(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】カール付与装置、画像形成装置及びカール付与方法
(51)【国際特許分類】
B65H 29/70 20060101AFI20240903BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B65H29/70
G03G15/00 461
(21)【出願番号】P 2020125464
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨野 俊彰
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-175463(JP,A)
【文献】特開2005-029340(JP,A)
【文献】特開2012-106837(JP,A)
【文献】特開平06-003900(JP,A)
【文献】特開2000-169050(JP,A)
【文献】特開2019-105691(JP,A)
【文献】特開2016-037356(JP,A)
【文献】特開2005-255308(JP,A)
【文献】特開2018-154474(JP,A)
【文献】特開2018-091933(JP,A)
【文献】特開2012-088377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を転写する転写ニップへ前記用紙を案内する用紙案内部材と異なり、前記用紙の搬送方向における前記転写ニップの上流側において、
前記転写ニップを形成する転写ローラーに前記用紙が巻き付く形状と逆の形状になるように、前記用紙にカールを付与するカール付与部
と、
前記用紙の剛度を検知する剛度検知部と、
を備え
、
前記カール付与部は、検知された前記剛度に応じて、前記用紙に付与するカールの付与量を変更する、
カール付与装置。
【請求項2】
前記カール付与部は、前記用紙を押圧して前記用紙を湾曲させることによって前記用紙にカールを付与するローラーを有する、
請求項
1に記載のカール付与装置。
【請求項3】
前記カール付与部は、前記ローラーの押圧量を変更して、前記用紙に付与するカールの付与量を変更する、
請求項
2に記載のカール付与装置。
【請求項4】
前記ローラーは、前記用紙を加熱する加熱部を有する、
請求項
2又は
3に記載のカール付与装置。
【請求項5】
前記カール付与部は、前記加熱部による加熱量を変更して、前記用紙に付与するカールの付与量を変更する、
請求項
4に記載のカール付与装置。
【請求項6】
用紙に画像を転写する転写ニップへ前記用紙を案内する用紙案内部材と異なり、前記用紙の搬送方向における前記転写ニップの上流側において、前記転写ニップを形成する転写ローラーに前記用紙が巻き付く形状と逆の形状になるように、前記用紙にカールを付与するカール付与部を備え、
前記カール付与部は、前記用紙を押圧して前記用紙を湾曲させることによって前記用紙にカールを付与するローラーを有し、
前記ローラーは、前記用紙を加熱する加熱部を有し、
前記カール付与部は、前記加熱部による加熱量を変更して、前記用紙に付与するカールの付与量を変更する、
カール付与装置。
【請求項7】
前記カール付与部により前記カールが付与された後に生じている前記用紙のカール量を検知するカール量検知部を備え、
前記カール付与部は、検知された前記カール量に応じて、前記用紙に付与するカールの付与量を変更する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のカール付与装置。
【請求項8】
用紙に画像を転写する転写ニップへ前記用紙を案内する用紙案内部材と異なり、前記用紙の搬送方向における前記転写ニップの上流側において、前記転写ニップを形成する転写ローラーに前記用紙が巻き付く形状と逆の形状になるように、前記用紙にカールを付与するカール付与部と、
前記カール付与部により前記カールが付与された後に生じている前記用紙のカール量を検知するカール量検知部と、
を備え、
前記カール付与部は、検知された前記カール量に応じて、前記用紙に付与するカールの付与量を変更する、
カール付与装置。
【請求項9】
前記カール付与部は、前記用紙の坪量が所定値より小さい場合、前記用紙にカールを付与する、
請求項1から
8のいずれか一項に記載のカール付与装置。
【請求項10】
前記カール付与部は、前記用紙の種類に応じて、前記用紙に付与するカールの付与量を変更する、
請求項1から
9のいずれか一項に記載のカール付与装置。
【請求項11】
請求項1から請求項
10のいずれか一項に記載のカール付与装置を備える、
画像形成装置。
【請求項12】
前記搬送方向における前記転写ニップの下流側から分岐し、前記用紙の表裏を反転させて、前記搬送方向における前記転写ニップの上流側の搬送経路に合流する反転経路を備え、
前記カール付与装置は、前記搬送方向において、前記反転経路が前記搬送経路に合流する合流点と、前記転写ニップとの間に配置される、
請求項
11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記転写ニップに搬送される前記用紙の搬送タイミングを調整する搬送調整部を備え、
前記カール付与装置は、前記搬送方向において、前記搬送調整部と前記転写ニップとの間に配置される、
請求項
11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記転写ニップにおいて前記用紙に前記画像を転写する転写部と、
前記用紙に付与されるカールの付与量に応じて、前記画像を前記用紙に転写する転写タイミングを変更するよう前記転写部を制御する制御部と、
を備える、
請求項
13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
用紙に画像を転写する転写ニップへ前記用紙を案内する用紙案内部材と異なり、前記用紙の搬送方向における前記転写ニップの上流側において、前記転写ニップを形成する転写ローラーに前記用紙が巻き付く形状と逆の形状になるように、前記用紙にカールを付与するカール付与部を備えるカール付与装置と、
前記転写ニップに搬送される前記用紙の搬送タイミングを調整する搬送調整部と、
前記転写ニップにおいて前記用紙に前記画像を転写する転写部と、
前記用紙に付与されるカールの付与量に応じて、前記画像を前記用紙に転写する転写タイミングを変更するよう前記転写部を制御する制御部と、
を備え、
前記カール付与装置は、前記搬送方向において、前記搬送調整部と前記転写ニップとの間に配置される、
画像形成装置。
【請求項16】
