(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】着色組成物、感光性着色組成物、カラーフィルタ、および固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
C09B 57/04 20060101AFI20240903BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20240903BHJP
C09B 67/22 20060101ALI20240903BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240903BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240903BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C09B57/04
C09B67/20 G
C09B67/20 J
C09B67/20 L
C09B67/22 F
G02B5/20 101
G03F7/004 504
G03F7/004 505
G03F7/027
(21)【出願番号】P 2020198565
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】718000495
【氏名又は名称】東洋ビジュアルソリューションズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西田 和史
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-169242(JP,A)
【文献】特開2009-084451(JP,A)
【文献】特開2019-104822(JP,A)
【文献】特開2020-070426(JP,A)
【文献】特開2018-012834(JP,A)
【文献】特開2006-291194(JP,A)
【文献】特開2015-052778(JP,A)
【文献】特開2010-209161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 57/04
C09B 67/20
C09B 67/22
G02B 5/20
G03F 7/004
G03F 7/027
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機顔料(A)、顔料誘導体(B)、および分散樹脂(C)を含有する着色組成物であって、前記顔料誘導体(B)が、一般式(1)で表される顔料誘導体(B1)を含み、
前記分散樹脂(C)が、リン酸系分散樹脂(C1)、およびカルボン酸系分散樹脂(C2)のうち1種以上を含む、着色組成物。
【化1】
[一般式(1)中、R
1~R
4のうち1つは一般式(2)で表させる置換基を有し、そのほかは水素原子を表す。
一般式(2)中、Xは-O-又は-NH-を表し、Yは無置換のアルキレン基を含む2価の連結基を表し、R
5
は無置換のアルキル基を表す。]
【請求項2】
前記有機顔料(A)が、イソインドリン顔料(A1)、およびフタロシアニン緑色顔料(A2)を含む、請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
前記リン酸系分散樹脂(C1)、およびカルボン酸系分散樹脂(C2)の含有量が、前記一般式(1)で表される顔料誘導体(B1)100質量部に対して、50~1000質量部である、請求項1または2に記載の着色組成物。
【請求項4】
前記リン酸系分散樹脂(C1)が、下記(C1-1)、または(C1-2)の分散樹脂を含み、カルボン酸系分散樹脂(C2)が、下記(C2-1)、または(C2-2)の分散樹脂を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の着色組成物。
(C1-1):下記一般式(3)で表される分散樹脂。
(HO-)
3-n-PO-(O-R
1)
n 一般式(3)
(一般式(3)中、R
1は数平均分子量300~10,000のポリエステル残基、nは1、または2を表す。)
(C1-2):リン酸基含有単量体単位、およびその他単量体単位を含む分散樹脂。
(C2-1):テトラカルボン酸無水物、およびトリカルボン酸無水物の群から選ばれる1種以上の酸無水物中の酸無水物基と水酸基含有化合物中の水酸基との生成物である、カルボキシル基を有するポリエステル部位、ならびにビニル重合体部位を含む分散樹脂。
(C2-2):下記一般式(4)で表される分散樹脂。
(HOOC-)
m-R
2-(-COO-[-R
4-COO-]
n-R
3)
t 一般式(4)
(一般式(4)中、R
2は4価のテトラカルボン酸化合物残基、R
3はモノアルコール残基、R
4はラクトン残基、mは2または3、nは1~50の整数、tは(4-m)を表す。)
【請求項5】
前記(C2-1)の分散樹脂が、下記(C2-1-1)、または(C2-1-2)のいずれかで示される分散樹脂を含む、請求項4に記載の着色組成物。
(C2-1-1):前記ビニル重合体部位が、水酸基、オキセタン基、t-ブチル基、およびブロックイソシアネート基からなる群より選ばれる1種以上の熱架橋性基含有単量体単位、およびカルボキシル基含有単量体単位を含む分散樹脂。
(C2-1-2):前記ビニル重合体部分に重合性不飽和基を有する分散樹脂。
【請求項6】
前記分散樹脂(C)が、塩基性分散樹脂(C3)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項7】
前記顔料誘導体(B)が、下記一般式(5)で表される顔料誘導体(B2)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の着色組成物。
一般式(5)
【化2】
(一般式(5)中、R
1~R
9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよい炭素数20以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数20以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよい炭素数20以下のアリール基を表し、隣接する置換基同士が結合して、脂肪族環または芳香環を形成しても良い。Qは、2価の連結基を表す。A、およびBは、それぞれ独立に、下記一般式(6)で表される基、下記一般式(7)で表される基、-O-(CH
2)
n-R
10、-OR
11、-NR
12R
13、-Cl、および-Fから選ばれる基を表し、R
10は置換されていてもよい含窒素複素環残基を表し、R
11、R
12、R
13は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリール基を表し、nは0~20の整数を表す。
【化3】
(一般式(6)中、Y
1は-NR
20-、または-O-を表し、Y
2は置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニレン基、または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリーレン基を表し、これらの基は、-NR
20-、-O-、-SO
2-、-CO-から選ばれる2価の連結基で相互に結合されていてもよい。R
20は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリール基を表す。R
14、及びR
15はそれぞれ、置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基を表す。R
14とR
15が一体となって、更なる窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含み置換されていてもよい複素環構造を形成してもよい。
一般式(7)中、Z
1はトリアジン環と窒素原子を結ぶ単結合、-NR
21-、-NR
21-G-CO-、NR
21-G-CONR
22-、-NR
21-G-SO
2-、-NR
21-G-SO
2NR
22-、-O-G-CO-、-O-G-CONR
21-、-O-G-SO
2-、または-O-G-SO
2NR
21-を表し、Gは置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニレン基または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリーレン基を表し、R
21およびR
22は、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリール基を表す。R
16、R
17、R
19、およびR
20はそれぞれ、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリール基を表し、R
18は置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基を表す。)
【請求項8】
請求項1~7いずれかに1項に記載の着色組成物、重合性化合物(E)、および光重合開始剤(F)を含む、感光性着色組成物。
【請求項9】
基板、および請求項8に記載の感光性着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを備える、カラーフィルタ。
【請求項10】
請求項9に記載のカラーフィルタを備える、固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、および固体撮像素子等に用いるカラーフィルタの作製に好適な着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
C-MOS(Complementray Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)などに代表される固体撮像素子は、その受光素子上にB(青色)、G(緑色)、R(赤色)の加法混合の原色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタをそれぞれ配置して色分解するのが一般的である。近年、固体撮像素子の小型化、及び高画素化によって1画素あたりの面積が小さくなる傾向にあり、固体撮像素子に用いられるカラーフィルタは、薄膜化することが強く要求されている。
【0003】
さらに、カラーフィルタを薄膜化しても分光波長の形は、従来のままであることが要求される。そうすると、カラーフィルタの画素に含まれる有機顔料の濃度を高くすることが必要となる。そのためには、カラーフィルタを作製するために使用される感光性着色組成物中の有機顔料の濃度を高くする必要がある。
【0004】
しかしながら、感光性着色組成物中の有機顔料の濃度を高くするためには、他の成分を減らす必要があり、感光性着色組成物の安定性、現像性、パターン形成性、塗膜耐性などに問題が起きる。そのため、薄膜化との両立が課題であった。
【0005】
特に、緑色画素の有機顔料として、広く用いられているC.I.ピグメントグリーン7,36,58,59、特開2016-57635号公報、特開2016-153481号公報記載のフタロシアニン緑色顔料は、着色力が低いため、画素に含まれる有機顔料の濃度を高くしても薄膜化は難しかった。
【0006】
緑色画素の薄膜化の取り組みとして、特許文献1には、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と、キノフタロン顔料と、アゾメチン銅顔料を一定の比率で使用した着色組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の着色組成物は、着色力が低く、分光波形を維持しながらの薄膜化は不十分であり、粘度特性、分散安定性、現像性、およびパターン形成性が不十分であり、塗膜が加熱された場合、異物が発生する問題があった。
【0009】
本発明は、優れた粘度特性、分散安定性を有し、薄膜であってもアルカリ現像性、およびパターン形成性に優れ、加熱で異物が生じ難い被膜を形成できる着色組成物、着色組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
有機顔料(A)、顔料誘導体(B)、および分散樹脂(C)を含有する着色組成物であって、前記顔料誘導体(B)が、一般式(1)で表される顔料誘導体(B1)を含み、
前記分散樹脂(C)が、リン酸系分散樹脂(C1)、およびカルボン酸系分散樹脂(C2)のうち1種以上を含む、着色組成物に関する。
【0011】
【0012】
[一般式(1)中、R1~R4のうち1つは一般式(2)で表させる置換基を有し、そのほかは水素原子を表す。
一般式(2)中、Xは-O-又は-NH-を表し、Yは無置換のアルキレン基を含む2価の連結基を表し、R5
は無置換のアルキル基を表す。]
【発明の効果】
【0013】
上記の本発明によれば、優れた粘度特性、分散安定性を有し、薄膜であってもアルカリ現像性、およびパターン形成性に優れ、加熱で異物が生じ難い被膜を形成できる着色組成物、感光性着色組成物、カラーフィルタ、および固体撮像素子を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用する用語について説明する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタアクリロイル」、「アクリル及び/又はメタアクリル」、「アクリル酸及び/又はメタアクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタアクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックスを意味する。単量体は、重合性不飽和基含有化合物である。重合性不飽和基は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基である。
【0015】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、有機顔料(A)、顔料誘導体(B)、および分散樹脂(C)を含み、
前記顔料誘導体(B)が、一般式(1)で表される顔料誘導体(B1)を含み、
前記分散樹脂(C)が、リン酸系分散樹脂(C1)、およびカルボン酸系分散樹脂(C2)のうち1種以上を含む、着色組成物である。
【0016】
【0017】
[一般式(1)中、R1~R4のうち1つは一般式(2)で表させる置換基を有し、そのほかは水素原子を表す。
一般式(2)中、Xは-O-又は-NH-を表し、Yは無置換のアルキレン基を含む2価の連結基を表し、R5
は無置換のアルキル基を表す。]
【0018】
本発明の着色組成物は、一般式(1)で表される顔料誘導体(B1)中の塩基性置換基が、有機顔料(A)と親和することで、微細化した顔料粒子の分散安定性が向上する上、異物が生じ難い。さらに分散樹脂(C)との相乗効果により耐アルカリ性が向上しつつ、現像性および密着性が向上する。
【0019】
[有機顔料(A)]
本発明の着色組成物において一般式(1)で表される顔料誘導体(B1)は、有機顔料(A)全体に対して上記効果が得られるところ、イソインドリン顔料(A1)やフタロシアニン緑色顔料(A2)と併用するとさらに良好な効果が得られる。
【0020】
(イソインドリン顔料(A1))
着色組成物は、有機顔料(A)としてイソインドリン顔料(A1)を含むことが好ましい。
イソインドリン顔料(A1)は、例えば、C.I.ピグメントイエロー139,185,ピグメントオレンジ66,69,ピグメントレッド260、ピグメントブラウン38等が挙げられる。これらの中でも、分光特性、着色力の観点から、イソインドリン顔料であるC.I.ピグメント イエロー139,185が好ましい。
【0021】
イソインドリン顔料(A1)の含有量は、有機顔料(A)100質量%中、20~100質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましい。
【0022】
(フタロシアニン緑色顔料(A2))
着色組成物は、有機顔料(A)としてフタロシアニン緑色顔料(A2)を含むことが好ましい。
フタロシアニン緑色顔料(A2)は、例えば、C.I.ピグメントグリーン7,10,36,37,58,59や、特開2016-57635号公報、特開2016-153481号公報、特開2017-197685号公報等に記載のものが挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントグリーン36,58,59、特開2016-57635号公報、特開2016-153481号公報、特開2017-197685号公報に記載のフタロシアニン緑色顔料が好ましい。
【0023】
フタロシアニン緑色顔料(A2)の含有量は、有機顔料(A)100質量%中、20~100質量%が好ましく、30~90質量%がより好ましい。
【0024】
着色組成物は、有機顔料(A)として、イソインドリン顔料(A1)およびフタロシアニン緑色顔料(A2)以外の顔料を含んでもよい。その他顔料は、黄色顔料(A3)、青色顔料(A4)、染料が挙げられる。
【0025】
(黄色顔料(A3))
黄色顔料(A3)は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,147,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,187,188,193,194,198,199,213,214,218,219,220,221等が挙げられる。また、特開2012-226110号公報、特許第6432077号公報に記載のキノフタロン顔料等が挙げられる。これらの中でも、分光特性、着色力の観点から、キノフタロン顔料であるC.I.ピグメント イエロー138、特開2012-226110号公報、特許第6432077号公報に記載のキノフタロン顔料等が好ましい。
【0026】
(青色顔料(A4))
青色顔料(A4)は、例えば、C.I.ビグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,64,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79等が挙げられる。これらの中でも、着色力、パターン形成性の観点から、短波長領域において透過領域を有する無置換のフタロシアニン顔料であるC.I.ビグメントブルー15:3,15:4,15:6が好ましい。
【0027】
(染料)
