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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240903BHJP
   G03G 15/02 20060101ALI20240903BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/02 102
G03G15/08 390Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020178969
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2021157163
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2020054340
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 元啓
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】田中 一徳
(72)【発明者】
【氏名】山岸 義弘
(72)【発明者】
【氏名】清水 保
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-295540(JP,A)
【文献】特開2014-038160(JP,A)
【文献】特開2008-261935(JP,A)
【文献】特開平01-200378(JP,A)
【文献】特開昭63-144365(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0184825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
13/06-13/08
13/095
13/14-13/16
13/34
15/00
15/02
15/06-15/08
15/095
15/14-15/16
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電装置と、
前記像担持体にトナーを供給し、前記像担持体に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記現像装置に所定のバイアス電圧を印加する現像電源と、
前記現像装置を流れる現像電流を測定する電流測定部と、
前記電流測定部によって測定された前記現像電流に基づいて、前記像担持体の表面電位を算出する算出部と
を備え、
前記電流測定部は、前記帯電装置が前記像担持体を帯電させていない非帯電状態において前記バイアス電圧の直流成分が予め定められた電圧である場合に前記現像装置を流れる非帯電現像電流を測定し、
前記電流測定部は、前記帯電装置が前記像担持体を帯電させた帯電状態において前記現像装置を流れる帯電現像電流を測定し、
前記算出部は、前記帯電現像電流が前記非帯電現像電流と等しくなる場合の前記バイアス電圧と前記電圧との差を前記表面電位として算出する、画像形成装置。
【請求項2】
前記現像電源は、前記現像装置に複数段階の前記バイアス電圧を印加し、
前記電流測定部は、前記バイアス電圧ごとに、対応する前記帯電現像電流を測定し、
前記算出部は、各前記帯電現像電流に基づいて、前記表面電位を算出する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像電源は、前記非帯電現像電流より大きい前記帯電現像電流が流れるような前記バイアス電圧、及び前記非帯電現像電流より小さい前記帯電現像電流が流れるような前記バイアス電圧を印加する、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記画像形成装置が画像を記録媒体に形成する画像形成処理を行う前に、前記表面電位を算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電流測定部は、前記像担持体の非露光状態における現像電流を測定する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、カブリ現象によって移動するトナー量を予測する予測部を更に備え、
前記算出部は、前記予測部が前記トナー量を所定の閾値より多いと予測する場合、前記非帯電現像電流に基づく前記表面電位の算出を行う、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電圧は、0Vである、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置では、均一に帯電された感光体ドラム(像担持体)の表面を露光することで形成された静電潜像にトナーを付着させ、トナー像として現像する画像形成プロセスが広く利用されている。高品質な画像を得るためには、感光体ドラムの表面電位に対し、適正な電位差を設けた現像バイアスによって現像を行うことが求められる。
【0003】
このため、画像形成を行うときの、実際の感光体ドラムの表面電位を検出する必要があり、従来、表面電位センサーを用いて感光体ドラムの表面電位を検出していた。
