(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240903BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G03G21/00 386
G03G21/00 370
G06F3/12 305
(21)【出願番号】P 2020157229
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横橋 麻美
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-106486(JP,A)
【文献】特開2017-091303(JP,A)
【文献】特開2013-239152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
用紙の視認可能な特性と前記用紙の視認不可能な特性とに基づいて、前記用紙とは異なる別の用紙をユーザに提示する
ように制御する、
情報処理装置
であって、
前記プロセッサは、
前記視認可能な特性との間の差異が第1許容範囲内となる特性を有し、前記視認不可能な特定との間の差異が第2許容範囲内となる特性を有する前記別の用紙であって、前記用紙と比較するための予め定められたターゲットが定める白色との差異が第3許容範囲内となる色を有する前記別の用紙を、前記ユーザに提示するように制御し、
前記ターゲットは、印刷装置によって前記用紙上に印刷された画像の色と前記ターゲットが定める色との差異に基づいて、前記印刷装置の印刷の特性を評価するために用いられる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
用紙の視認可能な特性と前記用紙の視認不可能な特性とに基づいて、前記用紙とは異なる別の用紙をユーザに提示するように制御する、
情報処理装置であって、
前記視認不可能な特性は、印刷装置の性能に関する特性である、
ことを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項3】
前記視認可能な特性は、前記用紙の重さ及び前記用紙の種類の中の少なくとも1つの特性を含み、
前記視認不可能な特性は、前記用紙の平滑度を含む、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、更に、
前記視認可能な特性と前記視認不可能な特性とを含む用紙特性との差異の許容範囲を設定して、前記許容範囲内の特性を有する前記別の用紙を検索するためのユーザインターフェースを提供する
ように制御する、
ことを特徴とする請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータが、
用紙の視認可能な特性と前記用紙の視認不可能な特性とに基づいて、前記用紙とは異なる別の用紙をユーザに提示する、
ように動作させるためのプログラム
であって、
前記コンピュータが、
前記視認可能な特性との間の差異が第1許容範囲内となる特性を有し、前記視認不可能な特定との間の差異が第2許容範囲内となる特性を有する前記別の用紙であって、前記用紙と比較するための予め定められたターゲットが定める白色との差異が第3許容範囲内となる色を有する前記別の用紙を、前記ユーザに提示する、
よう動作させ、
前記ターゲットは、印刷装置によって前記用紙上に印刷された画像の色と前記ターゲットが定める色との差異に基づいて、前記印刷装置の印刷の特性を評価するために用いられる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
コンピュータが、
用紙の視認可能な特性と前記用紙の視認不可能な特性とに基づいて、前記用紙とは異なる別の用紙をユーザに提示する、
ように動作させるためのプログラムであって、
前記視認不可能な特性は、印刷装置の性能に関する特性である、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録媒体に色材を付着させて形成される色をターゲットの色に合わせる装置が記載されている。この装置は、色材の付着量の大きい領域についてはターゲットの色に追従しつつ、色材の付着量が小さくなるほど色合わせ対象の記録媒体の地色に近づく補正目標値を設定し、色合わせ対象の記録媒体に対して印刷し測色して得られた測色値が示す色と、補正目標値が示す色とのずれ量に基づいて、色材の付着量を補正する。
【0003】
特許文献2には、画像形成装置にセットされた画像形成媒体である使用媒体の分光反射特性から算出される特徴量に基づいて、使用媒体の色再現特性を近似可能な画像形成媒体を抽出する画像処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-244629号公報
【文献】特開2012-169866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、用紙に画像を印刷する場合において、ある用紙(例えば、ユーザが有する用紙や、ユーザが使用しようとする用紙等)とは異なる別の用紙をユーザが使用したいという場合があり得る。
【0006】
本発明の目的は、ある用紙の特性を用いて別の用紙をユーザに提示する仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、用紙の視認可能な特性と前記用紙の視認不可能な特性とに基づいて、前記用紙とは異なる別の用紙をユーザに提示するように制御する、情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記視認可能な特性との間の差異が第1許容範囲内となる特性を有し、前記視認不可能な特定との間の差異が第2許容範囲内となる特性を有する前記別の用紙であって、前記用紙と比較するための予め定められたターゲットが定める白色との差異が第3許容範囲内となる色を有する前記別の用紙を、前記ユーザに提示するように制御し、前記ターゲットは、印刷装置によって前記用紙上に印刷された画像の色と前記ターゲットが定める色との差異に基づいて、前記印刷装置の印刷の特性を評価するために用いられる、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0011】
