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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】胴部材及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20240903BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240903BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240903BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240903BHJP
   B41J 11/04 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G15/00 552
G03G15/00 551
G03G15/20 515
B41J2/01 305
B41J11/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020154640
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048678
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 智章
(72)【発明者】
【氏名】岸 和紀
(72)【発明者】
【氏名】萩原 和義
(72)【発明者】
【氏名】宮本 陽子
(72)【発明者】
【氏名】馬場 俊彰
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-042173(JP,U)
【文献】国際公開第2013/171894(WO,A1)
【文献】米国特許第05088404(US,A)
【文献】特開平04-229266(JP,A)
【文献】米国特許第04006686(US,A)
【文献】特開平06-008405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 15/00
G03G 15/20
B41J 2/01
B41J 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の胴本体と、
前記胴本体に巻き付けられるシート部材と、
前記シート部材の周方向の一端部に設けられ、前記胴本体に取外可能に取り付けられる第一取付部と、
前記シート部材の周方向の他端部に設けられ、前記胴本体に取外可能に取り付けられる第二取付部と、
前記胴本体、又は前記胴本体に取り付けられた被取付部に対して、前記第一取付部をねじ止めするネジと、
を備え、
前記第一取付部には、前記ネジが通され前記ネジの軸部よりも大きい通し孔が、形成され、
前記通し孔は、前記ネジの頭部よりも大きく、
前記第一取付部には、前記通し孔と連結され前記ネジの軸部よりも幅が大きく前記ネジの頭部よりも幅が小さい溝、が形成されている
胴部材。
【請求項2】
前記第二取付部が取り付けられ、前記シート部材に周方向の張力を作用させる方向へ該第二取付部を引っ張り又は押す被取付部を備える
請求項1に記載の胴部材。
【請求項3】
円筒状の胴本体と、
前記胴本体に巻き付けられるシート部材と、
前記シート部材の周方向の一端部に設けられ、前記胴本体に取外可能に取り付けられる第一取付部と、
前記シート部材の周方向の他端部に設けられ、前記胴本体に取外可能に取り付けられる第二取付部と、
を備え、
前記第一取付部は、前記シート部材の前記一端部における内周面に前記胴本体の軸方向に沿って設けられ、
前記胴本体には、前記第一取付部が前記周方向に突き当てられて前記シート部材の一端部を前記胴本体に対して位置決めする位置決部が、設けられ、
前記位置決部は、
前記第一取付部が前記周方向に突き当てられた状態において、該第一取付部に前記胴本体の径方向に当たって該第一取付部の該径方向の外側への移動を制限する
胴部材。
【請求項4】
前記第一取付部は、前記シート部材から前記胴本体の軸方向の両側へ張り出した一対の張出部分を有し、該一対の張出部分が前記胴本体に取り付けられる
請求項1~3のいずれか1項に記載の胴部材。
【請求項5】
前記第一取付部は、
前記シート部材の前記一端部における内周面に前記軸方向に沿って設けられ、
前記一対の張出部分と、該一対の前記張出部分の間に配置された中央側部分と、を有し、該中央側部分は、前記シート部材の厚み方向視にて前記シート部材の範囲内に配置されている
請求項4に記載の胴部材。
【請求項6】
前記胴本体に着脱可能に取り付けられ、前記第一取付部が取り付けられる被取付部を備え、
前記第一取付部は、該被取付部を介して前記胴本体に取り付けられる
請求項1~5のいずれか1項に記載の胴部材。
【請求項7】
前記第二取付部は、
前記シート部材から前記胴本体の軸方向の両側への張出部分を有し、該張出部分が前記胴本体に取り付けられる
請求項1~6のいずれか1項に記載の胴部材。
【請求項8】
記録媒体を搬送する請求項1~7のいずれか1項に記載の胴部材と、
前記胴部材によって搬送される前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胴部材及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、像担持体上の像を転写する転写装置において、循環移動路に沿って転写材を無端移動する転写材搬送手段と、この搬送手段に取付けられており、回転軸に軸支されて台部材に対して回転動作し、上記転写材の先端辺を把持するグリッパ片と、上記台部材側に取付けたスイッチ部材とを有し、上記グリッパ片のスイッチ部材位置を一部切欠くことによりグリッパ内の転写材の存在を検知することを特徴とする転写装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭58-005769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
円筒状の胴本体と、該胴本体に巻き付けられるシート部材と、を備える胴部材において、シート部材の周方向の一端部及び他端部の各々と、シート部材の幅方向の一端部及び他端部の各々とが胴本体に対して取外可能に取り付けられる構成では、シート部材を交換する際に、シート部材の周方向の一端部及び他端部の各々と、シート部材の幅方向の一端部及び他端部の各々とを胴本体から取り外す必要があるため、シート部材の交換が煩雑となる。
