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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
H02M3/28 Q
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020561349
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 JP2019048638
(87)【国際公開番号】W WO2020129796
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2018240208
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古木 正芳
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-139258(JP,A)
【文献】特開平10-229676(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0244331(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0078036(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の正極と負極との間に直列接続される、上アームを構成する第1のスイッチング素子と、下アームを構成する第2のスイッチング素子と、を含む第1のアーム回路と、
前記直流電源の正極と負極との間に直列接続される、上アームを構成する第3のスイッチング素子と、下アームを構成する第4のスイッチング素子と、を含む第2のアーム回路と、
1次巻線と、直流を出力する出力回路が接続される2次巻線と、を含むトランスと、
一端が前記1次巻線の第1の端に接続される第1のインダクタと、該第1のインダクタの他端に接続されるコンデンサと、を含む直列共振回路と、
前記第3のスイッチング素子および前記第4のスイッチング素子の直列接続の接続点に一端が接続される第2のインダクタと、
前記第1のアーム回路および前記第2のアーム回路の駆動を制御する制御回路と、
を備え、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子が直列接続される接続点が前記トランスの前記1次巻線の第2の端に接続され、
前記第1のインダクタと前記コンデンサとが接続される接続点に前記第2のインダクタの他端が接続され
前記第2のインダクタの容量と前記1次巻線の励磁インダクタンスによる第3のインダクタの容量とが、前記第3のインダクタと前記第2のインダクタとが並列接続されると見做した場合の合成容量が前記第2のアーム回路を有さない場合の前記励磁インダクタンスによるインダクタと同等になるように選択される、
電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記第1のアーム回路と、前記第2のアーム回路と、を同位相で駆動する
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記出力回路から出力される出力電力が所定電力で、前記第2のアーム回路の状態を、停止状態と動作状態とで切り替える
請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記第2のアーム回路を駆動するためのPWM信号のデューティを徐々に変化させて、前記第2のアーム回路の状態を停止状態から動作状態へと切り替える
請求項1に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記第1のアーム回路と、前記第2のアーム回路と、を逆位相で駆動する
請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
直流電源の正極と負極との間に直列接続される、上アームを構成する第1のスイッチング素子と、下アームを構成する第2のスイッチング素子と、を含む第1のアーム回路と、
前記直流電源の正極と負極との間に直列接続される、上アームを構成する第3のスイッチング素子と、下アームを構成する第4のスイッチング素子と、を含む第2のアーム回路と、
1次巻線と、直流を出力する出力回路が接続される2次巻線と、を含むトランスと、
一端が前記1次巻線の第1の端に接続されるコンデンサと、一端が該1次巻線の第2の端に接続される第1のインダクタと、を含む直列共振回路と、
前記第3のスイッチング素子および前記第4のスイッチング素子の直列接続の接続点に一端が接続される第2のインダクタと、
前記第1のアーム回路および前記第2のアーム回路の駆動を制御する制御回路と、
を備え、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子が直列接続される接続点が前記第1のインダクタの他端に接続され、
前記第2のインダクタの他端が前記コンデンサと、前記1次巻線の前記第1の端と、の接続点に接続され
前記第2のインダクタの容量と前記1次巻線の励磁インダクタンスによる第3のインダクタの容量とが、前記第3のインダクタと前記第2のインダクタとが並列接続されると見做した場合の合成容量が前記第2のアーム回路を有さない場合の前記励磁インダクタンスによるインダクタと同等になるように選択される、
電源装置。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記第1のアーム回路と、前記第2のアーム回路と、を同位相で駆動する
請求項6に記載の電源装置。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記出力回路から出力される直流電源の電圧が所定電圧で、前記第2のアーム回路の状態を、停止状態と動作状態とで切り替える
請求項6に記載の電源装置。
【請求項9】
前記制御回路は、
前記第2のアーム回路を駆動するためのPWM信号のデューティを徐々に変化させて、前記第2のアーム回路の状態を停止状態から動作状態へと切り替える
請求項6に記載の電源装置。
【請求項10】
前記制御回路は、
前記第1のアーム回路と、前記第2のアーム回路と、を逆位相で駆動する
請求項6に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのインダクタ(L)と、1つのコンデンサ(C)とを用いたLLC電流共振電源によるスイッチング電源装置(以下、LLC型スイッチング電源装置と呼ぶ)が知られている。
【0003】
既存のLLC型スイッチング電源装置は、典型的には、例えば、それぞれスイッチング素子により構成され、直列接続される上アームおよび下アームと、コンデンサおよびインダクタを含む直列共振回路と、この直列共振回路に接続されるトランスと、を備える。LLC型スイッチング電源装置は、上アームおよび下アームを交互に駆動して交流電流を発生させ、この交流電流に基づく直列共振回路の作用により、トランスの2次巻線から、入力された直流電源に対応する出力が取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-177595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LLC型スイッチング電源装置は、比較的簡易な構成で効率的に電源を供給できるため、近年では、広く用いられている。そのため、特性をより向上させ、利便性を高めることが求められている。
【0006】
