(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240903BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
G03G21/00 530
(21)【出願番号】P 2020175061
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜井 翔太
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 圭
(72)【発明者】
【氏名】木村 丈信
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲也
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-125148(JP,A)
【文献】特開2018-077358(JP,A)
【文献】特開2019-144333(JP,A)
【文献】特開平04-335376(JP,A)
【文献】特開2016-114837(JP,A)
【文献】特開2010-271361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体上に静電潜像を描画する露光装置と、前記像担持体に対向する現像ローラーにより前記像担持体上に形成された静電潜像に現像剤を供給してトナー画像を形成する現像部と、これらを制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記現像ローラーが設置され現像剤が貯留される前記現像部の内部空間の一部を覆い当該内部空間から外部への現像剤の飛散を防止する噴煙防止板と、
前記内部空間に一端が接続された吸引ダクトと、
前記吸引ダクトの他端に接続されたエアー吸引装置と、を有し、
前記噴煙防止板は可動部を有し、
前記可動部は、第1の位置と、当該第1の位置とは異なる第2の位置とに変位可能とされ、
前記制御部が前記可動部の位置を前記第1の位置と前記第2の位置とに制御し、
前記制御部は、画像形成動作を制御するとともに、画像形成時以外の時に前記エアー吸引装置により前記吸引ダクトを通して前記内部空間を吸引する吸引モードを制御し、
前記制御部は、前記可動部が前記第1の位置にある時のみ画像形成動作を実行し、前記吸引モード時に前記可動部を動作させて前記第2の位置に配置し、
前記制御部は、前記吸引モード中に前記可動部を前記第2の位置から前記第1の位置の方向へ動作させて再び前記第2の位置に戻す往復動作を1回又は複数回実行させる
画像形成装置。
【請求項2】
像担持体と、前記像担持体上に静電潜像を描画する露光装置と、前記像担持体に対向する現像ローラーにより前記像担持体上に形成された静電潜像に現像剤を供給してトナー画像を形成する現像部と、これらを制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記現像ローラーが設置され現像剤が貯留される前記現像部の内部空間の一部を覆い当該内部空間から外部への現像剤の飛散を防止する噴煙防止板と、
前記内部空間に一端が接続された吸引ダクトと、
前記吸引ダクトの他端に接続されたエアー吸引装置と、を有し、
前記噴煙防止板は可動部を有し、
前記可動部は、第1の位置と、当該第1の位置とは異なる第2の位置とに変位可能とされ、
前記制御部が前記可動部の位置を前記第1の位置と前記第2の位置とに制御し、
前記制御部は、画像形成動作を制御するとともに、画像形成時以外の時に前記エアー吸引装置により前記吸引ダクトを通して前記内部空間を吸引する吸引モードを制御し、
前記制御部は、前記可動部が前記第1の位置にある時のみ画像形成動作を実行し、前記吸引モード時に前記可動部を動作させて前記第2の位置に配置し、
前記可動部が前記第1の位置にある時の前記吸引ダクトの吸引経路を第1の吸引経路とし、前記可動部が前記第2の位置にある時の前記吸引ダクトの吸引経路を第2の吸引経路とするとき、前記第1の吸引経路と前記第2の吸引経路とは異なり、
前記可動部は、通気孔を有し、
前記第2の吸引経路は、前記通気孔を通る経路とされる画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記吸引モード中にのみ、前記可動部を動作させる請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記吸引モードの終了時に前記エアー吸引装置を停止する請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像部を複数有し、
前記制御部は、前記吸引モードを、一の前記現像部ごとに実施する請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像部に振動を加える加振装置を有し、
前記制御部は、前記吸引モード中に前記加振装置により前記現像部に振動を加える請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記可動部は