【0004】
しかしながら、表面電位センサーは、高価であり、さらに飛散したトナー等が付着すると、正しく測定することができなくなるといった課題があった。そこで、表面電位センサー等の高価なセンサーを用いることなく、感光体ドラムの表面電位を得る技術が提案され、その一例が特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1の電子写真装置は、感光体上にパルス状の静電電位パターンを形成し、現像ローラーにバイアスを印加し、静電電位パターンを現像する際に感光体から現像ローラーに流れ込む電流を測定して感光体上の表面電位を得る。具体的には、パルス状の静電電位パターンの切り替わるポイントで電流をモニターすることで、感光体の表面電位を推定する。これにより、表面電位センサーを用いることなく、感光体上の表面電位を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-295540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1で開示された電子写真装置でモニターする電流は、感光体や帯電部材等の経年変化等の影響を受け易く、不安定であって、誤差を含み易いことが課題であった。これにより、感光体上の表面電位の精度が低下することが懸念された。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は表面電位センサー等の高価なセンサーを用いることなく、像担持体の表面電位を高精度に得ることが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体と、帯電装置と、現像装置と、現像電源と、電流測定部と、算出部とを備える。前記像担持体には、表面に静電潜像が形成される。前記帯電装置は、前記像担持体を帯電させる。前記現像装置は、前記像担持体にトナーを供給し、前記像担持体に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する。前記現像電源は、前記現像装置に所定のバイアス電圧を印加する。前記電流測定部は、前記現像装置を流れる現像電流を測定する。前記算出部は、前記電流測定部によって測定された前記現像電流に基づいて、前記像担持体の表面電位を算出する。前記電流測定部は、前記帯電装置が前記像担持体を帯電させていない非帯電状態において前記現像装置を流れる非帯電現像電流を測定する。前記電流測定部は、前記帯電装置が前記像担持体を帯電させた帯電状態において前記現像装置を流れる帯電現像電流を測定する。前記算出部は、前記帯電現像電流が前記非帯電現像電流と等しくなる場合の前記バイアス電圧を前記表面電位として算出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表面電位センサー等の高価なセンサーを用いることなく、像担持体の表面電位を高精度に得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】画像形成装置1の構成の一例を示す図である。
図2】現像装置64の構成の一例を示す図である。
図3A】電流測定部646によって測定される現像電流を示す図である。
図3B】電流測定部646によって測定される現像電流を示す図である。
図4】電流測定部646によって測定される非帯電現像電流を示す図である。
図5A】電流測定部646によって測定される帯電現像電流を示す図である。
図5B】電流測定部646によって測定される帯電現像電流を示す図である。
図6】現像電流とバイアス電圧との対応関係を示すグラフである。
図7】本実施形態に係る表面電位算出プロセスについて説明する。
図8】本実施例に係る画像形成装置1において、測定された非帯電現像電流と、帯電バイアスを900Vとして4段階のバイアス電圧を現像ローラー641に印加した場合に測定された帯電現像電流とを示す表である。
図9図8に示すバイアス電圧と、非帯電現像電流及び帯電現像電流との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0013】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の構成について説明する。図1は、画像形成装置1の構成の一例を示す図である。画像形成装置1は、例えば、タンデム方式のカラープリンターである。
【0014】
図1に示すように、画像形成装置1は、操作部2、給紙部3、搬送部4、トナー補給部5、画像形成部6、転写部7、定着部8、排出部9、及び制御部10を備える。
【0015】
操作部2は、ユーザーからの指示を受け付ける。操作部2は、ユーザーからの指示を受け付けると、ユーザーからの指示を示す信号を制御部10へ送信する。操作部2は、液晶ディスプレー21及び複数の操作キー22を含む。液晶ディスプレー21は、例えば、各種処理結果を表示する。操作キー22は、例えば、テンキー、及びスタートキーを含む。操作部2は、画像形成処理の実行を示す指示が入力されると、画像形成処理の実行を示す信号を制御部10へ送信する。この結果、画像形成装置1による画像形成動作が開始される。
【0016】
