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特許7547988角度調整用具及びそれを用いた角度調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】角度調整用具及びそれを用いた角度調整方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/00 20060101AFI20240903BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
E06B3/00 E
E06B7/28 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020210500
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022097105
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】亀川 聡
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-191636(JP,U)
【文献】特開平8-121023(JP,A)
【文献】特開2000-145302(JP,A)
【文献】特開平11-183166(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0255186(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/00-3/02
E06B 3/04-3/46
E06B 3/50-3/52
E06B 7/28
E05D 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付位置に対して蝶番を介して取付けられるドアの前記取付位置に対する角度を調整するための角度調整用具であって、
所定方向に延びるとともに前記ドアを載置するための載置面を有する用具本体と、
前記用具本体から前記載置面の向く側と反対側に突出するとともに前記所定方向に互いに離間した位置に設けられた一対の脚部と、
前記所定方向において前記用具本体の前記一対の脚部間の位置に設けられた水平器と、を備え、
前記一対の脚部は、前記用具本体からの突出量を個別に調整可能となるように前記用具本体に取付けられている、角度調整用具。
【請求項2】
前記用具本体は、前記一対の脚部がそれぞれ取付けられる一対の被取付部と、前記所定方向において前記一対の被取付部の間に設けられ、前記載置面からの厚みが前記被取付部の厚みよりも小さく設定された薄肉部と、を有し、
前記脚部は、前記脚部の一部が前記被取付部内に配置された状態で前記突出量を調整可能となるように前記被取付部に取付けられ、
前記水平器は、前記薄肉部における前記載置面と反対側でかつ前記載置面と略平行な面に取付けられている、請求項1に記載の角度調整用具。
【請求項3】
前記脚部は、前記載置面に向く側の端部が前記被取付部内に収まるように前記被取付部に取付けられている、請求項2に記載の角度調整用具。
【請求項4】
前記用具本体は、前記水平器を前記所定方向と直交する方向の両側に開放するための形状を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の角度調整用具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の角度調整用具を用いたドアの取付け角度の調整方法であって、
前記蝶番が開いた状態となるように前記ドアの姿勢を調整する姿勢調整工程と、
前記ドアの下端と床面との間に前記用具本体を挿入するとともに前記一対の脚部の突出量を増やすことにより、前記ドアを前記角度調整用具に支持させる支持工程と、
前記蝶番による前記取付位置に対する前記ドアの拘束を緩めるとともに、前記水平器を確認しながら前記一対の脚部の相対的な突出量を調整することにより前記ドアの傾斜角度を調整する角度調整工程と、
前記傾斜角度の調整された前記ドアを、前記蝶番を介して前記取付位置に取付ける取付工程と、を含む、角度調整方法。
【請求項6】