、通気孔を有するメッシュ構造を有する請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記可動部は、通気孔を有し、前記通気孔に、前記吸引モード時の通気方向に対する逆流を防ぐ逆止弁が設けられている請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記可動部は、通気孔を有し、前記噴煙防止板は、前記可動部が前記第1の位置にある時に前記通気孔を塞ぐ固定部を有し
、
前記可動部が第2の位置にあるとき、前記通気孔は前記固定部から離間して通気可能となる請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記可動部は第1可動部及び第2可動部の2枚で構成され、前記第1の位置にある時、当該2枚は互いに重なっている請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1可動部及び第2可動部のそれぞれ
が通気孔を有し、
前記可動部が前記第2の位置にある時の前記吸引ダクトの吸引経路を第2の吸引経路とするとき、
前記第2の吸引経路は、前記第1可動部の通気孔及び前記第2可動部の通気孔を通る経路とされ、
前記第1可動部及び第2可動部が前記第1の位置にある時は、前記第1可動部の通気孔は、前記第2可動部の通気孔周囲の構成面により塞がれ、前記第2可動部の通気孔は、前記第1可動部の通気孔周囲の構成面により塞がれる請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記吸引ダクトは、前記可動部の下流部の流路断面積が変動可能とされ、
前記制御部は、前記可動部を前記第1の位置とする時に対し、前記第2の位置とする時に前記下流部の流路断面積を狭小化することで、前記エアー吸引装置により前記可動部に負荷される吸引力を上げる請求項1から請求項11のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記内部空間に配置され、磁力により現像剤を担持する現像剤担持体を有し、
前記第1の位置では、前記可動部は前記現像剤担持体に沿うように配置されている請求項1から請求項12のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記可動部が前記第1の位置にある時、前記吸引ダクトの吸引経路は、前記噴煙防止板を挟んで前記現像剤担持体の反対側に設けられる請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記可動部は、前記第1の位置よりも前記第2の位置において、前記現像剤担持体に対する距離が離れている請求項13又は請求項14に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において現像部からの飛散トナーを吸引除去する技術が提案されている(特許文献1,2)。
飛散したトナーは画像形成装置内を汚染し、画像汚れ等の不良を発生させるため、飛散トナーを吸引除去するための吸引ダクトを設けた画像形成装置が知られている。これにより、現像部から飛散したトナーは吸引ダクトを通って吸引除去され、画像形成装置内の汚染が抑えられる。
【0003】
特許文献1には、飛散トナー用の吸引ダクトの途中に開閉可能な吸引口があり、吸引ダクトの外部から該吸引ダクト内の現像剤を吸引することが可能な現像剤回収装置が開示されている。サービスマン等が現像部を取り外し、ダクト内に堆積したトナーを、掃除機を用いて手動で清掃する必要がある。
特許文献2に記載の画像形成装置は、現像部からのトナー飛散を吸引ダクトにより吸引し低減させる装置において、吸引ダクトの壁面(特に開口部近傍の壁面)に飛散したトナーが堆積し、これが何らかの原因で振動が加わった際に剥がれ落ち、画像汚れとなる課題に対し、吸引ダクトの壁面に空気を吹き付ける吹付け手段を備え、前記空気の吹き付けによって前記壁面に付着したトナーを除去する構成とする。エアーの吹付けは画像形成をしていない時に実施するため、付着トナーが感光体や現像ローラーに付着したとしても画像に出ることはなく、クリーニング部で回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-60013号公報
【文献】特開2016-90879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現像部からの飛散トナーを吸引ダクトにより吸引し低減させる構成を有した画像形成装置において、現像部の内部空間から外部への現像剤の飛散を防止する噴煙防止板に現像剤(トナーのみの場合を含む。以下同じ)が堆積すると、画像に影響するトナーこぼれの要因となる。
従来、噴煙防止板は固定されているため、現像剤が堆積しやすく、また一度堆積した現像剤を除去し難い。
特許文献2に記載の画像形成装置では、一度堆積した現像剤を吹き飛ばすことで、現像剤を巻き上げるから、これを清掃除去する仕事が増加する。また、エアー吹付手段を別に設置する必要があり、吸引ダクトとは別に吹き付け用のエアーダクトの設置空間の確保等が必要である。