給紙部3は、給紙カセット31、及び給紙ローラー群32を有する。給紙カセット31は、複数枚の用紙Pを収容可能である。給紙ローラー群32は、給紙カセット31に収容された用紙Pを1枚ずつ搬送部4へ給紙する。用紙Pは記録媒体の一例である。
【0017】
搬送部4は、ローラー及びガイド部材を備える。搬送部4は、給紙部3から排出部9まで延在する。搬送部4は、画像形成部6及び定着部8を経由するように、給紙部3から排出部9まで用紙Pを搬送する。
【0018】
トナー補給部5は、画像形成部6にトナーを補給する。トナー補給部5は、第1装着部51Y、第2装着部51C、第3装着部51M、及び第4装着部51Kを備える。トナー補給部5は現像剤補給部の一例である。トナーは現像剤の一例である。
【0019】
第1装着部51Yには第1トナーコンテナ52Yが、装着される。同様に、第2装着部51Cには第2トナーコンテナ52Cが、第3装着部51Mには第3トナーコンテナ52Mが、第4装着部51Kには第4トナーコンテナ52Kが装着される。なお、第1装着部51Y~第4装着部51Kの構成は、装着されるトナーコンテナの種類が異なるのみで他の構成は同様である。このため、第1装着部51Y~第4装着部51Kを総称して、「装着部51」と記載する場合がある。
【0020】
第1トナーコンテナ52Y、第2トナーコンテナ52C、第3トナーコンテナ52M、及び第4トナーコンテナ52Kには、トナーがそれぞれ収容される。本実施形態において、第1トナーコンテナ52Yには、イエロートナーが収容される。第2トナーコンテナ52Cには、シアントナーが収容される。第3トナーコンテナ52Mには、マゼンタトナーが収容される。第4トナーコンテナ52Kには、ブラックトナーが収容される。
【0021】
画像形成部6は、露光装置61、第1画像形成ユニット62Y、第2画像形成ユニット62C、第3画像形成ユニット62M、及び第4画像形成ユニット62Kを備える。
【0022】
第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kの各々は、帯電装置63、現像装置64、及び感光体ドラム65を有する。感光体ドラム65は、像担持体の一例である。
【0023】
帯電装置63、及び現像装置64は、感光体ドラム65の周面に沿って配置される。本実施形態において、感光体ドラム65は、図1の矢印R1で示す方向(時計回り)に回転する。
【0024】
帯電装置63は、感光体ドラム65を放電によって所定の極性に均一に帯電させる。本実施形態において、帯電装置63は、感光体ドラム65を正の極性に帯電させる。露光装置61は、帯電した感光体ドラム65にレーザー光を照射する。これにより、感光体ドラム65の表面に静電潜像が形成される。
【0025】
現像装置64は、感光体ドラム65の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。現像装置64は、トナー補給部5からトナーが補給される。現像装置64は、トナー補給部5から補給されたトナーを感光体ドラム65の表面に供給する。この結果、感光体ドラム65の表面にトナー像が形成される。
【0026】
本実施形態において、第1画像形成ユニット62Yが有する現像装置64は、第1装着部51Yと接続する。したがって、第1画像形成ユニット62Yが有する現像装置64には、イエロートナーが補給される。よって、第1画像形成ユニット62Yが有する感光体ドラム65の表面には、イエロートナー像が形成される。
【0027】
第2画像形成ユニット62Cが有する現像装置64は、第2装着部51Cと接続する。したがって、第2画像形成ユニット62Cが有する現像装置64には、シアントナーが補給される。よって、第2画像形成ユニット62Cが有する感光体ドラム65の表面には、シアントナー像が形成される。
【0028】
第3画像形成ユニット62Mが有する現像装置64は、第3装着部51Mと接続する。したがって、第3画像形成ユニット62Mが有する現像装置64には、マゼンタトナーが補給される。よって、第3画像形成ユニット62Mが有する感光体ドラム65の表面には、マゼンタトナー像が形成される。
【0029】
第4画像形成ユニット62Kが有する現像装置64は、第4装着部51Kと接続する。したがって、第4画像形成ユニット62Kが有する現像装置64には、ブラックトナーが補給される。よって、第4画像形成ユニット62Kが有する感光体ドラム65の表面には、ブラックトナー像が形成される。
【0030】
転写部7は、第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kが有する各感光体ドラム65の表面に形成された各トナー像を用紙Pに重ねて転写する。本実施形態において、転写部7は、二次転写方式によって各トナー像を用紙Pに重ねて転写する。詳しくは、転写部7は、4つの一次転写ローラー71、中間転写ベルト72、駆動ローラー73、従動ローラー74、二次転写ローラー75、及び濃度センサー76を有する。
【0031】
中間転写ベルト72は、4つの一次転写ローラー71、駆動ローラー73、及び、従動ローラー74に張架された無端ベルトである。中間転写ベルト72は、駆動ローラー73の回転に応じて駆動する。図1において、中間転写ベルト72は、反時計回りに周回する。従動ローラー74は、中間転写ベルト72の駆動に応じて回転駆動する。
