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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240903BHJP
   G06F 3/04845 20220101ALI20240903BHJP
【FI】
G06F3/01 570
G06F3/04845
G06F3/01 560
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020147771
(22)【出願日】2020-09-02
(65)【公開番号】P2022042362
(43)【公開日】2022-03-14
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】須藤 正
(72)【発明者】
【氏名】得地 賢吾
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/080829(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/170483(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/034049(WO,A1)
【文献】特開2015-001978(JP,A)
【文献】特開2019-079555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/04845
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
事前に抽出の対象に指定された物体が空中を移動する軌跡を、ユーザの側から前方方向に撮像する画像内から抽出し、
前記物体の移動を伴うジェスチャによりユーザが空中に線又は線の集合を描画している最中に、描画中の線又は線の集合に対する太さ又は濃さの指示を検知し、
検知された太さ又は濃さを前記物体が空中を移動する軌跡に紐付けて記憶し、
前記物体が移動する空中の位置に連動させて前記線又は線の集合を描画する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記線又は線の集合を描画している最中に、描画中の線の方向の指示を検知する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
描画中のユーザを撮像する画像から、前記線の太さ又は濃さを指示するユーザの動作を検知する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
描画中の手に現れる特定の動きを前記画像から検知する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記画像から検知される前記線の描画に用いる指の本数に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記画像から検知される前記線の描画に用いる複数本の指の広がり具合又は描画に用いる指の曲げ具合に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記画像から検知される前記線の描画に用いる指の向きに応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
描画に用いる物体の先端に現れる特徴を検知し、検知された特徴に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記特徴は、線又は線の集合の太さ又は濃さを指定する構造、画像、文字、形状、色、又はそれらの組み合わせであり、描画中に検知された当該特徴に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
検知した太さに応じた強度の振動をフィードバックする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
描画中のユーザを撮像する画像から検知される前記線又は線の集合の描画に用いていない手に現れる特定の動きに応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記線又は線の集合の描画に用いていない指の本数に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記線又は線の集合の描画に用いていない複数本の指の広がり具合又は描画に用いていない指の曲げ具合に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記線又は線の集合の描画に用いていない体の部位の向きに応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
描画中の手の、ユーザから前方への距離に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記線又は線の集合の描画に用いていない手の位置を奥行方向の基準を与える位置として検知し、描画に用いる物体が当該基準に対する奥行方向の位置の関係に応じて、前記線又は線の集合太さ又は濃さを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記プロセッサは、
描画中の手に装着されたデバイスで検知される情報に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記プロセッサは、
前記デバイスで検知される筋肉の緊張の度合いに応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを検知する、
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記プロセッサは、
描画中のユーザを撮像する画像から、描画に用いる物体に現れる、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを指示する特定の動きを検知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記プロセッサは、
前記画像から検知される前記物体の向きに応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項19に記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記プロセッサは、
前記物体による描画中の手に装着されたデバイスで検知される情報に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項19に記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記プロセッサは、
描画に用いる棒状の物体のセンサで検知された情報に基づいて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを指示するユーザの動作を検知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項23】
前記プロセッサは、
前記センサにより検知される圧力に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項22に記載の情報処理装置。
【請求項24】
前記プロセッサは、
特定の方向からの圧力に応じて太さ又は濃さを検知する、
請求項23に記載の情報処理装置。
【請求項25】
前記プロセッサは、
前記センサにより検知される加速度に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、
請求項22に記載の情報処理装置。
【請求項26】
コンピュータに、
事前に抽出の対象に指定された物体が空中を移動する軌跡を、ユーザの側から前方方向に撮像する画像内から抽出する機能と、
前記物体の移動を伴うジェスチャによりユーザが空中に線又は線の集合を描画している最中に、描画中の線又は線の集合に対する太さ又は濃さの指示を検知する機能と、
検知された太さ又は濃さを前記物体が空中を移動する軌跡に紐付けて記憶する機能と
前記物体の移動に連動するように前記線又は線の集合を空中に描画する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空中を移動する指先等の軌跡をAR(=Augmented Reality)空間に対する入力として検知する技術がある。このとき、指先等の軌跡は、空間上の座標点に紐付けて記憶される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-45670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検知された指先等の軌跡を表示デバイス上に表示する場合、検知された指先等の軌跡は、事前に定めた太さで表現される。換言すると均一な線で表現される。
【0005】
本発明は、ジェスチャによりユーザが空中に線又は線の集合を描画する場合に、線又は線の集合の描画中に線又は線の集合の各部の設定を調整できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、事前に抽出の対象に指定された物体が空中を移動する軌跡を、ユーザの側から前方方向に撮像する画像内から抽出し、前記物体の移動を伴うジェスチャによりユーザが空中に線又は線の集合を描画している最中に、描画中の線又は線の集合に対する太さ又は濃さの指示を検知し、検知された太さ又は濃さを前記物体が空中を移動する軌跡に紐付けて記憶し、前記物体が移動する空中の位置に連動させて前記線又は線の集合を描画する、情報処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記線又は線の集合を描画している最中に、描画中の線の方向の指示を検知する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プロセッサは、描画中のユーザを撮像する画像から、前記線の太さ又は濃さを指示するユーザの動作を検知する、請求項2に記載の情報処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセッサは、描画中の手に現れる特定の動きを前記画像から検知する、請求項3に記載の情報処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記プロセッサは、前記画像から検知される前記線の描画に用いる指の本数に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項4に記載の情報処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、前記画像から検知される前記線の描画に用いる複数本の指の広がり具合又は描画に用いる指の曲げ具合に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項4に記載の情報処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記プロセッサは、前記画像から検知される前記線の描画に用いる指の向きに応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項4に記載の情報処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記プロセッサは、描画に用いる物体の先端に現れる特徴を検知し、検知された特徴に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項9に記載の発明は、前記特徴は、線又は線の集合の太さ又は濃さを指定する構造、画像、文字、形状、色、又はそれらの組み合わせであり、描画中に検知された当該特徴に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項8に記載の情報処理装置である。
請求項10に記載の発明は、前記プロセッサは、検知した太さに応じた強度の振動をフィードバックする、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項11に記載の発明は、前記プロセッサは、描画中のユーザを撮像する画像から検知される前記線又は線の集合の描画に用いていない手に現れる特定の動きに応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項12に記載の発明は、前記プロセッサは、前記線又は線の集合の描画に用いていない指の本数に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項11に記載の情報処理装置である。
請求項13に記載の発明は、前記プロセッサは、前記線又は線の集合の描画に用いていない複数本の指の広がり具合又は描画に用いていない指の曲げ具合に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項11に記載の情報処理装置である。
請求項14に記載の発明は、前記プロセッサは、前記線又は線の集合の描画に用いていない体の部位の向きに応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項11に記載の情報処理装置である。
請求項15に記載の発明は、前記プロセッサは、描画中の手の、ユーザから前方への距離に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項16に記載の発明は、前記プロセッサは、前記線又は線の集合の描画に用いていない手の位置を奥行方向の基準を与える位置として検知し、描画に用いる物体が当該基準に対する奥行方向の位置の関係に応じて、前記線又は線の集合太さ又は濃さを決定する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項17に記載の発明は、前記プロセッサは、描画中の手に装着されたデバイスで検知される情報に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項18に記載の発明は、前記プロセッサは、前記デバイスで検知される筋肉の緊張の度合いに応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを検知する、請求項17に記載の情報処理装置である。
請求項19に記載の発明は、前記プロセッサは、描画中のユーザを撮像する画像から、描画に用いる物体に現れる、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを指示する特定の動きを検知する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項20に記載の発明は、前記プロセッサは、前記画像から検知される前記物体の向きに応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項19に記載の情報処理装置である。
請求項21に記載の発明は、前記プロセッサは、前記物体による描画中の手に装着されたデバイスで検知される情報に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項19に記載の情報処理装置である。
請求項22に記載の発明は、前記プロセッサは、描画に用いる棒状の物体のセンサで検知された情報に基づいて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを指示するユーザの動作を検知する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項23に記載の発明は、前記プロセッサは、前記センサにより検知される圧力に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項22に記載の情報処理装置である。
請求項24に記載の発明は、前記プロセッサは、特定の方向からの圧力に応じて太さ又は濃さを検知する、請求項23に記載の情報処理装置である。
請求項25に記載の発明は、前記プロセッサは、前記センサにより検知される加速度に応じて、前記線又は線の集合の太さ又は濃さを決定する、請求項22に記載の情報処理装置である。
請求項26に記載の発明は、コンピュータに、事前に抽出の対象に指定された物体が空中を移動する軌跡を、ユーザの側から前方方向に撮像する画像内から抽出する機能と、前記物体の移動を伴うジェスチャによりユーザが空中に線又は線の集合を描画している最中に、描画中の線又は線の集合に対する太さ又は濃さの指示を検知する機能と、検知された太さ又は濃さを前記物体が空中を移動する軌跡に紐付けて記憶する機能と、前記物体の移動に連動するように前記線又は線の集合を空中に描画する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、ジェスチャによりユーザが空中に線又は線の集合を描画する場合に、線又は線の集合の描画中に線又は線の集合の各部の設定を調整できる。
請求項2記載の発明によれば、空中への線又は線の集合の描画と、線又は線の集合の太さ又は濃さの指示を同時に実行できる。
請求項3記載の発明によれば、ユーザのジェスチャにより、描画中の線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項4記載の発明によれば、描画に用いる手を用いて、線又は線の集合の太さ又は濃さも同時に指示できる。
