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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
F24F1/0007 401E
F24F1/0007 401Z
F24F13/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020166118
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057723
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 良樹
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-096524(JP,U)
【文献】特開平03-177721(JP,A)
【文献】実開平04-095216(JP,U)
【文献】特開2016-114336(JP,A)
【文献】特開2004-108708(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0129179(US,A1)
【文献】実開昭58-087015(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋の天井空間に収納される本体ユニットと、
前記本体ユニットの内部に取り付けられる送風機及び室内熱交換器と、
前記本体ユニットの外部側に配置されて電装部品を収納する電装箱と、を備える空気調和機において、
前記電装箱は底面と側面が露出するように前記本体ユニットに設置され、
前記電装箱は、前記底面に開口する第1点検口と、前記側面に開口する第2点検口と、を有し、
前記第1点検口は第1点検蓋を備え、前記第2点検口は第2点検蓋を備え、
前記第1点検蓋と前記第2点検蓋とは分離しており、
前記第1点検口と前記第2点検口との間には、支持部材としての補強桟が設けられていることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記電装箱は、前記本体ユニットの側面に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第1点検口の開口面積は前記第2点検口の開口面積より小さいことを特徴する請求項1又は2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記本体ユニットは、前面に取り付けられて前記本体ユニットから吹き出される空気流の向きを下方側へガイドする吹出チャンバと、
底面に開閉自在に取り付けられて、前記本体ユニットの底面、前記電装箱の底面及び前記吹出チャンバの底面を覆う化粧パネルと、を有していること特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記吹出チャンバの一方の側面は、前記本体ユニットの側面側に露出している前記電装箱の側面よりも突出していること特徴とする請求項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、室内の空調を行う室内機の本体ユニットが天井裏に設置される空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本体が天井裏内に埋め込まれて設置されて、室内の空調を行う空調機(空気調和機)であって、本体下方の天井板に本体とほぼ同じ大きさの点検口を設け、この点検口を開いて、下方より本体内部の電装部品のメンテナンスを行う空気調和機が開示されている。この空気調和機の本体の下面には、本体内部の電装部品をメンテナンスするための開口と、その開口を閉じるための電装カバーが取り外し可能に設けられている。
【0003】
また、特許文献2には、本体ユニットが天井裏内に埋め込まれて設置されて、室内の空調を行う空気調和機であって、側方より本体ユニット内部の電装品のメンテナンスを行う空気調和機が開示されている。この空気調和機の本体ユニットの側面には、本体ユニット内部の電装部品をメンテナンスするための点検口と、その点検口を閉じるための蓋板が取り外し可能に設けられている。
【0004】