請求項2に係る発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、用紙の視認可能な特性と前記用紙の視認不可能な特性とに基づいて、前記用紙とは異なる別の用紙をユーザに提示するように制御する、情報処理装置であって、前記視認不可能な特性は、印刷装置の性能に関する特性である、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記視認可能な特性は、前記用紙の重さ及び前記用紙の種類の中の少なくとも1つの特性を含み、前記視認不可能な特性は、前記用紙の平滑度を含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置である。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記プロセッサは、更に、前記視認可能な特性と前記視認不可能な特性とを含む用紙特性との差異の許容範囲を設定して、前記許容範囲内の特性を有する前記別の用紙を検索するためのユーザインターフェースを提供するように制御する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置である。
【0014】
請求項5に係る発明は、コンピュータが、用紙の視認可能な特性と前記用紙の視認不可能な特性とに基づいて、前記用紙とは異なる別の用紙をユーザに提示する、ように動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータが、前記視認可能な特性との間の差異が第1許容範囲内となる特性を有し、前記視認不可能な特定との間の差異が第2許容範囲内となる特性を有する前記別の用紙であって、前記用紙と比較するための予め定められたターゲットが定める白色との差異が第3許容範囲内となる色を有する前記別の用紙を、前記ユーザに提示する、よう動作させ、前記ターゲットは、印刷装置によって前記用紙上に印刷された画像の色と前記ターゲットが定める色との差異に基づいて、前記印刷装置の印刷の特性を評価するために用いられる、ことを特徴とするプログラムである。
請求項6に係る発明は、コンピュータが、用紙の視認可能な特性と前記用紙の視認不可能な特性とに基づいて、前記用紙とは異なる別の用紙をユーザに提示する、ように動作させるためのプログラムであって、前記視認不可能な特性は、印刷装置の性能に関する特性である、ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ある用紙の特性を用いて別の用紙をユーザに提示する仕組みが提供される。
【0016】
更に、ある用紙の特性との間の差異が許容範囲内となる特性を有する別の用紙がユーザに提示される。
【0017】
特に請求項1,5に係る発明によれば、ターゲットの白色との差異が許容範囲内となる白色を有する別の用紙がユーザに提示される。
【0018】
また特に請求項2,6に係る発明によれば、印刷装置の性能に応じた特性を用いて別の用紙をユーザに提示する仕組みが提供される。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、ある用紙の重さ及び種類の中の少なくとも1つと用紙の平滑度とを用いて別の用紙をユーザに提示する仕組みが提供される。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、ある用紙の特性を用いて別の用紙を検索するためのユーザインターフェースがユーザに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態に係る処理の流れの詳細を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態の係る処理の具体例を示すフローチャートである。
【
図15】変形例に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システムについて説明する。
図1には、本実施形態に係る情報処理システムの構成の一例が示されている。
【0023】
本実施形態に係る情報処理システムは、一例として、情報処理装置10と印刷装置12とを含む。情報処理装置10と印刷装置12は、例えば、LAN(Local Area Network)やインターネット等の通信経路を介して他の装置と通信する機能を有する。なお、情報処理システムは、他の装置(例えばサーバ等)を含んでもよい。
【0024】
情報処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)、ワークステーション、タブレットPC、スマートフォン又は携帯電話等である。
【0025】
印刷装置12は、記録媒体の一例である用紙に画像を印刷する装置である。印刷装置12の代わりに、印刷装置やスキャナ等を含む複合機が情報処理システムに含まれてもよい。後述するように、印刷装置12の特性が評価される場合があるが、印刷装置12の特性が評価されない場合、印刷装置12は情報処理システムに含まれなくてもよい。
【0026】
情報処理装置10は、印刷装置12や複合機とは別の装置であってもよいし、印刷装置12や複合機に組み込まれてもよい。
【0027】
図1を参照して、情報処理装置10のハードウェアの構成について説明する。情報処理装置10は、一例として、通信装置14と、UI16と、メモリ18と、プロセッサ20とを含む。
【0028】
通信装置14は、通信チップや通信回路等を有する通信インターフェースであり、他の装置に情報を送信する機能、及び、他の装置から送信されてきた情報を受信する機能を有する。通信装置14による通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0029】
UI16はユーザインターフェースであり、ディスプレイと操作装置とを含む。ディスプレイは、液晶ディスプレイやELディスプレイ等である。操作装置は、キーボードや入力キーやマウスや操作パネル等である。UI16は、ディスプレイと操作装置とを兼ね備えたタッチパネル等のUIであってもよい。
【0030】
メモリ18は、各種の情報を記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。メモリ18は、例えば、ハードディスクドライブ、各種のメモリ(例えばRAMやDRAMやROM等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。1又は複数のメモリ18が、情報処理装置10に含まれている。