【0005】
本発明は、シート部材の周方向の一端部及び他端部の各々と、シート部材の幅方向の一端部及び他端部の各々とが胴本体に対して取外可能に取り付けられる構成に比べ、シート部材の交換をしやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、円筒状の胴本体と、前記胴本体に巻き付けられるシート部材と、前記シート部材の周方向の一端部に設けられ、前記胴本体に取外可能に取り付けられる第一取付部と、前記シート部材の周方向の他端部に設けられ、前記胴本体に取外可能に取り付けられる第二取付部と、を備える。
【0007】
第2態様は、前記胴本体、又は前記胴本体に取り付けられた被取付部に対して、前記第一取付部をねじ止めするネジ、を備え、前記第一取付部には、前記ネジが通され前記ネジの軸部よりも大きい通し孔が、形成されている。
【0008】
第3態様は、前記第二取付部が取り付けられ、前記シート部材に周方向の張力を作用させる方向へ該第二取付部を引っ張り又は押す被取付部を備える。
【0009】
第4態様では、前記通し孔は、前記ネジの頭部よりも大きく、前記第一取付部には、前記通し孔と連結され前記ネジの軸部よりも幅が大きく前記ネジの頭部よりも幅が小さい溝、が形成されている。
【0010】
第5態様では、前記第一取付部は、前記シート部材から前記胴本体の軸方向の両側へ張り出した一対の張出部分を有し、該一対の張出部分が前記胴本体に取り付けられる。
【0011】
第6態様では、前記第一取付部は、前記シート部材の前記一端部における内周面に前記軸方向に沿って設けられ、前記一対の張出部分と、該一対の前記張出部分の間に配置された中央側部分と、を有し、該中央側部分は、前記シート部材の厚み方向視にて前記シート部材の範囲内に配置されている。
【0012】
第7態様では、前記第一取付部は、前記シート部材の前記一端部における内周面に前記胴本体の軸方向に沿って設けられ、前記胴本体には、前記第一取付部が前記周方向に突き当てられて前記シート部材の一端部を前記胴本体に対して位置決めする位置決部が、設けられている。
【0013】
第8態様では、前記位置決部は、前記第一取付部が前記周方向に突き当てられた状態において、該第一取付部に前記胴本体の径方向に当たって該第一取付部の該径方向の外側への移動を制限する。
【0014】
第9態様は、前記胴本体に着脱可能に取り付けられ、前記第一取付部が取り付けられる被取付部を備え、前記第一取付部は、該被取付部を介して前記胴本体に取り付けられる。
【0015】
第10態様では、前記第二取付部は、前記シート部材から前記胴本体の軸方向の両側への張出部分を有し、該張出部分が前記胴本体に取り付けられる。
【0016】
第11態様は、記録媒体を搬送する第1態様~第10態様のいずれか1つに記載の胴部材と、前記胴部材によって搬送される前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
第1態様の構成によれば、シート部材の周方向の一端部及び他端部の各々と、シート部材の幅方向の一端部及び他端部の各々とが胴本体に対して取外可能に取り付けられる構成に比べ、シート部材が交換しやすい。
【0018】
第2態様の構成によれば、通し孔がネジの軸部と同じ大きさである構成に比べ、胴本体の軸方向に対するシート部材の一端部の姿勢を調整しやすい。
【0019】
第3態様の構成によれば、第二取付部が胴本体に直接固定される構成に比べ、シート部材に生じるたるみを抑制できる。
【0020】
第4態様の構成によれば、孔がネジの頭部よりも小さい構成に比べ、第一取付部の取付作業の作業性が良い。
【0021】
第5態様の構成によれば、シート部材の周方向の一端から周方向へ張り出した張出部分のみが胴本体に取り付けられる構成に比べ、シート部材の周方向の一端部における軸方向の両側での胴本体からの浮き上がりを抑制できる。
【0022】
第6態様の構成によれば、第一取付部の中央側部分がシート部材の周方向の一端から周方向へ張り出している構成に比べ、胴本体に配置されるシート部材の周方向に沿った範囲を大きくできる。
【0023】
第7態様の構成によれば、第一取付部が周方向へ自由に移動可能である構成に比べ、シート部材が胴本体に対して傾くことを抑制できる。
【0024】
第8態様の構成によれば、第一取付部が胴本体の径方向外側へ自由に移動可能である構成に比べ、シート部材の周方向の一端部が胴本体から浮き上がることを抑制できる。
【0025】
第9態様の構成によれば、胴本体全体を交換することなく、被取付部を交換できる。
【0026】
第10態様の構成によれば、シート部材の周方向の他端部に設けられた第二取付部において、シート部材の周方向の他端から周方向への張出部分のみが胴本体に取り付けられる構成に比べ、シート部材の周方向の他端部における軸方向の両側での胴本体からの浮き上がりを抑制できる。
【0027】
第11態様の構成によれば、シート部材の周方向の一端部及び他端部の各々と、シート部材の幅方向の一端部及び他端部の各々とが胴本体に対して取外可能に取り付けられる構成に比べ、シート部材が交換しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係る対向胴周辺の構成を示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係るグリッパを示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係る対向胴を示す側断面図である。
図5】第1実施形態に係るシート部材を示す展開図である。
図6】第1実施形態に係るシート部材の周方向一端部の取付状態を拡大して示す斜視図である。
図7】第1実施形態に係るシート部材の周方向一端部の取付状態を拡大して示す側断面図である。
図8】第1実施形態に係るシート部材の周方向他端部の取付状態を拡大して示す斜視図である。
図9】第1実施形態に係るシート部材の周方向他端部の取付状態を拡大して示す側断面図である。
図10】変形例に係るシート部材の周方向一端部の取付状態を拡大して示す斜視図である。
図11】変形例に係るシート部材の周方向一端部の取付状態を拡大して示す側断面図である。