染料は、例えば、C.I.ソルベントグリーン1,4,5,7,34,35、C.I.アシッドグリーン1,3,5,9,16,50,58,63,65,80,104,105,106,109、C.I.ダイレクトグリーン25,27,31,32,34,37,63,65,66,67,68,69,72,77,79,82、C.I.モーダントグリーン1,3,4,5,10,15,26,29,33,34,35,41,43,53、C.I.アシッド イエロー2,3,4,5,6,7,8,9,9:1,10,11,11:1,12,13,14,15,16,17,17:1,18,20,21,22,23,25,26,27,29,30,31,33,34,36,38,39,40,40:1,41,42,42:1,43,44,46,48,51,53,55,56,60,63,65,66,67,68,69,72,76,82,83,84,86,87,90,94,105,115,117,122,127,131,132,136,141,142,143,144,145,146,149,153,159,166,168,169,172,174,175,178,180,183,187,188,189,190,191,192,199、C.I.ダイレクトイエロー1,2,4,5,12,13,15,20,24,25,26,32,33,34,35,41,42,44,44:1,45,46,48,49,50,51,61,66,67,69,70,71,72,73,74,81,84,86,90,91,92,95,107,110,117,118,119,120,121,126,127,129,132,133,134、C.I.ベーシックイエロー1,2,5,11,13,14,15,19,21,24,25,28,29,37,40,45,49,51,57,79,87,90,96,103,105,106、C.I.ソルベントイエロー2,7,28,29,30,32,33,34,40,42,43,44,45,47,48,56,62,64,68,69,71,72,73,77,79,81,82,83,85,88,89,90,93,94,98,104,107,114,116,117,124,130,131,133,135,138,141,143,145,146,147,157,160,162,163,167,172,174,175,176,177,179,181,182,183,184,185,186,187,188,190,191,192,194,195、C.I.ディスパーズイエロー1,2,3,5,7,8,10,11,13,13,23,27,33,34,42,45,48,51,54,56,59,60,63,64,67,70,77,79,82,85,88,93,99,114,118,119,122,123,124,126,163,184,184:1,202,211,229,231,232,233,241,245,246,247,248,249,250,251等が挙げられる。
【0028】
有機顔料(A)の含有量は、薄膜化の観点から、着色組成物の不揮発分100質量%中、40~80質量%が好ましく、50~80質量%がより好ましく、60~80質量%がさらに好ましい。
【0029】
(有機顔料の微細化)
本発明で有機顔料は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は、特に限定されるものではなく、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用できる。これらの中でも湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。微細化顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は、5~90nmが好ましい。なお、分散性、着色力の観点から、平均一次粒子径は10~70nmがより好ましい。
【0030】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0031】
水溶性無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられ、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。水溶性無機塩の使用量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対して、50~2,000質量部が好ましく、300~1,000質量部がより好ましい。
【0032】
水溶性有機溶剤は、顔料、および水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対して、5~1,000質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましい。
【0033】
ソルトミリング処理には、着色力、分散安定性の観点から、樹脂を添加することが好ましい。前記樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることが好ましい。樹脂の使用量は、有機顔料(A)100質量部に対して、2~200質量部が好ましい。
【0034】
ソルトミリング処理には、分散安定性、着色力の観点から、顔料誘導体(B)を添加することが好ましい。顔料誘導体(B)の使用量は、有機顔料(A)100質量部に対して、5~40質量部が好ましい。
【0035】
有機顔料(A)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0036】
[顔料誘導体(B)]
(顔料誘導体(B1))
顔料誘導体(B)は、一般式(1)で表される顔料誘導体(B1)を含む。
【0037】
【0038】
[一般式(1)中、R1~R4のうち1つは一般式(2)で表させる置換基を有し、そのほかは水素原子を表す。
一般式(2)中、Xは-O-又は-NH-を表し、Yは無置換のアルキレン基を含む2価の連結基を表し、R5
は無置換のアルキル基を表す。]
【0039】
一般式(2)中のR5
におけるアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2-エチルヘキシル基、2-ヘキシルドデシル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、tert-オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4-デシルシクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも分散安定性の観点から、メチル基及びエチル基が好ましい。
【0040】
一般式(2)中のYは、置換基を有してもよいアルキレン基、または置換基を有してもよいアリーレン基を含む2価の連結基であり、例えば、前述したアルキル基、後述するアリール基から水素原子1個を取り除いたアルキレン基又はアリーレン基を含む2価の連結基が好ましい。前記アルキレン基又は前記アリーレン基は、互いに連結できる。また、前記アルキレン基又は前記アリーレン基は、-O-、-COO-、-CO-、-OCO-等の2価の連結基で連結できる。これらの中でも耐熱性、移染の観点から、炭素数2~4のアルキレン基、フェニレン基が好ましい。
【0041】
一般式(2)中のXは、-O-、または-NH-を表し、分散安定性の観点から、-NH-が好ましい。
【0042】
一般式(1)で表される顔料誘導体(B1)(以下、顔料誘導体(B1)ともいう)の具体例を以下に示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0043】
【0044】
顔料誘導体(B1)の含有量は、粘度、分散安定性、および異物発生の抑制の観点から、有機顔料(A)100質量部に対して、5~30質量部が好ましく、10~25質量部がより好ましい。
【0045】
顔料誘導体(B1)は、上述した顔料の微細化工程、および後述する顔料の分散処理工程の少なくとも一方の工程で添加することが好ましく、顔料の微細化工程で添加することがより好ましい。顔料の微細化工程で添加すると着色力が向上する。
【0046】
(顔料誘導体(B2))
着色組成物は、顔料誘導体(B)として、粘度、分散安定性、および異物発生の抑制の観点から、下記一般式(5)で表される顔料誘導体(B2)を併用できる。
【0047】
【0048】
(一般式(5)中、R1~R9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換基を有してもよい炭素数20以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数20以下のアルコキシ基、または置換基を有してもよい炭素数20以下のアリール基を表し、隣接する置換基同士が結合して、脂肪族環または芳香族環を形成しても良い。R1~R9は、それぞれ独立に、水素原子、又は塩素原子であることが好ましく、分散安定性、異物発生の抑制の観点から、R6~R9が塩素原子であることが特に好ましい。
【0049】
Qは、2価の連結基を表す。A、およびBは、それぞれ独立に、下記一般式(6)で表される基、下記一般式(7)で表される基、-O-(CH2)n-R10、-OR11、-NR12R13、-Cl、および-Fから選ばれる基を表し、R10は置換されていてもよい含窒素複素環残基を表し、R11、R12、R13は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1~20アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリール基を表し、nは0~20の整数を表す。
【0050】
【0051】
前記一般式(5)中のA、およびBは、分散安定性の観点から、前記一般式(6)、または前記一般式(7)で表される基が好ましく、ともに前記一般式(6)で表される基であることが好ましく、同一の基であることがより好ましい。
【0052】
一般式(6)中、Y1は-NR20-、または-O-を表し、Y2は置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニレン基、または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリーレン基を表す。これらの基は、-NR20-、-O-、-SO2-、-CO-から選ばれる2価の連結基で相互に結合されていてもよい。R20は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリール基を表す。R14、及びR15はそれぞれ、置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基を表す。R14とR15が一体となって、更なる窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含み置換されていてもよい複素環構造を形成してもよい。
なお、Y1は、-NR20-が好ましい。R20は、水素原子が好ましい。Y2は、分散安定性の観点から、炭素数1~3のアルキレン基が好ましい。R14、およびR15は分散性安定性の観点から、同一の基が好ましく、前記基は炭素数1~6のアルキル基が好ましい。
【0053】
一般式(7)中、Z1はトリアジン環と窒素原子を結ぶ単結合、-NR21-、-NR21-G-CO-、NR21-G-CONR22-、-NR21-G-SO2-、-NR21-G-SO2NR22-、-O-G-CO-、-O-G-CONR21-、-O-G-SO2-、または-O-G-SO2NR21-を表す。Gは置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニレン基または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリーレン基を表す。R21およびR22は、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリール基を表す。R16、R17、R19、およびR20はそれぞれ、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリール基を表し、R18は置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基を表す。)Gは、一般式(6)におけるY2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0054】
前記一般式(7)中のR16、R17、R19、およびR20は、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数が2~20のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数が6~20のアリール基を表し、水素原子が好ましい。
【0055】
前記一般式(5)中のQは、2価の連結基を表し、下記一般式(8)で表される連結基であることが好ましい。
【0056】
【0057】
(一般式(8)中、q1は、-NHSO2-、-NHCO-、-OSO2-、-OCO-、-NH-、または-O-を表す。
q2は、置換基を有してもよい炭素数20以下のアリーレン基、置換基を有してもよい炭素数20以下のヘテロアリレーン基、又は置換基を有してもよい炭素数20以下のアルキレン基を表し、mが2以上のときは、複数のq2は同一でも異なっていてもよく、複数のq2同士は、-NHSO2-、-NHCO-、-OSO2-、-OCO-、-S-、-NH-、および-O-から選ばれる少なくとも1種の2価の連結基によって連結されていても良い。
q3は、-NH-、または-O-を表す。
nは0、または1の整数を表し、mは、0~5の整数を表す。
【0058】
前記一般式(8)中のq1は、-NHSO2-、または-OSO2-が好ましく、q2は、炭素数20以下のアリーレン基又は炭素数20以下のアルキレン基が好ましく、炭素数20以下のアリーレン基がより好ましく、フェニレン基が特に好ましい。q3は、-NH-が好ましい。n、およびmは、1であることが好ましい。
【0059】
以下、本発明に用いられる一般式(5)で表される顔料誘導体(B2)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0060】
【0061】
【0062】
顔料誘導体(B2)の含有量は、粘度、分散安定性、および異物発生の抑制の観点から、有機顔料(A)100質量部に対して、1~15質量部が好ましく、2~10質量部がより好ましい。
【0063】
顔料誘導体(B)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0064】
顔料誘導体(B)は、顔料誘導体(B1)、および顔料誘導体(B2)以外のその他の顔料誘導体を含有できる。
【0065】
[分散樹脂(C)]
本発明における着色組成物は、分散樹脂(C)として、リン酸系分散樹脂(C1)、およびカルボン酸系分散樹脂(C2)のうち1種以上を含む。
【0066】
(リン酸系分散樹脂(C1))
リン酸系分散樹脂(C1)は、分子内にリン酸結合[(-O)3P=O]を有する樹脂である。好ましい例は、例えば、下記(C1-1)、または(C1-2)のいずれかで示されるリン酸系分散樹脂である。
【0067】
〔リン酸系分散樹脂(C1-1)〕
リン酸系分散樹脂(C1-1)は、下記一般式(3)で表される樹脂である。
(HO-)3-n-PO-(O-R1)n 一般式(3)
(一般式(3)中、R1は数平均分子量300~10,000のポリエステル残基、nは1、または2を表す。)
【0068】
一般式(3)で表されるリン酸系分散樹脂は、分散後の顔料の再凝集を抑制する効果が大きいので、異物が少なく透明性に優れたカラーフィルタを作製できる。
【0069】
一般式(3)で表されるリン酸系分散樹脂は、例えば、モノアルコールを開始剤として、環状エステルを開環付加(第一の工程)した後、リン酸エステル化(第二の工程)を行うことにより製造することが好ましい。
【0070】
モノアルコールは、分子内に1つの水酸基を持つ化合物であり、1級、2級、3級アルコールの何れも使用できる。モノアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2-エチルヘキシルアルコール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール等が挙げられる。これらの中でもラウリルアルコール、N-ヘキサノール、およびヘキサデシルアルコールが好ましい。
【0071】
第一の工程において、モノアルコールを開始剤として、環状エステルであるε-カプロラクトン等を開環付加重合することで片末端に水酸基を有するポリエステル残基を合成できる。ε-カプロラクトンの付加反応は、公知の方法、例えば、脱水管、コンデンサーを接続した反応器にモノアルコール、ε-カプロラクトン、および重合触媒を仕込み、窒素気流下で行うことができる。なお、低沸点のモノアルコールを用いる場合には、オートクレーブを用いて加圧下で反応させることができる。反応には、無溶剤またはトルエン、キシレンの様な適当な脱水溶媒を使用することもできる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま製品の一部として使用もできる。
【0072】
第一の工程における反応温度は120℃~220℃が好ましく、160℃~210℃がより好ましい。適度な温度で反応を行うと副反応を抑制しつつ、効率よく反応物が得られる。
モノアルコール1モルに対するε-カプロラクトンの付加モル数は、1~50モルが好ましく、3~20モルがより好ましい。適度な比率で反応させると適度な分子量の分散樹脂が得られる。
【0073】
重合触媒は、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヨードなどの四級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨードなどの四級ホスホニウム塩の他、トリフェニルホスフィンなどのリン化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウムなどの有機カルボン酸塩、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラートなどのアルカリ金属アルコラートの他、三級アミン類、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタネート化合物、及び塩化亜鉛などの亜鉛化合物等が挙げられる。
【0074】
第二の工程として、片末端に水酸基を有するポリエステル残基と、例えば、五酸化リン、ポリリン酸、オルトリン酸、またはオキシ塩化リン等のリン酸エステル化剤とを反応させることにより、一般式(2)で表されるリン酸系分散樹脂を得ることができる。これらのリン酸エステル化剤の中で、塩酸ガス等の副生がなく、特殊な設備が不要であることから、オルトリン酸、ポリリン酸および五酸化リンからなる群より選ばれる1種以上のリン酸エステル化剤が好ましい。なかでもオルトリン酸換算含有量116質量%のポリリン酸が好ましい。
【0075】
リン酸エステル化剤の仕込み比は、片末端に水酸基を有するポリエステル残基の水酸基に対するリン酸エステル化剤中のリン原子のモル比として0.5~1.5が好ましく、1.0~1.3より好ましく、1.05~1.2さらに好ましい。適度な比率で反応させると副生成物が少ない分散樹脂が得られる。
【0076】
第二の工程における反応温度は、特に限定されないが40℃~130℃が好ましく、50℃~110℃が更より好ましく、60℃~100℃がさらに好ましい。適度な温度で反応させると未反応物が少なく、副生成物が少ない分散樹脂が得られる。