【0031】
プロセッサ20は、情報処理装置10の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ20はメモリを有してもよい。
【0032】
本実施形態では、プロセッサ20は、用紙の特性に基づいて、当該用紙とは異なる別の用紙をユーザに提示するように構成されている。
【0033】
プロセッサ20は、予め定められたターゲットの色を基準として用紙をユーザに提示してもよい。ターゲットは、用紙の特性や印刷装置12の印刷の特性等を評価するために用いられる。例えば、プロセッサ20は、ターゲットが定める白色を基準として用紙をユーザに提示する。ターゲットは、印刷装置12によって用紙上に印刷された画像の色と当該ターゲットの色との差異に基づいて、印刷装置12の印刷の特性を評価するために用いられるものであってもよい。ターゲットは、カラーマネジメントシステム(CMS)に用いられるターゲットであって、例えば、ICC(International Color Consortium)に準拠したICCプロファイル(例えば、Japan Color 2011等のICCプロファイル)であってもよい。
【0034】
以下、
図2を参照して、情報処理装置10の機能について説明する。
図2には、情報処理装置10の機能的な構成が示されている。
図2に示されている各機能は、プロセッサ20によって実現される。その実現のためにメモリ18が用いられてもよい。
【0035】
用紙情報取得部22は、用紙の特性を示す情報(以下、「用紙情報」と称する)を取得するように構成されている。用紙の特性は、例えば、用紙の視認可能な特性と、用紙の視認不可能な特性とを含む。
【0036】
用紙の視認可能な特性は、用紙の見た目や外観に関する特性である。例えば、用紙の色(例えば、紙白のLab値等)、用紙の坪量、重さ、厚み、用紙の種類(以下、「用紙種」と称する)(例えば、コート紙、非コート紙、マットコート紙、エンボス用紙等)、及び、表面性(例えば、エンボス加工の模様、凹凸の加減等)等が、用紙の視認可能な特性の概念の範疇に含まれる。これら複数の特性の中の少なくとも1つの特性が、用紙の視認可能な特性として用いられる。例えば、用紙の重さ又は坪量、及び、用紙種の中の少なくとも1つの特性が、用紙の視認可能な特性として用いられる。
【0037】
用紙の視認不可能な特性は、用紙の見た目以外の特性であって、例えば、使用される印刷装置12の性能に関する特性である。印刷装置12の性能に関する特性は、例えば、印刷装置12による印刷の性能に影響を与える特性である。例えば、転写の性能に影響を与える特性(例えば、用紙の電気抵抗)、印刷の濃度に影響を与える特性(例えば、用紙の平滑度)、及び、用紙の搬送の性能に影響を与える特性(例えば、用紙の曲げこわさ)等が、用紙の視認不可能な特性の概念の範疇に含まれる。これら複数の特性の中の少なくとも1つの特性が、用紙の視認不可能な特性として用いられる。例えば、少なくとも用紙の平滑度が、用紙の視認不可能な特性として用いられる。
【0038】
用紙の特性が、用紙の視認可能な特性と視認不可能な特性の両方の特性に属している場合があり得る。例えば、コートや平滑度は、用紙の外観に関する特性でもあるし、印刷の性能に影響を与える特性でもある。このような特性は、用紙の視認可能な特性又は視認不可能な特性のいずれか一方の特性として扱われる。
【0039】
なお、印刷装置12の印刷の性能に影響を与えるか否かによって用紙の特性を分類してもよい。例えば、用紙の特性を、転写の性能に影響を与える特性と転写の性能に影響を与えない特性とに分けてもよい。
【0040】
例えば、用紙の色(例えば、紙白のLab値等)が測色器によって測定され、用紙情報取得部22は、その測定値を示す情報を取得する。また、当該用紙の他の特性がメディアセンサによって測定され、用紙情報取得部22は、その測定された特性を示す情報を取得する。以下では、説明の便宜上、測色器やメディアセンサによって特性が測定される用紙を、「第1用紙」と称することとする。第1用紙は、例えば、ユーザによって使用される用紙や、印刷装置12にて使用される用紙等である。もちろん、これらは用紙の一例であり、これら以外の用紙が第1用紙であってもよい。なお、第1用紙の特性を示す用紙情報がユーザによって入力され、用紙情報取得部22は、ユーザによって入力された用紙情報を取得してもよい。
【0041】
ターゲットが使用される場合、用紙情報取得部22は、ターゲットの特性を示すターゲット情報を取得する。ターゲット情報は、例えば、ICCプロファイル等である。用紙情報取得部22は、ユーザによって入力されたターゲット情報を取得してもよいし、ターゲット情報が記憶されている装置(例えばサーバや記憶媒体等)からターゲット情報を取得してもよい。
【0042】
また、用紙情報取得部22は、後述する用紙情報記憶部24から用紙情報を取得する。
【0043】
用紙情報記憶部24は、用紙のデータベースであり、例えば、複数の用紙の用紙情報を予め記憶する。用紙情報記憶部24は、情報処理装置10に設けられてもよいし、情報処理装置10以外の装置(例えば、サーバやクラウド上の装置等)に設けられてもよい。
【0044】
設定情報取得部26は、ユーザによって設定された、用紙の特性に関する設定情報を取得するように構成されている。例えば、ユーザが目標とする特性に関する設定情報が、UI16やユーザの端末装置(例えばPC)を用いて入力され、設定情報取得部26は、その入力された設定情報を取得する。
【0045】
判定部28は、用紙が使用することが可能な用紙であるか否かを判定するように構成されている。例えば、判定部28は、印刷装置12の性能に基づいて、用紙が印刷装置12によって印刷することが可能な用紙であるか否かを判定する。別の例として、判定部28は、用紙がカラーマネジメントシステム(CMS)に用いることが可能な用紙であるか否かを判定してもよい。その判定の結果は、結果UI30として、情報処理装置10やユーザの端末装置のディスプレイに表示される。
【0046】