前記搬送方向における前記カール付与装置の下流側において、前記用紙の先端を検知する先端検知部と、
前記用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙の先端が検知されたタイミングに基づいて、前記用紙の搬送速度を変更するよう前記用紙搬送部を制御する制御部と、
を備える、
請求項
13に記載の画像形成装置。
【請求項17】
用紙に画像を転写する転写ニップへ前記用紙を案内する用紙案内部材と異なり、前記用紙の搬送方向における前記転写ニップの上流側において、前記転写ニップを形成する転写ローラーに前記用紙が巻き付く形状と逆の形状になるように、前記用紙にカールを付与するカール付与部を備えるカール付与装置と、
前記転写ニップに搬送される前記用紙の搬送タイミングを調整する搬送調整部と、
前記搬送方向における前記カール付与装置の下流側において、前記用紙の先端を検知する先端検知部と、
前記用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙の先端が検知されたタイミングに基づいて、前記用紙の搬送速度を変更するよう前記用紙搬送部を制御する制御部と、
を備え、
前記カール付与装置は、前記搬送方向において、前記搬送調整部と前記転写ニップとの間に配置される、
画像形成装置。
【請求項18】
前記画像形成装置の外部から前記画像形成装置に前記用紙を給紙する給紙装置を備え、
前記カール付与装置は、前記給紙装置から前記画像形成装置へ前記用紙を搬送する経路上に配置される、
請求項
11に記載の画像形成装置。
【請求項19】
用紙に画像を転写する転写ニップの前記用紙の搬送方向における上流側において、前記転写ニップへ前記用紙を案内する用紙案内部材と異なるカール付与部を用いて、
前記転写ニップを形成する転写ローラーに前記用紙が巻き付く形状と逆の形状になるように、前記用紙にカールを付与する
際に、
剛度検知部により検知された剛度に応じて、前記用紙に付与するカールの付与量を変更する、
カール付与方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カール付与装置、画像形成装置及びカール付与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、薄紙、特に、感圧紙(登録商標)のような用紙の表面に形成された画像の定着処理を行うと、用紙のカールが大きくなる場合がある。この場合、用紙の裏面に更に画像を形成しようとすると、裏面が転写部(転写ニップ)を通過する際に二次転写ローラーに用紙が巻き付いたり、定着ニップに用紙が侵入できなかったりして、用紙ジャム(紙詰まり)が発生する可能性が高くなる。
【0003】
そこで、定着部の定着温度や定着圧力を低減することで、定着処理後の用紙のカール量を減らして、用紙ジャムを軽減するようにしていた。また、用紙搬送方向における定着部の下流側にカールを矯正するデカーラーを配置し、定着処理後の用紙のカールを矯正し、カール量を減らして、用紙ジャムを軽減する画像形成装置もあった(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、用紙の中には用紙自体の腰が非常に弱い(剛度が非常に小さい)ものもある。例えば、感圧紙の中でも、目方向がY目の感圧紙は、それ自体の腰が非常に弱い。このような用紙は、例えば、表面が転写ニップを通過する際に二次転写ローラーに用紙が巻き付いて、用紙ジャムが発生する可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、用紙ジャムの発生を防止することができるカール付与装置、画像形成装置及びカール付与方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカール付与装置は、
用紙に画像を転写する転写ニップへ前記用紙を案内する用紙案内部材と異なり、前記用紙の搬送方向における前記転写ニップの上流側において、前記転写ニップを形成する転写ローラーに前記用紙が巻き付く形状と逆の形状になるように、前記用紙にカールを付与するカール付与部と、
前記用紙の剛度を検知する剛度検知部と、
を備え、
前記カール付与部は、検知された前記剛度に応じて、前記用紙に付与するカールの付与量を変更する。
また、本発明に係るカール付与装置は、
用紙に画像を転写する転写ニップへ前記用紙を案内する用紙案内部材と異なり、前記用紙の搬送方向における前記転写ニップの上流側において、前記転写ニップを形成する転写ローラーに前記用紙が巻き付く形状と逆の形状になるように、前記用紙にカールを付与するカール付与部を備え、
前記カール付与部は、前記用紙を押圧して前記用紙を湾曲させることによって前記用紙にカールを付与するローラーを有し、
前記ローラーは、前記用紙を加熱する加熱部を有し、
前記カール付与部は、前記加熱部による加熱量を変更して、前記用紙に付与するカールの付与量を変更する。
また、本発明に係るカール付与装置は、
用紙に画像を転写する転写ニップへ前記用紙を案内する用紙案内部材と異なり、前記用紙の搬送方向における前記転写ニップの上流側において、前記転写ニップを形成する転写ローラーに前記用紙が巻き付く形状と逆の形状になるように、前記用紙にカールを付与するカール付与部と、
前記カール付与部により前記カールが付与された後に生じている前記用紙のカール量を検知するカール量検知部と、
を備え、
前記カール付与部は、検知された前記カール量に応じて、前記用紙に付与するカールの付与量を変更する。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、
前記カール付与装置を備える。
また、本発明に係る画像形成装置は、
用紙に画像を転写する転写ニップへ前記用紙を案内する用紙案内部材と異なり、前記用紙の搬送方向における前記転写ニップの上流側において、前記転写ニップを形成する転写ローラーに前記用紙が巻き付く形状と逆の形状になるように、前記用紙にカールを付与するカール付与部を備えるカール付与装置と、
前記転写ニップに搬送される前記用紙の搬送タイミングを調整する搬送調整部と、
前記転写ニップにおいて前記用紙に前記画像を転写する転写部と、
前記用紙に付与されるカールの付与量に応じて、前記画像を前記用紙に転写する転写タイミングを変更するよう前記転写部を制御する制御部と、
を備え、
前記カール付与装置は、前記搬送方向において、前記搬送調整部と前記転写ニップとの間に配置される。
また、本発明に係る画像形成装置は、
用紙に画像を転写する転写ニップへ前記用紙を案内する用紙案内部材と異なり、前記用紙の搬送方向における前記転写ニップの上流側において、前記転写ニップを形成する転写ローラーに前記用紙が巻き付く形状と逆の形状になるように、前記用紙にカールを付与するカール付与部を備えるカール付与装置と、
