(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240903BHJP
【FI】
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2020207939
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江原 雅人
(72)【発明者】
【氏名】清水 一浩
(72)【発明者】
【氏名】田邊 怜
(72)【発明者】
【氏名】高田 奈々絵
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 直弘
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/171917(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/196272(WO,A1)
【文献】特開2003-006386(JP,A)
【文献】特開2002-128204(JP,A)
【文献】特開2019-172191(JP,A)
【文献】特開2018-106308(JP,A)
【文献】特開2016-133945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアを有するプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
所定の領域を移動可能に構成された移動体が回収する物体に関連付けされたユーザ識別情報を取得した場合に、前記ユーザ識別情報を記憶部に格納し、
前記物体が撮像された画像情報を取得して前記記憶部に格納し、
前記記憶部から読み出した前記画像情報における前記物体が廃棄物であるか否かを判定し、
前記物体は廃棄物ではなく遺失物であると判定した場合に、前記物体を遺失物として前記移動体に保管する指示信号を出力する一方、前記画像情報に基づいて前記物体の特徴を抽出し、前記物体に関する前記特徴を含む遺失物情報を生成して、前記物体に関する前記遺失物情報を、前記記憶部に格納するとともに外部に報知し、
前記記憶部に前記物体に関する情報に関連付けされた前記ユーザ識別情報が存在した場合に、前記遺失物情報に関連付けされたユーザ識別情報を含むユーザ情報に基づいた所定の位置まで移動して前記物体を配達する指示信号を前記移動体に出力する情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
前記画像情報が、前記遺失物情報に関連付けされた前記ユーザ識別情報によって特定されるユーザとは異なる他のユーザが所持する他のユーザ端末によって撮像された物体の撮像場所の位置情報を含む画像情報である場合、前記位置情報を取得して、前記移動体に対して、前記位置情報または前記他のユーザ端末によって指定された位置まで移動して前記物体を回収する指示信号を出力する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記記憶部から前記画像情報を入力パラメータとして取得して、判定学習モデルに入力し、
前記画像情報における前記物体が廃棄物であるか否かを出力パラメータとして出力し、
前記判定学習モデルは、物体を撮像した複数の画像情報を学習用入力パラメータとし、物体が廃棄物であるか否かの判定結果を学習用出力パラメータとした入出力データセットを用いて、機械学習によって生成された学習モデルである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移動体は、自律走行可能で、所定の領域を清掃可能な作業車両である
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
物体を回収する作業部と、前記物体を撮像可能に構成された撮像部と、ハードウェアを有する第1のプロセッサであって、運行に関する運行情報を取得し、前記運行情報に基づいて移動する指示信号を出力する第1のプロセッサと、を有する第1の装置と、
ハードウェアを有する第2のプロセッサであって、前記第1の装置が回収する物体に関連付けされたユーザ識別情報を取得した場合に、前記ユーザ識別情報を記憶部に格納し、前記物体が撮像された画像情報を取得して前記記憶部に格納し、前記記憶部から読み出した前記画像情報における前記物体が廃棄物であるか否かを判定し、前記物体は廃棄物ではなく遺失物であると判定した場合に、前記物体を遺失物として前記第1の装置に保管する指示信号を出力する一方、前記画像情報に基づいて前記物体の特徴を抽出し、前記物体に関する前記特徴を含む遺失物情報を生成して、前記物体に関する前記遺失物情報を、前記記憶
部に格納するとともに外部に報知し、前記記憶部に前記物体に関する情報に関連付けされた前記ユーザ識別情報が存在した場合に、前記第1の装置に対して、前記遺失物情報に関連付けされたユーザ識別情報を含むユーザ情報に基づいた所定の位置まで移動して前記物体を配達する指示信号を出力する第2のプロセッサを有する第2の装置と、
を備え、
前記第2のプロセッサは、
前記画像情報が、前記遺失物情報に関連付けされた前記ユーザ識別情報によって特定されるユーザとは異なる他のユーザが所持する他のユーザ端末によって撮像された物体の撮像場所の位置情報を含む画像情報である場合、前記位置情報を取得して、前記
第1の装置に対して、前記位置情報または前記他のユーザ端末によって指定された位置まで移動して前記物体を回収する指示信号を出力する
情報処理システム。
【請求項5】
ハードウェアを有する第3のプロセッサであって、
前記運行情報を生成し、前記運行情報を前記第2の装置に出力する第3のプロセッサを有する第3の装置を備える
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第1の装置は、所定の領域を移動可能に構成された移動体に設けられている
請求項4または5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記移動体は、自律走行可能で、所定の領域を清掃可能な作業車両である
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第2のプロセッサは、
前記記憶部から前記画像情報を入力パラメータとして取得して、判定学習モデルに入力し、
前記画像情報における前記物体が廃棄物であるか否かを出力パラメータとして出力し、
前記判定学習モデルは、複数の物体を撮像した複数の画像情報を学習用入力パラメータとし、前記複数の物体のそれぞれが廃棄物であるか否かの判定結果を学習用出力パラメータとした入出力データセットを用いて、機械学習によって生成された学習モデルである
請求項4~7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
ハードウェアを有するプロセッサに、
