(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20240903BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240903BHJP
B65H 5/38 20060101ALI20240903BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20240903BHJP
B65H 5/06 20060101ALN20240903BHJP
【FI】
H04N1/12 Z
H04N1/00 567M
B65H5/38
G03B27/62
B65H5/06 H
(21)【出願番号】P 2020204197
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】藤 慶太
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-046515(JP,A)
【文献】特開2002-220133(JP,A)
【文献】特開2004-048282(JP,A)
【文献】特開2016-041611(JP,A)
【文献】特開平05-147800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/00
B65H 5/38
G03B 27/62
B65H 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置前方から挿入される原稿を装置後方に向けて搬送する原稿搬送経路と、
前記原稿搬送経路に設けられ、原稿の面を読み取る読み取り手段と、
前記原稿搬送経路から装置後方に排出される原稿を装置上方に案内する排出ガイド部と、
前記原稿搬送経路において原稿に搬送力を付与する搬送力付与手段と、を備え、
前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力は、原稿搬送方向と交差する方向である幅方向において、前記幅方向の一方向である第1方向側が前記第1方向とは反対の第2方向側より大きく、
前記排出ガイド部は、前記幅方向において前記第1方向側に偏った位置に配置されている、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、前記排出ガイド部は、前記原稿搬送経路の前記幅方向における中心位置に対し前記第1方向側の領域にのみ設けられている、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
装置前方から挿入される原稿を装置後方に向けて搬送する原稿搬送経路と、
前記原稿搬送経路に設けられ、原稿の面を読み取る読み取り手段と、
前記原稿搬送経路から装置後方に排出される原稿を装置上方に案内する排出ガイド部と、
前記原稿搬送経路において原稿に搬送力を付与する搬送力付与手段と、を備え、
前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力は、原稿搬送方向と交差する方向である幅方向において、前記幅方向の一方向である第1方向側が前記第1方向とは反対の第2方向側より大きく、
前記排出ガイド部が形成する原稿案内経路の長さは、前記幅方向において前記第2方向側が前記第1方向側より短い、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
装置前方から挿入される原稿を装置後方に向けて搬送する原稿搬送経路と、
前記原稿搬送経路に設けられ、原稿の面を読み取る読み取り手段と、
前記原稿搬送経路から装置後方に排出される原稿を装置上方に案内する排出ガイド部と、
前記原稿搬送経路において原稿に搬送力を付与する搬送力付与手段と、を備え、
前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力は、原稿搬送方向と交差する方向である幅方向において、前記幅方向の一方向である第1方向側が前記第1方向とは反対の第2方向側より大きく、
前記排出ガイド部が原稿に付与する搬送負荷は、前記幅方向において前記第2方向側が前記第1方向側より小さい、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像読取装置において、前記読み取り手段は、前記原稿搬送経路に対して進退可能に設けられ、
前記搬送力付与手段は、前記読み取り手段との間で原稿をニップして搬送する搬送ローラーと、
前記幅方向において前記第1方向側に位置する押圧部材であって、前記読み取り手段を前記搬送ローラーに向けて押圧する第1押圧部材と、
前記幅方向において前記第2方向側に位置する押圧部材であって、前記読み取り手段を前記搬送ローラーに向けて押圧する第2押圧部材と、を備え、
前記第1押圧部材による押圧力が、前記第2押圧部材による押圧力より大きい、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像読取装置において、前記読み取り手段を第1読み取り手段として、前記第1読み取り手段と対向する位置に、原稿の面を読み取る第2読み取り手段を備え、
前記原稿搬送経路において前記第1読み取り手段及び前記第2読み取り手段の上流に、原稿を搬送する搬送ローラー対を前記幅方向に沿って複数備え、
前記幅方向において前記第1方向側に位置する前記搬送ローラー対による原稿ニップ力が、前記幅方向において前記第2方向側に位置する前記搬送ローラー対による原稿ニップ力より大きい、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像読取装置において、前記排出ガイド部は、前記原稿搬送経路を備える装置本体に対して着脱可能に構成される、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像読取装置において、前記排出ガイド部は、排出される原稿を装置上方に案内する第1状態と、
