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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】色変換テーブル作成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20240903BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240903BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240903BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H04N1/60
G06T1/00 510
H04N1/00 C
H04N1/00 L
H04N1/00 127
H04N1/387
H04N1/387 110
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020199968
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022087866
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 岳志
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-098630(JP,A)
【文献】特開2016-072816(JP,A)
【文献】特開2019-213024(JP,A)
【文献】特開2013-232868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/52- 2/525
B41J 5/00- 5/52
B41J 21/00-21/18
B41J 29/00-29/70
G06T 1/00- 1/40
G06T 3/00- 5/50
H04N 1/00
H04N 1/38- 1/409
H04N 1/46- 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面付けされた印刷用画像データに対する色変換に用いる色変換テーブルを取得する色変換テーブル取得手段と、
前記印刷用画像データを取得する印刷用画像データ取得手段と、
前記印刷用画像データ内の一部領域に対応する目標印刷物の読取画像データを取得する読取画像データ取得手段と、
前記印刷用画像データのプレビュー画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示されたプレビュー画像上で、前記印刷用画像データ内の前記色変換テーブルの修正に使用する対象領域を指定するための指定手段と、
前記指定手段から前記対象領域の指定を受け付ける受付手段と、
前記印刷用画像データ内の前記指定された対象領域に対応する情報と前記読取画像データとに基づいて、前記色変換テーブルを修正する修正手段と、
を備える色変換テーブル作成装置。
【請求項2】
前記受付手段は、前記目標印刷物の読取画像データの大きさの指定枠を前記プレビュー画像上に表示させ、前記指定手段からのユーザーの操作に応じて前記指定枠を移動させ、前記対象領域に前記指定枠の位置を合わせることで、前記対象領域の指定を受け付ける請求項に記載の色変換テーブル作成装置。
【請求項3】
前記印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであることを指示するための指示手段を備え、
前記受付手段は、前記印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであることが指示された場合に、前記指定枠を前記プレビュー画像上に表示させる請求項に記載の色変換テーブル作成装置。
【請求項4】
前記印刷用画像データから特徴量を抽出し、当該抽出された特徴量に基づいて類似パターンが繰り返されているか否かを判定する判定手段を備え、
前記受付手段は、前記類似パターンが繰り返されていると判定された場合に、前記指定枠を前記プレビュー画像上に表示させる請求項に記載の色変換テーブル作成装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記目標印刷物の読取画像データの大きさを単位として、前記類似パターンが繰り返されているか否かを判定する請求項に記載の色変換テーブル作成装置。
【請求項6】
前記受付手段は、前記類似パターンが繰り返されていると判定された場合に、前記指定枠を前記プレビュー画像上の前記類似パターンの一つに位置合わせした状態で表示させる請求項又はに記載の色変換テーブル作成装置。
【請求項7】
前記類似パターンの特徴量と前記目標印刷物の読取画像データの特徴量とが一致しない場合に、その結果を報知する報知手段を備える請求項からのいずれか一項に記載の色変換テーブル作成装置。
【請求項8】
コンピューターを、
面付けされた印刷用画像データに対する色変換に用いる色変換テーブルを取得する色変換テーブル取得手段、
前記印刷用画像データを取得する印刷用画像データ取得手段、
前記印刷用画像データ内の一部領域に対応する目標印刷物の読取画像データを取得する読取画像データ取得手段、
前記印刷用画像データのプレビュー画像を表示する表示手段、
前記表示手段に表示されたプレビュー画像上で、前記印刷用画像データ内の前記色変換テーブルの修正に使用する対象領域を指定するための指定手段、
前記指定手段から前記対象領域の指定を受け付ける受付手段、
前記印刷用画像データ内の前記指定された対象領域に対応する情報と前記読取画像データとに基づいて、前記色変換テーブルを修正する修正手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色変換テーブル作成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、CMYK表色系やRGB表色系で表される画像データは、入出力デバイスの入出力特性に依存している。そのため、同じCMYKの画像データを異なるプリンターで印刷した場合、プリンターによって異なる色で再現される。そこで、プリンターで印刷する際の原稿となる画像データ(印刷用画像データ)に対して、目標とする色再現特性に合わせるための色変換処理を行う必要がある。具体的には、目標印刷物(色見本)をスキャンして得られた読取画像データと印刷用画像データとの対応関係から、印刷用画像データに対する色変換に用いる色変換テーブル(ICCプロファイルのCMYK-L変換やCMYK-CMYK変換に用いる色変換テーブル)を修正する。
【0003】