請求項5記載の発明によれば、描画に用いる指の本数を変更することで、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項6記載の発明によれば、描画に用いる複数本の指の広がり具合を変更することで、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項7記載の発明によれば、描画に用いる指の向きを変更することで、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項8記載の発明によれば、描画に用いる物体の先端に現れる特徴を変更することで、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項9記載の発明によれば、物体の先端に現れる特徴を描画中に切り替えることにより、描画中の線又は線の集合の太さや濃さを変更できる。
請求項10記載の発明によれば、検知した設定の情報をユーザにフィードバックさせながら、描画を継続できる。
請求項11記載の発明によれば、描画に用いていない手を用いて、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項12記載の発明によれば、描画に用いていない指の本数を変更することで、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項13記載の発明によれば、描画に用いていない複数本の指の広がりを変更することで、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項14記載の発明によれば、描画に用いていない体の部位の向きを変更することで、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項15記載の発明によれば、描画中の手のユーザ前方への動きを用いて、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項16記載の発明によれば、描画中の線又は線の集合の太さ又は濃さの把握を容易化できる。
請求項17記載の発明によれば、描画中の手首に現れる変化を用い、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項18記載の発明によれば、描画中の手首の筋肉の緊張の度合いに応じ、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項19記載の発明によれば、描画に用いる物体の動きを通じて、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項20記載の発明によれば、描画中に物体の向きを変更することで、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項21記載の発明によれば、描画中の手首に現れる変化で、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項22記載の発明によれば、物体に対する操作の検知を通じて、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項23記載の発明によれば、描画中に物体を握る力の検知を通じて、線又は線の集合の太さ又は濃さを指示できる。
請求項24記載の発明によれば、太さの誤検出を低減できる。
請求項25記載の発明によれば、描画中に物体の動きの検知を通じて、線又は線の集合の太さ又は濃さも同時に指示できる。
請求項26記載の発明によれば、ジェスチャによりユーザが空中に線又は線の集合を描画する場合に、線又は線の集合の描画中に線又は線の集合の各部の設定を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における携帯端末の使用例を説明する図である。
図2】実施の形態1で使用する携帯端末のハードウェア構成例を説明する図である。
図3】実施の形態1で使用する携帯端末で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図4】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図5】空中で人差し指を移動させながら指の本数の変化を組み合わせた場合に描画されるAR画像の一例を説明する図である。
図6】空中で人差し指を移動させながら指の本数の変化を組み合わせた場合に描画されるAR画像の他の例を説明する図である。
図7】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例2を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図8】複数の指の開き具合で線の太さを指示する場合の実施の形態1における他の例を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図9】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例3を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図10】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例4を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図11】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例5を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図12】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例6を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図13】人差し指の撮影の方向への傾きの具合で線の太さを指示する場合の実施の形態1における他の例を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図14】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例7を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図15】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例8を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図16】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例9を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図17】実施の形態2における携帯端末の使用例を説明する図である。
図18】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態2における具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図19】実施の形態3で使用する携帯端末のハードウェア構成例を説明する図である。
図20】実施の形態3で使用する携帯端末で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図21】実施の形態3で使用するフィードバックの具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図22】実施の形態3で使用するフィードバックの具体例2を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図23】フィードバックの他の具体例を説明する図である。(A)はベルトのバックルを用いてフィードバックする例を示し、(B)は腹部に装着する器具、腕に装着する器具、足に装着する器具を用いてフィードバックする例を示し、(C)は靴を用いてフィードバックする例を示し、(D)は手首に装着する器具を用いてフィードバックする例を示し、(E)は指に装着する器具を用いてフィードバックする例を示し、(F)は首に装着する器具を用いてフィードバックする例を示す。
図24】実施の形態4で使用する携帯端末のハードウェア構成例を説明する図である。
図25】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態4における具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図26】実施の形態4における携帯端末の使用例を説明する図である。
図27】実施の形態5で使用する携帯端末で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図28】描画する線の濃さの指示に用いるジェスチャの実施の形態5における具体例を説明する図である。(A)は「薄い線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「少し濃い線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「濃い線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図29】空中で人差し指を移動させながら指の本数の変化を組み合わせた場合に描画されるAR画像の例を説明する図である。
図30】実施の形態6における携帯端末の使用例を説明する図である。
図31】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態6における具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図32】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態6における具体例2を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図33】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態6における他の例を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図34】実施の形態7における携帯端末の使用例を説明する図である。
図35】実施の形態8における携帯端末の使用例を説明する図である。
図36】実施の形態9における携帯端末の使用例を説明する図である。
図37】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態7における具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図38】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態7における具体例2を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図39】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態7における具体例3を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図40】実施の形態10における携帯端末の使用例を説明する図である。
図41】実施の形態10で使用する携帯端末で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図42】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態10における具体例を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図43】実施の形態11における携帯端末の使用例を説明する図である。
図44】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態11における具体例を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図45】実施の形態12における携帯端末の使用例を説明する図である。
図46】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態12における具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図47】描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態12における具体例2を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図48】実施の形態13における携帯端末の使用例を説明する図である。
図49】実施の形態14で使用するARシステムの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
<使用例>
図1は、実施の形態1における携帯型の端末(以下「携帯端末」という)10の使用例を説明する図である。図1における携帯端末10は、スマートフォンである。
【0010】
本実施の形態における携帯端末10は、ユーザのジェスチャを撮像した画像から取得される情報を、現実の空間を撮像した画像に合成して表示する。本実施の形態では、取得された情報に対応する画像や取得された情報に対応する画像を、実空間の画像を拡張する意味で「AR画像」という。
本実施の形態の場合、携帯端末10は、ユーザのジェスチャを撮像した画像から、ユーザの指先の軌跡を抽出する。抽出された指先の軌跡から情報が取得される。取得される情報は、線又は線の集合(以下「線等」ともいう)で表現される文字、記号、図形等である。以下では、線等で表現される文字、記号、図形等を「オブジェクト」ともいう。なお、ピリオド、コンマ、コロン、セミコロン等も線の一種として扱う。
【0011】
本実施の形態では、ユーザの指先が空中を移動する軌跡を画面内から抽出するが、抽出の対象は、ユーザの指先に限らない。例えば事前に抽出の対象に指定した物体であればよい。抽出の対象には、ユーザの指先に加え、例えばユーザの指、手、足、棒状の物品、ユーザの身体に取り付けた物品でもよい。
図1の場合、ユーザ1は、携帯端末10を左手2で支え、右手3の指先を何もない空中で移動させる。
本実施の形態で使用する携帯端末10の場合、ユーザのジェスチャを撮像するカメラ12は、タッチパネル11の反対側の面に設けられている。このため、紙面の手前側から紙面奥の方向に、ユーザ1、携帯端末10、ユーザの右手3が位置している。
【0012】
本実施の形態の場合、ユーザのジェスチャから取得されたオブジェクトは、タッチパネル11に表示される他、現実の空間(以下「実空間」ともいう)の座標にも紐付けられる。ここでの座標は絶対座標である。このため、オブジェクトを描画した時点とは異なる時点に同じ空間を撮像しても、タッチパネル11には、先に取得されたオブジェクトが携帯端末10から読み出されて表示される。
なお、図1の例では、携帯端末10としてスマートフォンを想定したが、携帯端末10は携帯型の電話機でもよい。また、片手で保持したまま他方の手の動きを撮像可能であれば、携帯端末10はタブレット型の端末でもよい。
本実施の形態における携帯端末10は、情報処理装置の一例である。
【0013】
<装置構成>
図2は、実施の形態1で使用する携帯端末10のハードウェア構成例を説明する図である。
図2に示す携帯端末10は、プロセッサ101と、内部メモリ102と、外部メモリ103と、タッチパネル11と、カメラ12と、自端末の位置を測位する測位センサ104と、自端末と自端末の周囲に存在する物体までの距離を測定する測距センサ105と、通話や録音に使用されるマイク106と、音の出力に使用されるスピーカ107と、外部装置との通信に用いられる通信モジュール108とを有している。
もっとも、図2に示すデバイスは、携帯端末10に設けられるデバイスの一部である。
【0014】
プロセッサ101は、例えばCPU(=Central Processing Unit)で構成される。プロセッサ101は、アプリケーションプログラム(以下「アプリ」ともいう)やファームウェアの実行を通じて各種の機能を実現する。以下では、アプリとファームウェアを総称して「プログラム」という。
内部メモリ102と外部メモリ103は、いずれも半導体メモリである。内部メモリ102は、BIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)と、主記憶装置として用いられるRAM(=Random Access Memory)とを有している。プロセッサ101と内部メモリ102により、いわゆるコンピュータが構成される。プロセッサ101は、RAMをプログラムの作業スペースとして使用する。外部メモリ103は、補助記憶装置であり、プログラム等が記憶される。
【0015】
タッチパネル11は、画像その他の情報を表示するディスプレイ111と、ディスプレイ111に対するユーザの操作を検知する静電容量式フィルムセンサ112とで構成される。
ディスプレイ111には、例えば有機EL(=Electro Luminescent)ディスプレイや液晶ディスプレイが用いられる。ディスプレイ111には、各種の画像や情報が表示される。ここでの画像には、カメラ12で撮像された画像も含まれる。
静電容量式フィルムセンサ112は、ディスプレイ111の表面に配置される。静電容量式フィルムセンサ112は、ディスプレイ111に表示される画像や情報の観察を妨げない光の透過性を有し、ユーザが操作する位置を静電容量の変化を通じて検知する。