所定の領域を移動可能に構成された移動体が回収する物体に関連付けされたユーザ識別情報を取得した場合に、前記ユーザ識別情報を記憶部に格納し、
前記物体が撮像された画像情報を取得して前記記憶部に格納し、
前記記憶部から読み出した前記画像情報における前記物体が廃棄物であるか否かを判定し、
前記物体は廃棄物ではなく遺失物であると判定した場合に、前記物体を遺失物として前記移動体に保管する指示信号を出力する一方、前記画像情報に基づいて前記物体の特徴を抽出し、前記物体に関する前記特徴を含む遺失物情報を生成出力して、前記物体に関する前記遺失物情報を、前記記憶部に格納するとともに外部に報知し、
前記記憶部に前記物体に関する情報に関連付けされた前記ユーザ識別情報が存在した場合に、前記遺失物情報に関連付けされたユーザ識別情報を含むユーザ情報に基づいた所定の位置まで移動して前記物体を配達する指示信号を出力前記移動体に出力することを実行させるプログラムであって、
さらに、前記画像情報が、前記遺失物情報に関連付けされた前記ユーザ識別情報によって特定されるユーザとは異なる他のユーザが所持する他のユーザ端末によって撮像された物体の撮像場所の位置情報を含む画像情報である場合、前記位置情報を取得して、前記移動体に対して、前記位置情報または前記他のユーザ端末によって指定された位置まで移動して前記物体を回収する指示信号を出力する
ことを実行させるプログラム。
【請求項10】
前記プロセッサに、
前記記憶部から前記画像情報を入力パラメータとして取得して、判定学習モデルに入力し、
前記画像情報における前記物体が廃棄物であるか否かを出力パラメータとして出力する
ことを実行させるプログラムであって、
前記判定学習モデルは、物体を撮像した複数の画像情報を学習用入力パラメータとし、前記物体が廃棄物であるか否かの判定結果を学習用出力パラメータとした入出力データセットを用いて、機械学習によって生成された学習モデルである
請求項9に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、落とし物を撮影した画像から自動的にタグづけをして、タグをキーに検索および管理できるデータベースを構築し、落とし主が落とし物を検索でき、検索条件と合致する落とし物情報が検索されても、部分画像とダミー画像の中から部分画像を選ばせる認証を経て、落とし物情報を提示する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術は、落とし物を撮影した画像から自動的にタグづけをして、タグをキーに検索・管理できるデータベースを構築し、タグをキーに落とし主が自分の落とした落とし物をデータベースから検索できて、さらに、落とし主の指定した検索条件と合致する落とし物情報が検索されても、そのまま出力するのではなく、部分画像とダミー画像の中から部分画像を選ばせるという認証を経て落とし物情報を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、落とし物(遺失物)の検索装置と、特定の領域を運行する自動清掃ロボットなどの清掃移動体との連携については、何ら検討されていない。また、特許文献1に記載の技術においては、遺失物を拾得して保管し、遺失物の所有者が現れたら、遺失物を所有者に配達する、という一連の機能を担う装置を構成することが困難であった。そのため、自動清掃を行う清掃移動体が回収した物体が廃棄物であるか否かを判断し、廃棄物でなければ保管して、さらに配達する機能を実現できる装置の開発が求められていた。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、移動体によって回収された物体が廃棄物か否かを判定し、廃棄物でない場合に、物体を保管および配達する機能を実現できる情報処理装置、情報処理システム、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報処理装置は、ハードウェアを有するプロセッサを備え、プロセッサは、移動体が回収した物体を撮像した画像情報を取得して記憶部に格納し、記憶部から読み出した画像情報における物体が廃棄物であるか否かを判定し、物体は廃棄物ではないと判定した場合に、物体を移動体に保管する指示信号を出力し、画像情報に基づいて物体に関する情報を出力し、記憶部に物体に関する情報に関連付けされたユーザ識別情報が存在した場合に、所定の位置まで移動する指示信号を出力する。
【0007】
本開示に係る情報処理システムは、物体を回収する作業部と、物体を撮像する撮像部と、ハードウェアを有する第1のプロセッサであって、運行に関する運行情報を取得し、運行情報に基づいて移動する指示信号を出力する第1のプロセッサと、を有する第1の装置と、ハードウェアを有する第2のプロセッサであって、第1の装置が回収した物体を撮像部によって撮像した画像情報を取得して記憶部に格納し、記憶部から読み出した画像情報における物体が廃棄物であるか否かを判定し、物体は廃棄物ではないと判定した場合に、物体を第1の装置に保管する指示信号を出力し、かつ画像情報に基づいて物体に関する情報を出力し、記憶部に物体に関する情報に関連付けされたユーザ識別情報が存在した場合に、第1の装置に所定の位置まで移動する指示信号を出力する第2のプロセッサを有する第2の装置と、を備える。
【0008】
本開示に係るプログラムは、ハードウェアを有するプロセッサに、移動体が回収した物体を撮像した画像情報を取得して記憶部に格納し、記憶部から読み出した画像情報における物体が廃棄物であるか否かを判定し、物体は廃棄物ではないと判定した場合に、物体を移動体に保管する指示信号を出力し、画像情報に基づいて物体に関する情報を出力し、記憶部に物体に関する情報に関連付けされたユーザ識別情報が存在した場合に、所定の位置まで移動する指示信号を出力することを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、移動体によって回収された物体が廃棄物か否かを判定し、廃棄物でない場合に、物体を保管および配達する機能を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態による管理システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による運行管理サーバの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による遺失物管理サーバの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図4】
図4は、一実施形態による清掃移動体の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図5】
図5は、一実施形態によるユーザ端末の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図6】
