(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】表示装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3225 20160101AFI20240903BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20240903BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240903BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240903BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20240903BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20240903BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20240903BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240903BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G09G3/3225
G06F3/04815
G09G3/20 611H
G09G3/20 670J
G09G5/00 550B
G09G5/02 B
G09G5/10 Z
G09G5/37 320
H04N5/64 541Z
H04N5/66 D
(21)【出願番号】P 2020207545
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】生越 大輔
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/229906(WO,A1)
【文献】特開2001-013914(JP,A)
【文献】特開2014-026003(JP,A)
【文献】特開2005-202050(JP,A)
【文献】特開2002-287726(JP,A)
【文献】国際公開第2018/110056(WO,A1)
【文献】特開2002-123212(JP,A)
【文献】特開2003-333175(JP,A)
【文献】特開2017-090689(JP,A)
【文献】特開平10-171427(JP,A)
【文献】国際公開第2020/049838(WO,A1)
【文献】特開2005-037783(JP,A)
【文献】特開2010-102022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
3/048-3/04895
G09F9/00
G09G3/00-3/08
3/12-3/26
3/30-5/42
H04N5/64-5/74
9/12-9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示画面と、
前記表示画面にお
いて、それぞれ異なる色を表示する複数のサブピクセルを含む画素のブロックごとに、前記画像の表示履歴に基づいた前記画素の劣化度合いを示す劣化情報を記憶する記憶部と、
前記表示画面の所定の領域において、表示品質の低下を抑止する抑止表示により前記画像を表示する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記記憶された劣化情報に基づいて、前記所定の領域におけるブロックのうち劣化度合いが所定値よりも大きいブロックの前記画素の輝度を下げる
と共に、前記複数のサブピクセルのうち、選択された色のサブピクセルのみにより表示する、
表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記劣化情報に基づいて、前記所定の領域において前記ブロックごとの劣化度合いが平衡になるように、前記ブロックの前記画素の輝度を調整する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記選択される色を、表示する時間またはタイミングに応じて切り替える、
請求項
1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
表示画面に画像を表示する表示装置の制御方法であって、
前記表示画面にお
いて、それぞれ異なる色を表示する複数のサブピクセルを含む画素のブロックごとに、前記画像の表示履歴に基づいた前記画素の劣化度合いを示す劣化情報を記憶し、