設定変更部32は、各種の設定を変更するように構成されている。例えば、変更の対象となる項目をユーザが選択するための項目選択UI34が、ユーザに提供される。例えば、項目選択UI34が、情報処理装置10やユーザの端末装置のディスプレイに表示される。変更の対象となる項目は、例えば、目標値、ターゲット、又は、用紙の変更等である。目標値は、例えば、用紙の色とターゲットが定める色(例えば白色)との差異の許容範囲の値等である。用紙の変更は、推奨される用紙(以下、「推奨用紙」と称する)をユーザに提示することを含む。
【0047】
目標値設定部36は、目標値を変更するように構成されている。例えば、項目選択UI34にて、目標値が変更の対象の項目として選択された場合、目標値設定部36は、目標値を変更する。
【0048】
ターゲット変更部38は、ターゲットを変更するように構成されている。例えば、ターゲット変更部38は、ターゲットが変更の対象の項目として選択された場合、ターゲットを変更する。
【0049】
推奨用紙情報取得部40は、推奨用紙の用紙情報を取得して出力するように構成されている。例えば、判定部28は、第1用紙の視認可能な特性と当該第1用紙の視認不可能な特性とに基づいて、当該第1用紙とは異なる別の用紙である推奨用紙を検索する。より詳しく説明すると、判定部28は、第1用紙の視認可能な特性との差異が第1許容範囲内となる特性を有し、当該第1用紙の視認不可能な特性との差異が第2許容範囲内となる特性を有する推奨用紙を、用紙情報記憶部24である用紙のデータベースから検索する。推奨用紙情報取得部40は、その検索された推奨用紙の用紙情報を用紙情報記憶部24から取得する。推奨用紙に関する情報は、取得結果UI42としてユーザに提供される。例えば、推奨用紙に関する情報は、情報処理装置10やユーザの端末装置のディスプレイに表示される。
【0050】
以下、
図3を参照して、情報処理装置10による処理の流れの概要について説明する。
図3は、その処理の概要を示すフローチャートである。ここでは一例としてターゲットが用いられる。
【0051】
まず、用紙情報取得部22は、第1用紙の特性を示す用紙情報を取得する(S01)。第1用紙は、例えば、ユーザが使用する用紙や印刷装置12にて使用される用紙である。また、ターゲットが使用される場合、用紙情報取得部22は、当該ターゲットの特性を示すターゲット情報を取得する。
【0052】
次に、判定部28は、簡易判定処理を実行する(S02)。簡易判定処理は、第1用紙が使用することが可能な用紙であるか否かを簡易に判定する処理である。
【0053】
例えば、判定部28は、印刷装置12の性能に基づいて、第1用紙が印刷装置12によって印刷することが可能な用紙であるか否かを判定する。この場合、判定部28は、印刷装置12の性能を示す性能情報を印刷装置12又は別の装置(例えばサーバ等)から取得し、その性能情報が示す性能に基づいて、第1用紙が印刷装置12によって印刷することが可能な用紙であるか否かを判定する。例えば、印刷装置12が厚紙を印刷する性能を有していない場合において、第1用紙が厚紙に該当する場合、判定部28は、第1用紙が印刷装置12によって印刷することができない用紙であると判定する。この場合、判定部28は、警告を示す警告情報を出力する(S03)。警告情報は、例えばディスプレイに表示される。第1用紙が印刷装置12によって印刷することが可能な用紙であると判定された場合、処理はステップS04に移行する。
【0054】
また、判定部28は、第1用紙がカラーマネジメントシステム(CMS)に用いることが可能な用紙であるか否かを判定する。例えば、第1用紙の色が黒色であり、CMSに適していない場合、判定部28は、第1用紙がCMSに用いることができない用紙であると判定する。この場合、判定部28は、警告を示す警告情報を出力する(S03)。第1用紙がCMSに用いることが可能な用紙であると判定された場合、処理はステップS04に移行する。
【0055】
ステップS04では、判定部28は、詳細判定処理を実行する(S04)。詳細判定処理は、第1用紙の特性(つまり、第1用紙の視認可能な特性と視認不可能な特性)と、ターゲットの特性とに基づいて、第1用紙が使用することが可能な用紙であるか否かを判定する処理である。
【0056】
例えば、第1用紙の特性とターゲットの特性との差異が許容範囲に含まれる場合、判定部28は、第1用紙が使用することが可能な用紙であると判定する。この場合、処理はステップS05に移行し、その後の設定等が続行される(S05)。
【0057】
第1用紙の特性とターゲットの特性との差異が許容範囲に含まれない場合、判定部28は、第1用紙が使用することができない用紙であると判定する。この場合、処理はステップS06に移行し、目標値の変更、ターゲットの変更、又は、用紙の変更のいずれかの処理が選択される。その選択は、例えばユーザによって行われる。ここで選択された処理が実行される。例えば、目標値が変更されたり、ターゲットが変更されたり、推奨用紙がユーザに提示されたりする。
【0058】
以下、
図4を参照して、情報処理装置10による処理の流れの詳細について説明する。
図4は、その処理の詳細を示すフローチャートである。ここでは一例として、ターゲットが用いられ、推奨用紙がユーザに提示されるものとする。
【0059】
まず、用紙情報取得部22は、第1用紙の特性を示す用紙情報と、ターゲットの特性(例えばターゲットが定める紙白)を示すターゲット情報を取得する(S10)。
【0060】
また、用紙情報取得部22は、用紙のデータベース(DB)である用紙情報記憶部24に記憶されている各用紙の用紙情報を取得する(S11)。
【0061】
次に、判定部28は、第1判定処理を実行する(S12)。第1判定処理では、判定部28は、第1用紙の視認可能な特性との間の差異が第1許容範囲内となる特性を有する1又は複数の用紙を、用紙のデータベースである用紙情報記憶部24にて検索する。以下では、第1判定処理によって検索された1又は複数の用紙を、説明の便宜上、「第1検索結果」と称することとする。第1許容範囲は、ユーザによって変更されてもよい。
【0062】
次に、判定部28は、第2判定処理を実行する(S13)。第2判定処理では、判定部28は、第1用紙の視認不可能な特性との間の差異が第2許容範囲内となる特性を有する1又は複数の用紙を、第1検索結果から検索する。第2許容範囲は、ユーザによって変更されてもよい。以下では、第2判定処理によって検索された1又は複数の用紙を、説明の便宜上、「第2検索結果」と称することとする。