特許文献2に開示された空気調和機の場合、一般的に、本体ユニットの近くの天井板にメンテナンスパネルが設けられており、本体ユニット内部の電装部品のメンテナンスを行うときは、このメンテナンスパネルを外して作業者が天井空間内に入り込み、蓋板を取り外してから、本体ユニットの側面に設けた点検口を通してメンテナンスを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平3-191228号公報
【文献】WO2013/129527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された空気調和機の場合、本体内部の電装部品のメンテナンスを行うときは、本体の下面に設けられた開口を通して行うが、本体の下面に設けられた開口から工具を入れたり、手を入れたりするため、その工具や手が邪魔になって内部を良く視認できず、作業性が悪いという問題があった。
【0007】
一方、特許文献2に開示された空気調和機の場合、本体ユニット内部の電装部品のメンテナンスを行うときは、本体ユニットの側面に設けられた点検口を通して行うが、本体ユニットの側面に設けられた点検口から工具を入れたり、手を入れたりするため、特許文献1に開示された空気調和機の場合と同様に、その工具や手が邪魔になって内部を良く視認できず、作業性が悪いという問題があった。
【0008】
また、本体ユニット下方の天井板にメンテナンスパネルが設けられている場合であっても、ユニット本体内部の電装部品をメンテナンスするための点検口が本体ユニットの側面に設けられているため、作業者が天井空間内に入り込み、本体ユニットの側面に設けた点検口からメンテナンスを行う必要があり、作業性が悪いという問題もあった。
【0009】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、室内を空調する室内機の本体ユニットが天井裏に設置される空気調和機における、本体ユニットの電装品をメンテナンスする際の作業性を向上させる空気調和機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、家屋の天井空間に収納される本体ユニットと、本体ユニットの内部に取り付けられる送風機及び室内熱交換器と、本体ユニットの外部側に配置されて電装部品を収納する電装箱と、を備える空気調和機において、電装箱は底面と側面が露出するように本体ユニットに設置され、電装箱は、底面に開口する第1点検口と、側面に開口する第2点検口と、を有し、第1点検口は第1点検蓋を備え、第2点検口は第2点検蓋を備え、第1点検蓋と第2点検蓋とは分離している空気調和機である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、室内を空調する室内機の本体ユニットが天井裏に設置される空気調和機における、本体ユニットの電装品をメンテナンスする際の作業性を向上させる空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機であって、下方の背面側から見た斜視図である。
図1B】本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機であって、上方の前面側から見た斜視図である。
図2A】本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機から化粧パネルを取り外した状態であって、本体ユニットに吹出チャンバが取付いた状態を下方の前面側から見た斜視図である。
図2B】本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機から化粧パネルを取り外した状態であって、本体ユニットと吹出チャンバが分離した状態を下方の前面側から見た斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る空気調和機の電装箱を下方の背面側から見た斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る空気調和機の吹出チャンバを下方の背面側から見た斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機であって、天井に取り付いた室内機から化粧パネルを取り外した状態を下方の前面側から見た斜視図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る空気調和機を下方の前面側から見た斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る空気調和機の室内機であって、天井に取り付いた室内機を下方の前面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る空気調和機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例