【0006】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、現像部からの飛散トナーを吸引ダクトにより吸引し低減させる構成を有した画像形成装置において、現像部の噴煙防止板上の現像剤を効率的、かつ、効果的に除去することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、像担持体と、前記像担持体上に静電潜像を描画する露光装置と、前
記像担持体に対向する現像ローラーにより前記像担持体上に形成された静電潜像に現像剤を供給してトナー画像を形成する現像部と、これらを制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、前記現像ローラーが設置され現像剤が貯留される前記現像部の内部空間の一部を覆い当該内部空間から外部への現像剤の飛散を防止する噴煙防止板と、前記内部空間に一端が接続された吸引ダクトと、前記吸引ダクトの他端に接続されたエアー吸引装置と、を有し、前記噴煙防止板は可動部を有し、前記可動部は、第1の位置と、当該第1の位置とは異なる第2の位置とに変位可能とされ、前記制御部が前記可動部の位置を前記第1の位置と前記第2の位置とに制御し、前記制御部は、画像形成動作を制御するとともに、画像形成時以外の時に前記エアー吸引装置により前記吸引ダクトを通して前記内部空間を吸引する吸引モードを制御し、前記制御部は、前記可動部が前記第1の位置にある時のみ画像形成動作を実行し、前記吸引モード時に前記可動部を動作させて前記第2の位置に配置し、前記制御部は、前記吸引モード中に前記可動部を前記第2の位置から前記第1の位置の方向へ動作させて再び前記第2の位置に戻す往復動作を1回又は複数回実行させる画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現像部からの飛散トナーを吸引ダクトにより吸引し低減させる構成を有した画像形成装置において、現像部の噴煙防止板上の現像剤を効率的、かつ、効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】画像形成装置の機能的構成を示したブロック図である。
【
図4】4色分の現像部からの吸引構造を示した断面図である。
【
図5】現像部からの吸引構造を示した断面図である。
【
図6】現像部からの吸引構造を示した断面図である。
【
図7】現像部からの吸引構造を示した断面図である。
【
図8】現像部からの吸引構造を示した斜視図である。
【
図9】現像部からの吸引構造を示した斜視図である。
【
図10】現像部からの吸引構造を示した断面図である。
【
図11】メッシュ構造を有する可動部の斜視図である。
【
図13】現像部からの吸引構造を示した断面図である。
【
図14】現像部からの吸引構造を示した断面図である。
【
図15】現像部からの吸引構造を示した断面図である。
【
図16】現像部からの吸引構造を示した断面図である。
【
図17】プリントモードから吸引モードへの制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0011】
[画像形成装置の構成]
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の主要な機能的構成を示すブロック図である。
図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー画像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー画像を重ね合わせた後、用紙に転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
【0012】
画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に各色トナー画像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0013】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部
30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、記憶部70、通信部80及び制御部100を備えている。
【0014】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して
図2に示す画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。
【0015】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0016】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み
取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0017】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