【0063】
以上のように、判定部28は、第1用紙の視認可能な特性との差異が第1許容範囲内となる特性を有し、かつ、第1用紙の視認不可能な特性との差異が第2許容範囲内となる特性を有する1又は複数の用紙を、用紙のデータベースから検索する。このように、第1用紙の特性に応じて異なる許容範囲を用いることで、用紙のデータベースから1又は複数の用紙が検索される。
【0064】
次に、判定部28は、色差判定処理を実行する(S14)。色差判定処理では、判定部28は、ターゲットが定める白色との差異が第3許容範囲内となる色を有する1又は複数の用紙を、第2検索結果から検索する。第3許容範囲は、ユーザによって変更されてもよい。以下では、色差判定処理によって検索された1又は複数の用紙を、説明の便宜上、「第3検索結果」と称することとする。
【0065】
色差判定処理によって検索された1又は複数の用紙(つまり第3検索結果)は、推奨用紙としてユーザに提示される。例えば、推奨用紙に関する情報がディスプレイに表示される(S15)。
【0066】
なお、ターゲットが用いられない場合、第2検索結果が、推奨用紙としてユーザに提示されてもよい。つまり、第1用紙の視認可能な特性との差異が第1許容範囲内となる特性を有し、かつ、第1用紙の視認不可能な特性との差異が第2許容範囲内となる特性を有する1又は複数の用紙が、推奨用紙としてユーザに提示されてもよい。例えば、推奨用紙に関する情報がディスプレイに表示される。
【0067】
以下、
図5を参照して、用紙のデータベース(DB)の具体例について説明する。
図5には、用紙のデータベース(DB)の一例が示されている。
図5に示されている情報は、用紙情報記憶部24に記憶されている。
【0068】
例えば、用紙のデータベースにおいては、用紙毎に、用紙名を示す情報と、用紙種を示す情報と、坪量の値と、平滑度の値と、電気抵抗の値と、用紙の白の値(例えばLab)とが対応付けられている。これらの情報は予め対応付けられてデータベースに登録される。
【0069】
具体例を挙げて説明すると、用紙Aは、非コートの用紙であり、その坪量は120[gsm]であり、その平滑度は50[sec]であり、その電気抵抗は10.0[logΩ]であり、用紙Aの白の値(例えばLab)は、(90,1,2)である。
【0070】
以下、
図6を参照して、本実施形態に係る処理の具体例について説明する。
図6は、その具体例を示すフローチャートである。
図6に示されている具体例は、
図4に示されている処理の具体例である。
【0071】
まず、用紙情報取得部22は、第1用紙の特性を示す用紙情報と、ターゲットの特性(例えばターゲットが定める紙白)を示すターゲット情報を取得する(S20)。
【0072】
また、用紙情報取得部22は、用紙のデータベース(DB)である用紙情報記憶部24に記憶されている各用紙の用紙情報を取得する(S21)。
【0073】
次に、判定部28は、第1判定処理を実行する。第1判定処理は、ステップS22,S23の処理を含む。ステップS22,S23の順番は逆であってもよい。以下、第1判定処理の具体例について説明する。なお、以下に説明する各数値は一例に過ぎず、各数値はユーザによって変更されてもよいし、使用される印刷装置12に応じて変更されてもよい。第2判定処理及び色差判定処理において用いられる各数値についても同様である。
【0074】
判定部28は、用紙のデータベースに登録されている用紙群から、第1用紙との関係で坪量の条件を満たさない用紙を除外する(S22)。具体的には、判定部28は、用紙のデータベースに登録されている用紙群から、第1用紙の坪量との差が-10~+10[gsm]の範囲外の用紙を除外する。換言すると、判定部28は、用紙のデータベースに登録されている用紙群の中から、第1用紙の坪量との差が-10~+10[gsm]の範囲に含まれる坪量を有する用紙を検索して抽出する。なお、-10~+10[gsm]が、上述した第1許容範囲の一例に相当する。
【0075】
また、判定部28は、用紙のデータベースに登録されている用紙群であってステップS22の処理によって除外されなかった用紙群から、第1用紙の用紙種と異なる用紙種の用紙を除外する(S23)。換言すると、判定部28は、用紙のデータベースに登録されている用紙群であってステップS22の処理によって抽出された用紙群の中から、第1用紙の用紙種と同じ用紙種の用紙を検索して抽出する。例えば、第1用紙がコート用紙である場合、非コート用紙は除外され、コート用紙が検索されて抽出される。
【0076】
ステップS22,S23にて除外されなかった1又は複数の用紙が、上述した第1検索結果に該当する。つまり、判定部28は、第1用紙の坪量との差が-10~+10[gsm]の範囲に含まれる坪量を有し、かつ、第1用紙の用紙種と同じ用紙種の用紙を、用紙のデータベースに登録されている用紙群の中から検索して抽出する。その抽出された1又は複数の用紙が、第1検索結果に該当する。
【0077】
次に、判定部28は、第2判定処理を実行する。第2判定処理は、ステップS24,S25を含む。ステップS24,S25の順番は逆であってもよい。
【0078】
判定部28は、第1検索結果である1又は複数の用紙から、第1用紙との関係で平滑度の条件を満たさない用紙を除外する(S24)。具体的には、判定部28は、第1検索結果である1又は複数の用紙から、第1用紙の平滑度との差が-20~+20[%]の範囲外の用紙を除外する。換言すると、判定部28は、第1検索結果である1又は複数の用紙の中から、第1用紙の平滑度との差が-20~+20[%]の範囲に含まれる平滑度を有する用紙を検索して抽出する。なお、-20~+20[%]が、上述した第2許容範囲の一例に該当する。
【0079】
また、判定部28は、第1検索結果である1又は複数の用紙であってステップS24の処理によって除外されなかった1又は複数の用紙から、第1用紙との関係で電気抵抗の条件を満たさない用紙を除外する(S25)。具体的には、判定部28は、第1検索結果である1又は複数の用紙であってステップS24の処理によって除外されなかった1又は複数の用紙から、第1用紙の電気抵抗との差が13[logΩ]以上となる電気抵抗を有する用紙を除外する。換言すると、判定部28は、第1検索結果である1又は複数の用紙であってステップS24の処理によって抽出された1又は複数の用紙の中から、第1用紙の電気抵抗との差が13[logΩ]未満となる電気抵抗を有する用紙を検索して抽出する。なお、13[logΩ]未満の値が、上述した第2許容範囲の一例に該当する。