前記表示画面の所定の領域において、表示品質の低下を抑止する抑止表示により前記画像を表示し、
前記抑止表示による表示制御において、前記記憶された劣化情報に基づいて、前記所定の領域におけるブロックのうち劣化度合いが所定値よりも大きいブロックの前記画素の輝度を下げる
と共に、前記複数のサブピクセルのうち、選択された色のサブピクセルのみにより表示する、
表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイのような自発光ディスプレイは、画質の良さなどの理由で様々なディスプレイに採用されている。しかしその一方で、自発光ディスプレイの焼き付きやムラといった表示品質(画質)の低下を根本的に解決する手段はなく、長寿命化は自発光ディスプレイの大きな課題となっている。
【0003】
関連する技術として、例えば、特許文献1や2が知られている。特許文献1には、表示画面に入射する外光の明るさに応じてコントラスト比を制御する技術が開示されている。また、特許文献2には、表示する画像が動画像か静止画像かに応じて画素の輝度を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5050462号公報
【文献】特許第4742615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように特許文献1や2では、コントラスト比や輝度を制御することで、焼き付きやムラなどの発生を抑えている。また、その他の関連する技術として、長時間同一画面を表示したときは輝度を低下させる処理や、定期的に画像の表示位置をわずかに変えることで特定の画素に劣化を集中させない処理、画素ごとの発光時間を算出して劣化の度合いを計算して輝度を補正する処理などが考えられる。しかしながら、これらの関連する技術では、長寿命化として一定の効果はあるものの、効果的に表示品質の低下を抑えて長寿命化を図ることができないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、画像を表示する表示画面と、前記表示画面における画素のブロックごとに、前記画像の表示履歴に基づいた前記画素の劣化度合いを示す劣化情報を記憶する記憶部と、前記表示画面の所定の領域において、表示品質の低下を抑止する抑止表示により前記画像を表示する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記記憶された劣化情報に基づいて、前記所定の領域におけるブロックのうち劣化度合いが所定値よりも大きいブロックの前記画素の輝度を下げる、表示装置を提供する。
【0007】
本発明は、表示画面に画像を表示する表示装置の制御方法であって、前記表示画面における画素のブロックごとに、前記画像の表示履歴に基づいた前記画素の劣化度合いを示す劣化情報を記憶し、前記表示画面の所定の領域において、表示品質の低下を抑止する抑止表示により前記画像を表示し、前記抑止表示による表示制御において、前記記憶された劣化情報に基づいて、前記所定の領域におけるブロックのうち劣化度合いが所定値よりも大きいブロックの前記画素の輝度を下げる、表示装置の制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、効果的に表示品質の低下を抑えて長寿命化を図ることが可能な表示装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る表示装置の構成例を示す構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る表示装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態1に係る表示装置の動作例を説明するための図である。
【
図4】実施の形態1に係る表示装置の動作例を説明するための図である。
【
図5】実施の形態1に係る表示装置の動作例を説明するための図である。
【
図6】実施の形態2に係る表示装置の構成例を示す構成図である。
【
図7】実施の形態3に係る表示装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態4に係る表示装置の構成例を示す構成図である。
【
図9】実施の形態4に係る表示装置の動作例を説明するための図である。
【
