(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-02
(45)【発行日】2024-09-10
(54)【発明の名称】パッケージ用基板、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240903BHJP
H01L 23/15 20060101ALI20240903BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20240903BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01L23/12 N
H01L23/14 C
H01L23/14 R
H05K1/03 610B
(21)【出願番号】P 2020566481
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2020001351
(87)【国際公開番号】W WO2020149374
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2019005064
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】梅村 優樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 茜
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116963(JP,A)
【文献】特開2017-073424(JP,A)
【文献】特開2017-224773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/12-23/15
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆性材料で形成されたコア基板と、
前記コア基板の片面上又は両面上に形成された1又は複数の絶縁層と、
前記絶縁層上及び/又は前記絶縁層内に形成された1又は複数の配線層と、
を備え、
前記コア基板は、前記絶縁層の外周部分より外側に露出し、
前記絶縁層は、面取りされており、
前記絶縁層の
端部の断面形状が多段構造を有していること
を特徴とす
るパッケージ用基板。
【請求項2】
脆性材料で形成されたコア基板と、
前記コア基板の片面上又は両面上に形成された1又は複数の絶縁層と、
前記絶縁層上及び/又は前記絶縁層内に形成された1又は複数の配線層と、
を備え、
前記コア基板は、前記絶縁層の外周部分より外側に露出し、
前記絶縁層は、面取りされており、
前記絶縁層において面取りされた領域を面取り部と定義した場合、
前記絶縁層は、前記面取り部を含む第1部位および、当該第1部位と前記コア基板との間に位置する第2部位を有すること
を特徴とす
るパッケージ用基板。
【請求項3】
前記絶縁層の断面形状の少なくとも一部が円弧形状であること
を特徴とする請求項
2に記載のパッケージ用基板。
【請求項4】
前記絶縁層の断面における前記円弧形状の曲率半径が、前記絶縁層の膜厚の1/20以上であること
を特徴とする請求項
3に記載のパッケージ用基板。
【請求項5】
前記絶縁層の断面形状が多段構造を有していること
を特徴とする請求項
2に記載のパッケージ用基板。
【請求項6】
前記絶縁層の多段構造は、前記コア基板から見て1段目の厚みが50μm以下であること
を特徴とする請求項
1又は5に記載のパッケージ用基板。
【請求項7】
前記絶縁層の平面形状における角部が円弧形状を有すること
を特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載のパッケージ用基板。
【請求項8】
前記配線層の内、少なくとも前記コア基板の表面に形成される配線層の厚みが10μm以下となること
を特徴とする請求項1から
7のいずれか1項に記載のパッケージ用基板。
【請求項9】
前記絶縁層において面取りされた領域を面取り部と定義した場合、
前記絶縁層は、前記面取り部を含む第1部位および、当該第1部位と前記コア基板との間に位置する第2部位を有すること
を特徴とする請求項
1に記載のパッケージ用基板。
【請求項10】
前記絶縁層において面取りされた領域を面取り部と定義した場合、
前記面取り部は、前記絶縁層の平面形状における直線部に設けられていること
を特徴とする請求項1から
9のいずれか1項に記載のパッケージ用基板。
【請求項11】
前記コア基板がガラスであること
を特徴とする請求項1から
10のいずれか1項に記載のパッケージ用基板。
【請求項12】
脆性材料で形成されたコア基板と、前記コア基板の片面上又は両面上に形成された1又は複数の絶縁層と、前記絶縁層上及び/又は前記絶縁層内に形成された1又は複数の配線層と、を備え、前記コア基板は、前記絶縁層の外周部分より外側に露出しているパッケージ用基板に対して、
前記絶縁層を面取りする工程と、
前記絶縁層の端部を多段構造に形成する工程
と、を含むこと
を特徴とするパッケージ用基板の製造方法。
【請求項13】
脆性材料で形成されたコア基板と、前記コア基板の片面上又は両面上に形成された1又は複数の絶縁層と、前記絶縁層上及び/又は前記絶縁層内に形成された1又は複数の配線層と、を備え、前記コア基板は、前記絶縁層の外周部分より外側に露出しているパッケージ用基板に対して、
前記絶縁層を面取りする工程を含み、
前記絶縁層において面取りされた領域を面取り部と定義した場合、
前記面取りする工程において、前記面取り部を含む第1部位および、当該第1部位と前記コア基板との間に位置する第2部位を残存させること
を特徴とするパッケージ用基板の製造方法。
【請求項14】
前記面取り形状が円弧形状であること
を特徴とする請求項1
3に記載のパッケージ用基板の製造方法。
【請求項15】
前記絶縁層の平面形状における角部を円弧形状に形成する工程を含むこと
を特徴とする請求項1
3に記載のパッケージ用基板の製造方法。
【請求項16】
レーザー加工により前記絶縁層の端部の面取り形状を形成する工程を含むこと
を特徴とする請求項1
2から15のいずれか1項に記載のパッケージ用基板の製造方法。
【請求項17】
ダイシングブレード加工により、前記絶縁層の端部の面取り形状を形成する工程を含むこと
を特徴とする請求項1
3又は14に記載のパッケージ用基板の製造方法。
【請求項18】
前記絶縁層の断面における前記円弧形状の曲率半径を、前記絶縁層の膜厚の1/20以上とする工程を含むこと
を特徴とする請求項14に記載のパッケージ用基板の製造方法。
【請求項19】
前記絶縁層の端部を多段構造に形成する工程を含むこと
を特徴とする請求項1
3に記載のパッケージ用基板の製造方法。
【請求項20】
前記絶縁層として感光性樹脂を用いて、フォトリソグラフィにより複数の前記絶縁層の各層の樹脂形成面積を変更して前記絶縁層の端部を多段構造に形成する工程を含むこと