前記転写ニップに搬送される前記用紙の搬送タイミングを調整する搬送調整部と、
前記搬送方向における前記カール付与装置の下流側において、前記用紙の先端を検知する先端検知部と、
前記用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙の先端が検知されたタイミングに基づいて、前記用紙の搬送速度を変更するよう前記用紙搬送部を制御する制御部と、
を備え、
前記カール付与装置は、前記搬送方向において、前記搬送調整部と前記転写ニップとの間に配置される。
【0009】
本発明に係るカール付与方法は、
用紙に画像を転写する転写ニップの前記用紙の搬送方向における上流側において、前記転写ニップを形成する転写ローラーに前記用紙が巻き付く形状と逆の形状になるように、前記転写ニップへ前記用紙を案内する用紙案内部材と異なるカール付与部を用いて、前記用紙にカールを付与する際に、
剛度検知部により検知された剛度に応じて、前記用紙に付与するカールの付与量を変更する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、用紙ジャムの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示した画像形成装置の制御系の主要部を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るカール付与装置のカール付与部を概略的に示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るカール付与装置の剛度検知部を概略的に示す図である。
【
図5】用紙の搬送速度の切り替えタイミングを説明する図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るカール付与方法を説明する図であって、用紙1枚毎にフィードバック制御を行う場合のフローチャートである。
【
図7】
図6に示したカール付与方法の変形例を説明する図であって、トレイ毎に制御を行う場合のフローチャートである。
【
図8】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の変形例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[画像形成装置]
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1Aの一例を概略的に示す図である。また、
図2は、
図1に示した画像形成装置1Aの制御系の主要部を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、画像形成装置1Aは、画像形成装置本体10Aを備える。画像形成装置本体10Aは、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置本体10Aには、CMYKの4色に対応する感光体ドラムを中間転写ベルトの走行方向(鉛直方向)に直列配置し、中間転写ベルトに一回の手順で各色トナー像を順次転写させる縦型タンデム方式が採用されている。すなわち、画像形成装置本体10Aは、感光体ドラム上に形成されたCMYKの各色トナー像を中間転写ベルトに一次転写し、中間転写ベルト上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。なお、Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエロー、Kはブラックである。
【0015】
画像形成装置本体10Aは、
図1、
図2に示すように、画像読取部11、操作表示部12、画像処理部13、画像形成部14、定着部15、給紙部16、用紙搬送部17、制御部200などを備える。
【0016】
画像読取部11は、自動原稿給紙装置(ADF:Auto Document Feeder)及び原稿画像走査装置(スキャナー)などを備える。画像読取部11において、自動原稿給紙装置からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿が原稿画像走査装置によって読み取られ、入力画像データが生成される。
【0017】
操作表示部12は、例えば、タッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部121及び操作部122として機能する(
図2を参照)。表示部121は、制御部200から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況などの表示を行う。操作部122は、テンキー、スタートキーなどの各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部200に出力する。
【0018】
画像処理部13は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じた階調補正、色補正、シェーディング補正などの各種補正処理又は圧縮処理などのデジタル画像処理を行う。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部14が制御される。
【0019】
画像形成部14は、画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成する。画像形成部14は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置及び中間転写装置を備える。画像形成部14においては、感光体ドラムの表面が帯電装置によって一様に帯電される。この帯電した感光体ドラムに対して、露光装置によって画像データに基づくレーザー光が照射されることにより、感光体ドラムの表面に静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体ドラムに対して、現像装置によってトナーが供給されることにより、静電潜像が可視化されてトナー像が形成される。このトナー像が、中間転写装置の中間転写ベルト141に転写され、中間転写ベルト141と二次転写ローラー142が形成する二次転写ニップ143(転写部)において、用紙Sに転写される。
【0020】