本開示は、より利便性の高い電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するために、本開示の電源装置は、直流電源の正極と負極との間に直列接続される、上アームを構成する第1のスイッチング素子と、下アームを構成する第2のスイッチング素子と、を含む第1のアーム回路と、前記直流電源の正極と負極との間に直列接続される、上アームを構成する第3のスイッチング素子と、下アームを構成する第4のスイッチング素子と、を含む第2のアーム回路と、1次巻線と、直流を出力する出力回路が接続される2次巻線と、を含むトランスと、一端が前記1次巻線の第1の端に接続される第1のインダクタと、該第1のインダクタの他端に接続されるコンデンサと、を含む直列共振回路と、前記第3のスイッチング素子および前記第4のスイッチング素子の直列接続の接続点に一端が接続される第2のインダクタと、前記第1のアーム回路および前記第2のアーム回路の駆動を制御する制御回路と、を備え、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子が直列接続される接続点が前記トランスの前記1次巻線の第2の端に接続され、前記第1のインダクタと前記コンデンサとが接続される接続点に前記第2のインダクタの他端が接続され、前記第2インダクタの容量と前記1次巻線の励磁インダクタンスによる第3のインダクタの容量とが、前記第3のインダクタと前記第2のインダクタとが並列接続されると見做した場合の合成容量が前記第2のアーム回路を有さない場合の前記励磁インダクタンスによるインダクタと同等になるように選択される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】既存技術による電源装置の一例の構成を示す回路図である。
図2】既存技術による電源装置の寄生要素を考慮した一例の回路図である。
図3A】既存技術による電源装置の動作をより具体的に説明するための図である。
図3B】既存技術による電源装置の動作をより具体的に説明するための図である。
図3C】既存技術による電源装置の動作をより具体的に説明するための図である。
図3D】既存技術による電源装置の動作をより具体的に説明するための図である。
図4】第1の実施形態に係る電源装置の一例の構成を示す回路図である。
図5】第1の実施形態に係る電源装置の寄生要素を考慮した一例の回路図である。
図6】第1の実施形態に適用可能な制御ユニットのより詳細な構成の例を示すブロック図である。
図7】第1の実施形態に係る制御ユニットによる、各スイッチング素子を駆動するための駆動信号の例を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る電源装置の出力と、既存技術による電源装置の出力とを比較した例を示す図である。
図9】第1の実施形態の第1の変形例に係る制御をより具体的に説明するための図である。
図10】第2のアーム回路の動作を停止状態から動作状態に切り替えた際の各部の変動の例を示す図である。
図11】第1の実施形態の第2の変形例に係る、第2のアーム回路に供給する駆動信号のDutyを徐々に変化させた場合の出力電圧の変化を実測した例を示す図である。
図12】第1の実施形態の第2の変形例に係る、第2のアーム回路の動作を動作状態から停止状態に切り替えた際の各部の変動の例を示す図である。
図13A】第1の実施形態の第2の変形例による、切り替えポイントにおける出力電圧の変動の抑制について考察するための図である。
図13B】第1の実施形態の第2の変形例による、切り替えポイントにおける出力電圧の変動の抑制について考察するための図である。
図13C】第1の実施形態の第2の変形例による、切り替えポイントにおける出力電圧の変動の抑制について考察するための図である。
図13D】第1の実施形態の第2の変形例による、切り替えポイントにおける出力電圧の変動の抑制について考察するための図である。
図14】第1の実施形態の第4の変形例に係る電源装置の一例の構成を示す回路図である。
図15】第2の実施形態に係る、制御ユニット10による各スイッチング素子を駆動するための駆動信号の例を示す図である。
図16】既存技術によるLLC型スイッチング電源装置の等価回路を用いた特性のシミュレーション結果の例を示す図である。
図17】第2の実施形態に係る、LLC型スイッチング電源装置の等価回路に、逆位相の駆動信号を追加した場合のシミュレーション結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより、重複する説明を省略する。
【0010】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態に係るLLC電流共振電源によるスイッチング電源装置(以下、電源装置と略称する)について説明する。先ず、理解を容易とするために、既存技術による電源装置について説明する。
【0011】
図1は、既存技術による電源装置の一例の構成を示す回路図である。図1において、既存技術による電源装置1000は、アーム回路部1001と、共振回路部1002と、トランスTrと、出力回路部1003と、制御ユニット20と、を含む。トランスTrは、1次巻線と2次巻線とを含み、以下、便宜上、1次巻線の黒点が付されていない側の端を第1の端、黒点が付されている側の端を第2の端として説明を行う。
【0012】
アーム回路部1001は、それぞれ上アームおよび下アームを構成し、直列接続されるスイッチング素子Q1およびQ2を含む。スイッチング素子Q1およびQ2は、例えば、N型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が用いられ、後述する制御ユニット20からゲートに供給される駆動信号に従いオン(閉状態)およびオフ(開状態)が制御される。スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとが接続され、スイッチング素子Q1およびQ2が直列接続される。スイッチング素子Q1のドレインに、入力となる直流電源Vmの正極端が接続され、スイッチング素子Q2のソースに、当該直流電源Vmの負極端が接続される。また、スイッチング素子Q1およびQ2の直列接続の接続点が、トランスTrにおける1次巻線の第2の端に接続される。
【0013】
共振回路部1002は、直列接続されるインダクタLr1とコンデンサCr1とからなる直列共振回路を含む。直列共振回路のインダクタLr1側の端がトランスTrにおける1次巻線の第1の端に接続され、コンデンサCr1側の端がスイッチング素子Q2のソースおよび直流電源Vmの負極側に接続される。
【0014】
インダクタLpは、トランスTrの1次巻線の励磁インダクタンスによるものである。図1の例では、インダクタLpがトランスTrの1次巻線に並列に接続されているように示されている。
【0015】
トランスTrの2次巻線に、出力回路部1003が接続される。出力回路部1003は、図1の例では、ダイオードD1およびD2と、平滑コンデンサCL1と、を含む。出力回路部1003は、トランスTrの2次巻線から取り出される交流電流を、ダイオードD1およびD2により二相全波整流し、整流出力を平滑コンデンサCL1により平滑し、直流電源として、抵抗R1として表される負荷に出力する。
【0016】
制御ユニット20は、ドライブ回路200と、オシレータ210と、制御ロジック部220と、を含む。オシレータ210は、制御ロジック部220に指示された周波数およびデューティのPWM(Pulse Width Modulation)による信号を生成する。ドライブ回路200は、オシレータ210により生成されたPWMによる信号に従い、スイッチング素子Q1およびQ2を駆動する。このとき、ドライブ回路200は、オシレータ210により生成された信号に基づきスイッチング素子Q1を駆動すると共に、当該信号を反転した反転信号に基づきスイッチング素子Q2を駆動する。
【0017】
また、出力回路部1003の出力は、制御ロジック部220にも供給される。制御ロジック部220は、例えば、供給された出力回路部1003の出力の電圧値に基づき、オシレータ210により生成されるPWMによる駆動信号の周波数およびデューティ(以下、Dutyとして説明する)を制御する。このフィードバック制御により、出力回路部1003の出力を安定化できる。