【0018】
画像処理部30は、入力されたジョブの画像データ(入力画像データ)に対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0019】
画像形成部40は、画像処理済みの入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0020】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0021】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像部412、感光体ドラム413(像担持体)、帯電装置414、ドラムクリーニング装置415、等を備える。
【0022】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に
、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
【0023】
制御部100は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度(例えば、665mm/s)で回転させる。
【0024】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0025】
現像部412は、トナーとキャリアーとを含む二成分現像剤を用いる二成分現像方式の現像部であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー画像を形成する。
【0026】
以下、
図3を参照し、現像部412の構成について詳細に説明する。
現像部412は、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることによりトナー画像を形成するための装置であり、
図3に示すように、第1現像ローラー412a、第2現像ローラー412b、回収ローラー412c1、撹拌ローラー412e、搬送ローラー412f及びセンサー412gを備える。
【0027】
第1現像ローラー412a及び第2現像ローラー412bは、回転可能な現像スリーブと、現像スリーブの内部に配置された現像マグネットロールとを備える。第1現像ローラー412a及び第2現像ローラー412bは、感光体ドラム413に近接して配置され、感光体ドラム413に近接する現像領域へ現像剤を搬送する。具体的には、第1現像ローラー412a及び第2現像ローラー412bは、同じ回転方向に回転し、現像剤を上流側の第1現像ローラー412aから下流側の第2現像ローラー412bに受け渡して、それぞれのローラーの現像領域へ現像剤を搬送する。現像スリーブは、図中時計回りで回転する。現像マグネットロール内には、磁界を発生させる複数の磁極が配置されている。
【0028】
第2現像ローラー412bの近傍には、余剰な現像剤を回収する回収ローラー412c1が設けられている。回収ローラー412c1も、回転可能なスリーブと、当該スリーブの内部に配置されたマグネットロールとを備え、磁力により現像剤を担持する現像剤担持体である。
回収ローラー412c1によって回収されたトナーは、ガイド部材412c2を介して撹拌搬送部材412c3へと供給されると、撹拌搬送部材412c3によって搬送され、撹拌ローラー412e又は搬送ローラー412fの収容室へと戻される。
【0029】
撹拌ローラー412eおよび搬送ローラー412fは、螺旋形状のスクリュー部材である。撹拌ローラー412eは、回転することによりトナーとキャリアーとを混合撹拌し摩擦帯電する。搬送ローラー412fは、回転することにより、撹拌ローラー412eから搬送され、摩擦帯電された現像剤を第1現像ローラー412aへ搬送する。センサー412gは、撹拌ローラー412eの近傍に配され、トナー濃度を検出する。センサー412gの検出結果に基づいて、補給部(図示省略)から、消費されたトナーに対応した現像剤の補給がなされる。
【0030】
現像剤が第1現像ローラー412aまで導かれると、第1現像ローラー412aの現像マグネットロールが発生する磁界によって、現像スリーブの外周面上に磁気ブラシが発生して、現像剤の層が現像スリーブの外周面上に形成される。そして、現像スリーブは、図中時計回りに回転することにより、現像剤を磁界によって現像スリーブの外周面に担持しながら、感光体ドラム413に最も接近する現像領域まで搬送する。現像領域において、トナーは、第1現像ローラー412aの現像スリーブから感光体ドラム413の表面に形成された静電潜像へ静電的に移行する。一方で、第1現像ローラー412aの現像スリーブ上の現像剤の一部は、磁界の作用により第2現像ローラー412bに受け渡される。第2現像ローラー412bでは、第1現像ローラー412aと同様にして現像スリーブ上に現像剤の層が形成され、現像領域において現像剤が感光体ドラム413に移行する。
このようにして、現像部412は、感光体ドラム413にトナーを供給して静電潜像をトナーによって顕像化する。当該現像部412は、第1現像ローラー412a及び第2現像ローラー412bの2つのローラーを備えることで、現像領域を確保でき、良質な画像を形成することができる。