を特徴とする請求項1
2又は13に記載のパッケージ用基板の製造方法。
【請求項21】
前記絶縁層の多段構造において前記コア基板から見て1段目の厚みを50μm以下とする工程を含むこと
を特徴とする請求項1
2、19または請求項
20に記載のパッケージ用基板の製造方法。
【請求項22】
前記配線層の内、少なくとも前記コア基板の表面に形成される配線層の厚みを10μm以下とする工程を含むこと
を特徴とする請求項1
2から
21のいずれか1項に記載のパッケージ用基板の製造方法。
【請求項23】
前記絶縁層の面取り工程において、前記絶縁層の面取り体積を、前記絶縁層の面取り前の端辺から中心部に向かう平面方向の距離が前記絶縁層の厚み以下となる領域の体積の30%以上とすること
を特徴とする請求項1
2から2
2のいずれか1項に記載のパッケージ用基板の製造方法。
【請求項24】
ガラスを用いて前記コア基板を形成する工程を含むこと
を特徴とする請求項1
2から2
3のいずれか1項に記載のパッケージ用基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパッケージ用基板、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップとマザーボード間の電気的接続のために半導体パッケージ用基板が使用されている。また、半導体パッケージ用基板には、半導体チップと半導体パッケージが実装されるプリント配線板との熱膨張係数の相違の橋渡しを行い、システムの実装の接合信頼性を高める役割もある。このような役割から半導体パッケージ用基板は、インターポーザ基板などとも呼ばれる。また、半導体パッケージ用基板は、基板内の配線幅、ピッチを各層で変化させることで、半導体チップ、マザーボード相互の配線幅、配線ピッチに変換し電気的接続を得ている。
【0003】
近年では高性能なシステムを短期間で開発するために従来のSoC(System on a Chip)だけでなく、1つのパッケージ上で大規模なシステムを構築するSiP(System in Package)が用いられている。例えば、CPU・GPUと大容量メモリ等の複数の半導体チップとを1つのパッケージ用基板上に隣同士に配置する場合や、チップ同士をスタックして3次元に配置する形態もある。
【0004】
しかしながら、近年のパッケージ用基板のコア基板には、電気的特性には優れるものの脆弱な材料(脆性材料)により形成されたものがある。また、配線基板を作成する際に、コア基板上にコア基板と線膨張係数の異なる樹脂層と配線層とを複数積層するため、温度変化があると線膨張係数の差により樹脂層、配線層及びコア基板のそれぞれで膨張量が変わり、応力を発生させることが知られている。この応力により、コア基板が割れの起きやすい脆性材料で形成されている場合、コア基板の割れが生じる場合がある(例えば、非特許文献1)。
【0005】
このようなコア基板の割れを発生させない方法として、コア基板と該コア基板の片面又は両面上に形成された絶縁層と該絶縁層上及び/又は該絶縁層に埋め込まれるように形成された1又は複数の配線層とを含むパッケージ用基板の前記絶縁層が形成されている面における外周部分に、前記コア基板が露出している露出部分を設ける構造が提案されている(例えば、特許文献1)。このような露出部分を設けた構造により、コア基板の切断面に応力が加わることを抑制することができるため、コア基板の切断面を起点とした破壊が生じることを抑制することができる。
【0006】
しかしながら、このような方法では、コア基板表面に応力が加わることは回避できず、コア基板表面を起点として割れが発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】“Empirical investigations on Die Edge Defects Glass-Panel Based Interposer for Advanced Packaging”Frank Wei, et,al, 2015 Electronic Components & Technology Conference (2015)
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、温度変化等により、脆性材料からなるコア基板の表面を起点として信頼性に影響するような破壊(例えば割れ)が発生することを抑制できるパッケージ用基板及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、コア基板の割れ、特にコア基板の表面を起点とした割れの発生の抑制について鋭意検討した結果、以下の手法が、有効であることが明らかになった。
【0011】
本発明の一態様は、脆性材料で形成されたコア基板と、前記コア基板の片面上又は両面上に形成された1又は複数の絶縁層と、前記絶縁層上及び/又は前記絶縁層内に形成された1又は複数の配線層と、を備え、前記コア基板は、前記絶縁層の外周部分より外側に露出し、前記絶縁層は、面取りされていることを特徴とするパッケージ用基板である。
【0012】
また、本発明の他の態様は、脆性材料で形成されたコア基板と、前記コア基板の片面上又は両面上に形成された1又は複数の絶縁層と、前記絶縁層上及び/又は前記絶縁層内に形成された1又は複数の配線層と、を備え、前記コア基板は、前記絶縁層の外周部分より外側に露出しているパッケージ用基板に対して、前記絶縁層を面取りする工程を含むことを特徴とするパッケージ用基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるパッケージ用基板および製造方法によれば、コア基板の割れが発生することを抑制して、信頼性の高いパッケージ用基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るパッケージ用基板の概略構成を示す平面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るパッケージ用基板の概略構成を示す断面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係るパッケージ用基板の概略構成を示す断面拡大図である。
【
図4】本発明の第二実施形態に係るパッケージ用基板の概略構成を示す平面図である。
【
図5】本発明の第二実施形態に係るパッケージ用基板の概略構成を示す断面図である。
【
図6】本発明の第二実施形態に係るパッケージ用基板の概略構成を示す断面拡大図である。
【
図7】本発明の第三実施形態に係るパッケージ用基板の概略構成を示す平面図である。
【
図8】本発明の第三実施形態に係るパッケージ用基板の概略構成を示す断面図である。
【
図9】本発明の第三実施形態に係るパッケージ用基板の概略構成を示す断面拡大図である。
【