図12】変形例に係る第一取付部材のねじ止めによる取付状態を拡大して示す平面図である。
図13】第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
<第1実施形態>
(画像形成装置10)
まず、第1実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって装置奥行方向(装置前後方向)を示す。各図に示す各部分同士のH方向、W方向、及びD方向の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。
【0030】
図1に示される画像形成装置10は、記録媒体Pにインク画像(画像の一例)を形成するインクジェット方式の画像形成装置である。具体的には、画像形成装置10は、画像形成部14と、搬送機構12と、対向胴50と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部(画像形成部14、搬送機構12及び対向胴50)について説明する。
【0031】
(画像形成部14)
画像形成部14は、搬送される記録媒体Pにインク画像を形成する機能を有している。具体的には、画像形成部14は、図1に示されるように、予め定められた吐出位置へインクを吐出する吐出部14Y、14M、14C、14K(以下、14Y~14Kという)を有している。
【0032】
吐出部14Y~14Kは、この順で、記録媒体Pの搬送方向の下流側へ向かって配置されている。また、吐出部14Y~14Kは、記録媒体Pの幅方向に沿って長くされている。なお、記録媒体Pの幅方向とは、搬送方向に対して交差する方向(具体的には、直交する方向)であって、装置前後方向に沿った方向である。
【0033】
そして、画像形成部14では、吐出部14Y~14Kが、サーマル方式、圧電方式等の公知の方式にて、搬送機構12で搬送される記録媒体Pにインク滴を吐出して、記録媒体Pにインク画像を形成する。
【0034】
(搬送機構12)
図1に示される搬送機構12は、記録媒体Pを搬送する機構である。搬送機構12は、図1及び図2に示されるように、一対のチェーン22と、グリッパ24と、を有している。なお、図1では、一対のチェーン22のうちの一方を示し、且つ、チェーン22及びグリッパ24を簡略化して示している。
【0035】
一対のチェーン22は、図1に示されるように、環状に形成されている。この一対のチェーン22は、図2に示されるように、装置奥行方向(図中のD方向)に間隔をおいて配置されている。この一対のチェーン22の各々は、対向胴50の軸方向両端側に設けられた一対のスプロケット25の各々と、一対のスプロケット45(図1参照)の各々と、に巻き掛けられている。そして、対向胴50と一対のスプロケット25とが一体に回転方向B(矢印B方向)へ回転駆動されることで、チェーン22が周回方向C(矢印C方向)へ周回する。
【0036】
一対のチェーン22には、図2に示されるように、グリッパ24が取り付けられた取付部材23が装置奥行方向に沿って掛け渡されている。取付部材23はチェーン22周回方向Cに沿って予め定められた間隔で複数が一対のチェーン22に固定されている。
【0037】
グリッパ24は、図2及び図3に示されるように、装置奥行方向に沿って予め定められた間隔で複数が取付部材23に取り付けられている。このグリッパ24は、記録媒体Pの先端部を保持する保持部として機能する。具体的には、グリッパ24は、図3に示されるように、爪24Aと爪台24Bとを有している。グリッパ24では、爪24Aと爪台24Bとの間に記録媒体Pの先端部を挟むことで記録媒体Pを保持する構成とされている。なお、グリッパ24は、例えば、爪24Aが爪台24Bに対してバネ等により押し付けられる共に、カム等の作用により爪24Aが爪台24Bに対して開閉される。
【0038】
搬送機構12では、記録媒体Pが収容された収容部(図示省略)から送られた記録媒体Pの先端部を、図3に示されるように、グリッパ24で保持する。記録媒体Pの先端部を保持したグリッパ24は、対向胴50の外周に形成された凹部54内に収容されると共に、該記録媒体Pは、対向胴50の外周面(具体的には、後述のシート部材60の外周面)に配置される。そして、対向胴50が回転方向Bへ回転駆動されてチェーン22が周回方向Cへ周回することで、グリッパ24と対向胴50とが一体に回転し、対向胴50の外周面に配置され且つグリッパ24で先端部が保持された記録媒体Pが、吐出部14Y~14Kの吐出位置へ搬送される。記録媒体Pは、対向胴50の後述のシート部材60の外周面に配置された状態で搬送されることで、平滑な状態を維持したまま吐出位置を通過する。
【0039】
(対向胴50)
対向胴50は、図1に示されるように、吐出部14Y~14Kに対向する胴部材である。具体的には、対向胴50は、図4に示されるように、胴本体の一例としての対向胴本体52と、対向胴本体52に巻き付けられるシート部材60と、第一取付部の一例としての第一取付部材61と、第二取付部の一例としての第二取付部材62と、を有している。なお、図1及び図2では、対向胴50を簡略化して示している。
【0040】
対向胴本体52は、図4に示されるように、その周方向の一部に軸方向に沿って単一の凹部54が形成された円筒状に形成されている。凹部54は、対向胴本体52の径方向に沿った深さを有している。対向胴本体52としては、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料が用いられている。なお、以下では、対向胴本体52(対向胴50)の軸方向を、単に「軸方向」と表現する場合がある。また、以下では、対向胴本体52(対向胴50)の径方向を、単に「径方向」と表現する場合がある。また、以下では、対向胴本体52(対向胴50)の周方向を、単に「周方向」と表現する場合がある。また、以下では、対向胴50の回転方向の上流を単に「上流」と表現し、対向胴50の回転方向の下流を単に「下流」と表現する場合がある。
【0041】
対向胴本体52の軸方向両端側には、図2に示されるように、前述の一対のスプロケット25が設けられている。この一対のスプロケット25は、対向胴本体52の同軸上に配置されており、対向胴本体52と一体に回転する構成とされている。
【0042】
図4に示されるように、シート部材60は、対向胴本体52に対して巻き付けられるシート状の部材である。具体的には、シート部材60は、対向胴本体52の外周面に対して、非接着で巻き付けられている。