図10】実施の形態4に係る表示装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図面においては、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0011】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。上記のように、例えば、自発光ディスプレイは、画素の1つ1つが発光することによって画像を表示するため、表示された画像の内容によって画素ごとの発光強度や発光時間が異なることで寿命のバラツキが生じ、それによって焼き付きやムラなどの表示品質の低下が発生する。そこで、本実施の形態では、ディスプレイに視線センサを搭載することにより使用者の見ている領域を検出することで、使用者が見ている範囲のみ入力画像を通常表示し、使用者の見ていない領域は画像をフィルタリングや階調特性の低下といった画像処理をかけることで画素ごとの寿命の差を低減してディスプレイの長寿命化を図る。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る表示装置の構成例を示している。
図1に示すように、本実施の形態に係る表示装置100は、ディスプレイ部10と視線検出部20を備えている。
【0013】
視線検出部20は、表示装置100を使用する使用者の視線を検出する視線センサである。視線検出部20は、表示装置100の任意の位置に設置されている。視線検出部20は、ディスプレイ部10の外側に取り付けられていてもよいし、ディスプレイ部10に内蔵されていてもよい。また、視線検出部20は、使用者の視線に加えて、使用者の距離を検出する。検出する距離は、表示装置100から使用者までの距離である。なお、使用者が予め決まった位置で表示装置100を使用する場合、距離を検出せずに所定の距離を使用してもよい。この場合、視線検出部20は、使用者の視線のみを検出する。
【0014】
視線検出部20は、例えば、赤外線発光部21、撮像部22、算出部23を備えている。なお、視線検出部20は、使用者の視線と距離を検出できれば、その他の構成でもよい。赤外線発光部21は、使用者の目に赤外線を照射(発光)する発光装置である。撮像部22は、使用者の目を撮像する撮像装置であり、例えば、使用者の眼球による反射光を得るための輝度センサである。
【0015】
算出部23は、撮像部22の検出結果から使用者の視線及び距離を算出(検出)し、算出結果をディスプレイ部10(領域特定部11)へ出力する。算出部23は、撮像部22により得られた画像から使用者の瞳孔の中心と角膜反射の位置を検出し、その情報から使用者の視線を検出する。なお、この例では、角膜反射の位置に対する瞳孔の位置から視線を検出するが、目頭の位置に対する虹彩の位置から視線を検出するなど、その他の方法により視線を検出してもよい。さらに、算出部23は、例えば、撮像部22により得られた使用者の目の画像から表示装置100と使用者との距離を算出する。本実施の形態では、視線に基づいた表示画面上の領域を特定するため、使用者の目から後段で説明する映像表示部14までの距離を算出することが好ましい。なお、ステレオカメラにより撮像されたステレオ画像から距離を取得するなど、その他の方法により使用者の距離を検出してもよい。
【0016】
ディスプレイ部10は、例えば、領域特定部11、映像入力部12、映像処理部13、映像表示部14を備えている。なお、ディスプレイ部10は、本実施の形態に係る方法で表示できれば、その他の構成でもよい。例えば、ディスプレイ部10の各部を1つの装置で実現してもよいし、複数の装置で実現してもよい。
【0017】
領域特定部11は、視線検出部20が検出した使用者の視線及び距離に基づいて、映像表示部14における使用者の視点及び注視領域を特定する。使用者の視点は、使用者の視線と映像表示部14との交点として特定される。注視領域とは、映像表示部14において使用者が注視する領域であり、映像表示部14における使用者の視点を中心とした所定の領域である。本実施の形態では、注視領域は画像を通常表示する領域である。なお、注視領域の特定により、注視領域以外の非注視領域も特定されるため、領域特定部11は、注視領域とともに非注視領域を特定しているとも言える。領域特定部11は、特定した使用者の視点の座標及び取得した使用者と表示装置100の距離から、使用者の視点の座標を中心として使用者の距離に応じた大きさの所定形状の注視領域を特定する。例えば、注視領域の形状は、使用者の2つの目の距離や傾きに応じた横長の楕円形としてもよいが、円形や任意の多角形など、その他の形状でもよい。
【0018】
映像入力部12は、映像表示部14に表示する映像を入力(取得)する入力装置である。映像入力部12は、外部から入力される映像を取得してもよいし、表示装置100の記憶部(不図示)に予め記憶された映像を取得してもよい。