図6は、一実施形態による管理方法を説明するためのフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは、一実施形態によるユーザ端末の入出力部に出力される検索アプリの選択画面の例を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、一実施形態によるユーザ端末の入出力部に出力される検索アプリの一覧画面の例を示す図である。
【
図7C】
図7Cは、一実施形態によるユーザ端末の入出力部に出力される検索アプリの登録画面の例を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、一実施形態によるユーザ端末の入出力部に出力される検索アプリでの遺失物の適合結果の表示例を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、一実施形態によるユーザ端末の入出力部に出力される検索アプリでの遺失物の選択結果の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本開示は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
【0012】
近年、所定の領域内において自動清掃ロボットなどの清掃移動体が検討されているが、路上には、廃棄物のみならず、落とし物が存在する可能性もある。路上に落とし物が存在した場合には、この落とし物を落とした所有者に戻したい要望がある。そのため、本開示によって、路上に放置されて回収された拾得物が、廃棄物であるか遺失物であるかを選別する選別装置の技術が望まれている。本開示によって、選別装置により遺失物であると判定された物体を、清掃移動体によって所有者に渡す方法を提案する。以下に説明する一実施形態は、以上の提案に基づいたものである。
【0013】
まず、本開示の一実施形態による情報処理装置を適用可能な管理システムについて説明する。
図1は、本実施形態による管理システム1を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態による管理システム1は、ネットワーク2を介して互いに通信可能な、運行管理サーバ10、遺失物管理サーバ20、センサ群35と保管部39と作業部38とを備えた作業車両30、およびユーザ端末40A,40Bを有する。なお、以下の説明において、それぞれの構成要素間での情報の送受信はネットワーク2を介して行われるが、この点についての都度の説明は省略する。
【0014】
ネットワーク2は、インターネット回線網や携帯電話回線網などから構成される。ネットワーク2は、例えば、インターネットなどの公衆通信網であって、WAN(Wide Area Network)や、携帯電話などの電話通信網や、WiFiなどの無線通信網などのその他の通信網を含んでも良い。
【0015】
(運行管理サーバ)
作業車両30の運行管理装置としての運行管理サーバ10は、作業車両30の運行を管理する。本実施形態において、運行管理サーバ10には、それぞれの作業車両30から所定のタイミングで、車両情報、運行情報、および物体情報などの各種情報が供給される。車両情報は、車両識別情報、センサ情報、および位置情報を含む。センサ情報は、作業車両30の燃料残量やバッテリ充電量(SOC:State Of Charge)などのエネルギー残量に関するエネルギー残量情報や、速度情報、および加速度情報などの作業車両30の走行に関する情報を含むが、必ずしもこれらの情報に限定されない。物体情報は、路上の物体を撮像した画像情報や映像情報などといった物体に関する種々の情報を含むが、必ずしもこれらの情報に限定されない。
【0016】
図2は、運行管理サーバ10の構成を概略的に示すブロック図である。
図2に示すように、第3の装置としての運行管理サーバ10は、ネットワーク2を介して通信可能な、一般的なコンピュータの構成を有する。運行管理サーバ10は、制御部11、記憶部12、通信部13、および入出力部14を備える。
【0017】
運行を管理するハードウェアを有する第3のプロセッサとしての制御部11は、具体的に、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの主記憶部を備える。記憶部12は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、およびリムーバブルメディアなどから選ばれた記憶媒体から構成される。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、または、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、またはBD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体が挙げられる。記憶部12には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベースなどを格納することができる。制御部11は、記憶部12に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等を制御する。なお、プログラムは、機械学習などによって生成された学習済みモデルであっても良い。学習済みモデルは、学習モデルやモデルなどとも称される。
【0018】
記憶部12は、各種のデータが検索可能に格納された運行管理データベース12aを格納している。運行管理データベース12aは、例えばリレーショナルデータベース(RDB)である。なお、以下に説明するデータベース(DB)は、プロセッサによって実行されるデータベース管理システム(Database Management System:DBMS)のプログラムが、記憶部12に記憶されるデータを管理することによって構築される。運行管理データベース12aには、車両情報の車両識別情報と運行情報などのその他の情報とが関連付けられて、検索可能に格納されている。なお、運行管理サーバ10がユーザ端末40A,40Bと通信する場合、ユーザ端末40A,40Bを識別するための固有のユーザ識別情報と、ユーザによりユーザ端末40A,40Bに入力されたユーザ入力情報とを関連付けて、運行管理データベース12aに格納することも可能である。
【0019】
