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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20240903BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B25J19/00 J
B25J19/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020216485
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102023
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-121362(JP,A)
【文献】特開2021-091053(JP,A)
【文献】特開2020-102116(JP,A)
【文献】特開2014-144495(JP,A)
【文献】特開2017-158417(JP,A)
【文献】国際公開第2020/213161(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
G05B 19/18 - 19/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アームおよび第2アームと、前記第1アームの位置を検出する第1位置検出部と、前記第2アームの位置を検出する第2位置検出部と、を有するロボットアームと、
前記第1位置検出部および前記第2位置検出部が出力した位置情報に基づいて前記ロボットアームの駆動を制御する駆動制御部と、
前記位置情報に基づいて、前記ロボットアームの作動が正常か否かを判断する監視部と、
前記駆動制御部および前記第1位置検出部と、前記駆動制御部および前記第2位置検出部と、をそれぞれ接続し、半二重通信を行う第1通信線と、
前記監視部および前記駆動制御部と、前記監視部および前記第1位置検出部と、前記監視部および前記第2位置検出部と、をそれぞれ接続し、半二重通信を行う第2通信線と、を備え、
前記駆動制御部は、前記第1通信線を介した前記第1位置検出部との第1通信と、前記第2通信線を介した前記第2位置検出部との第2通信とを、時間的に重複して行うことを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記第1通信と前記第2通信とは、制御周期が半周期ずれている請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記第1通信の開始時間と、前記第2通信の開始時間とは、一致しており、かつ、前記第1通信の終了時間と、前記第2通信の終了時間とは、一致している請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記監視部は、前記ロボットアームの作動が正常ではないと判断した場合、前記ロボットアームの作動を停止させる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記第2通信線は、二重化されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記ロボットアームは、前記第1アームおよび前記第2アームよりも手先側に位置する第3アームと、前記第3アームの位置を検出する第3位置検出部と、を備え、
前記第3位置検出部には、前記第1通信線および前記第2通信線のうちの一方のみが接続されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記第2通信線は、二重化されており、
前記第3位置検出部には、前記第1通信線が接続されている請求項6に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、工場では人件費の高騰や人材不足により、各種ロボットやそのロボット周辺機器によって、人手で行われてきた作業の自動化が加速している。例えば特許文献1に記載されたロボットは、ロボットアームと、ロボットアームを駆動するエンコーダーが内蔵された複数のモーターと、各モーターにそれぞれ接続されたサーボドライブと、各サーボドライブへの通電条件を制御するコントローラーと、各モーターの作動を監視する速度監視器と、を備える。
【0003】
また、特許文献1では、速度監視器は、各サーボドライブと1本の配線でそれぞれ接続されている。また、コントローラーは、各サーボドライブのうちの1つと配線で接続され、かつ、各サーボドライブがそれぞれ直列接続となるよう複数の配線で接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-354859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、速度監視器が各サーボドライブと1本の配線でそれぞれ接続されているため、配線の本数が多くなってしまう。さらに、特許文献1の構成では、コントローラーおよび速度監視器が各モーターの位置情報を取得し終わるまでに時間がかかってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロボットシステムは、第1アームおよび第2アームと、前記第1アームの位置を検出する第1位置検出部と、前記第2アームの位置を検出する第2位置検出部と、を有するロボットアームと、
前記第1位置検出部および前記第2位置検出部が出力した位置情報に基づいて前記ロボットアームの駆動を制御する駆動制御部と、
前記位置情報に基づいて、前記ロボットアームの作動が正常か否かを判断する監視部と、
前記駆動制御部および前記第1位置検出部と、前記駆動制御部および前記第2位置検出部と、をそれぞれ接続し、半二重通信を行う第1通信線と、
前記監視部および前記駆動制御部と、前記監視部および前記第1位置検出部と、前記監視部および前記第2位置検出部と、をそれぞれ接続し、半二重通信を行う第2通信線と、を備え、
前記駆動制御部は、前記第1通信線を介した前記第1位置検出部との第1通信と、前記第2通信線を介した前記第2位置検出部との第2通信とを、時間的に重複して行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のロボットシステムの第1実施形態の概略構成図である。
図2図1に示すロボットシステムの機能ブロック図である。
図3図1に示すエンコーダーの機能ブロック図である。
図4図1に示す駆動制御部および監視部の機能ブロック図である。
図5図1に示すエンコーダー、駆動制御部および監視部の接続方式を説明するための図である。
図6図1に示すエンコーダー、駆動制御部および監視部の通信タイミングを示すタイミングチャートである。
図7】本発明のロボットシステムの第2実施形態が備えるエンコーダー、駆動制御部および監視部の接続方式を説明するための図である。
図8図7に示すエンコーダーの機能ブロック図である。
図9図7に示す駆動制御部および監視部の機能ブロック図である。
図10図7に示すエンコーダー、駆動制御部および監視部の通信タイミングを示すタイミングチャートである。
図11】本発明のロボットシステムの第3実施形態が備えるエンコーダー、駆動制御部および監視部の接続方式を説明するための図である。
