビニルエーテル類の(共)重合体、ビニルケトン類の(共)重合体、およびアクリル酸またはメタクリル酸の(共)重合体などが含まれる。
【0031】
上記ビニル樹脂の含有量は、結着樹脂の全質量に対して0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。上記ビニル樹脂の含有量が0.1質量%以上であると、上記外添剤の埋没抑制効果が十分に奏される。上記ビニル樹脂の含有量が20質量%以下であると、他の樹脂(特には非晶性ポリエステル樹脂)の含有量を増やして、トナーの低温定着性を高めやすい。
【0032】
(結晶性樹脂)
本明細書において、結晶性樹脂とは、DSCによる測定において、融点が観測される樹脂を意味する。
【0033】
結晶性樹脂は、トナー母体粒子の柔軟性を高め、外添剤に含まれるチタン酸ストロンチウム粒子を固着しやすくする。
【0034】
上記結晶性樹脂の含有量は、トナー母体粒子の全質量に対して3質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。上記非晶性樹脂の含有量が3質量%以上であると、トナーの定着性をより高めることができる。
【0035】
上記結晶性樹脂の例には、スチレン樹脂、ビニル樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、およびポリエーテル樹脂などが含まれる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、非晶性ポリエステル樹脂およびスチレン-アクリル樹脂などのビニル樹脂が好ましい。
【0036】
上記結晶性ポリエステル樹脂は、トナーの低温定着性を高めることができる。上記結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる結晶性の樹脂であればよい。
【0037】
上記多価カルボン酸は、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、ドデカン二酸(1,12-ドデカンジカルボン酸)、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸などを含む2価の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸などを含む2価の芳香族ジカルボン酸などとすることができる。これらは、無水物または低級アルキルエステルであってもよい。
【0038】
あるいは、上記多価カルボン酸は、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等、およびこれらの無水物または低級アルキルエステルなどの3価以上のカルボン酸であってもよい。さらに、マレイン酸、フマル酸、3-ヘキセンジオイック酸、および3-オクテンジオイック酸などを含む不飽和多価カルボン酸を用いてもよい。
【0039】
上記多価アルコールは、脂肪族ジオールであることが好ましく、主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖脂肪族ジオールであることがより好ましい。特に上記直鎖脂肪族ジオールは、ポリエステル樹脂の結晶性を高めやすく、溶融温度を降下させにくい。そのため、上記直鎖脂肪族ジオールは、トナーの耐ブロッキング性、画像保存性、および低温定着性をより高めることができる。このとき直鎖脂肪族ジオールの、炭素数が7以上20以下であると、多価カルボン酸成分と重縮合させる際の融点をより低くすることができ、合成が容易である。
【0040】
上記脂肪族ジオールの例には、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、および1,18-オクタデカンジオールなどが含まれる。あるいは、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどを含む3価以上のアルコールを用いてもよい。
【0041】
上記結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、5,000以上50,000以下であることが好ましい。なお、本明細書において、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)によって、たとえば以下の方法で測定される値である。
【0042】
装置として東ソー株式会社製、HLC-8120GPCを用い、カラムとして東ソー株式会社製、TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ-M3連を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/分で流す。測定試料(樹脂)は、濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解した溶液を使用する。当該溶液は、超音波分散機を用いて、室温にて5分間処理を行い、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して得ることができる。10μLのこの試料溶液を上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出する。単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成された検量線に基づいて、測定試料の分子量分布を算出する。
【0043】
1-1-2.有機顔料
有機顔料は、有機化合物からなる顔料である。本実施形態では、呈される色味の調整およびトナーの物性などの調整を目的として、2種類以上の顔料が1つのトナー母体粒子中に内添される。
【0044】
可視光領域におけるより幅広い波長の電磁波を吸収して、より黒色性の高い画像として画像の視認性をより低下させる観点からは、上記2種類以上の顔料は、互いに異なる色調を呈する顔料であることが好ましい。より具体的には、上記2種類以上の顔料は、吸収極大波長λmaxの差が50nm以上240nm以下となる有機顔料の組み合わせを含むことが好ましい。
【0045】
なお、本明細書において、有機顔料の吸収極大波長は、メチルエチルケトン100重量部に対して、有機顔料0.02重量部を混合し、得られた分散液を、光路長10mmの分光光度計用石英セルに入れて分光光度計で400-700nmの波長域で吸収スペクトルを測定したうち吸収極大となる値を吸収極大波長とした。
【0046】
可視光領域におけるより幅広い波長の電磁波を十分に吸収する観点からは、上記2種類以上の有機顔料は、可視光領域(400nm~700nm)を2分したときの短波長側領域(波長が400nmより大きく600nm未満となる領域)に吸収極大波長λmaxを有する顔料P1と、上記2分したときの長波長側領域(波長が600nm以上700nm以下となる領域)に吸収極大波長λmaxを有する顔料P2と、を含むことが好ましい。
【0047】
さらに、顔料P1は、吸収極大波長λmaxが400nmより大きく460nm未満となる顔料P1-1、吸収極大波長λmaxが460nm以上530nm以下となる顔料P1-2、および吸収極大波長λmaxが530nmより大きく600nm未満となる顔料P1-3のうち、少なくとも顔料P1-2を含むことが好ましい。
【0048】
これらの顔料を適宜組み合わせることにより、可視光領域におけるより幅広い波長の電磁波を十分に吸収する観点からは、顔料P1-1は、吸収極大波長λmaxが410nmより大きく450nm未満となる顔料であることが好ましく、顔料P1-2は、吸収極大波長λmaxが480nm以上510nm以下となる顔料であることが好ましく、顔料P1-3は、吸収極大波長λmaxが540nmより大きく590nm未満となる顔料であることが好ましく、顔料P2は、吸収極大波長λmaxが620nm以上660nm以下となる顔料であることが好ましい。
【0049】
顔料P1-2は、顔料P1が吸収極大波長を有し得る波長領域(400nm~600nm)のうち中央の波長領域に吸収極大波長λmaxを有する顔料である。そのため、トナー母体粒子が顔料P1-2を含むと、形成される画像がより幅広い波長の電磁波を吸収しやすくなる。また、顔料P1-2は、抵抗が低い顔料であることが多く、トナーの過剰帯電による帯電性の低下を生じさせにくい。
【0050】
また、可視光領域におけるより幅広い波長の電磁波を十分に吸収する観点からは、顔料P1-2は、吸収スペクトルの長波長側における半値波長が550nm以上であることが好ましい。
【0051】
顔料P1-2は、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料などの顔料であり得る。具体的には、顔料P1-2は、C.I.Pigment Brown 23、C.I.Pigment Brown 25、C.I.Pigment Brown 41、およびC.I.Pigment Red 38などとすることができる。
【0052】
一方で、可視光領域におけるより幅広い波長の電磁波をより十分に吸収する観点からは、トナー母体粒子は、顔料P1-1~顔料P1-3のうち、いずれか2種類以上を含むことが好ましく、すべての種類を含むことがより好ましい。特に、顔料P1-1~顔料P1-3のうちより多くの種類の顔料をトナー母体粒子が含有すると、帯電性をより安定させることができ、また記録媒体への定着性もより高めることができる。さらには、いずれかの顔料が退色しても他の顔料が当該退色した顔料の波長域をカバーできるため、形成された画像の耐光性もより高めることができる。さらには、本発明者らの知見によれば、顔料の種類が多いほど、おそらくは結晶性樹脂(特には結晶性ポリエステル樹脂)の分散性が高まることにより、トナー定着性がより高まる。
【0053】
顔料P1-1は、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、ベンズイミダゾリン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料およびペリノン顔料などであり得る。具体的には、顔料P1-1は、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 73、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 81、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 87、C.I.Pigment Yellow 97、C.I.Pigment Yellow 111、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 126、C.I.Pigment Yellow 127、C.I.Pigment Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 173、C.I.Pigment Yellow 174、C.I.Pigment Yellow 175、C.I.Pigment Yellow 176、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Pigment Yellow 181、C.I.Pigment Yellow 185、C.I.Pigment Yellow 191、C.I.Pigment Yellow 194、C.I.Pigment Yellow 196、C.I.Pigment Yellow 213、C.I.Pigment Yellow 214、C.I.Pigment Yellow 217、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Green 254、およびC.I.Pigment Orange 43などとすることができる。
【0054】
これらのうち、顔料P1-1としては、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Pigment Yellow 181、C.I.Pigment Yellow 185、C.I.Pigment Yellow 213、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 36、およびC.I.Pigment Green 254が好ましい。