個々の作業車両30に割り当てられた車両識別情報は、検索可能な状態で運行管理データベース12aに格納される。車両識別情報は、個々の作業車両30を互いに識別するための各種情報を含み、作業車両30に関連する情報の送信に際して運行管理サーバ10へアクセスするために必要な情報を含む。車両識別情報は、作業車両30が各種の情報を送信する際には合わせて送信される。作業車両30が、車両識別情報とともに車両情報やセンサ情報などの所定の情報を運行管理サーバ10に送信すると、運行管理サーバ10は、運行管理データベース12a内に検索可能な状態で、所定の情報を車両識別情報と関連付けて格納する。同様に、ユーザ識別情報は、個々のユーザを互いに識別するための各種情報を含む。ユーザ識別情報は、例えば、個々のユーザ端末40A,40Bを識別可能なユーザIDなどであり、ユーザ端末40A,40Bに関連する情報の送信に際して運行管理サーバ10へアクセスするために必要な情報を含む。ユーザ端末40A,40Bが、ユーザ識別情報とともにユーザ入力情報などの所定の情報を運行管理サーバ10に送信すると、運行管理サーバ10は、記憶部12の運行管理データベース12a内に検索可能な状態で、所定の情報をユーザ識別情報と関連付けて格納する。
【0020】
通信部13は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路である。LANインターフェースボードや無線通信回路は、公衆通信網であるインターネットなどのネットワーク2に接続される。通信部13は、ネットワーク2に接続して、遺失物管理サーバ20、作業車両30、およびユーザ端末40A,40Bとの間で通信を行う。通信部13は、それぞれの作業車両30との間で、作業車両30に固有の車両識別情報や車両情報を受信したり、作業車両30に対して種々の指示信号や確認信号を送信したりする。また、通信部13は、ユーザ端末40(40A,40B)との間で、作業車両30の利用に際してユーザが所有するユーザ端末40に情報を送信したり、ユーザ端末40からユーザを識別するためのユーザ識別情報や各種情報を受信したりする。
【0021】
入出力部14は、例えばタッチパネルディスプレイやスピーカマイクロホンなどから構成しても良い。出力部としての入出力部14は、制御部11による制御に従って、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはプラズマディスプレイなどのディスプレイの画面上に、文字や図形などを表示したり、スピーカから音声を出力したりして、所定の情報を外部に通知するように構成される。入出力部14は、印刷用紙などに所定の情報を印刷することによって出力するプリンタを含む。記憶部12に格納された各種情報は、例えば所定の事務所などに設置された入出力部14のディスプレイなどで確認することができる。入力部としての入出力部14は、例えば、キーボードや入出力部14の内部に組み込まれて表示パネルのタッチ操作を検出するタッチパネル式キーボード、または外部との間の通話を可能とする音声入力デバイスなどから構成される。運行管理サーバ10の入出力部14から所定の情報を入力することにより、作業車両30に対して遠隔による運行管理が可能になるため、自律走行可能な自動運転車両である作業車両30の運行を容易に管理できる。
【0022】
(遺失物管理サーバ)
第2の装置および情報処理装置としての遺失物管理サーバ20は、遺失物を保管する保管部24を管理するとともに、作業車両30が拾得した物体が廃棄物であるか否かを判定できる。
図3は、遺失物管理サーバ20の構成を概略的に示すブロック図である。
図3に示すように、遺失物管理サーバ20は、ネットワーク2を介して通信可能な一般的なコンピュータの構成を有し、遺失物管理部21、記憶部22、および通信部23を備える。遺失物管理サーバ20には、作業車両30から、画像情報や映像情報(以下、画像情報と総称)などの各種情報が供給される。
【0023】
遺失物管理部21、記憶部22、および通信部23はそれぞれ、機能的および物理的には、制御部11、記憶部12、および通信部13と同様の構成を有する。記憶部22には、OS、判定学習モデル22a、ユーザ情報データベース22b、および遺失物情報データベース22cなどの、各種プログラム、各種テーブル、および各種データベースなどを格納できる。ハードウェアを有する第2のプロセッサとしての遺失物管理部21は、記憶部22に格納された判定学習モデル22aなどのプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて学習部211や判定部212の機能を実現できる。学習モデルは、所定の入力パラメータと出力パラメータとの入出力データセットを教師データとして、例えばニューラルネットワークを用いた深層学習(ディープラーニング)などの機械学習により生成できる。これにより、遺失物管理部21は、学習部211、判定部212、および報酬処理部213の機能を実現できる。
【0024】
遺失物管理部21は、記憶部22に格納された判定学習モデル22aによって、作業車両30が取得した拾得物に対応して取得した画像情報から、画像情報に含まれる拾得物が廃棄物であるか否かを判定できる。ここで、記憶部22に記憶されているプログラムである判定学習モデル22aの生成方法について説明する。
【0025】
本実施形態においては、遺失物管理部21によるプログラムの実行によって、学習部211の機能が実行される。学習部211は、複数の物体を撮像した複数の画像情報を学習用入力パラメータとし、複数の物体のそれぞれが廃棄物であるか否かの判定結果を学習用出力パラメータとした入出力データセットを教師データとして、判定学習モデル22aを生成できる。すなわち、学習部211は、撮像部35aが撮像した画像情報を学習用入力パラメータ、画像情報ごとに廃棄物であるか否かを判定した結果を学習用出力パラメータとした入出力データセットを教師データとして、判定学習モデル22aを生成できる。すなわち、学習部211は、遺失物管理サーバ20が取得した入出力データセットに基づいて機械学習を行う。判定学習モデル22aは、作業車両30の撮像部35aが撮像した画像情報に基づいて、画像情報に含まれる拾得物の画像から、拾得物が廃棄物であるか否かを判定可能な学習モデルである。学習部211は、学習した結果を記憶部22に書き込んで記憶させる。学習部211は、学習を行っているニューラルネットワークとは別に、所定のタイミングで、このタイミングにおける最新の学習済みモデルを、記憶部22に記憶させても良い。記憶部22に記憶させる際には、古い学習モデルを削除して最新の学習モデルを記憶させる更新でも良いし、古い学習モデルの一部または全部を保存したまま最新の学習モデルを記憶させる蓄積でも良い。各種プログラムには、モデル更新処理プログラムも含まれる。判定部212は、遺失物管理部21によるプログラム、すなわち判定学習モデル22aの実行によって、画像情報に含まれる物体が廃棄物であるか否かを判定する機能を実行する。なお、学習モデルは、学習済みモデルやモデルとも称される。また、学習モデルの代わりにルールベースの処理を実行することも可能である。
【0026】
報酬処理部213は、ユーザ端末40から受信して取得した画像情報に基づいて、ユーザ端末40を所有するユーザに対する報酬額を算出することができる。ユーザに対する報酬額は、画像情報に基づいた遺失物の価値や、遺失物の発見場所の位置情報に基づいて決定しても良いが、種々の決定方法を採用できる。