例えば、原稿画像データと印刷物の読取画像データとを比較して色合わせを行う装置において、原稿画像データから検出された特徴量に基づいて大サイズの印刷物における読取領域を設定し、読取領域の設定結果に基づいてスキャナーに対する印刷物のセット位置を表示し、スキャナーにセットされた印刷物を読み取る技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-72816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、色合わせに用いる目標印刷物が断裁されている場合、断裁された状態の目標印刷物と印刷用画像データとの位置合わせが困難であるという問題があった。例えば、同一又は類似の画像が複数面付けされた印刷用画像データの一部の領域を目標印刷物との色合わせに用いる場合、印刷用画像データ内で色合わせに用いる領域の位置を確定させる必要があった。
【0006】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、印刷用画像データに基づく印刷結果を目標印刷物の色に合わせる色変換について、断裁されている目標印刷物を使用する場合の色合わせを容易に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、面付けされた印刷用画像データに対する色変換に用いる色変換テーブルを取得する色変換テーブル取得手段と、前記印刷用画像データを取得する印刷用画像データ取得手段と、前記印刷用画像データ内の一部領域に対応する目標印刷物の読取画像データを取得する読取画像データ取得手段と、前記印刷用画像データのプレビュー画像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示されたプレビュー画像上で、前記印刷用画像データ内の前記色変換テーブルの修正に使用する対象領域を指定するための指定手段と、前記指定手段から前記対象領域の指定を受け付ける受付手段と、前記印刷用画像データ内の前記指定された対象領域に対応する情報と前記読取画像データとに基づいて、前記色変換テーブルを修正する修正手段と、を備える色変換テーブル作成装置である。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の色変換テーブル作成装置において、前記受付手段は、前記目標印刷物の読取画像データの大きさの指定枠を前記プレビュー画像上に表示させ、前記指定手段からのユーザーの操作に応じて前記指定枠を移動させ、前記対象領域に前記指定枠の位置を合わせることで、前記対象領域の指定を受け付ける。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の色変換テーブル作成装置において、前記印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであることを指示するための指示手段を備え、前記受付手段は、前記印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであることが指示された場合に、前記指定枠を前記プレビュー画像上に表示させる。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の色変換テーブル作成装置において、前記印刷用画像データから特徴量を抽出し、当該抽出された特徴量に基づいて類似パターンが繰り返されているか否かを判定する判定手段を備え、前記受付手段は、前記類似パターンが繰り返されていると判定された場合に、前記指定枠を前記プレビュー画像上に表示させる。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の色変換テーブル作成装置において、前記判定手段は、前記目標印刷物の読取画像データの大きさを単位として、前記類似パターンが繰り返されているか否かを判定する。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項又はに記載の色変換テーブル作成装置において、前記受付手段は、前記類似パターンが繰り返されていると判定された場合に、前記指定枠を前記プレビュー画像上の前記類似パターンの一つに位置合わせした状態で表示させる。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項からのいずれか一項に記載の色変換テーブル作成装置において、前記類似パターンの特徴量と前記目標印刷物の読取画像データの特徴量とが一致しない場合に、その結果を報知する報知手段を備える。
【0015】
請求項に記載の発明は、コンピューターを、面付けされた印刷用画像データに対する色変換に用いる色変換テーブルを取得する色変換テーブル取得手段、前記印刷用画像データを取得する印刷用画像データ取得手段、前記印刷用画像データ内の一部領域に対応する目標印刷物の読取画像データを取得する読取画像データ取得手段、前記印刷用画像データのプレビュー画像を表示する表示手段、前記表示手段に表示されたプレビュー画像上で、前記印刷用画像データ内の前記色変換テーブルの修正に使用する対象領域を指定するための指定手段、前記指定手段から前記対象領域の指定を受け付ける受付手段、前記印刷用画像データ内の前記指定された対象領域に対応する情報と前記読取画像データとに基づいて、前記色変換テーブルを修正する修正手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、印刷用画像データに基づく印刷結果を目標印刷物の色に合わせる色変換について、断裁されている目標印刷物を使用する場合の色合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態における印刷システムのシステム構成図である。
図2】コントローラーの機能的構成を示すブロック図である。
図3】色変換テーブル作成装置の機能的構成を示すブロック図である。
図4】色変換テーブルの修正を説明するためのイメージ図である。
図5】色変換テーブル修正処理を示すフローチャートである。
図6】面付けジョブ判断処理を示すフローチャートである。
図7】色合わせ領域決定処理を示すフローチャートである。
図8】色合わせ領域指定画面の例である。
図9】ソースプロファイルの修正量のデータ構造を示す図である。
図10】第2の実施の形態における第2の面付けジョブ判断処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0019】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態における印刷システム100の構成について説明する。
図1に、印刷システム100のシステム構成を示す。図1に示すように、印刷システム100は、プリンター10、コントローラー20、色変換テーブル作成装置30、印刷指示端末40a,40b,・・・を備え、各装置は、通信ネットワークNTを介してデータ通信可能に接続されている。
【0020】
プリンター10は、コントローラー20から受信したビットマップ形式の画像データ(CMYKデータ)に基づいて印刷を行う画像形成装置である。プリンター10における印刷方式としては、電子写真方式やインクジェット方式等の各種の印刷方式を採用することができる。