【0018】
図2は、上述した図1に対応する、既存技術による電源装置1000の寄生要素を考慮した一例の回路図である。図2において、スイッチング素子Q1は、スイッチSW1と、ダイオードDQ1と、抵抗RQ1と、コンデンサC3とを含む。スイッチSW1は、ドライブ回路200から供給される駆動信号に従いオン、オフが制御される。ダイオードDQ1のアノードが、スイッチSW1の一端とコンデンサC3の一端とにそれぞれ接続される。この、ダイオードDQ1のアノードと、スイッチSW1の一端と、コンデンサC3の一端との接続点が、スイッチング素子Q1のソースに対応する。ダイオードDQ1のカソードは、抵抗RQ1の一端に接続される。抵抗RQ1の他端は、コンデンサC3の他端に接続される。この、抵抗RQ1の他端と、コンデンサC3の他端との接続点が、スイッチング素子Q1のドレインに対応する。ダイオードDQ1のカソードと抵抗RQ1との接続点が、スイッチSW1の他端に接続される。
【0019】
スイッチング素子Q2も、スイッチング素子Q1と同様である。すなわち、スイッチング素子Q2は、それぞれスイッチング素子Q1のスイッチSW1と、ダイオードDQ1と、抵抗RQ1と、コンデンサC3と、にそれぞれ対応するスイッチSW2と、ダイオードDQ2と、抵抗RQ2と、コンデンサC1と、を含む。これらスイッチSW2と、ダイオードDQ2と、抵抗RQ2と、コンデンサC1と、の接続関係は、上述したスイッチング素子Q1におけるスイッチSW1と、ダイオードDQ1と、抵抗RQ1と、コンデンサC3と、による接続と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0020】
トランスTrにおいて、1次巻線の第2の端と、コンデンサCr1の一端との間に、インダクタLr1が接続される。インダクタLr1は、例えばトランスTrの1次巻線の漏れインダクタンスである。トランスTrの1次巻線の第2の端と、コンデンサC1およびC3の接続点とが接続される。
【0021】
制御ユニット20は、ドライブ回路200により生成されるPWMによる駆動信号に従いスイッチSW1およびSW2を交互に切り替えて、トランスTrの1次巻線側において直流電源Vmから交流電流を生成する。これにより、トランスTrの2次巻線側にトランスTrの巻線比に応じた交流電流が発生する。トランスTrの2次巻線側において発生した交流電流は、出力回路部1003においてダイオードD1およびD2により整流され、さらに平滑コンデンサCL1により平滑されて、直流電源として、抵抗R1として表される負荷に出力される。
【0022】
このとき、制御ユニット20は、スイッチSW1およびSW2の切り替えを、例えば、スイッチSW2(スイッチング素子Q2)の電圧が略0Vになった状態でスイッチSW2をオンとする、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)を行う。
【0023】
図3A図3Dは、既存技術による電源装置1000の動作をより具体的に説明するための図である。先ず、図3Aに示されるように、スイッチSW1(スイッチング素子Q1がオン、スイッチSW2(スイッチング素子Q2)がオフの状態を考える。この場合、スイッチSW1がオンとなっているので、スイッチSW1に正方向の電流が流れる。この電流は、図3Aにおいて実線矢印にて示されるように、スイッチSW1(スイッチング素子Q1)から、インダクタLpを介して、インダクタLr1およびコンデンサCr1からなる直列共振回路に供給される。
【0024】
なお、図3Aおよび図3Cの点線矢印は、トランスTrの1次巻線に流れる電流を示している。
【0025】
次に、スイッチSW1に正方向の電流が流れている状態で、スイッチSW1をオフにする。スイッチSW1をオフにした直後は、図3Bに実線矢印にて示されるように、スイッチング素子Q2に含まれるダイオードDQ2を介してスイッチング素子Q2側に負方向の電流が流れる。直列共振回路における共振電流は、連続的に変化する。ダイオードDQ2に電流が流れている間に、スイッチSW2をオンとする。このとき、スイッチング素子Q2の電圧が略0Vになった状態でスイッチSW2をオンとする、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)を行う。
【0026】
スイッチSW2がオンとされると、図3Cに示されるように、スイッチSW2(スイッチング素子Q2)に対して正方向の電流が流れる。この状態でスイッチSW2をオフとすると、スイッチSW2をオフとした直後は、図3Dに実線矢印にて示されるように、スイッチング素子Q1に含まれるダイオードDQ1を介してスイッチング素子Q1側に負方向の電流が流れる。直列共振回路における共振電流は、連続的に変化する。ダイオードDQ1に電流が流れている間に、スイッチSW1を、ZVSによりオンとする。これにより、図3Aの状態に戻る。以降、スイッチSW1およびSW2(スイッチング素子Q1およびQ2)を、上述のように順次に駆動制御し、図3A図3Dの動作を巡回的に行う。
【0027】
(第1の実施形態に係る構成)
次に、第1の実施形態に係る構成について説明する。図4は、第1の実施形態に係る電源装置の一例の構成を示す回路図である。図4において、第1の実施形態に係る電源装置1は、図1に示した既存技術による電源装置1000に対して、スイッチング素子Q3およびQ4と、インダクタLr2と、を追加している。
【0028】
電源装置1において、アーム回路部1010は、上述したアーム回路部1001に対応する第1のアーム回路部1020と、それぞれ上アームおよび下アームを構成し、直列接続されるスイッチング素子Q3およびQ4を含む第2のアーム回路部1021と、を含む。
【0029】
第2のアーム回路部1021において、スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q3のドレインとが接続され、スイッチング素子Q3およびQ4が直列接続される。スイッチング素子Q3のドレインに、入力となる直流電源Vmの正極端が接続され、スイッチング素子Q4のソースに、当該直流電源Vmの負極端が接続される。すなわち、第1のアーム回路部1020と第2のアーム回路部1021とは、直流電源Vmに対して並列に接続されている。
【0030】
スイッチング素子Q3およびQ4が直列接続される接続点が、インダクタLr2の一端に接続される。インダクタLr2の他端が、インダクタLr1とコンデンサCr1とが接続される接続点に接続される。すなわち、スイッチング素子Q3およびQ4の接続点は、インダクタLr2およびLr1を介してトランスTrの1次巻線における第1の端に接続される。
【0031】
また、上述した制御ユニット20に対応する制御ユニット10は、それぞれドライブ回路200、オシレータ110および制御ロジック部120に対応するドライブ回路100と、オシレータ110と、制御ロジック部120と、を含む。ドライブ回路100は、例えば各スイッチング素子Q1、Q2、Q3およびQ4を独立して制御可能とされている。
【0032】
図5は、上述した図4に対応する、第1の実施形態に係る電源装置1の寄生要素を考慮した一例の回路図である。図5において、スイッチング素子Q3およびQ4の寄生要素を考慮した構成は、図2を用いて説明したスイッチング素子Q1およびQ2の構成と同様である。
【0033】
すなわち、スイッチング素子Q3は、それぞれスイッチング素子Q1のスイッチSW1と、ダイオードDQ1と、抵抗RQ1と、コンデンサC3と、に対応するスイッチSW3と、ダイオードDQ3と、抵抗RQ3と、コンデンサC4と、を含む。さらに、スイッチング素子Q4は、それぞれスイッチング素子Q1のスイッチSW1と、ダイオードDQ1と、抵抗RQ1と、コンデンサC3と、に対応するスイッチSW4と、ダイオードDQ4と、抵抗RQ4と、コンデンサC2と、を含む。
【0034】