装置の設置面に対する投影面積が前記第1状態より小さくなる第2状態と、を切り換え可能に設けられる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像読取装置において、前記排出ガイド部の前記第2状態は、前記排出ガイド部が装置の上面に支持される状態である、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像読取装置において、装置の上面に各種操作入力を受け付ける操作部を備え、
前記排出ガイド部は、前記第2状態において前記操作部から外れた位置にある、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の画像読取装置において、前記排出ガイド部は、前記第2状態において前記原稿搬送経路から装置後方に向けて排出される原稿と当接しない位置にある、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
請求項8から請求項11のいずれか一項に記載の画像読取装置において、前記排出ガイド部は、前記第2状態において前記幅方向における前記排出ガイド部のサイズより小さいサイズの原稿を装置後方に通す原稿通し穴を有する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置の一例として、原稿を搬送しながら読み取りを行うシートフィードタイプがある。この様なシートフィードタイプの画像読取装置では、特許文献1に示される様に装置の前方から挿入した原稿を装置後方に向けて送り、そして排出される原稿を上向きに案内するガイドを備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿搬送経路を原稿が搬送される際、搬送負荷が生じ、それにより斜行が生じる場合がある。この斜行は、原稿搬送経路を構成する経路形成部材と原稿との間の摩擦によって生じる。
ここで原稿の斜行は、経路形成部材を形成する金型等の要因によって製造した固体に拘わらず一定の傾向が生じる傾向があり、より具体的には原稿幅方向の一方向である第1方向側の搬送負荷が大きくなり、これにより原稿の搬送力が前記第1方向側で不足し、斜行することがある。
【0005】
そしてこの様な原稿の斜行を抑制する為、原稿に付与する搬送力が、前記第1方向側で大きくなる様に予め設定することが製品の製造工程で行われる場合がある。
しかしながらこの様に構成された画像読取装置に対し上記特許文献1記載のガイドを設けると、原稿がガイドから搬送負荷を受け、前記第1方向とは反対の第2方向側の搬送力が不足し、読み取り画像に歪みが生じる原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為の、本発明の画像読取装置は、装置前方から挿入される原稿を装置後方に向けて搬送する原稿搬送経路と、前記原稿搬送経路に設けられ、原稿の面を読み取る読み取り手段と、前記原稿搬送経路から装置後方に排出される原稿を装置上方に案内する排出ガイド部と、前記原稿搬送経路において原稿に搬送力を付与する搬送力付与手段と、を備え、前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力は、原稿搬送方向と交差する方向である幅方向において、前記幅方向の一方向である第1方向側が前記第1方向とは反対の第2方向側より大きく、前記排出ガイド部は、前記幅方向において前記第1方向側に偏った位置に配置されていることを特徴とする。
【0007】
また本発明の画像読取装置は、装置前方から挿入される原稿を装置後方に向けて搬送する原稿搬送経路と、前記原稿搬送経路に設けられ、原稿の面を読み取る読み取り手段と、前記原稿搬送経路から装置後方に排出される原稿を装置上方に案内する排出ガイド部と、前記原稿搬送経路において原稿に搬送力を付与する搬送力付与手段と、を備え、前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力は、原稿搬送方向と交差する方向である幅方向において、前記幅方向の一方向である第1方向側が前記第1方向とは反対の第2方向側より大きく、前記排出ガイド部が形成する原稿案内経路の長さは、前記幅方向において前記第2方向側が前記第1方向側より短いことを特徴とする。
【0008】
また本発明の画像読取装置は、装置前方から挿入される原稿を装置後方に向けて搬送する原稿搬送経路と、前記原稿搬送経路に設けられ、原稿の面を読み取る読み取り手段と、前記原稿搬送経路から装置後方に排出される原稿を装置上方に案内する排出ガイド部と、前記原稿搬送経路において原稿に搬送力を付与する搬送力付与手段と、を備え、前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力は、原稿搬送方向と交差する方向である幅方向において、前記幅方向の一方向である第1方向側が前記第1方向とは反対の第2方向側より大きく、前記排出ガイド部が原稿に付与する搬送負荷は、前記幅方向において前記第2方向側が前記第1方向側より小さいことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】排出ガイド非装着状態のスキャナーを前方側から見た斜視図。
【
図2】排出ガイド非装着状態のスキャナーを後方側から見た斜視図。
【
図3】排出ガイド非装着状態のスキャナーの原稿搬送経路を示す図。
【
図4】センサーユニット及び搬送ローラーを原稿搬送方向上流から見た図。
【
図5】排出ガイドを装着し、第1状態とした際のスキャナーを前方側から見た斜視図。
【
図6】排出ガイドを装着し、第2状態とした際のスキャナーを前方側から見た斜視図。