図12】本発明のロボットシステムの第4実施形態が備えるエンコーダー、駆動制御部および監視部の通信タイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のロボットシステムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、本発明のロボットシステムの第1実施形態の概略構成図である。図2は、図1に示すロボットシステムの機能ブロック図である。図3は、図1に示すエンコーダーの機能ブロック図である。図4は、図1に示す駆動制御部および監視部の機能ブロック図である。図5は、図1に示すエンコーダー、駆動制御部および監視部の接続方式を説明するための図である。図6は、図1に示すエンコーダー、駆動制御部および監視部の通信タイミングを示すタイミングチャートである。
【0010】
また、図1では、説明の便宜上、互いに直交する3軸として、x軸、y軸およびz軸を図示している。また、以下では、x軸に平行な方向を「x軸方向」、y軸に平行な方向を「y軸方向」、z軸に平行な方向を「z軸方向」とも言う。また、z軸回りの方向およびz軸に平行な軸回りの方向を「u方向」とも言う。
【0011】
また、以下では、説明の便宜上、図1中のz軸の矢印の先端側、すなわち、上側を「上」または「上方」とも言い、基端側、すなわち、下側を「下」または「下方」とも言う。また、ロボットアーム20については、図1中の基台21側を「基端」、その反対側、すなわち、エンドエフェクター25側を「先端」と言う。また、図1中のz軸方向、すなわち、上下方向を「鉛直方向」とし、x軸方向およびy軸方向を「水平方向」とする。
【0012】
図1および図2に示すロボットシステム100は、例えば、電子部品および電子機器等のワークの保持、搬送、組立ておよび検査等の作業で用いられる装置である。ロボットシステム100は、ロボット2と、ロボット2に対して動作プログラムを教示する教示装置3と、を備える。
【0013】
まず、ロボット2について説明する。
ロボット2は、図示の構成では、水平多関節ロボット、すなわち、スカラロボットである。図1に示すように、ロボット2は、基台21と、基台21に接続されたロボットアーム20と、エンドエフェクター25と、力検出部26と、これら各部の作動を制御する駆動制御部8Aと、を有する。
【0014】
基台21は、ロボットアーム20を支持する部分である。基台21には、後述する駆動制御部8Aが内蔵されている。また、基台21の任意の部分には、ロボット座標系の原点が設定されている。なお、図1に示すx軸、y軸およびz軸は、ロボット座標系の軸である。
【0015】
ロボットアーム20は、アーム22と、アーム23と、作業ヘッドであるアーム24と、を備えている。
【0016】
なお、ロボット2は、図示の構成に限定されず、アームの数は、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0017】
また、ロボット2は、アーム22を基台21に対して回転させる駆動ユニット4と、アーム23をアーム22に対して回転させる駆動ユニット5と、アーム24のシャフト241をアーム23に対して回転させるu駆動ユニット6と、シャフト241をアーム23に対してz軸方向に移動させるz駆動ユニット7と、を備えている。
【0018】
図1および図2に示すように、駆動ユニット4は、アーム22の筐体220内に内蔵されており、駆動力を発生するモーター41と、モーター41の駆動力を減速する減速機42と、モーター41または減速機42の回転軸の回転量を検出する第1エンコーダー9Aとを有している。ここで、回転量とは、一回転内における基準位置からの角度および回転数のいずれか一方、または両方を意味する。
【0019】
駆動ユニット5は、アーム23の筐体230に内蔵されており、駆動力を発生するモーター51と、モーター51の駆動力を減速する減速機52と、モーター51または減速機52の回転軸の回転量を検出する第2エンコーダー9Bとを有している。
【0020】
u駆動ユニット6は、アーム23の筐体230に内蔵されており、駆動力を発生するモーター61と、モーター61の駆動力を減速する減速機62と、モーター61または減速機62の回転軸の回転量を検出する第3エンコーダー9Cとを有している。
【0021】
z駆動ユニット7は、アーム23の筐体230に内蔵されており、駆動力を発生するモーター71と、モーター71の駆動力を減速する減速機72と、モーター71または減速機72の回転軸の回転量を検出する第4エンコーダー9Dとを有している。
【0022】
モーター41、モーター51、モーター61およびモーター71としては、例えば、ACサーボモーター、DCサーボモーター等のサーボモーターを用いることができる。モーター41、モーター51、モーター61およびモーター71は、それぞれ、対応する図示しないモータードライバーに接続されており、モータードライバーを介して駆動制御部8Aにより制御される。
【0023】
また、減速機42、減速機52、減速機62および減速機72としては、例えば、遊星ギア型の減速機、波動歯車装置等を用いることができる。
【0024】
基台21は、例えば、ボルト等によって力検出部26を介して図示しない床面に固定されている。基台21の上端部にはアーム22が連結されている。アーム22は、基台21に対して鉛直方向に沿う第1軸O1回りに回転可能となっている。アーム22を回転させる駆動ユニット4が駆動すると、アーム22が基台21に対して第1軸O1回りに水平面内で回転する。また、この回転の際、第1エンコーダー9Aにより、基台21に対するアーム22の回転量を検出することができる。
【0025】
また、アーム22の先端部には、アーム23が連結されている。アーム23は、アーム22に対して鉛直方向に沿う第2軸O2回りに回転可能となっている。第1軸O1の軸方向と第2軸O2の軸方向とは同一である。すなわち、第2軸O2は、第1軸O1と平行である。アーム23を回転させる駆動ユニット5が駆動すると、アーム23がアーム22に対して第2軸O2回りに水平面内で回転する。この回転の際、第2エンコーダー9Bにより、アーム22に対するアーム23の回転量を検出することができる。
【0026】
また、アーム23の先端部には、アーム24が設置、支持されている。アーム24は、シャフト241を有している。シャフト241は、アーム23に対して、鉛直方向に沿う第3軸O3回りに回転可能であり、かつ、上下方向に移動可能となっている。このシャフト241は、ロボットアーム20の最も先端のアームである。
【0027】
シャフト241を回転させるu駆動ユニット6が駆動すると、シャフト241は、z軸回りに回転する。この回転の際、第3エンコーダー9Cにより、アーム23に対するシャフト241の回転量が検出できるようになっている。
【0028】
また、シャフト241をz軸方向に移動させるz駆動ユニット7が駆動すると、シャフト241は、上下方向、すなわち、z軸方向に移動する。この移動の際、第4エンコーダー9Dにより、アーム23に対するシャフト241のz軸方向の移動量を検出することができる。
【0029】
また、ロボット2では、シャフト241の先端を制御点TCPとし、この制御点TCPを原点とした先端座標系が設定されている。また、この先端座標系は、前述したロボット座標系とキャリブレーションが済んでおり、先端座標系での位置をロボット座標系に変換することができる。これにより、制御点TCPの位置を、ロボット座標系で特定することができる。