【0027】
ユーザ情報データベース22bには、それぞれのユーザ端末40から取得したユーザ入力情報が、ユーザ識別情報に関連付けされて格納されている。遺失物情報データベース22cには、遺失物管理部21の判定部212が、廃棄物ではないと判定した拾得物、すなわち遺失物に関する情報(遺失物情報)が、遺失物ごとの固有のID(遺失物ID)と関連付けられて検索可能に格納されている。
【0028】
通信部23は、ネットワーク2に接続され、運行管理サーバ10、作業車両30、およびユーザ端末40との間で通信を行う。保管部24は、作業車両30が拾得した放置物を保管可能に構成される。なお、遺失物管理サーバと同様の構成の情報処理装置が作業車両30に搭載される場合には、保管部24は、作業車両30の保管部39として機能する。
【0029】
(作業車両)
第1の装置である移動体としての作業車両30は、路上などに放置された廃棄物や落とし物などの放置物の収集、運搬、配達などの、複数種類の所定の作業を実行可能な移動体である。移動体としては、運行管理サーバ10から与えられたり、所定のプログラムなどから与えられたりした運行指令に従って自律走行可能に構成された自動運転車両を採用できる。作業車両30は、路上に放置された放置物などの物体を撮像可能な撮像部が設置された移動体である。
【0030】
図4は、作業車両30の構成を概略的に示すブロック図である。
図4に示すように、作業車両30は、制御部31、記憶部32、通信部33、入出力部34、センサ群35、測位部36、駆動部37、作業部38、および保管部39を備える。作業車両30は、例えば自動清掃ロボットなどを備えた移動体を採用できる。制御部31、記憶部32、通信部33、および入出力部34はそれぞれ、物理的および機能的には、制御部11、記憶部12、通信部13、および入出力部14と同様の構成を有する。
【0031】
ハードウェアを有する第1のプロセッサとしての制御部31は、作業車両30に搭載される各種構成要素の動作を統括的に制御する。記憶部32は、運行情報データベース32a、車両情報データベース32b、拾得物情報データベース32c、および判定学習モデル32dを格納できる。運行情報データベース32aには、運行管理サーバ10から提供される運行情報を含む各種データが、更新可能に格納されている。車両情報データベース32bには、バッテリ充電量、燃料残量、現在位置などを含む各種情報が、更新可能に格納されている。拾得物情報データベース32cには、作業車両30の作業部38が収集した拾得物に関する拾得物情報が、更新、削除、および検索可能に格納されている。なお、本実施形態においては、拾得物情報は拾得物の画像情報を含む。
【0032】
通信部33は、ネットワーク2を介した無線通信によって、運行管理サーバ10、遺失物管理サーバ20、およびユーザ端末40との間で通信を行う。出力部としての入出力部34は、所定の情報を外部に通知可能に構成される。入力部としての入出力部34は、ユーザなどが制御部31に所定の情報を入力可能に構成される。
【0033】
センサ群35は、作業部38や路上などの作業車両30の外部、および保管部39などの作業車両30の内部を撮像可能な撮像部としての撮像部35aを有する。撮像部35aは、CMOSやCCDカメラなどのイメージセンサや撮像素子から構成され、具体的には、作業車両30が自動掃除ロボットである場合には、撮像部35aはカメラ機能を有する。センサ群35は、撮像部35a以外に、車速センサや、加速度センサや、燃料センサなどの作業車両30の走行に関するセンサや、例えば車室内の種々の状況を検知可能な車室内センサ、または車室内撮像カメラなどを有していても良い。センサ群35を構成する各種センサによって検出された画像情報を含むセンサ情報は、各種センサに接続された伝送路から構成される車両情報網(CAN:Control Area Network)を介して、制御部31に出力される。本実施形態において、画像情報以外のセンサ情報は車両情報の一部を構成する。
【0034】
位置情報取得部としての測位部36は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して、作業車両30の位置を検出する。検出された位置は、車両情報における位置情報として車両情報データベース32bに検索可能に格納される。なお、作業車両30の位置を検出する方法として、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)と3次元デジタル地図とを組み合わせた方法を採用しても良い。また、位置情報を運行情報に含めて、測位部36が検出した作業車両30の位置情報を運行情報データベース32aに格納しても良い。
【0035】
駆動部37は、作業車両30を走行させるための駆動部である。具体的には、作業車両30は、駆動源としてのエンジンやモータを備える。エンジンは、燃料の燃焼による駆動によって電動機などを用いて発電可能に構成される。発電された電力は充電可能なバッテリに充電される。モータはバッテリによって駆動される。作業車両30は、エンジンやモータの駆動力を伝達する駆動伝達機構、および走行するための駆動輪などを備える。なお、駆動部37は、作業車両30が、EV(Electric Vehicle)車、HV(Hybrid Vehicle)車、FCV(Fuel Cell Vehicle)車、またはCNG(Compressed Natural Gas)車などによって異なるが、詳細な説明は省略する。
【0036】
作業部38は、路上などに落ちている物体や放置された物体を収集して保管部39に格納する収集作業を行う機構である。保管部39は、作業部38が収集した放置物などの物体を拾得物として保管する保管領域である。なお、作業部38によって収集された拾得物が、保管部39における保管領域を、拾得物が廃棄物であるか否かに応じて、区分けしても良い。この場合、拾得物を、廃棄物と遺失物とに区分けすることが可能である。
【0037】
作業車両30における制御部31は、遺失物管理サーバ20の機能の一部を実行することも可能である。すなわち、制御部31は、判定部311以外にも学習部、特徴抽出部、または報酬処理部を備えていても良い。
【0038】
(ユーザ端末)
利用端末としてのユーザ端末40(40A,40B)は、ユーザによって操作される。ユーザ端末40は、例えば、遺失物検索アプリケーション42aなどの各種プログラムや音声を用いた通話によって、ユーザ識別情報およびユーザ入力情報を含むユーザ情報などの各種情報を遺失物管理サーバ20に送信できる。ユーザ端末40は、遺失物管理サーバ20から、表示情報などの各種情報を受信可能に構成される。
図5は、ユーザ端末40(40A,40B)の構成を概略的に示すブロック図である。
【0039】