【0014】
図1A、1B、図2A、2Bを参照して、室内機1及び本体ユニット2について説明する。図1Aは、室内機1が室内の天井に設置されて室内を空調する天井埋込型空気調和機であって、室内機1の本体ユニット2が天井裏に設置される実施形態を下方から見た斜視図である。室内機1は、本体ユニット2の四隅にある吊り金具22に係止されるボルト(図視無し)によって、家屋の天井上壁から吊り下げて設置する。
【0015】
まず、室内機1について説明する。室内機1は、天井裏に設置される本体ユニット2と、本体ユニット2の前面に取り付く吹出チャンバ40と、本体ユニット2の左方側に配置され図示しない電装部品を収納する電装箱30と、天井の室内側に配置されて本体ユニット2の底面に取付く化粧パネル3を有している。化粧パネル3は、後方側に室内の空気を本体ユニット2内に吸い込む吸込口5と、前方側に本体ユニット2からの空気流を吹き出す開閉可能な吹出口6を備えている。本体ユニット2は内部に室内熱交換器19(図2B参照)と送風機としてのシロッコファン20とを備え、室内熱交換器19を流れる冷媒と化粧パネル3の吸込口5から吸い込まれた空気が熱交換し、熱交換した空気が、後述する吹出チャンバ40の底面側に形成されたチャンバ吹出口46を介して化粧パネル3の吹出口6から吹出される。吸込口5は、塵やごみなどを取り除くフィルタ7が取付けられた吸込グリル4で覆われている。
【0016】
なお、図1Aにおける室内機1において、化粧パネル3側の方向を底面または下方、化粧パネル3と反対側となる方向を上面または上方、吹出口6側を前面または前方、吸込口5側を背面側または後方、電装箱30が取り付く側の側面を左側面または左方、電装箱30が取り付く側の反対の側面を右側面または右方として以下説明する。以下の図においても同様である。
【0017】
図1Bは、室内機1を上方の前面側から見た斜視図である。本体ユニット2の前面には、本体ユニット2の前面後方から前方に向かって吹き出された空気流を底面側に向かって吹き出させるように、空気流の方向を変える吹出チャンバ40が配置されている。電装箱30は、本体ユニット2の背面と左方の側面で形成される隅部の内側に配置されている。また、本体ユニット2の右側面及び左側面の上方には、室内機1を家屋の天井空間に吊るすために用いられる吊り金具22がそれぞれ二つずつ取り付けられている。化粧パネル3は、本体ユニット2の底面、吹出チャンバ40の底面及び電装箱30の底面を覆うように、本体ユニット2の底面に取り外し可能に取り付いており、本体ユニット2の底面に化粧パネル3が取り付いた状態では、化粧パネル3の吸込グリル4が吸込開口14を覆うように位置し、化粧パネル3の吹出口6が後述する吹出チャンバ40に形成されたチャンバ吹出口46に連通するように位置している。化粧パネル3を取り外すと、本体ユニット2の底面、吹出チャンバ40の底面及び電装箱30の底面が、室内側に露出するようになっている。
【0018】
また、電装箱30の底面と対向する位置の化粧パネル3の上面には、遮風板25が取付けられており、遮風板25が、化粧パネル3が本体ユニット2に取り付いたときに形成される化粧パネル3と電装箱30との間の隙間を埋める。この遮風板25によって、天井裏の空気が後述する送風機室18の吸込開口14に吸い込まれるのを抑制することができる。
【0019】
次に、本体ユニット2について説明する。図2Aは、室内機1から化粧パネル3を取り外した状態の本体ユニット2に吹出チャンバ40が取り付いた状態を、下方の前面側から見た斜視図であり、図2Bは、本体ユニット2と吹出チャンバ40が分離した状態を下方の前面側から見た斜視図である。本体ユニット2は、上面を形成する天板9、左右の側面を形成する一対の側板10、底面を形成する底板11、前面を形成する前面板12、背面を形成する背面板13、及び、前面板12と背面板13の前後方向中間に位置する仕切板26(図3を参照)を備えた筐体8を有し、左方側の側板10は右方側の側板10より前後方向の長さが短く形成されている。筐体8の前方側に熱交換器室17、後方側に送風機室18が配置され、熱交換器室17と送風機室18とは仕切板26によって仕切られている。電装箱30は、筐体8の背面と左方の側面とで形成される隅部の内側であって天板9の内部面に配置されている。