スイッチング素子Q3が含むスイッチSW3と、ダイオードDQ3と、抵抗RQ3と、コンデンサC4と、の接続関係は、上述したスイッチング素子Q1におけるスイッチSW1と、ダイオードDQ1と、抵抗RQ1と、コンデンサC3と、による接続と同様なので、詳細な説明を省略する。また、スイッチング素子Q4が含むスイッチSW4と、ダイオードDQ4と、抵抗RQ4と、コンデンサC2と、の接続関係は、上述したスイッチング素子Q2におけるスイッチSW2と、ダイオードDQ2と、抵抗RQ2と、コンデンサC1と、による接続と同様なので、詳細な説明を省略する。コンデンサC2とコンデンサC4との接続点が、インダクタLr2の一端に接続される。
【0035】
図6は、第1の実施形態に適用可能な制御ユニット10のより詳細な構成の例を示すブロック図である。図6において、制御ユニット10は、ドライブ回路1001、1002、1003および1004と、オシレータ110と、Duty制御部121および位相制御部122を含む制御ロジック部120と、を有する。ドライブ回路1001、1002、1003および1004は、オシレータ110および位相制御部122から供給される各信号に基づき、それぞれスイッチング素子Q1、Q2、Q3およびQ4を駆動する駆動信号を出力する。
【0036】
制御ユニット10において、オシレータ110は、スイッチング素子Q1、Q2、Q3およびQ4毎にPWMによる信号を生成する。Duty制御部121は、オシレータ110が生成するPWMによる各信号の周波数およびDutyを制御する。オシレータ110は、生成した各信号を、ドライブ回路1001、1002、1003および1004にそれぞれ供給する。
【0037】
位相制御部122は、各ドライブ回路1001、1002、1003および1004に供給されたPWMによる信号の位相を制御する。例えば、位相制御部122は、各ドライブ回路1001、1002、1003および1004に供給されたPWMによる各信号を、それぞれ独立して反転させることができる。また、位相制御部122は、各ドライブ回路1001、1002、1003および1004に供給されたPWMによる各信号に対して、ロー状態に所定のマージンを含めることができる。これにより、各スイッチング素子Q1~Q4は、オフ状態に所定のマージンを含んで交互にオン、オフを切り替えられ、ZVSを実現できる。
【0038】
(第1の実施形態に係る動作)
次に、第1の実施形態に係る電源装置1による動作について説明する。第1の実施形態では、電源装置1は、第1のアーム回路部1020と第2のアーム回路部1021とを同位相で制御する。図7は、第1の実施形態に係る制御ユニット10による、各スイッチング素子Q1、Q2、Q3およびQ4を駆動するための駆動信号の例を示す図である。図7において、上から、スイッチング素子Q1、Q2、Q3およびQ4を駆動するための、PWMによる駆動信号の例を示している。この図7の例では、スイッチング素子Q1およびQ3を駆動するための各駆動信号は、Dutyが50%とされている。
【0039】
図7に例示されるように、第1のアーム回路部1020に含まれる、スイッチング素子Q1を駆動する駆動信号が反転された信号が、スイッチング素子Q2を駆動する駆動信号とされている。同様に、第2のアーム回路部1021に含まれる、スイッチング素子Q3を駆動する駆動信号が反転された信号が、スイッチング素子Q4を駆動する駆動信号とされている。
【0040】
また、図7の例では、第1のアーム回路部1020に含まれる各スイッチング素子Q1およびQ2を駆動する各駆動信号と、第2のアーム回路部1021に含まれる各スイッチング素子Q3およびQ4を駆動する各駆動信号とが、同位相とされている。すなわち、スイッチング素子Q1およびQ3は、同一のタイミングでオン、オフが制御される。また、スイッチング素子Q2およびQ4は、同一のタイミング、且つ、スイッチング素子Q1およびQ3に対して反転して、オン、オフが制御される。
【0041】
なお、図7の例では、スイッチング素子Q2を駆動する駆動信号のロー期間は、スイッチング素子Q1を駆動する駆動信号の、当該ロー期間に対応するハイ期間に対して広く制御される。同様に、スイッチング素子Q4を駆動する駆動信号のロー期間は、スイッチング素子Q2を駆動する駆動信号の、当該ロー期間に対応するハイ期間に対して広く制御される。これにより、上述したZVSが実行される。
【0042】
図8は、第1の実施形態に係る電源装置1の出力と、図1および図2を用いて説明した既存技術による電源装置1000の出力とを比較した例を示す図である。図8において、縦軸は効率、横軸は出力電力を示している。図8において、特性線30および31は、既存技術による電源装置1000の出力例を示す。
【0043】
これらのうち、特性線30は、インダクタLp(図1および図2参照)のインダクタンスが第1の値(例えば235[μH])の場合の例、特性線31は、インダクタLpのインダクタンスが第1の値の略2倍(例えば484[μH])の場合の例を示す。特性線32は、第1の実施形態に係る電源装置1の出力例を示す。この場合、インダクタLpのインダクタンスが上述の第2の値(例えば484[μH])とされ、インダクタLr2のインダクタンスが当該第2の値と近い値(例えば520[μH])とされている。
【0044】
また、スイッチング方式の電源装置においては、入力電圧に対して出力電圧が維持できる下限の入力電圧が存在する。以下では、この下限の入力電圧を、レギュレート下限電圧と呼ぶ。上述した各特性線30、31および32に対応する各構成のレギュレート下限電圧が、それぞれ223[V]、274[V]および223[V]であるものとする。一般的に、LLC型スイッチング方式の電源装置においては、レギュレート下限電圧と効率とは、トレードオフの関係にある。すなわち、レギュレート下限電圧が高いほど効率が高くなる。一方、レギュレート下限電圧が低いことは、より広い範囲の入力電圧に対応可能であることを示している。
【0045】
図8から分かるように、レギュレート下限電圧が等しい構成に基づく特性線32と特性線30とを比較した場合、特性線32の示す効率は、特性線30が示す効率に対して出力電力が70[W]程度から700[W]程度の範囲について、0.5%~1.5%ほど高い。また、レギュレート下限電圧が特性線32の構成に対して高い場合の特性線31については、ある出力電力(図8の例では260[W]付近)を境界に、当該出力電圧が高い領域では、特性線32の示す効率が、特性線31の示す効率に対して0.5%程度、高い。
【0046】
なお、ここでいう効率は、入力される直流電源による電力に対する、出力される電力の比率をいう。入力される直流電源による電力と、出力される電力とが等しい場合、100%の効率である。また、出力される電力が、入力される直流電源による電力の1/2である場合、50%の効率である。
【0047】
図8の特性線32と特性線30とを比較すると、レギュレート下限電圧が同一の条件下においては、第1の実施形態に係る電源装置1は、既存技術による電源装置1000と比較して効率が高いことが分かる。
【0048】
この理由の一つとして、各スイッチング素子Q1、Q2、Q3およびQ4の導通損失が関係していることが考えられる。ここで、電源装置1が含む各スイッチング素子Q1、Q2、Q3およびQ4、ならびに、電源装置1000が含む各スイッチング素子Q1およびQ2の抵抗が1[Ω]とし、直流電源Vmの電流が4[A]であるものとする。また、抵抗Rの素子に電流Iが流れた場合の、当該素子における導通損失Los[W]は、Los=I×I×Rにて算出される。
【0049】
電源装置1000においては、電流I=4[A]の直流電源Vmがスイッチング素子Q1に流れ込み、この場合のスイッチング素子Q1における導通損失Losは、Los=4×4×1=16[W]となる。
【0050】
一方、電源装置1においては、直流電源Vmは、直流電源Vmに対して共通して接続されるスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q3とにそれぞれ流れ込む。したがって、スイッチング素子Q1およびQ3に流れ込む電流は、それぞれ電流I×(1/2)=2[A]となる。この場合のスイッチング素子Q1およびQ3における導通損失Losは、Los=(2×2×1)×2=8[W]となり、上述した電源装置1000の例と比較して、1/2となっている。