図5に示すように、ユーザ端末40は、互いに通信可能に接続された、制御部41、記憶部42、通信部43、入出力部44、撮像部45、および測位部46を備える。制御部41、記憶部42、通信部43、入出力部44、撮像部45、および測位部46はそれぞれ、物理的および機能的には、制御部11、記憶部12、通信部13、入出力部14、撮像部35a、および測位部36と同様の構成を有する。ここで、ユーザ端末40において、外部との間の通話は、他のユーザ端末40との通話のみならず、例えば遺失物管理サーバ20に常駐するオペレータや人工知能システムとの通話なども含む。なお、入出力部44を、入力部および出力部に別体で構成しても良い。ユーザ端末40A,40Bは、具体的に、スマートフォンなどの携帯電話、ノート型やタブレット型などの情報端末、またはノート型やデスクトップ型のパーソナルコンピュータなどを採用することができる。
【0040】
制御部41は、記憶部42に格納されたオペレーティングシステム(OS)および各種アプリケーションプログラムの実行により、記憶部42、通信部43、および入出力部44の動作を統括的に制御する。記憶部42は、遺失物検索アプリケーション42aを格納することができ、ユーザ識別情報を記憶可能に構成されている。通信部43は、ネットワーク2を介して、遺失物管理サーバ20などとの間で、ユーザ識別情報、ユーザ入力情報、および遺失物情報などの各種情報を送受信する。
【0041】
次に、本実施形態による管理方法について説明する。
図6は、本実施形態による管理方法を説明するためのフローチャートである。以下の説明において、情報の送受信はネットワーク2を介して行われるが、この点についての都度の説明は省略する。また、それぞれの作業車両30、およびそれぞれのユーザ端末40A,40Bの間で情報を送受信する場合、送受信する情報に、作業車両30およびユーザ端末40A,40Bのそれぞれを個々に特定するための識別情報も関連付けて送受信されるが、この点についての都度の説明も省略する。また、
図6に示すフローチャートは、作業車両30が回収した1つの拾得物に関する処理を示すものであり、それぞれの拾得物によってそれぞれ
図6に示すフローチャートが実行される。
【0042】
図6に示すように、まず、ステップST1において作業車両30は、例えばスマートシティと称される所定の領域内の道路やエリアや屋内を走行したり移動したりして、放置物の清掃や放置物を回収する作業を行う。続いて、ステップST2に移行して作業車両30の撮像部35aは、作業部38によって回収された拾得物を撮像する。撮像部35aが撮像した画像情報は、制御部31によって記憶部32の拾得物情報データベース32cに格納される。続いて、ステップST3に移行して制御部31は、撮像部35aが撮像した画像情報を、遺失物管理サーバ20に送信する。
【0043】
次に、ステップST4に移行すると、遺失物管理サーバ20における遺失物管理部21の判定部212は、作業車両30から送信されて取得した画像情報を入力パラメータとして、判定学習モデル22aに入力する。判定部212は、判定学習モデル22aの出力パラメータとして、画像情報に含まれる拾得物が廃棄物であるか否かの情報を出力する。出力パラメータは、廃棄物である確率として出力されることがあるので、この場合には、拾得物が廃棄物である確率が所定の確率以上の場合に、拾得物は廃棄物であると判定するようにしても良い。判定部212が、拾得物は廃棄物ではないと判定した場合(ステップST4:No)、遺失物管理部21は、画像情報を記憶部22の遺失物情報データベース22cに格納して、ステップST5に移行する。
【0044】
または、作業車両30における制御部31の判定部311は、撮像部35aから取得した画像情報を入力パラメータとして、判定学習モデル32dに入力する。判定部212は、判定学習モデル32dの出力パラメータとして、画像情報に含まれる拾得物が廃棄物であるか否かの情報を出力する。出力パラメータは、廃棄物である確率として出力されることがあるので、この場合には、拾得物が廃棄物である確率が所定の確率以上の場合に、拾得物は廃棄物であると判定するようにしても良い。判定部311が、拾得物は廃棄物ではないと判定した場合(ステップST4:No)、制御部31は、画像情報を記憶部32の拾得物情報データベース32cに格納して、ステップST5に移行する。
【0045】
すなわち、作業車両30の作業部38が回収した拾得物が廃棄物であるか否かを判定するのは、遺失物管理サーバ20または作業車両30の少なくとも一方で行われる。また、遺失物管理サーバ20および作業車両30によって、拾得物が廃棄物であるか否かの判定を行って、遺失物管理サーバ20の判定部212と作業車両30の判定部311との判定が異なった場合には、いずれの判定を優先させるかをあらかじめ設定しても良い。
【0046】
ステップST5において遺失物管理部21の特徴抽出部214は、画像情報に基づいて、遺失物の特徴を抽出する。例えば、遺失物がバッグなどである場合、ブランド名や色やサイズや型番などの特徴を、画像情報から抽出して画像情報を含む遺失物情報を生成する。また、例えば遺失物がメガネなどである場合には、ブランド名や材質や種類などの特徴を、画像情報から抽出して遺失物情報を生成する。特徴抽出部214が生成した遺失物情報は、記憶部22の遺失物情報データベース22cに格納される。
【0047】
また、ステップST6において作業車両30の制御部31は、作業部38を制御して拾得物を保管部39に収納する。なお、ステップST6は、ステップST3~ST5と並行または逆順に実行できる。
【0048】
その後、ステップST7に移行して、遺失物管理部21の特徴抽出部214は、生成した遺失物情報を、遺失物の検索サイトに登録する。遺失物管理サーバ20の遺失物管理部21は、取得した画像情報に対して所定の画像処理を施し、生成した遺失物情報とともに所定の遺失物の検索サイトに掲載して外部に報知する。これにより、ユーザ端末40などによって、遺失物管理サーバ20の検索サイトにアクセスすることによって、遺失物情報の一部を取得することが可能になる。
【0049】
図7A、
図7B、および
図7Cは、遺失物管理サーバ20により生成された遺失物の検索サイトのユーザ端末40の入出力部44への表示例を示す図である。本実施形態において、ユーザ端末40の制御部41は、遺失物管理サーバ20からダウンロードした遺失物検索アプリを記憶部42にインストールする。例えば、ユーザ端末40からユーザ識別情報を遺失物管理サーバ20に送信すると、
図7Aに示すように、遺失物管理サーバ20との通信によって入出力部44に検索アプリの選択画面43aが表示される。
【0050】
ユーザ端末40において制御部41は、ユーザが選択画面43aに表示される「落とし物一覧」のアイコン、または選択画面43aの下側に表示される「リスト」のアイコンがタップされると、落とし物一覧やリストを選択した情報を含むユーザ選択情報を遺失物管理サーバ20に送信する。遺失物管理サーバ20は、受信したユーザ選択情報に基づいて、ユーザ端末40によって選択された情報に対応する情報をユーザ端末40に送信して、入出力部44に表示する。なお、以下の説明においては、遺失物管理サーバ20がユーザ端末40の入出力部44に表示させるための情報をユーザ端末40に送信する都度の説明は省略する。