前記支持工程では、前記所定方向が前記ドアの幅方向に沿うように前記用具本体を位置決めした状態で前記ドアを前記角度調整用具に支持させる、請求項5に記載の角度調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付位置に対して蝶番を介して取付けられるドアの前記取付位置に対する角度を調整するための角度調整用具、及びそれを用いた角度調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドア枠などの所定の取付位置に蝶番を介してドアを取付ける場合、ドアが取付位置に対して傾いた姿勢で取付けられることがないように、ドアの取付位置に対する角度を調整する調整作業が行われる。
【0003】
例えば、2人の作業者で調整作業を行う場合、第1の作業者がドアを持ち上げた状態で第2の作業者が蝶番のビスを緩め、第1の作業者がドアの取付け角度を微調整してその状態を保持しつつ第2の作業者が蝶番のビスを締め付ける。この場合、第1の作業者は調整作業が完了するまでドアの持ち上げを継続する必要があるため、第1の作業者にとっては多大な労力を要する作業となる。また、2人の作業者による調整作業では、ドアの取付け角度を正確に調整することが困難であり、多くの時間や熟練を要することになる。
【0004】
ドアの調整作業を補助するための技術として特許文献1には、ドア枠に対するドアの取付けの際に用いるドア取付け治具が開示されている。このドア取付け治具は、ドアの下端と床面との間に挿入されたドア受け部材の係合溝に高さ調整部材の可動部材が係合され、且つ、高さ調整部材のネジ部材の下端が床面に当接するように、設置される。そして、可動部材のネジ部材に沿った上下動に応じてドア受け部材を上下動させることにより、ドア枠に対するドアの取付け角度の調整が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平4-104977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されるドア取付け治具を用いることによって、ドアの取付け角度の調整作業における作業者によるドアの持ち上げ作業を省略できるので、作業者による調整作業に要する労力の軽減が可能である。しかしながら、ドア枠に対するドアの取付け角度の調整の際に、可動部材をどの程度回転させればドアの傾きを解消できるかについては作業者の熟練度に頼らざるを得ず、ドアの取付け角度を正確に調整することは困難である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドアの取付け角度の調整作業に要する労力の軽減が可能であるとともに、ドアの取付け角度を正確に調整することが可能な角度調整用具、及びそれを用いた角度調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る角度調整用具は、取付位置に対して蝶番を介して取付けられるドアの前記取付位置に対する角度を調整するための用具である。この角度調整用具は、所定方向に延びるとともに前記ドアを載置するための載置面を有する用具本体と、前記用具本体から前記載置面の向く側と反対側に突出するとともに前記所定方向に互いに離間した位置に設けられた一対の脚部と、前記所定方向において前記用具本体の前記一対の脚部間の位置に設けられた水平器と、を備える。そして、前記一対の脚部は、前記用具本体からの突出量を個別に調整可能となるように前記用具本体に取付けられている。
【0009】
この角度調整用具によれば、用具本体の載置面にドアを載置した状態において、一対の脚部の用具本体からの突出量をそれぞれ個別に調整することにより、取付位置に対するドアの取付け角度を調整することができる。この際、用具本体の載置面にドアを載置した状態でドアの取付け角度の調整が可能であるので、作業者によるドアの持ち上げ作業を省略できる。このため、ドアの取付け角度の調整作業に要する労力の軽減が可能である。更に、用具本体の一対の脚部間の位置に設けられた水平器を確認しながら、一対の脚部の用具本体からの突出量をそれぞれ個別に調整することができる。これにより、水平器を確認しながらの一対の脚部の突出量の調整に基づいて、ドアの取付け角度を正確に調整することが可能である。
【0010】
上記の角度調整用具において、前記用具本体は、前記一対の脚部がそれぞれ取付けられる一対の被取付部と、前記所定方向において前記一対の被取付部の間に設けられ、前記載置面からの厚みが前記被取付部の厚みよりも小さく設定された薄肉部と、を有し、前記脚部は、前記脚部の一部が前記被取付部内に配置された状態で前記突出量を調整可能となるように前記被取付部に取付けられ、前記水平器は、前記薄肉部における前記載置面と反対側でかつ前記載置面と略平行な面に取付けられている構成であってもよい。
【0011】