【0077】
一般式(3)で表される分散樹脂は、分散性の観点から、n=1のリン酸エステルとn=2のリン酸エステルとのモル比が100:0~100:30であることが好ましい。
【0078】
また、一般式(3)で表される分散樹脂は、R1が下記一般式(3-1)で示される構造であることが好ましい。
-(R11-COO-)m-R12 一般式(3-1)
(一般式(3-1)中、R11はラクトン残基、R12はモノアルコール残基、mは1~50の整数を表す。)
一般式(3-1)中、例えば、R1がポリカプロラクトン残基であると、顔料分散性、乾燥溶解性が良好になり好ましい。ポリカプロラクトン残基の数平均分子量は300~10,000が好ましい。
【0079】
〔リン酸系分散樹脂(C1-2)〕
リン酸系分散樹脂(C1-2)は、リン酸基含有単量体と、その他単量体との共重合体である分散樹脂であり、例えば、特開2003-253078号公報、特開2008-161737号公報に記載された樹脂である。
【0080】
(カルボン酸系分散樹脂(C2))
カルボン酸系分散樹脂(C2)は、分子内にカルボキシル基(-COOH)を含む分散能を有する樹脂である。好ましい例としては、下記(C2-1)、または(C2-2)のいずれかで示されるカルボン酸系分散樹脂である。
【0081】
〔カルボン酸系分散樹脂(C2-1)〕
カルボン酸系分散樹脂(C2-1)は、テトラカルボン酸二無水物、およびトリカルボン酸無水物の群から選ばれる一種以上の酸無水物中の酸無水物基と水酸基含有化合物中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシル基を有するポリエステル部分、並びに、単量体をラジカル重合してなるビニル重合体部分、を含む樹脂である。
まず、前記ポリエステル部分の説明をする。ポリエステル部分は、酸無水物基と水酸基との反応に由来するエステル基が複数存在する部位である。
【0082】
テトラカルボン酸二無水物は、例えば、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボルナン-2-酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これらの中でも顔料に対する吸着性の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0083】
テトラカルボン酸二無水物は上記の例示化合物に限らず、酸無水物基を2つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。テトラカルボン酸二無水物は、水酸基含有化合物との反応により、テトラカルボン酸二無水物一単位に二個のカルボキシル基を有する分散樹脂を形成するため、顔料吸着性の観点から、本発明の分散樹脂の構成要素として好ましい。
【0084】
トリカルボン酸無水物は、脂肪族トリカルボン酸無水物、または芳香族トリカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0085】
脂肪族トリカルボン酸無水物は、例えば、3-カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4-ブタントリカルボン酸-1,2-無水物、cis-プロペン-1,2,3-トリカルボン酸-1,2-無水物、1,3,4-シクロペンタントリカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0086】
芳香族トリカルボン酸は、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3-ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物]等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5-ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8-ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4’-ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、又は3,4,4’-ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。これらの中でも顔料に対する吸着性の観点から、芳香族トリカルボン酸無水物が好ましい。
【0087】
テトラカルボン酸無水物、およびトリカルボン酸無水物から選ばれる一種以上の酸無水物中の酸無水物基と、水酸基含有化合物中の水酸基のモル比率は、酸無水物基/水酸基=0.5~1.5が好ましい。適度な比率で反応させると分散性が良好な分散樹脂を得易い。
【0088】
水酸基含有化合物は、モノオール、ポリオールの中でも複数の水酸基を有するジオールなどのポリオールが好ましい。ポリオール中の水酸基は、ビニル重合体部分との結合起点として機能する。
ビニル重合体部分との結合起点となるポリオールとして、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物および片末端水酸基含有ビニル重合体の群から選ばれる少なくとも一種の水酸基含有化合物等が挙げられる。例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセリンあるいは1-チオグリセロール)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0089】
カルボン酸系分散樹脂(C2-1)は、下記カルボン酸系分散樹脂(C2-1-1)、または(C2-1-2)がより好ましい。
【0090】
≪カルボン酸系分散樹脂(C2-1-1)≫
カルボン酸系分散樹脂(C2-1-1)のビニル重合体部位は、水酸基、オキセタン基、t-ブチル基、およびブロックイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱架橋性基含有単量体単位、およびカルボキシル基含有単量体単位を含む分散樹脂である。
【0091】
(i-1)〔水酸基含有単量体〕
水酸基含有単量体は、水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエチル-α-ヒドロキシメチルアクリレートなどのアルキル-α-ヒドロキシアルキルアクリレート;
水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN-(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド;
水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、2-(又は3-)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-(又は3-又は4-)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル;
水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、2-(又は3-)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2-(又は3-又は4-)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。
【0092】
また、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル-α-ヒドロキシアルキルアクリレート、N-(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルあるいはヒドロキシアルキルアリルエーテルにアルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加した単量体も好ましい。前記アルキレンオキサイドは、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2-、1,4-、2,3-又は1,3-ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が好ましい。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。前記ラクトンは、例えば、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、炭素原子数1~6のアルキル基で置換されたε-カプロラクトン及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンの両方が付加してもよい。
【0093】
(i-2)〔オキセタン基含有単量体〕
オキセタン基含有単量体は、(ビニルオキシアルキル)アルキルオキセタン、(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキセタン、〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕アルキルオキセタン等が挙げられる。中でも好ましくは、メタクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル等が挙げられる。市販品は、例えば、ETERNACOLL OXMA(メタクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル)(宇部興産社製)が挙げられる。
【0094】
(i-3)〔t-ブチル基含有単量体〕
t-ブチル基含有単量体は、例えば、t-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート等が挙げられる。
【0095】
(i-4)〔ブロックイソシアネート基含有単量体〕
ブロックイソシアネート基含有単量体は、メタクリル酸2-(0-[1‘-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート等が挙げられる。市販品は、例えば、カレンズMOI-BM(メタクリル酸2-(0-[1‘-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル)(昭和電工社製)、カレンズMOI-BP(2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート)(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0096】
熱架橋性基含有単量体単位の含有量は、全単量体中に5~90質量%が好ましく、20~60質量%がより好ましい。5質量%以上であれば、架橋効果により耐性に優れた着色組成物を得ることが可能となり、90質量%以下であれば、組成物の安定性が向上する。
【0097】
(ii)〔カルボキシル基含有単量体〕
カルボキシル基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、けい皮酸等が挙げられる。これらの中でも、共重合性が良く、入手が容易な(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0098】
(iii)〔その他単量体〕
カルボン酸系分散樹脂(C2-1-1)のビニル重合体部分には、その他単量体を使用できる。
その他単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;及び、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類が挙げられる。
【0099】
また、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。
【0100】
≪カルボン酸系分散樹脂(C2-1-2)≫
カルボン酸系分散樹脂(C2-1-2)は、ビニル重合体部分に、重合性不飽和基を有する樹脂である。
カルボン酸系分散樹脂(C2-1-2)の製造方法は、例えば、グリシジルメタクリレートと水酸基またはカルボキシル基を有する重合体と反応物、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと水酸基またはカルボキシル基を有する重合体との反応物等が挙げられる。カルボン酸系分散樹脂(C2-1-2)は、例えば、特開2011-157416号公報記載の分散樹脂が挙げられる。
【0101】
〔カルボン酸系分散樹脂(C2-2)〕
カルボン酸系分散樹脂(C2-2)は、下記一般式(4)で表される分散樹脂であり、具体的には、特開2007-140487号公報に記載された分散樹脂である。
(HOOC-)m-R2-(-COO-[-R4-COO-]n-R5)t 一般式(4)
(一般式(4)中、R2は4価のテトラカルボン酸化合物残基、R5はモノアルコール残基、R4はラクトン残基、mは2、または3、nは1~50の整数、tは(4-m)を表す。)
【0102】
分散樹脂(C)の含有量は、粘度、分散安定性、および異物発生の抑制の観点から、顔料誘導体(B1)100質量部に対して、50~1000質量部が好ましく、80~800質量部がより好ましい。
【0103】
(塩基性分散樹脂(C3))
着色組成物は、分散安定性の観点から、さらに塩基性分散樹脂(C3)を含有できる。塩基性分散樹脂(C3)は、例えば、塩基性基含有単量体を含む単量体をラジカル重合した共重合体が好ましい、この分散樹脂は、顔料に吸着する塩基性基を含む親和性部位を有し、分散を安定化する。
【0104】
本発明で塩基性基は、窒素原子を有する官能基である。塩基性分散樹脂(C3)は、例えば、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基や、ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素複素環などを有するアクリル系ブロック共重合体、ランダム共重合体、およびウレタン系樹脂等が挙げられる。これらの中でもブロック共重合体がより好ましい。
【0105】
本発明では、分散安定性の観点から、塩基性基として、下記一般式(9)、一般式(10)、および一般式(11)で表される群より選ばれる少なくとも一つの単位を有することが好ましい。
【0106】
【0107】
一般式(9)中、R1~R3は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R1~R3のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R4 は水素原子又はメチル基を示し、Xは2価の連結基を示し、Y-は対アニオンを示す。
一般式(9) におけるR1~R3は、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7~16のアラルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基が特に好ましい。
【0108】
一般式(10)中、R5、およびR6は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R5、およびR6が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R4は水素原子又はメチル基を示し、Xは2価の連結基を示す。
一般式(10)におけるR5、およびR6は、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が特に好ましい。
【0109】
一般式(11)中、R7は水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、アシル基、オキシラジカル基、またはOR12を表し、R12は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、またはアシル基を表し、R8、R9、R10、R11はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。R4は水素原子又はメチル基を示し、Xは2価の連結基を示す。
一般式(11)のR7において、炭素数1~18のアルキル基は、例えば、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。
炭素数6~20のアリール基は、例えば、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
炭素数7~12のアラルキル基は、例えば、炭素数6~10のアリール基に炭素数1~8のアルキル基が結合した基が挙げられる。例えば、ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基、2-フェニルプロパン-2-イル基等が挙げられる。
またアシル基は、例えば、炭素数2~8のアルカノイル基及び、アロイル基が挙げられる。例えば、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
この中でも特に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、オキシラジカル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0110】
一般式(9)、(10)、および(11)において、2価の連結基Xは、例えば、メチレン基、炭素数2~10のアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R13-、-COO-R14-(但し、R13、およびR14は単結合、メチレン基、炭素数2~10のアルキレン基、又は炭素数2~10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)である)等が挙げられる。これらの中でも、-COO-R14-が好ましい。また、上記式(9)において、対アニオンのY-は、例えば、Cl-、Br-、I-、ClO4
-、BF4
-、CH3COO-、PF6
-等が挙げられる。
【0111】
一般式(9)を形成する4級アンモニウム塩基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0112】
一般式(10)を形成する3級アミン基含有単量体は、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びN,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類;
等が挙げられる。
【0113】
一般式(11)を形成する単量体は、例えば、下記一般式(11-1)~(11-11)で表される化合物等が挙げられる。
【0114】
【0115】
一般式(11-1)~(11-11)において、R4は水素、またはメチル基を表す。