図10】本発明の第四実施形態に係るパッケージ用基板の概略構成を示す平面図および断面図である。
【
図11】本発明の第五実施形態に係るパッケージ用基板の概略構成を示す断面図である。
【
図12】実施例1のパッケージ用基板の個片化前の配線基板パネルを説明する断面図である。
【
図13】実施例1のパッケージ用基板の製造工程における配線基板パネルのレーザー加工の工程を説明する断面図である。
【
図14】実施例1のパッケージ用基板の製造工程における配線基板パネルのダイシング加工の工程を説明する断面図である。
【
図15】ダイシングブレードによる実施例1のパッケージ用基板の個片化の工程を説明する断面図である。
【
図16】実施例2のパッケージ用基板の個片化前の配線基板パネルを説明する断面図である。
【
図17】実施例3のパッケージ用基板を説明する平面図および断面図である。
【
図18】実施例4のパッケージ用基板の面取り加工の工程を説明する断面図である。
【
図19】実施例4のパッケージ用基板を説明する断面図である。
【
図20】比較例1のパッケージ用基板を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るパッケージ用基板とその製造方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の単なる一例であって、当業者であれば、適宜設計変更可能である。
【0016】
本発明のパッケージ用基板は、絶縁層と配線層を積層した積層体(ビルドアップ層)による配線基板を個片化したパッケージ用基板である。本明細書において、「パッケージ用基板」とは、配線基板を個片化した積層体をいう。また、「配線基板」とは、個片化される前のパッケージ用基板が連結された状態のものをいう。
【0017】
(第一実施形態)
図1は本発明の第一実施形態によるパッケージ用基板100の平面模式図である。また、
図2は、
図1中に示すA-A線で切断した本実施形態によるパッケージ用基板100の断面模式図である。また、
図3は
図2中に破線で示す領域Bを拡大して示す図である。
【0018】
(パッケージ用基板)
図1及び
図2に示すように、パッケージ用基板100は、コア基板11と、コア基板11の厚さ方向の両面に積層して形成された絶縁層21と、絶縁層21上及び絶縁層21内に埋め込まれるように形成された複数の配線層31とを含む。なお、
図1では、配線層31の図示は簡略化のため省略している。
【0019】
本発明のパッケージ用基板において、絶縁層21および配線層31は、
図1及び
図2に示す構造に限られない。
絶縁層21は、コア基板11の厚さ方向の表面のうちいずれか一の面(片面)に積層される構成であってもよい。つまり、絶縁層21は、コア基板11の片面又は両面上に形成される。また、絶縁層21は一層であってもよく、複数の層であってもよい。
配線層31は、絶縁層21上、又は絶縁層21内のいずれかに形成されていればよい。つまり、配線層31は、絶縁層21上及び/又は絶縁層21に埋め込まれるように形成される。また、配線層31は、一層であってもよく、複数の層であってもよい。
【0020】
(コア基板)
コア基板11は、パッケージ用基板100の電気特性を向上させる材料で構成することができる。例えば、コア基板11としては、ガラス基板、シリコン基板、セラミック基板、プラスチック板、プラスチックテープ等の脆性材料を用いることができる。これらのうち、コア基板11の材料として好ましいのは、ガラス基板である。
【0021】
コア基板11に用いるガラス基板としては、例えば、ソーダライムガラスやアルミノ珪酸塩ガラスが挙げられる。コア基板11に用いるガラス基板は、表面を当分野で一般的に行われている方法により処理されたものであってもよく、例えば、表面に粗化処理を行ったもの、フッ酸で処理したもの、または、ガラス基板表面にシリコン処理を施したものであってもよい。また、コア基板11に用いるガラス基板は表面に下地層(図示せず)を形成してもよい。コア基板11の厚さは、特に限定されないが、好ましくは50μm以上800μm以下である。
【0022】
また、パッケージ用基板100は、コア基板11において絶縁層21が設けられている表面上に、コア基板11が露出した露出部110を有する。図
1に示すように、露出部110は、コア基板10の外周部分に相当し、コア基板11の厚さ方向に平面視した場合に絶縁層21の外周部分より外側に露出して設けられている。
【0023】
(配線層)
配線層31は、クロム、銅、銀、すず、金、タングステン、及びこれらの金属の合金や導電性樹脂などを用いて形成され、めっき法による厚付け後サブトラクティブ法、セミアディティブ法により配線を形成する方法や、インクジェット法、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷を用いることができる。好ましくはセミアディティブ法である。そして、配線層31の厚さは、例えば、1μm以上100μm以下の範囲で形成すればよい。
【0024】
(絶縁層)
絶縁層21は、エポキシ樹脂系材料、エポキシアクリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、液晶ポリマー樹脂などを用いて形成することができる。これらの絶縁性材料は、充填剤を含んでもよい。絶縁層21を形成する絶縁性材料には、線膨張係数が7ppm/K以上130ppm/K以下のエポキシ配合樹脂が一般的に入手し易く好ましい。また、絶縁性材料は、液状材料であっても、フィルム状材料であってもよい。絶縁性材料が液状の場合、絶縁層5は、スピンコート法、ダイコータ法、カーテンコータ法、ロールコータ法、ドクターブレード法、スクリーン印刷などの当分野で一般的に行われている方法により形成することができる。絶縁性材料がフィルム状の場合、例えば真空ラミネート法やロールラミネート法により絶縁層21を形成することができる。上記のように形成された絶縁層21は、加熱または光照射により硬化させてもよい。絶縁層21の厚さは、1μm以上200μm以下の間で形成すればよい。
【0025】
また、本実施形態によるパッケージ用基板100において、絶縁層21の端部は面取りされている。絶縁層21において面取りされた領域を、面取り部とする。すなわち、絶縁層21には面取り部22が設けられている。ここで、面取り部とは、例えば
図2に示す断面方向から観察した時に絶縁層21の端部の一部が除去されている構造を示す。また、ここで、面取り部22の面取り方向は、コア基板11に対する絶縁層21の積層方向つまりコア基板11の厚さ方向である。
また、パッケージ用基板100において、
図2に示すように、絶縁層21における面取り部22の高さGは、絶縁層21の厚みFの30%以上100%未満の範囲とする。
また、本実施形態によるパッケージ用基板100の製造工程において、絶縁層21における面取り部22の形成にあたって面取りする体積が、絶縁層21の面取り前の端辺から中心部に向かう平行方向の距離Wが絶縁層21の厚みF以下となる領域(距離W≦厚みFとなる領域)の体積の30%以上とするとより好ましい。