【0031】
なお、キャリアーとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のキャリアーを使用することができ、バインダー型キャリアーやコート型キャリアーなどが使用できる。キャリアー粒径としてはこれに限定されるものではないが、15~100μmが好ましい。
トナーも特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができる。例えば、バインダー樹脂中に、着色剤や必要に応じて荷電制御剤や離型剤等を含有させ、外添剤を処理させたものを使用することができる。トナー粒径は、特に限定されるものではないが、3~15μm程度が好ましい。
【0032】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0033】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422(転写部)、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、ベルトクリーニング装置426、及びセンサー427等を備える。
【0034】
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0035】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー画像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0036】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるローラー423B(以下「バックアップローラー423B」と称する)に対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙へトナー画像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0037】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー画像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー画像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0038】
その後、用紙が二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー画像が用紙に二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙の裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー画像は用紙に静電的に転写される。トナー画像が転写された用紙は定着部60に向けて搬送される。
【0039】
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用しても良い。
【0040】
センサー427は、例えば、ローラー423A及びローラー423Bの間の中間転写ベルト421の表面に対向するよう設けられ、中間転写ベルト421上のトナーの付着量を検出する。センサー427としては、例えば、光学式の反射濃度センサーであって、画像濃度制御などに用いることもできる。
【0041】
定着部60は、トナー画像が二次転写され、搬送されてきた用紙を定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙にトナー画像を定着させる。
【0042】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙(規格用紙、特殊用紙)があらかじめ設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
【0043】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙は、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙の傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー画像が用紙の一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙は、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0044】
なお、用紙は、長尺紙やロール紙であってもよい。この場合、用紙は、画像形成装置1と接続された給紙装置(図示せず)に収容されており、給紙装置が保有する用紙は、当該給紙装置から用紙給紙口54を介して画像形成装置1へと供給され、搬送経路部53へと送り出される。
【0045】