【0032】
第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kは、中間転写ベルト72の下面の駆動方向Dに沿って、中間転写ベルト72の下面と対向して配置される。本実施形態において、第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kは、中間転写ベルト72の下面の駆動方向Dの上流側から下流側に向けて第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kの順で配置される。
【0033】
各一次転写ローラー71は、中間転写ベルト72を介して各感光体ドラム65に対向して配置され、各感光体ドラム65に向けて押圧されている。このため、各感光体ドラム65の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト72に順次転写される。本実施形態において、中間転写ベルト72には、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像、及びブラックトナー像がこの順で重ねて転写される。以下、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像、及びブラックトナー像が重ねられたトナー像を「積層トナー像」と記載する場合がある。
【0034】
二次転写ローラー75は、中間転写ベルト72を介して駆動ローラー73に対向して配置される。二次転写ローラー75は、駆動ローラー73に向けて押圧されている。これにより、二次転写ローラー75と駆動ローラー73との間に転写ニップが形成される。用紙Pが転写ニップを通過すると、中間転写ベルト72上の積層トナー像が用紙Pに転写される。本実施形態において、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像、及びブラックトナー像がこの順で、上層から下層となるように用紙Pに転写される。積層トナー像が転写された用紙Pは、搬送部4によって定着部8へ向けて搬送される。
【0035】
濃度センサー76は、第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kよりも下流側において中間転写ベルト72に対向して配置されており、感光体ドラム65上に形成された積層トナー像の濃度を測定する。なお、濃度センサー76は、中間転写ベルト72上の積層トナー像の濃度を測定するものでもよく、また、用紙P上に定着されたトナー像の濃度を測定するものでもよい。
【0036】
定着部8は、加熱部材81、及び加圧部材82を備える。加熱部材81、及び加圧部材82は互いに対向して配置され、定着ニップを形成する。画像形成部6から搬送された用紙Pは、定着ニップを通過することにより所定の定着温度で加熱されながら、加圧される。この結果、積層トナー像が用紙Pに定着する。用紙Pは、搬送部4によって定着部8から排出部9へ向けて搬送される。
【0037】
排出部9は、排出ローラー対91及び排出トレイ93を有する。排出ローラー対91は、排出口92を介して排出トレイ93へ用紙Pを搬送する。排出口92は、画像形成装置1の上部に形成される。
【0038】
制御部10は、画像形成装置1が備える各部の動作を制御する。制御部10は、プロセッサー11と、記憶部12と、予測部13とを備える。プロセッサー11は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備える。記憶部12は、半導体メモリーのようなメモリーを備え、HDD(Hard Disk Drive)を備えてもよい。記憶部12は、制御プログラムを記憶している。プロセッサー11は、制御プログラムを実行することによって、画像形成装置1の動作を制御する。予測部13は、後述するカブリ現象によって移動するトナー量を予測する。
【0039】
次に、図2を参照して、現像装置64の構成について詳細に説明する。図2は、現像装置64の構成の一例を示す図である。詳しくは、図2は、第1画像形成ユニット62Yが有する第1現像装置64Yを示す。なお、図2では、理解を容易にするために感光体ドラム65を2点鎖線で図示している。本実施形態において、第1現像装置64Yは、2成分現像方式によって感光体ドラム65の表面に形成された静電潜像を現像する。図1を参照して既に説明したように、第1現像装置64Yの現像容器640は、第1トナーコンテナ52Yに接続する。したがって、第1現像装置64Yの現像容器640には、イエロートナーがトナー補給口640hを介して補給される。
【0040】
図2に示すように、第1現像装置64Yは、現像容器640の内部に現像ローラー641、第1攪拌スクリュー643、第2攪拌スクリュー644、及びブレード645を有する。詳しくは、現像ローラー641は、第2攪拌スクリュー644と対向して配置される。ブレード645は、現像ローラー641と対向して配置される。
【0041】
現像容器640は、仕切り壁640cによって第1攪拌室640aと第2攪拌室640bとに区画される。仕切り壁640cは、現像ローラー641の軸方向に延びる。第1攪拌室640aと第2攪拌室640bとは、仕切り壁640cの長手方向の両端の外方において連通している。