【0116】
これらのうち、2,2,6,6-テトラメチルピペリジルメタクリレート(上記一般式(11-1)において、R4がメチル基である化合物)、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート(上記一般式(11-2)においてR4がメチル基である化合物)が好ましく、特に1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレートが好ましい。
【0117】
塩基性分散樹脂(C3)のアミン価は、50~180mgKOH/gが好ましい。
【0118】
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート、及びオクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート 、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルキルオキシシリル基を有する(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;並びに、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
また、スチレン、及びα-メチルスチレン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;並びに、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
【0119】
更に、カルボキシル基含有単量体を併用することもできる。カルボキシル基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及びω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0120】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(9)、(10)、および(11)で表される単位以外のアミノ基含有単量体を併用してもよい。
【0121】
前記塩基性分散樹脂(C3)は、酸性化合物と塩を形成して使用することができる。
前記酸性化合物は、リン酸化合物、スルホン酸化合物が挙げられる。
【0122】
リン酸化合物は、例えば、モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、メチルリン酸、ジベンジルリン酸、ジフェニルリン酸、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ジメタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
スルホン酸化合物は、例えば、ベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、モノメチル硫酸、モノエチル硫酸、モノn-プロピル硫酸等が挙げられる。なお、p-トルエンスルホン酸一水和物のような水和物を用いても良い。
これらの中でも異物抑制の面でリン酸化合物が好ましい。
【0123】
前記塩基性分散樹脂(C3)の分子量は、分散安定性の観点から、ポリスチレン換算の重量平均で1,000~100,000が好ましい。
【0124】
塩基性分散樹脂(C3)の含有量は、分散安定性の観点から、有機顔料(A)100質量部に対して、1~200質量部が好ましく、5~100質量部がより好ましい。
【0125】
[バインダ樹脂(D)]
本発明における着色組成物は、成膜性、塗膜の耐性、現像性、およびパターン形成性の観点から、バインダ樹脂(D)を含むことが好ましい。
【0126】
前記バインダ樹脂(D)は、厚さ2μmの被膜を形成すると400~700nmの全波長領域において透過率が80%以上の樹脂が好ましい。なお透過率は95%以上がより好ましい。バインダ樹脂(D)には、その主たる硬化方式で分類すると熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂は、熱硬化性官能基を有することが好ましい。また、バインダ樹脂(D)は、現像性の観点からアルカリ可溶性樹脂が好ましい。バインダ樹脂(D)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0127】
バインダ樹脂(D)の含有量は、成膜性、塗膜の耐性の観点から、有機顔料(A)100質量部に対して、20~400質量部が好ましく、50~250質量部がより好ましい。
【0128】
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、アルカリ可溶性であることが好ましく、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基及び/又は水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂は、現像性、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0129】
(アルカリ可溶性樹脂)
バインダ樹脂(D)は、塗膜耐性の観点から、重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂が特に好ましい。特に以下に示す(i) 、(ii)の方法により重合性不飽和基を導入した樹脂を用いることで、活性エネルギー線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3次元架橋されることで架橋密度が上がり、塗膜耐性が良好になる。
【0130】
(方法(i))
方法(i)は、例えば、エポキシ基含有単量体と、その他単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、重合性不飽和基を有するモノカルボン酸単量体のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、重合性不飽和基及びカルボキシル基を導入する方法がある。
【0131】
エポキシ基含有単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも次工程のモノカルボン酸単量体との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0132】
モノカルボン酸単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられる。
【0133】
多塩基酸無水物は、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解したりすること等もできる。また、多塩基酸無水物として、重合性不飽和基を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に重合性不飽和基を増やすことができる。
【0134】
方法(i)の類似の方法として、例えば、モノカルボン酸単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基含有単量体を付加反応させ、重合性不飽和基及びカルボキシル基を導入する方法がある。
【0135】
(方法(ii))
方法(ii)としては、水酸基含有単量体を使用し、モノカルボン酸単量体の単量体や、その他単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基含有単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0136】
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタアクリレート類が挙げられる。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、及び/又はポリ12-ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、又はグリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、また感度の点からは2個以上6個以下の水酸基を有するものを使用することが感度の点から好ましく、グリセロールモノ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0137】
イソシアネート基含有単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0138】
アルカリ可溶性樹脂を構成するモノマーとして以下のものが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
【0139】
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類、EO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0140】
又、カルボキシル基含有単量体を使用できる。カルボキシル基含有単量体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ε-カプロラクトン付加アクリル酸、ε-カプロラクトン付加メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びクロトン酸等が挙げられる。
【0141】
又、水酸基含有単量体を使用できる。水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。又、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ-バレロラクトン、(ポリ)ε-カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12-ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0142】
又、リン酸エステル基含有単量体も挙げられる。リン酸エステル基含有単量体は、例えば、水酸基含有単量体の水酸基に、5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応させた単量体できる。
【0143】
バインダ樹脂(D)の合成に使用する単量体は、単独または2種類以上を併用できる。
【0144】
バインダ樹脂(D)は、塗膜の硬化度合を調整するために、重合性不飽和基を有するアルカリ可溶樹脂と、重合性不飽和基を有しないアルカリ可溶性樹脂を併用できる。
【0145】
バインダ樹脂(D)の重量平均分子量(Mw)は、アルカリ現像溶解性の観点から、2,000以上40,000以下であり、3,000以上300,00以下が好ましく、4,000以上20,000以下がより好ましい。また、Mw/Mnの値は10以下が好ましい。適度な重量平均分子量(Mw)により基板に対する密着性が向上し、アルカリ現像溶解性が向上する。
【0146】
バインダ樹脂(D)の酸価は、アルカリ現像溶解性を付与するために50以上200以下(mgKOH/g)が好ましく、70以上180以下がより好ましく、90以上170以下がさらに好ましい。適度な酸価によりアルカリ現像溶解性が向上し、残渣が少なくパターンの直線性が向上する上、基板への密着性が向上する。
【0147】
バインダ樹脂(D)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0148】
(熱硬化性化合物(G))
本発明の着色組成物は、さらに熱硬化性化合物(G)を含有できる。熱硬化性化合物を含むことで、カラーフィルタを作製する際、フィルタセグメントの焼成時に反応し塗膜の架橋密度が向上する。これにより耐熱性が向上し、前記焼成時の顔料凝集が抑えられ、着色力が向上する。
【0149】
前記熱硬化性化合物(G)は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。前記熱硬化性化合物は、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、およびフェノール化合物が挙げられる。これらの中でもエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好ましい。
【0150】
〔エポキシ化合物(G-1)〕
エポキシ化合物は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’-ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’-ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0151】
市販品は、例えば、エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート190P、エピコート191P(以上は商品名;油化シェルエポキシ社製)、エピコート1004、エピコート1256(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン社製)、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学社製)、EPPN-501H、502H(商品名;日本化薬社製)、JER 1032H60(商品名;ジャパンエポキシレジン社製)、JER 157S65、157S70(商品名;ジャパンエポキシレジン社製)、EPPN-201(商品名;日本化薬社製)、JER152、JER154(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン社製)、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1020(以上は商品名;日本化薬社製)、セロキサイド2021、EHPE-3150(以上商品名;ダイセル化学工業社製)、デナコールEX-211、212、252、313、314、321、411、421、512、521、611、612、614、614B、622、711、721、(以上は商品名;ナガセケムテックス社製)、TEPIC-L,TEPIC-H、TEPIC-S(日産化学工業社製)等が挙げられる。
【0152】
エポキシ化合物の含有量は、有機顔料(A)100質量部に対し、0.5~300質量部が好ましく、1.0~50質量部がより好ましい。適量配合すると着色力および耐熱性が向上する。
【0153】
〔オキセタン化合物(G-2)〕
前記オキセタン化合物は、オキセタン基を有する化合物である。オキセタン化合物は、1官能オキセタン化合物、2官能オキセタン化合物、3官能以上のオキセタン化合物が挙げられる。
1官能オキセタン化合物は、例えば、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、 (3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-メタクリロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
具体例としては、大阪有機化学工業社製OXE-10、OXE-30、東亞合成社製OXT-101、OXT-212等が挙げられる。
【0154】
2官能オキセタン化合物は、例えば、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル-3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-フェノキシメチル)オキセタン、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコースビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
具体例としては、宇部興産社製、OXBP、OXTP、東亞合成社製OXT-121、OXT-221等が挙げられる。
【0155】
3官能以上のオキセタン化合物は、例えば、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂(例えば、特許第3783462号記載のオキセタン変性フェノールノボラック樹脂等)や前述のOXE-30のような(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0156】
オキセタン化合物の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量部中、通常0.5~50質量部、好ましくは1~40質量部である。オキセタン化合物の含有量が、前記の範囲にあると水シミが良好で、かつ耐薬品性が高い優れた塗膜が得られるため好ましい。
【0157】
メラミン化合物とは、メラミン環構造を有する化合物を指す。メラミン化合物は、メチロール型やエーテル型が好ましく、でメラミン環1個当たりのメチロール基および/またはエーテル基数が平均5.0以上のメラミン化合物がより好ましい。メラミン化合物を適量使用すると着色力が向上し、N-メチルピロリドン耐性も向上する。
【0158】
市販品は、例えば、二カラックMW-30HM、MW-390、MW-100LM、MX-750LM、MW-30M、MW-30、MW-22、MS-21、MS-11、MW-24X、MS-001、MX-002、MX-730、MX-750、MX-708、MX-706、MX-042、MX-45、MX-500、MX-520、MX-43、MX-417、MX-410(三和ケミカル社製)、サイメル232、235、236、238、285、300、301、303、350、370(日本サイテックインダストリーズ社製)等が挙げられる。
【0159】
これらの中でもメラミン環1個当たりのメチロール基および/またはエーテル基数が平均5.0以上である、二カラックMW-30HM、MW-390、MW-100LM、MX-750LM、MW-30M、MW-30、MW-22、MS-21、MS-11、MW-24X、MX-45(三和ケミカル社製)サイメル232、235、236、238、300、301、303、350(日本サイテックインダストリーズ社製)等は、架橋密度を高められる面で好ましい。
【0160】
熱硬化性化合物(G)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0161】
(硬化剤)
本発明の着色組成物には、熱硬化性化合物(G)の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤(硬化促進剤)を併用できる。硬化剤は、例えば、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物等が挙げられる。硬化剤は、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)等が挙げられる。
【0162】