【0043】
なお、「シート状」とは、紙や薄板などの形状であって、対向胴本体52の外周に沿って変形可能な性質を有することをいう。シート部材60の周方向における長さは、図4に示されるように、凹部54を除く対向胴本体52の周方向における長さとほぼ同じ長さとされている。
【0044】
シート部材60は、具体的には、弾性層で構成されている。該弾性層としては、例えば、発泡ゴムからなるゴム層が用いられる。該ゴム層としては、例えば、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリルニトリルブタジエンゴム、ヒドリンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム及び、それらの混合物が用いられる。なお、シート部材60は、その表面に表面層を有していてもよい。
【0045】
なお、対向胴本体52の外周面とシート部材60との間の摩擦係数は大きいことが望ましい。前述のように、シート部材60は、対向胴本体52の外周面に対して非接着であるため、当該摩擦係数が大きいことで、対向胴本体52の外周面に対してシート部材60がずれにくく、シート部材60の当該外周面からの浮き上がりが抑制される。摩擦係数は、例えば、シート部材60として選択される材料や、対向胴本体52の外周面との接触面になされる表面加工により、調整される。
【0046】
第一取付部材61は、図4及び図5に示されるように、シート部材60の周方向の一端部(具体的には、下流端部)における内周面に軸方向に沿って設けられている(図6及び図7も参照)。第二取付部材62は、シート部材60の周方向の他端部(具体的には、上流端部)における内周面に軸方向に沿って設けられている(図8及び図9も参照)。
【0047】
この第一取付部材61及び第二取付部材62は、接着剤及び両面テープなどの接合材65(図7及び図9参照)により、シート部材60に取り付けられている。
【0048】
第一取付部材61及び第二取付部材62は、図4図7に示されるように、径方向を厚み方向とする板状とされ、軸方向に長くされている。第一取付部材61及び第二取付部材62には、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料が用いられている。
【0049】
第一取付部材61及び第二取付部材62は、具体的には、図5に示されるように、シート部材60から軸方向の両側へ張り出した一対の張出部分61B、62Bと、一対の張出部分61B、62Bの間に配置された中央側部分61A、62Aと、を有している。
【0050】
第一取付部材61は、シート部材60の下流端に対する上流側に配置されており、中央側部分61Aは、シート部材60の厚み方向視(径方向視)にてシート部材60の範囲内に配置されている。換言すれば、シート部材60の厚み方向視(径方向視)にて、中央側部分61Aの全体がシート部材60と重なっている。なお、本実施形態では、シート部材60の下流端と第一取付部材61の下流端とは、シート部材60の厚み方向視(径方向視)にて、重なっている。
【0051】
一対の張出部分61Bには、ネジ63(図4及び図6参照)が通されネジ63の軸部よりも大きい通し孔61Cが形成されている。すなわち、ネジ63の軸部の軸径よりも、通し孔61Cの内径が大きくされている。ネジ63の軸部の軸径よりも、通し孔61Cの内径が大きいため、第一取付部材61は、通し孔61Cに通されたネジ63に対して、軸方向及び周方向に相対移動可能となっている。なお、通し孔61Cは、ネジ63の頭部よりも小さくされている。
【0052】
第二取付部材62は、シート部材60の上流端に対する下流側に配置されており、中央側部分62Aは、シート部材60の厚み方向視(径方向視)にてシート部材60の範囲内に配置されている。換言すれば、シート部材60の厚み方向視(径方向視)にて、中央側部分62Aの全体がシート部材60と重なっている。
【0053】
一対の張出部分62Bには、ネジ64(図4及び図8参照)が通され、ネジ64の軸部よりも大きい通し孔62Cが形成されている。すなわち、ネジ64の軸部の軸径よりも、通し孔62Cの内径が大きくされている。ネジ64の軸部の軸径よりも、通し孔62Cの内径が大きいため、第二取付部材62は、通し孔62Cに通されたネジ64に対して、軸方向及び周方向に相対移動可能となっている。なお、通し孔62Cは、ネジ64の頭部よりも小さくされている。
【0054】
図4に示されるように、対向胴本体52の凹部54内における底壁54Bの周方向一方側(上流側)には、底壁54Bよりも径方向外側へ向かって突出した段差部53が形成されている。この段差部53には、被取付部の一例としての被取付部材71が設けられている。被取付部材71は、第一取付部材61が取り付けられる部材である。
【0055】
被取付部材71は、対向胴本体52の軸方向に長くされると共に、径方向に沿った長さが周方向に沿った長さよりも長い略直方体形状に形成されている。この被取付部材71の軸方向両側壁における径方向内側の部分には、図4及び図6に示されるように、軸方向外側へ張り出す張出部73が形成されている。
【0056】
被取付部材71は、図4に示されるように、張出部73がネジ77によって、ねじ止めされることで、対向胴本体52の底壁54Bの周方向一方側で段差部53に取り付けられている。被取付部材71は、ネジ77を外すことで、対向胴本体52の段差部53から取り外し可能となっている。すなわち、被取付部材71は、対向胴本体52に対して着脱可能に取り付けられている。なお、張出部73に形成されネジ77が通される通し孔73Aは、図6に示されるように、周方向に沿って長くされた長孔とされている。
【0057】
そして、図4及び図6に示されるように、対向胴本体52に取り付けられた被取付部材71に対して、第一取付部材61の通し孔61C(図5参照)に通されたネジ63がねじ止めされる。これにより、一対の張出部分61Bが被取付部材71を介して対向胴本体52に取り付けられる。
【0058】
第一取付部材61は、ネジ63を外すことで、被取付部材71から取り外し可能となっている。すなわち、第一取付部材61は、被取付部材71を介して対向胴本体52に取外可能に取り付けられている。
【0059】