【0020】
熱交換器室17は、左方側の側板10、右方側の側板10、天板9、底板11、前面板12、仕切板26によって形成され、送風機室18は、右方側の側板10、天板9、仕切板26、背面板13、及び、筐体8に設置された電装箱30によって形成される。尚、筐体8が、後述する他の実施形態であるダクト型空気調和機の本体ユニット102の筐体として使用できるように、背面板13は取り外し可能となっており、背面板13を取り外すことにより、筐体8の背面側に吸込開口が形成されるようになっている。熱交換器室17には、屋外に設置された室外機と接続される室内熱交換器19と、室内熱交換器19の下方に配置されるドレンパン21とが収容され、送風機室18には、化粧パネル3の吸込口5を介して室内の空気を吸い込む送風機としてのシロッコファン20が2台配置されている。
【0021】
本体ユニット2の後方側に配置された送風機室18の底面側には、化粧パネル3の吸込口5と連通する吸込開口14が形成されており、シロッコファン20の作動により室内からの空気を、吸込口5及び吸込開口14を介して本体ユニット2内に吸い込む。本体ユニット2の前方側に配置された熱交換器室17の前面には吹出開口15が形成され、吹出開口15から室内熱交換器19によって冷媒と熱交換した空気流が吹き出される。仕切板26には図示しない開口が形成されて送風機室18と熱交換器室17とを連通させ、シロッコファン20によって吸込開口14から吸い込まれた空気は、熱交換器室17へ送られ、室内熱交換器19と熱交換した空気は吹出開口15から吹き出される。
【0022】
次に、図3を参照して電装箱30について説明する。電装箱30は送風機室18の左方側に隣接して筐体8に配置されている。電装箱30は、電装箱30が筐体8に配置された状態で、筐体8の背面側に位置する一方の電装箱側板32、筐体8の前面側に位置する他方の電装箱側板32、筐体8の左方側に位置する電装箱前面板34(天板9)、送風機室18側に位置する電装箱背面板33、筐体8の底面側に位置する電装箱底板31を有し、上方側の面は天板9で覆われている。電装箱背面板33は送風機室18の左方側を仕切る仕切板として機能する。
【0023】
電装箱底板31には電装箱底面開口35が形成されており、電装箱底面開口35は本発明において第1点検口として機能する。また、電装箱前面板34の下には電装箱前面開口36が形成されており、電装箱前面開口36は本発明において第2点検口として機能する。電装箱底面開口35と電装箱前面開口36との間には、支持部材として補強桟39が設けられている。補強桟39が設けられることによって、補強桟39が支持部材として機能し電装箱30の変形を抑制できる。また、電装箱底面開口35の開口面積は電装箱前面開口36の開口面積より小さく形成されている。電装箱底面開口35は、主に電装箱30内部の視認用に用いられるため、開口面積を大きくする必要がなく、電装箱底面開口35の開口面積を電装箱前面開口36の開口面積より小さくすることによって、電装箱30の強度を保ち変形を抑制できる。
【0024】
電装箱30は、筐体8において送風機20よりも外部側に配置されており、電装箱30が筐体8に配置された状態で、電装箱30の底面を構成する電装箱底板31が本体ユニット2の底面側に露出し、電装箱30の左方側の側面を構成する電装箱前面板34は本体ユニット2の側面側に露出する。尚、本実施形態では、電装箱30の左方側の側面と本体ユニット2の側面とが段差無く同一面高さとなるように配置されている。電装箱底板31に形成された電装箱底面開口(第1点検口)35には、電装箱底面開口35を塞ぐ第1点検蓋37が取り付けられている。また、電装箱前面板34に形成された電装箱前面開口36(第2点検口)には、電装箱前面開口36を塞ぐ第2点検蓋38が取り付けられており、第1点検蓋37と第2点検蓋38は互いに分離している。第1点検蓋37は、一端側が1個のネジによって、他端側は係止片によって、電装箱底面開口35が形成された電装箱底板31に取り外し可能に取り付けられている。また、第2点検蓋38は、3個のネジによって、側板10と電装箱底板31に取り外し可能に取り付けられている。
【0025】