【0055】
顔料P1-3は、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、β-ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、アゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、チオインジゴ顔料、トリアリールカルボニウム顔料およびジケトピロロピロール顔料などであり得る。具体的には、顔料P1-3は、C.I.Pigment Orange 5、C.I.Pigment Orange 13、C.I.Pigment Orange 34、C.I.Pigment Orange 36、C.I.Pigment Orange 38、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Orange 62、C.I.Pigment Orange 68、C.I.Pigment Orange 70、C.I.Pigment Orange 72、C.I.Pigment Orange 74、C.I.Pigment Red 2、C.I.Pigment Red 3、C.I.Pigment Red 4、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 9、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 14、C.I.Pigment Red 31、C.I.Pigment Red 48:2、C.I.Pigment Red 48:3、C.I.Pigment Red 48:4、C.I.Pigment Red 53:1、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 144、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 147、C.I.Pigment Red 149、C.I.Pigment Red 150、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 169、C.I.Pigment Red 170、C.I.Pigment Red 175、C.I.Pigment Red 176、C.I.Pigment Red 177、C.I.Pigment Red 179、C.I.Pigment Red 181、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 185、C.I.Pigment Red 187、C.I.Pigment Red 188、C.I.Pigment Red 207、C.I.Pigment Red 208、C.I.Pigment Red 209、C.I.Pigment Red 210、C.I.Pigment Red 214、C.I.Pigment Red 238、C.I.Pigment Red 242、C.I.Pigment Red 247、C.I.Pigment Red 253、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 256、C.I.Pigment Red 257、C.I.Pigment Red 262、C.I.Pigment Red 263、C.I.Pigment Red 266、C.I.Pigment Red 269、C.I.Pigment Red 274、C.I.Pigment Violet 19、C.I.Pigment Violet 23、およびC.I.Pigment Violet 32、などであり得る。
【0056】
これらのうち、顔料P1-3としては、C.I.Pigment Orange 34、C.I.Pigment Orange 36、C.I.Pigment Orange 38、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Orange 62、C.I.Pigment Orange 68、C.I.Pigment Orange 70、C.I.Pigment Orange 72、C.I.Pigment Orange 74、C.I.Pigment Red 31、C.I.Pigment Red 48:4、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 147、C.I.Pigment Red 150、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 238、C.I.Pigment Red 242、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 269、C.I.Pigment Violet 19、C.I.Pigment Violet 23、およびC.I.Pigment Violet 32が好ましい。
【0057】
顔料P2は、C.I.C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 15:5、C.I.Pigment Blue 15:6、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 56、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 61、およびC.I.Pigment Blue 80などであり得る。
【0058】
これらのうち、色相をより良好とし、導電性および耐光性をより高め、および近赤外領域の電磁波の透過性を低下させにくい観点からは、顔料P2は、フタロシアニン顔料であることが好ましい。フタロシアニン顔料である顔料P2の例には、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 15:5、C.I.Pigment Blue 15:6およびC.I.Pigment Blue 16などが含まれる。
【0059】
上記顔料の合計含有量は、トナー母体粒子の全質量に対して1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、7質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。上記非晶性樹脂の含有量をより多くすることで、形成される画像の発色性をより良好にすることができる。一方で、上記顔料の合計含有量が30質量%以下であると、トナー母体粒子に十分な量の結着樹脂を含ませることができるので、トナーが柔軟になって画像の定着性が十分に高まり、かつ、チタン酸ストロンチウムの脱離がより生じにくくなる。
【0060】
また、これらの顔料P1-1、顔料P1-2、顔料P1-3および顔料P2は、これらを合計した全質量に対して、顔料P1-2および顔料P2を合計して60質量%以上100質量%以下の量で含有することが好ましい。また、これらを合計した全質量に対して、顔料P1-1を0質量%以上40質量%以下の量で含有することが好ましい。また、これらを合計した全質量に対して、顔料P1-3を0質量%以上40質量%以下の量で含有することが好ましい。
【0061】
また、これらの顔料は、顔料P1-2および顔料P2を合計した全質量に対して、顔料P1-2を31質量%以上69質量%以下の量で含有することが好ましく、35質量%以上65質量%以下の量で含有することがより好ましく、40質量%以上60質量%以下の量で含有することがさらに好ましい。また、顔料P1-2および顔料P2を合計した全質量に対して、顔料P2を31質量%以上69質量%以下の量で含有することが好ましく、35質量%以上65質量%以下の量で含有することがより好ましく、40質量%以上60質量%以下の量で含有することがさらに好ましい。
【0062】
なお、カーボンブラックは、近赤外領域の電磁波の透過性を低下させやすく、また導電性が高いためトナーの帯電性を不安定にさせたり、電荷を保持できなくてリークしてしまうため誘電正接(転写性)を低下させたりしやすい。そのため、トナー母体粒子は、カーボンブラックを実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、カーボンブラックの含有量がトナー母体粒子と外添剤とを合計した全質量に対して1質量%未満であることを意味する。
【0063】
1-1-3.その他の成分
トナー母体粒子は、離型剤(ワックス)および荷電制御剤などを含有してもよい。
【0064】
上記離型剤は、定着部材などからのトナーの離型性を高めることができる。
【0065】
上記離型剤の例には、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびフィッシャートロプシュワックスなどを含む炭化水素ワックス、ジステアリルケトンなどを含むジアルキルケトンワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘニルベヘネート、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、およびジステアリルマレエートなどを含むエステルワックス、ならびにエチレンジアミンジベヘニルアミド、およびトリメリット酸トリステアリルアミドなどを含むアミドワックスなどが含まれる。
【0066】
上記離型剤の含有量は、トナー母体粒子の全質量に対して2質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。上記離型剤の含有量が2質量%以上であると、定着部材からのトナーの離型性が十分に高まる。上記離型剤の含有量が30質量%以下であると、トナー母体粒子に十分な量の結着樹脂を含ませることができるので、画像の定着性が十分に高まる。
【0067】
上記荷電制御剤は、トナー母体粒子の帯電性を調整することができる。
【0068】
上記荷電制御剤の例には、ニグロシン染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第四級アンモニウム塩化合物、アゾ金属錯体、サリチル酸金属塩またはその金属錯体などが含まれる。
【0069】
上記荷電制御剤の含有量は、結着樹脂の全質量に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。なお、荷電制御剤を過剰に添加するなどの方法でトナーの帯電性を制御しようとすると、トナー母体粒子の他の特性が大きく変化することがある。これに対し、本実施形態では、チタン酸ストロンチウムによりトナーの帯電性を調整することで、他の要求される特性を満たしつつ、トナーの帯電性も所望の程度に調整することができる。
【0070】
1-2.外添剤
外添剤は、チタン酸ストロンチウムの粒子を含む。外添剤は、他の成分を含んでいていてもよい。
【0071】
1-2-1.チタン酸ストロンチウム
チタン酸ストロンチウムは、トナーの帯電性を安定化させ、かつトナーのクリーニング性を向上させることができる。本実施形態では、外添剤にチタン酸ストロンチウムを含ませることによりトナーの帯電性等を調整する。そのため、トナー母体粒子の成分等を大きく変化させる必要がなく、トナー母体粒子の特性を維持したまま、帯電性およびクリーニング性を調整することが可能となる。
【0072】
チタン酸ストロンチウムは、その製造方法または組成により、立方体状または直方体状、不定形、および角が取れた立方体形の、複数の粒子形状のいずれかとなり得る。本実施形態において、チタン酸ストロンチウムは、これらのうちいずれの粒子形状を有してもよい。たとえば、立方体状または直方体状のチタン酸ストロンチウムは、その形状のエッジにより像担持体の表面に薄く付着している帯電生成物を除去できるため、トナーの帯電性を良好にしやすい。また、不定形状のチタン酸ストロンチウムは、トナー母体粒子の表面に付着しやすいため、像担持体へのトナー母体粒子の融着(フィルミング)を抑制し、トナーのクリーニング性を高めやすい。角が取れた立方体形のチタン酸ストロンチウムは、これらの両方の特性を有することから、トナーの帯電性を良好としつつ、クリーニング性も高めやすい。