さらに、被取付部材71には、図6及び図7に示されるように、第一取付部材61が周方向の上流側に突き当てられて、シート部材60の一端部(下流端部)を対向胴本体52に対して位置決めする位置決部75が、設けられている。位置決部75は、図7に示されるように、第一取付部材61の径方向内側の内面61Nに接触する接触面75Aと、第一取付部材61の上流側の端面61Mに突き当たる突当面75Bと、を有している。
【0060】
第一取付部材61が、該内面61Nが接触面75Aに接触し且つ、該端面61Mが突当面75Bに突き当たることで、シート部材60の下流端部が対向胴本体52に対して位置決めされる。
【0061】
図4に示されるように、対向胴本体52の凹部54内における底壁54Bの周方向他方側(下流側)には、被取付部の一例としての被取付部材56が設けられている。被取付部材56は、シート部材60の周方向の他端部(上流端部)が取り付けられる部材である。
【0062】
被取付部材56は、図4図8及び図9に示されるように、板材58と、直方体形状の移動体59と、を有している。板材58は、対向胴本体52の軸方向に長くされると共に、周方向を厚み方向とする板状に形成されている。移動体59は、対向胴本体52の軸方向に長くされた直方体形状に形成されている。
【0063】
被取付部材56では、板材58がネジ51によって、ねじ止めされることで、対向胴本体52の凹部54における下流側の側壁54Aに取り付けられている。被取付部材56は、ネジ51を外すことで、対向胴本体52の側壁54Aから取り外し可能となっている。すなわち、被取付部材56は、対向胴本体52に対して着脱可能に取り付けられている。
【0064】
そして、図4及び図8に示されるように、対向胴本体52に取り付けられた被取付部材56の移動体59に対して、第二取付部材62の通し孔62C(図5参照)に通されたネジ64がねじ止めされる。これにより、一対の張出部分62Bが被取付部材56を介して対向胴本体52に取り付けられる。
【0065】
第二取付部材62は、ネジ64を外すことで、被取付部材56から取り外し可能となっている。すなわち、第二取付部材62は、被取付部材56を介して対向胴本体52に取外可能に取り付けられている。
【0066】
さらに、被取付部材56には、図9に示されるように、第二取付部材62が周方向の下流側に突き当てられて、シート部材60の他端部(上流端部)を対向胴本体52に対して位置決めする位置決部76が、設けられている。位置決部76は、第二取付部材62の径方向内側の内面62Nに接触する接触面76Aと、第二取付部材62の下流側の端面62Mに突き当たる突当面76Bと、を有している。
【0067】
第二取付部材62が、該内面62Nが接触面76Aに接触し且つ、該端面62Mが突当面76Bに突き当たることで、シート部材60の上流端部が対向胴本体52に対して位置決めされる。
【0068】
さらに、板材58には、図8及び図9に示されるように、上流側に向かって延びる複数のピン57が設けられている。複数のピン57は、図8に示されるように、軸方向に沿って配置されている。移動体59は、複数のピン57が挿し通されることで、ピン57を介して周方向(板材58の厚み方向)に沿って移動可能に板材58に取り付けられている。具体的には、移動体59は、図9に示されるように、移動体59に形成されたフランジ部59Aが、ピン57の頭部57Aに当たり、かつ、移動体59の端面59Bが板材58に当たる範囲で周方向へ移動可能とされている。そして、ピン57に取り付けられた圧縮バネ55が移動体59を上流側へ押している。これにより、移動体59に取り付けられた第二取付部材62が、上流側へ周方向に沿って押される。この結果、被取付部材71及び被取付部材56に取り付けられたシート部材60に周方向への張力が作用する。換言すれば、移動体59は、シート部材60に周方向への張力が作用する方向へ第二取付部材62を押している。
【0069】
以上のように、本実施形態では、シート部材60は、第一取付部材61及び第二取付部材62によって周方向の両端部でのみ対向胴本体52に対して取り付けられている。したがって、シート部材60は、対向胴本体52に対して取り付けられる周方向の両端部以外では、対向胴本体52の外周面に対して拘束されていない。換言すれば、対向胴50は、シート部材60の軸方向端部を周方向に沿って、対向胴本体52に取り付ける取付部などの、シート部材60の周方向の両端部以外の部分を拘束する部材を有していない。
【0070】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0071】
本実施形態では、前述のように、第一取付部材61によって、シート部材60の周方向一端部(下流端部)が対向胴本体52に取り付けられ、第二取付部材62によって、シート部材60の周方向他端部(上流端部)が対向胴本体52に取り付けられている(図4参照)。このため、シート部材60を交換する際には、第一取付部材61及び第二取付部材62を着脱することで、シート部材60の交換が可能となる。
【0072】
ここで、シート部材60の周方向の一端部及び他端部の各々と、シート部材の幅方向の一端部及び他端部の各々とが対向胴本体52に対して取外可能に取り付けられる構成(以下、構成Aという)では、シート部材60を交換する際に、シート部材60の周方向の一端部及び他端部の各々と、シート部材の幅方向の一端部及び他端部の各々とを対向胴本体52から取り外す必要があるため、シート部材60の交換が煩雑となる。
【0073】
これに対して、本実施形態では、第一取付部材61及び第二取付部材62を着脱することで、シート部材60の交換が可能であるので、構成Aに比べ、シート部材60の交換がしやすい。
【0074】
また、本実施形態では、第一取付部材61の一対の張出部分61Bに形成された通し孔61Cは、該通し孔61Cに通されるネジ63の軸部よりも大きくなっている。このため、第一取付部材61は、通し孔61Cに通されたネジ63に対して、軸方向及び周方向に相対移動可能となっている。
【0075】
したがって、通し孔61Cがネジ63の軸部と同じ大きさである構成に比べ、対向胴本体52の軸方向に対するシート部材60の周方向の一端部(下流端部)の姿勢を調整しやすい。
【0076】
また、本実施形態では、第二取付部材62の一対の張出部分62Bに形成された通し孔62Cは、該通し孔62Cに通されるネジ64の軸部よりも大きくなっている。このため、第二取付部材62は、通し孔62Cに通されたネジ64に対して、軸方向及び周方向に相対移動可能となっている。
【0077】