【0021】
コントローラー20は、印刷指示端末40a,40b,・・・から送信された印刷データに対してラスタライズ(RIP(Raster Image Processer)処理)を行って印刷用画像データを作成し、印刷用画像データに色変換、スクリーニング等の画像処理を行ってプリンター10に送信する。なお、コントローラー20は、プリンター10に内蔵されていてもよい。また、コントローラー20とプリンター10とは、PCI接続等、専用線を介して接続されていてもよい。
【0022】
色変換テーブル作成装置30は、コントローラー20において印刷用画像データに色変換処理を行う際に用いられる色変換テーブルを、色合わせの目標となる目標印刷物(色見本)に基づいて修正する。なお、色変換テーブル作成装置30は、コントローラー20やプリンター10に内蔵されていてもよい。
【0023】
印刷指示端末40a,40b,・・・は、プリンタードライバープログラムや専用のソフトウェアを用いて、コントローラー20に対して印刷指示を行う。具体的には、印刷指示端末40a,40b,・・・は、ユーザー操作に応じて、ジョブの情報としてコントローラー20が解釈可能なページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述された印刷データを生成し、生成された印刷データをコントローラー20に送信する。
【0024】
図2に、コントローラー20の機能的構成を示す。図2に示すように、コントローラー20は、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、記憶部23、操作部24、表示部25、通信部26等を備え、各部はバス27により接続されている。
【0025】
CPU21は、コントローラー20の各部の処理動作を統括的に制御する。CPU21は、操作部24から入力される操作信号又は通信部26により受信される指示信号に応じて、記憶部23に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM22に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0026】
例えば、CPU21は、RIP処理プログラム231との協働により、印刷指示端末40a,40b,・・・から受信した印刷データ(PDLデータ)を解析し、ビットマップ形式の印刷用画像データ(CMYK値)に展開する(RIP処理)。また、CPU21は、印刷指示端末40a,40b,・・・から受信した印刷データに基づきジョブの一覧を生成して色変換テーブル作成装置30に送信する。また、CPU21は、色変換テーブル作成装置30からの要求に応じて、印刷用画像データ、デバイスプロファイル233、デバイスリンクプロファイル234を色変換テーブル作成装置30に送信する。
【0027】
また、CPU21は、色変換処理プログラム232との協働により、色変換テーブル作成装置30から受信した修正済みのデバイスプロファイル233又はデバイスリンクプロファイル234を用いて、印刷用画像データに対して色変換を行う。
【0028】
RAM22は、CPU21により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0029】
記憶部23は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等の記憶装置からなり、各種処理プログラムや各種処理に関するデータ、受信した印刷データ等を記憶する。例えば、記憶部23は、RIP処理プログラム231、色変換処理プログラム232、デバイスプロファイル233、デバイスリンクプロファイル234等を記憶する。デバイスプロファイル233、デバイスリンクプロファイル234は、色変換処理に用いられる色変換テーブルであり、一又は複数記憶されている。
【0030】
デバイスプロファイル233は、プリンターやモニター等のデバイスに依存するデバイス値(CMYK値、RGB値等)と、デバイスに依存しない色彩値(XYZ値、L値等)と、を対応付けたものであり、デバイス値から色彩値への色変換テーブル(LUT:Look Up Table)と、色彩値からデバイス値への色変換テーブルから構成される。例えば、CMYKプリンターのデバイスプロファイル233の場合、CMYK値からL値へのLUT(AtoBテーブルという。)と、L値からCMYK値へのLUT(BtoAテーブルという。)から構成される。色彩値は、プロファイルをつなぐ色空間となることから、プロファイルコネクションスペースと呼ばれる。
【0031】
色変換処理を行うには、色合わせの目標とするデバイスのデバイスプロファイル233が必要となり、それをソースプロファイル(ターゲットプロファイル)と呼ぶ。例えば、ソースプロファイルとして、オフセット印刷機のプロファイルや、Japan Color(登録商標)等の標準的なプロファイルが選択される。
【0032】
また、出力デバイスのデバイスプロファイル233をデスティネーションプロファイル(プリンタープロファイル)と呼ぶ。デスティネーションプロファイルとして、実際に出力するプリンター10のプロファイルが選択される。
【0033】
入力された画像データのデバイス値(CMYK値、RGB値等)は、ソースプロファイルのAtoBテーブルを用いてデバイスに依存しない色彩値に変換され、この色彩値がデスティネーションプロファイルのBtoAテーブルを用いて出力デバイスのデバイス値(CMYK値等)に変換される。この変換を経ることで、目標とするデバイスの色に対応するプリンター10のCMYK値を求めることができる。
【0034】
デバイスリンクプロファイル234は、入力デバイスのデバイス値から色彩値への色変換テーブルと、色彩値から出力デバイスのデバイス値への色変換テーブルを一つのLUTにしたものである。つまり、デバイスリンクプロファイル234は、入力デバイスのデバイス値と出力デバイスのデバイス値を対応付けたLUTである。デバイスリンクプロファイル234を用いることにより、色変換が一度で済むとともに、CMYK値の場合、3次元のL値等に変換しなくてよいので、墨版(K値)の情報を残すことができる等、情報の欠損が少なくなる。ただし、デバイスリンクプロファイル234だけでは、色彩値を取得することはできない。
デバイスリンクプロファイル234の場合、一つのLUTのみから構成される。入力画像データのCMYK値は、デバイスリンクプロファイル234のLUTを用いて、出力デバイスのCMYK値に変換される。
【0035】
ここでは、デバイスプロファイル233として、印刷用画像データ(CMYK値)を目標とするデバイスで出力した場合の色彩値に変換するためのソースプロファイル、色彩値をプリンター10のCMYK値に変換するためのデスティネーションプロファイル、スキャナー50(図3参照)により読み取られた読取画像データ(RGB値)を色彩値に変換するためのスキャナープロファイルが記憶されている。