【0073】
チタン酸ストロンチウムの粒子の形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察によって確認することができる。
【0074】
立方体状または直方体状のチタン酸ストロンチウムは、焼成工程を経由しない製造方法(湿式法)により得ることができる。具体的には、硫酸チタニル水溶液を加水分解して得た含水酸化チタンスラリーのpHを調整して得たチタニアゾル分散液に、ストロンチウムの水酸化物を添加して、反応温度まで加温することで合成することができる。上記含水酸化チタンスラリーは、チタニアゾルの結晶化度および粒子径を所望の範囲にする観点から、pHを0.5以上1.0以下とすることが好ましい。また、チタニアゾル粒子に吸着しているイオンを除去する目的で、当該チタニアゾルの分散液に、たとえば水酸化ナトリウムおよびSr(OH)・8HOなどのアルカリ性物質を添加することが好ましい。このとき、アルカリ金属イオンなどを含水酸化チタン表面に吸着させないために、スラリーはpH7以上にしないことが好ましい。また、反応温度は60℃以上100℃以下が好ましく、所望の粒度分布を得るためには、昇温速度を30℃/時間以下にすることが好ましく、反応時間は3時間以上12時間以下であることが好ましい。
【0075】
不定形状のチタン酸ストロンチウムは、焼成工程を経由する焼成法によって得ることができる。具体的には、炭酸ストロンチウムと酸化チタンをほぼ等モル秤量し、ボールミルなどで混合した後、圧力成形し、1000℃以上1500℃以下で焼成し、次いで、機械粉砕して分級する方法で、不定形のチタン酸ストロンチウムを得ることができる。なお、原料、原料組成、成形圧、焼成温度、粉砕および分級を適宜変更することにより、得られるチタン酸ストロンチウムの形状および粒子径などを調整することができる。
【0076】
角が取れた立方体形のチタン酸ストロンチウムは、チタン酸ストロンチウムにランタンをドープする方法によって得ることができる。具体的には、酸化ストロンチウム、酸化ランタンおよび酸化チタンを含むスラリーを攪拌混合しながら加熱する方法で、角が取れた立方体形のチタン酸ストロンチウムを得ることができる。
【0077】
なお、チタン酸ストロンチウムにランタンをドープすると、上記粒子形状の調整のほか、ドープ量によって球形化度を調整することができたり、像担持体の表面の角な減耗や傷つきを抑制したりすることもできる。さらには、チタン酸ストロンチウムにランタンをドープすると、電気抵抗がより低下しやすいため、トナーの帯電性をより安定化させやすく、特に低温低湿(LL)環境条件でのトナーの過剰帯電を防ぐことができる。
【0078】
チタン酸ストロンチウムがランタンを含有するときのランタン含有率は、3.0質量%15.0質量%以下であることが好ましい。上記ランタン含有率が3.0質量%以上であると、チタン酸ストロンチウムの形状が球形状により近くなり、水分吸着性をより小さくすることができる。また、上記ランタン含有率が15.0質量%以下であると、粗大粒子の発生を防ぎ、帯電性をより安定化させることができる。
【0079】
チタン酸ストロンチウムがランタンを含有すること、およびその含有量は、蛍光X線分析(XRF)により確認することができる。具体的には、3gのチタン酸ストロンチウムを加圧してペレット化し、蛍光X線分析装置(株式会社島津製作所製、XRF-1700など)を用いた定性分析にて測定を行、2θテーブルより測定した元素のKαピーク角度を決定することで、ランタンの存在を確認することができる。
【0080】
チタン酸ストロンチウムは、個数粒度分布におけるピークトップの粒子径が300nm未満であることが好ましく、10nm以上200nm以下であることがより好ましく、10nm以上100nm以下であることがさらに好ましく、30nm以上80nm以下であることが特に好ましい。チタン酸ストロンチウムの上記粒子径が300nm未満であると、チタン酸ストロンチウムとトナー母体粒子との接触点を十分に多くして、帯電性の調整作用をより十分に奏させることができるほか、チタン酸ストロンチウムの脱離によるトナーの帯電性の不安定化が生じにくい。さらに、チタン酸ストロンチウムの上記粒子径が100nm未満であると、帯電性の安定化に加えて、チタン酸ストロンチウムの角が接触することによる像担持体の傷つきが生じにくい。チタン酸ストロンチウムの上記粒子径が10nm以上であると、帯電性の調整効果がより十分となり、またトナーの流動性が高くなりすぎないため、トナーのクリーニング性が良好になりやすい。
【0081】
チタン酸ストロンチウムの個数粒度分布におけるピークトップの粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して撮像された画像を画像解析して得ることができる。具体的には、上記撮像された画像中に含まれる100個のチタン酸ストロンチウム粒子の、粒子ごとの最長径および最短径を測定し、この中間値から当該チタン酸ストロンチウム粒子の球相当径を求める。そして、100個のチタン酸ストロンチウム粒子の上記球相当径の個数粒度分布における、ピークトップの粒子径を、上記ピークトップの粒子径とする。
【0082】
チタン酸ストロンチウムの含有量は、トナー母体粒子の全質量に対して、0.3質量%以上3.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。上記チタン酸ストロンチウムの含有量が0.3質量%以上であると、帯電性をより安定させやすく、かつクリーニング性もより高めやすい。また、上記チタン酸ストロンチウムの含有量が3.0質量部以下であると、トナー母体粒子から脱離したチタン酸ストロンチウムによる過剰帯電が生じにくい。
【0083】
1-2-2.その他の外添剤
外添剤は、シリカ粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子および酸化ホウ素粒子などの、チタン酸ストロンチウム以外の無機材料を主成分とする粒子を含んでいてもよい。これらの無機材料を主成分とする粒子は、必要に応じて、シランカップリング剤やシリコーンオイルなどの表面処理剤によって疎水化処理されていてもよい。これらの粒子径は、チタン酸ストロンチウムと同様の方法で測定されるピークトップの粒子径が20nm以上500nmであることが好ましく、70nm以上300nm以下であることがより好ましい。
【0084】
また、外添剤は、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体などを含む有機材料を主成分とする粒子を含んでいてもよい。これらの粒子径は、チタン酸ストロンチウムと同様の方法で測定されるピークトップの粒子径が10nm以上1000nmであることが好ましい。
【0085】
また、外添剤は、高級脂肪酸の金属塩などの滑剤を含んでいてもよい。上記高級脂肪酸典枝には、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸およびリシノール酸などが含まれる。上記金属塩を構成する金属の例には、亜鉛、マンガン、アルミニウム、鉄、銅、マグネシウムおよびカルシウムなどが含まれる。
【0086】
これらの外添剤の含有量は、チタン酸ストロンチウムと合計した外添剤の合計量が、トナー母体粒子の全質量に対して0.05質量%以上5.0質量部%以下となる量であることが好ましい。
【0087】
1-3.トナー母体粒子の製造方法
上記トナー母体粒子は、乳化重合凝集法および乳化凝集法などの方法により、公知のトナーと同様に製造することができる。
【0088】
乳化重合凝集法によれば、乳化重合法によって得られる結着樹脂の粒子の分散液と、顔料の粒子の分散液とを、任意に添加される離型剤および荷電制御剤などの粒子とともに混合し、所望の粒子径の粒子が得られるまでこれらを凝集、会合または融着させ、その後、外添剤を添加することにより、得ることができる。
【0089】
乳化凝集法によれば、結着樹脂を溶解させた溶液を貧溶媒に滴下して得られる結着樹脂の粒子の分散液を、顔料の粒子の分散液とを、任意に添加される離型剤および荷電制御剤などの粒子とともに混合し、所望の粒子径の粒子が得られるまでこれらを凝集、会合または融着させ、その後、外添剤を添加することにより、得ることができる。
【0090】
なお、本実施形態では、2種類以上の顔料をトナー粒子に内添するため、顔料の添加量が多くなりやすい。そのため、顔料の粒子の分散液を調製するときには、顔料の分散安定性を高めるため界面活性剤を分散液に添加することが好ましい。
【0091】
1-4.キャリア
キャリアは、上述したトナー粒子と混合して2成分磁性トナーを構成する。上記キャリアは、トナーに含有され得る公知の磁性粒子であればよい。
【0092】
上記磁性粒子の例には、鉄、鋼、ニッケル、コバルト、フェライト、およびマグネタイト、ならびに、これらとアルミニウムおよび鉛などとの合金などの磁性体を含む粒子が含まれる。上記キャリアは、上記磁性体からなる粒子の表面を樹脂などで被覆したコートキャリアであってもよいし、バインダー樹脂中に上記磁性体を分散させた樹脂分散型キャリアであってもよい。上記被覆用の樹脂の例には、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、およびフッ素樹脂などが含まれる。上記バインダー樹脂の例には、アクリル樹脂、スチレン・アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、およびフェノール樹脂などが含まれる。
【0093】
キャリアの平均粒子径は、体積基準の平均粒子径が20μm以上100μm以下であることが好ましく、25μm以上80μm以下であることがより好ましい。上記キャリアの平均粒子径は、湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置であるシンパテック(SYMPATEC)社製へロス(HELOS)などにより測定することができる。
【0094】
キャリアの含有量は、トナー粒子およびキャリアの合計質量に対して、2質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0095】
2.画像形成装置
本発明の他の実施形態は、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するトナー像形成部と、記録媒体への上記トナー像の転写により、上記トナー像を上記記録媒体に定着させる定着装置と、を有する画像形成装置、ならびに当該画像形成層を用いた画像形成方法に関する。本実施形態において、上記定着装置は、上述したトナーを上記記録媒体に定着させる。
【0096】
上記画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの4種類のカラー現像装置と、1つの電子写真感光体と、により構成される4サイクル方式の画像形成装置であってもよいし、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの4種類のカラー現像装置と、それぞれの色ごとに設けられた4つの電子写真感光体と、により構成されるタンデム方式の画像形成装置であってもよい。
【0097】
図1は、本実施形態に関する画像形成装置100の一例を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置100は、画像読取部110、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50および定着装置60を有する。
【0098】
画像形成部40は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナーによる画像を形成する画像形成ユニット41Y、41M、41Cおよび41Kを有する。これらは、収容されるトナー以外はいずれも同じ構成を有するので、以後、色を表す記号を省略することがある。画像形成部40は、さらに、中間転写ユニット42および二次転写ユニット43を有する。これらは、転写装置に相当する。