【
図7】排出ガイドを装着し、第1状態とした際のスキャナーを後方側から見た斜視図。
【
図8】排出ガイドを装着し、第2状態とした際のスキャナーを後方側から見た斜視図。
【
図9】排出ガイドを装着し、第1状態とした際のスキャナーの原稿搬送経路を示す図。
【
図10】排出ガイドを装着し、第2状態とした際のスキャナーの原稿搬送経路を示す図。
【
図13】装着アダプターを装置本体に固定する部位の断面図。
【
図14】原稿搬送方向上流から排出ガイドを見た図。
【
図18】他の実施形態に係る排出ガイドを装着したスキャナーの原稿搬送経路を示す図。
【
図19】他の実施形態に係る排出ガイドを装着したスキャナーの原稿搬送経路を示す図。
【
図20】他の実施形態に係る排出ガイドを装着し、第1状態とした際のスキャナーを後方側から見た斜視図。
【
図21】他の実施形態に係る排出ガイドを装着したスキャナーの原稿搬送経路を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る画像読取装置は、装置前方から挿入される原稿を装置後方に向けて搬送する原稿搬送経路と、前記原稿搬送経路に設けられ、原稿の面を読み取る読み取り手段と、前記原稿搬送経路から装置後方に排出される原稿を装置上方に案内する排出ガイド部と、前記原稿搬送経路において原稿に搬送力を付与する搬送力付与手段と、を備え、前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力は、原稿搬送方向と交差する方向である幅方向において、前記幅方向の一方向である第1方向側が前記第1方向とは反対の第2方向側より大きく、前記排出ガイド部は、前記幅方向において前記第1方向側に偏った位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力が、前記幅方向の一方向である第1方向側がその反対の第2方向側より大きい構成において、前記排出ガイド部が、前記幅方向において前記第1方向側に偏った位置に配置されているので、原稿が前記排出ガイドから受ける搬送負荷に起因して前記第1方向とは反対の第2方向側の搬送力が不足し、読み取り画像に歪みが生じることを抑制することができる。
【0012】
尚、本明細書において前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力が、前記幅方向において前記第1方向側が前記第2方向側より大きいとは、前記幅方向の中心位置から前記第1方向側で原稿に付与される搬送力が、前記幅方向の中心位置から前記第2方向側で原稿に付与される搬送力より大きいことを意味する。
また本明細書において前記排出ガイド部が前記幅方向において前記第1方向側に偏った位置に配置されているとは、前記排出ガイド部の、前記幅方向の中心位置から前記第1方向側で占める割合が、前記幅方向の中心位置から前記第2方向側で占める割合より大きいことを意味する。
【0013】
第2の態様は、第1の態様において、前記排出ガイド部は、前記原稿搬送経路の前記幅方向における中心位置に対し前記第1方向側の領域にのみ設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、前記排出ガイド部は、前記原稿搬送経路の前記幅方向における中心位置に対し前記第1方向側の領域にのみ設けられているので、上述した第1の態様の作用効果をより確実に得ることができる。
【0014】
第3の態様に係る画像読取装置は、装置前方から挿入される原稿を装置後方に向けて搬送する原稿搬送経路と、前記原稿搬送経路に設けられ、原稿の面を読み取る読み取り手段と、前記原稿搬送経路から装置後方に排出される原稿を装置上方に案内する排出ガイド部と、前記原稿搬送経路において原稿に搬送力を付与する搬送力付与手段と、を備え、前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力は、原稿搬送方向と交差する方向である幅方向において、前記幅方向の一方向である第1方向側が前記第1方向とは反対の第2方向側より大きく、前記排出ガイド部が形成する原稿案内経路の長さは、前記幅方向において前記第2方向側が前記第1方向側より短いことを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力が、前記幅方向の一方向である第1方向側がその反対の第2方向側より大きい構成において、前記排出ガイド部が形成する原稿案内経路の長さは、前記幅方向において前記第2方向側が前記第1方向側より短いので、原稿が前記排出ガイドから受ける搬送負荷に起因して前記第1方向とは反対の第2方向側の搬送力が不足し、読み取り画像に歪みが生じることを抑制することができる。
【0016】
尚、本明細書において前記排出ガイド部が形成する原稿案内経路の長さが、前記幅方向において前記第2方向側が前記第1方向側より短いとは、換言すれば前記排出ガイド部が原稿を案内する案内面の、前記幅方向の中心位置から前記第2方向側での面積が、前記幅方向の中心位置から前記第1方向側での面積より小さいことを意味する。
【0017】
第4の態様に係る画像読取装置は、装置前方から挿入される原稿を装置後方に向けて搬送する原稿搬送経路と、前記原稿搬送経路に設けられ、原稿の面を読み取る読み取り手段と、前記原稿搬送経路から装置後方に排出される原稿を装置上方に案内する排出ガイド部と、前記原稿搬送経路において原稿に搬送力を付与する搬送力付与手段と、を備え、前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力は、原稿搬送方向と交差する方向である幅方向において、前記幅方向の一方向である第1方向側が前記第1方向とは反対の第2方向側より大きく、前記排出ガイド部が原稿に付与する搬送負荷は、前記幅方向において前記第2方向側が前記第1方向側より小さいことを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力が、前記幅方向の一方向である第1方向側がその反対の第2方向側より大きい構成において、前記排出ガイド部が原稿に付与する搬送負荷は、前記幅方向において前記第2方向側が前記第1方向側より小さいので、原稿が前記排出ガイドから受ける搬送負荷に起因して前記第1方向とは反対の第2方向側の搬送力が不足し、読み取り画像に歪みが生じることを抑制することができる。