【0030】
また、シャフト241の先端部には、各種のエンドエフェクターが着脱可能に連結される。エンドエフェクターとしては、特に限定されず、例えば、被搬送物を把持するもの、被加工物を加工するもの、検査に使用するもの等が挙げられる。本実施形態では、エンドエフェクター25が着脱可能に連結される。
【0031】
なお、エンドエフェクター25は、本実施形態では、ロボット2の構成要素になっていないが、エンドエフェクター25の一部または全部がロボット2の構成要素になっていてもよい。
【0032】
図1に示すように、力検出部26は、ロボット2に加わる力、すなわち、ロボットアーム20および基台21に加わる力を検出するものである。力検出部26は、本実施形態では、基台21の下方、すなわち、z軸負方向に設けられており、基台21を下方から支持している。
【0033】
力検出部26は、例えば、水晶等の圧電体で構成され、外力を受けると電荷を出力する複数の素子を有する構成とすることができる。また、駆動制御部8Aは、この電荷量に応じて、ロボットアーム20が受けた外力の値に変換することができる。また、このような圧電体であると、設置する向きに応じて、外力を受けた際に電荷を発生させることができる向きを調整可能である。
【0034】
次に、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dについて説明する。
なお、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dは、回転量を検出する対象のモーターが異なること以外は同様の構成であるため、以下、第1エンコーダー9Aについて代表的に説明する。
【0035】
図3に示すように、第1エンコーダー9Aは、制御部91と、制御部92と、検出部93と、I/Oインターフェース94と、I/Oインターフェース95と、I/Oインターフェース96と、I/Oインターフェース97と、コネクター98と、コネクター99と、を備える。
【0036】
制御部91および制御部92は、プロセッサーと、メモリーと、を有する。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)で構成され、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。メモリーは、プロセッサーが実行可能な各種プログラム等を保存する。メモリーとしては、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリー、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリー、揮発領域と不揮発領域とを有するメモリー等が挙げられる。
【0037】
検出部93は、例えば、モーター41の回転軸に接続された図示しないスケールと、スケールの回転を読み取る図示しない光学素子と、を有する。検出部93は、スケールの回転量に応じた信号を制御部91および制御部92に出力する。なお、検出部93における検出方式は、光学式、磁気式等、特に問わない。
【0038】
また、本実施形態では、検出部93は、異なる検出方式での検出結果を制御部91および制御部92に出力する。これにより、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dの信頼性を高めることができる。
【0039】
制御部91および制御部92は、検出部93から出力された信号を受信し、モーター41の回転量を算出する。この算出結果が、アーム22の位置情報である。
【0040】
I/Oインターフェース94は、第1通信線10Aを介して駆動制御部8Aと通信を行い、要求信号を受信し、制御部91に入力する。要求信号とは、駆動制御部8Aが出力し、位置信号を要求する信号である。
【0041】
I/Oインターフェース95は、第1通信線10Aを介して駆動制御部8Aと通信を行い、制御部91から出力された応答信号、すなわち、位置信号を出力信号として駆動制御部8Aに送信する。
【0042】
I/Oインターフェース96は、第2通信線10Bを介して監視部8Bと通信を行い、要求信号を受信し、制御部92に入力する。
【0043】
I/Oインターフェース97は、第2通信線10Bを介して監視部8Bと通信を行い、制御部92から出力された応答信号、すなわち、位置信号を出力信号として監視部8Bに送信する。
【0044】
I/Oインターフェース94~I/Oインターフェース97は、駆動制御部8Aまたは監視部8Bとパケット通信を行う。この通信方式は、シリアル通信である。すなわち、第1通信線10Aおよび第2通信線10Bは、送受信を時分割で行う半二重通信を行うものである。これにより、第1通信線10Aおよび第2通信線10Bが、パラレル通信を行う構成に比べ、第1通信線10Aおよび第2通信線10Bの配線数を減らすことができる。
【0045】
コネクター98は、第1通信線10Aが接続される接続部である。また、コネクター98は、シリアル通信を行う配線に対応する規格のものとされる。
【0046】
コネクター99は、第2通信線10Bが接続される接続部である。また、コネクター99は、シリアル通信を行う配線に対応する規格のものとされる。
【0047】
次に、駆動制御部8Aについて説明する。
図4に示すように、駆動制御部8Aは、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dから受信した位置情報に基づいて、ロボットアーム20の作動を制御する。具体的には、制御部811と、制御部812と、インバーター813と、電源回路814と、I/Oインターフェース815と、I/Oインターフェース816と、I/Oインターフェース817と、I/Oインターフェース818と、コネクター819と、コネクター820と、コネクター821と、を有する。
【0048】
制御部811および制御部812は、それぞれ、プロセッサーと、メモリーと、を有する。プロセッサーは、例えば、CPUで構成され、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。メモリーは、プロセッサーが実行可能な各種プログラム等を保存する。
【0049】
制御部811は、アーム22~アーム24の位置制御および速度制御を行う。すなわち、要求信号を生成、出力し、応答信号を受信する。制御部811は、受信した応答信号を制御部812に出力する。
【0050】
制御部812は、例えば、教示装置3から入力された教示情報に基づいて、ロボットアーム20の経路計画およびロボットアーム20の軌道を生成する。そして、制御部812は、制御部811から入力された各アーム位置情報と、メモリーに記憶されているプログラムに基づいて、アーム22~アーム24を目標位置までどのように動作させるか、また、どの程度の速度で駆動するかを決定し、その位置指令および速度指令に関する信号を制御部811に出力する。
【0051】
そして、制御部811は、入力された位置指令および速度指令に基づいて、電源回路814から供給される電力をインバーター813で交流に変換し、モーター41、モーター51、モーター61、およびモーター71への通電条件を制御する。
【0052】
なお、制御部812は、位置指令および速度指令に関する信号を制御部811に出力するとともに、監視部8Bに出力する。
【0053】