【0026】
図1に示す様に、本実施形態において、面取り部22は、絶縁層21の外周に設けられている。本実施形態において絶縁層21は、平面形状が矩形状であり、4つの角部121と、4つの角部を結んで平面形状における四辺を構成する4つの直線部122とを有する。4つの直線部122が絶縁層21の外周に相当する。つまり面取り部22は、絶縁層21の平面形状における直線部122に設けられている。本実施形態によるパッケージ用基板100において、面取り部22は、絶縁層21の外周すべて、つまり4つの直線部122に形成されているが、本発明はこれに限られない。例えば面取り部22は、絶縁層21の外周の一部に形成されていてもよい。例えば、4つの直線部122のうちの少なくとも1つに形成されてもよいし、各直線部122の一部分に形成されてもよい。
【0027】
また、本実施形態のパッケージ用基板100の構造は、絶縁層21の端部を面取りする事を特長としたものであるが、面取り部22は、種々の形状とすることができる。
面取り部22の形状は、例えば
図3(a)に示す様に直線で面取りした形状(直線形状)でもよいし、
図3(b)に示す様に曲率を持った形で面取りした形状(曲線形状)でもよい。ここで、
図3(a)、
図3(b)に示す面取り部22は、絶縁層21の端辺からの距離W1,W2がいずれも、絶縁層21の厚みF以下となっている。
また、
図3(c)に示す様に、絶縁層21の面取り前の端辺からの距離W3が絶縁層21の厚みFを超過する範囲で面取りして、面取り部22を形成してもよい。
【0028】
また本実施形態において、面取り部22の形状が直線形状である場合(
図3(a)および
図3(c)参照)、絶縁層21は、第1部位210と第2部位211とを有する構造であってもよい。この場合、絶縁層21における第1部位210には、面取り部22が含まれる。つまり、絶縁層21の第1部位210の外周に、面取り部22が形成されている。第1部位210は、絶縁層21の断面形状において、絶縁層21の厚みFのうち面取り部22の高さGに相当する部分である。
【0029】
また、絶縁層21における第2部位211は、絶縁層21の断面形状において厚みHに相当する部分である。厚みHは、絶縁層21の厚みFから面取り部22の高さGを除いた残存部分の厚みである(厚みH=厚みF-高さG)。つまり絶縁層21において、第1部位210を除く部分が第2部位211に相当する。
図3(a)および
図3(c)に示す様に、絶縁層21の第2部位211は、第1部位210とコア基板11との間に位置している。
図3(a)および
図3(c)では、理解を容易にするため、第1部位210と第2部位との境目において、第2部位211の仮想表面211aを図示している。このように、本実施形態によるパッケージ用基板100において、絶縁層21は、面取り部22を含む第1部位210、および第1部位210とコア基板11との間に位置する第2部位211を有していてもよい。
【0030】
絶縁層21は、第1部位210と第2部位211とを重ねた構造を有する。例えば
図3(a)および
図3(c)に示す絶縁層21において、面取り部22を含む第1部位210の下側に、第2部位211が配置されている。これにより、第1部位210は、厚みHの分だけコア基板11の露出部110上から厚さ方向に嵩上げされた状態となる。このため、面取り部22の下側端部22aとコア基板11の露出部110との間には、厚みH、すなわち絶縁層21の第2部位211の厚みに相当する距離が生じる。パッケージ用基板100の製造工程における面取り加工時に、厚みHを有する第2部位211が絶縁層21に残存されることで、例えば面取り加工に用いるブレードによるコア基板11への接触を防止することができる。つまり、本実施形態によるパッケージ用基板100は、絶縁層21が第2部位211を有することにより、面取り加工時などにコア基板11にクラックや傷が発生することを防止することができる。なお、絶縁層21の第1部位210は、面取り形成部と称してもよい。また、絶縁層21の第2部位211は、残存部と称してもよいし、基部または基台部と称してもよい。
【0031】
絶縁層21の第1部位210および第2部位211は、一層、すなわち一体形成されていてもよい。また絶縁層21の第1部位210および第2部位211は、それぞれ別個の層として形成されてもよい。第1部位210および第2部位211が別個の層である場合、第1部位210および第2部位211のそれぞれは、一層であってもよいし、複数の層を積層した構造であってもよい。
【0032】
本実施形態によるパッケージ用基板100において、絶縁層21の第2部位211の厚みである厚みHは、1μm以上50μm以下の範囲内であればよい。また第2部位211の厚みHは、2.5μm以上30μm以下の範囲内であることが好ましく、5μm以上15μm以下の範囲内であることがさらに好ましい。例えば第2部位211の厚みHが1μm未満であると、絶縁層21を形成する樹脂にクラックが発生し、発生したクラックがコア基板11に伝播してしまう場合がある。また、例えば第2部位211の厚みHが0μm以下であると、絶縁層21に面取り部22を形成する面取り加工時に、面取り加工に用いるブレードがコア基板11に接触して、コア基板11にクラックや傷が発生する場合がある。このため、直線形状の面取り部22を有する絶縁層21に第2部位が設けられていない場合、第2部位211が設けられている場合と比べてパッケージ用基板100の製造時における良品率(ここでは、製造数に対する良品の比率)が低下する。また、例えば第2部位211の厚みが50μmを超過すると、パッケージ用基板100は応力緩和効果(コア基板11の表面における応力集中を緩和する効果)を十分に得られず、コア基板11に割れ(例えば、背割れ)が発生する場合がある。
【0033】
また、
図3(a)および
図3(c)に示す角度αは、絶縁層21の第2部位211の仮想表面211aに対する面取り部22の角度である面取り角度に相当する。本実施形態において角度αは、70°以下であればよい。また角度αは、50°以下が好ましく、30°以下がより好ましい。例えば角度αが70°を超える場合には、パッケージ用基板100における応力緩和効果が期待できない。なお、面取り加工に用いる装置等の制約から、例えば角度αの下限は10°程度と想定される。
【0034】
また、
図3(b)に示す様に面取り部22が曲線形状である場合にも、面取り部22の下側端部とコア基板11との間に絶縁層21が残存しており、面取り部22の下側端部22aがコア基板11に接触していない。このため、曲線形状の面取り部22を形成するための面取り加工時に、ブレード(例えばダイシングブレード)とコア基板11との接触を回避することができる。したがって、曲率形状の面取り部22を有するパッケージ用基板100は、応力緩和効果を奏することに加え、絶縁層21が第2部位211を有するパッケージ用基板100(