記憶部70は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブ等により構成される。記憶部70には、画像形成装置1に係る各種設定情報を始めとする各種データが記憶されている。
【0046】
通信部80は、例えばLAN(Local Area Network)カード等の通信制御カードで構成され、LAN、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。
【0047】
[飛散トナーの吸引清掃]
次に現像部で発生する飛散トナーの吸引清掃技術について説明する。
図3又は
図4に示すように画像形成装置1は、噴煙防止板90(Y,M,C,K)と、吸引ダクト91(Y,M,C,K)と、エアー吸引装置92(
図4)と、閉閉弁93(Y,M,C,K)を備える。
噴煙防止板90は、現像ローラー412a,bが設置され現像剤が貯留される現像部412の内部空間94の一部を覆い当該内部空間94から外部への現像剤の飛散を防止する。
噴煙防止板90が内部空間94の上部を覆うが、現像ローラー412bの上方には、吸引ダクト91の吸引口91aが設けられている。噴煙防止板90の現像ローラー412bの近位端に隣接して吸引ダクト91の吸引口91aが設けられている。噴煙防止板90の現像ローラー412bの近位端の一部は、
図5,
図6等に示すように可動部90aとなっている。
吸引ダクト91の一端である吸引口91aは、以上のように内部空間94に接続されている。
吸引ダクト91の他端は、
図4に示すように各色のものが合流してエアー吸引装置92に接続されている。
図4に示すように合流前の各色の吸引ダクト91(Y,M,C,K)ごとに閉閉弁93(Y,M,C,K)が設けられている。
【0048】
可動部90aは、
図5に示す第1の位置と、第1の位置とは異なる
図6に示す第2の位置とに変位可能とされており、制御部100が可動部90aの位置を第1の位置(
図5)と第2の位置(
図6)とに制御する。可動部90aの可動支持機構は、本実施形態では可動部90aの吸引方向側の端部がヒンジ支点により可動支持されることで実現されるが、特にこれに限定されるものではない。
図5に示すように可動部90aが第1の位置にある時に、吸引ダクト91を介して吸引口91aから吸引することによって、現像時に飛散する現像剤を吸引除去することができる。制御部100は、可動部90aが
図5に示す第1の位置にある時のみ画像形成動作を実行し、エアー吸引装置92を稼働して飛散する現像剤の吸引除去を実施する。
【0049】
一方、制御部100は、画像形成時以外の時にエアー吸引装置92により吸引ダクト91を通して内部空間94を吸引する吸引モードを制御する。
制御部100は、吸引モード時(吸引中)に可動部90aを動作させて第1の位置から第2の位置に配置する。なお、可動部90aを動作させる装置は、例えば
図7に示すようにソレノイド96aとリンク機構96bにより構成できるが、これに限られるものではない。
画像形成時には可動部90aを動作させず、第1の位置に固定しておく。これにより、画像に影響するトナーこぼれが生じることが防がれる。
また、制御部100は、吸引モード中にのみ可動部90aを動作させる。
図5から
図6のように可動部90aが第2の位置に移動したとき、可動部90aに堆積していた現像剤の一部が吸引ダクト91内等に落ちる現象が生じ得る。吸引モード中であるので、可動部90aから脱落する現像剤は吸引により回収される。
【0050】
図5に示すように第1の位置では、可動部90aは回収ローラー412c1(現像剤担持体)に沿うように配置されている。可動部90aが第1の位置にある時、吸引ダクト91の吸引経路は、噴煙防止板90の可動部90aを挟んで回収ローラー412c1の反対側に設けられる。
可動部90aは、
図5の第1の位置よりも
図6の第2の位置において、回収ローラー412c1に対する距離が離れている。第2の位置において可動部90aは、回収ローラー412c1から離れるため、回収ローラー412c1からの磁力の影響が小さくなり、可動部90aから現像剤が落ちやすい。
第1の位置にある可動部90aの現像剤が堆積しやすい上面は、吸引ダクト91の下面を構成しており、第2の位置に配置されると、吸引方向に向かって下り傾斜に配置される。そのため、可動部90aより吸引方向側の吸引ダクト91内に可動部90aから現像剤が落ちやすい。
以上まとめると、可動部90aが第1の位置から第2の位置に移動する際の反動、回収ローラー412c1から作用する磁力の減少、下り傾斜に沿った重力による落下、及び吸引力の作用により、可動部90aに堆積していた現像剤が、エアー吸引装置92の方へ吸引され、効率的、かつ、効果的に除去される。
【0051】
さらに可動部90aから吸引ダクト91内に現像剤を落とすために、制御部100の制御により以下の動作を実行してもよい。
一つには、吸引モード中に可動部90aを往復動作させる。すなわち、制御部100は、吸引モード中に可動部90aを第2の位置から第1の位置の方向へ動作させて再び第2の位置に戻す往復動作を1回又は複数回実行させる。これにより、最初の動作で落下しなかった現像剤が可動部90aから落下する可能性が高まる。