【0051】
また、第1の実施形態に係る電源装置1が既存技術による電源装置1000と比較して効率が高い、別の理由として、当該電源装置1では、第1のアーム回路部1020と第2のアーム回路部1021とによる励磁電流の分散が考えられる。すなわち、励磁電流が分散することにより、上述した各スイッチング素子Q1、Q2、Q3およびQ4による導通損失Losの例と同様に、導通損失を低減していることが考えられる。
【0052】
ここで、レギュレート下限電圧は、一般的には、インダクタLpの値が作用する。第1の実施形態に係る電源装置1では、既存技術による電源装置1000に対して追加されたインダクタLr2が、回路全体として、インダクタLpに対して並列に接続されていると見做すことができる。この並列接続されたインダクタLr2およびLpの各容量を、これらの合成容量が電源装置1000におけるインダクタLpと同等となるように、選択する。これにより、上述したように、特性線30に対応する、既存技術による電源装置1000に係る構成と、特性線32に対応する、第1の実施形態による電源装置1に係る構成とで、レギュレート下限電圧を略等しくすることができる。
【0053】
このように、第1の実施形態に係る電源装置1は、既存技術による電源装置1000に対して、2つのスイッチング素子Q3およびQ4と、1つのインダクタLr2とを追加するだけで、効率を改善することができる。またこれにより、第1の実施形態に係る電源装置1は、既存技術による電源装置1000と比較して、より利便性を高めることが可能である。
【0054】
(第1の実施形態の第1の変形例)
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。上述したように、図8において、上述した第1の実施形態に係る電源装置1による特性線32に対して、特性線31が所定点(例えば出力電力=260[W])にて交差し、当該所定点未満の出力電圧において、電源装置1の効率が、既存技術による電源装置1000の効率を下回っている。そこで、第1の実施形態の第1の変形例では、レギュレート下限電圧が高い場合に、この特性線31と特性線32とが交差する所定点を切り替えポイントとして、第2のアーム回路部1021の動作を切り替える。
【0055】
図9は、第1の実施形態の第1の変形例に係る制御をより具体的に説明するための図である。図9において、各特性線30、31および32は、上述した図8の各特性線30、31および32と同一である。図9に例示されるように、電源装置1は、出力電力が切り替えポイント40の電力未満の場合には、第2のアーム回路部1021の動作を停止させ、出力電力が当該切り替えポイント40の電力以上の場合に、第2のアーム回路部1021を動作させる。
【0056】
すなわち、図9に示されるように、レギュレート下限電圧の高い構成に対応する特性線31は、レギュレート下限電圧が当該特性線31の場合よりも低い構成に対応する特性線30と比較して、全体にわたって高効率を示している。一方、特性線31は、上述の第1の実施形態に係る電源装置1の構成であって、特性線30の場合と同等のレギュレート下限電圧に対応する特性線32と比較して、低負荷時、すなわち切り替えポイント40の電力未満の出力電力では高効率であり、高負荷時、すなわち切り替えポイント40以上の出力電力では低効率となっている。また、上述したように、特性線31に対応する電源装置1000の構成において、インダクタLpのインダクタンスが484[μH]とされ、特性線32に対応する電源装置1の構成におけるインダクタLpのインダクタンスも484[μH]とされている。
【0057】
第1の実施形態の第1の変形例では、電源装置1のインダクタLpのインダクタンスを、上述のように選択する。より具体的には、電源装置1のインダクタLpのインダクタンスを、特性線31に示す高効率の構成におけるインダクタLpのインダクタンスと同等になるように選択する。さらに、電源装置1のインダクタLpのインダクタンスを、インダクタLpとインダクタLr2とを並列接続した際の合成インダクタンスが、特性線30で示す低レギュレート下限電圧に対応する構成におけるインダクタLpのインダクタンスと略同等になるように選択する。
【0058】
第1の実施形態の第1の変形例に係る電源装置1は、このような構成とすることで、出力電力が切り替えポイント40の電力未満の場合に第2のアーム回路部1021の動作を停止させ(オフ)、出力電力が切り替えポイント40の電力以上の場合に第2のアーム回路部1021を動作させる(オン)ことにより、出力電力の広い範囲において、高効率を得ることができる。またこれにより、第1の実施形態の第1の変形例に係る電源装置1は、既存の電源装置1000に対して、より利便性を高めることが可能である。
【0059】
なお、第2のアーム回路部1021の動作停止は、例えば、スイッチング素子Q3およびQ4に供給する駆動信号のDutyを0%にすることで実現できる。例えば、制御ユニット10は、出力回路部1003から供給された出力に基づき、出力電力を求め、求めた出力電力が切り替えポイント40未満であるか否かを判定する。
【0060】
制御ユニット10は、出力電力が切り替えポイント40未満であると判定した場合、Duty制御部121により、スイッチング素子Q3およびQ4に対してDutyが0%の信号を生成するように、オシレータ110を制御する。オシレータ110は、生成したDutyが0%の信号を、スイッチング素子Q3およびQ4を駆動するためのドライブ回路1003および1004に供給する。
【0061】
なお、Duty制御部121は、第1のアーム回路部1020のスイッチング素子Q1およびQ2については、切り替え以前と同様の信号を生成するように、オシレータ110を制御する。
【0062】
(第1の実施形態の第2の変形例)
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。第1の実施形態の第2の変形例は、例えば上述した第1の実施形態の第1の変形例において、出力電力が切り替えポイント40の電力未満から、当該切り替えポイント40の電力以上に遷移した場合の対応例である。
【0063】
出力電力が切り替えポイント40の電力未満から、当該切り替えポイント40の電力以上に遷移した場合、電源装置1の動作は、例えば次のようになる。すなわち、出力電力が切り替えポイント40の電力未満の状態では、第1のアーム回路部1020が動作し、第2のアーム回路部1021が停止している。この状態から出力電圧が切り替えポイント40の電力以上に遷移すると、電源装置1は、第1のアーム回路部1020が動作したまま、第2のアーム回路部1021が停止状態から動作状態に切り替わる。
【0064】
この場合、第2のアーム回路部1021が停止状態から動作状態に切り替わる瞬間に、電源装置1において、電圧、電流が大きく上昇する部分が発生する。図10は、第2のアーム回路部1021の動作を停止状態から動作状態に切り替えた際の各部の変動の例を示す図である。この図10は、図4および図5を用いて説明した回路に基づき実測した結果の例を示している。
【0065】
図10において、縦軸は電圧または電流、横軸は時間を示し、切り替えポイント40に対して時間的に前の期間は、第2のアーム回路部1021が停止状態(Duty=0%)とされ、切り替えポイント40において、第2のアーム回路部1021が停止状態から動作状態(Duty=50%)に移行される。特性50は、電源装置1の出力回路部1003から出力される出力電圧、特性51および52は、それぞれ、共振回路部1002に含まれるコンデンサCr1の電流および電圧の例を示している。
【0066】