【0042】
第1攪拌室640aには、第1攪拌スクリュー643が配置される。第1攪拌室640aには、磁性体キャリアが収容されている。第1攪拌室640aには、非磁性体のトナーがトナー補給口640hを介して補給される。図2に示す例では、第1攪拌室640aには、イエロートナーが補給される。
【0043】
第2攪拌室640bには、第2攪拌スクリュー644が配置される。第2攪拌室640bには、磁性体のキャリアが収容されている。
【0044】
イエロートナーは、第1攪拌スクリュー643及び第2攪拌スクリュー644によって攪拌されてキャリアと混合される。この結果、キャリア、及びイエロートナーからなる2成分現像剤が構成される。2成分現像剤は、現像剤の一例であるため、以下「現像剤」と省略して記載することがある。
【0045】
第1攪拌スクリュー643及び第2攪拌スクリュー644は、第1攪拌室640aと第2攪拌室640bとの間で現像剤を循環させて攪拌する。この結果、トナーが所定の極性に帯電する。本実施形態において、トナーは、正の極性に帯電する。
【0046】
現像ローラー641は、非磁性の回転スリーブ641aと、マグネット体641bとによって構成される。マグネット体641bは、回転スリーブ641aの内部に固定して配置される。マグネット体641bは、複数の磁極を含む。現像剤は、マグネット体641bの磁力によって、現像ローラー641に吸着する。この結果、現像ローラー641の表面に磁気ブラシが形成される。
【0047】
本実施形態において、現像ローラー641は、図2の矢印R2(反時計回り)で示す方向に回転する。現像ローラー641は、回転することによって磁気ブラシをブレード645と対向する位置まで搬送する。ブレード645は、現像ローラー641との間にギャップ(隙間)が形成されるように配置されている。したがって、磁気ブラシの厚さがブレード645によって規定される。ブレード645は、現像ローラー641と感光体ドラム65とが対向する位置よりも磁気ローラー642の回転方向の上流側に配置される。
【0048】
現像ローラー641には、所定の電圧が印加される。これにより、表面に形成された現像剤層が感光体ドラム65と対向する位置まで搬送され、現像剤中のトナーが感光体ドラム65に付着される。
【0049】
具体的には、第1現像装置64Yは、電流測定部646と、算出部647と、現像電源648とを更に備える。
【0050】
電流測定部646は、例えば、現像電源648と現像ローラー641との間に接続される。現像電源648は、第1現像装置64Yの現像ローラー641に所定のバイアス電圧を印加する。電流測定部646は、現像電源648によって印加されたバイアス電圧に応じて、第1現像装置64Y及び感光体ドラム65と現像ローラー641との間を流れる現像電流を検知する。電流測定部646は、例えば、電流計からなり、現像電流の電流値を測定する。
【0051】
次に、図3A及び図3Bを参照して、第1現像装置64Yを流れる現像電流について説明する。図3A及び図3Bは、電流測定部646によって測定される現像電流を示す図である。
【0052】
例えば、電流測定部646は、第1現像装置64Yが感光体ドラム65の表面に形成された静電潜像を現像している間の現像電流の電流値を測定する。
【0053】
本実施形態において、ユーザーによる画像形成処理の実行を示す指示が画像形成装置1に入力されると、制御部10は、画像形成装置1が備える各部に画像形成動作を開始するよう画像形成部6を制御する。具体的には、制御部10は、帯電装置63、第1現像装置64Y、現像電源648及び露光装置61を制御する。
【0054】
帯電装置63は、制御部10による制御により、感光体ドラム65の表面を所定の帯電電位(表面電位V0)に帯電させる。詳しくは、帯電装置63が感光体ドラム65に帯電バイアスを印加すると、感光体ドラム65の表面が表面電位V0に帯電する。
【0055】
現像電源648は、制御部10による制御により、現像ローラー641にバイアス電圧を印加する。バイアス電圧は、直流成分及び交流成分を含む。図3Aは、直流成分の大きさ(Vdc1)が表面電位V0より小さいバイアス電圧が、現像ローラー641に印加された場合を示す。なお、バイアス電圧は、交流成分を含まなくてもよい。
【0056】
露光装置61は、制御部10による制御により、帯電装置63が表面電位V0に帯電させた感光体ドラム65にレーザー光を照射する。これにより、感光体ドラム65の表面に静電潜像が形成される。
【0057】
第1現像装置64Yは、感光体ドラム65の表面に静電潜像が形成されると、制御部10による制御により、感光体ドラム65の表面に形成された静電潜像を現像する。
【0058】
このとき、電流測定部646は、現像電流の電流値を測定する。図3Aにおいて、現像電流Id1は、現像ローラー641に形成された磁気ブラシ中のトナーが現像ローラー641へ移動するときに流れる電流と、現像ローラー641に形成された磁気ブラシを通して感光体ドラム65から流れる電流Ia1とを合わせた電流である。
【0059】