硬化剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0163】
硬化剤の含有量は、熱硬化性化合物(G)100質量部に対して、0.01~15質量部が好ましい。
【0164】
[有機溶剤(P)]
本発明の着色組成物は、有機溶剤(P)を含有できる。
有機溶剤(P)は、例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、1-メトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、有機顔料の分散性、バインダ樹脂の溶解性の観点から、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類が好ましい。
【0165】
有機溶剤(P)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0166】
本発明の着色組成物は、塗工性の観点から、25℃における粘度が50mPa・S未満が好ましく、15mPa・S未満がより好ましく、10mPa・S以下がさらに好ましい。粘度は、有機溶剤(P)等の配合で調整できる。
【0167】
<感光性着色組成物>
本発明の感光性着色組成物は、着色組成物、重合性化合物(E)、および光重合性開始剤(F)を含む。
【0168】
[重合性化合物(E)]
重合性化合物(E)は、重合性不飽和基を含有するモノマー(単量体)、オリゴマーである。重合性化合物(E)は、例えば、酸基含有単量体、ウレタン結合含有単量体、その他単量体が挙げられる。
【0169】
酸基含有単量体の酸基は、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等が挙げられる。
酸基含有単量体は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等が挙げられる。具体例は、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレート又はモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレート又はモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられる。
【0170】
(ウレタン結合含有単量体)
ウレタン結合含有単量体は、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0171】
水酸基を有する(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0172】
多官能イソシアネートは、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0173】
その他単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0174】
重合性化合物(E)の市販品は、例えば、東亞合成社製アロニックスM309、M321、M350、M315、M305、M450、M408、M400、M402、M510、M520等が挙げられる。
【0175】
重合性化合物(E)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0176】
重合性化合物(E)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、1~50質量%が好ましく、2~40質量%がより好ましい。適量配合すると光硬化性、および現像性が向上する。
【0177】
[光重合開始剤(F)]
光重合開始剤(F)は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。
【0178】
市販品では、アセトフェノン系化合物として、IGM Resins社製で「Omnirad 907」(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン)、「Omnirad 369E」(2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン)、「Omnirad 379EG」(2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン)、ホスフィン系化合物として、IGM Resins社製で「Omnirad 819」(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド)、「Omnirad TPO」(ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド)、等が挙げられる。これらの中でも、オキシムエステル系化合物を含有することが好ましい。
【0179】
(オキシムエステル系化合物)
オキシムエステル系化合物は、紫外線を吸収することによってオキシムのN-O結合の解裂がおこり、イミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成する。これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でパターンを形成させることができる。感光性着色組成物の有機顔料濃度が高い場合、塗膜の紫外線透過率が低くなり塗膜の硬化度が低くなることがあるが、オキシムエステル系化合物は高い量子効率を持つため好適に使用される。
【0180】
市販品は、例えば、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE-01)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(IRGACURE OXE 02)、IRGACURE OXE 04(いずれもBASFジャパン社製)、N-1919、NCI-831、NCI-930(いずれもADEKA社製)、TRONLY TR-PBG-304、TRONLY TR-PBG-305、TRONLY TR-PBG-309、TRONLY TR-PBG-345(いずれも常州強力新材料社製)等が挙げられる。また、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報等に記載のオキシムエステル系光重合開始剤も挙げられる。
【0181】
光重合開始剤(F)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0182】
前記光重合開始剤(F)の含有量は、有機顔料(A)100質量部に対して、光硬化性、現像性の観点から、2~50質量部が好ましく、2~30質量部がより好ましい。適量含有すると基板とパターンの密着性が向上し、ポストベークの明度が低下しにくい。
【0183】
[増感剤(H)]
本発明の感光性着色組成物は、増感剤(H)を含有できる。
増感剤(H)は、例えば、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノール誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0184】
これらの中でもチオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が好ましく、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等がより好ましい。
【0185】
増感剤(H)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0186】
市販品は、例えば、「KAYACURE DETX-S」(2,4-ジエチルチオキサントン 日本化薬社製)、「CHEMARK DEABP」(4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン Chemark Chemical社製)等が挙げられる。
【0187】
増感剤(H)の含有量は、光硬化性、現像性の観点から、光重合開始剤(F)100質量部に対し、3~60質量部が好ましく、5~50質量部がより好ましい。
【0188】
[チオール系連鎖移動剤(I)]
感光性着色組成物は、チオール系連鎖移動剤(I)を含有できる。チオール系連鎖移動剤は、光重合開始剤と併用すると光照射後のラジカル重合の際、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生し、感光性着色組成物の感度が向上する。
【0189】
チオール系連鎖移動剤は、チオール基(SH基)2以上有る多官能チオールが好ましい。なお、チオール系連鎖移動剤は、SH基を4以上有することがより好ましい。官能基数が増えると被膜の表面から最深部まで光硬化し易くなる。
【0190】
多官能チオールは、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
【0191】
チオール系連鎖移動剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0192】
チオール系連鎖移動剤の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、1~10質量%が好ましく、2~8質量%がより好ましい。適量含有すると光感度、テーパー形状が向上し、被膜表面にシワが発生し難くなる。
【0193】
[重合禁止剤(J)]
感光性着色組成物は、重合禁止剤(J)を含有できる。これによりフォトリソグラフィー法の露光時にマスクの回折光による感光を防止し、良好なパタ-ン形状が得やすくなる。
重合禁止剤(J)は、例えば、カテコール、レゾルシノール、1,4-ヒドロキノン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-t-ブチルカテコール、3-t-ブチルカテコール、4-t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、2-エチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、2-プロピルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、2-n-ブチルレゾルシノール、4-n-ブチルレゾルシノール、2-t-ブチルレゾルシノール、4-t-ブチルレゾルシノール等のアルキルレゾルシノール系化合物、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロール、フロログルシン等が挙げられる。
【0194】
重合禁止剤の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、0.01~0.4質量%が好ましい。適量含有すると良好なパタ-ン形状が得やすくなる。
【0195】
[紫外線吸収剤(K)]
感光性着色組成物は、紫外線吸収剤(K)を含有できる。紫外線吸収剤(K)は、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、ベンゾフェノン系有機化合物、サリチル酸エステル系有機化合物、シアノアクリレート系有機化合物、及びサリシレート系有機化合物等が挙げられる。
【0196】
ベンゾトリアゾール系化合物は、例えば、2-(5メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α, α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2-メトキシ-1-メチルエチルアセテ-トと95%のベンゼンプロパン酸,3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-9側鎖及び直鎖アルキルエステルの混合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル 3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネートが挙げられる。
【0197】
市販品は、BASFジャパン社製TINUVIN P、PS、234、326、329、384-2、900、928、99-2、1130、ADEKA社製アデカスタブLA-29、LA-31RG、LA-32、LA-36、ケミプロ化成社製KEMISORB71、73、74、79、279、大塚化学社製RUVA-93等が挙げられる。
【0198】
トリアジン系化合物は、例えば、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0199】
市販品は、ケミプロ化成社製KEMISORB 102、BASFジャパン社製TINUVIN 400、405、460、477、479、1577ED、ADEKA社アデカスタブLA-46、LA-F70、サンケミカル社製CYASORB UV-1164等が挙げられる。
【0200】
ベンゾフェノン系化合物は、例えば、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸-3水温、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2’-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0201】
市販品は、ケミプロ化成社製KEMISORB 10、11、11S、12、111、シプロ化成社製SEESORB 101、107、ADEKA社製アデカスタブ1413、サンケミカル社製UV-12等が挙げられる。
【0202】
サリチル酸エステル系化合物は、例えば、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。
【0203】
紫外線吸収剤(K)の含有量は、光重合開始剤と紫外線吸収剤との合計100質量%中、5~70質量%が好ましい。適量含有すると良好なパタ-ン形状が得やすくなる。なお、増感剤(H)を含む場合、光重合開始剤(F)の含有量は、増感剤(H)の含有量を含む。
【0204】
また、光重合開始剤(F)と紫外線吸収剤(K)の合計含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、1~20質量%が好ましい。適量含有することで基板への密着性、および解像性を両立しやすい。なお、増感剤(H)を含む場合、光重合開始剤(F)の含有量は、増感剤(H)の含有量を含む。
【0205】
[酸化防止剤(L)]
感光性着色組成物は、酸化防止剤(L)を含有できる。酸化防止剤は、感光性着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニ-ル時の熱工程によって酸化による黄変を防ぎ、被膜の透過率の低下を抑制できる。特に感光性着色組成物の有機顔料濃度が高い場合、相対的に光重合性化合物(E)の含有量が減少するため、光重合開始剤の増量や、熱硬化性化合物の配合で対応すると被膜が黄変し易い。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、被膜の透過率の低下を抑制できる。
【0206】
酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、及びヒドロキシルアミン系の化合物が挙げられる。なお、本明細書で酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有しない化合物が好ましい。
これらの中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましい。
【0207】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、例えば、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,1,3-トリス-(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-ブタン、4,4’-ブチリデン-ビス-(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-4-t-ブチル-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、2,2’-メチレンビス(6-t-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-チオジエチルビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、i-オクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステルのカルシウム塩、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、ビス[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロピオン酸]エチレンビスオキシビスエチレン、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,2’-チオ-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-アミル-ヒドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-4-ノニルフェノール、2,2’-イソブチリデン-ビス-(4,6-ジメチル-フェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-(1-メチル-シクロヘキシル)-p-クレゾール)、2,4-ジメチル-6-(1-メチル-シクロヘキシル)-フェノール等が挙げられる。
【0208】
市販品は、ADEKA社製アデカスタブAO-20、AO-30、AO-40,AO-50、AO-60、AO-80、AO-330、ケミプロ社製KEMINOX101、179、76、9425、BASFジャパン社製IRGANOX1010、1035、1076、1098、1135、1330、1726、1425WL、1520L、245、259、3114、5057、565、サンケミカル社製サイアノックスCY-1790、CY-2777等が挙げられる。
【0209】
ヒンダードアミン系酸化防止剤は、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールと3,5,5-トリメチルヘキサン酸のエステル、N,N’-4,7-テトラキス〔4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル,1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジル)[[3,5-ビス(1,1ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジルセバケート、ポリ[[6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-C12-21およびC18不飽和脂肪酸エステル、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。