切り替えポイント40の前後において、ドライブ回路1001~1004から出力される駆動信号の周波数が変化する。図10の例では、切り替えポイント40の前の、スイッチング素子Q1およびQ2がDuty=50%で駆動され、スイッチング素子Q3およびQ4がDuty=0%で駆動されている場合、駆動信号の周波数が略80kHzとなっている。これに対して、切り替えポイント40の後の、スイッチング素子Q1~Q4がDuty=50%で駆動されている場合には、駆動信号の周波数が略122kHzとなっている。
【0067】
また、図10の特性51および52に示されるように、切り替えポイント40において、コンデンサCr1の電圧および電流の急激な上昇が一時的に発生する。このとき、駆動信号の周波数を80kHzから122kHzに変化させる必要があるが、駆動信号の周波数は、制御の遅延により瞬時に変わらず、過剰な電力供給により、コンデンサCr1の電圧および電流が増大する。このコンデンサCr1の電圧および電流の変動と対応するタイミングで、特性50に示されるように、出力電圧が大きく上昇している。電源装置1において、このような出力電圧の変動は好ましくない。
【0068】
第1の実施形態の第2の変形例では、切り替えポイント40において第2のアーム回路部1021を停止状態から動作状態に切り替える制御を、第2のアーム回路部1021に供給する駆動信号のDutyを徐々に変化させることで行う。
【0069】
図11は、第1の実施形態の第2の変形例に係る、第2のアーム回路部1021に供給する駆動信号のDutyを徐々に変化させた場合の出力電圧の変化を実測した例を示す図である。図11の例では、第2のアーム回路部1021に含まれる各スイッチング素子Q3およびQ4に供給する駆動信号のDutyを、図11中に矢印で示されるように、50%から0%に徐々に下げている。図11によれば、特性線60に示されるように、この駆動信号のDutyの変化に伴い、電源装置1の出力電圧が緩やかに低下していくことが分かる。
【0070】
第1の実施形態の第2の変形例では、この図11に示される結果に基づき、第1のアーム回路部1020が動作中に、第2のアーム回路部1021を停止状態から動作状態に切り替える際に、第2のアーム回路部1021に含まれる各スイッチング素子Q3およびQ4に供給する駆動信号のDutyを徐々に上げていくように制御する。これにより、図10を用いて説明したような、切り替えポイント40におけるコンデンサCr1の電圧および電流の急激な変動、および、出力電圧の変化の抑制が期待できる。またこれにより、第1の実施形態の第2の変形例に係る電源装置1は、既存技術による電源装置1000と比較して、より利便性を高めることが可能である。
【0071】
(第2のアーム回路の動作を停止状態に遷移させた場合の動作)
なお、第1のアーム回路部1020が動作状態の場合に、第2のアーム回路部1021を動作状態から停止状態に切り替えた場合には、上述した出力電圧の大きな変化や、コンデンサCr1の電圧および電流の急激な上昇は、発生しない。
【0072】
図12は、第1の実施形態の第2の変形例に係る、第2のアーム回路部1021の動作を動作状態から停止状態に切り替えた際の各部の変動の例を示す図である。この図12は、図10と同様に、図4および図5を用いて説明した回路を用いて実測した結果の例を示している。
【0073】
図12において、切り替えポイント40に対して時間的に前の期間は、第2のアーム回路部1021が動作状態(Duty=50%)とされ、切り替えポイント40において、第2のアーム回路部1021が停止状態(Duty=0%)とされる。コンデンサCr1の電圧および電流は、図12に特性51’および52’として示されるように、切り替えポイント40において一時的に急激に下降する。一方、切り替えポイント40における出力電圧は、特性50’に示されるように、上述した図10の特性50に比べて、変動が小さく抑えられている。
【0074】
図13A図13Dは、第1の実施形態の第2の変形例による、切り替えポイント40における出力電圧の変動の抑制について考察するための図である。図13Aおよび図13Bは、第1のアーム回路部1020の動作が上述した図3Aに対応するもので、第1のアーム回路部1020においてスイッチング素子Q1(スイッチSW1)がオン、スイッチング素子Q2(スイッチSW2)がオフ状態となっている。
【0075】
図13Aにおいて、直流電源Vmからの電流は、第1のアーム回路部1020において、図3Aの実線矢印に対応する経路Aにより、スイッチSW1から、インダクタLpを介して、インダクタLr1およびコンデンサCr1からなる直列共振回路に供給される。
【0076】
第1のアーム回路部1020と第2のアーム回路部1021とが同位相で駆動されている場合、第2のアーム回路部1021においても、直流電源Vmからの電流が、経路Bにより、第2のアーム回路部1021に含まれるスイッチSW3(スイッチング素子Q3)に供給され、当該スイッチSW3からインダクタLr2を介して、直流共振回路を構成するインダクタr1とコンデンサCr1との接続点に供給される。
【0077】
図13Bは、図13Aの状態から、第2のアーム回路部1021の動作が停止された状態を示す図である。この場合、第1のアーム回路部1020における電流の流れは、上述した図13Aと変わらない(経路A)。
【0078】
第2のアーム回路部1021において、スイッチSW3(スイッチング素子Q3)がオンからオフの状態に切り替えられると、図13Bに経路Cとして示すように、インダクタLr2の起電力によるインダクタ電流がスイッチング素子Q4におけるダイオードDQ4を介して流れ続ける。ここで、インダクタLr2の起電力による電圧Vs(以下、起電圧Vs)は、接地電位をVGNDとし、ダイオードDQ4の両端の電位をDiとするとき、Vs=VGND-Diとなる。
【0079】
このインダクタLr2の起電圧Vsは、ダイオードDQ4により所定電圧にクランプされるため、インダクタLr1およびコンデンサCr1による直流共振回路に対する影響が小さいものと考えられ、これにより、トランスTrの2次巻線側への影響も抑えられるものと考えられる。
【0080】
図13Cおよび図13Dは、第1のアーム回路部1020の動作が上述した図3Cに対応するもので、第1のアーム回路部1020においてスイッチSW1がオフ、スイッチSW2がオン状態となっている。
【0081】
図13Cにおいて、直流電源Vmからの電流は、第1のアーム回路部1020において、図3Cの実線矢印に対応する経路Dにより、スイッチSW2に対して正方向の電流として流れる。また、第1のアーム回路部1020と第2のアーム回路部1021とが同位相で駆動されている場合、第2のアーム回路部1021においてスイッチSW3がオフ、スイッチSW4がオン状態とされ、直流電源Vmからの電流が、経路Eにより、インダクタLr2を介して、第2のアーム回路部1021に含まれるスイッチSW3に供給される。
【0082】
図13Dは、図13Cの状態から、第2のアーム回路部1021の動作が停止された状態を示す図である。この場合、第1のアーム回路部1020における電流の流れは、上述した図13Cと変わらない(経路D)。
【0083】
第2のアーム回路部1021において、スイッチSW4がオンからオフの状態に切り替えられると、図13Dに経路Fとして示すように、インダクタLr2の起電力によるインダクタ電流がスイッチング素子Q3におけるダイオードDQ3を介して流れ続ける。ここで、インダクタLr2の起電圧Vs’は、直流電源Vmの電圧を電圧Viとし、ダイオードDQ3の両端の電位をDiするとき、Vs’=Vi+Diとなる。
【0084】
このインダクタLr2の起電圧Vs’は、ダイオードDQ32により所定電圧にクランプされるため、インダクタLr1およびコンデンサCr1による直流共振回路に対する影響が小さいものと考えられ、これにより、トランスTrの2次巻線側への影響も抑えられるものと考えられる。
【0085】
(第1の実施形態の第3の変形例)