図3(a)、
図3(c)参照)と同様に、製造時における良品率の低下を防止することができる。なお、面取り部22の形状は、これらに限定されるものではない。
【0035】
例えば
図3(d)に示す様に、面取り部22が直線形状である場合に、絶縁層21が第2部位211を有していなくてもよい。つまり、面取り部22の高さGが絶縁層21の厚みFと同等でもよい。この場合、絶縁層21は、面取り部22の下側端部22aがコア基板11に接触するように形成される。パッケージ用基板100は、
図3(d)に示す形状の絶縁層21を有する場合も、応力緩和効果を得ることができる。このように、パッケージ用基板100は、絶縁層21が面取りされていることで、応力の集中を緩和する効果を得ることができる。なお、上述のように、パッケージ用基板100の製造時における良品率の低下抑制の観点では、直線形状の面取り部22を有する絶縁層21には、第2部位211が設けられていることが好ましい。
【0036】
また、
図3(d)に示す角度βは、コア基板11の表面に対する面取り部22の角度である面取り角度に相当する。角度βは、上述の角度α(
図3(a)、
図3(c)参照)と同様に70°以下であればよく、50°以下が好ましく、30°以下がより好ましい。
【0037】
また、
図3(a)から
図3(d)に示す様に、コア基板11の露出部110は所定の露出幅EWを有する。本実施形態において露出幅EWは、50μm以上150μm以下の範囲内であればよい。露出幅EWが50μm未満であると、例えば温度変化時においてコア基板11に割れ(例えば背割れ)が生じる場合がある。また、露出幅EWが150μmを超えると、パッケージ用基板100の製造時にコア基板11上の絶縁層21の除去に手間がかかり、露出部110を形成する工程の作業時間が長くなる。このため、露出幅EWが150μmを超えると、露出幅EWが150μm未満の場合と比べ、パッケージ用基板100の製造に要する時間が長くなり、パッケージ用基板100の製造効率が低減する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によるパッケージ用基板100は、脆性材料で形成されたコア基板11と、コア基板11の片面上又は両面上に形成された1又は複数の絶縁層21と、絶縁層21上及び/又は絶縁層21内に形成された1又は複数の配線層31と、を備え、コア基板11は、絶縁層21の外周部分において露出し、絶縁層21は、面取りされている。
これにより、パッケージ用基板100は、絶縁層21の端部近傍、具体的には端部直下のコア基板11の表面にかかる応力を分散して、応力集中を緩和することができる。このため、パッケージ用基板100は、コア基板11の表面を起点とする割れの発生を抑制する構造となる。
【0039】
また、本実施形態によるパッケージ用基板100の絶縁層21において、面取り部22の形成時に除去した部分の体積を面取り体積という。また、絶縁層21において、絶縁層21の面取り前の端部から中心部に向かう平面方向の距離Wが、絶縁層21の厚みF以下となる領域を特定領域という。ここで、例えば距離Wは、絶縁層21の面取り前の端部から面取り部22の上端辺間の距離である。本実施形態によるパッケージ用基板100は、絶縁層21の面取り体積が、上述の特定領域の体積の30%以上であるとよい。
これにより、面取り部22の形状のばらつきによって応力緩和効果が低減することを回避できる。
また、コア基板11を形成する脆性材料としてガラスを用いるとよい。これにより、本実施形態によるパッケージ用基板100は、コア基板11の表面における応力集中を緩和する効果が得られ易い。
【0040】
また、
図1及び
図2には、上述した構成の他に、パッケージ用基板100の厚さ方向の表面に設けられた外層絶縁樹脂41、コア基板11に設けられた貫通穴51を図示しているが、これらの構成は本実施形態において必須ではなく、パッケージ用基板100に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0041】
(第二実施形態)
図4は本発明の第二実施形態によるパッケージ用基板200の平面模式図である。また、
図5は
図4中に示すA-A線で切断したパッケージ用基板200の断面模式図である。また、
図6は
図5中に破線で示す領域Bを拡大して示す図である。
【0042】
図4から
図6に示すように、本実施形態によるパッケージ用基板200は、上記第一実施形態と同様に、コア基板11と、コア基板11の厚さ方向の片面又は両面上に形成された絶縁層21と、絶縁層21上及び/又は絶縁層21に埋め込まれるように形成された1又は複数の配線層31とを含む。また、パッケージ用基板200は、上記第一実施形態によるパッケージ用基板100と同様に、絶縁層21の外周部分においてコア基板11の露出部110が露出している。本実施形態によるパッケージ用基板200の説明において、既に説明したパッケージ用基板100と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
また、本実施形態によるパッケージ用基板200の絶縁層21には面取り部23が設けられている。
図5に示すように、本実施形態によるパッケージ用基板200は、絶縁層21の断面形状の少なくとも一部(本例では、面取り部23に該当する箇所)が曲率を有する円弧形状である。これにより、パッケージ用基板200は、効果的にコア基板11の表面における応力を分散して、応力集中を緩和することができる。
【0044】
円弧形状を有する面取り部23の曲率半径Rは、10μm以上300μm以下の範囲内であればよい。また曲率半径Rは、20μm以上150μm以下の範囲内であることが好ましく、30μm以上60μm以下の範囲内であることがさらに好ましい。例えば曲率半径Rが300μmを超えると、絶縁層21の直線部122と角部121とのつなぎ目が滑らかな形状にならずに鋭角的な形状となる。このため、絶縁層21の角部121に応力の集中が生じて絶縁層21を形成する樹脂にクラックが発生する場合がある。また、300μmを超える曲率半径Rを形成する場合、特殊なブレードを製造する必要があり、パッケージ用基板100の生産コストが増大する。また、曲率半径Rが10μm未満となると、面取り部23において曲率半径Rが形成された箇所に応力が集中し、絶縁層21を形成する樹脂にクラックが発生する場合がある。
【0045】
ここで、円弧形状を有する面取り部23の曲率半径Rと絶縁層21の厚み(膜厚)との比が1/20以下になると、絶縁層21を形成する樹脂の曲面にクラックが発生し、このクラックにより露出したコア基板11のガラス表面を起点として割れが発生する場合がある。
【0046】