また、デバイスリンクプロファイル234として、印刷用画像データ(CMYK値)を目標とするデバイスの色に対応するプリンター10のCMYK値に変換するためのデバイスリンクプロファイル234が記憶されている。
【0036】
操作部24は、カーソルキー、文字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザーによる操作入力を受け付ける。操作部24は、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号をCPU21に出力する。
【0037】
表示部25は、LCD(Liquid Crystal Display)を備え、CPU21からの指示に従って、各種操作画面や各種処理結果を表示する。
【0038】
通信部26は、通信ネットワークNTを介して外部装置との間でデータの送受信を行う。
【0039】
図3に、色変換テーブル作成装置30の機能的構成を示す。図3に示すように、色変換テーブル作成装置30は、CPU31、RAM32、記憶部33、操作部34、表示部35、通信部36、IF(InterFace)部37等を備え、各部はバス38により接続されている。
【0040】
CPU31は、色変換テーブル作成装置30の各部の処理動作を統括的に制御する。CPU31は、操作部34から入力される操作信号又は通信部36により受信される指示信号に応じて、記憶部33に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM32に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0041】
例えば、CPU31は、色変換テーブル修正処理プログラム331との協働により後述する色変換テーブル修正処理(図5参照)を実行し、選択されたジョブの印刷用画像データに適用する色変換テーブルをコントローラー20から取得して修正し、コントローラー20に送信する。
【0042】
RAM32は、CPU31により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0043】
記憶部33は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等の記憶装置からなり、各種処理プログラムや各種処理に関するデータ等を記憶する。例えば、記憶部33は、色変換テーブル修正処理プログラム331等を記憶する。
【0044】
操作部34は、カーソルキー、文字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザーによる操作入力を受け付ける。操作部34は、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号をCPU31に出力する。
【0045】
操作部34は、表示部35に表示された印刷用画像データのプレビュー画像上で、色変換テーブルの修正に使用する対象領域を指定するための指定手段として機能する。
操作部34は、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであることを指示するための指示手段として機能する。
【0046】
表示部35は、LCDを備え、CPU31からの指示に従って、各種操作画面や各種処理結果を表示する。例えば、表示部35は、色変換テーブルを修正する際のGUI(Graphical User Interface)を表示する。
【0047】
通信部36は、通信ネットワークNTを介して外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部36は、色変換テーブル作成装置30において修正された色変換テーブルをコントローラー20に送信する。
【0048】
IF部37は、スキャナー50から色合わせの目標となる目標印刷物を読み取ることにより得られた読取画像データ(RGB値)を受信する。
【0049】
CPU31は、印刷用画像データに対する色変換に用いる色変換テーブルを取得する。すなわち、CPU31は、色変換テーブル取得手段として機能する。印刷用画像データは、面付けされた印刷用画像データである場合もある。面付けは、1枚の用紙に対して複数の画像が印刷されるよう、各画像を配置することである。
【0050】
CPU31は、印刷用画像データを取得する。すなわち、CPU31は、印刷用画像データ取得手段として機能する。
【0051】
CPU31は、印刷用画像データ内の一部領域又は全領域に対応する目標印刷物(色見本)の読取画像データを取得する。すなわち、CPU31は、読取画像データ取得手段として機能する。面付けされた印刷用画像データにおいては、目標印刷物は、印刷用画像データ内の一部領域に対応することになる。
【0052】
CPU31は、印刷用画像データ内の色変換テーブルの修正に使用する対象領域の指定を受け付ける。すなわち、CPU31は、受付手段として機能する。
具体的には、CPU31は、印刷用画像データのプレビュー画像を表示部35に表示させ、操作部34から対象領域の指定を受け付ける。
CPU31は、目標印刷物の読取画像データの大きさの指定枠をプレビュー画像上に表示させ、操作部34からのユーザーの操作に応じて指定枠を移動させ、対象領域に指定枠の位置を合わせることで、対象領域の指定を受け付ける。
【0053】
CPU31は、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであることが指示された場合に、目標印刷物の読取画像データの大きさの指定枠をプレビュー画像上に表示させる。
【0054】
CPU31は、印刷用画像データから特徴量を抽出し、当該抽出された特徴量に基づいて類似パターンが繰り返されているか否かを判定する。すなわち、CPU31は、判定手段として機能する。類似パターンとは、相互に類似した(特徴量に基づく類似度が閾値を超えた)画像領域である。
CPU31は、類似パターンが繰り返されていると判定された場合に、目標印刷物の読取画像データの大きさの指定枠をプレビュー画像上に表示させる。この際、CPU31は、指定枠をプレビュー画像上の類似パターンの一つに位置合わせした状態で表示させる。
【0055】
CPU31は、印刷用画像データ内の指定された対象領域に対応する情報(CMYK値)と目標印刷物の読取画像データ(RGB値)とに基づいて、色変換テーブルを修正する。すなわち、CPU31は、修正手段として機能する。
【0056】
図4は、面付けジョブに係る印刷用画像データと断裁済みの目標印刷物とに基づく色変換テーブルの修正を示すイメージ図である。目標印刷物は、印刷用画像データの一部領域に対応する画像領域を含む印刷物である。ここでは、コーヒーショップのチケットを印刷する場合を例にして説明する。図4の例では、印刷用画像データには、21枚のチケット画像が面付けされている。
【0057】
まず、断裁済みの目標印刷物をスキャナー50で読み取り、読取画像データ(RGB値)を取得し、目標印刷物の読取画像データ(RGB値)と面付けジョブの印刷用画像データ(CMYK値)との位置合わせを行う。具体的には、印刷用画像データ内の修正に使用する対象領域を決定し、当該対象領域と読取画像データとの座標の対応関係を求める。