【0210】
市販品は、ADEKA社製アデカスタブLA-52、LA-57、LA-63P、LA-68、LA-72、LA-77Y、LA-77G、LA-81、LA-82、LA-87、LA-402F、LA-502XP、ケミプロ化成社製KAMISTAB29、62、77、94、BASFジャパン社製Tinuvin249、TINUVIN111FDL、123、144、292、5100、サンケミカル社製サイアソーブUV-3346、UV-3529、UV-3853等が挙げられる。
【0211】
リン系酸化防止剤は、例えば、ジ(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)2-エチルヘキシルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラ(C12~C15アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニルジフォスホニト、トリス(トリデシル)ホスファイト、フェニルイソオクチルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールアルキルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリスジノニルフェニルホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、ジ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラトリデシル4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ソジウム-2,2-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスファイト、1,3-ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)-ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジt-ブチル-6-メチルフェニル)等が挙げられる。
【0212】
市販品は、ADEKA社製アデカスタブPEP-36、PEP-8、HP-10、2112、1178、1500、C、135A、3010、TPP、BASFジャパン社製IRGAFOS168、クラリアントケミカルズ社製HostanoxP-EPQ等が挙げられる。
【0213】
イオウ系酸化防止剤は、例えば、2,2-ビス{〔3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ〕メチル}プロパン-1,3-ジイルビス〔3-(ドデシルチオ)プロピオネート〕、3,3’-チオビスプロピオン酸ジトリデシル、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール等が挙げられる。
【0214】
市販品は、ADEKA社製アデカスタブAO-412S、AO-503、ケミプロ化成社製KEMINOXPLS等が挙げられる。
【0215】
酸化防止剤(L)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0216】
酸化防止剤(L)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5~5.0質量%が好ましい。適量含有すると透過率、分光特性、および感度が向上する。
【0217】
[レベリング剤(M)]
感光性着色組成物には、レベリング剤を含有できる。これにより、被膜形成時の基板に対する濡れ性および被膜の乾燥性がより向上する。レベリング剤は、例えば、シリコ-ン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0218】
レベリング剤(M)は、単独または2種類以上を混合して使用できる。
【0219】
レベリング剤(M)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2.0質量%が好ましく、0.005~1.0質量%がより好ましい。この範囲内であることで、感光性着色組成物の塗工性とパタ-ン密着性、透過率のバランスがより向上する。
【0220】
[貯蔵安定剤(N)]
感光性着色組成物は、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有できる。貯蔵安定剤(N)は、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤(N)の含有量は、有機顔料(A)100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。
【0221】
[密着向上剤(O)]
感光性着色組成物は、密着向上剤を含有できる。これにより被膜と基材の密着性がより向上する。また、フォトリソグラフィー法で幅が狭いパタ-ンを形成し易くなる。密着向上剤は、例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。
【0222】
密着向上剤(O)は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類などのシランカップリング剤が挙げられる。
【0223】
密着向上剤の含有量は、有機顔料(A)100質量部に対し、0.01~10質量部が好ましく、0.05~5質量部がより好ましい。適量含有すると感光性着色組成物の光感度が向上し、被膜の密着性がより向上し、パタ-ンの解像性もより向上する。
【0224】
<着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物の製造方法は、有機顔料(A)、顔料誘導体(B1)、分散樹脂(C)、およびバインダ樹脂(D)を混合し、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の各種分散手段を用いて分散して製造することができる。有機顔料(A)を2種類以上使用する場合、別個に分散処理することもできる。なお、有機顔料(A)および顔料誘導体(B1)を使用して、事前に微細化処理を行い、分散処理に供することができる。
【0225】
本発明の着色組成物における有機顔料(A)の平均分散粒子径(二次粒子径)は、30~200nmが好ましく、40~200nmがより好ましい。この範囲であると、分散安定性が高い感光性着色組成物が得られる。
【0226】
平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法は、例えば、動的光散乱法(FFTパワースペクトル法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA‐EX150を用い、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし、D50を平均径とすることが挙げられる。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
【0227】
<感光性着色組成物の製造方法>
本発明の感光性着色組成物は、前記着色組成物、重合性化合物(E)、および光重合開始剤(F)を混合して作製できる。
【0228】
本発明の着色組成物、および感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下である。
【0229】
本発明の感光性着色組成物における有機顔料(A)の含有量は、薄膜化の観点から、全不揮発分100質量%中、40~80質量%が好ましく、50~80質量%がより好ましく、60~80質量%が特に好ましい。
【0230】
感光性着色組成物は、塗工性の観点から、25℃における粘度が50mPa・S未満が好ましく、15mPa・S未満がより好ましく、10mPa・S以下が特に好ましい。
【0231】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、基材、および感光性着色組成物から形成されるフィルタセグメントを備える。カラーフィルタセグメントは、使用する有機顔料の種類を適宜選択することで、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントを有することが好ましい。また、カラーフィルタは、前記カラーフィルタセグメントに代えてまたは加え、マゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、イエロー色フィルタセグメントを有することができる。なお、本発明の感光性着色組成物から緑色フィルタセグメントを作成することが出来る。
基板は、透明基板、および反射基板が挙げられる。透明基板は、例えば、ガラス基板が挙げられる。反射基板は、例えばアルミ電極や金属薄膜を反射面として使用する基板が挙げられる。
【0232】
[カラーフィルタの製造方法]
本発明のカラーフィルタは、基板上に本発明の感光性着色組成物を塗工し着色層を形成する工程と、前記着色層に、マスクを介してパターン状に露光する工程と、未露光部分を現像除去し着色パターンを形成する工程により得ることができる。
さらに、必要に応じて、前記着色層を乾燥する工程(プリベーク工程)、および前記着色パターンを熱硬化させる工程(ポストベーク)を設けてもよい。
【0233】
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法について詳細に説明する。
【0234】
(着色層を形成する工程)
着色層を形成する工程は、本発明の感光性着色組成物を基板上に回転塗工、ロール塗工、スリット塗工、流延塗工、またはインクジェット塗工等により塗工し、必要に応じてオーブン、ホットプレート等を用いて、50~120℃の温度で10~120秒乾燥(プリベーク)する。
前記基板は、例えば、ガラス基板やシリコン基板上にCCD、CMOS等の撮像素子を設けた基板が挙げられる。基板上には、必要に応じて、下塗り層を設けてもよい。
【0235】
(パターン状に露光する工程)
露光工程では、着色層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより硬化膜が得られる。
露光には、例えば、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0236】
硬化膜の膜厚は、1.0μm以下であることが好ましく、0.2~0.8μmであることがより好ましく、0.2~0.6μmであることが特に好ましい。
【0237】
(現像工程)
アルカリ現像処理を行うことで、露光工程における未照射部分の着色層がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残る。
現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム, 硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1 ,8-ジアザビシクロ-〔5 .4 .0 〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。
アルカリ現像液のpHは11~13が好ましく、11.5~~12.5がより好ましい。アルカリ濃度が前記範囲内であると、パターンの荒れや剥離をより効果的に抑制し、残膜率をより向上できる。また、現像速度の低下や現像残渣の発生をより抑制できる。
【0238】
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等があり、温度は15~40℃ が好ましい。アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0239】
次いで、乾燥後、硬化膜を十分に硬化させるために加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。ポストベークの加熱温度は、100~300℃ が好ましく、150~250℃ がさらに好ましい。また、加熱時間は、2分間~ 1時間程度が好ましく、3分間~30分間程度がより好ましい。
【0240】
本発明のカラーフィルタは、CCD、CMOS等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCDやCMOS等に好適である。本発明のカラーフィルタは、例えばCCD、又はCMOSを構成する各画素の受光部と、集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして使用できる。
【0241】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上記カラーフィルタを備える。本発明の固体撮像素子は、例えば、以下の構成が挙げられる。
【0242】
基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード、及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明のカラーフィルタを有する構成である。
さらに、上記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(基板上に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
【0243】
本発明のカラーフィルタは、前記固体撮像素子のみならず、液晶表示装置や有機EL表示装置などの、画像表示装置に用いることもできる。本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、表示画像の色合いが良好で表示特性に優れた高画質画像を表示することができる。
【実施例】
【0244】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
【0245】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
【0246】
樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、酸価(mgKOH/g)、(mgKOH/g)は以下の通りである。
【0247】
(分散樹脂、およびバインダ樹脂の平均分子量)
分散樹脂、およびバインダ樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量は、ポリスチレン換算値である。
【0248】
(分散樹脂、およびバインダ樹脂の酸価)
分散樹脂、およびバインダ樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0249】
(塩基性分散樹脂のアミン価)
塩基性分散樹脂のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全(mgKOH/g)を不揮発分換算した値である。
【0250】
<フタロシアニン緑色顔料(A2)の製造例>
(微細化したフタロシアニン緑色顔料(A2-1))
C.I.ピグメントグリーン36(トーヨーカラー社製リオノールグリーン6YK)を 200部、塩化ナトリウム1,400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の微細化したフタロシアニン緑色顔料(A2-1)を得た。
【0251】
(微細化したフタロシアニン緑色顔料(A2-2))
C.I.ピグメントグリーン58(DIC社製「FASTGEN GREEN A110」)を100部、塩化ナトリウム1,200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3,000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、97部の微細化したフタロシアニン緑色顔料(A2-2)を得た。
【0252】
(微細化したフタロシアニン緑色顔料(A2-3))
300mLフラスコに、塩化スルフリル91部、塩化アルミニウム109部、塩化ナトリウム15部、亜鉛フタロシアニン30部、臭素59部を仕込んだ。130℃まで40時間かけて昇温し、水に取り出した後、ろ過することにより緑色粗顔料を得た。得られた緑色粗顔料20部、粉砕した塩化ナトリウム140部、ジエチレングリコール32部、キシレン1.8部を1L双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、微細化したフタロシアニン緑色顔料(A2-3)を得た。得られた微細化したフタロシアニン緑色顔料(A1-3)は、蛍光X線分析から、1分子中のハロゲン原子数が平均12.71個であり、そのうち臭素原子数が平均10.22個、塩素原子数が平均2.49個であった。
【0253】
(微細化したフタロシアニン緑色顔料(A2-4))
特開2017-111398号公報の実施例に従って、下記化学式1で表される微細化したフタロシアニン緑色顔料(A2-4)を得た。以下に、構造を示す。
化学式(1)
【化15】
【0254】
(微細化したフタロシアニン緑色顔料(A2-5))
特開2017-111398号公報の実施例に従って下記化学式2で表される微細化したフタロシアニン緑色顔料(A2-5)を得た。以下に、構造を示す。
化学式(2)
【化16】
【0255】
<一般式(1)で表される顔料誘導体(B1)の製造例>
(顔料誘導体(B1-1))
N-ジメチルホルムアミド1000部に4-ニトロフタロニトリル100部、炭酸カリウム79.8部、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン112.8を加え4-ニトロフタロニトリルが消失するまで撹拌した。原料の消失はUPLC(超高速高分離液体クロマトグラフィ)にて確認した。水10000部、クロロホルム200部の混合溶液中に、前記反応溶液を加え、30分間撹拌した。分液漏斗を用いて、この混合溶液のクロロホルム層を抽出した。クロロホルム抽出液に硫酸マグネシウム30部加え、1時間静置した。硫酸マグネシウムを取り除き、クロロホルムを留去し、下記化学式(3)で表される中間体119.9部(収率81%)得た。
ホルムアミド840部に中間体119.9部を加え撹拌した後に、水酸化ナトリウム73部加え、50℃にて2時間撹拌した。その反応溶液に、水1200部、2-シアノ-N-メチルアセトアミド49.2部加え、50℃で中間体が消失するまで撹拌した。原料の消失はUPLCにて確認した。次いで、80%酢酸2400部、バルビツール酸68.9部加え、85℃にて3時間撹拌した。室温まで冷却後、pHが7.0~8.0になるように28%アンモニア水を加え、不揮発分を濾別した後、メタノール1,000部、水2,000部にて洗浄を行い、40℃ 減圧下で乾燥させ、下記化学式(4)で表される顔料誘導体(B1-1)(異性体混合物)を115.4部(収率53%)得た。