定着部15は、用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着ベルト151などを有する上側定着部、用紙Sの裏面(定着面の反対の面)側に配置される加圧ローラー152などを有する下側定着部などを備える。定着ベルト151は、加熱ローラーなどの複数のローラーにループ状に張架され、搬送されてきた用紙Sを加熱する。加圧ローラー152は、定着ベルト151に圧接され、定着ベルト151と加圧ローラー152との間に、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップを形成する。従って、定着部15は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを、定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙にトナー像を定着させる。
【0021】
給紙部16は、複数(
図1では三段)の給紙トレイを有する。給紙トレイには、坪量やサイズなどに基づいて識別された用紙Sが予め設定された種類ごとに収容される。
【0022】
用紙搬送部17は、搬送経路P1に沿って、給紙部16から給紙された用紙Sを画像形成部14、定着部15に搬送する。用紙搬送部17には、レジストローラー171(搬送調整部)が設けられており、レジストローラー171は、二次転写ニップ143に用紙Sを搬送する搬送タイミングを制御する。
【0023】
用紙搬送部17に搬送される用紙Sは、画像形成部14の二次転写ニップ143を通過する際、中間転写ベルト141上のトナー像がその表面に一括して二次転写され、その後、定着部15において定着処理が施される。画像が形成された用紙Sは、排紙ローラーにより機外に排紙される。
【0024】
用紙Sの両面に画像を形成する場合、表面に画像が形成された用紙Sは、反転経路P2に搬送されて、その表裏が反転させられる。反転経路P2は、搬送経路P1において、二次転写ニップ143の用紙搬送方向下流側から分岐し、レジストローラー171より用紙搬送方向上流側の合流点Jで合流している。表裏反転後の用紙Sは、合流点Jから搬送経路P1に搬送されて、画像形成部14、定着部15に搬送される。
【0025】
図2に示すように、制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202及びRAM(Random Access Memory)203などを備える。CPU201は、ROM202から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM203に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置本体10Aの各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部212に格納されているLUT(Look Up Table)などの各種データが参照される。記憶部212は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(所謂、フラッシュメモリ)又はハードディスクドライブで構成される。
【0026】
制御部200は、通信部211を介して、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークに接続された外部の装置(例えば、パーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部200は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成する。通信部211は、例えば、LANカードなどの通信制御カードで構成される。
【0027】
制御部200には、画像読取部11、操作表示部12、画像処理部13、画像形成部14、定着部15、給紙部16、用紙搬送部17が、それぞれ接続されている。また、制御部200には、後述するカール付与装置18Aも接続されている。これらは、制御部200の指示に基づいて所定の処理を実行する。
【0028】
ところで、用紙Sの中には用紙自体の腰が非常に弱い(剛度が非常に小さい)ものもある。例えば、感圧紙の中でも、目方向がY目の感圧紙は、それ自体の腰が非常に弱い。このような用紙Sは、例えば、表面が二次転写ニップ143を通過する際に二次転写ローラー142に用紙Sが巻き付いて、用紙ジャムが発生する可能性がある。
【0029】
そこで、本実施の形態において、画像形成装置本体10Aは、カール付与装置18Aを備える。カール付与装置18Aは、用紙Sに画像を転写する二次転写ニップ143へ用紙Sを案内する用紙案内部材(用紙搬送ガイド)と異なり、用紙Sの搬送方向における二次転写ニップ143の上流側において、用紙Sにカールを付与するカール付与部181を備える。
【0030】
[カール付与装置]
カール付与部181を備えるカール付与装置18Aについて、
図3~
図5を参照して説明する。
【0031】
まず、カール付与部181について、
図1に加えて、
図3も参照して、その構成を説明する。
図3は、カール付与装置18Aのカール付与部181を概略的に示す図である。
【0032】
カール付与部181は、移動ローラー181a、入口側ローラー181b、出口側ローラー131cなどを有する。移動ローラー181a、入口側ローラー181b及び出口側ローラー131cは、用紙Sを搬送方向Cへ搬送するよう回転可能に構成されている。また、移動ローラー181aは、移動方向B1、B2に移動可能に、つまり、用紙Sの表面に対して移動可能に構成されている。
【0033】
従って、カール付与部181の入口側ローラー181bに搬送された用紙Sは、移動ローラー181aと入口側ローラー181bとの間を通過し、その後、移動ローラー181aと出口側ローラー131cとの間を通過して、搬送方向Cへ搬送される。なお、用紙Sを搬送する際、移動ローラー181aと入口側ローラー181bとの間や移動ローラー181aと出口側ローラー131cとの間に用紙Sを案内するため、案内板などの案内部材をカール付与部181に設けてもよい。
【0034】
そして、用紙Sを搬送する際、移動ローラー181aは、移動方向B1又は移動方向B2に移動されて、用紙Sに対する移動ローラー181aの押圧量(用紙Sへの食い込み量)が調整されている。移動ローラー181aで用紙Sを押圧し、用紙Sを湾曲させることによって、用紙Sにカールを付与するが、その押圧量を変更することで、用紙Sに付与するカールの付与量を変更することができる。
【0035】