【0019】
第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記読み取り手段は、前記原稿搬送経路に対して進退可能に設けられ、前記搬送力付与手段は、前記読み取り手段との間で原稿をニップして搬送する搬送ローラーと、前記幅方向において前記第1方向側に位置する押圧部材であって、前記読み取り手段を前記搬送ローラーに向けて押圧する第1押圧部材と、前記幅方向において前記第2方向側に位置する押圧部材であって、前記読み取り手段を前記搬送ローラーに向けて押圧する第2押圧部材と、を備え、前記第1押圧部材による押圧力が、前記第2押圧部材による押圧力より大きいことを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、前記第1押圧部材による押圧力が、前記第2押圧部材による押圧力より大きく設定されたことにより、前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力の、前記幅方向での大きさが調整されているので、前記搬送力付与手段による前記搬送力の調整を容易な構成で実現できる。
【0021】
第6の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記読み取り手段を第1読み取り手段として、前記第1読み取り手段と対向する位置に、原稿の面を読み取る第2読み取り手段を備え、前記原稿搬送経路において前記第1読み取り手段及び前記第2読み取り手段の上流に、原稿を搬送する搬送ローラー対を前記幅方向に沿って複数備え、前記幅方向において前記第1方向側に位置する前記搬送ローラー対による原稿ニップ力が、前記幅方向において前記第2方向側に位置する前記搬送ローラー対による原稿ニップ力より大きいことを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、前記幅方向において前記第1方向側に位置する前記搬送ローラー対による原稿ニップ力が、前記幅方向において前記第2方向側に位置する前記搬送ローラー対による原稿ニップ力より大きく設定されたことにより、前記搬送力付与手段が原稿に付与する前記搬送力の、前記幅方向での大きさが調整されているので、前記搬送力付与手段による前記搬送力の調整を容易な構成で実現できる。
【0023】
第7の態様は、第1から第6の態様のいずれかにおいて、前記排出ガイド部は、前記原稿搬送経路を備える装置本体に対して着脱可能に構成されることを特徴とする。
本態様によれば、前記排出ガイド部は、前記原稿搬送経路を備える装置本体に対して着脱可能に構成されるので、前記排出ガイド部の非使用時は前記排出ガイド部を前記装置本体から取り外すことで前記装置本体の設置スペースを抑制でき、ユーザーの使い勝手が向上する。
【0024】
第8の態様は、第1から第7の態様のいずれかにおいて、前記排出ガイド部は、排出される原稿を装置上方に案内する第1状態と、装置の設置面に対する投影面積が前記第1状態より小さくなる第2状態と、を切り換え可能に設けられることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、前記排出ガイド部は、排出される原稿を装置上方に案内する第1状態と、装置の設置面に対する投影面積が前記第1状態より小さくなる第2状態と、を切り換え可能に設けられるので、前記排出ガイド部を取り外すことなく、前記排出ガイド部を前記第2状態にすることで前記装置本体の設置スペースを抑制でき、ユーザーの使い勝手が向上する。
【0026】
第9の態様は、第8の態様において、前記排出ガイド部の前記第2状態は、前記排出ガイド部が装置の上面に支持される状態であることを特徴とする。
本態様によれば、前記排出ガイド部の前記第2状態は、前記排出ガイド部が装置の上面に支持される状態であるので、前記排出ガイド部を前記第2状態に保持する手段を別途設ける必要がなく、装置のコストアップを抑制できる。
【0027】
第10の態様は、第9の態様において、装置の上面に各種操作入力を受け付ける操作部を備え、前記排出ガイド部は、前記第2状態において前記操作部から外れた位置にあることを特徴とする。
本態様によれば、装置の上面に各種操作入力を受け付ける操作部を備え、前記排出ガイド部は、前記第2状態において前記操作部から外れた位置にあるので、前記第2状態にある前記排出ガイド部がユーザーによる前記操作部の操作入力を邪魔することがない。
【0028】
第11の態様は、第8から第10の態様のいずれかにおいて、前記排出ガイド部は、前記第2状態において前記原稿搬送経路から装置後方に向けて排出される原稿と当接しない位置にあることを特徴とする。
本態様によれば、前記排出ガイド部は、前記第2状態において前記原稿搬送経路から装置後方に向けて排出される原稿と当接しない位置にあるので、前記排出ガイド部を前記装置本体に装着し且つ前記第2状態とした場合であっても装置を使用することができ、ユーザーの使い勝手が向上する。
【0029】
第12の態様は、第8から第11の態様のいずれかにおいて、前記排出ガイド部は、前記第2状態において前記幅方向における前記排出ガイド部のサイズより小さいサイズの原稿を装置後方に通す原稿通し穴を有することを特徴とする。
【0030】