この態様では、用具本体において、一対の脚部がそれぞれ取付けられる一対の被取付部の間に設けられた薄肉部の、載置面と反対側の面に水平器が取付けられている。これにより、用具本体において、ドアを載置するための載置面を狭めることなく水平器の取付け領域を確保することができるとともに、被取付部よりも厚みが小さい薄肉部によって規定される厚み方向のデッドスペースを、水平器の取付け領域として有効に利用することができる。
【0012】
上記の角度調整用具において、前記脚部は、前記載置面に向く側の端部が前記被取付部内に収まるように前記被取付部に取付けられている構成であってもよい。
【0013】
この態様では、一対の脚部が一対の被取付部に取付けられた状態において、脚部の載置面に向く側の端部が被取付部内に収まっている。これにより、一対の被取付部において脚部の突出する方向の反対に向く面も、ドアを載置するための載置面として有効に利用することができる。
【0014】
上記の角度調整用具において、前記用具本体は、前記水平器を前記所定方向と直交する方向の両側に開放するための形状を有する構成であってもよい。
【0015】
この態様では、所定方向において用具本体の一対の脚部間の位置に水平器が設けられた状態で、水平器の周囲における前記所定方向と直交する方向の両側が開放している。これにより、水平器を確認しながら一対の脚部の用具本体からの突出量を調整するときに、水平器に光を透過させることにより、水平器を容易に確認することができる。
【0016】
本発明の他の局面に係る角度調整方法は、上記の角度調整用具を用いたドアの取付け角度の調整方法である。この角度調整方法は、前記蝶番が開いた状態となるように前記ドアの姿勢を調整する姿勢調整工程と、前記ドアの下端と床面との間に前記用具本体を挿入するとともに前記一対の脚部の突出量を増やすことにより、前記ドアを前記角度調整用具に支持させる支持工程と、前記蝶番による前記取付位置に対する前記ドアの拘束を緩めるとともに、前記水平器を確認しながら前記一対の脚部の相対的な突出量を調整することにより前記ドアの傾斜角度を調整する角度調整工程と、前記傾斜角度の調整された前記ドアを、前記蝶番を介して前記取付位置に取付ける取付工程と、を含む。
【0017】
この角度調整方法によれば、支持工程において、ドアの下端と床面との間に用具本体が挿入された状態で一対の脚部の突出量を増やすことにより、角度調整用具によってドアを支持することができる。これにより、作業者によるドアの持ち上げ作業を省略できるので、ドアの取付け角度の調整作業に要する労力の軽減が可能である。そして、支持工程の後の角度調整工程において、蝶番による取付位置に対するドアの拘束を緩めた後、水平器を確認しながら一対の脚部の相対的な突出量を調整することによりドアの傾斜角度を調整する。これにより、水平器を確認しながらの一対の脚部の突出量の調整に基づいて、ドアの取付け角度を正確に調整することが可能である。
【0018】
上記の角度調整方法において、前記支持工程では、前記所定方向が前記ドアの幅方向に沿うように前記用具本体を位置決めした状態で前記ドアを前記角度調整用具に支持させる。
【0019】
この態様では、支持工程において、用具本体の載置面が延びる所定方向がドアの幅方向に沿うように用具本体を位置決めした状態で、角度調整用具によってドアを支持する。これにより、一対の脚部の突出量の調整によってドアの傾斜角度をより正確に調整することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、ドアの取付け角度の調整作業に要する労力の軽減が可能であるとともに、ドアの取付け角度を正確に調整することが可能な角度調整用具、及びそれを用いた角度調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る角度調整用具をドアの取付け角度の調整に適用した状態を示す斜視図である。
図2】角度調整用具をドアの取付け角度の調整に適用した状態における角度調整用具の断面図である。
図3A】角度調整用具を用いたドアの取付け角度の調整の手順を示す図である。
図3B】角度調整用具を用いたドアの取付け角度の調整の手順を示す図である。
図3C】角度調整用具を用いたドアの取付け角度の調整の手順を示す図である。
図4】角度調整用具を用いたドアの取付け角度の調整方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る角度調整用具及びそれを用いた角度調整方法について、図面に基づいて説明する。
【0023】
図1及び図2を参照して、ドア枠101に対するドア100の取付け角度を調整する調整作業において、角度調整用具1を適用した状態について説明する。角度調整用具1を説明するに先立って、ドア枠101に対するドア100の取付け状態について説明する。