【0016】
カメラ12には、例えばCMOS(=Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(=Charge-Coupled Device)イメージセンサを使用する。
本実施の形態の場合、カメラ12は、携帯端末10に対して一体的に取り付けられているが、アクセサリデバイスとして外付けされてもよい。
カメラ12の数は単数でもよいし、複数でもよい。本実施の形態におけるカメラ12は、タッチパネル11が設けられている面とは反対側の面に少なくとも1つ設けられる。もっとも、自撮り用のカメラをタッチパネル11が設けられている面に追加で設けてもよい。
【0017】
測位センサ104は、例えばGPS(=Global Positioning System)信号を検知して自端末の位置を測位するGPSモジュールや屋内用の測位モジュールで構成される。
屋内用の測位モジュールには、例えばBLE(=Bluetooth Low Energy)ビーコンを受信して自端末の位置を測位するモジュール、WiFi(登録商標)信号を受信して自端末の位置を測位するモジュール、自律航法により自端末の位置を測位するモジュール、IMES(Indoor MEssaging System)信号を受信して自端末の位置を測位するモジュールを使用する。
例えばカメラ12がステレオカメラである場合、測距センサ105には、複数のカメラ12の視差を用いて物体までの距離を計算するモジュールを使用する。また例えば、測距センサ105には、照射した光が物体で反射して戻ってくるまでの時間を計測して物体までの距離を計算するモジュールを使用する。後者のモジュールは、TOF(=Time Of Flight)センサとも呼ばれる。
マイク106は、ユーザの音声や周囲の音を電気信号に変換するデバイスである。
スピーカ107は、電気信号を音に変換して出力するデバイスである。
【0018】
通信モジュール108には、例えばUSB(=Universal Serial Bus)に準拠する通信モジュール、移動通信システムに準拠する通信モジュール、無線LAN(=Local Area Network)に準拠する通信モジュールを使用する。他の実施の形態についても同様である。
本実施の形態における移動通信システムは、第4世代(すなわち4G)、第5世代(すなわち5G)、第6世代(すなわち6G)のいずれでもよい。
本実施の形態の場合、無線LANには、IEEE802.11の11a、11b、11g、11n、11ac、11ad、11axのいずれかを利用する。他の実施の形態につても同様である。
【0019】
<処理動作>
図3は、実施の形態1で使用する携帯端末10で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。図3に示す処理は、プロセッサ101(図2参照)が実行する。なお、図中に示す記号のSはステップを表している。
本実施の形態の場合、カメラ12により撮像される画像から、ユーザのジェスチャにより空中に描く線等を抽出する機能は、ユーザが特定のアプリを起動することで実行される。なお、ユーザが起動する特定のアプリは、ユーザのジェスチャにより空中にAR画像を描画するアプリに限らず、同アプリを呼び出す他のアプリでもよい。
【0020】
まず、プロセッサ101は、自端末の位置を特定する(ステップ1)。自端末の位置は、測位センサ104から与えられる情報を用いて特定される。
次に、プロセッサ101は、カメラ12(図2参照)で撮像された画像から描画に用いる物体を検知する(ステップ2)。前述したように、描画に用いる物体は、事前に指定されている。描画に用いる物体には、例えばユーザの指先を使用する。
続いて、プロセッサ101は、描画の開始か否かを判定する(ステップ3)。
プロセッサ101は、例えば描画に用いる物体が空中に静止している場合、描画の開始と判定する。本実施の形態における「静止」は、厳密な意味での静止ではなく、ある位置の近傍に留まる状態が継続する状態をいう。換言すると、物体の移動の速度が予め定めた閾値よりも低下した状態をいう。
【0021】
例えばユーザの指先が画面内のある位置で予め定めた時間以上留まっていると判定された場合、プロセッサ101は、ステップ3で肯定結果を得る。
静止とみなす時間は、ユーザの使い勝手も考慮して定められる。例えば1秒を閾値とする。もっとも、閾値は、ユーザが変更可能であることが望ましい。
また、プロセッサ101は、例えば特定のジェスチャが検知された場合、描画の開始と判定してもよい。
特定のジェスチャには、何も存在しない空中でのタップ、ダブルタップ、スワイプ等のジェスチャでもよい。
また、プロセッサ101は、ユーザの音声による開始の指示を検知してもよい。
判定の条件を満たさない場合、プロセッサ101は、ステップ3で否定結果を得る。
【0022】
ステップ3で肯定結果を得た場合、プロセッサ101は、描画に用いる物体の空間内における位置を特定する(ステップ4)。ここでの位置は、例えば絶対座標として与えられる。
プロセッサ101は、空間内における物体までの距離を測定すると、自端末の位置と自端末が撮像している方向との関係により、空間内における物体の位置を特定する。なお、描画に用いる物体までの距離は、測距センサ105(図2参照)から与えられる情報を用いて測定される。空間内における物体の位置の特定は、ステップ2における物体の検知と同時でもよい。
【0023】
次に、プロセッサ101は、描画に用いる物体の空間内における移動の軌跡を検知する(ステップ5)。ここでの移動の軌跡は、描画される線の方向の指示として検知される。
続いて、プロセッサ101は、描画中の物体の画像から線の太さの指示を検知する(ステップ6)。すなわち、プロセッサ101は、描画中のユーザの動作を通じ、描画中の線の太さの指示も同時に検知する。
線の太さの指示には、例えば描画に用いる手に現れる特定の動きを使用する。手に現れる特定の動きには、例えば描画に用いる指の本数、描画に用いる複数本の指の広がり具合、描画に用いる指の向きがある。
また、線の太さの指示には、例えば描画に用いる物体の先端等に現れる特徴の切り替えを使用する。ここでの物体にはユーザの身体の一部も含まれる。従って、ユーザの手や指先も当然に含まれる。
【0024】
また、特徴には、線の太さを指定する構造、画像、文字、形状、色、又はそれらの組み合わせがある。線の太さを指定する画像や形状には、マーク、アイコン、模様、記号、コード等がある。ここでの画像等は、描画に用いる物品に直接印刷されていてもよいし、シール等として貼り付けが可能でもよいし、マニキュア等のように対象とする部位に塗布してもよいし、手や指に被せる袋状の部材を装着してもよい。また、構造は、物品を構成する部品の色合い、部品の凹凸、部品の材質の違いその他の組み合わせにより視覚的に確認される意匠をいう。
太さの指示を検知すると、プロセッサ101は、検知した太さを、描画に用いる物体の位置に紐付ける(ステップ7)。この紐付けにより、線の太さを描画の最中に変更することが可能になる。
続いて、プロセッサ101は、線の太さの指示を反映したAR画像を生成してディスプレイ111に表示する(ステップ8)。これにより、ユーザは、ディスプレイ111の表示を通じて、空中に描画中のオブジェクトと線の太さを一度に確認することが可能である。
【0025】
次に、プロセッサ101は、描画の終了か否かを判定する(ステップ9)。
プロセッサ101は、例えば空中を移動していた物体が空中に静止した場合、描画の終了と判定する。
例えばユーザの指先が画面内のある位置で予め定めた時間以上留まっていると判定された場合、プロセッサ101は、ステップ9で肯定結果を得る。静止とみなす時間は、描画の開始の判定に用いる時間と同じでもよいし、異なってもよい。例えば1秒を閾値とする。もっとも、閾値は、ユーザが変更可能であることが望ましい。
【0026】
また、プロセッサ101は、例えば特定のジェスチャが検知された場合、描画の終了と判定してもよい。
特定のジェスチャには、何も存在しない空中でのタップ、ダブルタップ、スワイプ等のジェスチャでもよい。やはり、描画の終了との判定に用いるジェスチャは、描画の開始との判定に用いるジェスチャとは異なってもよい。
また、プロセッサ101は、ユーザの音声による開始と終了を検知してもよい。
判定の条件を満たさない場合、プロセッサ101は、ステップ9で否定結果を得、ステップ5に戻る。
【0027】
<線の太さの指示に用いる具体例>
以下では、ステップ6(図3参照)で想定するジェスチャの具体例について説明する。
【0028】
<具体例1>
図4は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図4の左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のディスプレイ111に表示されるAR画像の例を示す。
図4では、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。また、図4では、描画中の指の本数を線の太さの指示に使用している。
【0029】
図4(A)では、人差し指による描画に連動して、ディスプレイ111に「細線」が描画される。
図4(B)では、人差し指と中指の2本による描画に連動して、ディスプレイ111に「中太線」が描画される。
図4(C)では、5本の指を広げた状態での描画に連動して、ディスプレイ111に「太線」が描画される。
本具体例の場合、指の本数が多いほど、太い線が描画される。もっとも、同じ本数でも、描画に用いる指の組み合わせにより、異なる太さの指示を可能としてもよい。例えば人差し指と小指の2本による描画を「細線」の指示に用いてもよいし、人差し指と親指の2本による描画を「太線」の指示に用いてもよい。
【0030】
図4では、右手3の人差し指の指先を追跡することで線を描画しているが、線の描画には小指を用いてもよいし、親指を用いてもよい。いずれの指を線の描画に用いるかは、事前に設定しておけばよい。後述する他の具体例についても同様である。
また、線の描画に指先を用いるのではなく、右手3の全体を用いてもよい。この場合、右手3の重心又は右手3の中心の軌跡をAR画像として表示してもよい。後述する他の具体例についても同様である。
また、図4では、左手2で携帯端末10を支えるので、自由に動かすことが可能な右手3を線の描画に用いているが、右手3で携帯端末10を支える場合には、左手2で線を描画してもよい。後述する他の具体例についても同様である。
【0031】
図5は、空中で人差し指を移動させながら指の本数の変化を組み合わせた場合に描画されるAR画像の一例を説明する図である。
図5においては、時点T1から時点T2までの間は指1本による描画であり、時点T2から時点T3までの間は指2本による描画であり、時点T3から時点T4までの間は指5本による描画である。
このため、携帯端末10のタッチパネル11には、太さが段階的に太くなる線の集合が表示される。
図5の場合には、ユーザの指示に対応する太さの線がそのまま表示される。このため、線の太さが段階的に切り替わる。しかし、太さが変化する位置が目立たないように、線の太さが滑らかに見えるように処理してもよい。すなわち、スムージング処理を加えてもよい。
【0032】
図6は、空中で人差し指を移動させながら指の本数の変化を組み合わせた場合に描画されるAR画像の他の例を説明する図である。
図6においては、時点T1から時点T2までの間は指1本による描画であり、時点T2から時点T3までの間は指2本による描画であり、時点T3から時点T4までの間は指5本による描画であり、時点T4から時点T5までの間は指2本による描画であり、時点T5から時点T6までの間は指1本による描画である。
図6の例では、線の太さの変化が自然に見えるようにスムージング処理したAR画像をタッチパネル11に表示している。
図6に示すように、本実施の形態では、描画中の線の太さを、ユーザの意図の通りに変化させることが可能である。なお、従前の技術では、描画中は、同じ太さの線しか描けないため、描画する線の表現力に自ずと制約があった。しかし、本実施の形態では、線の太さを自由に変更できるため、ユーザの個性や感性を反映させたオブジェクトの描画が容易になる。
【0033】
<具体例2>
図7は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例2を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図7の場合も、左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図7の場合も、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。ただし、図7では、描画中の人差し指と中指の開き具合を線の太さの指示に使用する。
【0034】
図7(A)では、人差し指と中指が閉じられている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。
図7(B)では、人差し指と中指の間に少し隙間が出来ている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「中太線」が描画される。
図7(C)では、人差し指と中指の間を更に広げている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
なお、図7の例では、人差し指と中指の開き具合で描画する線の太さを指示しているが、他の複数の指の開き具合を用いてもよい。
【0035】
図8は、複数の指の開き具合で線の太さを指示する場合の実施の形態1における他の例を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図8では、人差し指と親指の2本の隙間の広がり具合で線の太さを指定する例である。
図8(A)では、人差し指と親指の間が概略90°に開いている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。
図8(B)では、人差し指と親指の間に少し隙間が出来ている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11に「中太線」が描画される。
【0036】
図8(C)では、人差し指と親指が閉じられている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
図8の場合、線の太さの指示に用いる開き具合の関係が図7の場合と反対である。しかし、図8の場合も、人差し指と親指が閉じられている場合には細線を描画し、人差し指と親指が開いている場合に太線を描画してもよい。
勿論、図7で説明した描画を図8の描画の手法に合わせることも可能である。すなわち、人差し指と中指を閉じた状態では太線を描画し、人差し指と中指を開いた状態では細線を描画してもよい。
【0037】
<具体例3>
図9は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例3を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図9の場合も、左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。図9の場合、右手3の形状で線の太さを指示する。また、線の描画には、右手3の中心の位置又は重心の位置を使用する。
図9(A)では、右手3の指は閉じられている。すなわち、図9(A)における右手3は拳の形状である。この拳の状態での右手3の移動に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。
【0038】
図9(B)では、右手3は、軽く手を握った形状である。換言すると、右手3は、拳の状態から少し手の緊張が緩んでいる。この形状の右手3の移動に連動して、タッチパネル11には「中太線」が描画される。
図9(C)では、右手3を開いた形状である。この形状の右手3の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
この具体例の場合も、右手3の形状と描画される線の太さの関係は、図9の例とは反対でもよい。すなわち、右手3が拳の形状を太線に対応付け、右手3が開いた形状を細線に対応付けてもよい。
【0039】
<具体例4>
図10は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例4を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図10の場合も、左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図10の場合、人差し指の指先を線の描画に使用する。また、図10の場合、人差し指の向きを線の太さの指示に使用する。
図10(A)では、人差し指は、水平方向を向いている。すなわち、人差し指の向きは、携帯端末10の長辺と概略平行である。この向きのまま右手3を右方向に移動すると、右手3の移動に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。
【0040】
図10(B)では、人差し指は、左斜め上方を向いている。すなわち、人差し指の向きは、携帯端末10の長辺に対して概略45°である。この向きのまま右手3を右方向に移動すると、右手3の移動に連動して、タッチパネル11には「中太線」が描画される。
図10(C)では、人差し指は、上方を向いている。すなわち、人差し指の向きは、携帯端末10の短辺と概略平行である。この向きのまま右手3を右方向に移動すると、右手3の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
この具体例の場合も、人差し指の向きと描画される線の太さの関係は、図10とは反対でもよい。すなわち、人差し指の向きが水平方向の場合を太線に対応付け、人差し指の向きが上方の場合を細線に対応付けてもよい。