I/Oインターフェース815は、第1通信線10Aを介して第1エンコーダー9A、第2エンコーダー9B、第3エンコーダー9Cおよび第4エンコーダー9Dと通信を行い、位置情報を要求する要求信号をそれぞれ送信する。なお、I/Oインターフェース815が送信する要求信号は、制御部811で生成されるものであり、位置情報を駆動制御部8Aおよび監視部8Bに送信するよう第1エンコーダー9A、第2エンコーダー9B、第3エンコーダー9Cおよび第4エンコーダー9Dに要求する信号である。
【0054】
I/Oインターフェース816は、第1通信線10Aを介して第1エンコーダー9A、第2エンコーダー9B、第3エンコーダー9Cおよび第4エンコーダー9Dと通信を行い、位置情報の応答信号を受信し、制御部811に出力する。
【0055】
I/Oインターフェース817は、第2通信線10Bを介して第1エンコーダー9A、第2エンコーダー9B、第3エンコーダー9Cおよび第4エンコーダー9Dと通信を行い、位置情報を要求する要求信号をそれぞれ送信する。
【0056】
I/Oインターフェース818は、第2通信線10Bを介して第1エンコーダー9A、第2エンコーダー9B、第3エンコーダー9Cおよび第4エンコーダー9Dと通信を行い、位置情報の応答信号を受信し、制御部811に出力する。
【0057】
コネクター819は、第1通信線10Aが接続される接続部である。また、コネクター819は、シリアル通信を行う配線に対応する規格のものとされる。
【0058】
コネクター820は、第2通信線10Bが接続される接続部である。また、コネクター820は、シリアル通信を行う配線に対応する規格のものとされる。
【0059】
コネクター821は、モーターへの信号線や、電力線等が接続される複数のポートを有する接続部である。
【0060】
図1および図2に示すように、駆動制御部8Aは、本実施形態では、基台21に内蔵されている。ただし、この構成に限定されず、基台21の外側の任意の位置に設置される構成であってもよい。
【0061】
次に、監視部8Bについて説明する。
図4に示すように、監視部8Bは、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dから受信した位置情報が、正常か否かを判断する機能を有する。監視部8Bは、制御部822と、制御部823と、電源監視回路824と、電源遮断回路825と、I/Oインターフェース826と、I/Oインターフェース827と、コネクター828と、を有する。
【0062】
制御部822および制御部823は、それぞれ、プロセッサーと、メモリーと、を有する。プロセッサーは、例えば、CPUで構成され、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。メモリーは、プロセッサーが実行可能な各種プログラム等を保存する。
【0063】
制御部822は、I/Oインターフェース826を介して受信した位置情報に基づいて、制御点TCPの位置および制御点TCPの速度を計算する。また、制御部822は、I/Oインターフェース826を介して受信した位置情報と、駆動制御部8Aの制御部812から入力された位置指令の情報と、が一致しているか否かを判断する。すなわち、制御部822は、各アーム22~アーム24に対する位置指令に基づいて、各アーム22~アーム24が指令通りに移動したか否かを判断する。一致していないと判断した場合、ロボットの作動が正常ではないと見做し、電源遮断回路825に対して、ロボットアーム20に対する電力の供給を停止するよう指令を送信する。また、制御部822は、算出した制御点TCPの速度が所定速度以下であるか否かを判断する。制御点TCPの速度が所定速度を超えたと判定した場合、ロボットの作動が正常ではないと見做し、電源遮断回路825に対して、ロボットアーム20に対する電力の供給を停止するよう指令を送信する。
【0064】
このように監視部8Bは、ロボットアーム20の作動が正常ではないと判断した場合、ロボットアーム20の作動を停止させる。これにより、安全性を高めることができる。
【0065】
制御部823は、I/Oインターフェース827を介して受信した位置情報に基づいて、制御点TCPの位置および制御点TCPの速度を計算する。また、制御部823は、I/Oインターフェース827を介して受信した位置情報と、駆動制御部8Aの制御部812から入力された位置指令の情報と、が一致しているか否かを判断する。この判断およびその後の制御動作は、制御部822と同様である。また、2つの制御部822および制御部823は、互いに正常であるか監視を行う。
【0066】
このように、2つの制御部822および制御部823で、ロボットアーム20の作動が正常であるか否かを監視する。これにより、ロボット2を作動させる際の安全性を高めることができる。
【0067】
電源監視回路824は、電源から供給された電力が正常であるか否かを判断する。電源監視回路824は、電源から供給された電力が正常ではないと判断した場合、電源遮断回路825に対して、ロボットアーム20に対する電力の供給を停止するよう指令を送信する。これにより、ロボットアーム20の各部に例えば過剰な電力が供給されるのを防止することができる。よって、ロボット2を作動させる際の安全性を高めることができる。
【0068】
I/Oインターフェース826は、第2通信線10Bを介して第1エンコーダー9A、第2エンコーダー9B、第3エンコーダー9Cおよび第4エンコーダー9Dと通信を行い、位置情報の応答信号を受信し、制御部822に出力する。
【0069】
I/Oインターフェース827は、第2通信線10Bを介して第1エンコーダー9A、第2エンコーダー9B、第3エンコーダー9Cおよび第4エンコーダー9Dと通信を行い、位置情報の応答信号を受信し、制御部823に出力する。
【0070】
コネクター828は、第2通信線10Bが接続される接続部である。また、コネクター828は、シリアル通信を行う配線に対応する規格のものとされる。
【0071】
次に、教示装置3について説明する。
図1および図2に示すように、教示装置3は、ロボットアーム20の作動を制御する機能を有し、プロセッサー31と、記憶部32と、通信部33と、表示部34とを有する。教示装置3としては、特に限定されず、例えば、タブレット、パソコン、スマートフォン等が挙げられる。
【0072】
プロセッサー31は、CPU等で構成され、記憶部32に記憶されている教示プログラム等の各種プログラムを読み出し、実行する。なお、教示プログラムは、教示装置3で生成されたものであってもよく、例えばCD-ROM等の外部記録媒体から記憶されたものであってもよく、ネットワーク等を介して記憶されたものであってもよい。
【0073】
プロセッサー31で生成された信号は、通信部33を介してロボット2の駆動制御部8Aに送信される。これにより、ロボットアーム20が所定の作業を所定の条件で実行したりすることができる。また、プロセッサー31は、図1に示す表示部34の駆動を制御する。
【0074】
記憶部32は、プロセッサー31が実行可能な各種プログラム等を保存する。記憶部32としては、例えば、RAM等の揮発性メモリー、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリー、着脱式の外部記憶装置等が挙げられる。
【0075】
通信部33は、例えば有線LAN、無線LAN等の外部インターフェースを用いて駆動制御部8Aとの間で信号の送受信を行う。
【0076】