このため、本実施形態によるパッケージ用基板200は、面取り部23の曲率半径Rを、絶縁層21の厚みFの1/20以上とするのが望ましい。これにより、パッケージ用基板200は、絶縁層21において面取り部23に該当する円弧形状部分への応力集中を緩和することができる。このため、絶縁層21の曲率部分から樹脂が壊れてコア基板11を形成するガラスが露出し、露出したガラス表面に応力が集中してコア基板11のガラス表面を起点とした割れが発生することを防ぐことができる。
【0047】
なお、曲率半径Rは絶縁層厚Fの1/20以上とするのが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0048】
また、本実施形態によるパッケージ用基板200において、
図6(a)に示す様に絶縁層21の面取り部23の全体を一の円弧、つまり曲率半径Rとして形成してもよいし、
図6(b)又は
図6(c)に示す様に、面取り部23の側面の一部を直線形状とし、残余の部分を曲率半径Rとしても良い。
【0049】
例えば、
図6(b)に示す様に、面取り部23の上部、つまり面取り部23を形成する絶縁層21の側面上部が、直線形状であってもよい。ここで、面取り部23の上部における直線形状の部分を上直線部23aとする。つまり面取り部23は上直線部23aを有し、面取り部23において上直線部23aの下側に曲率半径Rが形成されていてもよい。
【0050】
また、例えば
図6(c)に示す様に、面取り部23は平坦部23bを有してもよい。面取り部23において平坦部23bは、曲率半径Rを有する円弧形状の下側端部に連続し、コア基板11と平行に形成されている。また平坦部23bは、絶縁層21の他の部分よりも厚みが薄い領域である。
図6(c)に示す様に、面取り部23は、上直線部23aおよび平坦部23bを有していてもよい。この場合、面取り部23において曲率半径Rは、上直線部23aと平坦部23bとに挟まれて形成される。また、面取り部23は、上直線部23aおよび平坦部23bのうち少なくともいずれか一方を有していてもよい。
【0051】
また、
図6(d)に示す様に、面取り部23において複数の曲率半径R(一例として
図6(d)にはR1、R2、R3として図示する)を形成してもよい。
【0052】
本実施形態によるパッケージ用基板200は、絶縁層21の断面形状の少なくとも一部(本例では面取り部23)が円弧形状を取ることで、より効果的にコア基板11の表面における応力集中を緩和することができる。これにより、高多層化した場合においても、コア基板11に割れの発生しないパッケージ用基板を提供することができる。さらに、絶縁層21に高弾性の樹脂を採用した場合も、絶縁層21に割れの発生しないパッケージ用基板を提供することができる。
【0053】
(第三実施形態)
図7は本発明の第三実施形態によるパッケージ用基板300の平面模式図である。また、
図8は
図7中に示すA-A線で切断したパッケージ用基板300の断面模式図である。また、
図9は
図8中に破線で示す領域Bを拡大して示す図である。
【0054】
図7及び
図8に示すように本実施形態によるパッケージ用基板300は、上記第一実施形態と同様に、コア基板11と、コア基板11の厚さ方向の片面又は両面上に形成された絶縁層21と、絶縁層21上及び/又は絶縁層21に埋め込まれるように形成された1又は複数の配線層31とを含む。また、パッケージ用基板300は、上記第一実施形態によるパッケージ用基板100と同様に、絶縁層21の外周部分においてコア基板11の露出部110が露出している。本実施形態によるパッケージ用基板300の説明において、既に説明したパッケージ用基板100と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
また、本実施形態によるパッケージ用基板300の絶縁層21には面取り部24が設けられている。
図8及び
図9に示すように、本実施形態によるパッケージ用基板300は、絶縁層21の断面形状の少なくとも一部(本例では、面取り部24に該当する箇所)が2段以上の多段構造を有している。これにより、パッケージ用基板300は、効果的にコア基板11の表面における応力を分散して、応力集中を緩和することができる。
【0056】
また、絶縁層21における多段構造のうち、脆性材料(例えばガラス)で形成されるコア基板11から見て一段目の厚さ(
図9(a)では厚さD、
図9(b)では厚さD1として図示)は、2段目以降の厚さよりも薄く形成するとよい。また、コア基板11から見て1段目の厚さは、例えば50μm以下とすることが望ましい。これにより、パッケージ用基板300は、絶縁層21の端部直下のコア基板11の表面にかかる応力集中を効果的に緩和して、コア基板11を形成するガラスの表面への応力の集中を防ぎ、コア基板11の表面を起点とする割れの発生を抑制することができる。
なお、本発明において絶縁層21が有する多段構造の1段目の厚さは50μm以下に限定されるものではない。
【0057】
また、本実施形態によるパッケージ用基板300の絶縁層21において、
図9(a)に示す様に面取り部24に該当する多段構造における各段の長さEはそれぞれ同じであってもよい。また、多段構造における各段の高さDがそれぞれ同じであってもよい。また、
図9(b)に示す様に、各段の長さE(一例として図にはE1、E2、E3と記載)はそれぞれ異なっていてもよいし、各段の厚さD(D1、D2、D3、D4と記載)はそれぞれ異なっていてもよい。ここで、多段構造の1段目の高さD1は、2段目以降の高さD2,D3,D4のいずれよりも薄く形成されている。
【0058】
また、本実施形態において、絶縁層21として感光性材料を用いる場合には、絶縁層21の端部形状を形成するプロセスを別途設ける必要なく、フォトリソグラフィにより多段構造における各段に該当する絶縁層形成面積を変更することにより、多段構造を有する面取り部24の形成が可能となる。なお、絶縁層21の端部を除去する工程の実施にかかわらず、絶縁層21の端部の一部が除去されているように視認される構造も面取り部に含まれる。
【0059】
(第四実施形態)
図10(a)は本発明の第四実施形態によるパッケージ用基板400の平面模式図であり、
図10(b)は
図10(a)中に示すA-A線で切断したパッケージ用基板400断面模式図である。本実施形態によるパッケージ用基板400の説明において、既に説明したパッケージ用基板100と共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0060】
図10(a)及び
図10(b)に示すように、本実施形態によるパッケージ用基板400は、絶縁層21の平面形状において角部221が円弧形状を有している。つまり、絶縁層21の角部221に曲率を設けている。ここで、角部221は、絶縁層21を厚さ方向に見た平面に沿うように絶縁層21の四隅を面取りして曲率が設けられている。パッケージ用基板400は、応力が高く割れの起点となり易い絶縁層21の角部221に曲率を設けることで、角部特有の応力集中を緩和することができる。このため、パッケージ用基板400は、角部221の端部直下のコア基板11(本例ではガラス)にかかる応力集中を緩和し、角部221を起点とするコア基板11の割れの発生を抑制することができる。