なお、図10では特定の指先の方向を線の太さの指示に用いているが、線の描画に拳の形状の右手3を用いる場合には、手首につながる腕の向きを通じて手の向きを特定し、線の太さを特定してもよい。
【0041】
<具体例5>
図11は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの具体例5を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図11の場合も、左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図11の場合、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。ただし、図11では、右手首の回転の角度で線の太さを指示する。換言すると、人差し指の見え方又は手の見え方の違いで線の太さを指示する。
図11(A)では、右手3の甲が携帯端末10と概略正対する状態である。換言すると、人差し指の腹の向きは、携帯端末10に設けられたカメラ12(図2参照)の撮影の方向と同じである。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。ここでの撮影の方向は、ユーザから見た奥行方向に当たる。以下同じである。
【0042】
図11(B)では、手首が少し回転して人差し指の側面がカメラ12に撮像される状態である。ここでの回転軸は鉛直上方である。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「中太線」が描画される。
図11(C)では、手首が更に回転して人差し指の腹がカメラ12に撮像される状態である。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
この具体例の場合も、人差し指の見え方と描画される線の太さの関係は、図11の例とは反対でもよい。すなわち、右手3の甲が携帯端末10と概略正対する状態を太線に対応付け、人差し指の腹が携帯端末10から見える状態を細線に対応付けてもよい。
【0043】
<具体例6>
図12は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例6を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図12の場合も、左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図12の場合も、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。ただし、図12では、右手3の撮影の方向への傾き具合の違いで線の太さを指示する。換言すると、人差し指の見え方又は右手の甲の見え方の違いで線の太さを指示する。
【0044】
因みに、図10の例では、携帯端末10の撮影の方向を法線とする面内における人差し指の向きの違いで線の太さを指示していたが、図12の例は、撮影の向きと鉛直方向とで規定される面内における人差し指の向きの違いで線の太さを指示している。このため、図12の左側の列では、前述した他の具体例とは異なり、携帯端末10と右手3を側面から観察する場合の位置の関係を示している。
図12(A)では、人差し指が鉛直上方を向いている状態である。換言すると、人差し指と右手3の甲の全体が、携帯端末10に設けられたカメラ12(図2参照)で見える状態である。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。
【0045】
図12(B)では、人差し指が撮影の方向に対して概略45°に傾いた状態である。換言すると、人差し指や甲の撮像された画像内における高さ方向の長さが図12(A)に比して短く見える状態である。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「中太線」が描画される。
図12(C)では、人差し指が撮影の方向と概略平行まで傾いた状態である。換言すると、人差し指が右手3の甲にほぼ隠れて見える状態である。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
この具体例の場合も、人差し指の見え方と描画される線の太さの関係は、図12の例とは反対でもよい。すなわち、人差し指が鉛直上方を向いている状態を太線に対応付け、人差し指が撮影の方向を向いている状態を細線に対応付けてもよい。
【0046】
図13は、人差し指の撮影の方向への傾きの具合で線の太さを指示する場合の他の例を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図13には、図12との対応部分に対応する符号を付して示している。
図12の説明では、人差し指の見え方又は右手の甲の見え方の違いで線の太さを指示しているが、図13の場合には、人差し指の爪の見え方の違いを線の太さの指示として受け付ける。
【0047】
例えば図13(A)の場合、画像から抽出される人差し指の爪の面積は、第1の閾値TH1より大きくなる。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。
図13(B)の場合、画像から抽出される人差し指の爪の面積は、第1の閾値TH1より小さくなるが、第2の閾値TH2(<TH1)より大きくなる。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「中太線」が描画される。
図13(C)の場合、画像内で人差し指の爪の面積が第2の閾値TH2より小さくなる。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
【0048】
なお、爪の大きさはユーザにより様々である。従って、判定の精度を高めるには、判定用の閾値をユーザ毎に設定する必要がある。例えば本アプリの使用前に閾値のキャリブレーションを実行する。キャリブレーションでは、「人差し指を上に向けてください」等のガイダンスを通じて、様々な向きでユーザの人差し指の爪の画像を撮像する。人差し指の爪の画像の撮像が終了すると、撮像された爪の面積を区別するための第1の閾値TH1と第2の閾値TH2を登録する。
【0049】
なお、判定には、爪の形状を用いてもよい。例えば前述のキャリブレーションにおいて、爪の面積の代わりに、又は、爪の面積と一緒に、方向別の爪の形状をユーザ毎に登録すればよい。
なお、線の太さの判定は、例えば撮像された爪の形状が登録されている形状との類似度の違いにより実行すればよい。
この具体例の場合も、人差し指の見え方と描画される線の太さの関係は、図13の例とは反対でもよい。すなわち、右手3の爪の面積が閾値より大きい状態を太線に対応付け、爪の面積が最小化する人差し指の腹が携帯端末10から見える状態を細線に対応付けてもよい。
【0050】
<具体例7>
図14は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例7を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。図14には、図12との対応部分に対応する符号を付して示している。
図14の場合も、左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図14の場合も、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。ただし、図14では、携帯端末10と人差し指との距離の違いで線の太さを指示する。このため、図14の左側の列では、具体例6の場合と同じく、携帯端末10と右手3を側面から観察する場合の位置の関係を示している。
【0051】
図14(A)の場合、携帯端末10と人差し指の距離Lは、第1の閾値L0より短い。この場合、人差し指の移動に連動して、ディスプレイ111に「細線」が描画される。
図14(B)の場合、携帯端末10と人差し指の距離Lは、第1の閾値L0以上であるが第2の閾値L1(>L0)より短い。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「中太線」が描画される。
図14(C)の場合、携帯端末10と人差し指の距離Lは、第2の閾値L1以上である。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
ここでの第1の閾値L0及び第2の閾値L1は事前に与えられるが、ユーザによる変更可能であることが望ましい。
この具体例の場合も、距離Lと線の太さの関係は、図14の例とは反対でもよい。すなわち、携帯端末10と人差し指との距離Lが第1の閾値L0より短い場合に太線に対応付け、携帯端末10と人差し指との距離Lが第2の閾値L1以上の場合に細線に対応付けてもよい。
【0052】
<具体例8>
図15は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例8を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。図15には、図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
図15の場合も、左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図15の場合も、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。ただし、本具体例では、描画中に右手首を回転させるジェスチャに、太さ別のマークを組み合わせる点で、具体例5と相違する。すなわち、本具体例では、手首の回転により撮像される部位に、太さ別のマークを印刷、付着又は装着する。ここでのマークは、描画に用いる物体の先端に現れる特徴の一例である。
【0053】
図15(A)では、右手3の甲が携帯端末10と概略正対する状態である。換言すると、人差し指の爪が、携帯端末10に設けられたカメラ12(図2参照)により撮像される状態である。図15(A)では、人差し指の爪に円形のマーク4Aが付着されている。この円形のマーク4Aは、本具体例の場合、細線に対応付けられている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。
図15(B)では、手首が少し回転して人差し指の側面がカメラ12に撮像される状態である。図15(B)では、人差し指の側面に三角形のマーク4Bが付着されている。この三角形のマーク4Bは、本具体例の場合、中太線に対応付けられている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「中太線」が描画される。
図15(C)では、手首が更に回転して人差し指の腹がカメラ12に撮像される状態である。15(C)では、人差し指の腹に四角形のマーク4Cが付着されている。この四角形のマーク4Cは、本具体例の場合、太線に対応付けられている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
【0054】
この具体例の場合も、人差し指の見え方と描画される線の太さの関係は、図15の例とは反対でもよい。すなわち、右手3の甲が携帯端末10と概略正対する状態で撮像されるマーク4Aを太線に対応付け、人差し指の腹が携帯端末10から見える状態で撮像されるマーク4Cを細線に対応付けてもよい。
なお、例示したマークの形状は一例であり、他の形状を用いてもよい。また、マークに代えて、バーコードやQRコード(登録商標)を用いてもよいし、文字やアイコンを用いてもよい。ここに例示したバーコード等も、描画に用いる物体の先端に現れる特徴の一例である。
【0055】
また、図15における説明では、人差し指の周囲に3つのマーク4A、4B、4Cを印刷等しているが、複数本の指にマーク4A~4Cを印刷等してもよい。この場合、描画中に撮像されるマーク付きの指を変更することで太さを指示することが可能である。また、この場合には、マーク付きの指の指先を追跡することで描画を継続してもよい。もっとも、指の切り替えに伴い描画の位置が不自然にならないように、スムージング処理を組み合わせてもよい。
また、複数の指に同じマークを付与してもよい。その場合、マークが線の太さを表すのではなく、撮像されているマーク付きの指によって太さを検知してもよい。
【0056】
また、人差し指にマーク4A、中指にマーク4B、薬指にマーク4Cが印刷等されている場合に、複数のマークが一度に撮像される場合には、より太い線に対応付けられているマークを優先してもよい。例えば人差し指のマーク4Aと中指のマーク4Bの2つが同時に撮像された場合には、「中太線」が指示されたものと扱ってもよい。
また、複数本の指に同じマークを印刷等してもよい。この場合、撮像されたマークの数に比例して線を太くしてもよい。例えば人差し指のマークと中指のマークが同時に撮像された場合には「中太線」を描画し、人差し指のマークと、中指のマークと、薬指のマークが同時に撮像された場合には「太線」を描画してもよい。線の太さが撮像される指の本数と比例するのと実質的に同じであるが、検出の対象がマークの数である点で相違する。
【0057】
<具体例9>
図16は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態1における具体例9を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。図16には、図15との対応部分に対応する符号を付して示している。
図16の場合も、左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図16の場合も、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。また、本具体例では、描画中に右手首を回転させるジェスチャに、太さ別の色を組み合わせる点で、具体例8と相違する。具体例8では、マークの形状等が相違しているが、本具体例では、マークの形状は同じで色だけが太さ別で異なる。
すなわち、本具体例では、手首の回転により撮像される部位に、太さ別の色付きマークを印刷、付着又は装着する。ここでのマークは、描画に用いる物体の先端に現れる特徴の一例である。
【0058】
図16(A)では、右手3の甲が携帯端末10と概略正対する状態である。換言すると、人差し指の爪が、携帯端末10に設けられたカメラ12(図2参照)により撮像される状態である。図16(A)では、人差し指の爪にピンク色の矩形のマーク4Aが付着されている。ピンク色のマーク4Aは、本具体例の場合、細線に対応付けられている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。
図16(B)では、手首が少し回転して人差し指の側面がカメラ12に撮像される状態である。図16(B)では、人差し指の側面に緑色の矩形のマーク4Bが付着されている。緑色のマーク4Bは、本具体例の場合、中太線に対応付けられている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「中太線」が描画される。
【0059】
図16(C)では、手首が更に回転して人差し指の腹がカメラ12に撮像される状態である。16(C)では、人差し指の側面に赤色の矩形のマーク4Cが付着されている。赤色のマーク4Cは、本具体例の場合、中太線に対応付けられている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
この具体例の場合も、人差し指の見え方と描画される線の太さの関係は、図16の例とは反対でもよい。すなわち、右手3の甲が携帯端末10と概略正対する状態で撮像されるピンク色のマーク4Aを太線に対応付け、人差し指の腹が携帯端末10から見える状態で撮像される赤色のマーク4Cを細線に対応付けてもよい。
色付きのマークについても、具体例8と同様、複数本の指に色が異なるマークを個別に印刷等してもよいし、同じ色のマークを複数本の指に印刷等してもよい。
【0060】
<実施の形態2>
<使用例及び装置構成>
図17は、実施の形態2における携帯端末10の使用例を説明する図である。図17には、図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
本実施の形態では、線の方向の指示に使用する右手3の手首に装着されているウェアラブル端末20と携帯端末10との連携により、描画中の線の太さを指示する。
ウェアラブル端末20は、例えばスマートウォッチ、ブレスレットである。
図17に示すウェアラブル端末20は、プロセッサ201と、内部メモリ202と、筋電位センサ203と、6軸センサ204と、外部装置の通信に用いられる通信モジュール205とを有している。ここでの外部装置の1つが、携帯端末10である。
プロセッサ201は、例えばCPUで構成される。プロセッサ201は、アプリやファームウェアの実行を通じて各種の機能を実現する。
内部メモリ202は、半導体メモリである。内部メモリ202は、BIOS等が記憶されたROMと、主記憶装置として用いられるRAMとを有している。プロセッサ201と内部メモリ202により、いわゆるコンピュータが構成される。プロセッサ201は、RAMをプログラムの作業スペースとして使用する。
【0061】
筋電位センサ203は、空中に線を描いている間に、ユーザが意図的に動かした筋肉の活動量の大きさを測定するセンサである。筋電位センサ203は、例えば空中で人差し指を移動する場合に、ユーザが拳を強く握ったり、弱く握ったりすることで生じる電気信号を測定して出力する。
6軸センサ204は、3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の加速度と、同じ3軸方向の角速度を測定するセンサである。6軸センサ204は、手首の動きの方向や動きの速さ等の測定にも使用される。