表示部34は、表示画面を有する各種ディスプレイで構成されている。本実施形態では、一例としてタッチパネル式、すなわち、表示部34が表示機能と入力操作機能とを備える構成として説明する。オペレーターが表示画面を触ると、プロセッサー31は、所定の表示に切り替えたりする制御を行う。
【0077】
ただし、このような構成に限定されず、別途、入力操作部を備える構成であってもよい。この場合、入力操作部としては、例えば、マウス、キーボード等が挙げられる。また、タッチパネルと、マウス、キーボードを併用する構成であってもよい。
【0078】
ここで、図5に示すように、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9D、駆動制御部8Aおよび監視部8Bは、それぞれ、第1通信線10Aおよび第2通信線10Bによって、接続されている。第1通信線10Aは、バス101Aと、バス101Aに接続された配線102A、配線103A、配線104A、配線105Aおよび配線106Aと、を有する。第2通信線10Bは、バス101Bと、バス101Bに接続された配線102B、配線103B、配線104B、配線105B、配線106Bおよび配線107Bと、を有する。
【0079】
配線102Aは、バス101Aと駆動制御部8Aとを接続する。配線103Aは、バス101Aと第1エンコーダー9Aとを接続する。配線104Aは、バス101Aと第2エンコーダー9Bとを接続する。配線105Aは、バス101Aと第3エンコーダー9Cとを接続する。配線106Aは、バス101Aと第4エンコーダー9Dとを接続する。
【0080】
配線102Bは、バス101Bと駆動制御部8Aとを接続する。配線103Bは、バス101Bと第1エンコーダー9Aとを接続する。配線104Bは、バス101Bと第2エンコーダー9Bとを接続する。配線105Bは、バス101Bと第3エンコーダー9Cとを接続する。配線106Bは、バス101Bと第4エンコーダー9Dとを接続する。配線107Bは、バス101Bと監視部8Bとを接続する。
【0081】
次に、図6に示すタイミングチャートを用いて、図5を参照しつつ、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9D、駆動制御部8Aおよび監視部8Bの通信タイミングについて説明する。なお、図6中「req」は、要求信号を示し、「resp」は、応答信号を示す。また、監視部8Bのタイミングチャートにおける「req」は、実際には駆動制御部8Aが監視部8Bに応答信号を送信するように要求し、エンコーダーに送信するが、説明をわかりやすくするために、監視部8Bのタイミングチャートに示している。
【0082】
また、図6図7図10図12中、「J1」は、第1エンコーダー9Aのことを示し、「J2」は、第2エンコーダー9Bのことを示し、「J3」は、第3エンコーダー9Cのことを示し、「J4」は、第4エンコーダー9Dのことを示している。また、図6中、「proc」は、応答信号を生成する処理を示す。
【0083】
まず、時間T1において、駆動制御部8Aは、第1通信線10Aを介して第3エンコーダー9Cに対し、位置情報を要求する要求信号の送信を開始する。また、時間T1において、駆動制御部8Aは、第2通信線10Bを介して第1エンコーダー9Aに対し、監視部8Bに位置情報を送信するよう要求する要求信号の送信を開始する。要求信号を送信し始めて完了するまでの所要時間は、例えば、5us程度である。
【0084】
次いで、時間T2において、第1エンコーダー9Aおよび第3エンコーダー9Cに対する要求信号の送信が完了し、第1エンコーダー9Aおよび第3エンコーダー9Cが、位置情報に関する信号の生成を開始する。そして、例えば10us後の時間T3において、第1エンコーダー9Aが監視部8Bに対する応答信号の送信を開始し、第3エンコーダー9Cが駆動制御部8Aに対する応答信号の送信を開始する。
【0085】
時間T3において、監視部8Bが第1エンコーダー9Aからの応答信号の受信を開始するとともに、駆動制御部8Aが第3エンコーダー9Cからの応答信号の受信を開始する。そして、例えば8us後の時間T4において、それぞれ受信が完了する。受信した情報は、メモリーに記憶される。
【0086】
なお、時間T4から次の処理を実行するまでに例えば8.25usの時間を経る。ここまでが制御周期における1/4周期であり、その所要時間は、31.25usである。以降においても、1/4周期ごとの所要時間は同じであり、受信時間、送信時間、処理時間も上記とそれぞれ同じである。
【0087】
次いで、8.25us後の時間T5において、駆動制御部8Aは、第1通信線10Aを介して第4エンコーダー9Dに対し、位置情報を要求する要求信号の送信を開始する。また、時間T5において、駆動制御部8Aは、第2通信線10Bを介して第2エンコーダー9Bに対し、監視部8Bに位置情報を送信するよう要求する要求信号の送信を開始する。
【0088】
次いで、時間T6において、第2エンコーダー9Bおよび第4エンコーダー9Dに対する要求信号の送信が完了し、第2エンコーダー9Bおよび第4エンコーダー9Dが、位置情報に関する信号の生成を開始する。そして、時間T7において、第2エンコーダー9Bが監視部8Bに対する応答信号の送信を開始し、第4エンコーダー9Dが駆動制御部8Aに対する応答信号の送信を開始する。そして、時間T8において、それぞれ受信が完了する。受信した情報は、メモリーに記憶される。
【0089】
次いで、8.25us後の時間T9において、駆動制御部8Aは、第1通信線10Aを介して第1エンコーダー9Aに対し、位置情報を要求する要求信号の送信を開始する。また、時間T9において、駆動制御部8Aは、第2通信線10Bを介して第3エンコーダー9Cに対し、監視部8Bに位置情報を送信するよう要求する要求信号の送信を開始する。
【0090】
次いで、時間T10において、第1エンコーダー9Aおよび第3エンコーダー9Cに対する要求信号の送信が完了し、第1エンコーダー9Aおよび第3エンコーダー9Cが、位置情報に関する信号の生成を開始する。そして、時間T11において、第3エンコーダー9Cが監視部8Bに対する応答信号の送信を開始し、第1エンコーダー9Aが駆動制御部8Aに対する応答信号の送信を開始する。そして、時間T12において、それぞれ受信が完了する。受信した情報は、メモリーに記憶される。
【0091】
次いで、8.25us後の時間T13において、駆動制御部8Aは、第1通信線10Aを介して第2エンコーダー9Bに対し、位置情報を要求する要求信号の送信を開始する。また、時間T13において、駆動制御部8Aは、第2通信線10Bを介して第4エンコーダー9Dに対し、監視部8Bに位置情報を送信するよう要求する要求信号の送信を開始する。
【0092】
次いで、時間T14において、第2エンコーダー9Bおよび第4エンコーダー9Dに対する要求信号の送信が完了し、第2エンコーダー9Bおよび第4エンコーダー9Dが、位置情報に関する信号の生成を開始する。そして、時間T15において、第2エンコーダー9Bが監視部8Bに対する応答信号の送信を開始し、第4エンコーダー9Dが駆動制御部8Aに対する応答信号の送信を開始する。そして、時間T16において、それぞれ受信が完了する。受信した情報は、メモリーに記憶される。
【0093】