【0061】
(第五実施形態)
図11(a)は本発明の第五実施形態によるパッケージ用基板500の平面模式図であり、
図11(b)は
図11(a)中に示すA-A線で切断したパッケージ用基板500の断面を拡大して示す1/4断面模式図である。本実施形態によるパッケージ用基板500の説明において、既に説明したパッケージ用基板100と共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0062】
図11(b)示すように、本実施形態によるパッケージ用基板500は、配線層31の内、コア基板11の表面(本例では、コア基板11の直上)に形成される配線層311の厚みを10μm以下とする。ここで、配線層311を形成するコア基板11の表面は、厚さ(上下)方向の両表面でもよいし、一方の表面でもよい。また、ここで、コア基板11は例えばガラス基板である。パッケージ用基板500は、コア基板11のガラス表面の配線層311の厚みを他の配線層31よりも小さくすることにより、配線近傍の微小な割れを抑制することができる。このため、配線層311の端部直下にかかるコア基板11のガラスの応力を緩和し、配線層311の端部直下におけるコア基板11のガラス表面を起点とするコア基板11の割れの発生を抑制することができる。
【0063】
図11(b)では絶縁層21の端部形状を、
図2に示す上記第一実施形態による面取り部22と同様の形状として、同一符号を付しているが、本実施形態による絶縁層21の端部形状はこれに限られない。パッケージ用基板500の絶縁層21における面取り部は、
図3に示す面取り部22、
図5に示す面取り部23、
図6に示す面取り部23、
図9に示す面取り部24のうちのいずれかと同様の形状であってもよい。また、
図11(b)において図示を省略しているが、本実施形態における絶縁層21も上記第一実施形態と同様に、第1部位210および第2部位211を有している。
【実施例】
【0064】
以下、本発明および効果について具体的な例を用いて説明するが、以下の実施例は本発明の適用範囲を限定するものではない。
【0065】
(実施例1)
先ず、
図12に示す配線基板パネル1を以下の手順で形成した。本実施例ではコア基板11の材料を、板厚寸法が300μmのアルミノ珪酸塩ガラスとし、コア基板11に貫通穴51を形成した。このコア基板11の表裏面に、スパッタTiとスパッタCuの積層膜からなる厚み0.4μmの密着層(不図示)を形成し、密着層をシード層として電解銅めっきにより8μmの厚みの配線層31を形成した。コア基板11に配線層31を形成した後、線膨張係数が23ppm/Kのエポキシ配合熱硬化性樹脂である絶縁性材料フィルムを100℃で真空ラミネートすることにより積層し、絶縁層21を形成した。このときの絶縁層21の厚さは25μmとした。
【0066】
さらに、配線層31と絶縁層21の形成を繰り返すことで、コア基板11の表裏面に、5層の配線層31と4層の絶縁層21を積層した。絶縁層21の総厚は密着層を含めて132μmとなった。ここで、銅めっきによる配線層31のパターン形成にはセミアディティブ法を使用し、層間の導通を得る為にレーザービアを形成した。次に感光性絶縁樹脂を用い接続パッド等一部を開口させて外層絶縁樹脂41を形成した。
【0067】
次に、
図13に示すように、配線基板パネル1をレーザー加工により絶縁層21の個片外周部分にあたる箇所を除去し、コア基板11を露出させた。
【0068】
次に、
図14に示すように、ダイシング加工により絶縁層21を面取り加工した。このとき、ダイシングブレード61は、研磨加工により曲率半径50μmの丸みをおびた形状のものを用いた。本実施例では、ダイシングブレード61として「製品名:R07-SD600-BB200、ディスコ社製」を用いた。本実施例では、ダイシングブレード61とコア基板11との距離を10μm以上30μm以下の範囲に制御し配線基板パネル1の表裏を加工した。また、配線基板パネル1において隣接するピースを一度に加工できるようブレード幅を調整し、削り幅Cが100μm以上300μm以下となる様に制御した。これにより、絶縁層21の端部において所望の構造を得た。
【0069】
このように、本実施例では、ダイシングブレード加工により、絶縁層21の端部に曲率を有する円弧形状の面取り形状を形成した。絶縁層21の端部形状の加工にダイシングブレードを用い、またダイシングブレード形状を制御することにより、絶縁層21の端部に所望の曲率半径を得ることが可能となる。これにより、絶縁層21の端部を、効果的に応力集中を緩和することができる円弧構造とすることができる。
【0070】
次に、
図15に示すように、ダイシングブレード62で配線基板パネル1個片化し、
図5に示すように絶縁層21において円弧形状の面取り部23を有するパッケージ用基板200と同様のパッケージ用基板を得た。本実施例では、ダイシングブレード62として「製品名:R07-SD600-BB200、ディスコ社製」を用いた。
【0071】
(実施例2)
先ず、
図16に示す配線基板パネル2を以下の手順で形成した。本実施例ではコア基板11の材料を、板厚寸法が300μmのアルミノ珪酸塩ガラスとしコア基板11に貫通穴51を形成した。このコア基板11の表裏面に、スパッタTiとスパッタCuの積層膜からなる厚み0.4μmの密着層(不図示)を形成し、密着層をシード層として電解銅めっきにより8μmの厚みの配線層31を形成した。コア基板11に配線層32を形成した後、線膨張係数が26ppm/Kの感光性絶縁樹脂フィルムを80℃で真空ラミネートし、フォトリソグラフィにより絶縁層21の個片外周部分のコア基板が露出するよう開口部を設け、絶縁層21を形成した。このときの絶縁層厚は25μmとした。
【0072】
さらに、配線層31と絶縁層21の形成を繰り返すことで、コア基板11の表裏面に、5層の配線層31と4層の絶縁層21を積層した。ここで、1層ごとの絶縁層21の形成幅を片側40μmずつ小さくしていき、
図16に示すように絶縁層21の端部において多段構造を得た。また、銅めっきによる配線層31のパターン形成にはセミアディティブ法を使用し、層間の導通を得る為の開口はピース外周を露出させる際に同時に形成した。次に感光性絶縁樹脂を用い接続パッド等一部を開口させて外層絶縁樹脂41を形成した。
【0073】
次に、実施例1と同様にダイシングブレード62で配線基板パネル2を個片化し、
図8に示すパッケージ用基板300と同様のパッケージ用基板を得た。
【0074】
本実施例では、上述のように、絶縁層21として感光性樹脂を用い、フォトリソグラフィによ複数の絶縁層21の各層の樹脂形成面積を変更して複数の絶縁層21の端部を多段構造に形成する。これにより、絶縁層21の端部において所望の多段構造を得ることが可能となり、絶縁層21の端部を効果的に応力集中を緩和することができる多段構造とすることができる。