吹出チャンバ40は、側方側の両端に一対の端板を備え、底面側と背面側に開口を有した箱状に形成されており、本体ユニット2の前面に形成された吹出開口15を覆うように、本体ユニット2の前面に取付けられている。図4は吹出チャンバ40を下方の背面側から見た斜視図である。図4に示すように、吹出チャンバ40は、上面を形成するチャンバ天板41、端板としての左右の側面を形成するチャンバ側板42、前面を形成するチャンバ前面板43、背面を形成するチャンバ背面板44を備えている。チャンバ背面板44には、本体ユニット2の前面に形成された吹出開口15と連通し、吹出開口15の左右方向の幅L1と上下方向の幅L2(図2B参照)が略同一であるチャンバ吸込口45が形成されている。吹出チャンバ40の底面側は全面に渡ってチャンバ吹出口46が形成されている。
【0026】
吹出チャンバ40の左右方向幅は、本体ユニット2を構成する筐体8の左右方向幅より長く設定され、吹出チャンバ40が筐体8に取り付けられた状態で、右側のチャンバ側板42は筐体8の右側の側板10から突出することなく同一面高さになり、左側のチャンバ側板42が筐体8の電装箱30が配置されている側である左側の側板10よりも突出するように、すなわち、電装箱30の左方側の側面よりも突出するようになっている。また、チャンバ吹出口46の左右方向幅L3は吹出開口15の左右方向幅L1より長く設定されている。
【0027】
チャンバ吸込口45を介して本体ユニット2から前方に吹き出した空気流は、吹出チャンバ40の内部に入り、チャンバ天板41、左右のチャンバ側板42、チャンバ前面板43によって、本体ユニット2の底面方向に向きを変えて、チャンバ吹出口46から吹き出されるため、吹出チャンバ40は空気流の向きを変更する風向ガイドとしての機能を有している。本実施形態では、チャンバ天板41、左右のチャンバ側板42、チャンバ前面板43がガイド部47として、空気流の向きを変更するガイド機能を果たしている。また、本体ユニット2の吹出開口15から前方に吹き出した空気流は、吹出開口15の左右方向の幅L1より長い幅L3であるチャンバ吹出口46から吹き出されるため、吹出チャンバ40は、空気流の幅を拡張させる機能を有している。
【0028】
図5は、天井に設置された室内機1から化粧パネル3を取り外した状態を下方の前面側から見た斜視図である。図5に示す二点鎖線は、室内機1を設置するために天井に設けられた天井開口60を示す。電装箱30の底面である電装箱底板31が本体ユニット2の底面側に露出し、電装箱30の側面を構成する第2点検蓋38が本体ユニット2の側面側に露出して、電装箱30が本体ユニット2に配置されているため、室内機1から化粧パネル3を取り外すと、電装箱30の電装箱底板31が露出する。また、本実施形態の室内機1は、本体ユニット2に対して吹出チャンバ40が電装箱30側に突出するように取り付いているため、天井開口60には、図5において網掛けで示すような作業スペース50が確保される。そのため、第2点検蓋38も天井開口60を通して露出していることが確認できる。
【0029】
次に、本実施形態の室内機1を点検する場合について説明する。天井に設置された室内機1から化粧パネル3を取外すと、天井開口60を通して電装箱30が露出するため、第1点検蓋37と第2点検蓋38を取り外して、電装箱底面開口35及び電装箱前面開口36が現れるようにし、電装箱前面開口36から工具等を入れ、電装箱底面開口35は視認用の窓として点検作業を行うことができる。
【0030】
従来のように、電装箱の底面または側面のいずれか一つにしか点検口が設けられていない場合は、一つの点検口に工具や手を入れるため、工具や手が邪魔になって、電装箱の内部を良く視認できないという問題があったが、本実施形態の室内機1では、電装箱底面開口35及び電装箱前面開口36の二つの点検口が設けられているため、電装箱前面開口36を作業用とし、電装箱底面開口35を視認用として用いることによって、工具や手が邪魔にならずに電装箱30の内部を視認できるので、電装品を点検する際の作業性を向上させることができる。
【0031】
また、電装箱底面開口35及び電装箱前面開口36の二つの点検口が設けられているため、二つの点検口を通して照明の光を入れることができるため、点検口が一つの場合に比べて電装箱30の内部を明るく照らすことができるので、電装品を点検する際の作業性を向上させることができる。
【0032】
本実施形態の室内機1では、電装箱底面開口35に設けた第1点検蓋37と、電装箱前面開口36に設けた第2点検蓋38とは分離しているため、例えば、電装箱30の内部に設けられた電子表示機器の表示状態を確認するだけの作業の場合は、第2点検蓋38を取り外さず、底面側から第1点検蓋37だけを取り外すだけの簡単な作業で行えるので、電装品を点検する際の作業性を向上させることができる。