サイズの小さい原稿として、国際規格ISO/IEC7810で規定されるサイズのカード、例えばキャッシュカードやクレジットカードなどのプラスチック製カードがある。このような原稿は剛性が高く、前記排出ガイド部によって排出方向を上向きに変化させることができない。
そこで本態様では、前記排出ガイド部に、前記第2状態において前記幅方向における前記排出ガイド部のサイズより小さいサイズの原稿を装置後方に通す原稿通し穴を設けた。これにより、剛性の高い原稿については排出方向を上向きに変化させることなくそのまま装置後方に向けて排出することができ、即ち前記排出ガイド部を取り外すことなく、上記の様な剛性の高い原稿を読み取ることができる。
【0031】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下、画像読取装置の一例として、原稿を搬送しつつ読み取り可能なシートフィードスキャナー1を例に挙げる。シートフィードスキャナー1は、以下ではスキャナー1と称する。
【0032】
尚、各図において示すX-Y-Z座標系は直交座標系であり、X軸方向が装置幅方向であり、また、原稿搬送方向と交差する方向である原稿幅方向である。尚、原稿挿入口5を手前にして右側を+X方向、左側を-X方向とする。また-X方向は第1方向の一例であり、+X方向は第2方向の一例である。
また、Y軸方向は原稿読み取り時の原稿搬送方向に沿った方向であり、原稿は+Y方向に搬送されながら読み取りが行われる。尚、以下では原稿が搬送されていく方向を「下流」と称し、これと反対の方向を「上流」と称する場合がある。また+Y方向は装置前面から装置背面に向かう方向であり、-Y方向は装置背面から装置前面に向かう方向である。スキャナー1において読み取りが行われる原稿は装置前方から差し入れられ、装置後方に向けて搬送されながら読み取りが行われる。
Z軸方向は鉛直方向であって装置高さ方向であり、+Z方向が鉛直上方、-Z方向が鉛直下方である。
【0033】
尚、本実施形態に係るスキャナー1は、持ち運び容易なハンディタイプのスキャナーである。従って使用される際の装置姿勢が必ずしも各図に示す状態、即ち装置の上面4aが鉛直上方を向き、後述する原稿搬送経路T1が水平方向に沿うとは限らないが、以下では便宜上、各構成要素の構造や位置関係等を説明する場合は、各図に示す様にスキャナー1を設置した状態に基づいて説明するものとする。
【0034】
図1及び
図2において、スキャナー1の装置本体2は、外殻が上部ハウジング4と下部ハウジング3とで構成されている。装置本体2の上面4aには操作入力を受け付ける操作部7が+X方向寄りに設けられている。操作部7は、スキャンボタン7aと、各種情報を表示する表示部7bとを備えている。
原稿を挿入する原稿挿入口5は、経路形成部材9とトップフレーム8との間で形成されている。
また、原稿排出口6が示された
図2に示す様に、原稿排出口6は、上部ハウジング4と下部ハウジング3との間で形成されており、原稿排出口6の内側に後述する搬送ローラー11の一部が露呈している。
【0035】
原稿を搬送する原稿搬送経路T1の下側は、
図3に示す様に経路形成部材9で形成され、原稿搬送経路T1の上側は、トップフレーム8及びセンサーユニット13とで形成される。
経路形成部材9の下側には、制御部12が設けられる。制御部12は、回路基板に複数の電子部品が設けられて成り、スキャナー1における原稿の搬送、読み取り、排出を含めた各種制御を行う。
【0036】
図3において符号T1で示す破線は原稿搬送経路を示し、符号T2で示す破線は原稿排出経路を示しており、
図3において原稿搬送経路T1及び原稿排出経路T2はほぼ水平方向に沿っている。尚、本実施形態において原稿搬送経路T1は、原稿挿入口5から、後述する位置Y1までの経路とする。また原稿排出経路T2は、位置Y1から下流の経路とする。
原稿挿入口5から挿入される原稿は、経路形成部材9によって支持されつつ搬送ローラー11とセンサーユニット13とによるニップ位置に向かう。
スキャナー1を使用するユーザーは、原稿挿入口5から原稿を差し入れる際、-X方向端部に設けられたエッジガイド9aに、原稿の-X方向のサイドエッジを突き当てながら差し入れる。これにより原稿のX軸方向位置が定まる。
【0037】
そしてユーザーが原稿を差し入れると、原稿先端が搬送ローラー11とセンサーユニット13とによるニップ位置に到達することにより、或いは原稿先端が搬送ローラー11に当たることにより、突き当たり感を得ることができる。
搬送ローラー11の上流には、不図示の原稿センサーが設けられており、制御部12は前記原稿センサーの検出信号に基づき原稿が差し入れられたことを検知できる。制御部12は、原稿の読み取りモードとしてマニュアルモードとオートモードとを実行可能である。
【0038】
マニュアルモードでは、原稿が差し入れられたことを検知すると、制御部12は搬送ローラー11を少量回転させる。これにより原稿先端が搬送ローラー11とセンサーユニット13とで少量ニップされる。この状態は読み取り待機状態であり、この状態でユーザーがスキャンボタン7aを押下すると、制御部12は搬送ローラー11を回転させ、原稿の読み取りを行う。
オートモードでは、原稿が差し入れられたことを検知すると、制御部12は所定時間のウェイトの後、搬送ローラー11を回転させ、スキャンボタン7aの押下を待たずに原稿の読み取りを行う。
【0039】
本実施形態において読み取り手段としてのセンサーユニット13は密着型イメージセンサーモジュール(CISM)として構成され、基体を構成するフレーム16の下側に、読み取り面14aを形成するガラス板14を備えている。
ガラス板14は搬送ローラー11との間で原稿をニップする為、種々の原稿厚に対応できる様、センサーユニット13は上下方向に変位可能に設けられている。
【0040】
センサーユニット13の上部には、
図3、