【0024】
ドア100は、例えば、一般住宅などの建築物の玄関ドアである。ドア100は、建築物の玄関に設けられるドア枠101に、蝶番102を介して回動可能(開閉可能)に取付けられる。図1及び図2においては、ドア100は、室外側に開放される外開き式のドアとして示されているが、室内側に開放される内開き式のドアであってもよい。
【0025】
ドア枠101は、建築物の玄関においてドア100の取付位置を規定する枠体である。ドア枠101は、一対の縦枠1011と、下枠1012と、不図示の上枠とを備えている。なお、図1及び図2においては、一対の縦枠1011のうちの一方の縦枠が示されており、他方の縦枠については省略されている。一対の縦枠1011は、ドア100が閉じられた状態において、ドア100の幅方向両側の各側面に面して上下方向D2に延びる枠である。下枠1012は、一対の縦枠1011の下端同士を接続する枠であって、ドア100が閉じられた状態においてドア100の下端1001に面する。上枠は、一対の縦枠1011の上端同士を接続する枠であって、ドア100が閉じられた状態においてドア100の上端に面する。ドア枠101は、下枠1012の下面が床面104に接するように当該床面104上に配置される。
【0026】
蝶番102は、ドア枠101に対してドア100を回動可能に取付けるための部材である。蝶番102としては、一般的な旗蝶番や平蝶番、或いは長蝶番などを用いることができるが、本実施形態では旗蝶番を用いる。旗蝶番から構成される蝶番102は、第1羽根板1022が径方向外方に突設された第1軸管1021と、第2羽根板1024が径方向外方に突設された第2軸管1023と、蝶番軸1025と、を有している。蝶番102においては、第1軸管1021と第2軸管1023とが上下方向D2に並ぶように配置され、この配置状態の第1軸管1021及び第2軸管1023に蝶番軸1025が挿通している。
【0027】
第1軸管1021は蝶番軸1025回りの回動が可能であり、当該第1軸管1021の回動に応じて、第1軸管1021に突設された第1羽根板1022も回動する。同様に、第2軸管1023は蝶番軸1025回りの回動が可能であり、当該第2軸管1023の回動に応じて、第2軸管1023に突設された第2羽根板1024も回動する。
【0028】
第1軸管1021は、第1羽根板1022がビス103によってドア100の側面に締め付け固定されることにより、ドア100に取付けられる。一方、第2軸管1023は、第2羽根板1024がビス103によってドア枠101の縦枠1011に締め付け固定されることにより、縦枠1011に取付けられる。これにより、ドア100は、ドア枠101に対して蝶番102を介して回動可能に取付けられる。
【0029】
ドア枠101に対して蝶番102を介してドア100を取付ける場合、ドア100がドア枠101に対して傾いた姿勢で取付けられることがないように、ドア100のドア枠101に対する角度を調整する調整作業が行われる。この調整作業において用いられるのが、角度調整用具1である。この角度調整用具1について、図1及び図2を参照して説明する。
【0030】
角度調整用具1は、ドア枠101に対して蝶番102を介して取付けられるドア100のドア枠101に対する角度を調整するために用いられる用具である。角度調整用具1は、用具本体2と、一対の調整ボルト3と、水平器4とを備えている。
【0031】
用具本体2は、角度調整用具1の本体部分を構成する。用具本体2は、所定方向D1に延びるとともにドア100を載置するための載置面20を有している。用具本体2は、蝶番102が開くようにドア100が回動された状態において、載置面20が上方を向くように、ドア100の下端1001と床面104との間に挿入される。具体的には、用具本体2は、載置面20が延びる所定方向D1がドア100の幅方向に沿うように位置決めされた状態で、ドア100の下端1001と床面104との間に挿入される。用具本体2がドア100の下端1001と床面104との間に挿入された状態では、用具本体2の載置面20がドア100の下端1001に対向又は接している。
【0032】
一対の調整ボルト3は、一対の脚部の一例である。一対の調整ボルト3は、頭部31と、頭部31から直線状に延びて雄ねじが切られた軸部32とを有するボルトである。一対の調整ボルト3は、用具本体2から載置面20の向く側と反対側に突出するとともに所定方向D1に互いに離間した位置に設けられている。具体的には、一対の調整ボルト3は、軸部32における頭部31と接続される基端側とは反対の軸先端321が載置面20側に向くとともに、頭部31が用具本体2から載置面20の向く側と反対側に向いている。用具本体2がドア100の下端1001と床面104との間に挿入された状態では、一対の調整ボルト3における頭部31が、用具本体2から載置面20の向く上方側と反対の下方側に突出して床面104に接する。