このように、駆動制御部8Aは、第1通信線10Aを介して、時分割で第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dに要求信号を送信するとともに、第1通信線10Aを介して、時分割で第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dから応答信号を受信する。また、監視部8Bは、第2通信線10Bを介して、時分割で第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dから応答信号を受信する。すなわち、駆動制御部8A、監視部8Bおよび第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dは、半二重通信によって、時分割でそれぞれ通信を行う。これにより、第1通信線10Aおよび第2通信線10Bの配線数が増加してしまうのを抑制することができる。
【0094】
また、駆動制御部8Aは、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dからの応答信号を全て受信し終わった後、すなわち、制御周期における1周期が過ぎると、各応答信号に基づいてロボットアーム20の位置および姿勢を算出し、次の指令を出力する。このような制御を繰り返すことにより、ロボットアーム20が所望の動作を行うことができる。
【0095】
また、監視部8Bは、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dからの応答信号を全て受信し終わった後、すなわち、制御周期における1周期が過ぎると、前述したように、各応答信号に基づいて、制御点TCPの速度を算出して速度が所定速度以下であるか否かを判断するとともに、各アーム22~アーム24が指令通りに移動したか否かを判断する。このような制御を繰り返すことにより、ロボットアーム20の安全性を確保することができる。
【0096】
また、前述したように、ロボットシステム100では、駆動制御部8Aが、第3エンコーダー9Cと通信を行っているときに、監視部8Bが、第1エンコーダー9Aと通信を行い、駆動制御部8Aが、第4エンコーダー9Dと通信を行っているときに、監視部8Bが、第2エンコーダー9Bと通信を行い、駆動制御部8Aが、第1エンコーダー9Aと通信を行っているときに、監視部8Bが、第3エンコーダー9Cと通信を行い、駆動制御部8Aが、第3エンコーダー9Cと通信を行っているときに、監視部8Bが、第1エンコーダー9Aと通信を行う。
【0097】
また、前述したように、駆動制御部8Aは、第1通信線10Aを介して第3エンコーダー9Cに対し、位置情報を要求する要求信号を送信する通信と、第2通信線10Bを介して第1エンコーダー9Aに対し、監視部8Bに位置情報を送信するよう要求する要求信号の送信を送信する通信と、を時間的に重複して、本実施形態では、同時に行う。
【0098】
また、駆動制御部8Aは、第1通信線10Aを介して第4エンコーダー9Dに対し、位置情報を要求する要求信号を送信する通信と、第2通信線10Bを介して第2エンコーダー9Bに対し、監視部8Bに位置情報を送信するよう要求する要求信号の送信を送信する通信とを同時に行う。
【0099】
また、駆動制御部8Aは、第1通信線10Aを介して第1エンコーダー9Aに対し、位置情報を要求する要求信号を送信する通信と、第2通信線10Bを介して第3エンコーダー9Cに対し、監視部8Bに位置情報を送信するよう要求する要求信号の送信を送信する通信とを同時に行う。
【0100】
また、駆動制御部8Aは、第1通信線10Aを介して第2エンコーダー9Bに対し、位置情報を要求する要求信号を送信する通信と、第2通信線10Bを介して第4エンコーダー9Dに対し、監視部8Bに位置情報を送信するよう要求する要求信号の送信を送信する通信とを同時に行う。
【0101】
このように、駆動制御部8Aが第1通信線10Aを介して行う通信を第1通信とし、駆動制御部8Aが第2通信線10Bを介して行う通信を第2通信としたとき、駆動制御部8Aは、第1通信と第2通信とを時間的に重複して行う。これにより、第1通信と第2通信とが時間的に重複している分、駆動制御部8Aおよび監視部8Bが第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dの全ての位置情報を取得し終わるまでの所要時間を短縮することができる。特に、本発明では、配線数を減らすために、駆動制御部8A、監視部8Bおよび第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dは、半二重通信によって、時分割でそれぞれ通信を行う構成である。このような構成の場合、駆動制御部8Aおよび第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dの通信と、監視部8Bおよび第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dの通信と、をそれぞれ時分割で行った場合、駆動制御部8Aおよび監視部8Bが第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dの全ての位置情報を取得し終わるまでの所要時間が比較的長くなってしまう。これに対し、本発明では、半二重通信で配線数を減らしたにも関わらず、第1通信と第2通信とを時間的に重複して行うことにより、駆動制御部8Aおよび監視部8Bが第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dの全ての位置情報を取得し終わるまでの所要時間を短縮することができる。以上より、本発明によれば、配線数の低減と、通信時間の短縮とを両立することができる。
【0102】
また、第1通信の開始時間と、第2通信の開始時間とは、一致しており、かつ、第1通信の終了時間と、第2通信の終了時間とは、一致している。これにより、通信時間をより効果的に短縮することができる。
【0103】
なお、上記では、第1通信および第2通信の開始時間が一致し、かつ、第1通信および第2通信の終了時間が一致している場合について説明したが、本発明ではこれに限定されず、第1通信および第2通信の一部でも時間的に重複していれば、開始時間および終了時間のうちの一方、または、双方がずれていてもよい。
【0104】
また、第1通信と第2通信とは、制御周期が半周期ずれている。具体的には、図6に示すように、時間T1~時間T9までの間、すなわち、制御周期の半周期の間に、監視部8Bが第1エンコーダー9Aおよび第2エンコーダー9Bと通信を行い、駆動制御部8Aが第3エンコーダー9Cおよび第4エンコーダー9Dと通信を行う。このような構成によれば、駆動制御部8Aおよび監視部8Bが受信した位置情報を共有することにより、制御周期の半周期の間に、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dの位置情報を取得することができる。その結果、ロボットアーム20をより正確に駆動することができるとともに、安全性を監視する頻度をより高めることができる。
【0105】
なお、本実施形態では、制御周期は、従来の制御周期の2倍である。複数のエンコーダーの信号を時分割で多重化する場合、エンコーダーの数は通信周期と通信帯域によって制限される。このため、制御周期を2倍にすることで、通信に必要な時間を確保し、エンコーダーの数を増やすことができる。
【0106】