【0058】
次に、スキャナープロファイルを用いて、目標印刷物の読取画像データ(RGB値)から目標の色彩値(L値)を決定する。また、面付けジョブの印刷用画像データの対象領域の情報(CMYK値)から現状のソースプロファイルを用いた場合の理論的なL値を計算する。これらの差から色変換テーブルを修正すべき量を求める。
【0059】
次に、第1の実施の形態における動作について説明する。
図5は、色変換テーブル作成装置30において実行される色変換テーブル修正処理を示すフローチャートである。色変換テーブル修正処理は、印刷用画像データの色変換に用いる色変換テーブル(デバイスプロファイル233又はデバイスリンクプロファイル234)を目標印刷物の色に基づいて修正する処理である。
【0060】
色変換テーブル修正処理は、色変換テーブル作成装置30において、操作部34により、ジョブ一覧からジョブが選択され、当該ジョブにおいて色変換に用いる色変換テーブルの修正の実行が指示された際に、CPU31と、記憶部33に記憶されている色変換テーブル修正処理プログラム331との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
なお、図5においては、色変換テーブルとしてデバイスプロファイル233を用いる場合を例にして説明する。
【0061】
まず、CPU31は、選択されたジョブの印刷用画像データの色変換に用いる色変換テーブル(デバイスプロファイル233)を、通信部36を介してコントローラー20から取得する(ステップS1)。
ステップS1において、CPU31は、印刷用画像データ(CMYK値)を色彩値に変換するためのソースプロファイル、及び、色彩値を印刷を行うプリンター10のCMYK値に変換するためのデスティネーションプロファイルをコントローラー20から取得する。併せて、CPU31は、スキャナー50により読み取られた読取画像データ(RGB値)を色彩値に変換するためのスキャナープロファイルをコントローラー20から取得する。なお、スキャナープロファイルが色変換テーブル作成装置30の記憶部33に記憶されている場合には、CPU31は、記憶部33からスキャナープロファイルを取得することとしてもよい。
【0062】
次に、CPU31は、選択されたジョブの印刷用画像データを、通信部36を介してコントローラー20から取得する(ステップS2)。
なお、色変換テーブル作成装置30がRIP処理プログラムを備える構成とし、コントローラー20から印刷データ(PDFデータ、TIFFデータ)を受信し、色変換テーブル作成装置30にてRIP処理を行って印刷用画像データを取得することとしてもよい。
【0063】
次に、CPU31は、色合わせの目標となる目標印刷物の読取画像データを取得する(ステップS3)。
具体的には、CPU31は、スキャナー50においてユーザー操作に応じて目標印刷物を読み取ることにより得られた読取画像データを、IF部37を介して受信する。なお、スキャナー50に代えて、デジタルカメラを使って読取画像データを取得することとしてもよい。
【0064】
次に、CPU31は、面付けジョブ判断処理を行う(ステップS4)。面付けジョブ判断処理は、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであるか否かを判断する処理である。
【0065】
ここで、図6を参照して、面付けジョブ判断処理について説明する。
CPU31は、印刷用画像データに係る印刷ジョブがNアップ印刷であるか否かを判断する(ステップS21)。Nアップ印刷とは、1枚の用紙にN枚の画像を均等に割り付ける印刷である。Nアップ印刷であることは、印刷ジョブの設定情報に記述されており、CPU31は、コントローラー20から印刷ジョブの設定情報を取得して、Nアップ印刷であるか否かを判断する。
印刷用画像データに係る印刷ジョブがNアップ印刷である場合には(ステップS21;YES)、CPU31は、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであると判断する(ステップS27)。
【0066】
ステップS21において、印刷用画像データに係る印刷ジョブがNアップ印刷でない場合には(ステップS21;NO)、CPU31は、ユーザーから面付けジョブであることの指示があったか否かを判断する(ステップS22)。具体的には、CPU31は、面付けジョブであることを明示的に指示するための画面を表示部35に表示させ、ユーザーの操作部34からの操作指示を待機する。
ユーザーから面付けジョブであることの指示があった場合には(ステップS22;YES)、CPU31は、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであると判断する(ステップS27)。
【0067】
ステップS22において、ユーザーから面付けジョブであることの指示がない場合には(ステップS22;NO)、CPU31は、ステップS2で取得した印刷用画像データと、ステップS3で取得した目標印刷物の読取画像データのサイズが同じであるか否かを判断する(ステップS23)。
印刷用画像データと目標印刷物の読取画像データのサイズが同じである場合には(ステップS23;YES)、CPU31は、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブでないと判断する(ステップS28)。
【0068】
ステップS23において、印刷用画像データと目標印刷物の読取画像データのサイズが異なる場合には(ステップS23;NO)、CPU31は、印刷用画像データの特徴量を取得する(ステップS24)。特徴量としては、例えば、隣り合う画素間の輝度差を用いることとしてもよいし、輝度差が大きい箇所をエッジとして抽出し、このエッジの位置を特徴量としてもよい。
【0069】
次に、CPU31は、目標印刷物の読取画像データの特徴量を取得する(ステップS25)。読取画像データの特徴量についても、隣り合う画素間の輝度差や、エッジの位置等を取得する。
【0070】
次に、CPU31は、印刷用画像データの特徴量と目標印刷物の読取画像データの特徴量とを比較し、読取画像データの特徴量パターンを印刷用画像データ内の複数箇所で検出したか否かを判断する(ステップS26)。読取画像データの特徴量パターンが印刷用画像データ内に複数箇所存在することは、印刷用画像データ内に読取画像データの特徴量パターンと同じ類似パターンが繰り返されていることを意味する。類似パターンと判定される各領域内には、領域ごとに異なる部分(バリアブル印刷における可変部分等)があってもよい。
読取画像データの特徴量パターンを印刷用画像データ内の複数箇所で検出した場合(ステップS26;YES)、すなわち、印刷用画像データ内に類似パターンが繰り返されている場合には、CPU31は、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであると判断する(ステップS27)。