一方、図3Bは、直流成分の大きさ(Vdc2)が表面電位V0より大きいバイアス電圧が、現像ローラー641に印加された場合を示す。図3Bにおいて、現像電流Id2は、トナーが感光体ドラム65へ現像されるときに流れる電流Ia2と、現像ローラー641に形成された磁気ブラシを通して感光体ドラム65へ流れる電流とを合わせた電流である。
【0060】
このように、電流測定部646によって計測される現像電流の向きは、バイアス電圧の直流成分が表面電位V0より大きい場合と、バイアス電圧の直流成分が表面電位V0より小さい場合とで逆になる。
【0061】
また、バイアス電圧の直流成分が表面電位V0と等しい場合、現像電界強度がゼロとなり、現像電流の大きさはゼロを示す。このことから、現像電流の大きさがゼロとなる場合のバイアス電圧の直流成分を表面電位V0と予測することができる。これにより、静電潜像の現像を行う際、適正な電位差を設けたバイアス電圧を現像ローラー641に印加することができ、より高品質な画像の形成が可能になる。
【0062】
しかしながら、画像形成装置1において、現像電界強度がゼロの場合においても、静電的拘束力の弱い低帯電量のトナーが感光体ドラム65へ付着して移動する(カブリ現象)ことによる現像電流が観測されることがある。
【0063】
これに対して、本実施形態では、このようなカブリ現象による現像電流等を考慮して感光体ドラム65の表面電位を予測する。
【0064】
具体的には、本実施形態では、現像電界強度がゼロの場合においてトナーが現像ローラー641から感光体ドラム65へ移動するときに流れる電流を基準にして感光体ドラム65の表面電位の算出を行う。
【0065】
次に、図4を参照して、基準として用いる電流(非帯電現像電流)について説明する。図4は、電流測定部646によって測定される非帯電現像電流を示す図である。非帯電現像電流は、帯電装置63が感光体ドラム65を帯電させていない非帯電状態において第1現像装置64Yを流れる電流である。
【0066】
具体的には、帯電装置63は、感光体ドラム65に帯電バイアスを印加しない(0[V])。現像電源648は、直流成分が0[V]のバイアス電圧を現像ローラー641に印加する。
【0067】
このとき、電流測定部646によって、トナーが感光体ドラム65へ移動するときに流れる電流Ia0と、現像ローラー641に形成された磁気ブラシを通して感光体ドラム65へ流れる電流とを合わせた非帯電現像電流Id0が測定される。
【0068】
次に、画像形成装置1は、帯電装置63が感光体ドラム65を帯電させた帯電状態において第1現像装置64Yを流れる帯電現像電流の電流値を測定し、帯電現像電流の測定値及び非帯電現像電流の測定値に基づいて、表面電位を予測する。
【0069】
具体的には、算出部647は、電流測定部646によって測定された帯電現像電流の測定値及び非帯電現像電流の測定値を取得し、各測定値に基づいて、表面電位を算出する。
【0070】
次に、図5A及び図5Bを参照して、帯電現像電流の測定について説明する。図5A及び図5Bは、電流測定部646によって測定される帯電現像電流を示す図である。
【0071】
帯電装置63は、感光体ドラム65に帯電バイアスを印加して感光体ドラム65の表面を表面電位V0に帯電させる(図5A及び図5B)。
【0072】
現像電源648は、第1現像装置64Yに複数段階のバイアス電圧を印加する。電流測定部646は、複数段階のバイアス電圧ごとに、対応する帯電現像電流を測定する。
【0073】
例えば、現像電源648は、非帯電現像電流Id0より大きい帯電現像電流Id3が流れるようなバイアス電圧Vdc3を現像ローラー641に印加する。このとき、電流測定部646は、帯電現像電流Id3の電流値を測定する。算出部647は、現像電源648が印加しているバイアス電圧Vdc3と、電流測定部646によって測定された帯電現像電流Id3の電流値とを取得する(図5A)。
【0074】
また、現像電源648は、非帯電現像電流Id0より小さい帯電現像電流Id4が流れるようなバイアス電圧Vdc4を現像ローラー641に印加する。このとき、電流測定部646は、帯電現像電流Id4の電流値を測定する。算出部647は、現像電源648が印加しているバイアス電圧Vdc4と、電流測定部646によって測定された帯電現像電流Id4の電流値とを取得する(図5B)。
【0075】
次に、図6を参照して、表面電位の算出について説明する。図6は、現像電流とバイアス電圧との対応関係を示すグラフである。図6は、縦軸に現像電流を示し、横軸にバイアス電圧を示す。
【0076】
算出部647は、取得したバイアス電圧Vdc3及び帯電現像電流Id3と、バイアス電圧Vdc4及び帯電現像電流Id4とに基づいて、電流測定部646によって測定された非帯電現像電流Id0と等しい帯電現像電流が流れるバイアス電圧を表面電位V0として算出する。
【0077】
例えば、制御部10は、算出部647が算出した表面電位V0に基づいて、現像電源648が現像ローラー641に印加するバイアス電圧Vdcを決定する。
【0078】
なお、制御部10は、算出部647による算出以外の方法で求められた表面電位に基づいて、現像ローラー641に印加するバイアス電圧Vdcを決定してもよい。例えば、制御部10は、複数枚の用紙Pへの画像形成が行われる場合、1枚目の用紙Pへの画像形成時には、算出部647が算出した表面電位V0に基づいてバイアス電圧Vdcを決定し、2枚目以降の用紙Pへの画像形成時には、予め決められた表面電位、又は他の方法により予測された表面電位に基づいてバイアス電圧Vdcを決定する。