【0099】
本実施形態では、Kのトナーとして上述したトナーを使用する。
【0100】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、電子写真感光体(像担持体)413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415を有する。帯電装置414は、例えばコロナ帯電器である。帯電装置414は、帯電ローラーや帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材を電子写真感光体413に接触させて帯電させる接触帯電装置であってもよい。露光装置411は、例えば、光源としての半導体レーザーと、形成すべき画像に応じたレーザー光を電子写真感光体413に向けて照射する光偏向装置(ポリゴンモータ)とを含む。電子写真感光体413は、光導電性を有する負帯電型の有機感光体である。電子写真感光体413は、帯電装置414により帯電される。
【0101】
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置である。現像装置412は、例えば、二成分現像剤を収容する現像容器と、現像容器の開口部に回転自在に配置されている現像ローラー(磁性ローラー)と、二成分現像剤が連通可能に現像容器内を仕切る隔壁と、現像容器における開口部側の二成分現像剤を現像ローラーに向けて搬送するための搬送ローラーと、現像容器内の二成分現像剤を撹拌するための撹拌ローラーと、を有する。現像容器には、例えば、二成分現像剤が収容されている。
【0102】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト(中間転写体)421、中間転写ベルト421を電子写真感光体413に圧接させる一次転写ローラー422、バックアップローラー423Aを含む複数の支持ローラー423、およびベルトクリーニング装置426を有する。中間転写ベルト421は、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つの駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0103】
ベルトクリーニング装置426は、弾性部材426aを有する。弾性部材426aは、二次転写した後の中間転写ベルト421に当接して、中間転写ベルト421の表面上の付着物を除去する。弾性部材426aは、弾性体で構成されており、クリーニングブレード、ブラシなどが含まれる。
【0104】
二次転写ユニット43は、無端状の二次転写ベルト432、および二次転写ローラー431Aを含む複数の支持ローラー431を有する。二次転写ベルト432は、二次転写ローラー431Aおよび支持ローラー431によってループ状に張架される。
【0105】
定着装置60は、例えば、定着ローラー62と、定着ローラー62の外周面を覆い、用紙S上のトナー画像を構成するトナーを加熱、融解するための無端状の発熱ベルト10と、用紙Sを定着ローラー62および発熱ベルト10に向けて押圧する加圧ローラー63と、を有する。用紙Sは、記録媒体に相当する。
【0106】
画像形成装置100は、さらに、画像読取部110、画像処理部30および用紙搬送部50を有する。画像読取部110は、給紙装置111およびスキャナー112を有する。用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、および搬送経路部53を有する。給紙部51を構成する三つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズなどに基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aなどの複数の搬送ローラー対を有する。
【0107】
画像形成装置100による画像の形成を説明する。
スキャナー112は、コンタクトガラス上の原稿Dを光学的に走査して読み取る。原稿Dからの反射光がCCDセンサー112aにより読み取られ、入力画像データとなる。入力画像データは、画像処理部30において所定の画像処理が施され、露光装置411に送られる。
【0108】
電子写真感光体413は一定の周速度で回転する。帯電装置414は、電子写真感光体413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411では、ポリゴンモータのポリゴンミラーが高速で回転し、各色成分の入力画像データに対応するレーザー光が、電子写真感光体413の軸方向に沿って展開し、当該軸方向に沿って電子写真感光体413の外周面に照射される。こうして電子写真感光体413の表面には、静電潜像が形成される。
【0109】
現像装置412では、現像容器内の二成分現像剤の撹拌、搬送によってトナー粒子が帯電し、二成分現像剤は現像ローラーに搬送され、現像ローラーの表面で磁性ブラシを形成する。帯電したトナー粒子は、磁性ブラシから電子写真感光体413における静電潜像の部分に静電的に付着する。こうして、電子写真感光体413の表面の静電潜像が可視化され、電子写真感光体413の表面に、静電潜像に応じたトナー画像が形成される。なお、「トナー画像」とは、トナーが画像状に集合した状態を言う。
【0110】
電子写真感光体413の表面のトナー画像は、中間転写ユニット42によって中間転写ベルト421に転写される。転写後に電子写真感光体413の表面に残存する転写残トナーは、電子写真感光体413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有するドラムクリーニング装置415によって除去される。
【0111】
一次転写ローラー422によって中間転写ベルト421が電子写真感光体413に圧接することにより、電子写真感光体413と中間転写ベルト421とによって、一次転写ニップが電子写真感光体ごとに形成される。当該一次転写ニップにおいて、各色のトナー画像が中間転写ベルト421に順次重なって転写される。
【0112】
一方、二次転写ローラー431Aは、中間転写ベルト421および二次転写ベルト432を介して、バックアップローラー423Aに圧接される。それにより、中間転写ベルト421と二次転写ベルト432とによって、二次転写ニップが形成される。当該二次転写ニップを用紙Sが通過する。用紙Sは、用紙搬送部50によって二次転写ニップへ搬送される。用紙Sの傾きの補正および搬送のタイミングの調整は、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により行われる。
【0113】
二次転写ニップに用紙Sが搬送されると、二次転写ローラー431Aへ転写バイアスが印加される。この転写バイアスの印加によって、中間転写ベルト421に担持されているトナー画像が用紙Sに転写される(静電荷像現像用トナーを記録媒体に付着させる工程)。トナー画像が転写された用紙Sは、二次転写ベルト432によって、定着装置60に向けて搬送される。
【0114】
二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーなどの付着物は、中間転写ベルト421の表面に摺接されるクリーニングブレードを有するベルトクリーニング装置426によって除去される。このとき、中間転写ベルトとして前述の中間転写体を使用するため、経時的に動摩擦力を低減させることができる。
【0115】
定着装置60は、発熱ベルト10と加圧ローラー63とによって、定着ニップを形成し、搬送されてきた用紙Sを定着ニップ部で加熱、加圧する。こうしてトナー画像が用紙Sに定着する(静電荷像現像用トナーを記録媒体に定着させる工程)。トナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0116】
なお、上述した装置構成および画像形成方法は、本発明を実施するための例示的な形態であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0117】
たとえば、上述したトナーによる単色の画像のみ、あるいは上述したトナーと、近赤外領域の電磁波を吸収するトナーとによる画像のみ、を形成する装置により、これらのトナーのみによる画像を形成してもよい。
【実施例
【0118】
以下、実施例を挙げて本発明についてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0119】
なお、以下の実施例において、特に言及がない場合、各粒子の平均粒子径は、マイクロトラック社製、マイクロトラックUPA-150(「MICROTRAC」は同社の登録商標)を用いて測定された値である。
【0120】
1.トナーの作製
1-1.顔料粒子分散液の調製
1-1-1.顔料粒子分散液(1)の調製
・Pigment Brown 25(PBr25): 40質量部
・Pigment Blue 15:3(PB15:3): 25質量部
・Pigment Violet 23(PV23): 10質量部
・Pigment Yellow 155(PY155): 25質量部
・アニオン性界面活性剤: 15質量部
・イオン交換水: 400質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)により10分間予備分散した後、高圧衝撃式分散機(株式会社スギノマシン製、アルティマイザー)を用い、圧力245MPaで30分間分散処理を行い、これらの顔料を含む粒子の水系分散液を得た。得られた分散液にイオン交換水を添加して、固形分が15質量%となるように調整することにより、顔料粒子分散液(1)を調製した。顔料粒子分散液(1)中の顔料粒子の体積基準の平均粒子径は、150nmであった。
【0121】
なお、上記アニオン性界面活性剤は、第一工業製薬株式会社製、ネオゲンRK(「ネオゲン」は同社の登録商標)である。
【0122】
1-1-2.顔料粒子分散液(2)の調製
Pigment Brown 25の代わりにPigment Brown 23(PBr23)を用いた以外は顔料粒子分散液(1)の調製と同様にして、顔料粒子分散液(2)を調製した。顔料粒子分散液(2)中の顔料粒子の体積基準の平均粒子径は、150nmであった。
【0123】
1-1-3.顔料粒子分散液(3)の調製
Pigment Yellow 155の代わりにPigment Yellow 180(PY180)を用いた以外は顔料粒子分散液(1)の調製と同様にして、顔料粒子分散液(3)を調製した。顔料粒子分散液(3)中の顔料粒子の体積基準の平均粒子径は、150nmであった。
【0124】
1-1-4.顔料粒子分散液(4)の調製
各有機顔料の配合比を以下のように変更した以外は顔料粒子分散液(1)の調製と同様にして、顔料粒子分散液(4)を調製した。顔料粒子分散液(4)中の顔料粒子の体積基準の平均粒子径は、150nmであった。
・Pigment Brown 25(PBr25): 60質量部
・Pigment Blue 15:3(PB15:3): 40質量部
・Pigment Violet 23(PV23): 0質量部
・Pigment Yellow 155(PY155): 0質量部
【0125】
1-1-5.顔料粒子分散液(5)の調製
各有機顔料の配合比を以下のように変更した以外は顔料粒子分散液(1)の調製と同様にして、顔料粒子分散液(5)を調製した。顔料粒子分散液(5)中の顔料粒子の体積基準の平均粒子径は、150nmであった。
・Pigment Brown 25(PBr25): 55質量部
・Pigment Blue 15:3(PB15:3): 35質量部
・Pigment Violet 23(PV23): 10質量部
・Pigment Yellow 155(PY155): 0質量部
【0126】
1-1-6.顔料粒子分散液(6)の調製
各有機顔料の配合比を以下のように変更した以外は顔料粒子分散液(1)の調製と同様にして、顔料粒子分散液(6)を調製した。顔料粒子分散液(6)中の顔料粒子の体積基準の平均粒子径は、150nmであった。
・Pigment Brown 25(PBr25): 45質量部
・Pigment Blue 15:3(PB15:3): 30質量部