したがって、通し孔62Cがネジ64の軸部と同じ大きさである構成に比べ、対向胴本体52の軸方向に対するシート部材60の周方向の他端部(上流端部)の姿勢を調整しやすい。
【0078】
また、本実施形態では、図9に示されるように、移動体59が、圧縮バネ55により、シート部材60に周方向への張力が作用する方向へ第二取付部材62を押している。このため、第二取付部材62が被取付部材56を介さず対向胴本体52に直接固定される構成に比べ、シート部材60に生じるたるみが抑制される。
【0079】
また、本実施形態では、第一取付部材61におけるシート部材60から軸方向の両側へ張り出した一対の張出部分61Bが、被取付部材71を介して対向胴本体52に取り付けられる。
【0080】
このため、シート部材60の周方向の一端から周方向へ張り出した張出部分のみが対向胴本体52に取り付けられる構成に比べ、シート部材60の周方向の一端部(下流端部)における軸方向の両側での対向胴本体52からの浮き上がりが抑制される。
【0081】
また、本実施形態では、第二取付部材62におけるシート部材60から軸方向の両側へ張り出した一対の張出部分62Bが、被取付部材56を介して対向胴本体52に取り付けられる。
【0082】
このため、シート部材60の周方向の他端から周方向へ張り出した張出部分のみが対向胴本体52に取り付けられる構成に比べ、シート部材60の周方向の他端部(上流端部)における軸方向の両側での対向胴本体52からの浮き上がりが抑制される。
【0083】
また、本実施形態では、図6に示されるように、第一取付部材61の中央側部分61Aは、シート部材60の厚み方向視(径方向視)にてシート部材60の範囲内に配置されている。このため、第一取付部材61の中央側部分61Aが、シート部材60の周方向の一端から周方向へ張り出している構成(以下、構成Bという)に比べ、対向胴本体52に配置されるシート部材60の周方向に沿った範囲が大きくなる。
【0084】
この結果、グリッパ24で先端部が保持され且つ対向胴50の外周面に配置された記録媒体Pの先端に近い位置に、シート部材60が配置されるので、構成Bに比べ、記録媒体Pの先端に近い部分が、シート部材60の外周面に配置されることで平滑に維持される。したがって、構成Bに比べ、記録媒体Pの先端に近い部分にインク画像を形成可能となり、記録媒体Pの先端側の余白が小さくされる。
【0085】
また、本実施形態では、図6及び図7に示されるように、第一取付部材61が位置決部75に対して周方向の上流側に突き当てられて、位置決部75が、シート部材60の下流端部を対向胴本体52に対して位置決めする。
【0086】
このため、第一取付部材61が周方向へ自由に移動可能である構成に比べ、シート部材60の下流端部が対向胴本体52に対して傾くことが抑制される。
【0087】
また、本実施形態では、図9に示されるように、第二取付部材62が位置決部76に対して周方向の下流側に突き当てられて、位置決部76が、シート部材60の上流端部を対向胴本体52に対して位置決めする。
【0088】
このため、第二取付部材62が周方向へ自由に移動可能である構成に比べ、シート部材60の上流端部が対向胴本体52に対して傾くことが抑制される。
【0089】
第一取付部材61が取り付けられる被取付部材71、及び第二取付部材62が取り付けられる被取付部材56の各々は、対向胴本体52に対して着脱可能に取り付けられている。
【0090】
このため、被取付部材71、56が消耗した場合でも、対向胴本体52全体を交換することなく、被取付部材71、56を交換可能となる。
【0091】
(位置決部75の変形例)
位置決部の一例としては、位置決部75に替えて、図10及び図11に示される位置決部175を用いてもよい。位置決部175は、第一取付部材61の径方向内側の内面61Nに接触する接触面75Aと、第一取付部材61の周方向下流側の端面61Mに突き当たる突当面175Bと、を有している。
【0092】
本変形例では、第一取付部材61は、端面61Mが径方向外側を向くように傾斜している。また、突当面175Bは、径方向内側を向くように傾斜している。したがって、突当面175Bは、端面61Mに対して、周方向及び径方向において突き当たる。
【0093】
本変形例においても、第一取付部材61が、内面61Nが接触面75Aに接触し且つ、端面61Mが突当面75Bに突き当たることで、シート部材60の下流端部が対向胴本体52に対して位置決めされる。
【0094】
さらに、端面61Mが突当面75Bに対して、径方向に突き当たることで、第一取付部材61の径方向外側への移動が制限される。このように、位置決部175は、第一取付部材61が突当面75Bに突き当てられた状態において、第一取付部材61に径方向に当たって第一取付部材61の径方向外側への移動を制限する。
【0095】
なお、位置決部76についても、同様に、第二取付部材62が突当面76Bに突き当てられた状態において、第二取付部材62に径方向に当たって第二取付部材62の径方向外側への移動を制限するように構成してもよい。
【0096】
以上のように、本変形例では、位置決部175は、第一取付部材61が突当面75Bに突き当てられた状態において、第一取付部材61に径方向に当たって第一取付部材61の径方向外側への移動を制限する。
【0097】
このため、第一取付部材61が対向胴本体52の径方向外側へ自由に移動可能である構成に比べ、シート部材60の下流端部が対向胴本体52から浮き上がることが抑制される。
【0098】
(通し孔61Cの変形例)
通し孔の一例としては、通し孔61Cに替えて、図10及び図12に示される通し孔161Cを用いてもよい。通し孔161Cは、図12(A)に示されるように、ネジ63の頭部63Aよりも大きい。さらに、第一取付部材61には、通し孔161Cと連結された溝162が形成されている。溝162は、図12(A)に示されるように、ネジ63の軸部63Bよりも幅が大きく、ネジ63の頭部63Aよりも幅が小さくされている。なお、溝162は、通し孔61Cに対する反対側(下流側)へ開放されている。
【0099】
さらに、第一取付部材61が突当面75Bに突き当てられることで位置決部175によって位置決めされた状態において、溝162に位置する位置に、ネジ63が被取付部材71にねじ込まれる構成とされている(図10及び図12(B)参照)。
【0100】