通信モジュール205には、例えばUSBに準拠する通信モジュール、ブルートゥース(登録商標)に準拠する通信モジュール、移動通信システムに準拠する通信モジュール、無線LANに準拠する通信モジュールを使用する。
【0062】
<線の太さの指示に用いる具体例>
本実施の形態の場合、線を描画するジェスチャ中に筋電位センサ203で測定された電気信号の強度値が、ウェアラブル端末20から携帯端末10に通知され、AR画像の表示に使用される。
なお、携帯端末10で実行される処理動作は、実施の形態1と同じである。すなわち、携帯端末10は、図3に示すフローチャートに従って動作する。ただし、ステップ6(図3参照)における線の太さの検知には、ウェアラブル端末20の筋電位センサ203から通知される電気信号の値を使用する。
【0063】
図18は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態2における具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図18の左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図18では、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。なお、図18では、描画中の手首の緊張の具合を、線の太さの指示に使用している。
図18(A)では、手首をリラックスさせたまま、空中に人差し指で線を描画している。この場合、人差し指による描画に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。
図18(B)では、手首に弱い緊張を加えながら、空中に人差し指で線を描画している。図18(B)では、拳に加える力の大きさを「ぎゅ」と表現している。この場合、人差し指による描画に連動して、ディスプレイ111に「中太線」が描画される。
【0064】
図18(C)では、手首に強い緊張を加えながら、空中に人差し指で線を描画している。図18(C)では、拳に加える力の大きさを「ぎゅー」と表現している。図18(C)の場合、図18(B)の場合よりも、より強く拳を握ることで、手首の緊張を高める。この場合、人差し指による描画に連動して、タッチパネル11に「太線」が描画される。
なお、図18では、右手の人差し指の指先を追跡することで線を描画しているが、線の描画には他の指を用いることも可能である。例えば親指や小指を用いてもよい。
また、線の描画に指先を用いるのではなく、右手3の全体を用いてもよい。その場合、右手3の重心又は中心の軌跡をAR画像として表示してもよい。
【0065】
また、図18では、左手2で携帯端末10を支えているので右手3を線の描画に用いているが、右手3で携帯端末10を保持する場合には左手2を線の描画に用いてもよい。
なお、線の太さと手首の緊張の具合との判別に使用する電気信号の値の大きさは、ユーザ毎に設定する必要がある。例えば本アプリの使用前に閾値のキャリブレーションを実行する。キャリブレーションでは、「細線を描画するときの力を手首に加えてください」等のガイダンスを通じて、ユーザの手首で測定される電気信号の値を記録する。線の太さ別に電気信号の値が記録されると、プロセッサ101(図2参照)は、それらを区別可能な閾値を設定し、ステップ6の判定に使用する。
【0066】
<実施の形態3>
<装置構成>
本実施の形態では、前述した実施の形態1及び2にフィードバック機能を追加した装置構成について説明する。
図19は、実施の形態3で使用する携帯端末10のハードウェア構成例を説明する図である。図19には、図2との対応部分に対応する符号を付して示す。
図19に示す携帯端末10と、実施の形態1で説明した携帯端末10との違いは、バイブレータ109の有無である。バイブレータ109は、受け付けた太さに応じた強さやパターンの振動を発生する。本実施の形態では、端末本体の振動を通じ、ユーザに受け付けた太さをフィードバックする。
【0067】
<処理動作>
図20は、実施の形態3で使用する携帯端末10で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。図20には、図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
図20に示す処理は、プロセッサ101(図19参照)が実行する。なお、図中に示す記号のSはステップを表している。
図20の場合、ステップ7の実行後に、検知した太さをフィードバックし(ステップ7A)、その後、ステップ8を実行する。もっとも、太さのフィードバックは、ステップ6とステップ7の間に実行してもよい。
本実施の形態の場合、フィードバックには、端末本体の振動を使用する。前述したように、フィードバックでは、検知した太さに応じた強さやパターンの振動が用いられる。振動の強さやパターンは、アプリが対応する太さの種類の数だけ用意される。
【0068】
<フィードバックの具体例>
<具体例1>
図21は、実施の形態3で使用するフィードバックの具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
なお、図21には、図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
図21の左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図21では、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。また、図21では、描画中の指の本数を線の太さの指示に使用している。
図21(A)では、人差し指による描画に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。同時に、携帯端末10は、「細線」に応じた強さの振動が発生される。図21(A)では「ブル」と1回の振動が発生している。なお、この振動は、予め定めた強さで発生される。
【0069】
図21(B)では、人差し指と中指の2本による描画に連動して、タッチパネル11に「中太線」が描画される。同時に、携帯端末10は、「中太線」に応じた強さの振動が発生される。図21(B)では「ブルブル」と2回の振動が発生している。なお、この振動は、予め定めた強さで発生される。振動の回数だけでなく、振動の強さも「細線」の場合よりも大きくてもよい。
図21(C)では、5本の指を広げた状態での描画に連動して、タッチパネル11に「太線」が描画される。同時に、携帯端末10は、「太線」に応じた強さの振動が発生される。図21(C)では「ブルブルブル」と3回の振動が発生している。なお、この振動は、予め定めた強さで発生される。振動の回数だけでなく、振動の強さも「中太線」の場合よりも大きくてもよい。
本具体例の場合、振動は、携帯端末10を保持している左手を通じてユーザに伝わる。
【0070】
<具体例2>
図22は、実施の形態3で使用するフィードバックの具体例2を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
なお、図22には、図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
図22の左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図22では、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。また、図22では、描画中の指の本数を線の太さの指示に使用している。
図22(A)では、人差し指による描画に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。同時に、携帯端末10は、「細線」に応じた回数の音が発生される。図22(A)では「ブー」と音が1回発生している。音はスピーカ107(図19参照)から出力される。なお、この音は、予め定めた音量で発生される。
【0071】
図22(B)では、人差し指と中指の2本による描画に連動して、タッチパネル11に「中太線」が描画される。同時に、携帯端末10は、「中太線」に応じた回数の音が発生される。図22(B)では「ブブー」と音が2回発生している。なお、この音は、予め定めた音量で発生される。音量も「細線」の場合より大きくてもよい。
図22(C)では、5本の指を広げた状態での描画に連動して、タッチパネル11に「太線」が描画される。同時に、携帯端末10は、「太線」に応じた強さの振動が発生される。図22(C)では「ブブブー」と音が3回発生している。なお、この音は、予め定めた音量で発生される。音量も「中太線」の場合より大きくてもよい。なお、音の周波数やメロディを線の太さに応じて変更してもよい。
【0072】
<他の具体例>
図23は、フィードバックの他の具体例を説明する図である。(A)はベルトのバックル31を用いてフィードバックする例を示し、(B)は腹部に装着する器具32、腕に装着する器具33、足に装着する器具34を用いてフィードバックする例を示し、(C)は靴35を用いてフィードバックする例を示し、(D)は手首に装着する器具36を用いてフィードバックする例を示し、(E)は指に装着する器具37を用いてフィードバックする例を示し、(F)は首に装着する器具38を用いてフィードバックする例を示す。
図23に示す器具は、不図示の通信インタフェースを通じて携帯端末10と連携しており、携帯端末10が受け付けた線の太さの通知を受けて、内蔵するスピーカやバイブレータを動作させる仕組みになっている。
具体例1や具体例2と同様、振動の強さやパターン、出力する音量や音の回数等を変更することで、描画中のジェスチャを通じて行った線の太さの指示がどのように受け付けられたかをユーザに通知することが可能になる。
【0073】
<実施の形態4>
<装置構成>
本実施の形態では、描画中の人差し指に対し、受け付けた線の太さの情報をフィードバックする仕組みについて説明する。
図24は、実施の形態4で使用する携帯端末10のハードウェア構成例を説明する図である。図24には、図19との対応部分に対応する符号を付して示す。
図24に示す携帯端末10では、バイブレータ109(図19参照)に代えて、超音波発生モジュール110を使用する。超音波発生モジュール110は、複数の超音波振動子の集合体である。本実施の形態の場合、超音波発生モジュール110が人差し指の指先に超音波を照射し、受け付けた太さに応じた触覚をフィードバックする。
【0074】
<フィードバックの具体例>
<具体例1>
本実施の形態で使用する携帯端末10で実行される処理動作は、実施の形態3と同じである。すなわち、携帯端末10は、図3に示すフローチャートに従って動作する。ただし、ステップ6(図3参照)における線の太さの検知には、実施の形態1と同じく、ユーザのジェスチャを使用する。
図25は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態4における具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図25の左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
【0075】
図25では、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。また、図25では、描画中の指の本数を線の太さの指示に使用している。
図25(A)では、人差し指による描画に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。このとき、ユーザの人差し指には、超音波発生モジュール110(図24参照)から照射された超音波によって「音響放射圧」と呼ばれる力、振動、動き等が作用する。この技術は、空中ハプティクスとも呼ばれる。図25(A)では空中を操作する指先に対し、指先の移動に対する小さい抵抗感をフィードバックする。
図25(B)では、人差し指と中指の2本による描画に連動して、タッチパネル11に「中太線」が描画される。このとき、ユーザの人差し指と中指には、指先の移動に対する中程度の抵抗感をフィードバックする。
図25(C)では、5本の指を広げた状態での描画に連動して、タッチパネル11に「太線」が描画される。このとき、ユーザの手には、指先の移動に対する大きな抵抗感をフィードバックする。
【0076】
<具体例2>
具体例1では、携帯端末10から描画中の指先に超音波を照射しているが、携帯端末10と連携する別装置から描画中の指先に超音波を照射させてもよい。
図26は、実施の形態4における携帯端末10の使用例を説明する図である。図26には、図17との対応部分に対応する符号を付して示している。
図26に示す携帯端末10は、無線通信を通じて連携する超音波発生装置40に対して、ステップ7(図20参照)で検知した線の太さの内容、又は、線の太さに応じた制御信号を送信する点で具体例1の仕組みと相違する。
超音波発生装置40は、専用の装置として空間に配置されていてもよいし、家電や映像機器に内蔵されていてもよい。
図26に示す超音波発生装置40は、プロセッサ401と、内部メモリ402と、カメラ403と、測距センサ404と、超音波発生モジュール405と、外部装置の通信に用いられる通信モジュール406とを有している。ここでの外部装置の1つが、携帯端末10である。
【0077】
プロセッサ401は、例えばCPUで構成される。プロセッサ401は、アプリやファームウェアの実行を通じて各種の機能を実現する。
内部メモリ402は、半導体メモリである。内部メモリ402は、BIOS等が記憶されたROMと、主記憶装置として用いられるRAMとを有している。プロセッサ401と内部メモリ402により、いわゆるコンピュータが構成される。プロセッサ401は、RAMをプログラムの作業スペースとして使用する。
カメラ403は、超音波の照射先の検知に用いられる。本具体例の場合、照射先は描画中の指先である。
測距センサ404は、自装置と描画中の指先までの距離を測定する。例えばカメラ403がステレオカメラである場合、測距センサ404には、複数のカメラ403の視差を用いて指先までの距離を計算するモジュールを使用する。また例えば、測距センサ404には、照射した光が物体で反射して戻ってくるまでの時間を計測して指先までの距離を計算するモジュールを使用する。
【0078】
超音波発生モジュール405は、複数の超音波振動子の集合体であり、カメラ403及び測距センサ404で特定された描画中の指先に向けて超音波を照射する。この際、照射する超音波の種類や強度は、携帯端末10が検知した線の太さに応じて決定される。
照射の対象である指先の画像や指先の絶対座標は、携帯端末10から与えられる。例えば超音波発生装置40のローカル座標系が絶対座標系に整合済みである場合、携帯端末10から与えられた絶対座標に向けて超音波を照射することで、描画中の指先のフィードバックを与えることが可能である。
通信モジュール406には、例えばUSBに準拠する通信モジュール、ブルートゥース(登録商標)に準拠する通信モジュール、移動通信システムに準拠する通信モジュール、無線LANに準拠する通信モジュールを使用する。
本具体例の場合も、描画中の指先にユーザが指定した線の太さに応じた強度やパターンのフィードバックを与えることで、描画中の指先に検知された線の太さがフィードバックされる。
【0079】
<実施の形態5>
<装置構成及び処理動作>
本実施の形態では、ユーザのジェスチャを撮像した画像に基づいて、空中に描画される線の濃さを描画中に変更する仕組みについて説明する。
本実施の形態の場合も、図1に説明した携帯端末10を使用する。従って、携帯端末10のハードウェア構成は、実施の形態1と同じである。違いは、プロセッサ101の処理動作である。
図27は、実施の形態5で使用する携帯端末10で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。図27には、図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
図27に示す処理の場合、ステップ5以降の処理が図3と相違する。
図27の場合、プロセッサ101は、ステップ5が終了すると、描画中の物体の画像から線の濃さの指示を検知する(ステップ6A)。因みに、図3のステップ6では、線の太さの指示を検知していたが、本実施の形態では、線の濃さを検知する。線の濃さの指示には、実施の形態1の具体例1~9で説明した手法を用いることが可能である。
【0080】
線の濃さの指示を検知すると、プロセッサ101は、検知した濃さを、描画に用いる物体の位置に紐付ける(ステップ7B)。この紐付けにより、線の濃さを描画の最中に変更することが可能になる。
続いて、プロセッサ101は、線の濃さの指示を反映したAR画像を生成してディスプレイ111に表示する(ステップ8A)。これにより、ユーザは、タッチパネル11の表示を通じて、空中に描画中のオブジェクトと線の濃さを一度に確認することが可能である。
次に、プロセッサ101は、描画の終了か否かを判定する(ステップ9)。プロセッサ101は、例えば空中を移動していた物体が空中に静止した場合、描画の終了と判定する。
例えばユーザの指先が画面内のある位置で予め定めた時間以上留まっていると判定された場合、プロセッサ101は、ステップ9で肯定結果を得る。静止とみなす時間は、描画の開始の判定に用いる時間と同じでもよいし、異なってもよい。例えば1秒を閾値とする。もっとも、閾値は、ユーザが変更可能であることが望ましい。
【0081】
また、プロセッサ101は、例えば特定のジェスチャが検知された場合、描画の終了と判定してもよい。
特定のジェスチャには、何も存在しない空中でのタップ、ダブルタップ、スワイプ等のジェスチャでもよい。やはり、描画の終了との判定に用いるジェスチャは、描画の開始との判定に用いるジェスチャとは異なってもよい。