例えば、制御部200からの指示に基づいて、カール付与部181が移動ローラー181aを移動方向B1に移動させる。これにより、用紙Sに対する移動ローラー181aの押圧量が大きくなり、用紙Sに付与するカールの付与量を大きくすることができる。一方、制御部200からの指示に基づいて、カール付与部181が移動ローラー181aを移動方向B2に移動させる。これにより、用紙Sに対する移動ローラー181aの押圧量が小さくなり、用紙Sに付与するカールの付与量を小さくすることができる。つまり、用紙Sに対する移動ローラー181aの押圧量を大きくすると、それに従って、用紙Sに付与するカールの付与量を大きくすることができる。
【0036】
なお、カール付与部181は、用紙Sにカールを付与できれば、上述した構成に限らず、他の構成でもよい。例えば、入口側ローラー181b及び出口側ローラー131cを、移動ローラー181aより柔らく大きい1つのローラーに変更し、当該ローラーに移動ローラー181aを押し付けて形成したニップにより、用紙Sにカールを付与するようにしてもよい。また、入口側ローラー181b及び出口側ローラー131cにベルトをループ状に張架し、当該ベルトに移動ローラー181aを押し付けて形成したニップにより、用紙Sにカールを付与するようにしてもよい。
【0037】
加えて、用紙Sを加熱する加熱部をカール付与部181に設けてもよい。例えば、
図3に示すように、移動ローラー181aは、その内部にヒーター181d(加熱部)を有する。ヒーター181dとしては、ハロゲンヒーターなどが使用可能である。ヒーター181dが移動ローラー181aを加熱し、加熱された移動ローラー181aが用紙Sを加熱するようにする。
【0038】
用紙Sを押圧して加熱することにより、用紙Sにカールを付与可能であり、押圧量が同じであれば、加熱量(加熱温度)に応じて、用紙Sに付与するカールの付与量を変化させることができる。具体的には、加熱量を大きく(加熱温度を高く)すると、それに従って、用紙Sに付与するカールの付与量を大きくすることができる。そのため、加熱された移動ローラー181aの表面の温度を検知する温度検知センサー181eを設ける。
【0039】
つまり、用紙Sを搬送する際、移動ローラー181aの表面温度が所定の温度になるように、温度検知センサー181e及びヒーター181dを用いて調整されており、これにより、用紙Sに付与するカールの付与量を調整することができる。
【0040】
例えば、制御部200からの指示に基づいて、カール付与部181は、温度検知センサー181e及びヒーター181dを用いて、移動ローラー181aの表面温度を比較的高温の温度(室温より高い温度)に調整する。これにより、用紙Sを加熱する加熱温度が高くなり、用紙Sに付与するカールの付与量を大きくすることができる。また、制御部200からの指示に基づいて、カール付与部181は、温度検知センサー181e及びヒーター181dを用いて、移動ローラー181aの表面温度を比較的低音の温度(例えば、室温程度)に調整する。これにより、用紙Sを加熱する加熱温度が低くなり、用紙Sに付与するカールの付与量を小さくすることができる。つまり、用紙Sを加熱する加熱温度を高くすると、それに従って、用紙Sに付与するカールの付与量を大きくすることができる。
【0041】
また、用紙Sに付与するカールの付与量は、用紙Sの種類、例えば、用紙Sの剛度に応じて変更することが望ましい。そのため、カール付与装置18Aは、剛度検知部182を備えていてもよい。
【0042】
図4は、カール付与装置18Aの剛度検知部182を概略的に示す図である。剛度検知部182は、用紙Sの剛度(腰)を検知するものであり、剛度とは、用紙Sの折り曲げに対する抵抗力のことである。剛度検知部182は、搬送ローラー182a、182b、第1先端検知センサー182c、第2先端検知センサー182dなどを有する。
【0043】
剛度検知部182において、搬送ローラー182a、182bは、用紙Sを搬送方向Cへ搬送する。第1先端検知センサー182cは、搬送ローラー182a、182bの搬送ニップを通過する用紙Sの先端を検知する。第2先端検知センサー182dは、搬送ローラー182a、182bの搬送ニップを通過した後の用紙Sの先端を検出する。第1先端検知センサー182cや第2先端検知センサー182dとしては、受光型レーザーセンサーなどを使用可能である。
【0044】
剛度検知部182は、搬送ローラー182a、182bで用紙Sを搬送方向Cへ搬送する際に、第1先端検知センサー182cに用紙Sの先端が検知されてから、第2先端検知センサー182dに用紙Sの先端が検知されるまでの時間を求める。
【0045】
例えば、
図4に示すように、剛度がある程度高い用紙S1は、先端の撓み量がある程度小さい。そのため、第1先端検知センサー182cに用紙S1の先端が検知されてから、第2先端検知センサー182dに用紙S1の先端が検知されるまでの時間はある程度長くなる。また、
図4に示すように、用紙S1より剛度が低い用紙S2は、先端の撓み量が用紙S1より大きい。そのため、第1先端検知センサー182cに用紙S2の先端が検知されてから、第2先端検知センサー182dに用紙S2の先端が検知されるまでの時間は用紙S1より短くなる。また、
図4に示すように、用紙S2より剛度が低い用紙S3は、先端の撓み量が用紙S2より大きい。そのため、第1先端検知センサー182cに用紙S3の先端が検知されてから、第2先端検知センサー182dに用紙S3の先端が検知されるまでの時間は用紙S2より短くなる。
【0046】
このように、剛度検知部182は、第1先端検知センサー182cに用紙Sの先端が検知されてから、第2先端検知センサー182dに用紙Sの先端が検知されるまでの時間を求めている。この時間は、用紙Sの剛度に相関するものであり、この時間に基づいて、用紙Sの剛度を検知することができる。
【0047】
そして、制御部200からの指示に基づいて、カール付与部181は、検知された剛度に応じて、用紙Sに付与するカールの付与量を変更する。具体的には、用紙Sの剛度が低くなるに従って、用紙Sは二次転写ローラー142に巻き付きやすくなるので、カール付与部181で用紙Sに付与するカールの付与量を大きくする。このとき、用紙Sが二次転写ローラー142に巻き付く形状と逆の形状になるように、用紙Sにカールを付与する。例えば、用紙端部が下側にカールするように二次転写ローラー142に巻き付く場合には、用紙端部が上側にカールするように用紙Sにカールを付与する。
【0048】
また、カール付与装置18Aは、
図1に示すように、カール量検知部183を備えていてもよい。カール量検知部183は、カール付与部181によりカールが付与された後に生じている用紙Sのカール量を検知する。カール量検知部183としては、例えば、