【0019】
映像処理部13は、領域特定部11が特定した使用者の注視領域に基づき、映像表示部14に表示する映像(画像)を制御する表示制御装置である。映像処理部13は、特定された大きさ及び形状の注視領域を描画し、その領域内の映像を通常表示(正常表示)し、注視領域以外の非注視領域にはフィルタリングや階調特性の低下などの画像処理をかけた映像を表示するよう制御する。なお、フィルタリングや階調特性の低下などの画像処理は、焼き付きやムラなど表示画面(映像表示部14)の表示品質の低下を抑止する品質低下抑止表示の一例である。つまり、映像処理部13は、非注視領域の映像を品質低下抑止表示するよう制御していると言える。品質低下抑止表示は、表示する画像に対し画像処理を行うことで実現してもよいし、表示画面(映像表示部14)の画素の発光(表示)を制御することで実現してもよい。非注視領域に対し、フィルタリングや階調特性の低下などの画像処理に限らず、映像(画素)の輝度を下げてもよい。例えば、非注視領域の画像処理に加えて輝度を下げることで、さらに表示装置の長寿命化が可能となる。尚、映像処理部13は注視領域を描画せずに、注視領域内の映像を通常表示(正常表示)し、注視領域以外の非注視領域にはフィルタリングや階調特性の低下などの画像処理をかけた映像を表示するよう制御しても良い。
【0020】
映像表示部14は、映像処理部13が処理した映像を表示する。映像表示部14は、例えば、有機ELディスプレイなどの複数の画像が自発光する自発光ディスプレイである。なお、自発光ディスプレイに限らず、液晶ディスプレイなどの複数の画素を含むその他のディスプレイでもよい。例えば、映像表示部14は、フラットなパネルのディスプレイであることが好ましいが、注視領域を特定できれば、非フラットなディスプレイでもよい。
【0021】
図2は、本実施の形態に係る表示装置の動作例(制御方法)を示している。
図2に示すように、まず、表示装置100は、使用者の視線を検出する(S101)。赤外線発光部21は使用者の目に赤外線を照射し、撮像部22はその反射光を含む画像を撮像する。
図3は、撮像された使用者の目のイメージを示している。
図3に示すように、照射した赤外線に対して使用者の眼球から角膜反射した反射光が得られる。算出部23は、撮像された画像から、使用者の瞳孔を認識し、瞳孔の中心の座標を得る。算出部23は、得られた角膜反射の位置と瞳孔の中心から、使用者の視線を検出する。
【0022】
続いて、表示装置100は、使用者の距離を測定する(S102)。算出部23は、撮像部22が撮像した使用者の目の画像から使用者の2つの虹彩を認識し、認識した虹彩の大きさと2つの虹彩の距離から映像表示部14と使用者との距離を算出する。
【0023】
続いて、表示装置100は、視線が検出されたか否か判定する(S103)。視線が検出されている場合(S103/Yes)、表示装置100は、検出された視線の数をカウントし、複数の使用者の視線が検出されたか否か判定する(S104)。複数の使用者の視線ではなく、一人の使用者のみの視線が検出されている場合(S104/No)、表示装置100は、使用者の注視領域を特定する(S105)。
【0024】
領域特定部11は、使用者の視線に基づき、映像表示部14における使用者の視点の座標を算出する。また、領域特定部11は、使用者の距離から、注視領域の大きさ及び形状を特定する。例えば、求めた視点の座標を中心とし、距離に応じた軸の大きさの楕円の領域を特定する。すなわち、領域特定部11は、使用者の距離によって表示する注視領域の大きさを変更する。例えば、使用者が映像表示部14に近いほど表示する注視領域を小さくし、使用者が映像表示部14に遠いほど表示する注視領域を大きくする。
【0025】
続いて、表示装置100は、非注視領域に画像処理を行い、画像処理を行った映像を表示する(S106)。映像処理部13は、入力された映像における注視領域以外の非注視領域に所定の画像処理をかけ、映像表示部14は画像処理された映像を表示する。例えば、品質低下抑止表示の一例として、非注視領域の画像にフィルタリングによりぼかしをかけてもよいし、階調特性を低下させてもよい。
【0026】
図4は、画像処理のない映像表示部14の表示イメージであり、
図5は、非注視領域に画像処理をかけた映像表示部14の表示イメージである。すなわち、
図4のような通常表示の画像に対し、