【0079】
本実施形態において、露光装置61は、電流測定部646による非帯電現像電流及び帯電現像電流の測定時において、感光体ドラム65にレーザー光を照射しない。このように、非帯電現像電流及び帯電現像電流の測定を感光体ドラム65の非露光領域を利用して実行することで、カブリ現象の発生時においてもトナーの飛翔が少ない白地領域が利用されるので、現像電流としては、主に、キャリアの移動による電流を含む。したがって、感光体ドラム65の表面電位を高精度に測定することができる。
【0080】
本実施形態において、第1画像形成ユニット62Y~第4画像形成ユニット62Kの各々が有する現像装置64の構成は、トナー補給部5から補給されるトナーの種類が異なるのみで、他の構成は略同様である。したがって、第2画像形成ユニット62C~第4画像形成ユニット62Kが有する第2現像装置64C~第4現像装置64Kの構成の説明については、説明を省略する。
【0081】
(カブリ現象によって移動するトナー量の予測)
本実施形態において、カブリ現象によって移動するトナー量が多いほど、非帯電現像電流が大きくなり、ゼロから離れるため、現像電流の大きさがゼロとなる場合のバイアス電圧の直流成分を表面電位と予測する(図3A及び図3B)と、実際の表面電位との差が大きくなる。また、非帯電現像電流の測定を頻繁に行うことは、生産性が低下してしまう。
【0082】
そこで、予測部13は、カブリ現象によって移動するトナー量を予測する。例えば、予測部13は、カブリ現象がトナー像の濃度が高い場合に発生しやすいことから、濃度センサー76によって測定されたトナー像の濃度が高い場合、移動するトナー量が多いと予測する。また、予測部13は、トナー像の濃度に限らず、トナーの帯電量、現像剤の移流拡散係数、バイアス電圧の交流成分の周波数、及びトナーを含まないキャリアが感光体ドラム65から現像ローラー641へ流れるときに流れるキャリア電流の流れにくさを示すキャリア抵抗値等の複数のパラメーターに基づいて、移動するトナー量が多いか、又は少ないかを予測してもよい。
【0083】
例えば、制御部10は、予測部13が移動するトナー量が所定の閾値より多いと予測した場合、非帯電現像電流に基づく表面電位の算出を行うように、帯電装置63、第1現像装置64Y及び現像電源648を制御する。
【0084】
一方、制御部10は、予測部13が移動するトナー量が所定の閾値より少ないと予測した場合、表面電位の算出を行わないように帯電装置63、第1現像装置64Y及び現像電源648を制御するか、又は、非帯電現像電流を0[A]として表面電位の算出を行うように、帯電装置63、第1現像装置64Y及び現像電源648を制御する。また、本実施形態において、カブリ現象によって移動するトナー量が少ない場合は、非帯電現像電流の大きさをゼロとしても差し支えなく、図3A及び図3Bに示す表面電位の算出が行われてもよい。
【0085】
本実施形態において、算出部647は、例えば、算出した表面電位が、前回算出した表面電位と所定の基準値以上異なっている場合、新たに算出した表面電位を測定ミスであると判定する。この場合、算出部647は、表面電位の再計算を行ってもよいし、前回算出した表面電位を算出結果としてもよい。
【0086】
また、本実施形態において、算出部647が算出した表面電位を記憶することで、感光体ドラム65の表面電位の変化を観測することができるようになり、帯電装置63及び感光体ドラム65等の劣化を予測することができる。
【0087】
また、本実施形態において、レーザー光が照射されない非露光領域を利用して非帯電現像電流及び帯電現像電流の測定を行い表面電位を算出する構成であるとしたが、これに限らず、露光装置61によるレーザー光の照射後の露光領域を利用して非帯電現像電流及び帯電現像電流の測定を行い表面電位を算出する構成であってもよい。
【0088】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る表面電位算出プロセスについて説明する。図7は、本実施形態に係る表面電位算出プロセスを示すフローチャートである。
【0089】
電流測定部646は、予測部13がカブリ現象によって移動するトナー量が所定の閾値より多いと予測すると(ステップS11)、非帯電現像電流Id0を測定する(ステップS12)。
【0090】
電流測定部646は、非帯電現像電流Id0より大きい帯電現像電流Id3が流れるようなバイアス電圧Vdc3が現像ローラー641に印加されたときに流れる帯電現像電流Id3を測定する(ステップS13)。
【0091】
電流測定部646は、非帯電現像電流Id0より大きい帯電現像電流Id4が流れるようなバイアス電圧Vdc4が現像ローラー641に印加されたときに流れる帯電現像電流Id4を測定する(ステップS14)。
【0092】
算出部647は、電流測定部646が測定した帯電現像電流Id3及びバイアス電圧Vdc4に基づいて、電流測定部646によって測定された非帯電現像電流Id0と等しい帯電現像電流が流れるようなバイアス電圧を算出する(ステップS15)。
【0093】
なお、ステップS13及びステップS14の順番は入れ替わってもよい。