図4に示した剛度検知部182と同様の構成でもよい。但し、カール量検知部183として、剛度検知部182と同様の構成を用いる場合には、用紙端部が上側にカールするようにした用紙Sの先端を検出する必要があることから、第2先端検知センサー182dは、上側の搬送ローラー182aに配置する。
【0049】
カール量検知部183としては、他の方法を用いるものでもよい。例えば、CCDカメラなどの撮像部とレーザー光源などの照射部を用い、光切断法により、用紙Sの形状を測定し、カール量を検知するものでもよい。
【0050】
そして、制御部200からの指示に基づいて、カール付与部181は、検知されたカール量に応じて、用紙Sに付与するカールの付与量を変更する。
【0051】
上述したカール付与部181、剛度検知部182及びカール量検知部183を備えるカール付与装置18Aは、
図1に示すように、合流点Jと二次転写ニップ143との間に配置されている。より詳細には、カール付与装置18Aは、レジストローラー171と二次転写ニップ143との間に配置されている。このように、カール付与装置18Aは、二次転写ニップ143の用紙搬送方向上流に配置されて、用紙Sが二次転写ニップ143に搬送される前に、所望の付与量のカールを用紙Sに付与している。
【0052】
更に、画像形成装置本体10Aは、転写タイミングを調整するための用紙先端検知部191を備えていてもよい。用紙先端検知部191は、カール付与部181でカールを付与した後の用紙Sの先端を検知する。用紙先端検知部191としては、上述した第1先端検知センサー182cと同様のものでよく、受光型レーザーセンサーなどを使用可能である。
【0053】
レジストローラー171は、上述したように、二次転写ニップ143に用紙Sを搬送する搬送タイミングを制御する。カール付与部181は、レジストローラー171より用紙搬送方向下流側に配置されており、カール付与部181でカールを用紙Sに付与すると、用紙Sが通過する経路が湾曲するため、レジストローラー171から二次転写ニップ143までの距離が変わる。そのため、レジストローラー171を通過した後の用紙Sは、カール付与部181により変更された距離分のタイミングを補正する必要がある。
【0054】
そこで、カール付与部181でカールを付与した後の用紙Sの先端を検知する用紙先端検知部191を、カール付与装置18Aの用紙搬送方向下流側に設けている。そして、用紙先端検知部191での用紙Sの先端検知のタイミングに基づいて、用紙搬送部17は、二次転写ニップ143に用紙Sを搬送する際の搬送速度を変更して、用紙Sへの転写タイミングを調整するようにしている。
【0055】
ここで、
図5は、用紙Sの搬送速度の切り替えタイミングを説明する図である。
図5に示すように、搬送速度V1で用紙Sを搬送し、時間t1において、用紙先端検知部191で用紙Sの先端を検知したとする。この時間t1から速度切替タイミングΔt経過後の時間t2において、用紙Sの搬送速度を搬送速度V1から搬送速度V2(V2<V1)へ変更して、用紙Sを搬送し、時間t3において、用紙Sへの画像の転写を開始する。
【0056】
用紙Sへの転写タイミングである時間t3を変更しない場合には、用紙Sに付与するカールの付与量に応じて、速度切替タイミングΔtを変更することで、二次転写ニップ143に用紙Sを搬送するタイミングを補正するようにしている。具体的には、用紙Sに付与するカールの付与量を多くすると、レジストローラー171から二次転写ニップ143までの距離が長くなる。距離が長くなる分、速度切替タイミングΔtを長くし、搬送速度V2より速い搬送速度V1で用紙Sを搬送する時間を長くして、二次転写ニップ143に用紙Sを搬送するタイミングを補正する。
【0057】
なお、
図5では、用紙Sの先端検知のタイミングに基づいて、二次転写ニップ143に用紙Sを搬送する際の搬送速度を変更しているが、搬送速度は変更せず、転写タイミング(画像形成タイミング)を変更するようにしてもよい。例えば、用紙Sに付与されるカールの付与量に応じて、転写ニップ143で用紙Sに転写する画像を画像形成部14が形成する画像形成タイミングを変更して、転写ニップ143で用紙Sに画像を転写する転写タイミングを変更してもよい。
【0058】
次に、本実施の形態に係るカール付与方法を説明する。
図6は、本実施の形態に係るカール付与方法を説明する図であって、用紙1枚毎にフィードバック制御を行う場合のフローチャートである。
【0059】
(ステップS11)
制御部200は、薄紙への画像形成かどうかを判断する。例えば、ユーザーが操作部122から入力した用紙Sの設定に基づいて、用紙Sの坪量が予め定めた所定値(例えば、坪量40~50g/m2)より小さいかどうかで、薄紙への画像形成かどうかを判断する。薄紙への画像形成の場合(YES)、ステップS12へ進み、薄紙への画像形成でない場合(NO)、ステップS20へ進む。
【0060】
(ステップS12)
制御部200は、ユーザーが設定した画像形成条件に基づいて、画像処理部13、画像形成部14、定着部15、給紙部16、用紙搬送部17及びカール付与装置18Aを制御して、用紙Sへの画像形成を開始する。
【0061】
(ステップS13)
制御部200は、給紙部16、用紙搬送部17及びカール付与装置18Aを制御し、カール付与装置18Aの剛度検知部182を用いて、トレイの1枚目の用紙Sの先端を検知する。具体的には、
図4で説明したように、剛度検知部182の第1先端検知センサー182cを用いて、搬送ローラー182a、182bの搬送ニップを通過する用紙Sの先端を検知する。
【0062】
(ステップS14)
制御部200は、カール付与装置18Aの剛度検知部182を用いて、トレイの1枚目の用紙Sの剛度を算出する。具体的には、
図4で説明したように、剛度検知部182の第2先端検知センサー182dを用いて、搬送ローラー182a、182bの搬送ニップを通過した後の用紙Sの先端を検出する。そして、第1先端検知センサー182cに用紙Sの先端が検知されてから、第2先端検知センサー182dに用紙Sの先端が検知されるまでの時間を求め、この時間に基づいて、用紙Sの剛度を算出する。
【0063】
(ステップS15)
制御部200は、算出された用紙Sの剛度に基づいて、用紙Sに付与するカールの付与量を決定する。具体的には、用紙Sの剛度が低くなるに従って、用紙Sは二次転写ローラー142に巻き付きやすくなるので、カール付与部181で用紙Sに付与するカールの付与量を大きくする。このとき、用紙Sが二次転写ローラー142に巻き付く形状と逆の形状になるように、用紙Sにカールを付与する。
【0064】
(ステップS16)
制御部200は、決定されたカールの付与量に基づいて、カール付与部181を用いて、用紙Sに付与量のカールを付与する。具体的には、