図5に示すように、使用者の視点を中心とした楕円の注視領域を描画する。なお、視点の位置を映像表示部14に表示してもよいし、非表示としてもよい。距離に応じた大きさの楕円の注視領域の内側では、画像処理することなく入力された映像をそのまま通常表示し、注視領域の外側の非注視領域では、入力された映像にぼかし等をかけて表示する。ぼかしや階調特性を低下させるレベル(度合い)は、所定のレベルでもよいし、注視領域の大きさ(使用者の距離)等に応じて変更してもよい。例えば、注視領域が小さいほど、非注視領域のぼかしのレベルを強くしてもよい。
【0027】
一方、
図2において、視線が検出できない場合(S103/No)、表示装置100は、全体の領域に画像処理を行い、映像表示部14の全体に画像処理を行った映像を表示する(S107)。映像処理部13は、視線の検出ができない場合、使用者が映像表示部14を見ていないと判断し、映像全体に画像処理をかけ、画像処理した映像を映像表示部14に表示する。このときの画像処理は、視線が検出できた場合と同じぼかしや階調特性の低下でもよいし、異なるレベルのぼかしや階調特性の低下でもよい。また、輝度の低下など、異なる方法により品質低下抑止表示を行ってもよい。
【0028】
また、複数の使用者の視線が検出された場合(S104/Yes)、表示装置100は、映像表示部14の全体に入力された映像を表示する(S108)。映像処理部13は、複数の人物の視線が検出された場合、画像処理をかける領域を特定できないため、
図4に示したように、入力された映像に画像処理をかけず、映像全体をそのまま映像表示部14に通常表示する。
【0029】
以上のように、本実施の形態では、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示装置において、使用者の視線を検出するセンサを具備することで使用者の見ている注視領域を常に観測し、使用者が見ている注視領域のみ画像を通常表示し、それ以外の非注視領域にはフィルタリングや階調特性の低下といった画像処理をかけるよう制御する。これにより、画素ごとの寿命のバラツキを低減して自発光ディスプレイなどの焼き付きやムラなどの表示品質の低下を抑えることができ、表示装置の長寿命化が可能となる。また、非注視領域を非表示にしてしまうと何を表示しているのか判別できない恐れがある。このため、非表示領域に画像処理した映像などを表示し、品質低下抑止表示を行う。これにより、ディスプレイの劣化を抑えつつ、使用者が全体の映像を把握し、見たいエリアを目で追うことが可能となる。
【0030】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態は、実施の形態1の表示装置において、さらに人感センサを備える例である。
図6は、本実施の形態に係る表示装置の構成例を示している。
図6に示すように、本実施の形態に係る表示装置100は、実施の形態1と同様に、ディスプレイ部10と視線検出部20を備え、さらに人感センサ30を備えている。人感センサ30は、表示装置100の前の使用者を検出し、また、表示装置100と使用者との距離を測定する。人感センサに限らず、距離を高精度に測定可能な測距センサを備えてもよい。例えば、映像処理部13は、人感センサ30によって使用者を検出できない場合、映像表示部14の映像全体を非表示にしてもよい。なお、非表示に限らず、実施の形態1と同様に、品質低下抑止表示を行ってもよい。
【0031】
本実施の形態のように、実施の形態1の表示装置において、さらに人感センサや測距センサを用いて使用者の距離を測定してもよい。これにより、使用者の距離を正確に計測することができ、通常表示を行う注視領域を精度よく特定することができる。また、人感センサによって表示装置の前の使用者を検出できないときは映像を非表示にすることにより、さらに表示装置の寿命を長くすることができる。
【0032】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態は、実施の形態1または2の表示装置において、視線の検出方法を改良する例である。表示装置の構成は実施の形態1または2と同様であるため説明を省略する。
【0033】
図7は、本実施の形態に係る表示装置の動作例(制御方法)を示している。