・Pigment Violet 23(PV23): 0質量部
・Pigment Yellow 155(PY155): 25質量部
【0127】
1-1-7.顔料粒子分散液(7)の調製
各有機顔料の代わりにカーボンブラック(CB)(キャボット社製、リーガル330(「リーガル」は同社の登録商標))を100質量部添加した以外は顔料粒子分散液(1)の調製と同様にして、顔料粒子分散液(7)を調製した。顔料粒子分散液(7)中の顔料粒子の体積基準の平均粒子径は、150nmであった。
【0128】
1-1-8.顔料粒子分散液(8)の調製
各有機顔料の配合比を以下のように変更した以外は顔料粒子分散液(1)の調製と同様にして、顔料粒子分散液(8)を調製した。顔料粒子分散液(8)中の顔料粒子の体積基準の平均粒子径は、150nmであった。
・Pigment Brown 25(PBr25): 0質量部
・Pigment Blue 15:3(PB15:3): 65質量部
・Pigment Violet 23(PV23): 10質量部
・Pigment Yellow 155(PY155): 25質量部
【0129】
1-1-9.顔料粒子分散液(9)の調製
各有機顔料の配合比を以下のように変更した以外は顔料粒子分散液(1)の調製と同様にして、顔料粒子分散液(9)を調製した。顔料粒子分散液(9)中の顔料粒子の体積基準の平均粒子径は、150nmであった。
・Pigment Brown 25(PBr25): 65質量部
・Pigment Blue 15:3(PB15:3): 0質量部
・Pigment Violet 23(PV23): 10質量部
・Pigment Yellow 155(PY155): 25質量部
【0130】
1-1-10.顔料粒子分散液(10)の調製
各有機顔料の配合比を以下のように変更した以外は顔料粒子分散液(1)の調製と同様にして、顔料粒子分散液(1)を調製した。顔料粒子分散液(10)中の顔料粒子の体積基準の平均粒子径は、150nmであった。
・Pigment Violet 23(PV23): 28質量部
・Pigment Yellow 155(PY155): 72質量部
【0131】
なお、顔料粒子分散液の調製に用いた各顔料の、メチルエチルケトンに分散させたときの吸収極大波長λmax(nm)は、表1に示す通りである。
【0132】
【表1】
【0133】
1-2.非晶性樹脂粒子分散液の調製
1-2-1.非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)の調製
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物 : 40モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物: 60モル部
・テレフタル酸ジメチル : 60モル部
・フマル酸ジメチル : 15モル部
・ドデセニルコハク酸無水物 : 20モル部
・トリメリット酸無水物 : 5モル部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記モノマーのうちフマル酸ジメチルおよびトリメリット酸無水物以外のモノマーと、上記モノマーの合計100質量部に対して0.25質量部となる量のジオクチル酸スズとを投入した。窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃に降温して、上記量のフマル酸ジメチルおよびトリメリット酸無水物を加え、1時間反応させた。温度を220℃まで5時間かけて昇温し、10kPaの圧力下で所望の分子量になるまで重合させ、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(A1)を得た。
【0134】
非晶性ポリエステル樹脂(A1)は、重量平均分子量が35,000、数平均分子量が8,000、ガラス転移温度(Tg)が56℃であった。
【0135】
次いで、200質量部の非晶性ポリエステル樹脂(A1)と、100質量部のメチルエチルケトンと、35質量部のイソプロピルアルコールと、7.0質量部の10質量%アンモニア水溶液とをセパラブルフラスコに入れ、十分に混合、溶解した後、40℃で加熱攪拌しながら、イオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度8g/分で滴下し、送液量が580質量部になったところで滴下を止めた。その後減圧下で溶剤除去を行い、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が25質量%となるように調整し、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)を調製した。非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)中の非晶性ポリエステル樹脂(A1)の体積基準の平均粒子径は、156nmであった。
【0136】
1-2-2.スチレン・アクリル樹脂粒子分散液(b1)の調製
・スチレン: 903.0質量部
・n-ブチルアクリレート: 282.0質量部
・アクリル酸: 12.0質量部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 3.0質量部
・ドデカンチオール: 8.1質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、5.0質量部のアニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製、ダウファックス2A1、「ダウファックス」は同社の登録商標)と、2500質量部のイオン交換水とを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を75℃に昇温させた。
【0137】
次いで、18.0質量部の過硫酸カリウム(KPS)を342質量部のイオン交換水に溶解させた溶液を添加し、液温を75℃とした。さらに、上記モノマーの混合液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、75℃において2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合させ、非晶性ビニル樹脂分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が25質量%となるように調整し、非晶性ビニル樹脂(B1)粒子の分散液(b1)を調製した。非晶性ビニル樹脂(B1)の体積基準の平均粒子径は、160nmであった。
【0138】
非晶性ビニル樹脂(B1)は、重量平均分子量(Mw)が38,000、数平均分子量(Mn)が15,000、ガラス転移温度(Tg)が52℃であった。
【0139】
1-3.結晶性樹脂粒子分散液の調製
1-3-1.結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の調製
・ドデカン二酸: 50モル部
・1,6-ヘキサンジオール: 50モル部
撹拌器、温度計、コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた反応容器に上記モノマーを入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した。次いで、100質量部の上記モノマーに対して0.25質量部となる量のチタンテトラブトキサイド(Ti(O-n-Bu))を投入した。窒素ガス気流下、170℃で3時間撹拌し反応させた後、温度をさらに210℃まで1時間かけて昇温し、反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で13時間撹拌し反応させて、結晶性ポリエステル樹脂(C1)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(C1)は、重量平均分子量が25,000、数平均分子量が8,500、融点が71.8℃であった。
【0140】
次に、200質量部の結晶性ポリエステル樹脂(C1)と、120質量部のメチルエチルケトンと、30質量部のイソプロピルアルコールとをセパラブルフラスコに入れ、60℃で充分混合、溶解した後、8質量部の10質量%アンモニア水溶液を滴下した。加熱温度を67℃に下げ、攪拌しながらイオン交換水送液ポンプを用いて送液速度8g/分で滴下し、送液量が580質量部になったところで、イオン交換水の滴下を止めた。その後、減圧下で溶媒除去を行い、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が25質量%となるように調整し、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)を調製した。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の中の結晶性ポリエステル樹脂(C1)の体積基準の平均粒子径は、198nmであった。
【0141】
1-4.離型剤粒子分散液(W1)の調製
・パラフィンワックス: 270質量部
・アニオン性界面活性剤: 13.5質量部
(有効成分60%、パラフィンワックスに対して3%)
・イオン交換水: 21.6質量部
上記の材料を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザ)で、内液温度120℃にて離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間分散処理し、冷却して、分散液を得た。イオン交換水を加えて固形分量が20%になるように調整し、離型剤分散液(W1)を調製した。離型剤分散液(W1)中の粒子の体積基準の平均粒子径は215nmであった。
【0142】
なお、上記パラフィンワックスは、日本精蝋株式会社製、HNP0190(融解温度:85℃)であり、上記アニオン性界面活性剤は、第一工業製薬株式会社製、ネオゲンRKである。
【0143】
1-5.トナー母体粒子の作製
1-5-1.トナー母体粒子(1)の作製
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1): 1280質量部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1): 160質量部
・離型剤粒子分散液(W1): 200質量部
・顔料粒子分散液(1): 335質量部
・アニオン性界面活性剤: 40質量部
・イオン交換水: 1500質量部
温度計、pH計および撹拌器を備えた4リットルの反応容器に上記の材料を入れ、温度25℃下に1.0質量%硝酸水溶液を添加してpHを3.0に調整した。その後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)にて3,000rpmで分散しながら、100質量部の2.0質量%硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液を30分かけて添加した。滴下終了後、10分間撹拌し、原料と凝集剤を十分に混合した。
【0144】
その後、反応容器に撹拌器およびマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとに粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、コールターマルチサイザー3(アパーチャー径100μm))にて粒子径を測定した。体積基準の平均粒子径が5.9μmになったところで温度を保持し、予め混合しておいた以下の材料の混合液を20分間かけて投入した。
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1): 160質量部
・アニオン性界面活性剤: 15質量部
【0145】
なお、上記2回投入したアニオン性界面活性剤は、いずれも、ダウ・ケミカル社製、ダウファックス2A1(20%水溶液)である。
【0146】