【0080】
ステップS24,25によって除外されなかった1又は複数の用紙が、上述した第2検索結果に該当する。つまり、判定部28は、第1用紙の平滑度との差が-20~+20[%]の範囲に含まれる平滑度を有し、かつ、第1用紙の電気抵抗との差が13[logΩ]未満となる電気抵抗を有する用紙を、第1検索結果である1又は複数の用紙の中から検索して抽出する。その抽出された1又は複数の用紙が、第2検索結果に該当する。更に換言すると、判定部28は、第1用紙の坪量との差が-10~+10[gsm]の範囲に含まれる坪量を有し、第1用紙の用紙種と同じ用紙種であり、第1用紙の平滑度との差が-20~+20[%]の範囲に含まれる平滑度を有し、第1用紙の電気抵抗との差が13[logΩ]未満となる電気抵抗を有する用紙を、用紙のデータベースに登録されている用紙群の中から検索して抽出する。その抽出された用紙が、第2検索結果に該当する。
【0081】
次に、判定部28は、色差判定処理を実行する(S26)。色差判定処理では、判定部28は、第2検索結果である1又は複数の用紙から、ターゲットとの色差の条件を満たさない用紙を除外する。具体的には、判定部28は、第2検索結果である1又は複数の用紙から、ターゲットが定める白色の値(例えば白色のLab値)との差異が第3許容範囲外となる色の値(例えばLab値)を有する用紙を除外する。換言すると、判定部28は、第2検索結果である1又は複数の用紙の中から、ターゲットが定める白色の値(例えば白色のLab値)との差異が第3許容範囲に含まれる色の値(例えばLab値)を有する用紙を検索して抽出する。その抽出された用紙が、上述した第3検索結果に該当する。
【0082】
つまり、判定部28は、第1用紙の坪量との差が-10~+10[gsm]の範囲に含まれる坪量を有し、第1用紙の用紙種と同じ用紙種であり、第1用紙の平滑度との差が-20~+20[%]の範囲に含まれる平滑度を有し、第1用紙の電気抵抗との差が13[logΩ]未満となる電気抵抗を有し、ターゲットが定める白色の値(例えば白色のLab値)との差異が第3許容範囲に含まれる色の値(例えばLab値)を有する用紙を、用紙のデータベースに登録されている用紙群の中から検索して抽出する。その抽出された用紙が、第3検索結果に該当する。
【0083】
なお、第1判定処理、第2判定処理及び色差判定処理の順番は上記の順番に限られず、その順番はどのような順番であってもよい。つまり、ステップS22~S26の順番は一例に過ぎず、その順番はどのような順番であってもよい。
【0084】
第3検索結果である1又は複数の用紙は、推奨用紙としてユーザに提示される(S27)。例えば、推奨用紙に関する情報(例えば、用紙名や各特性を示す情報)が、ディスプレイに表示される。
【0085】
なお、ターゲットが用いられない場合(つまり、ターゲットを基準として用紙を検索しない場合)、第2検索結果である1又は複数の用紙が、推奨用紙としてユーザに提示されてもよい。つまり、第1用紙の坪量との差が-10~+10[gsm]の範囲に含まれる坪量を有し、第1用紙の用紙種と同じ用紙種であり、第1用紙の平滑度との差が-20~+20[%]の範囲に含まれる平滑度を有し、第1用紙の電気抵抗との差が13[logΩ]未満となる電気抵抗を有する用紙が、推奨用紙としてユーザに提示されてもよい。また、第1検索結果がユーザに提示されてもよい。第1検索結果及び第2検索結果は、ターゲットが用いられる場合にもユーザに提示されてもよい。
【0086】
以下、
図7から
図14を参照して、ユーザに提供されるユーザインターフェースの一例について説明する。
図7から
図14には、各場面で提供されるユーザインターフェースの一例が示されている。例えば、メッセージが表示される画面や、各種の設定を行うための画面が、ユーザインターフェースの一例として、情報処理装置10又はユーザの端末装置のディスプレイに表示される。
【0087】
上述した
図5中のステップ04にて、第1用紙が使用可能であると判定された場合、
図7に示されている画面44がディスプレイに表示される。例えば、第1用紙が印刷装置12にて印刷することが可能な用紙であると判定された場合、画面44が表示される。画面44には、「設定に問題がない」ことを示すメッセージが表示される。
【0088】
上述した
図4中のステップS04にて、第1用紙が使用することができないと判定された場合(例えば、第1用紙の特性とターゲットの特性との差異が許容範囲に含まれない場合)、
図8に示されている画面46がディスプレイに表示される。画面46には、「第1用紙がターゲットに適さない用紙である」ことを示すメッセージが表示される。また、条件の変更を指示するためのボタン(例えば「はい」ボタン)が画面46に表示される。
【0089】
ユーザが画面46上で条件の変更を指示した場合(例えば、「はい」ボタンを押した場合)、
図9に示されている画面48がディスプレイに表示される。画面48は、目標値又はターゲットの変更をユーザが指示するための画面である。
【0090】
ユーザが画面48上で目標値の変更を指示した場合(例えば、「目標値の変更」ボタンを押した場合)、
図10に示されている画面50がディスプレイに表示される。例えば、推奨の目標値(例えば目標の許容範囲)が自動的に算出される場合、その値が画面50に表示される。もちろん、ユーザが目標値を設定してもよい。
【0091】
ユーザが画面48上でターゲットの変更を指示した場合(例えば、「ターゲットの変更」ボタンを押した場合)、
図11に示されている画面52がディスプレイに表示される。例えば、使用される第1用紙の色との差異が許容範囲に含まれる白色を定めるターゲットが、推奨のターゲットとして画面52に表示される。例えば、ターゲットの名称等が画面52に表示される。ターゲットが、印刷装置12の印刷の特性を評価するために用いられるICCプロファイルである場合、第1用紙の色に適したICCプロファイルを示す情報が、推奨のターゲットを示す情報として表示される。
【0092】
また、第1用紙の特性とターゲットの特性との差異が許容範囲に含まれない場合、