【0071】
ステップS26において、読取画像データの特徴量パターンを印刷用画像データ内の複数箇所で検出しない場合には(ステップS26;NO)、CPU31は、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブでないと判断する(ステップS28)。
ステップS27又はステップS28の後、面付けジョブ判断処理が終了する。
【0072】
図5に戻り、面付けジョブ判断処理(ステップS4)の結果、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであると判断された場合には(ステップS5;YES)、CPU31は、色合わせ領域決定処理を行う(ステップS6)。色合わせ領域決定処理は、目標印刷物の読取画像データが、面付けジョブの印刷用画像データ内のどの領域に対応するかを決定する処理である。印刷用画像データ内の色変換テーブルの修正に使用する対象領域(色合わせ領域)をユーザーに指定させてもよいし、印刷用画像データから画像処理によって対象領域を抽出してもよい。対象領域を自動で抽出する場合には、ユーザーにその領域を提示し、確認させるステップを設けることが望ましい。
【0073】
ここで、図7を参照して、色合わせ領域決定処理について説明する。
CPU31は、印刷用画像データ内に類似パターンが繰り返されていると判定された結果、面付けジョブであると判断されたか否かを判断する(ステップS31)。
印刷用画像データ内に類似パターンが繰り返されていると判定された結果、面付けジョブであると判断された場合には(ステップS31;YES)、CPU31は、印刷用画像データ内の類似パターンの一つに指定枠の位置を合わせる(ステップS32)。
【0074】
ステップS32の後、又は、ステップS31において、印刷用画像データ内に類似パターンが繰り返されていると判定されたこと以外の理由で面付けジョブであると判断された場合には(ステップS31;NO)、CPU31は、印刷用画像データのプレビュー画像を表示部35に表示させ、プレビュー画像上に、目標印刷物の読取画像データの大きさの指定枠を表示させる(ステップS33)。
【0075】
図8に、表示部35に表示される色合わせ領域指定画面351の例を示す。色合わせ領域指定画面351には、印刷ジョブプレビュー表示領域61、目標印刷物表示領域62、色合わせ実行ボタンB1、キャンセルボタンB2等が含まれる。
印刷ジョブプレビュー表示領域61には、印刷用画像データに基づくプレビュー画像63が表示される。
目標印刷物表示領域62には、目標印刷物の読取画像データに基づく画像64が表示される。
色合わせ実行ボタンB1は、色合わせの実行を指示するためのボタンである。
キャンセルボタンB2は、色合わせ領域指定画面351における領域指定をキャンセルするためのボタンである。
印刷用画像データのプレビュー画像63上には、目標印刷物の読取画像データの大きさの指定枠65が表示されている。印刷用画像データ内に類似パターンが繰り返されている場合には、類似パターンの一つに位置が合うように指定枠65が表示される。図8の例では、チケット1枚分に相当する領域に指定枠65が表示されている。
【0076】
色合わせ領域指定画面351では、印刷用画像データのプレビュー画像63上において、操作部34による色合わせ領域の指定を受け付ける。具体的には、ユーザーが操作部34から操作して、マウスポインターをプレビュー画像63上の指定枠65に重ねた状態でドラッグすることで、指定枠65を移動させることができる。また、指定枠65を選択した状態で、指定枠65の縦方向又は横方向の長さを変えることで、指定枠65自体の大きさを変更することもできる。
【0077】
次に、CPU31は、ユーザーの操作部34からの操作指示を待機し、指定枠の移動操作を終了するための操作が行われたか否かを判断する(ステップS34)。例えば、CPU31は、色合わせ領域指定画面351において色合わせ実行ボタンB1が押下された場合に、指定枠の移動操作を終了するための操作が行われたと判断する。
指定枠の移動操作を終了するための操作が行われない場合には(ステップS34;NO)、CPU31は、操作部34からのユーザーの操作に応じて、印刷用画像データのプレビュー画像上で指定枠の位置を移動させる(ステップS35)。
そして、ステップS34に戻り、処理が繰り返される。
【0078】
ステップS34において、指定枠の移動操作を終了するための操作が行われた場合(ステップS34;YES)、すなわち、プレビュー画像上で、目標印刷物に対応する領域の指定が完了した場合には、CPU31は、現在の指定枠の位置を色合わせ領域(対象領域)に決定し(ステップS36)、色合わせ領域決定処理が終了する。
【0079】
図5に戻り、色合わせ領域決定処理(ステップS6)の後、又は、ステップS5において、面付けジョブ判断処理の結果、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブでないと判断された場合には(ステップS5;NO)、CPU31は、位置合わせ処理を行う(ステップS7)。
【0080】
印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブである場合には、CPU31は、印刷用画像データにおいて決定された色合わせ領域(対象領域)の座標と、目標印刷物の読取画像データの領域の座標との対応関係を求める。例えば、CPU31は、両画像データの特徴量に基づいて、画像同士の座標を対応付ける。あるいは、読取画像データに対して傾き補正等を行った後、補正後の読取画像データと印刷用画像データの色合わせ領域の画素数を合わせて、座標間の対応関係を得ることとしてもよい。
【0081】
印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブでない場合には、CPU31は、印刷用画像データの画像領域全体の座標と、目標印刷物の読取画像データの領域の座標との対応関係を求める。
【0082】
次に、CPU31は、色変換テーブルを修正する修正色のリストを作成する(ステップS8)。具体的には、CPU31は、印刷用画像データにおいて決定された色合わせ領域内(面付けジョブの場合)、又は、印刷用画像データの画像領域全体(面付けジョブでない場合)から、色変換に使う修正色(CMYK値)を抽出し、リスト化する。修正色として、使われている色全てを選択するのは計算量の観点から現実的ではない。色変換テーブルの修正は、各色に対して範囲を持たせて行うので、修正量の範囲内であれば、同色とみなす等、修正量に基づいて修正色の数を決めるとよい。例えば、k平均法等でクラスタリングし、クラスタリングにより分類された色数の色を抽出することとしてもよい。また、色合わせ領域又は画像領域全体を3mm×3mmの領域に分割し、各領域の色を抽出し、各領域から抽出された色から、似た色を間引く等して、色数をある程度限定することとしてもよい。