次いで、50℃に30分間保持した後、反応容器に、8質量部の20質量%EDTA(エチレンジアミン四酢酸)水溶液を添加した後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料分散液のpHを9.0に制御した。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
【0147】
その後、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した形状係数が0.970になった時点で降温速度10℃/分で冷却し、トナー母体粒子分散液(1)を得た。
【0148】
その後、トナー母体粒子分散液(1)を濾過して得られた固形分を、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子(1)を得た。得られたトナー母体粒子(1)の体積基準の平均粒子径は6.0μm、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した平均円形度は0.972であった。
【0149】
1-5-2.トナー母体粒子(2)の作製
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1): 1440質量部
・離型剤粒子分散液(W1): 200質量部
・顔料粒子分散液(1): 335質量部
・アニオン性界面活性剤: 40質量部
・イオン交換水: 1500質量部
温度計、pH計および撹拌器を備えた4リットルの反応容器に上記の材料を入れ、温度25℃下に1.0質量%硝酸水溶液を添加してpHを3.0に調整した。その後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)にて3,000rpmで分散しながら、100質量部の2.0質量%硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液を30分かけて添加した。滴下終了後、10分間撹拌し、原料と凝集剤を十分に混合した。
【0150】
その後、反応容器に撹拌器およびマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとに粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、コールターマルチサイザー3(アパーチャー径100μm))にて粒子径を測定した。体積基準の平均粒子径が5.9μmになったところで温度を保持し、予め混合しておいた以下の材料の混合液を20分間かけて投入した。
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) :160質量部
・アニオン性界面活性剤: 15質量部
【0151】
なお、上記2回投入したアニオン性界面活性剤は、いずれも、ダウ・ケミカル社製、ダウファックス2A1(20%水溶液)である。
【0152】
次いで、50℃に30分間保持した後、反応容器に、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)20%液を8部添加した後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料分散液のpHを9.0に制御した。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
【0153】
その後、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した形状係数が0.970になった時点で降温速度10℃/分で冷却し、トナー母体粒子分散液(2)を得た。
【0154】
その後、トナー母体粒子分散液(2)を濾過して得られた固形分を、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子(2)を得た。得られたトナー母体粒子(2)の体積基準の平均粒子径は6.0μm、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した平均円形度は0.972であった。
【0155】
1-5-3.トナー母体粒子(3)の作製
顔料粒子分散液(1)の代わりに顔料粒子分散液(2)を用いた以外はトナー母体粒子(1)の調製と同様にして、トナー母体粒子(3)を得た。得られたトナー母体粒子(3)の体積基準の平均粒子径は6.0μm、粒度分布測定装置(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した平均円形度は0.972であった。
【0156】
1-5-4.トナー母体粒子(4)の作製
顔料粒子分散液(1)の代わりに顔料粒子分散液(3)を用いた以外はトナー母体粒子(1)の調製と同様にして、トナー母体粒子(4)を得た。得られたトナー母体粒子(4)の体積基準の平均粒子径は6.0μm、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した平均円形度は0.972であった。
【0157】
1-5-5.トナー母体粒子(5)の作製
・スチレン・アクリル樹脂粒子分散液(b1): 1280質量部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1): 160質量部
・離型剤粒子分散液(W1): 200質量部
・顔料粒子分散液(1): 335質量部
・アニオン性界面活性剤: 40質量部
・イオン交換水: 1500質量部
温度計、pH計および撹拌器を備えた4リットルの反応容器に上記の材料を入れ、温度25℃下に1.0質量%硝酸水溶液を添加してpHを3.0に調整した。その後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)にて3,000rpmで分散しながら、100質量部の2.0質量%硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液を30分かけて添加した。滴下終了後、10分間撹拌し、原料と凝集剤を十分に混合した。
【0158】
その後、反応容器に撹拌器およびマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとに粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、コールターマルチサイザー3(アパーチャー径100μm))にて粒子径を測定した。体積基準の平均粒子径が5.9μmになったところで温度を保持し、予め混合しておいた以下の材料の混合液を20分間かけて投入した。
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1): 160質量部
・アニオン性界面活性剤: 15質量部
【0159】
なお、上記2回投入したアニオン性界面活性剤は、いずれも、ダウ・ケミカル社製、ダウファックス2A1(20%水溶液)である。
【0160】
次いで、50℃に30分間保持した後、反応容器に、8質量部の20質量%EDTA(エチレンジアミン四酢酸)水溶液を添加した後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料分散液のpHを9.0に制御した。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
【0161】
その後、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した形状係数が0.970になった時点で降温速度10℃/分で冷却し、トナー母体粒子分散液(5)を得た。
【0162】
その後、トナー母体粒子分散液(5)を濾過して得られた固形分を、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー母体粒子(5)を得た。得られたトナー母体粒子(5)の体積基準の平均粒子径は6.0μm、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した平均円形度は0.972であった。
【0163】
1-5-6.トナー母体粒子(6)の作製
顔料粒子分散液(1)の代わりに顔料粒子分散液(4)を用いた以外はトナー母体粒子分散液(1)の調製と同様にして、トナー母体粒子(6)を得た。得られたトナー母体粒子(6)の体積基準の平均粒子径は6.0μm、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した平均円形度は0.972であった。
【0164】
1-5-7.トナー母体粒子(7)の作製
顔料粒子分散液(1)の代わりに顔料粒子分散液(5)を用いた以外はトナー母体粒子分散液(1)の調製と同様にして、トナー母体粒子(7)を得た。得られたトナー母体粒子(7)の体積基準の平均粒子径は6.0μm、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した平均円形度は0.972であった。
【0165】
1-5-8.トナー母体粒子(8)の作製
顔料粒子分散液(1)の代わりに顔料粒子分散液(6)を用いた以外はトナー母体粒子分散液(1)の調製と同様にして、トナー母体粒子(8)を得た。得られたトナー母体粒子(8)の体積基準の平均粒子径は6.0μm、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した平均円形度は0.972であった。
【0166】
1-5-9.トナー母体粒子(9)の作製
顔料粒子分散液(1)の代わりに顔料粒子分散液(7)を用いた以外はトナー母体粒子分散液(1)の調製と同様にして、トナー母体粒子(9)を得た。得られたトナー母体粒子(9)の体積基準の平均粒子径は6.0μm、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した平均円形度は0.972であった。
【0167】
1-5-10.トナー母体粒子(10)の作製
顔料粒子分散液(1)の代わりに顔料粒子分散液(8)を用いた以外はトナー母体粒子分散液(1)の調製と同様にして、トナー母体粒子(10)を得た。得られたトナー母体粒子(10)の体積基準の平均粒子径は6.0μm、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した平均円形度は0.972であった。
【0168】
1-5-11.トナー母体粒子(11)の作製
顔料粒子分散液(1)の代わりに顔料粒子分散液(9)を用いた以外はトナー母体粒子分散液(1)の調製と同様にして、トナー母体粒子(11)を得た。得られたトナー母体粒子(11)の体積基準の平均粒子径は6.0μm、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した平均円形度は0.972であった。
【0169】
1-5-12.トナー母体粒子(12)の作製
顔料粒子分散液(1)の代わりに顔料粒子分散液(10)を用いた以外はトナー母体粒子分散液(1)の調製と同様にして、トナー母体粒子(12)を得た。得られたトナー母体粒子(12)の体積基準の平均粒子径は6.0μm、粒度計(マルバーン社製、FPIA-3000)を使用して測定した平均円形度は0.972であった。
【0170】
1-6.チタン酸ストロンチウムの作製
以下のチタン酸ストロンチウムについて、ピークトップの粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して撮像された画像中に含まれる100個のチタン酸ストロンチウム粒子の、粒子ごとの最長径および最短径を測定し、この中間値から当該チタン酸ストロンチウム粒子の球相当径を求めて得られた、100個のチタン酸ストロンチウム粒子の上記球相当径の個数粒度分布における、ピークトップの粒子径である。
【0171】
1-6-1.チタン酸ストロンチウム(1)の作製