【0094】
本実施形態において、非帯電現像電流Id0は、感光体ドラム65が非帯電状態で、現像電源648が現像ローラー641に印加するバイアス電圧の直流成分が0[V]である場合に流れる電流としたが、これに限らない。
【0095】
通常、バイアス電圧の直流成分が大きくなると、現像電流は大きくなる。また、現像電界強度が小さく、トナーと磁気ブラシとの付着力より弱いと、現像電界強度の変化量に対する現像電流変化量(ΔId)が小さい。一方、現像電界強度がトナーと磁気ブラシとの付着力より強くなると、トナーの移動が活発になりΔIdが急激に大きくなる。
【0096】
ΔIdが小さいと表面電位の算出誤差が大きくなるため、表面電位を精度よく算出するには、ΔIdが大きい方が好ましい。
【0097】
そこで、現像電源648は、感光体ドラム65の非帯電状態において、ΔIdが所定の大きさ以上になるような直流成分を含むバイアス電圧Vdc0(測定用バイアス電圧)を現像ローラー641に印加する。電流測定部646は、測定用バイアス電圧が印加されている間に流れる非帯電現像電流Id01を測定する。
【0098】
算出部647は、上記手法により、非帯電現像電流Id01と等しい帯電現像電流が流れるバイアス電圧Vdc5を算出する。算出部647は、バイアス電圧Vdc5からバイアス電圧Vdc0を引いたバイアス電圧を表面電位V0として算出する。
【実施例
【0099】
次に、本発明が実施例に基づき具体的に説明されるが、本発明は以下の実施例によって限定されない。
【0100】
本発明の実施例では、画像形成装置1として複合機を使用した。複合機は、TASKalfa2550Ci(京セラドキュメントソリューションズ株式会社)改造機であった。
【0101】
複合機の実験条件は次の通りであった。
・感光体ドラム65:正帯電有機感光体ドラム(OPC:Organic Photo Conductor)
・感光体ドラム65の膜厚:32μm
・帯電装置63:帯電ローラーの芯金の外径 6mm、ゴム肉厚3mm、ゴム抵抗6.0LogΩ
・帯電バイアス:直流のみ
・ブレード645:SUS430、磁性
・ブレード645の厚み:1.5mm
・現像ローラー641の表面形状:ローレット加工+ブラスト
・現像ローラー641の外径:20mm
・現像ローラー641の凹部:周方向80列
・現像ローラー641の周速/感光体ドラム65の周速:1.8
・現像ローラー641及び感光体ドラム65間の距離:0.30mm
・バイアス電圧の交流成分:Vpp1200V、duty50%、短形波、8kHz
・トナー:粒子径6.8μm、正帯電性
・キャリア:粒子径38μm、フェライト・樹脂コートキャリア
・トナー濃度:6%
・プリント速度:55枚/分
【0102】
次に、図8及び図9を参照して、本実施例に係る画像形成装置1において算出された表面電位について説明する。
【0103】
図8は、本実施例に係る画像形成装置1において、測定された非帯電現像電流と、帯電バイアスを900Vとして4段階のバイアス電圧を現像ローラー641に印加した場合に測定された帯電現像電流とを示す表である。
【0104】
図9は、図8に示すバイアス電圧と、非帯電現像電流及び帯電現像電流との関係を示すグラフである。図9は、縦軸に現像電流を示し、横軸にバイアス電圧を示す。
【0105】
本実施例において、測定された非帯電現像電流は1.10[μA]である。バイアス電圧が180[V]の場合、現像電流(帯電現像電流)は、0.57[μA]である。バイアス電圧が200[V]の場合、現像電流(帯電現像電流)は、0.68[μA]である。バイアス電圧が220[V]の場合、現像電流(帯電現像電流)は、1.00[μA]である。バイアス電圧が240[V]の場合、現像電流(帯電現像電流)は、1.60[μA]である。
【0106】
図9に示すように、本実施例に係る画像形成装置1において、表面電位は、223[V]と算出される。
【0107】
本実施例において、印加するバイアス電圧の差を最大60Vとしたが、これに限らず、最大100Vであってもよい。ただし、印加するバイアス電圧の差は、50V程度が望ましい。
【0108】
また、本実施例において、感光体ドラム65は、正帯電有機感光体ドラムであったが、これに限らず、アモルファスシリコンドラムであってもよい。感光体ドラム65にアモルファスシリコンドラムを用いた場合、感光層の誘電率が正帯電有機感光体ドラムよりも高くなり、電流が流れやすく、また、キャリア抵抗値が小さくなることから、測定精度が高くなる。
【0109】
また、本実施例において、2成分現像剤を用いたが、これに限らず、1成分現像剤を用いてもよい。
【0110】
以上、図面(図1図9)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 :画像形成装置
13 :予測部
63 :帯電装置
64 :現像装置
65 :感光体ドラム
641 :現像ローラー
646 :電流測定部
647 :算出部
648 :現像電源
Id0 :非帯電現像電流
Id1、Id2 :現像電流
Id3、Id4 :帯電現像電流
V0 :表面電位
Vdc :バイアス電圧
Vdc3、Vdc4 :バイアス電圧
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9