図12に示すように、推奨用紙の検索を指示するための画面54がディスプレイに表示されてもよい。例えば、第1用紙が印刷装置12にて印刷することが可能な用紙であっても、第1用紙の特性とターゲットの特性との差異が許容範囲に含まれない場合、画面54が表示される。
【0093】
ユーザが画面54上で推奨用紙の検索を指示した場合(例えば、「推奨用紙の検索」ボタンを押した場合)、第1判定処理、第2判定処理及び色差判定処理(
図4,6参照)が実行され、その検索の結果がディスプレイに表示される。例えば、
図13に示されている画面56がディスプレイに表示される。画面56には検索の結果が表示される。例えば、複数の推奨用紙が検索され、各推奨用紙の特性に応じた順番で表示される。例えば、ターゲットが定める白色に近い色を有する推奨用紙ほど上位に表示され、第1用紙(
図13中の使用用紙)の色に近い色を有する推奨用紙ほど下位に表示される。その表示順は逆であってもよい。
図13に示す例では、「A紙」が、推奨用紙群の中でターゲットが定める白色に最も近い色を有する用紙であり、最上位に表示されている。
【0094】
なお、第1用紙が印刷装置12にて使用することができるか否かに関わらず、
図13に示されている画面56が表示されてもよい。例えば、
図5,6に示されている処理が実行されることで、上述した第3検索結果である1又は複数の用紙が推奨用紙として抽出され、その第3検索結果を示す画面56が表示されてもよい。
【0095】
また、推奨用紙を検索するためのオプションがユーザによって設定されてもよい。
図14には、検索オプションを設定するための画面58が示されている。画面58は、第1用紙の視認可能な特性と視認不可能な特性とを含む用紙特性との差異の許容範囲を設定して、その許容範囲内の特性を有する別の用紙を検索するためのユーザインターフェースの一例である。画面58には、用紙の特性(例えば、視認可能な特性と視認不可能な特性)である検索項目と、その特性の許容範囲とが表示される。
図14に示す例では、坪量、厚み、用紙タイプ(つまり用紙種)及び平滑性が、検索項目として表示されている。これらは一例に過ぎず、他の特性が検索項目として表示されて、許容範囲が設定されるようにしてもよい。
【0096】
画面58上にて、各検索項目の許容範囲がユーザによって変更されるようになっている。例えば、「近い」から「遠い」という範囲で許容範囲が設定される。「近い」特性は、第1用紙の特性との差異が小さいことを意味する。「遠い」特性は、第1用紙の特性との差異が大きいことを意味する。例えば、坪量に関しては、比較的に「近い」特性に許容範囲が設定されており、厚みに関しては、比較的に「遠い」特性に許容範囲が設定されている。ユーザは画面58上にて、各設定項目の許容範囲を変更することができる。
【0097】
また、各検索項目にはチェックボックスが紐付けられており、ユーザによってチェックされたチェックボックスに紐付けられている検索項目が、推奨用紙の検索キーとして検索に用いられる。例えば、坪量、用紙タイプ及び平滑性のそれぞれのチェックボックスがチェックされており、これらが検索キーとして用いられる。厚みのチェックボックスはチェックされていないため、厚みは検索キーとして用いられない。
【0098】
画面58上にて各検索項目の許容範囲がユーザによって設定されて、ユーザによって検索の指示が与えられると、プロセッサ20は、その設定された各検索項目を検索キーとして用いて、用紙のデータベースに登録されている用紙群の中から、各検索項目の許容範囲に含まれる用紙を推奨用紙として検索する。例えば、上述した第1判定処理と第2判定処理が実行されることで、推奨用紙が検索される。
図14に示す例では、プロセッサ20は、第1用紙の坪量に比較的に近い坪量を有し、第1用紙の用紙種と同じ用紙種であり、第1用紙の平滑性に比較的に近い平滑性を有する用紙を、推奨用紙として検索する。
【0099】
なお、画面58上にて、上記の各検索項目の許容範囲と共に、ターゲットが定める白色との差異の許容範囲がユーザによって設定されてもよい。この場合、上述した色差判定処理が更に実行され、ターゲットが定める白色との差異が許容範囲内となる色を有する用紙が、推奨用紙として検索される。なお、上記の各検索項目の許容範囲が設定されずに、ターゲットが定める白色との差異の許容範囲のみがユーザによって設定されて、推奨用紙が検索されてもよい。
【0100】
図14に示されている例とは別の例として、第1用紙に関わらず(つまり、第1用紙を基準とせずに)、推奨用紙を検索するための検索画面が表示されてもよい。その検索画面は、用紙の視認可能な特性と視認不可能な特性とを含む用紙特性を設定して、その設定された用紙特性を有する用紙を推奨用紙として検索するためのユーザインターフェースの一例である。
【0101】
その検索画面には、画面58と同様に、用紙の特性に対応する検索項目(例えば、坪量、厚み、用紙タイプ、平滑性等)が表示される。その検索画面上にて、許容範囲の代わりに、検査項目毎に特性の数値等が設定される。例えば、坪量や厚みや平滑性等の特性の数値が設定され、用紙種(例えば、コート紙又は非コート紙等)が設定される。プロセッサ20は、その検索画面上で設定された各特性を有する用紙を推奨用紙として検索する。
【0102】
設定された各特性の数値に対して許容範囲が設定されてもよい。この場合、プロセッサ20は、各特性の許容範囲に含まれる特性を有する用紙を推奨用紙として検索する。例えば、プロセッサ20は、設定された坪量の許容範囲内に含まれる坪量を有し、設定された厚みの許容範囲内に含まれる厚みを有し、設定された平滑性の許容範囲内に含まれる平滑性を有し、設定された用紙種と同じ用紙種の用紙を、推奨用紙として検索する。このようにして検索された推奨用紙は、第1用紙を基準として検索された用紙ではない。
【0103】
以下、本実施形態の適用例について説明する。以下に示す適用例は一例に過ぎず、他の適用例が実行されてもよい。
【0104】
(適用例1)
例えば、ターゲットを用いずに、上述した第1判定処理及び第2判定処理(