また他の一つには、加振装置95(Y,M,C,K)により現像部412に振動を与える。
図4に示すように各現像部412(Y,M,C,K)に加振装置95(Y,M,C,K)が付けられている。制御部100は、吸引モード中に加振装置95(Y,M,C,K)により現像部412(Y,M,C,K)に振動を加える。これにより、さらに可動部90aから現像剤が落下する可能性が高まる。
【0052】
なお、吸引モードは、一の現像部412ごとに個別に実施することが好ましい。エアー吸引装置92の吸引力を一の現像部412に集中的に作用させ、効果的に吸引するためである。
現像部412Yに対して吸引モードを実行する場合、制御部100は、
図4に示すように閉閉弁93Yを開け、他の閉閉弁93M,93C,93Kを閉めた上で、エアー吸引装置92による吸引を行わせ、噴煙防止板90Yの可動部90aの動作、加振装置95Yの動作を制御する。他の現像部412M,412C,412Kの場合も閉閉弁93(Y,M,C,K)の開閉制御により、その現像部に対する吸引経路を開通、他を閉塞して同様に実施する。
【0053】
(第2の吸引経路の実施)
以上の例にあっては、可動部90aが第1の位置にあっても第2の位置にあっても、吸引ダクト91の吸引経路は、噴煙防止板90と上面部材91bとの間である。可動部90aが第2の位置にある時は、可動部90aの先端と上面部材91bとの間の隙間からエアーが吹き込む。
【0054】
ここで、可動部90aが第1の位置にある時の吸引ダクト91の吸引経路を第1の吸引経路とし、可動部90aが第2の位置にある時の吸引ダクト91の吸引経路を第2の吸引経路とする。
第1の吸引経路と第2の吸引経路とを異ならせてもよい。第1の吸引経路については、内部空間94から現像剤の粉塵を吸い出すことに重点を置いた設計を適用し、第2の吸引経路については、吸引ダクト91内に堆積した現像剤を除去することに重点を置いた設計を適用する。
【0055】
一つには、
図8から
図10に示すように可動部90aは通気孔90hを有するものとし、第1の吸引経路は
図8に示す通りで上記例と変わらないが、
図9及び
図10に示すように第2の吸引経路は通気孔90hを通る経路とされる。
通気孔90hは、複数が分散して設けられる。これにより、可動部90a上の各部に吸引時の気流が作用しやすく、可動部90aから現像剤を剥奪して吸引除去しやすい。可動部90aに通気孔90hがあるため、可動部90aが第2の位置にある時の可動部90aの先端と上面部材91bとの間の隙間は通気不能に閉じてもよいし、当該隙間を吸引時通気用として残しておいてもよい。
【0056】
可動部90aに通気孔90hを設けるために、
図11に示すように可動部90aは、通気孔90hを有するメッシュ構造90mを有するものとしてもよい。
【0057】
また、
図12に示すように通気孔90hに、吸引モード時の通気方向に対する逆流を防ぐ逆止弁90vが設けられている構成を実施してもよい。これにより、通気孔90h内を逆流して現像剤が再び内部空間94に落下することを防止できる。
【0058】
また、
図13に示すように噴煙防止板90は、可動部90aが第1の位置にある時に通気孔90hを塞ぐ固定部90bを有するものとしてもよい。これにより、可動部90aが第1の位置にある時に、通気孔90hを吸引経路とせず、現像ローラー412a,bの上方の吸引口91aからの吸引に限定することができる。
図14に示すように可動部90aが第2の位置にあるとき、通気孔90hは固定部90bから離間して通気可能となる。
固定部90bを設ける場合も、逆止弁90vを設けてもよい。
【0059】
また、例えば
図14に示すように吸引ダクト91に設けた補助可動部91cをダクト中心側に張り出すことで、吸引ダクト91は、可動部90aの下流部の流路断面積が変動可能とされていてもよい。
この場合、制御部100は、可動部90aを第1の位置とする時(
図13)に対し、第2の位置とする時(
図14)に上記下流部の流路断面積を補助可動部91cの張り出しにより狭小化することで、エアー吸引装置92により可動部90aに負荷される吸引力を上げる。これにより、可動部90aに堆積した現像剤を効率的かつ効果的に吸引除去することができる。
流路断面積を変動可能とするための絞り機構は、図示したものに限らず、例えばフレキシブルな部分を設けて絞ってもよい。ただし、
図14に示すように吸引ダクト91の流路断面の上部を絞り、下面は隆起しないようにすることが好ましい。可動部90aから脱落した現像剤がエアー吸引装置92の方へ流れやすくするためである。
【0060】
また、
図15に示すように可動部は第1可動部90a1及び第2可動部90a2の2枚で構成され、第1の位置にある時、当該2枚の可動部90a1,90a2は互いに重なっていることとしてもよい。
そして、第1可動部90a1及び第2可動部90a2のそれぞれが通気孔を有するものとする。
図16に示すように第2の吸引経路は、第1可動部90a1の通気孔90h1及び第2可動部90a2の通気孔90h2を通る経路とされる。