また、プロセッサ101は、ユーザの音声による開始と終了を検知してもよい。
判定の条件を満たさない場合、プロセッサ101は、ステップ9で否定結果を得、ステップ5に戻る。
【0082】
<線の濃さの指示に用いる具体例>
以下では、ステップ6A(図27参照)で想定するジェスチャの具体例について説明する。
図28は、描画する線の濃さの指示に用いるジェスチャの実施の形態5における具体例を説明する図である。(A)は「薄い線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「少し濃い線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「濃い線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図28の左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図28では、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。また、図28では、描画中の指の本数を線の濃さの指示に使用している。
図28(A)では、人差し指による描画に連動して、タッチパネル11に「薄い線」が描画される。
【0083】
図28(B)では、人差し指と中指の2本による描画に連動して、タッチパネル11に「少し濃い線」が描画される。「少し濃い線」とは、「薄い線」よりも濃い線を意味する。
図4(C)では、5本の指を広げた状態での描画に連動して、タッチパネル11に「濃い線」が描画される。「濃い線」とは、「少し濃い線」よりも濃い線を意味する。
本具体例の場合、指の本数が多いほど、濃い線が描画される。もっとも、同じ本数でも、描画に用いる指の組み合わせにより、異なる濃さの指示を可能としてもよい。例えば人差し指と小指の2本による描画を「薄い線」の指示に用いてもよいし、人差し指と親指の2本による描画を「濃い線」の指示に用いてもよい。
【0084】
図28の場合も、右手の人差し指の指先を追跡することで線を描画しているが、線の描画には小指を用いてもよいし、親指を用いてもよい。いずれの指を線の描画に用いるかは、事前に設定しておけばよい。
また、線の描画に指先を用いるのではなく、右手3の全体を用いてもよい。その場合、右手3の重心又は中心の軌跡をAR画像として表示してもよい。後述する他の具体例についても同様である。
また、図28では、左手2で携帯端末10を保持しているので右手3を線の描画に用いているが、右手3で携帯端末10を保持する場合には左手2を線の描画に用いてもよい。
前述したように、実施の形態1における具体例2~9における線の太さの指示を、線の濃さの指示に読み替えることが可能である。具体的には、各具体例における「細線」を「薄い線」と読み替え、「中太線」を「少し濃い線」に読み替え、「太線」を「濃い線」と読み替えればよい。
【0085】
図29は、空中で人差し指を移動させながら指の本数の変化を組み合わせた場合に描画されるAR画像の例を説明する図である。図29には、図6との対応部分に対応する符号を付して示している。
図29においては、時点T1から時点T2までの間は指1本による描画であり、時点T2から時点T3までの間は指2本による描画であり、時点T3から時点T4までの間は指5本による描画であり、時点T4から時点T5までの間は指2本による描画であり、時点T5から時点T6までの間は指1本による描画である。
【0086】
図29の例では、同じ線の太さで、線の濃さが変化している。なお、線の濃さの変化が自然に見えるように濃さの変化をスムージング処理したAR画像をタッチパネル11に表示してもよい。
図29に示すように、本実施の形態では、描画中の線の濃さを、ユーザの意図の通りに変化させることが可能である。なお、従前の技術では、描画中は、同じ濃さの線しか描けないため、描画する線の表現力に自ずと制約があった。しかし、本実施の形態では、線の濃さを自由に変更できるため、ユーザの個性や感性を反映させたオブジェクトの描画が容易になる。
【0087】
<実施の形態6>
<使用例>
図30は、実施の形態6における携帯端末10の使用例を説明する図である。図30には、図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
本実施の形態の場合、描画に使用する指がユーザ1と携帯端末10との間に位置する点で、前述した実施の形態1~5と相違する。その他は、携帯端末10のハードウェア構成や処理動作も含め、実施の形態1~5と同じである。すなわち、ユーザ1と描画に用いる右手と携帯端末10の位置関係以外は、実施の形態1~5と同じである。
【0088】
<線の太さ又は濃さの指示に用いる具体例>
以下では、ステップ6(図3参照)で想定するジェスチャの具体例について説明する。
<具体例1>
図31は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態6における具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図31の場合も、左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図31の場合、携帯端末10のタッチパネル11には、タッチパネル11と同じ面に設けられたカメラ12で撮像された画像が表示される。この点が、タッチパネル11とは反対側の面に設けられたカメラ12で撮像された画像が表示される実施の形態1~5と相違する。
【0089】
図31の場合も、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。ただし、図31では、右手3の傾き具合の違いで線の太さを指示する。換言すると、人差し指の見え方又は右手の甲の見え方の違いで線の太さを指示する。
図31の例では、携帯端末10のタッチパネル11の法線と鉛直方向とで規定される面内における人差し指の向きの違いで線の太さを指示している。このため、図31の左側の列では、携帯端末10と右手3を側面から観察する場合の位置の関係を示している。
図31(A)では、人差し指が鉛直上方を向いている状態である。換言すると、右手3の手の平側の全体が、携帯端末10に設けられたカメラ12(図2参照)で見える状態である。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。
図31(B)では、人差し指が携帯端末10の方向に概略45°に傾いた状態である。換言すると、人差し指の先端から手首までの高さが図31(A)に比して短く見える状態である。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「中太線」が描画される。
【0090】
図31(C)では、人差し指が撮影の方向と概略平行まで傾いた状態である。換言すると、人差し指が右手3の甲がほぼ見えない状態である。この場合、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
この具体例の場合も、人差し指の見え方と描画される線の太さの関係は、図31の例とは反対でもよい。すなわち、人差し指が鉛直上方を向いている状態を太線に対応付け、人差し指が撮影の方向を向いている状態を細線に対応付けてもよい。
なお、同じジェスチャで、線の太さの代わりに、線の濃さを指定してもよい。また、検知した線の太さや線の濃さを描画中に振動や触覚を通じ、ユーザにフィードバックしてもよい。
【0091】
<具体例2>
図32は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態6における具体例2を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。図32には、図15との対応部分に対応する符号を付して示している。
図32の場合も、左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。なお、左側の列は、ユーザの側から見た右手の状態を表している。一方、右側の列は、タッチパネル11と同じ面に設けられたカメラ12で撮像された画像が表示される。
図32の場合も、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。ただし、本具体例では、描画中に右手首を回転させるジェスチャに、太さ別のマークを組み合わせる。すなわち、本具体例では、手首の回転により撮像される部位に、太さ別のマークを印刷、付着又は装着する。ここでのマークは、描画に用いる物体の先端に現れる特徴の一例である。
【0092】
図32(A)では、人差し指の腹側が携帯端末10と概略正対する状態である。このため、人差し指の腹側に印刷等された円形のマーク4Aが、携帯端末10に設けられたカメラ12により撮像される状態である。本具体例の場合、円形のマーク4Aは、細線に対応付けられている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。
図32(B)では、手首が少し回転して人差し指の側面が、カメラ12に撮像される状態である。図32(B)では、人差し指の側面に三角形のマーク4Bが付着されている。この三角形のマーク4Bは、中太線に対応付けられている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「中太線」が描画される。
図32(C)では、手首が更に回転して人差し指の爪側が、カメラ12に撮像される状態である。32(C)では、人差し指の爪側に四角形のマーク4Cが付着されている。この四角形のマーク4Cは、太線に対応付けられている。このため、人差し指の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
【0093】
この具体例の場合も、人差し指の見え方と描画される線の太さの関係は、図32の例とは反対でもよい。すなわち、右手3の腹が携帯端末10と概略正対する状態で撮像されるマーク4Aを太線に対応付け、人差し指の爪が携帯端末10から見える状態で撮像されるマーク4Cを細線に対応付けてもよい。
なお、例示したマークの形状は一例であり、他の形状を用いてもよい。また、マークに代えて、バーコードやQRコード(登録商標)を用いてもよいし、文字やアイコンを用いてもよい。ここに例示したバーコード等も、描画に用いる物体の先端に現れる特徴の一例である。
【0094】
指先に複数種類のQRコードを配置する場合を図33に示す。
図33は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態6における他の例を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。図33には、図32との対応部分に対応する符号を付して示している。
QRコード4D、4E、4Fは、それぞれ異なる線の太さに対応している。このため、携帯端末10は、空中に線を描画する指の移動と同時に撮像されたバーコードを解析して線の太さを決定する。
なお、同じジェスチャで、線の太さの代わりに、線の濃さを指定してもよい。また、検知した線の太さや線の濃さを描画中に振動や触覚を通じ、ユーザにフィードバックしてもよい。
【0095】
<実施の形態7>
前述の実施の形態の場合、空中に描画する線や線の太さを、携帯端末10に設けたカメラ12で撮像した画像を用いて決定しているが、携帯端末10と連携する別のカメラで撮像した画像を用いて決定してもよい。
図34は、実施の形態7における携帯端末10の使用例を説明する図である。図34には、図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
図34の場合も、携帯端末10は、端末本体に設けたカメラ12で描画中の指先が空中を移動する方向を撮像してタッチパネル11に表示しているが、描画する線の太さは、カメラ50で撮像された画像の解析を通じて決定する。
ここでのカメラ50は、例えば家電や防犯カメラでもよい。また、カメラ50は、無線で接続された他のユーザの携帯端末10に設けられたカメラ12でもよい。
【0096】
本実施の形態の場合、カメラ50と携帯端末10の位置関係は任意でよい。
例えばカメラ50は、携帯端末10と同じ側からユーザの右手3を撮像してもよい。この場合、携帯端末10が右手3の甲を撮像していれば、カメラ50も右手3の甲を撮像することになる。
一方で、図34に示すように、携帯端末10とは反対側からユーザの右手3を撮像してもよい。この場合、携帯端末10が右手3の甲を撮像していれば、カメラ50は右手3の手の平を撮像することになる。
本実施の形態の場合、携帯端末10のプロセッサ101(図2参照)は、カメラ12やカメラ50で撮像された画像に付されている時刻の情報や画像から特定される右手3等の絶対座標等を通じ、検知された線の太さと描画中の線の対応部分とを紐付ける。
なお、携帯端末10に設けられているカメラ12で撮像された画像は、タッチパネル11への表示にのみ使用し、空中に描画される線の方向についても、カメラ50で撮像された画像を用いて決定してもよい。
また、線の太さは、カメラ50に設けられている不図示のプロセッサを用いて決定し、決定された太さの情報を携帯端末10に送信してもよい。この場合、カメラ50には、前述した実施の形態で説明した処理動作を実行させればよい。
【0097】
<実施の形態8>
前述の実施の形態では、空中に描画する線の太さを、手や指を用いたジェスチャで指定しているが、ここでは足を使用する場合を説明する。
図35は、実施の形態8における携帯端末10の使用例を説明する図である。図35には、図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
図35には、足で操作するペダル装置60が追加される点で、実施の形態1と相違している。
ペダル装置60は、台座61とペダル62で構成される。ペダル62は、台座61に対して可動する部材である。台座61とペダル62の間に形成されるV字状の隙間は、初期状態で最大となり、ペダル62が踏み込まれるほど狭くなる。
ペダル装置60は、ペダルの踏み込み量を表す電気信号を、線の太さの指示として携帯端末10に送信する。本実施の形態の場合、踏み込み量が大きいほど、太い線の描画が指示される。ここで、踏み込み量は、踏み込み後のペダル62の位置までの初期位置からの角度やペダル62の踏み込みに伴って移動する部材の移動量等として与えられる。
【0098】
なお、ペダル装置60は、プロセッサ601と、内部メモリ602と、踏み込み量センサ603と、外部装置の通信に用いられる通信モジュール604とを有している。ここでの外部装置の1つが、携帯端末10である。
プロセッサ601は、例えばCPUで構成される。プロセッサ601は、アプリやファームウェアの実行を通じて各種の機能を実現する。
内部メモリ602は、半導体メモリである。内部メモリ602は、BIOS等が記憶されたROMと、主記憶装置として用いられるRAMとを有している。プロセッサ601と内部メモリ602により、いわゆるコンピュータが構成される。プロセッサ601は、RAMをプログラムの作業スペースとして使用する。
【0099】
踏込み量センサ603は、ペダル62の踏み込みに伴う角度の変化量や特定の部材の移動量等を検知するセンサである。
通信モジュール604には、例えばUSBに準拠する通信モジュール、ブルートゥース(登録商標)に準拠する通信モジュール、移動通信システムに準拠する通信モジュール、無線LANに準拠する通信モジュールを使用する。本実施の形態における通信モジュール604は、踏み込み量センサ603が検知した踏み込み量に関する情報を、携帯端末10に通知する。
本実施の形態の場合、ユーザは空中に人差し指等で線を描画しながら、ペダル62の踏み込み量を足で調整することで、描画中の線を同時に指示することが可能になる。
【0100】
<実施の形態9>
<使用例>
本実施の形態では、線の太さの指示にペンを使用する場合について説明する。
図36は、実施の形態9における携帯端末10の使用例を説明する図である。図36には、図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
図36の場合、ユーザは、ペン70を右手3で持ち、空中を移動させることで線を描画する。なお、本実施の形態で使用するペン70は、例えば鉛筆、ボールペン、万年筆、シャープペンシル、クレヨン等の筆記具の他、指示棒、木の枝でもよい。本実施の形態では、ペン70として棒状の物体を想定する。
本実施の形態におけるペン70は、空中への描画に用いる物体の一例である。本実施の形態の場合、ペン70には、通信機能を必要としない。もっとも、ペン70が通信機能を有することを妨げないが、本実施の形態で使用する場合には、通信機能をオフして使用するか、空中への線の描画する機能に関し、携帯端末10と連携しないものとする。
本実施の形態の場合、ペン70の先端の軌跡を線の方向として検知し、携帯端末10に対するペン70の向きにより線の太さを指定する。
【0101】
<処理動作>
本実施の形態で使用する携帯端末10で実行される処理動作は、実施の形態1と同じである。すなわち、携帯端末10は、図3に示すフローチャートに従って動作する。ただし、ステップ6(図3参照)における線の太さの検知には、人差し指や手の向きではなく、ペン70の向きを使用する。本実施の形態の場合、プロセッサ101(図2参照)は、カメラ12(図36参照)で撮像された画像内からペン70を抽出し、ペン70の画像内における傾斜の方向を検知し、太さの指示として使用する。
【0102】
<線の太さの指示に用いる具体例>
<具体例1>
図37は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態7における具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
なお、図37には、図10との対応部分に対応する符号を付して示している。