図4に示す様に上部ハウジング4との間で押圧力を発揮する押圧部材の一例である圧縮ばね17が設けられている。圧縮ばね17は、
図4に示す様にX軸方向に間隔を空けて2つ設けられている。
図4では-X方向の圧縮ばねを符号17Aで示し、+X方向の圧縮ばねを符号17Bで示している。圧縮ばね17Aは第1押圧部材の一例であり、圧縮ばね17Bは第2押圧部材の一例である。
圧縮ばね17A、17Bによりセンサーユニット13は下方向に押圧され、ひいてはガラス板14(
図3参照)が搬送ローラー11に押し当たる。これにより原稿はガラス板14と搬送ローラー11とによってニップされ、搬送ローラー11から搬送力を受ける為、搬送ローラー11及び圧縮ばね17A、17Bは、原稿に搬送力を付与する搬送力付与手段10を構成する。
【0041】
図4において位置X0は、エッジガイド9a(
図1参照)による原稿サイドエッジのガイド位置であり、全てのサイズの原稿の、-X方向のサイドエッジが通過する位置であって、原稿読み取り領域の-X方向の端部位置となる。また位置X1は、原稿読み取り領域の+X方向の端部位置である。位置CLは、位置X0と位置X1の中間位置である。圧縮ばね17A、17Bは、中間位置CLに対して左右対称に配置されている。
【0042】
ここで、センサーユニット13は製造工程においてX軸方向に沿って反る傾向があり、これによりセンサーユニット13に面する位置での原稿搬送経路T1の上下方向間隔が、-X方向端部に向かって狭くなる傾向が生じる。これにより原稿は原稿搬送経路T1を搬送される際、
図4の中心位置CLよりも-X方向の領域で、+X方向の領域よりも大きな搬送負荷を受け、これにより中心位置CLよりも-X方向の領域で搬送量が不足し、斜行しようとする。従って本実施形態において圧縮ばね17Aのばね力Faが、圧縮ばね17Bのばね力Fbより大きくなる様に設定されている。即ち搬送力付与手段10が原稿に付与する搬送力は、X軸方向において、第1方向の一例である-X方向側が、第2方向の一例である+X方向側より大きく設定されている。
本実施形態では搬送力付与手段10が原稿に付与する搬送力が、圧縮ばね17A、17Bのばね力の差で調整されるので、搬送力付与手段10による搬送力の調整を容易な構成で実現できる。
尚、本実施形態では圧縮ばね17は中心位置CLより-X方向と+X方向のそれぞれに一つ設けられているが、これに限られず複数設け、全体として原稿に付与する搬送力が、-X方向側が+X方向側より大きくなる様に構成しても良い。
【0043】
次に、
図3において位置Y1はY軸方向における搬送ローラー11の回転中心位置であり、ガラス板14との接触中心位置でもある。また位置Y2はY軸方向におけるセンサーユニット13による原稿読み取り位置である。図示するように、位置Y2は位置Y1よりもやや上流側にある。これにより、原稿排出口6から装置内部に入り込む外光の影響による読み取り品質の低下を抑制している。
【0044】
尚、搬送ローラー11は金属軸の外周面に弾性材(例えば、エラストマ)が設けられて成り、ガラス板14との接触部分では弾性材が潰れることで、搬送ローラー11とガラス板14との接触領域は原稿搬送方向で所定の長さ(例えば、1mm程度)を有している。読み取り位置Y2は、搬送ローラー11の潰れに起因する搬送ローラー11とガラス板14との接触領域内に位置している。
読み取りが行われた原稿は、搬送ローラー11の回転により、原稿排出経路T2に沿って原稿排出口6から装置後方に向けて排出される。
【0045】
続いて原稿搬送経路T1から装置後方に排出される原稿を装置上方に案内する排出ガイド部24について説明する。
図5~
図8において、装置本体2に対して排出ガイド部24が着脱可能に構成されている。排出ガイド部24は、ガイド部材23の一部として構成されており、このガイド部材23は装着アダプター20に対して着脱可能に構成されている。
図12においてガイド部材23はX軸方向に延びる形状を成し、X軸方向の両端部に軸部24bを備えている。また
図11において装着アダプター20はX軸方向に延びる形状を成し、X軸方向の両端部に嵌合穴20bを備えている。尚、
図11では図示の角度の都合上、+X方向の端部に形成された嵌合穴20bは表れていない。
【0046】
そしてガイド部材23の軸部24bが、装着アダプター20の嵌合穴20bに嵌合することで、ガイド部材23がX軸方向に平行な回転軸線を中心にして、Y-Z平面で回転可能となる様に支持される。尚、ガイド部材23は樹脂材料で形成されており、全体的にX軸方向に沿って多少の弾性変形が可能であり、弾性変形することより嵌合穴20bに対して軸部24bを着脱できる。
【0047】
装着アダプター20も樹脂材料で形成され、X軸方向に延びる開口部20aが形成されることで全体的に枠形状を成している。以下、X軸方向において開口部20aの中心に向かう方向を「内側方向」と称し、その反対方向を「外側方向」と称する場合がある。
開口部20aのX軸方向における両端部には、
図13にも示す様に開口部20aの内側方向に延びる腕部20cが形成されており、腕部20cには、摘み部20dが+Y方向に延びる様に形成されている。また摘み部20dに対し反対側の-Y方向には凹部20eが形成されている。
【0048】
凹部20eは、原稿排出口6のX軸方向端部を形成する縁部4b(
図2も参照)と嵌合可能であり、凹部20eが縁部4bに嵌合することで、装着アダプター20が上部ハウジング4即ち装置本体2に装着される。
尚、腕部20cは弾性変形可能であり、摘み部20dを外側方向に操作することで凹部20eを縁部4bから外すことができる。
【0049】
ガイド部材23即ち排出ガイド部24は、回転することにより、
図5、
図7、
図9に示す第1状態と、
図6、
図8、
図10に示す第2状態とを切り換えることができる。
図5、
図7、
図9に示す第1状態は、排出ガイド部24の使用状態と称することもでき、また