図4,6参照)が実行されることで、第1用紙の特性(つまり視認可能な特性と視認不可能な特性)との差異が許容範囲内となる特性を有する推奨用紙が検索され、その推奨用紙がユーザに提示される。推奨用紙の特性と第1用紙の特性との差異が許容範囲に含まれるため、例えば、推奨用紙に画像が印刷された場合、推奨用紙に対する印刷の結果(つまり印刷物の仕上がり)は、第1用紙に対する印刷の結果に比較的に似ている。つまり、第1用紙の特性との差異が許容範囲外となる特性を有する用紙に対する印刷の結果と比べて、推奨用紙に対する印刷の結果は、第1用紙に対する印刷の結果により似ることになる。換言すると、第1判定処理及び第2判定処理が実行されることで、第1用紙に対する印刷の結果に比較的に似ている印刷の結果が得られる用紙であって、第1用紙の色とは異なる色を有する用紙が、推奨用紙としてユーザに提示される。例えば、第1用紙が、ユーザが印刷装置12にて使用しようとしている用紙である場合、その用紙に対する印刷の結果に比較的に似ている印刷の結果が得られるが、その用紙の色とは異なる色を有する用紙が、推奨用紙として提示される。
【0105】
(適用例2)
また、ターゲットが用いられ、上述した第1判定処理、第2判定処理及び色差判定処理(
図4,6参照)が実行されることで、第1用紙の特性(つまり視認可能な特性と視認不可能な特性)との差異が許容範囲内となる特性を有し、かつ、ターゲットが定める白色との差が許容範囲内となる色を有する推奨用紙が検索され、その推奨用紙がユーザに提示される。この場合、ターゲットが定める白色との差異が許容範囲外となる色を有する用紙と比べて、ターゲットが定める白色により近い色を有する用紙が推奨用紙として提示される。
【0106】
例えば、ターゲットは、印刷装置12の印刷の特性の評価に用いられるプロファイル(例えばICCプロファイル)である。また、当該ターゲットを用いて印刷装置12の印刷の特性を評価するために、当該ターゲットが定める色に従って、当該印刷装置12によって推奨用紙に画像が印刷される。例えば、第1用紙の代わりに推奨用紙に画像が印刷される。例えば、ターゲットは、色の値毎に、C(シアン)成分、M(マゼンタ)成分、Y(イエロー)成分及びK(ブラック)成分と、印刷装置やディスプレイ等のデバイスに依存しない色空間上の値であるLab値と、の対応付けを示す。当該印刷装置12は、CMYK成分を用いて印刷する。例えば、ターゲットに従って、CMYK成分の組み合わせ毎に、CMYK成分の組み合わせで表現されるパッチが推奨用紙に印刷される。推奨用紙に印刷された各パッチの色が測色器によって測定され、各パッチのLab値が得られる。推奨用紙上のパッチの測色値(つまりLab値)と、ターゲットが定めるLab値であって当該パッチに対応するCMYK成分に対応するLab値と、が比較され、その比較結果に基づいて、当該印刷装置12の印刷の特性が評価される。例えば、測定されたLab値とターゲットが定めるLab値との差に応じた色変換プロファイルを、当該印刷装置12に設定することが考えられる。
【0107】
適用例2では、ターゲットが定める白色により近い色を有する推奨用紙を用いて、印刷装置12の印刷の特性が評価される。つまり、推奨用紙の色とターゲットが定める白色との差異が許容範囲に含まれるため、ターゲットが定める白色との差異が許容範囲外となる色を有する用紙を用いて印刷装置12の印刷の特性を評価する場合と比べて、ターゲットが定める白色により近い色を有する用紙を用いて、印刷装置12の印刷の特性が評価される。
【0108】
印刷装置12の印刷の特性の評価に用いられる用紙の色と、ターゲットが定める白色との差異が大きいほど、その評価の精度が低下し得る。適用例2では、ターゲットが定める白色により近い色を有する推奨用紙を用いて、印刷装置12の印刷の特性が評価されるため、その評価の精度の低下が抑制又は防止される。
【0109】
例えば、ユーザが選択して使用しようとする第1用紙の色と、ユーザが選択して使用しようとするターゲットが定める白色との差異が許容範囲外である場合、印刷の特性の評価の精度が低下し得る。推奨用紙を用いることで、その精度の低下が抑制又は防止される。
【0110】
なお、上述したように、第1用紙に応じてターゲットが変更されたり、第1用紙に適したターゲットが推奨されたりしてもよい。
【0111】
適用例2の変形例として、第1用紙を用いて印刷装置12の印刷の特性を評価した場合において、評価の精度が悪い場合や、第1用紙の色とターゲットが定める白色との差異が大きい場合に、推奨用紙がユーザに提示されてもよい。以下、
図15を参照して、この処理について説明する。
図15は、変形例に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【0112】
まず、ターゲットが定める色に従って、ユーザが選択した第1用紙に印刷装置12によって複数のパッチが印刷される。
【0113】
次に、第1用紙に印刷された各パッチが測色器によって測定される(S30)。これにより、各パッチの色の値(例えばLab値)が得られる。
【0114】
次に、プロセッサ20は、測定された各パッチの色の値とターゲットが定める各パッチの色の値との差(つまり色差)を算出する(S31)。
【0115】
ステップS31にて算出された色差の精度が目標値を満たす場合(S32,Yes)、処理は終了する。この場合、推奨用紙はユーザに提示されない。ユーザは、第1用紙を用いて印刷装置12の印刷の特性を評価することになる。
【0116】
ステップS31にて算出された色差の精度が目標値を満たさない場合において(S32,No)、第1用紙の色とターゲットが定める白色との差異が閾値以上ではない場合(S33,No)、処理は終了する。つまり、その差異が閾値未満である場合、処理は終了する。この場合、推奨用紙はユーザに提示されない。ユーザは、第1用紙を用いて印刷装置12の印刷の特性を評価することになる。
【0117】
第1用紙の色とターゲットが定める白色との差異が閾値以上である場合において(S33,Yes)、推奨用紙の検索の指示がユーザによって与えられない場合(S34,No)、処理は終了する。この場合、推奨用紙はユーザに提示されない。ユーザは、第1用紙を用いて印刷装置12の印刷の特性を評価することになる。
【0118】
推奨用紙の検索の指示がユーザによって与えられた場合(S34,Yes)、推奨用紙の検索処理が実行される(S35)。例えば、
図5,6に示されているフローチャートに従って推奨用紙が検索される。
【0119】
変形例のように、第1用紙を用いて評価を行った後に、推奨用紙がユーザに提示されてもよい。
【0120】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0121】
10 情報処理装置、12 印刷装置、20 プロセッサ。