次に、第1の実施形態の第3の変形例について説明する。図4および図5を用いて説明した電源装置1では、直流共振回路を構成するインダクタLr1を、コンデンサCr1と直接的に接続していた。これに対して、第1の実施形態の第3の変形例では、当該インダクタLr1の位置を、上述した図4および図5の位置に対して変更する。
【0086】
図14は、第1の実施形態の第4の変形例に係る電源装置の一例の構成を示す回路図である。図14に示す電源装置1’において、共振回路部1002’は、図4および図5に示した電源装置1におけるインダクタLr1を、コンデンサC1およびC3の接続点と、トランスTrにおける1次巻線の第2の端と、の間に設けている。これは、図4の例では、第1のアーム回路部1020のスイッチング素子Q1およびQ2が直列接続される接続点と、トランスTrの1次巻線の第2の端と、の間に、インダクタLr1を設けることに相当する。
【0087】
第2のアーム回路部1021のスイッチング素子Q3およびQ4が直列接続される接続点は、インダクタLr2を介して、コンデンサCr1とトランスTrの1次巻線の第1の端と、の接続点に対して接続される。
【0088】
このように、コンデンサCr1と共に直流共振回路を構成するインダクタLr1を、コンデンサCr1に対してトランスTrの1次巻線を介して配置しても、コンデンサCr1およびインダクタLr1による直列共振回路を構成することができる。
【0089】
なお、上述した第1の実施形態、ならびに、その第1の変形例および第2の変形例に係る電源装置1に対する制御は、この第1の実施形態の第3の変形例に係る電源装置1’に対しても、そのまま適用できる。すなわち、第1の実施形態の第1の変形例に係る、所定出力電力の切り替えポイント40での第2のアーム回路部1021のオン、オフ制御を、第1の実施形態の第3の変形例に係る電源装置1’に対してそのまま適用できる。また、第1の実施形態の第2の変形例に係る、当該切り替えポイント40において第2のアーム回路部1021のオフ状態からオン状態への切り替え時に、第2のアーム回路部1021に対する駆動信号のDutyを徐々に変化させる制御も、第1の実施形態の第3の変形例に係る電源装置1’に対してそのまま適用できる。
【0090】
またこれにより、第1の実施形態の第3の変形例に係る電源装置1’は、既存技術による電源装置1000と比較して、より利便性を高めることが可能である。
【0091】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態およびその各変形例では、第1のアーム回路部1020と、第2のアーム回路部1021と、を同位相で駆動していた。これに対して、第2の実施形態では、第1のアーム回路部1020と、第2のアーム回路部1021と、を逆位相にて駆動する。なお、第2の実施形態では、図4および図5を用いて説明した第1の実施形態に係る電源装置1の構成をそのまま適用するものとし、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0092】
(第2の実施形態に係る動作)
第2の実施形態に係る電源装置1による動作について説明する。図15は、第2の実施形態に係る、制御ユニット10による各スイッチング素子Q1、Q2、Q3およびQ4を駆動するための駆動信号の例を示す図である。図15は、上述した図7と対応するもので、上から、スイッチング素子Q1、Q2、Q3およびQ4を駆動するための、PWMによる駆動信号の例を示している。この図7の例では、スイッチング素子Q1およびQ3を駆動するための各駆動信号は、Dutyが50%とされている。
【0093】
図15に例示されるように、第1のアーム回路部1020に含まれる、スイッチング素子Q1を駆動する駆動信号が反転された信号が、スイッチング素子Q2を駆動する駆動信号とされている。同様に、第2のアーム回路部1021に含まれる、スイッチング素子Q3を駆動する駆動信号が反転された信号が、スイッチング素子Q4を駆動する駆動信号とされている。
【0094】
ここで、第2の実施形態においては、第1のアーム回路部1020に含まれる各スイッチング素子Q1およびQ2を駆動する各駆動信号と、第2のアーム回路部1021に含まれる各スイッチング素子Q3およびQ4を駆動する各駆動信号とが、逆位相とされている。すなわち、第2の実施形態においては、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とが、同一のタイミングでオン、オフを制御される。また、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3とが、同一のタイミング、且つ、スイッチング素子Q1およびQ4に対して反転して、オン、オフが制御される。
【0095】
また、図15に示されるように、第2の実施形態では、図7の例と同様に、スイッチング素子Q2を駆動する駆動信号のロー期間は、スイッチング素子Q1を駆動する駆動信号の、当該ロー期間に対応するハイ期間に対して広く制御される。同様に、スイッチング素子Q4を駆動する駆動信号のロー期間は、スイッチング素子Q2を駆動する駆動信号の、当該ロー期間に対応するハイ期間に対して広く制御される。これにより、上述したZVSが実行される。
【0096】
図16および図17を用いて、第2の実施形態に係る逆位相の制御の効果について説明する。図16は、既存技術によるLLC型スイッチング電源装置の等価回路を用いた特性のシミュレーション結果の例を示す図である。図16において、縦軸は、トランスTrの2次巻線側における出力電圧、横軸は、各スイッチング素子の駆動周波数を示している。
【0097】
特性線71で示されるように、特定の駆動周波数において出力電圧のピークが現れ、当該駆動周波数以上の周波数では、出力電圧が所定の電圧値に収束するように変化する。図16の例では、出力電圧が280[V]付近でピークとなり、以降、駆動周波数が高くなるに連れ、出力電圧が所定電圧値=60[V]に向けて下降し、収束する様子が示されている。出力電圧のピークの駆動周波数から、当該駆動周波数より高い周波数の範囲70が、当該電源装置を使用する範囲となる。
【0098】
図17は、第2の実施形態に係る、図16のシミュレーションに用いた等価回路に、逆位相の駆動信号を追加した場合のシミュレーション結果の例を示す図である。この図17の例では、特性線81で示されるように、第1の駆動周波数において出力電圧のピークが現れ、さらに駆動周波数を高くすると、出力電圧が降下し、第2の駆動周波数において出力電圧のディップが現れる。この出力電圧のディップからさらに駆動周波数を高くすると、出力電圧が徐々に高くなる。
【0099】
この図17の例では、ピークにおいて200[V]程度の出力電圧が得られていることに対して、ディップにおいて略0[V]の出力電圧が得られている。すなわち、LLC型スイッチング電源装置において、主たるアーム回路(主アーム回路と呼ぶ)に対して、当該主アーム回路と逆位相で駆動されるアーム回路(副アーム回路と呼ぶ)を追加することで、出力電圧をピークの電圧から0[V]付近(あるいは0[V])まで降下可能となることが示唆されている。これは、換言すれば、副アーム回路、例えば、電源装置1における第2のアーム回路部1021の駆動周波数を制御することで、出力電圧をピークの電圧とディップの電圧の略0[V]との間で可変とすることが可能となることを意味している。
【0100】
図4図5および図6を用いて説明したように、制御ユニット10は、スイッチング素子Q1~Q4をそれぞれ独立して制御可能とされている。したがって、第2の実施形態に係る第1のアーム回路部1020および第2のアーム回路部1021を逆位相で駆動する制御と、上述した第1の実施形態、ならびに、その各変形例による第1のアーム回路部1020および第2のアーム回路部1021を同位相で駆動する制御と、は、電源装置1の共通の構成により実現可能である。また、制御ユニット10において、制御ロジック部120により、例えばDuty制御部121に対する所定の指示により、各ドライブ回路1001~1004から出力される駆動信号の周波数を、それぞれ独立して制御可能である。