【0033】
更に、一対の調整ボルト3は、用具本体2からの突出量を個別に調整可能となるように、用具本体2に取付けられている。
【0034】
水平器4は、用具本体2の載置面20が延びる所定方向D1において、用具本体2の一対の調整ボルト3間の位置に設けられている。用具本体2がドア100の下端1001と床面104との間に挿入され、一対の調整ボルト3の頭部31が床面104に接した状態において、水平器4は、載置面20の床面104に対する水平度の確認が可能に構成されている。すなわち、水平器4によって、載置面20に載置されたドア100の床面104に対する水平度を確認することができる。
【0035】
上記構成の角度調整用具1では、用具本体2の載置面20にドア100を載置した状態において、一対の調整ボルト3の用具本体2からの突出量をそれぞれ個別に調整することにより、ドア枠101に対するドア100の取付け角度を調整することができる。この際、用具本体2の載置面20にドア100を載置した状態でドア100の取付け角度の調整が可能であるので、作業者によるドア100の持ち上げ作業を省略できる。このため、ドア100の取付け角度の調整作業に要する労力の軽減が可能である。更に、用具本体2の一対の調整ボルト3間の位置に設けられた水平器4を確認しながら、一対の調整ボルト3の用具本体2からの突出量をそれぞれ個別に調整することができる。これにより、水平器4を確認しながらの一対の調整ボルト3の突出量の調整に基づいて、ドア100の取付け角度を正確に調整することが可能である。
【0036】
図1及び図2に示されるように、用具本体2は、一対の被取付部21と薄肉部22とを有している。
【0037】
一対の被取付部21は、用具本体2において、一対の調整ボルト3がそれぞれ取付けられる部位である。一対の被取付部21は、用具本体2の所定方向D1の端部にそれぞれ配置される。一対の被取付部21において載置面20とは反対側の下面211には、調整ボルト3の軸部32の雄ねじに対応した雌ねじが切られたタップ2111が形成されている。調整ボルト3は、頭部31が被取付部21の外側に位置した状態で、軸部32がタップ2111と螺合することにより、被取付部21に取付けられる。すなわち、調整ボルト3の頭部31側の端部が被取付部21の下面211から突出し、且つ、軸部32の一部が被取付部21内に配置された状態で、軸部32とタップ2111との螺合に応じて突出量を調整可能となるように、調整ボルト3は被取付部21に取付けられる。この際、調整ボルト3は、軸部32の軸先端321が被取付部21内に収まるように、被取付部21に取付けられる。これにより、被取付部21において調整ボルト3の突出する方向の反対に向く面(上面)も、ドア100を載置するための載置面20として有効に利用することができる。
【0038】
用具本体2において薄肉部22は、所定方向D1において一対の被取付部21の間に設けられ、載置面20からの厚みが被取付部21の厚みよりも小さく設定された部位である。薄肉部22の上面は、一対の被取付部21の各上面とともに載置面20を構成する。薄肉部22において載置面20とは反対側の下面221は、載置面20と略平行に広がる面である。水平器4は、薄肉部22の下面221に取付けられている。これにより、用具本体2において、ドア100を載置するための載置面20を狭めることなく水平器4の取付け領域を確保することができるとともに、被取付部21よりも厚みが小さい薄肉部22によって規定される厚み方向(上下方向D2)のデッドスペースを、水平器4の取付け領域として有効に利用することができる。
【0039】
また、用具本体2は、水平器4を所定方向D1及び上下方向D2と直交する方向の両側に開放するための形状を有している。すなわち、用具本体2における薄肉部22の下面221に水平器4が取付けられた状態で、水平器4の周囲における所定方向D1及び上下方向D2と直交する方向の両側が開放している。これにより、水平器4を確認しながら一対の調整ボルト3の用具本体2からの突出量を調整するときに、水平器4に光を透過させることにより、水平器4を容易に確認することができる。
【0040】
次に、上記の角度調整用具1を用いてドア100の取付け角度を調整する角度調整方法について、ドア100の取付け角度の調整手順を示す図3A図3B及び図3Cと、図4のフローチャートとを参照して説明する。