図3で説明したように、用紙Sに対する移動ローラー181aの押圧量を調整したり、移動ローラー181aの表面温度を調整したりすることにより、用紙Sに付与するカールの付与量を調整して、用紙Sに付与量のカールを付与する。
【0065】
(ステップS17)
制御部200は、カール付与装置18Aのカール量検知部183を用いて、カール付与部181でカールを付与した後の用紙Sのカール量を検知する。
【0066】
(ステップS18)
制御部200は、検知されたカール量に基づいて、用紙Sに付与するカールの付与量を補正する。つまり、制御部200は、カール付与部181で用紙Sに付与されたカールの付与量に対し、カール付与後の用紙Sのカール量を測定し、例えば、付与量とカール量との差分に基づいて、カール量が所望のカール量となるように、付与量を補正する。
【0067】
(ステップS19)
制御部200は、次の用紙Sがあるかどうかを判断する。例えば、制御部200は、画像形成を行った用紙Sの枚数が、画像形成の開始時に設定された画像形成を行う用紙Sの枚数に到達したかどうかを確認し、次の用紙Sがあるかどうかを判断する。次の用紙Sがある場合(YES)、ステップS16へ戻り、次の用紙Sがない場合(NO)、画像処理を終了する。
【0068】
(ステップS20)
薄紙への画像形成でない場合、用紙Sにカールを付与する必要はないので、制御部200は、カール付与装置18Aを使用する必要はない。従って、制御部200は、ユーザーが設定した画像形成条件に基づいて、画像処理部13、画像形成部14、定着部15、給紙部16及び用紙搬送部17を制御して、用紙Sへの画像形成を開始する。そして、制御部200は、画像形成を行った用紙Sの枚数が、画像形成の開始時に設定された画像形成を行う用紙Sの枚数に到達すれば、画像形成処理を終了する。
【0069】
このように、上記のステップS11~S20では、トレイ(用紙Sの種類)毎の1枚毎にフィードバック制御を行うので、二次転写ニップ143の搬送上流側において、用紙Sに所望のカール量を付与することができる。その結果、二次転写ニップ143を通紙する際の用紙Sの巻き付きを防止することができる。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1Aは、画像形成装置本体10Aにカール付与装置18Aを備える。そして、カール付与装置18Aは、用紙Sに画像を転写する二次転写ニップ143へ用紙Sを案内する用紙案内部材と異なり、用紙Sの搬送方向における二次転写ニップ143の上流側において、用紙Sにカールを付与するカール付与部181を備える。
【0071】
このように構成した本実施の形態によれば、二次転写ニップ143の搬送上流側において、用紙Sの種類毎及び1枚毎に所望のカール量を付与するので、二次転写ニップ143を通紙する際の用紙Sの巻き付きを防止することができる。その結果、用紙ジャムの発生を防止することができる。
【0072】
<変形例1>
図7は、本変形例のカール付与方法を説明する図であって、トレイ毎に制御を行う場合のフローチャートである。本変形例において、画像形成装置1Aは、上記実施の形態で説明した構成と同等の構成でよい。従って、上記実施の形態で使用した符号を用いて、以下に、本変形例のカール付与方法を説明する。
【0073】
(ステップS21)
制御部200は、薄紙への画像形成かどうかを判断する。薄紙への画像形成の場合(YES)、ステップS22へ進み、薄紙への画像形成でない場合(NO)、ステップS27へ進む。このステップS21は、上述したステップS11と同じである。
【0074】
(ステップS22)
制御部200は、ユーザーが設定した画像形成条件に基づいて、画像処理部13、画像形成部14、定着部15、給紙部16、用紙搬送部17及びカール付与装置18Aを制御して、用紙Sへの画像形成を開始する。このステップS22も、上述したステップS12と同じである。
【0075】
(ステップS23)
制御部200は、給紙部16、用紙搬送部17及びカール付与装置18Aを制御し、カール付与装置18Aの剛度検知部182を用いて、トレイの1枚目の用紙Sの先端を検知する。このステップS23も、上述したステップS13と同じである。
【0076】
(ステップS24)
制御部200は、カール付与装置18Aの剛度検知部182を用いて、トレイの1枚目の用紙Sの剛度を算出する。このステップS24も、上述したステップS14と同じである。
【0077】
(ステップS25)
制御部200は、算出された用紙Sの剛度に基づいて、用紙Sに付与するカールの付与量を決定する。このステップS25も、上述したステップS15と同じである。
【0078】
(ステップS26)
制御部200は、決定されたカールの付与量に基づいて、カール付与部181を用いて、用紙Sに付与量のカールを付与する。具体的には、
図3で説明したように、用紙Sに対する移動ローラー181aの押圧量を調整したり、移動ローラー181aの表面温度を調整したりすることにより、用紙Sに付与するカールの付与量を調整して、用紙Sに付与量のカールを付与する。
【0079】
同じ種類の用紙Sがトレイ内にセットされていれば、そのトレイ内の用紙Sの剛度のバラツキ(個体差)は大きくない。そこで、本変形例では、トレイの1枚目の用紙Sの剛度に基づいて決定されたカールの付与量を用いて、画像形成の開始時に設定された枚数の用紙Sにおいて、同じ付与量のカールを付与する。つまり、
図6に示した方法とは異なり、用紙Sの1枚毎にフィードバック制御は行わない。そして、制御部200は、画像形成を行った用紙Sの枚数が、画像形成の開始時に設定された画像形成を行う用紙Sの枚数に到達すれば、画像形成処理を終了する。
【0080】
(ステップS27)
薄紙への画像形成でない場合、用紙Sにカールを付与する必要はないので、制御部200は、カール付与装置18Aを使用する必要はない。従って、制御部200は、ユーザーが設定した画像形成条件に基づいて、画像処理部13、画像形成部14、定着部15、給紙部16及び用紙搬送部17を制御して、用紙Sへの画像形成を開始する。そして、制御部200は、画像形成を行った用紙Sの枚数が、画像形成の開始時に設定された画像形成を行う用紙Sの枚数に到達すれば、画像形成処理を終了する。このステップS27も、上述したステップS20と同様の内容である。
【0081】
このように、上記のステップS21~S27では、トレイ(用紙Sの種類)毎に制御を行うので、二次転写ニップ143の搬送上流側において、用紙Sに所望のカール量を付与することができる。その結果、二次転写ニップ143を通紙する際の用紙Sの巻き付きを防止することができ、用紙ジャムの発生を防止することができる。
【0082】
なお、