【0033】
本実施形態において、電装箱30は、筐体8の背面と左方の側面とで形成される隅部の内側、すなわち、本体ユニットの内部に配置されているが、筐体8において送風機20及び室内熱交換器19よりも外部側であって、電装箱底面開口35が本体ユニット2の底面側に露出し、電装箱前面開口36が本体ユニット2の側面側に露出するように電装箱30が筐体8に配置されていれば、例えば、筐体8の側板10の外側面に電装箱30が取り付いていてもよい。
【0034】
本実施形態において、吹出チャンバ40の一方のチャンバ側板42の端面は、本体ユニット2の電装箱30が配置されている側の側面よりも突出しているが、必ずしも突出していなくてもよい。ただし、点検する際の作業スペースを確保できるので、本実施形態のように、吹出チャンバ40の一方のチャンバ側板42の端面は、本体ユニット2の電装箱30が配置されている側の側面より突出していることが望ましい。
【0035】
また、本実施形態においては、吹出チャンバ40の他方のチャンバ側板42の端面は、本体ユニット2の電装箱30が配置されている側とは反対側の側面と段差がなく同一面高さとなっているが、両側のチャンバ側板42の端面が、本体ユニット2の両側の側面よりも突出していてもよい。ただし、本体ユニット2に吹出チャンバ40が取り付いた状態で梱包材によって梱包する場合、突出する部分が少ない方が梱包材の構造が簡単になるため、吹出チャンバ40の一方のチャンバ側板42の端面だけが、本体ユニット2の電装箱30が配置されている側の側面より突出していることが望ましい。
【0036】
また、本実施形態において、吹出チャンバ40は、側方側の両端に端板を備え、底面側と背面側に開口を有した箱状に形成されているが、背面側のチャンバ吸込口45と、底面側のチャンバ吹出口46と、チャンバ吸込口45とチャンバ吹出口46の間に配置されるガイド部47を備えていれば、箱状である必要はなく、例えば、チャンバ吸込口45とチャンバ吹出口46の間を円弧状に曲げた板で構成した1/4円柱状、または、チャンバ吸込口45とチャンバ吹出口46の間を斜面状に形成した三角柱状であってもよい。
【0037】
次に、本発明の他の実施形態に係る空気調和機について説明する。尚、最初の実施形態に係る空気調和機と共通する構成は同じ符号を付し、最初の実施形態に係る空気調和機と共通する構成の詳細な説明は省略する。図6は、室内機101が室内の天井裏に設置されて室内を空調するダクト型空気調和機であって、室内機101を下方の前面側から見た斜視図である。他の実施形態に係る室内機101と最初の実施形態に係る室内機1との相違は、室内機101は化粧パネル3を有さず、室内機101の本体ユニット102の前面には吹出チャンバ40ではなく吹出ダクト104が配置され、本体ユニット102の背面には吸込ダクト103が配置されている点である。また、筐体8については、室内機1の筐体8の後方側底面に形成されていた吸込開口14は塞ぎ板106によって塞がれ、筐体8の背面側に吸込開口107が形成されている点であって、他の構成については同一である。
尚、本体ユニット102の前面に取り付く吹出ダクト104及び本体ユニット102の背面に取り付く吸込ダクト103は、ダクト型空気調和機が設置される建物の設備に属するため、図6においては、簡易的に前後方向に短く形成されて描かれている。
【0038】
室内機101は、天井裏に設置される本体ユニット102と、本体ユニット102の左側面側に配置され図示しない電装部品を収納する電装箱30とを有している。本体ユニット102は、最初の実施形態に係る空気調和機の筐体と同じ筐体8を有している。ただし、筐体8に形成された吸込開口14には塞ぎ板106が取り付けられて塞がれ、筐体8の背面板13は取り外されている。従って、筐体8の背面側に吸込開口107が形成されている。電装箱30は、筐体8の背面と左方の側面とで形成される隅部の内側に配置されており、電装箱30が筐体8に配置された状態で、電装箱30の底面を構成する電装箱底板31が本体ユニット102の底面側に露出し、電装箱30の左方側の側面を構成する電装箱前面板34は本体ユニット102の側面側に露出する。
【0039】