【0041】
図4に示されるように、角度調整用具1を用いた角度調整方法は、姿勢調整工程S1と、支持工程S2と、角度調整工程S3と、取付工程S4と、用具退避工程S5とを含む。
【0042】
姿勢調整工程S1では、ドア枠101に対して蝶番102を介して取付けられたドア100を回動させて、蝶番102が開いた状態となるようにドア100の姿勢を調整する(図3A参照)。蝶番102が開いた状態となるようにドア100の姿勢が調整されると、支持工程S2では、載置面20が上方を向くようにドア100の下端1001と床面104との間に用具本体2を挿入するとともに、一対の調整ボルト3の突出量を増やすことにより、ドア100を角度調整用具1に支持させる(図3A参照)。角度調整用具1は、用具本体2の載置面20がドア100の下端1001に接するとともに、一対の調整ボルト3の頭部31が床面104に接した状態で、ドア100を支持する。なお、一対の調整ボルト3の用具本体2からの突出量は、調整ボルト3の軸部32と被取付部21のタップ2111との螺合に応じて調整することができる。
【0043】
支持工程S2では、載置面20が延びる所定方向D1がドア100の幅方向に沿うように用具本体2を位置決めした状態で、ドア100を角度調整用具1に支持させる。これにより、支持工程S2の後の角度調整工程S3において、一対の調整ボルト3の突出量の調整によってドア100の傾斜角度をより正確に調整することができる。
【0044】
角度調整用具1がドア100を支持した状態において、角度調整工程S3では、蝶番102によるドア枠101に対するドア100の拘束を緩める(図3B参照)。具体的には、蝶番102における第2羽根板1024の、ドア枠101の縦枠1011に対するビス103による締め付けを緩めることにより、蝶番102によるドア枠101に対するドア100の拘束を緩める。なお、蝶番102における第1羽根板1022の、ドア100に対するビス103による締め付けを緩めるようにしてもよい。この状態で、角度調整工程S3では、水平器4を確認しながら一対の調整ボルト3の相対的な突出量を調整することにより、ドア100の傾斜角度(ドア枠101に対するドア100の取付け角度)を調整する。
【0045】
ドア100の傾斜角度の調整が完了すると、取付工程S4では、ドア100を蝶番102を介してドア枠101に取付ける(図3B参照)。具体的には、蝶番102における第2羽根板1024の、ドア枠101の縦枠1011に対するビス103による締め付けによって、ドア100を蝶番102を介してドア枠101に取付ける。なお、角度調整工程S3において、蝶番102の第1羽根板1022のドア100に対するビス103による締め付けを緩めた場合には、当該ビス103を締め付ける。
【0046】
傾斜角度の調整されたドア100のドア枠101に対する取付けが完了すると、用具退避工程S5では、一対の調整ボルト3の突出量を減らすことにより、角度調整用具1によるドア100の支持を解除する(図3C参照)。そして、ドア100の下端1001と床面104との間の位置から角度調整用具1を退避させて、角度調整用具1を用いたドア100の取付け角度の調整作業を終了する。
【0047】
以上説明したように、角度調整用具1を用いた角度調整方法では、支持工程S2において、ドア100の下端1001と床面104との間に用具本体2が挿入された状態で一対の調整ボルト3の突出量を増やすことにより、角度調整用具1によってドア100を支持することができる。これにより、作業者によるドア100の持ち上げ作業を省略できるので、ドア100の取付け角度の調整作業に要する労力の軽減が可能である。そして、支持工程S2の後の角度調整工程S3において、蝶番102によるドア枠101に対するドア100の拘束を緩めた後、水平器4を確認しながら一対の調整ボルト3の相対的な突出量を調整することによりドア100の傾斜角度を調整する。これにより、水平器4を確認しながらの一対の調整ボルト3の突出量の調整に基づいて、ドア100の取付け角度を正確に調整することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 角度調整用具
2 用具本体
20 載置面
21 一対の被取付部
22 薄肉部
3 一対の調整ボルト(一対の脚部)
4 水平器
100 ドア
101 ドア枠(取付位置)
102 蝶番
D1 所定方向
D2 上下方向
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4