本変形例では、通し孔161Cがネジ63の頭部63Aよりも大きいため、ネジ63を被取付部材71にねじ込んで仮取付した後に、該ネジ63の頭部63Aに通し孔161Cを通して、第一取付部材61を被取付部材71に配置可能となる(図12(A)参照)。その配置した第一取付部材61を突当面75Bに突き当てて位置決めすると、ネジ63の軸部63Bの位置に溝162が配置される(図12(B)参照)。そして、ネジ63をねじ込んで第一取付部材61が被取付部材71に取り付けられる。
【0101】
このように、ネジ63を被取付部材71に仮取付した後に、第一取付部材61を被取付部材71に配置して、第一取付部材61の取付作業が行えるため、通し孔161Cがネジ63の頭部63Aよりも小さい構成に比べ、第一取付部材61の取付作業の作業性が良い。
【0102】
(他の変形例)
本実施形態では、第一取付部材61及び第二取付部材62の各々は、被取付部材71及び被取付部材56の各々に対して、取り付けられていたが、これに限られない。例えば、第一取付部材61及び第二取付部材62の各々は、対向胴本体52に直接取り付けられる構成であってもよい。この場合は、例えば、第一取付部材61及び第二取付部材62の各々が、対向胴本体52に対してねじ止めされる。
【0103】
本実施形態では、第一取付部材61の一対の張出部分61Bに形成された通し孔61Cは、該通し孔61Cに通されるネジ63の軸部よりも大きくなっていたが、これに限られない。例えば、通し孔61Cがネジ63の軸部と同じ大きさである構成であってもよい。
【0104】
また、本実施形態では、第二取付部材62の一対の張出部分62Bに形成された通し孔62Cは、該通し孔62Cに通されるネジ64の軸部よりも大きくなっていたが、これに限られない。例えば、通し孔62Cがネジ64の軸部と同じ大きさである構成であってもよい。
【0105】
また、本実施形態では、図9に示されるように、移動体59が、圧縮バネ55により、シート部材60に周方向への張力が作用する方向へ第二取付部材62を押す構成とされていたが、これに限られない。例えば、第二取付部材62が被取付部材56を介さず対向胴本体52に固定される構成であってもよい。また、移動体59が、引張バネ等により、シート部材60に周方向への張力が作用する方向へ第二取付部材62を引っ張る構成であってもよい。
【0106】
また、本実施形態では、第一取付部材61におけるシート部材60から軸方向の両側へ張り出した一対の張出部分61Bが、被取付部材71を介して対向胴本体52に取り付けられていたが、これに限られない。例えば、シート部材60の周方向の一端から周方向へ張り出した張出部分のみが対向胴本体52に取り付けられる構成であってもよい。
【0107】
また、本実施形態では、第二取付部材62におけるシート部材60から軸方向の両側へ張り出した一対の張出部分62Bが、被取付部材56を介して対向胴本体52に取り付けられていたが、これに限られない。例えば、シート部材60の周方向の他端から周方向へ張り出した張出部分のみが対向胴本体52に取り付けられる構成であってもよい。
【0108】
また、本実施形態では、図6に示されるように、第一取付部材61の中央側部分61Aは、シート部材60の厚み方向視(径方向視)にてシート部材60の範囲内に配置されていたが、これに限られない。例えば、第一取付部材61の中央側部分61Aが、シート部材60の周方向の一端から周方向へ張り出している構成であってもよい。
【0109】
また、本実施形態では、図6及び図7に示されるように、第一取付部材61が位置決部75に対して周方向の上流側に突き当てられて、位置決部75が、シート部材60の下流端部を対向胴本体52に対して位置決めする構成とされていたが、これに限られない。例えば、第一取付部材61が対向胴本体52に対して周方向へ移動可能に取り付けられる構成であってもよい。
【0110】
また、本実施形態では、図9に示されるように、第二取付部材62が位置決部76に対して周方向の下流側に突き当てられて、位置決部76が、シート部材60の上流端部を対向胴本体52に対して位置決めする構成とされていたが、これに限られない。例えば、第二取付部材62が対向胴本体52に対して周方向へ移動可能に取り付けられる構成であってもよい。
【0111】
また、本実施形態では、第一取付部材61が取り付けられる被取付部材71、及び第二取付部材62が取り付けられる被取付部材56の各々は、対向胴本体52に対して着脱可能に取り付けられていたが、これに限られない。例えば、被取付部材71及び被取付部材56の少なくとも一方が、対向胴本体52に対して固定又は一体化された構成であってもよい。
【0112】
また、本実施形態では、第一取付部材61及び第二取付部材62の各々は、被取付部材71及び被取付部材56の各々に対して、ねじ止めにより取り付けられていたが、これに限られない。例えば、第一取付部材61及び第二取付部材62の各々は、被取付部材71及び被取付部材56の各々に対して、両面テープ等の粘着物により取り付けられる構成であってもよい。また、クランプ及びファスナなどの取付構造を用いて、第一取付部材61及び第二取付部材62の各々が、被取付部材71及び被取付部材56の各々に取り付けられる構成であってもよい。
【0113】
<第2実施形態>
(画像形成装置200)
第1実施形態では、画像形成装置10は、記録媒体Pにインクを用いて画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置であったが、画像形成装置としては、これに限られない。画像形成装置の一例としては、例えば、電子写真式の画像形成装置であってもよく、画像を形成する装置であればよい。第2実施形態では、電子写真式の画像形成装置200について説明する。図13は、本実施形態に係る画像形成装置200の構成を示す概略図である。なお、第1実施形態と同一機能を有する部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0114】
(画像形成部214)
画像形成装置200は、画像形成部14に替えて画像形成部214を有している。画像形成部214は、電子写真方式により記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する機能を有している。さらに具体的には、画像形成部214は、図13に示されるように、トナー像を形成するトナー像形成部222と、トナー像形成部222で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写装置217と、を有している。