【0083】
次に、CPU31は、修正色リストに含まれるある色について、ソースプロファイルにおける修正量を計算する(ステップS9)。
ここで、修正色リストの各修正色を目標印刷物の色に合わせるためには、ソースファイルにおける各修正色の色彩値が、目標印刷物の当該修正色に対応する色の色彩値となるように、ソースプロファイルを修正すればよい。
そこで、ステップS9においては、修正色リストの各修正色について、印刷用画像データの値(デバイス値)をソースプロファイルにより色彩値に変換した値と、目標印刷物の読取画像データの値(RGB値)をスキャナープロファイルにより色彩値に変換した値との差分を、ソースプロファイルにおける当該修正色に対応する色彩値の修正量として算出する。なお、修正色をピンポイントで修正するのではなく、その周囲の色も一定の範囲を持たせて修正する方がトーンジャンプの発生を軽減できるので好ましい。
【0084】
図9に、ソースプロファイルの修正量のデータ構造を示す。図9に示すように、ソースプロファイルにおける各修正色の修正前の色彩値をL,a,b、目標印刷物に基づく修正後の色彩値をL’,a’,b’とすると、修正量ΔL,Δa,Δbは、以下の式(1)により求めることができる。
ΔL=L’-L
Δa=a’-a
Δb=b’-b ・・・式(1)
【0085】
次に、CPU31は、修正色リストに記載された全点(修正色)の修正量を計算したか否かを判断する(ステップS10)。
修正色リストに記載された修正色のうち、計算していない色が残っている場合には(ステップS10;NO)、ステップS9に戻り、別の修正色を対象として、処理が繰り返される。
【0086】
修正色リストに記載された全点の修正量を計算した場合には(ステップS10;YES)、CPU31は、計算した修正量に基づいて、ソースプロファイルを修正し(ステップS11)、色変換テーブル修正処理を終了する。
ステップS11においては、ソースプロファイルの修正色に対応する色彩値に修正量を加算することにより、ソースプロファイルを修正する。なお、複数の点(修正色)の修正の影響を受ける色(グリッド)に関しては修正量の平均化等を行い、想定以上の修正がかからないようにすることが好ましい。また、全点の移動平均を算出する等、スムージング計算を行って、ソースプロファイルの修正を行ってもよい。
【0087】
上記説明では、デバイスプロファイル233(ソースプロファイル)を修正する例について示したが、デバイスリンクプロファイル234の修正においても、実質的に同様に処理することができる。
デバイスリンクプロファイル234の修正方法としては、まず、上述の修正色の修正前の色彩値L,a,bをデスティネーションプロファイルを用いてプリンター10のデバイス値であるC,M,Y,Kに変換する。同様に、修正色に対応する目標印刷物の色彩値L’,a’,b’をデスティネーションプロファイルを用いてプリンター10のデバイス値であるC’,M’,Y’,K’に変換する。そして、C’,M’,Y’,K’とC,M,Y,Kの差分ΔC,ΔM,ΔY,ΔKを、デバイスリンクプロファイル234の修正色に対応するCMYK値(出力値)に加算する。これにより、デバイスリンクプロファイル234の修正色の変換情報を目標印刷物に合わせて修正することができる。
【0088】
色変換テーブル修正処理が終了すると、CPU31は、修正したデバイスプロファイル233又はデバイスリンクプロファイル234をジョブIDと対応付けて通信部36を介してコントローラー20に送信する。コントローラー20のCPU21は、受信したジョブIDのジョブの色変換時に修正済みのデバイスプロファイル233又はデバイスプロファイル233を用いて色変換処理を行う。これにより、出力デバイス(プリンター10)の色を目標印刷物と同等の色に合わせることが可能となる。
【0089】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、面付けされた印刷用画像データと目標印刷物の読取画像データとに基づいて、印刷用画像データに対する色変換に用いる色変換テーブルを修正する際に、印刷用画像データ内の色変換テーブルの修正に使用する対象領域の指定を受け付けるので、印刷用画像データに基づく印刷結果を目標印刷物の色に合わせる色変換について、断裁されている目標印刷物を使用する場合であっても、目標印刷物と印刷用画像データ内の一部領域との対応関係を容易に取得することができ、色合わせを容易に行うことができる。
【0090】
また、印刷用画像データのプレビュー画像を表示部35に表示させ、操作部34から対象領域の指定を受け付けるので、ユーザーは、印刷用画像データ内の目標印刷物に対応する領域を目視にて確認することができ、位置合わせの失敗のリスクが低減される。
【0091】
また、目標印刷物の読取画像データの大きさの指定枠をプレビュー画像上に表示させるので、ユーザーは、指定枠を移動させることで、対象領域を指定することができる。例えば、矩形領域を指定するために対角線を示す2点(左上、右下等)を指定する場合と比較して、ユーザーの操作における手間が軽減される。
【0092】
また、操作部34から印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであることが指示された場合に、指定枠をプレビュー画像上に表示させることができる。
【0093】
また、印刷用画像データに類似パターンが繰り返されていると判定された場合に、指定枠をプレビュー画像上に表示させることができる。
この際、指定枠をプレビュー画像上の類似パターンの一つに位置合わせした状態で表示させるので、指定枠の位置に問題がなければ、そのまま色変換テーブルの修正に使用する対象領域として確定させることができる。
【0094】
[第2の実施の形態]
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態における印刷システムは、第1の実施の形態に示した印刷システム100と同様の構成であるため、図1図3を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0095】
色変換テーブル作成装置30のCPU31は、印刷用画像データから特徴量を抽出し、当該抽出された特徴量に基づいて類似パターンが繰り返されているか否かを判定する。すなわち、CPU31は、判定手段として機能する。具体的には、CPU31は、目標印刷物の読取画像データの大きさを単位として、類似パターンが繰り返されているか否かを判定する。
CPU31は、類似パターンが繰り返されていると判定された場合に、目標印刷物の読取画像データの大きさの指定枠をプレビュー画像上に表示させる。この際、CPU31は、指定枠をプレビュー画像上の類似パターンの一つに位置合わせした状態で表示させる。
【0096】
CPU31は、印刷用画像データから抽出された類似パターンの特徴量と目標印刷物の読取画像データの特徴量とが一致しない場合に、その結果を報知する。すなわち、CPU31は、報知手段として機能する。類似パターンの特徴量と読取画像データの特徴量とが一致するか否かは、例えば、類似パターンの特徴量と読取画像データの特徴量との類似度が閾値を超えているか否かにより、判断する。両特徴量の類似度が閾値以下の場合に、両特徴量が一致しないと判断する。