図7Bに示すように、ユーザがリストをタップすると、遺失物管理サーバ20が取得した遺失物情報に基づいて、落とし物の一覧画面43bが表示される。
【0051】
また、ユーザ端末40において制御部41は、ユーザが選択画面43aに表示される「落とし物登録」のアイコン、または選択画面43aの下側に表示される「登録」のアイコンがタップされると、落とし物登録または登録を選択した情報を含むユーザ選択情報を遺失物管理サーバ20に送信する。ユーザ端末40の入出力部44には、登録画面43cが表示される。
図7Cに示すように、ユーザが例えばブランドや型番や色やサイズなどの落とし物の情報を入力してから「落とし物登録」をタップすると、制御部41は、入力された落とし物の情報を含むユーザ選択情報を遺失物管理サーバ20に送信する。なお、ユーザが「内容修正」をタップすると、入力内容を変更したり修正したりすることができる。遺失物管理サーバ20の遺失物管理部21は、取得したユーザ選択情報を遺失物情報データベース22cに格納する。
【0052】
図8Aおよび
図8Bは、本実施形態によるユーザ端末40の入出力部44に出力される検索アプリでの落とし物の検出例を示す図である。
図7Cに示すように、ユーザがユーザ端末40から落とし物の情報を入力して落とし物を登録すると、
図8Aに示すように、遺失物管理サーバ20の遺失物管理部21は、遺失物情報データベース22cを検索する。遺失物管理部21は、入力された落とし物の情報に所定の確率以上で適合した遺失物情報を索出してユーザ端末40に送信する。制御部41は、入出力部44に索出された遺失物情報の一覧を示す適合画面43dを表示する。
図8Aに示す例では、制御部41は、ユーザが登録した落とし物の情報から特定される遺失物の候補と、落とし物の情報との適合率とを一覧にして入出力部44に表示している。
【0053】
続いて、
図8Bに示すように、制御部41は、ユーザが適合画面43dに一覧表示された遺失物の候補のうちから、ユーザ自身が所有者である遺失物を選択したことに応答して、遺失物の詳細を入出力部44に詳細画面43eとして表示する。そして、例えばユーザ端末40Aの制御部41は、ユーザが詳細画面43eをタップしたことに応答して、詳細画面43eに表示される遺失物の候補を、ユーザ端末40Aのユーザ自身の遺失物として指定する。制御部41は、ユーザ端末40Aのユーザ識別情報と、指定された遺失物の遺失物情報とを関連付けして、遺失物管理サーバ20に送信する。これにより、遺失物管理サーバ20において、選択されて指定された遺失物の遺失物情報が、ユーザ端末40Aのユーザ識別情報に関連付けされて、遺失物情報データベース22cに格納される。
【0054】
図6に戻りステップST8において遺失物管理サーバ20の遺失物管理部21は、遺失物情報と関連付けされたユーザ識別情報が存在するか否かを判定する。すなわち、遺失物管理部21は、遺失物情報データベース22cを検索することによって、ユーザ端末40のいずれかから、特徴抽出部214が生成した遺失物情報に略合致する遺失物に関して、ユーザ識別情報が存在するか否かを判定する。
【0055】
ステップST8において遺失物管理部21が、遺失物情報と関連付けされたユーザ識別情報が存在すると判定した場合(ステップST8:Yes)、ステップST9に移行する。ステップST9において遺失物管理部21は、遺失物情報による遺失物を保管している作業車両30に、遺失物情報とこの遺失物情報に関連付けされたユーザ識別情報を含むユーザ情報とを送信する。作業車両30は、取得したユーザ情報に基づき、測位部36を含むナビゲーションシステムによって、遺失物の所有者の住所、居所、または現在地などの指定場所に移動して遺失物を配達する。所有者の住所、居所、または現在地にまで移動した作業車両30は、作業部38によって保管部39に保管されている遺失物を搬出して所有者に返還する。以上により本実施形態による拾得物の管理処理が終了する。
【0056】
また、ステップST4において判定部212が、拾得物は廃棄物であると判定した場合(ステップST4:Yes)、遺失物管理サーバ20の遺失物管理部21は、作業車両30に、拾得物は廃棄物である判定結果の情報(判定情報)を送信して、ステップST11に移行する。ステップST11において作業車両30の制御部31は、取得した判定情報に基づいて、作業部38に制御信号を出力して拾得物を保管部39の廃棄物のエリアに収納する。廃棄物のエリアに収納された拾得物は、作業車両30が所定の廃棄物処理場に移動した後に、廃棄される。以上により本実施形態による拾得物の管理処理が終了する。
【0057】
ステップST8において遺失物管理部21が、遺失物情報と関連付けされたユーザ識別情報が存在しないと判定した場合(ステップST8:No)、ステップST10に移行する。ステップST10において遺失物管理部21は、遺失物を拾得してから所定時間が経過しているか否かを判定する。
【0058】
ステップST10において遺失物管理部21が、遺失物を取得してから所定時間が経過していないと判定した場合、ステップST8に戻り、遺失物情報と関連付けされたユーザ識別情報が存在するか否かを判定する。すなわち、ステップST8,ST10は、所定時間が経過するまで、または遺失物情報と関連付けされたユーザ識別情報が遺失物管理サーバ20に登録されるまで繰り返し実行される。なお、作業車両30の制御部31が、所定時間が経過したか否かを判定しても良い。
【0059】
ステップST10において遺失物管理部21が、所定時間が経過したと判定した場合、所定時間が経過した情報を作業車両30に送信する。なお、作業車両30の制御部31が時間の計測を実行した場合には、遺失物管理部21から作業車両30に所定時間が経過した情報を送信しなくても良い。作業車両30が、所定時間が経過した情報を取得する、または制御部31が、所定時間が経過したと判定した場合、ステップST11に移行する。
【0060】
ステップST11においては、作業車両30の制御部31からの制御信号に基づいて、作業部38が遺失物を保管部39の廃棄物のエリアに収納した後、作業車両30が所定の廃棄物処理場まで移動して、遺失物を廃棄する。以上により本実施形態による拾得物の管理処理が終了する。
【0061】
また、ユーザ端末40Aのユーザが落とした遺失物を、ユーザ端末40Bのユーザが発見するような場合もある。この場合、ユーザ端末40Bのユーザは、例えば検索アプリ(