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.0とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行った。洗浄済みケーキに水を加え、TiOの量が1.85モル/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.0とし解膠処理を行った。このメタチタン酸を、TiOの量が0.625モルとなる量だけ採取し、3Lの反応容器に投入した。更に、塩化ストロンチウム水溶液および塩化ランタン水溶液を、Sr/La/Tiモル比で1.00/0.06/1.00となるように、合計で0.663モル添加した後、TiO濃度が0.313モル/Lになるように水を加えた。次に、攪拌混合しながら90℃に加温した後、296mLの5N水酸化ナトリウム水溶液を11時間かけて添加し、その後、95℃で2時間撹拌を続け反応を終了させた。
【0172】
このようにして得られた反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、当該沈殿を含むスラリーに塩酸を加えpH6.5に調整し、固形分に対して9重量%のイソブチルトリメトキシシランを添加して1時間撹拌保持を続けた。次いで、ろ過・洗浄を行い、得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥し、ランタン含有チタン酸ストロンチウム(1)を得た。チタン酸ストロンチウム(1)をSEMにより形状を観察したところ、角が取れた立方体形の粒子形状を有することが確認された。ランタン含有チタン酸ストロンチウム(1)の個数平均粒子径は60nmであった。
【0173】
1-6-2.チタン酸ストロンチウム(2)の作製
1500gの炭酸ストロンチウムと800gの酸化チタンとを、ボールミルにて、8時間湿式混合した後、ろ過乾燥し、この混合物を5kg/cmの圧力で成形して1300℃で8時間焼成した。これを、機械粉砕し、分級して、チタン酸ストロンチウム(2)を得た。チタン酸ストロンチウム(2)をSEMにより形状を観察したところ、不定形の粒子形状を有することが確認された。チタン酸ストロンチウム(2)の個数平均粒子径は60nmであった。
【0174】
1-6-3.チタン酸ストロンチウム(3)の作製
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.65に調整してチタニアゾル分散液を得た。このチタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを4.7に調整し、上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。この含水酸化チタン分散液に対し、0.97倍モル量のSr(OH)・8HOを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiOの量が0.6mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを65℃まで10℃/時間で昇温し、65℃に到達してから8時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行い、得られたケーキを乾燥して、チタン酸ストロンチウム(3)を得た。チタン酸ストロンチウム(3)をSEMにより形状を観察した結果、直方体または立方体の粒子形状を有していた。チタン酸ストロンチウム(3)の個数平均粒子径は60nmであった。
【0175】
1-6-4.チタン酸ストロンチウム(4)の作製
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.65に調整してチタニアゾル分散液を得た。このチタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを4.7に調整し、上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。この含水酸化チタン分散液に対し、0.97倍モル量のSr(OH)・8HOを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiOの量が0.6mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを75℃まで10℃/時間で昇温し、75℃に到達してから10時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行い、得られたケーキを乾燥して、チタン酸ストロンチウム(4)を得た。チタン酸ストロンチウム(4)をSEMにより形状を観察した結果、直方体または立方体の粒子形状を有していた。チタン酸ストロンチウム(4)の個数平均粒子径は110nmであった。
【0176】
1-6-5.チタン酸ストロンチウム(5)の作製
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.65に調整してチタニアゾル分散液を得た。このチタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを4.7に調整し、上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。この含水酸化チタン分散液に対し、0.97倍モル量のSr(OH)・8HOを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiOの量が0.6mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを55℃まで10℃/時間で昇温し、55℃に到達してから6時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行い、得られたケーキを乾燥して、チタン酸ストロンチウム(5)を得た。このチタン酸ストロンチウム(5)をSEMにより形状を観察した結果、直方体または立方体の粒子形状を有していた。チタン酸ストロンチウム(5)の個数平均粒子径は8nmであった。
【0177】
1-7.キャリアの作製
1-7-1.芯材粒子の作製
・MnO: 35.0mol%
・MgO: 14.5mol%
・Fe: 50.0mol%
・SrO: 0.5mol%
上記量比になるように各原料を秤量し、水と混合した後、湿式メディアミルで5時間粉砕してスラリーを得た。
【0178】
得られたスラリースプレードライヤーにて乾燥し、真球状の粒子を得た。この粒子を粒度調整した後、950℃で2時間加熱し、ロータリーキルンで仮焼成を行った。直径0.3cmのステンレスビーズを用いて乾式ボールミルで1時間粉砕したのち、を固形分に対して0.8質量%のバインダーとしてのポリビニルアルコール(PVA)を添加し、さらに水およびポリカルボン酸系分散剤を添加し、直径0.5cmのジルコニアビーズを用いて30時間粉砕した。得られた粉末をスプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて、温度1050℃、15時間保持し、本焼成を行った。
【0179】
焼成後の粉末を解砕し、さらに分級して粒度調整し、その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、芯材粒子1を得た。芯材粒子1の体積平均粒子径は30μmであった。
【0180】
なお、上記芯材粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(日本レーザー株式会社製、HELOS)を用いて、湿式法にて測定して得られた値である。具体的には、まず、焦点位置200mmの光学系を選択し、測定時間を5秒に設定した。そして、測定用の芯材粒子を0.2質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液に加え、超音波洗浄機(asone社製、US-1)を用いて3分間分散させて測定用試料分散液を作製し、これを上記レーザー回折式粒度分布測定装置に数滴供給し、試料濃度ゲージが測定可能領域に達した時点で測定を開始した。得られた粒度分布を粒度範囲(チャンネル)に対して、小径側から累積分布を作成し、これをもとに体積平均粒子径を算出した。
【0181】
1-7-2.被覆樹脂の作製
0.3質量%のベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液中に、質量比(共重合比)が70:30となる量のメタクリル酸シクロヘキシルおよびメタクリル酸メチルを添加し、単量体総量の0.5質量%にあたる量の過硫酸カリウムを添加して乳化重合を行い、スプレードライで乾燥することで、被覆用樹脂を作製した。被覆用樹脂の重量平均分子量は500,000であった。
【0182】
1-7-3.キャリアの作製
水平撹拌羽根付き高速攪拌混合機に、100質量部の上記準備した芯材粒子と、4.5質量部の上記準備した被覆用樹脂とを投入し、水平回転翼の周速が8m/secとなる条件で、22℃で15分間混合撹拌した後、120℃で50分混合して機械的衝撃力(メカノケミカル法)の作用で芯材粒子の表面に被覆材を被覆させた後、室温まで冷却して、キャリアを製造した。
【0183】
1-8.静電荷像現像用トナーの作製
1-8-1.トナー(1)の作製
100質量部のトナー母体粒子(1)に、1.0質量部のチタン酸ストロンチウム(1)および1.5質量部のシリカ(個数平均粒子径:20nm)を添加し、ヘンシェルミキサーにて20分混合した。その後、トナー濃度が9質量%となるように上記キャリアと混合して、V型混合機(株式会社徳寿工作所製)を用い、25℃で30分間混合して、静電荷像現像用トナー(現像剤)としてのトナー(1)を作製した。
【0184】
なお、シリカ粒子の個数平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子株式会社製、JEM-7401F)を用いて、5万倍に拡大したSEM写真をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置(ニレコ社製、LUZEX AP)にて、当該SEM写真画像のシリカ粒子について2値化処理し、シリカ粒子100個についての水平方向のフェレ径を算出して求めた。
【0185】
1-8-2.トナー(2)の作製
トナー母体粒子(1)の代わりにトナー母体粒子(2)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(2)を得た。
【0186】
1-8-3.トナー(3)の作製
チタン酸ストロンチウム(1)の代わりにチタン酸ストロンチウム(2)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(3)を得た。
【0187】
1-8-4.トナー(4)の作製
チタン酸ストロンチウム(1)の代わりにチタン酸ストロンチウム(3)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(4)を得た。
【0188】
1-8-5.トナー(5)の作製
トナー母体粒子(1)の代わりにトナー母体粒子(3)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(5)を得た。
【0189】
1-8-6.トナー(6)の作製
トナー母体粒子(1)の代わりにトナー母体粒子(4)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(6)を得た。
【0190】
1-8-7.トナー(7)の作製
トナー母体粒子(1)の代わりにトナー母体粒子(5)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(7)を得た。
【0191】
1-8-8.トナー(8)の作製
チタン酸ストロンチウム(1)の代わりにチタン酸ストロンチウム(4)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(8)を得た。
【0192】
1-8-9.トナー(9)の作製
チタン酸ストロンチウム(1)の代わりにチタン酸ストロンチウム(5)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(9)を得た。
【0193】
1-8-10.トナー(10)の作製