以上説明したように、本発明のロボットシステム100は、第1アームおよび第2アームを有するロボットアーム20と、第1アームの位置を検出する第1位置検出部と、第2アームの位置を検出する第2位置検出部と、第1位置検出部および第2位置検出部が出力した位置情報に基づいてロボットアーム20の駆動を制御する駆動制御部8Aと、前記位置情報に基づいてロボットアーム20の作動が正常か否かを判断する監視部8Bと、駆動制御部8Aおよび第1位置検出部と、駆動制御部8Aおよび第2位置検出部と、をそれぞれ接続し、半二重通信を行う第1通信線10Aと、監視部8Bおよび駆動制御部8Aと、監視部8Bおよび第1位置検出部と、監視部8Bおよび第2位置検出部と、をそれぞれ接続し、半二重通信を行う第2通信線10Bと、を備え、駆動制御部8Aは、第1通信線10Aを介した第1位置検出部との第1通信と、第2通信線10Bを介した第2位置検出部との第2通信とを、時間的に重複して行う。なお、上記「第1アーム」および上記「第2アーム」は、アーム22~アーム24のうちの任意の2つを適用することができ、上記「第1位置検出部」および上記「第2位置検出部」は、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dのうち、「第1アーム」および「第2アーム」で選択したアームの位置を検出するものを適用することができる。
【0107】
このような構成によれば、第1通信線10Aおよび第2通信線10Bが半二重通信を行うため、配線数を減らすことができる。また、半二重通信で配線数を減らしたものの、第1通信と第2通信とを時間的に重複して行うことにより、駆動制御部8Aおよび監視部8Bが第1位置検出部および第2位置検出部の双方の位置情報を取得し終わるまでの所要時間を短縮することができる。以上より、本発明によれば、配線数の低減と、通信時間の短縮とを両立することができる。
【0108】
<第2実施形態>
図7は、本発明のロボットシステムの第2実施形態が備えるエンコーダー、駆動制御部および監視部の接続方式を説明するための図である。図8は、図7に示すエンコーダーの機能ブロック図である。図9は、図7に示す駆動制御部および監視部の機能ブロック図である。図10は、図7に示すエンコーダー、駆動制御部および監視部の通信タイミングを示すタイミングチャートである。
【0109】
以下、図7図10を参照して本発明のロボットシステムの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0110】
図7に示すように、ロボットシステム100は、第3通信線10Cを有する。第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9D、駆動制御部8Aおよび監視部8Bは、それぞれ、第3通信線10Cによって、接続されている。第3通信線10Cは、バス101Cと、バス101Cに接続された配線102C、配線103C、配線104C、配線105C、配線106Cおよび配線107Cと、を有する。
【0111】
配線102Cは、バス101Cと駆動制御部8Aとを接続する。配線103Cは、バス101Cと第1エンコーダー9Aとを接続する。配線104Cは、バス101Cと第2エンコーダー9Bとを接続する。配線105Cは、バス101Cと第3エンコーダー9Cとを接続する。配線106Cは、バス101Cと第4エンコーダー9Dとを接続する。配線107Cは、バス101Cと監視部8Bとを接続する。
【0112】
また、第1エンコーダー9Aは、第1実施形態で述べた構成に加え、さらに、制御部91Aと、I/Oインターフェース92Aと、I/Oインターフェース93Aと、コネクター94Aと、を備える。
【0113】
制御部91Aは、プロセッサーと、メモリーと、を有する。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)で構成され、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。メモリーは、プロセッサーが実行可能な各種プログラム等を保存する。メモリーとしては、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリー、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリー、揮発領域と不揮発領域とを有するメモリー等が挙げられる。
【0114】
制御部91Aは、検出部93から出力された信号を受信し、モーター41の回転量を算出する。
【0115】
I/Oインターフェース92Aは、第3通信線10Cを介して監視部8Bと通信を行い、要求信号を受信し、制御部91Aに入力する。
【0116】
I/Oインターフェース93Aは、第3通信線10Cを介して監視部8Bと通信を行い、制御部91Aから出力された応答信号、すなわち、位置信号を送信する。
【0117】
コネクター94Aは、第3通信線10Cが接続される接続部である。また、コネクター94Aは、シリアル通信を行う配線に対応する規格のものとされる。
【0118】
このような構成は、第2エンコーダー9B~第4エンコーダー9Dに関しても同様である。
【0119】
また、駆動制御部8Aは、第1実施形態で述べた構成に加え、さらに、コネクター836と、I/Oインターフェース837と、を備える。
【0120】
コネクター836は、第2通信線10Bが接続される接続部である。また、コネクター836は、シリアル通信を行う配線に対応する規格のものとされる。
【0121】
I/Oインターフェース837は、第2通信線10Bを介して第1エンコーダー9A、第2エンコーダー9B、第3エンコーダー9Cおよび第4エンコーダー9Dと通信を行い、位置情報を要求する要求信号をそれぞれ送信する。
【0122】
また、監視部8Bは、第1実施形態で述べた構成に加え、さらに、コネクター836を有する。コネクター836は、第2通信線10Bが接続される接続部である。また、コネクター836は、シリアル通信を行う配線に対応する規格のものとされる。
【0123】
また、監視部8Bは、第2通信線10Bから受信した位置情報と、第3通信線10Cから受信した位置情報と、を比較する。そして、これらが一致していなければ、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dのいずれかに故障が生じているとみなす。これにより、さらに信頼性を高めることができる。
【0124】
また、図10に示すように、監視部8Bが、第2通信線10Bを用いて第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dと通信を行うタイミングと、第3通信線10Cを用いて第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dと通信を行うタイミングとは、一致している。
【0125】
このように、本実施形態では、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dおよび監視部8Bは、それぞれ、第2通信線10Bおよび第3通信線10Cによって接続されている。すなわち、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dおよび監視部8Bを接続する配線は、二重化されている。
【0126】