図7に示すように、本実施の形態では、表示装置100は、実施の形態1と同様に使用者の視線検出(S101)と使用者の距離測定(S102)を行い、これらの処理を所定期間繰り返す(S112)。すなわち、表示装置100は、所定期間経過するまで(S112/No)、視線検出(S101)と距離測定(S102)を繰り返し、所定期間の経過後(S112/Yes)、平均化処理を行う(S113)。例えば、算出部23は、1秒間あたり数十フレーム程度で時間分解しながら積算して視線検出を行い、数フレームの間のデータの平均値から使用者の視点の位置及び、表示装置100と使用者との距離を算出するようにする。つまり、算出部23は、所定期間連続して撮像された画像から、画像ごとに視点の座標と距離を求め、求めた視点の座標と距離の平均値を検出結果(測定結果)とする。その後、実施の形態1と同様にS103以降の処理を行い、所定時間内に検出された視点及び距離を平均化した結果に基づいて、注視領域を特定し(S114)、映像表示部14に映像を表示する(S106)。これにより、使用者のまばたきなどが即座に表示画面に反映されることを防止する。
【0034】
また、視線検出(S101)と距離測定(S102)を繰り返す間、視線の移動が所定値よりも大きいか否か判定し(S111)、視線の移動が所定値以下の場合(S111/No)、視線検出と距離測定の繰り返しを継続し、視線の移動が所定値よりも大きい場合(S111/Yes)、視線検出と距離測定の繰り返しを中止する。例えば、視線(または視点)の座標が大きく変化した場合は積算した平均化処理を中止し、実施の形態1と同様にS103以降の処理を行い、現在の視点と距離に基づいて注視領域を特定し(S114)、映像表示部14に映像を表示する(S106)。これにより、現在の視点の位置を表示画面の表示位置に即座に反映する。
【0035】
さらに、本実施の形態では、領域特定部11は、視線の移動を考慮して注視領域を特定する(S114)。例えば、領域特定部11は、視線(または視点)の移動の大きさ及び方向である移動ベクトルを常時算出しておき、所定時間における視線の移動ベクトルの大きさに応じて注視領域の大きさを制御する。例えば、視線の移動ベクトルが大きくなるにしたがって注視領域を大きくし、視線の移動ベクトルが小さくなるにしたがって注視領域を小さくする。また、視線の移動ベクトルから移動先の領域を予測して、注視領域を特定してもよい。例えば、視線の移動が継続している間、つまり、視線の移動が完了(終了)する前に、予測される移動先の領域も含めるように注視領域を特定してもよい。このとき、移動先も含めた大きさの注視領域としてもよいし、移動先の方向に延びる形状の注視領域としてもよい。
【0036】
以上のように、実施の形態1または2の表示装置において、所定期間内の検出結果の平均値から使用者の視点と距離を求めてもよい。これにより、使用者が短時間目を閉じる行動をした場合に、即座に追従することがない。また、視線が大きく移動した場合に平均化処理を中止することにより、視線移動が大きい場合に画面の注視領域の追従が遅れることを防止できる。
【0037】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態は、実施の形態1~3の表示装置において、画像処理などの品質低下抑止表示を行う際に、画素の劣化情報に応じて輝度を制御する例である。
【0038】
図8は、本実施の形態に係る表示装置の構成例を示している。
図8に示すように、本実施の形態に係る表示装置100は、実施の形態1と同様に、ディスプレイ部10と視線検出部20を備え、さらにディスプレイ部10に劣化情報記憶部15を備えている。劣化情報記憶部15は、映像表示部14の画素の劣化情報を記憶する。具体的には、映像表示部14(表示画面)を構成する画素のブロックごとに、画像の表示履歴に基づいた画素の劣化度合いを示す劣化情報を記憶する。例えば、劣化情報は、画素に表示した映像信号レベルと表示した時間を積算した情報である。映像処理部13が、表示する映像からブロックごとに劣化情報を算出し、劣化情報記憶部15に記憶してもよい。
【0039】
また、映像処理部13は、記憶された劣化情報に基づいて、映像表示部14のブロックごとの画素の輝度を制御する。例えば、
図9に示すように、ブロックごとに劣化情報を記憶しておき、画像処理をかけている領域において、ブロックごとに劣化度合いが平衡になるように、各ブロックの画素の輝度を調整する。ディスプレイの平均的な劣化の進行度に対して劣化度合いが大きいブロックは輝度を下げ、劣化度合いが小さいブロックは輝度を上げることで、全体の劣化度合いに差が出ないようにする。例えば、画素がRGB(赤・緑・青)のサブピクセルを含み、RGBのサブピクセルごとに劣化度合いに差がある場合は、RGBの色ごとに輝度を制御しても良い。ただし、ホワイトバランスが変わる恐れがある場合は、RGBの劣化度合いが平衡になるように制御してもよい。
【0040】
図10は、本実施の形態に係る表示装置の動作例(制御方法)を示している。
図10は、実施の形態1~3において、注視領域以外の非注視領域に画像処理等した映像を表示する際(