【0075】
(実施例3)
先ず、
図12に示す配線基板パネル1を実施例1と同様の工程によって作製した。
【0076】
次に、配線基板パネル1をレーザー加工して絶縁層21の個片外周部分にあたる箇所を除去し、コア基板11を露出させた。このとき、レーザー走査パターン、走査回数、走査速度等を絶縁層21の端部形状が所望の形状になる様に設定した。また、レーザー加工には、「ESI社製レーザー加工装置」を用いた。次に、ダイシングブレード62で配線基板パネル1を個片化した。これにより、
図17(a)および
図17(b)に示すように本実施例によるパッケージ用基板を得た。
【0077】
本実施例によるパッケージ用基板は、第四実施形態によるパッケージ用基板400(
図10(a)参照)と同様に絶縁層21の、平面形状において角部221が円弧形状を有している。さらに、本実施例によるパッケージ用基板は、第二実施形態によるパッケージ用基板200(
図6(a)参照)と同様に、絶縁層21の断面形状の少なくとも一部(面取り部に該当する箇所)に曲率半径Rが形成されている。
【0078】
このように、本実施例では、レーザー加工により絶縁層21の端部の形状、つまり面取り形状を形成する。絶縁層21の端部形状の加工にレーザーを用いることで、設計自由度が向上して形成可能な形状が増え、絶縁層21の端部形状を所望の形状とすることができる。例えば、レーザー加工により、
図17(a)に示すように平面形状における絶縁層21の角部が円弧状であることと、
図17(b)に示すように絶縁層21の断面形状の少なくとも一部が円弧形状であることを両立することができた。また、レーザー加工により、絶縁層の21の端部を、例えば
図3、
図6、
図9に示す面取り部22,23,24のいずれの形状にも形成することができる。
【0079】
(実施例4)
先ず、
図12に示す配線基板パネル1を実施例1と同様の工程によって作製した。
【0080】
次に、実施例1と同様に、
図13に示す配線基板パネル1をレーザー加工により絶縁層21の個片外周部分にあたる箇所を除去し、コア基板11を露出させた。
【0081】
次に、
図18に示すようにダイシング加工により絶縁層21を面取り加工して、絶縁層21の端部に面取り形状を形成した。このとき、ダイシングブレード63は刃先形状が45°、刃厚が0.5mmのものを用いた。本実施例では、ダイシングブレード63として「製品名:R07-SD600-BB200、ディスコ社製」を用いた。ダイシングブレード63の先端とコア基板11との距離を10μm以上30μm以下に制御し、配線基板パネル1の表裏を加工した。また、配線基板パネル1の隣接するピースを一度に加工できるようダイシングブレード63のブレード幅を調整し、削り幅Dが100μm以上300μm以下となる様に制御した。これにより絶縁層21の端部において所望の構造を得た。本実施例では、絶縁層21の端部を
図2に示すパッケージ用基板100の面取り部22と同様の形状とした。
【0082】
次に、実施例1と同様にダイシングブレード62で配線基板パネル1を個片化し(
図15参照)、
図19に示す本実施例のパッケージ用基板を得た。
【0083】
(比較例1)
先ず、
図12に示す配線基板パネル1を実施例1と同様に作製した。
【0084】
次に、実施例1と同様に、
図13に示す様に配線基板パネル1をレーザー加工により絶縁層21の個片外周部分にあたる箇所を除去し、コア基板11を露出させた。
【0085】
次に、ダイシングブレード62で配線基板パネル1を個片化し、
図20に示すように本比較例のパッケージ用基板を得た。本比較例は、絶縁層21の端部に面取り部を形成していない点で、上記実施例1から実施例4のパッケージ用基板と異なる。
【0086】
(評価)
実施例1~4及び比較例1のパッケージ用基板に対し温度サイクル試験を実施して、温度変化時のコア基板11における割れの発生有無の評価を行った。
(温度サイクル試験)
実施例1~4及び比較例1によるパッケージ用基板に、JEDEC(JESD22A113)規格MSL level3に準拠した前処理を実施し、JEDEC規格(JESD22-A104)に記載の温度サイクル試験コンディションB(-55℃以上125℃以下)を1000サイクル行った。温度サイクル試験後に実施例1~4及び比較例1のパッケージ用基板の割れの発生有無を確認した。温度サイクル試験の結果として、コア基板11を形成するガラスに割れが発生しなかった場合を「○」とし、コア基板11を形成するガラスに割れが発生した場合を「×」とした。
【0087】
(評価結果)
上記温度サイクル試験の評価結果を表1に示す。
【0088】
【0089】
表1に示すように、実施例1~4のパッケージ用基板は、温度サイクル試験を実施した結果が「○」となり、温度変化時においてコア基板11を形成するガラスに割れが発生していないことを検証することができた。
一方、表1に示すように、比較例1のパッケージ用基板は、温度サイクル試験を実施した結果が「×」となり、温度変化時においてコア基板11を形成するガラスに割れが発生することが確認された。
これにより、本発明にかかるパッケージ用基板およびその製造方法によれば、絶縁層21の端部が面取りされていることで、温度変化時において絶縁層端部における応力集中を緩和して、コア基板11の割れの発生を抑制できることを検証することができた。
【0090】
このように、本発明によれば、コア基板が脆性材料で形成され、配線基板から個片化した後のパッケージ用基板に対して作製時や実装時及び使用時等において大きな温度変化や繰り返しの温度変化がかかった場合にも、コア基板の割れが発生せず、信頼性の高いパッケージ用基板を提供することができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態及び実施例を示したが、本発明は上記に限定されるものではなく、技術的思想を逸脱しない限り、パッケージ用基板としての用途を考慮し、要求されるその他の物性である剛性、強度、衝撃性等を向上する目的で、他の層や構造を任意に形成できることはいうまでもない。
また、以上、特定の例を用いて本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、主基板とICチップとの間に介在するインターポーザ等のパッケージ用基板を備える半導体装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1、2 配線基板パネル
11 コア基板
21 絶縁層
22、23、24 面取り部
22a 下側端部
23a 上直線部
23b 平坦部
31、311 配線層
41 外層絶縁樹脂
51 貫通穴
61、62、63 ダイシングブレード
100、200、300、400、500 パッケージ用基板
121、221 角部
122 直線部
210 第1部位
211 第2部位