【0097】
次に、第2の実施の形態における動作について説明する。
第2の実施の形態では、図5に示す色変換テーブル修正処理と同様の処理が行われるが、ステップS4の面付けジョブ判断処理(図6参照)に代えて、第2の面付けジョブ判断処理が行われる。ステップS6の色合わせ領域決定処理(図7参照)については、第1の実施の形態と同様である。
【0098】
図10は、第2の面付けジョブ判断処理を示すフローチャートである。
第2の面付けジョブ判断処理のステップS41~ステップS44の処理は、面付けジョブ判断処理のステップS21~ステップS24の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0099】
ステップS44の後、CPU31は、印刷用画像データの特徴量に基づいて、印刷用画像データ内で、目標印刷物の読取画像データの大きさの類似パターンが繰り返されているか否かを判定する(ステップS45)。
【0100】
印刷用画像データ内で、目標印刷物の読取画像データの大きさの類似パターンが繰り返されていると判定された場合には(ステップS45;YES)、CPU31は、目標印刷物の読取画像データの特徴量を取得する(ステップS46)。
【0101】
次に、CPU31は、類似パターンの特徴量と目標印刷物の読取画像データの特徴量とが一致するか否かを判断する(ステップS47)。
類似パターンの特徴量と目標印刷物の読取画像データの特徴量とが一致する場合には(ステップS47;YES)、CPU31は、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであると判断する(ステップS49)。
【0102】
ステップS47において、類似パターンの特徴量と目標印刷物の読取画像データの特徴量とが一致しない場合には(ステップS47;NO)、CPU31は、印刷用画像データ内の類似パターンの特徴量と目標印刷物の読取画像データの特徴量とが一致しなかったという判断結果を報知する(ステップS48)。具体的には、CPU31は、類似パターンの特徴量と読取画像データの特徴量とが一致しなかった旨のメッセージを表示部35に表示させる。
ステップS48の後、第2の実施の形態における色変換テーブル修正処理が終了(中断)する。あるいは、ユーザーに面付けジョブであるか否かの判断を促し、ステップS49又はステップS50に移行することとしてもよい。
【0103】
ステップS41において、印刷用画像データに係る印刷ジョブがNアップ印刷である場合(ステップS41;YES)、ステップS42において、ユーザーから面付けジョブの指示があった場合には(ステップS42;YES)、CPU31は、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであると判断する(ステップS49)。
【0104】
ステップS43において、印刷用画像データと目標印刷物の読取画像データのサイズが同じである場合(ステップS43;YES)、ステップS45において、印刷用画像データ内で、目標印刷物の読取画像データの大きさの類似パターンが繰り返されていないと判定された場合には(ステップS45;NO)、CPU31は、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブでないと判断する(ステップS50)。
ステップS49又はステップS50の後、第2の面付けジョブ判断処理が終了する。
【0105】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様、印刷用画像データに基づく印刷結果を目標印刷物の色に合わせる色変換について、断裁されている目標印刷物を使用する場合であっても、目標印刷物と印刷用画像データ内の一部領域との対応関係を容易に取得することができ、色合わせを容易に行うことができる。
【0106】
また、目標印刷物の読取画像データの大きさを単位として、印刷用画像データに類似パターンが繰り返されているか否かを判定するので、効率良く類似パターンを検出することができる。
【0107】
また、印刷用画像データに類似パターンが繰り返されていると判定された場合に、目標印刷物の読取画像データの大きさの指定枠をプレビュー画像上に表示させることができる。
この際、指定枠をプレビュー画像上の類似パターンの一つに位置合わせした状態で表示させるので、指定枠の位置に問題がなければ、そのまま色変換テーブルの修正に使用する対象領域として確定させることができる。
【0108】
また、印刷用画像データから抽出された類似パターンの特徴量と目標印刷物の読取画像データの特徴量とが一致しない場合に、その結果を報知することにより、ユーザーにデータの確認を促すことができる。
【0109】
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る色変換テーブル作成装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0110】
例えば、上記各実施の形態では、色変換テーブル作成装置30において修正された色変換テーブルがコントローラー20で使用されることとしたが、色変換テーブル作成装置30において修正された色変換テーブルがプリンター10で使用されることとしてもよい。
【0111】
また、第1の実施の形態の面付けジョブ判断処理(図6参照)や第2の実施の形態の第2の面付けジョブ判断処理(図10参照)において、印刷用画像データに係る印刷ジョブが面付けジョブであるか否かを判断するための判断基準の全てを含まなくてもよい。例えば、面付けジョブ判断処理において、ステップS21及びステップS22の判断がない場合も考えられる。また、面付けジョブ判断処理において、ステップS22のみの判断に基づいて、面付けジョブであるか否かを判断することとしてもよい。
【0112】
また、以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体として不揮発性の半導体メモリーやハードディスクを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0113】
10 プリンター
20 コントローラー
30 色変換テーブル作成装置
31 CPU
32 RAM
33 記憶部
34 操作部
35 表示部
36 通信部
37 IF部
40a,40b,・・・ 印刷指示端末
50 スキャナー
100 印刷システム
231 RIP処理プログラム
232 色変換処理プログラム
233 デバイスプロファイル
234 デバイスリンクプロファイル
331 色変換テーブル修正処理プログラム
351 色合わせ領域指定画面
NT 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10