図37の左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。図37の左側の列は、ユーザから見たペン70の移動を表している。
図37では、右手3で保持するペン70の先端の軌跡を線の描画に使用する。また、図37では、描画中のペン70の向きを線の太さの指示に使用している。
図37(A)の場合、ペン70は、概略鉛直上方を向いている。ペン70を鉛直上方に立てた状態で右手3を移動すると、タッチパネル11には「細線」が描画される。
【0103】
図37(B)の場合、ペン70は、ユーザから見て右上方に45°傾いている。ペン70を右上方に傾けた状態で右手3を移動すると、タッチパネル11に「中太線」が描画される。
図37(C)の場合、ペン70は、ユーザから見て概略水平に傾いている。ペン70を水平方向に傾斜させた状態で右手3を移動すると、タッチパネル11に「太線」が描画される。
本具体例では、3種類の傾きに3種類の太さを対応付けているが、ペン70の任意の傾き角度に応じて連続的に太さを変更してもよい。
また、本具体例では、第1象限に対応する概略鉛直上方から概略水平までの概略90°の範囲でペン70の角度を変化させているが、太さの指定に使用する角度は90°以上でもよいし、90°未満でもよい。例えば第1象限と第2象限を範囲とする概略180°の範囲を線の太さの指定に使用してもよい。
【0104】
<具体例2>
図38は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態7における具体例2を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
なお、図38には、図37との対応部分に対応する符号を付して示している。
図38の左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図37を用いて説明した具体例1の場合には、ユーザの視線方向を法線とする面内におけるペン70の方向を線の太さに対応付けているが、本具体例では、ペン70の撮影の方向への傾きの具合で線の太さを指定する。このため、図38の左側の列では、携帯端末10と右手3及びペン70の位置の関係を、ユーザの右側から描いている。
【0105】
図38の場合も、右手3で保持するペン70の先端の軌跡を線の描画に使用する。また、図38では、描画中のペン70の奥行方向への傾きを線の太さの指示に使用する。
図38(A)の場合、ペン70の先端は、概略鉛直上方を向いている。ペン70の先端を鉛直上方に向けた状態で右手3を移動すると、タッチパネル11には「細線」が描画される。
図38(B)の場合、ペン70は、奥行方向に対して概略45°傾いている。この状態で右手3を移動すると、タッチパネル11に「中太線」が描画される。なお、タッチパネル11上での表示上のペン70の長さは、図38(A)の表示に比して短くなる。
図38(C)の場合、ペン70は、奥行方向にほぼ水平となる。この状態で右手3を移動すると、タッチパネル11に「太線」が描画される。なお、図38(C)の例では、ペン70の端部の画像だけがタッチパネル11に表示されている。
【0106】
本具体例の場合も、3種類の傾きに3種類の太さを対応付けているが、ペン70の任意の傾き角度に応じて連続的に太さを変更してもよい。
また、本具体例では、概略90°の範囲でペン70の角度を変化させているが、太さの指定に使用する角度は90°以上でもよいし、90°未満でもよい。例えばペン70が概略鉛直上方から概略鉛直方向までの概略180°の範囲で変化させてもよい。
なお、奥行方向に対するペン70の傾きと描画する線の太さは、描画に使用するペン70についてのキャリブレーションにおいて設定してもよい。
キャリブレーションでは、「ペン先を上に向けてください」等のガイダンスを通じて、様々な向きでペン70の画像を撮像し、撮像されたペン70の画面上の長さを区別する閾値を設定すれば、描画中に指示された線の太さの区別が可能になる。
【0107】
<具体例3>
図39は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態7における具体例3を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
なお、図39には、図38との対応部分に対応する符号を付して示している。
図39の左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図39の場合、携帯端末10とペン70の先端までの距離Lの違いで線の太さを指示する。このため、図39の左側の列では、図38と同様に、携帯端末10と右手3をユーザの右側から観察する場合の位置の関係を示している。
図39の場合も、右手3で保持するペン70の先端の軌跡を線の描画に使用する。図39の場合、ペン70の空中での傾きは、指示する線の太さによらず同じでよい。勿論、ペン70の傾きは空中で変化してもよいが、本実施の形態の場合には、ペン70の先端までの距離Lで先の太さが決定される。
【0108】
図39(A)の場合、携帯端末10とペン70の先端までの距離Lが第1の閾値L0より短い。この場合、右手3の移動に連動して、タッチパネル11に「細線」が描画される。
図39(B)の場合、携帯端末10とペン70の先端までの距離Lが第1の閾値L0以上であるが第2の閾値L1(>L0)より短い。この場合、右手3の移動に連動して、タッチパネル11には「中太線」が描画される。
図39(C)の場合、携帯端末10とペン70の先端までの距離Lが第2の閾値L1以上の場合である。この場合、右手3の移動に連動して、タッチパネル11には「太線」が描画される。
ここでの第1の閾値L0及び第2の閾値L1は事前に与えられるが、ユーザによる変更可能であることが望ましい。
【0109】
この具体例の場合も、距離Lと線の太さの関係は、図39の例とは反対でもよい。すなわち、携帯端末10とペン70の先端までの距離Lが第1の閾値L0より短い場合に太線に対応付け、携帯端末10とペン70の先端までの距離Lが第2の閾値L1以上の場合に細線に対応付けてもよい。
なお、本具体例では、携帯端末10とペン70の先端までの距離Lを測定しているが、携帯端末10とペン70を保持している右手3までの距離Lを測定してもよい。
なお、ペン70の先端までの距離Lや右手3までの距離Lの測定には、測距センサ105(図2参照)を使用する。
【0110】
<実施の形態10>
<使用例>
本実施の形態の場合も、線の太さの指示にペンを使用する場合について説明する。ただし、本実施の形態の場合、通信機能を備えるペンを使用する。
図40は、実施の形態10における携帯端末10の使用例を説明する図である。図40には、図36との対応部分に対応する符号を付して示している。
図40の場合、ユーザは、ペン80を右手3で持ち、空中を移動させることで線を描画する。本実施の形態で使用するペン80は、例えば感圧センサと通信機能を備え、描画中にペン80に加えられる圧力を検知して携帯端末10に通知する。本実施の形態では、ペン80として棒状の物体を想定する。
本実施の形態におけるペン80は、プロセッサ801と、内部メモリ802と、感圧センサ803と、外部装置の通信に用いられる通信モジュール804とを有している。ここでの外部装置の1つが、携帯端末10である。
プロセッサ801は、例えばCPUで構成される。プロセッサ801は、アプリやファームウェアの実行を通じて各種の機能を実現する。
内部メモリ802は、半導体メモリである。内部メモリ802は、BIOS等が記憶されたROMと、主記憶装置として用いられるRAMとを有している。プロセッサ801と内部メモリ802により、いわゆるコンピュータが構成される。プロセッサ801は、RAMをプログラムの作業スペースとして使用する。
【0111】
感圧センサ803は、ペン80の軸に取り付けられている。感圧センサ803は、ユーザがペン80の軸を握る強さを検知するセンサである。
通信モジュール804には、例えばUSBに準拠する通信モジュール、ブルートゥース(登録商標)に準拠する通信モジュール、移動通信システムに準拠する通信モジュール、無線LANに準拠する通信モジュールを使用する。本実施の形態における通信モジュール804は、感圧センサ803が検知した圧力の値や圧力の大きさを表す情報を、携帯端末10に通知する。圧力の大きさを表す情報には、例えば圧力の大きさを数段階で表すレベルがある。
本実施の形態の場合、ペン80の先端の軌跡を線の方向として検知し、描画中におけるペン80を握る力の強さで線の太さを指定する。
もっとも、感圧センサ803を複数設け、操作される感圧センサ803の違いに応じて線の太さを指示してもよい。このとき、複数の感圧センサ803は、ペン80の軸の外周に沿って異なる位置に設けられてもよい。その場合、操作される感圧センサ803の違いは、圧力が加えられる方向の違いを意味する。
【0112】
<処理動作>
図41は、実施の形態10で使用する携帯端末10で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。図41には、図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
図41に示す処理の場合、ステップ5以降の処理が図3と相違する。
図41の場合、プロセッサ101は、ステップ5が終了すると、描画に用いる物体から線の太さの指示を検知する(ステップ6B)。前述したように、本実施の形態の場合、線の太さの指示は、ペン80が描画中に検知した右手3の握力の情報である。
線の太さの指示を検知した後の処理動作は、図3と同じである。
【0113】
<線の太さの指示に用いる具体例>
以下では、ステップ6B(図41参照)で想定するジェスチャの具体例について説明する。
図42は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態10における具体例を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図42の左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図42の場合も、ペン80の先端を線の描画に使用する。
図42(A)の場合、ユーザは、ごく弱い圧力を加えた状態でペン80を空中で移動させている。これにより、携帯端末10のタッチパネル11には「細線」が描画されている。
【0114】
図42(B)の場合、ユーザは、弱い圧力を加えた状態でペン80を空中で移動させている。弱い圧力は、図42(A)における「ごく弱い圧力」よりは、感圧センサ803で検知される圧力の値が大きいことを意味する。この場合、携帯端末10のタッチパネル11には「中太線」が描画される。
図42(C)の場合、ユーザは、強い圧力を加えた状態でペン80を空中で移動させている。強い圧力は、図42(B)における「弱い圧力」よりも、感圧センサ803で検知される圧力の値が大きいことを意味する。この場合、携帯端末10のタッチパネル11に「太線」が描画される。
【0115】
なお、感圧センサ803から通知される圧力は、ユーザに応じて異なることが想定される。従って、使用前には、ペン80についてキャリブレーションを実行し、判定用の閾値を設定することが望ましい。
キャリブレーションでは、「細線の描画に使用する力でペンを握ってください」等のガイダンスに応じてペン軸に加えられた力の値が感圧センサ803で検出される。この値をペン80から取得したプロセッサ101は、取得された力の大きさを区別する閾値を設定して、描画に備える。
なお、検知された圧力と線の太さの関係は、例示した関係に限らない。例えば「ごく弱い圧力」が検知された場合には太線を描画してもよいし、「強い圧力」が検知された場合には細線を描画してもよい。
また、描画する線の太さは、3種類に限らず、検知された圧力の大きさに基づいて連続的に変化させてもよい。
なお、ペン80を用いる手法は、線の濃さの指示に使用することも可能である。
【0116】
<実施の形態11>
<使用例>
図43は、実施の形態11における携帯端末10の使用例を説明する図である。図43には、図40との対応部分に対応する符号を付して示している。
図43の場合、ユーザは、ペン90を右手3で持ち、空中を移動させることで線を描画する。本実施の形態で使用するペン90は、例えば加速度を検知するセンサと通信機能を備え、描画中にペン90に加えられる加速度の大きさを検知して携帯端末10に通知する。本実施の形態では、ペン90として棒状の物体を想定する。
例えば太線を描くときの加速度は、細線を描くときの加速度に比して大きくなる傾向がある。本実施の形態では、この経験則を利用して、線の太さを検知する。
本実施の形態におけるペン90は、プロセッサ901と、内部メモリ902と、6軸センサ903と、外部装置の通信に用いられる通信モジュール904とを有している。ここでの外部装置の1つが、携帯端末10である。
プロセッサ901は、例えばCPUで構成される。プロセッサ901は、アプリやファームウェアの実行を通じて各種の機能を実現する。
内部メモリ902は、半導体メモリである。内部メモリ902は、BIOS等が記憶されたROMと、主記憶装置として用いられるRAMとを有している。プロセッサ901と内部メモリ902により、いわゆるコンピュータが構成される。プロセッサ901は、RAMをプログラムの作業スペースとして使用する。
【0117】
6軸センサ903は、3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の加速度と、同じ3軸方向の角速度を測定するセンサである。6軸センサ903は、例えばペン90の軸内に取り付けられ、ペン90を用いて線を描画するときの加速度や角速度を測定する。本実施の形態では、ペン90の両端部のいずれかに6軸センサ903を配置する。好ましくは、ペン90の頭部、すなわちペン先とは反対側の端部の付近に6軸センサ903を配置する。ペン90の両端部は、動きが大きくなり易く、描画中の加速度等の測定が容易になる。
通信モジュール904には、例えばUSBに準拠する通信モジュール、ブルートゥース(登録商標)に準拠する通信モジュール、移動通信システムに準拠する通信モジュール、無線LANに準拠する通信モジュールを使用する。本実施の形態における通信モジュール904は、6軸センサ903が検知した加速度等の値や加速度等の大きさを表す情報を、携帯端末10に通知する。加速度等の大きさを表す情報には、例えば加速度等の大きさを数段階で表すレベルがある。
本実施の形態の場合、ペン90の先端の軌跡を線の方向として検知し、描画中におけるペン90の加速度等の大きさで線の太さを指定する。
【0118】
<処理動作>
本実施の形態で使用する携帯端末10で実行される処理動作は、実施の形態10と同じである。すなわち、携帯端末10は、図41に示すフローチャートに従って動作する。ただし、本実施の形態の場合、ステップ6(図3参照)における線の太さの検知には、ペン90に対する加速度等の大きさを使用する。
【0119】
<線の太さの指示に用いる具体例>
以下では、ステップ6B(図41参照)で想定するジェスチャの具体例について説明する。
図44は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態11における具体例を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図44の左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末10のタッチパネル11に表示されるAR画像の例を示す。
図44の場合も、ペン90の先端を線の描画に使用する。
図44(A)の場合、ペン90では小さい加速度が検知されている。この加速度は、例えばペン90を空中でゆっくり移動させている場合に検知される。このとき、携帯端末10のタッチパネル11には「細線」が描画されている。
【0120】
図44(B)の場合、ペン90では中程度の加速度が検知されている。この加速度は、例えばペン90を速く移動させる場合に検知される。中程度の加速度は、図44(A)の場合よりもペン90を速く移動させる場合に検知される。この場合、携帯端末10のタッチパネル11には「中太線」が描画される。
図44(C)の場合、ペン90では大きい加速度が検知されている。この加速度は、例えばペン90を勢いよく移動させる場合に検知される。本実施の形態の場合、大きい加速度は、図44(B)の場合よりもペン90を速く移動させる場合に検知される。なお、大きい加速度は、例えばペン90を線が描画される仮想の平面に対して強く押し付けるような動き、線の書き始めや書き終わりの特有の動きで出現し易い。この場合、携帯端末10のタッチパネル11に「太線」が描画される。
【0121】
なお、6軸センサ903から通知される加速度等は、ユーザに応じて異なることが想定される。従って、使用前には、ペン90についてキャリブレーションを実行し、判定用の閾値を設定することが望ましい。
キャリブレーションでは、「細線の描画を意識してペンを移動させてください」等のガイダンスに応じてペン軸に加えられた力の値が6軸センサ903で検出される。この値や加速度の方向をペン90から取得したプロセッサ101は、取得された加速度等の大きさを区別する閾値を設定して、描画に備える。
なお、検知された加速度等の大きさと線の太さの関係は、例示した関係に限らない。例えば「小さい加速度」が検知された場合には太線を描画してもよいし、「大きい加速度」が検知された場合には細線を描画してもよい。
また、描画する線の太さは、3種類に限らず、検知された加速度の大きさに基づいて連続的に変化させてもよい。
【0122】
また、加速度の大きさは、描画する方向ではなく、ユーザに対して奥行き方向への加速度の大きさや手前方向への加速度の大きさに着目してもよい。紙に線を描画する場合、細い線を描くときには筆記具を紙に押し付ける力は弱くなるのに対し、太い線を描くときには筆記具を紙に押し付ける力が強くなる傾向がある。そこで、ユーザに対して奥行方向への加速度が大きい場合には線を太くし、奥行方向への加速度が小さい場合には線を細くしてもよい。なお、空中に描画する場合には、ユーザの手前側に引き寄せるペン90の動きを細い線に対応付けてもよい。