【化17】
【0256】
(顔料誘導体(B1-2))
N-ジメチルホルムアミド1000部に3-ニトロフタロニトリル100部、炭酸カリウム79.8部、N,N-ジエチル-1,4-ブタンジアミン125部を加え3-ニトロフタロニトリルが消失するまで撹拌した。原料の消失はUPLCにて確認した。水10000部、クロロホルム200部の混合溶液中に、前記反応溶液を加え、30分撹拌した。分液漏斗を用いて、この混合溶液のクロロホルム層を抽出した。クロロホルム抽出液に硫酸マグネシウム30部加え、1時間静置した。硫酸マグネシウムを取り除き、クロロホルムを留去し、下記化学式(5)で表される中間体129.6部(収率83%)得た。
ホルムアミド907部に中間体129.6部を加え撹拌した後に、水酸化ナトリウム74.8部加え、50℃にて2時間撹拌した。その反応溶液に、水1300部、2-シアノ-N-メチルアセトアミド49.9部加え、50℃で中間体が消失するまで撹拌した。原料の消失はUPLCにて確認した。次いで、80%酢酸2500部、バルビツール酸70.6部加え、85℃にて3時間撹拌した。室温まで冷却後、pHが7.0~8.0になるように28%アンモニア水を加え、不揮発分を濾別した後、メタノール1,000部、水2,000部にて洗浄を行い、40℃ 減圧下で乾燥させ、下記化学式(6)で表される顔料誘導体(B1-2)(異性体混合物)を89.7部(収率39%)得た。
【化18】
【0257】
(顔料誘導体(B1-3))
N-ジメチルホルムアミド1000部に4-ニトロフタロニトリル100部、炭酸カリウム79.8部、3-(ジメチルアミノ)-1-プロパノール89.4部を加え4-ニトロフタロニトリルが消失するまで撹拌した。原料の消失はUPLCにて確認した。水10000部、クロロホルム200部の混合溶液中に、前記反応溶液を加え、30分撹拌した。分液漏斗を用いて、この混合溶液のクロロホルム層を抽出した。クロロホルム抽出液に硫酸マグネシウム30部加え、1時間静置した。硫酸マグネシウムを取り除き、クロロホルムを留去し、下記化学式(5)で表される中間体102部(収率77%)得た。
ホルムアミド713部に中間体102部を加え撹拌した後に、水酸化ナトリウム69.4部加え、50℃にて2時間撹拌した。その反応溶液に、水1000部、2-シアノ-N-メチルアセトアミド36.7部加え、50℃で中間体が消失するまで撹拌した。原料の消失はUPLCにて確認した。次いで、80%酢酸2000部、バルビツール酸65.5部加え、85℃にて3時間撹拌した。室温まで冷却後、pHが7.0~8.0になるように28%アンモニア水を加え、不揮発分を濾別した後、メタノール1,000部、水2,000部にて洗浄を行い、40℃ 減圧下で乾燥させ、下記化学式(8)で表される顔料誘導体(B1-3)(異性体混合物)を107.2部(収率55%)得た。
【化19】
【0258】
(顔料誘導体(B1-4))
N-ジメチルホルムアミド1000部に4-ニトロフタロニトリル100部、炭酸カリウム79.8部、N,N-ジブチル-1,2-エチルジアミン149.3部を加え4-ニトロフタロニトリルが消失するまで撹拌した。原料の消失はUPLCにて確認した。水10000部、クロロホルム200部の混合溶液中に、前記反応溶液を加え、30分撹拌した。分液漏斗を用いて、この混合溶液のクロロホルム層を抽出した。クロロホルム抽出液に硫酸マグネシウム30部加え、1時間静置した。硫酸マグネシウムを取り除き、クロロホルムを留去し、下記化学式(9)で表される中間体139.6部(収率81%)得た。
ホルムアミド977部に中間体139.6部を加え撹拌した後に、水酸化ナトリウム73部加え、50℃にて2時間撹拌した。その反応溶液に、水1500部、80%酢酸3000部、バルビツール酸149.8部加え、85℃にて3時間撹拌した。室温まで冷却後、pHが7.0~8.0になるように28%アンモニア水を加え、不揮発分を濾別した後、メタノール1,000部、水2,000部にて洗浄を行い、40℃ 減圧下で乾燥させ、下記化学式(10)で表される顔料誘導体(B1-4)を120.72部(収率48%)得た。
【化20】
【0259】
(顔料誘導体(B1-5))
N-ジメチルホルムアミド1000部に3-ニトロフタロニトリル100部、炭酸カリウム79.8部、4-(ジメチルアミノ)-1-ブタノール101.5部を加え、3-ニトロフタロニトリルが消失するまで撹拌した。原料の消失はUPLCにて確認した。水10000部、クロロホルム200部の混合溶液中に、前記反応溶液を加え、30分撹拌した。分液漏斗を用いて、この混合溶液のクロロホルム層を抽出した。クロロホルム抽出液に硫酸マグネシウム30部加え、1時間静置した。硫酸マグネシウムを取り除き、クロロホルムを留去し、下記化学式(11)で表される中間体119.4部(収率85%)得た。
ホルムアミド836部に中間体119.4部を加え撹拌した後に、水酸化ナトリウム76,6部加え、50℃にて2時間撹拌した。その反応溶液に、水1200部、80%酢酸2500部、バルビツール酸157.2部加え、85℃にて3時間撹拌した。室温まで冷却後、pHが7.0~8.0になるように28%アンモニア水を加え、不揮発分を濾別した後、メタノール1,000部、水2,000部にて洗浄を行い、40℃ 減圧下で乾燥させ、下記化学式(12)で表される顔料誘導体(B1-5)を123.2部(収率52%)得た。
【化21】
【0260】
<一般式(4)で表される顔料誘導体(B2)の製造例>
(顔料誘導体(B2-1))
特開2007-156395号公報の実施例に従って、下記化学式(6)で表される顔料誘導体(B2-1)を得た。
化学式(13)
【化22】
【0261】
(顔料誘導体(B2-2)
ジエチルアミノプロピルアミンをジエチルアミノエチルアミンに変えた以外は、特開2007-156395号公報の実施例と同様の方法により、下記化学式(14)で表される顔料誘導体(B2-2)を得た。以下に、構造を示す。
化学式(14)
【化23】
【0262】
<顔料誘導体(B3)の製造例>
(顔料誘導体(B3-1))
特開2006-146078号公報の製造例1に従って、下記化学式(15)で表される顔料誘導体(B3-1)を得た。以下に、構造を示す。
化学式(15)
【化24】
【0263】
<イソインドリン顔料(A1)の製造例>
(微細化した黄色顔料(A1-1))
C .I .ピグメントイエロー139(BASFジャパン社製「Palitol Yellow D1819」)を200部、塩化ナトリウム1,400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2 時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化した黄色顔料(A2-1)を得た。
【0264】
(微細化した黄色顔料(A1-2))
C .I .ピグメントイエロー185(BASFジャパン社製「Palitol Yellow D1155」)を200部、塩化ナトリウム1,400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2 時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化した黄色顔料(A2-2)を得た。
【0265】
(微細化した黄色顔料(A1-3))
C .I .ピグメントイエロー185(BASFジャパン社製「Palitol Yellow D1155」)を140部、顔料誘導体(B1-1)を60部、塩化ナトリウム1,400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化した黄色顔料(A1-3)を得た。
【0266】
(微細化した黄色顔料(A1-4))
C .I .ピグメントイエロー185(BASFジャパン社製「Palitol Yellow D1155」)を140部、顔料誘導体(B1-1)を60部、カルボン酸系分散樹脂(C2-1)を20部、塩化ナトリウム1,400部、及びジエチレングリコール340部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化した黄色顔料(A2-4)を得た。
【0267】
<(A1)および(A2)以外の顔料の製造例>
(微細化した青色顔料(A3-1))
C .I .ピグメントブルー15:3(トーヨーカラー社製「リオノールブルーFG7351」)を200部、塩化ナトリウム1,400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2 時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化した青色顔料(A3-1)得た。
【0268】
<リン酸系分散樹脂(C1)の製造例>
(リン酸系分散樹脂(C1-1)溶液)
窒素ガス導入管、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ラウリルアルコール186g、ε-カプロラクトンモノマー571g、テトラブチルチタネート0.6gを仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で3時間加熱、撹拌した。カプロラクトンモノマーの消失を、テトラヒドロフランを溶離液とするGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)のRI検出器により確認した。40℃以下に冷却した後、オルトリン酸換算含有量116%のポリリン酸84.5gと混合し、徐々に昇温し、80℃で6時間、攪拌しながら加熱し、R1の数平均分子量760、n=1と2の存在比が100:12のリン酸系樹脂型分散剤(C1-1)を得た。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAc)で不揮発分調整することにより不揮発分30%、不揮発分当たりの酸価166mgKOH/gのリン酸系分散樹脂(C1-1)溶液を得た。
【0269】
(リン酸系分散樹脂(C1-2)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けてシクロヘキサノン1,500部を仕込み、80℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりメチルメタクリレート120部、n-ブチルメタクリレート210部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート90部、メタクリル酸60部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM-110」)120部、アシッドホスホキシエチルメタクリレート6部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル30部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、不揮発分30%、重量平均分子量24,000のリン酸系分散樹脂(C1-2)溶液を得た。
【0270】
<カルボン酸系分散樹脂(C2)の製造例>
(カルボン酸系分散樹脂(C2-1)溶液)
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、i-
ブチルメタクリレート70部、ベンジルメタクリレート20部、PGMAc50部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、PGMAc50部、シクロヘキサノン50部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、不揮発分測定で不揮発分30%となるようPGMAcを加えて希釈し、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量8,500のカルボン酸系分散樹脂(C2-1)溶液を得た。
【0271】
(カルボン酸系分散樹脂(C2-2)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-ドデカノール62.6部、ε-カプロラクトン287.4部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。不揮発分測定により98%が反応したことを確認したのち、無水ピロメリット酸73.3部を加え、120℃で2時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcで調整して不揮発分30%のカルボン酸系分散樹脂(C2-2)溶液を得た。得られたカルボン酸系分散樹脂(C2-2)の酸価は、49mgKOH/gであった。
【0272】
(カルボン酸系分散樹脂(C2-1-1)溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、無水トリメリット酸3部、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール1部、PGMAc50部、ジメチルベンジルアミン0.1部を仕込んだ。窒素ガスで置換した後、反応容器内を120℃に加熱し4時間反応させ、次いで80℃で2時間反応させた。さらにターシャリーブチルアクリレート30部、ETERNACOLL OXMA(メタクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル 、宇部興産社製)20部、メタクリル酸5部、エチルアクリレート40部、PGMAc10部を仕込み、反応容器内を80℃に保ちながら2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2部を15回に分けて30分ごとに添加した。最終添加から1時間後に不揮発分測定を行い、モノマーの95%が反応したことを確認した。不揮発分測定で不揮発分30%となるようPGMAcを加えて希釈し、不揮発分当たりの酸価51mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)24,000のカルボン酸系分散樹脂(C2-1-1)溶液を得た。
【0273】
(カルボン酸系分散樹脂(C2-1-2)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-チオグリセロール108部、ピロメリット酸無水物174部、PGMAc650部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物を不揮発分換算で160部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート200部、エチルアクリレート200部、t-ブチルアクリレート150部、2-メトキシエチルアクリレート200部、メチルアクリレート200部、メタクリル酸50部、PGMAc663部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.2部を添加し、12時間反応した(第二工程)。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の50%PGMAc溶液を500部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)27.0部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、PGMAcで調整して不揮発分30%のカルボン酸系分散樹脂(C2-1-2)溶液を得た。得られたカルボン酸系分散樹脂(C2-1-2)の酸価は68mgKOH/g、不飽和二重結合当量は1,593、重量平均分子量は13,000であった。
【0274】
<塩基性分散樹脂(C3)の製造例>
(塩基性分散樹脂(C3-1)溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート40部、nーブチルメタクリレート10部、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、開始剤としてブロモイソ酪酸エチル9.3部、触媒として塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート40部、メタクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド10部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。GPC測定の結果、ポリマーの質量平均分子量20,000、分子量分布Mw/Mnが1.4であり、反応転化率は98.5%であった。このようにして、不揮発分当たりのが169.8mgKOH/gの塩基性分散樹脂(C3-1)を得た。室温まで冷却した後、約2gをサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して塩基性分散樹脂(C3-1)溶液を調製した。
【0275】
<バインダ樹脂(D)の製造例>
(バインダ樹脂(D-1)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n-ブチルメタクリレート37.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%になるようにPGMAcを添加してバインダ樹脂(D-1)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
【0276】
(バインダ樹脂(D-2)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、樹脂溶液を得た。次に得られた樹脂溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダ樹脂(D-2)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は18,000であった。
【0277】
(バインダ樹脂(D-3)溶液)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け不揮発分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してバインダ樹脂(D-3)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は19,000であった。
【0278】
(バインダ樹脂(D-4)溶液)