図6で説明したカール付与方法と
図7で説明したカール付与方法とは、何れか一方を選択的に実施するようにしてもよい。その場合、制御部200が、用紙Sの1枚毎のフィードバック制御を行うかどうかを判断する。例えば、ユーザーが操作部122から入力したフィードバック制御の設定に基づいて判断する。そして、用紙Sの1枚毎のフィードバック制御を行う場合は、
図6で説明したカール付与方法を実施し、用紙Sの1枚毎のフィードバック制御を行わない場合は、
図7で説明したカール付与方法を実施する。
【0083】
<変形例2>
図8は、本変形例の画像形成装置1Bを概略的に示す図である。上記実施の形態において、画像形成装置1Aは、画像形成装置本体10Aの内部にカール付与装置18Aを備える。本変形例において、画像形成装置1Bは、
図8に示すように、画像形成装置本体10Bの外部から画像形成装置本体10Bに用紙Sを給紙する給紙装置20を備える。このような構成において、カールを付与する必要がある用紙Sを外部の給紙装置20から給紙する場合には、画像形成装置本体10Bの外部にカール付与装置18Bを備えるようにしてもよい。
【0084】
本変形例において、画像形成装置1Bは、画像形成装置本体10Bと給紙装置20とを備える。画像形成装置本体10Bは、上記実施の形態の画像形成装置本体10Aと略同等の構成を備える。従って、画像形成装置本体10Bにおいて、上記実施の形態の画像形成装置本体10Aと同等の構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0085】
上述したように、画像形成装置本体10Bは、基本的には、上記実施の形態の画像形成装置本体10Aと略同等の構成を備えている。但し、上記実施の形態において、画像形成装置本体10Aは内部にカール付与装置18Aを備えているのに対し、画像形成装置本体10Bは、その内部にカール付与装置18Aを備えていない。本変形例においては、画像形成装置本体10Bの外部に、カール付与装置18Bが配置されている。このカール付与装置18Bについては後述する。
【0086】
給紙装置20は、大容量の用紙Sを収容可能な外付け型の装置である。給紙装置20は、画像形成装置本体10Bの側方(
図8では右側)に接続されており、給紙装置20から画像形成装置本体10Bへ用紙を1枚ずつ給紙する。
【0087】
給紙装置20は、給紙ユニット21、搬送経路部22などを備える。給紙装置20は、
図8では、一例として、三段構成の給紙ユニット21を有している。給紙ユニット21は、用紙収容部21a、吸引搬送部21bなどを有する。
【0088】
用紙収容部21aは、大容量の用紙Sを収容可能に構成されている。また、用紙収容部21aにおいては、収容されている用紙Sの最上位の用紙Sが常に一定の位置となるように構成されている。
【0089】
吸引搬送部21bは、用紙収容部21aの上方に配置される。吸引搬送部21bは、搬送ベルト、複数の搬送ローラー、吸引ファンなどを有する。
【0090】
搬送ベルトは、無端状のベルトであり、全面に渡って多数の孔を有する。搬送ベルトは、複数の搬送ローラーにループ状に張架される。そして、搬送ローラーを駆動モーター(図示省略)で駆動して、搬送ローラーを回転させることにより、搬送ベルトを走行させる。
【0091】
吸引ファンは、搬送ベルトの内部に配置される。吸引ファンが作動すると、搬送ベルトの孔を介して、搬送ベルトの下方側の空気を吸引することになる。これにより、最上位の用紙Sを孔で吸引して、搬送ベルトに最上位の用紙Sを吸着する。
【0092】
このような構成により、吸引搬送部21bは、搬送ベルトに最上位の用紙Sを吸着し、吸着した用紙Sを搬送して、搬送経路部22に用紙Sを給紙する。
【0093】
搬送経路部22は、各給紙ユニット21と画像形成装置本体10Bとの間を接続しており、複数の搬送ローラー対を有している。搬送ローラー対は、吸引搬送部21bから搬送された用紙Sを狭持して、搬送経路部22上を搬送し、画像形成装置本体10Bへ給紙する。
【0094】
以上の構成を有する給紙装置20は、画像形成装置本体10Bの制御部200と協働して、給紙ユニット21、搬送経路部22などの動作を制御する。これに加えて、給紙装置20は、下記のカール付与装置18Bの動作を制御する。
【0095】
本変形例においては、給紙装置20から画像形成装置本体10Bへ用紙Sを搬送する搬送経路部22上に、カール付与装置18Bが配置されている。搬送経路部22上において、カール付与装置18Bは、給紙装置20の出口側に配置されている。
【0096】
カール付与装置18Bは、上記実施の形態のカール付与装置18Aと同様の構成であり、カール付与部181、剛度検知部182、カール量検知部183を備える。カール付与装置18Bにおけるカール付与部181、剛度検知部182、カール量検知部183の機能や動作は、上記実施の形態で説明した通りであるので、ここでは、重複する説明は省略する。
【0097】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1Bは、給紙装置20にカール付与装置18Bを備える。そして、カール付与装置18Bは、用紙Sに画像を転写する二次転写ニップ143へ用紙Sを案内する用紙案内部材と異なり、用紙Sの搬送方向における二次転写ニップ143の上流側において、用紙Sにカールを付与するカール付与部181を備える。
【0098】
このように構成した本変形例によれば、二次転写ニップ143の搬送上流側において、用紙Sに所望のカール量を付与するので、二次転写ニップ143を通紙する際の用紙Sの巻き付きを防止することができる。その結果、用紙ジャムの発生を防止することができる。
【0099】
ここでは、給紙装置20にカール付与装置18Bを備えるようにしているが、カール付与装置18B自体を独立した装置として構成し、画像形成装置本体10Bと給紙装置20との間にカール付与装置18Bを配置してもよい。
【0100】
なお、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、又は、その主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0101】
1A、1B 画像形成装置
10A、10B 画像形成装置本体
14 画像形成部
141 中間転写ベルト
142 二次転写ローラー
15 定着部
151 定着ベルト
152 加圧ローラー
17 用紙搬送部
171 レジストローラー
18A、18B カール付与装置
181 カール付与部
182 剛度検知部
183 カール量検知部
191 用紙先端検知部
20 給紙装置
J 合流点
P1 搬送経路
P2 反転経路