なお、ペン90を用いる手法は、線の濃さの指示に使用することも可能である。
【0123】
<実施の形態12>
<使用例>
図45は、実施の形態12における携帯端末1000の使用例を説明する図である。図45の場合、携帯端末1000としてユーザ1の頭部に装着するメガネ型のデバイスを想定する。図45では、携帯端末1000としてスマートグラスを想定する。なお、携帯端末1000の外観は様々であり、メガネ型に限らず、ゴーグル型やヘッドセット型でもよい。
図45で想定する携帯端末1000の場合、ユーザ1は両手を用いることが可能になる。
本実施の形態における携帯端末1000は、プロセッサ1001と、内部メモリ1002と、外部メモリ1003と、ARデバイス1004と、カメラ1005と、マイク10006と、スピーカ1007と、測位センサ1008と、測距センサ1009と、通信モジュール1010とを有している。
プロセッサ1001は、例えばCPUで構成される。プロセッサ1001は、プログラムの実行を通じて各種の機能を実現する。
【0124】
内部メモリ1002と外部メモリ1003は、いずれも半導体メモリである。
内部メモリ1002は、BIOS等が記憶されたROMと、主記憶装置として用いられるRAMとを有している。プロセッサ1001と内部メモリ1002により、いわゆるコンピュータが構成される。プロセッサ1001は、RAMをプログラムの作業スペースとして使用する。
外部メモリ1003は、補助記憶装置であり、プログラム等が記憶される。
ARデバイス1004は、ユーザにAR画像を視認させるデバイスであり、例えばユーザ1の網膜に直接映像を投影する網膜投影方式と、導光絽を通じて画像をグラスに投影する透過方式とがある。いずれの方式も既に実用化されているので詳細な構造については省略する。いずれの方式を用いる場合にも、ユーザ1は、目の前の空間に線が描画されるように知覚される。
カメラ1005は、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサを使用する。カメラ1005は、携帯端末1000を装着したユーザ1が左手2と右手3を用いて行うジェスチャの撮像に使用される。
【0125】
マイク1006は、ユーザの音声や周囲の音を電気信号に変換するデバイスである。
スピーカ1007は、電気信号を音に変換して出力するデバイスである。
測位センサ1008は、例えばGPS信号を検知して自端末の位置を測位するGPSモジュールや屋内用の測位モジュールで構成される。屋内用の測位モジュールには、例えばBLEビーコンを受信して自端末の位置を測位するモジュール、WiFi(登録商標)信号を受信して自端末の位置を測位するモジュール、自律航法により自端末の位置を測位するモジュール、IMES信号を受信して自端末の位置を測位するモジュールを使用する。
例えばカメラ1005がステレオカメラである場合、測距センサ1009には、複数のカメラ1005の視差を用いて物体までの距離を計算するモジュールを使用する。また例えば、測距センサ1009には、照射した光が物体で反射して戻ってくるまでの時間を計測して物体までの距離を計算するTOFセンサを使用する。
通信モジュール1010には、例えばUSBに準拠する通信モジュール、移動通信システムに準拠する通信モジュール、無線LANに準拠する通信モジュールを使用する。
【0126】
<線の太さの指示に用いる具体例>
本実施の形態の場合、携帯端末1000は、ユーザ1の右手3を用いて空中に描画し、左手2を用いて線の太さを指示する。
なお、携帯端末1000で実行される処理動作は、基本的に実施の形態1と同じである。すなわち、携帯端末1000は、図3に示すフローチャートに従って動作する。ただし、ステップ6(図3参照)における線の太さの検知には、ユーザ1の左手2の画像を活用する。
【0127】
<具体例1>
図46は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態12における具体例1を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図46の左側の列は線の描画と線の太さを同時に指示するジェスチャの例を示し、右側の列は携帯端末1000を通じてユーザ1が視認するAR画像の例を示す。
図46では、右手3の人差し指の指先を線の描画に使用する。図46の場合、左手2は撮影の方向への基準位置を与え、基準位置である左手2と右手3との距離Lを、線の太さの指示に使用する。なお、本実施の形態におけるプロセッサ1001(図45参照)は、測距センサ1009(図45参照)を用いて携帯端末1000から左手2までの距離と右手3までの距離を測定し、その差分に基づいて左手2と右手3の距離Lを計算する。
【0128】
図46(A)の場合、空中に線を描画する右手3の人差し指と左手2との距離Lは、第1の閾値L0より短い。この場合、人差し指による描画に連動して、ARデバイス1004(図45参照)は空中に「細線」を描画する。
図46(B)の場合、空中に線を描画する右手3の人差し指と左手2との距離Lは、第1の閾値L0以上であるが第2の閾値L1(L0)より短い。この場合、人差し指の移動に連動して、ARデバイス1004は空中に「中太線」を描画する。
図4(C)の場合、空中に線を描画する右手3の人差し指と左手2との距離Lは、第2の閾値L1以上である。この場合、人差し指の移動に連動して、ARデバイス1004は空中に「太線」を描画する。
本具体例の場合、ユーザが基準位置を自由に定めることが可能である。また、携帯端末10(図14参照)を基準位置として右手3までの距離Lを測定する場合に比して、描画中における人差し指の撮影の方向への動きを線の太さに反映することが容易になる。
【0129】
なお、判定に用いる第1の閾値L0と第2の閾値L1は、使用前のキャリブレーションで設定してもよい。キャリブレーションでは、「細線を描画するときの左手と右手の距離を教えて下さい」等のガイダンスに応じてユーザ1のジェスチャを促す。線の太さ別に測定された距離Lを区別可能な閾値を設定することで、ユーザの意図を反映した太さの線の描画が可能になる。
検知された距離Lと線の太さの関係は、例示した関係に限らない。例えば距離Lが第1の閾値L0より小さい場合に「太線」を描画してもよいし、距離Lが第2の閾値L1以上の場合に「細線」を描画してもよい。
また、描画する線の太さは、3種類以上でもよいし、距離Lに応じて線の太さを連続的に変化させてもよい。
本具体例では、距離Lに応じて線の太さを変化させているが、濃度を変化させてもよい。
【0130】
<具体例2>
図47は、描画する線の太さの指示に用いるジェスチャの実施の形態12における具体例2を説明する図である。(A)は「細線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(B)は「中太線」の指示に用いるジェスチャの例を示し、(C)は「太線」の指示に用いるジェスチャの例を示す。
図47の場合、左手2の指の本数が線の太さを指示し、右手3の人差し指の移動が線の描画を指示する。
図47(A)の場合、左手2は人差し指の1本だけを立てるジェスチャである。このジェスチャは、細線を指示している。このため、右手3の人差し指を移動させた空中には「細線」が描画される。
図47(B)の場合、左手2は、人差し指と中指の2本を立てるジェスチャである。このジェスチャは、中太線を指示している。このため、右手3の人差し指を移動させた空中には「中太線」が描画される。
【0131】
図47(C)の場合、左手2は、5本の指を広げたジェスチャである。このジェスチャは、太線を指示している。このため、右手3の人差し指を移動させた空中には「太線」が描画される。
本具体例の場合、左手2を線の太さの指示に使用する。このため、ユーザは、右手3を描画に専念することが可能になる。
なお、左手2の指の本数と線の太さの関係は、例示した関係に限らない。例えば指の本数が1本の場合に「太線」を描画してもよいし、指の本数が5本の場合に「細線」を描画してもよい。
また、描画する線の太さは、3種類以上でもよい。
本具体例では、線の描画に使用しない左手2の指の本数で線の太さを変化させているが、濃度を変化させてもよい。
【0132】
<他の具体例>
左手2を用いて線の太さを指示する方法には、実施の形態1における具体例2(図7参照)で説明したように2本の指の間隔を可変する方法、具体例3(図9参照)で説明したように手の形状を可変する方法、具体例4(図10参照)で説明したように指の向きを可変する方法、具体例5(図11参照)で説明したように手首の回転により撮像される部位を可変する方法、具体例6(図12参照)で説明したように撮影の向きへの指の傾きを可変する方法、具体例7(図13参照)で説明したように爪の見え方を可変する方法、具体例8(図14参照)で説明したように左手2までの距離Lを可変する方法、具体例9(図15参照)で説明したように撮影されるマークを可変する方法、具体例10(図16参照)で説明したように撮影されるマークの色を可変する方法、具体例11(図18参照)で説明したように左手2手首の筋肉の緊張の度合いを可変する方法との組み合わせが可能である。
また、左手2を用いて線の太さや線の濃度を指示する場合にも、受け付けた線の太さや線の濃度をユーザにフィードバックしてもよい。
左手2に持った棒状の部材の撮影方向に対する様々な向きによって線の太さや線の濃さを指示してもよい。
【0133】
<実施の形態13>
本実施の形態では、左手2のボタン操作を線の太さの指示に活用する。
図48は、実施の形態13における携帯端末1000の使用例を説明する図である。図48には、図45との対応部分に対応する符号を付して示している。
図48に示す携帯端末1000は、押しボタン式のスイッチ1100と無線通信により連携する点で、実施の形態12と相違している。
押しボタン式のスイッチ1100は、装置本体1110と押し込み式のボタン1111とで構成されている。
押しボタン式のスイッチ1100は、プロセッサ1101と、内部メモリ1102と、感圧センサ1103と、外部装置の通信に用いられる通信モジュール1104とを有している。ここでの外部装置の1つが、携帯端末1000である。
【0134】
プロセッサ1101は、例えばCPUで構成される。プロセッサ1101は、アプリやファームウェアの実行を通じて各種の機能を実現する。
内部メモリ1102は、半導体メモリである。内部メモリ1102は、BIOS等が記憶されたROMと、主記憶装置として用いられるRAMとを有している。プロセッサ1101と内部メモリ1102により、いわゆるコンピュータが構成される。プロセッサ1101は、RAMをプログラムの作業スペースとして使用する。
感圧センサ1103は、押し込み式のボタン1111の押し込み量を検知するセンサである。もっとも、感圧センサ1103は一例であり、単なるスイッチとして、押しボタンの操作の回数を検知してもよい。
通信モジュール1104には、例えばUSBに準拠する通信モジュール、ブルートゥース(登録商標)に準拠する通信モジュール、移動通信システムに準拠する通信モジュール、無線LANに準拠する通信モジュールを使用する。本実施の形態における通信モジュール1104は、感圧センサ1103が検知した押し込み量に関する情報を、携帯端末1000に通知する。
【0135】
本実施の形態の場合、ユーザ1は、空中に人差し指等で線を描画しながら、押しボタン式のスイッチ1100のボタン1111を操作し、描画する線の太さを指示する。例えば押し込み量が小さい場合は「細線」を描画し、押し込み量が中程度の場合は「中太線」を描画し、押し込み量が大きい場合は「太線」を描画する。
なお、押しボタン式のスイッチ1100のボタン1111の操作量で線の濃さを指示することも可能である。
本実施の形態では、自由に使える左手2で線の太さを指示しているが、実施の形態8で説明したようにペダル装置60(図35参照)の踏み込み量で線の太さを指示してもよい。
【0136】
<実施の形態14>
前述の実施の形態は、携帯端末10(図1参照)や携帯端末1000(図45参照)において、ユーザのジェスチャを通じて線の描画中に受け付けた指示を線の太さや線の濃さに反映させているが、空中にAR画像を描画する処理の一部又は全部を外部装置で実行してもよい。
図49は、実施の形態14で使用するARシステム1200の一例を説明する図である。
図49に示すARシステム1200は、携帯端末10とネットワーク1210と、ARサーバ1220とで構成されている。
ネットワーク1210は、例えばLANやインターネットである。ネットワーク1210上の通信には、例えば無線USB、移動通信システム、WiFi(登録商標)を使用する。移動通信システムは、第4世代(すなわち4G)、第5世代(すなわち5G)、第6世代(すなわち6G)のいずれでもよい。無線LANには、例えばIEEE802.11の11a、11b、11g、11n、11ac、11ad、11axを使用する。
【0137】
ARサーバ1220は、プロセッサ1221と、内部メモリ1222と、ハードディスク装置1223と、外部装置との通信に用いられる通信モジュール1224とを有している。ここでのARサーバ1220は、情報処理装置の一例である。
プロセッサ1221は、例えばCPUで構成される。プロセッサ1221は、プログラムの実行を通じて各種の機能を実現する。
内部メモリ1222は、半導体メモリである。内部メモリ1222は、BIOS等が記憶されたROMと、主記憶装置として用いられるRAMとを有している。プロセッサ1221と内部メモリ1222により、いわゆるコンピュータが構成される。プロセッサ1221は、RAMをプログラムの作業スペースとして使用する。
ハードディスク装置1223は、補助記憶装置であり、プログラム等が記憶される。
通信モジュール1224には、例えばUSBに準拠する通信モジュール、移動通信システムに準拠する通信モジュール、無線LANに準拠する通信モジュールを使用する。
本実施の形態における移動通信システムは、第4世代(すなわち4G)、第5世代(すなわち5G)、第6世代(すなわち6G)のいずれでもよい。
本実施の形態で使用するARサーバ1220は、携帯端末10からユーザのジェスチャを含む画像等を受信し、AR画像として空中に描画される線の太さと方向を決定する。また、生成されたAR画像とAR画像を描画する絶対座標を携帯端末10に通知する。これにより、ユーザの目の前には、AR画像としての線が空中に描画される。
【0138】
なお、図49では、携帯端末10を用いているが、頭部に装着する携帯端末1000を用いてもよい。
また、ペダル装置60(図35参照)や押しボタン式のスイッチ1100(図48参照)を線の太さや線の濃さの指示に用いる場合には、これらに対する操作の情報をARサーバ1220に通知してもよい。ARサーバ1220は、クラウドサーバでもよいし、オンプレミスのサーバでもよい。また、ARサーバ1220は、AR画像を空中に描画する機能をクラウドサービスとして提供してもよい。
【0139】
<他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0140】
(1)前述の実施の形態においては、ジェスチャによりAR画像を描画する場合について説明した。しかし、描画する画像はMR(Mixed Reality)画像でもよい。MR画像は、ARよりも現実世界との融合の度合が高い画像である。このため、複数人のユーザが同時刻に複数の方向からMR画像を認識することが可能である。
【0141】
(2)前述の実施の形態では、線の太さや線の濃さの指示に人差し指の向きを用いているが、指示に用いる体の部位は、足、頭、腰、腕等でもよい。例えば図23に示す各種の器具を、線の太さや線の濃さの指示に用いてもよい。
(3)前述の実施の形態の場合には、描画中の手に装着されるデバイスの一例として、ウェアラブル端末20(図17参照)を例示したが、指輪型のウェアラブル端末でもよい。
【0142】
(4)前述の実施の形態の場合には、指の開き具合で線の太さや濃さを指示する場合について説明したが、描画中における指の曲げ具合に応じて線の太さや濃さを指示してもよい。例えば右手の人差し指を用いて空中に線を描画する場合に、右手の中指を「まっすぐ延ばす」、「少し曲げる」、「折り曲げる」の3段階で曲げ具合を調整することにより、線の太さや濃さを調整してもよい。また例えば右手の人差し指を用いて空中に線を描画する場合に、左手の中指を「まっすぐ延ばす」、「少し曲げる」、「折り曲げる」の3段階で曲げ具合を調整することにより、線の太さや濃さを調整してもよい。なお、「折り曲げる」とは、指先が手の平に近づくまで曲げた状態をいう。もっとも、カメラ12で撮像される画像から区別が可能であれば、曲がり具合は前述の例に限らない。
同様に、ペン形状のデバイス等の物体を持ちながら空中に線を描画する場合には、デバイスを持っている手の指、又は、デバイスを持ってない側の手の指を曲げることで、線の太さや濃さを調整してもよい。
【0143】
(5)上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば CPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えば GPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0144】
1…ユーザ、2…左手、3…右手、4A、4B、4C…マーク、10、1000…携帯端末、11…タッチパネル、12、50、403、1005…カメラ、111…ディスプレイ、20…ウェアラブル端末、40…超音波発生装置、60…ペダル装置、70、80、90…ペン
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