図6、
図8、
図10に示す第2状態は、排出ガイド部24の収納状態と称することもできる。
【0050】
排出ガイド部24は、本実施形態では
図14において簡略的に示す様にX軸方向において-X方向側に偏った位置に配置されている。即ち排出ガイド部24の、中心位置CLから-X方向側で占める割合が、中心位置CLから+X方向側で占める割合より大きい。更に本実施形態では、中心位置CLから+X方向側で排出ガイド部24は設けられていない。
【0051】
図9に示す様に第1状態にある排出ガイド部24は、原稿排出口6から排出される原稿の先端と当接する位置にある。そして原稿排出口6から+Y方向に排出される原稿が、ガイド面24aによって上方向に案内され、更に-Y方向に反転する様に案内される。
図9において符号T3は、排出ガイド部24によって形成される原稿案内経路を示している。但しガイド面24aは、原稿を上方向に案内した後に必ずしも-Y方向に反転させる様に形成されていなくても良い。
この様に排出ガイド部24を装置本体2に装着し、そして第1状態とすることで、装置後方に原稿を排出する為のスペースを抑制でき、装置の設置スペースを節約することができる。
【0052】
そして
図4を参照して説明した様に搬送力付与手段10が原稿に付与する搬送力は、-X方向側が+X方向側より大きく、そして排出ガイド部24がX軸方向において-X方向側に偏った位置に配置されている。即ち、搬送力付与手段10が原稿に付与する搬送力が不足する側である+X方向側では、排出ガイド部24が原稿に付与する搬送負荷が-X方向側より小さくなる様に構成されている為、+X方向側の搬送力が不足して読み取り画像に歪みが生じることを抑制することができる。
【0053】
また本実施形態において排出ガイド部24は、中心位置CLに対し-X方向側の領域にのみ設けられているので、上記の作用効果をより確実に得ることができる。
【0054】
尚、本実施形態において排出ガイド部24が形成する原稿案内経路T3の長さ、換言すればガイド面24aの原稿搬送経路に沿った長さは、中心位置CLより+X方向側が中心位置CLより-X方向側より短いと言える。ここでガイド面24aの長さについて、中心位置CLより+X方向側が中心位置CLより-X方向側より短いとは、排出ガイド部24が原稿を案内するガイド面24aの、中心位置CLから+X方向側での面積が、中心位置CLから-X方向側でのガイド面24aの面積より小さいことを意味する。この場合において、中心位置CLから+X方向側でのガイド面24aの面積は、本実施形態の様にゼロであっても良い。
【0055】
尚、他の実施形態として、
図15に示す排出ガイド部24Aの様に中心位置CLから+X方向側での領域においてある程度の長さのガイド面24aが設けられていても良い。また
図16に示す排出ガイド部24Bの様に、中心位置CLから+X方向側での領域におけるガイド面24aが、+X方向に向かって原稿搬送経路に沿った長さが短くなる様に形成しても良い。また
図17に示す排出ガイド部24Cの様に、ガイド面24aが-X方向端部から+X方向端部に向かって原稿搬送経路に沿った長さが短くなる様に形成しても良い。
【0056】
また、本実施形態において排出ガイド部24が原稿に付与する搬送負荷は、X軸方向において中心位置CLより+X方向側が中心位置CLより-X方向側より小さいと言える。ここで排出ガイド部24が原稿に付与する搬送負荷は、中心位置CLより+X方向側がゼロの場合も含む。
【0057】
尚、更に他の実施形態として
図18に示す排出ガイド部24Dの様に、ガイド面24aの形状を、+X方向に向かって傾斜が緩くなる様に形成しても良い。ガイド面24aの傾斜が+X方向に向かって緩くなるとは、原稿を湾曲反転させる際の曲率が+X方向に向かって小さくなることと同義である。これにより、排出ガイド部24が原稿に付与する搬送負荷について、中心位置CLより+X方向側の搬送負荷が中心位置CLより-X方向側の搬送負荷より小さくなる。
【0058】
また更に
図19に示す排出ガイド部24Eの様に、ガイド面24aの形状を、+X方向に向かって原稿排出口6から遠ざかる様に形成しても良い。これにより、排出ガイド部24が原稿に付与する搬送負荷について、中心位置CLより+X方向側の搬送負荷が中心位置CLより-X方向側の搬送負荷より小さくなる。
【0059】
また本実施形態において排出ガイド部24は、装置本体2に対して着脱可能に構成されていることから、排出ガイド部24の非使用時は排出ガイド部24を装置本体2から取り外すことで装置本体2の設置スペースを抑制でき、ユーザーの使い勝手が向上する。
尚、排出ガイド部24を装置本体2に対して一体に設けても良い。またこの場合、排出ガイド部が装置本体2の上部を覆うカバーを兼ねていても良い。
【0060】
また本実施形態において排出ガイド部24は、排出される原稿を装置上方に案内する第1状態と、装置本体2の設置面に対する投影面積が第1状態より小さくなる第2状態とを切り換え可能に設けられている。これにより、排出ガイド部24を取り外すことなく、排出ガイド部24を第2状態にすることで装置本体2の設置スペースを抑制でき、ユーザーの使い勝手が向上する。
【0061】
また本実施形態において排出ガイド部24の第2状態は、排出ガイド部24が装置の上面4aに支持される状態である。これにより、排出ガイド部24を第2状態に保持する手段を別途設ける必要がなく、装置のコストアップを抑制できる。
【0062】
また排出ガイド部24は、第2状態において
図6、
図8に示す様に操作部7から外れた位置にあるので、第2状態にある排出ガイド部24がユーザーによる操作部7の操作入力を邪魔することがない。
【0063】
また排出ガイド部24は、第2状態において
図10に示す様に原稿搬送経路T1から装置後方に向けて排出される原稿と当接しない位置にあり、原稿排出経路T2を開放している。このことにより、排出ガイド部24を装置本体2に装着し且つ第2状態とした場合であっても原稿の読み取りを行うことができ、ユーザーの使い勝手が向上する。