図2のS106や
図7のS114)に、さらに輝度を制御する処理を示している。
【0041】
図10に示すように、映像処理部13は、劣化情報記憶部15から非注視領域のブロックの劣化情報を取得する(S201)。映像処理部13は、ブロックの劣化度合いが大きいか否か判定し(S202)、非注視領域のブロックのうち、劣化度合いが所定値よりも大きいブロックがある場合(S202/Yes)、該当するブロックの輝度を下げる(S203)。例えば、所定値よりも劣化が進んでいる度合いに応じたレベルで輝度を下げる。また、劣化度合いが所定値よりも大きいブロックがない場合(S202/No)、次の処理へ進む。次に、映像処理部13は、ブロックの劣化度合いが小さいか否か判定し(S204)、非注視領域のブロックのうち、劣化度合いが所定値よりも小さいブロックがある場合(S204/Yes)、該当するブロックの輝度を上げる(S205)。例えば、所定値よりも劣化が遅れている度合いに応じたレベルで輝度を上げる。また、劣化度合いが所定値よりも小さいブロックがない場合(S204/No)、処理を終了する。なお、S202とS205で劣化度合いの大小を判定する所定値は、予め設定された平均的な値でもよいし、全てのブロックの劣化情報から求めた平均値でもよい。また、S202の所定値とS205の所定値は、同じ値でもよいし、異なる値でもよい。例えば、両者に幅を持たせて、劣化度合いが大きいことを判定する第1の所定値よりも、劣化度合いが小さいことを判定する第2の所定値を小さくしてもよい。
【0042】
以上のように、実施の形態1~3の表示装置において、非注視領域を画像処理等して表示する際に、画像処理する領域のブロックごとの劣化情報に基づいて、劣化度合いを調整するようにブロックごとの輝度を制御する。これにより、領域全体の劣化の差を抑えることができ、長寿命化が可能となる。
【0043】
なお、視線検出に応じて特定された非注視領域に限らず、例えば品質低下抑止表示を行う所定の領域において、本実施の形態のように劣化情報に応じて各ブロックの輝度を制御してもよい。例えば、視線の検出に限らず、人感センサにより使用者が検出されない場合や、使用者が所定期間操作を行わない場合等に、ぼかしなどの画像処理を行い、その画像処理を行う領域において、本実施の形態のように輝度を制御してもよい。
【0044】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。本実施の形態は、実施の形態1~4の表示装置において、画像処理などの品質低下抑止表示を行う際に、画素の表示色を制御する例である。映像表示部14(表示画面)の画素が、それぞれ異なる色を表示する複数のサブピクセルを含む場合、映像処理部13は、非注視領域(品質低下抑止表示を行う所定の領域)において、画素の複数のサブピクセルのうち、選択された任意の色のサブピクセルのみにより表示してもよい。例えば、画素が白・赤・緑・青の4色のサブピクセルによって構成されている場合、非注視領域に画像処理をかける際、白のサブピクセルのみ点灯させてモノクロ表示としても良い。これにより、赤、緑、青のサブピクセルの寿命を長くすることができる。
【0045】
また、白に限らず、複数色の内の一部の色(例えば、1色、2色等)のみを表示(点灯)するようにしてもよい。このとき、選択して表示する色は、表示する時間またはタイミングに応じて切り替えてもよく、さらにローテーションさせてもよい。例えば、白、赤、青、緑の順に表示する色を変えてもよい。これにより、画素の劣化を抑えられるとともに、劣化度合いが偏ることを防止できる。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0047】
上述の実施形態における各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。各装置の機能(処理)を、CPUやメモリ等を有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、記憶装置に実施形態における方法(例えば制御方法)を行うためのプログラムを格納し、各機能を、記憶装置に格納されたプログラムをCPUで実行することにより実現してもよい。
【0048】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0049】
10 ディスプレイ部
11 領域特定部
12 映像入力部
13 映像処理部
14 映像表示部
15 劣化情報記憶部
20 視線検出部
21 赤外線発光部
22 撮像部
23 算出部
30 人感センサ
100 表示装置