図15に示すように第1可動部90a1及び第2可動部90a2が第1の位置にある時は、第1可動部90a1の通気孔90h1は、第2可動部90a2の通気孔90h2周囲の構成面により塞がれ、第2可動部90a2の通気孔90h2は、第1可動部90a1の通気孔90h1周囲の構成面により塞がれる。すなわち、通気孔90h1と通気孔90h2とが連通しない。これにより、可動部90a1,90a2が第1の位置にある時、可動部90a1,90a2を通る吸引経路は閉塞され、現像ローラー412a,bの上方の吸引口91aからの吸引に限定することができる。
具体的機構としては、下側の第1可動部90a1のヒンジ支点に対し、上側の第2可動部90bのヒンジ支点が吸引方向に距離を隔てていることで実現しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0061】
(制御フロー例)
次に、
図17のフローチャートを参照して制御部100によるプリントモードから吸引モードへの制御フローの一例につき説明する。
制御部100は、画像形成が行われるプリントモードR10において、プリント終了信号を検出したら(S11)、現像モーターをオフにして現像部412の動作を停止する(S12)。
次に制御部100は、エアー吸引装置92を稼働させて吸引モードR20に移行する。なお、すでにエアー吸引装置92が稼働中である場合は、エアー吸引装置92が稼働を継続する。プリントモードR10における吸引出力と、吸引モードR20における吸引出力を変えている場合は、エアー吸引装置92を吸引モードR20における吸引出力に制御する。特に後者を強力にするとよい。
ここで、上述したように吸引モードは、吸引モードにより清掃が必要な現像部412に対して、一の現像部412ごとに個別に実施する。例えば、あるタイミングで現像部412Y,412M,412Cに対する吸引モードの実施が必要と判断したら、現像部412Y,412M,412Cに対して、一の現像部412(Y,M,C)ごとに個別に実施する。
【0062】
制御部100は、吸引モードR20に移行したら、噴煙防止板90の可動部90aを第2の位置に移動させる(S21)。
制御部100は、可動部90aを第2の位置に移動させたら、上述した加振装置95による加振動作を開始する(S22)。
所定時間経過後、制御部100は、噴煙防止板90の可動部90aを第1の位置に移動させ(S23)、加振装置95の加振動作を終了し(S24)、エアー吸引装置92を停止し(S25)、吸引モードR20を終了して、待機状態へ移行する。また、吸引モードR20を終了時に、プリントモードR10での吸引のために全開閉弁93Y,93M,93C,93Kを開状態にする。
なお、すでに未処理のプリントジョブが入力されている場合は、プリントモードR10に移行する。この場合は、全開閉弁93Y,93M,93C,93Kを開状態にし、エアー吸引装置92の稼働を継続する(プリントモードR10における吸引出力と、吸引モードR20における吸引出力を変えている場合は、エアー吸引装置92をプリントモードR10における吸引出力に制御する。)。
吸引モードR20を終了して待機状態へ移行した後、新たなプリントジョブが入力された場合は、プリントモードR10での吸引のためにエアー吸引装置92を稼働させる。
【0063】
以上説明したように本実施形態によれば、現像動作により現像部412内で飛散する現像剤を吸引除去できるとともに、現像部412の噴煙防止板90上に堆積した現像剤を効率的、かつ、効果的に除去することができる。これにより、画像品質を良好に維持することができる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣
旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
上記実施形態では、制御部が可動部90aの位置を制御することとしてが、手動でのみ可動部90aの位置が変えられるような機械構成として実施してもよい。サービスマンがメンテナンス時に使用する実施方法が考えられる。
【符号の説明】
【0064】
1 画像形成装置
10 画像読取部
11 自動原稿給紙装置
12 原稿画像走査装置
20 操作表示部
21 表示部
22 操作部
30 画像処理部
40 画像形成部
41 画像形成ユニット
42 中間転写ユニット
50 用紙搬送部
51 給紙部
52 排紙部
53 搬送経路部
54 用紙給紙口
60 定着部
70 記憶部
80 通信部
90 噴煙防止板
90a 可動部
90a1 第1可動部
90a2 第2可動部
90b 固定部
90h 通気孔
90h1 通気孔
90h2 通気孔
90m メッシュ構造
90v 逆止弁
91 吸引ダクト
91a 吸引口
92 エアー吸引装置
93 閉閉弁
94 内部空間
95 加振装置
96a ソレノイド
96b リンク機構
100 制御部
411 露光装置
412 現像部
412a,b 現像ローラー
412c1 回収ローラー
412c2 ガイド部材
412c3 撹拌搬送部材
412e 撹拌ローラー
412f 搬送ローラー
413 感光体ドラム
414 帯電装置
415 ドラムクリーニング装置
421 中間転写ベルト
422 一次転写ローラー
D 原稿