【0064】
尚、原稿にはサイズの小さいものとして国際規格ISO/IEC7810で規定されるサイズのカード、例えばキャッシュカードやクレジットカードなどのプラスチック製カードがある。以下、この様な原稿をカードサイズ原稿と称する。カードサイズ原稿には、例えば短辺53.98mm、長辺85.60mmのものがある。
そして例えば、
図4において位置X0と位置X1との間の間隔をA4サイズ短辺に相当する210mmとし、或いはレターサイズ短辺に相当する216mmとすると、カードサイズ原稿は短辺を搬送方向に沿う様に搬送する場合、及び長辺を搬送方向に沿う様に搬送する場合のいずれも、
図14の位置X0と中心位置CLとの間の領域を通ることとなる。
【0065】
そしてカードサイズ原稿は剛性が高く、排出ガイド部24によって排出方向を上向きに変化させることができない。そこで
図20及び
図21に示す排出ガイド部24Fの様に、カードサイズ原稿を装置後方に通す原稿通し穴24gを設けることも好適である。これにより、排出ガイド部24Fを装着し且つ第1状態としたままであっても、カードサイズ原稿の読み取りを行うことができ、装置の使い勝手が向上する。
尚、
図21において符号24hは、ガイド面24aから凹む様に形成される凹部24hを示しており、原稿通し穴24gは凹部24hに形成されている。このことにより、カードサイズ原稿よりサイズの大きい原稿がガイド面24aによって上方に案内される際に、原稿通し穴24gに引っ掛かることが抑制できる。
【0066】
尚、上述した実施形態では、センサーユニット13と搬送ローラー11とによって原稿をニップすることで原稿に対し搬送力を付与したが、
図22に示す様にX軸方向に沿って配置された複数のローラー対によって原稿をニップして搬送する構成でも良い。
図22において符号13Aは第1読み取り手段としての第1センサーユニットであり、符号13Bは第2読み取り手段としての第2センサーユニットであって、第1センサーユニット13Aと第2センサーユニット13Bとの間を原稿が通過することで、原稿の両面を読み取り可能に構成されている。第1センサーユニット13Aは、第2センサーユニット13Bに対し進退可能に設けられているとともに、不図示の押圧部材によって第2センサーユニット13Bに向けて押圧されている。
【0067】
符号30A、30Bは原稿をニップして搬送する搬送ローラー対であり、原稿搬送経路において第1センサーユニット13A及び第2センサーユニット13Bの上流に設けられている。即ち
図22は、搬送ローラー対30A、30Bの上流から搬送ローラー対30、第1センサーユニット13A、及び第2センサーユニット13Bを見た図である。
【0068】
搬送ローラー対30A、30Bは、不図示のモーターにより駆動される駆動ローラー31と、従動回転する従動ローラー32とで構成されており、X軸方向において中心位置CLに対し左右対称に配置されている。従動ローラー32は、駆動ローラー31に対して進退可能に設けられている。符号33Aは、搬送ローラー対30Aを構成する従動ローラー32を駆動ローラー31に向けて押圧する圧縮ばねであり、第1押圧部材の一例である。符号33Bは、搬送ローラー対30Aを構成する従動ローラー32を駆動ローラー31に向けて押圧する圧縮ばねであり、第2押圧部材の一例である。搬送ローラー対30A、30Bと、圧縮ばね33A、33Bは、原稿に搬送力を付与する搬送力付与手段34を構成する。
【0069】
ここで、搬送される原稿は第1センサーユニット13Aと第2センサーユニット13Bとでニップされるが、各センサーユニットは製造工程においてX軸方向に沿って反る傾向があり、これにより原稿は中心位置CLよりも-X方向の領域で、+X方向の領域よりも大きな搬送負荷を受ける場合がある。これにより、中心位置CLよりも-X方向の領域で搬送量が不足し、斜行しようとする。従って圧縮ばね33Aのばね力Faを、圧縮ばね33Bのばね力Fbより大きくなる様に設定する。即ち搬送力付与手段34が原稿に付与する搬送力は、X軸方向において、第1方向の一例である-X方向側が、第2方向の一例である+X方向側より大きく設定されている。
この様な構成においても、上述した排出ガイド部24を設けることで、+X方向側の搬送力が不足して読み取り画像に歪みが生じることを抑制することができる。
【0070】
以上説明した各実施形態により、排出ガイド部24を設けた場合であっても原稿の斜行を抑制し、読み取り画像の歪みを低減できるが、読み取り画像の歪みを補正する補正処理を読み取り画像に対して施しても良い。例えば、排出ガイド部24を設けたことによりX軸方向における中心位置CLより+X方向側での搬送が遅れる場合、+X方向側において画像が搬送方向に伸びる為、これを縮小する様に補正することも好適である。
【0071】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
1…スキャナー(画像読取装置)、2…装置本体、3…下部ハウジング、4…上部ハウジング、5…原稿挿入口、6…原稿排出口、7…操作部、7a…スキャンボタン、7b…表示部、9…経路形成部材、9a…エッジガイド、10…搬送力付与手段、11…搬送ローラー、12…制御部、13…センサーユニット、13A…第1センサーユニット、13B…第2センサーユニット、14…ガラス板、14a…読み取り面、16…フレーム、17、17A、17B…圧縮ばね、20…装着アダプター、20a…開口部、20b…嵌合穴、20c…腕部、20d…摘み部、20e…凹部、23…ガイド部材、24…排出ガイド部、24a…ガイド面、24b…軸部、24g…原稿通し穴、30…搬送ローラー対、31…駆動ローラー、32…従動ローラー、33A、33B…圧縮ばね、34…搬送力付与手段