トナー母体粒子(1)の代わりにトナー母体粒子(6)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(10)を得た。
【0194】
1-8-11.トナー(11)の作製
トナー母体粒子(1)の代わりにトナー母体粒子(7)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(11)を得た。
【0195】
1-8-12.トナー(12)の作製
トナー母体粒子(1)の代わりにトナー母体粒子(8)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(12)を得た。
【0196】
1-8-13.トナー(13)の作製
トナー母体粒子(1)の代わりにトナー母体粒子(9)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(13)を得た。
【0197】
1-8-14.トナー(14)の作製
ヘンシェルミキサーによる混合時にチタン酸ストロンチウム(1)を添加せず、かわりにシリカの添加量を2.5質量部とした以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(5)を得た。
【0198】
1-8-15.トナー(15)の作製
トナー母体粒子(1)の代わりにトナー母体粒子(10)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(15)を得た。
【0199】
1-8-16.トナー(16)の作製
トナー母体粒子(1)の代わりにトナー母体粒子(11)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(16)を得た。
【0200】
1-8-18.トナー(17)の作製
トナー母体粒子(1)の代わりにトナー母体粒子(12)を用いた以外はトナー(1)の調製と同様にして、トナー(17)を得た。
【0201】
表2および表3に、トナー(1)~トナー(17)の作製に使用したトナー母体粒子、顔料の種類およびその量(トナー母体粒子の質量を100質量部としたときの各顔料の量(質量部))、樹脂の種類、外添剤として用いたチタン酸ストロンチウムの種類および粒子径を示す。
【0202】
【表2】
【0203】
【表3】
【0204】
2.評価
トナー(1)~トナー(17)の評価における画像形成には、画像形成装置(コニカミノルタ株式会社製、bizhub PRESS C1100)の定着用ヒートローラーの表面温度を80~180℃の範囲で変更できるように改造した評価装置を使用した。この評価装置に、上記のように調整した各トナーと各現像剤とをそれぞれトナーカートリッジと現像機とに充填し、評価用の画像形成装置とした。
【0205】
2-1.帯電性
高温高湿(HH)(温度30℃、湿度85%RH)環境条件および低温低湿(LL)(温度10℃、湿度20%RH)環境条件のそれぞれで、A4版の上質紙(65g/m)に、印字率5%の帯状ベタ画像を形成した。各環境下で10万枚印刷した後のトナーの帯電量を測定し、LL環境下での帯電量とHH環境下での帯電量との間の差を算出して、耐電量の環境差Δとした。帯電量は、現像器内の二成分現像剤をサンプリングし、ブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル株式会社製、TB―200)を用いて測定した値である。得られた耐電量の環境差Δから、以下の基準で各トナーの帯電性を評価した。なお、ΔHがより小さいほど、帯電性はより良好であると判断できる。
◎: トナーの帯電量の環境差Δが8μC/g未満である
〇: トナーの帯電量の環境差Δが8μC/g以上12μC/g未満である
△: トナーの帯電量の環境差Δが12μC/g以上15μC/g未満である
×: トナーの帯電量の環境差Δが15μC/g以上である
【0206】
2-2.クリーニング性
常温常湿(NN)(温度20℃、湿度50%RH)環境条件において、A4版の上質紙(65g/m)に、画像面積比率10%とした画像形成を50万枚行った。その後、ハーフトーン画像を出力した。これらの画像形成をした後、感光体の傷およびハーフトーン画像の画像不良を目視で観察し、以下の基準で各トナーのクリーニング性を評価した。
◎: 感光体表面に目視で認められる傷は全くなく、
ハーフトーン画像にも不良の発生は認められない
○: 感光体表面に傷の発生はあったが、目視で認められる目立った傷の発生はなく、
ハーフトーン画像にも感光体傷に対応する画像不良の発生は認められない
×: 感光体表面に目視で、明確に傷の発生が認められ、
ハーフトーン画像にも当該傷に対応する画像不良の発生が認められる
【0207】
2-3.誘電正接(転写性)
2gの各トナーを、200kgf/cmの荷重を1分間かけて成形し、40φの円盤状とした試験片を作製した。それぞれの試験片について、LCRメーター(WayneKerr製、WITHESS-6000)を用いて、温度25℃相対湿度50%RHの環境下、周波数100kHzにおける複素誘電率を測定した。そして、得られた複素誘電率から、誘電正接(tanδ=誘電損率ε’’/誘電率ε’)を算出した。なお、tanδがより小さいほど、トナーの飛散等が少なく、転写性はより良好であると判断できる。
◎: 誘電正接が0.015以下である
〇: 誘電正接が0.015以上0.03未満である
×: 誘電正接が0.03以上である
【0208】
2-4.定着性
常温常湿(NN)(温度20℃、湿度50%RH)環境条件において、A4サイズのOKトップコート+(127.9g/m)(王子製紙株式会社製)に、トナー付着量10g/mのベタ画像を形成した。このとき、加圧ローラーの温度を定着ローラーよりも20℃低く設定し、定着ローラーの表面温度が80℃から5℃刻みで増加するように変更しながら140℃まで繰り返し行った。画像が定着しはじめた温度から、以下の基準で各トナーの定着性(低温定着性)を評価した。
◎: 画像が定着しはじめた温度は120℃未満
〇: 画像が定着しはじめた温度は120℃以上150℃未満
×: 画像が定着しはじめた温度は150℃より高い
【0209】
2-5.耐光性
Jペーパー紙に、トナーの付着量を4.5g/mとしたベタ画像(2cm×2cm)を形成した。キセノンランプ(スガ試験機株式会社製、キセノンウェザーメーターXL75)を使用し、槽内温度25℃、湿度50%RHの条件下で、7万ルクスの照射条件にて当該画像に14日間の照射暴露試験を行った。試験開始前の色と、暴露試験後の色との色差(ΔE00)を、蛍光分光濃度計「FD7」(コニカミノルタ(株)製)(条件:観測光源D50、視野2°、フィルターM2、濃度ANSIT、測定モードReflectance)を用いて測定した。得られた色差(ΔE00)から、以下の基準で各トナーの耐光性を評価した。なお、色差(ΔE00)がより小さいほど、耐光性はより良好であると判断できる。
◎: 色差(ΔE00)が5未満である
〇: 色差(ΔE00)が5以上7未満である
△: 色差(ΔE00)が8以上10未満である
×: 色差(ΔE00)が10以上である
【0210】
2-6.反射率(赤外線透過性)
A4サイズのOKトップコート+(127.9g/m)(王子製紙株式会社製)に、トナーの付着量を4.5g/mとしたベタ画像(2cm×2cm)を形成した。分光光度計(日立ハイテクサイエンス株式会社製、U 4100)を用いて、フィルター紙を基準として、当該画像の反射スペクトルを測定し、波長800~1000nm付近の近赤外領域での反射率を測定した。得られた近赤外領域での反射率から、以下の基準で各トナーの反射率を評価した。なお、反射率がより高いほど、近赤外領域での光吸収量がより少なく、近赤外線をより高効率で透過すると判断できる。
◎:近赤外領域での反射率が90%以上である
〇:近赤外領域での反射率が80%以上90%未満である
×:近赤外領域での反射率が80%未満である
【0211】
表4に、トナー(1)~トナー(17)の評価結果を示す。
【0212】
【表4】
【0213】
表4から明らかなように、結着樹脂と、少なくとも2種類の有機顔料と、を含むトナー母体粒子と、上記トナー母体粒子の表面に付着した、チタン酸ストロンチウムを含む外添剤と、を含む、トナー(1)~トナー(12)およびトナー(17)は、カーボンブラックをトナー母体粒子に含むトナー(13)よりも近赤外領域の電磁波の吸収量が少なく、かつ帯電安定性およびクリーニング性に優れていた。
【0214】
また、結着樹脂と、少なくとも2種類の有機顔料と、を含むトナー母体粒子と、上記トナー母体粒子の表面に付着した、チタン酸ストロンチウムを含む外添剤と、を含む、トナー(1)~トナー(12)およびトナー(17)は、チタン酸ストロンチウムを外添剤に含まないトナー(14)よりも、近赤外領域の電磁波の吸収量が少なく、かつ帯電の安定性およびクリーニング性に優れていた。
【0215】
また、メチルエチルケトンに分散させたときの吸収極大波長λmax(nm)が460nm以上530nm以下となる顔料P1-2と、メチルエチルケトンに分散させたときの吸収極大波長λmax(nm)が600nm以上700nm以下となる顔料P2と、を含むトナー(1)~トナー(12)は、これらのいずれかまたは双方を含まないトナー(15)、トナー(16)よりも、帯電安定性に優れ、かつ形成された画像の対光性が高く、近赤外領域の電磁波の吸収量が少なかった。
【0216】
また、顔料P1-2および顔料P2に加えて、メチルエチルケトンに分散させたときの吸収極大波長λmax(nm)が400nmより大きく460nm未満となる顔料P1-1、またはメチルエチルケトンに分散させたときの吸収極大波長λmax(nm)が530nmより大きく600nm未満となる顔料P1-3を含むトナー(1)~トナー(9)は、これらをいずれも含まないトナー(10)~トナー(12)よりも、帯電安定性および低温定着性に優れ、かつ形成された画像の対光性が高く、近赤外領域の電磁波の吸収量が少なかった。
【0217】
また、チタン酸ストロンチウムの個数粒度分布におけるピークトップの粒子径が10nm以上100nm以下であるトナー(1)~トナー(7)は、粒子径が10nm未満または100nmより大きいトナー(8)およびトナー(9)よりも、クリーニング性に優れていた。
【0218】
また、非晶性ポリエステル樹脂の含有量が結着樹脂の全質量に対して0.1質量%以上20質量%以下であるトナー(1)~トナー(6)は、非晶性ポリエステル樹脂の含有量が結着樹脂の全質量に対して20質量%よりも多いトナー(7)よりも、低温定着性に優れていた。
【0219】
また、ランタンがドープされたチタン酸ストロンチウムを外添剤として含むトナー(1)およびトナー(2)は、ランタンがドープされていないチタン酸ストロンチウムを外添剤として含むトナー(3)およびトナー(4)と比較して、帯電安定性とクリーニング性の双方を高めることができていた。
【0220】
また、結晶性ポリエステル樹脂を含むトナー(1)は、結晶性ポリエステル樹脂を含まないトナー(2)よりも、低温定着性に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0221】
本発明によれば、2種類以上の顔料を含有するトナーであって、画像形成時に要求される諸特性に優れ、かつ画像に要求される諸特性にも優れる画像を形成できるトナーが提供される。
【符号の説明】
【0222】
10 発熱ベルト
30 画像処理部
40 画像形成部
41Y、41M、41C、41K 画像形成ユニット
42 中間転写ユニット
43 二次転写ユニット
50 用紙搬送部
51 給紙部
51a、51b、51c 給紙トレイユニット
52 排紙部
52a 排紙ローラー
53 搬送経路部
53a レジストローラー対
60 定着装置
62 定着ローラー
63 加圧ローラー
100 画像形成装置
110 画像読取部
111 給紙装置
112 スキャナー
112a CCDセンサー
411 露光装置
412 現像装置
413 電子写真感光体
414 帯電装置
415 ドラムクリーニング装置
421 中間転写ベルト
422 一次転写ローラー
423、431 支持ローラー
423A バックアップローラー
426 ベルトクリーニング装置
426a 弾性部材
431A 二次転写ローラー
432 二次転写ベルト
D 原稿
S 用紙
図1