【0115】
(トナー像形成部222)
図13に示されるトナー像形成部222は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部222が設けられている。図13に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0116】
なお、各色のトナー像形成部222は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部222を代表して、図13ではトナー像形成部222(K)の各部に符号を付している。
【0117】
各色のトナー像形成部222は、具体的には、一方向(例えば図13における反時計回り方向)に回転する感光体224を有している。また、各色のトナー像形成部222は、帯電器223と、露光装置240と、現像装置238と、を有している。
【0118】
各色のトナー像形成部222では、帯電器223が、感光体224を帯電させる。さらに、露光装置240が、帯電器223によって帯電された感光体224を露光して、感光体224に静電潜像を形成する。また、現像装置238が、露光装置240によって感光体224に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0119】
(転写装置217)
図13に示される転写装置217は、トナー像形成部222で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する装置である。具体的には、転写装置217は、各色の感光体224のトナー像を、中間転写体としての転写ベルト213に重ねて一次転写し、該重ねられたトナー像を記録媒体Pに二次転写する。転写装置217は、図13に示されるように、転写ベルト213と、一次転写ロール226と、転写胴250と、を備えている。
【0120】
一次転写ロール226は、各色の感光体224のトナー像を、感光体224と一次転写ロール226との間の一次転写位置T1にて転写ベルト213に転写させるロールである。本実施形態では、一次転写ロール226と感光体224との間に一次転写電界が印加されることで、感光体224に形成されたトナー像が、一次転写位置T1にて転写ベルト213に転写される。
【0121】
転写ベルト213は、各色の感光体224からトナー画像が外周面に転写される。この転写ベルト213は、図13に示されるように、無端状を成すと共に、正面視にて(装置奥行方向に見て)逆三角形状の姿勢となるように、複数のロール232及び対向ロール234に巻き掛けられている。転写ベルト213は、複数のロール232の少なくとも1個が回転駆動されることで、矢印A方向へ周回する。
【0122】
転写胴250は、転写ベルト213に転写されたトナー画像を、対向ロール234と転写胴250との間の二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写するロールである。本実施形態では、対向ロール234と転写胴250との間に二次転写電界が印加されることで、転写ベルト213に転写されたトナー画像が、二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写される。なお、転写胴250は、第1実施形態における対向胴50と同様に構成されている。
【0123】
(定着装置80)
本実施形態では、定着装置80は、転写胴250によって記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する装置として機能する。具体的には、定着装置80は、図13に示されるように、加圧ロール81と、加熱ロール82と、を有している。
【0124】
第1実施形態における一対のスプロケット45は、加圧ロール81の軸方向両端側に設けられている。この一対のスプロケット45は、加圧ロール81の同軸上に配置されており、加圧ロール81と一体に回転する構成とされている。また、加圧ロール81の外周には、グリッパ24及び取付部材23が収容される凹部84が形成されている。
【0125】
定着装置80では、加熱ロール82が、加圧ロール81に対する上方側に配置されている。この加熱ロール82は、ロール内部にハロゲンランプ等の加熱源82Aを有している。
【0126】
さらに、定着装置80では、例えば、加圧ロール81及び加熱ロール82の一方が回転駆動され、加圧ロール81及び加熱ロール82の他方が従動回転する。なお、加圧ロール81及び加熱ロール82の両方が回転駆動される構成であってもよい。
【0127】
そして、定着装置80では、加熱ロール82と加圧ロール81とで記録媒体Pを挟み込んだ状態で搬送しつつ、記録媒体Pを加熱及び加圧することで、記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する。
【0128】
画像形成装置200では、搬送機構12は、グリッパ24が記録媒体Pの先端部を保持した状態でチェーン22が周回方向Cへ周回することで、二次転写位置T2と、加圧ロール81と加熱ロール82との間の定着位置NPとに記録媒体Pを通過させる。そして、各色の一次転写位置T1で転写ベルト213に重ねて一次転写されたトナー像が、二次転写位置T2にて記録媒体Pに二次転写される。記録媒体Pに二次転写されたトナー像が定着位置NPにて記録媒体Pに定着される。
【0129】
本実施形態における転写胴250は、第1実施形態における対向胴50と同様に構成されており、本実施形態は、第1実施形態と同様の作用を奏する。
【0130】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0131】
10 画像形成装置
14 画像形成部
50 対向胴(胴部材の一例)
52 対向胴本体(胴本体の一例)
56 被取付部材
60 シート部材
61 第一取付部材(第一取付部の一例)
61A 中央側部分
61B 張出部分
61C 通し孔
62 第二取付部材(第二取付部の一例)
62A 中央側部分
62B 張出部分
63 ネジ
71 被取付部材
75 位置決部
161C 通し孔
162 溝
200 画像形成装置
214 画像形成部
P 記録媒体
図1
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