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート40部、メタクリル酸40部、メタクリル酸メチル120部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート( 日本油脂製「パーブチルO」)4部、PGMAc40部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n-ドデカンチオール8部、PGMAc32部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMAc395部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃ まで昇温した。反応槽の温度が90℃ に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃ に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110 ℃ にした。3時間110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(体積比)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル7 0 部、2,2’-メチレンビス(4-メチルー6-t-ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部を仕込み、そのまま110℃ で12時間反応させた。その後、PGMAc150部を加えて室温まで冷却し、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してバインダ樹脂(D-4)溶液を得た。樹脂の重量平均分子量は18,000 、不揮発分当たりの酸価は2mgKOH/gであった。
【0279】
<着色組成物の製造>
[実施例1]
(着色組成物(PB-1))
下記の原料を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、着色組成物(PB-1)を作製した。有機溶剤(P-1)は、PGMAcである。
微細化したフタロシアニン緑色顔料(A2-2):9.36質量部
微細化した黄色顔料(A1-2) :2.34質量部
顔料誘導体(B1-1) :1.30質量部
分散樹脂(C2-1)溶液 :15.91質量部
バインダ樹脂(D-1)溶液 :4.00質量部
有機溶剤(P-1) :67.09質量部
【0280】
[実施例2~31、比較例1~9]
(着色組成物(PB-2~31、PB-34~42))
表1に示す記載した通りの材料種、質量に変更した以外は、実施例1と同様に着色組成物(PB-2~31、PB-34~42)を作製した。
を得た。
【0281】
【0282】
[実施例32]
(着色組成物(PB-32))
下記の成分を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、着色組成物(GB-32)を作製した。
微細化したフタロシアニン緑色顔料(A2-2) :12.50質量部
顔料誘導体(B2-2) :0.50質量部
分散樹脂(C3-1)溶液 :14.44質量部
バインダ樹脂(D-1)溶液 :13.34質量部
有機溶剤(P-1) :59.22質量部
【0283】
下記の成分を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、着色組成物(YB-32)を作製した。
微細化した黄色顔料(A1-3) :13.00質量部
分散樹脂(C2-1)溶液 :21.67質量部
バインダ樹脂(D-1)溶液 :2.50質量部
有機溶剤(P-1) :62.83質量部
【0284】
下記の成分を均一になるように撹拌混合し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、着色組成物(PB-32)を作製した。
着色組成物(GB-32) :75質量部
着色組成物(YB-32) :25質量部
【0285】
[実施例33]
(着色組成物(PB-33))
下記の成分を均一に攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、着色組成物(YB-33)を作製した。
微細化した黄色顔料(A1-4) :13.0質量部
分散樹脂(C2-1)溶液 :20.37質量部
バインダ樹脂(D-1)溶液 :4.45質量部
有機溶剤(P-1) :62.18質量部
【0286】
以下の成分を均一になるように撹拌混合し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、着色組成物(PB-33)を作製した。
着色組成物(GB-32) :75質量部
着色組成物(YB-33) :25質量部
【0287】
<着色組成物の評価>
得られた着色組成物(PB-1~42)について、初期粘度、分散安定性、および異物に関する評価を下記の方法で行った。評価結果を表2に示す。
【0288】
(初期粘度評価)
E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。3以上が実用上問題なく使用できる。
5:10mPa・S未満
4:10mPa・S以上、15mPa・S未満
3:15mPa・S以上、30mPa・S未満
2:30mPa・S以上、50mPa・S未満
1:50mPa・S以上
【0289】
(分散安定性評価)
着色組成物を調製した翌日の初期粘度と、40℃で1週間、経時促進させた経時粘度を、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。この初期粘度、および経時粘度の値から、下記式で経時粘度変化率を算出し、分散安定性を評価した。3以上が実用上問題なく使用できる。
式:[経時粘度変化率]=|([初期粘度]-[経時粘度])/[初期粘度]|×100
5:変化率5%未満
4:変化率5%以上、10%未満
3:変化率10%以上、15%未満
2:変化率15%以上、20%未満
1:変化率20%以上
【0290】
(異物評価)
透明基板上に乾燥塗膜が約2.0μmとなるように着色組成物を塗工し、オーブンで230℃1時間の熱処理を行い、塗膜中の異物の数を計測した。評価は、金属顕微鏡「BX60」(オリンパスシステム社製)を用いて表面観察を行った。倍率は、500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な異物の数を計測した。3以上が実用上問題ない。
5:異物の数が5個未満
4:異物の数が5個以上、10個未満
3:異物の数が10個以上、20個未満
2:異物の数が20個以上、100個未満
1:異物の数が100個以上
【0291】
【0292】
<感光性着色組成物の作製>
[実施例101]
(感光性着色組成物(PR-1))
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して感光性着色組成物(PR-1)を得た。
着色組成物(PB-1) :74.0質量部
バインダ樹脂(D)溶液 :2.0質量部
エポキシ化合物(G-1) :0.2質量部
オキセタン化合物(G-2) :0.2質量部
光重合性化合物(E) :2.0質量部
光重合開始剤(F) :1.0質量部
増感剤(H) :0.1質量部
チオール系連鎖移動剤(I) :0.3質量部
重合禁止剤(J) :0.1質量部
紫外線吸収剤(K) :0.1質量部
酸化防止剤(L) :0.1質量部
レベリング剤(M) :1.0質量部
貯蔵安定剤(N) :0.1質量部
シランカップリング剤(O) :0.2質量部
有機溶剤(P) :18.6質量部
【0293】
[実施例102~133、比較例101~109]
(感光性着色組成物PR-2~PR-42)
実施例101の着色組成物PB-1の種類を、表2に記載したものに変えた以外は、実施例101と同様にして感光性着色組成物(PR-2~42)を作製した。
なお、それぞれの原料については、以下の通りである。
【0294】
(バインダ樹脂(D)溶液)
バインダ樹脂(D-2)~(D-4)をそれぞれ同量にて混合し、バインダ樹脂(D)溶液とした。
【0295】
(エポキシ化合物(G-1))
(G-1-1)2,2‘-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-
エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物
[EHPE-3150(ダイセル社製)]、
(G-1-2)ソルビトールのグリシジルエーテル化エポキシ化合物
[デナコールEX611(ナガセケムテックス社製)]、
(G-1-3)イソシアヌル酸トリグリシジル
上記(G-1-1)~(G-1-3)をそれぞれ同量混合しエポキシ化合物(G-1)とした。
【0296】
(オキセタン化合物(G-2))
3-エチル-3-[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシメチル]オキセタン
[アロンオキセタンOXT-221(東亞合成社製)]
【0297】
(重合性化合物(E))
(E-1)トリメチロールプロパントリアクリレート
[アロニックスM309(東亞合成社製)]
(E-2)トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
[アロニックスM350(東亞合成社製)]
(E-3)ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート
[アロニックスM402(東亞合成社製)]
(E-4)多塩基酸性アクリルオリゴマー
[アロニックスM520(東亞合成社製)]
(E-5)カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
[KAYARAD DPCA-30(日本化薬社製)]
以上、(E-1)~(E-5)をそれぞれ同量にて混合し、重合性化合物(E)とした。
【0298】
(光重合開始剤(F))
(F-1)2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン
[イルガキュア379(BASFジャパン社製)]
(F-2)エタン-1-オン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル],1-(O-アセチルオキシム)
[イルガキュアOXE02(BASFジャパン社製)]
(F-3)ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド
[イルガキュア819(BASFジャパン社製)]
(F-4)イルガキュアOXE04(BASFジャパン社製)
(F-5)アデカアークルズNCI-831(株式会社ADEKA社製)
(F-6)TR-PBG-345(常州強力新材料社製)
【0299】
【化25】
【化26】
以上、(F-1)~(F-10)をそれぞれ同量にて混合し、光重合開始剤(F)とした。
【0300】
(増感剤(H))
(H-1)2,4-ジエチルチオキサントン
[カヤキュアDETX-S(日本化薬社製)]
(H-2)4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
[CHEMARK DEABP(Chemark Chemical社製)]
以上、(H-1)、(H-2)をそれぞれ同量にて混合し、増感剤(H)とした。
【0301】
(チオール系連鎖移動剤(I))
(I-1)トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)
[TEMB(昭和電工社製)]
(I-2)トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)
[TPMB(昭和電工社製)]
(I-3)ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
[PEMP(堺化学工業社製)]
(I-4)トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)
[TMMP(堺化学工業社製)]
(I-5)トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート
[TEMPIC(堺化学工業社製)]
以上、(I-1)~(I-5)をそれぞれ同量にて混合し、チオール系連鎖移動剤(I)とした。
【0302】
(重合禁止剤(J))
(J-1)3-メチルカテコール
(J-2)メチルヒドロキノン
(J-3)t-ブチルヒドロキノン
以上、(J-1)~(J-3)をそれぞれ同量にて混合し、重合禁止剤(J)とした。
【0303】
(紫外線吸収剤(K))
(K-1)2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(ドデシルおよびトリデシル)オキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン
[TINUVIN400(BASFジャパン社製)]
(K-2)2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール
[TINUVIN900(BASFジャパン社製)]
以上、(K-1)~(K-2)をそれぞれ同量にて混合し、紫外線吸収剤(K)とした。
【0304】
(酸化防止剤(L))
(L-1)ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート
(L-2)3,3'-チオジプロパン酸ジオクタデシル
(L-3)トリス[2,4-ジ-(t)-ブチルフェニル]ホスフィン
(L-4)ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート
(L-5)サリチル酸p-オクチルフェニル
以上、(L-1)~(L-5)をそれぞれ同量にて混合し、酸化防止剤(L)とした。
【0305】
(レベリング剤(M))
(M-1)ビックケミー社製「BYK-330 」
(M-2)DIC社製「メガファックF-551」
(M-3)花王社製「エマルゲン103」
以上、(M-1)~(M-3)をそれぞれ1部混合し、PGMAc97部に溶解させた混合溶液をレベリング剤(M)とした。
【0306】
(貯蔵安定剤(N))
(N-1)2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール
(本州化学工業社製「BHT」)
(N-2)トリフェニルホスフィン
(北興化学工業社製「TPP」)
以上、(N-1)~(N-2)をそれぞれ同量にて混合し、貯蔵安定剤(N)とした。
【0307】
(密着向上剤(O))
(O-1)3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
[信越シリコーン シランカップリング剤KBM-403(信越化学工業社製)]
(O-2)3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
[信越シリコーン シランカップリング剤KBE-503(信越化学工業社製)]
(O-3)N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
[信越シリコーン シランカップリング剤KBM-603(信越化学工業社製)]
(O-4)3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン
[信越シリコーン シランカップリング剤KBM-803(信越化学工業社製)]
以上、(O-1)~(O-4)をそれぞれ同量にて混合し、シランカップリング剤(O)とした。
【0308】
<感光性着色組成物の評価>
得られた感光性着色組成物について、分光特性(膜厚)、アルカリ現像性、およびパターン形成性に関する評価を下記の方法で行った。評価結果を表3に示す。
【0309】
(分光特性(膜厚)評価)
100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に平坦化膜用レジスト液(新日鉄化学社製「HL-18s」をスピンコート法により塗工し、100℃のホットプレートで6分加熱後、230℃のオーブンにて1時間加熱して、塗膜を硬化させ平坦膜付きガラス基板を得た。
次に、比較例101の感光性着色組成物を、平坦化膜上に、ポストベーク後の塗膜膜厚が0.50μmになるようにスピンコーターの回転数を調節し塗工した。塗工後、70℃のホットプレートで1分間プリベイク後、超高圧水銀ランプを用いて、照度30mW/cm2、露光量500mJ/cm2で紫外線露光を行った。露光後の塗膜を有機アルカリ現像液で1分、パドル現像を行った。パドル現像後、20秒スピンシャワーにて純水で洗浄を行い、残った水滴を高圧のエアーで飛ばし、塗工基板を230℃で20分ポストベーク後、放冷した。
得られた比較例101の塗膜を、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」C光源)にて色度を測定した。
次に、実施例101~128、比較例102~104の感光性着色組成物を、比較例101と同じ色度になるように膜厚を変え塗工し、比較例101と同じ操作により塗膜を得た。
比較例101の膜厚を100とし、これに対する相対値として各感光性着色組成物の膜厚を評価した。2以上が実用上問題なく使用できる。
なお、得られた塗膜の膜厚は、Dektak 3030(日本真空技術社製)を用いて測定した。
5:70未満
4:70以上80未満
3:80以上90未満
2:90以上100未満
1:100以上
【0310】
上記の分光特性(膜厚)評価の方法により、比較例105~109の各感光性着色組成物の膜厚を100とし、これに対する相対値として実施例129~133の各感光性着色組成物の分光特性(膜厚)を評価した。
【0311】
(アルカリ現像性評価)
6インチシリコンウエハ上に、平坦化膜用レジスト液(新日鉄化学社製「HL-18s」をスピンコート法により塗工し、100℃のホットプレートで6分加熱後、230℃のオーブンにて1時間加熱して、塗膜を硬化させ平坦膜付きシリコンウエハを得た。次に、感光性着色組成物を、平坦化膜上に、乾燥後の膜厚が0.5μmとなるようにスピンコート法により塗工し、100℃のホットプレートで1分間プリベイクし、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon社製)を使用して、365nmの波長で1.0μm四方の画素を形成するためのフォトマスクを通して露光量150mJ/cm2にてパターン露光を行った。露光後の塗膜を有機アルカリ現像液でパドル現像を行った。パドル現像後、20秒スピンシャワーにて純水で洗浄を行い、ウエハ上に残った水滴を高圧のエアーで飛ばし、基板を自然乾燥させ、正方形ピクセルパターンを形成し、現像によって洗い流された未露光部の表面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製「S-3000N」)で観察し、残渣の有無によりアルカリ現像性を判定した。3以上が実用上問題なく使用できる。
5:現像時間1分で残渣無し
4:現像時間1分でわずかに残渣がみられる
3:現像時間1分で少し残渣がみられる
2:現像時間1分で残渣がみられる
1:現像時間1分で酷く残渣がみられる
【0312】
(パターン形成性)
上記のアルカリ現像性試験と同じ手順で試験基板を形成し、現像におけるパターン中の直径1.0 μm四方のパターン寸法を走査型電子顕微鏡( 日立ハイテク社製「S-3000N」)で観察した。3以上が実用上問題なく使用できる。
5:パターン寸法が0.9μm以上、1.2μm未満
3:パターン寸法が0.7μm以上、0.9μm未満、または、1.2μm以上、 1.4μm未満
1:パターン寸法が0.7μm未満、1.4μm以上
【0313】