図6には図示されていないシロッコファン20によって、吸込ダクト103を介して吸込開口107から吸い込まれた空気は、熱交換器室17へ送られ、図6には図示されていない室内熱交換器19で冷媒と熱交換した空気は吹出開口15から吹き出され、吹出ダクト104を介して室内へ送られる。
【0040】
本体ユニット102は最初の実施形態に係る空気調和機の筐体8を用いて、筐体8の吸込開口14は塞ぎ板106を取り付けて塞ぎ、筐体8の背面板13を取り外すことによって背面側に吸込開口107が形成されることができる。そのため、最初の実施形態に係る天井埋込型空気調和機と本実施形態に係るダクト型空気調和機とで共通の筐体を使用でき、部品の共通化を図ることができる。
【0041】
次に、図7を用いて本実施形態の室内機101を点検する場合について説明する。図7に示す二点鎖線は、室内機101を点検するために天井に設けられた天井開口60を示す。天井開口60には図示しない開閉可能な点検蓋が設けられている。電装箱30の底面である電装箱底板31が本体ユニット102の底面側に露出し、電装箱30の側面を構成する第2点検蓋38が本体ユニット102の側面側に露出して、電装箱30が本体ユニット102に配置されているため、天井開口60に設けられた点検蓋を開けると、電装箱30の電装箱底板31が露出する。また、第2点検蓋38も天井開口60を通して露出していることが確認できる。
【0042】
天井開口60に設けられた点検蓋を開けると、天井開口60を通して電装箱30が露出するため、第1点検蓋37と第2点検蓋38を取り外して、電装箱底面開口35及び電装箱前面開口36が現れるようにし、電装箱前面開口36から工具等を入れ、電装箱底面開口35は視認用の窓として点検作業を行うことができる。
【0043】
従来のように、電装箱の底面または側面のいずれか一つにしか点検口が設けられていない場合は、一つの点検口に工具や手を入れるため、工具や手が邪魔になって、電装箱の内部を良く視認できないという問題があったが、本実施形態の室内機1では、電装箱底面開口35及び電装箱前面開口36の二つの点検口が設けられているため、電装箱前面開口36を作業用とし、電装箱底面開口35を視認用として用いることによって、工具や手が邪魔にならずに電装箱の内部を視認できるので、電装品を点検する際の作業性を向上させることができる。
【0044】
また、電装箱底面開口35及び電装箱前面開口36の二つの点検口が設けられているため、二つの点検口を通して照明の光を入れることができるため、点検口が一つの場合に比べて電装箱30の内部を明るく照らすことができるので、電装品を点検する際の作業性を向上させることができる。
【0045】
本実施形態の室内機101では、電装箱底面開口35に設けた第1点検蓋37と、電装箱前面開口36に設けた第2点検蓋38とは分離しているため、例えば、電装箱30の内部に設けられた電子表示機器の表示状態を確認するだけの作業の場合は、第2点検蓋38を取り外さず、底面側から第1点検蓋37だけを取り外すだけの簡単な作業で行えるので、電装品を点検する際の作業性を向上させることができる。
【0046】
また、天井開口60が室内機101の直下にのみ開口しているような場合は、第1点検蓋37だけを取り外して、電装箱底面開口35から点検することも可能である。天井開口60が室内機101とは離れた場所に開口しているような場合は、作業者が天井開口60から天井裏に進入し、第2点検蓋38だけを取り外して、電装箱前面開口36から点検することも可能である。
【0047】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0048】
1…室内機、2…本体ユニット、3…化粧パネル、5…吸込口、6…吹出口、8…筐体、14…吸込開口、15…吹出開口、17…熱交換器室、18…送風機室、19…室内熱交換器、20…シロッコファン、25…遮風板、26…仕切板、30…電装箱、31…電装箱底板、32…電装箱側板、33…電装箱背面板、34…電装箱前面板、35…電装箱底面開口(第1点検口)、36…電装箱前面開口(第2点検口)、37…第1点検蓋、38…第2点検蓋、39…補強桟、40…吹出チャンバ、41…チャンバ天板、42…チャンバ側板、43…チャンバ前面板、44…チャンバ背面板、45…チャンバ吸込口、46…チャンバ吹出口、47…ガイド部、50…作業スペース、60…天井開口、101…室内機、102…本体ユニット、103…吸込ダクト、104…吹出ダクト、106…塞ぎ板、107…吸込開口
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7