図7A参照)を用いて落とし物を登録することができる。具体的に例えば、ユーザ端末40Bのユーザは、撮像部45を用いて発見した遺失物を撮像する。撮像された画像情報はユーザ端末40Bの記憶部42に格納される。ユーザは、ユーザ端末40Bの記憶部42から遺失物の画像情報を読み出して、遺失物管理サーバ20に送信する。この際に、遺失物の画像情報は、ユーザ端末40Bのユーザ識別情報および位置情報に関連付けされて、遺失物管理サーバ20に送信される。
【0062】
画像情報、ユーザ識別情報、および位置情報を受信した遺失物管理サーバ20の遺失物管理部21は、受信した情報を記憶部22に格納する。遺失物管理部21は、ユーザ端末40Bから受信した位置情報を作業車両30に送信する。作業車両30は、受信した位置情報の位置、またはユーザ端末40Bによって指定された位置に移動して、遺失物を回収する。その後は、
図6に示すステップST1~ST11を実行する。遺失物管理部21の報酬処理部213は、ユーザ端末40Bから送信された画像情報、または作業車両30が撮像した遺失物である拾得物の画像情報に基づいて、ユーザ端末40Bのユーザに対する報酬を算出する。遺失物管理部21は、報酬処理部213が算出した報酬の情報を、ユーザ端末40Bに送信する。以上により、本実施形態による拾得物の管理処理が終了する。
【0063】
以上説明した本開示の一実施形態によれば、スマートシティなどの所定の領域内を運行する自動清掃ロボットなどの作業車両30が回収した拾得物を、撮像部35aによって撮像した画像情報や映像情報から遺失物か否かを判定し保管して、遺失物と判断した場合にコミュニティの掲示版などのサイトに掲載。遺失物の所有者が判明した場合には、遺失物を所有者に配達することにより、自動清掃を行う移動体によって、遺失物かどうかの判断、遺失物の回収、保管、および配達の機能を実現できる。
【0064】
また、作業車両30が回収した拾得物に限定されず、遺失物を発見したユーザ、例えばユーザ端末40Bのユーザが画像情報と位置情報とを遺失物管理サーバ20に送信することによって、遺失物管理サーバ20が遺失物の存在する位置を取得でき、作業車両30が遺失物を回収できるので、自動清掃を行う1台の移動体によって、遺失物かどうかの判断、遺失物の回収、保管、および配達の機能を実現できる。
【0065】
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形や、相互の実施形態を組み合わせた実施形態を採用できる。例えば、上述の実施形態において挙げた装置構成や表示画面や名称はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる装置構成や表示画面や名称を用いても良い。
【0066】
例えば、実施形態においては、機械学習の一例としてニューラルネットワークを用いた深層学習を挙げたが、それ以外の方法に基づく機械学習を行っても良い。例えば、サポートベクターマシン、決定木、単純ベイズ、k近傍法など、他の教師あり学習を用いても良い。また、教師あり学習に代えて半教師あり学習を用いても良い。さらには、機械学習として、強化学習や深層強化学習を用いても良い。
【0067】
(記録媒体)
本開示の一実施形態において、運行管理サーバ10や遺失物管理サーバ20による処理方法を実行可能なプログラムを、コンピュータその他の機械や装置(以下、コンピュータなど、という)が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータなどに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、当該コンピュータなどが運行管理サーバ10や遺失物管理サーバ20や作業車両30の制御部として機能する。ここで、コンピュータなどが読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラムなどの情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータなどから読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちのコンピュータなどから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disk)、BD、DAT、磁気テープ、フラッシュメモリなどのメモリカードなどがある。また、コンピュータなどに固定された記録媒体としてハードディスク、ROMなどがある。さらに、SSDは、コンピュータなどから取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータなどに固定された記録媒体としても利用可能である。
【0068】
(その他の実施形態)
また、一実施形態に係る運行管理サーバ10、遺失物管理サーバ20、作業車両30、およびユーザ端末40では、「部」は、「回路」などに読み替えることができる。例えば、通信部は、通信回路に読み替えることができる。
【0069】
また、一実施形態に係る運行管理サーバ10や遺失物管理サーバ20に実行させるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。
【0070】
なお、本明細書におけるフローチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」などの表現を用いてステップ間の処理の前後関係を明示していたが、本実施形態を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。すなわち、本明細書で記載したフローチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0071】
また、1つのサーバを備えたシステムに代えて、情報処理装置と物理的に近い場所にサーバの一部の処理を実行可能な端末を分散して配置し、大量のデータを効率よく通信するとともに演算処理時間を短くすることが可能なエッジコンピューティングの技術を適用しても良い。
【0072】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 管理システム
2 ネットワーク
10 運行管理サーバ
11,31,41 制御部
12,22,32,42 記憶部
12a 運行管理データベース
13,23,33,43 通信部
14,34,44 入出力部
20 遺失物管理サーバ
21 遺失物管理部
22a,32d 判定学習モデル
22b ユーザ情報データベース
22c 遺失物情報データベース
24,39 保管部
30 作業車両
32a 運行情報データベース
32b 車両情報データベース
32c 拾得物情報データベース
35 センサ群
35a,45 撮像部
36,46 測位部
37 駆動部
38 作業部
40,40A,40B ユーザ端末
42a 遺失物検索アプリケーション
43a 選択画面
43b 一覧画面
43c 登録画面
43d 適合画面
43e 詳細画面
211 学習部
212,311 判定部
213 報酬処理部
214 特徴抽出部