なお、第1エンコーダー9A~第4エンコーダー9Dおよび監視部8Bがそれぞれ2本の通信線で接続されているということは、第2通信線10Bが二重化されているとも言える。第2通信線が、二重化されていることにより、一方の通信線に断線が生じたとしても、他方の通信線を用いて通信を行い、前記第1実施形態で述べたような制御を行うことができる。従って、信頼性をさらに高めることができる。
【0127】
<第3実施形態>
図11は、本発明のロボットシステムの第3実施形態が備えるエンコーダー、駆動制御部および監視部の接続方式を説明するための図である。
【0128】
以下、図11を参照して本発明のロボットシステムの第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図11に示すように、本実施形態では、第4エンコーダー9Dには、第1通信線10Aのみが接続されており、第2通信線10Bおよび第3通信線10Cの接続が省略されている。
【0129】
このように、ロボット2は、第1アームであるアーム22および第2アームであるアーム23よりも手先側に位置する第3アームであるアーム24と、アーム24の位置を検出する第3位置検出部と、を備え、第3位置検出部には、第1通信線10Aおよび第2通信線10Bのうちの一方のみ、図示の構成では、第1通信線10Aのみが接続されている。なお、上記「第2位置検出部」は、第3エンコーダー9Cまたは第4エンコーダー9Dのいずれかを適用することができる。このような構成によれば、配線本数をさらに減らすことができる。特に、手先側のアーム24は、アーム22およびアーム23に比べ、可動範囲が小さいため、位置精度が若干低くてもよい。また、手先側のアーム24は、アーム22およびアーム23に比べ、内部の空間が狭くなっている。このため、アーム24に関する配線を減らすことにより、ロボットアーム20の位置精度の低下を可及的に抑制しつつ、配線本数を減らすことができ、手先側のアーム24を小型にすることができる。
【0130】
また、第2通信線10Bは、二重化されており、第3位置検出部には、第1通信線10Aが接続されている。このように、二重化された第2通信線10Bと第3位置検出部との接続を省略することにより、さらに効果的に配線本数を減らすことができる。
【0131】
<第4実施形態>
図12は、本発明のロボットシステムの第4実施形態が備えるエンコーダー、駆動制御部および監視部の通信タイミングを示すタイミングチャートである。
【0132】
本実施形態では、ロボット2は、図示はしないが、6軸ロボットである。すなわち、第1アームと、第2アームと、第3アームと、第4アームと、第5アームと、第6アームと、第1アームの位置を検出する第1位置検出部と、第2アームの位置を検出する第2位置検出部と、第3アームの位置を検出する第3位置検出部と、第4アームの位置を検出する第4位置検出部と、第5アームの位置を検出する第5位置検出部と、第6アームの位置を検出する第6位置検出部と、を備える。
【0133】
また、駆動制御部8A、監視部8Bおよび第1位置検出部~第6位置検出部の通信は、図12に示すようなタイミングで行われる。なお、図12中、「J1」は、第1位置検出部を示し、「J2」は、第2位置検出部を示し、「J3」は、第3位置検出部を示し、「J4」は、第4位置検出部を示し、「J5」は、第5位置検出部を示し、「J6」は、第6位置検出部を示す。
【0134】
監視部8Bが第1位置検出部と通信を行っているとき、駆動制御部8Aは、第4位置検出部と通信を行う。監視部8Bが第2位置検出部と通信を行っているとき、駆動制御部8Aは、第5位置検出部と通信を行う。監視部8Bが第3位置検出部と通信を行っているとき、駆動制御部8Aは、第6位置検出部と通信を行う。監視部8Bが第4位置検出部と通信を行っているとき、駆動制御部8Aは、第1位置検出部と通信を行う。監視部8Bが第5位置検出部と通信を行っているとき、駆動制御部8Aは、第2位置検出部と通信を行う。監視部8Bが第6位置検出部と通信を行っているとき、駆動制御部8Aは、第4位置検出部と通信を行う。
【0135】
また、駆動制御部8Aは、第4位置検出部に対する要求信号の送信、第3位置検出部からの応答信号の受信、第5位置検出部に対する要求信号の送信、第4位置検出部からの応答信号の受信、第6位置検出部に対する要求信号の送信、第5位置検出部からの応答信号の受信、第1位置検出部に対する要求信号の送信、第6位置検出部からの応答信号の受信、第2位置検出部に対する要求信号の送信、第1位置検出部からの応答信号の受信、第3位置検出部に対する要求信号の送信、第2位置検出部からの応答信号の受信、を順次行う。
【0136】
このように、本発明によれば、6軸ロボットにおいても配線数を減らしつつ、第1位置検出部~第6位置検出部との通信時間の短縮を図ることができる。特に、異なる位置検出部に対して要求信号の送信および応答信号の受信を繰り返すため、応答信号を生成する処理時間を長く要する場合に、さらに効果的に通信時間の短縮を図ることができる。
【0137】
以上、本発明のロボットシステムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、ロボットシステムには、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0138】
2…ロボット、3…教示装置、4…駆動ユニット、5…駆動ユニット、6…u駆動ユニット、7…z駆動ユニット、8A…駆動制御部、8B…監視部、9A…第1エンコーダー、9B…第2エンコーダー、9C…第3エンコーダー、9D…第4エンコーダー、10A…第1通信線、10B…第2通信線、10C…第3通信線、20…ロボットアーム、21…基台、22…アーム、23…アーム、24…アーム、25…エンドエフェクター、26…力検出部、31…プロセッサー、32…記憶部、33…通信部、34…表示部、41…モーター、42…減速機、51…モーター、52…減速機、61…モーター、62…減速機、71…モーター、72…減速機、91…制御部、91A…制御部、92…制御部、92A…I/Oインターフェース、93…検出部、93A…I/Oインターフェース、94…I/Oインターフェース、94A…コネクター、95…I/Oインターフェース、96…I/Oインターフェース、97…I/Oインターフェース、98…コネクター、99…コネクター、100…ロボットシステム、101A…バス、101B…バス、101C…バス、102A…配線、102B…配線、102C…配線、103A…配線、103B…配線、103C…配線、104A…配線、104B…配線、104C…配線、105A…配線、105B…配線、105C…配線、106A…配線、106B…配線、106C…配線、107B…配線、107C…配線、220…筐体、230…筐体、241…シャフト、811…制御部、812…制御部、813…インバーター、814…電源回路、815…I/Oインターフェース、816…I/Oインターフェース、817…I/Oインターフェース、818…I/Oインターフェース、819…コネクター、820…コネクター、821…コネクター、822…制御部、823…制御部、824…電源監視回路、825…電源遮断回路、826…I/Oインターフェース、827…I/Oインターフェース、828…コネクター、36…コネクター、837…I/Oインターフェース、O1…第1軸、O2…第2軸、O3…第3軸、TCP…制御点
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