【0101】
例えば、出力電圧を0[V]に近い低電圧から、高電圧に変化させ、その後、当該高電圧にて安定させる場合について考える。この場合、制御ユニット10において、制御ロジック部120は、当初、Duty制御部121および位相制御部122に対して、第1のアーム回路部1020と第2のアーム回路部1021とを逆位相で駆動し、また、駆動信号の周波数を、例えば図17の範囲80における右端の周波数とするように指示する。
【0102】
この指示に基づくDuty制御部121および位相制御部122の制御に応じて、各ドライブ回路1001~1004により、第1のアーム回路部1020と第2のアーム回路部1021とを逆位相、且つ、初期には低電圧の出力となるような各駆動信号が出力される。
【0103】
その後、制御ロジック部120は、例えばDuty制御部121に対し、駆動信号の周波数を上昇させるように指示する。この指示に応じて、各ドライブ回路1001~1004から出力される駆動信号の周波数が上昇する。
【0104】
制御ロジック部120は、例えば、電源装置1の出力電圧が所望の値に達したと判定した場合、位相制御部122に対して、第1のアーム回路部1020と第2のアーム回路部1021とを同位相で駆動するように指示する。この指示に基づく位相制御部122の制御に応じて、各ドライブ回路1001~1004により、第1のアーム回路部1020と第2のアーム回路部1021とを同位相で駆動する駆動信号が出力される。ここで、必要に応じて、制御ロジック部120は、Duty制御部121に対して、駆動信号の周波数を所定の周波数とするように指示することもできる。
【0105】
(第2の実施形態に係る電源装置の適用例)
第2の実施形態に係る電源装置1の制御の適用例としては、リチウムイオンバッテリといった2次電池を充電する例が考えられる。例えば、リチウムイオンバッテリといった2次電池を充電する場合には、充電初期にバッテリの状態を判定する過程などを含めて、より低電圧から電源を提供する必要がある。既存技術によるLLC型スイッチング電源装置の構成では、図16に例を示したように、利用可能な出力電圧の下限が高く、当該2次電池の充電初期の必要電圧の提供が難しい可能性がある。
【0106】
これに対して、第2の実施形態に係る電源装置1では、利用可能な出力電圧を略0[V]からピーク電圧まで可変することが可能であり、当該2次電池の充電初期の必要電圧の提供が容易であると考えられる。また、充電動作において高電圧が必要となった場合には、制御ユニット10により、第2のアーム回路部1021の駆動信号の第1のアーム回路部1020の駆動信号の位相に対して、逆位相から同位相に遷移させることで対応が可能である。
【0107】
このように、本開示に係る電源装置1に対し、第1の実施形態、および、その各変形例に係る制御と、第2の実施形態に係る制御とを組み合わせて適用することで、より柔軟な適用が可能となる。またこれにより、第2の実施形態に係る電源装置1は、既存技術による電源装置1000と比較して、より利便性を高めることが可能である。
【0108】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0109】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
直流電源の正極と負極との間に直列接続される、上アームを構成する第1のスイッチング素子と、下アームを構成する第2のスイッチング素子と、を含む第1のアーム回路と、
前記直流電源の正極と負極との間に直列接続される、上アームを構成する第3のスイッチング素子と、下アームを構成する第4のスイッチング素子と、を含む第2のアーム回路と、
1次巻線と、直流を出力する出力回路が接続される2次巻線と、を含むトランスと、
一端が前記1次巻線の第1の端に接続される第1のインダクタと、該第1のインダクタの他端に接続されるコンデンサと、を含む直列共振回路と、
前記第3のスイッチング素子および前記第4のスイッチング素子の直列接続の接続点に一端が接続される第2のインダクタと、
前記第1のアーム回路および前記第2のアーム回路の駆動を制御する制御回路と、
を備え、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子が直列接続される接続点が前記トランスの前記1次巻線の第2の端に接続され、
前記第1のインダクタと前記コンデンサとが接続される接続点に前記第2のインダクタの他端が接続される
電源装置。
(2)
前記制御回路は、
前記第1のアーム回路と、前記第2のアーム回路と、を同位相で駆動する
前記(1)に記載の電源装置。
(3)
前記制御回路は、
前記出力回路から出力される出力電力が所定電力で、前記第2のアーム回路の状態を、停止状態と動作状態とで切り替える
前記(1)または前記(2)に記載の電源装置。
(4)
前記制御回路は、
前記第2のアーム回路を駆動するためのPWM信号のデューティを徐々に変化させて、前記第2のアーム回路の状態を停止状態から動作状態へと切り替える
前記(1)乃至(3)の何れかに記載の電源装置。
(5)
前記制御回路は、
前記第1のアーム回路と、前記第2のアーム回路と、を逆位相で駆動する
前記(1)に記載の電源装置。
(6)
直流電源の正極と負極との間に直列接続される、上アームを構成する第1のスイッチング素子と、下アームを構成する第2のスイッチング素子と、を含む第1のアーム回路と、
前記直流電源の正極と負極との間に直列接続される、上アームを構成する第3のスイッチング素子と、下アームを構成する第4のスイッチング素子と、を含む第2のアーム回路と、
1次巻線と、直流を出力する出力回路が接続される2次巻線と、を含むトランスと、
一端が前記1次巻線の第1の端に接続されるコンデンサと、一端が該1次巻線の第2の端に接続される第1のインダクタと、を含む直列共振回路と、
前記第3のスイッチング素子および前記第4のスイッチング素子の直列接続の接続点に一端が接続される第2のインダクタと、
前記第1のアーム回路および前記第2のアーム回路の駆動を制御する制御回路と、
を備え、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子が直列接続される接続点が前記第1のインダクタの他端に接続され、
前記第2のインダクタの他端が前記コンデンサと、前記1次巻線の前記第1の端と、の接続点に接続される
電源装置。
(7)
前記制御回路は、
前記第1のアーム回路と、前記第2のアーム回路と、を同位相で駆動する
前記(6)に記載の電源装置。
(8)
前記制御回路は、
前記出力回路から出力される直流電源の電圧が所定電圧で、前記第2のアーム回路の状態を、停止状態と動作状態とで切り替える
前記(6)または前記(7)に記載の電源装置。
(9)
前記制御回路は、
前記第2のアーム回路を駆動するためのPWM信号のデューティを徐々に変化させて、前記第2のアーム回路の状態を停止状態から動作状態へと切り替える
前記(6)乃至(8)の何れかに記載の電源装置。
(10)
前記制御回路は、
前記第1のアーム回路と、前記第2のアーム回路と、を逆位相で駆動する
前記(6)に記載の電源装置。
【符号の説明】
【0110】
1,1’,1000 電源装置
10,20 制御ユニット
100,1001,1002,1003,1004,200 ドライブ回路
110,210 オシレータ
120,220 制御ロジック部
1001,1010 アーム回路部
1002 共振回路部
1003 出力回路部
1020 第1のアーム回路部
1021 第2のアーム回路部
C1,C2,C3,C4,Cr1 コンデンサ
Ll1,Lr1,Lr2,Lp インダクタ
D1,D2,DQ1,DQ2,DQ3,DQ4 ダイオード
RQ1,RQ2,RQ3,RQ4 抵抗
Q1,Q2,Q3,Q4 スイッチング素子
SW1,SW2,SW3,SW4 スイッチ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16
図17